説明

軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出方法及びオイルエア漏れ検出装置

【課題】オイルエアを軸受箱に供給する軸受箱潤滑装置において、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏洩を確実に検知する。
【解決手段】軸受箱潤滑装置1に対し、オイルエア供給管7の下流側に、下流側から上流側への流通を規制する逆止弁15を設け、逆止弁15の上流側にオイルエア供給管7内の圧力を検出する圧力検出手段16を設け、軸受箱4内が所定の圧力となるように軸受箱4の軸受部9に軸シール機構13を設け、その上で、オイルエアの供給を停止した際に、圧力検出手段16で検出された圧力の変化を調べ、オイルエア供給管7及び/又は軸受箱4にオイルエア漏れがあるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油と空気とが混合したオイルエアを軸受箱へ供給する軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出方法及びオイルエア漏れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、連続鋳造機の鋳片案内ロールなどを支持する軸受箱においては、当該軸受箱内の軸受部を潤滑するために、潤滑油又は潤滑油と空気とが混合したオイルエアを供給する軸受箱潤滑装置が配備されている。例えば、特許文献1に開示された軸受箱潤滑装置は、オイルエアを供給する混合器と軸受箱とが配管で連接されており、この配管を通じて軸受箱内の軸受部にオイルエアが供給されている。
さらに、かかる軸受箱潤滑装置では、配管の下流側で且つ軸受箱の上流側には下流側逆止弁が配備され、下流側逆止弁の上流側には圧力センサ、圧力センサの上流側には上流側逆止弁、上流側逆止弁のさらに上流側には、開閉弁が設けられている。この軸受箱潤滑装置においては、開閉弁を用いてオイルエアの供給を意図的に一時停止させた上で、圧縮されたオイルエアを上流側の逆止弁と下流側の逆止弁との間に閉じ込め、上下流の逆止弁間に配備された圧力センサにてオイルエアの圧力を測定することにより、配管でのオイルエアの漏洩状態を測定するものとなっている。
【特許文献1】特開2006−308076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術は、開閉弁〜下流側逆止弁間における配管のオイルエア漏れを検出するものであって、軸受箱自体のオイルエア漏れを検出する技術とはなっていない。
実際の現場においては、配管でのオイルエア漏洩と同程度に軸受箱でのオイルエア漏れは重大な問題であり、その早期発見は重要事項である。
なお、特許文献1の[0017]〜[0019]段落には、圧力センサが軸受箱の上流側にあったとしても、圧力センサの測定値低下によって軸受箱にオイルエアが供給されていない異常状況を検出可能であることが開示されている。
【0004】
しかしながら、かかる異常検出の具体的な手段・方策の開示はなく、特許文献1の技術を用いたとしても軸受箱のシール異常やオイルエア漏れを検出することは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、オイルエアを軸受箱に供給する軸受箱潤滑装置において、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏洩を確実に検知できるオイルエア漏れ検出方法及びオイルエア漏れ検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
すなわち、本発明に係る軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出方法は、潤滑油と空気とが混合したオイルエアを生成するオイルエア生成手段と、該オイルエア生成手段と軸受箱とを連結し当該軸受箱にオイルエアを供給するオイルエア供給管と、を備えた軸受箱潤滑装置に対し、前記オイルエア供給管の下流側に、下流側から上流側へのオイルエアの流通を規制する逆止弁を設け、該逆止弁の上流側にオイルエア供給管内の圧力を検出する圧力検出手段を設け、前記軸受箱内が所定の圧力となるように当該軸受箱の軸受部に軸シール機構を設けておき、前記オイルエアの供給を停止し、その後に前記圧力検出手段での圧力の変化を検出して、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏れを判定することを特徴とする。
【0006】
これにより、軸受箱潤滑装置において、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏洩を確実に判定できる。
好ましくは、前記オイルエアの供給を停止する前に、「逆止弁のクラッキング圧力 < 軸シール機構のシール圧 < オイルエアの供給圧」となるように、前記逆止弁、軸シール機構、オイルエア生成手段の少なくとも1つを調整しておき、
前記オイルエアの供給を停止した後に、
(i) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、前記逆止弁のクラッキング圧力より高い圧力を維持する際には、「オイルエア供給管にオイルエア漏れがなく、且つ軸受箱にオイルエア漏れなし」と判定し、
(ii) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、逆止弁のクラッキング圧力まで減少する際には「オイルエア供給管にオイルエア漏れがなく、且つ軸受箱にオイルエア漏れあり」と判定し、
(iii) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、大気圧まで減少する際には「オイルエア供給管にオイルエア漏れあり」と判定するとよい。
【0007】
これにより、オイルエア漏れが、軸受箱、オイルエア供給管のどちらに発生しているか確実に知ることができる。
好ましくは、前記(ii)の判定において、
(ii-a) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、逆止弁のクラッキング圧力まで所定時間内に減少する際には「軸受箱に急激なオイルエア漏れあり」と判定し、
(ii-b) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、逆止弁のクラッキング圧力まで所定時間以上かかって低下する際には「軸受箱に緩やかなオイルエア漏れあり」と判定するとよい。
【0008】
こうすることで、軸受箱内のオイルエア漏れの状況をより正確に知ることができる。
さらに好ましくは、前記(iii)の判定において、
(iii-a) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、大気圧まで所定時間内に低下する際には「オイルエア供給管に急激なオイルエア漏れあり」と判定し、
(iii-b) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、大気圧まで所定時間以上かかって低下する際には「オイルエア供給管に緩やかなオイルエア漏れあり」と判定するとよい。
こうすることで、オイルエア供給管でのオイルエア漏れの状況をより正確に知ることができる。
【0009】
また、前記軸シール機構として、前記軸受部の少なくとも片側に設けられ且つ外方向きの流通を可能に配備されたリップシールを用い、前記軸受箱内の圧力が「逆止弁のクラッキング圧力 < 軸シール機構のシール圧 < オイルエアの供給圧」となるように、前記リップシールのシール状態を設定することは非常に好ましい。
リップシールを用いることで、軸受箱内の圧力を「逆止弁のクラッキング圧力 < 軸シール機構のシール圧 < オイルエアの供給圧」となるように容易に設定することができる。
【0010】
なお、「逆止弁のクラッキング圧力 < 軸シール機構のシール圧」とすることで、オイルエア供給管へのオイルエア供給を停止した場合に、オイルエア供給管において、逆止弁の上流側と下流側を確実に遮断できるようになり、上流側に漏れがあるか、下流側(軸受箱)に漏れがあるかを判別することができる。
「逆止弁のクラッキング圧力,軸シール機構のシール圧 < オイルエアの供給圧」とすることで、逆止弁を経由して確実に軸受箱にオイルエアを供給することが可能となる。さらに、軸受箱に達したオイルエアは外部に排出される。
【0011】
また、本発明に係る軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出装置は、潤滑油と空気とが混合したオイルエアを生成するオイルエア生成手段と、該オイルエア生成手段と軸受箱とを連結し当該軸受箱にオイルエアを供給するオイルエア供給管と、を備えた軸受箱潤滑装置に用いるものであって、前記オイルエア供給管の下流側に設けられ且つ下流側から上流側へのオイルエアの流通を規制する逆止弁と、前記逆止弁の上流側に設けられてオイルエア供給管内の圧力を検出する圧力検出手段と、前記オイルエアの供給を停止した際に、前記圧力検出手段での圧力の変化を検出して、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏れを判定する判定手段と、を有していることを特徴とする。
【0012】
この装置を用いることで、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏洩を確実に判定できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るオイルエア漏れ検出方法及びオイルエア漏れ検出装置を用いることで、オイルエアを軸受箱に供給する軸受箱潤滑装置において、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏洩を確実に検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るオイルエア漏れ検出方法及びオイルエア漏れ検出装置の最良の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、軸受箱潤滑装置1及びオイルエア漏れ検出装置2を示す模式図である。
図1に示すように、軸受箱潤滑装置1は、例えば、連続鋳造機などのサポートロール3を支持する複数の軸受箱4に潤滑油を供給する装置であって、潤滑油と空気とが混合したオイルエアを生成するオイルエア生成手段5と、上流側に位置するオイルエア生成手段5と下流側に位置する軸受箱4とをつないで軸受箱4にオイルエアを供給するオイルエア供給管7とを備えている。
【0015】
図1の「断面拡大図」に示すように、軸受箱4は、サポートロール3の両端部に突設されたロール把持部8をそれぞれ支承する軸受部9と、この軸受部9を外側から支持するケーシング10(支持体)とから構成されている。このケーシング10は連続鋳造機等のサポートフレーム(図示せず)などに固定されている。
ケーシング10内部には、軸受部9に向けて潤滑油を供給する潤滑油配管11が設けられている。
オイルエア生成手段5としては、グリス等の潤滑油と圧縮空気とがそれぞれ供給され、それらを一定の混合比で混合する混合器12が用いられ、この混合器12で作られたオイルエアは、オイルエア供給管7を介して軸受箱4内の軸受部9に供給される。オイルエアの供給圧力は、前記圧縮空気の圧力と略同じとなっていて、0.15〜0.20MPaに設定されている。
【0016】
オイルエア供給管7は、上流側に位置する混合器12(オイルエア生成手段)の出側と、下流側に位置する軸受箱4に設けられた潤滑油配管11の基端(外方端)とを連結している。このオイルエア供給管7を介して、オイルエアが上流側の混合器12から下流側の軸受箱4へ供給される。
なお、前述した軸受部9には、供給されたオイルエアが所定の圧力で軸受部9を浸漬するように、軸シール機構13が設けられている。
軸シール機構13は、軸受部9の少なくとも片側に配備されたリップシール14(リップ状シールリング)を有している。図1の「断面拡大図」に示すように、リップシール14は断面くの字形であり、サポートロール3のロール把持部8の周面を取り囲むように配備されている。本実施形態の場合、リップシール14はサポートロール3の回転軸心方向に複数個(2つ)、サポートロール3の回転軸心方向中央側へ向けてオイルエアの流出を許すような向きで配備されている。
【0017】
以上述べた軸受箱潤滑装置1では、混合器12で生成されたオイルエアは、オイルエア供給管7→潤滑油配管11を通って軸受箱4内の軸受部9を浸漬する。その後、軸シール機構13を介して外部に排出される。すなわち、本軸受箱潤滑装置1は、オイルエア非回収系となっている。このようなオイルエアの供給により、軸受部9は焼き付くことなく正常にロール把持部8を回転支持できる。
ところで、本実施形態の軸受箱潤滑装置1には、オイルエア漏れ検出装置2が備えられている。
【0018】
オイルエア漏れ検出装置2は、下流側から上流側へのオイルエアの流通を規制する逆止弁15を有しており、この逆止弁15は、オイルエア供給管7の下流側で且つ軸受箱4の近傍に設けられている。さらに、オイルエア漏れ検出装置2は、逆止弁15の上流側に設けられてオイルエア供給管7内の圧力を検出する圧力検出手段16と、軸受箱4内が所定の圧力となるように軸受箱4の軸受部9に設けられた軸シール機構13と、オイルエア供給管7及び/又は軸受箱4におけるオイルエア漏れを判定する判定手段17と、を有している。
【0019】
詳しくは、逆止弁15(チェッキ弁)は、オイルエア供給管7の下流端部と軸受箱4との接合部位との間又は軸受箱4の近傍に設けられていて、上流側から下流側へのオイルエアの流通は許可するものの、下流側から上流側への流通は規制するものとなっている。本実施形態に用いた逆止弁15は、上流側から下流側へのクラッキング圧力(流通開始圧力)は、0.05MPaとされている。リシール圧力(下流側から上流側への流通規制開始圧力)は、0.05MPaを若干下回る値とされている。
オイルエア供給管7上であって逆止弁15の上流側には、当該配管7内のオイルエアの圧力を計測する圧力計16(圧力検出手段)が設けられている。この圧力計16で計測された圧力値は、有線又は無線により、後述するオイルエア漏れ判定手段17へ出力されるようになっている。
【0020】
前述した軸シール機構13のリップシール14は、「逆止弁15のクラッキング圧力 < 軸シール機構13のシール圧 < オイルエアの供給圧(オイルエア供給管7内の圧力)」となるように、ロール把持部8の周面に対して押し付けられている。例えば、軸受部9内のオイルエア圧力が0.10〜0.15MPaの範囲となるように軸シール機構13が設定(リップシール14の締め付け圧が設定)されている。
なお、リップシール14の締め付け圧が過大な場合は、リップシール14とロール把持部8の周面とが摺動する部分に摩耗が発生しやすくなり、リップシール14やサポートロール3の寿命が短くなる。一方、リップシール14の締め付け圧が過小な場合は、軸受箱4内の圧力を所定のものに保持できないばかりか、オイルエア漏れの検出に支障をきたすようになる。
【0021】
オイルエア漏れ検出装置2は、オイルエア供給管7及び/又は軸受箱4におけるオイルエア漏れを判定するオイルエア漏れ判定手段17(判定手段)を有している。オイルエア漏れ判定手段17は、プロセスコンピュータ等で構成されており、圧力計16から転送されてきたオイルエア供給管7内の圧力を基に、
オイルエアの供給を停止した後に、
(i) 圧力検出手段16で検出された圧力が、逆止弁15のクラッキング圧力より高い圧力を維持する際には、「オイルエア供給管7にオイルエア漏れがなく、且つ軸受箱4にオイルエア漏れなし」と判定し、
(ii) 圧力検出手段16で検出された圧力が、逆止弁15のクラッキング圧力まで減少する際には「オイルエア供給管7にオイルエア漏れがなく、且つ軸受箱4にオイルエア漏れあり」と判定し、
(iii) 圧力検出手段16で検出された圧力が、大気圧まで減少する際には「オイルエア供給管7にオイルエア漏れあり」と判定するものとなっている。
【0022】
オイルエア供給管7や軸受箱4にオイルエア漏れが生じていることが明らかとなった場合、プロセスコンピュータのモニタ画面に警告を表示したり、警報音を発するようにしている。
以下、本発明に係るオイルエア漏れ検出方法、すなわちオイルエア漏れ判定手段17内で行われる処理について、図2,図3を基に説明する。
まず、オイルエア漏れを検出するにあたっては、

逆止弁15のクラッキング圧力
< 軸シール機構13のシール圧
< オイルエアの供給圧 ・・・(1)

となるように混合器12へのエア供給圧を調整したり、式(1)を満たす仕様を備えたリップシール14を選択したりする。加えて、式(1)を満たすようなクラッキング圧力を仕様として備えた逆止弁15を選択する。[S1]
その後、混合器12を停止、又はオイルエア供給管7の最上流側に設けられた開閉弁6を閉状態にすることで、軸受箱4に対するオイルエアの供給を止め、オイルエア供給管7内の圧力を供給停止前の所定圧(以降、停止時圧力と呼ぶ)にする。[S2]
その時、図2の曲線(1)に示されるように、圧力計16で検出された圧力が、停止時圧力を保持したまま推移したり、若干の圧力低下はあるものの停止時圧力から緩やかに低下する、言い換えるならば、逆止弁15のクラッキング圧力より高い圧力を所定時間(例えば数分)以上維持する際には、「オイルエア供給管7にオイルエア漏れがなく、且つ軸受箱4にオイルエア漏れなし」と判断する。つまり、オイルエア供給管7に穴あきが発生したり、軸シール機構13が破損したりしていないと判断する。[S3]
もし、軸受箱4の軸シール機構13に異常が発生してオイルエア漏れある場合は、軸受箱4内の圧力は低下し、低下した圧力は軸受箱4〜逆止弁15間のオイルエア供給管7内に及ぶ。その際、逆止弁15より上流側のオイルエア供給管7内にあるオイルエアは逆止弁15を通って下流側へ流出するが、上流側のオイルエアの圧力が逆止弁15のクラッキング圧力にほぼ一致すると、その流量はゼロとなる。
【0023】
したがって、図2の曲線(2),曲線(3)に示されるように圧力計16で検出された圧力が、停止時圧力から逆止弁15のクラッキング圧力まで減少する際には「軸受箱4にオイルエア漏れあり(軸シール異常)、オイルエア供給管7に異常なし」と判断する。[S4]
特に、図2の曲線(2)のように、圧力計16で検出された圧力が、停止時圧力から逆止弁15のクラッキング圧力まで、所定時間(例えば10秒)以内で急激に減少し、その後、その圧力を保持するか緩やかに低下する際には「オイルエア供給管7にオイルエア漏れがないものの、軸受箱4の軸シール機構13が破損等して急激なオイルエア漏れあり」と判断する。[S6]
図2の曲線(3)のように、停止時圧力から逆止弁15のクラッキング圧力まで、所定時間(例えば10秒)以上かかって漸近低下し、その後、その圧力を保持するか緩やかに低下する際には「オイルエア供給管7にオイルエア漏れがないものの、軸受箱4の軸シール機構13にリークや摩耗等の異常が発生し緩やかなオイルエア漏れあり」と判断する。[S7]
一方、オイルエア供給管7に異常が発生してオイルエア漏れある場合は、オイルエアの供給を止めた後、当該配管内の停止時圧力は低下して大気圧(ゲージ圧ゼロ)となり、かかる大気圧は、開閉弁6〜逆止弁15間のオイルエア供給管7内に及ぶ。その際、逆止弁15〜軸受箱4間のオイルエアは逆止弁15があるため、上流側へは流出しない。
【0024】
したがって、図2の曲線(4),曲線(5)に示されるように圧力計16で検出された圧力が、停止時圧力から大気圧まで減少する際には「オイルエア供給管7にオイルエア漏れあり」と判断する。[S5]
特に、図2の曲線(4)のように、圧力計16で検出された圧力が、大気圧まで所定時間(例えば10秒)以上かかって漸近低下する際には、「オイルエア供給管7にリーク等の異常が発生し、緩やかなオイルエア漏れあり」と判断する。[S8]
図2の曲線(5)のように、圧力計16で検出された圧力が、大気圧まで所定時間(例えば10秒)以内で急激に低下する際には、「オイルエア供給管7に穴あき等が発生し、急激なオイルエア漏れあり」と判断する。[S9]
なお、本実施形態のオイルエア漏れ検出方法によれば、「オイルエア供給管7にオイルエア漏れあって、軸受箱4に漏洩なし」における圧力計16の圧力値推移と、「オイルエア供給管7にオイルエア漏れあって、軸受箱4にも漏洩あり」における圧力計16の圧力値推移とは略同じ状況となるが、発生するトラブルの頻度は「オイルエア供給管7にオイルエア漏れあって、軸受箱4に漏洩なし」の方が確率的に多いと思われるので、かかる判定結果を採用する。
【0025】
ところで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、オイルエア漏れ判定手段17としてプロセスコンピュータを採用せず、オペレータが圧力計16を直接読み取り、図2の判定基準に基づいてオイルエア漏洩を判別するようにしてもよい。また、開閉弁6は遠隔自動操作が好ましいが、遠隔手動操作でオペレータが開閉弁6を直接操作するようにしてもよい。
また、「逆止弁15のクラッキング圧力 < 軸シール機構13のシール圧 < オイルエアの供給圧」となるように各圧力と調整するに際しては、(A)かかる関係式を満たすような仕様を備えた逆止弁15を選択、(B)かかる関係式を満たすような仕様を備えた軸シール機構13を選択、(C)オイルエア生成手段5の圧力の調整、のいずれかを行えばよい。すなわち、(A)〜(C)の全てを行ってもよく、(A)〜(C)の内の1つ又は2つのみを行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】オイルエア漏れ検出装置の模式図である。
【図2】オイルエア漏れ検出方法を説明するための図である。
【図3】オイルエア漏れ検出方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1 軸受箱潤滑装置
2 オイルエア漏れ検出装置
3 サポートロール
4 軸受箱
5 オイルエア生成手段
6 開閉弁
7 オイルエア供給管
8 ロール把持部
9 軸受部
10 ケーシング
11 潤滑油配管
12 混合器
13 軸シール機構
14 リップシール
15 逆止弁
16 圧力計(圧力検出手段)
17 オイルエア漏れ判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油と空気とが混合したオイルエアを生成するオイルエア生成手段と、該オイルエア生成手段と軸受箱とを連結し当該軸受箱にオイルエアを供給するオイルエア供給管と、を備えた軸受箱潤滑装置に対し、
前記オイルエア供給管の下流側に、下流側から上流側へのオイルエアの流通を規制する逆止弁を設け、該逆止弁の上流側にオイルエア供給管内の圧力を検出する圧力検出手段を設け、前記軸受箱内が所定の圧力となるように当該軸受箱の軸受部に軸シール機構を設けておき、
前記オイルエアの供給を停止し、その後に前記圧力検出手段での圧力の変化を検出して、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏れを判定することを特徴とする軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出方法。
【請求項2】
前記オイルエアの供給を停止する前に、「逆止弁のクラッキング圧力 < 軸シール機構のシール圧 < オイルエアの供給圧」となるように、前記逆止弁、軸シール機構、オイルエア生成手段の少なくとも1つを調整しておき、
前記オイルエアの供給を停止した後に、
(i) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、前記逆止弁のクラッキング圧力より高い圧力を維持する際には、「オイルエア供給管にオイルエア漏れがなく、且つ軸受箱にオイルエア漏れなし」と判定し、
(ii) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、逆止弁のクラッキング圧力まで減少する際には「オイルエア供給管にオイルエア漏れがなく、且つ軸受箱にオイルエア漏れあり」と判定し、
(iii) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、大気圧まで減少する際には「オイルエア供給管にオイルエア漏れあり」と判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出方法。
【請求項3】
前記(ii)の判定において、
(ii-a) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、逆止弁のクラッキング圧力まで所定時間内に減少する際には「軸受箱に急激なオイルエア漏れあり」と判定し、
(ii-b) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、逆止弁のクラッキング圧力まで所定時間以上かかって低下する際には「軸受箱に緩やかなオイルエア漏れあり」と判定することを特徴とする請求項2に記載の軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出方法。
【請求項4】
前記(iii)の判定において、
(iii-a) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、大気圧まで所定時間内に低下する際には「オイルエア供給管に急激なオイルエア漏れあり」と判定し、
(iii-b) 前記圧力検出手段で検出された圧力が、大気圧まで所定時間以上かかって低下する際には「オイルエア供給管に緩やかなオイルエア漏れあり」と判定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出方法。
【請求項5】
前記軸シール機構として、前記軸受部の少なくとも片側に設けられ且つ外方向きの流通を可能に配備されたリップシールを用い、
前記軸受箱内の圧力が「逆止弁のクラッキング圧力 < 軸シール機構のシール圧 < オイルエアの供給圧」となるように、前記リップシールのシール状態を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出方法。
【請求項6】
潤滑油と空気とが混合したオイルエアを生成するオイルエア生成手段と、該オイルエア生成手段と軸受箱とを連結し当該軸受箱にオイルエアを供給するオイルエア供給管と、を備えた軸受箱潤滑装置に用いるオイルエア漏れ検出装置であって、
前記オイルエア供給管の下流側に設けられ且つ下流側から上流側へのオイルエアの流通を規制する逆止弁と、
前記逆止弁の上流側に設けられてオイルエア供給管内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記オイルエアの供給を停止した際に、前記圧力検出手段での圧力の変化を検出して、オイルエア供給管及び/又は軸受箱でのオイルエア漏れを判定する判定手段と、
を有していることを特徴とする軸受箱潤滑装置のオイルエア漏れ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−248982(P2008−248982A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89191(P2007−89191)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】