説明

軸送りを用いて液体供給原料から皮膜を製造する方法および装置

本発明は、液体供給材料から基材上に皮膜を製造するための装置を提供する。装置は、軸方向注入溶射トーチと、液体供給材料の制御された流れをトーチに送達する液体供給材料送達手段とを含む。トーチには、中細ノズルが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本願は、米国特許法§119(e)に基づき、2008年5月29日に提出された、参照により本願に組み入れる米国仮出願番号61/057,184の利益を主張する。
(技術分野)
本発明は、溶射コーティングの分野に関し、より詳細には、液体供給材料を用いた溶射コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物燃料電池(SOFC)、新しい断熱皮膜(TBC)、酸素輸送膜(OTM)および次世代の耐環境皮膜(EBC)などのコーティング用途に対して、薄く高密度の皮膜が求められている。これらの用途は、従来のプラズマ溶射に対して大きな課題を投げかけている。たとえば、従来サイズの溶射粉末に比べて、粉末は細かい方が、より薄い薄層板でより高密度の皮膜をもたらすことが分かった。しかしながら、10μmよりも細かい粉末(ナノ粉末)は、プラズマトーチに一貫して供給することが非常に難しい。これまで、供給の問題が、標準技術により、従来の溶射供給装置によって10μmよりも細かい粉末を用いて皮膜を製造することを妨げてきた。
【0003】
上記の関連技術の例およびそれに関連した限定は、説明的なものであり排他的なものではない。明細書を読み、図面を検討することによって、関連技術の他の限定も当業者に明らかになることであろう。
【発明の概要】
【0004】
以下の実施形態およびその態様は、例示的かつ説明的であり、範囲を限定することはない装置、ツール、および方法に関連して説明されている。様々な実施形態において、上述の問題の1つまたはそれ以上が、低減されるか除外されており、他の実施形態は他の改善に向けられている。
【0005】
液体中に細かいナノ粉末を懸濁するか、液体前駆体を用い、信頼できる送達機構を用いて固体/液体スラリーまたは前駆体をプラズマプルームに注入して微粒子を噴霧することにより、高密度のコーティング構造物を得ることができる。液体スラリーまたは前駆体は、溶射トーチに対して微粒子を送達する手段を提供する。自動化スラリー/前駆体供給装置および軸方向注入プラズマ溶射トーチが、中細ノズルを用いてスラリー/前駆体に基づく皮膜を噴霧するために用いられる。上記スラリー/前駆体は、一貫した流れで軸方向に注入されて、高密度の皮膜となる。
【0006】
とりわけ本発明は、液体供給材料から基材上に皮膜を製造するための装置を提供する。装置は、軸方向注入溶射トーチと、液体供給材料の制御された流れをトーチに送達する液体供給材料送達手段とを含む。トーチには、超音速ノズルであってもよい中細ノズルが設けられる。一態様によると、トーチには、液体供給材料をプラズマ蒸気中に注入する前に霧化するアトマイザが設けられる。さらなる態様によれば、液体供給材料は、ナノ粒子を懸濁した液体スラリーまたは液体前駆体である。さらなる態様によれば、液体供給材料の制御された流れをトーチに送達する手段は、加圧タンクを用いた質量流量計と組み合わせた電子制御装置からなる。
【0007】
本発明は、液体供給材料から基材上に皮膜を製造するための方法も提供する。本方法は、i)中細ノズルと、液体供給材料の制御された流れをトーチに送達する液体供給材料送達手段とを含む軸方向注入溶射トーチを提供する工程と、ii)液体供給材料の制御された流れを軸方向注入溶射トーチに送達し、中細ノズルを介して、基材上にコーティング粒子のプラズマスプレーを生成する工程とを含む。一態様によると、トーチには、液体供給材料をプラズマ蒸気中に注入する前に霧化するアトマイザが設けられる。さらなる態様によれば、液体供給材料は、懸濁されたナノ粒子の液体スラリーまたは液体前駆体である。さらなる態様によれば、液体供給材料の制御された流れをトーチに送達する手段は、質量流量計と組み合わせた電子制御装置からなる。
【0008】
例示的態様および上述の実施形態に加えて、図面を参照し、以下の詳細な説明を検討することにより、さらなる態様および実施形態が明らかになるであろう。
例示的実施形態を、図面の参照図中に示す。ここに開示する実施形態および図面は、限定的なものではなく説明的なものと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の溶射装置を示した概略図。
【図2】本発明において用いられる中細ノズルの正面図。
【図3】図2の線A−Aに沿った中細ノズルの断面図。
【図4】図2の中細ノズルの領域Bの詳細な断面図。
【図5】図2の中細ノズルの第2の実施形態の領域Bの詳細な断面図。
【図6】本発明の一実施形態による注入器チューブとトーチの収束ブランクの斜視図。
【図7】二流体注入器の第1の実施形態を示した収束ブランクの正面図。
【図8】図7に示した収束ブランクの側面図。
【図9】図8の線A−Aに沿った断面図。
【図10】図9に示したアトマイザの詳細な断面図。
【図11】図9に示すアトマイザの単独の詳細な断面図。
【図12】図6の線C−Cに沿った本発明の一実施形態による注入器チューブとトーチの収束ブランクの断面図。
【図13】冷却を増加させ霧化を行わない液体注入器を示した収束ブランクの正面図。
【図14】図16に示した収束ブランクの側面図。
【図15】図17の線E−Eに沿った断面図。
【図16】図18に示した収束ブランクの詳細な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明全体を通して、特定の詳細は、当業者に対してより徹底的な理解を提供するために挙げるものである。しかしながら、開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の要素は示さないか、詳細には記載しないこともある。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、説明的な意味であるとみなされるべきである。
【0011】
ナノ粉末は、約1〜100nm(10−9m〜10−7m)の直径を有する粒子で構成される粉末である。ナノ粉末は、それらの高表面積、成形容易性などの独特の特性により、ならびに最終製品の性能の向上により、多くの用途において従来の粉末に替わるものである。ナノ粉末のいくつかの現行の用途としては、触媒、潤滑剤、研磨剤、爆薬、日焼け止め剤、および化粧品が挙げられる。ミクロ粉末は、約100nm〜10μm(10−7m〜10−5m)の直径を有する粒子で構成される粉末である。ミクロ粉末には、約100nm〜1μm(10−7m〜10−6m)の直径を有するサブミクロ粉末も含まれる。ミクロ粉末もまた、多くの有用な現行の用途を有している。本明細書中、「ナノ粉末」という用語は、ナノ粉末とミクロ粉末の両方のことをさす。
【0012】
本発明は、液体供給材料に適用される。以下の説明は、懸濁されたナノ粉末を含む液体スラリーについて行うが、これには溶解された塩などの固体を有する液体前駆体も含まれる。このような液体前駆体は、本発明において液体スラリーと同様に扱われるが、前駆体がプラズマに入ると、液体の一部は蒸発して、溶解した固体がプラズマ中で反応して、固体材料を形成し、これがトーチから噴霧される。一方、液体スラリーを用いた場合には、液体は懸濁された固体粒子を残して蒸発する。
【0013】
図1を参照すると、溶射装置10は、軸方向注入トーチ12と、液体供給材料送達部14とを含んでいる。装置は、標的基材16に対して溶射を行い、基材16の表面上に皮膜を与える。
【0014】
スラリー送達部14は、管22を介してトーチ12に送達される供給材料スラリーまたは液体前駆体の供給源20を含む。スラリーまたは前駆体は、圧力調節器26によって調節される加圧空気または不活性ガスの供給源24によって送達される。水の供給源28は、バルブ30または管32のいずれか、およびバルブ30の下流のバルブ34を介して、スラリー管22に管22を洗い流すか浄化するための水を提供するものであってよい。霧化空気または不活性ガスの供給源が36に設けられ、霧化ガスを管38およびバルブ40を介してトーチ12内のアトマイザに提供する。プログラム可能な論理制御装置42は、流量計44,46および圧力調節器26を監視してスラリーの流れを調節し、ガスを加圧および霧化することにより、プロセスを制御する。これにより、液体供給材料を液体リザーバへの外圧またはポンプ速度によって制御するための、フィードバック制御ループが形成される。流量計44は好ましくは、霧化ガスの量を測定する質量流量計であり、流量計46は、好ましくはコリオリまたは超音波流量計である。このようにして、スラリーの流れは、制御装置42によって監視される圧力調節器26および質量流量計46の相互作用によって一定に維持される。コリオリ型流量計は、懸濁液中の個体粒子によって摩耗されうる可動部分を有しないために、有用である。これは、液体の任意の密度に対する低い流速を測定し、計測装置を通る途切れない流れが、固体が蓄積して閉塞をもたらす可能性を低減する。
【0015】
プラズマコーティングのために適正にスラリーを調製することは重要であり、各成分はスラリー沈殿プロセスに対して実質的な影響を有する。これには、溶媒と添加剤の選択が含まれる。プラズマトーチへの送達のために低粘度のよく分散された安定なスラリーを得ることが好ましい。スラリーの基剤は、水またはエタノール、プロパノールなどの脂肪族アルコール類などの有機溶媒のいずれかであればよい。一般に、スラリーは、静電的、立体的、または電気立体的安定化機構によって分散させることができる。セラミック粒子は、結合剤−分散剤−溶媒系において均一に分散されなければならない。考慮される因子には、成分の化学的適合性、結合剤および添加剤の溶解性、多成分系の粘度および電気受容性が含まれる。本装置において、ガス−液体比は、最良の霧化効果を得るように最適化される。
【0016】
後述のように、本装置は、スラリー供給材料の霧化、プラズマプルーム中へのスラリーの軸方向注入、同時加速による液体の蒸発と固体粒子の溶融、および最適な温度および速度による基材との衝突時における十分な粒子モーメントによって所望のコーティング構造物を得ることを含み、スラリー供給物が高密度のコーティング構造物を達成できるようにする特徴を含む。
【0017】
軸方向注入トーチ12は、好ましくは、スラリー霧化のための改変された注入機と、ナノ粒子スラリー供給器とを備えたカナダ、ノースバンクーバーのノースウェストメテック社(Northwest Mettech Corp.)製のAxialIII(登録商標)プラズマトーチである。軸方向注入は、後でより詳細に説明するように、スラリーが粒子供給管22によって、収束ブランク90を通って3つの収束プラズマジェット48の中央に供給され、霧化され、その後、超音波ノズル50から放出される前にすべての粒子が完全に収束領域47においてプラズマ火炎中に取り込まれるようにするものである。その結果、コーティングプロセスは、「放射状注入」プラズマトーチに比べて、注入位置、角度および粘度による影響を受けにくい。このことが、スラリープラズマスプレープロセスを単純化している。複合液体とプラズマの相互作用のために、適切な調整されたスラリー/霧化ガス比、およびアトマイザ構成が、安定なプラズマのためには重要であり、さもなければ、プラズマ火炎が変形し、脈動(pulsation)や目詰まりなどの注入の問題が生じるだけでなく、コーティングミクロ構造物が不均一になる。AxialIII(登録商標)トーチ12は、霧化されたスラリー供給材料を噴霧方向において軸方向にプラズマの中央芯に注入し、細かい粒子または液滴によってプラズマを径方向に貫通させようと試みた場合に生じる問題を克服する。
【0018】
ナノ粒子スラリー供給器14は、スラリー状のナノスケールおよび微細なミクロン粉末をプラズマプルームに送達するために用いられる。これは、スラリーと霧化ガスの両方の質量流量制御を用いて、スラリー混合物を正確に送達し、注入器における均一な霧化を行う。スラリーは好ましくは、粒径が5μm未満の微細粉末スラリー懸濁液である。前駆体は好ましくは水またはアルコールに塩を溶かした溶液である。溶液の送達は、質量流量コンピュータ制御を用いて、軸方向注入トーチ12に向けて行う。好ましくは、懸濁液を軸方向注入トーチ内で霧化する。さらに、ドラバル(de Laval)中細ノズルを用いて、超音速流を発生させる。このようにして、ガス流(H2)に対しては非常に不透性でありながら、固体酸化物燃料電池(SOFC)用途または酸素輸送膜(OTM)用途に対する酸素伝導性を与えうる高密度酸化物セラミックス皮膜を製造することができる。
【0019】
コーティング仕様を満たすためには、噴霧中の粒子速度を増大させることで、そのコーティングが要求される仕様を満たすことが見いだされている。粒子速度を大きくすることを探る中で、粉末の粒子速度はノズル内の音の障壁によって制限されていることがわかった。プラズマガスは、音速を超えることはできなかった。この障壁を破るために、プラズマガス流に対して、ドラバルの原理に基づく中細ノズルを設計した。
【0020】
ドラバルノズルは、中細ノズル、CDノズルまたはコンディ(condi)ノズルとも呼ばれ、中間で狭められて砂時計の形状をなすチューブである。このようなノズルは、通過するガス流を超音速に加速する手段として用いられる。このような超音速ノズルの例が、米国特許第5,782,414号に開示されている。このようなノズルの動作は、亜音速および超音速で流れるガスの種々の特性に依存する。
【0021】
適切な中細ノズル50の例を、図2〜5に示す。ノズル50の本体51は、収束されたプラズマ流が流入する入口52を有した中心路54を有し、該中心路54は、スロート56における最狭点に向かって内側に先細になり、出口50に向かって領域58において発散する。中心路54,58の幾何学的形状は、ドラバルノズルの要件を満たし、ガス流の組成、温度および圧力、ならびにプラズマの流れの体積に応じて変化しうる。形状の範囲は、所与のパラメータ組に対して望ましいドラバル効果を与えるものであればよい。図4は、第1のパラメータ組に適した第1の形状を示し、図5は、第2のパラメータ組に適した第2の形状を示す。
【0022】
ノズル50を構築、受容、および試験した後、プラズマガスが音の障壁を越えたことが分かった。このことは、以前には存在しなかったプラズマガス流中の音波衝撃ディスク(sonic shock discs)の出現によって確認された。ナノ粉末をノズルを通して噴霧したところ、粒子速度が増加した。たとえば、超音速ノズルを使用しない場合に350m/秒であった粒子速度が、470m/秒にまで増加し、500m/秒までの粒子速度を得ることができる。しかしながら、本発明の方法は、亜音速粒子速度においても有用である。
【0023】
図6は、軸方向注入トーチ12の収束ブランク90を示す。収束ブランク90は、プラズマ供給源のための3つの収束路92と、液体供給物のための中央軸方向路91とを有する。収束領域は、図6Aにより詳細に示されている。チューブ102上には、それを収束ブランク内で中心合わせするための中心合わせタブ93が設けられる。軸方向注入トーチ内の液体供給材料は、3つのプラズマ路92の中心に軸方向に注入される。注入器の大きさは、プラズマ路間の寸法に限定される。スラリーの注入の様式は、目詰まりを防止するために重要である。注入器における目詰まりは、液体供給材料を噴霧して溶射皮膜を製造するために、回避する必要がある。標準的な収束では、十分な冷却を与えないかもしれず、また注入点における目詰まりを引き起こすかもしれない。注入器における目詰まりを最小限に抑えるために、多数の注入器設計を用いてもよい。設計の選択は、噴霧される粉末の種類や、行おうとしているコーティングの種類に依存する。注入器の設計は、溶射コーティングの特性に影響するであろう液滴の大きさに影響するかもしれない。
【0024】
注入器は、図7〜12に示すような二流体注入器、または図13〜16に示すような冷却を増加させ、霧化を行わない液体注入器であってよい。図7〜11の実施形態は、外側の液体用チューブ100と、霧化ガス用のチューブ102とを有する。たとえば、内側のチューブ102は、直径が約0.32cm(1/8インチ)であってよく、外側のチューブ100は直径が約0.48cm(3/16インチ)であってよい。チューブは、104,106において注入器103に重ね溶接され、注入器は、収束ブランク中にろう付けされる。ガス流の速度を上げるため、ガスは中細部分108,110を通過する。
【0025】
液体は、ガスが発散し始めてから、穴112を通して放射状に流入し、ガスによって剪断される。
図12は、収束ブランク90における二流体注入器の第2の様式を示す。注入器は、内側の液体用チューブ102と、外側のガス用チューブ100とを有するチューブインチューブ注入器である。液体チューブ102は、図6Aに示されるように中心合わせタブ93によってブランク90の穴120内に中心合わせされる。液体チューブ102の端部は、収束ブランク90の前部114と面一であり、チューブ100の端部は、ブランク90の内面に当接し、その点において、チューブ100の内部におけるガスがチューブ102の内部と連通し、液体スラリーを霧化する。好ましい実施形態において、外側ガスチューブ100の断面積は、約0.0259平方センチメートル(0.00402平方インチ)であり、内側の液体チューブ102の断面積は、約0.0153平方センチメートル(0.00238平方インチ)〜約0.020平方センチメートル(0.0031平方インチ)である。したがって、ガスに対する液体の断面流面積の好ましい比率は、約1/2〜3/4であるが、1/3〜1/1の範囲であってもよい。
【0026】
冷却を増加させ、霧化を行わない液体注入器を図13〜16に示す。この場合、霧化ガスなしの液体注入が存在する。液体注入チューブ130は、液体を輸送し、その端部は、収束ブランク134の面132と面一になっている。液体供給チューブ130に沿った水冷を増加させることにより、目詰まりを防いでいる。収束ブランク134を介した熱伝達を向上させるために、注入チューブ130は、収束ブランク134内にろう付けされてもよい。
【実施例】
【0027】
超音速を用いて噴霧したYSZ皮膜の密度を、通常の約0.95cm(3/8インチ)ノズルを用いた場合と比較するための構成を作成した。ハードウェアパラメータは、以下の通りであった。標的基材として、サンドブラスト処理した試片を50mm,100mm、ならびに75mmの位置に配置した。冷却ガスには圧縮空気を用いた。アトマイザには内側のチューブ上に液体を有する約0.16cm(1/16インチ)チューブインチューブを使用した。スラリー供給器は、約0.16cm(1/16インチ)供給ラインを使用した。トーチラスター速度は1000mm/秒とし、ラスター間の距離は4mmとした。液体供給速度は、1.2kg/時間であった。プラズマパラメータは、使用したノズルによって変え、以下のようにした。それぞれの場合におけるガスのバランスは、アルゴンとした。
【0028】
【表1】

噴霧の実施は、通常および超音速ノズルの両方を用いて行い、YSZ前駆体およびスラリーで30または40パス行った。超音速ノズルによってYSZ前駆体を噴霧する間、超音速ノズル中の圧力増加のために、噴霧速度は、0.7kg/時間に低下した。使用した超音速ノズルのサイズは、1分あたり300リットルであった。結果からは、超音速ノズルをYSZ前駆体またはYSZスラリーとともに使用した場合に、最も密度の高いコーティングが得られることが分かった。
【0029】
多数の例示的態様および実施形態を上記で開示したが、当業者であれば、それらのいくらかの改変、置換、追加、およびサブコンビネーションを認識することであろう。したがって、本発明は、その真の趣旨および範囲内の、すべてのそのような改変、置換、追加およびサブコンビネーションを包含すると解釈されるように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給材料から基材上に皮膜を製造するための溶射装置であって、
i)トーチ内の収束領域において収束する複数のプラズマ流からプラズマスプレーを発生させる軸方向注入溶射トーチと、
ii)前記収束領域における複数のプラズマ流中への軸方向注入のために、液体供給材料の制御された流れを前記軸方向注入溶射トーチに送達する液体供給材料送達手段とを含み、
iii)前記トーチは、前記収束領域の下流に、前記プラズマスプレーを通しかつ放出する中細ノズルを含むことを特徴とする溶射装置。
【請求項2】
前記溶射トーチには、前記複数のプラズマ流中への注入に先だって、前記液体供給材料を霧化するアトマイザが設けられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アトマイザは、同心上にある内側液体流および外側霧化ガス流を有する二流体流注入器からなる霧化注入器からなることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記液体供給材料は、懸濁されたナノ粉末の液体スラリーまたは液体前駆体であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記液体供給材料送達手段は、電子制御装置と、質量流量計とからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記中細ノズルは、超音速ノズルからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記中細ノズルは、亜音速ノズルからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記液体供給材料送達手段は、
i)圧力調節手段を備えた液体リザーバと、
ii)液体供給材料の流れを測定する流量計測手段と、
iii)液体リザーバへの外圧によって液体供給材料を制御するフィードバック制御ループ手段と、
iv)浄化サイクルを提供する手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記液体供給材料送達手段は、
i)ポンプに接続された液体リザーバと、
ii)液体供給材料の流れを測定する流量計測手段と、
iii)ポンプ速度によって液体供給流を制御するフィードバック制御ループ手段と、
iv)浄化サイクルを提供する手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
液体供給材料から基材上に皮膜を製造する方法であって、
i)a)トーチ内の収束領域において収束する複数のプラズマ流からプラズマスプレーを発生させる軸方向注入溶射トーチであって、前記収束領域の下流に、プラズマスプレーを通しかつ放出する中細ノズルを含む軸方向注入溶射トーチと、b)前記収束領域における前記複数のプラズマ流中への軸方向注入のために、前記軸方向注入溶射トーチへの液体供給材料の制御された流れを送達する液体供給材料送達手段とを提供する工程と、
ii)液体供給材料の制御された流れを軸方向注入溶射トーチに送達することにより、前記中細ノズルを通して前記基材上に放出されるコーティング粒子のプラズマスプレーを発生させる工程とを含む方法。
【請求項11】
前記トーチには、前記収束領域における前記複数のプラズマ流中への注入に先立って、液体供給材料を霧化するアトマイザが設けられることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体供給材料は、懸濁されたナノ粉末の液体スラリーまたは液体前駆体であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記液体供給材料送達手段は、電子制御装置と、質量流量計とからなることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
液体供給材料から基材上に皮膜を製造するための溶射装置であって、
i)トーチ内の収束領域において収束する複数のプラズマ流からプラズマスプレーを発生させる軸方向注入溶射トーチと、
ii)液体供給材料の制御された流れを、前記収束領域における前記複数のプラズマ流中への軸方向注入のために、前記軸方向注入溶射トーチに送達する液体供給材料送達手段とを含み、
iii)前記トーチは、前記収束領域における前記複数のプラズマ流中への軸方向注入に先立って、液体供給材料送達を霧化する霧化注入器と、前記収束領域の下流に、前記プラズマスプレーを通しかつ放出する中細ノズルとを含むことを特徴とする装置。
【請求項15】
前記霧化注入器は、同心上にある内側液体流および外側霧化ガス流を有する二流体流注入器からなることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記霧化注入器は、1:3〜1:1の範囲の液体流:霧化ガス流の断面積の比を有することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記液体供給材料送達手段は、
i)圧力調節手段を備えた液体リザーバと、
ii)液体供給材料の流れを測定する流量計測手段と、
iii)液体リザーバへの外圧によって液体供給材料を制御するフィードバック制御ループ手段と、
iv)浄化サイクルを提供する手段とを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記液体供給材料送達手段は、
i)ポンプに接続された液体リザーバと、
ii)液体供給材料の流れを測定する流量計測手段と、
iii)ポンプ速度によって液体供給流を制御するフィードバック制御ループ手段と、
iv)浄化サイクルを提供する手段とを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記中細ノズルは、超音速ノズルからなることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記中細ノズルは、亜音速ノズルからなることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項21】
酸素輸送膜用途のための低いガス透過性を必要とする固体酸化物燃料電池において使用するための、請求項1に記載の装置を用いて製造されたイットリア安定化ジルコニアからなる皮膜。
【請求項22】
酸素輸送膜用途のための低いガス透過性を必要とする固体酸化物燃料電池において使用するための、請求項10に記載の方法にしたがって製造されたイットリア安定化ジルコニアからなる皮膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−524944(P2011−524944A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510794(P2011−510794)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000746
【国際公開番号】WO2009/143626
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(508290079)ノースウエスト メテック コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】NORTHWEST METTECH CORPORATION
【Fターム(参考)】