説明

較正

デバイスを較正する方法。デバイスのビューファインダに被写体を画像化することと、位置検出機構からデバイス位置を、方向検出機構からデバイス方向を得ることと、得られたデバイス位置およびデバイス方向を使用して、ビューファインダにおける被写体の予測位置とビューファインダにおける被写体の位置との差を小さくするように、位置検出機構および方向検出機構のうちの1つ以上を較正することと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明の実施形態は、較正に関する。特に、本発明の実施形態は、デバイス位置検出機構および/またはデバイス方向検出機構を較正する方法、デバイス、およびコンピュータ・プログラムに関する。
【発明の背景】
【0002】
電子デバイスが「コンテクスト」情報を使用することは、ますます一般的になりつつある。この情報は、電子デバイスを現実の世界と関係付ける情報である。そのようなコンテクスト情報の例としては、デバイスの位置、およびデバイスの方向が挙げられる。
【0003】
デバイスの位置は、デバイスに内蔵された位置検出機構によって求めることができ、デバイスの方向は、デバイスに内蔵された方向検出機構によって求めることができる。
【0004】
位置を求めるのに、様々な技術を使用することができる。例えば、基地局三角測量、全地球測位システム(GPS:Global Positioning system)などといった多数の測位技術が存在する。一方、いずれの位置検出技術も、時間的に変化するドリフトまたはノイズに左右されることがある。例えば、磁力計、ジャイロスコープ、加速度計などを用いた三次元コンパスなどといった多数の方向検出技術が存在する。一方、いずれの方向検出技術も、時間的に変化するドリフトまたはノイズに左右されることがある。
【0005】
従って、位置検出機構および/または方向検出機構の精度のばらつきを補償することが望まれると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、デバイスを較正する方法が提供され、本方法は、デバイスのビューファインダにおいて被写体を画像化することと、位置検出機構からデバイス位置を、方向検出機構からデバイス方向を得ることと、得られたデバイス位置およびデバイス方向を使用して、ビューファインダにおける被写体の予測位置とビューファインダにおける被写体の位置との差を小さくするように、位置検出機構および方向検出機構のうちの1つ以上を較正することと、を含む。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、デバイスが提供され、本デバイスは、被写体を画像化するビューファインダと、デバイス位置を提供する位置検出機構と、デバイス方向を提供する方向検出機構と、ビューファインダにおける被写体の予測位置とビューファインダにおける被写体の位置との差を小さくするように、デバイス位置および/またはデバイス方向を制御する較正器と、を含む。
【0008】
本発明のさらなる実施形態によれば、記録媒体が提供され、本記録媒体は、方向検出機構からの出力と、位置検出機構からの出力と、既定の被写体の位置と、既定の被写体の画像のビューファインダ内の位置とを使用して位置検出機構からの出力および/または方向検出機構からの出力を較正するコンピュータ・プログラムを、具現化している。
【0009】
本発明をより深く理解するために、単なる例示として、添付の図面を参照する。
【本発明の実施形態の詳細な説明】
【0010】
図面はデバイス10を較正する方法を示し、本方法は、デバイス10のビューファインダ20に被写体30を画像化することと、位置検出機構22からデバイス位置を、方向検出機構24からデバイス方向を得ることと、得られたデバイス位置およびデバイス方向を使用して、ビューファインダ20における被写体30の予測位置とビューファインダ20における被写体30の位置との差を小さくするように、位置検出機構22および方向検出機構24のうちの1つ以上を較正することと、を含む。
【0011】
図1は、電子デバイス10を概略的に示す。図示した例では、電子デバイスは、携帯型カメラ付き移動セルラ電話であるが、別の実施形態では、電子デバイスが、パーソナル・コンピュータ、パーソナル・デジタル・アシスタント、またはデジタル・カメラなど、カメラ画像を受信する任意の処理デバイスであってもよい。
【0012】
図1では、以下の段落群にてデバイスの動作を説明するのに必要な機能コンポーネントのみを示している。当然のことながら、他の実施においては、別の、および/または追加のコンポーネントを使用してもよい。例えば、図ではプロセッサとメモリとの組み合わせを示しているが、他の実施形態では、ASICを使用してもよい。
【0013】
電子デバイスには、デバイス10の動作を制御するプロセッサ12と、ユーザによるプロセッサの制御を可能にする入力デバイスと、画像を取り込むデジタル・カメラ16と、様々な既定の被写体の位置を保存するリモート・メモリ・ストア2の中のデータベース4と通信するための無線トランシーバ18と、カメラ16のビューファインダとして動作可能なディスプレイ20と、デバイス10の位置を検知してデバイス位置をプロセッサ12へ提供する位置検出機構22と、デバイス10の方向を検知してデバイス方向をプロセッサ12へ提供する方向検出機構24と、コンピュータ・プログラム命令28を保存するメモリ26と、が含まれる。
【0014】
コンピュータ・プログラム命令28は、プロセッサ12へロードされると、プロセッサ12を較正器として動作可能にさせる。較正器は、位置検出機構22および方向検出機構24の出力を適合させる。このことは、それぞれの機構の動作を変化させることによって、あるいはそれぞれの機構からの出力を補償することによって、実現すればよい。
【0015】
コンピュータ・プログラム命令28は、電子デバイスが図3に示す方法を実行可能になるような論理およびルーチンを提供する。
【0016】
コンピュータ・プログラム命令は、電磁搬送波信号を介して電子デバイス10へ到達してもよいし、あるいはコンピュータ・プログラム製品、メモリ・デバイス、またはCD−ROMもしくはDVDなどの記録媒体といった、物理的実体60からコピーされてもよい。
【0017】
この例では、位置検出機構はGPS受信機であり、方向検出機構は3Dコンパスであるが、他の実施形態では、別の位置検出機構および/または方向検出機構を使用してもよい。方向検出機構には、例えば、コンパス方位を提供可能な磁力計、および垂直基準を提供可能な重力計(加速度計、ジャイロスコープなど)を含めるとよい。これらを組み合わせると、三次元方位が提供される。
【0018】
図2は、デバイス10による既定の被写体30の画像化を概略的に示す。被写体30は、その位置aが既にデータベース4に保存されているという意味で既定である。デバイス10のビューファインダ20は、位置検出機構22によって求められる通り、aに位置する。ビューファインダ20の平面は、方向検出機構24によって求めることのできるユニタリ・ベクトルoに直交する。既定の被写体30の画像32は、ビューファインダ20の平面内の位置bにある。ベクトルa、a、oは、三次元ベクトルである。
【0019】
較正を行わない場合、ビューファインダ20における既定の被写体30の画像32の予測位置は、(k(a−a)×o)となる。これは一般に、ビューファインダ20における既定の被写体30の画像32の実際の位置bとは、異なる。ビューファインダにおける既定の被写体30の画像の予測位置と、ビューファインダにおける既定の被写体30の画像の位置との差は、較正によって小さくなる。
【0020】
較正器12は、aおよび/またはoを変更し、それによりb=k(a−a)×oとなるように、言い換えれば、ビューファインダにおける既定の被写体30の画像の予測位置(k(a−a)×o)が、ビューファインダにおける既定の被写体30の画像の実際の位置bと等しくなるようにする。
【0021】
故に、較正器12は、以下を受信する:
a)カメラ16から、既定の被写体30の画像化に用いられるズームに伴って変化するスケーリング定数k
b)トランシーバ18から、トランシーバ18がワイヤレス接続6を介してリモート・データベース4からダウンロードした後の、既定の被写体の実際の位置a
c)位置検出機構22によって提供される、デバイス位置a
d)方向検出機構24によって提供される、デバイスのユニタリ方位ベクトルo
e)既定の被写体30の画像のビューファインダ20内の位置bであって、この位置は、既定の被写体30の画像32を、ビューファインダのディスプレイ20内で一連の画素として識別すること、およびそれらの画素のディスプレイ20の平面における位置を求めることによって、求めることができる。このことは、既定の被写体の画像を含む物理的な目標物を、ビューファインダに示された囲みの中にフレーミングすることによって実現されてもよい。
【0022】
図3にて、あり得る1つの較正プロセスの一例を示す。
【0023】
ステップ50にて、おそらくは入力デバイス14を介したユーザ入力に応えて、プロセスが開始される。較正器12が、既定の被写体30の画像32のビューファインダ20内の位置bを求める。
【0024】
次にステップ52にて、較正器12は、ビューファインダ20における既定の被写体30の画像の予測位置(k(a−a)×o)を計算する。
【0025】
次にステップ54にて、較正器12は、ビューファインダ20内の既定の被写体30の画像の求められた位置bと、ビューファインダ20における既定の被写体30の画像の予測位置(k(a−a)×o)とを比較する。その差が閾値Tを超える場合、プロセスはステップ58へ分岐し、そうでない場合、プロセスはステップ56へ進む。
【0026】
ステップ58にて、較正器12は、ビューファインダ20における既定の被写体30の画像の予測位置を計算するのに用いた値(単数または複数)aおよび/またはoを適合させる。調節の規模は、適切なアルゴリズムを用いて求められればよい。
【0027】
ステップ58の後、プロセスはステップ52へ戻る。
【0028】
ステップ56にて、較正器12は、現行の値aを用いて位置検出機構22を、現行の値oを用いて方向検出機構24を、再較正する。
【0029】
プロセスを単一の被写体30に関連して説明してきたが、本プロセスは、複数の被写体に関して同時に発生してもよく、その場合複数の被写体は、同一の物理的物体の部分、あるいは別々の物理的物体の部分である。物理的物体は、一般に目標物となる。
【0030】
複数の被写体は、例えば、ビルディングまたは記念建造物といった或る物理的物体の一番上、一番下、一番左、一番右の部分などであってもよい。
【0031】
本方法は、デバイス10の複数の方向に関して繰り返してもよい。すなわち、同一の既定の被写体または被写体群が依然としてビューファインダ20によって画像化されているものの、デバイス10の方向が異なっている場合である。
【0032】
本方法は、デバイス10の複数の位置に関して繰り返してもよい。すなわち、同一の既定の被写体または被写体群が依然としてビューファインダによって画像化されているものの、デバイスの位置が異なっている場合である。
【0033】
較正後、被写体30がディスプレイ・ビューファインダ20において画像化されているとき、デバイス10はbを求めることができ、次いで自体の位置検出機構22からaを、自体の方向検出機構24からoを得た後、デバイスはb=k(a−a)×oを用いてaを計算することができる。その結果、デバイス10は、ディスプレイ・ビューファインダ20において画像化された被写体30を、現実の世界の位置aに関連付けることが可能になる。故に、その現実の世界の位置aに関連するデータを、ディスプレイ・ビューファインダ20上の表示位置bにて表示すること、あるいはデータへのリンクを、ディスプレイ・ビューファインダ20上の表示位置bにて表示することができる。
【0034】
本発明の実施形態を、上述の段落群において様々な例に関連して説明してきたが、当然のことながら、請求される本発明の範囲を逸脱することなく、記載された例に対する変更を施すことが可能である。
【0035】
上述の明細書において、本発明の特に重要と考えられる特徴に注意を引きつけるべく努めているが、一方当然のことながら、出願者は、本明細書において言及および/または図面において表示した、あらゆる特許性のある特徴および特徴の組み合わせに関して、それらを特に強調したか否かに関わらず、保護を請求する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】較正プロセスを実行する電子デバイスを概略的に示す図である。
【図2】デバイスによる、既定の被写体30の画像化を概略的に示す図である。
【図3】あり得る1つの較正プロセスの一例を示す図である。
【図4】コンピュータ・プログラム命令を具現化している物理的実体を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを較正する方法であって、前記方法は、
デバイスのビューファインダにおいて被写体を画像化することと、
位置検出機構からデバイス位置を、方向検出機構からデバイス方向を得ることと、
前記ビューファインダにおける前記被写体の予測位置と前記ビューファインダにおける前記被写体の位置との差が小さくなるように前記位置検出機構および前記方向検出機構のうちの1つ以上を較正するべく、前記得られたデバイス位置およびデバイス方向を使用することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記位置検出機構および前記方向検出機構のうちの1つ以上を較正することが、前記ビューファインダにおける前記被写体の前記予測位置と、前記ビューファインダにおける前記被写体の前記位置との前記差を最小化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デバイス位置と前記デバイス方向とを使用して、前記ビューファインダ内の前記被写体の予測位置を計算することと、
前記較正ステップの一部として、前記予測位置と求められた位置とを比較することと、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビューファインダ内の前記被写体の前記予測位置を計算する前記ステップが、さらに、前記被写体の位置およびスケーリング率を使用する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記被写体の前記位置が遠隔記憶装置からダウンロードされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記スケーリング率を、前記ビューファインダによって使用されるズーム率に伴って変化させることをさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記被写体が、物理的物体の部分である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
デバイスのビューファインダにおいて複数の被写体を画像化することと、
位置検出機構からデバイス位置を、方向検出機構からデバイス方向を得ることと、
前記複数の被写体の各々に関して、前記ビューファインダにおける前記被写体の予測位置と前記ビューファインダにおける前記被写体の位置との差が小さくなるように前記位置検出機構および前記方向検出機構のうちの1つ以上を較正するべく、前記得られたデバイス位置およびデバイス方向を使用することと、
を含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記複数の被写体が、同一の物理的物体の部分である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも前記デバイスの別の方向を使用して、前記同一の被写体に関して繰り返される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
少なくとも前記デバイスの別の位置を使用して、前記同一の被写体に関して繰り返される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記被写体を含む物理的目標物を、前記ビューファインダに示された囲みの中にフレーミングすることをさらに含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記ビューファインダがディスプレイである、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記方向検出機構および前記位置検出機構が、前記デバイスの中にある、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記位置検出機構が、GPS受信機である、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記方向検出機構が、3Dコンパスおよび重力計を含む、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
被写体を画像化するビューファインダと、
デバイス位置を提供する位置検出機構と、
デバイス方向を提供する方向検出機構と、
前記ビューファインダにおける前記被写体の予測位置と前記ビューファインダにおける前記被写体の位置との差が小さくなるように、前記デバイス位置および/または前記デバイス方向を制御する較正器と、
を含む、デバイス。
【請求項18】
前記較正器が、前記デバイス位置および前記デバイス方向を使用して、前記ビューファインダ内の前記被写体の予測位置を計算し、前記予測位置と求められた位置とを比較する、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記デバイスは、前記被写体の位置を遠隔記憶装置からダウンロードするようになっており、前記ビューファインダ内の前記被写体の前記予測位置を計算することが、さらに、前記被写体の前記ダウンロードされた位置を使用する、請求項17または18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記ビューファインダの中の前記画像の一部分にズームインする前記ビューファインダに関連のズーム機能をさらに含み、現行のズーム率の表示が前記較正器へ提供される、請求項17から19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記較正器が、前記ビューファインダに画像化された複数の被写体の各々に関して、前記ビューファインダ内の被写体の予測位置を計算し、前記ビューファインダに画像化された複数の被写体の各々に関して、予測位置と位置との差が小さくなるように前記デバイス位置および/またはデバイス方向を調整する、請求項17から20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記ビューファインダがディスプレイである、請求項17から21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記位置検出機構がGPS受信機である、請求項17から22のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記方向検出機構が3Dコンパスである、請求項17から20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項25】
位置検出機構からの出力および/または方向検出機構からの出力を較正するべく、前記方向検出機構からの出力と、前記位置検出機構からの出力と、既定の被写体の位置と、ビューファインダ内の前記既定の被写体の画像の位置とを使用するコンピュータ・プログラムを具現化している、記録媒体。
【請求項26】
前記コンピュータ・プログラムが、ビューファインダにおける前記既定の被写体の画像の予測位置と前記ビューファインダにおける前記既定の被写体の前記画像の位置との差を小さくするために、前記位置検出機構からの前記出力および/または前記方向検出機構からの前記出力を適合させるように動作可能である、請求項25に記載の記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−535878(P2009−535878A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507184(P2009−507184)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001620
【国際公開番号】WO2007/125377
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】