説明

輸送体の衝撃吸収軽量ボディー構造

【課題】クラッシャブルゾーンの少ない小型移動体、二輪車などクラッシャブルゾーンの無いに等しい移動体の衝突安全あるいは横転安全機構も実現する。
【解決手段】ガスを加圧して封入したバッグにより、衝突面となる移動体面の一部を形成し、衝突時には、このバッグ状衝撃吸収体に衝突体が当ることにより、その体積が縮められる時に、その内圧のあがったガスを、当該吸収体の衝撃面と異なった側に設けられたガス弁を開口して、ガス流出時に流体抵抗のある中、ガスを大気に開放するか、あるいは、連結されているエアーバッグにガス弁を介して、急激にガスを流入し、外部では衝撃を吸収し、同時に内部やフロントガラス外面やボンネット上部にエアーバッグを展開し、搭乗者やぶつかってきた人などの物体への衝撃を和らげることを可能とする。逆にこのバッグを静止物体に設置して、移動体の衝突の衝撃を緩和する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体の衝撃吸収かつ軽量な輸送体構造体およびその形成と稼働制御およびその針差しなどのいたずら防止および省エネルギーでの構造体維持に関する。また逆に静止している物体に移動体が衝突する際の静止側の衝撃吸収構造にも関する。
【背景技術】
【0002】
高速で空間を移動する車などの輸送体や移動体(以下、移動体と記述)は、何か物体とぶつかるとその衝撃も大きく、移動体本体や搭乗者のみならず、ぶつかった当該物体も大きなダメージを受ける。この衝撃をできるだけ軽減し、搭乗者などの安全をはかるために今まで色々な技術が考案されてきた。また最近自動車では、人身事故の場合、衝突で人がボンネットに跳ね上げられる時、その衝撃吸収機構の取り付けを法規制する動きもある。
これに対して、自動車分野では、車両前後に展開自在なエアーバッグを設け、衝突危険度をセンサーで感知し、ある規定値以上になったら、このバンパー内に設置されているエアーバッグを展開して、衝撃を吸収しようとするものがある(例えば特許文献1)。またその収納スペースの共有化を図ったものもある(例えば特許文献2)。また歩行者検知手段が歩行者等との衝突を検出または予測すると膨張して車体前部のバンパー上部からボンネットフードまでの範囲を、あるいは、車幅方向全域の所望範囲を覆うように展開するエアーバッグを展開するものもある。これらに関する、いわゆるボンネットフードエアバッグといわれるものの考案は数多くある(例えば特許文献3,4)。
【0003】
また走行中に回避できない衝突を衝突直前に検知し、車体を守るエアーバッグを展開するものもあり(例えば特許文献5)、また車体の前方に沢山の空気枕のようなクッションを出現させ、衝撃を軽減させようとするものもあり(例えば特許文献6)、同様に、車体前部のバンパー内にエアークッションを収縮した状態で収納し、衝突直前に車体前部でこのエアークッションを大きく膨らませるものもある(例えば特許文献7)。
【0004】
またこのようなエアーバッグの展開によらず、高速走行時には、ボンネットを前方に移動させ、ボンネットの下側の衝撃吸収空間を拡大する構造にしたものもある(例えば特許文献8)。また、衝撃時にボンネットフード後端を上げ、同時にその後ろの窓ガラスとの間に小さくエアーバッグを展開するものがある(例えば特許文献9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−144154号公報
【特許文献2】特開平11−91503号公報
【特許文献3】特開2000−168473号公報
【特許文献4】特開2001−63499号公報
【特許文献5】特開2001−58552号公報
【特許文献6】特開平10−181521号公報
【特許文献7】特開2000−108824号公報
【特許文献8】特開平10−218024号公報
【特許文献9】特開2000−79859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
輸送体特に自動車や自動二・三輪車など、高速で移動するものの安全性の確保はいつの時代も重要な課題である。最近自動車では、人身事故の場合、衝突で人がボンネットに跳ね上げられることがよくあり、その場合の衝突安全機構の取り付けを法規制する動きがあるなど、その安全機構の開発が望まれている。また、エコ時代となり、小型自動車が増える中で、クラッシャブルゾーンの少ない小型自動車の衝突安全機構を考える上で、高度な安全性を確保した構造をコンパクトかつ軽量に作ることも、社会の重要な課題である。特に軽量化は移動体の運動性の改善のみならず、エコロジーにもつながり、燃費の改善にも貢献する。また、二輪車など、クラッシャブルゾーンの無いに等しい車両の衝突安全あるいは横転安全機構の開発も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明を実施する最良の手段の第1は、移動体に結合した密封袋体(以下、バッグ)において、内部にガスを一気圧以上充満し、移動体に固定され、少なくともその一部が移動体の衝撃を受ける面に配置された袋体において、当該袋体が一つ以上のガスの排出口とその排出口の封止機構を持ち、当該袋体の一部あるは全部に衝撃力を受けた際、当該封止機構が開放され、袋体の体積縮小と、同時に起こる、当該ガス排出口からの内部ガスの流動抵抗を持った流出により、衝撃力の力積の時間項を長くして衝撃力を低下させ衝撃を和らげる袋体(以下バッグ状衝撃吸収体と記述)およびその集合体としての装置および構造および本装置を装着した移動体を形成することである。
【0008】
第2の手段としては、上記のバッグ状衝撃吸収体が衝撃時に一気に流出するバッグ状衝撃吸収体からの流出ガスを、さらに当該袋体の排出口に管構造で密封的に連結された格納エアーバッグに誘導し、衝撃時に自動的に当該エアーバッグが、流入してきたガスで膨らみ展開して、衝突体が移動体にぶつかる時、移動体内部の乗員や外部の衝撃体をエアーバッグの表面で受け、衝撃を和らげるようになっていることを特徴とするバッグ状衝撃吸収体装置および構造および本装置を装着した移動体を形成することである。
【0009】
第3の手段としては、衝撃時に上記のバッグ状衝撃吸収体のガス流出口を開口する際、衝突時のバッグ状衝撃吸収体の被衝撃面の移動と連動して動く矢状装置の先端刃で弁となっている膜を裂開する、または、当該吸収体の被衝撃面の移動と連動して弁が当該吸収体の前後面の間に渡されているワイヤーやロッドで締め付けられていたポジションから緩むことで弁を開放する、または、衝撃加速度で押し出される重力体そのものが矢状刃になって弁となっている膜を裂開する、または、衝撃検知センサーや衝突予測システムにより、弁となっている電磁弁や回転弁などの制御弁を開口するまたは、弁となっている膜を火薬の点火で破ることを特徴とする装置および構造を形成することである。
【0010】
第4の手段としては、上記において衝撃物の衝突予測位置をビデオカメラと画像処理、あるいはラインセンサーやレーダーなどの位置検出器あるいは複数配置されたバッグ内圧力計での時間変化から検出し、移動体の移動速度や加速度の変化から衝撃の大きさを評価し、その程度に応じて、位置依存的に、バッグ内ガス流出弁の開閉を、時間およびタイミングおよびその開度を変えて行う装置およびシステムを形成することである。
【0011】
第5の手段としては、上記バッグ状衝撃吸収体の素材として、金属細線、ガラス繊維、化学繊維あるいはその繊維を2軸以上の織物として芯材としゴムや高分子素材で繊維間を充填したもの、あるいはそれらの芯材を金属薄板やシートまたは膜などのガスを通さないでかつ可動な材料と接着や熔着させて構成されたものであることを特徴とする装置および構造とする事である。
第6の手段としては、上記のバッグ状衝撃吸収体を、繊維を表層に含浸し、ガス注入口およびガス開放弁の配置部および移動体本体との結合部を持った一つのブロー成型体または射出成型または真空成型で多量に形成する製造方法である。
【0012】
第7の手段としては、袋体が左右ないしは前後に二つ以上接して移動体に配置され、衝撃を吸収することを特徴とするバッグ状衝撃吸収体装置および構造および本装置を装着した移動体を形成することである。
【0013】
第8の手段としては、上記袋体が二つ以上移動体に結合される場合、その袋体間でも少なくとも1つ以上のガス流通口があり、必要に応じて当該ガス流通口にガス流通弁があり、衝撃時に、袋体間での流動抵抗をもったガスの流出入でも、衝撃を吸収することを特徴とするバッグ状衝撃吸収体装置および構造および本装置を装着した移動体を形成することである。
【0014】
第9の手段としては、上記の設置されるバッグ状衝撃吸収体の一部あるは全部に、剛性が高く点の衝撃が面として広がる剛性体や剛性構造体を結合あるいはカバーし、衝撃をバッグ状衝撃吸収体に広く伝播させることを特徴とする装置および構造を形成することである。
【0015】
第10の手段としては、移動体に設置されるバッグ状衝撃吸収体が、移動体の外層面、特に窓ガラス以外の衝撃や衝突を受ける外層面を中心とした移動体の形成部材の一部あるいは全部となっていることを特徴とする移動体構造および装置を形成することである。
【0016】
第11の手段としては、バッグ状衝撃吸収体を移動体に結合する際、当該吸収体全体にかかる圧力を受ける受け面がネット状構造、フレーム状構造、格子状や多穴構造および曲面や折り曲げ構造やこれらの組み合わせ構造の軽量耐高負荷面構成として、移動車体の一部として形成していることを特徴とする移動体構造および装置を形成することである。
【0017】
第12の手段としては、上記のバッグ状衝撃吸収体ないし移動体の表層を、さらに、様々な意匠の繊維または繊維状シートまたは膜で覆う事で、移動体の意匠を随時変化できるようにしたものである。
【0018】
第13の手段としては、上記の移動体に設置されたバッグ状衝撃吸収体の加圧や、ブレーキ補助の引圧源として、移動体のサスペンションの上下運動をポンプ内の弁の上下運動として利用し、他のコンプレッサーなどの別エネルギーで稼働させる加圧装置を使わずに、移動体の移動に伴う運動を利用して省エネルギーを実現する加圧源あるいは引圧源とする装置およびシステムを形成することである。
【0019】
第14の手段としては、上記記載のバッグ状衝撃吸収体の針刺しなどの穴あけいたずらを防ぐために、バッグ内面に発泡ゴムを添付し、穴からのガスの遺漏を防ぐと同時にバッグ膜面の共振を押えるか、あるいは、バッグ内面にコートした導電性表層の導電性や電気容量の変化からいたずらを検出しアラームなどの警報作動を行う装置およびシステムを形成することである。
【0020】
第15の手段としては、上記記載のバッグ状衝撃吸収体を移動体側ではなく、静止している物体に設置し、移動体が当該静止物体に衝突する際に、その衝撃を吸収する構造、装置およびシステムを形成することである。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、移動体は安全な外面構造を軽量に形成することができ、また、万が一、移動体に対し衝撃が加わった場合や衝突が起こった場合、搭乗者への衝撃が、衝撃力の力積のうちの時間項を長くすることで、衝撃の瞬間の大きな衝撃インパクトを緩和し、衝撃力のピークを小さくできる。その結果、低速での衝突によって怪我をする歩行者のような弱者もその衝撃そのものが緩和され、さらに仮に跳ね上げられても、人体や物体が移動体ボディーにぶつかる衝撃も吸収し、かつ当該吸収体への衝撃による該吸収体内のガスの流出で受動的に外面にも展開し連結したエアーバッグを設置することでも緩和でき、衝撃を受ける移動体本体のダメージも小さくできる。歩行者や搭乗者そして移動体の安全も同時に確保できた多面的な安全装置と構造を持った移動体を形成出来る。
【0022】
また、衝撃をバッグ状衝撃吸収体が吸収するので、移動体そのものの衝撃吸収のための強化や複雑な衝撃吸収ゾーンの設計を簡素化でき、移動体あるいは車体も軽くできる。車内の乗員を保護する為のキャビンを構成するフレームなどの剛性確保も、車体そのものにかかる衝撃が小さくなるために、従来よりも軽く形成できるので、軽量化に貢献し、ひいては、燃費やエコロジーにも、また車体の運動特性の向上にも貢献する。また、エアバッグの機構も衝撃吸収装置と一体化できコスト低減でき、かつエアバッグは再使用可能となり、バッグ状衝撃吸収体を結合するフレームもわずかな面形成で移動体が形成でき、この面からもコスト低減、また衝撃をバッグ状衝撃吸収体そのものが吸収し、その形状はガスの封入で復元するので、衝突後の移動体、自動車では車体のダメージも小さく修復が容易となる。
【0023】
さらに、バッグ状衝撃吸収体を低コストで簡易に形成でき、さらに表層を着せ替え人形の様に、嗜好に応じて表層のみを変えることもでき、さらに従来の表層が金属板でできている移動体の表面に形成して、その安全性を高めることもでき、また衝撃吸収は瞬時の作動であるが、その作動をより効果的な作動にすることも可能となる。バッグはガスを内包した薄い構造体であるので、カバーが無い場合は、針差しの様ないたずらからも守ることができる。さらに、バッグ内のガス圧を調節するために、電動ポンプなどの新たな動力を使うのではなく、走行中に必然的に起こる、例えばサスペンションの上下動などを使ったポンプによるガス注入、ガス吸引を利用して省エネルギー化に貢献することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】移動体前面衝突時の本発明による衝撃吸収およびそれに連動したエアーバッグ起動の方法とシステム
【図2】移動体側面衝突時の本発明による衝撃吸収およびそれに連動したエアーバッグ起動の方法とシステム
【図3】移動体後部衝突時の本発明による衝撃吸収およびそれに連動したエアーバッグ起動の方法とシステム
【図4】2輪などの移動体前面衝突時の本発明による衝撃吸収およびそれに連動したエアーバッグ起動の方法とシステム
【図5】2輪などの移動体横転時の本発明による乗員保護およびその為のエアーバッグ起動の方法とシステム
【図6】隔離膜刺裂による加圧ガス開放用弁の形成と開放例
【図7】加速度移動刺入駒による加圧ガス開放用弁の形成と開放例
【図8】加速度センサー起動電磁弁による加圧ガス開放用弁の形成と開放例
【図9】図8の実験での水平加重センサーの信号強度の時間経過(Aは本特許の吸収体を持たない普通の鉄板シャシーで時速40km/hで壁に衝突した場合、Bはボディーに20cm厚みの空気3気圧充填本発明バッグ状衝撃吸収体を前面に置いた場合)
【図10】衝撃吸収体を車体などに保持する方法の一例
【図11】車体フレームなどのフレームに衝撃吸収体を保持する方法と加圧衝撃吸収体内に網状構造を結合して表面のふくらみ形状に線を設置したり、ふくらみ範囲を設定する方法の例
【図12】図11で述べた衝撃吸収体内部に網状構造やユニット構造を配置することにより、衝撃吸収部の車体表面に線状の起伏が出た様子。(Aはまっすぐに配置した1例、Bはハニカム状に設置した例)
【図13】衝撃吸収体の表層をさらに充填材料と表皮などで覆うことで、自由な外表面を成形する手法の例
【図14】衝撃吸収体に加わる衝撃をバンパーなどの構造体でまず受けて、その衝撃を本発明の衝撃吸収体で吸収する例およびそのバンパーなどの構造体の設置法の例
【図15】タイヤ様素材を表層素材としてバッグ状衝撃吸収体を形成し、タイヤ様端面保持部を持ち、図13および図14のような構造体を形成した例
【図16】3方電磁弁によるエアーバッグ展開後のバッグ状衝撃吸収体からの流入ガスの解放例
【図17】エアーバッグ展開後のエアーバッグ展開最末端部に設けた小孔によるバッグ状衝撃吸収体からの流入ガスの解放例である。
【図18】車体下面への巻き込み防止にエアーバッグを利用した一例
【図19】シートの金型加熱曲面加工と端面熔着で形成したバッグ状衝撃吸収体
【図20】内層をブチルゴムなどの弾性体で形成し、外形に押し付ける形で2層形成したバッグ状衝撃吸収体
【図21】バッグ状衝撃吸収体のブロー成型法の一例
【図22】バッグ状衝撃吸収体の端面固定方法の一例
【図23】テンション膜を裏打ちに使用したバッグ状衝撃吸収体の面保持方法の一例
【図24】バック状衝撃吸収体の外面ないしは車体一部を好きな柄の立体成型した繊維やフィルムで覆い、車体の着せ替えを実現した一例
【図25】バッグ状衝撃吸収体の外面を立体成型したシート状繊維やフィルムで覆い取り付け、車体の着せ替えを実現する方法の一例
【図26】従来の自動車などの車体に衝撃吸収体を設置する方法の一例
【図27】空気胞を並べたシートの積層により衝撃吸収する方法
【図28】バッグ状衝撃吸収体への衝撃とその受け方そして衝撃時のガス弁の制御例
【図29】圧力の位置変化を検出してバッグ状衝撃吸収体ガス開放弁を制御するシステム例
【図30】バッグ状衝撃吸収体ガス開放弁と開放時の加圧システムの例
【図31】バッグ状衝撃吸収体ガス開放弁と制御システムの例
【図32】膜の破壊ないしそれに火薬を使ったバッグ状衝撃吸収体ガス開放弁の開放例
【図33】バッグ状衝撃吸収体の内圧調整システムの一例
【図34】カメラを利用した衝突物体の検知とそれに連動したガス開放弁駆動制御システムとその駆動例
【図35】位置センサーまたは近接センサーを利用したガス開放弁駆動制御システムとその駆動例
【図36】バッグ内圧力センサーの位置による変化を利用したガス開放弁駆動制御システムとその駆動例
【図37】バッグ状衝撃吸収体の針刺しいたずらとそれに対するガスリーク防止例
【図38】バッグ状衝撃吸収体の針刺しいたずらとそれに対するガスリーク防止例
【図39】サスペンション往復運動を利用したピストンによるバッグ内圧力制御システム
【図40】サスペンション往復運動を利用したピストンとガス蓄圧機を利用したバッグ内圧力制御システム
【図41】サスペンション往復運動を利用したピストンとガス蓄圧機を利用したブレーキブースターの引圧供給とバッグ内圧力制御システム
【図42】近接センサー、内部圧力センサー、加速度センサー、ブレーキペダル、アクセルペダルを統合的に検知し、バック状衝撃吸収体のガス開放弁を開放するシステム例
【図43】バッグ状衝撃吸収体内に多くの隔壁とガス流通口を設け、集中的な衝撃でもバッグ全体の形状を維持しながら衝撃吸収する事ができるようにした一例
【図44】ボール状衝撃吸収体の集積で、バッグ状衝撃吸収体を形成した一例
【図45】連結型のボール状衝撃吸収体の集積で、バッグ状衝撃吸収体を形成した一例
【図46】衝撃を受けた部位のボールが加圧され破裂する様に設計されたボールを前、中央、後部に、それぞれサイズを変えて多数配置し、それぞれ機能分担させたバッグ状衝撃吸収体の一例
【図47】プラスティックなどの成形の際、外面に繊維などの補強物を金型外面に金型に沿って配置したり、成型品を自動車などに固定する固定部品を成形時に装着する方法の一例
【図48】含浸性のエラストマーやプラスティック溶解液を成形型に沿って配置した繊維などの成形体に含浸させて成形物を形成する一例
【図49】真空成形法によりバッグ状衝撃吸収体を形成する一例
【図50】ガス放出の際の粘性抵抗をガス放出開口部の形状でできるだけ均等にするため、バッグ状衝撃吸収体の形状と相似にして均等化を図った一例
【図51】電磁弁を用いて、衝撃吸収時のガス開放弁を形成した一例
【図52】衝撃吸収時のガス放出口の大きさを制御して、衝撃吸収の最適化を図る為の装置の一例
【図53】ガス開放口の中に、スリットや網状のものを設けてガス放出時の粘性抵抗を開放口中央でも相対的に増加できるようにした一例
【図54】衝撃吸収時のガス開放をより簡素かつ軽量にした一例
【図55】ボンネット上の衝撃吸収に本発明を応用した一例
【図56】ボンネット上の衝撃吸収に本発明を応用した一例で、特にガスシール法とフロントガラスエアバッグ展開法の一例
【図57】衝撃吸収を多段のバッグ状衝撃吸収体で行うようにした一つの例
【図58】衝撃吸収を多段のバッグ状衝撃吸収体で行うようにしたもう一つの例
【図59】衝撃吸収を多段のバッグ状衝撃吸収体で行うようにしたもう一つの例
【図60】衝撃吸収を左右と多段のバッグ状衝撃吸収体で行うようにした一つの例
【図61】ハンドル内装着エアバッグへの開放ガス送達法の一例
【図62】ハンドル内装着エアバッグへの開放ガス送達法のもう一つの例
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、この様な課題に対し、従来の多くは、金属製の移動体構造の上にエアーバッグを衝突時に展開する考案が圧倒的に多いが、本発明では、移動体構造のあり方そのものを変え、エアーバッグのような構造を逆にして、バッグ状衝撃吸収体を先に膨らませて移動体の衝突表面を覆う構造体としている所が最大の特徴であり、これにより衝突面としての可能性のある移動体面、自動車では車体面の一部を形成し、衝突時には、このバッグ状衝撃吸収体でもある自動車表面構造体に衝突体が当ることにより、その体積が縮められる時に、その内圧を開放し、衝撃力の力積のうちの時間を長くすることで衝撃力を小さくし、衝撃を緩和することを目的とし、バッグ状衝撃吸収体に衝突体が当る時、内圧の上がったガスを、当該吸収体の衝撃面のできれば反対側に設けられたガス弁を開口して、ガス流出時に流体抵抗のある中、ガスを大気に開放するか、あるいは、連結されているエアーバッグに急激にガスを流入し、外部では衝撃を吸収し、それを利用してフロントガラス内部や側面ガラス内部、あるいはフロントガラス外面やボンネット上部にエアーバッグを展開し、搭乗者やぶつかってきた人などの物体への衝撃を和らげることも可能とした。また、当該衝撃吸収体の内圧を、移動体のスピードに応じて、速い時はより高く、遅い時は、一定値からより低く、あるいは場合によっては、その逆にすることで衝撃吸収を最適化させることもできる。
【0026】
この発明をさらに効果的なものにするため、衝突時には、このバッグ状衝撃吸収体に衝突体が当る時、移動体の下部に巻き込まれない様、移動体下部にも衝突時にエアーバッグが展開するようにし、このバッグ状衝撃吸収体の形成も量産化が可能なように簡便に低コストで製作するためブロー成型や高精度なインジェクション成型により、バッグ状衝撃吸収体である自動車の表面構造を大量生産可能とし、かつインサート技術などにより、取り付け部を内包させ、バッグの簡便な取り付け方法を考案した。この自動車用表面構造は、万が一衝突があっても、あるいは軽い衝突があって作動しても、その後、弁を閉め、ガスを注入することで、容易に元の形に復元もできる。さらに柔らかな表層であることを利用して、その上に嗜好に合ったカバーで覆うことで、今までは塗装でしかできなかった移動体表面が好みの柄や色、あるいはその上に記載した社名やメッセージなどに、簡単に変換できるようにもなり、さらに簡便にバッグではなく内部に空胞を沢山包含したり、簡易的に、ガス放出弁のないバッグも移動体外面に形成できるようになる。さらに衝撃時に、加速度変化や内部圧力変化の位置依存性あるいは近接センサーそして、ブレーキやアクセル位置などから、ガス放出弁の最適な開放を制御し、もっとも効果的に衝撃を吸収し、かつ移動体や同乗者にダメージの無い制御が可能となる。さらにバッグは表層が薄く、針差しなどのいたずらの対象となりやすい場合は、その対策も考案し、さらにガス圧を供給する為に、電動ポンプなどさらにエネルギーを使用するのではなく、サスペンションの往復運動の様な移動体の必然的な運動をエネルギー利用して、ガス圧源とすることも考案した。
【実施例】
【0027】
様々な実施例について、移動体の典型的な例として主に車両を念頭に置きながら、図を用い説明する。移動体としては、ボート、船、あるいは飛行機でも、あるいは本発明が形成できる物体であれば何でも良い。また、発明タイトルは移動体としたが、逆に移動体が衝突する受け側の構造体であっても当然良く、衝撃吸収をもたらす新規な構造体すべてに関する。図1は、移動体として自動車の場合、その前面にバッグ状衝撃吸収体を設置した例を示す。バッグ状衝撃吸収体2は多くの場合タイヤを薄くしたような素材あるいは合成高分子含侵繊維などで作られ、衝突面とはならない部位に、当該バッグ状衝撃吸収体にガスを注入するための一つ以上のガス注入弁4を持つ。ここからガスを非可逆に注入して構造体を膨らませ、あるいは、移動体のスピードが高いと、ガス圧蓄積タンクなどからガスを注入して、ガスの圧力を上げ、スピードが落ちると圧力を下げることができるようになっており、衝突時に衝突面がバッグ状衝撃吸収体の後面にすぐに当たらないで、衝突時の衝撃をできるだけ内部のガス体積の変化ひいてはガス圧の変化をもたらす様にバッグ状衝撃吸収体2を形成する。このバッグ状車体表面構造を形成するばあい、内部がガスなので、このバッグ状衝撃吸収体2の表面が、路面からのタイヤ音などの外部ノイズに共鳴しやすい事もある、その場合は、内面にスポンジや高表面積のもの、あるいは高密度の薄い金属フォイルなどを貼り付け、ノイズを低減して、内部に外部の雑音を入れないようにすることもできる。2重構造は内圧が高ければ、高いほど、表面の剛性が上がり、共鳴振動数は上がり、また音響遮断効果も上がる。このバッグ状衝撃吸収体は原理的には薄い金属でも形成可能であるが、衝撃時のバッグの破壊が起こると、衝撃吸収能は無くなるので、高張力繊維を内部あるは表面に持ち、衝撃体があたっても、受け止め、バッグが破損しない弾性体が望ましい。
【0028】
この様な構造とすることで、今までは自動車が人にぶつかった場合危険でもあった金属板で形成される従来の車体を、柔らかで、再利用もできる、衝撃も吸収するボディー表層構造体として形成でき、構成上、当該バッグ状衝撃吸収体2を芯材が高張力繊維などを基材とした高張力素材で作れば、薄くて、軽量なボディー外面を形成することが出来る。このバッグ状外面構造で車体外面の一部を形成し、これを網状や格子状などの軽量なこのバッグ状衝撃吸収体の受け面を持つ車体フレームと結合することで、簡単に取り外しも可能な衝撃吸収外面形成構造体としてバッグ状衝撃吸収体2を利用できる。その結果、今後普及する小型あるいは超小型自動車でも、また今はほとんど衝撃吸収外面が無いに等しい自動二輪車、原動機付自転車、あるいは自転車でも、前部、後部、側部に軽量な衝撃吸収構造をボディーの一部として形成できる。
【0029】
バッグ状衝撃吸収体2はガス解放弁5を持ち、バッグ状衝撃吸収体2へ衝突物体12や13がこの場合車体全面からぶつかって来た時、バッグ状衝撃吸収体2の衝突体の圧迫による圧縮により、内部の圧力の向上を検知あるいは衝突センサーや加速度センサーあるいは画像認識で衝突を検知したり、レーダーや超音波あるいは画像センサーなどの衝突時の衝撃体検知システムと、それらの信号とそれらの信号データ処理により、衝突物体の衝突時間と位置的情報から、衝突を予測し、衝突の瞬間に、解放弁5を電気的(例えば電磁弁として開放弁5を形成したり、弁に火花を発生させ破るなど)あるいは物理的に衝突の運動を使い(例えば弁の栓を動かし解放したり、鋭利なもので破るなど)弁を開けるか破ることにより解放弁5の弁を開放し、バッグ状衝撃吸収体2の内部のガスを開放する時に、解放弁5のガス流路となる部分の内部の大きさにより、流動抵抗を持って、ガスが解放される事によって、衝撃が緩和される。ガス流路の大きさも最適化されている。その結果、衝撃の力積のf(衝撃力)xΔt(時間)の内、時間Δtを延ばすことで、衝撃力fを驚くほど低下させることができるようにするものである。
【0030】
バッグ状衝撃吸収体2はその中に隔壁3を持っていても良く、例えば、ボンネット正面部のバッグ状衝撃吸収体14の圧迫とボンネット上部のバッグ状衝撃吸収体15の圧迫の様に、部分毎の圧力変化を有効に引き起こして、衝撃吸収時の圧力変化を部分毎に設置されているガス解放弁5の開放と連動して、部位毎により対応した衝撃吸収をもたらすこともできる。またこの隔壁3は、ガスが流動抵抗を持って流れる細かな網状のものであっても良い。目の粗い網は、バッグ状衝撃吸収体の外面の広い面形状の形成やバッグ状衝撃吸収体の保持にも用いることができる。
【0031】
この隔壁3は、バッグ状衝撃吸収体をいくつかのコンパートメントあるいは別体にすることで、一ヶ所に集中した衝撃を全体の体積変化にして散逸させないで、個別の体積変化として効率よく吸収するようにできる。また、ボンネット正面と、ボンネット上面とは、対応が異なる場合がある。例えば、歩行者が跳ね上げられボンネットにぶつかるその衝撃を緩和するのみでなく、ボンネットに衝突した物体は、そのまま前面ガラスに衝突する可能性が高いので、窓ガラスの破れ、破損ガラスへの搭乗者の衝突を防ぐため、窓ガラスを覆うような形でエアバッグを展開して膨らませることも可能である。また、衝突物体が歩行者である場合、同じように前面窓ガラスの外側にエアーバッグを展開させて、跳ね上げられた歩行者が窓ガラスに当たっても、怪我を最小限に防ぐと同時に、窓ガラスの損傷も最小限にすることができる。
【0032】
さらに、バッグ状衝撃吸収体2のガス解放弁5からガスが衝突時に開放される時、そのガスをそのまま大気に逃がさずに、解放弁5からの放出ガスを、衝撃時解放ガス誘導チューブ6に誘導する。開放弁からエアーバッグへの間のチューブ部分は、急激な体積膨張を、チューブ部分の材料が吸収せず、ダイレクトにエアーバッグの膨張に使えるよう、加圧ガスの通過で素材の弾性で膨張しない素材が良い。例えば、スパイラルなコイルや繊維の入ったチューブや、エアーバッグと同じ素材で作って、外部にスパイラルなコイルや繊維を巻いて、膨張しないチューブとして働く様にすることもできる。または、フィルムの張り合わせで形成したチューブの外部を伸びない繊維で覆い、あるいは張り合わせることでも可能である。繊維入り高分子製チューブや筒状高張力繊維にゴムやビニールなどの高分子成分を侵含させたもので形成してもよい。これらの膨張をさせない素材は、急激なガスの通過による応力でチューブが壊れないよう、補強の役割も果たす。更にこのチューブの先端は、それぞれハンドル7の上部、ボンネット上部のフロントガラス下部に設置されたエアーバッグ収納部9,10につながり、衝撃時に、瞬間的に放出されるガスで、それぞれのエアーバッグを17,18の様に展開し、搭乗者19の衝撃を減少させることができるようになっている。
【0033】
このとき、エアーバッグが展開した後の効率的なガス放出を続けるため、またその後のエアーバッグの収縮を早めるため、エアーバッグには展開してしまうと、そのエアーバッグに形成された小さな穴でガスが今度は抜けるように形成されているか、ガス解放弁5が開いた状態16になっているとき、衝撃によるガス解放開始から一定時間後、ないしはエアーバッグへのチューブ6内の圧力がエアーの展開が終了してその後ガスの更なる流入である一定値を超えた場合、あるいは、該チューブ6内の流速センサーが一定体積のガスの通過を検知した場合、いずれかあるいはこれらの組み合わせの条件で、ガスを大気に開放するよう制御される3方解放弁の様な構造をガス解放弁5自身が持っていても良い。
【0034】
図2は側面衝突時への本発明の応用の一例である。バッグ20は、ドア用に形成された加圧バッグ状側面衝撃吸収体であり、これが従来のドアの外面を形成している。図1と同様に、このドア用バッグ状衝撃吸収体20は、ガス注入部4と衝撃時解放するガス解放弁5(閉じた状態)16(その弁が開いた状態)を持ち、衝撃時解放ガス誘導チューブ6を、側面ガラス22が窓ガラスレール27に沿って降り切った状態の下端以下からか、あるいは、窓ガラスが上下しないドア内の領域から、窓用エアーバッグに連結する。窓用エアーバッグは、側面ボディーの上端の側面ガラス内側に窓用エアーバッグ収納部25に多くは設置されており、衝突物体12の衝撃により圧迫されたバッグ状衝撃吸収体20のガスをガス解放弁5で流動抵抗を持たせながら、ガス誘導チューブに開放し、室内の側面ガラス部を中心にエアーバッグを26のように展開することで搭乗者19を側面衝突の衝撃から守ることができる。
【0035】
図3はバッグ状衝撃吸収体30を後部に配置した場合の一例を示しており、後部からの衝突物体33の衝突によるバッグ状衝撃吸収体32内の圧力上昇を開放弁5で解放して、後部エアーバッグ35を展開し、搭乗者19の特に後部搭乗者29を衝撃や、衝突物体33の直接的な衝撃も含め、緩和する方法を示している。他の構成要素は図1とほぼ同じである。この図は自動車でも2輪や3輪の原動機付き自転車や自動二輪車、自動3輪車でも適用できるよう表現した。
【0036】
図4は原動機付き2輪車あるいは自動2輪車の場合の前面にバッグ状衝撃吸収体2を設置した一例を示す。他の構成要素は図1と同じである。前部からの衝突物体12の衝撃により生じた上昇内圧ガスを、開放弁5を通して解放し、解放弁から衝撃時解放ガス誘導チューブ6を通して流入してくるガスで、ハンドル中央部に設置したエアーバッグ17を展開し、搭乗者19の衝撃を緩和するものである。
【0037】
図5は原動機付き2輪車あるいは自動2輪車の場合の転倒時の搭乗者の側面保護に活用した例を示す。前部側面にさらに設置された加圧ガス封入バッグ2が、転倒により圧迫されたり、ないしはその時倒れるバックミラー36により、ガス解放弁5が解放され、その結果、側面全体にエアーバッグ37が広く展開することで、搭乗者19,29の路面など凹凸や障害物による衝撃や摩擦を緩和することができるようにしたものである。
【0038】
図6は、ガス解放弁5の構造の一例を示す。ガス解放弁5として膜材を開放弁の外部ブロック47内に保持して隔壁膜43として形成し、バッグ状衝撃吸収体2と結合している解放弁5を介して衝撃時解放ガス誘導チューブ6にガスが流入するよう、その間をOリングで密封結合している。衝突物体12の衝撃時のバッグ2の衝突面側の膜面のある一点に形成された保持点に、上記解放弁5内に形成された隔壁膜43に、刺入して切開する様な先端を持った隔壁膜43の裂開用刺入矢41を、その間隔を一定とするよう線材40’で保持し、衝撃によりこの刺入矢41が、その固定用仮支え部42をスライドして、隔壁膜43を44のように開裂し、一気にバッグ状衝撃吸収体2内の加圧ガスをエアーバッグ側に流入される様子を表したものである。刺入矢41は解放弁の外側ブロック47,47’で止められ、刺入矢41の付け根部の筒部45が蛇腹の様に折り重なっている。
【0039】
図7は図6と同じ様に設置された隔壁膜43を、今度は、衝撃時解放ガス誘導チューブ6側に半固定されている刺入駒48を用いる場合で、衝突により、すこし重量のある刺入駒48は、半固定されている位置から外れ、隔壁膜43まで進み、その鋭い刺入駒48の先端で、隔壁膜43を開裂し、その結果、一気にバッグ状衝撃吸収体2内の加圧ガスをエアーバッグ側に流入させる様にしたものである。
【0040】
図8は最も確実なもので、図6と同様なバッグ状衝撃吸収体2と衝撃時解放ガス誘導チューブ6の間に、電磁弁49を設置した場合である。衝撃を加速度センサー50などで捉え、加速度センサーからの信号を電磁弁制御部51が認知し、それがあるシキイ値を超えると、電磁弁49を開放し、その結果、一気にバッグ状衝撃吸収体2内の加圧ガスをエアーバッグ側に流入させる様にしたものである。また、この電磁弁は、大気側にも開放端を持ち、エアーバッグが展開し、それ以後は、衝撃によるガス流出が大気側に開放されれば良い時点で、大気側に開放する2段階ないしは2系列のバルブ機能があっても良い。
【0041】
図9は、電磁弁方式で、模型を使って、バッグ状衝撃吸収体の衝撃吸収の効果を車体につけた加速度センサーの出力で捉えたものであり、バッグ状衝撃吸収体がない場合、大きな衝撃力の尖塔値が見られたが、バッグ状衝撃吸収体で、力積の時間成分が長くなるため、その衝撃力が大きく緩和したことを示している。
【0042】
図10は、本発明のバッグ状衝撃吸収体状吸収体56の車体固定方法を示す。バッグ状のものをどのように車体の表面形成部の一部とするか、そして、それをどのように簡便に車体に結合させるかの一例であり、車体フレーム52に溶接などで結合されたバッグ状衝撃吸収体2の保持ガイド54に、バッグ吸収体56の端面に芯材57を入れて太くなった根元や端部をたくり巻いた部分53の根元を、もう一つのバッグ端部保持金具55で挟みビスなどで固定する一例を示した。
【0043】
図11は、アルミなどの押し出し材で形成した車体フレーム58の一部をバッグ状吸収体56の端部に芯材57を入れて、もう一つの端部保持金具55でビスなどを使って保持し、なおかつ、バッグ中央部もアルミなどの押し出し材58の溝の中に、バッグのたとえば中央部などの端部では無い所を、膜材に芯材57を巻き込ませ、挿入することで、保持する一例を示した。また、バッグは、内部に結合された網状膜59で、その加圧による外面の形成面を変えるようにしたものである。中央部もこの図の縦方向に線を入れるような網状膜がバッグ表面に結合されている。バッグ2の端部を繊維や網あるいはバッグ構成素材と同じもので延長し、その部分を単純にビスや押さえ棒などで固定しても良い。
【0044】
図12は、図11のようにして形成されるバッグ状衝撃吸収体で、車体外面を色々な形に覆うことができる例を示したもので、図11に記された内部の網状膜の結合様式で、表面に垂直水平の線を出すこともでき(左図)、蜂の巣のような六角形の組み合わせにすることもできる。これらは単なる一例であるが、バッグ状衝撃吸収体を車体表面構造とする時の意匠性の確保も容易であることを示している。
【0045】
図13は、更に、当該バッグ状衝撃吸収体による車体外面の形成に関する例であり、左上図は、車体フレーム52に結合した、バッグ状衝撃吸収体56の上部に、衝撃応力を分散できる固い素材の外面63を形成し、バッグ状衝撃吸収体56の外面と追加外面63の間に、発砲ウレタンなどの充填剤を詰めて、より平面性の高い外面と広い衝撃吸収面を形成させた例である。さらに下図は、それらを上から見た図で、横に展開するバッグ状衝撃吸収体56を中央部で網状内部構造60で絞めつけ、その結果形成されるバッグ部形状56の両方にまたぐように広く展開させている例である。更に右上図は、バッグ状衝撃吸収体56の上に、固い表層材65をかぶせたり、コートしたりする場合を示す。
【0046】
図14左上図は、バッグ状衝撃吸収体56の全部ではなく、一部にバンパーの様な衝撃吸収体あるいは衝撃伝播構造体67を結合させ、その間を発砲ウレタンなどの充填剤68で充填して、衝撃力の応力の分布を広げた例を示す。その下図は、図13と同様に、左上図の展開を上から見た図で、図13の下図の展開にさらにバンパー状の構造物67を結合させたものである。右上図は、バンパー状構造体67を一部に結合形成し、同時に他の面も固い表層65などでカバーしたものである。
【0047】
図15は、端面の結合方法図10の別のやり方であり、バッグ状衝撃吸収体を繊維や線材を多く含むゴムなどの含侵素材で、その素材を端面にも回して、プラスティック成型で、端面保持部70をあらかじめ作って置き、その端面保持部の形状に合った結合部54,55で挟みこみ車体に、当該バッグ56を保持する方法を示している。他に地下足袋の袋とじの様に、バッグ状衝撃吸収体2の端面に複数の爪を結合し、それをボディー枠に逆方向に埋め込むやりかたや、バッグ状衝撃吸収体2の端面をベルト状生地で伸ばし、マジックテープをそれに縫いつけ、フレームにバッグ状衝撃吸収体2の端面に結合したベルト状の延長部を巻き付け、最終端付近をマジックテープで固定する、簡易で、取り外し可能なやりかたも考えられる。
【0048】
図16は、図8において図6と同様なバッグ状衝撃吸収体2と衝撃時解放ガス誘導チューブ6部の間に、3方電磁弁71を設置した場合である。衝撃を加速度センサー50などで捉え、あるシキイ値を超える加速度センサーからの信号を電磁弁制御部51が認知した場合、電磁弁71をエアーバッグ側にまず開放し、その結果、一気にバッグ状衝撃吸収体2内の加圧ガスをエアーバッグ側に流入させる、そして、エアーバッグが展開し終わったら一定時間後あるいは内圧センサーなどによりその展開終了を検知し、この電磁弁は、回転し、大気開放端側に衝撃によるガス流出誘導する一例を示した。これにより、衝撃吸収、エアーバッグ展開、さらに衝撃による内圧ガスの大気放出とつながり、衝撃吸収が進む。
【0049】
図17は、図8における衝撃時のバッグ状衝撃吸収体2内の衝撃時解放ガス誘導チューブ6の端に結合されているエアーバッグの展開終了後、展開エアーバッグ部73の最終端部に設けられた小さなガス解放穴から、エアーバッグ展開後の過剰な流入ガスを逃がし、エアーバッグの衝撃吸収能を上げる様子を記載したものである。
【0050】
図18は、バッグ状衝撃吸収体2は多くの場合タイヤを薄くしたような素材あるいは合成高分子含侵繊維に加え、繊維ラミネートシートなどで作られている。
バッグ状衝撃吸収体2はその中に隔壁3を持っていても良く、例えば、ボンネット正面部のバッグ状衝撃吸収体14の圧迫とボンネット上部のバッグ状衝撃吸収体15の圧迫の様に、部分毎の圧力変化を有効に引き起こして、衝撃吸収時の圧力変化を部分毎に設置されているガス解放弁5の開放と連動して、部位毎により対応した衝撃吸収をもたらすこともできる。またコンポーネント間を開口弁あるいはガス移動に抵抗のある弁でつなぐことで、一つのバッグへの衝撃を隣接したバッグも吸収できるようにすることも可能である。
【0051】
さらに、衝撃時に人などの場合、車など移動体の下への巻き込みが問題となることがあるので、本発明では、車体下部に衝撃時のバッグ内圧の開放を下部エアーバッグ73’の展開に導き、エアーバッグの展開で、移動体下部への巻き込みを防ぐことも可能とした。
【0052】
本発明は基本的に加圧ガスが衝撃によりバッグからガスが粘性抵抗を持って開放されるときの衝撃吸収力を利用するが、簡易的にガス開放弁を持たない加圧バッグそのものの衝撃緩衝能を利用しても良い。ガスは開放されないが、衝撃はエアークッションで緩和され、その復元で、車体は元に戻る。復元の際に反対加速度が生じる難点があるが、簡易的で復元可能なバンパーの代わりにはなり得る。
【0053】
図19はバッグ状衝撃吸収体56の形成法の一例を示しており、衝撃を受ける表面側は膜材あるいはシート材を金型加熱曲面加工あるいはブローや射出成型あるいは真空成型法で、所定の凸面形成をもたらしたものであり、ガス開放弁5やガス注入弁4は、基盤面側に空気のもれなく結合されている。その端面を合わせ、高周波あるいは加熱熔着機により熔着し、ガス漏れの無い熔着端面75’を形成する。これを車体フレームや車体フレーム間に板材(例えば軽くするために金属網やパンチングメタル板に折り曲げなどの剛性構造をもたらしたもの、あるいは強化プラスティック板やカーボン繊維プラスティック)を溶接したり、網を張ったり、結合したりして形成したバッグ保持面74に端面保持を端面・フレーム結合ビス76で、必要であれば繊維状バッグ外形形成体77で外部をさらに覆ったものを車体フレームに結合する。また端面に保持用のロープ57などの支持部材を挿入し、その支持部57を端部保持金具と固定用ビス55で押えることで、バッグ状衝撃吸収体56を形成する一例である。
【0054】
図20は、外部を多軸織(例えば4軸織)なども含む張力の強い繊維や膜をあらかじめバッグ保持面74の上に繊維状バッグ外形形成体77として展開し、その間の内面に、ゴムボールの様な例えば展開性の良いブチルゴムなどの弾性体で作られたバッグ内側形成体76’をガス注入弁4およびガス開放弁5を付けた状態で設置し、このバッグ内側形成体76’にガスを注入することで、バッグ状衝撃吸収体56を形成する一例である。
【0055】
図21はブロー成型法でバッグ状衝撃吸収体を形成する方法である。射出成型でも同様に可能である。形成したいバッグ外形をブロー成型用外型78であらかじめ形成し、ブロー体を導入する口は、この場合はガス注入口4とガス開放弁部がそのまま形成できるように開放弁設置フランジ形成型部78’となっている。この形成されたフランジに、後述するような様々なガス開放弁を別体で作って結合させても良い。このブロー成型は、一度に全体を形成するのではなく、例えば前面を左右と中央の三つあるいは二つなど複数に分けて形成し、表層を別のシートで覆って、一体としても良い。さらにこの場合は、ブロー外型78の内面に(射出成型においても)あらかじめ多軸織のものも含むバッグ状衝撃吸収体表層用繊維79が設置されており、また端面にはいくつかの車体取り付け部外品80’がインサート用として設置されており、ブロー体79’が膨れてバッグ状衝撃吸収体表層用繊維79を押し付ける形で表面に繊維を埋め込ませ、結合し、繊維による高張力性と形態保持力をブロー体が成型後合わせ持つようになっている。この繊維を設置しないで、普通のブロー体で成型し、その外部にシートを覆う方式でもバッグ状衝撃吸収体56は成型できる。このような形成法は、量産に適しており、また車体設置部80’もあるので、車体設置が容易であり、バッグ状衝撃吸収体形成法としては有力な手法である。ブロー体の材質はブローすれば何でも対象となり、射出成型では更に材料の選択範囲が広がるが、バッグ状衝撃吸収体として衝撃を吸収でき、広い温度範囲で弾性と密封性が確保され、衝撃で壊れず、かつ耐候の良い材質のものが望ましい。しかし、繊維が覆ったり、含有されるので、上記のような最適素材でも、あるいはそうでなくても利用できる場合がある。他に真空成型法もあり、片面を形成し、後は加熱やマイクロ波や超音波などで溶融封着する形成法もあり、バッグ各面の面厚の再現性やコントロールなどの製作精度と、量産スピードを上げる為、初期コストは高いが、射出成型法によって同様に製作しても良い。
【0056】
図22は、バッグ状衝撃吸収体56の端面がシート状となっている場合の車体フレーム52への結合方法を示す。シート端面に、もう一枚シートを短冊状に熔着したり、別の素材を接着したりして突起部81を形成する。この突起部は接合がバッグ状衝撃吸収体56を設置する場合に生じる引っ張り方向のずれ応力に強く、その突起部81側面に端面が当たるようにして、端面押えプレート81’を押えビス82でとめる。その押えプレート81’はフレーム52の形状の一部と同じにすることで、その押え面を有効に形成することができる。
【0057】
図23はバッグ状衝撃吸収体の保持面の形成に関するものである。従来の移動体の表面は金属板であるが、それにより成型性は良いが、重くまた硬くなっており、人が衝突した時などは、人に怪我をさせやすい。一方本発明のバッグ状衝撃吸収体は、そのようなことを緩和できるが、そのバッグ状衝撃吸収体を車体外面としてどの様に形成保持するかが課題となる。保持面を金属板などにすることもできるが、それでは車体が重くなるなど、従来と変わらない技術となる。この図では、網などのテンション膜を裏打ちに使用したバッグ状衝撃吸収体の面保持方法の一例を示しており、車体フレーム間にバッグ状衝撃吸収体56を展開したい時、その衝撃を受ける面をフレーム間に形成する必要がある。バッグの基盤面をピンと張って、その受け面とすることもできるが、衝撃を直接受ける面も結合しているので、それは容易ではない。そこで、例えば網状の剛性繊維で例えば4軸織のようなあらゆる方向の張力に対して強い高張力繊維での多軸織のものでも良いが、このようなテンション膜83をフレーム間にピンと張って展開する。その固定には、テンション膜83を例えばフレームに巻きつける様にして、その巻きつけで返ってきた所をテンション膜同士で84の様に例えば縫製で接合する、網状繊維でこれを形成する場合、同じ素材か熔着する素材を、この接合部で熔着して接合する方法は、量産に向いている。
【0058】
バッグ状衝撃吸収体は表面がやわらかい膜であり、その上を全部あるいは一部を異なった膜やシートで覆うことで、様々な意匠の表層を形成できる点も特徴である。図24は、バッグ状衝撃吸収体の外面ないしはバッグ状衝撃吸収体と車体一部を好きな柄の立体成型した繊維やフィルムで覆い、車体の着せ替えを実現した一例であり、バッグ、着せ替え用表層(例えば立体成型したシート状繊維素材や膜素材や網状素材あるいはそれらに印刷や立体造形を付加したもの)85で覆ったものである。この様に所有者や使用者の嗜好に応じて、簡易に移動体の表面の意匠が変えられる点は、従来の移動体にはなかったものである。この表層85は、移動体との結合においては、後述する様に、移動中に風圧などではがれないようにすることが重要である。移動体はバッグがあるところだけに限らず、バッグ状ないしは従来の様な鉄板などのボディー部分も含め、この着せ替え用表層で覆い様々なデザインに変化させることができ、これにより汚れたら新しい表層に変えるという今までは、簡単にはできなかったことができるようになる。この表層繊維は、多軸織の高張力のもので、衝撃時のバッグの破裂を防ぐ様なものであっても良い。また、この様な表層が保持できる様な構造になっている、あるいは改造できる従来の自動車などの移動体でも、この様な着せ替え用表層を設置しても良い。
【0059】
図25は、バッグ状衝撃吸収体の外面を立体成型したシート状繊維やフィルムで覆い取り付け、車体の着せ替えを実現する方法の一例である。着せ替え表層の実現は、表層とする膜材の車体などへの接合方法がカギであり、図25左図の様に、バッグ状衝撃吸収体56の表面に着せ替え膜87をさらに覆い、端面押え板で押える方法が一つあるが、さらに簡便に、右図のように、着せ替え膜端面にフレームに結合するフック88を着せ替え膜87の端面に例えば縫製や接着あるいはマジックテープ(商標)などで結合させ、このフック88で車体側あるいはバッグ状衝撃吸収体56に結合させることもできる。いずれも走行中に外れる事があってはならないので、表層で、車体の前部になる部分は、フックなどでなく、左図のような確実な取り付けが望ましい。
【0060】
この様なバッグ状衝撃吸収体の後付けあるいはその構造形成において、簡易的に図26のように、従来の自動車車体に取り付けることもできる。これは、従来の自動車などの車体に本発明の衝撃吸収体を設置する方法の一例を示したもので、所有する従来の金属板が表面の自動車などの移動体をより衝撃時に安全にするために、本発明の衝撃吸収体を設置するケースである。そのために、バッグ固定用フック95などを設置したバッグ状衝撃吸収体90が車体前あるいは後93ないしはバンパー94にこの様に設置されている。さらにヒトなどをはね上げた際の傷害を最小限にするために、ボンネット上部にもバッグ状衝撃吸収体91をボンネットまたはトランクの上板(ルーフ板)92の上に設置することもできる。設置には、一部はボンネット内の構造物を利用して、ビスまたはボルトによるバッグ取り付けとその押し当て用の板96を介して、バッグ90の端面を固定できる。この場合、車体の前後に取り付けたバッグのガス開放に伴う、車内でのエアーバッグ展開は難しいが、右図のように、ボンネット上部のバッグにはフロントガラス付近に、ガス注入パイプ97やバルブを設置し、かつ衝撃でバッグ内圧が上昇し、その力でバッグ後端の開裂面内部に熔着されたエアーバッグ98が外部に展開して、例えばフロントガラスへの人などの衝突時の衝撃を緩和するようにバッグを形成することもできる。また後付けでのバッグの車体設置では、どうしてもバッグ面のつながりが良くなく、その面構成を連続的にするために、そのつなぎ部分へスポンジなどの緩衝材を封入して、後付けの着せ替えシート87などで、連続した外面を形成させることもできる。
【0061】
この様なバッグ状衝撃吸収体を、図27のように簡易的に空気胞を並べたシートの積層構造を内包する事により形成し、衝撃吸収することもできる。図27左図は、空気胞を並べたシート99を何層にも積み重ね、バッグを形成した場合で、その上をシート87で覆って形成する。衝突時の圧縮で、これらの空気胞が破裂し、内部のガスの開放で、段階的に衝撃を吸収する。その際、外部シート状繊維またはフィルム内側に空気胞を破る針先の様な先端細部100を連ねた様な構造にしてもよく、これによりバッグ状衝撃吸収体を形成し、空気胞の衝撃による破裂をより確かにすることもできる。
【0062】
図28はバッグ状衝撃吸収体56への衝撃の受け方と衝撃時のガス弁の制御例を示す。バッグの一か所への衝撃が点であると、その圧力変化は微細な割に、その衝撃力の付加は大きいので、衝撃を受ける面を剛性の高い素材で面として受けることを可能とする。例えばバッグ中央への衝撃102に対し、バッグ中央部衝撃を面として受ける剛性板104をバッグと外層を覆うシートの間に、そのどちらかに接合して設置することができる。またバッグ左右方向への衝撃103に対しては、バッグ左右部衝撃を面のスイングとして受ける剛性板105をそのスイングヒンジ106を介して面の移動とし、その動きを例えばガス排出弁駆動ロッド111を介してバッグ変移によりガス開放弁112を駆動し開放することで衝撃を吸収する機構例を示している。その他、内部ガスの衝撃時の開放の仕方はいろいろと考えられ、加速度センサーによる開放弁制御部116の制御により、火花放電発生制御部117により火花放電を膜前後で起こし、膜を破裂させガス開放させる装置115や、加速度センサーによる膜切開の制御部121による膜切開型のガス開放弁120によるガス開放や、その切開装置を例えば電磁場の反発を利用した膜切開装置122で起こすこともできる。
【0063】
図29は、圧力の位置変化を検出してバッグ状衝撃吸収体ガス開放弁を制御するシステム例である。実際、衝撃による圧力波がバッグ内で伝搬する時、その圧力変化は、バッグ内で一様でないことが実験の結果わかった。衝突物体125の衝突で生じた圧力波126は、バッグ内の位置の異なる場所に設置された圧力センサー127(この場合3か所)で測定され、中央の圧力変化がこの場合の衝撃点(中央)から、一番早く立ち上がる。これを圧力センサー統合部128で認識し、ガス開放弁129を例えば真ん中を先に開け、つぎに側方部を開けるという制御を行う。また、その順序を真ん中の押し込みを最小にしながら衝撃吸収するために、逆にすることもできる。このような圧力センサーによる圧力開放統合アルゴリズムにより、ガス開放弁駆動制御部130からその指令を出して、ガスの開放を制御することで、より効果的な衝撃吸収をもたらすことができる。
【0064】
図30は、バッグ内ガスの開放における、バッグ状衝撃吸収体ガス開放弁と開放時の加圧システムの例を示す。バッグ状衝撃吸収体56の一部にこの様なダクトのようなガス開放チューブを設置し、その内壁にO−リングを介して、ガスを封じ切るO−リング密封回転弁型ガス開放弁135を設置する。この弁は、開放時の指令が制御装置から来ると、O−リング密封回転弁固定フック137が下に動き、フックがはずれ、内圧で弁135はO−リング密封回転弁保持部136を中心に勢いよく回転し、内部ガスが開放される。この後端には、エアーバッグの展開チューブが待ち構えていても良い。さらにエアーバッグの展開にガスの吹き出しが不十分な場合は、ガスアキュミュレーターまたは蓄圧ガスシリンダー140からガス弁制御部139を介して加圧ガス噴き出し口138から多量のガスを吹き出し、エアーバッグの展開を助けてもよい。
【0065】
図31はバッグ状衝撃吸収体ガス開放弁と制御システムのもう一つの例であり、開放弁は場合によっては、一度開放したあと、途中で閉める必要がある場合もある。その様な事を可能とする弁として、図30と同様な弁が、エアータイトにO−リングなどでガス密封して回転できる回転軸143をガス開放ダクトに設け、この弁の開け閉めとその開度をO−リング密封回転弁型ガス開放弁のモーターまたは電磁回転駆動部141による弁の回転を介して制御するものである。この回転弁の開度を規定するために、回転弁ストッパーロッド位置調節機144からロッドを出して、回転弁の所定の開度の所で、回転弁がガス開放時に止まるようにすることもできる。このロッドの先端位置は、移動体のスピードや、衝突物体の大きさあるいは加速度変化に応じて変える事ができる様、モーター回転などで位置可動とし制御できるようにもできる。さらに、このロッドの先端位置をストッパー受け144’にあたる所まで、回転弁が完全に閉じるまで延ばせば、弁を閉じる動作もできる。
【0066】
図32は、バッグ状衝撃吸収体ガス開放弁と制御システムのもう一つの例であり、膜の破壊ないしそれに火薬を使ったバッグ状衝撃吸収体ガス開放弁の開放例である。膜状の開放弁は、熱や火薬で、非可逆的に破り開放できる。この図では膜状ガス開放弁145にヒーターないし火薬発火用電源供給コード147を介して、ヒーターまたは火薬146が膜を溶解し、膜状ガス開放弁保持フランジ148に設置した膜状弁を開けるようにできている。また火薬は、エアーバッグを開く為の更なるガス加圧源ともなる。
【0067】
図33は、バッグ状衝撃吸収体の内圧調整システムの一例で、このバッグは、車体が炎天下におかれるなどで、ガスの温度による膨張収縮を受ける。これにより内圧は変動し、バッグが過度の内圧になった場合、調圧弁150を介して外部に内部ガスを開放し、減圧したり、夜間温度が下がって、減圧となった場合は、ガスコンプレッサーまたはガスポンプ153により蓄積されたガスをガスアキュミュレーターまたはガス貯圧シリンダー152からバッグ内圧調節制御機能を持ったガス開放弁駆動制御部154を介して、流入させることもできるようにした例である。これにより、いろいろな外部環境変動に対する内部圧変動を調節することができる。
【0068】
さらに、衝撃時の開放弁の制御に関して、衝撃力を効果的に吸収する為に図34に、カメラを利用した衝突物体の検知とそれに連動したガス開放弁駆動制御システムとその駆動例を示す。この場合、衝突物体(この場合は人間)155はカメラ(この場合はデジタルビデオカメラまたはデジタルカメラ)156で捉えられ、カメラの信号を受け画像処理により、衝突物体が車のどの位置にぶつかるか検出し、加速度センサーの信号とともに、どのタイミングでどの様に各ガス開放弁を開放するか制御する制御装置157を介して、どのガス開放弁をどの様なタイミングで、スピードに応じてどのくらいの開度で開放するかを制御できるようにしたもので、右図はその衝撃を加速度センサーからの信号160として捉え、その時の各弁の開放の時間変化を図にしたものである。それぞれの弁の開放タイミングは、これとは逆に周囲を先に開け、衝突部の食い込みを最小にすることも可能である。
【0069】
図35は図34と同様な制御を、位置センサー166または近接センサー、レーダーなどを利用して、ガス開放弁駆動制御および駆動する例である。165−1、−2、−3とバッグが分割され独立したものが合体されたバッグ状衝撃吸収体を例として説明する。位置センサー(例えば、レンズ付きリニアーCCDなど、近接センサーやレーダー(光、超音波、マイクロ波など)でも良い)166でおおよその衝撃物の位置を認識し、位置センサーまたは近接センサーにより、衝突物体が車のどの位置にぶつかるか検出し、加速度センサーの信号とともに、どのタイミングでどの様に各ガス開放弁を開放するか制御する制御装置167を介して、いつどのタイミングで、車体速度を加味してどのくらいの開度で弁を開けるかを決め、ガス開放弁を、各バッグ毎に制御し、衝撃吸収を効果的に行う1例である。
【0070】
図36は、バッグ内圧力センサーの位置による変化を利用したガス開放弁駆動制御システムとその駆動例であり、図29で述べたように、衝突により生じたバッグ内の衝撃波169の位置依存性を170−1、−2、−3と各位置に置かれた圧力センサー170で検出し、圧力センサーによる内圧の衝撃波の位置依存性から衝突物体が車のどの位置にぶつかるか検出し、加速度センサーの信号とともに、どのタイミングでどの様に各ガス開放弁を開放するか制御する制御装置171を介して、右図のように、加速度センサーで検出された衝突時の加速度の時間変化例172に応じて、また170−1、−2、−3の位置の圧力センサーの圧力時間変化にも応じて、ガス開放弁を制御し、衝撃力を効果的に緩和した例である。
【0071】
この様なバッグ状のボディーを持った車体で一つ困るのは、図37のような、バッグ状衝撃吸収体の針刺しいたずらであり、それによるガスリークを防止する手段を提供しなくてはいけない。これに対して、バッグ内面に発泡ゴムや浸潤性ゴムあるいは浸潤空気硬化型液体182を接着させ、針差し用の針180 などでバッグに開けられる穴を自動的に塞ぐようにしたものである。この構造は同時にバッグ膜面の共振を押えるという副次的な効果もあり、すこし重くなるが、移動体への外部音の遮音や移動体内でのノイズ低減にも役立つので、いたずら防止の為のみでなく、この様な遮音や静音化の技術としても利用できる。
【0072】
図38は、針刺しいたずらに対するもう一つの対策であり、表層シートの裏面に導電性コートなどの導電処理を行い、それと表面か裏面に導電性コートなどの導電処理をしたバッグシートとの間の電気抵抗変化または電気容量変化を検出器185で検出し、その後の圧力変化や、しきい値以下への圧力低下を圧力センサーから信号検出し、いたずらと判断できる最低基準を超えた場合、接続されている作動装置186(例えばアラーム音発生装置)によりアラームなどを発生させるようにしたものである。アラームと同時に、車内から周辺を映像捕捉するなどしても良い。
【0073】
このバッグのガス補給に関して、電動ポンプが普通は利用される。しかし、電気自動車などでは、今後はエコ技術の要求も高い。そこで、図39は、サスペンション往復運動を利用したピストンによるバッグ内圧力制御システムを示し、タイヤ196の車体移動時のサスペンション197の上下運動を、ピストンの弁運動とし、191,192のピストン・ガス流入・流出逆止弁を介して、バッグ側のガス流入弁4とガス流出弁190により、バッグ内にガスを供給するシステムを示す。バッグ内圧力センサーで内圧をガス流出入調整電磁弁制御装置201でモニターしながら、外部環境である温度・気圧もセンサー202で測定し本制御装置で、ガス流出調整電磁弁200を開閉しながら、バッグ内圧力を調節する。過剰なガス圧は、外部に直接開放すのではなく、ガス流出調整電磁弁200を開放した時のガス圧でタービン発電機205を回し、発生させた電力を蓄電池206に貯めることもできる。
【0074】
図40は図39のシステムをさらに進化させたもので、サスペンション往復運動を利用したピストンとガス蓄圧機を利用したバッグ内圧力制御システムの一例である。サスペンション往復運動によるピストン運動で発生させた加圧ガスをまずガスアキュミュレーターまたはガス蓄圧シリンダー210に蓄積し、そのガスを必要に応じて、ガス流入調節電磁弁211を開けることでバッグ内に供給するものである。その他は、図39と同じである。図41は、図40をさらに進化させたもので、サスペンション往復運動を利用したピストンとガス蓄圧機を利用したブレーキブースターの引圧供給とバッグ内圧力制御システムの一例である。図40に加え、ピストン運動で引き起こされる引圧を減圧アキュミュレーターまたはガス引圧蓄圧シリンダー215に蓄え、この引圧によりブレーキブースター216を駆動し、ブレーキペダル217の踏み込む力を増加させるものである。
【0075】
図42は、バッグ状衝撃吸収体の内部ガス開放弁の開放に関するより細かな制御法の一例を記載したものである。図36の例に加え、近接センサー220により衝撃物の近接とその位置を検知し、その近接部位のガス開放弁5を先にあるいは後に開放することも可能である。バッグ状衝撃吸収体が左右二つに分かれている場合は、左右別々にガス開放を行うこともできる。さらにこの情報に加えて、アクセル218やブレーキペダル217、そして、図36の様な加速度センサー50やバッグ内圧力センサー170などの情報を統合して、信頼性のある当該バッグ内ガスの開放を行うようにした一例である。これにCCDカメラの情報など、実に様々な制御法が制御器171内のプログラム構成で達成できる。
【0076】
図43は、バッグ状衝撃吸収体2に衝撃物がぶつかって来た場合、そのバッグの衝撃の受け止め方に粘りというか、すぐに最後面まで来させないために、バッグ内にいくつかの隔壁3を設け、その間には、弁を設けても良いが、ここでは、開口部221を設けた例を示す。これにより集中的な衝撃でも、バッグ全体の形状を維持しながら衝撃吸収する事ができるようにした。バッグ内隔壁に設けた開口部の大きさは、後部に行くに従って大きくして、しっかり受け止め、かつガスの排出を効果的にすることもできる。
【0077】
図44は、上記のものとはすこし異なった構造を提示する。一部にガス流出入口が形成されているボール状衝撃吸収体224を沢山敷き詰め、これをカバー87で囲んで、バッグ状衝撃吸収体とするものである。ちょうど硬式テニスボールに穴のあいたものを沢山詰め込んだ様なものであり、すこし重くなるが、簡易に形成できる例として挙げた。
【0078】
図45は、図44のボールの位置がランダムであるのを、より規則的にするために、ボール225に、ボール間の連結具でもあり、ボール間ガス流出入口であるものを結合させ、隣接のボールと次々に連結して行くものである。これにより、ある形状をボール225のみで形成し、これにカバー87をかぶせて、バッグ状衝撃吸収体を形成するものである。
【0079】
図46は、破裂型衝撃吸収ボール226,227,228を図44,45で用いたボールの代わりに用いた場合である。衝撃を受けた部位のボールが加圧され破裂する様に設計されたボールを前、中央、後部に、それぞれサイズを変えて多数配置し、前面では、衝撃を受け止め、中段では、その力を後段に受け継ぐ様に少し小さく硬めにし、後段のボールは大きくしてその破裂で衝撃をより効率よく吸収する様に、それぞれ機能分担させたバッグ状衝撃吸収体の一例である。
【0080】
図47は、当バッグ状衝撃吸収体をプラスチックなどで成形する際、外面に繊維などの補強物を含浸させるため、外面素材79を金型78に沿って配置したり、成形品を自動車などに固定する固定部品231を成形時に装着する方法の一例を示す。この様な成形法は、成形体の外面に繊維などを含浸させ、バッグがプラスチックのみでは破裂するくらいの衝撃力でも、耐えうる構造とする為に採用するが、繊維79などを金型78の製品外面に沿って配置するのは、なかなか簡単ではない。ここでは、繊維に非常に薄い成形素材と同じプラスティックフィルムを内面側から繊維に張り付け、金型に設けた吸引穴230で、繊維とフィルムを吸引して、金型に繊維をきれいに沿わせ、その後、この図ではブロー成形するものである。薄いフィルムは、成形用の高温のプラスティックで溶け、繊維にプラスチックが含浸して、バッグ状の衝撃吸収体が成形される。またインサート法で、このバッグ状衝撃吸収体の取り付け具231などが、成形時にバッグ内に埋め込まれる。
【0081】
図48は、もっと簡単に、任意の形状のバッグ形状を形成する方法で、含浸性のエラストマーやプラスティック溶解液を成形型232に沿って配置した繊維234などに、ハケ235などで含浸させて成形物を形成する一例である。簡単な型(石膏でも可)の上で、誰でも作れる方法である。また別のものと合体させるのも容易である。
【0082】
図49は、バッグ状衝撃吸収体を真空成形法により形成する例である。真空成形メス型236上に、耐候性に優れた塩ビシートなどのバッグ状衝撃吸収体用成形材料238を置き、真空ポンプ238で材料を吸引しながら、熱を真空成型オス型239からもかけて、成形する一例である。この様にしても、バッグ状衝撃吸収体が形成できる。
【0083】
一方、衝撃吸収を担う急速なガスの排出口からの粘性抵抗を伴った放出に関しても、より詳細な制御が必要である。ガス放出開口部の形状は多くの場合、丸い形状を考えがちであるが、考えてみると、そのガス放出開口部の中央部と辺縁部では、ガスの排出流速も異なり、中央部は粘性抵抗にも影響されず、ガスは高速で排出される。一方、辺縁部では、ガスとガス放出開口部との流体力学的相互作用は大きく、良く設計段階で、考慮して置く必要がある。図50は、ガス放出開口部をバッグの全体形状と相似させ、しかも、中央部分を広く持たず、流出時の粘性抵抗をできるだけ均等にしたものである。しかし、衝撃が大きいほど、ガス放出開口部は大きくしないと、衝撃吸収しないので、高速スピード時には、この形状のまま、開口部を大きくするなどの考慮が必要である。
【0084】
図51は、電磁弁を用いて、衝撃吸収時のガス開放弁を形成した例であり、Oリングを介してバッグ状衝撃吸収体内部を密封したガス開放弁243は、ヒンジ部246とこの開放弁を電気的に開放するソレノイド型電磁ガス開放弁フック245で固定されている。衝撃時に、電線248からソレノイドに電流が流れ、フックが引かれ、弁243が開放する。この弁は何度も使用できる信頼性の高い弁であるという利点があるが、プラスティックなどで製作しないと、重くなる欠点がある。この様な弁で、バッグ内のガスを開放する際、移動体のスピードや、衝撃物が人であったりする場合、そのガスの放出スピードも変化させる必要がある。その例として、図52に、開放口の内部にL字型のガス放出量制御プレート250を設置した例を示す。このプレートを電気的に上下に駆動部251を動かし、ガスの放出量を制御することで、低速や高速あるいは歩行者などの衝撃物に対応したガス放出ができる1例である。他にも、高速時と低速時では、バッグ内のガス圧を変えるなどのやり方もある。
【0085】
さらに、バッグ内ガス放出時の粘性抵抗をより有効に利用する方法も考えられる。図53は、その一例であるが、ガス開放口255に、この様なスリット256を設け、ガス開放口の中央部のガスは粘性抵抗なく、ガスが放出されるのを、この様な粘性抵抗増加プレート256で、大きな開放口でも、粘性抵抗を上げることができる。簡便には、ガス開放口に網などをおいても良い。
【0086】
図54では、衝撃吸収時のガス開放をより簡素かつ軽量にした一例を示す。上記では、しっかりしたガス開放口とガス開放弁を記載する事が多かったが、このように、バッグ内ガス開放口を、膜材263とシール260で封じ、衝撃時に内圧の上昇で、板ばねの様なガスシール部押え板261で押えていたシール部265が開放され、右図下の様に開放される266。この様にして、簡単な構造で、バッグ状衝撃吸収体のガス開放弁を形成することもできる。
【0087】
また、ボンネットへの歩行者のはねあげは、今、規制されようとしている課題である。図55では、自動車ボンネット270の上に、バッグ状衝撃吸収体272を内部にいくつかの隔壁273とその隔壁に設けられたガス開放口275で形成した例を示す。隔壁を設けたことで、ボンネットに前からはね上げられるときにまずぶつかるボンネット前面での衝撃を受け止め、吸収しながら、はね上げされた歩行者がボンネット上面にぶつかる時に、このバッグの後端に設置されている従来のエアーバッグ271がフロントガラス外面に展開する。
図56では、シール構造を使った同様な例を示す。ボンネット上に展開されるバッグ状衝撃吸収体272の後端部にガスシール277が線状に形成されており、これがバッグ内のガスを閉じ込めている。このシールは、ボンネット左右を渡るベルト278で押えられている。しかし、衝撃を受けると、ボンネット中央部のベルトのテンションの低い部分から、このバッグは開口し、同時に後端部に畳まれていたエアーバッグ271がフロントガラス前面に展開する。
【0088】
前面衝突も、衝突安全基準では、時速55kmで正面衝突するなど、過酷な試験を行う。1層のバッグ状衝撃吸収体では、この様な大きな衝撃を吸収するには不十分であることもある。電気自動車では、エンジンが無く、前面は、大きなスペースがあるので、より効率的な衝撃吸収を考える事ができる。図57では、衝撃吸収を2段のバッグ状衝撃吸収体で行うようにした二つの例を示す。上の図では、前面に配置したバッグ280は、ガス開放口のないバッグで、衝撃物に当たり弾性的にへこみ、その衝撃を吸収しながら後段に伝える。ここでは、前段のバッグの後方に前面バッグ衝撃拡散受け面281が、その衝撃を後段のバッグ状衝撃吸収体282に伝える。移動体の前面インパクトビームの様な衝撃受けパイプ285で衝撃を後端で受け止められながら、前段への衝撃力で後方に下がった前面バッグ衝撃拡散受け面281の移動で、バッグ内のガス開放弁がロッド284で押され、開放する。開放されたガスは、エアーバッグ収納部9に連結された管6で誘導され、エアーバッグを展開する。図57の下図は、前段のバッグがバッグ間ガス流通弁287やバッグ内ガス開放弁288を持っており、衝撃時にこれらを介して、前段のバッグのガスが後段のバッグ282に流れ込む。間にある前面バッグ衝撃拡散受け面281により、衝撃は広く後段のバッグ282に拡散され、後段バッグは広く押され、その開放ガスは、前段のガスの流入と合わせて大量となる。その開放ガスの一部を、開放弁243を介して、フロントガラス前のエアーバッグ収納部25に誘導し、展開26する例を示した。もちろん同時に、ハンドル側にガスを誘導し、エアーバッグを展開しても良い。
【0089】
図58は、移動体前部のバッグ状衝撃吸収体の配置を多段にしたもう一つの例である。衝撃吸収能を高めるため、前面バッグ290は、垂直面に配置してある。この前面バッグ290はその後ろの衝撃受け面がヒンジつきの構造体300になっており、衝撃とともに、後ろに傾く、これを衝撃吸収ダンバー302が受け、更なる衝撃吸収を担う。さらに上部にはボンネット状に上面バッグ状衝撃吸収体291が、支え網292で支えられて配置され、衝撃とともに、上部の衝撃吸収とフロントガラス前のエアーバッグ展開を担う。バッグ間の位置決めには、マジックテープ(商標)が使われている。図59は同様に多段のバッグ状衝撃吸収体で衝撃を吸収する例であり、前面のバッグ状衝撃吸収体286と後段バッグ状衝撃吸収体282の間にバッグ間ガス流通弁287と衝撃吸収ボディー受け面ヒンジ付き構造体300が配されており、これにより、より効果的かつ大きく衝撃吸収できるようになっている。さらに上部には、上面バッグ状衝撃吸収体291が配置され、この間をマジックテープ(商標)293でゆるやかに結合して位置決めされている。衝撃時の開放ガスは、ハンドル内に設置されたエアーバッグ9を展開する。後段のバッグ282は、ちょうど車体ステー301と前段の構造体300の間で挟まれるようになり、その全面が圧迫される。これを上から見た図が、ちょうど図60の様であり、これも多段のバッグ状衝撃吸収体で衝撃吸収ボディーを形成したもう一つの例である。主な違いは、前面のバッグ状衝撃吸収体を左右二つに配した点である。
【0090】
図61は、この様なバッグ状衝撃吸収体からの開放ガスをハンドル中央部に配したエアーバッグ収納部9に、いかに効率よく誘導するか、その手段を示した図である。この図では、開放ガス誘導パイプあるいは管6で誘導されて高速のガスを太いパイプの中に大きなガス流入用スリットを持ったハンドル回転筒306のハンドル中央部に、開放ガス導入筒308を介して誘導し、最終的にハンドル中央部のエアーバッグ9を展開する構造例を示したものである。図62も同様で、この場合は、ハンドル中央部の開放ガス導入筒は固定されており、ハンドルの回転は、その内部にハンドル回転軸支持ベアリング316を介して配置されているハンドル回転軸307に、ハンドルとハンドル回転軸間の結合軸312を介して、その回転が伝えられる。衝撃時にバッグ状衝撃吸収体から開放されるガスは、誘導パイプ6を通って、固定された開放ガス導入筒314にそのまま入って、ハンドル中央部に収納されているエアーバッグ9を展開する。
【0091】
以上は移動体に当該バッグ状衝撃吸収体を設置したものであるが、逆に、このバッグ状衝撃吸収体を静止した物体、例えば壁、塀などに設置し、この静止物体に移動体が衝突する際、その衝撃力を緩和することも可能とできる。
【符号の説明】
【0092】
1 移動体車体
2 正面加圧バッグ状衝撃吸収体(ボディー一部を構成する)
3 加圧バッグ状衝撃吸収体隔壁
4 加圧バッグ状衝撃吸収体のガス注入弁
5 バッグ状衝撃吸収体内ガス開放弁(閉じた状態)
6 衝撃時開放ガス誘導管あるいはチューブあるいはダクト部
7 ハンドル
8 ハンドルステー(管状にしてチューブ6の一部とされている)
9 ハンドル部(あるいは助手席前面用)エアバッグ収納部
10 前面ガラス部エアバッグ収納部
11 ダッシュボード部
12 衝突物体(ボンネット正面部へ)
13 衝突物体(ボンネット上部へ)
14 衝突物体で圧迫された加圧バッグ式衝撃吸収体部(ボンネット正面部)
15 衝突物体で圧迫された加圧バッグ式衝撃吸収体部(ボンネット上部)
16 バッグ状衝撃吸収体内ガス開放弁(開いた状態)
17 衝撃物体の圧迫と弁の開放による、加圧バッグからのガスの急激な流入で開いたハンドル部エアーバッグ
18 衝撃物体の圧迫と弁の開放による、加圧バッグからのガスの急激な流入で開いた前面ガラス外部エアーバッグ
19 搭乗者
20 ドア用加圧バッグ状側面衝撃吸収体
21 衝突物体で圧迫された加圧バッグ状側面衝撃吸収体部(ドア側面部)
22 窓ガラス部
23 ドア内面部
24 ボディー底部
25 窓用エアーバッグ収納部
26 衝撃物体の圧迫と弁の開放による、加圧バッグからのガスの急激な流入で開いた窓用エアーバッグ
27 窓ガラスレール
28 サイドインパクトビーム
29 後部搭乗者
30 後部加圧バッグ状衝撃吸収体(ボディー一部を構成する)
31 後部エアバッグ収納部
32 衝突物体で圧迫された加圧バッグ式衝撃吸収体部(後部)
33 衝突物体(後部へ)
34 バッグ状衝撃吸収体の内ガス開放弁(開いた状態)
35 衝撃物体の圧迫と弁の開放による、加圧バッグからのガスの急激な流入で開いた後部エアーバッグ
36 二輪車横転時に倒れるバックミラーとこれによって起動されたサイドバッグ内ガスの開放
37 状衝撃吸収体のサイドバッグ内ガスの開放弁の開口により加圧バッグからのガスの急激な流入で開いたサイドエアーバッグ
40 刺入矢41の保持点
40’ 刺入矢41を保持するための膜面間の距離を一定とするための線材
41 刺入による隔壁膜の裂開用刺入矢
41’ 刺入矢を先端から見たときの形状
42 刺入矢の仮支え部
43 加圧バッグ内ガス開放弁となる隔壁膜
44 刺入矢による裂開により開放状態となった隔壁膜残渣
45 衝撃により刺入矢が膜裂開後、行き止り、その為付け根部の筒部が折りたたまれた状態
46 O−リング
47 開放弁部の外側ブロック
47’ 開放弁部の外側ブロックを内側正面から見た図
48 加速度移動刺入駒
48’ 加速度移動刺入駒を先端部から見た図
49 電磁弁
50 加速度センサー
51 加速度センサーによる電磁弁制御部
52 車体フレーム(バッグ状衝撃吸収体受け面)
53 バッグ状衝撃吸収体の端面のたくり巻き部
54 バッグ状衝撃吸収体の端部保持ガイド
55 バッグ状衝撃吸収体の端部保持金具と固定用ビス
56 バッグ状衝撃吸収体
57 バッグ状衝撃吸収体の端部に膜が巻き込む間にいれて保持できるようにした保持用芯材(ロープ、プラスティック芯など)
58 押し出し材で作ったバッグ保持部
59 バッグ状衝撃吸収体の展開を規定する内部網構造(横方向)
60 バッグ状衝撃吸収体の展開を規定する内部網構造(縦方向)
61 バッグ状衝撃吸収体の内部に縦横に内部網構造あるいは内部にバッグユニット構造を形成してバッグ状衝撃吸収体の表面に凹凸や線が見える一例
62 バッグ状衝撃吸収体の内部にハニカム状の内部網構造を、あるいは内部にハニカム状バッグユニット構造を多数形成してバッグ状衝撃吸収体の表面にハニカム状の凹凸や線が見える一例
63 バッグ状衝撃吸収体の外部に形成された表層
64 外部に形成された表層63とバッグ状衝撃吸収体外面の間隙に発泡ウレタンなどの充填した充填材
65 バッグ状衝撃吸収体の表層の上に二重に形成された表層材あるいはコート
66 バッグ状衝撃吸収体の表層と二重に形成された表層材65を結合する結合部
67 バッグ状衝撃吸収体の上に形成されたバンパーなどの衝撃吸収あるいは衝撃伝播構造体
68 67とバッグ状衝撃吸収体の間に充填された発泡ウレタンなどの充填材
69 バッグ状衝撃吸収体の表層としてのゴムと繊維や線材との合成素材
70 69の線材を多く内部に含む端面保持部
71 3方電磁弁
72 展開エアーバッグの最末端部に開けられた小さなガス解放穴
73 エアーバッグ部
73’ 衝撃物体の圧迫と弁の開放による、バッグ状衝撃吸収体からのガスの急激な排出で開く下面巻き込み防止エアーバッグ
74 バッグ状衝撃吸収体保持面
74’ シートの金型加熱曲面加工と端面熔着で形成したバッグ状衝撃吸収体
75 シートの端面熔着機での押しつけ熔着
75’ 熔着した端面
76 端面・フレーム結合ビス
76’ ブチルゴムなどの弾性体で作られたバッグ内側形成体
77 繊維状バッグ外形形成体
77’ ガス封入で膨らみ、外形体を所定の形に形成した弾性バッグ
78 ブロー成型用外型
78’ ブロー体導入口でかつ開放弁設置フランジ形成型部
79 内面に設置されたバッグ状衝撃吸収体表層用繊維
79’ ブロー体
80 ブロー成型で一体となったブロー体と表層用繊維
80’ 車体取り付け部外型
81 バッグ状衝撃吸収体の端面に熔着された突起部
81’ バッグ状衝撃吸収体の端面押えプレート
82 バッグ状衝撃吸収体の端面押えプレートの押えビス
83 フレーム間で張られたテンション膜(網状繊維で形成しても良い)
84 テンション膜の縫製結合部
85 バッグを覆う、着せ替え用表層(例えば立体成型したシート状繊維素材や膜素材)
86 同じ車体を覆う異なった柄の着せ替え用表層
87 バッグ状衝撃吸収体の外面を覆う立体成型したシート状繊維またはフィルム
88 87でバッグ状衝撃吸収体の外面を覆うためのフック
89 外面を覆う立体成型したシート状繊維またはフィルムのフックへの固定例(この場合は縫い付け)
90 従来の自動車車体に取り付けるためのバッグ状衝撃吸収体(前後用)
91 従来の自動車車体に取り付けるためのバッグ状衝撃吸収体(ボンネット・トランクルーフ用)
92 ボンネットまたはトランクのルーフ板
93 自動車などのボディーの前部または後部ボディー
94 バンパー
95 バッグ固定用フック
96 ビスまたはボルトによるバッグ取り付けとその押し当て用の板
97 ガス注入用パイプ
98 開裂面に設置された外部エアーバッグ
99 空気胞を並べたシート
100 内側に空気胞を破る針先の様な先端細部を連ねた外部シート状繊維またはフィルム
101 移動体の取り付け面または従来の自動車など移動体のボディー表面
102 バッグ中央への衝撃
103 バッグ左右方向への衝撃
104 バッグ中央部衝撃を面として受ける剛性板
105 バッグ左右部衝撃を面のスイングとして受ける剛性板
106 105の剛性板のスイングヒンジ部
110 調圧弁(ガス注入部)
111 ガス排出弁駆動ロッド
112 バッグ変移による駆動型のガス開放弁
115 火花放電による膜破裂型ガス開放弁
116 加速度センサーによる開放弁制御部
117 火花放電発生制御部
120 膜切開型のガス開放弁
121 加速度センサーによる膜切開の制御部
122 電磁場の反発を利用した膜切開装置の1例
125 衝突物体
126 圧力波
127 圧力センサー
128 圧力センサー統合部
129 ガス開放弁
130 圧力センサーによる圧力統合アルゴリズムによるガス開放弁駆動制御部
135 Oリング密封回転弁型ガス開放弁
136 Oリング密封回転弁保持部
137 Oリング密封回転弁固定フック
138 加圧ガス噴き出し口
139 ガス弁制御部
140 ガスアキュミュレーターまたは蓄圧ガスシリンダー
141 Oリング密封回転弁型ガス開放弁のモーターまたは電磁回転駆動部
142 Oリング密封回転弁の回転軸
143 エアータイト回転軸受(例えばグリースしたO−リングの軸受)
144 回転弁ストッパーロッド位置調節機
145 膜状ガス開放弁
146 膜状ガス開放弁破裂用ヒーターまたは火薬
147 ヒーターまたは火薬発火用電源供給コード
148 膜状ガス開放弁保持フランジ
150 調圧弁
151 ガス配管
152 ガスアキュミュレーター または ガス貯圧シリンダー
153 ガスコンプレッサー または ガスポンプ
154 バッグ内圧調節制御機能を持ったガス開放弁駆動制御部
155 衝突物体(この場合は人間)
156 カメラ(この場合はデジタルビデオカメラまたはデジタルカメラ)
157 カメラの信号を受け画像処理により、衝突物体が車のどの位置にぶつかるか検出し、加速度センサーの信号とともに、どのタイミングでどの様に各ガス開放弁を開放するか制御する制御装置
158 カメラ映像のモニター(画像処理のイメージ図の為に挿入、画像処理されていれば、無くても良い)
160 加速度センサーからの信号例
161 5の1の弁制御における開放タイミングと開放時間の経時変化例
162 5の2の弁制御における開放タイミングと開放時間の経時変化例
163 5の3の弁制御における開放タイミングと開放時間の経時変化例
165 165−1、−2、−3とバッグが分割され独立したものが合体されたバッグ状衝撃吸収体の一例
166 位置センサー(例えば、レンズ付きリニアーCCDなど、近接センサーやレーダー(超音波、マイクロ波など)でも良い)
167 位置センサーまたは近接センサーにより、衝突物体が車のどの位置にぶつかるか検出し、加速度センサーの信号とともに、どのタイミングでどの様に各ガス開放弁を開放するか制御する制御装置
168 衝突物体
169 衝突により生じたバッグ内の衝撃波
170 170−1、−2、−3と各位置に置かれた圧力センサー
171 圧力センサーによる内圧の衝撃波の位置依存性から衝突物体が車のどの位置にぶつかるか検出し、加速度センサーの信号とともに、どのタイミングでどの様に各ガス開放弁を開放するか制御する制御装置
172 加速度センサーで検出された衝突時の加速度の時間変化例
173 170−1の位置の圧力センサーの圧力時間変化例とその時のガス開放弁の制御例
174 170−2の位置の圧力センサーの圧力時間変化例とその時のガス開放弁の制御例
175 170−3の位置の圧力センサーの圧力時間変化例とその時のガス開放弁の制御例
180 針差し用の針など
182 発泡ゴムや浸潤性ゴムあるいは浸潤空気硬化型液体
185 表層シート(裏面に導電性コートなどの導電処理)とバッグシート(表面か裏面に導電性コートなどの導電処理)の間の電気抵抗変化または電気容量変化を検出し、その後の圧力変化のしきい値以下への圧力低下を圧力センサーからの信号を検出し、アラームなどの制御を行う制御部
186 いたずら検出時の作動装置(例えばアラーム音発生装置)
190 ガス流出弁
191 ピストン・ガス流入逆止弁
192 ピストン・ガス流出逆止弁
195 サスペンション上下による駆動されるピストン兼ショックアブソーバー
196 タイヤ
197 サスペンションアーム
198 車体骨格
200 ガス流出調整電磁弁
201 ガス流出入調整電磁弁制御装置
202 温度・気圧センサー
205 タービン発電機
206 蓄電池
210 ガスアキュミュレーターまたはガス蓄圧シリンダー
211 ガス流入調節電磁弁
215 減圧アキュミュレーターまたはガス引圧蓄圧シリンダー
216 ブレーキブースター
217 ブレーキペダル
218 アクセルペダル
220 近接センサー
221 隔壁間のガス流通口
222 バッグ状衝撃吸収体カバー
223 バッグ状衝撃吸収体または衝撃吸収体の受け面
224 ボール状衝撃吸収体(一部にガス流出入口が形成されている)
225 連結ガス流出入口付ボール状衝撃吸収体
226 破裂型衝撃吸収ボール(中型)
227 破裂型衝撃吸収ボール(小型)
228 破裂型衝撃吸収ボール(大型)
230 成形金型外面に繊維などを金型に沿って配置する為に設けた吸引チャンネル
231 ブロー成形や射出成形でインサートする衝撃吸収体結合部品
232 衝撃吸収体の型
234 繊維
235 液体エラストマーを繊維にハケで含浸させ、形と密封性もったものを成形する一例
236 真空成形メス型
237 真空引きパイプ
238 真空ポンプ
238 バッグ状衝撃吸収体用成形材料
239 真空成型オス型
242 バッグ状衝撃吸収体のガス開放口の一例(全体形と相似の開放口)
243 Oリング密封ヒンジ結合型ガス開放弁
245 ソレノイド型電磁ガス開放弁フック
246 電磁ガス開放弁のヒンジ
247 弁補強板
248 電磁弁駆動電線
250 ガス開放口内部にセットされた、ガス放出量制御プレート
251 250のガス放出制御プレートの上下駆動部
255 ガス開放口
256 ガス開放口にセットされたガス放出時の粘性抵抗増加プレート
260 ガスシール
261 ガスシール部押え板
262 ガスシール部押え板支持フレーム
263 バッグ状衝撃吸収体延長部
265 ガスシール封止時
266 ガスシール開放時
270 自動車ボンネット
271 ボンネット用フロントガラス前面展開エアーバッグ
272 バッグ状衝撃吸収体
273 バッグ状衝撃吸収体内に設置された仕切り膜
274 バッグ状衝撃吸収体カバー
275 バッグ状衝撃吸収体内仕切り膜に設けられたガス開放口
277 ボンネットバッグ状衝撃吸収体用ガスシール例
278 ボンネットガスシール押えベルト
280 前面のガス封入バッグ(ガス開放弁無し)
281 前面バッグ衝撃拡散受け面
282 後段バッグ状衝撃吸収体
284 衝撃時、ガス開放弁開放ロッドまたはワイヤー
285 衝撃受けパイプ(前面インパクトビーム等)
286 前面のバッグ状衝撃吸収体
287 バッグ間ガス流通弁
288 バッグ内ガス開放弁
290 前面バッグ状衝撃吸収体
291 上面バッグ状衝撃吸収体
292 上面バッグ支え網
293 バッグ間結合マジックテープ(商標)
295 バッグ状衝撃吸収体カバー
297 タイヤ
298 車体ボディー
300 衝撃吸収ボディー受け面ヒンジ付き構造体
301 ステー
302 衝撃吸収ダンパー
305 サスペンション
306 ハンドル回転筒
307 ハンドル回転軸
308 開放ガス導入筒
310 ハンドル回転筒と開放ガス導入筒間のベアリング
312 ハンドルとハンドル回転軸間の結合軸
314 開放ガス導入筒
315 ハンドル回転ベアリング
316 ハンドル回転軸支持ベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にガスを一気圧以上充満し、移動体に固定され、少なくともその一部が移動体の衝撃を受ける面に配置された袋体において、当該袋体が一つ以上のガスの排出口とその排出口の封止機構を持ち、当該袋体の一部あるは全部に衝撃力を受けた際、当該封止機構が開放され、袋体の体積縮小と、同時に起こる、当該ガス排出口からの内部ガスの流動抵抗を持った流出により、衝撃力の力積の時間項を長くして衝撃力を低下させ衝撃を和らげる袋体(以下バッグ状衝撃吸収体と記述)およびその集合体としての装置および構造および本装置を装着した移動体。
【請求項2】
請求項1において、衝撃時に一気に流出するバッグ状衝撃吸収体からの流出ガスを、さらに当該袋体の排出口に管構造で密封的に連結された格納エアーバッグに誘導し、衝撃時に自動的に当該エアーバッグが、流入してきたガスで膨らみ展開して、衝突体が移動体にぶつかる時、移動体内部の乗員や外部の衝撃体をエアーバッグの表面で受け、衝撃を和らげるようになっていることを特徴とするバッグ状衝撃吸収体装置および構造および本装置を装着した移動体。
【請求項3】
請求項1において、衝撃時にバッグ状衝撃吸収体のガス流出口を開口する際、衝突時のバッグ状衝撃吸収体の被衝撃面の移動と連動して動く矢状装置の先端刃で弁となっている膜を裂開する、または、当該吸収体の被衝撃面の移動と連動して弁が当該吸収体の前後面の間に渡されているワイヤーやロッドで締め付けられていたポジションから緩むことで弁を開放する、または、衝撃加速度で押し出される重力体そのものが矢状刃になって弁となっている膜を裂開する、または、衝撃検知センサーや衝突予測システムにより、弁となっている電磁弁や回転弁などの制御弁を開口するまたは、弁となっている膜を火薬の点火で破ることを特徴とする装置および構造。
【請求項4】
請求項3において、衝撃物の衝突予測位置をビデオカメラと画像処理、あるいはラインセンサーやレーダーなどの位置検出器あるいは複数配置されたバッグ内圧力計での時間変化から検出し、移動体の移動速度や加速度の変化から衝撃の大きさを評価し、その程度に応じて、位置依存的に、バッグ内ガス流出弁の開閉を、時間およびタイミングおよびその開度を変えて行う装置およびシステム
【請求項5】
請求項1において、バッグ状衝撃吸収体の素材として、金属細線、ガラス繊維、化学繊維あるいはその繊維を2軸以上の織物として芯材としゴムや高分子素材で繊維間を充填したもの、あるいはそれらの芯材を金属薄板やシートまたは膜などのガスを通さないでかつ可動な材料と接着や熔着させて構成されたものであることを特徴とする装置および構造。
【請求項6】
請求項1のバッグ状衝撃吸収体を、繊維を表層に含浸し、ガス注入口およびガス開放弁の配置部および移動体本体との結合部を持った一つのブロー成型体または射出成型または真空成型で形成する製造方法
【請求項7】
請求項1において、袋体が左右ないしは前後に二つ以上接して移動体に配置され、衝撃を吸収することを特徴とするバッグ状衝撃吸収体装置および構造および本装置を装着した移動体。
【請求項8】
請求項1において、袋体が二つ以上移動体に結合される場合、その袋体間でも少なくとも1つ以上のガス流通口があり、必要に応じて当該ガス流通口にガス流通弁があり、衝撃時に、袋体間での流動抵抗をもったガスの流出入でも、衝撃を吸収することを特徴とするバッグ状衝撃吸収体装置および構造および本装置を装着した移動体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項において、設置されるバッグ状衝撃吸収体の一部あるは全部に、剛性が高く点の衝撃が面として広がる剛性体や剛性構造体を結合あるいはカバーし、衝撃をバッグ状衝撃吸収体に広く伝播させることを特徴とする装置および構造。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項において、移動体に設置されるバッグ状衝撃吸収体が、移動体の外層面、特に窓ガラス以外の衝撃や衝突を受ける外層面を中心とした移動体の形成部材の一部あるいは全部となっていることを特徴とする移動体構造および装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項において、バッグ状衝撃吸収体を移動体に結合する際、当該吸収体全体にかかる圧力を受ける受け面がネット状構造、フレーム状構造、格子状や多穴構造および曲面や折り曲げ構造やこれらの組み合わせ構造の軽量耐高負荷面構成として、移動車体の一部として形成していることを特徴とする移動体構造および装置。
【請求項12】
請求項1から11に記載のバッグ状衝撃吸収体ないし移動体の表層を、さらに、様々な意匠の繊維または繊維状シートまたは膜で覆う事で、移動体の意匠を随時変化できるようにしたもの
【請求項13】
請求項1から12に記載の移動体に設置されたバッグ状衝撃吸収体の加圧や、ブレーキ補助の引圧源として、移動体のサスペンションの上下運動をポンプ内の弁の上下運動として利用し、他のコンプレッサーなどの別エネルギーで稼働させる加圧装置を使わずに、移動体の移動に伴う運動を利用して省エネルギーを実現する加圧源あるいは引圧源とする装置およびシステム
【請求項14】
請求項1から13に記載のバッグ状衝撃吸収体の針刺しなどの穴あけいたずらを防ぐために、バッグ内面に発泡ゴムを添付し、穴からのガスの遺漏を防ぐと同時にバッグ膜面の共振を押えるか、あるいは、バッグ内面にコートした導電性表層の導電性や電気容量の変化からいたずらを検出しアラームなどの警報作動を行う装置およびシステム
【請求項15】
請求項13を除く、請求項1から14に記載のバッグ状衝撃吸収体を移動体側ではなく、静止している物体に設置し、移動体が当該静止物体に衝突する際に、その衝撃を吸収する構造、装置およびシステム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公開番号】特開2011−189924(P2011−189924A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118797(P2010−118797)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(507170653)株式会社HUMANIX (2)
【Fターム(参考)】