説明

近接照度センサおよびその製造方法

【課題】人間の視感度特性に合わせた視感度特性と小型化とを両立できる近接照度センサを提供する。
【解決手段】基板4と、基板4に実装された発光素子10と、基板4における発光素子10と同一の面に実装された、表面に光学フィルタが実装された照度センサ受光素子6と、基板4における発光素子10と同一の面に実装された距離検知用受光素子8と、照度センサ受光素子6をモールドする第1の可視光樹脂14と、第1の可視光樹脂14の周囲を覆うように基板4に設けられた可視光および赤外線カット樹脂16と、第1の可視光樹脂14における上記基板と接する面と対向する面全体を覆うように実装された赤外線カットフィルタ18とを備えていることを特徴とする近接照度センサ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の接近および照度を検知する近接照度センサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、センサ技術の発展は目覚ましく、種々の電子機器に各種センサが搭載されている。特に携帯電話への各種センサの搭載は顕著である。例えば、携帯電話における消費電力を低減するために、照度センサが検知した周囲の明るさに応じたバックライトの制御、および近接センサにより通話中と検知された場合にバックライトを消灯することが一般的になっている。また、カメラ機能に用いられるCCD(Charge Coupled Device)/CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサは、携帯電話に必須の構成となっている。
【0003】
このような各種センサのうち、照度センサ、イメージセンサまたはカラーセンサ等は、人間の視感度特性に近い分光感度特性を有する必要がある。さらに、上述した視感度特性と、小型化とを両立した各種センサの需要が高まっている。
【0004】
通常、照度センサの受光部には、シリコンフォトダイオードが用いられる。しかしながら、シリコンが有する感度の波長域は約300〜1000nmであり、人間の視感度とは大きく異なる。特に、シリコンは人間に視感できない赤外線(赤外域の光)に感度を有する。この赤外線をシリコンフォトダイオードに受光させないために、照度センサ、イメージセンサまたはカラーセンサ等に、光学フィルタの一種である赤外線カットフィルタを用いることが一般的になっている。この赤外線カットフィルタは、用途に応じて種々の形態が存在する。例えば、赤外線を反射する反射型または吸収する吸収型があり、また、ガラス基板に形成する薄膜状またはフィルム状のものがある。また、受光チップに直接赤外線カットフィルタまたは赤外線の一部のみを吸収するグリーンフィルターの膜を蒸着する方法もある。
【0005】
イメージセンサにおいては、受光チップ上に集光用マイクロレンズを配置するため、赤外線カットフィルタを受光チップと離れたホルダーに固定することが一般的となっている。
【0006】
また、照度センサの場合は、照度センサ全体を小型化するために、受光チップ上に人間の視感度に合わせた光学フィルタを蒸着して形成する方法が一般的となっている。
【0007】
特許文献1には、軽薄短小化を具現するために、IRカットフィルター層を、イメージセンサモジュール用ウェハレベルチップサイズパッケージのグラスウェハーにコーティングする技術が開示されている。
【0008】
特許文献2には、固体撮像素子の透明基板に、赤外線カットフィルタ基板を接合する技術が開示されている。
【0009】
特許文献3には、人間による視覚感度と受光素子によって得られる光感度とを整合させるために、一部が可視光波長域で透過特性を持つ第1フィルタであり、他の部分が可視光波長域で透過抑制特性を持つ、複数の色を持つカラーフィルタを具備する受光素子が開示されている。
【0010】
特許文献4には、分光透過率を調整することによって、人間の眼の感度に近い照度センサ用ーカラーフィルタを形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−73958号公報(公開日:2007年3月22日)
【特許文献2】特開2007−188909号公報(公開日:2007年7月26日)
【特許文献3】特開2006−313974号公報(公開日:2006年11月16日)
【特許文献4】特開2007−138135号公報(公開日:2007年6月7日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述した従来技術には次のような問題がある。
【0013】
照度センサにおいては、上述したように、照度センサ全体を小型化するために、受光チップ上に赤外線カットフィルタ等の光学フィルタを形成することが一般的になっている。しかしながら、受光チップ上の1つの光学フィルタのみにより赤外域から紫外域までの視感度特性を人間の視感度に合わせることは事実上困難である。すなわち、人間の視感度とずれが生じてしまう。
【0014】
また、光学フィルタを個々の電子機器に搭載する場合、入射光の波長に対する感度分布を搭載するアプリケーションに最適化するため、光学フィルタの形成プロセスまたは光学フィルタにおける各種条件を変更する必要がある。しかしながら、形成プロセスまたは各種条件を変更することは技術的、時間的および費用的に大きな負担となり、事実上困難である。
【0015】
また、特許文献1に記載の技術は、イメージセンサモジュールを軽薄短小化することはできる。しかしながら、上述したように、この1つの光学フィルタのみを用いる技術を照度センサに適用して、視感度特性を人間の視感度特性に合わせることは困難である。
【0016】
また、特許文献2に記載の技術は、固体撮像素子を小型化することはできる。しかしながら、特許文献1の技術と同様に、この技術を照度センサに適用して視感度特性を人間の視感度特性に合わせることは困難である。
【0017】
また、特許文献3に記載の技術は、カラーフィルタを具備することにより視感度特性を向上させることはできるが、照度センサの小型化との両立を実現する技術は開示されていない。
【0018】
また、特許文献4に記載の技術は、照度センサにおける視感度特性を向上することはできるが、特許文献3に記載の技術と同様に、照度センサの小型化との両立を実現する技術は開示されていない。
【0019】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、人間の視感度特性に合わせた視感度特性と小型化とを両立できる近接照度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明に係る近接照度センサは、基板と、上記基板に実装された発光素子と、上記基板における上記発光素子と同一の面に実装された、表面に光学フィルタが実装された照度センサ受光素子と、上記基板における上記発光素子と同一の面に実装された距離検知用受光素子と、上記照度センサ受光素子をモールドする第1の可視光樹脂と、上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板に設けられた可視光および赤外線カット樹脂と、上記第1の可視光樹脂における、上記基板と接する面と対向する面全体を覆うように実装された赤外線カットフィルタとを備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、本発明の近接照度センサにおいて、上記基板に実装された照度センサ受光素子は、第1の可視光樹脂によってモールドされている。上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板には、上記可視光および赤外線カット樹脂が設けられている。また、上記第1の可視光樹脂における上記基板と接する面と対向する面全体は、光学フィルタである上記赤外線カットフィルタによって覆われている。この赤外線カットフィルタにより、対象物との距離を検知するために上記発光素子から放射された赤外線が、対象物に反射して上記照度センサ受光素子に入射することを防止できる。また、照度センサ受光素子表面には、光学フィルタが形成されている。以上の2つの光学フィルタにより、照度センサ受光素子の視感度特性を人間の視感度特性に近づけることができる。
【0022】
また、上記赤外線カットフィルタにより、上記発光素子から放射された赤外線が上記照度センサ受光素子に入射することはないため、上記照度センサ受光素子を、上記発光素子および上記距離検知用受光素子と同一の基板上に実装することができる。したがって、上記発光素子、上記照度センサ受光素子および上記距離検知用受光素子とを一体型パッケージ内において実装することにより、近接照度センサ全体を小型化することができる。
【0023】
以上により、近接照度センサは、人間の視感度特性に近づいた視感度特性と装置の小型化とを両立できるという効果を奏する。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明に係る近接照度センサの製造方法は、基板に発光素子を実装する工程と、上記基板における上記発光素子と同一の面に、表面に光学フィルタが実装された照度センサ受光素子を実装する工程と、上記基板における上記発光素子と同一の面に、距離検知用受光素子を実装する工程と、上記照度センサ受光素子を第1の可視光樹脂によりモールドする工程と、上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板に可視光および赤外線カット樹脂を形成する工程と、上記第1の可視光樹脂に、赤外線カットフィルタを実装する工程とを含んでいることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、本発明に係る近接照度センサと同様の作用効果を奏する。
【0026】
本発明に係る近接照度センサは、上記距離検知用受光素子をモールドする第2の可視光樹脂と、上記第2の可視光樹脂における上記基板と接する面と対向する面全体を覆うように実装された可視光カットフィルタとを備えていることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記近接照度センサの上記距離検知用受光素子をモールドする第2の可視光樹脂における、上記基板と接する面と対向する面全体を覆うように可視光カットフィルタが実装されている。これにより、上記距離検知用受光素子に可視光が入射することを防止できるため、より精度の高い距離検知を実現することができる。したがって、より距離検知精度の高い近接照度センサを実現できるという更なる効果を奏する。
【0028】
本発明に係る近接照度センサにおける上記赤外線カットフィルタは、上記第1の可視光樹脂との境界面においては上記第1の可視光樹脂の屈折率に近い屈折率を有しており、上記第1の可視光樹脂と接する面と対向する面である空気との境界面においては空気の屈折率に近い屈折率を有していることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、上記赤外線カットフィルタと上記空気との境界面における屈折率の差は小さい。このため、当該境界面における入射光の反射を減少させることができる。同様に、上記赤外線カットフィルタと上記第1の可視光樹脂との境界面における屈折率の差は小さいため、当該境界面における入射光の反射を減少させることができる。以上により、上記照度センサ受光素子に入射する光の反射を減少させることができるため、照度 センサ受光素子による照度測定の精度が向上する。したがって、より照度検知精度の高い近接照度センサを実現できるという更なる効果を奏する。
【0030】
本発明に係る近接照度センサにおける上記赤外線カットフィルタは、赤外線を除去する金属多膜層をさらに備えていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、上記近接照度センサにおける上記赤外線カットフィルタは、金属多膜層を備えている。上記金属多膜層は、可視光は透過させるが赤外線は反射する。これにより、上記照度センサ受光素子への赤外線の入射をさらに確実に防止することができるため、上記照度センサ受光素子による照度測定の精度が向上する。したがって、より照度検知精度の高い近接照度センサを実現できるという更なる効果を奏する。
【0032】
本発明に係る近接照度センサにおける上記赤外線カットフィルタと上記第1の可視光樹脂とは、上記赤外線カットフィルタの屈折率と上記第1の可視光樹脂の屈折率との間の屈折率を有する接着剤によって接着されていることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、上記接着剤と上記赤外線カットフィルタとの境界面における屈折率の差は小さい。また、上記接着剤と上記第1の可視光樹脂との境界面における屈折率の差は小さい。以上により、上記接着剤層に入射する光の反射率を減少させることができるため、上記照度センサ受光素子に入射する光の反射を減少させることができる。光の反射が減少するため、照度センサ受光素子による照度測定の精度が向上する。したがって、より照度検知精度の高い近接照度センサを実現できるという更なる効果を奏する。
【0034】
本発明に係る近接照度センサにおける上記接着剤は、可視光透過性であり、かつUV硬化性または熱硬化性であることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、上記接着剤はUV硬化性または熱硬化性である。このため、UV照射または加熱することによって、製造工程が簡略化され、室温硬化性接着剤を用いるよりも短時間において強力な接着をすることができる。したがって、近接照度センサの生産性が向上するという更なる効果を奏する。
【0036】
本発明に係る近接照度センサにおける上記赤外線カットフィルタと上記第1の可視光樹脂とは、可視光透過性である両面テープによって接着されていることが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、上記赤外線カットフィルタと上記第1の可視光樹脂とは、可視光透過性である両面テープによって接着されている。上記両面テープは、予め上記赤外線カットフィルタ全体に接着しておくことができ、その後上記赤外線カットフィルタを使用する大きさにカッティングすることができる。これにより、製造工程が簡略化され、作業時間全体を短縮することができる。したがって、近接照度センサの生産性が向上するという更なる効果を奏する。
【0038】
本発明に係る近接照度センサにおける上記可視光および赤外線カット樹脂は、上記赤外線カットフィルタの周囲を覆うように設けられていることが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、上記赤外線カットフィルタの周囲を覆うように可視光および赤外線カット樹脂が設けられている。このため、上記赤外線カットフィルタ側面からの赤外線の入射を防止することができる。赤外線の入射をより確実に防止することができるため、照度センサ受光素子による照度測定の精度が向上する。したがって、より照度検知精度の高い近接照度センサを実現できるという更なる効果を奏する。
【0040】
本発明に係る近接照度センサにおける上記赤外線カットフィルタは、円板形状であることが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、上記近接照度センサにおける上記赤外線カットフィルタは円板形状である。このため、上記赤外線カットフィルタを上記第1の可視光樹脂に実装するために、コレット等に吸着および搬送する工程において、上記赤外線カットフィルタが回転したとしてもコレット等と赤外線カットフィルタとの相対位置は変化しない。したがって、上記赤外線カットフィルタが回転したとしても上記赤外線カットフィルタの実装に何ら影響を与えることはないという更なる効果を奏する。
【0042】
本発明に係る近接照度センサにおける上記照度センサ受光素子には、上記基板に対して垂直方向に貫通電極が形成されており、上記照度センサ受光素子における上記基板と接する面と対向する面には上記赤外線カットフィルタが実装されており、上記第1の可視光樹脂は、上記照度センサ受光素子全体をモールドしており、上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板に金属製ケースが設けられていることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、上記照度センサ受光素子には貫通電極が形成されている。上記照度センサ受光素子に貫通電極が形成されているため、上記基板と上記照度センサ受光素子とを電気的に接続するために、金線によりワイヤボンドする必要がない。金線が不要であるため、近接照度センサをさらに小型化できる。なお、上記照度センサ受光素子に形成する端子類は、上記照度センサ受光素子における上記基板と接する面と対向する面には形成しない。これにより、上記基板と接する面に対向する面に赤外線カットフィルタを実装することができる。
【0044】
また、上記照度センサ受光素子全体をモールドしている可視光樹脂の周囲を覆うように金属製ケースが設けられている。これにより、赤外線が上記照度センサ受光素子に入射することを防止できるとともに、ノイズに対する近接照度センサの耐性が向上するという更なる効果を奏する。
【0045】
本発明に係る近接照度センサにおいて、上記基板の垂直方向における上記距離検知用受光素子の中心は、上記発光素子と、上記基板の垂直方向における、上記可視光および赤外線カット樹脂が設けられていない開口部の中心との間にあることが好ましい。
【0046】
上記の構成によれば、上記可視光および赤外線カット樹脂が設けられていない開口部の中心は、上記距離検知用受光素子の中心よりも、上記発光素子から離れた位置にある。これにより、上記発光素子から放射された赤外線が、上記近接照度センサを保護するための透明パネルに反射して上記距離検知用受光素子に入射することを防止できる。近接照度センサは、この赤外線の入射による誤作動を防止できるため、より精度の高い距離検知を実現することができる。したがって、より距離検知精度の高い近接照度センサを実現できるという更なる効果を奏する。
【発明の効果】
【0047】
以上のように、本発明に係る近接照度センサは、基板と、上記基板に実装された発光素子と、上記基板における上記発光素子と同一の面に実装された、表面に光学フィルタが実装された照度センサ受光素子と、上記基板における上記発光素子と同一の面に実装された距離検知用受光素子と、上記照度センサ受光素子をモールドする第1の可視光樹脂と、 上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板に設けられた可視光および赤外線カット樹脂と、上記第1の可視光樹脂における、上記基板と接する面と対向する面全体を覆うように実装された赤外線カットフィルタとを備えている。したがって、人間の視感度特性に合わせた視感度特性と小型化とを両立できる近接照度センサを実現できる。
【0048】
また、本発明に係る近接照度センサの製造方法は、以上のように、基板に発光素子を実装する工程と、上記基板における上記発光素子と同一の面に、表面に光学フィルタが実装された照度センサ受光素子を実装する工程と、上記基板における上記発光素子と同一の面に、距離検知用受光素子を実装する工程と、上記照度センサ受光素子を第1の可視光樹脂によりモールドする工程と、上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板に可視光および赤外線カット樹脂を形成する工程と、上記第1の可視光樹脂に、赤外線カットフィルタを実装する工程とを含んでいる。したがって、人間の視感度特性に合わせた視感度特性と小型化とを両立できる近接照度センサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの構成を示す断面図である。
【図2】図2は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの他の構成を示す断面図である。
【図3】図3は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの照度センサ受光素子周辺の構成を示す断面図である。
【図4】図4は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの照度センサ受光素子周辺における他の構成を示す断面図である。
【図5】図5は本発明の実施形態を示すものであり、赤外線カットフィルタの構成を示す断面図である。
【図6】図6は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの照度センサ受光素子周辺における他の構成を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの照度センサ受光素子周辺における他の構成を示す断面図である。
【図8】図8は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの照度センサ受光素子周辺における他の構成を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの照度センサ受光素子周辺における他の構成を示す上面図である。
【図10】図10は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの照度センサ受光素子周辺における他の構成を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の実施形態を示すものであり、近接照度センサの他の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
〔実施形態1〕
本発明に係る近接照度センサ1の一実施形態について、図面を参照して以下に説明する。
【0051】
(近接照度センサ1の構成)
まず、本実施形態に係る近接照度センサ1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、近接照度センサ1の構成を示す断面図である。この図に示すように、近接照度センサ1は、ガラスエポキシ樹脂基板4、照度センサ受光素子6、距離検知用受光素子8、赤外線発光素子10、金線12、可視光樹脂14、赤外線カット樹脂16、および赤外線カットフィルタ18を備えている。近接照度センサ1においては、赤外線発光素子10から放射され、対象物に反射した赤外線が距離検知用受光素子8に入射することによって距離を検知する。なお、照度センサ部2は、ガラスエポキシ樹脂基板4、照度センサ受光素子6、金線12、可視光樹脂14、赤外線カット樹脂16、および赤外線カットフィルタ18を備えており、その詳細は参照する図面を換えて後述する。
【0052】
近接照度センサ1は、ガラスエポキシ樹脂基板4の同一の面に、照度センサ受光素子6、距離検知用受光素子8、および赤外線発光素子10が、互いに接触しないように実装されている。照度センサ受光素子6、距離検知用受光素子8、および赤外線発光素子10は、金線12によりガラスエポキシ樹脂基板4と電気的に接続されている。
【0053】
照度センサ受光素子6、距離検知用受光素子8および赤外線発光素子10各々は、可視光樹脂14によってモールドされている。距離検知用受光素子8および赤外線発光素子10は、基板4と接する面と対向する面が可視光樹脂14によってレンズ形状にモールドされている。照度センサ受光素子6、距離検知用受光素子8および赤外線発光素子10をモールドしている可視光樹脂14の周囲を覆うようにガラスエポキシ樹脂基板4には、可視光および赤外線カット樹脂16が設けられている。換言すれば、可視光樹脂14におけるガラスエポキシ樹脂基板4と接する面、およびガラスエポキシ樹脂基板4と接する面と対向する面以外の面には可視光および赤外線カット樹脂16が設けられている。これにより、照度センサ受光素子6、距離検知用受光素子8および赤外線発光素子10は互いに可視光および赤外線が遮断される。例えば、これにより、赤外線発光素子10から放射された赤外線が、照度センサ受光素子6または距離検知用受光素子8に直接入射することはない。
【0054】
照度センサ受光素子6におけるガラスエポキシ樹脂基板4と接する面と対向する面の可視光樹脂14は、光学フィルタである赤外線カットフィルタ18によって覆われている。この赤外線カットフィルタ18により、赤外線発光素子10から放射された赤外線が、対象物に反射して照度センサ受光素子6に入射することを防止できる。また、照度センサ受光素子6表面には、図示しないが人間の視感度に合わせるための光学フィルタが実装されている。この2つの光学フィルタにより、照度センサ受光素子6の視感度特性を人間の視感度特性に近づけることができる。また、照度センサ受光素子6のダイナミックレンジを向上させることができる。
【0055】
また、赤外線カットフィルタ18により、赤外線発光素子10から放射された赤外線が照度センサ受光素子6に入射することを防止できるため、照度センサ受光素子6を、赤外線発光素子10および距離検知用受光素子8と同一の基板上に実装することができる。これにより、発光素子10、照度センサ受光素子6および距離検知用受光素子8とを一体型パッケージ内において実装できる。したがって、近接照度センサ1全体を小型化できる。
【0056】
また、近接照度センサ1の距離検知用受光素子8には、可視光カットフィルタ20が実装されていることが好ましい。これについて図2を参照して説明する。図2に示す近接照度センサ1’は、距離検知用受光素子8におけるガラスエポキシ樹脂基板4と接する面と対向する面全体を覆うように、可視光カットフィルタ20が実装されている。可視光カットフィルタ20を実装することにより、距離検知用受光素子8に可視光が入射することを防止できる。これにより、距離検知用受光素子8は、より高精度に対象物の接近を検知することができる。
【0057】
次に、近接照度センサ1の照度センサ受光素子6周辺における製造方法について、図3を参照して説明する。図3は、近接照度センサ1および1’の照度センサ受光素子6周辺である照度センサ部2を示す断面図である。照度センサ部2の製造においては、まずガラスエポキシ樹脂基板4上に、フォトダイオードと受光電流増幅回路とを組み合わせた素子である照度センサ受光素子6をダイボンドする。なお、照度センサ受光素子6は、演算回路を組み合わせた素子であってもよいし、フォトダイオードそのものであってもよい。
【0058】
次に、ガラスエポキシ樹脂基板4と照度センサ受光素子6とを、金線12を用いてワイヤボンドする。これにより、ガラスエポキシ樹脂基板4と照度センサ受光素子6とが電気的に接続される。ガラスエポキシ樹脂基板4と照度センサ受光素子6とをワイヤボンドした後に、照度センサ受光素子6を可視光樹脂14によってモールドする。
【0059】
次に、可視光樹脂14における、ガラスエポキシ樹脂基板4と接する面と対向する面以外の面を覆うように、可視光樹脂14を可視光および赤外線カット樹脂16を形成する。可視光および赤外線カット樹脂16を形成する際に、可視光樹脂14および可視光および赤外線カット樹脂16は、ガラスエポキシ樹脂基板4から垂直方向に等しい距離において平坦に設けられる。
【0060】
照度センサ受光素子6は、上方部から光を取り入れる必要がある。このため、可視光および赤外線カット樹脂16を形成する際に、可視光樹脂14を金型で抑えて、照度センサ受光素子6上方部を可視光および赤外線カット樹脂16によって覆わないようにする。なお、可視光樹脂14および可視光および赤外線カット樹脂16は、エポキシ系樹脂といった熱硬化性樹脂である。
【0061】
可視光樹脂14および可視光および赤外線カット樹脂16を形成した後に、照度センサ受光素子6におけるガラスエポキシ樹脂基板4と接する面と対向する面の可視光樹脂14上に、赤外線カットフィルタ18を実装する。
【0062】
また、赤外線カットフィルタ18は、ガラスの屈折率がガラスエポキシ樹脂基板4に対して垂直方向に変化するガラス材料である赤外線カットフィルタ18aを使用してもよい。これについて図4を参照して説明する。図4は、ガラスの屈折率が変化する赤外線カットフィルタ18aを用いた照度センサ部2aの断面図である。ガラス材料である赤外線カットフィルタ18aの屈折率は、ガラスエポキシ樹脂基板4と接する面と対向する面である空気との境界面においては空気の屈折率すなわち1に近い値であり、可視光樹脂14表面に近づくにつれて少しずつ大きくなり、可視光樹脂14表面においては可視光樹脂14の屈折率に近い値となる。エポキシ樹脂である可視光樹脂14は、屈折率が1.5〜1.6程度であるため、赤外線カットフィルタ18aの屈折率は1〜1.5まで連続的に変化する。
【0063】
屈折率が異なる物質の境界面では屈折率差が大きい程光の反射率が大きくなる。赤外線カットフィルタ18aは、上述したように、可視光樹脂14または空気との境界面での屈折率差を小さくしている。また、その内部においても連続的に屈折率を変化させている。以上により、上記照度センサ受光素子に入射する光の反射を減少させることができる。したがって、より人間の視感度特性に近づけた光を入射させることができる。
【0064】
また、ガラス板上に金属多層薄膜22が形成された赤外線カットフィルタ18bを使用してもよい。これについて図5を参照して説明する。図5は、ガラス板24に金属多層薄膜22が形成された赤外線カットフィルタ18bの断面図である。赤外線カットフィルタ18bは、光の入射側から金属多層薄膜22と、赤外線カットフィルタ18aと同様の材料であるガラス板24とによって構成されている。まず、外部からの入射光のうち、可視光は金属多層薄膜22を透過し、一方、赤外線は金属多層薄膜22により反射する。金属多層薄膜22を透過した可視光の反射率は、ガラス板24により減少させる。このように、赤外線カットフィルタ18bは、赤外線カットフィルタ18aと比較してより赤外線を透過させにくくし、かつ、可視光の反射率を減少させる。これにより、赤外線カットフィルタ18bは、赤外線カットフィルタ18aよりも、透過する光を人間の視感度特性により近づけることができる。したがって、より高精度の近接照度センサ1および1’を実現することができる。
【0065】
〔実施形態2〕
次に、近接照度センサ1および1’の照度センサ部2における他の製造方法について図6を参照して説明する。図6に示す照度センサ部2bは、赤外線カットフィルタ18を接着剤26によって接着する点において、実施形態1の照度センサ部2と異なる。なお、照度センサ部2bにおいて、照度センサ部2と同様の箇所は説明を省略する。
【0066】
接着剤26は、赤外線カットフィルタ18と可視光樹脂14との間の屈折率を有する。これにより境界面における屈折率の差が小さくなるため、接着剤26層に入射する光の反射率を減少させることができる。
【0067】
照度センサ部2bにおいて赤外線カットフィルタ18を接着する接着剤26は可視光透過性である。また、常温硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、または熱硬化性樹脂を用いることができる。UV硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることにより、UV照射または加熱することによって短時間において強力に接着することができる。また、接着剤の換わりに、リフロー工程に対する耐熱性を有する可視光透過性の両面テープを用いてもよい。両面テープは、カッティング前の赤外線カットフィルタ18に予め貼り付けることもできる。このため、接着剤26を使用する場合と比較して製造工程を簡略化することができる。なお、接着剤または両面テープの材料次第では、費用を削減することができる。
【0068】
〔実施形態3〕
次に、近接照度センサ1および1’の照度センサ部2における他の製造方法について図7を参照して説明する。図7に示す照度センサ部2cは、可視光および赤外線カット樹脂16の形状が、実施形態2の照度センサ部2bと異なる。なお、照度センサ部2cにおいて、照度センサ部2bと同様の箇所は説明を省略する。
【0069】
照度センサ部2cにおいては、可視光および赤外線カット樹脂16を、図7に示すように段差を付けて形成する。すなわち、照度センサ受光素子6近辺の可視光および赤外線カット樹脂16を可視光樹脂14と同じ高さに形成して、照度センサ受光素子6からより離れた可視光および赤外線カット樹脂16を可視光樹脂14よりも高く形成する。
【0070】
次に、可視光樹脂14および可視光樹脂14と同じ高さに形成した可視光および赤外線カット樹脂16上に接着剤26を塗布し、赤外線カットフィルタ18を接着する。この構成により、赤外線カットフィルタ18の周囲、すなわち赤外線カットフィルタ18における第1の可視光樹脂14と接する面と対向する面以外の面は、可視光および赤外線カット樹脂16に覆われる。このため、赤外線カットフィルタ18の側面から照度センサ受光素子6への赤外線の入射をより確実に防止することができる。したがって、より高精度の近接照度センサ1および1’を実現することができる。
【0071】
また、照度センサ部2cにおいては、可視光および赤外線カット樹脂16を形成してから赤外線カットフィルタ18を接着した。しかしながら、赤外線カットフィルタ18を接着してから可視光および赤外線カット樹脂16を形成してもよい。これについて図8を参照して説明する。図8に示す照度センサ部2dは、赤外線カットフィルタ18を可視光樹脂14上に接着した後、赤外線カットフィルタ18および可視光樹脂14を覆うように可視光および赤外線カット樹脂16を形成する。この構成により、照度センサ部2cと同様の効果が得られる。
【0072】
また、赤外線カットフィルタ18は、円板形状であることが好ましい。これについて図9を参照して説明する。図9は、円板形状である赤外線カットフィルタ18を用いた照度センサ部2eの上面図である。通常、赤外線カットフィルタ18は、コレット等に吸着して搬送され、可視光樹脂14に実装される。赤外線カットフィルタ18が円板形状であれば、コレット等に吸着および搬送される工程において、赤外線カットフィルタ18が回転したとしても実装に何ら影響を与えることがない。
【0073】
〔実施形態4〕
次に、近接照度センサ1および1’の照度センサ部2における他の製造方法について図10を参照して説明する。図10に示す照度センサ部2fは、照度センサ受光素子6に貫通電極28が形成されている。これにより、金線12を用いてワイヤボンドしなくとも、照度センサ受光素子6はガラスエポキシ樹脂基板4と電気的に接続できる。このため、近接照度センサ1をさらに小型化できる。
【0074】
また、照度センサ部2fにおいては、接着剤26を用いて、赤外線カットフィルタ18をガラスエポキシ樹脂基板4に接着する。次に、照度センサ受光素子6および赤外線カットフィルタ18全体を可視光樹脂14によってモールドする。次に、図示はしないが、可視光樹脂14の周囲を覆うようにガラスエポキシ樹脂基板4に金属製ケースが設ける。この金属性ケースにより、赤外線が照度センサ受光素子6に入射することを防止できるとともに、ノイズに対する耐性を向上させることができる。
【0075】
以上のように、照度センサ部2fにおいては、金線12を用いる必要が無いため全体を小型化することができる。また、ワイヤボンド工程が不要であるため製造が容易となる。
【0076】
〔実施形態5〕
次に、近接照度センサ1の他の製造方法について図11を参照して説明する。図11に示す近接照度センサ1’’は、距離検知用受光素子8の開口部の位置が、実施形態1の近接照度センサ1と異なる。なお、近接照度センサ1’’において、近接照度センサ1と同様の箇所は説明を省略する。
【0077】
近接照度センサ1’’は、可視光および赤外線カット樹脂16が設けられていない開口部の中心32が、距離検知用受光素子8の中心30よりも、赤外線発光素子10から離れた位置にある。これにより、赤外線発光素子10から照射された赤外線が、近接照度センサ1’’を保護するためのパネル34に反射して距離検知用受光素子8に入射することを防止できる。したがって、赤外線発光素子10から照射された光が距離検知用受光素子8に入射することによる誤作動を防止できる。なお、近接照度センサ1’’において、近接照度センサ1’と同様に、距離検知用受光素子8におけるガラスエポキシ樹脂基板4と接する面と対向する面に、可視光カットフィルタ20を実装してもよい。
【0078】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
本発明は、例えば、以下のように表現することもできる。
【0080】
1.発光素子及び照度を検知する受光素子、近接物との距離を検知する受光素子が基板上実装され、前記発光素子及び前記受光素子は各々可視光樹脂でモールドされ、かつ、前記可視光樹脂の周囲を可視光及び赤外線カット樹脂で分離するようにモールドされ、前記発光素子及び前記受光素子の光の通過する可視光樹脂表面が開口している近接照度センサにおいて、照度を検知する受光素子をモールドする可視光樹脂上には赤外カットフィルタが形成され、前記赤外カットフィルタは可視光が減衰すること無く受光部に入射すると同時に赤外線が受光部に入射しないことを特徴とする近接照度センサ。
【0081】
2.発光素子及び照度を検知する受光素子、近接物との距離を検知する受光素子が基板上実装され、前記発光素子及び前記受光素子は各々可視光樹脂でモールドされ、かつ、前記可視光樹脂の周囲を可視光及び赤外線カット樹脂で分離するようにモールドされ、前記発光素子及び前記受光素子の光の通過する可視光樹脂表面が開口している近接照度センサにおいて、照度を検知する受光素子をモールドする可視光樹脂上には、赤外カットフィルタが形成され、前記赤外カットフィルタは可視光が減衰すること無く受光部に入射すると同時に赤外線が受光部に入射し、近接物との距離を検知する受光素子をモールドする可視光樹脂上には可視光カットフィルタが形成されていることを特徴とする近接照度センサ。
【0082】
3.1または2の近接照度センサにおいて、前記赤外線カットフィルタは受光部に近い部分ほど大きい屈折率分布を持つ事を特徴とする近接照度センサ。
【0083】
4.1から3の近接照度センサにおいて、前記赤外線カットフィルタはガラスと金属多層膜で構成されており、前記ガラスは受光部に近い部分ほど大きい屈折率分布を有し、かつ前記ガラス上に形成された前記金属多層膜は赤外線を除去する事を特徴とする近接照度センサ。
【0084】
5.1から4の近接照度センサにおいて、赤外線カットフィルタと可視光透過性樹脂は接着剤で接着されており、前記接着剤の屈折率は赤外線カットフィルタの接着面側の屈折率と可視光透過性樹脂の屈折率の間であることを特徴とする近接照度センサ。
【0085】
6.1から5の近接照度センサにおいて、前記接着剤はUV硬化性または熱硬化性であり、かつ可視光透過性であることを特徴とする近接照度センサ。
【0086】
7.1から4の近接照度センサにおいて、可視光透過性の両面テープで赤外線カットフィルタと可視光透過性樹脂を接着する事を特徴とする近接照度センサ。
【0087】
8.1から6の近接照度センサにおいて、可視光および赤外線カット樹脂開口部を含み、赤外線カットフィルタよりも大きく、赤外線カットフィルタ厚以上の深さの凹部を持つことを特徴とする近接照度センサ。
【0088】
9.8の近接照度センサにおいて、前記赤外線カットフィルタが円板状であることを特徴とする近接照度センサ。
【0089】
10.1から9の近接照度センサにおいて、赤外線カットフィルタが可視光樹脂と可視光及び赤外線カット樹脂の間にあり、赤外線カットフィルタの縁部分が可視光及び赤外線カット樹脂に覆われていることを特徴とする近接照度センサ。
【0090】
11.1から7の近接照度センサにおいて、照度を検知する受光素子は、受光チップに貫通電極が形成され、チップ裏面から電極を取り出すことによってワイヤボンドが不要で、受光面上に赤外線カットフィルタが接着されその外側をチップ保護用の可視光樹脂が覆っていることを特徴とする近接照度センサ。
【0091】
12.1から11の近接照度センサにおいて、近接物との距離を検知する受光素子は、前記受光素子の受光面中心軸に対して、可視光及び赤外線カット樹脂の開口部中心軸が、前記発光素子の配置されている側と逆の方向に一定距離ずれていることを特徴とする近接照度センサ。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の近接照度センサは、対象物の接近および照度を検知する必要のある電子機器一般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 近接照度センサ
2 照度センサ部
4 ガラスエポキシ樹脂基板(基板)
6 照度センサ受光素子
8 距離検知用受光素子
10 赤外線発光素子(発光素子)
12 金線
14 可視光樹脂(第1の可視光樹脂 第2の可視光樹脂)
16 可視光および赤外線カット樹脂
18、18a、18b 赤外線カットフィルタ
20 可視光カットフィルタ
22 金属多層薄膜(金属多層膜)
24 ガラス板
26 接着剤
28 貫通電極
30 距離検知用受光素子の中心
32 赤外線カット樹脂の開口部の中心(開口部の中心)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
上記基板に実装された発光素子と、
上記基板における上記発光素子と同一の面に実装された、表面に光学フィルタが実装された照度センサ受光素子と、
上記基板における上記発光素子と同一の面に実装された距離検知用受光素子と、
上記照度センサ受光素子をモールドする第1の可視光樹脂と、
上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板に設けられた可視光および赤外線カット樹脂と、
上記第1の可視光樹脂における、上記基板と接する面と対向する面全体を覆うように実装された赤外線カットフィルタとを備えていることを特徴とする近接照度センサ。
【請求項2】
上記距離検知用受光素子をモールドする第2の可視光樹脂と、
上記第2の可視光樹脂における上記基板と接する面と対向する面全体を覆うように実装された可視光カットフィルタとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の近接照度センサ。
【請求項3】
上記赤外線カットフィルタは、上記第1の可視光樹脂との境界面においては上記第1の可視光樹脂の屈折率に近い屈折率を有しており、上記第1の可視光樹脂と接する面と対向する面である空気との境界面においては空気の屈折率に近い屈折率を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の近接照度センサ。
【請求項4】
上記赤外線カットフィルタは、赤外線を除去する金属多膜層をさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の近接照度センサ。
【請求項5】
上記赤外線カットフィルタと上記第1の可視光樹脂とは、上記赤外線カットフィルタの屈折率と上記第1の可視光樹脂の屈折率との間の屈折率を有する接着剤によって接着されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の近接照度センサ。
【請求項6】
上記接着剤は、可視光透過性であり、かつUV硬化性または熱硬化性であることを特徴とする請求項5に記載の近接照度センサ。
【請求項7】
上記赤外線カットフィルタと上記第1の可視光樹脂とは、可視光透過性である両面テープによって接着されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の近接照度センサ。
【請求項8】
上記可視光および赤外線カット樹脂は、上記赤外線カットフィルタの周囲を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の近接照度センサ。
【請求項9】
上記赤外線カットフィルタは、円板形状であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の近接照度センサ。
【請求項10】
上記照度センサ受光素子には、上記基板に対して垂直方向に貫通電極が形成されており、
上記照度センサ受光素子における上記基板と接する面と対向する面には上記赤外線カットフィルタが実装されており、
上記第1の可視光樹脂は、上記照度センサ受光素子全体をモールドしており、
上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板に金属製ケースが設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の近接照度センサ。
【請求項11】
上記基板の垂直方向における上記距離検知用受光素子の中心は、上記発光素子と、上記基板の垂直方向における、上記可視光および赤外線カット樹脂が設けられていない開口部の中心との間にあることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の近接照度センサ。
【請求項12】
基板に発光素子を実装する工程と、
上記基板における上記発光素子と同一の面に、表面に光学フィルタが実装された照度センサ受光素子を実装する工程と、
上記基板における上記発光素子と同一の面に、距離検知用受光素子を実装する工程と、
上記照度センサ受光素子を第1の可視光樹脂によりモールドする工程と、
上記第1の可視光樹脂の周囲を覆うように上記基板に可視光および赤外線カット樹脂を形成する工程と、
上記第1の可視光樹脂に、赤外線カットフィルタを実装する工程とを含んでいることを特徴とする近接照度センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−60788(P2011−60788A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205217(P2009−205217)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】