説明

近距離無線通信機能付きストリーミングデータ再生装置

【課題】携帯電話機21に対するBT接続リンクの接続要求を適切に行うことができながらも、オーディオプレーヤー22から送信された音楽ストリーミングデータを途切れることなく連続再生できるようにする。
【解決手段】車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機21に対するBT接続リンクの接続要求が発生したときにオーディオプレーヤー22との間で音楽ストリーミングデータのパケット転送を規定するA2DPを接続中であると、オーディオプレーヤー22が音楽ストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯で音楽ストリーミングデータを連続再生可能であることを保証した上で、携帯電話機21に対するBT接続リンクを接続要求する動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の近距離無線通信機器との間で近距離無線通信接続リンクを同時に接続可能であり、近距離無線通信接続リンクを接続中である近距離無線通信機器との間でストリーミングデータのパケット転送を規定する近距離無線通信プロトコルを接続中であるときに当該近距離無線通信機器から送信されたストリーミングデータを蓄積し、その蓄積されているストリーミングデータを連続再生可能に構成されてなる近距離無線通信機能付きストリーミングデータ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)の通信規格で標準化されているプロファイルの一つとして、音楽ストリーミングデータのパケット転送を規定するA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)がある。A2DPは、音楽ストリーミングデータを送信する送信側において、音楽ストリーミングデータをSBC(Sub-band Coding)、MP3(MPEG(MPEG Audio Layer-3) Audio Layer-3)或いはATRAC3(Adaptive TRansform Acoustic Coding)3などの形式で圧縮してパケット単位でデータ転送するものである(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−309541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
BT通信機能を有するBT対応機器は、BT接続リンクの接続要求が発生すると、ページコマンドを接続要求相手であるBT対応機器が応答するまで或いは予め規定されている規定時間(例えば5.12[sec])が経過するまで連続して送信するように構成されている。その一方で、近年では、BT通信機能を有するBT対応の携帯電話機やオーディオプレーヤーが普及していることに伴って、複数のBT対応機器との間でBT接続リンクを同時に接続可能(いわゆるマルチ接続可能)なBT対応機器も供されている。
【0004】
このような事情から、マルチ接続可能なBT対応の車載ハンズフリー装置においては、BT対応の携帯電話機及びBT対応のオーディオプレーヤーが車室内に持込まれている環境では、オーディオプレーヤーとの間でA2DPを接続中であり、オーディオプレーヤーから送信された音楽ストリーミングデータを連続再生中であるときに、例えばユーザが携帯電話機の電源を投入すると、携帯電話機に対するBT接続リンクの接続要求が発生する場合がある。
【0005】
しかしながら、車載ハンズフリー装置においては、ページコマンドを接続要求相手である携帯電話機が応答するまで或いは予め規定されている規定時間が経過するまで送信することになるので、図5に示すように、オーディオプレーヤーが音楽ストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯では何ら問題はないが、オーディオプレーヤーが音楽ストリーミングデータのデータパケットを送信する時間帯では、ページコマンドを接続要求相手である携帯電話機に送信するためにBTの通信帯域を占有することで、オーディオプレーヤーから送信された音楽ストリーミングデータを受信不可能となる場合があり得る。その結果、音楽ストリーミングデータを途切れて再生するといういわゆる音跳びが発生し、ユーザに不快感を与えてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクの接続要求が発生したときに他の近距離無線通信機器との間でストリーミングデータのパケット転送を規定する近距離無線通信プロトコルを接続中である場合であっても、一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクの接続要求を適切に行うことができながらも、他の近距離無線通信機器から送信されたストリーミングデータを途切れることなく連続再生することができ、ユーザに不快感を与えてしまうことを未然に回避することができる近距離無線通信機能付きストリーミングデータ再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、制御手段は、一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクの接続要求が発生したときに近距離無線通信手段が他の近距離無線通信機器との間でストリーミングデータのパケット転送を規定する近距離無線通信プロトコルを接続中であると、他の近距離無線通信機器がストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯でストリーミングデータ再生手段がストリーミングデータ蓄積手段に蓄積されているストリーミングデータを連続再生可能であることを条件として近距離無線通信手段に一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクを接続要求する動作を行わせる。
【0008】
これにより、他の近距離無線通信機器がストリーミングデータのデータパケットを送信する時間帯でストリーミングデータを連続再生可能であることを保証した上で、一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクを接続要求する動作を行うことになるので、一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクの接続要求を適切に行うことができながらも、他の近距離無線通信機器から送信されたストリーミングデータを途切れることなく連続再生することができ、ユーザに不快感を与えてしまうことを未然に回避することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、ストリーミングデータ蓄積手段に蓄積されているストリーミングデータのデータ量をストリーミングデータ再生手段がストリーミングデータ蓄積手段に蓄積されているストリーミングデータを連続再生する再生速度で除して連続再生可能な時間を算出し、その算出した連続再生可能な時間よりも短い時間を接続要求実行時間として設定し、他の近距離無線通信機器がストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯で当該接続要求実行時間だけ近距離無線通信手段に一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクを接続要求する動作を行わせる。
【0010】
これにより、蓄積されているストリーミングデータのデータ量を再生速度で除して連続再生可能な時間を算出することで、蓄積されているストリーミングデータのデータ量を常時監視することなく、他の近距離無線通信機器がストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯で一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクを接続要求する動作を行わせる時間を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を車室内に搭載可能なBluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)通信機能を有するBT対応の車載ハンズフリー装置(以下、車載ハンズフリー装置と称する)に適用した一実施形態について、図1ないし図4を参照して説明する。車載ハンズフリー装置1は、制御部2(本発明でいう制御手段)と、BTインタフェース部3(本発明でいう近距離無線通信手段)と、音声処理部4と、記憶部5と、表示制御部6と、タッチ操作入力部7とを備えて構成されている。制御部2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oバスなどを有し、車載ハンズフリー装置1の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。
【0012】
BTインタフェース部3は、複数のBT対応機器との間でBT接続リンク(本発明でいう近距離無線通信接続リンク)を同時に接続可能であり、BTの通信規格で標準化されている音楽ストリーミングデータのパケット転送を規定するプロファイルであるA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、ハンズフリー通話を規定するプロファイルであるHFP(Hands Free Profile)、電話帳データや発信履歴データや着信履歴データのパケット転送を規定するプロファイルであるPBAP(Phone Book Access Profile)などの複数のプロファイルに対応している。尚、これらプロファイルは、本発明でいう近距離無線通信プロトコルであり、機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
【0013】
音声処理部4は、車室内にあって例えばハンドルの近傍などのユーザが発した音声を集音し易い部位に配置されているマイクロホン8を接続していると共に、車載ハンズフリー装置1の外部に配置されているオーディオアンプ9を接続している。音声処理部4は、複数の近距離無線通信機器の一つとしてBT通信機能を有するBT対応の携帯電話機(以下、携帯電話機と称する)21が車室内に持込まれており、BTインタフェース部3が携帯電話機21との間でHFPを接続中であるときには、ユーザが発した音声をマイクロホン8から送話音声データとして入力すると、その入力した送話音声データを音声処理してBTインタフェース部3に出力し、BTインタフェース部3から受話音声データを入力すると、その入力した受話音声データをオーディオアンプ9に出力する。
【0014】
また、音声処理部4は、データ蓄積部(データバッファ)4a(本発明でいうストリーミングデータ蓄積手段)とデータ再生部4b(本発明でいうストリーミングデータ再生手段)とを備えており、ストリーミングデータのパケット転送を規定するプロファイルを接続中であるBT対応機器から送信されたストリーミングデータを受信すると、その受信したストリーミングデータをデータ蓄積部4aにより蓄積し、そのデータ蓄積部4aに蓄積されているストリーミングデータをデータ再生部4bにより再生してオーディオアンプ9に出力する。
【0015】
すなわち、音声処理部4は、複数の近距離無線通信機器の一つとしてBT通信機能を有するBT対応のオーディオプレーヤー(以下、オーディオプレーヤーと称する)22が車室内に持込まれており、BTインタフェース部3がオーディオプレーヤー22との間でA2DPを接続中であるときには、BTインタフェース部3がオーディオプレーヤー22から送信された音楽ストリーミングデータを受信すると、その受信した音楽ストリーミングデータをデータ蓄積部4aにより蓄積し、そのデータ蓄積部4aに蓄積されている音楽ストリーミングデータをデータ再生部4bにより再生してオーディオアンプ9に出力する。尚、ここでいうストリーミングとは、データを受信しながら同時に再生する方式をいうものである。
【0016】
オーディオアンプ9は、音声処理部4から受話音声データや音楽ストリーミングデータを入力すると、それら入力した受話音声データや音楽ストリーミングデータを増幅してスピーカ10及びスピーカ11から出力させる。尚、オーディオアンプ9は、チューナーデッキ12にも接続されており、チューナーデッキ12が例えば音楽用記録媒体から再生した楽曲データやラジオ放送局から受信したラジオ番組データを当該チューナーデッキ12から入力すると、それら入力した楽曲データやラジオ番組データを増幅してスピーカ10及びスピーカ11から出力させる。
【0017】
記憶部5は、制御部2が実行する制御プログラムや各種データを記憶可能に構成されている。ここでいう各種データとは、電話番号と登録名との対応を表す電話帳データ、車載ハンズフリー装置1からの発信或いは当該車載ハンズフリー装置1との間でHFPを接続している携帯電話機21からの発信に係る発信時刻と発信電話番号との対応を表す発信履歴データ、車載ハンズフリー装置1との間でハンズフリープロファイルを接続している携帯電話機21における着信に係る着信時刻と着信電話番号との対応を表す着信履歴データなどである。
【0018】
ディスプレイ装置13は、表示画面を表示する表示装置14と、表示画面上にタッチスイッチを形成するタッチ操作入力装置15とを備えて構成されている。表示制御部6は、制御部2から表示指令信号を入力すると、その入力した表示指令信号に基づいてディスプレイ装置13における表示装置14の表示動作を制御する。タッチ操作入力部7は、ユーザが表示画面上に形成されているタッチスイッチを操作したことに応じてタッチ操作入力装置15から操作検知信号を入力すると、その操作検知信号を制御部2に出力し、制御部2は、タッチ操作入力部7から操作検知信号を入力すると、その操作検知信号に解析して処理を行う。
【0019】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図4を参照して説明する。
車載ハンズフリー装置1において、制御部2は、電源が投入されている状態では、一のBT対応機器に対するプロファイルの接続要求が発生したか否を判定している(ステップS1)。制御部2は、一のBT対応機器に対するプロファイルの接続要求が発生したと判定すると(ステップS1にて「YES」)、そのプロファイルの接続要求相手である一のBT対応機器との間でBT接続リンクを接続中であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0020】
ここで、制御部2は、そのプロファイルの接続要求相手である一のBT対応機器との間でBT接続リンクを接続中であると判定すると(ステップS2にて「YES」)、そのプロファイルの接続要求相手である一のBT対応機器との間でプロファイルを接続するプロファイル接続処理に移行する(ステップS3)。
【0021】
これに対して、制御部2は、そのプロファイルの接続要求相手である一のBT対応機器との間でBT接続リンクを接続中でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、その時点で既にBTインタフェース部3が他のBT対応機器との間でBT接続リンクを接続中であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0022】
次いで、制御部2は、その時点で既にBTインタフェース部3が他のBT対応機器との間でBT接続リンクを接続中でないと判定すると(ステップS4にて「NO」)、第1のBT接続要求処理に移行する(ステップS5)。ここでいう第1のBT接続要求処理とは、ページコマンドを接続要求相手であるBT対応機器が応答するまで或いは予め規定されている規定時間が経過するまで連続して送信する処理である。また、ここでいう規定時間は例えば5.12[sec]である。
【0023】
これに対して、制御部2は、その時点で既にBTインタフェース部3が他のBT対応機器との間でBT接続リンクを接続中であると判定すると(ステップS4にて「YES」)、そのBT接続リンクを接続している他のBT対応機器との間でストリーミングデータのパケット転送を規定するプロファイルを接続中であるか否かを判定する(ステップS6)。そして、制御部2は、そのBT接続リンクを接続している他のBT対応機器との間でストリーミングデータのパケット転送を規定するプロファイルを接続中でないと判定すると(ステップS6にて「NO」)、この場合も、第1のBT接続要求処理に移行する(ステップS5)。
【0024】
これに対して、制御部2は、そのBT接続リンクを接続している他のBT対応機器との間でストリーミングデータのパケット転送を規定するプロファイルを接続中であると判定すると(ステップ6にて「YES」)、第2のBT接続要求処理に移行する(ステップS7)。
【0025】
制御部2は、第2のBT接続要求処理に移行すると、その時点でデータ蓄積部4aに蓄積されているストリーミングデータのデータ量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS11)。制御部2は、その時点でデータ蓄積部4aに蓄積されているストリーミングデータのデータ量が閾値以上であると判定すると(ステップS11にて「YES」)、ストリーミングデータのデータパケットの受信を完了したか否かを判定し(ステップS12)、ストリーミングデータのデータパケットの受信を完了したと判定すると(ステップS12にて「YES」)、ページコマンドを接続要求相手である一のBT対応機器にBTインタフェース部3から送信させる動作を開始し、接続要求相手である一のBT対応機器に対するBT接続要求を開始する(ステップS13)。
【0026】
次いで、制御部2は、BT接続要求を開始してからの経過時間を計時するBT接続要求開始経過タイマをスタートさせ(ステップS14)、BT接続要求を行った回数をカウントするBT接続要求回数カウンタをインクリメントする(ステップS15)。そして、制御部2は、BT接続要求開始経過タイマにより計時している計時時間が予め規定されている第1の規定時間に到達したか(タイムアップしたか)否かを判定すると共に(ステップS16)、接続要求相手である一のBT対応機器がBT接続要求に対して応答したか否かを判定する(ステップS17)。
【0027】
ここで、第1の規定時間は、その時点で既にBTインタフェース部3がBT接続リンクを接続中である他のBT対応機器がストリーミングデータを送信しない時間帯でデータ再生部4bがデータ蓄積部4aに蓄積されているストリーミングデータを連続再生可能な条件を満たす時間であり、その時点でデータ蓄積部4aに蓄積されているストリーミングデータのデータ量をX1[Byte]、データ再生部4bがデータ蓄積部4aに蓄積されているストリーミングデータを再生する再生速度をS1[Byte/sec]とすると、X1/S1よりも小さい(短い)条件を満たす値である。すなわち、図4において、ページコマンドを送信する時間をTa[sec]とすると、Taは、
Ta<X1/S1
の関係を満たすように制御部2が予め設定しておいた時間である。尚、Taは本発明でいう接続要求実行時間に相当する。
【0028】
次いで、制御部2は、BT接続要求開始経過タイマにより計時している計時時間が第1の規定時間に到達する前に接続要求相手である一のBT対応機器がBT接続要求に対して応答したと判定すると(ステップS17にて「YES」)、一のBT対応機器との間でBT接続リンクを接続するBT接続処理に移行する(ステップS18)。
【0029】
これに対して、制御部2は、接続要求相手である一のBT対応機器がBT接続要求に対して応答することなくBT接続要求開始経過タイマにより計時している計時時間が第1の規定時間に到達したと判定すると(ステップS16にて「YES」)、ページコマンドを接続要求相手である一のBT対応機器にBTインタフェース部3から送信させる動作を中断し、接続要求相手である一のBT対応機器に対するBT接続要求を中断する(ステップS19)。
【0030】
次いで、制御部2は、BT接続要求開始経過タイマをリセットし(初期化し)(ステップS20)、インクリメントしたBT接続要求回数カウンタが規定回数に到達したか否かを判定する(ステップS21)。ここで、制御部2は、インクリメントしたBT接続要求回数カウンタが規定回数に到達していないと判定すると(ステップS21にて「NO」)、BT接続要求を中断してからの経過時間を計時するBT接続要求中断経過タイマをスタートさせ(ステップS22)、BT接続要求中断経過タイマにより計時している計時時間が予め規定されている第2の規定時間に到達したか(タイムアップしたか)否かを判定する(ステップS23)。そして、制御部2は、BT接続要求中断経過タイマにより計時している計時時間が第2の規定時間に到達したと判定すると(ステップS23にて「YES」)、BT接続要求中断経過タイマをリセットし(初期化し)(ステップS24)、上記したステップS11に戻り、上記した処理を繰返して行う。
【0031】
ここで、第2の規定時間は、BTインタフェース部3がBT接続リンクを接続中である他のBT対応機器がストリーミングデータを送信する時間帯でストーミングデータを規定容量分のデータ量だけデータ蓄積部4aに蓄積させるまでに要する時間であり、データ蓄積部4aに蓄積されるストリーミングデータのデータ量の閾値をX2[Byte]、データ蓄積部4aがストリーミングデータをデータ蓄積する蓄積速度をS2[Byte/sec]とすると、X2/(S2−S1)よりも大きい条件を満たす値である。すなわち、図4において、ページコマンドの送信を中断した時点から次の送信を再開する時点までの時間をTb[sec]とすると、Tbは、
Tb>X2/(S2−S1)
の関係を満たすように制御部2が予め設定しておいた時間である。
【0032】
また、規定回数は、ページコマンドを送信する時間であるTaが一定値である場合に、ページコマンドを接続要求相手である一のBT対応機器が応答するまで連続して送信する規定時間である5.12[sec]をTaで除した値である。すなわち、規定回数をn[回]とすると、nは、
n=5.12/Ta
の関係を満たすように制御部2が予め設定しておいた回数である。
【0033】
車載ハンズフリー装置1においては、上記した処理を行うことにより、携帯電話機21及びオーディオプレーヤー22が車室内に持込まれ、オーディオプレーヤー22との間でA2DPを接続中であり、オーディオプレーヤー22から送信された音楽ストリーミングデータを連続再生中であるときに、例えばユーザが携帯電話機21の電源を投入すると、携帯電話機21に対してBT接続リンクの接続要求が発生することになるが、オーディオプレーヤー22が音楽ストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯で音楽ストリーミングデータを連続再生可能であると判定したことを条件としてページコマンドを送信して携帯電話機21に対するBT接続リンクを接続要求する動作を行うことになる。この場合、携帯電話機21が本発明でいう一の近距離無線通信機器に相当し、オーディオプレーヤー22が本発明でいう他の近距離無線通信機器に相当する。
【0034】
ところで、以上は、データ再生部4bがデータ蓄積部4aに蓄積されているストリーミングデータを再生する再生速度であるS1[Byte/sec]及びデータ蓄積部4aがストリーミングデータをデータ蓄積する蓄積速度であるS2[Byte/sec]を利用することで、ページコマンドを送信する時間であるTa[sec]を設定し、ページコマンドの送信を中断した時点から次の送信を再開する時点までの時間であるTb[sec]を設定した場合を説明したが、データ蓄積部4aに蓄積されているストリーミングデータのデータ量を常時監視することで、ページコマンドを送信する時間及びページコマンドの送信を中断した時点から次の送信を再開する時点までの時間を毎回設定しても良い。
【0035】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載ハンズフリー装置1において、携帯電話機21に対するBT接続リンクの接続要求が発生したときにオーディオプレーヤー22との間で音楽ストリーミングデータのパケット転送を規定するA2DPを接続中であると、オーディオプレーヤー22が音楽ストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯で音楽ストリーミングデータを連続再生可能であることを保証した上で、携帯電話機21に対するBT接続リンクを接続要求する動作を行うように構成したので、携帯電話機21に対するBT接続リンクの接続要求を適切に行うことができながらも、オーディオプレーヤー22から送信された音楽ストリーミングデータを途切れることなく連続再生することができ、ユーザに不快感を与えてしまうことを未然に回避することができる。
【0036】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
近距離無線通信機能付きストリーミングデータ再生装置は車載ハンズフリー装置に限らず例えば車載ナビゲーション装置などの別の車載装置であっても良いし、車載装置以外の
ストリーミングデータのパケット転送を規定するプロファイルはA2DPに限らずストリーミングデータのパケット転送を規定するものであれば他のプロファイルであっても良い。
ストリーミングデータは音楽ストリーミングデータに限らず動画ストリーミングデータであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート(その1)
【図3】フローチャート(その2)
【図4】シーケンス図
【図5】従来を示すシーケンス図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1はBT対応の車載ハンズフリー装置(近距離無線通信機能付きストリーミングデータ再生装置)、2は制御部(制御手段)、3はBTインタフェース部(近距離無線通信手段)、4aはデータ蓄積部(ストリーミングデータ蓄積手段)、4bはデータ再生部(ストリーミングデータ再生手段)、21はBT対応の携帯電話機(近距離無線通信機器)、21はBT対応のオーディオプレーヤー(近距離無線通信機器)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の近距離無線通信機器との間で近距離無線通信接続リンクを同時に接続可能な近距離無線通信手段と、
前記近距離無線通信手段が近距離無線通信接続リンクを接続中である近距離無線通信機器との間でストリーミングデータのパケット転送を規定する近距離無線通信プロトコルを接続中であるときに当該近距離無線通信機器から送信されたストリーミングデータを蓄積するストリーミングデータ蓄積手段と、
前記ストリーミングデータ蓄積手段に蓄積されているストリーミングデータを連続再生可能なストリーミングデータ再生手段と、
前記近距離無線通信手段が近距離無線通信機器に対して近距離無線通信接続リンクを接続要求する動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクの接続要求が発生したときに前記近距離無線通信手段が他の近距離無線通信機器との間でストリーミングデータのパケット転送を規定する近距離無線通信プロトコルを接続中である場合には、他の近距離無線通信機器がストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯で前記ストリーミングデータ再生手段が前記ストリーミングデータ蓄積手段に蓄積されているストリーミングデータを連続再生可能であることを条件として前記近距離無線通信手段に一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクを接続要求する動作を行わせることを特徴とする近距離無線通信機能付きストリーミングデータ再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載した近距離無線通信機能付きストリーミングデータ再生装置において、
前記制御手段は、前記ストリーミングデータ蓄積手段に蓄積されているストリーミングデータのデータ量を前記ストリーミングデータ再生手段が前記ストリーミングデータ蓄積手段に蓄積されているストリーミングデータを連続再生する再生速度で除して連続再生可能な時間を算出し、その算出した連続再生可能な時間よりも短い時間を接続要求実行時間として設定し、他の近距離無線通信機器がストリーミングデータのデータパケットを送信しない時間帯で当該接続要求実行時間だけ前記近距離無線通信手段に一の近距離無線通信機器に対する近距離無線通信接続リンクを接続要求する動作を行わせることを特徴とする近距離無線通信機能付きストリーミングデータ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−68406(P2010−68406A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234754(P2008−234754)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】