説明

送風機の首振り機構

【課題】風で防霜ファンが振られた時、発生する衝撃で、減速機構の歯車と、歯部の欠損が発生するのを防止し、修理の手間と危険性を減少させる。
【解決手段】支持材に設けた取付け筒1と、取付け筒に設けた取付け台3に内装した減速機構、及び連動機構と、連動機構の可動軸4に設けた防霜ファン5、又は首振り用の架台6とで構成した送風機の首振り機構であって、連動機構のアーム部材29に、減衰機構、緩衝機構でなる手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場用・農事用・畜産用等に利用される送風機の首振り機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の送風機の首振り用のクランク機(連動機構)は、モータの回転を、減速機構で所定の回転数に落とし、この減速した回転数により、所定のスピードで可動(旋回)する駆動側のクランク(第一部材)と、この駆動側のクランクに従動する(動きが伝わる)従動側のクランク(第二部材)と、この駆動側のクランクと従動側のクランクを連繋し、前進後退し、かつ前記の動きを伝えるクランクアーム(アーム)でなる構成である。この送風機の首振り機構としては、例えば、本出願人が提案する、特開2007−321634の「防霜ファン装置用の取付け台の構造」がある(文献1)。この発明は、前記防霜ファン装置には、減速機構と、クランク機構を搭載する構造であるが故に、例えば、防霜ファン装置の停止時、又は稼動時等において、風で防霜ファンが振られた際に、この振られた衝撃が、クランク機構から、減速機構の歯車に及ぶことから、この歯車の歯部(主として、歯先)の欠損傷害が発生する。その主たる原因は、このクランク機構に衝撃緩衝装置、即ち、スプリング、又は防振ゴムとか、アクティブスプリング、又はアクティブ防振ゴムでなる減衰機構、緩衝機構の手段(アブソーバ)を有さないことである。また、圃場の高所に設置する防霜ファン装置では、歯部の欠損は、突風、飛翔物との衝突、天災又は故障により発生する各種の衝撃で発生し易い。しかし、周知の如く、この防霜ファン装置の歯部の欠損は、高所の作業となり、その修理に手間と、危険性を伴うことから、その改良が望まれる。この改良の一つが、減衰機構、緩衝機構でなる手段(例えば、ショックアブソーバー)を付設することが要望される処である。
【0003】
そして、他の分野における歯部の欠損を回避する各種の装置、機構等の手段が、公開されているので、その内容を文献として説明する。
【0004】
例えば、特開2010−151150の「動力伝達装置」がある(文献2)。この発明は、スプリングウオームギアを設けることで、クランプアームに掛かった衝撃から、アームギアの歯部の欠損解消を図る構造である。しかし、この発明は、クランクアームの回転方向と反対方向に負荷が掛かった際にのみ作用する緩衝機構であり、負荷の方向性に限界が感じられる。また、特開2009−95587の「ドラム式洗濯機」がある(文献3)。この発明は、洗濯槽を、防振ダンバーとスプリングとで支持し、振動と共振防止を図ることにある。従って、歯部の欠損とは直接的な関係を有さない。
さらに、特開2010−101450の「ショックアブソーバー」がある(文献4)。この発明は、筒状体(杭)と、この杭(建物の基礎)に支持される棒状体との間にスプリング(ショックアブソーバー)を介在し、地上の揺れを、基礎に及ぼさないようにした免震構造である。前記文献(3)と同様に、歯部の欠損とは直接的な関係を有さない。
【0005】
【特許文献1】特開2007−321634
【特許文献2】特開2010−151150
【特許文献3】特開2009−95587
【特許文献4】特開2010−101450
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上で説明した文献(1)では、クランク機構にショックアブソーバーを備えない。従って、防霜ファンが、突風、又は衝撃等(風とする)を受け、衝撃的な首振り(盲動)した際に、この盲動が、防霜ファン→軸→駆動側クランク→クランクアーム→従動側クランク→軸→多数の歯車(減速機構)に至り、この歯車の歯部欠損が発生することが考えられる。そして、文献(2)では、クランクアームの回転方向と反対方向に負荷が掛かった際にのみ作用する緩衝機構であり、充分でない。また、文献(3)は、振動と共振防止で、目的が相違する。さらに、文献(4)は、免震構造であり、衝撃の対象が異なる。
【0007】
従って、本発明が提案する減衰機構、緩衝機構でなる手段を、送風機の首振り機構(送風機の首振り用のクランク機構)という分野に採用し、例えば、この連動機構が、衝撃を受けた場合における歯部の欠損解消を図ること、又はこの作業機械が高所設置の場合、又は狭隘な場所に設置されている場合等において、この歯部の欠損により生ずる修理の弊害解消を図ることを意図する。また、本発明が、提案する減衰機構、緩衝機構でなる手段を、防霜ファンに装置することで、例えば、この防霜ファンが衝撃を受けた場合における歯部の欠損解消を図ること、又はこの歯部の欠損により生ずる修理の弊害解消を図ることを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、提案する減衰機構、緩衝機構でなる手段を、送風機に装置することで、この首振り部材が衝撃を受けた場合における歯部の欠損解消を図ること、又はこの送風機が高所設置の場合、又は狭隘な場所に設置されている場合等において、この歯部の欠損により生ずる修理の弊害解消を図ることを意図する。また、請求項1の発明は、この減衰機構、緩衝機構でなる手段を、低コストで提供し、かつ構造・メンテナンス等の簡略化を図ること、等を意図する。
【0009】
請求項1は、支持材、建柱の構築物に設けた取付け筒と、この取付け筒に設けた取付け台と、この取付け台に内装した減速機構、及び連動機構と、この連動機構に設けた首振り用の架台と、防霜ファン、又はファンとで構成した送風機の首振り機構であって、
前記連動機構のアーム部材に、スプリング、又は防振ゴム、或いは、アクティブスプリング、又はアクティブ防振ゴムでなる減衰機構、緩衝機構の手段を設ける構成とした送風機の首振り機構である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の意図を達成することと、この意図を達成するに、最適な減速機構(第一歯車〜第n歯車等の機構)を提案する。
【0011】
請求項2は、請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
前記取付け台に内装した減速機構は、取付け筒に設けたモータの出力軸のギヤに噛合する第一歯車と、この第一歯車に噛合する第二歯車〜第n歯車と、この第n歯車を支持し、かつこの取付け台に枢支した架台を支持する可動軸と、で構成した送風機の首振り機構である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の意図を達成することと、この意図を達成するに、最適で、かつ実用に供し得る減衰機構、緩衝機構でなる手段を提案する。
【0013】
請求項3は、請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
前記連動機構のアーム部材は、一方のアームと、他方のアームで構成し、この一方のアームと、他方のアームとの間に、スプリング、又は防振ゴム、或いは、アクティブスプリング、又はアクティブ防振ゴムでなる減衰機構、緩衝機構の手段を設ける構成とした送風機の首振り機構である。
【0014】
請求項4・5の発明は、請求項1の意図を達成することと、この意図を達成するに、最適で、かつ耐久性・防塵性(筒体とカバーによる)等に優れた減衰機構、緩衝機構でなる手段を提案する。
【0015】
請求項4は、請求項3に記載の送風機の首振り機構であって、
前記アクティブスプリングは、スプリングの外側に筒体、枠体でなる剛性部材を套嵌する構成した送風機の首振り機構である。
【0016】
請求項5は、請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
前記アクティブ防振ゴムは、防振ゴムの外側に筒体、枠体でなる剛性部材を套嵌する構造か、又は防振ゴムにスプリング、弾性体でなる補助手段を埋設する構造にする構成した送風機の首振り機構である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、支持材、建柱の構築物に設けた取付け筒と、取付け筒に設けた取付け台と、取付け台に内装した減速機構、及び連動機構と、連動機構に設けた首振り用の架台と、防霜ファン、又はファンとで構成した送風機の首振り機構であって、
連動機構のアーム部材に、スプリング、又は防振ゴム、或いは、アクティブスプリング、又はアクティブ防振ゴムでなる減衰機構、緩衝機構の手段を設ける構成とした送風機の首振り機構である。
【0018】
従って、請求項1は、提案する減衰機構、緩衝機構でなる手段を、送風機に装置することで、この首振り部材が衝撃を受けた場合における歯部の欠損解消が図れること、又はこの送風機が高所設置の場合、又は狭隘な場所に設置されている場合等において、この歯部の欠損により生ずる修理の弊害解消が図れること、等の特徴がある。また、請求項1は、この減衰機構、緩衝機構でなる手段を、低コストで提供し、かつ構造・メンテナンス等の簡略化が図れる利点がある。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
取付け台に内装した減速機構は、取付け筒に設けたモータの出力軸のギャに噛合する第一歯車と、第一歯車に噛合する第二歯車〜第n歯車と、第n歯車を支持し、かつ取付け台に枢支した架台を支持する可動軸と、で構成した送風機の首振り機構である。
【0020】
従って、請求項2の発明は、請求項1の意図を達成できることと、この意図を達成するに、最適な減速機構(第一歯車〜第n歯車等の機構)を提案できる特徴がある。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
連動機構のアーム部材は、一方のアームと、他方のアームで構成し、一方のアームと、他方のアームとの間に、スプリング、又は防振ゴム、或いは、アクティブスプリング、又はアクティブ防振ゴムでなる減衰機構、緩衝機構の手段を設ける構成とした送風機の首振り機構である。
【0022】
従って、請求項3は、請求項1の意図を達成できることと、この意図を達成するに、最適で、かつ実用に供し得る減衰機構、緩衝機構でなる手段を提案できる特徴がある。
【0023】
請求項4の発明は、請求項3に記載の送風機の首振り機構であって、
アクティブスプリングは、スプリングの外側に筒体、枠体でなる剛性部材を套嵌する構成した送風機の首振り機構である。
【0024】
請求項5の発明は、請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
アクティブ防振ゴムは、防振ゴムの外側に筒体、枠体でなる剛性部材を套嵌する構造か、又は防振ゴムにスプリング、弾性体でなる補助手段を埋設する構造にする構成した送風機の首振り機構である。
【0025】
従って、請求項4・5の発明は、請求項1の意図を達成できることと、この意図を達成するに、最適で、かつ耐久性・防塵性(筒体とカバーによる)等に優れた減衰機構、緩衝機構でなる手段を提案できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】防霜ファン装置にスプリングの減衰機構、緩衝機構でなる手段を装着した第一実施例の一部欠截の側面図
【図2】防霜ファン装置の第一実施例の一部欠截の平面図
【図3−1】防霜ファン装置の減速機構とクランク機構、並びに減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第一実施例を示した一部省略の拡大断面図
【図3−2】防霜ファン装置の減速機構とクランク機構、並びに減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第一実施例を示した拡大断面図
【図4−1】防霜ファン装置の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第一実施例を示した拡大平面図
【図4−2】図4−1のA−A断面図
【図5−1】防霜ファン装置において、クランク機構の駆動側のクランクが、取付け台の短手方向の一方(図面上で上側)に向かうことで、ファンが、取付け台の長手方向に向かって位置する状態の第一実施例を示した平面模式図
【図5−2】防霜ファン装置において、連動機構の駆動側の第一部材が、取付け台の長手方向の前端(図面上で右側)に向かうことで、ファンが、取付け台の長手方向に向かって右側(図面上で下側)に位置する状態の第一実施例を示した平面模式図
【図5−3】防霜ファン装置において、連動機構の駆動側の第一部材が、取付け台の短手方向の他方(図面上で下側)に向かうことで、ファンが、取付け台の長手方向に向かって位置する状態の第一実施例を示した平面模式図
【図5−4】防霜ファン装置において、クランク機構の駆動側の第一部材が、取付け台の長手方向の後端(図面上で左側)に向かうことで、ファンが、取付け台の長手方向に向かって左側(図面上で上側)に位置する状態の第一実施例を示した平面模式図
【図6】防霜ファン装置にアクティブスプリングの減衰機構、緩衝機構でなる手段を装着した第二実施例の一部欠截の平面図
【図7】防霜ファン装置の減速機構と連動機構、並びに減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第二実施例を示した拡大断面図
【図8−1】防霜ファン装置の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第二実施例を示した拡大平面図
【図8−2】防霜ファン装置の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第二実施例を示した拡大側面図
【図9−1】図8−2の要部のC−C断面図
【図9−2】図8−1のB−B断面図
【図10】図6に示した第二実施例の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の拡大正面図
【図11】図6に示した第二実施例の別の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の拡大正面図
【図12】防霜ファン装置に防振ゴムの減衰機構、緩衝機構でなる手段を装着した第三実施例の一部欠截の平面図
【図13】防霜ファン装置の減速機構とクランク機構、並びに減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第三実施例を示した拡大断面図
【図14−1】防霜ファン装置の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第三実施例を示した拡大平面図
【図14−2】図14−1のD−D断面図
【図15−1】防霜ファン装置において、連動機構の駆動側の第一部材が、取付け台の短手方向の一方(図面上で上側)に向かうことで、ファンが、取付け台の長手方向に向かって位置する状態の第三実施例を示した平面模式図
【図15−2】防霜ファン装置において、連動機構の駆動側の第一部材が、取付け台の長手方向の前端(図面上で右側)に向かうことで、ファンが、取付け台の長手方向に向かって右側(図面上で下側)に位置する状態の第三実施例を示した平面模式図
【図15−3】防霜ファン装置において、連動機構の駆動側の第一部材が、取付け台の短手方向の他方(図面上で下側)に向かうことで、ファンが、取付け台の長手方向に向かって位置する状態の第三実施例を示した平面模式図
【図15−4】防霜ファン装置において、連動機構の駆動側の第一部材が、取付け台の長手方向の後端(図面上で左側)に向かうことで、ファンが、取付け台の長手方向に向かって左側(図面上で上側)に位置する状態の第三実施例を示した平面模式図
【図16】防霜ファン装置にアクティブ防振ゴムの減衰機構、緩衝機構でなる手段を装着した第四実施例の一部欠截の平面図
【図17】防霜ファン装置の減速機構と連動機構、並びに減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第三実施例を示した一部省略の拡大断面図
【図18−1】防霜ファン装置の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第四実施例を示した拡大平面図
【図18−2】防霜ファン装置の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の第四実施例を示した拡大側面図
【図19−1】図18−2の要部のF−F断面図
【図19−2】図18−1のE−E断面図
【図20】図15に示した第三実施例の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の拡大正面図
【図21】図15に示した第三実施例の別の減衰機構、緩衝機構でなる手段の構造の拡大正面図
【図22】ファン装置の一部欠截の側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜図21に示した防霜ファン装置Aにおいては、建柱B(支持材)に被嵌する天井を備えた筒状を呈する取付け筒1と、この取付け筒1に設けた建柱Bに緊締する締付け螺子2と、この取付け筒1に設けた略船形を呈する取付け台3と、この取付け台3に内装した減速機構C、及び減衰機構、緩衝機構でなる手段Eを備えた連動機構Dと、連動機構Dの可動軸4(一定の範囲で旋回する)に設けた防霜ファン5用の架台6と、この架台6に設けた防霜ファン5駆動用のモータ7が支持されるモータベース8とで構成する。
【0028】
そして、前記減速機構Cは、取付け筒1に内装したモータ10と、このモータ10の出力軸11と、この出力軸11のギャ1100に噛合する第一歯車12と、この第一歯車12に噛合する第二歯車13〜第n歯車15とで構成されており、モータ10の回転を減速する構造である。そして、この減速機構Cは取付け台3に区画して設けたケーシング16内に設けられる。図中17はそれぞれ軸受け、18は歯車の支持杆(支持軸)を示す。
【0029】
前記連動機構Dは、前記第n歯車15を支持する回転軸20と、この回転軸20に固止した、水平方向Xに360°回転する駆動側の第一部材21と、この駆動側の第一部材21の先端2100に、その基端2901を軸支したアーム部材29(減衰機構、緩衝機構でなる手段E)と、このアーム部材29の連結端2900に軸支した従動側の第二部材22と、この従動側の第二部材22の先端2200(基端)に下端を固止し、かつ取付け台3の上方に上方を貫設した可動軸4と、で構成する。尚、前記従動側の第二部材22の先端2200は、取付け台3に図示しない軸受けを介して軸支、かつ貫設された可動軸4に固止する構造であるので、この先端2200は、水平方向において、所定角度、往復動する。この往復動の軸芯Yは、可動軸4の軸芯400の位置である(支点となる)。従って、減速機構Cの回転軸20の回転で、駆動側の第一部材21が回転し、アーム部材29が前進後退する(図3−1、図3−2において、左右方向に移動する)。このアーム部材29の前進後退(往復動)で、従動側の第二部材22が、水平方向において、所定角度、往復動する。この従動側の第二部材22の往復動は、取付け台3に貫設した可動軸4を可動(回転)するとともに、この可動軸4に螺子止め固止したキャップ25に伝わる。そして、このキャップ25の上に支持された架台6に伝達される。従って、可動軸4の可動は、キャップ25から架台6に伝えられて、この架台6が旋回する(首振り動作する)。このアーム部材29の前進後退が、図5−1〜図5−4に示す如く、防霜ファン5の首振り動作となる。図中26は、キャップ25の上部外輪側(図示せず)と取付け台3との間に設けたシールである。
【0030】
前記アーム部材29は、例えば、図1〜図5−4に示した第一実施例と、図6〜図11に示した第二実施例と、また、図12〜図15−4に示した第三実施例と、図16〜図21に示した第四実施例と、が挙げられる。そして、この第一実施例は、スプリング30を備えたアーム部材29であり、一方のアーム29aと他方のアーム29bとの間にスプリング30を設けた構造である。また、第二実施例は、前記第一実施例に、剛性の筒体33を設けたアクティブスプリング30aの構造、又は、剛性の鞘管35(スリット付き鞘管35、合せ樋形の鞘管35等の枠体でなる剛性部材)を設けたアクティブスプリング30aの構造である。そして、また、この第三実施例は、防振ゴム36を備えたアーム部材29であり、一方のアーム29aと他方のアーム29bとの間に防振ゴム36を設けた構造である。また、第四実施例は、前記第三実施例に、剛性の筒体33を設けたアクティブ防振ゴム36aの構造、又は、剛性の鞘管35を設けたアクティブ防振ゴム36aの構造である。尚、スプリング30、又は防振ゴム36を設ける位置の好ましい例は、一方のアーム29aと他方のアーム29bとの中央部とする。これにより、例えば、この一方のアーム29aと他方のアーム29bに、均等に、負荷が掛かり好適である。そして、筒体33、鞘管35は、フランジ等の補助部材34を介して、一方のアーム29aと他方のアーム29bに、それぞれ係止する例とか、図示しないが、スプリング30、防振ゴム36の座面に係止する例が好ましい各例である。また、着脱自在とすることも可能である。また、このスプリング30、防振ゴム36は、駆動側の第一部材21の動きを、従動側の第二部材22に伝えるに十分な剛性と、伝達力を備えた構造とする。
【0031】
この一方のアーム29aの自由端29a1(アーム部材29の基端2901)には、取付孔37が設けられており、この取付孔37より挿入した止め具38で、この自由端29a1は、前記駆動側の第一部材21の先端2100と連繋される。また、この他方のアーム29bの自由端29b1(アーム部材29の連結端2900)には、取付孔40が設けられており、この取付孔40より挿入した止め具41の自由端(符号無し)は、前記従動側の第二部材22の連結端2201に連繋される。
【0032】
このアーム部材29と、駆動側の第一部材21、及び従動側の第二部材22は、前記の構造であるので、次のような特徴がある。即ち、防霜ファン5(後述するファン50)に衝撃があった際には(防霜ファン5の停止、又は可動時は関係しない。但し、防霜ファン5の向きと風の方向との関係が重要な要素と考えられる)、その衝撃は、架台6→可動軸4→従動側の第二部材22→他方のアーム29bに伝達されるが、この他方のアーム29bは、スプリング30を介して、一方のアーム29aに連結されていることから、このスプリング30、防振ゴム36等が撓み、衝撃を緩和する。従って、この衝撃は、駆動側の第一部材21には伝達されない。これにより、減速機構Cの第一歯車12〜第n歯車15に掛かる衝撃を吸収するか、又は緩和し、この第一歯車12〜第n歯車15の何れかに掛かる歯部の欠損を回避できる。同時に、このスプリング30、防振ゴム36等による衝撃吸収、又は緩和を図り、かつ、架台6、防霜ファン5、ファン50等が可動可能となることで、この防霜ファン5、ファン50等に対して、例えば、首振り方向に衝撃があった場合には、架台6、防霜ファン5、モータ7等(送風機の全体の故障)に対する衝撃の吸収、又は緩和と、原状回復が図れる構造である(他の実施例も同じ)。殊に、防霜ファン装置では、原状回復を図るための高所の作業を無くし得ること、等の特徴がある。
【0033】
尚、前記アクティブスプリング30a、アクティブ防振ゴム36aの構造では、スプリング30、防振ゴム36の撓みをガードし、このスプリング30、防振ゴム36の疲労を無くすこと、又は耐久性の向上、復帰の迅速化等を図る。
【0034】
前記架台6の上に、鞍型のモータベース8が俯角調整自在に設けられるが、この一例では、俯角調整は、モータベース8に設けた曲面状の長溝44及び固定用の孔45と、この長溝44と孔45に差込まれる止め具46、47とで構成する。従って、止め具46、及び/又は、止め具47を螺戻し、この止め具47を支点とするとともに、止め具46を長溝44に沿って適宜位置に移動し、モータベース8を所定角度に調整した後に、止め具46、及び/又は、止め具47を螺入し、このモータベース8に固定することで、俯角調整が図れる構造である。
【0035】
続いて、図5−1〜図5−4を参考として、防霜ファン5の首振り状態を説明する。まず、基本的な首振り動作を説明すると、モータ10が回転することで、減速機構Cに動力が伝わる。この動力で回転軸20が回転し、この回転を介して駆動側の第一部材21が、同様に360°回転する。この回転は、アーム部材29(減衰機構、緩衝機構でなる手段E)が水平方向Xにおいて、前進後退する(例えば、図3−1、図3−2において、向かって左右方向に移動Fする)。この移動Fで、このアーム部材29の連結端2900に枢着した従動側の第二部材22を前進後退(可動)させる(前進後退の構造は後述する)。この従動側の第二部材22の前進後退で、架台6が、所定範囲で首振り、この首振りが防霜ファン5の首振り状態となる。そして、この従動側の第二部材22の前進後退は、従動側の第二部材22の先端2200が、前記取付け台3に枢着された可動軸4に枢着されるとともに、この従動側の第二部材22の連結端2201が、前進後退するアーム部材29の連結端2900に枢着されている構造を利用する。即ち、アーム部材29が前進後退することで、この従動側の第二部材22の基端2200は、可動軸4を支点として、回転(復運動)するのみであり、水平方向Xに移動Fはできない。従って、この従動側の第二部材22は、可動軸4を支点として回転する。この回転により、従動側の第二部材22の連結端2201が前進後退(水平方向Xに移動F)する構造である。尚、アーム部材29の連結端2900と、この従動側の第二部材22の連結端2201は、防霜ファン5が長手方向の中心Zに位置する状態で、平面視して、略ヘ字形となっている(図5−1と図5−3の如く、平面模式図において、長手方向の中心Zを基準として、アーム部材29の基端2901から、その連結端2900に向かって上方傾斜で、従動側の第二部材22が、中心Zを基準として鉛直方向にある)。
【0036】
そして、図5−1は、駆動側の第一部材21の先端2100が、長手方向の中心Zを基準として、丁度、直角方向で、その上方に位置する第一状態であって、駆動側の第一部材21の先端2100(アーム部材29の基端2901)が、長手方向の中心Zを基準として、その上方に競上がった状態であり、また、従動側の第二部材22の先端2200も同じ状態である。この第一状態では、防霜ファン5は、長手方向の中心Zにある。そして、この第一状態から、第二状態に移行するが、この際に、一方のアーム29aはスプリング30のバネ力を介して、他方のアーム29bを押圧することで、このアーム部材29が、向かって、右方向に移動Fする。そして、この第二状態では、図5−2に示した状態であって、駆動側の第一部材21の先端2100は、長手方向の中心Z位置で、かつ図面に向かって、右側の略中心Zにある。この先端2100の右回転(時計方向の回転)に伴って、従動側の第二部材22の連結端2201は、アーム部材29の基端2901も同様に、長手方向の中心Zを基準として、その上方に競上がった第二状態となる。この第二状態では、防霜ファン5は、長手方向の中心Zを基準として、下方にある。そして、この第二状態から、第三状態に移行するが、この第三状態では、図5−3に示した状態であって、駆動側の第一部材21の先端2100が、長手方向の中心Zを基準として、丁度、直角方向で、その下方に位置する状態で、このアーム部材29の基端2901は戻り、長手方向の中心Zを基準として、丁度、直角方向の状態であって、従動側の第二部材22が、前記駆動側の第一部材21と略対峙した状態である。そして、この第三状態では、防霜ファン5は、長手方向の中心Zに戻った状態であり、かつ駆動側の第一部材21の方向は、第一状態における駆動側の第一部材21の方向と、略逆の状態である。その後、この第三状態から、第四状態に移行するが、この際に、アーム部材29が、向かって、左方向に移動Fする。そして、この第四状態では、図5−4に示した状態であって、駆動側の第一部材21の先端2100が、長手方向の中心Zに戻った第四状態であって、この駆動側の第一部材21の先端2100が、長手方向(左側)の中心Zに位置しており、また、従動側の第二部材22は、長手方向の中心Zを基準として、その上方に競上がり傾斜した状態で、前記第二状態と略逆の状態でるが、その連結端2201が、図面上で、左に変位している。また、この第四状態では、従動側の第二部材22の連結端2201(アーム部材29の連結端2900)は、長手方向の中心Zを基準として、その上方に競上がった状態となる。尚、この第四状態では、防霜ファン5は、長手方向の中心Zを基準として、上方にある。そして、何れの状態においても、従動側の第二部材22の連結端2201は、一定の位置で(可動軸4を軸芯として)回転する構造である。
【0037】
尚、図22は、別の実施例を示したものであり、板状、又はスタンド式の架台6に、止め具51を介して、俯角調整ベース52(モーターベース)を枢着して、この俯角調整ベース52を架台6に俯角調整自在とする。図中50はファンを、53はガードを、54はモータを示す。尚、その構造・動作と効果等は、前述の実施例に準ずる。
【符号の説明】
【0038】
1 取付け筒
2 螺子
3 取付け台
4 可動軸
400 軸芯
5 防霜ファン
6 架台
7 モータ
8 モータベース
10 モータ
11 出力軸
1100 ギャ
12 第一歯車
13 第二歯車
15 第n歯車
16 ケーシング
17 軸受け
18 支持杆
20 回転軸
21 駆動側の第一部材
2100 先端
22 従動側の第二部材
2200 先端
2201 連結端
25 キャップ
26 シール
29 アーム部材
2900 連結端
2901 基端
29a 一方のアーム
29a1 自由端
29b 他方のアーム
29b1 自由端
30 スプリング
30a アクティブスプリング
33 筒体
34 補助部材
35 鞘管
36 防振ゴム
36a アクティブ防振ゴム
37 取付孔
38 止め具
40 取付孔
41 止め具
44 長溝
45 孔
46 止め具
47 止め具
50 ファン
51 止め具
52 俯角調整ベース
53 ガード
54 モータ
A 防霜ファン装置
B 建柱
C 減速機構
D 連動機構
E 減衰機構、緩衝機構でなる手段
F 移動
X 水平方向
Y 軸芯
Z 長手方向の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持材、建柱の構築物に設けた取付け筒と、この取付け筒に設けた取付け台と、この取付け台に内装した減速機構、及び連動機構と、この連動機構に設けた首振り用の架台と、防霜ファン、又はファンとで構成した送風機の首振り機構であって、
前記連動機構のアーム部材に、スプリング、又は防振ゴム、或いは、アクティブスプリング、又はアクティブ防振ゴムでなる減衰機構、緩衝機構の手段を設ける構成とした送風機の首振り機構。
【請求項2】
請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
前記取付け台に内装した減速機構は、取付け筒に設けたモータの出力軸のギヤに噛合する第一歯車と、この第一歯車に噛合する第二歯車〜第n歯車と、この第n歯車を支持し、かつこの取付け台に枢支した架台を支持する可動軸と、で構成した送風機の首振り機構。
【請求項3】
請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
前記連動機構のアーム部材は、一方のアームと、他方のアームで構成し、この一方のアームと、他方のアームとの間に、スプリング、又は防振ゴム、或いは、アクティブスプリング、又はアクティブ防振ゴムでなる減衰機構、緩衝機構の手段を設ける構成とした送風機の首振り機構。
【請求項4】
請求項3に記載の送風機の首振り機構であって、
前記アクティブスプリングは、スプリングの外側に筒体、枠体でなる剛性部材を套嵌する構成した送風機の首振り機構。
【請求項5】
請求項1に記載の送風機の首振り機構であって、
前記アクティブ防振ゴムは、防振ゴムの外側に筒体、枠体でなる剛性部材を套嵌する構造か、又は防振ゴムにスプリング、弾性体でなる補助手段を埋設する構造にする構成した送風機の首振り機構。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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【図15−4】
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【図16】
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【図17】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−172585(P2012−172585A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35124(P2011−35124)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】