説明

透明導電性素子およびその製造方法、入力装置ならびに電子機器

【課題】優れた視認性を有する透明導電性素子を提供する。
【解決手段】透明導電性素子は、第1の表面および第2の表面を有する基材と、第1の表面および第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部とを備える。透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とが、基材表面に交互に敷き詰められる。透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、透明導電性素子、それを用いる入力装置および電子機器、ならびにその製造に用いる透明導電性素子作製用原盤に関する。詳しくは、視認性を向上することができる透明導電性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明でかつ抵抗が小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(ELと略記される場合がある)ディスプレイなどのようなフラットパネルディスプレイや、抵抗膜式タッチパネルの透明電極など、電気、電子分野の用途に広く使用されている。
【0003】
近年、静電容量式のタッチパネルが携帯電話、携帯音楽端末などのモバイル機器に搭載されるケースが増えている。このような静電容量式のタッチパネルでは、基材表面にパターニングされた透明導電層が形成された透明導電性フィルムが用いられる。しかしながら、従来の透明導電性フィルムを用いた場合、透明導電層を有する部分と除去された部分とでの光学特性の差が大きいため、パターニングが強調され、液晶ディスプレイなどの表示装置の前面に透明導電性フィルムを配置した際に、視認性が低下するという問題がある。
【0004】
そこで、透明導電性薄膜層と基材フィルムとの間に、屈折率の異なる誘電体層を積層した積層膜を設け、これらの積層膜の光学干渉を利用して、透明導電性フィルムの視認性を向上する技術が提案されている(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−23282号公報
【0006】
【特許文献2】特開2010−27294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の技術では、積層膜の光学調整機能に波長依存があるため、透明導電性フィルムの視認性を十分に向上させることは困難である。このため、近年では、透明導電性フィルムの視認性を向上する技術として、上述の積層膜に代わる技術が望まれている。
【0008】
したがって、本技術の目的は、優れた視認性を有する透明導電性素子、それを用いる情報入力装置および電子機器、ならびにその製造に用いる透明導電性素子作製用原盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、第1の技術は、
表面を有する基材と、
表面に平面的に交互に並べられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
透明導電部と透明絶縁部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている透明導電性素子である。
第2の技術は、
表面を有する基材と、
表面に平面的に交互に並べられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
透明導電部と透明絶縁部との境界は、ランダム形状であり、
ランダム形状は、孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である透明導電性素子である。
【0010】
第3の技術は、
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
第1の表面および第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とが、第1の表面および第2の表面の少なくとも一方に平面的に交互に並べられ、
透明電極パターン部は、複数の孔部がランダムに形成された透明導電層であり、
透明絶縁パターン部は、離間してランダムに形成された複数の島部からなる透明導電層であり、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている透明導電性素子である。
第4の技術は、
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
第1の表面および第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とが、第1の表面および第2の表面の少なくとも一方に平面的に交互に並べられ、
透明電極パターン部は、複数の孔部が離間してランダムに形成された透明導電層であり、
透明絶縁パターン部は、離間してランダムに形成された複数の島部からなる透明導電層であり、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界は、ランダム形状であり、
ランダム形状は、孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である透明導電性素子である。
【0011】
第5の技術は、
表面を有する第1の基材と、第1の基材の表面に平面的に交互に並べられた第1の透明導電部および第1の透明絶縁部とを有する第1の透明導電性素子と、
表面を有する第2の基材と、第2の基材の表面に平面的に交互に並べられた第2の透明導電部および第2の透明絶縁部とを有するとともに、第1の透明導電性素子の表面に設けられた第2の透明導電性素子と
を備え、
第1の透明導電部および第2の透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
第1の透明絶縁部および第2の透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
第1の透明導電部と第1の透明絶縁部との境界線上、および第2の透明導電部と第2の透明絶縁部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている入力装置である。
第6の技術は、
表面を有する第1の基材と、第1の基材の表面に平面的に交互に並べられた第1の透明導電部および第1の透明絶縁部とを有する第1の透明導電性素子と、
表面を有する第2の基材と、第2の基材の表面に平面的に交互に並べられた第2の透明導電部および第2の透明絶縁部とを有するとともに、第1の透明導電性素子の表面に設けられた第2の透明導電性素子と
を備え、
第1の透明導電部および第2の透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
第1の透明絶縁部および第2の透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
第1の透明導電部と第1の透明絶縁部との境界、および第2の透明導電部と第2の透明絶縁部との境界は、ランダム形状であり、
ランダム形状は、孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である入力装置である。
【0012】
第7の技術は、
表面を有する基材と、表面に平面的に交互に並べられた透明導電部および透明絶縁部とを有する透明導電性素子を備え、
透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
透明導電部と透明絶縁部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている電子機器である。
第8の技術は、
表面を有する基材と、表面に平面的に交互に並べられた透明導電部および透明絶縁部とを有する透明導電性素子を備え、
透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
透明導電部と透明絶縁部との境界は、ランダム形状であり、
ランダム形状は、孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である電子機器である。
【0013】
第9の技術は、
透明導電部形成領域と透明絶縁部形成領域とが平面的に交互に並べられた表面を有し、
透明導電部形成領域には、凹状を有する複数の孔部がランダムに設けられ、
透明絶縁部形成領域には、凸状を有する複数の島部がランダムに設けられ、
透明導電部形成領域と透明絶縁部形成領域との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている透明導電性素子形成用原盤である。
第10の技術は、
透明導電部形成領域と透明絶縁部形成領域とが平面的に交互に並べられた表面を有し、
透明導電部形成領域には、凹状を有する複数の孔部がランダムに設けられ、
透明絶縁部形成領域には、凸状を有する複数の島部がランダムに設けられ、
透明導電部形成領域と透明絶縁部形成領域との境界は、ランダム形状であり、
ランダム形状は、孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である透明導電性素子形成用原盤である。
【0014】
本技術において、透明導電部の平均境界線長さL1と透明絶縁部の平均境界線長さL2との平均境界線長さ比(L1/L2)が、0.75以上1.25以下の範囲内であることが好ましい。
【0015】
本技術において、透明導電部および透明絶縁部の反射L値の差の絶対値が、0.3未満であることが好ましい。
【0016】
本技術において、孔部および島部が、ドット状を有していることが好ましい。ドット状は、円形状、楕円形状、円形状の一部を切り取った形状、楕円形状の一部を切り取った形状、多角形状、角を取った多角形状および不定形状からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
本技術において、孔部間の導電部および島部間の間隙部が、網目状を有していることが好ましい。
【0018】
本技術において、孔部がドット状を有し、島部間の間隙部が網目状を有していることが好ましい。
【0019】
本技術において、孔部間の導電部が網目状を有し、島部がドット状を有していることが好ましい。
【0020】
本技術において、透明導電部と透明絶縁部とにおけるランダムのパターンが、互いに異なるランダムのパターンであり、互いに異なるランダムのパターンは、互いに異なる生成条件にて生成されたランダムのパターンであることが好ましい。
【0021】
本技術において、表面とは反対側となる裏面に、交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部をさらに備え、表面の透明導電層の被覆率と裏面の透明導電層の被覆率との加算値の差が、0%以上60%以下の範囲内であることが好ましい。
【0022】
本技術において、透明導電部が複数の領域を有し、領域の幅をW、領域の長さをLとしたとき、比率(L/W)が大きな領域ほど、透明導電層の被覆率が大きく設定されていることが好ましい。複数の領域は、第1の領域と第2の領域とからなり、これらの2つの領域のうち比率(L/W)が大きな領域ほど、透明導電層の被覆率が大きく設定されていることが好ましい。
【0023】
本技術において、透明導電部は、透明電極パターン部であることが好ましい。
【0024】
第11の技術は、
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
第1の表面および第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とが、第1の表面および第2の表面の少なくとも一方に交互に敷き詰められ、
透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている透明導電性素子である。
【0025】
第12の技術は、
第1の透明導電性素子と、
第1の透明導電性素子の表面に設けられた第2の透明導電性素子と
を備え、
第1の透明導電性素子および第2の透明導電性素子の少なくとも一方が、
表面を有する基材と、
表面に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とが、基材の表面に交互に敷き詰められ、
透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている情報入力装置である。
【0026】
第13の技術は、
透明導電性素子を備え、
透明導電性素子は、
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
第1の表面および第2の表面に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とが、第1の表面および第2の表面に交互に敷き詰められ、
透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている情報入力装置である。
【0027】
第14の技術は、
透明電極パターン部形成領域と透明絶縁パターン部形成領域とが交互に敷き詰められた表面を有し、
透明電極パターン部形成領域には、凹状を有する複数の孔部が離間してランダムに形成され、
透明絶縁パターン部形成領域には、凸状を有する複数の島部が離間してランダムに形成されている透明導電性素子形成用原盤である。
【0028】
第15の技術は、
基材の表面に導電性塗料を印刷する工程と、
導電性塗料を乾燥および/または加熱することにより、基材の表面に透明電極パターン部および透明絶縁パターン部を形成する工程と
を備え、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とが、基材の表面に交互に敷き詰められ、
透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている透明導電性素子の製造方法である。
【0029】
第16の技術は、
基材の表面に設けられた透明導電層の表面に、レジストパターンを形成する工程と、
レジストパターンをマスクとして、透明導電層をエッチングすることにより、基材の表面に透明電極パターン部および透明絶縁パターン部を形成する工程と
を備え、
透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とが、基材の表面に交互に敷き詰められ、
透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている透明導電性素子の製造方法である。
【0030】
本技術において、透明電極パターン部は、複数の孔部が離間してランダムに形成された透明導電層であり、透明絶縁パターン部は、離間してランダムに形成された複数の島部からなる透明導電層であることが好ましい。
【0031】
本技術において、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線の形状は、ランダム形状であることが好ましい。ランダム形状としては、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線上に、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部を離間してランダムに形成することにより得られる形状、または孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状であることが好ましい。
【0032】
本技術において、孔部および島部の形状は、円形状、楕円形状、円形状の一部を切り取った形状、楕円形状の一部を切り取った形状、多角形状、角を取った多角形状および不定形状からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ランダムパターンの生成の容易さの観点からすると、円形状が特に好ましい。また、孔部および島部の形状として異なる形状を採用するようにしてもよい。ここで、楕円形状には、数学的に定義される完全な楕円のみならず、多少の歪みが付与された楕円(例えば長円、卵型など)も含まれる。円形には、数学的に定義される完全な円(真円)のみならず、多少の歪みが付与された円形も含まれる。多角形には、数学的に定義される完全な多角形のみならず、辺に歪みが付与された多角形、角に丸みが付与された多角形、および辺に歪みが付与され、かつ角に丸みが付与された多角形なども含まれる。辺に付与される歪みとしては、凸状または凹状などの湾曲などが挙げられる。
【0033】
本技術において、ランダムパターンを有する複数の孔部および複数の島部の形成方法としては、均一な膜を形成したのちに不要部分を除去する方法(以下適宜エッチング法という。)、ランダムパターンを最初から直接形成する方法(以下適宜印刷法という。)などが挙げられるが、形成方法はこれらの方法に制限されるものではない。エッチング法としては、露光によりパターニングを施し、エッチング液を用いてウエットエッチングする方法や、エッチングペーストをパターニング形状どおりに塗布する方法などを用いることができるが、これらの方法に特に限定されるものではない。また、印刷法としては、スクリーン印刷、水なし平板印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、マイクロコンタクトプリントを用いることができるが、これらの方法に制限されるものではない。
【0034】
本技術において、透明電極パターン部は、X電極パターン部またはY電極パターン部であることが好ましい。透明導電性素子を静電容量方式の情報入力装置(タッチパネル)として用いる場合には、X電極パターン部とY電極パターン部とを、各々異なる基材の第1の表面および第2の表面の一方に形成して使用してもよい。また、X電極パターン部とY電極パターン部とをそれぞれ、一枚の基材の第1の表面および第2の表面に形成してもよいし、X電極パターン部とY電極パターン部との両方を、一枚の基材の第1の表面および第2の表面の一方に形成して使用してもよい。X電極パターン部とY電極パターン部との両方を、一枚の基材の第1の表面および第2の表面の一方に形成する場合、X電極パターン部とY電極パターン部との間の隙間に、透明絶縁パターン部を形成することが好ましい。
【0035】
本技術において、複数の孔部すべてを離間して形成することが好ましいが、視認性の低下および導電性の低下を招かない範囲であれば、複数の孔部の一部を互いに接し合わせる、または重なり合わせるようにしてもよい。また、複数の島部すべてを離間して形成することが好ましいが、視認性の低下および絶縁性の低下を招かない範囲であれば、複数の島部の一部を互いに接し合わせる、または重なり合わせるようにしてもよい。
【0036】
本技術では、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とを基材表面に交互に敷き詰めているので、透明電極パターン部が形成されている領域と、透明電極パターン部が形成されていない領域(すなわち透明絶縁パターン部が形成されている領域)との、光学特性の差を小さくすることができる。したがって、透明電極パターン部の視認を抑制することができる。また、透明電極パターン部には複数の孔部を離間してランダムに形成し、透明絶縁パターン部には複数の島部を離間してランダムに形成しているので、モアレの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、本技術によれば、透明電極パターン部の視認を抑制し、かつ、モアレの発生を抑制することができるので、優れた視認性を有する透明導電性素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本技術の第1の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す断面図である。
【図2】図2Aは、本技術の第1の実施形態に係る第1の透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図2Bは、図1Aに示したA−A線に沿った断面図である。図2Cは、図2Aに示した領域C1を拡大して示す平面図である。
【図3】図3Aは、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線近傍を拡大して示す平面図である。図3Bは、図3Aに示したA−A線に沿った断面図である。
【図4】図4Aは、本技術の第1の実施形態に係る第2の透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図4Bは、図4Aに示したA−A線に沿った断面図である。図4Cは、図4Aに示した領域C2を拡大して示す平面図である。
【図5】図5A〜図5Dは、本技術の第1の実施形態に係る第1の透明導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図6】図6は、ランダムパターン生成のアルゴリズを説明するための略線図である。
【図7】図7は、ランダムパターン生成のアルゴリズを説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、ランダムパターン生成のアルゴリズを説明するための略線図である。
【図9】図9は、ランダムパターン生成のアルゴリズを説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、ランダムパターン生成のアルゴリズを説明するための略線図である。
【図11】図11Aは、ランダムパターンの生成方法のイメージを示す模式図である。図11Bは、円の面積比率を80%としたランダムパターン生成の例を示す図である。
【図12】図12Aは、生成パターンより円半径を小さくした例を示す図である。図12Bは、角を取った正方形でパターンを生成した例を示す図である。
【図13】図13Aは、第1の透明導電性素子の透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線近傍を拡大して表す平面図である。図13Bは、第2の透明導電性素子の透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線近傍を拡大して表す平面図である。
【図14】図14A〜図14Eは、本技術の第1の実施形態に係る第1の透明導電性素子、および第2の透明導電性素子の変形例を示す断面図である。
【図15】図15Aは、本技術の第2の実施形態に係る第1の透明導電性素子の製造方法で用いられる原盤の形状の一例を示す斜視図である。図15Bは、図15Aに示した第1領域R1および第2領域R2の一部を拡大して示す平面図である。
【図16】図16A、図16Bは、本技術の第2の実施形態に係る第1の導電性素子の製造方法の一例について説明するための工程図である。
【図17】図17Aは、本技術の第3の実施形態に係る第1の透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図17Bは、図17Aに示したa−a線に沿った断面図である。図17Cは、図17Aに示した領域C1を拡大して示す平面図である。
【図18】図18Aは、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線近傍を拡大して示す平面図である。図18Bは、図18Aに示したb−b線に沿った断面図である。
【図19】図19Aは、本技術の第3の実施形態に係る第2の透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図19Bは、図19Aに示したc−c線に沿った断面図である。図19Cは、図19Aに示した領域C2を拡大して示す平面図である。
【図20】図20A〜図20Cは、導電部のパターンと比較例の説明図である。
【図21】図21は、導電部の被覆率に対するシート抵抗の説明図である。
【図22】図22Aは、本技術の第3の実施形態に係る第1および第2の透明導電性素子の重なり領域を説明するための平面図である。図22Bは、図22Aの一部を拡大して表す平面図である。
【図23】図23A、23Bは、本技術の第3の実施形態における乱数の重み付けを説明するためのグラフである。
【図24】図24A〜図24Cは、本技術の第3の実施形態におけるメッシュパターンの形成方法を説明するための略線図である。
【図25】図25Aは、本技術の第3の実施形態に係る第1の透明導電性素子の製造方法で用いられる原盤の形状の一例を示す斜視図である。図25Bは、図25Aに示した第1領域R1および第2領域R2の一部を拡大して表す平面図である。
【図26】図26Aは、本技術の第4の実施形態に係る第1の透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図26Bは、本技術の第4の実施形態に係る第2の透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。
【図27】図27Aは、本技術の第4の実施形態に係る第1および第2の透明導電性素子の重なり領域の説明するための平面図である。図27Bは、図27Aの一部を拡大して表す平面図である。
【図28】図28は、本技術の第4の実施形態におけるパターンの組み合わせを説明するための略線図である。
【図29】図29A〜図29Cは、本技術の第5の実施形態に係る透明導電性素子の構成例を示す断面図である。
【図30】図30は、本技術の第6の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。
【図31】図31Aは、図30に示した領域Aを拡大して表す平面図である。図31Bは、図31AのA−A’線に沿った断面図である。
【図32】図32A〜図32Cは、生成パターンに基づいて絶対領域の溝パターンを作製する手順を説明するための平面図である。
【図33】図33は、溝パターンの幅の変更を示す平面図である。
【図34】図34Aは、本技術の第6の実施形態に係る透明導電性素子の製造方法で用いられる原盤の形状の一例を示す斜視図である。図34Bは、図34Aに示した第1領域R1および第2領域R2の一部を拡大して表す平面図である。
【図35】図35Aは、本技術の第7実施形態に係る透明導電性素子の一部を拡大して表す平面図である。図35Bは、図35AのA−A’線に沿った断面図である。
【図36】図36Aは、本技術の第8実施形態に係る透明導電性素子の一構成例を説明するための平面図である。図36Bは、本技術の第8実施形態に係る透明導電性素子の変形例を説明するための平面図である。
【図37】図37は、本技術の第9の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す断面図である。
【図38】図38Aは、本技術の第10の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図38Bは、図38Aに示したA−A線に沿った概略断面図である。
【図39】図39Aは、図38Aに示した交差部Cの付近を拡大して示す平面図である。図39Bは、図39Aに示したA−A線に沿った断面図である。
【図40】図40は、表示部を備えたテレビ(電子機器)を示す斜視図である。
【図41】図41は、表示部を備えたデジタルカメラ(電子機器)を示す斜視図である。
【図42】図42は、表示部を備えたノート型パーソナルコンピュータ(電子機器)を示す斜視図である。
【図43】図43は、表示部を備えたビデオカメラ(電子機器)を示す斜視図である。
【図44】図44は、表示部を備えた携帯端末装置(電子機器)の正面図である。
【図45】図45A、図45Bは、実施例1の透明導電性フィルムの透明電極パターン部、および透明絶縁パターン部の写真を示す。
【図46】図46A、図46Bは、実施例のランダムパターンを説明するための平面図である。
【図47】図47は、実施例のランダムパターンを説明するための平面図である。
【図48】図48は、実施例3−1〜3−3の透明電極パターン部(電極領域)および透明絶縁パターン部(絶縁領域)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本技術の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
1.第1の実施形態(透明導電性素子およびそれを用いた情報入力装置の一例)
2.第2の実施形態(印刷法による透明導電性素子の製造方法の一例)
3.第3の実施形態(透明電極パターン部および透明絶縁パターン部のランダムパターンが互いに異なる例)
4.第4の実施形態(ダイヤモンドパターン状電極の例)
5.第5の実施形態(金属ナノワイヤーを用いた透明導電性素子の例)
6.第6の実施形態(透明絶縁パターン部に網目状の溝部が設けられた例)
7.第7の実施形態(透明絶縁パターン部のみにランダムパターンを設けた透明導電性素子の例)
8.第8の実施形態(透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線長さ比の数値範囲を限定した例)
9.第9の実施形態(基材の一主面にX電極が設けられ、他主面にY電極が設けられた例)
10.第10の実施形態(基材の一主面にX電極およびY電極が設けられた例)
11.第11の実施形態(電子機器への適用例)
【0040】
<1.第1の実施形態>
[情報入力装置の構成]
図1は、本技術の第1の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す断面図である。図1に示すように、情報入力装置10は、表示装置4の表示面上に設けられる。情報入力装置10は、例えば貼合層5により表示装置4の表示面に貼り合わされている。
【0041】
情報入力装置10は、いわゆる投影型静電容量方式タッチパネルであり、第1の透明導電性素子1と、この第1の透明導電性素子1の表面上に設けられた第2の透明導電性素子2とを備え、第1の透明導電性素子1と第2の透明導電性素子2とは貼合層6を介して貼り合わされている。また、必要に応じて、第2の透明導電性素子2の表面上に光学層3をさらに備えるようにしてもよい。
【0042】
(第1の透明導電性素子)
図2Aは、本技術の第1の実施形態に係る第1の透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図2Bは、図2Aに示したA−A線に沿った断面図である。図2Cは、図2Aに示した領域C1を拡大して示す平面図である。図2Aおよび図2Bに示すように、第1の透明導電性素子1は、表面を有する基材11と、この表面に形成された透明導電層12とを備える。透明導電層12は、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とを備える。透明電極パターン部13は、X軸方向に延在されたX電極パターン部である。透明絶縁パターン部14は、いわゆるダミー電極パターン部であり、X軸方向に延在されるとともに、透明電極パターン部13の間に介在されて、隣り合う透明電極パターン部13の間を絶縁する絶縁パターン部である。これらの透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とが、基材11の表面にY軸方向に向かって交互に敷き詰められている。なお、図2A〜図2Cにおいて、領域R1は透明電極パターン部13の形成用領域を示し、領域R2は透明絶縁パターン部14の形成領域を示す。
【0043】
透明電極パターン部13、および透明絶縁パターン部14の形状は、画面形状や駆動回路などに応じて適宜選択することが好ましく、例えば、直線状、複数の菱形状(ダイヤモンド形状)を直線状に連結した形状などが挙げられるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。なお、図2Aでは、透明電極パターン部13、および透明絶縁パターン部14の形状を直線状とした場合が例示されている。
【0044】
図2Cに示すように、透明電極パターン部13は、複数の孔部13aが離間してランダムに形成された透明導電層であり、隣り合う孔部13aの間には導電部13bが介在されている。一方、透明絶縁パターン部14は、離間してランダムに形成された複数の島部14aからなる透明導電層であり、隣り合う島部14aの間には絶縁部としての間隙部14bが介在される。ここで、間隙部14bでは、透明導電層が完全に除去されていることが好ましいが、間隙部14bが絶縁部として機能する範囲内であれば、透明導電層の一部が島状や薄膜状に残留していてもよい。孔部13aおよび島部14aは周期性のないランダム構造を有することが好ましい。孔部13aおよび島部14aがミクロンオーダー以下の周期構造によって形成されていると、それ自体で干渉光が発生したり、表示装置4の表示面上に情報入力装置10を配置して目視した場合、モアレが発生したりする傾向がある。
【0045】
図3Aは、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線近傍を拡大して示す平面図である。図3Bは、図3Aに示したA−A線に沿った断面図である。図3Aおよび図3Bに示すように、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14との境界線L1上には、複数の反転部15が離間してランダムに形成されていることが好ましい。反転部15は、孔部13aと島部14aとを有し、境界線L1を境にして孔部13aから島部14aに反転する構成を有している。このように境界線L1上に複数の反転部15をランダムに形成することで、境界線L1の視認を抑制することができるからである。
【0046】
第1の領域R1では、例えば、複数の孔部13aが基材表面の露出領域となるのに対して、隣り合う孔部13a間に介在された導電部13bが基材表面の被覆領域となる。一方、第2の領域R2では、複数の島部14aが基材表面の被覆領域となるのに対して、隣り合う島部14a間に介在された間隙部14bが基材表面の露出領域となる。第1の領域R1と第2の領域R2との被覆率差を60%以下、好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下とし、かつ、孔部13aおよび島部14aの部分を目視で視認できない大きさで形成することが好ましい。透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とを目視により比較したとき、透明導電層が第1の領域R1と第2の領域R2とで同じように被覆されているように感じられるため、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14との視認を抑制することができる。
【0047】
第1の領域R1における導電部13bによる被覆面積の割合は高くすることが好ましい。被覆率が低くなるにつれて、同じ導電性を持たせようとすると、導電部13bの厚みを増やさなければならないが、エッチング加工することを考えた場合、最初の全面製膜時の厚みを厚くしなければならず、被覆率と反比例してコストが増大してしまうからである。例えば、被覆率が50%の場合は材料費が2倍、被覆率が10%の場合は材料費が10倍となる。その他にも導電部13bの膜厚が厚くなることで、光学特性の劣化や、導電物質を塗料化して微細パターンを印刷する場合、印刷性の低下といった問題も生じる。被覆率が小さくなりすぎると、絶縁してしまう可能性も大きくなる。以上の点を考慮すると、少なくとも被覆率は10%以上であることが好ましい。被覆率の上限値は、特に制限されるものではない。
【0048】
第2の領域R2における島部14aによる被覆率は、高すぎるとランダムパターンの生成自体が困難になるとともに、島部14a同士が接近し短絡する恐れがあるため、島部14aによる被覆率は95%以下にすることが好ましい。
【0049】
孔部13aおよび島部14aの形状としては、目視により認識できず周期性を持たなければよく、例えば、円形状、楕円形状、円形状の一部を切り取った形状、楕円形状の一部を切り取った形状、多角形状、角を取った多角形状および不定形状からなる群より選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。但し、個々のサイズが大きすぎると、目視により孔部13aおよび島部14aの形状が視認できてしまうため、任意の点からいずれの方向にも50μm以上連続して導電部あるいは非導電部が続くような形状は避けることが好ましい。例えば島部14aを円形状にする場合、直径を100μm未満にすることが好ましい。視認する距離によっては、任意の点からいずれの方向にも30μm以上連続して導電部あるいは非導電部が続くような形状は避けることが好ましい。第1の透明導電性素子1の作製方法によっては、透明導電層の厚みが均一でない場合もある。その場合、上記「被覆率」を、単位面積あたりの導電材料の体積で定義してもよい。
【0050】
透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14の反射L値の差の絶対値が、0.3未満であることが好ましい。透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14の視認を抑制することができるからである。
【0051】
(基材)
基材11の材料としては、例えば、ガラス、プラスチックを用いることができる。ガラスとしては、例えば公知のガラスを用いることができる。公知のガラスとしては、具体的には例えば、ソーダライムガラス、鉛ガラス、硬質ガラス、石英ガラス、液晶化ガラスなどが挙げられる。プラスチックとしては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、具体的には例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(P)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、環状オレフィンポリマー(COP)、ノルボルネン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0052】
ガラス基材の厚みは、20μm〜10mmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。プラスチック基材の厚さは、20μm〜500μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
【0053】
(透明導電層)
透明導電層12の材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物、もしくは銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛などの金属、又はこれらの合金などが挙げられる。カーボンナノチューブをバインダー材料に分散させた複合材料を用いてもよい。置換または無置換のポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、およびこれらから選ばれる1種または2種からなる(共)重合体の導電性ポリマーを使用してもよい。これら2種以上を複合して使用してもよい。
【0054】
透明導電層12の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法、塗工法、印刷法など用いることができる。透明導電層12、22の厚みは、パターニング前の状態(基材11の全面に透明導電層12、22が形成されている状態)にて表面抵抗が1000Ω/□以下となるように適宜選択することが好ましい。
【0055】
(第2の透明導電性素子)
図4Aは、本技術の第1の実施形態に係る第2の透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図4Bは、図4Aに示したA−A線に沿った断面図である。図4Cは、図4Aに示した領域C2を拡大して示す平面図である。図4Aおよび図4Bに示すように、第2の透明導電性素子2は、表面を有する基材21と、この表面に形成された透明導電層22とを備える。透明導電層22は、透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24とを備える。透明電極パターン部23は、Y軸方向に延在されたY電極パターン部である。透明絶縁パターン部24は、いわゆるダミー電極パターン部であり、Y軸方向に延在されるとともに、透明電極パターン部23の間に介在されて、隣り合う透明電極パターン部23の間を絶縁する絶縁パターン部である。これらの透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24とが、基材11の表面にX軸方向に向かって交互に敷き詰められている。第1の透明導電性素子1が有する透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14と、第2の透明導電性素子2が有する透明電極パターン部23および透明絶縁パターン部24とは、例えば互いに直交する関係にある。なお、図4A〜図4Cにおいて、領域R1は透明電極パターン部23の形成用領域を示し、領域R2は透明絶縁パターン部24の形成領域を示す。
【0056】
図4Cに示すように、透明電極パターン部23は、複数の孔部23aが離間してランダムに形成された透明導電層であり、隣り合う孔部23aの間には導電部23bが介在されている。一方、透明絶縁パターン部24は、離間してランダムに形成された複数の島部24aからなる透明導電層であり、隣り合う島部24aの間には絶縁部としての間隙部24bが介在されている。透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24との境界線L2上には、複数の反転部25が離間してランダムに形成されていることが好ましい。
第2の透明導電性素子2において、上記以外のことは第1の透明導電性素子1と同様である。
【0057】
(光学層)
光学層3は、例えば、基材31と、基材31と第2の透明導電性素子2との間に設けられた貼合層32とを備え、この貼合層32を介して基材31が第2の透明導電性素子2の表面に貼り合わされる。光学層3はこの例に限定されるものではなく、SiO2などのセラミックコート(オーバーコート)とすることも可能である。
【0058】
(表示装置)
情報入力装置10が適用される表示装置4は特に限定されるものではないが、例示するならば、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)などの各種表示装置が挙げられる。
【0059】
[透明導電性素子の製造方法]
次に、図5A〜図5Dを参照しながら、以上のように構成される第1の導電性素子1の製造方法の一例について説明する。なお、第2の透明導電性素子2は、第1の透明導電性素子1と同様にして製造することができるので、第2の透明導電性素子2の製造方法については説明を省略する。
【0060】
(透明導電層の成膜工程)
まず、図5Aに示すように、基材11の表面上に透明導電層12を形成する。透明導電層12を形成する際に、基材11を加熱するようにしてもよい。透明導電層12の形成方法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD、光CVDなどのCVD法(Chemical Vapor Deposition(化学蒸着法):化学反応を利用して気相から薄膜を析出させる技術)のほか、真空蒸着、プラズマ援用蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどのPVD法(Physical Vapor Deposition(物理蒸着法):真空中で物理的に気化させた材料を基板上に凝集させ、薄膜を形成する技術)を用いることができる。次に、必要に応じて、透明導電層12に対してアニール処理を施す。これにより、透明導電層12が、例えばアモルファスと多結晶との混合状態、または多結晶状態となり、透明導電層12の導電性が向上する。
【0061】
(レジスト層の成膜工程)
次に、図5Bに示すように、透明導電層12の表面上に、上述の孔部13aおよび間隙部14bに対応する部分に開口部33を有するレジスト層41を形成する。レジスト層41の材料としては、例えば有機系レジスト、および無機系レジストのいずれを用いてもよい。有機系レジストとしては、例えばノボラック系レジストや化学増幅型レジストを用いることができる。また、無機系レジストとしては、例えば、1種または2種以上の遷移金属からなる金属化合物を用いることができる。
【0062】
(現像工程)
次に、図5Cに示すように、複数の開口部33が形成されたレジスト層41をエッチングマスクとして、透明導電層12に対してエッチング処理を施す。これにより、第1の領域R1の透明導電層12には孔部13aおよび導電部13bが形成されるとともに、第2の領域R2の透明導電層12には島部14aおよび間隙部14bが形成される。エッチングとしては、例えば、ドライエッチングおよびウエットエッチングのいずも用いることができるが、設備が簡易である点からすと、ウエットエッチングを用いることが好ましい。
【0063】
(レジスト層の剥離工程)
次に、図5Dに示すように、アッシングなどにより、透明導電層12上に形成されたレジスト層41を剥離する。
以上により、目的とする第1の透明導電性素子1が得られる。
【0064】
[ランダムパターンの生成方法]
以下、孔部13a、23a、および島部14a、24aを形成するためのランダムパターンの生成方法について説明する。ここでは、円形状のランダムパターンを生成する場合を例として説明するが、ランダムパターンの形状はこれに限定されるものではない。
【0065】
(ランダムパターン生成の基本アルゴリズム)
円の半径を設定範囲内でランダムに変化させ、隣接した円が常に接するように円の中心座標を計算し配置することで、配置のランダム性と高密度充填を両立したパターンを生成する。以下のようなアルゴリズムにより、少ない計算量で高密度、かつ一様にランダム配置されたパターンが得られる。
【0066】
(1)X軸上に「半径をある範囲でランダム」とした円を接するように並べる。
(2)「ランダムな半径の円」を決定し、既存の2円に接し、他の円に重ならないよう下から順に積上げる。
以下に、ランダムパターン生成時に使用するパラメータを示す。
min:円を生成する領域のX座標最大値
max:円を生成する領域のY座標最大値
min:生成する円の最小半径
max:生成する円の最大半径
fill:充填率を上げるため、補助的に円を設定する場合の最小半径
Rnd:0.0〜1.0の範囲で得られる乱数値
n:X座標値Xn、Y座標値Yn、半径rnで定義される円
【0067】
(1)X軸上に「半径をある範囲でランダム」とした円を接するように並べる
以下に、使用するパラメータを示す。
min:円を生成する領域のX座標最大値
w:X軸上に円を配置する時に、取り得るY座標の最大値の設定
min:生成する円の最小半径
max:生成する円の最大半径
Rnd:0.0〜1.0の範囲で得られる乱数値
n:X座標値xn、Y座標値yn、半径rnで定義される円
【0068】
図6に示すように、Y座標値をX軸上である0.0から概ねRminの値の範囲でランダムに決定し、また半径をRminからRmaxの範囲でランダムに決定した円を、既存の円に接するように並べることを繰り返し、X軸上にランダムに1列の円を並べる。
【0069】
以下、図7に示したフローチャートを用いてアルゴリズムについて説明する。
まず、ステップS1において、必要なパラメータを設定する。次に、ステップS2において、円P0(x0,y0,r0)を以下のように設定する。
0=0.0
0=0.0
0=Rmin+(Rmax−Rmin)×Rnd
【0070】
次に、ステップS3において、円Pn(xn,yn,rn)を以下の式により決定する。
n=Rmin+(Rmax−Rmin)×Rnd
n=Yw×Rnd
n=xn-1+(rn−rn-1)×cos(asin(yn−yn-1)/(rn−rn-1))
【0071】
次に、ステップS4において、Xn>Xmaxであるか否かを判別する。ステップS4にてXn>Xmaxであると判別された場合には、処理は終了する。ステップS4にてXn>Xmaxでないと判別された場合には、処理はステップS5に進む。ステップS5において、円Pn(xn,yn,rn)を記憶する。次に、ステップS6において、nの値をインクリメントし、ステップS3に処理を移行する。
【0072】
(2)「ランダムな半径の円」を決定し、既存の2円に接し、他の円に重ならないよう下から順に積上げる。
以下に、使用するパラメータを示す。
min:円を生成する領域のX座標最大値
max:円を生成する領域のY座標最大値
min:生成する円の最小半径
max:生成する円の最大半径
fill:充填率を上げるため、補助的に円を設定する場合の最小半径
Rnd:0.0〜1.0の範囲で得られる乱数値
n:X座標値xn、Y座標値yn、半径rnで定義される円
【0073】
図8に示すように、(1)で決定した、X軸上に1列に並んだ円を元に、RminからRmaxの範囲で、ランダムな半径の円を決定し、Y座標が小さい方から他の円に接するように円を配置し重ねて行く。また、Rminより小さいRfillを設定し、決定した円では埋まらない隙間ができた場合にのみ、隙間を埋めることで充填率を向上させる。Rminより小さい円を用いない場合は、Rfill=Rminと設定する。
【0074】
以下、図9に示したフローチャートを用いてアルゴリズムについて説明する。
まず、ステップS11において、必要なパラメータを設定する。次に、ステップS12において、円P0から円PnのうちY座標値yiが最小な円Piを求める。次に、ステップS13において、yi<Ymaxである否かを判別する。ステップS13にてyi<Ymaxであると判別された場合には、処理は終了となる。ステップS13において、yi<Ymaxでないと判別された場合には、ステップS14において、追加する円Pkの半径rkをrk=Rmin+(Rmax−Rmin)×Rndとする。次に、ステップS15において、円Pi近傍で円Piを除きY座標値yiが最小な円Pjを求める。
【0075】
次に、ステップS16において、最小な円Piが存在するか否かを判別する。ステップS16にて最小な円Piが存在しないと判別した場合には、ステップS17において、以降Piは無効とする。ステップS16にて最小な円Piが存在すると判別した場合には、ステップS18において、円Piと円Pjとに接する半径rkの円Pkが存在するかを求める。ステップS18において、接する2つの円に、任意の半径の円が接するように配置するときの座標の求め方を図10に示す。
【0076】
次に、ステップS19において、円Piと円Pjとに接する半径rkの円Pkが存在するか否かを判別する。ステップS19において円Pkが存在しないと判別した場合には、ステップS20において、以降円Pi、円Pjの組み合わせは除外する。ステップS19において円Pkが存在すると判別した場合には、ステップS21において、円P0から円Pnに円Pkと重なる円が存在するか否かを判別する。ステップS21にて重なる円が存在しないと判別した場合には、ステップS24において、円Pk(xk,yk,rk)を記憶する。次に、ステップS25において、nの値をインクリメントし、ステップS12に処理を移行する。
【0077】
ステップS21にて重なる円が存在すると判別した場合には、ステップS22にて円Pkの半径rkをRfill以上の範囲で小さくすれば重なりを回避できるか否かを判別する。ステップS22にて重なりを回避できないと判別した場合には、ステップS20において、以降円Pi、円Pjの組み合わせは除外する。ステップS22にて重なりを回避できると判別した場合には、半径rkを重なりを回避できる最大の値にする。次に、ステップS24において、円Pk(xk,yk,rk)を記憶する。次に、ステップS25において、nの値をインクリメントし、ステップS12に処理を移行する。
【0078】
図11Aは、ランダムパターンの生成方法のイメージを示す模式図である。図11Bは、円の面積比率を80%としたランダムパターン生成の例を示す図である。図11Aに示すように、設定した範囲内で円の半径をランダムに変化させて積み上げることで、規則性を廃した密度の高いパターンを生成することができる。パターンに規則性が無いため、情報入力装置10などのモアレの発生などの弊害を回避することができる。
【0079】
図12Aは、生成パターンより円半径を小さくした例を示す図である。図12Bは、角を取った正方形でパターンを生成した例を示す図である。生成した円内に円より小さい図形を描くことで、それぞれが孤立したパターンを形成することができる(図12A)。このように孤立したパターンを用いることで、透明電極パターン部13、23、および透明絶縁パターン部14、24を形成することができる。生成したパターン円内に任意の図形を描くことで、パターンの傾向を変えたり、面積占有率を調整することができる(図12B)。円内に描く図形の形状例としては、円、楕円、多角形、角を取った多角形、不定形などが挙げられ、図12Bでは、角を取った多角形の例が示されている。
【0080】
(変形例)
以下、第1の実施形態に係る第1の透明導電性素子および第2の透明導電性素子の変形例について説明する。
【0081】
(境界線)
図13Aは、第1の透明導電性素子の透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線近傍を拡大して表す平面図である。図13Bは、第2の透明導電性素子の透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線近傍を拡大して表す平面図である。図13Aに示すように、第1の透明導電性素子の透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線L1の形状を、孔部13aおよび島部14aの形状の一部を組み合わせて得られる形状とすることが好ましい。このような形状とすることで、境界線L1をランダムな形状とすることができる。図13Bに示すように、第2の透明導電性素子の透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線L2の形状を、孔部23aおよび島部24aの形状の一部を組み合わせて得られる形状とすることが好ましい。このような形状とすることで、境界線L2をランダムな形状とすることができる。
【0082】
(導電パターン部と非導電パターン部との形成面)
図14Aに示すように、第2の透明導電性素子2の基材21の一方の表面に透明導電層12を形成し、他の表面に透明導電層22を形成するようにしてもよい。この場合、図1に示した情報入力装置10において、基材11の形成は省略することができる。
【0083】
(ハードコート層)
図14Bに示すように、第1の透明導電性素子1の両表面のうち、少なくとも一方の表面にハードコート層61を形成するようにしてもよい。これにより、基材11にプラスチック基材を用いる場合、工程上での基材11の傷付き防止、耐薬品性付与、オリゴマーなどの低分子量物の析出を抑制することができる。ハードコート材料には、光または電子線などにより硬化する電離放射線硬化型樹脂、または熱により硬化する熱硬化型樹脂を用いることが好ましく、紫外線により硬化する感光性樹脂が最も好ましい。このような感光性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。例えば、ウレタンアクリレート樹脂は、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、あるいはプレポリマーを反応させ、得られた生成物に、水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレート系のモノマーを反応させることによって得られる。ハードコート層61の厚みは、1μm〜20μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
【0084】
ハードコート層61は、ハードコート塗料を基材11に塗工することにより形成される。塗工方法は、特に限定されるものではなく公知の塗工方法を用いることができる。公知の塗工方法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などが挙げられる。ハードコート塗料は、例えば、二官能以上のモノマーおよび/またはオリゴマーなどの樹脂原料、光重合開始剤、および溶剤を含有する。基材11上に塗工されたハードコート塗料を乾燥させることにより、溶剤を揮発させる。その後、例えば電離放射線照射または加熱により、基材11上にて乾燥されたハードコート塗料を硬化させる。なお、上述した第1の透明導電性素子1と同様にして、第2の透明導電性素子2の両表面のうち、少なくとも一方の表面にハードコート層61を形成するようにしてもよい。
【0085】
(光学調整層)
図14Cに示すように、第1の透明導電性素子1の基材11と透明導電層12との間に光学調整層62を介在させることが好ましい。これにより、透明電極パターン部13のパターン形状の非視認性をアシストすることができる。光学調整層62は、例えば屈折率が異なる2層以上の積層体から構成され、低屈折率層側に透明導電層12が形成される。より具体的には、光学調整層62としては、たとえば、従来公知の光学調整層を用いることができる。このような光学調整層としては、例えば、特開2008−98169号公報、特開2010−15861号公報、特開2010−23282号公報、特開2010−27294号公報に記載されているものを用いることができる。なお、上述した第1の透明導電性素子1と同様に、第2の透明導電性素子2の基材21と透明導電層22との間に光学調整層62を介在させるようにしてもよい。
【0086】
(密着補助層)
図14Dに示すように、第1の透明導電性素子1の透明導電層12の下地層として密着補助層63を設けることが好ましい。これにより、基材11に対する透明導電層12の密着性を向上することができる。密着補助層63の材料としては、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、および金属元素の塩化物や過酸化物やアルコキシドなどの加水分解・脱水縮合生成物などを用いることができる。
【0087】
密着補助層63を用いるのではなく、透明導電層12を設ける表面にグロー放電またはコロナ放電を照射する放電処理を用いるようにしてもよい。また、透明導電層12を設ける表面に、酸またはアルカリで処理する化学薬品処理法を用いてもよい。また、透明導電層12を設けた後、カレンダー処理により密着を向上させるようにしてもよい。なお、第2の透明導電性素子2においても、上述した第1の透明導電性素子1と同様に密着補助層63を設けるようにしてもよい。また、上述の密着性向上のための処理を施すようにしてもよい。
【0088】
(シールド層)
図14Eに示すように、第1の透明導電性素子1にシールド層64を形成することが好ましい。例えば、シールド層64が設けられたフィルムを第1の透明導電性素子1に透明粘着剤層を介して貼り合わせるようにしてもよい。また、X電極パターンおよびY電極パターンが1枚の基材11の同じ面側に形成されてある場合、それとは反対側にシールド層64を直接形成してもよい。シールド層64の材料としては、透明導電層12と同様の材料を用いることができる。シールド層64の形成方法としても、透明導電層12と同様の方法を用いることができる。但し、シールド層64はパターニングせず基材11の表面全体に形成された状態で使用される。第1の透明導電性素子1にシールド層64を形成することで、表示装置4からから発せられる電磁波などに起因するノイズを低減し、情報入力装置10の位置検出の精度を向上させることができる。なお、上述した第1の透明導電性素子1と同様に、第2の透明導電性素子2にシールド層64を形成するようにしてもよい。
【0089】
<2.第2の実施形態>
本技術に係る第2の実施形態は、エッチング法に代えて印刷法を用いて第1の透明導電性素子1および第2の透明導電性素子2を作製する点において第1の実施形態とは異なっている。なお、第2の透明導電性素子2は、第1の透明導電性素子1と同様にして作製することができるので、第2の透明導電性素子2の製造方法については説明を省略する。
【0090】
[原盤]
図15Aは、本技術の第2の実施形態に係る第1の導電性素子の製造方法で用いられる原盤の形状の一例を示す斜視図である。図15Bは、図15Aに示した第1領域R1および第2領域R2の一部を拡大して示す平面図である。原盤100は、例えば、転写面としての円柱面を有するロール原盤であり、その円柱面には第1の領域R1および第2領域R2が交互に敷き詰められている。第1の領域R1には、凹状を有する複数の孔部113aが離間して形成されており、この孔部113a間は凸部113bにより離間されている。孔部113aは透明電極パターン部13の孔部13aを印刷により形成するためのものであり、凸部113bは透明電極パターン部13の導電部13bを印刷により形成するためのものである。第2の領域R2には、凸状を有する複数の島部114aが離間して形成されており、この島部114a間は凹部114bにより離間されている。島部114aは透明絶縁パターン部14の島部14aを印刷により形成するためのものであり、凹部114bは透明絶縁パターン部14の間隙部14bを印刷により形成するためのものである。
【0091】
[透明導電性素子の製造方法]
図16Aおよび図16Bを参照しながら、本技術の第2の実施形態に係る第1の透明導電性素子の製造方法の一例について説明する。
まず、図16Aに示すように、原盤100の転写面に導電性インクを塗布し、塗布した導電性インクを基材11の表面に印刷する。印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、水なし平板印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷などを用いることができる。次に、図16Bに示すように、必要に応じて、基材11の表面に印刷された導電性インクを加熱することにより、導電性インクを乾燥および/または焼成する。これにより、目的とする第1の透明導電性素子1を得ることができる。
【0092】
<3.第3の実施形態>
[透明導電性素子の構成]
第3の実施形態の第1の透明導電性素子1および第2透明導電性素子2について説明する。なお、以下では、第1の透明導電性素子1、第2の透明導電性素子2をそれぞれ、透明導電性素子1、透明導電性素子2と適宜称する。
【0093】
まず、図17A〜図18Bを用いて、X電極を形成する透明導電性素子1について説明する。図17Aは、透明導電性素子の構成の一例を示す平面図である。図17Bは、図17Aに示したa−a線に沿った断面図である。図17Cは、図17Aに示した領域C1を拡大して示す平面図である。
【0094】
図17Aおよび図17Bに示すように、透明導電性素子1は、表面を有する基材11と、この表面に形成された透明導電層12とを備える。透明導電層12は、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とを備える。透明電極パターン部13は、X軸方向に延在されたX電極パターン部である。透明絶縁パターン部14は、いわゆるダミー電極パターン部であり、X軸方向に延在されるとともに、透明電極パターン部13の間に介在されて、隣り合う透明電極パターン部13の間を絶縁する絶縁パターン部である。これらの透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とが、基材11の表面にY軸方向に向かって交互に敷き詰められている。なお、図17A〜図17Cにおいて、領域R1は透明電極パターン部13の形成領域(電極領域)を示し、領域R2は透明絶縁パターン部14の形成領域(絶縁領域)を示す。
【0095】
透明電極パターン部13、および透明絶縁パターン部14の形状は、画面形状や駆動回路などに応じて適宜選択することが好ましく、例えば、直線状、複数の菱形状(ダイヤモンド形状)を直線状に連結した形状などが挙げられるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。この第1の実施形態は、透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14の形状が直線状のパターンである例としている。なお、ダイヤモンド形状のパターンの例は、第4の実施形態として後述する。
【0096】
図17Cに示すように、透明電極パターン部13は、複数の孔部13aが離間してランダムに形成された透明導電層であり、隣り合う孔部13aの間には導電部13bが介在されている。導電部13bは導電材料が基材21の表面に被覆された導電材料部であり、孔部13aは、導電材料が被覆されていない部分、つまり非導電部である。したがって、透明電極パターン部13は、導電材料部(導電部13b)の形成面内で、複数の非導電部(孔部13a)が、それぞれ離間してランダムに形成されている。
【0097】
一方、透明絶縁パターン部14は、離間してランダムに形成された複数の島部14aからなる透明導電層であり、隣り合う島部14aの間には絶縁部としての間隙部14bが介在される。島部14aは導電材料が基材21の表面に被覆された導電材料部であり、間隙部14bは、導電材料が被覆されていない部分、つまり非導電部である。したがって、絶縁パターン部14は、非導電部(間隙部14b)の形成面内で、導電材料部(島部14a)が離間してランダムに形成されている。
【0098】
そして、本実施形態の場合、透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14は、互いに異なるランダムパターンで形成されている。具体的には、導電材料部と非導電部の境界によって形成されるパターンが、互いに異なるランダムパターンとされている。互いに異なるランダムパターンとは、異なる生成条件によって生成したランダムパターンに基づいて、導電材料部と非導電部を配置することで形成する。即ち透明電極パターン部13用のランダムパターンを形成し、それに基づいて孔部13a、導電部13bを形成する。また、透明絶縁パターン部14用のランダムパターンを形成し、それに基づいて島部14a、間隙部14bを形成する。
【0099】
なお、透明絶縁パターン部14の間隙部14bでは、導電材料が完全に除去されていることが好ましいが、間隙部14bが絶縁部として機能する範囲内であれば、導電材料の一部が島状や薄膜状に残留していてもよい。また、孔部13aおよび島部14aは周期性のないランダム構造を有することが好ましい。孔部13aおよび島部14aがミクロンオーダー以下の周期構造によって形成されていると、それ自体で干渉光が発生したり、表示装置4の表示面上に情報入力装置10を配置して目視した場合、モアレが発生したりする傾向があるためである。
【0100】
図18Aは、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との境界線近傍を拡大して示す平面図である。図18Bは、図18Aに示したb−b線に沿った断面図である。図18Bに示すように、導電部13b、島部14aが、基材11上において導電材料が被覆されている部分となり、孔部13a、間隙部14bが、導電材料が除去され基材表面が露出する部分である。
【0101】
また、図18Aからわかるように、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14は、互いに異なるランダムパターンで導電材料部と非導電部が形成されており、境界線L1上は、単に2種類のランダムパターンをそのままカットして貼り合わせたような状態となっている。このため境界線L1付近での導電材料と非導電部の境界線は不規則となり、境界線L1の視認を抑制することができる。
【0102】
図19は、Y電極を形成する透明導電性素子を示している。図19Aは、透明導電性素子の構成の一例を示す平面図であり、図19Bは図19Aに示したc−c線に沿った断面図である。図19Cは、図19Aに示した領域C2を拡大して示す平面図である。
【0103】
図19Aおよび図19Bに示すように、透明導電性素子2は、表面を有する基材21と、この表面に形成された透明導電層22とを備える。透明導電層22は、透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24とを備える。透明電極パターン部23は、Y軸方向に延在されたY電極パターン部である。透明絶縁パターン部24は、いわゆるダミー電極パターン部であり、Y軸方向に延在されるとともに、透明電極パターン部23の間に介在されて、隣り合う透明電極パターン部23の間を絶縁する絶縁パターン部である。これらの透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24とが、基材21の表面にX軸方向に向かって交互に敷き詰められている。上述した透明導電性素子1が有する透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14と、この透明導電性素子2が有する透明電極パターン部23および透明絶縁パターン部24とは、例えば互いに直交する関係にある。なお、図19A〜図19Cにおいて、領域R1は透明電極パターン部23の形成領域(電極領域)を示し、領域R2は透明絶縁パターン部24の形成領域(絶縁領域)を示す。
【0104】
図19Cに示すように、透明電極パターン部23は、複数の孔部23aが離間してランダムに形成された透明導電層であり、隣り合う孔部23aの間には導電部23bが介在されている。したがって、透明電極パターン部23は、導電材料部(導電部23b)の形成面内で、複数の非導電部(孔部23a)が、それぞれ離間してランダムに形成されている。
【0105】
一方、透明絶縁パターン部24は、離間してランダムに形成された複数の島部24aからなる透明導電層であり、隣り合う島部24aの間には絶縁部としての間隙部24bが介在されている。したがって、絶縁パターン部24は、非導電部(間隙部24b)の形成面内で、導電材料部(島部24a)が離間してランダムに形成されている。
【0106】
そして、上述したX電極の透明導電性素子1と同様、透明電極パターン部23および透明絶縁パターン部24は、互いに異なるランダムパターンで形成されている。具体的には、導電材料部と非導電部の境界によって形成されるパターンが、互いに異なるランダムパターンとされている。透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24との境界線L2上は、2種類のランダムパターンがそのままカットされて貼り合わせたような状態となっている。
【0107】
以上のような構造の透明導電性素子1、2における透明電極パターン部13、23と透明絶縁パターン部14、24の導電材料被覆について述べる。なお以下では、主にX電極側となる透明電極パターン部13、透明絶縁パターン部14を用いて説明していくが、Y電極側の透明電極パターン部23、透明絶縁パターン部24についても同様である。
【0108】
図20Aは、透明電極パターン部13において全面に導電材料を形成した状態を示している。つまり孔部13aを設けず、全面が導電部13bとなっている状態である。したがって、図示されていない下部の基材11に対する導電材料(導電部13b)の被覆率は100%である。図20Aに示した透明電極パターン部13の電極幅を電極幅Wと定義する。
【0109】
これに対し、図20Bのように、ランダムパターンで孔部13aを形成することを考える。この場合に、導電部13bの被覆率が50%であったとする。すると、この図20Bの場合、平均電極幅はW×0.5となる。したがって、導電材料の膜厚を同じとした場合、図20Bの透明電極パターン部13は、図20Aの被覆率100%の場合と比較して、電気抵抗は2倍になってしまう。透明電極パターン部13の電気抵抗が大きいと、静電容量タッチパネルに使用した場合、応答速度や位置検出精度の低下を招く虞がある。
【0110】
もちろん、図20Bのように孔部13aを形成しても、導電材料の膜厚を2倍にすれば、電気抵抗を図20Aと同等にできる。しかしながらその場合、材料コストの増加、製造ライン速度の低下などの問題が生じ、好ましくない。
【0111】
一方で、孔部13aを設けることは、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14の間の非視認性を向上させる意味を持つ。例えば図20Cは、各種の径のドットがランダムに配置されるランダムパターンを生成し、それに基づいて透明電極パターン部13の孔部13aと、透明絶縁パターン部14の島部14aを形成したものである。この図20Cは、1つのランダムパターンを透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14で共通に用い、それを境界線L1で反転させているものである。即ち該ランダムパターンにおけるドット部分を、透明電極パターン部13では孔部13a(非導電部)とし、透明絶縁パターン部14では島部14a(導電材料部)とする。このように透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14にランダムパターンを導入することで、電極ラインが視認できなくなるようにする非視認性を向上できる。
【0112】
ここで、先の抵抗値の問題が生ずる。
透明電極パターン部13において図20Cのようにランダムパターンを導入すると、電気抵抗が高くなる。この透明電極パターン部13の抵抗劣化(抵抗値上昇)の改善のためには、透明電極パターン部13の導電材料被覆率は大きくしたい。つまり孔部13aの面積割合を小さくし、導電部13bの面積割合を大きくしたい。ところが、そのようにした場合、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14で共通のランダムパターンを用いると、透明絶縁パターン部14側では、島部14aの面積割合が小さくなり、間隙部14bの面積割合が大きくなる。結果として、透明電極パターン部13では、導電材料被覆部分である導電部13bが目立ち、透明絶縁パターン部14では、導電材料が被覆されていない間隙部14bが目立つ状態となる。つまり、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とで導電材料の被覆率差が大きくなってしまい、非視認性が阻害される。
【0113】
導電部13bの被覆率に対するシート抵抗の変化を図21に示す。図21では、それぞれ或る電極幅と厚みの或る導電材料を用い、導電部13bの被覆率を100%としたときにシート抵抗が135Ω/□、100Ω/□、75Ω/□、50Ω/□となるものについて、被覆率を下げたときのシート抵抗の変化を示している。
【0114】
図示のように、導電部13bの被覆率が小さくなるにつれシート抵抗は高くなる。例えばノートタイプやタブレットタイプのパーソナルコンピュータなどの中型のディスプレイにタッチパネルを採用する場合、150Ω/□程度以下が目安となる。すると、被覆率100%のときにシート抵抗が100Ω/□となる導電材料、電極幅、膜厚の導電部13bの場合で言えば、図から、導電部13bの被覆率は67%以上(大まかには65%程度以上)とすることが好ましいことがわかる。
【0115】
つまり、ランダムパターンで孔部13aおよび島部14aを設けることで、非視認性に有利であるが、非視認性の向上のためには透明電極パターン部13における孔部13aの面積比率と、透明絶縁パターン部14における島部14aの面積比率がほぼ同等であることが好ましい。そのためには、図20Bのような導電材料の被覆率が50%となるようなランダムパターンを形成し、図20Cのように、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14で、1つのランダムパターンが境界線L1でパターン反転させて導電材料を被覆するようにすることが好適である。
【0116】
ところが、その場合、透明電極パターン部13における導電部13bの被覆率が50%程度となり、シート抵抗が高くなる。そこで、これを考慮して、透明電極パターン部13における導電部13bの被覆率が例えば65%程度以上とすると、シート抵抗は抑えられるが、今度は透明絶縁パターン部14における間隙部14bの面積比率が高まり、非視認性が悪化してしまう。このように、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14で共通のランダムパターンを折り返して用いると、電極抵抗と非視認性がトレードオフの関係になる。
【0117】
そこで、本実施形態では、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14において、異なるパターンを使用する。異なるパターンとは、次のような例がある。
【0118】
まず、透明電極パターン部13は導電材料の被覆率が100%となるベタ塗りパターンで、透明絶縁パターン部14はランダムパターンとすることが考えられる。ベタ塗りパターンは、透明電極パターン部13の全体が導電部13bであり、孔部13aが存在しないものとなる。そして透明絶縁パターン部14は、島部14aと間隙部14bがランダムに配置される。つまり、透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14は、それぞれ少なくとも導電材料部を有しながら、導電材料部が互いに異なるパターンで形成される場合の一例である。
【0119】
さらに、透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14は、導電材料部と非導電部が、互いに異なるランダムパターンで形成されている例がある。例えば透明電極パターン部13は、導電材料部の形成面内で、複数の孔部13a(非導電部)が離間してランダムに形成され、透明絶縁パターン部14は、非導電部の形成面内で、導電材料部(島部14a)が離間してランダムに形成されている。そして透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とでは、導電材料部と非導電部の境界によって形成されるパターンが、互いに異なるランダムパターンとされている例である。本実施形態の場合、図17C、図19Cのように、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14が、このように互いに異なるランダムパターンを用いて形成されているものである。異なるランダムパターンとは、異なるランダムパターン生成条件(半径範囲、生成した円内への図形描写条件、後述する乱数の重み付けなど)にて生成したパターンのことである。
【0120】
そして、異なるランダムパターンを用いることで、透明電極パターン部13の抵抗値低減と、非視認性を両立できる。例えば透明電極パターン部13において、図21のシート抵抗が100Ω/□となる導電材料、電極幅、膜厚の導電部13bを形成する例の場合で言えば、導電部13bの被覆率を略65%程度以上とすればよいため、孔部13aの面積比率が35%以下となるようなランダムパターンを用いればよい。このとき、透明絶縁パターン部14では、間隙部14bの面積比率が孔部13aの面積比率とあまり異ならないようなランダムパターンを用いればよい。それにより非視認性を維持できる。例えば透明電極パターン部13における導電材料部(導電部13b)の被覆率を65%以上100%以下とする場合、絶縁パターン部14における導電材料部(間隙部14b)の被覆率も65%以上100%以下とするとよい。異なるランダムパターンを用いることで、このような状態が実現できる。
【0121】
さらに非視認化のためには、透明導電性素子1(X電極)と透明導電性素子2(Y電極)の両方を重ねた状態で考えることも必要である。まず、本実施形態の情報入力装置10を構成する透明導電性素子1、2は、それぞれ透明電極パターン部13(23)および透明絶縁パターン部14(24)は、導電材料部と非導電部が、互いに異なるランダムパターンで形成されている。
【0122】
図22Aには、図1の状態、つまり透明導電性素子1、2が重ねて配置されている状態を示し、図22Bに一部の拡大図を示している。この場合、領域AR1は、透明電極パターン部13、23が重なる領域である。領域AR2は、透明絶縁パターン部14、24が重なる領域である。領域AR3は、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部24が重なるか、もしくは透明絶縁パターン部14と透明電極パターン部23が重なる領域である。ユーザがタッチ操作を行う入力面側から見た場合、透明導電性素子1、2が重なる部分(入力面形成部分)の全ては、これら領域AR1、AR2、AR3に分類される。ユーザの視覚からの非視認性を考えた場合、これら領域AR1、AR2、AR3の別が視認されることを防がなくてはならない。
【0123】
結論的には、本実施形態では、透明導電性素子1と透明導電性素子2が重ね合わされた状態で、入力面方向からみた全ての領域AR1、AR2、AR3で、透明導電性素子1の導電材料部の被覆率と、透明導電性素子2における導電材料部の被覆率との加算値の差が、0以上60以下であるようにする。
【0124】
例えば、透明電極パターン部13、23における導電材料部(導電部13b、23b)の被覆率を80%とする。また、透明絶縁パターン部14、24における導電材料部(島部14a、24a)の被覆率を50%とする。すると、領域AR1、AR2、AR3での透明導電性素子1の導電材料部の被覆率と透明導電性素子2における導電材料部の被覆率との加算値は次のようになる。
領域AR1:80+80=160
領域AR2:50+50=100
領域AR3:80+50=130
【0125】
この場合、加算値は領域AR1で最も大きく、領域AR2で最も小さいが、その加算値の差は60である。加算値の差が60以下であれば、非視認性は良好といえる。加算値を指標とするのは、あくまでもユーザの視覚に沿って非視認性を考えるためである。例えば実際の孔部13aや島部14aの直径は、例えば10μm〜100μmであったり、或いは100μm〜500μmであったりと、ランダムパターン生成時のパラメータ設定によって異なるにせよ、人の視覚からすれば極めて微少な孔である。そして透明な電極上で孔部13aや島部14aの個々をユーザが視認できる場合はほとんど無い。ユーザの視覚に即してマクロ的に考えた場合、透明導電性素子1、2を重ね合わせたときは、透明導電性素子1での導電材料部の被覆率と、透明導電性素子2での導電材料部の被覆率を加算したものが、その領域の平均的な被覆率と捉えられる。つまり加算値の差が大きいと、ユーザの視覚上、領域AR1、AR2、AR3の別が視認しやすくなる。発明者らは、視認性検討の結果、入力面方向からみた全ての領域で、上記の加算値の差が、0以上60以下であるようにすると、非視認性を維持できることを見いだした。
【0126】
もちろん、加算値の差を小さくすることで、より非視認性には好適となる。例えば上記の例で言えば、領域AR2での加算値を大きくすれば、より各領域での加算値の差を小さくすることができる。そこで、透明絶縁パターン部14、24における導電材料部(島部14a、24a)の被覆率を65%とする。すると、領域AR1,AR2,AR3での透明導電性素子1の導電材料部の被覆率と透明導電性素子2における導電材料部の被覆率との加算値は次のようになる。
領域AR1:80+80=160
領域AR2:65+65=130
領域AR3:80+65=145
【0127】
この場合、加算値の差は30となり、非視認性の点でより好適となる。
但し、透明絶縁パターン部14、24における導電材料部(島部14a、24a)の被覆率を高くすることは、例えば後述する印刷形成の場合、それだけ導電材料の使用量が多くなり、材料コストが高くなる。そこで、各領域間の加算値の差が60を越えない範囲で、材料コストや透明電極パターン部13の抵抗値を勘案して、透明絶縁パターン部14、24における導電材料部(島部14a、24a)の被覆率を設定するとよい。
【0128】
以上の本実施形態では、まず透明電極パターン部13(23)と透明絶縁パターン部14(24)とで、異なるランダムパターンを用いる。異なるランダムパターンを用いることで、透明電極パターン部13(23)と透明絶縁パターン部14(24)とで、導電材料部の被覆率設定の自由度を高めることができる。それによって透明電極パターン部13(23)における抵抗値を適切な値(例えば150Ω以下)としたうえで、非視認性や材料コストを鑑みて透明絶縁パターン部14(24)側の導電材料部の被覆率を設定できる。以上により、透明電極パターン部13(24)における抵抗値の低減を実現しつつ、入力面側から見た全領域での電極構成の非視認化を実現できる。そして、これにより、視認されにくく高性能な情報入力装置10が実現できる。
【0129】
また、透明電極パターン部13(23)および透明絶縁パターン部14(24)における導電材料部の被覆率は65%以上100%以下であるとよい。また、透明導電層パターンの非視認化のため、透明導電性素子1、2を重ねたときのあらゆる領域において、導電材料の被覆率の加算値の差は0以上60以下とする。
【0130】
なお、図18A、図19Cの説明の際に述べたが、透明電極パターン部13(23)と透明絶縁パターン部14(24)との境界線L1(L2)上は、2種類のランダムパターンがそのままカットされて貼り合わせたような状態(パターンのブツ切り)となっている。これは、視認されにくい、ランダムな形状の境界線が形成されるという点で好適である。また、透明電極パターン部13(23)には複数の孔部13a(23a)を離間してランダムに形成し、透明絶縁パターン部14(24)には複数の島部14a(24a)を離間してランダムに形成しているので、モアレの発生を抑制することができる。
【0131】
なお、透明電極パターン部13は、孔部13aの被覆率0%、つまり導電部13bの被覆率が100%でもよい。また、孔部13aの被覆率が異なる領域の2種類以上の領域のミックスで透明電極パターン部13を形成しても良い。また、透明電極パターン部13や透明絶縁パターン部14には、ランダムパターンとして、後述するランダムメッシュパターンを用いても良い。
【0132】
また、複数の孔部13aはすべてを離間して形成することが好ましいが、視認性の低下および導電性の低下を招かない範囲であれば、複数の孔部13aの一部を互いに接し合わせる、または重なり合わせるようにしてもよい。また、複数の島部14aすべてを離間して形成することが好ましいが、視認性の低下および絶縁性の低下を招かない範囲であれば、複数の島部14aの一部を互いに接し合わせる、または重なり合わせるようにしてもよい。
【0133】
[透明導電性素子の製造方法]
第3の実施形態に係る透明導電性素子の製造方法は、ランダムパターンの形成方法以外の点では、第1の実施形態に係る透明導電性素子の製造方法と同様である。第3の実施形態に係る透明導電性素子の製造方法では、透明電極パターン部用のランダムパターンと透明絶縁パターン部用のランダムパターンは、パターン生成条件(半径範囲、生成した円内への図形描写条件、後述する乱数の重み付けなど)が互いに異なる条件となるように設定して生成する。
【0134】
[ランダムパターンの形成方法]
本実施形態の透明導電性素子1、2では、透明電極パターン部13、23と透明絶縁パターン部14、24とで異なるランダムパターンに基づいて導電材料部が形成されている。ここでは、このような導電材料部を形成のための元となるランダムパターン自体の形成方法の例を述べる。例として、円形状の孔部13a、23a、および島部14a、24aを形成するためのランダムパターンの生成方法について説明するが、ランダムパターンの形状はこれに限定されるものではない。
【0135】
本例では、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14では互いに異なるランダムパターンを用いるが、これは各ランダムパターンの生成時に生成条件を異なるものとする。
【0136】
異なる生成条件としては、まず上記のパラメータ設定が想定される。例えばRmin、Rmax、Rfillを異なる設定とすることで、図8のように生成されるランダムな円の半径範囲が異なるものとなる。また、図8のような状態からの円(或いは円内配置される他の図形)の縮小率を変化させるようにしてもよい。また、ランダム配置される図形を異なるようにしてもよい。例えば一方は円、他方は正方形などとする。また、一方はランダムドットのパターン、他方はランダムメッシュパターンなどとしてもよい。さらに、乱数値Rndとして、0.0〜1.0の範囲で得られる乱数値が用いられるが、これに対して重み付けを異なるようにすることも考えられる。また、これらを組み合わせても良いことは当然である。
【0137】
これらの生成条件が異なることで、透明電極パターン部13に用いるランダムパターンと透明絶縁パターン部14に用いるランダムパターンを異なるパターンとし、それによって、それぞれで所望の導電材料部の被覆率を実現できる。
【0138】
乱数の重み付けについて説明する。
図8のように生成される円の径は、
円の径=設定最小径Rmin+(設定最大径Rmax−設定最小径Rmin)×乱数
である。
そして乱数値Rndは0.0〜1.0の範囲で得られる乱数値である。
この乱数を、計算結果が0〜1の範囲になるような計算式に代入することにより生成円径の分布に重み付けが可能となる。
例えば、(乱数)3とすることで、小さい径の分布を増やすことができる。また、(乱数)1/3とすることで、大きい径の分布を増やすことができ、ドット充填率を増加できる。図23Aに、y=x1/3、y=x3として重み付け後の乱数を示している。
このように乱数の重み付けを行った場合の円(ドット)の直径の頻度を図23Bに示す。これは生成するランダムパターンとして、以下の条件で円状のランダムパターンを生成した場合である。
・半径範囲:35〜56μm
・半径縮小値:10μm
【0139】
図23Bにおいて線NWは重み付けを行わなかった場合、線AWはy=x1/3の重み付けを行った場合での頻度分布を、直径1μmピッチで示している。乱数の重み付けにより、大きな直径の円の発生頻度を増やし、ドット充填率を上げることが可能であることがわかる。逆に、小さな直径の頻度を増やし、ドット充填率を下げることも可能である。但し、任意直径の頻度を増やしすぎるとランダム性が低下し、モアレや回折光が発生する虞がある。直径1μmピッチの頻度分布にて、任意直径の頻度は35%以下であることが好ましい。
【0140】
ところで、ここまではドット状、或いは円内の多角形状などのランダムパターンの生成について説明したが、図24Aのようなランダムメッシュパターンの生成についても述べておく。
【0141】
ランダムメッシュパターンの生成の際も、上述したアルゴリズムで、ランダムな円配置のパターンをまず生成すればよい。図24Bは、このランダムな円のパターンに対して、ランダムな角度でラインを引くことでメッシュパターンを形成するものである。即ち、各円の中心座標をそのまま利用し、各円の中心を通る直線を引く。このとき各直線の回転角度を0度〜180度の範囲でランダムに決定することで、図示のようにランダムな傾きの線を形成していく。このようにすることで、ランダムメッシュパターンが生成できる。
【0142】
また、図24Cの手法でも良い。
図24Cの場合も、生成したランダムな円配置のパターンを利用する。そして、この場合は、各円の中心座標から、近接する円の中心座標を結ぶ線分を引いていく。つまり近傍の円の中心同視を結んでいく。このようにすることでもランダムメッシュパターンが生成できる。
【0143】
なお、図24B、図24Cのいずれの手法の場合も、パラメータ設定を異なるものとすることや、乱数値の重み付けを変えることなどで、2種類の異なるランダムパターンを生成できる。また、ランダムに形成する直線の太さを変化させるようにして、導電材料部の被覆率の異なるランダムパターンを簡単に形成するようにもできる。
【0144】
[変形例]
本技術に係る第3の実施形態は、エッチング法に代えて印刷法を用いて透明導電性素子1、2を作製するようにしてもよい。印刷法に用いる原盤の転写面形状以外のことは、上述の第2の実施形態と同様とすることができるので、ここでは原盤の構成のみについて説明する。
【0145】
[原盤]
図25Aは、原盤の形状の一例を示す斜視図である。図25Bは、図25Aに示した領域R1および領域R2の一部を拡大して示す平面図である。原盤100は、例えば、転写面としての円柱面を有するロール原盤であり、その円柱面には領域R1および領域R2が交互に敷き詰められている。
【0146】
領域R1には、凹状を有する複数の孔部113aが離間して形成されており、この孔部113a間は凸部113bにより離間されている。孔部113aは透明電極パターン部13の孔部13aを印刷により形成するためのものであり、凸部113bは透明電極パターン部13の導電部13bを印刷により形成するためのものである。
【0147】
領域R2には、凸状を有する複数の島部114aが離間して形成されており、この島部114a間は凹部114bにより離間されている。島部114aは透明絶縁パターン部14の島部14aを印刷により形成するためのものであり、凹部114bは透明絶縁パターン部14の間隙部14bを印刷により形成するためのものである。
【0148】
領域R1の孔部113aと領域R2の島部114aとのランダムパターンが互いに異なっている。
【0149】
<4.第4の実施形態>
透明導電性素子1、2の第4の実施形態として、ダイヤモンド状パターン電極を有する場合を説明する。
【0150】
図26A、図26Bは、透明導電性素子1、2における電極パターンを示している。図26Aに示すように、この場合も、透明導電性素子1の透明導電層12には、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とが形成されている。そして、透明電極パターン部13は、ダイヤモンド形状(略菱形状)の部位がX軸方向に連なっているような形状とされている。そして、この透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とが、基材11の表面にY軸方向に向かって交互に敷き詰められている。
【0151】
また、図23Bに示すように、透明導電性素子2の透明導電層22には、透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24とが形成されている。そして、透明電極パターン部23は、ダイヤモンド形状(略菱形状)の部位がY軸方向に連なっているような形状とされている。そして、この透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24とが、基材21の表面にY軸方向に向かって交互に敷き詰められている。
【0152】
このような第2の実施形態においても、透明電極パターン部13(23)と、透明絶縁パターン部14(24)が、異なるランダムパターンを用いて導電材料部が形成されればよいことは、第3の実施形態と同様である。その点において具体的には、第3の実施形態で説明した各例と同様の例が考えられる。ここでは、特に、X電極、Y電極が重なった場合での視認性や、透明電極パターン部13、23が、導電材料部の被覆率が異なる複数の領域により形成されている具体例について説明する。
【0153】
まず、図27Aは、図22Aと同様に透明導電性素子1,2が重なった状態として、透明電極パターン部13、14がダイヤモンド形状の場合を示し、図27Bにその一部の拡大図を示している。ここでは透明導電性素子2側を破線で示している。図22Bで説明した場合と同様、領域AR1は透明電極パターン部13、23が重なる領域、領域AR2は透明絶縁パターン部14、24が重なる領域である。また、領域AR3は、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部24が重なるか、もしくは透明絶縁パターン部14と透明電極パターン部23が重なる領域である。この場合も、ユーザがタッチ操作を行う入力面側から見た場合、透明導電性素子1、2が重なる部分(入力面形成部分)の全ては、これら領域AR1、AR2、AR3に分類される。そしてユーザの視覚からの非視認性を考えた場合、これら領域AR1、AR2、AR3の別が視認できないことが求められる。
【0154】
図27Bのように、電極パターン形状が異なれば、領域AR1、AR2、AR3の形状や範囲も異なってくるが、この場合も、例えば透明電極パターン部13、23における導電材料部(導電部13b、23b)の被覆率を80%とし、透明絶縁パターン部14、24における導電材料部(島部14a、24a)の被覆率を50%などとする。そして、領域AR1、AR2、AR3での透明導電性素子1の導電材料部の被覆率と透明導電性素子2における導電材料部の被覆率との加算値の差を60以下とすると、非視認性は良好となる。
【0155】
また、特にこのダイヤモンド形状のパターンの場合、透明電極パターン部13において、導電材料部の被覆率が異なる2種類以上の領域をミックスさせることが有効である。図28に示すように、ダイヤモンド形状のパターンの透明電極パターン部13を、領域Aと領域Bに分割する。また、透明絶縁パターン部14に相当する部分を領域Cとする。領域Aの幅をWA、長さをLAとする。領域Bの幅WBは、WB=(領域Bの面積)/LBとする。LBは領域Bの長さである。
【0156】
透明電極パターン部13の形状が、ダイヤモンド形状の場合のように2つ以上の領域に区別できるとき、L(x)/W(x)値がより大きな領域にて、孔部13aの被覆率をより小さく(=導電部13bの被覆率をより大きく)設定するのがよい。これは、L(x)/W(x)値がより大きな領域にて、その領域のそもそもの抵抗値が大きく、孔部13aの被覆率増に伴う抵抗増のインパクトがより大きいためである。図28の場合で言えば、領域Aは領域Bに対してL(x)/W(x)値が大きく、そもそもの抵抗値が大きい。そこで、図示のように、領域Bでは例えば導電部13bの被覆率を79%(孔部13aを21%)とし、領域Aでは導電部13bの被覆率を100%(孔部13aを0%)とすることなどが考えられる。なお、この被覆率はあくまで一例である。
【0157】
また、領域C、即ち透明絶縁パターン部14については、上記のX、Y電極重ね合わせ時の被覆率の加算値の差の条件に合致するように、導電材料部(島部14a)の被覆率を設定すればよい。また、図示のように、ランダムドット状ではなくランダムメッシュ状のパターンとしてもよい。
【0158】
この例のように、導電材料部の被覆率を部分的にコントロールすることで、電極を印刷形成する場合、導電材料の使用量を抑える(=材料コストを抑える)ことができる。また、パターン非視認化のため、領域A〜Cにおける導電材料の被覆率差は、0%以上30%以下とするのがよい。
【0159】
<5.第5の実施形態>
第5の実施形態では、金属ナノワイヤーを用いた透明導電性素子1、2について説明する。透明導電層12が金属ナノワイヤーで形成される場合、透明電極パターン部13にランダムパターン処理を施すと、金属ナノワイヤー被覆面積が減少することで、導電部の反射L値の値が小さくなる。その結果、導電材料部の画面の黒表示がより沈み、直線状パターンやダイヤモンドパターンなどを使用した場合と比べてディスプレイの表示特性(コントラスト)が向上する。また、所定の表面処理を組み合わせることにより、導電材料部と非導電部ともに反射L値をより低く抑えることが可能となり、コントラストがさらに向上する。
【0160】
導電材料に金属ナノワイヤーを用いる透明導電層は、ITOを用いた透明導電層のようなスパッタではなく塗布プロセスを用いて成膜が可能である。塗布プロセスは、スパッタと異なり真空環境が必要ないため、製造コストの削減が期待できる。また、この金属ナノワイヤーを用いた透明導電層はレアメタルであるインジウムを使わない次世代透明導電層としても注目されている。
【0161】
図29Aは、金属ナノワイヤーを用いた透明導電性素子の構造例を示している。基材80状に金属ナノワイヤーを用いた透明導電層81が形成される。透明導電層81では金属ナノワイヤーに加えて表面処理染料、分散剤、バインダーなども用いられる。
【0162】
基材80は、例えば、透明性を有する無機基材或いはプラスチック基材である。基材の形状としては、例えば、透明性を有するフィルム、シート、基板などを用いることができる。無機基材の材料としては、例えば、石英、サファイア、ガラスなどが挙げられる。プラスチック基材の材料としては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、具体的には例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)などがあげられる。プラスチック基材の厚さは、生産性の観点から38〜500μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
【0163】
金属ナノワイヤーの構成元素としてはAg、Au、Ni、Cu、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、Fe、Co、Snより選択される1種類以上で構成される。ナノワイヤーの平均短軸径は、好ましく1nmよりも大きく500nm以下、また、平均長軸長は、好ましくは1μmよりも大きく1000μm以下である。平均短軸径が1nmよりも小さい場合、ワイヤーの導電率が劣化して塗布後に導電層として機能しにくい。また、平均短軸径が500nmよりも大きい場合、全光線透過率が劣化してしまう。平均長軸長が1μmよりも短い場合、ワイヤー同士がつながりにくく、塗布後に導電層として機能しにくい。また、平均長軸長が1000μmよりも長い場合、全光線透過率が劣化してしまう。或いは、塗料化した際のナノワイヤーの分散性が劣化する傾向にある。
【0164】
塗料中での金属ナノワイヤーの分散性向上のため、金属ナノワイヤーは、PVP、ポリエチレンイミンなどのアミノ基含有化合物で表面処理されていても良い。塗膜化した際に導電性が劣化しない程度の添加量にすることが好ましい。その他、スルホ基(スルホン酸塩含む)、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基(カルボン酸塩含む)、アミド基、リン酸基(リン酸塩、リン酸エステル含む)、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、ビニル基、チオール基、カルビノール基などの官能基を有する化合物で金属に吸着可能なものを分散剤として用いても良い。
【0165】
分散剤としては、金属ナノワイヤーが分散するものを使用する。例えば、水、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなど)、アノン(シクロヘキサノン、シクロペンタノン)、アミド(DMF)、スルフィド(DMSO)などから選択される少なくとも1種類以上が使用される。塗布面状の乾燥ムラやクラックを抑えるため、高沸点溶媒をさらに添加して、溶剤の蒸発速度をコントロールすることもできる。例えば、ブチルセロソルブ、ジアセトンアルコール、ブチルトリグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルエーテル、メチルグリコールが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いられてもよく、また、複数を組み合わせてもよい。
【0166】
適用可能なバインダー材料としては、既知の透明な天然高分子樹脂または合成高分子樹脂から広く選択して使用することができる。例えば、透明な熱可塑性樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)や、熱・光・電子線・放射線で硬化する透明硬化性樹脂(例えば、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアネート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコン樹脂)を使用することができる。さらに添加剤としては、界面活性剤、粘度調整剤、分散剤、硬化促進触媒、可塑剤、酸化防止剤や硫化防止剤などの安定剤などが挙げられる。
【0167】
また、耐久性向上のために、図29Bのように金属ナノワイヤーを塗布後に別途オーバーコート層82を設けても良い。オーバーコート層82には、ポリアクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、セルロース系や金属アルコキシドなどの加水分解、脱水縮合物などを使用できる。また、このオーバーコート層82の厚みは光学特性を著しく低下させない厚みとすることが望ましい。
【0168】
また、密着性向上のために、図29Cのように、金属ナノワイヤーを塗布する前にアンカー層83を別途基材80上に設けても良い。アンカー層には、ポリアクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、セルロース系や金属アルコキシドなどの加水分解、脱水縮合物などを使用できる。また、このアンカー層の厚みは光学特性を著しく低下させない厚みとすることが望ましい。オーバーコート層およびアンカー層を両方併用しても構わない。
【0169】
金属ナノワイヤーを用いた透明導電層81は以下の工程を経て製造される。
(工程1)金属ナノワイヤーを溶剤に分散させる。分散手法としては、攪拌、超音波分散、ビーズ分散、混錬、ホモジナイザー処理などが好ましく適用できる。ワイヤーの配合量は塗料重量を100重量部とした場合、0.01〜10重量部とする。0.01重量部未満である場合、塗布で膜形成した場合に十分な目付量が得られない。一方、10重量部よりも大きい場合、ナノワイヤーの分散性が劣化する傾向にある。金属ナノワイヤーの分散性向上のため、金属ナノワイヤー塗分散液にPVP、ポリエチレンイミンなどのアミノ基含有化合物を分散剤として添加しても良い。分散剤を添加する場合は、塗膜化した際に導電性が劣化しない程度の添加量にすることが好ましい。その他、スルホ基(スルホン酸塩含む)、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基(カルボン酸塩含む)、アミド基、リン酸基(リン酸塩、リン酸エステル含む)、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、ビニル基、チオール基、カルビノール基などの官能基を有する化合物で金属に吸着可能なものを分散剤として用いても良い。基材80への塗布性、密着性や耐久性を向上させるため、バインダーや添加剤などを混合してもよい。
【0170】
(工程2)基材上への金属ナノワイヤーによる透明導電層を作製する。この方法として特に制限はないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮すると湿式製膜法が好ましく、公知の方法としては、例えば、塗布、スプレー法、印刷などが挙げられる。塗布方法は、特に限定されるものではなく、公知の塗布方法を用いることができる。公知の塗工方法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などが挙げられる。印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン、インクジェット印刷などが挙げられる。
【0171】
(工程3)塗布後、溶剤を乾燥させる。自然乾燥、加熱乾燥のいずれでも良い。さらにバインダーを硬化させる場合はUVや熱などによって硬化させる。また、シート抵抗値を下げるためにカレンダーによる加圧処理を施してもよい。
【0172】
図29Aにおける金属ナノワイヤー層中の金属ナノワイヤーの目付量(g/m2)は、0.001g〜1gにすることが望ましい。0.001g未満である場合、金属ナノワイヤーが十分に塗膜中に存在せず、透明導電層としての性能が劣化する。目付量が多いと多いほどシート抵抗値は下がるが、1gより多く場合、金属ナノワイヤー塗膜中に存在しすぎるため全光線透過率が劣化する。
【0173】
<6.第6の実施形態>
図30は、第6の実施形態の透明導電性素子の構成を説明する平面図である。図31Aは、図30における拡大部Aの拡大平面図である。図31Bは、図31Aの拡大平面図におけるA−A’部分の断面図である。これらの図に示す透明導電性素子1は、例えば表示パネルにおける表示面側に好適に配置される透明導電性素子であって、以下のように構成される。
【0174】
すなわち透明導電性素子1は、基材11と、この基材11上に設けられた透明導電層12とを備えている。さらにこの透明導電性素子1は、透明導電層12を用いて構成された複数の透明電極パターン部(電極領域)13と、これらの透明電極パターン部13に隣接して配置された透明絶縁パターン部(絶縁領域)14とを有しており、透明絶縁パターン部14にも透明導電層12が配置されているところが特徴的である。次に各部材および領域の詳細を説明する。
【0175】
(基材)
基材11は、例えば透明材料で構成されたものであって、例えば、公知のガラスまたは公知のプラスチックを用いることができる。公知のガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、鉛ガラス、硬質ガラス、石英ガラス、液晶化ガラスなどが挙げられる。公知のプラスチックとしては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(P)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、環状オレフィンポリマー(COP)、ノルボルネン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0176】
ガラスを用いた基材11の厚みは、20μm〜10mmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。プラスチックを用いた基材11の厚さは、20μm〜500μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
【0177】
(透明導電層)
透明導電層12の材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物が用いられる。この他にも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛などの金属、またはこれらの合金などが挙げられる。
【0178】
透明導電層12の材料としては、この他にもカーボンナノチューブをバインダー材料に分散させた複合材料、または金属ナノワイヤーやこれに有色化合物を吸着させたことで表面での光の乱反射を防止した材料を用いても良い。さらに置換または無置換のポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、およびこれらから選ばれる1種または2種からなる(共)重合体の導電性ポリマーを使用してもよい。これら2種以上を複合して使用してもよい。
【0179】
透明導電層12の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法、塗工法、印刷法など用いることができる。透明導電層12の厚みは、パターニング前の状態(基材11の全面に透明導電層が形成されている状態)にて表面抵抗が1000Ω/□以下となるように適宜選択することが好ましい。
【0180】
(透明電極パターン部)
透明電極パターン部13は、透明導電層12に対して複数の孔部13aをランダムに設けた領域として構成されている。つまり透明電極パターン部13は、透明導電層12を用いて構成されており、ランダムパターンとしてランダムな大きさの孔部13aがランダムに配列されている。ここでは例えば、様々な直径を有する円形の孔部13aを、それぞれ独立して透明導電層12に配置されており、これによって各透明電極パターン部13が全体として導電性が確保されている。
【0181】
この透明電極パターン部13においては、各孔部13aに対して設定される直径の範囲によって、透明導電層12による被覆率が調整されていることとする。この被覆率は、透明電極パターン部13に必要とされる導電性が得られる程度に、透明導電層12の材質および膜厚ごとに設定される。尚、孔部13aの直径の範囲による被覆率の調整は、以降のランダムパターンの生成方法の項目において説明する。
【0182】
尚、透明電極パターン部13に配置される孔部13aの形状は、円形に限定されることはない。孔部13aの形状としては、目視により認識できず周期性を持たなければよく、例えば、円形状、楕円形状、円形状の一部を切り取った形状、楕円形状の一部を切り取った形状、多角形状、角を取った多角形状および不定形状からなる群より選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0183】
また、透明電極パターン部13は、次に説明する透明絶縁パターン部14に溝部14cを反転させて透明導電層12を帯状パターンとして設け、この帯状パターンによって分離された孔部13aを配置した構成であっても良い。この場合、透明電極パターン部13には、透明導電層12で構成される帯状パターンがランダムな方向に延設された状態となる。またこのような延設方向がランダムな帯状パターンも、ランダムパターンとなる。
【0184】
ただし、孔部13aは、個々のサイズが大きすぎると目視によって形状が視認できてしまう。このため、任意の点からいずれの方向にも100μm以上連続して孔部13aおよび透明導電層12部分が続くような形状部分が、透明電極パターン部13中に多数存在する状態は避けることが好ましい。例えば孔部13aを円形状にする場合、直径を100μm未満にすることが好ましい。
【0185】
(透明絶縁パターン部)
透明絶縁パターン部14は、透明電極パターン部13に隣接して配置された領域であり、各透明電極パターン部13間を埋め込むと共に、各透明電極パターン部13間を絶縁する状態で設けられている。この透明絶縁パターン部14に配置された透明導電層12は、ランダムな方向に延設された溝部14cによって独立した島状に分割されている。つまり透明絶縁パターン部14は、透明導電層12を用いて構成されており、ランダムな方向に延設された溝部14cによって透明導電層12を分割してなる島状パターンが、ランダムパターンとして配置されているのである。これらの島状パターン(すなわちランダムパターン)は、ランダムな方向に延設された溝部14cによって、ランダムな多角形に分割されたものとなる。尚、延設方向がランダムな溝部14c自体も、ランダムパターンとなる。
【0186】
ここで、透明絶縁パターン部14に設けられた各溝部14cは、透明絶縁パターン部14においてランダムな方向に延設されたものであり、延設方向に対して垂直をなす幅(線幅と称する)が同一の線幅であることとする。この透明絶縁パターン部14においては、各溝部14cの線幅によって、透明導電層12による被覆率が調整されている。この被覆率は、透明電極パターン部13においての透明導電層12による被覆率と同程度となるように設定されていることとする。ここで同程度とは、透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14のピッチごとに、これらのパターン部13、14がパターンとして視認できない程度とする。尚、溝部14cの線幅による被覆率の調整は、以降のランダムパターンの生成方法の項目において説明する。
【0187】
ただし、溝部14cによって分離される島状の透明導電層12は、個々のサイズが大きすぎると目視によって形状が視認できてしまう。このため、任意の点からいずれの方向にも100μm以上連続して透明導電層12部分が続くような形状部分が、透明電極パターン部13中に多数存在する状態は避けることが好ましい。
【0188】
また以上のような透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14との境界には、これらのパターン部13、14間にわたって配置された透明導電層12が、ランダムに配置される。
【0189】
[透明導電性素子の製造方法]
第6の実施形態に係る透明導電性素子の製造方法は、絶縁領域である透明絶縁パターン部14のランダムパターンの形成方法以外の点では、第1の実施形態に係る透明導電性素子の製造方法と同様である。
【0190】
[透明絶縁パターン部のパターン作成]
図32Aに示すように、生成したランダムパターンにおいて、外周が接する円の中心同士を結ぶ直線を発生させる。これにより、図32Bに示すように、ランダムな方向に延設された線分によって構成された多角形のランダムパターンが生成される。次に、図32Cに示すように、多角形のランダムパターンを構成する線分を所定の線幅に太らせ、これらの太らせた線分を図31Aに示した透明絶縁パターン部14における溝部14cとすることで、透明絶縁パターン部14のランダムパターンを得る。
【0191】
図33に示すように、溝部14cは、様々な線幅Wに変化させることができる。溝部14cの線幅Wを変化させることにより、溝部14cで分割された透明導電層12による透明絶縁パターン部14の被覆率が、広い範囲で調整可能である。下記表1には、ランダムパターンとして生成させる円の半径rの範囲(Rmin〜Rmax)、および溝部14cの線幅W毎に、透明導電層12による透明絶縁パターン部14の被覆率[%]を算出した結果を示す。
【0192】
【表1】

【0193】
上記表1に示すように、溝部14cによって透明導電層12を分割してなる透明絶縁パターン部14では、透明導電層12による被覆率を28.5%〜74.9%の広い範囲で調整することが可能であることがわかる。
【0194】
これに対して、例えば図31Aに示した透明電極パターン部13の反転パターンを絶縁領域とした場合、この絶縁領域においての透明導電層12の被覆率は、次の計算により上限65%程度が限界値として導かれる。
【0195】
すなわち、ある領域に円を配列する場合、円の充填率の最大値は、円を千鳥配列した状態が理論的な最大値90.7%となる。ここで、円の半径を50μmとした時、各円を独立して配置するために円と円との間に8μmの間隔を設けるとすると、各円の半径は(50−8/2)=46μmに縮小される。この状態での円の面積率は(46×46)/(50×50)=0.846となり、円の充填率は(90.7%)×(0.846)=76.7%となる。
【0196】
ここで、各円の半径をランダムにした場合、円と円との隙間がさらに広がり、実際の充填率は、千鳥配列での充填率(90.7%)と格子配列での充填率(78.5%)との間の値になる。この値は、ランダムに生成させた円の最大半径と最小半径との比(分布)によって変わるが、おおよそ最大80%程度となる。
【0197】
そこで、初期にランダムパターンとして生成する円の半径rの範囲をRmin=35μm〜Rmax=50μmとし、円と円との間に8μmの間隔を設けることとする。この場合の円の充填率は、80%×(31×31)/(35×35)=62.76%〜80%×(46×46)/(50×50)=67.71%の間となる。ランダムに生成させた円の分布を、少し大きい円にシフトさせても充填率65%程度が限界値として導かれるのである。このようにして算出された充填率65%程度の限界値は、溝部14cによって透明導電層12を分割してなる透明絶縁パターン部14において算出した被覆率74.9%よりも低いことがわかる。
【0198】
[効果]
以上説明した構成の透明導電性素子1では、透明電極パターン部13を構成する透明導電層12に対して複数の孔部13aをランダムに設けたことにより、透明電極パターン部13においての透明導電層12による被覆率が抑えられている。一方、透明電極パターン部13に隣接する透明絶縁パターン部14には、島状に分割された透明導電層12が配置されている。これにより、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14とにおいての、透明導電層12による被覆率差が小さく抑えられ、これらのパターン部13、14間のコントラストを低下させて透明電極パターン部13のパターンの視認性を低下させることができる。
【0199】
特に、透明電極パターン部13の透明導電層12にはランダムに孔部13aが設けられ、かつ透明絶縁パターン部14の透明導電層12は、ランダムな方向に延設された溝部14cによって分割されている。このため、モアレの発生が抑制され、しかも透明絶縁パターン部14と透明電極パターン部13との境界に、透明電極パターン部13に沿って連続した溝パターンが配置されることはなく、電極領域の輪郭が目立たない構成となっている。
【0200】
透明絶縁パターン部14における透明導電層12の被覆率は、溝部14cの幅によって広い範囲で調整可能である。このため、透明電極パターン部13におけるシート抵抗を低く抑えるために透明導電層12の膜厚を厚く設定した場合であっても、透明導電層12の被覆率が高い透明絶縁パターン部14を構成することができるため、透明電極パターン部13のコントラストを効果的に小さくすることが可能になる。
【0201】
[変形例]
本技術に係る第2の実施形態は、エッチング法に代えて印刷法を用いて透明導電性素子1、2を作製するようにしてもよい。印刷法に用いる原盤の転写面形状以外のことは、上述の第2の実施形態と同様とすることができるので、ここでは原盤の構成のみについて説明する。
【0202】
[原盤]
図34Aは、第1の製造方法で用いられる原盤の形状の一例を示す斜視図である。図34Bは、図34Aに示した電極領域形成部R1および絶縁領域形成部R2の一部(拡大部B)を拡大して示す平面図である。これらの図に示す原盤100は、例えば、転写面としての円柱面を有するロール原盤であり、その円柱面には電極領域形成部R1および絶縁領域形成部R2が交互に敷き詰められている。
【0203】
電極領域形成部R1には、凹形状の複数の孔部113aが離間して形成されている。これらの孔部113aは、透明導電性素子の電極領域における孔パターンを印刷により形成するための部分である。また、電極領域形成部R1における各孔部113a間の凸部分は、電極領域に配置される透明導電層を印刷によって形成するための部分である。
【0204】
絶縁領域形成部R2には、凹形状の溝部114cがランダムな方向に延設されている。これらの溝部114cは、透明導電性素子1の絶縁領域における溝パターンを印刷により形成するための部分である。また、絶縁領域形成部R2における各溝部114cで分離された島状の凸部分は、絶縁領域に独立した島状で配置される透明導電層を印刷により形成するための部分であり、電極領域形成部R1の凸部分と同一高さを有する部分である。
【0205】
<7.第7の実施形態>
図35A、図35Bは、第7の実施形態の透明導電性素子の構成を説明するための拡大図である。図35Aは、図30における拡大部Aに対応する拡大平面図であり、図35Bは、図35Aの拡大平面図におけるA−A’部分の断面図である。これらの図に示す透明導電性素子1が、図31を用いて説明した第6の実施形態の透明導電性素子1と異なるところは、透明電極パターン部13がベタ膜状の透明導電層12で構成されているところにあり、他の構成は同様である。
【0206】
すなわち、透明電極パターン部13は、この領域内に透明導電層12がベタ膜状で配置され、透明導電層12による被覆率が100%である。このような透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14との境界にも、これらのパターン部13、14間にわたって配置された透明導電層12が、ランダムに配置される。
【0207】
この場合、透明絶縁パターン部14の構成は第1実施形態と同様であるが、透明絶縁パターン部14における透明導電層12の被覆率の設定範囲は、第6の実施形態よりも高くなる。このため、この被覆率を調整する溝部14cの線幅の調整範囲は、第1実施形態よりも小さくなる。
【0208】
[効果]
このような構成の透明導電性素子2であっても、透明電極パターン部13に隣接する透明絶縁パターン部14には、ランダムな方向に延設された溝部14cによって島状に分割された透明導電層12が配置されている。このため、第6の実施形態と同様に、モアレの発生が抑制され、しかも透明電極パターン部13の輪郭が目立たない構成であるとともに、透明電極パターン部13におけるシート抵抗を低く抑えるために透明導電層12の膜厚を厚く設定した場合であっても、透明導電層12の被覆率が高い透明絶縁パターン部14を構成することができる。したがって、透明電極パターン部13のコントラストを効果的に小さくすることが可能になる。
【0209】
<8.第8の実施形態>
図36Aは、本技術の第8実施形態に係る透明導電性素子の一構成例を説明するための平面図である。本技術の第8の実施形態は、透明電極パターン部13の平均境界線長さLaと、透明絶縁パターン部14の平均境界線長さLbとの平均境界線長さ比(La/Lb)の数値範囲を限定している点において、第1の実施形態とは異なっている。具体的には、第1の領域(電極領域)R1に設けられた透明電極パターン部13の平均境界線長さLaと、第2の領域(絶縁領域)R2に設けられた透明絶縁パターン部14の平均境界線長さLbとの平均境界線長さ比(La/Lb)は、0.75以上1.25以下の範囲内であることが好ましい。但し、平均境界線長さLaは、透明電極パターン部13に設けられた孔部13aと導電部13bとの平均境界線の長さであり、平均境界線の長さLbは、透明絶縁パターン部14に設けられた島部14aと間隙部14bとの平均境界線の長さである。
【0210】
平均境界線長さ比(La/Lb)が上述の範囲外であると、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14との被覆率差が同等であっても、透明電極パターン部13および透明絶縁パターン部14が視認されてしまう。これは、例えば、透明導電材料が有る部分と無い部分とで屈折率が異なることに起因する。透明導電材料が有る部分と無い部分とで屈折率差が大きい場合、透明導電材料が有る部分と無い部分との境界部で光散乱が発生する。これにより、境界線長さがより長い領域の方がより白っぽく見えてしまい、JIS Z8722に従い評価した透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14との反射L値の差の絶対値が0.3以上となり、被覆率差に依らずパターンが視認されてしまう。
【0211】
ここで、透明電極パターン部13の平均境界線長さLaは、以下のようにして求めたものである。まず、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX-900)にて観察倍率100〜500倍の範囲で透明電極パターン部13を観察し、観察像を保存する。次に、保存した観察像から画像解析により境界線(ΣCi=C1+・・・+Cn)を計測し、境界線長さL1[mm/mm2]を得る。この計測を、透明電極パターン部13から無作為に選び出された10視野について行い、境界線長さL1、・・・・、L10を得る。次に、得られた境界線長さL1、・・・・、L10を単純に平均(算術平均)して、透明電極パターン部13の平均境界線長さLaを求める。
【0212】
また、透明絶縁パターン部14の平均境界線長さLbは、以下のようにして求めたものである。まず、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX-900)にて観察倍率100〜500倍の範囲で透明絶縁パターン部14を観察し、観察像を保存する。次に、保存した観察像から画像解析により境界線(ΣCi=C1+・・・+Cn)を計測し、境界線長さL1[mm/mm2]を得る。この計測を、透明絶縁パターン部14から無作為に選び出された10視野について行い、境界線長さL1、・・・・、L10を得る。次に、得られた境界線長さL1、・・・・、L10を単純に平均(算術平均)して、透明絶縁パターン部14の平均境界線長さLbを求める。
【0213】
[変形例]
図36Bは、本技術の第8実施形態に係る透明導電性素子の変形例を説明するための平面図である。図36Bに示すように、透明絶縁パターン部14に網目状の溝部14cを設けた構成とした場合にも、平均境界線長さ比(La/Lb)は、0.75以上1.25以下の範囲内であることが好ましい。ここで、平均境界線の長さLbは、透明絶縁パターン部14に設けられた島部14aと、間隙部の一例である溝部14cとの平均境界線の長さである。透明絶縁パターン部14の平均境界線長さLbは、画像解析により境界線(Σli=l1+・・・+ln)を計測し、境界線長さL1、・・・・、L10[mm/mm2]を得る以外は、上述の方法と同様にして求めることができる。但し、境界線li(l1、・・・、ln)は、各島部14aと溝部14cとの境界線を意味する。
【0214】
<9.第9の実施形態>
図37は、本技術の第9の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す断面図である。第9の実施形態に係る情報入力装置は、基材21の一方の主面に透明導電層12を備え、他方の主面に透明導電層22を備える点において、第1の実施形態の情報入力装置とは異なっている。透明導電層12は、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とを備える。透明導電層22は、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部とを備える。透明導電層12の透明電極パターン部は、X軸方向に延在されたX電極パターン部であり、透明導電層22の透明電極パターン部は、Y軸方向に延在されたY電極パターン部である。したがって、透明導電層12と透明導電層22との透明電極パターン部とは互いに直交する関係にある。
【0215】
<10.第10の実施形態>
図38は、本技術の第10の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す断面図である。図38に示すように、情報入力装置10は、基材11と、複数の透明電極パターン部13および透明電極パターン部23と、絶縁パターン部14と、透明絶縁層51とを備える。複数の透明電極パターン部13および透明電極パターン部24は、基材11の同一の表面に設けられている。絶縁パターン部14は、基材11の面内方向における透明電極パターン部13および透明電極パターン部23の間に設けられている。透明絶縁層51は、透明電極パターン部13および透明電極パターン部23の交差部間に介在されている。
【0216】
また、必要に応じて、透明電極パターン部13および透明電極パターン部23が形成された基材11の表面に光学層52をさらに備えるようにしてもよい。光学層52は、貼合層53と、基体54とを備え、貼合層53を介して基体54が基材11の表面に貼り合わされている。情報入力装置10は、表示装置の表示面に対して適用して好適なものである。基材11および光学層52は、例えば、可視光に対して透明性を有しており、その屈折率nは、1.2以上1.7以下の範囲内であることが好ましい。以下では、情報入力装置10の表面の面内で互いに直交する2方向をそれぞれX軸方向、およびY軸方向とし、その表面に垂直な方向をZ軸方向と称する。
【0217】
透明電極パターン部13は、基材11の表面においてX軸方向(第1の方向)に延在されているに対して、透明電極パターン部23は、基材11の表面においてY軸方向(第2の方向)に向かって延在されている。したがって、透明電極パターン部13と透明電極パターン部23とは直交するように交差している。透明電極パターン部13と透明電極パターン部23とが交差する交差部Cには、両電極間を絶縁するための透明絶縁層51が介在されている。透明電極パターン部13および透明電極パターン部23の一端にはそれぞれ、取り出し電極が電気的に接続され、この取り出し電極と駆動回路とがFPC(Flexible Printed Circuit)を介して接続されている。
【0218】
図39Aは、図38Aに示した交差部Cの付近を拡大して示す平面図である。図39Bは、図39Aに示したA−A線に沿った断面図である。透明電極パターン部13は、複数のパッド部(単位電極体)13mと、複数のパッド部13m同士を連結する複数の連結部13nとを備える。連結部13nは、X軸方向に延在されており、隣り合うパッド部13mの端部同士を連結する。透明電極パターン部23は、複数のパッド部(単位電極体)23mと、複数のパッド部23m同士を連結する複数の連結部23nとを備える。連結部23nは、Y軸方向に延在されており、隣り合うパッド部23mの端部同士を連結する。
【0219】
交差部Cでは、連結部23n、透明絶縁層51、連結部13nがこの順序で基材11の表面に積層されている。連結部13nは、透明絶縁層51を横断して跨ぐように形成され、透明絶縁層51を跨いだ連結部13nの一端が、隣り合うパッド部13mの一方と電気的に接続され、透明絶縁層51を跨いだ連結部13nの他端が、隣り合うパッド部13mの他方と電気的に接続される。
【0220】
パッド部23mと連結部23nとは、一体的に形成されているのに対して、パッド部13mと連結部13nとは、別形成されている。パッド部13m、パッド部23m、連結部23n、および絶縁パターン部14は、基材11の表面に設けられた単層の透明導電層12により構成されている。連結部13nは、例えば、導電層からなる。
【0221】
(透明絶縁層)
透明絶縁層51は、連結部13nと連結部23nとが交差する部分より大きな面積を有していることが好ましく、例えば、交差部Cに位置するパッド部13mおよびパッド部23mの先端に被さる程度の大きさを有している。
【0222】
透明絶縁層51は、透明絶縁材料を主成分として含んでいる。透明絶縁材料としては、透明性を有する高分子材料を用いることが好ましく、このような材料としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールAモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、シクロオレフィンポリマー(商品名:アートン、ゼオノア)、シクロオレフィンコポリマーなどが挙げられる。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂を使用することも可能である。ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタアクリレートを意味する。
【0223】
(導電層)
連結部13nを構成する導電層としては、例えば、金属層または透明導電層を用いることができる。金属層は、金属を主成分として含んでいる。金属としては、導電性の高い金属を用いるこことが好ましく、このような材料としては、例えば、Ag、Al、Cu、Ti、Nb、不純物添加Siなどが挙げられるが、導電性の高さ、ならびに成膜性および印刷性などを考慮すると、Agが好ましい。金属層の材料として導電性が高い金属を用いることにより、連結部13nの幅を狭くし、その厚さを薄くし、その長さを短くすることが好ましい。これにより視認性を向上することができる。
【0224】
透明導電層は、透明導電材料を主成分として含んでいる。透明導電材料としては、パッド部13m、パッド部23mおよび連結部23nと同様のものを用いることができる。導電層として透明導電層を用いる場合には、連結部13nが透明を有するために、導電層として金属層を用いる場合よりも連結部13nの幅を広くするようにしてもよい。
【0225】
<11.第11の実施形態>
(電子機器への適用例)
図40〜図44には、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る情報入力装置を備えた表示装置を、表示部に適用した電子機器の一例を示す。以下に、本技術の電子機器の適用例について説明する。
【0226】
図40は、本技術が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビ200は、フロントパネル202やフィルターガラス203等から構成される表示部201を含み、その表示部201として先に説明した表示装置を適用する。
【0227】
図41は、本技術が適用されるデジタルカメラを示す図であり、図41Aは表側から見た斜視図、図41Bは裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラ210は、フラッシュ用の発光部211、表示部212、メニュースイッチ213、シャッターボタン214等を含み、その表示部212として先に説明した表示装置を適用する。
【0228】
図42は、本技術が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータ220は、本体221に、文字等を入力するとき操作されるキーボード222、画像を表示する表示部223等を含み、その表示部223として先に説明した表示装置を適用する。
【0229】
図43は、本技術が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラ230は、本体部231、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ232、撮影時のスタート/ストップスイッチ233、表示部234等を含み、その表示部234として先に説明した表示装置を適用する。
【0230】
図44は、本技術が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す正面図である。本適用例に係る携帯電話機240は、上側筐体241、下側筐体242、連結部(ここではヒンジ部)243、表示部244を含み、その表示部244として先に説明した表示装置を適用する。
【0231】
[効果]
以上説明した第11の実施形態の各電子機器では、第1の実施形態で説明した表示装置を表示部に用いているため、情報入力装置10を有しつつも、表示パネルにおいての高精彩な表示を行うことが可能になる。
【実施例】
【0232】
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0233】
(実施例1−1〜1−4)
まず、スパッタリング法により、厚み125μmのPETフィルムの表面にITO層を形成することにより、透明導電性フィルムを得た。この透明導電性フィルムのシート抵抗は254Ω/□であった。次に、透明導電性フィルムのITO層上にレジスト層を形成した後、ランダムパターンの形成されたCrフォトマスクを用いて、レジスト層を露光した。この際、Crフォトマスクのランダムパターンとしては、円形状からなるランダムパターンを採用した。次に、レジスト層を現像してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、ITO層をウエットエッチングした後、レジスト層をアッシング処理により除去した。これにより、表2に示すパラメータを有する複数の孔部、および複数の島部がそれぞれランダムに形成された透明電極パターン部、および透明絶縁パターン部が得られた。これらのパターン部の写真を図45Aおよび図45Bに示す。図45Aおよび図45Bにおいて、第1の領域R1が、電極として機能する導電部であり、第2の領域R2が、ダミー電極として機能する非導電部である。
以上により、目的とする透明導電性フィルムが得られた。
【0234】
(実施例1−5〜1−8)
塗布法により、厚み125μmのPETフィルムの表面に銀ナノワイヤー層を形成することにより、透明導電性フィルムを得た。この透明導電性フィルムのシート抵抗は130Ω/□であった。これ以外は、実施例1−1〜1−4と同様にして透明導電性フィルムを得た。
【0235】
(比較例1−1)
ランダムパターンの形成されていないCrフォトマスクを用いて透明電極パターン部、および透明絶縁パターン部を形成する以外のことは、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを得た。
【0236】
(比較例1−2)
ランダムパターンの形成されていないCrフォトマスクを用いて透明電極パターン部、および透明絶縁パターン部を形成する以外のことは、実施例1−5と同様にして透明導電性フィルムを得た。
【0237】
(評価)
上述のようにして得られた透明導電性フィルムについて、透明電極パターン部の非視認性、ギラツキ、ならびにモアレおよび干渉光を、以下のようにして評価した。まず、対角3.5インチの液晶ディスプレイ上に、粘着シートを介して透明導電性フィルムのITO側または銀ワイヤー側の面が画面と対向するように貼り合わせた。次に、透明導電性フィルムの基材(PETフィルム)側に、粘着シートを介してARフィルムを貼り合わせた。その後、液晶ディスプレイを黒表示または緑色表示し、表示面を目視により観察して、非視認性、ギラツキ、ならびにモアレおよび干渉光を評価した。その結果を表2に示す。
以下に、非視認性、ギラツキ、ならびにモアレおよび干渉光の評価基準を示す。
【0238】
<非視認性>
◎:どの角度から見てもパターンを全く視認できない
○:パターンが非常に視認しにくいが、角度によっては視認可能
×:視認可能
【0239】
<ギラツキ>
◎:あらゆる角度から観察してギラツキが感じられない
○:正面から観察してギラツキがないが、斜めから観察してギラツキが少し感じられる
×:正面から観察してギラツキが感じられる
【0240】
<モアレおよび干渉光>
◎:あらゆる角度から観察してモアレおよび干渉光が感じられない
○:正面から観察してモアレおよび干渉光がないが、斜めから観察してモアレおよび干渉光が少し感じられる
×:正面から観察してモアレおよび干渉光が感じられる
【0241】
【表2】

表2から以下のことがわかる。
孔部および島部をランダムに形成した実施例1−1〜1−8では、導電パターン部の非視認性を向上することができる。また、ぎらつきを抑制し、かつ、モアレおよび干渉光の発生も抑制することができる。これに対して、孔部および島部を形成していない比較例1−1、1−2では、導電パターン部の非視認性を向上することはできない。
【0242】
実施例1−1〜1−8に示したランダムパターンを採用することで、ITOフィルムにおいても銀ワイヤーフィルムにおいても電極パターンの非視認性を向上できる。また、作製した導電性フィルムをより詳細に観察すると、銀ワイヤーフィルムの場合は、銀ワイヤー被覆面積が減少したことで、導電部の反射L値の値が小さくなっていた。その結果、導電部の画面の黒表示がより沈み、直線状パターンやダイヤモンドパターンなどを使用した場合と比べてディスプレイの表示特性が向上する効果も見られた。
【0243】
このようにITOと銀ワイヤーとで若干効果に違いがあるのは、両者のパターンが視認できてしまう要因が異なることが原因である。ITOフィルムの場合は、導電部と非導電部における反射率の違いによりパターンが視認できてしまうのに対し、銀ワイヤーフィルムの場合は、反射L値の違いによりパターンが視認できてしまう。そのため、どちらも実施例1−1〜1−8に示したランダムパターンを採用することで非視認性は同様に向上するが、付随して得られる効果に若干違いが生じたと考えられる。
【0244】
導電パターン部と非導電パターン部の被覆率の差が50%あっても、透明電極パターン部を見えにくくする効果は充分ある。なお、被覆率がほぼ同一の場合、どのような視認方法をとっても、透明電極パターン部を確認することは不可能であった。これは、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部の被覆率が完全に同一のときに最も視認しにくくなるためである。この点を考慮すると、両者の被覆率は同一または近い値に近づけることが好ましい。
【0245】
以下に述べる実施例2−1〜2−12については、表3で各種条件や評価結果を示している。なお、非視認性、モアレおよび干渉光、ギラツキの評価基準は、上述の実施例1−1〜1−8、比較例1−1、1−2と同様である。
【0246】
<実施例2−1〜2−3>
まず、スパッタリング法により、厚み125μmのPETフィルムの表面にITO層を形成することにより、透明導電性フィルムを得た。この透明導電性フィルムのシート抵抗は150Ω/□であった。次に、透明導電性フィルムのITO層上にレジスト層を形成した後、ランダムパターンの形成されたCrフォトマスクを用いて、レジスト層を露光した。この際、Crフォトマスクのランダムパターンとしては、円形状からなるランダムパターンを採用した。次に、レジスト層を現像してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、ITO層をウエットエッチングした後、レジスト層をアッシング処理により除去した。
【0247】
これにより、表3の実施例2−1で示すパラメータを有し、図46Aに示すように複数の孔部13a、および複数の島部14aがそれぞれランダムに形成された透明電極パターン部13、および透明絶縁パターン部14を有するX電極(透明導電性素子1)が得られた。表3のパラメータで示されるように、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14では、円サイズ範囲が異なるパラメータとされることで、互いに異なるランダムパターンに基づくものとされる。なお、表3の円サイズ範囲の数値は、最終的にランダム生成された円(孔部13aや島部14aに相当する円)の直径を示しており、パターン形成過程での円の半径サイズ(つまり上述したRmin、Rmax)ではない。また、透明電極パターン部13の導電材料部の被覆率は66.9%、透明絶縁パターン部14の導電材料部の被覆率は49.8となった。
【0248】
実施例2−1の透明導電性素子1の単体の評価結果として、モアレおよび干渉光やギラツキに関しては極めて良好で、非視認性もほぼ良好であった。
【0249】
実施例2−2としては実施例2−1と同様の手法を用いて、表3に示すパラメータを有し、図46Bのように複数の孔部13a、および複数の島部14aがそれぞれランダムに形成された透明電極パターン部23、および透明絶縁パターン部24を有するY電極(透明導電性素子2)を生成した。この実施例2−2も透明電極パターン部23の導電材料部の被覆率は66.9%、透明絶縁パターン部24の導電材料部の被覆率は49.8となった。
【0250】
実施例2−2の透明導電性素子2の単体の評価結果として、モアレおよび干渉光やギラツキに関しては極めて良好で、非視認性もほぼ良好であった。
【0251】
実施例2−3は、上記実施例2−1、2−2の透明導電性素子1、2を重ね合わせた状態で評価を行ったものである。具体的には図1の構造の情報入力装置10の状態にして評価を行った。
【0252】
導電材料部の被覆率の加算値の差は、最大で34.2である。
つまり図22Bや図27Bで示した領域AR1、AR2、AR3でいうと、被覆率の加算値は、
領域AR1:66.9+66.9=133.8
領域AR2:49.8+49.8=99.6
領域AR3:66.9+49.8=116.7
となり、加算値の差の最大値は、133.8−99.6=34.2となる。
【0253】
実施例2−3の評価結果として、モアレおよび干渉光やギラツキに関しては極めて良好で、非視認性もほぼ良好であった。
【0254】
<実施例2−4〜2−6>
塗布法により、厚み125μmのPETフィルムの表面に銀ナノワイヤー層を形成することにより、透明導電性フィルムを得た。この透明導電性フィルムのシート抵抗は100Ω/□であった。これ以外は、実施例2−1〜2−3と同様にして評価を行った。この場合も、実施例2−6において導電材料部の被覆率の加算値の差は、最大で34.2である。表3に示すように、実施例2−4(透明導電性素子1の単体)、実施例2−5(透明導電性素子2の単体)、実施例2−6(実施例2−4、2−5を用いた図1の構成の情報入力装置10)において、モアレおよび干渉光やギラツキに関しては極めて良好で、非視認性もほぼ良好であった。
【0255】
<実施例2−7〜2−9>
上記の実施例2−4〜2−6と同様の手法を用いて、表3に示すパラメータを有する複数の孔部13a、および複数の島部14aがそれぞれランダムに形成された透明電極パターン部、および透明絶縁パターン部の実施例2−7のX電極(透明導電性素子1)、実施例2−8のY電極(透明導電性素子2)、実施例2−9のX電極とY電極の組合せ(情報入力装置10)を得た。但し、Y電極の導電部には、ランダムパターンを配置しなかった。
【0256】
X電極においては、透明電極パターン部13と透明絶縁パターン部14で、円サイズ範囲と最隣接距離のそれぞれが異なるパラメータとされることで、互いに異なるランダムパターンに基づくものとされる。Y電極においては、透明電極パターン部23が導電材料部100%で、透明絶縁パターン部24が図示する円サイズ範囲と最隣接距離のパラメータに基づくランダムパターンによるものとすることで、透明電極パターン部23と透明絶縁パターン部24が異なるパターンとなるようにした。この場合、実施例2−9において導電材料部の被覆率の加算値の差は、最大で52.6である。
【0257】
表3に示すように、実施例2−7(透明導電性素子1の単体)、実施例2−8(透明導電性素子2の単体)、実施例2−9(実施例2−7、2−8を用いた図1の構成の情報入力装置10)において、モアレおよび干渉光やギラツキに関しては極めて良好で、非視認性もほぼ良好であった。
【0258】
<実施例2−10〜2−12>
上記の実施例2−4〜2−6と同様の手法を用いて、実施例2−10のX電極(透明導電性素子1)、実施例2−11のY電極(透明導電性素子2)、実施例2−12のX電極とY電極の組合せ(情報入力装置10)を得た。
【0259】
実施例2−10、2−11では、図47のように透明電極パターン部13、23(領域R1)にはランダムパターンを配置せず、導電材料部の被覆率100%とした。また透明絶縁パターン部14、24(領域R2)にはランダムメッシュパターンを配置した。このような島部14aを有するランダムメッシュパターンは、表3に示す円サイズ範囲や最隣接距離のパラメータで生成した。この場合、実施例2−12において導電材料部の被覆率の加算値の差は、最大で32.2である。
【0260】
表3に示すように、実施例2−10(透明導電性素子1の単体)、実施例2−11(透明導電性素子2の単体)、実施例2−12(実施例2−10、2−11を用いた図1の構成の情報入力装置10)において、モアレおよび干渉光やギラツキに関しては極めて良好で、非視認性もほぼ良好であった。
【0261】
なお、Agナノワイヤーフィルムの場合は、透明電極パターン部13、23にランダムパターン処理を施した場合、Agナノワイヤー被覆面積が減少したことで、導電部の反射L値の値が小さくなっていた。その結果、導電部の画面の黒表示がより沈み、直線状パターンやダイヤモンドパターンなどを使用した場合と比べてディスプレイの表示特性が向上する効果も見られた。
【0262】
ランダムパターンを施したAgナノワイヤーフィルムを、有色化合物を溶解した溶液に浸漬することにより、有色化合物がAgナノワイヤー表面に選択的に吸着した。この処理により、導電部と非導電部ともに反射L値がより小さくなった。その結果、ディスプレイの表示特性がさらに向上した。
【0263】
【表3】

【0264】
<実施例3−1>
図48Aに示すように、電極領域にはランダムパターンなし、絶縁領域にはランダムパターンとして溝パターンが形成されるようにパターン露光を行った。ランダムパターン生成の際に用いたパラメータは次のようである。
電極領域…なし
絶縁領域…半径範囲:25μm〜45μm、溝パターンの線幅:8μm
【0265】
<実施例3−2>
図48Bに示すように、電極領域にはランダムパターンとして孔パターンが形成され、絶縁領域にはランダムパターンとして溝パターンが形成されるようにパターン露光を行った。ランダムパターン生成の際に用いたパラメータは次のようである。
電極領域…半径範囲:35μm〜48μm、半径縮小値:18.5μm
絶縁領域…実施例3−1と同一
【0266】
<実施例3−3>
図48Cに示すように、電極領域にはランダムパターンとして帯状パターンが形成され、絶縁領域にはランダムパターンとして溝パターンが形成されるようパターン露光を行った。ランダムパターン生成の際に用いたパラメータは次のようである。
電極領域…半径範囲:25μm〜45μm、帯状パターンの線幅:30μm
絶縁領域…実施例3−1と同一
【0267】
<比較例3−1>
電極領域、絶縁領域とも、ランダムパターン無しとした。
以上のようにパターン露光を行った後、レジスト層を現像してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、銀ナノワイヤー層をウエットエッチングした。エッチング終了後には、レジスト層をアッシング処理により除去した。
【0268】
以上により、透明導電層による各被覆率パラメータを有する電極領域および絶縁領域を備えた透明電極素子を得た。
【0269】
<評価>
実施例3−1〜3−3および比較例で作製した各透明電極素子について、電極領域および絶縁領域のパターンの非視認性、モアレおよび干渉光、ギラツキを目視にて評価した。この結果を、透明導電層による各被覆率パラメータと共に下記表4に合わせて示した。各項目の評価基準は次のようである。
【0270】
[非視認性]
上述の実施例1−1〜1−8、比較例1−1、1−2と同様にして、非視認性を評価した。
【0271】
[モアレおよび干渉光]
上述の実施例1−1〜1−8、比較例1−1、1−2と同様にして、モアレおよび干渉光を評価した。
【0272】
[ギラツキ]
上述の実施例1−1〜1−8、比較例1−1、1−2と同様にして、ギラツキを評価した。
【0273】
【表4】

上記表4に示す結果から、実施例3−1〜3−3のように、絶縁領域にも透明導電層を設けたことにより、電極領域および絶縁領域のパターンの非視認性が良好になることが確認された。特に実施例3−2〜3−3のように、電極領域の透明導電層にもランダムパターンを設けることで、電極領域と絶縁領域とにおいての透明導電層による被覆率差を抑えたことにより、実施例3−1よりもさらにパターンの非視認性が良好になることが確認された。
【0274】
また実施例3−2、3−3の電極領域は、銀ナノワイヤー層からなる透明導電層の被覆率が抑えられているため、銀ナノワイヤー表面での外光の乱反射による反射L値の値が小さくなっていた。またこの結果として、透明電極素子を表示パネルの表示面上に配置した構成において、電極領域に直線状パターンやダイヤモンドパターンなどを使用した場合と比較し、実施例3−2、3−3の透明電極素子を使用した場合では、表示画面の黒表示が沈む効果が確認された。これにより、透明電極素子を用いたタッチパネルを表示面上に設けた表示装置において、表示特性が向上する効果も見られた。
【0275】
さらに追加の実施例として、実施例3−1〜3−3で得たランダムパターンを有する銀ナノワイヤー層(透明導電層)を、有色化合物を溶解した溶液に浸漬し、銀ナノワイヤー表面に有色化合物を吸着させる処理を行った。この処理により、実施例3−1〜3−3の銀ナノワイヤー層(透明導電層)で構成された電極領域と絶縁領域ともに、反射L値がより小さくなることが確認された。その結果、金属ナノワイヤーに有色化合物を吸着させた透明導電層を用い、これにランダムパターンを形成した透明電極素子をタッチパネルとして用いることにより、表示面上にタッチパネルを設けながらも表示パネルにおいての表示特性を維持可能であることが確認された。
【0276】
(平均境界線長さの評価方法)
本実施例および比較例において、透明電極パターン部の平均境界線長さLaは、以下のようにして求めた。まず、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX-900)にて観察倍率100〜500倍の範囲で透明電極パターン部を観察し、観察像を保存する。次に、保存した観察像から画像解析により境界線を計測し、境界線長さL1[mm/mm2]を得る。この計測を、透明電極パターン部から無作為に選び出された10視野について行い、境界線長さL1、・・・・、L10を得る。次に、得られた境界線長さL1、・・・・、L10を単純に平均(算術平均)して、透明電極パターン部の平均境界線長さLaを求める。
【0277】
また、透明絶縁パターン部の平均境界線長さLbは、以下のようにして求めた。まず、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX-900)にて観察倍率100〜500倍の範囲で透明絶縁パターン部を観察し、観察像を保存する。次に、保存した観察像から画像解析により境界線を計測し、境界線長さL1[mm/mm2]を得る。この計測を、透明絶縁パターン部から無作為に選び出された10視野について行い、境界線長さL1、・・・・、L10を得る。次に、得られた境界線長さL1、・・・・、L10を単純に平均(算術平均)して、透明絶縁パターン部の平均境界線長さLbを求める。
【0278】
(平均境界線長さ比)
本実施例および比較例において、平均境界線長さ比は、上述の「平均境界線長さの評価方法」で求めた平均境界線長さLa、Lbを、以下の式に代入することにより求めた。
平均境界線長さの比=(平均境界線長さLa)/(平均境界線長さLb)
【0279】
(実施例4−1〜4−5)
表5に示すパラメータを有する複数の孔部、および複数の島部をランダムに形成する以外は、実施例1−1〜1−8、比較例1−1、1−2と同様にして透明導電性フィルムを得た。
【0280】
(反射L値の評価)
透明導電性フィルムの透明電極パターン部と透明絶縁パターン部が形成された側に黒テープを貼った状態で、黒テープを貼った側とは反対側から、JIS Z8722に従い、エックスライト社製カラーi5で測定した。この測定を、透明導電性フィルムの透明電極パターン部から無作為に選び出された5箇所で行い、測定値を単純に平均(算術平均)して、透明電極パターン部の平均反射L値を求めた。また、同様の測定を透明導電性フィルムの透明絶縁パターン部についても行い、透明絶縁パターン部の平均反射L値を求めた。
【0281】
(反射L値の差の絶対値)
上述の「反射L値の評価」の評価で求めた反射L値を、以下の式に代入することにより反射L値の差の絶対値を求めた。
反射L値の差の絶対値=|(透明電極パターン部の反射L値)−(透明絶縁パターン部の反射L値)|
【0282】
(非視認性)
上述の実施例1−1〜1−8、比較例1−1、1−2と同様にして、非視認性を評価した。
【0283】
(モアレおよび干渉光)
上述の実施例1−1〜1−8、比較例1−1、1−2と同様にして、モアレおよび干渉光を評価した。
【0284】
(ギラツキ)
上述の実施例1−1〜1−8、比較例1−1、1−2と同様にして、ギラツキを評価した。
【0285】
(円以外の形状)
各実施例にて生成したランダムパターン円内に描いた図形を円から他の形状へ変更した場合でも、透明電極パターン部と透明絶縁パターン部との被覆率差および境界線長さの比が円の場合と同等となるようにすれば、円の場合と同様の評価結果となった。
【0286】
【表5】

【0287】
【表6】

【0288】
表5、表6から以下のことがわかる。
境界線長さの比を0.75以上1.25以下の範囲内とすることで、パターンの視認を抑制できる。これに対して、境界線長さの比を0.75以上1.25以下の範囲外とすると、被覆率差が同等であってもパターンが視認されてしまう。これは、例えば、導電材料が有る部分と無い部分とで屈折率が異なることに起因する。導電材料が有る部分と無い部分とで屈折率差が大きい場合、導電材料が有る部分と無い部分との境界部で光散乱が発生する。これにより、境界線長さがより長い領域の方がより白っぽく見えてしまい、JIS Z8722に従い評価した導電部と非導電部との反射L値差の絶対値が0.3以上となり、被覆率差に依らずパターンが視認されてしまう。
【0289】
以上により、電極パターンの視認を抑制する観点からすると、境界線長さの比を0.75以上1.25以下の範囲内とすることが好ましい。
【0290】
以上、本技術の実施形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0291】
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0292】
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0293】
また、上述の実施形態において、パターニングにより形成された導電性材料が存在しない領域において、基材表面が露出していてもよいし、基材表面上に形成された中間層(例えば、ハードコート層、光学調整層、密着補助層)が露出していていてもよい。また、透明導電層が導電性材料とバインダー材料とで形成される場合、該バインダー材料が残っていてもよい。
【0294】
また、上述の実施形態において、X電極パターン部とY電極パターン部との両方を、一枚の基材の第1の表面および第2の表面の一方に形成するようにしてもよい。この場合、X電極パターン部およびY電極パターン部の一方を、両者の交差部分において中継電極を介して電気的に接続する構成を採用することが好ましい。このような中継電極を用いたX電極パターン部とY電極パターン部の構成としては、例えば、特開2008−310550号公報などに開示されている従来公知の構成を採用することができる。
【0295】
(1)本技術は以下のような構成もとることができる。
(1−1)
表面を有する基材と、
上記表面に交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
上記透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界は、ランダム形状である透明導電性素子。
(1−2)
上記透明導電部の平均境界線長さL1と上記透明絶縁部の平均境界線長さL2との平均境界線長さ比(L1/L2)が、0.75以上1.25以下の範囲内である(1−1)記載の透明導電性素子。
(1−3)
上記透明導電部および上記透明絶縁部の反射L値の差の絶対値が、0.3未満である(1−1)または(1−2)記載の透明導電性素子。
(1−4)
上記孔部および上記島部が、ドット状を有している(1−1)〜(1−3)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1―5)
上記ドット状は、円形状、楕円形状、円形状の一部を切り取った形状、楕円形状の一部を切り取った形状、多角形状、角を取った多角形状および不定形状からなる群より選ばれる少なくとも1種である(1−4)記載の透明導電性素子。
(1−6)
上記孔部間の導電部および上記島部間の間隙部が、網目状を有している(1−1)〜(1−3)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−7)
上記孔部がドット状を有し、上記島部間の間隙部が網目状を有している(1−1)〜(1−3)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−8)
上記孔部間の導電部が網目状を有し、上記島部がドット状を有している(1−1)〜(1−3)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−9)
上記透明導電部と上記透明絶縁部とにおけるランダムのパターンが、互いに異なるランダムのパターンである(1−1)〜(1−8)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−10)
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている(1−1)〜(1−9)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−11)
上記透明導電部および透明絶縁部における上記透明導電層の被覆率は、65%以上100%以下である(1−1)〜(1−10)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−12)
上記表面とは反対側となる裏面に、交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部をさらに備え、
上記表面の透明導電層の被覆率と上記裏面の透明導電層の被覆率との加算値の差が、0%以上60%以下の範囲内である(1−1)〜(1−11)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−13)
上記透明導電部が、複数の領域を有し、
上記領域の幅をW、上記領域の長さをLとしたとき、比率(L/W)が大きな領域ほど、上記透明導電層の被覆率が大きく設定されている(1−1)〜(1−12)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−14)
上記透明導電部は、透明電極パターン部である(1−1)〜(1−13)の何れかに記載の透明導電性素子。
(1−15)
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に交互に敷き詰められ、
上記透明電極パターン部は、複数の孔部が離間してランダムに形成された透明導電層であり、
上記透明絶縁パターン部は、離間してランダムに形成された複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部との境界線の形状は、ランダム形状である透明導電性素子。
(1−16)
第1の透明導電性素子と、
上記第1の透明導電性素子の表面に設けられた第2の透明導電性素子と
を備え、
上記第1の透明導電性素子および上記第2の透明導電性素子の少なくとも一方が、
表面を有する基材と、
上記表面に交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
上記透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界は、ランダム形状である入力装置。
(1−17)
透明導電性素子を備え、
上記透明導電性素子は、
表面を有する基材と、
上記表面に交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
上記透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界は、ランダム形状である電子機器。
(1−18)
透明導電部形成領域と透明絶縁部形成領域とが交互に設けられた表面を有し、
上記透明導電部形成領域には、凹状を有する複数の孔部がランダムに設けられ、
上記透明絶縁部形成領域には、凸状を有する複数の島部がランダムに設けられ、
上記透明導電部形成領域と上記透明絶縁部形成領域との境界は、ランダム形状である透明導電性素子形成用原盤。
【0296】
(2)本技術は以下のような構成もとることができる。
(2−1)
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に交互に敷き詰められ、
上記透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
上記透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている透明導電性素子。
(2−2)
上記透明電極パターン部は、複数の孔部が離間してランダムに形成された透明導電層であり、
上記透明絶縁パターン部は、離間してランダムに形成された複数の島部からなる透明導電層である(2−1)記載の透明導電性素子。
(2−3)
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部との境界線の形状は、ランダム形状である(2−1)または(2−2)記載の透明導電性素子。
(2−4)
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部が離間してランダムに形成されている(2−1)〜(2−3)の何れかに記載の透明導電性素子。
(2−5)
上記孔部および島部の形状は、円形状、楕円形状、円形状の一部を切り取った形状、楕円形状の一部を切り取った形状、多角形状、角を取った多角形状および不定形状からなる群より選ばれる少なくとも1種である(2−1)〜(2−4)の何れかに記載の透明導電性素子。
(2−6)
第1の透明導電性素子と、
上記第1の透明導電性素子の表面に設けられた第2の透明導電性素子と
を備え、
上記第1の透明導電性素子および上記第2の透明導電性素子の少なくとも一方が、
表面を有する基材と、
上記表面に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記基材の表面に交互に敷き詰められ、
上記透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
上記透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている情報入力装置。
(2−7)
透明導電性素子を備え、
上記透明導電性素子は、
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
上記第1の表面および上記第2の表面に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記第1の表面および上記第2の表面に交互に敷き詰められ、
上記透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
上記透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている情報入力装置。
(2−8)
透明電極パターン部形成領域と透明絶縁パターン部形成領域とが交互に敷き詰められた表面を有し、
上記透明電極パターン部形成領域には、凹状を有する複数の孔部が離間してランダムに形成され、
上記透明絶縁パターン部形成領域には、凸状を有する複数の島部が離間してランダムに形成されている透明導電性素子形成用原盤。
(2−9)
基材の表面に導電性塗料を印刷する工程と、
上記導電性塗料を乾燥および/または加熱することにより、上記基材の表面に透明電極パターン部および透明絶縁パターン部を形成する工程と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記基材の表面に交互に敷き詰められ、
上記透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
上記透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている透明導電性素子の製造方法。
(2−10)
上記印刷の工程では、透明導電性素子形成用原盤の表面に導電性塗料を塗布し、塗布された透明導電塗料を基材の表面に印刷し、
上記透明導電性素子形成用原盤は、
透明電極パターン部形成領域と透明絶縁パターン部形成領域とが交互に敷き詰められた表面を有し、
上記透明電極パターン部には、凹状を有する複数の孔部が離間してランダムに形成され、
上記透明絶縁パターン部には、凸状を有する複数の島部が離間してランダムに形成されている(2−9)記載の透明導電性素子の製造方法。
(2−11)
基材の表面に設けられた透明導電層の表面に、レジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとして、上記透明導電層をエッチングすることにより、上記基材の表面に透明電極パターン部および透明絶縁パターン部を形成する工程と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記基材の表面に交互に敷き詰められ、
上記透明電極パターン部には、複数の孔部が離間してランダムに形成され、
上記透明絶縁パターン部には、複数の島部が離間してランダムに形成されている透明導電性素子の製造方法。
【0297】
(3)本技術は以下のような構成もとることができる。
(3−1)
基材と、
上記基材の表面において、所定方向に向かって交互に敷き詰められて形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と、
を備え、
上記透明電極パターン部および透明絶縁パターン部は、それぞれ少なくとも導電材料部を有するとともに、上記導電部が互いに異なるパターンで形成されている透明導電性素子。
(3−2)
上記透明電極パターン部および上記透明絶縁パターン部は、上記導電材料部と非導電部が、互いに異なるランダムパターンで形成されている(3−1)記載の透明導電性素子。
(3−3)
上記透明電極パターン部は、上記導電材料部の形成面内で、複数の上記非導電部が離間してランダムに形成され、
上記透明絶縁パターン部は、上記非導電部の形成面内で、上記導電材料部が離間してランダムに形成されており、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とでは、上記導電材料部と上記非導電部の境界によって形成されるパターンが、互いに異なるランダムパターンとされている(3−1)または(3−2)記載の透明導電性素子。
(3−4)
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とでは、異なる生成条件によって生成したランダムパターンに基づいて、上記導電材料部と上記非導電部を配置することで、互いに異なるランダムパターンとなるようにする(3−2)または(3−3)記載の透明導電性素子。
(3−5)
上記透明電極パターン部および透明絶縁パターン部における上記導電材料部の被覆率は65%以上100%以下である(3−1)〜(3−4)の何れかに記載の透明導電性素子。
(3−6)
上記透明電極パターン部は、上記導電材料部の被覆率が異なる複数の領域により形成されている(3−1)〜(3−5)の何れかに記載の透明導電性素子。
(3−7)
基材表面に所定方向に向かって交互に敷き詰められて形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部とを有する第1の透明導電性素子と、
基材表面に上記所定方向とは直交する方向に向かって交互に敷き詰められて形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部とを有し、入力面方向から見て上記第1の透明導電性素子と重ね合わされた位置関係で配置される第2の透明導電性素子と、
を備え、
上記第1、第2の透明導電性素子における、上記透明電極パターン部および透明絶縁パターン部は、それぞれ少なくとも導電材料部を有するとともに、上記導電材料部が互いに異なるパターンで形成されている入力装置。
(3−8)
上記第1、第2の透明導電性素子における、上記透明電極パターン部および上記透明絶縁パターン部は、上記導電材料部と非導電部が、互いに異なるランダムパターンで形成されている(3−7)記載の入力装置。
(3−9)
上記第1の透明導電性素子と上記第2の透明導電性素子が重ね合わされた状態で入力面方向からみた全ての領域で、上記第1の透明導電性素子の上記導電材料部の被覆率と上記第2の透明導電性素子における導電材料部の被覆率との加算値の差が、0以上60以下である(3−7)または(3−8)記載の入力装置。
【0298】
(4)本技術は以下のような構成もとることができる。
(4−1)
基材と、
前記基材上に設けられた透明導電膜と、
前記透明導電膜を用いて構成された電極領域と、
前記電極領域に隣接した領域であって、ランダムな方向に延設された溝パターンによって前記透明導電膜が独立した島状に分割されている絶縁領域と
を有する透明電極素子。
(4−2)
前記電極領域と前記絶縁領域との境界には、当該領域間にわたる前記透明導電膜がランダムに配置されている(4−1)記載の透明電極素子。
(4−3)
前記絶縁領域に配置された前記各溝パターンは、同一の線幅を有する(4−1)または(4−2)記載の透明電極素子。
(4−4)
前記電極領域を構成する前記透明導電膜には、複数の孔パターンがランダムに設けられている(4−1)〜(4−3)の何れかに記載の透明電極素子。
(4−5)
前記電極領域は、前記透明導電膜によって構成された複数の帯状パターンがランダムな方向に延設して配置され、当該帯状パターンによって前記孔パターンが分割されている(4−4)記載の透明電極素子。
(4−6)
前記基材は、透明材料で構成されている(4−1)〜(4−5)の何れかに記載の透明電極素子。
(4−7)
基材と、
前記基材上に設けられた透明導電膜と、
前記透明導電膜を用いて構成された複数の電極領域と
前記複数の電極領域に隣接した領域であって、ランダムな方向に延設された溝パターン
によって前記透明導電膜が独立した島状に分割されている絶縁領域と
を有する情報入力装置。
(4−8)
表示パネルと、
前記表示パネルの表示面側に設けられた透明導電膜と、
前記透明導電膜を用いて構成された複数の電極領域と
前記複数の電極領域に隣接した領域であって、ランダムな方向に延設された溝パターン
によって前記透明導電膜が独立した島状に分割されている絶縁領域とを有する電子機器。
【0299】
(5)本技術は以下のような構成もとることができる。
(5−1)
表面を有する基材と、
上記表面に交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界は、ランダム形状である透明導電性素子。
(5−2)
上記透明導電部および上記透明絶縁部の反射L値の差の絶対値が、0.3未満である(5−1)記載の透明導電性素子。
(5−3)
上記島部が、ドット状を有している(5−1)または(5−2)記載の透明導電性素子。
(5―4)
上記ドット状は、円形状、楕円形状、円形状の一部を切り取った形状、楕円形状の一部を切り取った形状、多角形状、角を取った多角形状および不定形状からなる群より選ばれる少なくとも1種である(5−3)記載の透明導電性素子。
(5−5)
上記島部間の間隙部が、網目状を有している(5−1)または(5−2)の何れかに記載の透明導電性素子。
(5−6)
上記透明導電部は、一様な厚さで連続的に設けられた透明導電層である(5−1)〜(5−5)の何れかに記載の透明導電性素子。
(5−7)
上記透明導電部および透明絶縁部における上記透明導電層の被覆率は、65%以上100%以下である(5−6)の何れかに記載の透明導電性素子。
(5−8)
上記表面とは反対側となる裏面に、交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部をさらに備え、
上記表面の透明導電層の被覆率と上記裏面の透明導電層の被覆率との加算値の差が、0%以上60%以下の範囲内である(5−1)〜(5−7)の何れかに記載の透明導電性素子。
(5−9)
上記透明導電部は、透明電極パターン部である(5−1)〜(5−9)の何れかに記載の透明導電性素子。
(5−10)
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に交互に敷き詰められ、
上記透明絶縁パターン部は、離間してランダムに形成された複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部との境界線の形状は、ランダム形状である透明導電性素子。
(5−11)
第1の透明導電性素子と、
上記第1の透明導電性素子の表面に設けられた第2の透明導電性素子と
を備え、
上記第1の透明導電性素子および上記第2の透明導電性素子の少なくとも一方が、
表面を有する基材と、
上記表面に交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界は、ランダム形状である入力装置。
(5−12)
透明導電性素子を備え、
上記透明導電性素子は、
表面を有する基材と、
上記表面に交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界は、ランダム形状である電子機器。
(5−13)
透明導電部形成領域と透明絶縁部形成領域とが交互に設けられた表面を有し、
上記透明絶縁部形成領域には、凸状を有する複数の島部がランダムに設けられ、
上記透明導電部形成領域と上記透明絶縁部形成領域との境界は、ランダム形状である透明導電性素子形成用原盤。
(5−14)
透明導電部形成領域には、一様な高さの凸状の平坦面が設けられている(5−13)記載の透明導電性素子形成用原盤。
【符号の説明】
【0300】
1 第1の透明導電性素子
2 第2の透明導電性素子
3 光学層
4 表示装置
5、32 貼合層
11、21、31 基材
12、22 透明導電層
13、23 透明電極パターン部
14、24 透明絶縁パターン部
13a、23a 孔部
13b、23b 導電部
14a、24a 島部
14b、24b 間隙部
15 反転部
41 レジスト層
33 開口部
1、L2 境界線
1 第1の領域
2 第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する基材と、
上記表面に平面的に交互に並べられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
上記透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている透明導電性素子。
【請求項2】
表面を有する基材と、
上記表面に平面的に交互に並べられた透明導電部および透明絶縁部と
を備え、
上記透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界は、ランダム形状であり、
上記ランダム形状は、上記孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である透明導電性素子。
【請求項3】
上記透明導電部の平均境界線長さL1と上記透明絶縁部の平均境界線長さL2との平均境界線長さ比(L1/L2)が、0.75以上1.25以下の範囲内である請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項4】
上記透明導電部および上記透明絶縁部の反射L値の差の絶対値が、0.3未満である請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項5】
上記孔部および上記島部が、ドット状を有している請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項6】
上記ドット状は、円形状、楕円形状、円形状の一部を切り取った形状、楕円形状の一部を切り取った形状、多角形状、角を取った多角形状および不定形状からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の透明導電性素子。
【請求項7】
上記孔部間の導電部および上記島部間の間隙部が、網目状を有している請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項8】
上記孔部がドット状を有し、上記島部間の間隙部が網目状を有している請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項9】
上記孔部間の導電部が網目状を有し、上記島部がドット状を有している請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項10】
上記透明導電部と上記透明絶縁部とにおけるランダムのパターンが、互いに異なるランダムのパターンであり、
上記互いに異なるランダムのパターンは、互いに異なる生成条件にて生成されたランダムのパターンである請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項11】
上記表面とは反対側となる裏面に、交互に設けられた透明導電部および透明絶縁部をさらに備え、
上記表面の透明導電層の被覆率と上記裏面の透明導電層の被覆率との加算値の差が、0%以上60%以下の範囲内である請求項1または2の透明導電性素子。
【請求項12】
上記透明導電部が、複数の領域を有し、
上記領域の幅をW、上記領域の長さをLとしたとき、比率(L/W)が大きな領域ほど、上記透明導電層の被覆率が大きく設定されている請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項13】
上記透明導電部は、透明電極パターン部である請求項1または2記載の透明導電性素子。
【請求項14】
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に平面的に交互に並べられ、
上記透明電極パターン部は、複数の孔部が離間してランダムに形成された透明導電層であり、
上記透明絶縁パターン部は、離間してランダムに形成された複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている透明導電性素子。
【請求項15】
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に形成された透明電極パターン部および透明絶縁パターン部と
を備え、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部とが、上記第1の表面および上記第2の表面の少なくとも一方に平面的に交互に並べられ、
上記透明電極パターン部は、複数の孔部が離間してランダムに形成された透明導電層であり、
上記透明絶縁パターン部は、離間してランダムに形成された複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明電極パターン部と上記透明絶縁パターン部との境界は、ランダム形状であり、
上記ランダム形状は、上記孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である透明導電性素子。
【請求項16】
表面を有する第1の基材と、上記第1の基材の表面に平面的に交互に並べられた第1の透明導電部および第1の透明絶縁部とを有する第1の透明導電性素子と、
表面を有する第2の基材と、上記第2の基材の表面に平面的に交互に並べられた第2の透明導電部および第2の透明絶縁部とを有するとともに、上記第1の透明導電性素子の表面に設けられた第2の透明導電性素子と
を備え、
上記第1の透明導電部および上記第2の透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記第1の透明絶縁部および上記第2の透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記第1の透明導電部と上記第1の透明絶縁部との境界線上、および上記第2の透明導電部と上記第2の透明絶縁部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている入力装置。
【請求項17】
表面を有する第1の基材と、上記第1の基材の表面に平面的に交互に並べられた第1の透明導電部および第1の透明絶縁部とを有する第1の透明導電性素子と、
表面を有する第2の基材と、上記第2の基材の表面に平面的に交互に並べられた第2の透明導電部および第2の透明絶縁部とを有するとともに、上記第1の透明導電性素子の表面に設けられた第2の透明導電性素子と
を備え、
上記第1の透明導電部および上記第2の透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記第1の透明絶縁部および上記第2の透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記第1の透明導電部と上記第1の透明絶縁部との境界、および上記第2の透明導電部と上記第2の透明絶縁部との境界は、ランダム形状であり、
上記ランダム形状は、上記孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である入力装置。
【請求項18】
表面を有する基材と、上記表面に平面的に交互に並べられた透明導電部および透明絶縁部とを有する透明導電性素子を備え、
上記透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている電子機器。
【請求項19】
表面を有する基材と、上記表面に平面的に交互に並べられた透明導電部および透明絶縁部とを有する透明導電性素子を備え、
上記透明導電部は、複数の孔部がランダムに設けられた透明導電層であり、
上記透明絶縁部は、ランダムに設けられた複数の島部からなる透明導電層であり、
上記透明導電部と上記透明絶縁部との境界は、ランダム形状であり、
上記ランダム形状は、上記孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である電子機器。
【請求項20】
透明導電部形成領域と透明絶縁部形成領域とが平面的に交互に並べられた表面を有し、
上記透明導電部形成領域には、凹状を有する複数の孔部がランダムに設けられ、
上記透明絶縁部形成領域には、凸状を有する複数の島部がランダムに設けられ、
上記透明導電部形成領域と上記透明絶縁部形成領域との境界線上には、該境界線を境にして孔部から島部に反転する複数の反転部がランダムに形成されている透明導電性素子形成用原盤。
【請求項21】
透明導電部形成領域と透明絶縁部形成領域とが平面的に交互に並べられた表面を有し、
上記透明導電部形成領域には、凹状を有する複数の孔部がランダムに設けられ、
上記透明絶縁部形成領域には、凸状を有する複数の島部がランダムに設けられ、
上記透明導電部形成領域と上記透明絶縁部形成領域との境界は、ランダム形状であり、
上記ランダム形状は、上記孔部および島部の形状の一部を組み合わせて得られる形状である透明導電性素子形成用原盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図33】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図46】
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【図47】
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【図31】
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【図32】
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【図34】
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【図35】
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【図45】
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【図48】
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【公開番号】特開2012−181816(P2012−181816A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229202(P2011−229202)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【分割の表示】特願2011−154363(P2011−154363)の分割
【原出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】