説明

透明導電膜層シート及びその製造方法

【課題】内部への水分の浸入を防止して、白化を防止することができる透明導電膜層シー
トを提供する。
【解決手段】透明導電膜層シート5は、水蒸気バリア性のある材質からなる基体シート1
と、基体シート1の一方面の上に形成された透明導電膜層3と、透明導電膜層3を覆うよ
うに形成された粘着層4と、粘着層4の上に積層された、波長550nmにおける面内方
向リタデーション値Reが20nm以下の光学等方性シート7とを備えている。透明導電
膜層シート5は、光学等方性シート7の上に形成された透明導電膜層3と、その透明導電
膜層3を覆うように形成された粘着層4とを更に備えていてもよい。基体シート1が、粘
着層4の側面まで被覆されるよう立体形状に形成されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は透明導電膜層シート、とくに外部からの水分を遮断して粘着層を保護する機
能をもった透明導電膜層シートおよびその製造方法に関する発明であり、静電容量式のタ
ッチセンサに適する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着層を介して貼着された静電容量式の透明タッチスイッチの文献として特許文
献1があった。
【0003】
上記特許文献1の発明は、前記透明面状体を複数備える静電容量式の透明タッチスイッ
チであって、前記各透明面状体は粘着層を介して貼着されており、粘着層はエポキシ系や
アクリル系など一般的な透明接着剤を用い、厚みは25〜75μm程度となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特再公表WO2006−126604
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、粘着層としてエポキシ系やアクリル系など一般的な透明接着剤を用いて25〜
75μm程度の厚みに形成した場合、高温高湿の環境下にさらされると外気の水分を吸収
して表面が白化する問題があった。
【0006】
とくに、特に粘着層の厚みが厚い場合には、側面から水分の侵入が顕著になり、白化の
程度もよりひどくなり、ときには透明導電膜層までがその水分によって影響を受ける問題
もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水蒸気バリア性のある材質からなる基体シート上に透明導電膜層および粘着
層が形成され、その上に波長550nmにおける面内方向リタデーション値Reが20n
m以下の光学等方性シートが形成された透明導電膜層シートである。また本発明は、前記
基体シートが、透明導電膜層および粘着層または光学等方性シートの側面まで被覆される
よう立体形状に形成された透明導電膜層シートであってもよい。
【0008】
また本発明は、前記基体シートの材質が、シクロオレフィン系樹脂であることを特徴と
する透明導電膜層シートであってもよい。また本発明は、前記光学等方性シートが、ポリ
カーボネート系樹脂フィルムであることを特徴とする透明導電膜層シートであってもよい

【0009】
また本発明は、基体シート上に透明導電膜層および粘着層を形成し、該基体シートを立
体形状に形成した後、該基体シートの底面上に光学等方性シートを形成することを特徴と
する透明導電膜層シートの製造方法であってもよい。また本発明は、基体シート上に透明
導電膜層および粘着層を形成し、該基体シート上に光学等方性シートを形成した後、前記
基体シートを透明導電膜層および粘着層または光学等方性シートの側面に沿うように加工
することを特徴とする透明導電膜層シートの製造方法であってもよい。
【0010】
また本発明は、前記透明導電膜層シートを用いた静電容量式のタッチセンサである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の透明導電膜層シートは、水蒸気バリア性のある材質からなる基体シート上に透
明導電膜層および粘着層が形成され、その上に波長550nmにおける面内方向リタデー
ション値Reが20nm以下の光学等方性シートが形成されていることを特徴とする。し
たがって、基体シートによって水分の浸入を防止できるので、水蒸気透過性が高い光学等
方性シートであっても白化を防止できる効果がある。
【0012】
また、本発明の透明導電膜層シートは、前記基体シートが透明導電膜層および粘着層ま
たは光学等方性シートの側面まで被覆されるよう立体形状に形成されていることを特徴と
する。したがって、粘着層の厚みが厚い場合であっても側面から水分の侵入を防止できる
ので、より白化を防止できる効果がある。
【0013】
また本発明の透明導電膜層シートの製造方法は、基体シート上に透明導電膜層および粘
着層を形成し、該基体シートを立体形状に形成した後、該基体シートの底面上に光学等方
性シートを形成することを特徴とする。したがって、白化を防止した透明導電膜層シート
を生産性よく高品質で製造できる効果がある。
【0014】
また本発明の透明導電膜層シートの製造方法は、基体シート上に透明導電膜層および粘
着層を形成し、該基体シート上に光学等方性シートを形成した後、前記基体シートを透明
導電膜層および粘着層または光学等方性シートの側面に沿うように加工することを特徴と
する。したがって、白化を防止した透明導電膜層シートを生産性よく高品質で製造できる
効果がある。
【0015】
また本発明の静電容量式のタッチセンサは、前記透明導電膜層シートを用いたことを特
徴とする。したがって、白化を防止した静電容量式のタッチセンサが得られる効果がある

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の透明導電膜層シートを示す模式断面図であり、(a)は基体シート上に透明導電膜層および粘着層が形成された例を示し、(b)は基体シートおよび光学等方性シート上に、透明導電膜層および粘着層がそれぞれ形成された例を示し、(c)は基体シート上に透明導電膜層および粘着層が形成され、基体シートが粘着層の側面まで被覆されるよう立体形状に形成された例を示し、(d)は基体シートおよび光学等方性シート上に、透明導電膜層および粘着層がそれぞれ形成され、基体シートが光学等方性シート上の粘着層の側面まで被覆されるよう立体形状に形成された例を示す。
【図2】本発明の透明導電膜層シートの製造方法を示す模式断面図であり、(a)は基体シート上に透明導電膜層および粘着層を形成し、該基体シートを立体形状に形成した後、該基体シートの底面上に光学等方性シートを形成し、該光学等方性シート上に透明導電膜層および粘着層を形成した製造方法例を示し、(b)は基体シート上に透明導電膜層および粘着層を形成し、光学等方性シートを形成し、該光学等方性シート上に透明導電膜層および粘着層を形成した後、前記基体シートを粘着層の側面に沿うように加工する製造方法例を示す。
【図3】本発明の透明導電膜層シートを用いた静電容量式のタッチセンサの一実施例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1の(a)を参照して、この発明の透明導電膜層シート5は、基体シート1と、基体
シート1の一方面の上に形成された透明導電膜層3と、透明導電膜層3を覆うように形成
された粘着層4と、粘着層4の上に積層された光学等方性シート7とを備えている。図1
の(b)を参照して、他の実施形態による透明導電膜層シート5は、光学等方性シート7
の上に形成された透明導電膜層3と、その透明導電膜層3を覆うように形成された粘着層
4とを更に備えている。図1の(c)及び(d)を参照して、更に他の実施形態による透
明導電膜層シート5は、基体シート1が、粘着層4の側面まで被覆されるよう立体形状に
形成されている。図1の(c)においては、基体シート1が光学等方性シート7の側面ま
で被覆するように構成してもよい。又、透明導電膜層3が粘着層4に整列して側面が露出
しいる場合は、透明導電膜層3の側面も基体シート1により被覆する。尚、他の部材10
はとくに限定されないが、例えばガラス基材などが挙げられる。
【0018】
基体シート1は、水蒸気バリア性のある材質からなるシートであり、厚みが30〜20
00μm程度が好ましい。そのような材質としては、シクロオレフィン系樹脂などのプラ
スチックフィルムのほか、酸化ケイ素などの無機質の膜を付与したフィルムが挙げられる
。なかでも、シクロオレフィン系樹脂フィルムは水蒸気バリア性が高いだけでなく、面内
方向リタデーション値Reが低くかつ立体加工もしやすいため、特に好ましい。なお、こ
こでいう水蒸気バリア性とは温度40℃、湿度90%の条件で測定した場合に、水蒸気の
透過率が1g/(m・day・atm)以下であることをいう。
【0019】
光学等方性シート7は、波長550nmにおける面内方向リタデーション値Reが20
nm以下の材質からなるシートであり、厚みが30〜2000μm程度が好ましい。面内
方向リタデーション値Reが20nmを越えるような値であると、下部にディスプレイを
設置した場合にディスプレイから出射された色と異なる色になったり、色むらが生じる問
題がある。
【0020】
面内方向リタデーション値Reを20nm以下にできる材質としては、ポリカーボネー
ト系樹脂、ポリアリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などのプラスチックフィルムが挙げられる
。なかでも、ポリカーボネート系樹脂は、製膜条件を好適にすることで上記面内方向リタ
デーション値Reを5nm以下にすることが可能であるため特に好ましい。
【0021】
なお、リタデーションとは、結晶その他の非等方性物質に入射した光が互いに垂直な振
動方向を持つ2つの光波に分かれる現象である。複屈折を持つ材料に非偏光の光を入射す
ると、入射光は2つに分かれる。両者は振動方向が互いに直角で、一方を垂直偏光、他方
を水平偏光という。垂直の方が異常光線、水平の方が常光線となり、常光線は伝搬速度が
伝搬方向によらない光線で、異常光線は伝搬方向によって速度が異なる光線である。複屈
折材料ではこの2つの光線の速度が一致する方向がありこれを光学軸という。面内方向リ
タデーション値Reとは、上記光学等方性シート7の面内方向における遅相軸方向の屈折
率をnx、光学等方性シート7の面内方向における進相軸方向の屈折率をny、及び光学
等方性シート7の厚みをdとしたときに、(nx−ny)×dで計算される値である。
【0022】
透明導電膜層3は、インジウムスズ酸化物、亜鉛酸化物などの金属酸化物や、樹脂バイ
ンダーとカーボンナノチューブや金属ナノワイヤなどとからなる層が挙げられ、真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法、グラビア、スクリーン、オフ
セットなどの汎用の印刷法、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法で
形成するとよい。厚みは数十nm程度から数μm程度で形成され、80%以上の光線透過
率、数mΩから数百Ωの表面抵抗値を示すことが好ましい。
【0023】
粘着層4は、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ゴム系樹脂などか
らなる層が挙げられ、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法、各種コー
ターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法で形成するとよい。厚みは数μm程度か
ら数十μm程度で形成され、強固な粘着性・各種耐性を示すことが好ましい。しかし、粘
着性・各種耐性にすぐれた粘着層はたいてい湿気を吸着して白化する問題がある。
【0024】
なお上記の例では、光学等方性シート7や粘着層4が一層ずつの場合を示したが(図1
(a)参照)、これらの層が二層以上ずつ積層されていてもよい(図1(b)参照)。
【0025】
また、基体シート1は粘着層4と接する面だけでなく側面まで被覆するような構造にす
ると(図1(c)参照)、より白化防止の効果が向上する。そして、その上に光学等方性
シート7や粘着層4が積層されている場合には、それらの層全ての側面まで被覆するよう
な構造にすると(図1(d)参照)、より白化防止の効果が向上する。
【0026】
基体シート1を粘着層4等の側面を被覆するような構造に加工する方法としては、基体
シート1上に透明導電膜層3および粘着層4を形成し、該基体シート1を立体形状に形成
した後、該基体シート1の底面上に光学等方性シート7を形成し、該光学等方性シート7
上に透明導電膜層3および粘着層4を形成する方法(図2(a)参照)や、基体シート1
上に透明導電膜層3および粘着層4を形成し、光学等方性シート7を形成し、該光学等方
性シート7上に透明導電膜層3および粘着層4を形成した後、前記基体シート1を光学等
方性シート7上の粘着層4の側面に沿うように加工する方法(図2(b)参照)などが挙
げられる。
【0027】
基体シート1を粘着層4等の側面を被覆するように予め立体形状に形成する方法として
は、プレス成形、真空成形、圧空成形などが挙げられる。立体形状に形成された基体シー
ト1に光学等方性シート7を積層する方法としては、接着剤等を介してラミネートする方
法などが挙げられる。
【0028】
基体シート1に光学等方性シート7を積層した後、基体シート1を粘着層4等の側面に
沿うように加工する方法としては、基体シート1の端部に高圧の水18等を吹き付けるハ
イドロフォーミング法などが挙げられる。
【0029】
なお、上記透明導電膜層シート5には外観意匠を向上させるための絵柄層を適宜設けて
もよい。絵柄層は、ポリビニル系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ア
ルキッド系などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有
する着色インキを用いるとよい。
【0030】
また、着色剤としてアルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタ
ンをコーティングしたパール顔料等を用いることもできる。絵柄層の形成方法としては、
グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用印刷法や各種コート法、塗装などの方法が
ある。
【0031】
図1の(c)を参照して、光学等方性シート7と、その光学等方性シート7より外形サ
イズが大きく設定された基体シート1とが積層される、透明導電膜層シート5の製造方法
の1つとして、基体シート1の一方面に透明導電膜層3を形成する工程と、基体シート1
に形成された透明導電膜層3を覆うように粘着層4を形成する工程と、基体シート1を、
粘着層4の側面に沿って被覆するように立体形状に加工する工程と、粘着層4と光学等方
性シート7とが接するように、立体形状に加工された基体シート1と光学等方性シート7
とを積層させる工程とを備えたものがある。又、基体シート1の一方面に透明導電膜層3
を形成する工程と、透明導電膜層3を覆うように粘着層4を形成する工程と、粘着層4と
光学等方性シート7とが接するように、基体シート1と光学等方性シート7とを積層させ
る工程と、基体シート1を、粘着層4の側面に沿って被覆するように加工する工程とを備
えたものがある。
【0032】
更に、図2の(a)を参照して、光学等方性シート7と、その光学等方性シート7より
外形サイズが大きく設定された基体シート1とが積層される、透明導電膜層シート5の製
造方法の1つとして、基体シート1の一方面に透明導電膜層3を形成する工程と、基体シ
ート1に形成された透明導電膜層3を覆うように粘着層4を形成する工程と、光学等方性
シート7の一方面に透明導電膜層3を形成する工程と、光学等方性シート7に形成された
透明導電膜層3を覆うように粘着層4を形成する工程と、基体シート1を、双方の粘着層
4の側面に沿って被覆するように立体形状に加工する工程と、基体シート1に形成された
粘着層4と光学等方性シート7の他方面とが接するように、立体形状に加工された基体シ
ート1と光学等方性シート7とを積層させる工程とを備えたものがある。
【0033】
更に、図2の(b)を参照して、光学等方性シート7と、その光学等方性シート7より
外形サイズが大きく設定された基体シート1とが積層される、透明導電膜層シート5の製
造方法の1つとして、基体シート1の一方面に透明導電膜層3を形成する工程と、その透
明導電膜層3を覆うように粘着層4を形成する工程と、光学等方性シート7の一方面に透
明導電膜層3を形成する工程と、光学等方性シート7に形成された透明導電膜層3を覆う
ように粘着層4を形成する工程と、基体シート1に形成された粘着層4と光学等方性シー
ト7の他方面とが接するように、基体シート1と光学等方性シート7とを積層させる工程
と、基体シート1を、双方の粘着層4の側面に沿って被覆するように加工する工程とを備
えたものがある。
【0034】
そして、以上の方法により得られた透明導電膜層シート5に形成されている透明導電膜
層3を、引き回し回路を介してICチップが搭載された外部回路28に接続すれば、過酷
な耐湿条件下でも耐えうる静電容量式タッチセンサ20が作成できる(図3参照)。
【実施例1】
【0035】
(1)透明導電膜層シートの作製
基体シートとして厚さ50μmのシクロオレフィン系樹脂フィルムとポリカーボネート
系樹脂フィルムを用い、その表面にインジウムスズ酸化物からなる透明導電膜層をスパッ
タリング法で200nmの厚みで形成し、その上にポリウレタン系の粘着層をスクリーン
印刷で形成した透明導電膜層シートをそれぞれ5セットずつ用意した。
【0036】
(2)透明導電膜層シートの耐性評価
ついで上記のシクロオレフィン系樹脂フィルムを基体シートとする5セットおよびポリ
カーボネート系樹脂フィルムを基体シートとする5セットを、60℃90RH%の耐湿試
験機に入れ、10日間放置後の表面状態を確認したところ、シクロオレフィン系樹脂フィ
ルムを基体シートとする5セットついては、2セットのみに若干の粘着層の白化がみられ
たが、ポリカーボネート系樹脂フィルムを基体シートとする5セットについては、全て粘
着層が白化しており、うち2セットについては透明導電膜層も若干白化していた。
【実施例2】
【0037】
(1)透明導電膜層シートの作製
基体シートとして厚さ50μmのシクロオレフィン系樹脂フィルムを用い、その表面に
インジウムスズ酸化物からなる透明導電膜層をスパッタリング法で200nmの厚みで形
成したシートを10セット用意し、うち5セットついては、基体シートを160℃に加熱
しプレス成形によって外周に200μm程度の立ち上がりのある立体形状にした。
【0038】
一方、光学等方性シートとして厚さ50μmのポリカーボネート系樹脂フィルムの表面
にインジウムスズ酸化物からなる透明導電膜層をスパッタリング法で200nmの厚みで
形成し、その上にポリウレタン系の粘着層をスクリーン印刷で形成し、その上に別の部材
を積層したシート積層物を用意した。
【0039】
ついで、透明導電膜層シートの透明導電膜層上にポリウレタン系の粘着層を吹きつけ塗
装で形成し、前記基体シートを立体形状にした5セットついては、この立体形状の基体シ
ートの内面に上記のシート積層物をポリカーボネート系樹脂フィルム側が接するように貼
り付けした。基体シートの内面の領域は光学等方性シートの外形サイズと一致しており、
貼り付けすることにより光学等方性シートおよびその上に形成された粘着層の側面が基体
シートにより被覆された。残りの基体シートを立体形状にしなかった5セットは、単に上
記のシート積層物をポリカーボネート系樹脂フィルム側が接するように貼り付けした。
【0040】
(2)透明導電膜層シートの耐性評価
以上の基体シートを立体形状にした5セットおよび立体形状にしなかった5セットを、
60℃90RH%の耐湿試験機に入れ、10日間放置後の表面状態を確認したところ、基
体シートを立体形状にした5セットは全て異常がなかったが、立体形状にしなかった5セ
ットについては3セットについては粘着層が端部のところでかなり白化していた。
【実施例3】
【0041】
(1)透明導電膜層シートの作製
基体シートとして厚さ50μmのシクロオレフィン系樹脂フィルムを用い、その上にイ
ンジウムスズ酸化物からなる透明導電膜層をスパッタリング法で200nmの厚みで形成
し、その上にポリウレタン系の粘着層をスクリーン印刷で形成し、その上に光学等方性シ
ートとして厚さ50μmのポリカーボネート系樹脂フィルムを形成し、その上にインジウ
ムスズ酸化物からなる透明導電膜層をスパッタリング法で200nmの厚みで形成し、そ
の上にポリウレタン系の粘着層をスクリーン印刷で形成した後、さらにその上に別の部材
を積層したシート積層物を10セット用意した。
【0042】
ついで、上記透シート積層物の5セットには、高圧力の流水によるハイドロフォーミン
グ加工をした。基体シートは光学等方性シートの外形サイズより大きく設定しており、上
記の積層工程まででは基体シートの外周部分の粘着層は他の層に接着していなかったが、
この加工により基体シートの外周部分が立体加工され、上層の光学等方性シートおよび粘
着層の側面と接着された。残りの5セットは、立体加工しなかった。
【0043】
(2)透明導電膜層シートの耐性評価
以上の基体シートを立体加工した5セットおよび立体加工しなかった5セットを、60
℃90RH%の耐湿試験機に入れ、10日間放置後の表面状態を確認したところ、基体シ
ートを立体加工した5セットは全て異常がなかったが、立体加工しなかった5セットにつ
いては5セットの粘着層がとくに端部で白化しており、うち1セットについては透明導電
膜層も若干白化していた。
【符号の説明】
【0044】
1 基体シート
3 透明導電膜層
4 粘着層
5 透明導電膜層シート
7 光学等方性シート
10 他の部材
20 静電容量式タッチセンサ
12 基体シートの外周加工部
18 高圧の水
28 外部回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気バリア性のある材質からなる基体シートと、
前記基体シートの一方面の上に形成された透明導電膜層と、
前記透明導電膜層を覆うように形成された粘着層と、
前記粘着層の上に積層された、波長550nmにおける面内方向リタデーション値Re
が20nm以下の光学等方性シートとを備えた、透明導電膜層シート。
【請求項2】
前記光学等方性シートの上に形成された透明導電膜層と、その透明導電膜層を覆うよう
に形成された粘着層とを更に備えた、請求項1記載の透明導電膜層シート。
【請求項3】
前記基体シートは、前記粘着層の側面まで被覆されるよう立体形状に形成された、請求
項1又は請求項2記載の透明導電膜層シート。
【請求項4】
前記基体シートの材質は、シクロオレフィン系樹脂である、請求項1から請求項3のい
ずれかに記載の透明導電膜層シート。
【請求項5】
前記光学等方性シートは、ポリカーボネート系樹脂フィルムである、請求項1から請求
項4のいずれかに記載の透明導電膜層シート。
【請求項6】
波長550nmにおける面内方向リタデーション値Reが20nm以下の光学等方性シ
ートと、その光学等方性シートより外形サイズが大きく設定された、水蒸気バリア性のあ
る材質からなる基体シートとが積層される、透明導電膜層シートの製造方法であって、
前記基体シートの一方面に透明導電膜層を形成する工程と、
前記透明導電膜層を覆うように粘着層を形成する工程と、
前記基体シートを、前記粘着層の側面に沿って被覆するように立体形状に加工する工程

前記粘着層と前記光学等方性シートとが接するように、立体形状に加工された前記基体
シートと前記光学等方性シートとを積層させる工程とを備えた、透明導電膜層シートの製
造方法。
【請求項7】
波長550nmにおける面内方向リタデーション値Reが20nm以下の光学等方性シ
ートと、その光学等方性シートより外形サイズが大きく設定された、水蒸気バリア性のあ
る材質からなる基体シートとが積層される、透明導電膜層シートの製造方法であって、
前記基体シートの一方面に透明導電膜層を形成する工程と、
前記透明導電膜層を覆うように粘着層を形成する工程と、
前記粘着層と前記光学等方性シートとが接するように、前記基体シートと前記光学等方
性シートとを積層させる工程と、
前記基体シートを、前記粘着層の側面に沿って被覆するように加工する工程とを備えた
、透明導電膜層シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の透明導電膜層シートを用いた静電容量式のタ
ッチセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−150698(P2011−150698A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285441(P2010−285441)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】