説明

透視撮像システム

【課題】注入制御データを簡単に設定でき、不適な注入制御データで薬液注入が実行されることを防止できる構造の薬液注入装置を提供する。
【解決手段】薬液注入装置400の要求入力部422に注入制御データの自動設定要求が入力操作されると、RIS100から被験者管理データが取得される。この被験者管理データで注入設定部424が注入制御データを生成して注入制御部421に設定する。このため、注入被験者に適切な注入制御データが、作業者の煩雑な入力操作を必要とすることなく、薬液注入装置400に設定される。従って、注入被験者に適切な注入制御データを、作業者の煩雑な入力操作を必要とすることなく、薬液注入装置400に設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともデータ管理装置と透視撮像装置と薬液注入装置とデータ制御装置とを有する透視撮像システムに関し、特に、データ管理装置と薬液注入装置とがデータ制御装置を経由して接続されている透視撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、注入被験者の透視画像データである断層画像を撮像する透視撮像装置としては、CT(Computed Tomography)スキャナ、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、等がある。また、注入被験者の透視画像データである血管画像を撮像する透視撮像装置としては、CTアンギオ装置、MRA(MR Angio)装置、等がある。
【0003】
上述のような透視撮像装置を使用するとき、注入被験者に造影剤や生理食塩水などの薬液注入を実行することがあり、この注入を自動的に実行する薬液注入装置も実用化されている。一般的な薬液注入装置は、薬液が充填されている薬液シリンジを保持し、そのシリンダ部材にピストン部材を圧入することで注入被験者に薬液注入を実行する。
【0004】
透視撮像装置はスタンドアロンでも機能するが、通常は透視撮像装置を一部とした透視撮像システムが構築される。このような透視撮像システムは、例えば、カルテ管理装置、撮像管理装置、透視撮像装置、データ保存装置、画像閲覧装置、等からなる。
【0005】
カルテ管理装置は、一般的にはHIS(Hospital Information System)等と呼称されており、いわゆる電子カルテを管理する。この電子カルテは、注入被験者ごとに作成されている。
【0006】
例えば、ある注入被験者から透視画像データを撮像する場合、その注入被験者の電子カルテに基づいてカルテ管理装置で撮像オーダデータが作成される。この撮像オーダデータは、注入被験者から透視画像データが撮像される撮像作業ごとに生成される。
【0007】
より具体的には、撮像オーダデータは、例えば、固有の識別情報である撮像作業ID(Identity)、透視撮像装置の識別情報、被験者ID、撮像開始および終了の日時、等からなる。
【0008】
このような撮像オーダデータがカルテ管理装置から撮像管理装置に供給される。撮像管理装置は、一般的にはRIS(Radiology Information System)等と呼称されており、注入被験者から透視画像データを撮像するための撮像オーダデータを記憶する。
【0009】
透視撮像装置は、撮像管理装置から撮像オーダデータを取得して撮像作業を実行する。その場合、透視撮像装置では、撮像オーダデータに対応して注入被験者から透視画像データが撮像される。この透視画像データは、透視撮像装置で撮像オーダデータの少なくとも一部が付与されてデータ保存装置に出力される。
【0010】
このデータ保存装置は、一般的にはPACS(Picture Archive and Communication System)等と呼称されており、撮像オーダデータが付与された透視画像データを保存する。
【0011】
データ保存装置には、一般にビューアと呼称される画像閲覧装置が接続されている。この画像閲覧装置は、例えば、撮像オーダデータを検索キーとして透視画像データを読み出し、その透視画像データを表示する。
【0012】
ただし、撮像管理装置は、通常は複数の撮像オーダデータを管理している。このため、撮像管理装置で管理されている複数の撮像オーダデータから透視撮像装置に一つを選択的に提供する必要がある。そこで、撮像管理装置には、例えば、プッシュ型とプル型と呼称される形式がある。
【0013】
プッシュ型の撮像管理装置は、例えば、作業者の手動操作により、管理している複数の撮像オーダデータから一つを選定する。このプッシュ型の撮像管理装置は、透視撮像装置から撮像オーダデータの自動設定要求を受信すると、選定されている一つの撮像オーダデータを返信する。
【0014】
プル型の撮像管理装置は、透視撮像装置から撮像オーダデータの自動設定要求とともにオーダ検索キーが送信される。このオーダ検索キーは、例えば、撮像オーダデータの撮像作業ID等からなる。
【0015】
そこで、撮像管理装置はオーダ検索キーで撮像オーダデータを検索し、検索された撮像オーダデータを透視撮像装置に返信する。この透視撮像装置は、一つの適正な撮像オーダデータが返信された場合、その撮像オーダデータに対応して注入被験者から透視画像データを撮像する。
【0016】
一方、複数の撮像オーダデータが検索されて返信された場合、透視撮像装置では、例えば、作業者の手動操作により、受信した複数の撮像オーダデータから一つが選定される。
【0017】
なお、上述のように撮像管理装置から送信された撮像オーダデータが透視撮像装置で確定されると、このことが撮像管理装置に通知される。このため、プル型の撮像管理装置でも、透視撮像装置で透視画像データの撮像に利用された一つの撮像オーダデータが特定される。
【0018】
上述のような透視撮像システムとしては、各種の提案がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2001−101320号
【特許文献2】特開2005−198808号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述のような透視撮像システムでは、薬液注入装置により造影剤などの薬液が注入被験者に注入され、この注入被験者から透視撮像装置により撮像オーダデータに対応して透視画像データが撮像される。
【0020】
しかし、注入被験者には造影剤を適正速度で適正容量のみ注入する必要がある。このため、作業者は注入被験者の撮像部位や体重などを考慮して造影剤の注入速度や注入総量などを決定し、これを注入制御データとして薬液注入装置に入力する必要がある。しかし、この作業は煩雑で熟達していない作業者には困難である。
【0021】
しかも、従来の薬液注入装置では、注入制御データが設定されていれば、その注入制御データが実際に透視画像データの撮像作業が実行される注入被験者に適切に対応していなくとも、薬液注入を実行することができる。このため、注入被験者に適切でない注入制御データにより薬液注入が実行される医療ミスなどを防止することが困難である。
【0022】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、注入被験者に適正な注入制御データを薬液注入装置に簡単に設定することができる透視撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第一の透視撮像システムは、注入被験者ごとの各種の被験者条件が被験者IDとともに設定されている被験者管理データと注入被験者から透視画像データを撮像する作業ごとの撮像オーダデータとを管理するデータ管理装置と、データ管理装置から取得する撮像オーダデータに対応して注入被験者から透視画像データを撮像する透視撮像装置と、透視画像データが撮像される注入被験者に薬液注入を実行する薬液注入装置と、薬液注入装置とデータ管理装置とのデータ通信を仲介するデータ制御装置と、を有する透視撮像システムであって、薬液注入装置は、薬液注入を実行する注入実行機構と、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御部と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された自動設定要求をデータ制御装置に送信する要求送信部と、を有し、データ制御装置は、薬液注入装置から受信した自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をデータ管理装置から取得するデータ取得部と、取得された被験者管理データの少なくとも一部を薬液注入装置に返信するデータ返信部と、を有し、薬液注入装置は、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部に設定する注入設定部とを、さらに有する。
【0024】
本発明の第二の透視撮像システムは、注入被験者ごとの各種の被験者条件が被験者IDとともに設定されている被験者管理データと注入被験者から透視画像データを撮像する作業ごとの撮像オーダデータとを管理するデータ管理装置と、データ管理装置から取得する撮像オーダデータに対応して注入被験者から透視画像データを撮像する透視撮像装置と、透視画像データが撮像される注入被験者に薬液注入を実行する薬液注入装置と、薬液注入装置とデータ管理装置とのデータ通信を仲介するデータ制御装置と、を有する透視撮像システムであって、薬液注入装置は、薬液注入を実行する注入実行機構と、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御部と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された自動設定要求をデータ制御装置に送信する要求送信部と、を有し、データ制御装置は、薬液注入装置から受信した自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をデータ管理装置から取得するデータ取得部と、取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成する注入生成部と、生成された注入制御データを薬液注入装置に返信するデータ返信部と、を有し、薬液注入装置は、データ制御装置から返信された注入制御データを注入制御部に設定する注入設定部を、さらに有する。
【0025】
本発明の第三の透視撮像システムは、注入被験者ごとの各種の被験者条件が被験者IDとともに設定されている被験者管理データと注入被験者から透視画像データを撮像する作業ごとの撮像オーダデータとを管理するデータ管理装置と、データ管理装置から取得する撮像オーダデータに対応して注入被験者から透視画像データを撮像する透視撮像装置と、透視画像データが撮像される注入被験者に薬液注入を実行する薬液注入装置と、を有する透視撮像システムであって、薬液注入装置は、薬液注入を実行する注入実行機構と、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御部と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をデータ管理装置から取得するデータ取得部と、データ管理装置から取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部に設定する注入設定部と、を有する。
【0026】
従って、本発明の透視撮像システムでは、薬液注入装置は、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入制御部により注入実行機構が動作制御されることで、注入実行機構により薬液注入が実行される。ただし、注入制御データの自動設定要求が要求入力部に入力操作されると、データ管理装置から被験者管理データの少なくとも一部が取得される。このように取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入設定部が注入制御データを生成して注入制御部に設定する。このため、注入被験者に適切な注入制御データが、作業者の煩雑な入力操作を必要とすることなく、薬液注入装置に設定される。
【0027】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、薬液注入装置は、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部を表示出力する被験者表示部を、さらに有してもよい。
【0028】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、データ制御装置の設定送信部は、生成された注入制御データとともに取得された被験者管理データの少なくとも一部も薬液注入装置に返信し、薬液注入装置は、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部を表示出力する被験者表示部を、さらに有してもよい。
【0029】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、薬液注入装置は、データ管理装置から取得された被験者管理データの少なくとも一部を表示出力する被験者表示部を、さらに有してもよい。
【0030】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、薬液注入装置は、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部を音声出力する音声確認部を、さらに有してもよい。
【0031】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、データ制御装置の設定送信部は、生成された注入制御データとともに取得された被験者管理データの少なくとも一部も薬液注入装置に返信し、薬液注入装置は、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部を音声出力する音声確認部を、さらに有してもよい。
【0032】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、薬液注入装置は、データ管理装置から取得された被験者管理データの少なくとも一部を音声出力する音声確認部を、さらに有してもよい。
【0033】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、撮像された透視画像データを撮像オーダデータの少なくとも一部とともに保存するデータ保存装置を、さらに有し、薬液注入装置は、薬液注入の履歴を記録した注入履歴データを生成する履歴生成部と、生成された注入履歴データをデータ制御装置に送信する履歴出力部とを、さらに有し、データ制御装置は、受信した注入履歴データをデータ保存装置に転送して対応する透視画像データとともに保存させる履歴転送部を、さらに有してもよい。
【0034】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、透視撮像装置は、データ制御装置を経由して薬液注入装置の注入制御データを遠隔操作する遠隔変更部を有し、薬液注入装置は、データ制御装置を経由した透視撮像装置の遠隔操作に対応して注入制御部の注入制御データが遠隔操作され、データ制御装置は、遠隔操作の履歴を記録した操作履歴データを生成する操作記録部を、さらに有し、履歴転送部に操作履歴データも送信させて対応する透視画像データとともに保存させてもよい。
【0035】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、データ管理装置は、注入被験者から透視画像データを撮像する撮像作業ごとに設定される撮像オーダデータも管理し、データ制御装置のデータ取得部は、被験者管理データの少なくとも一部とともに撮像オーダデータの少なくとも一部もデータ管理装置から取得し、データ返信部は、取得された被験者管理データの少なくとも一部と撮像オーダデータの少なくとも一部とを薬液注入装置に返信し、薬液注入装置の注入設定部は、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部と撮像オーダデータの少なくとも一部とで注入制御データを生成して注入制御部に設定してもよい。
【0036】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、データ管理装置は、注入被験者から透視画像データを撮像する撮像作業ごとに設定される撮像オーダデータも管理し、薬液注入装置のデータ取得部は、入力操作された自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部と撮像オーダデータの少なくとも一部とをデータ管理装置から取得し、注入設定部は、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部と撮像オーダデータの少なくとも一部とで注入制御データを生成して注入制御部に設定してもよい。
【0037】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、データ管理装置は、被験者管理データの少なくとも一部が撮像オーダデータに設定されており、データ取得部は、自動設定要求に対応して撮像オーダデータを取得することで被験者管理データの少なくとも一部を取得してもよい。
【0038】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、データ管理装置は、被験者管理データと、被験者IDが設定されている撮像オーダデータと、を管理し、データ取得部は、自動設定要求に対応して取得した撮像オーダデータから被験者IDを抽出し、抽出された被験者IDで被験者管理データを取得してもよい。
【0039】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、注入実行機構は、注入被験者に注入される薬液を収容している薬液シリンジを駆動し、薬液シリンジは、少なくとも薬液に関連する薬液条件データを記憶するRFIDチップが搭載されており、注入設定部は、薬液シリンジから取得する薬液条件データも利用して注入制御データを生成してもよい。
【0040】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、薬液注入装置は、薬液シリンジから取得された薬液条件データの少なくとも一部を表示出力する薬液表示部を、さらに有してもよい。
【0041】
また、上述のような透視撮像システムにおいて、薬液注入装置は、薬液シリンジから取得された薬液条件データの少なくとも一部を音声出力する音声確認部を、さらに有してもよい。
【0042】
本発明の第一の薬液注入装置は、本発明の第一の透視撮像システムの薬液注入装置であって、薬液注入を実行する注入実行機構と、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御部と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された自動設定要求をデータ制御装置に送信する要求送信部と、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部に設定する注入設定部と、を有する。
【0043】
本発明の第二の薬液注入装置は、本発明の第二の透視撮像システムの薬液注入装置であって、薬液注入を実行する注入実行機構と、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御部と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された自動設定要求をデータ制御装置に送信する要求送信部と、データ制御装置から返信された注入制御データを注入制御部に設定する注入設定部と、を有する。
【0044】
本発明の第三の薬液注入装置は、本発明の第三の透視撮像システムの薬液注入装置であって、薬液注入を実行する注入実行機構と、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御部と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をデータ管理装置から取得するデータ取得部と、データ管理装置から取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部に設定する注入設定部と、を有する。
【0045】
本発明のデータ制御装置は、本発明の第二の透視撮像システムのデータ制御装置であって、薬液注入装置から受信した自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をデータ管理装置から取得するデータ取得部と、取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成する注入生成部と、生成された注入制御データを薬液注入装置に返信するデータ返信部と、を有する。
【0046】
本発明の第一のコンピュータプログラムは、本発明の第一の薬液注入装置のためのコンピュータプログラムであって、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御処理と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力処理と、入力操作された自動設定要求をデータ制御装置に送信する要求送信処理と、データ制御装置から返信された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部に設定する注入設定処理と、を薬液注入装置に実行させる。
【0047】
本発明の第二のコンピュータプログラムは、本発明の第二の薬液注入装置のためのコンピュータプログラムであって、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御処理と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力処理と、入力操作された自動設定要求をデータ制御装置に送信する要求送信処理と、データ制御装置から返信された注入制御データを注入制御部に設定する注入設定処理と、を薬液注入装置に実行させる。
【0048】
本発明の第三のコンピュータプログラムは、本発明の第三の薬液注入装置のためのコンピュータプログラムであって、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入実行機構を動作制御する注入制御処理と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力処理と、入力操作された自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をデータ管理装置から取得するデータ取得処理と、データ管理装置から取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部に設定する注入設定処理と、を薬液注入装置に実行させる。
【0049】
本発明の第四のコンピュータプログラムは、本発明のデータ制御装置のためのコンピュータプログラムであって、薬液注入装置から受信した自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をデータ管理装置から取得するデータ取得処理と、取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成する注入生成処理と、生成された注入制御データを薬液注入装置に返信する設定返信処理と、を有するデータ制御装置に実行させる。
【0050】
なお、本発明で云う各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
【0051】
また、本発明で云う各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要もなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【発明の効果】
【0052】
本発明の透視撮像システムでは、薬液注入装置は、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入制御部により注入実行機構が動作制御されることで、注入実行機構により薬液注入が実行される。ただし、注入制御データの自動設定要求が要求入力部に入力操作されると、データ管理装置から被験者管理データの少なくとも一部が取得される。このように取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入設定部が注入制御データを生成して注入制御部に設定する。従って、注入被験者に適切な注入制御データを、作業者の煩雑な入力操作を必要とすることなく、薬液注入装置に設定することができる。従って、注入被験者に適切でない注入制御データにより薬液注入が実行される医療ミスなどを簡単に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。本発明の実施の形態の透視撮像システム1000は、図1および図2に示すように、データ管理装置であるRIS100、透視撮像装置であるCTスキャナ200、データ保存装置であるPACS300、薬液注入装置400、データ制御装置である制御ボックス500、画像閲覧装置600、を有する。
【0054】
本実施の形態の透視撮像システム1000では、図示するように、CTスキャナ200が、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク701,702によりRIS100およびPACS300と接続されている。
【0055】
一方、制御ボックス500も、通信ネットワーク703〜705により、RIS100、PACS300、薬液注入装置400、と接続されている。そして、PACS300には、画像閲覧装置600が通信ネットワーク706により接続されている。
【0056】
本実施の形態の透視撮像システム1000は、いわゆるDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)規格に準拠している。このため、その各種装置100〜600は、DICOMの規約で各種データを相互通信する。
【0057】
本実施の形態の透視撮像システム1000では、CTスキャナ200、PACS300、薬液注入装置400、制御ボックス500、が各々一個であり、何れの組み合わせも一対一の関係となっている。
【0058】
本実施の形態のRIS100は、いわゆるコンピュータ装置からなり、専用のコンピュータプログラムが実装されている。このコンピュータプログラムに対応してコンピュータ装置が各種処理を実行することにより、RIS100には、オーダ管理部101、オーダ選定部102、統合制御部103、等の各部が各種機能として論理的に実現されている。
【0059】
オーダ管理部101は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)などの記憶デバイスに相当し、注入被験者から透視画像データを撮像するための撮像オーダデータを固有の識別情報で管理する。
【0060】
その撮像オーダデータは、例えば、固有の識別情報である撮像作業ID、CTスキャナ200の識別情報、撮像開始および終了の日時、身体区分または撮像部位、薬液である造影剤の製品名称、注入被験者の被験者管理データ、等のテキストデータからなる。
【0061】
なお、上述の撮像オーダデータに内包されている被験者管理データは、例えば、注入被験者の各種データからなり、被験者ID、体重、性別、年齢、等からなる。このような被験者管理データは、例えば、前述のように電子カルテとしてHIS(図示せず)に管理されており、このHISからRIS100に取得されて撮像オーダデータに設定される。
【0062】
オーダ選定部102は、例えば、キーボードなどの入力操作に対応してCPU(Central Processing Unit)が所定処理を実行する機能などに相当し、作業者の入力操作に対応して複数の撮像オーダデータから一つを選定する。
【0063】
統合制御部103は、例えば、CPUが通信I/F(Interface)により各種データを送受信する機能などに相当し、上述の選定されている一つの撮像オーダデータをCTスキャナ200や制御ボックス500から受信する自動設定要求に対応して返信する。
【0064】
本実施の形態のCTスキャナ200は、図2に示すように、撮像実行機構である透視撮像ユニット201と撮像制御ユニット210とを有する。透視撮像ユニット201は、注入被験者から透視画像データを撮像する。撮像制御ユニット210は、透視撮像ユニット201を動作制御する。
【0065】
より詳細には、撮像制御ユニット210は、専用のコンピュータプログラムが実装されているコンピュータ装置からなる。このコンピュータ装置がコンピュータプログラムに対応して各種処理を実行することにより、撮像制御ユニット210には、要求送信部211、オーダ受信部212、撮像制御部213、データ付与部214、画像送信部215、等の各部が各種機能として論理的に実現されている。
【0066】
要求送信部211は、キーボードなどの入力操作に対応してCPUが通信I/Fにより各種データを送受信する機能などに相当し、作業者の入力操作に対応してRIS100に撮像オーダデータの自動設定要求を送信する。オーダ受信部212は、RIS100から返信される撮像オーダデータを受信する。
【0067】
撮像制御部213は、受信した撮像オーダデータに対応して透視撮像ユニット201を動作制御する。データ付与部214は、透視撮像ユニット201で撮像された透視画像データに撮像オーダデータを付与する。
【0068】
画像送信部215は、撮像オーダデータが付与された透視画像データをPACS300に送信する。なお、上述のように生成される透視画像データは、例えば、断層画像のビットマップデータからなる。
【0069】
本実施の形態のPACS300は、やはり専用のコンピュータプログラムが実装されているデータベースサーバからなる。PACS300は、CTスキャナ200から撮像オーダデータが付与された透視画像データを受信して保存する。
【0070】
本実施の形態の薬液注入装置400は、図4に示すように、注入制御ユニット401と注入実行ヘッド410とを有する。注入制御ユニット401が注入実行ヘッド410を動作制御する。注入実行ヘッド410は、着脱自在に装着される薬液シリンジ430を駆動して薬液を注入被験者に注入する。
【0071】
より詳細には、注入制御ユニット401は、図2に示すように、操作パネル402、タッチパネル403、コントローラユニット404、コンピュータユニット405、通信I/F406、等を有する。注入実行ヘッド410は、薬液シリンジ430を駆動する注入実行機構であるシリンジ駆動機構411を有する。
【0072】
薬液注入装置400のコンピュータユニット405には、上述の各部が接続されている。コンピュータユニット405は、接続されている各部を実装されているコンピュータプログラムに対応して統合制御する。
【0073】
このため、薬液注入装置400には、図1に示すように、注入制御部421、要求入力部422、要求送信部423、注入設定部424、履歴生成部426、履歴出力部427、被験者表示部(図示せず)、等の各部が各種機能として論理的に実現されている。
【0074】
注入制御部421は、コンピュータユニット405が実装されているコンピュータプログラムに対応して所定の処理動作を実行する機能などに相当し、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応してシリンジ駆動機構411を動作制御する。
【0075】
要求入力部422は、コンピュータユニット405がタッチパネル403への入力操作を認識する機能などに相当し、注入制御データの自動設定要求の入力操作を受け付ける。
【0076】
要求送信部423は、コンピュータユニット405が通信I/F406から制御ボックス500と通信する機能などに相当し、入力操作された自動設定要求を制御ボックス500に送信する。
【0077】
注入設定部424も、コンピュータユニット405が所定の処理動作を実行する機能などに相当し、詳細には後述するが、自動設定要求に対応して制御ボックス500から返信された被験者管理データの少なくとも一部と撮像オーダデータの少なくとも一部とで注入制御データを生成して注入制御部421に設定する。
【0078】
被験者表示部は、コンピュータユニット405がタッチパネル403のデータ表示を動作制御する機能などに相当し、制御ボックス500から返信された被験者管理データの少なくとも一部を表示出力する。
【0079】
履歴生成部426は、コンピュータユニット405がコンピュータプログラムに対応して所定処理を実行する機能などに相当し、薬液注入の履歴を記録した注入履歴データを生成する。
【0080】
このように生成される注入履歴データは、例えば、注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID等のテキストデータと、横軸と縦軸との一方が経過時間で他方が注入速度の経時グラフの画像データからなる。
【0081】
薬液注入装置400の履歴出力部427は、コンピュータユニット405が通信I/F406によりデータ通信を実行する機能などに相当し、生成された注入履歴データを制御ボックス500に送信する。
【0082】
本実施の形態の制御ボックス500は、図2に示すように、やはり専用のコンピュータプログラムが実装されているコンピュータユニット501、通信I/F502、等を有する。
【0083】
制御ボックス500も、コンピュータユニット501がコンピュータプログラムに対応して各種処理を実行する。このため、制御ボックス500には、図1に示すように、データ取得部511、データ返信部512、履歴転送部514、等の各部が各種機能として論理的に実現されている。
【0084】
データ取得部511は、薬液注入装置400から受信した自動設定要求に対応して、前述のように被験者管理データが設定されている撮像オーダデータをRIS100から取得する。
【0085】
データ返信部512は、上述のように被験者管理データが設定されている撮像オーダデータを薬液注入装置400に返信する。履歴転送部514は、注入履歴データを薬液注入装置400から受信してPACS300に転送する。
【0086】
このため、本実施の形態のPACS300は、前述のようにCTスキャナ200から受信する透視画像データを保存するだけではなく、上述のように制御ボックス500から受信する注入履歴データも保存する。
【0087】
そして、前述のように透視画像データには撮像オーダデータが付与されており、この撮像オーダデータの撮像作業IDが注入履歴データに付与されている。このため、撮像オーダデータと注入履歴データとは撮像作業IDにより関連付けられた状態でPACS300に保存される。
【0088】
本実施の形態の画像閲覧装置600も、専用のコンピュータプログラムが実装されているコンピュータ装置からなる。画像閲覧装置600は、図5に示すように、コンピュータユニット601、ディスプレイユニット602、コントローラユニット603、通信I/F604、等を有する。
【0089】
画像閲覧装置600は、コンピュータユニット601がコンピュータプログラムに対応して各種処理を実行することにより、図1に示すように、データ読出部611、データ表示部612、を有する。
【0090】
データ読出部611は、例えば、コンピュータユニット601がコンピュータプログラムとコントローラユニット603への入力データとに対応して通信I/F604からPACS300にアクセスする機能などに相当し、撮像作業IDで関連付けられている透視画像データと注入履歴データとをPACS300から読み出す。
【0091】
データ表示部612は、コンピュータユニット601が通信I/F604の受信データをディスプレイユニット602に表示させる機能などに相当し、読み出された透視画像データと注入履歴データとを表示する。
【0092】
なお、上述のようなRIS100のコンピュータプログラムは、例えば、注入被験者から透視画像データを撮像するための撮像オーダデータを固有の識別情報で管理すること、作業者の入力操作に対応して複数の撮像オーダデータから一つを選定すること、選定されている一つの撮像オーダデータをCTスキャナ200や制御ボックス500から受信する自動設定要求に対応して返信すること、等をRIS100に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
【0093】
また、CTスキャナ200のコンピュータプログラムは、例えば、作業者の入力操作に対応してRIS100に撮像オーダデータの自動設定要求を送信すること、RIS100から返信される撮像オーダデータを受信すること、受信した撮像オーダデータに対応して透視撮像ユニット201を動作制御すること、透視撮像ユニット201で撮像された透視画像データに撮像オーダデータを付与すること、撮像オーダデータが付与された透視画像データをPACS300に送信すること、等を撮像制御ユニット210に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
【0094】
また、薬液注入装置400のコンピュータプログラムは、例えば、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応してシリンジ駆動機構411を動作制御する注入制御処理と、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力処理と、入力操作された自動設定要求を制御ボックス500に送信する要求送信処理と、制御ボックス500から返信された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部421に設定する注入設定処理と、を薬液注入装置400に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
【0095】
また、制御ボックス500のコンピュータプログラムは、例えば、薬液注入装置400から注入履歴データを受信すること、注入履歴データが受信されるとRIS100に撮像オーダデータの自動設定要求を送信すること、RIS100から返信される撮像オーダデータを受信すること、撮像オーダデータの個別の識別情報である撮像作業IDを注入履歴データに付与すること、撮像作業IDが付与された注入履歴データをPACS300に出力すること、等をコンピュータユニット501に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
【0096】
また、PACS300のコンピュータプログラムは、例えば、撮像オーダデータが付与された透視画像データをCTスキャナ200から受信して保存すること、撮像オーダデータの撮像作業IDが付与された注入履歴データを制御ボックス500から受信して保存すること、等をPACS300に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
【0097】
そして、画像閲覧装置600のコンピュータプログラムは、例えば、撮像作業IDで関連付けられている透視画像データと注入履歴データとをPACS300から読み出すこと、読み出された透視画像データと注入履歴データとを表示すること、等をコンピュータユニット601に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
【0098】
上述のような構成において、本実施の形態の透視撮像システム1000を使用して注入被験者から透視画像データを撮像する方法を以下に順番に説明する。まず、作業者は事前にRIS100に撮像オーダデータを登録しておく。
【0099】
この撮像オーダデータは、例えば、撮像作業ID、CTスキャナ200の識別情報、撮像開始および終了の日時、等のテキストデータからなる。この撮像オーダデータは、通常は注入被験者ごとの電子カルテに基づいて作成される。
【0100】
このため、撮像オーダデータには、被験者IDや体重などからなる被験者管理データも登録される。ただし、撮像オーダデータは、CTスキャナ200での撮像作業に必要な各種データからなる。このため、薬液注入装置400の注入作業を特定できるデータは内包されていない。
【0101】
このような撮像オーダデータがRIS100に登録された状態で、撮像作業が実行されるときには、作業者がRIS100を手動操作することにより、その撮像作業に対応した一つの撮像オーダデータが選定される。
【0102】
一方、撮像作業の現場では、図3に示すように、CTスキャナ200の透視撮像ユニット201の近傍に薬液注入装置400が配置される。そして、透視撮像ユニット201に位置する注入被験者(図示せず)に延長チューブで薬液シリンジ430が連結され、この薬液シリンジ430が薬液注入装置400の注入実行ヘッド410に装填される。
【0103】
つぎに、作業者が注入制御ユニット401の操作パネル402の入力操作などで薬液注入装置400を起動させると、図6に示すように、例えば、タッチパネル403の表示画面の左上に、「i」なるロゴと人体の模式画像による専用の操作アイコンが表示出力される。
【0104】
このとき、例えば、「患者データから注入制御を自動設定する場合には、このアイコンをクリックしてください。」などのガイダンスメッセージも表示出力される(図示せず)。
【0105】
そこで、上述の操作アイコンを作業者が手動操作すると、図10に示すように、これを薬液注入装置400は注入制御データの自動設定要求の入力操作として検知する。すると、この薬液注入装置400は、入力操作された自動設定要求を所定コマンドなどとして制御ボックス500に送信する。
【0106】
この制御ボックス500は、薬液注入装置400から受信した自動設定要求をRIS100に転送する。このRIS100は、前述のように選定されている一つの撮像オーダデータの少なくとも一部を制御ボックス500に返信する。制御ボックス500は、RIS100から受信した撮像オーダデータの少なくとも一部を注入制御データの少なくとも一部として薬液注入装置400に返信する。
【0107】
より具体的には、撮像オーダデータは、前述のように、撮像作業ID、CTスキャナ200の識別情報、撮像開始および終了の日時、身体区分または撮像部位、造影剤の製品名称、被験者管理データの少なくとも一部、等からなる。
【0108】
このように撮像オーダデータに設定されている被験者管理データは、前述のように、注入被験者ごとの、被験者ID、体重、性別、年齢、等からなる。そこで、制御ボックス500は、例えば、取得した撮像オーダデータから、被験者ID、注入被験者の体重、身体区分または撮像部位、造影剤の製品名称、等を抽出し、これを注入制御データの一部として薬液注入装置400に返信する。
【0109】
なお、本実施の形態の透視撮像システム1000では、後述する注入履歴データに利用するため、注入作業IDなどの注入制御データとならない撮像オーダデータの一部も、制御ボックス500から薬液注入装置400に送信される。
【0110】
薬液注入装置400では、図7に示すように、上述のように自動設定要求に対応して制御ボックス500から返信された撮像オーダデータの各種データがタッチパネル403に表示出力される。
【0111】
より具体的には、タッチパネル403には、造影剤の製品名称および注入容量、注入被験者の被験者IDおよび氏名、撮像作業のオーダ名称、検査プロトコル名称、等がテキストデータで表示出力される。
【0112】
さらに、薬液注入装置400は、造影剤の注入の注入条件データとして、注入速度を時間経過により変化させる可変パターンで目標グラフが登録されている。そこで、この目標グラフも注入パターンの画像データとしてタッチパネル403に表示出力される。
【0113】
そこで、上述のような各種データを確認した作業者が、例えば、右上の「チェック」なる操作アイコンを手動操作すると、上述のような各種データに基づいて所定のアルゴリズムにより注入制御データが生成される。
【0114】
より具体的には、上述のように薬液注入装置400には、注入速度を時間経過により変化させる可変パターンで目標グラフが登録されているが、その可変パターンは所定の注入総量を満足するように設定されている。
【0115】
そして、注入被験者の体重に対応した造影剤のヨードの注入総量が、実験結果に基づいて「A(g/Kg)」などと登録されている。そこで、注入被験者の体重が「B(Kg)」としてデータ入力されると、この体重に比例したヨードの注入総量が「A×B(g)」として算出される。
【0116】
さらに、造影剤のヨード濃度が「C(g/ml)」などと読み出されると、その造影剤の注入総量が含有濃度に反比例して「(A×B)/C(ml)」として算出される。このように注入総量が算出されると、図8に示すように、目標グラフの波形とx/y軸とで包囲される面積が注入総量に対応するように、その注入時間は変化されることなく目標グラフが上下に変位される。
【0117】
そして、上述のように生成された目標グラフがタッチパネル403の条件画面に目標の経時グラフとして表示される。このとき、作業画面には「修正」なる操作アイコンも表示されるので、これが入力操作されることにより、手動操作で注入制御データや目標グラフなどを修正することもできる。
【0118】
このとき、薬液注入装置400には、例えば、図8に示すように、「頭部,胸部,腹部,脚部」の模式画像が人体形状に対応してタッチパネル403の画面上部に表示出力される。
【0119】
また、薬液注入装置400には、上述の身体区分ごとに少なくとも一つの撮像部位が登録されている。例えば、身体区分である「頭部」の模式画像には、複数の撮像部位として「脳部,顎部,首部」等の模式画像が関連されて登録されている。同様に、「胸部」の模式画像には「心臓部,肺部」、「腹部」の模式画像には「胃部,肝臓部,…」、「脚部」の模式画像には「上部,下部」、などの模式画像が関連されて登録されている。
【0120】
そこで、薬液注入装置400は、前述のように取得された撮像オーダデータに対応して複数の身体範囲の模式画像の一つが明転するとともに他の模式画像は暗転し、その明転された身体区分の上方にスキャナ機構の模式画像が表示出力される。
【0121】
さらに、その下方には明転された身体区分に対応した複数の撮像部位の模式画像が表示出力され、その一つが撮像オーダデータに対応して明転するとともに他の模式画像は暗転する(図示せず)。
【0122】
上述のように注入制御データが設定された状態で、作業者により作業画面の「決定」なる操作アイコンが入力操作されると、これを検知した薬液注入装置400は、最初のときと同様に制御ボックス500にRIS100から撮像オーダデータを再度取得させ、その一部を注入条件データとして制御ボックス500から再度取得する。
【0123】
そして、注入制御データに設定されている被験者IDと、再度取得された注入条件データの被験者IDと、が比較される。これで被験者IDが一致しないと、例えば、「前回取得した、患者情報と異なっています」などの確認警告のエラーガイダンスがタッチパネル403に表示出力される(図示せず)。
【0124】
この場合、例えば、確認完了がタッチパネル403に入力操作されると初期状態に復帰する。このため、撮像オーダデータが変更されている状態で注入動作が開始されることがない。
【0125】
一方、注入制御データに設定されている被験者IDと、再度取得された被験者IDとの一致が確認されると、目標グラフが確定されて造影剤の注入が実行される。その場合、薬液注入装置400では、設定されている目標グラフに対応してシリンジ駆動機構411が動作制御され、注入被験者に造影剤が注入される。
【0126】
このとき、リアルタイムに経過時間が計測されるとともに、実際の注入速度も検出されるので、その注入速度が目標グラフに適合するようにシリンジ駆動機構411の動作がフィードバック制御される。
【0127】
さらに、実際の注入速度からなる経時グラフがリアルタイムに生成され、図9に示すように、目標グラフとともにタッチパネル403に表示される。そして、注入作業が完了すると、実際の注入速度の経時グラフを内包する注入履歴データが生成される。
【0128】
このように生成される注入履歴データは、例えば、注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID、実際の注入開始および終了の日時、薬液注入装置400の識別情報、注入制御データ、等のテキストデータと、経時グラフの画像データからなる。
【0129】
また、薬液注入装置400は、注入作業が完了すると、少なくとも注入作業IDが付与されていて完了を通知する完了通知データも生成する。そこで、注入作業を完了した薬液注入装置400は、完了通知データと撮像オーダデータとを制御ボックス500に送信する。
【0130】
すると、この制御ボックス500は、薬液注入装置400から受信した完了通知データをRIS100に転送する。このRIS100は、受信した完了通知データを注入作業IDにより撮像オーダデータに関連させた状態で保存する。
【0131】
また、制御ボックス500は、薬液注入装置400から受信した注入履歴データをPACS300に転送する。このPACS300は、受信した注入履歴データを撮像作業IDで管理する状態で保存する。
【0132】
通常の作業では、前述のように薬液注入装置400による注入作業が完了する前後に、CTスキャナ200による撮像作業が開始される。その場合、作業者によりCTスキャナ200の撮像制御ユニット210に撮像開始が入力操作される。
【0133】
すると、CTスキャナ200の撮像制御ユニット210は、RIS100に撮像オーダデータの自動設定要求を送信する。すると、このRIS100は、前述のように選定されている一つの撮像オーダデータがCTスキャナ200に返信される。
【0134】
そこで、このCTスキャナ200では、撮像制御ユニット210が受信した撮像オーダデータに対応して透視撮像ユニット201が動作制御されることにより、透視画像データの撮像作業が実行される。
【0135】
これで透視撮像ユニット201により注入被験者から透視画像データが撮像されると、撮像制御ユニット210では、透視画像データに撮像オーダデータが付与される。つぎに、撮像制御ユニット210では、撮像オーダデータが付与された透視画像データがPACS300に送信される。
【0136】
このPACS300は、受信した透視画像データを撮像オーダデータの撮像作業IDで管理する状態で保存する。そして、作業者が透視画像データを閲覧するときは、例えば、画像閲覧装置600の手動操作によりPACS300から透視画像データを読み出す。
【0137】
その場合、例えば、撮像作業IDが検索キーとして入力操作されることにより、その撮像作業IDの透視画像データがPACS300から読み出されて画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示される。このとき、その撮像作業IDにより注入履歴データもPACS300から読み出されるので、必要により画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示される。
【0138】
なお、本実施の形態の透視撮像システム1000では、上述のように注入制御データを薬液注入装置400に自動設定することの他、手動操作で設定することもできる。その場合、所定操作により薬液注入装置400の動作モードを着換えて注入制御データを手動操作で設定する(図示せず)。
【0139】
本実施の形態の透視撮像システム1000では、上述のように薬液注入装置400に入力操作される自動設定要求が制御ボックス500に送信される。すると、その自動設定要求に対応して制御ボックス500がRIS100やCTスキャナ200から被験者管理データが設定されている撮像オーダデータを取得する。
【0140】
その被験者管理データが設定されている撮像オーダデータが制御ボックス500から薬液注入装置400に転送される。この薬液注入装置400では、被験者管理データが設定されている撮像オーダデータから所定のアルゴリズムにより注入制御データが生成されて設定される。
【0141】
従って、注入被験者に適切な注入制御データを、作業者の煩雑な入力操作を必要とすることなく、薬液注入装置400に設定することができる。従って、注入被験者に適切でない注入制御データにより薬液注入が実行される医療ミスなどを簡単に防止することができる。
【0142】
それでいて、撮像オーダデータはCTスキャナ200のために従来から既存かつ必須であり、そこに被験者管理データが設定されていることも従来から既存である。このため、新規なデータ作成などを必要とすることなく、注入制御データを簡単に自動設定することができる。
【0143】
しかも、薬液注入装置400は取得した被験者管理データを撮像オーダデータとともに表示出力する。このため、作業者は注入制御データの生成に利用される被験者管理データや撮像オーダデータが適切か簡単に確認することができる。
【0144】
さらに、薬液注入装置400は撮像オーダデータの設定内容を身体区分と撮像部位との模式画像で表示出力する。このため、作業者は撮像オーダデータの設定内容を一目で直感的に確認することができる。
【0145】
しかも、薬液注入装置400は、生成した注入制御データも目標グラフとして画像表示する。このため、作業者は自動生成された注入制御データによる薬液注入の動作内容を一目で直感的に確認することができる。
【0146】
さらに、本実施の形態の薬液注入装置400は、薬液注入の実行直前にRIS100から被験者IDを再度取得し、事前取得された被験者IDと再度取得された被験者IDとの一致を確認する。
【0147】
その一致が確認されないと注入制御データによる薬液注入を実行しないので、適正でない注入制御データで注入動作が実行されることを簡単かつ確実に防止することができる。
【0148】
例えば、撮像スケジュールが急遽変更となって撮像オーダデータが修正されたり消去されたような場合、最初の撮像オーダデータに対応して注入動作が開始されることがない。
【0149】
さらに、撮像オーダデータが一致しないことが薬液注入装置400により作業者に報知されるので、作業者は撮像オーダデータの変更を確実に認識して確認することができる。
【0150】
しかも、本実施の形態の透視撮像システム1000では、上述のように保存される透視画像データに関連付けられて注入履歴データも保存される。このため、例えば、透視画像データを閲覧するときに注入履歴データも確認することができる。従って、透視画像データを閲覧する作業者が、その透視画像データの撮像時に注入被験者に薬液が如何に注入されたかまで確認することができる。
【0151】
特に、上述のように透視画像データと注入履歴データとは撮像作業IDで関連されるが、その撮像作業IDは、注入制御データを自動設定するときに撮像オーダデータとして薬液注入装置400に取得される。
【0152】
つまり、RIS100から制御ボックス500を経由して薬液注入装置400に取得される撮像オーダデータを、注入制御データの自動設定と注入履歴データの生成との両方に利用することができる。
【0153】
また、本実施の形態の透視撮像システム1000では、CTスキャナ200で撮像される透視画像データを良好な状態とするため、薬液注入装置400が造影剤の注入速度を可変させる。しかし、その注入速度の経時グラフが注入履歴データに内包されるので、造影剤が如何に注入されたかを詳細に確認することができる。
【0154】
また、もしも造影剤の注入作業に疑義が発生したような場合でも、透視画像データとともに注入履歴データを確認することができるので、その注入履歴データを証拠とすることができる。
【0155】
特に、本実施の形態の透視撮像システム1000の各種装置100〜600はDICOMの規約で各種データを相互通信する。DICOMの通信データは改竄が困難なので、注入履歴データの証拠能力が高い。
【0156】
さらに、同一の注入被験者から透視画像データを再度撮像するような場合でも、前回の注入履歴データを参照することができる。このため、薬液注入装置400に的確な注入制御データを簡単に入力することができる。
【0157】
特に、病状の進行のために体重が変化している注入被験者から透視画像データを再度撮像するような場合でも、前回の透視画像データと注入履歴データとを参照することにより、薬液注入装置400に的確な注入制御データを簡単に入力することができる。
【0158】
しかも、本実施の形態では注入履歴データに経時グラフが内包されている。従って、注入速度を可変させる目標グラフを補正するような複雑な注入制御データでも、薬液注入装置400に簡単に入力することができる。
【0159】
さらに、本実施の形態の透視撮像システム1000では、注入制御データなどのテキストデータが内包されている注入履歴データがPACS300で保存される。このため、例えば、蓄積された多数の注入履歴データから薬液注入に関連した各種の統計データを生成することができる。
【0160】
特に、注入履歴データが撮像オーダデータとともに保存されるので、撮像オーダデータに内包される撮像条件などとともに薬液注入に関連した各種の統計データを生成することもできる。
【0161】
しかも、注入作業の完了通知データが薬液注入装置400から制御ボックス500を経由してRIS100に保存される。このRIS100では、完了通知データが撮像オーダデータと関連されて管理されるので、例えば、RIS100からCTスキャナ200に撮像オーダデータとともに薬液注入の開始時刻や終了時刻などを通知することもできる。
【0162】
この場合、CTスキャナ200を操作する作業者が薬液注入の開始時刻や終了時刻を参照することができるので、その時刻に対応して画像撮像の開始時刻を調整するようなことができる。
【0163】
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態ではRIS100から取得した撮像オーダデータを制御ボックス500が、その一部を注入制御データとして薬液注入装置400に転送することを例示した。
【0164】
しかし、制御ボックス500が撮像オーダデータの全部を薬液注入装置400に転送し、この薬液注入装置400が受信した撮像オーダデータの一部を注入制御データとして取捨選択してもよい。
【0165】
また、上記形態の透視撮像システム1000では、薬液注入装置400が、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部422と、入力操作された自動設定要求を制御ボックス500に送信する要求送信部423と、制御ボックス500から返信された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部421に設定する注入設定部424と、を有し、制御ボックス500が、薬液注入装置400から受信した自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をRIS100から取得するデータ取得部511と、取得された被験者管理データの少なくとも一部を薬液注入装置400に返信するデータ返信部512と、を有することを例示した。
【0166】
しかし、薬液注入装置400が、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部422と、入力操作された自動設定要求を制御ボックス500に送信する要求送信部423と、を有し、制御ボックス500が、薬液注入装置400から受信した自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をRIS100から取得するデータ取得部511と、取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成する注入生成部と、生成された注入制御データを薬液注入装置400に返信するデータ返信部512と、を有し、薬液注入装置400が、制御ボックス500から返信された注入制御データを注入制御部421に設定する注入設定部424を、さらに有してもよい(図示せず)。この場合、注入制御データの生成が制御ボックス500で生成されるので、薬液注入装置400の処理負担を軽減することができる。
【0167】
さらに、薬液注入装置400が、注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部422と、入力操作された自動設定要求に対応して被験者管理データの少なくとも一部をRIS100から取得するデータ取得部511と、RIS100から取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データを生成して注入制御部421に設定する注入設定部424と、を有してもよい。この場合、薬液注入装置400が被験者管理データを直接に取得して注入制御データを生成することがてきる。
【0168】
また、上記形態では被験者管理データが撮像オーダデータに内包されており、この撮像オーダデータとともに被験者管理データが制御ボックス500および薬液注入装置400に取得されることを例示した。
【0169】
しかし、撮像オーダデータと被験者管理データとが別個に管理されており、制御ボックス500や薬液注入装置400が撮像オーダデータと被験者管理データとを別個に取得して注入制御データを生成することや、被験者管理データのみ取得して注入制御データを生成することでもよい(図示せず)。
【0170】
なお、別個に管理されている撮像オーダデータと被験者管理データとを制御ボックス500や薬液注入装置400が取得する場合、例えば、被験者管理データの被験者IDのみ撮像オーダデータに設定されており、その撮像オーダデータを取得した制御ボックス500や薬液注入装置400が被験者IDで被験者管理データを取得してもよい。
【0171】
また、上記形態では撮像オーダデータに薬液シリンジ430および薬液に関連する各種データも設定されており、これも利用して薬液注入装置400の注入制御データが生成されることを例示した。
【0172】
しかし、薬液シリンジ430に、少なくとも薬液に関連する薬液条件データを記憶するRFIDチップが搭載されており(図示せず)、薬液注入装置400が、薬液シリンジ430のRFIDチップから薬液条件データを取得して注入制御データの生成に利用してもよい(図示せず)。
【0173】
この場合、薬液注入装置400は、薬液シリンジ430が適切に装填されたときにRFIDチップから薬液条件データを取得するようにRFIDリーダが搭載されていればよい(図示せず)。
【0174】
このような薬液注入装置400では、薬液シリンジ430が装填されるだけで自動的に薬液条件データが取得される。このため、図11に示すように、撮像オーダデータや被験者管理データが取得される以前に薬液条件データを表示出力することもできる。
【0175】
さらに、薬液シリンジ430から取得した薬液条件データと撮像オーダデータに設定されている薬液条件データとを照合し、これが整合しないときに警告を報知して薬液注入を実行させないようなこともできる。
【0176】
この場合、間違った撮像オーダデータで注入制御データが自動設定されること、間違った薬液シリンジ430で薬液注入が実行されること、を防止できる。それでいて、作業者が注入制御データを入力操作する必要がなく、その誤入力も防止することができる。
【0177】
さらに、上述のようなRFIDチップに薬液の製品IDを記録しておき、注入被験者ごとに少なくとも注入に不適な薬液の製品IDを不適IDとして撮像オーダデータに設定しておき、薬液注入装置400が、RFIDチップから入力された製品IDと撮像オーダデータに設定されている不適IDとを照合し、これが整合すると警告を報知してもよい(図示せず)。
【0178】
より具体的には、プレフィルドタイプの薬液シリンジは、薬液が充填された状態で出荷される。そこで、プレフィルドタイプの薬液シリンジに、データ記憶手段として薬液データが登録されているRFIDを装着しておく(図示せず)。
【0179】
その薬液データは、例えば、その薬液シリンジに関する、容量、耐圧、シリンダ内径、ピストンストローク、個体ごとの識別データ、などの各種データと、充填されている薬液に関する、製品ID、化学分類、含有成分、粘度、消費期限、などの各種データからなる。
【0180】
薬液の製品IDは、その薬液の化学分類と含有成分と化学構造とに起因して登録されており、シリンジ容量などには関連していない。例えば、CT用で心臓用の造影剤としてA社とB社との製品が存在している場合、薬液の種別である「CT用で心臓用の造影剤」は共通でも、水溶性か油性か、イオン性か非イオン性か、モノマー型かダイマー型か、などの化学分類が相違するならば、その製品IDは相違する。
【0181】
さらに、その薬液種別と化学分類とが共通でも、含有成分が相違するならば製品IDは相違し、薬液種別と化学分類と含有成分とが共通でも、例えば、1つでも含有成分の化学構造が相違するならば製品IDは相違する。
【0182】
一方、プレフィルドタイプで容量が「200(ml)」と「500(ml)」との薬液シリンジに同一の薬液が充填されているならば、その薬液シリンジは容量により製品としては別個であるが薬液の製品IDは同一である。
【0183】
一方、撮像オーダデータには、注入被験者ごとの被験者ID、性別や年齢などの個人データ、疾病に関する各種データ、等の他、上述の不適ID、等も登録しておく。このような状態で、薬液注入装置の注入実行ヘッドに薬液シリンジが適切に装填されると、そのRFIDチップからRFIDリーダにより薬液データが取得される。
【0184】
そして、薬液注入装置が撮像オーダデータから注入制御データを取得すると、その注入制御データに設定されている不適IDと薬液データに設定されている製品IDとが照合される。
【0185】
そして、その製品IDと不適IDとが整合すると、「この薬液は、この注入被験者には注入できません。」などの警告メッセージをタッチパネルに表示出力させるとともに、シリンジ駆動機構を作動不能に動作制御する。
【0186】
このため、例えば、注入被験者に注入される薬液がCT用の造影剤などの種別は適切でありながらも、副作用などの注入被験者の個人的な理由で注入不適な場合に、これを薬液注入装置が自動的に検出して作業者に報知することができる。従って、作業者は迅速に自体を認識して薬液の変更などの対処を実行することができる。
【0187】
特に、薬液シリンジが注入実行ヘッドに装填されると自動的に製品IDが取得され、注入制御データとして撮像オーダデータが入力されると不適IDも自動的に取得される。このため、その取得や照合のために専用の作業などが必要なく、簡単かつ確実に製品IDと不適IDとを照合することができる。
【0188】
同様に、薬液シリンジのRFIDチップに薬液の含有成分をデータ記録しておき、撮像オーダデータに注入不適な含有成分を不適成分として登録しておき、含有成分と不適成分とが照合することも可能である。
【0189】
また、薬液シリンジのRFIDチップに薬液の化学分類をデータ記録しておき、撮像オーダデータに注入不適な化学分類を不適分類として登録しておき、化学分類と不適分類とが照合することも可能である。
【0190】
これらの場合、注入被験者への注入の適否を含有成分や化学分類ごとに管理することができる。このため、例えば、初めて注入する薬液でも適否を的確に予想するようなことができる。
【0191】
さらに、撮像オーダデータに不適ID等が登録されていないか、登録されている場合に不適ID等と製品ID等とが整合しないか、が確認されるまで、シリンジ駆動機構を作動不能に初期設定しておくこともできる。この場合、不適な薬液が注入被験者に注入されることを確実かつ自動的に防止できる。
【0192】
なお、前述のように撮像オーダデータは一般的に注入被験者ごとの電子カルテから作成され、その電子カルテには副作用がある薬品の製品IDや含有成分や化学分類などを、不適IDや不適成分や不適分類として登録しておくことができる。このため、上述のように不適ID等が登録された撮像オーダデータは容易に作成することができる。
【0193】
また、上述のように薬液注入装置400が警告を報知するとき、その警告が解除されるまでシリンジ駆動機構411を動作不能に制御してもよい。この場合、警告の対象となるような薬液が注入被験者に注入されることを防止できる。
【0194】
さらに、上記形態では薬液注入装置400が注入制御データを生成するためにRIS100から取得した被験者管理データの少なくとも一部をタッチパネル403で表示出力することにより、被験者を間違う医療ミスが簡単に防止されることを例示した。
【0195】
しかし、このような薬液注入装置400が、取得した被験者管理データの少なくとも一部を音声出力してもよい。同様に、薬液注入装置400が、前述のように薬液シリンジのRFIDチップから取得した薬液条件データを音声出力してもよい。これらの場合、さらに簡単かつ確実に医療ミスを防止することができる。
【0196】
さらに、上記形態では薬液注入装置400が一個の薬液シリンジ430により注入被験者に造影剤のみを注入することを例示した。しかし、薬液注入装置が複数の薬液シリンジにより薬液として造影剤や生理食塩水などを注入被験者に注入してもよい(図示せず)。このような場合、例えば、注入被験者に薬液として造影剤と生理食塩水とを順番に注入する注入制御データを、撮像オーダデータに登録しておくことができる。
【0197】
また、上記形態ではRIS100がプッシュ型であり、制御ボックス500が適正な撮像オーダデータをタイミングにより取得することを例示した。しかし、RIS100がプル型であってもよい。
【0198】
その場合、CTスキャナ200は、撮像オーダデータの自動設定要求を少なくとも一つのオーダ検索キーとともにRIS100に送信する。すると、RIS100は、CTスキャナ200から受信した自動設定要求とオーダ検索キーとに対応して複数の撮像オーダデータから一つを選定して返信する。
【0199】
そして、制御ボックス500は、自動設定要求を受信すると撮像オーダデータの自動設定要求をRIS100に送信する。すると、RIS100は、制御ボックス500から受信した自動設定要求に対応して選定されている一つの撮像オーダデータを返信する。
【0200】
または、RIS100は、CTスキャナ200から受信した自動設定要求に対応して複数の撮像オーダデータを返信する。この場合、CTスキャナ200は、返信された複数の撮像オーダデータから一つが選定される操作を受け付け、選定された撮像オーダデータをRIS100に通知する。
【0201】
または、RIS100は、CTスキャナ200から受信した自動設定要求とオーダ検索キーとに対応して複数の撮像オーダデータから一部を検索して返信する。CTスキャナ200は、返信された撮像オーダデータから一つが選定される操作を受け付け、選定された撮像オーダデータをRIS100に通知する。
【0202】
そこで、制御ボックス500が、撮像オーダデータの自動設定要求をRIS100に転送すると、RIS100は、制御ボックス500から受信した自動設定要求に対応してCTスキャナ200から通知されている一つの撮像オーダデータを返信する。
【0203】
上述のようにすることで、RIS100がプル型であっても、制御ボックス500が適正な撮像オーダデータを取得して撮像作業IDなどを注入履歴データに付与することができる。
【0204】
また、上記形態では制御ボックス500がRIS100から提供される撮像オーダデータを無条件に取得することを例示した。しかし、制御ボックス500が、撮像オーダデータの自動設定要求を少なくとも一つのオーダ検索キーとともにRIS100に送信してもよい。
【0205】
この場合、RIS100は、制御ボックス500から受信したオーダ検索キーに対応して複数の撮像オーダデータから一部を検索し、検索された一部の撮像オーダデータにCTスキャナ200から通知されている一つがあれば返信する。上述のようにすることで、制御ボックス500が、より確実に適正な撮像オーダデータを取得することができる。
【0206】
なお、上述のような場合、例えば、薬液注入装置400は、入力操作される注入制御データの少なくとも一部をオーダ検索キーとして自動設定要求とともに制御ボックス500に送信し、制御ボックス500は、受信した自動設定要求とオーダ検索キーとをRIS100に転送すればよい。
【0207】
さらに、上記形態では制御ボックス500がRIS100から撮像オーダデータを取得することを例示した。しかし、RIS100とCTスキャナ200とが制御ボックス500を経由して接続されており、RIS100からCTスキャナ200まで送信される撮像オーダデータを制御ボックス500が取得してもよい。
【0208】
また、制御ボックス500がRIS100に接続されることなくCTスキャナ200に接続されており、このCTスキャナ200から制御ボックス500が撮像オーダデータを取得してもよい。
【0209】
その場合、例えば、制御ボックス500が、薬液注入装置400から受信する自動設定要求をCTスキャナ200に転送し、CTスキャナ200が、制御ボックス500から受信した自動設定要求に対応して撮像オーダデータを返信すればよい。
【0210】
または、CTスキャナ200が、プル型のRIS100から返信された複数の撮像オーダデータから一つが選定される操作を受け付け、その選定された撮像オーダデータを制御ボックス500に転送してもよい。
【0211】
さらに、上記形態では薬液注入装置400で生成された注入履歴データがCTスキャナ200で生成された透視画像データとともにPACS300に保存されることを例示した。
【0212】
しかし、薬液注入装置400から制御ボックス500を経由してRIS100に注入履歴データを送信し、この注入履歴データをRIS100に保存させてもよい。この場合、RIS100では、撮像オーダデータと注入履歴データとを作業IDなどで関連させて管理することができる。
【0213】
この場合でも、PACS300に登録されている透視画像データにも撮像オーダデータの作業IDが付与されているので、やはり透視画像データと注入履歴データとを関連させることができる。
【0214】
さらに、上記形態では撮像オーダデータの全部が透視画像データに付与されてPACS300に保存されることを例示した。しかし、撮像オーダデータの撮像作業IDのみが透視画像データに付与されてもよい。
【0215】
この場合でも、撮像作業IDにより透視画像データと注入履歴データとを関連付けることができ、撮像オーダデータは撮像作業IDによりRIS100から読み出すことができる。
【0216】
また、撮像オーダデータの撮像作業IDのみ透視画像データに付与し、撮像オーダデータの全部を注入履歴データに付与してもよく、撮像オーダデータを透視画像データと注入履歴データとに振り分けて付与してもよい。
【0217】
さらに、注入履歴データに経時グラフと目標グラフとの両方を内包させてもよい。薬液注入装置400のタッチパネル403の表示画像の全体を注入履歴データに内包させてもよい。
【0218】
また、上記形態では注入履歴データが、注入作業IDや日時等のテキストデータと、注入速度の経時グラフの画像データと、からなることを例示した。しかし、注入履歴データが、上述のテキストデータのみからなってもよい。
【0219】
特に、上記形態では薬液注入装置400が造影剤の注入速度を可変し、その経時グラフを注入履歴データに内包させることを例示した。しかし、薬液注入装置400が造影剤を一定速度で注入してもよい。この場合、経時グラフを生成して記録する意味は低い。従って、注入速度をテキストデータで注入履歴データに内包させることがよい。
【0220】
また、上記形態では薬液注入装置400に注入制御データが設定されることのみ例示した。しかし、その注入制御データが薬液注入装置400から制御ボックス500に通知されてもよく、その注入制御データが制御ボックス500からRIS100に通知されてもよい。この場合、注入制御データをRIS100からCTスキャナ200に撮像オーダデータなどとともに通知することができる。
【0221】
従って、CTスキャナ200を操作する作業者が注入制御データを参照することができるので、注入制御データに対応して撮像動作を調整するようなことができる。また、CTスキャナ200の撮像制御ユニット210が取得した注入制御データに基づいて撮像動作を自動調整することも不可能ではない。
【0222】
また、上記形態では薬液注入装置400で注入履歴データを完成してから制御ボックス500に送信することを例示した。しかし、薬液注入装置400が注入履歴データを制御ボックス500に分散して送信し、制御ボックス500で注入履歴データを完成してもよい。
【0223】
より具体的には、薬液注入装置400が注入開始とともに注入制御データや開始日時などを制御ボックス500に送信し、注入過程で注入速度などを制逐次送信し、注入終了とともに終了日時などを送信する。この場合、制御ボックス500が注入開始から注入終了まで蓄積した各種データから注入履歴データを完成して出力することができる。
【0224】
また、上記形態では各種装置100〜600が改竄困難なDICOM形式で各種データを相互通信することにより、注入履歴データなどの証拠能力が高いことを例示した。しかし、薬液注入装置400が注入履歴データをPDF(Portable Document Format)などの改竄困難なデータフォーマットで生成してもよい。
【0225】
同様に、制御ボックス500が薬液注入装置400からJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)形式で受信した注入履歴データをPDF形式に変換してもよい。さらに、薬液注入装置400や制御ボックス500が、いわゆるインターネットに接続されており、電子署名を取得して注入履歴データに付与してもよい。
【0226】
さらに、上記形態では薬液注入装置400により制御ボックス500を経由してRIS100から取得された撮像オーダデータからなる注入制御データが、注入実行ヘッド410とは別体の注入制御ユニット401のタッチパネル403に表示されることを例示した。
【0227】
しかし、注入実行ヘッド410にデータ表示部として小型のディスプレイパネル(図示せず)が並設されており、そこに撮像オーダデータからなる注入制御データなどが表示されてもよい。この場合、注入被験者の近傍に配置されて薬液シリンジ430が装着される注入実行ヘッド410の位置で、注入制御データを確認することができる。
【0228】
また、上記形態では薬液注入装置400が必要とする注入制御データの全部が、RIS100から取得された撮像オーダデータから抽出されることを例示した。しかし、薬液注入装置400が必要とする注入制御データの一部のみ撮像オーダデータから取得され、他部は薬液注入装置400に入力操作されてもよい。
【0229】
さらに、被験者IDなどの注入制御データが薬液注入装置400に入力操作され、その注入制御データと撮像オーダデータから取得された注入制御データとを薬液注入装置400が照合し、照合される注入制御データが整合しないと警告を報知してもよい。
【0230】
この場合、間違った撮像オーダデータで注入制御データが自動設定されることを防止できる。さらに、このような警告を、前述した注入実行ヘッド410のディスプレイパネルに表示させれば、作業者に迅速かつ確実に警告を認識させることができる。
【0231】
また、上記形態では透視撮像装置としてCTスキャナ200を使用し、薬液注入装置400が薬液としてCT用の造影剤を注入することを例示した。しかし、透視撮像装置がMRIやPET装置や超音波診断装置などからなり、それ用の造影剤などを薬液注入装置が注入してもよい。
【0232】
さらに、上記形態ではCTスキャナ200と薬液注入装置400とが個々にスタンドアロンで動作することを例示した。しかし、CTスキャナ200と薬液注入装置400とがデータ通信により各種の動作を連動させてもよい。
【0233】
より具体的には、CTスキャナ200が、制御ボックス500を経由して薬液注入装置400の注入制御データを遠隔操作する遠隔変更部を有し、薬液注入装置400は、制御ボックス500を経由したCTスキャナ200の遠隔操作に対応して注入制御データが遠隔操作されればよい。
【0234】
ただし、このような透視撮像システム(図示せず)では、制御ボックス500が、遠隔操作の履歴を記録した操作履歴データを生成する操作記録部を、さらに有し、操作履歴データもPACS300に送信して対応する透視画像データとともに保存させることがよい。
【0235】
この場合、被験者への薬液注入に利用された注入制御データが、薬液注入装置400の入力操作で設定されたのか、CTスキャナ200の遠隔操作で設定されたのかが、透視画像データとともに保存されるので、例えば、医療事故の調査などに利用することができる。
【0236】
また、上記形態では説明を簡単とするため、透視撮像システム1000の各部が各々一個であることを例示した。しかし、大規模な病院などでは、複数の透視撮像システムの各々がRIS100とCTスキャナ200と薬液注入装置400と制御ボックス500とを一個ずつ有し、その複数の透視撮像システムがPACS300と画像閲覧装置600とを共有する構造でよい(図示せず)。ただし、このような場合でも、RIS100やPACS300や画像閲覧装置600などのハードウェアは並列に接続された複数であってよい(図示せず)。
【0237】
さらに、上記形態では一個のPACS300で透視画像データと注入履歴データとが保存されることを例示した。しかし、透視画像データを保存するハードウェアと注入履歴データを保存するハードウェアとが別個に形成されていて通信ネットワークで接続されていてもよい。
【0238】
また、上記形態では、RIS100、CTスキャナ200、PACS300、薬液注入装置400、制御ボックス500、画像閲覧装置600、が別体に形成されていて通信ネットワーク701〜706により接続されていることを例示した。
【0239】
しかし、上述のような各種装置100〜600が各種の組み合わせで一体に形成されていてもよい。例えば、薬液注入装置400の注入制御ユニット401と制御ボックス500が一体に形成されていること、これにRIS100やPACS300が一体に形成されていること、PACS300と画像閲覧装置600とが一体に形成されていること、等も可能である。
【0240】
また、制御ボックス500に、RIS100やPACS300が一体に形成されていること、制御ボックス500とPACS300と画像閲覧装置600とが一体に形成されていること、等も可能である。
【0241】
さらに、CTスキャナ200の撮像制御ユニット210とRIS100と制御ボックス500とが一体に形成されていること、CTスキャナ200の撮像制御ユニット210とPACS300と制御ボックス500とが一体に形成されていること、これに画像閲覧装置600が一体に形成されていること、等も可能である。
【0242】
また、画像閲覧装置600とPACS300とが一体に形成されていること、これに制御ボックス500やCTスキャナ200の撮像制御ユニット210が一体に形成されていること、等も可能である。
【0243】
さらに、上記形態ではコンピュータプログラムに対応してコンピュータ装置が動作することにより、各種装置100〜600の各部が各種機能として論理的に実現されることを例示した。
【0244】
しかし、その各部の各々を固有のハードウェアとして形成することも可能であり、一部をソフトウェアとして形成するとともに一部をハードウェアとして形成することも可能である。
【0245】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1】本発明の実施の形態の透視撮像システムの論理構造を示す模式的なブロック図である。
【図2】透視撮像システムの物理構造を示すブロック図である。
【図3】CTスキャナの透視撮像ユニットと薬液注入装置の注入実行ヘッドとの外観を示す斜視図である。
【図4】薬液注入装置の外観を示す斜視図である。
【図5】画像閲覧装置の外観を示す斜視図である。
【図6】薬液注入装置の表示画面に初期画像が表示出力された状態を示す模式的な正面図である。
【図7】薬液注入装置の表示画面に取得された被験者管理データと撮像オーダデータとが表示出力された状態を示す模式的な正面図である。
【図8】薬液注入装置の表示画面に目標グラフが表示出力された状態を示す模式的な正面図である。
【図9】薬液注入装置の表示画面に目標グラフとともに経時グラフが表示出力された状態を示す模式的な正面図である。
【図10】透視撮像システムの処理動作を示す模式的なタイムチャートである。
【図11】一変形例の薬液注入装置の表示画面に薬液条件データが表示出力された状態を示す模式的な正面図である。
【符号の説明】
【0247】
100 RIS
101 オーダ管理部
102 オーダ選定部
103 統合制御部
200 CTスキャナ
201 透視撮像ユニット
210 撮像制御ユニット
211 要求送信部
212 オーダ受信部
213 撮像制御部
214 データ付与部
215 画像送信部
400 薬液注入装置
401 注入制御ユニット
402 操作パネル
403 タッチパネル
404 コントローラユニット
405 コンピュータユニット
410 注入実行ヘッド
411 シリンジ駆動機構
421 注入制御部
422 要求入力部
423 要求送信部
424 注入設定部
426 履歴生成部
427 履歴出力部
430 薬液シリンジ
500 制御ボックス
501 コンピュータユニット
502 通信I/F
511 データ取得部
512 データ返信部
514 履歴転送部
600 画像閲覧装置
601 コンピュータユニット
602 ディスプレイユニット
603 コントローラユニット
611 データ読出部
612 データ表示部
701-706 通信ネットワーク
1000 透視撮像システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入被験者ごとの各種の被験者条件が被験者ID(Identity)とともに設定されている被験者管理データと前記注入被験者から透視画像データを撮像する作業ごとの撮像オーダデータとを管理するデータ管理装置と、前記データ管理装置から取得する前記撮像オーダデータに対応して前記注入被験者から前記透視画像データを撮像する透視撮像装置と、前記透視画像データが撮像される前記注入被験者に薬液注入を実行する薬液注入装置と、前記薬液注入装置と前記データ管理装置とのデータ通信を仲介するデータ制御装置と、を有する透視撮像システムであって、
前記薬液注入装置は、前記薬液注入を実行する注入実行機構と、前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御部と、前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された前記自動設定要求を前記データ制御装置に送信する要求送信部と、を有し、
前記データ制御装置は、前記薬液注入装置から受信した前記自動設定要求に対応して前記被験者管理データの少なくとも一部を前記データ管理装置から取得するデータ取得部と、取得された前記被験者管理データの少なくとも一部を前記薬液注入装置に返信するデータ返信部と、を有し、
前記薬液注入装置は、前記データ制御装置から返信された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成して前記注入制御部に設定する注入設定部とを、さらに有する透視撮像システム。
【請求項2】
注入被験者ごとの各種の被験者条件が被験者IDとともに設定されている被験者管理データと前記注入被験者から透視画像データを撮像する作業ごとの撮像オーダデータとを管理するデータ管理装置と、前記データ管理装置から取得する前記撮像オーダデータに対応して前記注入被験者から前記透視画像データを撮像する透視撮像装置と、前記透視画像データが撮像される前記注入被験者に薬液注入を実行する薬液注入装置と、前記薬液注入装置と前記データ管理装置とのデータ通信を仲介するデータ制御装置と、を有する透視撮像システムであって、
前記薬液注入装置は、前記薬液注入を実行する注入実行機構と、前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御部と、前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された前記自動設定要求を前記データ制御装置に送信する要求送信部と、を有し、
前記データ制御装置は、前記薬液注入装置から受信した前記自動設定要求に対応して前記被験者管理データの少なくとも一部を前記データ管理装置から取得するデータ取得部と、取得された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成する注入生成部と、生成された前記注入制御データを前記薬液注入装置に返信するデータ返信部と、を有し、
前記薬液注入装置は、前記データ制御装置から返信された前記注入制御データを前記注入制御部に設定する注入設定部を、さらに有する透視撮像システム。
【請求項3】
注入被験者ごとの各種の被験者条件が被験者IDとともに設定されている被験者管理データと前記注入被験者から透視画像データを撮像する作業ごとの撮像オーダデータとを管理するデータ管理装置と、前記データ管理装置から取得する前記撮像オーダデータに対応して前記注入被験者から前記透視画像データを撮像する透視撮像装置と、前記透視画像データが撮像される前記注入被験者に薬液注入を実行する薬液注入装置と、を有する透視撮像システムであって、
前記薬液注入装置は、前記薬液注入を実行する注入実行機構と、前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御部と、前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された前記自動設定要求に対応して前記被験者管理データの少なくとも一部を前記データ管理装置から取得するデータ取得部と、前記データ管理装置から取得された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成して前記注入制御部に設定する注入設定部と、を有する透視撮像システム。
【請求項4】
前記薬液注入装置は、前記データ制御装置から返信された前記被験者管理データの少なくとも一部を表示出力する被験者表示部を、さらに有する請求項1に記載の透視撮像システム。
【請求項5】
前記データ制御装置の設定送信部は、生成された前記注入制御データとともに取得された前記被験者管理データの少なくとも一部も前記薬液注入装置に返信し、
前記薬液注入装置は、前記データ制御装置から返信された前記被験者管理データの少なくとも一部を表示出力する被験者表示部を、さらに有する請求項2に記載の透視撮像システム。
【請求項6】
前記薬液注入装置は、前記データ管理装置から取得された前記被験者管理データの少なくとも一部を表示出力する被験者表示部を、さらに有する請求項3に記載の透視撮像システム。
【請求項7】
前記薬液注入装置は、前記データ制御装置から返信された前記被験者管理データの少なくとも一部を音声出力する音声確認部を、さらに有する請求項1または4に記載の透視撮像システム。
【請求項8】
前記データ制御装置の設定送信部は、生成された前記注入制御データとともに取得された前記被験者管理データの少なくとも一部も前記薬液注入装置に返信し、
前記薬液注入装置は、前記データ制御装置から返信された前記被験者管理データの少なくとも一部を音声出力する音声確認部を、さらに有する請求項2または5に記載の透視撮像システム。
【請求項9】
前記薬液注入装置は、前記データ管理装置から取得された前記被験者管理データの少なくとも一部を音声出力する音声確認部を、さらに有する請求項3または6に記載の透視撮像システム。
【請求項10】
撮像された前記透視画像データを前記撮像オーダデータの少なくとも一部とともに保存するデータ保存装置を、さらに有し、
前記薬液注入装置は、前記薬液注入の履歴を記録した注入履歴データを生成する履歴生成部と、生成された前記注入履歴データを前記データ制御装置に送信する履歴出力部とを、さらに有し、
前記データ制御装置は、受信した前記注入履歴データを前記データ保存装置に転送して対応する前記透視画像データとともに保存させる履歴転送部を、さらに有する請求項1,2,4,5,7,8の何れか一項に記載の透視撮像システム。
【請求項11】
前記透視撮像装置は、前記データ制御装置を経由して前記薬液注入装置の前記注入制御データを遠隔操作する遠隔変更部を有し、
前記薬液注入装置は、前記データ制御装置を経由した前記透視撮像装置の遠隔操作に対応して前記注入制御部の前記注入制御データが遠隔操作され、
前記データ制御装置は、前記遠隔操作の履歴を記録した操作履歴データを生成する操作記録部を、さらに有し、前記履歴転送部に前記操作履歴データも送信させて対応する前記透視画像データとともに保存させる請求項10に記載の透視撮像システム。
【請求項12】
前記データ管理装置は、前記注入被験者から前記透視画像データを撮像する撮像作業ごとに設定される撮像オーダデータも管理し、
前記データ制御装置の前記データ取得部は、前記被験者管理データの少なくとも一部とともに前記撮像オーダデータの少なくとも一部も前記データ管理装置から取得し、前記データ返信部は、取得された前記被験者管理データの少なくとも一部と前記撮像オーダデータの少なくとも一部とを前記薬液注入装置に返信し、
前記薬液注入装置の注入設定部は、前記データ制御装置から返信された前記被験者管理データの少なくとも一部と前記撮像オーダデータの少なくとも一部とで前記注入制御データを生成して前記注入制御部に設定する請求項1,2,4,5,7,8,10,11の何れか一項に記載の透視撮像システム。
【請求項13】
前記データ管理装置は、前記注入被験者から前記透視画像データを撮像する撮像作業ごとに設定される撮像オーダデータも管理し、
前記薬液注入装置の前記データ取得部は、入力操作された前記自動設定要求に対応して前記被験者管理データの少なくとも一部と前記撮像オーダデータの少なくとも一部とを前記データ管理装置から取得し、前記注入設定部は、前記被験者管理データの少なくとも一部と前記撮像オーダデータの少なくとも一部とで前記注入制御データを生成して前記注入制御部に設定する請求項3,6,9に記載の透視撮像システム。
【請求項14】
前記データ管理装置は、前記被験者管理データの少なくとも一部が前記撮像オーダデータに設定されており、
前記データ取得部は、前記自動設定要求に対応して前記撮像オーダデータを取得することで前記被験者管理データの少なくとも一部を取得する請求項12または13に記載の透視撮像システム。
【請求項15】
前記データ管理装置は、前記被験者管理データと、前記被験者IDが設定されている前記撮像オーダデータと、を管理し、
前記データ取得部は、前記自動設定要求に対応して取得した前記撮像オーダデータから前記被験者IDを抽出し、抽出された前記被験者IDで前記被験者管理データを取得する請求項12または13に記載の透視撮像システム。
【請求項16】
前記注入実行機構は、前記注入被験者に注入される薬液を収容している薬液シリンジを駆動し、
前記薬液シリンジは、少なくとも前記薬液に関連する薬液条件データを記憶するRFID(Radio Frequency Identification)チップが搭載されており、
前記注入設定部は、前記薬液シリンジから取得する前記薬液条件データも利用して前記注入制御データを生成する請求項1ないし15の何れか一項に記載の透視撮像システム。
【請求項17】
前記薬液注入装置は、前記薬液シリンジから取得された前記薬液条件データの少なくとも一部を表示出力する薬液表示部を、さらに有する請求項16に記載の透視撮像システム。
【請求項18】
前記薬液注入装置は、前記薬液シリンジから取得された前記薬液条件データの少なくとも一部を音声出力する音声確認部を、さらに有する請求項16または17に記載の透視撮像システム。
【請求項19】
請求項1に記載の透視撮像システムの前記薬液注入装置であって、
前記薬液注入を実行する注入実行機構と、
前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御部と、
前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、入力操作された前記自動設定要求を前記データ制御装置に送信する要求送信部と、
前記データ制御装置から返信された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成して前記注入制御部に設定する注入設定部と、
を有する薬液注入装置。
【請求項20】
請求項2に記載の透視撮像システムの前記薬液注入装置であって、
前記薬液注入を実行する注入実行機構と、
前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御部と、
前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、
入力操作された前記自動設定要求を前記データ制御装置に送信する要求送信部と、
前記データ制御装置から返信された前記注入制御データを前記注入制御部に設定する注入設定部と、
を有する薬液注入装置。
【請求項21】
請求項3に記載の透視撮像システムの前記薬液注入装置であって、
前記薬液注入を実行する注入実行機構と、
前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御部と、
前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力部と、
入力操作された前記自動設定要求に対応して前記被験者管理データの少なくとも一部を前記データ管理装置から取得するデータ取得部と、
前記データ管理装置から取得された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成して前記注入制御部に設定する注入設定部と、
を有する薬液注入装置。
【請求項22】
請求項2に記載の透視撮像システムの前記データ制御装置であって、
前記薬液注入装置から受信した前記自動設定要求に対応して前記被験者管理データの少なくとも一部を前記データ管理装置から取得するデータ取得部と、
取得された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成する注入生成部と、
生成された前記注入制御データを前記薬液注入装置に返信するデータ返信部と、
を有するデータ制御装置。
【請求項23】
請求項19に記載の前記薬液注入装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御処理と、
前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力処理と、入力操作された前記自動設定要求を前記データ制御装置に送信する要求送信処理と、
前記データ制御装置から返信された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成して前記注入制御部に設定する注入設定処理と、
を前記薬液注入装置に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項24】
請求項20に記載の前記薬液注入装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御処理と、
前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力処理と、
入力操作された前記自動設定要求を前記データ制御装置に送信する要求送信処理と、
前記データ制御装置から返信された前記注入制御データを前記注入制御部に設定する注入設定処理と、
を前記薬液注入装置に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項25】
請求項21に記載の前記薬液注入装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して前記注入実行機構を動作制御する注入制御処理と、
前記注入制御データの自動設定要求が入力操作される要求入力処理と、
入力操作された前記自動設定要求に対応して前記被験者管理データの少なくとも一部を前記データ管理装置から取得するデータ取得処理と、
前記データ管理装置から取得された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成して前記注入制御部に設定する注入設定処理と、
を前記薬液注入装置に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項26】
請求項22に記載の前記データ制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記薬液注入装置から受信した前記自動設定要求に対応して前記被験者管理データの少なくとも一部を前記データ管理装置から取得するデータ取得処理と、
取得された前記被験者管理データの少なくとも一部で前記注入制御データを生成する注入生成処理と、
生成された前記注入制御データを前記薬液注入装置に返信する設定返信処理と、
を有する前記データ制御装置に実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−240539(P2009−240539A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90906(P2008−90906)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(391039313)株式会社根本杏林堂 (80)
【出願人】(502329968)株式会社リソースワン (6)
【Fターム(参考)】