説明

通信システムおよび移動端末

【課題】車、公共交通機関等の移動手段を組み合わせ、また時々刻々変化する運行状態(道路の渋滞、公共交通機関の遅れなど)を考慮した最適ルートの探索において、センターへの問い合わせを必要最低限にすることで、効率的なマルチモーダルルート探索のセンター運用を可能とする。
【解決手段】移動端末に、あらかじめ公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールを記録しておき、移動端末側で公共交通機関以外(例えば、徒歩、車両)を使ったルートと公共交通機関を使ったルートを最適なルート中の区間の候補とするルート探索を行う(ステップ120)。そして、そのルート探索において、公共交通機関を使ったほうが良いという結果になった場合(ステップ130)に、センターに現在の運行状況を踏まえたマルチモーダル探索の依頼をかけ(ステップ140)、センターから受信したセンタールートを案内用のルートとして記録する(ステップ160)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムおよび移動端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
徒歩、車、公共交通機関(例えば列車、バス)等の移動手段を組み合わせ、また時々刻々変化する運行状態(道路の渋滞、公共交通機関の遅れなど)を考慮した最適ルートの探索を実施するためには、全ての情報を理想的に揃えやすいセンターで、各移動端末からの問い合わせに応じてルート探索計算を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−296070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、そうした実現方法をとる場合には、問い合わせを行う端末の増加に伴い、センター側の負荷が集中するという問題がある。また、逐次問い合わせするために、通信コストがその都度かかるという問題もある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、車、公共交通機関等の移動手段を組み合わせ、また時々刻々変化する運行状態(道路の渋滞、公共交通機関の遅れなど)を考慮した最適ルートの探索において、センターへの問い合わせを必要最低限にすることで、効率的なマルチモーダルルート探索のセンター運用を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、移動端末(1)と、前記移動端末(1)と通信可能なセンター(2)とを備えた通信システムであって、前記移動端末(1)は、道路構成および公共交通機関の乗降施設の位置を含む端末側地図データベース(15b)と、前記公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールを含む定常公共交通機関運行データベース(15c)とを記憶する端末側記憶部(15)、および、端末側制御部(16)を備え、前記センター(2)は、道路構成および前記公共交通機関の乗降施設の位置を含むセンター側地図データベース(22b)と、前記公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールおよび定常運行状態の運行スケジュールに対する現在の運行変化状況を含む現状公共交通機関データベース(22c)とを記憶する前記センター側記憶部(22)、および、センター側制御部(23)を備え、前記端末側制御部(16)は、前記センター(2)を利用せず、前記端末側地図データベース(15b)および前記定常公共交通機関運行データベース(15c)を用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルートおよび公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、現在地から目的地までの最適なローカルルートを算出するローカルマルチモーダルルート探索手段(120)と、前記ローカルマルチモーダルルート探索手段(120)によって算出された前記ローカルルートが公共交通機関を利用しているか否かを判定する判定手段(130)と、前記判定手段(130)が利用していないと判定したことに基づいて、前記ローカルルートを経路案内用のルートとして記録するローカルルート記録手段(135)と、前記判定手段(130)が利用していると判定したことに基づいて、前記現在地と前記目的地を含んだマルチモーダルルート探索要求を前記センター(2)に送信するセンターマルチモーダルリクエスト手段(140)と、を備え、前記センター側制御部(23)は、前記センターマルチモーダルリクエスト手段(140)によって前記移動端末(1)から送信された前記マルチモーダルルート探索要求を受信するマルチモーダルルート探索要求受信手段(23c)と、前記マルチモーダルルート探索要求受信手段(23c)が前記マルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、前記センター側地図データベース(22b)および前記現状公共交通機関データベース(22c)を用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルートおよび公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、前記マルチモーダルルート探索要求中の前記現在地から前記目的地までの最適なセンタールートを算出するセンターマルチモーダルルート探索手段(23d)と、前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)が算出した前記センタールートを前記移動端末(1)に送信するマルチモーダルルート配信手段(23e)と、を備え、更に前記端末側制御部(16)は、前記センターマルチモーダルリクエスト手段(140)が送信した前記マルチモーダルルート探索要求の応答として、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)が送信した前記センタールートを受信したことに基づいて、前記センタールートを経路案内用のルートとして記録するセンタールート記録手段(160)を備えたことを特徴とする通信システムである。
【0007】
このように、移動端末1に、あらかじめ公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールを含む定常公共交通機関運行データベース(15c)を備えておき、移動端末(1)側で公共交通機関以外(例えば、徒歩、車両)を使ったルートと公共交通機関を使ったルートを最適なルート中の区間の候補とするルート探索を行う。そして、そのルート探索において、公共交通機関を使ったほうが良いという結果になった場合に、センターに現在の運行状況を踏まえたマルチモーダル探索の依頼をかけるようにする。
【0008】
公共交通機関を使ったルートの比較において、公共交通機関の実際の運行状態を踏まえたルートは、定常の運行状態と同じ、もしくは定常状態より悪化することしか通常はありえないため、定常状態で公共交通機関を使ったルートが算出される場合でしか、実際の運行状態を踏まえたルート算出で公共交通機関を使ったルートとなることがあり得ないと考えることができるため、上記のような実現方法を取ることで、不必要にセンター(2)に問い合わせることなく、マルチモーダル探索の実現が可能となる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、更に前記端末側制御部(16)は、前記ローカルルートおよび前記センタールートのうち、経路案内用のルートとするルート上に1つまたは複数の再探索ポイントを設定する再探索ポイント設定手段(165、170)を備え、更に前記端末側制御部(16)は、前記経路案内用のルートを案内しているときに、前記移動端末(1)が前記再探索ポイントのいずれかに対して前記経路案内用のルートに沿って基準距離以内の手前に接近したか否かを判定し、接近したと判定したことに基づいて、現在地と前記目的地を含んだ再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求を前記センター(2)に送信する再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(340)を備え、前記センター側制御部(23)の前記マルチモーダルルート探索要求受信手段(23c)は更に、前記再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(340)によって前記移動端末(1)から送信された前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求を受信し、前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)は更に、前記マルチモーダルルート探索要求受信手段(23c)が前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、前記センター側地図データベース(22b)および前記現状公共交通機関データベース(22c)を用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルートおよび公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求中の前記現在地から前記目的地までの最適な再探索ポイント用センタールートを算出し、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)は更に、前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)が算出した前記再探索ポイント用センタールートを前記移動端末(1)に送信し、更に前記端末側制御部(16)は、前記再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(140)が送信した前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求の応答として、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)が送信した前記再探索ポイント用センタールートを受信したことに基づいて、前記再探索ポイント用センタールートを経路案内用のルートとして使用するセンタールート使用手段(360、362〜368)を備えたことを特徴とする。
【0010】
このように、端末側制御部(16)は、再探索ポイントを設定して記録しておき、移動端末(1)の移動中は、移動端末(1)がその再探索ポイントへの接近を検出した場合を選んで、センター(2)に再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求を行うことで、公共交通機関の最新の運行状況に基づいて作成された再探索ポイント用センタールートを経路案内用ルートとすることができる。
【0011】
このようになっていることで、一旦経路案内用のルートを決定し、そのルートで案内を行い、その案内に従って移動端末(1)が移動しているときも、センター(2)にマルチモーダルルート探索要求を送信することで、公共交通機関の運行状況の変化に応じて柔軟に経路案内用のルートを変更することができる。また、移動端末(1)が再探索ポイントへの接近を検出した場合を選んで、センター(2)にマルチモーダルルート探索要求を行うので、無駄に多数回センター(2)に問い合わせしてしまう可能性を抑えることができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の通信システムにおいて、 前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)は、算出した前記センタールート上に1つまたは複数の再探索ポイントを設定し、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)は、前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)が設定した前記1つまたは複数の再探索ポイントを、前記移動端末(1)に送信し、前記再探索ポイント設定手段(165、170)は、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)によって送信された前記再探索ポイントを、前記経路案内用のルート上の再探索ポイントとして設定することを特徴とする。
【0013】
このように、端末側制御部(16)は、センタールートと共に再探索ポイントを受信し、移動端末(1)の移動中は、移動端末(1)がその再探索ポイントへの接近を検出した場合にのみ、センター(2)に再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求を行うことで、公共交通機関の最新の運行状況に基づいて作成された再探索ポイント用センタールートを経路案内用ルートとすることができる。
【0014】
このようになっていることで、一旦経路案内用のルートを決定し、そのルートで案内を行い、その案内に従って移動端末(1)が移動しているときも、センター(2)にマルチモーダルルート探索要求を送信することで、公共交通機関の運行状況の変化に応じて柔軟に経路案内用のルートを変更することができる。また、移動端末(1)が再探索ポイントへの接近を検出した場合を選んで、センター(2)にマルチモーダルルート探索要求を行うので、無駄に多数回センター(2)に問い合わせしてしまう可能性を抑えることができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の通信システムにおいて、前記センタールート使用手段(360、362〜368)は、前記再探索ポイント用センタールートの方が前記経路案内用のルートよりも有利か否かを、前記再探索ポイント用センタールートを現在位置から目的地まで移動するのに要する時間および前記経路案内用のルートを現在位置から目的地まで移動するのに要する時間と、前記再探索ポイント用センタールートを現在位置から目的地まで移動するのに要する料金および前記経路案内用のルートを現在位置から目的地まで移動するのに要する料金と、ユーザの選択操作と、のうちいずれか1つまたは複数に基づいて判定し、有利であると判定した場合に、前記再探索ポイント用センタールートを新たな経路案内用のルートとして使用し、有利でないと判定した場合に、前記経路案内用のルートをそのまま経路案内用のルートとして使用することを特徴とする。
【0016】
このように、センター(2)で算出された再探索ポイント用センタールートと経路案内用のルートのうちどちらが有利かを判定し、有利な方を経路案内用のルートとして使用することで、より適切な経路案内を行うことができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の通信システムにおいて、前記再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(340)は、前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に前記経路案内用のルートを含め、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)は、前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に含まれる前記経路案内用のルートと、前記現状公共交通機関データベース(22c)に基づいて、少なくとも当該経路案内用ルートの各区間の現状の移動所要時間に関する不利情報を取得し、その取得した不利情報を前記再探索ポイント用センタールートと共に前記移動端末(1)に送信し、前記センタールート使用手段(362〜368)は、前記再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(340)が送信した前記不利情報を利用して前記経路案内用のルートの各区間の移動所要時間を再計算し、再計算した移動所要時間を用いて、前記再探索ポイント用センタールートの方が前記経路案内用のルートよりも有利か否かを判定することを特徴とする。
【0018】
このように、移動端末(1)で算出した経路案内用のルート自体の移動所要時間も、センター(2)の現状公共交通機関データベース(22c)に基づいて再計算することで、より適切な経路案内用のルートと再探索ポイント用センタールートの有利性の比較判定を行うことができる。
【0019】
また、請求項6に記載のように、請求項1に記載の発明の特徴は、移動端末の発明としても捉えることができる。
【0020】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】移動端末1およびセンター2の機能構成を示すブロック図である。
【図3】マルチモーダルルート探索コントロール処理16eの処理内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態におけるマルチモーダルルート探索コントロール処理16eの処理内容を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態において端末側制御部が実行する移動時処理のフローチャートである。
【図6】第3実施形態において、端末側制御部が移動時処理においてセンタールートを受信した後に実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システムの構成を示し、図2に、この通信システムの機能構成を示す。この通信システムは、移動端末1と、センター2とを備えており、移動端末1とセンター2は通信網3(例えば、インターネット等の広域通信ネットワーク)を介して通信できるようになっている。
【0023】
移動端末1は、ユーザの移動と共に移動可能な通信端末であり、車両に搭載されていてもよいし、ユーザが携帯するようになっていてもよい。センター2は、移動端末1とは離れた位置(例えば、建物内)に設置されるようになっている。
【0024】
この移動端末1は、無線通信部11、位置検出部12、表示部13、操作部14、端末側記憶部15、および端末側制御部16を備えている。
【0025】
無線通信部11は、通信網3と無線接続し、通信網3を介してセンター2等と通信するための増幅、周波数変換、変調、復調等を行う周知の回路である。以下、端末側制御部16が移動端末1の外部の装置と通信を行う場合は、この無線通信部11を用いて通信を行うものとする。
【0026】
位置検出部12は、移動端末1の現在位置を特定して端末側制御部16に出力するための装置である。例えば、移動端末1が車両に搭載されるナビゲーション装置ならば、位置検出部12としては、車速センサ、GPS受信機、ジャイロセンサ等であってもよい。また、移動端末1がユーザに携帯されるものならば、位置検出部12はGPS受信機であってもよい。
【0027】
表示部13は、ユーザに文字および画像の一方または両方を表示する装置である。操作部14は、ユーザの入力操作(例えば、目的地入力操作)を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を端末側制御部16に出力する。
【0028】
端末側記憶部15は、図2に示すように、磁気記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体であり、交通情報データベース15a、端末側地図データベース15b、定常公共交通機関運行データベース15c等を記憶して有している。
【0029】
交通情報データベース15aは、道路毎に、当該道路の現在の混雑度の情報を含むデータである。この交通情報データベース15aは、後述する交通情報取得処理16aによって逐次更新される。
【0030】
端末側地図データベース15bは、道路データおよび施設データを含むデータである。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係のデータ等(すなわち、道路構成のデータ)を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、土地地番情報、施設種類情報等を示すデータを有している。施設としては、学校、公園、コンビニエンスストア、レストラン、および、共交通機関(例えば、列車、バス、飛行機、船等)の乗降施設(例えば、駅、バス停、空港、船着き場等)がある。
【0031】
定常公共交通機関運行データベース15cは、公共交通機関(例えば、列車、バス、飛行機、船等)の定常運行状態の運行スケジュールを含むデータである。例えば、定常公共交通機関運行データベース15cは、公共交通機関の路線毎に、当該路線の名称のデータ、および、当該路線において運行される各便の各乗降施設における到着時刻および出発時刻(または到着時刻および出発時刻のうちいずれか1つ)のデータを含むデータである。
【0032】
制御部16は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えたマイクロコンピュータであり、CPUがROMまたはフラッシュメモリに記録されたプログラムを実行することで、各種処理を実現する。
【0033】
端末側制御部16が実行する処理としては、図2に示すように、交通情報取得処理16a、ローカルマルチモーダルルート探索処理16b、センターマルチモーダルリクエスト処理16c、センターマルチモーダルルート受信処理16d、マルチモーダルルート探索コントロール処理16e等がある。
【0034】
交通情報取得処理16aは、道路の現在の混雑度の情報(交通情報)を移動端末1の外部の装置(例えば、VICS送信機等の交通情報送装置)から受信し、受信した道路の現在の混雑度の情報を交通情報データベース15aに上書き記録する処理である。端末側制御部16は、この交通情報取得処理16aを、繰り返し定期的に(例えば1分に1回)実行するようになっている。
【0035】
ローカルマルチモーダルルート探索処理16bは、センター2のセンターマルチモーダルルート探索処理23d(後述する)を利用せず、交通情報データベース15a、端末側地図データベース15b、定常公共交通機関運行データベース15cを用いて、徒歩で移動するルート、車両を用いて移動するルート、および公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、現在地から目的地までの最適なルートを算出する処理である。このローカルマルチモーダルルート探索処理16bで算出された最適なルートを、ローカルルートという。
【0036】
ローカルマルチモーダルルート探索処理16bにおいては、端末側地図データベース15b中の道路のリンク(徒歩でまたは車両を用いて移動する区間に相当する)と、定常公共交通機関運行データベース15c中の1つの路線において隣り合っている乗降施設間の区間(公共交通機関を用いて移動する区間に相当する)から複数の区間を選択し、それら選択した区間を繋げた経路を、最適なルートとする。選択する区間を決定するアルゴリズムとしては、例えばダイクストラ法、Aアルゴリズム等、複数のルートのコストを比較して、最もコストが低いルートを最適なルートとするアルゴリズムを採用する。ルートのコストには、そのルートを構成する各区間コストは、総和も含まれている。各区間のコストは、その区間の長さ(すなわち移動距離)、移動所要時間、料金(その区間を通行する際に課される料金であり、例えば、電車料金)のうちいずれか1つを採用してもよいし、これら3つの量から算出される値(例えばk1×長さ+k2×移動所要時間+k3×料金、ただし、k1、k2、k3は所定の定数)を採用してもよいであってもよい。
【0037】
このようなローカルマルチモーダルルート探索処理16bによって算出されるローカルルートは、現在地、目的地に応じて、すべてが車で移動するルートになる場合もあれば、車で移動するルート、電車で移動するルートを組み合わせたルートになる場合もあれば、車で移動するルート、電車で移動するルート、徒歩のルートを組み合わせたルートになる場合もある。
【0038】
センターマルチモーダルリクエスト処理16cは、徒歩で移動するルート、車両を用いて移動するルート、および公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、現在地から目的地までの最適な組み合わせ(センタールート)を算出するよう、センター2に対して、当該現在地と当該目的地を含んだマルチモーダルルート探索要求を送信する処理である。
【0039】
センターマルチモーダルルート受信処理16dは、センターマルチモーダルリクエスト処理16cによって送信したマルチモーダルルート探索要求の応答として、センター2が算出した最適なルートを受信する処理である。
【0040】
マルチモーダルルート探索コントロール処理16eは、ローカルマルチモーダルルート探索処理16b、センターマルチモーダルリクエスト処理16c、センターマルチモーダルルート受信処理16dを制御する処理である。このマルチモーダルルート探索コントロール処理16eの詳細な処理内容については後述する。
【0041】
センター2は、図1に示すように、通信部21、センター側記憶部22、センター側制御部23等を備えている。通信部21は、通信網3を介して移動端末1等と通信するための増幅、周波数変換、変調、復調等を行う周知の回路である。以下、センター側制御部23がセンター2の外部の装置と通信を行う場合は、この通信部21を用いて通信を行うものとする。
【0042】
センター側記憶部22は、図2に示すように、交通情報データベース22a、センター側地図データベース22b、現状公共交通機関データベース22c等を記憶して有している。
【0043】
交通情報データベース22aは、道路毎に、当該道路の現在の混雑度の情報を含むデータである。この交通情報データベース22aは、後述する交通情報蓄積処理23aによって逐次更新される。
【0044】
センター側地図データベース22bは、移動端末1の端末側地図データベース15bと同様の道路データおよび施設データを含むデータである。したがって、センター側地図データベース22bは、端末側地図データベース15bと同様、道路構成および公共交通機関の乗降施設(駅、バス停、駐車場、船着き場等)の位置を記憶する。
【0045】
現状公共交通機関データベース22cは、公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールのデータ、および、当該定常運行状態の運行スケジュールに対する現在の運行変化状況(例えば、変化なし、15分遅れ、運休等)のデータ(以下、運行変化状況データという)を含むデータである。公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールのデータは、移動端末1の定常公共交通機関運行データベース15cと同じものでよい。
【0046】
運行変化状況データとしては、例えば、対象とする公共交通機関の路線の便を指定するデータと、その便においてどの乗降施設でどの程度の時間の遅れが発生しているかを示すデータであってもよい。また、運行変化状況データは、対象とする公共交通機関の路線の便を指定するデータと、その便が運行中止となっていることを示すデータを含んでいてもよい。この運行変化状況データは、後述する公共交通機関運行状況取得処理23bによって逐次更新される。
【0047】
センター側制御部23は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えたマイクロコンピュータであり、CPUがROMまたはフラッシュメモリに記録されたプログラムを実行することで、各種処理を実現する。
【0048】
センター側制御部23が実行する処理としては、図2に示すように、交通情報蓄積処理23a、公共交通機関運行状況取得処理23b、マルチモーダルルート探索要求受信処理23c、センターマルチモーダルルート探索処理23d、マルチモーダルルート配信処理23e等がある。
【0049】
交通情報蓄積処理23aは、道路の現在の混雑度の情報(交通情報)をセンター2の外部の装置(例えば、FM−VICS送信機等の交通情報送装置)から受信し、受信した道路の現在の混雑度の情報を交通情報蓄積処理23aに上書き記録する処理である。センター側制御部23は、この交通情報蓄積処理23aを、繰り返し定期的に(例えば1分に1回)実行するようになっている。
【0050】
公共交通機関運行状況取得処理23bは、現在の運行変化状況データをセンター2の外部のリアルタイム公共交通機関運行情報源(例えば、公共交通機関の運用団体毎に設けられた複数の運行変化状況データサーバであって、当該運用団体が運用する公共交通機関についての最新の運行変化状況データを逐次送信する運行変化状況データサーバ)から受信し、受信した変化状況データサーバを公共交通機関運行状況取得処理23bに記録する処理である。センター側制御部23は、この公共交通機関運行状況取得処理23bを、繰り返し定期的に(例えば1分に1回)実行するようになっている。なお、受信してから所定時間(例えば1時間)以上経過した運行変化状況データについては削除してもよいし、しなくてもよい。
【0051】
マルチモーダルルート探索要求受信処理23cは、上述の端末側制御部16のセンターマルチモーダルリクエスト処理16cによって移動端末1から送信されたマルチモーダルルート探索要求を受信する処理である。
【0052】
センターマルチモーダルルート探索処理23dは、マルチモーダルルート探索要求受信処理23cがマルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、交通情報データベース22a、センター側地図データベース22b、現状公共交通機関データベース22cを用いて、徒歩で移動するルート、車両を用いて移動するルート、および公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、当該マルチモーダルルート探索要求中の現在地から目的地までの最適なルートを算出する処理である。このようにして算出されたルートを、センタールートという。
【0053】
センターマルチモーダルルート探索処理23dの具体的なアルゴリズムは、交通情報データベース15a、端末側地図DB15b、定常公共交通機関運行DBに代えて、交通情報データベース22a、センター側地図データベース22b、現状公共交通機関データベース22cを用いることを除いては、ローカルマルチモーダルルート探索処理16bと同じである。
【0054】
このようなセンターマルチモーダルルート探索処理23dによって算出されるセンタールートも、ローカルルートと同様、現在地、目的地に応じて、すべてが車で移動するルートになる場合もあれば、車で移動するルート、電車で移動するルートを組み合わせたルートになる場合もあれば、車で移動するルート、電車で移動するルート、徒歩のルートを組み合わせたルートになる場合もある。
【0055】
マルチモーダルルート配信処理23eは、センターマルチモーダルルート探索処理23dが算出したセンタールートをマルチモーダルルート探索要求の送信元の移動端末1に送信する処理である。
【0056】
次に、本実施形態の通信システムの具体的な作動について説明する。まず、移動端末1のユーザが操作部14を操作して目的地を入力したとする。すると端末側制御部16は、マルチモーダルルート探索コントロール処理16eの実行を開始する。図3に、このマルチモーダルルート探索コントロール処理16eのフローチャートを示す。
【0057】
マルチモーダルルート探索コントロール処理16eにおいて端末側制御部16は、まずステップ110で、入力された目的地を取得し、さらに、位置検出部12からの信号に基づいて移動端末1の現在地を取得する。なお、ユーザが目的地に加えて経由地も操作部14に入力していれば、その経由地も取得する。
【0058】
続いてステップ120では、ローカルマルチモーダルルート探索処理16b呼び出して実行することで、ステップ110で取得した現在地から目的地までの(経由地を取得していればその経由地を通る)最適なローカルルートを算出する。
【0059】
このように算出されたローカルルートは、センター2のセンターマルチモーダルルート探索処理23dを利用せず、交通情報データベース15a、端末側地図データベース15b、および定常公共交通機関運行データベース15cを用いて、徒歩で移動するルート、車両で走行するルート、および公共交通機関を利用して移動するルート等を最適なルート中の区間の候補とした、現在地から目的地までの(経由地を取得していればその経由地を通る)最適なルートである。
【0060】
続いてステップ130では、算出されたローカルルートが公共交通機関を利用している(すなわち、公共交通機関を利用するルートを含んでいる)か否かを判定し、利用していないと判定した場合、続いてステップ135に進み、利用していると判定した場合、続いてステップ140に進む。
【0061】
ステップ135では、ステップ120で算出したローカルルートを経路案内用のルートとして記録し、マルチモーダルルート探索コントロール処理16eを終了する。そしてその後、経路案内用のルートとして記録した当該ローカルルートに沿った周知の経路案内を行う。
【0062】
ステップ140では、センターマルチモーダルリクエスト処理16cを呼び出して実行することで、当該現在地と当該目的地(および、経由地を取得していればその経由地)を含んだマルチモーダルルート探索要求をセンター2に送信する。続いてステップ150では、センター2からマルチモーダルルート探索要求の応答を受信するまで待つ。
【0063】
するとセンター2では、センター側制御部23が、マルチモーダルルート探索要求受信処理23cを実行して、上記ステップ140によって移動端末1から送信されたマルチモーダルルート探索要求を受信する。
【0064】
更にセンター側制御部23は、マルチモーダルルート探索要求受信処理23cによりマルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、センターマルチモーダルルート探索処理23dを実行し、交通情報データベース22a、センター側地図データベース22b、および現状公共交通機関データベース22c(定常運行状態の運行スケジュールのデータおよび運行変化状況データ)を用いて、徒歩で移動するルート、車両で移動するルート、および公共交通機関を利用して移動するルート等を最適なルート中の区間の候補として、マルチモーダルルート探索要求中の当該現在地から当該目的地までの(経由地を受信していればその経由地を通る)最適なセンタールートを算出する。このようにして算出されたセンタールートは、運行変化状況データを用いて算出しているため、移動端末1において算出したローカルルートに比べて、現状の公共交通機関の運行状況をより正確に反映していると考えられる。更にセンター側制御部23は、センターマルチモーダルルート探索処理23dによって算出したセンタールートを、マルチモーダルルート探索要求の送信元の移動端末1に送信する。
【0065】
このように、センター2は、マルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、交通情報データベース22a、センター側地図データベース22b、および現状公共交通機関データベース22cを用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルートおよび公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、マルチモーダルルート探索要求中の現在地から目的地までの最適なセンタールートを算出し、算出したセンタールートを移動端末1に送信する。送信するセンタールートは、センタールートを構成する各区間の経路(例えば、各区間のリンクIDのリスト)、各区間の移動手段、各区間の移動所要時間、各区間の料金等が含まれたデータである。
【0066】
すると端末側制御部16では、センターマルチモーダルルート受信処理16dによって、上記マルチモーダルルート探索要求の応答としてセンター2が算出して送信したセンタールートを受信する。すると図3のステップ150では、上記マルチモーダルルート探索要求の応答としてセンタールートを受信したと判定し、ステップ160に進む。
【0067】
ステップ160では、受信したセンタールートを経路案内用のルートとして記録し、マルチモーダルルート探索コントロール処理16eを終了する。そしてその後、経路案内用のルートとして記録した当該センタールートに沿った周知の経路案内を行う。
【0068】
このように、移動端末1に、あらかじめ公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールを含む定常公共交通機関運行データベース15cを備えておき、移動端末1側で公共交通機関以外(例えば、徒歩、車両)を使ったルートと公共交通機関を使ったルートを最適なルート中の区間の候補とするルート探索を行う。そして、そのルート探索において、公共交通機関を使ったほうが良いという結果になった場合に、センターに現在の運行状況を踏まえたマルチモーダル探索の依頼をかけるようにする。
【0069】
公共交通機関を使ったルートの比較において、公共交通機関の実際の運行状態を踏まえたルートは、定常の運行状態と同じ、もしくは定常状態より悪化することしか通常はありえないため、定常状態で公共交通機関を使ったルートが算出される場合でしか、実際の運行状態を踏まえたルート算出で公共交通機関を使ったルートとなることがあり得ないと考えることができるため、上記のような実現方法を取ることで、不必要にセンター2に問い合わせることなく、マルチモーダル探索の実現が可能となる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の通信システムに対して、以下に示すような端末側制御部16およびセンター側制御部23の処理を追加するものである。
【0071】
まず、本実施形態におけるマルチモーダルルート探索コントロール処理16eの処理内容は、図3に代えて、図4のようになる。図3と図4の処理内容は、ステップ110〜160までは同じである。しかし、図4の処理では、ステップ135に続いてステップ165を実行し、ステップ160に続いてステップ170を実行する。
【0072】
ステップ165では、経路案内に使用する経路案内用ルートとされたローカルルート上で1つまたは複数の再探索ポイントを設定して、それをローカルルートに関連付けてRAMまたはフラッシュメモリに記録する。
【0073】
再探索ポイントのそれぞれは、ステップ135で決定および保存したローカルルート(案内に使用するルート)上の一点であり、そのローカルルートの算出の際に他のルートへの岐路となったポイントである。より具体的には、端末側制御部16は、ステップ120のローカルルートの算出時に、既に説明した通り、他のルートのコストも算出する。そして端末側制御部16は、ステップ135を実行してローカルルートを経路案内に使用する経路案内用ルートとした後は、ステップ165で、上記他のルートのうち、ローカルルート上の一点から分岐し、かつローカルルート上の他の点に合流するルート(分岐合流ルートという)をすべて抽出する。
【0074】
そして、抽出した分岐合流ルートのそれぞれについて、増加コストを算出する。ある分岐合流ルートの増加コストの計算方法は、以下の通りである。まず、当該分岐合流ルートがローカルルートから分岐する点を分岐点Aとし、当該分岐合流ルートがローカルルートに合流する点を合流点Bとし、分岐点Aから合流点Bまでのローカルルート上の経路のコストC1を算出する。更に、分岐点Aから合流点Bまでの当該分岐合流ルート上の経路のコストC2を算出する。そして、コストC1に対するコストC2の増加分を、当該分岐合流ルートの増加コストとする。
【0075】
そして、抽出した分岐合流ルートから、増加コストが所定の閾値よりも小さいものを選び出し、選び出した分岐合流ルートにおける分岐点A(岐路ポイント)を、再探索ポイントとして設定する。
【0076】
あるいは、移動端末1がセンター2にマルチモーダルルート探索要求を送信する必要が特にあるのは、公共交通機関を使う可能性があるケースなので、抽出した分岐合流ルートから、増加コストが所定の閾値よりも小さいものを選び出した後、更に選び出した分岐合流ルートのうち、公共交通機関を使って移動する区間を含む分岐合流ルートを選び出し、選び出した分岐合流ルートにおける分岐点A(岐路ポイント)を、再探索ポイントとして設定するようになっていてもよい。このようにすることで、更にセンター2へマルチモーダルルート探索要求を送信する回数を減らすことができる。ステップ165の後、図4の処理が終了する。
【0077】
このようにして選ばれる再探索ポイントとしては、例えば、ローカルルートと分岐合流ルートのどちらに進んでもほぼ同じ距離移動後、再び合流する道路の分岐点、どちらのルートに進んでも、ほぼ同じ時間で、再び同じ駅に到着する乗換駅、そのまま自動車でローカルルートを進んでも、電車に乗り換えて分岐合流ルートを進んでも、ほぼ同じ時間経過後、次の乗換候補となる駅に到着する可能性のある乗換駅が考えられる。
【0078】
また、センター側制御部23も、センターマルチモーダルルート探索処理23dにおいて、既に説明した通りの方法でセンタールートを算出するが、本実施形態では、その後、算出したセンタールート上で1つまたは複数の再探索ポイントを設定して、センタールートに関連付けてRAMまたはフラッシュメモリに記録する。再探索ポイントの設定方法は、端末側制御部16における具体的なローカルルート上の再探索ポイントの設定方法と同じである。
【0079】
また、マルチモーダルルート配信処理23eは、センタールートを移動端末1に送信する際、センタールートの再探索ポイントの位置の情報も、共に移動端末1に送信する。そして端末側制御部16は、ステップ150で、センタールートと共に再探索ポイントの位置の情報を受信し、ステップ160で、当該センタールートを経路案内用のルートとして保存した後、ステップ170で、当該再探索ポイントの位置を、当該センタールートの再探索ポイントに設定すると共に、RAM等の記憶媒体に記録する。このように、端末側制御部16は、センタールートについても再探索ポイントをセンター2から受信することで設定可能となっている。ステップ170の後、図4の処理が終了する。
【0080】
また、移動端末1が移動中であり、端末側制御部16が上記ローカルルートまたはセンタールートを経路案内用のルートとして案内しているときに、図5に示す移動時処理を実行する。
【0081】
この移動時処理において端末側制御部16は、移動端末1が目的地に到着したか否かの判定(ステップ310)と、移動端末1が上記記録された当該経路案内用ルートの再探索ポイントのいずれかに対して経路案内用のルートに沿って基準距離(固定値でもよいし、移動端末1の移動速度等に応じて変化してもよい)以内の手前に接近したか否かの判定(ステップ320)とを、その2つの判定のどちらかの判定結果が肯定判定(YES)となるまで繰り返す。
【0082】
上記のステップ310、320の繰り返しにおいて、ステップ310で移動端末1が目的地に到着したと判定した場合は、移動時処理を終了する。
【0083】
また、ステップ310、320の繰り返しにおいて、ステップ320で移動端末1が再探索ポイントのいずれかに対して経路案内用のルートに沿って所定距離以内の手前に接近したと判定した場合、続いてステップ330で、再度現在地および目的地(およびあれば経由地)を取得する。具体的には、現在の経路案内用のルートの目的地を引き続き目的地とし、移動端末1の現在位置を取得し、現在の経路案内用のルートに経由地が設定されていれば、移動端末1の現在位置以降の経由地も引き続き経由地とする。
【0084】
続いてステップ340では、図3のステップ140と同様、センターマルチモーダルリクエスト処理16cを呼び出して実行することで、当該現在地と当該目的地(および、経由地を取得していればその経由地)を含んだマルチモーダルルート探索要求(再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に相当する)をセンター2に送信する。続いてステップ350では、センター2からマルチモーダルルート探索要求の応答を受信するまで待つ。
【0085】
するとセンター2では、センター側制御部23が、マルチモーダルルート探索要求受信処理23cを実行して、上記ステップ340によって移動端末1から送信されたマルチモーダルルート探索要求(再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に相当する)を受信する。
【0086】
更にセンター側制御部23は、マルチモーダルルート探索要求受信処理23cにより当該マルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、センターマルチモーダルルート探索処理23dを実行し、交通情報データベース22a、センター側地図データベース22b、および現状公共交通機関データベース22c(定常運行状態の運行スケジュールのデータおよび運行変化状況データ)を用いて、徒歩で移動するルート、車両で移動するルート、および公共交通機関を利用して移動するルート等を最適なルート中の区間の候補として、マルチモーダルルート探索要求中の当該現在地から当該目的地までの(経由地を受信していればその経由地を通る)最適なセンタールート(再探索ポイント用センタールートに相当する)を算出する。このようにして算出されたセンタールートは、運行変化状況データを用いて算出しているため、移動端末1において算出したローカルルートに比べて、現状の公共交通機関の運行状況をより正確に反映していると考えられる。また、このようにして算出されたセンタールート(再探索ポイント用センタールート)は、図3のステップ150で端末側制御部16が受信したセンタールートよりも遅いタイミングで算出されているので、より最新の公共交通機関の運行状況を反映している。
【0087】
更にセンター側制御部23は、センターマルチモーダルルート探索処理23dによって算出したセンタールート上の再探索ポイントを既に説明したものと同じ方法で設定し、当該センタールートおよび再探索ポイントを、マルチモーダルルート探索要求の送信元の移動端末1に送信する。
【0088】
すると端末側制御部16では、センターマルチモーダルルート受信処理16dによって、上記マルチモーダルルート探索要求の応答としてセンター2が算出して送信したセンタールート(再探索ポイント用センタールートに相当する)およびセンタールート上の再探索ポイントを受信する。すると図5のステップ350では、上記マルチモーダルルート探索要求の応答としてセンタールートを受信したと判定し、ステップ360に進む。
【0089】
ステップ360では、受信したセンタールートを新たな経路案内用のルートとして記録することで、それまでの経路案内用ルートに代えて、この新たな経路案内用のルートで案内を開始する。
【0090】
更にステップ370では、受信した再探索ポイントの位置を、経路案内用ルートとして用いるセンタールートの再探索ポイントに設定すると共に、RAM等の記憶媒体に記録し、その後、再度ステップ310に処理を戻す。
【0091】
以上説明した通り、移動端末1の端末側制御部16は、ローカルルートまたはセンタールートを経路案内用ルートとする際(図4のステップ135、160)に、ルート選択の際に岐路となった1つまたは複数の地点を再探索ポイントとし、それらを経路案内用ルートと共記録しておく(165、170)。
【0092】
また、センター制御部23は、センターマルチモーダルルート探索処理23dにおいて、算出したセンタールート上に1つまたは複数の再探索ポイントを設定し、マルチモーダルルート配信処理23eにおいて、それら複数の再探索ポイントを、センタールート(再探索ポイント用センタールートに相当する)と共に移動端末1に送信し、端末側制御部16は、その再探索ポイントを受信してセンタールートの再探索ポイントに設定し、記録する。
【0093】
そして、端末側制御部16は、経路案内用のルートの案内に従って移動端末1が移動中である間は、移動端末1がその再探索ポイントへの接近を検出した場合に、再びセンター2にマルチモーダルルート探索要求を行うことで、公共交通機関の最新の運行状況に基づいて作成されたセンタールートを経路案内用のルートとすることができる。
【0094】
例えば、移動端末1で当初は、ある分岐点Aまでは車両で走行し、分岐点Aから合流点Bの間は電車に乗り換えて移動するようなセンタールートが経路案内用ルートとして採用されていたとする。ここで、分岐点Aから合流点Bまでは、車両で移動することもでき、車両で行っても電車で行っても同時刻に合流点Bに合流できるが、電車のほうが安いという理由で、電車を用いるセンタールートが算出されたとする。
【0095】
ところが、実際に分岐点A(再探索ポイント)に接近した際に、移動端末1がセンター2へマルチモーダルルート探索要求(再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に相当する)を送信すると、当該電車が遅延しており、その過結果、分岐点Aからも車両を用いた方が合流点Bへの到着が早くなり、その結果、センター2からは車両でそのまま合流点Bへ向かう新たなセンタールート(再探索ポイント用センタールートに相当する)を送信する。そして移動端末1では、この新たなセンタールートに従って、早く合流点Bに到達することができる。
【0096】
このようになっていることで、一旦経路案内用のルートを決定し、そのルートで案内を行い、その案内に従って移動端末1が移動しているときも、センター2にマルチモーダルルート探索要求を送信することで、公共交通機関の運行状況の変化に応じて柔軟に経路案内用のルートを変更することができる。また、移動端末1が再探索ポイントへの接近を検出した場合に、センター2にマルチモーダルルート探索要求を行うので、無駄に多数回センター2に問い合わせしてしまう可能性を抑えることができる。
【0097】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第2実施形態と異なる点は3つある。
【0098】
まず第1に、本実施形態の端末側制御部16は、図5のステップ340でセンター2に送信するマルチモーダルルート探索要求(再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に相当する)に、更に、現在の経路案内用のルート(ローカルルートの場合もあればセンタールートの場合もある)のデータ(各区間の経路、各区間の移動手段、各区間の移動所要時間、各区間の料金等)を含める。
【0099】
第2に、センター側制御部23は、マルチモーダルルート配信処理23eの実行において、図5のステップ340で移動端末1から送信されたマルチモーダルルート探索要求(再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に相当する)を受信したことに基づいて算出したセンタールート(再探索ポイント用センタールートに相当する)を移動端末1に送信すると共に、移動端末1から受信したマルチモーダルルート探索要求に含まれる上記経路案内用のルートの不利情報を取得して移動端末1に送信する。
【0100】
この不利情報とは、上記経路案内用のルートについて算出された各区間の移動所要時間に対する、現状公共交通機関データベース22cの現在の情報に基づいて特定される上記経路案内用のルートの各区間の移動所要時間の増加量(すなわち、遅延時間)を示す情報を含むと共に、上記経路案内用のルートの各区間の料金の情報も含む。
【0101】
したがって、マルチモーダルルート配信処理23eにおいてセンター側制御部23は、移動端末1から受信した再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に含まれる経路案内用のルートの各区間の移動所要時間を、現在の現状公共交通機関データベース22c(特に、運行変化状況データ)に基づいて算出し、算出した移動所要時間に基づいて、上記遅延時間を算出し、算出した遅延時間を不利情報に含めるようになっていればよい。
【0102】
例えば、不利情報には、経路案内用のルート上の公共交通機関を利用する区間のすべてについて、当該区間の移動所要時間の情報を含めてもよい。
【0103】
また、不利情報には、経路案内用のルート上の特定の区間における電車ダイヤの乱れによる定常運行に対する遅延時間の情報が含まれていてもよい。このような情報としては、例えば、経路案内用のルートに含まれる電車移動の区間において、利用する予定の便が15分遅れて各駅に到着するという情報がある。
【0104】
また、経路案内用のルートは電車移動する区間を含んでおり、センターマルチモーダルルート探索処理23dによって今回算出された新たなセンタールート(再探索ポイント用センタールートに相当する)は、その区間の代わりに車両で移動する区間を含んでいる場合に、その経路案内用のルート上の当該電車移動区間の移動所要時間を不利情報に含めてもよい。
【0105】
また、経路案内用のルートにおける各区間の所要料金について、端末側制御部16のローカルマルチモーダルルート探索処理16bで算出した所要料金とセンター側制御部23のセンターマルチモーダルルート探索処理23dで算出した所要料金との差(例えば、料金に変化はないという情報)を不利情報に含めてもよい。
【0106】
第3に、端末側制御部16が図5の移動時処理においてセンタールートを受信した後のステップ360、370の処理内容が、本実施形態では図6に示すような処理内容に変更されている。
【0107】
具体的には、図5のステップ350で、直前に送信したマルチモーダルルート探索要求の応答としてセンタールート(および不利情報)を受信したと判定した場合、続いて図6のステップ361に進む。
【0108】
ステップ361では、直前に受信したセンタールート(再探索ポイント用センタールートに相当する)と経路案内用ルートを比較する。この比較は、双方のルートの乖離が大きいかどうかを判断するために行う処理である。具体的には、当該センタールートの各区間の経路、移動手段(徒歩か、車両、列車等)および移動所要時間を比較する。
【0109】
続いてステップ362では、ステップ361の比較結果を利用して、当該センタールートと当該経路案内用ルートの乖離が大きいか否かを、所定の基準に従って判定する。
【0110】
所定の基準としては、例えば、(1)センタールートと経路案内用ルートの各区間の経路、移動手段、および移動所要時間が完全に同じである場合、および、(2)センタールートと経路案内用ルートの各区間の経路および移動手段は完全に一致するが、移動所要時間は少なくとも一部が異なっている場合、という2つの場合は、当該センタールートと当該経路案内用ルートの乖離が大きくないと判定する。そして、センタールート各区間の経路および移動手段のすくなくともいずれかは経路案内用ルートと一致しない場合(当然所要時間や料金も変化している)には、当該センタールートと当該経路案内用ルートの乖離が大きいと判定する。
【0111】
乖離が大きいと判定した場合は、続いてステップ363および364を実行した上でステップ365に処理を進める。乖離が大きくないと判定した場合は、直ちにステップ365に処理を進める。
【0112】
ステップ363では、センター2から受信した不利情報を利用して経路案内用ルートの再計算を行う。ただしこの再計算においては、当初の経路案内用ルートの各区間の経路および移動手段は変更せず、単に当該経路案内用ルートの各区間の移動所要時間および料金の再計算を行う。このような再計算により、例えば、「経路案内用ルートの区間αを電車移動すると、センター2からの不利情報によれば、センタールートよりも30分遅れ、料金は同一となる。したがってルート全体では、センタールートよりも30分の遅延で、料金は同一に維持される」等が明らかになる。
【0113】
続いてステップ364では、ステップ363の算出結果を利用して、ステップ361と同様の方法で、センタールートと経路案内用ルートを比較する。この比較により、例えば、「センタールートを採用すると、経路案内用ルートを採用するより10分早く目的地に到着する(ただし、どのみち当初の経路案内用ルートの所要時間計算結果より20分遅い)が、必要な料金は1000円高くなる」ということが明らかになる。
【0114】
ステップ365では、センタールートの方が経路案内用ルートよりも有利か否かを判定する。この判定基準としては、例えば、センタールートを現在位置から目的地まで移動するのに要する時間TCと、経路案内用ルートを現在位置から目的地まで移動するのに要する時間TLのうち、時間TCの方が小さければセンタールートの方が有利であると判定し、そうでなければ経路案内用ルートの方が有利であると判定するという基準を採用してもよい。
【0115】
あるいは、この判定基準としては、例えば、センタールートを現在位置から目的地まで移動するのに要する料金CCと、経路案内用ルートを現在位置から目的地まで移動するのに要する料金CLのうち、料金CCの方が小さければセンタールートの方が有利であると判定し、そうでなければ経路案内用ルートの方が有利であると判定するという基準を採用してもよい。
【0116】
あるいは、f(T、C)を値Tの単調増加関数であり、かつ値Cの単調増加関数であるとする。このような関数としては例えばC+Tがある。そして、f(TC、CC)、f(TL、CL)のうち、f(TC、CC)の方が小さければセンタールートの方が有利であると判定し、そうでなければ経路案内用ルートの方が有利であると判定するという基準を採用してもよい。
【0117】
なお、あらかじめ移動端末1のユーザが操作部14を操作して有利性の判断基準を設定入力し、端末側制御部16は、入力された判断基準をフラッシュメモリ等に登録し、登録した判断基準に基づいて、センタールートと経路案内用ルートのどちらが有利かを判定するようになっていてもよい。
【0118】
例えば、端末制御部16は、表示部13に、有利性の判断基準として、「料金優先」、「時間優先」等の複数種類の選択肢を提示し、ユーザは、操作部14を操作して、それら複数種類の選択肢のいずれか1つを選択する入力を行えるようになっていてもよい。
【0119】
この場合、ユーザが「料金優先」を選択する入力を行った場合、端末制御部16は、ステップ365において、経路案内用ルートとセンタールートで、料金は経路案内用ルートの方が少なく済むが、時間はセンタールートの方が少なく済むような場合、経路案内用ルートの方が有利であると判定する。また、ユーザが「時間優先」を選択する入力を行った場合、端末制御部16は、同様の場合で、センタールートの方が有利であると判定する。このように、ユーザが有利性の判定基準を入力することで、ユーザの価値観に応じたルート選択が可能となる。
【0120】
あるいは、ステップ365では、表示部13に画像または文字でステップ361(ステップ364を実行した場合はステップ364)の比較結果(経路の違い、移動手段の違い、移動所要時間の違い、料金の違い等)を表示部13に表示させるか、あるいは、図示しないスピーカを用いて音声で報知し、その比較結果に基づいてユーザにどちらが有利か判断させるようにしてもよい。この場合、ユーザは、経路案内用ルートとセンタールートのどちらがより有利であるかの判断結果を操作部14を用いて入力し、端末側制御部16は、入力された判断結果に従って、どちらが有利かを判定する。
【0121】
また、上述のようにあらかじめ移動端末1のユーザが操作部14を操作して有利性の判断基準を設定入力した場合であっても、その後の、上述のような操作部14を用いたユーザの選択に従って、登録した判断基準を随時変化させる学習処理を行うようになっていてもよい。例えば、端末側制御部16は、ステップ365で、登録した判断基準に基づいてセンタールートと経路案内用ルートのいずれか一方をより有利なルートとして暫定的に選択し、その暫定的な選択結果をユーザに(音声または映像で)報知すると共に、この選択でよいか否かを問い合わせるメッセージも報知するようになっていてもよい。そして、ユーザが操作部14を用いてこの選択でよい旨を入力した場合は、暫定的な選択結果通りに選択を確定し、ユーザが操作部14を用いてこの選択はよくない旨を入力した場合は、暫定的な選択結果とは反対の選択を確定する。そして、経路案内用ルートかセンタールートかの確定した選択結果を蓄積していき、選択結果の蓄積数が所定数(例えば10個)を超え、かつ、どちらかのルートを選択した選択結果が所定比率(例えば80%)以上である場合は、その所定比率以上選択されたルートを薦めるメッセージを、上述の、この選択でよいか否かを問い合わせるメッセージと共にユーザに報知するようになっていてもよい。具体的には、「あなたの過去の判断から推測すると、センターのルートの方がお薦めですが、この選択でよいですか?」というメッセージを報知してもよい。
【0122】
ステップ365でセンタールートの方が有利であると判定した場合、続いてステップ366に進み、当該センタールートを新たな経路案内用のルートとして記録することで、それまでの経路案内用ルートに代えて、この新たな経路案内用のルートで案内を開始する。
【0123】
ステップ365で、センタールートの方が有利でない(経路案内用ルートの方が有利である)と判定した場合、続いてステップ367に進み、現在の経路案内用ルートをそのまま使用し続ける。ただし、ステップ363を実行している場合は、料金および所要時間の表示を、ステップ363の計算結果に従って修正する。
【0124】
ステップ366、367に続いては、ステップ368で、新たな経路案内用ルートに対して、図4のステップ165、170、または図5のステップ370と同様の方法で、当該経路案内用ルート上の1つまたは複数の再探索ポイントの位置を決定して、経路案内用ルートに関連付けてRAMまたはフラッシュメモリに記録する。
【0125】
ステップ368の後は、図5のステップ310に処理を戻す。そして、移動端末1でその再探索ポイントの接近を検出した場合にだけ、再びセンター2に最新の運行状態でのマルチモーダル探索の問い合わせを行うこととする。上記のような実現方法を取ることで、不必要にセンター2に問い合わせすることなく、マルチモーダルルートによる移動の実現が可能となる。
【0126】
また、ステップ365、366、367のように、センター2で算出されたセンタールート(再探索ポイント用センタールート)と、現在の経路案内用ルートのうちどちらが有利かを判定し、有利な方を経路案内用のルートとして使用することで、より適切な経路案内を行うことができる。
【0127】
なお、上記各実施形態では、端末側制御部16が、図3のステップ120を実行することでローカルマルチモーダルルート探索手段の一例として機能し、ステップ130を実行することで判定手段の一例として機能し、ステップ135を実行することでローカルルート記録手段の一例として機能し、ステップ140を実行することでセンターマルチモーダルリクエスト手段の一例として機能し、ステップ160を実行することでセンタールート記録手段の一例として機能し、ステップ165、170を実行することで再探索ポイント設定手段(165、170)の一例として機能し、ステップ340を実行することで再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段の一例として機能し、ステップ360またはステップ362〜368を実行することでセンタールート使用手段の一例として機能する。
【0128】
また、センター側制御部23が、マルチモーダルルート探索要求受信処理23cを実行することでマルチモーダルルート探索要求受信手段の一例として機能し、センターマルチモーダルルート探索処理23dを実行することでセンターマルチモーダルルート探索手段の一例として機能し、マルチモーダルルート配信処理23eを実行することでマルチモーダルルート配信手段の一例として機能する。
【0129】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0130】
例えば、公共交通機関を利用せずに移動するルートとしては、徒歩で移動するルート、車両を用いて移動するルートを挙げているが、公共交通機関を利用せずに移動するルートとしては、車で移動するルートのみを採用してもよいし、徒歩で移動するルートのみを採用してもよい。
【0131】
また、上記第1実施形態の図3のステップ140で、端末側制御部16がマルチモーダルルート探索要求をセンター2に送信しているが、このマルチモーダルルート探索要求に、直前のステップ120で算出したローカルルートの各区間の経路のデータを含めるようになっていてもよい。その場合、このマルチモーダルルート探索要求を受信したセンター側制御部23は、センタールートを算出した際、受信したローカルルートと算出したセンタールートが同じ経路であるか否かを判定し、同じでなければ第1実施形態と同様にセンタールートを移動端末1に送信し、同じであれば、センタールートの代わりに、ローカルルートをそのまま使用してよい旨を示すデータを移動端末1に送信するようになっていてもよい。このようにすることで、不必要な場合にまで移動端末1にセンタールートの実体を送信する必要がなくなる。なお、端末側制御部16は、センタールートのデータではなく、ローカルルートをそのまま使用してよい旨を示すデータを受信した場合は、ステップ135に進み、ステップ120で算出したローカルルートを経路案内用のルートとして記録するようになっていてもよい。
【0132】
また、第2実施形態では、経路案内用のルートの案内に従って移動端末1の移動中は、移動端末1が再探索ポイントへの接近を検出した場合に、再びセンター2にマルチモーダルルート探索要求を行うようになっているが、移動端末1の移動中は、移動端末1が再探索ポイントへの接近を検出した場合以外の場合(例えば、ユーザが操作部14に対して再探索の操作を行った場合等)にも、再びセンター2にマルチモーダルルート探索要求を行うようになっていてもよい。
【0133】
つまり、経路案内用のルートの案内に従って移動端末1の移動中は、少なくとも、移動端末1が再探索ポイントへの接近を検出した場合を選択して、再びセンター2にマルチモーダルルート探索要求を行うようになっていれば足りる。このようにすることの意義は、無駄に多くマルチモーダルルート探索要求を行う可能性を低減することにあるので、他の有利な場合にマルチモーダルルート探索要求を行うことまでを排除するものではない。
【0134】
また、上記第3実施形態では、不利情報は、経路案内用ルートについて移動端末1で算出された各区間の移動所要時間に対する、現状公共交通機関データベース22cの情報に基づいて特定される上記経路案内用ルートの各区間の移動所要時間の増加量(すなわち、遅延時間)そのものを示す情報を含んでいるが、不利情報は、かならずしもこのような情報に限らず、このような遅延時間の情報が移動端末1で算出できるようにするための情報であればよい。したがって、経路案内用ルートについて算出された各区間の移動所要時間は、移動端末1が既に取得していることに鑑みれば、不利情報に含めるのは、現状公共交通機関データベース22cの情報に基づいて特定される上記経路案内用ルートの各区間の移動所要時間の情報であってもよい。
【0135】
また、上記実施形態において、センター2は、1台の装置として記載されているが、センター2は、互いに通信を行うことで協働してセンター2の機能を実現する複数台の装置によって構成されていてもよい。
【0136】
また、上記の実施形態において、端末側制御部16、センター側制御部23がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1 移動端末
2 センター
15 端末側記憶部
15b 端末側地図データベース
15c 定常公共交通機関運行データベース
16 端末側制御部
16b ローカルマルチモーダルルート探索処理
16c センターマルチモーダルリクエスト処理
16d センターマルチモーダルルート受信処理
16e マルチモーダルルート探索コントロール処理
22 センター側記憶部
22b センター側地図データベース
22c 現状公共交通機関データベース
23 センター側制御部
23b 公共交通機関運行状況取得処理
23c マルチモーダルルート探索要求受信処理
23d センターマルチモーダルルート探索処理
23e マルチモーダルルート配信処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末(1)と、前記移動端末(1)と通信可能なセンター(2)とを備えた通信システムであって、
前記移動端末(1)は、道路構成および公共交通機関の乗降施設の位置を含む端末側地図データベース(15b)と、前記公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールを含む定常公共交通機関運行データベース(15c)とを記憶する端末側記憶部(15)、および、端末側制御部(16)を備え、
前記センター(2)は、道路構成および前記公共交通機関の乗降施設の位置を含むセンター側地図データベース(22b)と、前記公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールおよび定常運行状態の運行スケジュールに対する現在の運行変化状況を含む現状公共交通機関データベース(22c)とを記憶する前記センター側記憶部(22)、および、センター側制御部(23)を備え、
前記端末側制御部(16)は、
前記センター(2)を利用せず、前記端末側地図データベース(15b)および前記定常公共交通機関運行データベース(15c)を用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルートおよび公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、現在地から目的地までの最適なローカルルートを算出するローカルマルチモーダルルート探索手段(120)と、
前記ローカルマルチモーダルルート探索手段(120)によって算出された前記ローカルルートが公共交通機関を利用しているか否かを判定する判定手段(130)と、
前記判定手段(130)が利用していないと判定したことに基づいて、前記ローカルルートを経路案内用のルートとして記録するローカルルート記録手段(135)と、
前記判定手段(130)が利用していると判定したことに基づいて、前記現在地と前記目的地を含んだマルチモーダルルート探索要求を前記センター(2)に送信するセンターマルチモーダルリクエスト手段(140)と、を備え、
前記センター側制御部(23)は、
前記センターマルチモーダルリクエスト手段(140)によって前記移動端末(1)から送信された前記マルチモーダルルート探索要求を受信するマルチモーダルルート探索要求受信手段(23c)と、
前記マルチモーダルルート探索要求受信手段(23c)が前記マルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、前記センター側地図データベース(22b)および前記現状公共交通機関データベース(22c)を用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルートおよび公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、前記マルチモーダルルート探索要求中の前記現在地から前記目的地までの最適なセンタールートを算出するセンターマルチモーダルルート探索手段(23d)と、
前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)が算出した前記センタールートを前記移動端末(1)に送信するマルチモーダルルート配信手段(23e)と、を備え、
更に前記端末側制御部(16)は、前記センターマルチモーダルリクエスト手段(140)が送信した前記マルチモーダルルート探索要求の応答として、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)が送信した前記センタールートを受信したことに基づいて、前記センタールートを経路案内用のルートとして記録するセンタールート記録手段(160)を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
更に前記端末側制御部(16)は、前記ローカルルートおよび前記センタールートのうち経路案内用のルートとするルート上に、1つまたは複数の再探索ポイントを設定する再探索ポイント設定手段(165、170)を備え、
更に前記端末側制御部(16)は、前記経路案内用のルートを案内しているときに、前記移動端末(1)が前記再探索ポイントのいずれかに対して前記経路案内用のルートに沿って基準距離以内の手前に接近したか否かを判定し、接近したと判定したことに基づいて、現在地と前記目的地を含んだ再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求を前記センター(2)に送信する再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(340)を備え、
前記センター側制御部(23)の前記マルチモーダルルート探索要求受信手段(23c)は更に、前記再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(340)によって前記移動端末(1)から送信された前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求を受信し、
前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)は更に、前記マルチモーダルルート探索要求受信手段(23c)が前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、前記センター側地図データベース(22b)および前記現状公共交通機関データベース(22c)を用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルートおよび公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求中の前記現在地から前記目的地までの最適な再探索ポイント用センタールートを算出し、
前記マルチモーダルルート配信手段(23e)は更に、前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)が算出した前記再探索ポイント用センタールートを前記移動端末(1)に送信し、
更に前記端末側制御部(16)は、前記再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(140)が送信した前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求の応答として、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)が送信した前記再探索ポイント用センタールートを受信したことに基づいて、前記再探索ポイント用センタールートを経路案内用のルートとして使用するセンタールート使用手段(360、362〜368)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)は、算出した前記センタールート上に1つまたは複数の再探索ポイントを設定し、
前記マルチモーダルルート配信手段(23e)は、前記センターマルチモーダルルート探索手段(23d)が設定した前記1つまたは複数の再探索ポイントを、前記移動端末(1)に送信し、
前記再探索ポイント設定手段(165、170)は、前記マルチモーダルルート配信手段(23e)によって送信された前記再探索ポイントを、前記経路案内用のルート上の再探索ポイントとして設定することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記センタールート使用手段(360、362〜368)は、前記再探索ポイント用センタールートの方が前記経路案内用のルートよりも有利か否かを、
前記再探索ポイント用センタールートを現在位置から目的地まで移動するのに要する時間および前記経路案内用のルートを現在位置から目的地まで移動するのに要する時間と、
前記再探索ポイント用センタールートを現在位置から目的地まで移動するのに要する料金および前記経路案内用のルートを現在位置から目的地まで移動するのに要する料金と、
ユーザの選択操作と、
のうちいずれか1つまたは複数に基づいて判定し、有利であると判定した場合に、前記再探索ポイント用センタールートを新たな経路案内用のルートとして使用し、有利でないと判定した場合に、前記経路案内用のルートをそのまま経路案内用のルートとして使用することを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(340)は、前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に前記経路案内用のルートを含め、
前記マルチモーダルルート配信手段(23e)は、前記再探索ポイント用マルチモーダルルート探索要求に含まれる前記経路案内用のルートと、前記現状公共交通機関データベース(22c)に基づいて、少なくとも当該経路案内用ルートの各区間の現状の移動所要時間に関する不利情報を取得し、その取得した不利情報を前記再探索ポイント用センタールートと共に前記移動端末(1)に送信し、
前記センタールート使用手段(362〜368)は、前記再探索ポイント用センターマルチモーダルリクエスト手段(340)が送信した前記不利情報を利用して前記経路案内用のルートの各区間の移動所要時間を再計算し、再計算した移動所要時間を用いて、前記再探索ポイント用センタールートの方が前記経路案内用のルートよりも有利か否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
道路構成および公共交通機関の乗降施設の位置を含むセンター側地図データベース(22b)と、前記公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールおよび定常運行状態の運行スケジュールに対する現在の運行変化状況を含む現状公共交通機関データベース(22c)を記憶するセンター(2)、と通信可能な移動端末であって、
道路構成および前記公共交通機関の乗降施設の位置を含む端末側地図データベース(15b)と、前記公共交通機関の定常運行状態の運行スケジュールを含む定常公共交通機関運行データベース(15c)とを記憶する端末側記憶部(15)、および、端末側制御部(16)を備え、
前記端末側制御部(16)は、
前記センター(2)を利用せず、前記端末側地図データベース(15b)および前記定常公共交通機関運行データベース(15c)を用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルート、および公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、現在地から目的地までの最適なローカルルートを算出するローカルマルチモーダルルート探索手段(120)と、
前記ローカルマルチモーダルルート探索手段(120)によって算出された前記ローカルルートが公共交通機関を利用しているか否かを判定する判定手段(130)と、
前記判定手段(130)が利用していないと判定したことに基づいて、前記ローカルルートを経路案内用のルートとして記録するローカルルート記録手段(135)と、
前記判定手段(130)が利用していると判定したことに基づいて、前記現在地と前記目的地を含んだマルチモーダルルート探索要求を前記センター(2)に送信するセンターマルチモーダルリクエスト手段(140)と、
前記センター(2)が、マルチモーダルルート探索要求を受信したことに基づいて、前記センター側地図データベース(22b)および前記現状公共交通機関データベース(22c)を用いて、公共交通機関を利用せずに移動するルートおよび公共交通機関を利用して移動するルートを最適なルート中の区間の候補として、前記マルチモーダルルート探索要求中の前記現在地から前記目的地までの最適なセンタールートを算出し、算出した前記センタールートを当該移動端末に送信したとき、前記センタールートを受信したことに基づいて、前記センタールートを経路案内用のルートとして記録するセンタールート記録手段(160)と、を備えた移動端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78112(P2012−78112A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220952(P2010−220952)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】