説明

通信システム並びに通信装置

【課題】ブリッジ装置間で電力線伝送路を用いてデータ伝送を好適に中継する。
【解決手段】ブリッジ装置は、無線伝送路及び電力線伝送路の両者を併用した複合ブリッジ機能によりアクセスポイント間通信を行なうように構成される。すなわち、第1の複合ブリッジ装置では分割した送信データを第1の無線伝送路と電力線伝送路に交互に振り分けて送信しているので、いずれか一方の伝送路しか使用しない場合に比べると、通信速度は高速化する。したがって、例えばサーバから無線通信端末へ、大容量データのダウンロードや、動画像ストリーミングなどのアイソクロナス性が要求されるアプリケーションに好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のブリッジ装置を用いてデータ送信先まで中継を行なう通信システム並びに通信装置に係り、特に、ブリッジ装置間で電力線伝送路を用いてデータ伝送を中継する通信システム並びに通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに代表される、広域ネットワーク上で構築される情報提供サービスの利用が盛んであり、大容量データ・ファイルのダウンロードや動画像ストリーム配信などを行なう機会が多い。この種のサービスを家庭内などで享受する一般的な形態として、ADSL(Asyncronous Digital Subscriber Line)や)などの広帯域の有線通信を通してルータなどのブリッジ装置をインターネットに接続するとともに、家庭内に敷設したLANを経由してブリッジ装置からパーソナル・コンピュータ(PC)などの情報端末にデータを転送することが考えられる。
【0003】
最近ではLANの無線化が急速に進められている。この場合、外部ネットワークと仲介するブリッジ装置は、家庭内では無線LANのアクセスポイントとして機能することになる。図13にはそのシステム構成例を模式的に示している。図示の例では、ブリッジ装置103は、サーバ101と有線伝送路102を介して接続するネットワーク・インターフェース機能と、PCなどの無線端末105、106に対する無線LANのアクセスポイント機能と、有線伝送路102及び無線伝送路104間のプロトコル変換機能を備えている。
【0004】
現在、家庭用の無線LANで主に使用されている方式は、キャリア周波数に5.2GHz帯を用いるIEEE802.11aや、2.4GHz帯を用いるIEEE802.11b/gである。例えばIEEE802.11a/gでは、無線LANの標準規格として、マルチキャリア方式の1つであるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調方式が採用されている。OFDM変調方式では、送信データを相互に直交する周波数が設定された複数のキャリアに分配して伝送する。互いに直交するとは、任意のサブキャリアのスペクトラムのピーク点が常に他のサブキャリアのスペクトラムのゼロ点と一致していることを意味する。したがって、送信データを周波数の異なる複数のキャリアに分配して伝送するので、各キャリアの帯域が狭帯域となり、周波数利用効率が非常に高く、周波数選択性フェージング妨害に強いという特徴がある。
【0005】
無線LANは、電波関連の法規制や、他のシステムとの干渉回避などのため、送信出力が抑制されており、通信距離が制限されることや、壁越えが不得手で部屋間通信を行なうことができない、という問題がある。このため、図14に示すように、有線伝送路202を介してサーバ201と接続するブリッジ装置203を、さらに他の無線ブリッジ装置205で末端の無線通信端末207、208へリレーする、といったシステムの形態が考えられる。すなわち、無線ブリッジ装置203と205は、アクセスポイント間通信(WDS:Wireless Distribution System)を行なう。
【0006】
アクセスポイント間通信によれば、無線通信端末207、208はローミング機能を利用してサービスエリアを拡大するが、その際、アクセスポイント同士を接続するためのLANケーブルの敷設は不要である。例えば、同一の無線ネットワーク内に有線ネットワークとのアクセスポイントが複数存在する場合に、アクセスポイント同士がアクセスポイント間通信を行なうことで、無線端末がいずれか1つのアクセスポイントのみと通信するだけで複数のアクセスポイントを介してそれぞれの有線ネットワークにアクセスする無線通信システムについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0007】
図14に示した通信システムにおいて、無線ブリッジ装置205が中継する2つの無線伝送路204と206は同じ無線LAN規格であっても、あるいは異なる無線LAN規格であっても良い。無線伝送路204と206を異なる周波数帯で運用する場合、無線伝送路204及び206は、それぞれ独立した伝送路であるから、同時に送信動作を行なっても、それらが干渉することがなく、言い換えれば、無線ブリッジ装置205がリレーすることに伴うスループットの低下は少ない。その反面、無線ブリッジ装置205は、無線伝送路204及び206でそれぞれ使用する周波数帯での送受信を同時に行なうことから、2通りの送受信器が必要になる。さらに、2つの周波数チャネルで送受信が同時に行なわれるため、近接チャネル間の干渉を避けるために高精度のフィルタが必要となり、機器がさらに高価になる。
【0008】
一方、無線伝送路204と206同じ周波数帯で運用する場合は、無線ブリッジ装置205は1つの送受信器を装備すればよいことから、機器構成として低価格に抑えることができる。しかしながら、無線伝送路204と206が同じ周波数チャネルを使用する場合には、互いの干渉を回避する必要があり、無線伝送路204を使用中のときには無線伝送路206は使用できない。このため、システム全体のスループットは単純に半分以下となる。また、通常の無線LANには、送信時間をランダムにずらすランダム・バックオフの仕組みが含まれており、複数の端末から同時にデータが送信されて衝突と防止するようになっているが、全く同じ時間に送信を開始してしまう可能性は排除できない。よって、無線ブリッジ装置203から無線ブリッジ装置205へのデータ送信と、無線ブリッジ装置205から無線通信端末207又は208へのデータ送信が衝突することにより、スループットはさらに低下する。
【0009】
ところで、無線LANの代表規格であるIEEE802.11aやIEEE802.11g(前述)は、データの伝送速度が物理層で最大54Mbps、MAC(Media Access Control)層で最大30Mbps弱、TCP(Transport Control Protocol)伝送での実行的な速度は最大20Mbps程度である。しかしながら、世の中において扱われるデータ情報量の増加に伴い、さらに速い伝送速度を実現するための通信方式が必要であると思料される。また、無線通信技術は、総じて、同じ周波数チャネルを利用する他のシステムとの干渉の影響を受け易い、という問題がある。
【0010】
他方、電力線を介して電力の供給を受ける通信機能を有する機器が通信信号を電力線に重畳して、他の同様な機能を有する機器との間で電力線を介して通信を行なう電力線通信(PLC:Power Line Communication)が知られている。電力線通信によれば、ACコンセントが配設された部屋間であれば機器間で通信を行なうことができ、相手の機器がどの場所にいるかに制限されない。電力線通信を用いた通信システムは、既存の電力線を利用することにより新たな通信線を敷設することなしに、しかも100Mbps以上の高速通信を実現することができる。
【0011】
図15には、サーバ301とPCなどの通信端末307の間の有線伝送路の一部を、一組のPLCブリッジ装置303によって電力線伝送路304に置き換えた通信システムの構成例を示している。図示の例では、PLCブリッジ装置303は、サーバ301と有線伝送路302を介して接続するネットワーク・インターフェース機能と、PLCインターフェース機能を備えている。PLCブリッジ装置303は、電力線304を介して他方のPCLブリッジ装置305が接続されている。また、PLCブリッジ装置305は、有線伝送路306を経由して、PCなどの末端の情報端末307へリレーしている。
【0012】
図15に示した例では、有線伝送路302又は306は、例えばEthernet(登録商標)に代表される有線LANである。例えば、PLC LANと該PLC LANとは異なるネットワーク技術装置との間をパケットが効率よく通過できるように、PLC MACブリッジによるPLCネットワークのエッジで受信されたパケットを接続処理する方法について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0013】
また、図16に示すように、図14に示した通信システムにおけるアクセスポイント間通信を無線LANから電力線伝送路に置き換えて構成することも可能である。例えば、アクセスポイント間通信を電力線伝送路で構成した通信システムについて提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。このような通信システムによれば、アクセスポイント間を接続する新たにローカルエリアネットワークを構築する場合に、配線工事を不要にでき、また通信装置の設置場所を限定せず、さらに設置による美観の悪化を防止することができる。
【0014】
しかしながら、電力線通信を利用した通信システムは、通信を行なう家屋の構造によってその振る舞いが異なり、また、生活リズムに起因して生じるノイズ(コードの抜き差しやドライヤの使用により生じるノイズなど)による影響を受け易い、といった問題がある。
【0015】
【特許文献1】特開2004−222136号公報
【特許文献2】特開2005−39814号公報
【特許文献3】特開2002−374189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、複数のブリッジ装置を用いてデータ送信先まで好適に中継を行なうことができる、優れた通信システム並びに通信装置を提供することにある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、ブリッジ装置間で電力線伝送路を用いてデータ伝送を好適に中継することができる、優れた通信システム並びに通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、データ送信元となるサーバからデータ受信先である無線通信端末へデータ伝送を行なうための通信システムであって、
前記サーバと有線伝送路で接続され、該有線伝送路上の伝送データを第1の無線伝送路及び電力線伝送路からなる複合メディアに転送してデータ伝送を中継する第1の複合ブリッジ装置と、
前記複合メディア上の伝送データを第2の無線伝送路を介して前記無線通信端末へ転送してデータ伝送を中継する第2の複合ブリッジ装置と、
を備えることを特徴とする通信システムである。
【0019】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない(以下、同様)。
【0020】
無線LANシステムにおいては、アクセスポイント間通信によるローミング機能を利用して無線通信端末に提供するサービスエリアを拡大することができる。無線通信端末側のアクセスポイントが、アクセスポイント間通信によりデータ伝送の中継を行なう際、アクセスポイント間の無線伝送路と無線通信端末との無線伝送路を同じ周波数帯で運用すれば、機器構成として低価格に抑えることができる。
【0021】
しかしながら、アクセスポイントで中継される2つの隣接する無線伝送路同士の干渉を回避する必要があり、一方の無線伝送路を使用中は他方の無線伝送路では伝送動作を待機しなければならず、スループットは低下する。また、ランダム・バックオフの仕組みで衝突の防止を試みても、衝突の可能性を完全に排除することはできない。また、無線通信を利用したアクセスポイント間通信は部屋越えが不得手となる。
【0022】
これに対し、アクセスポイント間の通信を電力線伝送路で行なう技術が存在する。電力線通信を用いた通信システムは、既存の電力線を利用することにより新たな通信線を敷設することなしに、しかも100Mbps以上の高速通信を実現することができる。しかしながら、電力線伝送路は、生活リズムに起因して生じるノイズによる影響を受け易い、という問題がある。
【0023】
そこで、本発明に係る通信システムでは、ブリッジ装置は、無線伝送路及び電力線伝送路の両者を併用した複合ブリッジ機能によりアクセスポイント間通信を行なうように構成される。すなわち、第1の複合ブリッジ装置では分割した送信データを第1の無線伝送路と電力線伝送路に交互に振り分けて送信しているので、いずれか一方の伝送路しか使用しない場合に比べると、通信速度は高速化する。したがって、例えばサーバから無線通信端末へ、大容量データのダウンロードや、動画像ストリーミングなどのアイソクロナス性が要求されるアプリケーションに好適である。
【0024】
このように第1の無線伝送路と電力線伝送路からなる複合メディアを用いてアクセスポイント間通信を行なう場合も、隣接する第1の無線伝送路と第2の無線伝送路の干渉を回避する必要があり、一方の無線伝送路を使用中は他方の無線伝送路では伝送動作を待機しなければならない。このため、データ伝送先となる無線通信端末へのスループットが最大となるように、複合ブリッジ装置同士では、第1の無線伝送路と電力線伝送路に送信データを配分してアクセスポイント間通信を行なうことが重要である。
【0025】
そこで、本発明に係る通信システムでは、第1及び第2の無線伝送路、及び電力線伝送路のそれぞれにおいて単独で送信すると仮定した場合の最大スループットを基にして、システム全体のスループットを最大にするための伝送データの配分を算出するようにしている。
【0026】
この場合、第1及び第2の無線伝送路、及び電力線伝送路それぞれが単体で持つ実効スループットW1、W2、Pはあらかじめ判明しているものとし、且つ、各々の伝送路では最大スループットでデータ送信が行なわれることを前提とする。
【0027】
第1の複合ブリッジ装置では、まず、単位伝送時間を第1の無線伝送路と第2の無線伝送路に時分割割り当てした比率に基づいて決定される(但し、電力線伝送路上の送信データ量を考慮しない)、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信可能なデータ量を求める。
【0028】
さらに、単位伝送時間当たりの第1の無線伝送路上の送信データ量と電力線伝送路上の送信データ量を足したデータ量を考慮して、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信する必要があるデータ量を求める。
【0029】
次いで、それぞれの観点から求められたデータ量を基に、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信可能なデータ量の最大値を求め、これを通信システム全体の最大スループットとする。そして、第1及び第2の複合ブリッジ装置は、この最大スループットを実現する比率で、単位伝送時間を第1及び第2の無線伝送路に時分割割り当てを行ない、複合ブリッジ装置間、並びに第2の複合ブリッジ装置から無線通信装置へ、無線データ伝送を行なうようにする。
【0030】
但し、単位伝送時間を第1及び第2の無線伝送路の使用に時分割割り当てするのは、第2の無線伝送路のスループットが電力線伝送路のスループットよりも大きい場合にのみ有効である。逆に、電力伝送路のスループットの方が第2の無線伝送路のスループットよりも大きいときには、単位伝送時間が第1の無線伝送路にも時分割割り当てされ、その分だけ第2の無線伝送路の送信データ量が減少するため、単純に通信システム全体のスループットが低下していく。
【0031】
したがって、後者の場合には、単位伝送時間をすべて第2の無線伝送路に割り当て、電力線伝送路上で第2の無線伝送路のスループット相当のデータ伝送を行なうことが好ましいと思料される。
【0032】
上述したように第1の無線伝送路と電力線伝送路に送信データを配分してアクセスポイント間通信を行なうには、第1の複合ブリッジ装置は第1及び第2の無線伝送路、並びに電力線伝送路がそれぞれ単体で持つ実効スループットがあらかじめ判明する必要がある。
【0033】
しかしながら、第1の複合ブリッジ装置は、第2の複合ブリッジ装置とデータ受信先である無線通信端末間を接続する第2の無線伝送路の実効スループットを自ら知る手段を備えていない。そこで、第2の複合ブリッジ装置は、第2の無線伝送路のスループットに関する情報を、第1の無線伝送路又は電力伝送路を介して送信するパケットに含まれる制御データとして通知するようにすれば良い。
【0034】
具体的には、第2の複合ブリッジ装置は、第1の複合ブリッジ装置に送信する任意のフォーマットの制御データとして、定期的に第2の無線伝送路のスループットに関する情報を通知するようにする。あるいは、無線LANのアクセスポイントとして第2の複合ブリッジ装置が定期的に報知するビーコンの中に第2の無線伝送路のスループットに関する情報を含めることで、定期的に通知するようにする。あるいは、第1の複合ブリッジ装置から第1の無線伝送路又は電力線伝送路を介して送信されるデータ・パケットに対するACK/NACKなどの制御パケットの中に第2の無線伝送路のスループットに関する情報を含めることで、通知するようにする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ブリッジ装置間で電力線伝送路を用いてデータ伝送を好適に中継することができる、優れた通信システム並びに通信装置を提供することができる。
【0036】
また、本発明によれば、複数のブリッジ装置が無線伝送路と電力線伝送路を併用してアクセスポイント間通信を行なって、データ送信先まで好適に中継を行なうことができる、優れた通信システム並びに通信装置を提供することができる。
【0037】
また、本発明によれば、データ伝送先へのスループットが最大となるように、ブリッジ装置同士で無線伝送路と電力線伝送路に送信データを配分してアクセスポイント間通信を行なうことができる、優れた通信システム並びに通信装置を提供することができる。
【0038】
また、本発明によれば、ブリッジ装置同士の無線伝送路とブリッジ装置で中継される無線通信端末との無線伝送路が同じ周波数帯で運用される場合において、ブリッジ装置において中継される隣接する無線伝送路同士の干渉を回避しながら、データ伝送先へのスループットが最大となるように、ブリッジ装置同士で無線伝送路と電力線伝送路に送信データを配分してアクセスポイント間通信を行なうことができる、優れた通信システム並びに通信装置を提供することができる。
【0039】
本発明に係る通信システムでは、データ送信元であるサーバとデータ受信先である無線通信端末の間を複合メディアで中継する第1及び第2の複合ブリッジ装置において、各メディアのスループットを考慮して第1の無線伝送路へ送信するデータ量を制御するようになっているので、システム全体としてより高いスループットを実現することができる。
【0040】
また、第1及び第2の複合ブリッジ装置において、中継する複合メディアとしての第1の無線伝送路及び電力線伝送路、並びにデータ送信先への接続メディアである第2の無線伝送路のスループットを頻繁に計測することによって、時々刻々と変化する各メディアの通信品質に追従しながら、システム全体としてより高いスループットを実現することができる。
【0041】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0043】
本発明は、ブリッジ装置間で電力線伝送路を用いてデータ伝送を中継する通信システムに関する。電力線通信を利用した通信システムは、通信を行なう家屋の構造によってその振る舞いが異なり、また、生活リズムに起因して生じるノイズによる影響を受け易い。そこで、本発明の一実施形態では、ブリッジ装置は、無線伝送路及び電力線伝送路からなる複合メディアで中継を行なう複合ブリッジ機能によりアクセスポイント間通信を行なうように構成される。
【0044】
例えば、本出願人に既に譲渡されている特開2006−109022号公報には、無線伝送路及び電力線伝送路の両者を併用して、それぞれの伝送路の合成又は選択を行なうことにより通信状態に応じた伝送形態によって、両者の通信品質を補完し合いながら、効率の良い伝送を実現するという、ハイブリッド式の通信システムについて提案がなされている。
【0045】
図1には、本発明の一実施形態に係る通信システム構成を模式的に示している。図示のシステムでは、図16に示した通信システムおける各PLCブリッジ装置を、PLCインターフェースとともに無線LANインターフェースを備えた複合ブリッジ装置403及び406に置き換えた構成例となっている。なお、無線伝送路の具体的な周波数については特に制約はないが、IEEE802.11a/gなどの標準的な無線LAN規格に従う場合には2.4GHz帯や5GHz帯を使用することが考えられ、一方、電力線による伝送路では、一般的に短波帯すなわち3MHz〜30MHzの周波数帯域が用いられる。本実施形態では、マルチパス対策や他システムへの部分的な干渉除去がし易いという観点から、各伝送路においてOFDM変調方式が用いられるものとする。
【0046】
図1において、一方の複合ブリッジ装置403は、サーバ401とはEthernet(登録商標)などの有線伝送路402を介して接続するとともに、他方の複合ブリッジ装置406とは無線伝送路404及び電力線伝送路405の両者を併用したハイブリッドな伝送路を介して接続され、アクセスポイント間通信が行なわれ、そして、他方の複合ブリッジ装置406は、無線伝送路407を介して、末端にあるPCなどの無線端末408にリレーする。
【0047】
図1に示した通信システムは、例えば住居において、1階にインターネットとの接続点を持つ複合ブリッジ装置403を設置するとともに、2階に複合ブリッジ装置406を設置して、2階の無線通信端末からもインターネット接続をできるような構成に適用することができる。
【0048】
図示の通信システムにおいて、サーバ401から無線通信端末408へデータを伝送する際、データはまずEthernet(登録商標)などの有線伝送路402を通って、複合ブリッジ装置403へと伝送される。
【0049】
複合ブリッジ装置403では、受信データを複合ブリッジ装置406へパケットを転送する際、無線伝送路404又は電力線伝送路405のうちいずれかのメディアを選択するか、若しくは伝送データを分割して両方のメディアに振り分けて伝送する。そして、複合ブリッジ装置406は、受信したデータを、無線伝送路407経由で無線通信端末408へ送信する。
【0050】
図2には、サーバ401と無線通信端末408間をリレーする複合ブリッジ装置403と複合ブリッジ装置406間でアクセスポイント間通信を行なう際の、無線伝送路及び電力線伝送路の各メディアに送信パケットを振り分けて伝送する様子を示している。
【0051】
同図において、D1、D2、D3、…は送信パケットであり、下付きの数字は元の送信ストリーム中での順番を示している。図示のように、分割した送信データを無線伝送路404と電力線伝送路405に交互に振り分けて送信しているので、いずれか一方の伝送路しか使用しない場合に比べると、通信速度は高速化する。したがって、例えばサーバ401から無線通信端末408へ、大容量データのダウンロードや、動画像ストリーミングなどのアイソクロナス性が要求されるアプリケーションに好適である。
【0052】
図1に示した通信システムにおいて、Ethernet(登録商標)などの有線伝送路402に接続されるサーバ401は、例えばサーバ・アプリケーションを動作させている一般的なパーソナル・コンピュータなどで構成されるので、説明を省略する。また、無線LANなどの無線伝送路407を介して複合ブリッジ装置406に接続される無線通信端末408は、アクセスポイントなどの基地局と通信可能な端末局でよいので、説明を省略する。以下では、無線伝送路404及び電力線伝送路405からなる複合メディアと一般的な無線伝送路407間をブリッジする複合ブリッジ装置406の構成について、図3を参照しながら説明しておく。
【0053】
複合ブリッジ装置406は、無線伝送路404用のアンテナ11と、切替スイッチ(SW)12と、RF受信部13及びRF送信部14と、パワーアンプ15を備えるとともに、電力線405用のプラグ21と、電源コード22と、結合器23と、切替スイッチ(SW)24と、PLC受信部25及びPLC送信部26と、パワーアンプ27を備え、他方の複合ブリッジ装置403との間で無線伝送路404における送受信と電力線伝送路405における送受信とを同時に行なうことができる。
【0054】
アンテナ11は、例えば2.4GHzなどの無線周波数帯の高周波信号を送受信するために用いられる。切替スイッチ12は、無線周波数帯におけるRF受信部13とRF送信部14とを切替えてアンテナ11に接続する。また、切替スイッチ24は、電力線405を伝搬するような短波帯におけるPLC受信部25とPLC送信部26とを切替えて結合器23に接続する。プラグ21は、電力線のコンセントに接続される電源コード22のプラグである。結合器23は、短波帯の信号と電力線とを結合させるためのカップラである。
【0055】
RF受信部13及びPLC受信部25は、それぞれ無線周波数帯及び短波帯における信号を受信して復調及び復号する。また、RF送信部14及びPLC送信部26は、それぞれ無線周波数帯及び短波帯における信号を送信するために符号化及び変調する。RF送信部14及びPLC送信部26の出力部には、それぞれパワーアンプ15及び27が接続されており、送信信号を増幅する。
【0056】
また、複合ブリッジ装置406は、無線伝送路407用のアンテナ31と、切替スイッチ(SW)32と、RF受信部33及びRF送信部34と、パワーアンプ35を備え、無線通信端末408との間で無線伝送路407における送受信を行なう。RF受信部33及びRF送信部34における通信動作は、RF受信部13及びRF送信部14と同様である。
【0057】
複合ブリッジ装置403側も、複合ブリッジ装置406と同様のRF送受信並びにPLC送受信の回路機能モジュールを備えているものとする。なお、複合ブリッジ装置403は、サーバ401との間では、無線ではなくEthernet(登録商標)などの有線伝送路402を通して送受信を行なうが、有線インターフェースなどの構成自体は周知技術を適用することができるので、説明を省略する。
【0058】
図4には、図3に示した複合ブリッジ装置406のPLC受信部25の内部構成例を示している。図示のPLC受信部25は、OFDM方式を想定しており、ダウンコンバータ251と、直交復調器252と、離散フーリエ変換器(DFT)253と、差動復号器254と、デマップ回路255と、誤り訂正回路256を備え、結合器23により受信した短波帯の高周波信号を中間信号に変換して復調及び復号するように構成されている。
【0059】
ダウンコンバータ251は、短波帯の信号を所定の中間周波数帯の中間信号に変換する。直交復調器252は、ダウンコンバータ251により変換された中間信号を直交検波して、中間信号とは同相となる同相信号(I信号)及び中間信号の直交成分である直交信号(Q信号)からなるベースバンド信号を抽出する。離散フーリエ変換器253は、直交復調器252により抽出されたベースバンド信号を、ガード期間を除いた有効シンボル期間で高速フーリエ変換して、サブキャリア毎に複素データを復調する。差動復号器254は、例えばPSK(Phase Shift keying)方式において利用され、離散フーリエ変換器213により復調された複素データを差動復号する。デマップ回路255は、差動復号器254により復号された複素データをデマップしてデータ・シンボルを取り出す。誤り訂正回路256は、ビタビ復号などによりデータの訂正を行なう。このようにして得られたデータは、通信制御部40の物理層インターフェース41に出力される。
【0060】
なお、ここではPLC受信部25において短波帯の信号を受信処理する構成について説明したが、RF受信部13も同様の構成により、アンテナ11により受信した2.4GHz帯などの無線信号を中間信号に変換して復調及び復号する。
【0061】
また、図5には、図3に示した複合ブリッジ装置406のPLC送信部26の内部構成例を示している。図示のPLC送信部26は、OFDM方式を想定しており、誤り訂正符号化回路261と、マップ回路262と、差動符号化器263と、逆離散フーリエ変換器(IDFT)264と、直交変調器265と、アップコンバータ266を備え、物理層インターフェース41からのデータを符号化及び変調して高周波信号に変換してプラグ21に向けて出力するように構成されている。
【0062】
誤り訂正符号化回路261は、ビットレートに応じて畳み込み符号等で符号化する。マップ回路262は、誤り訂正符号化回路261により誤り符号化されたデータを複素データ・シンボルにマッピングする。差動符号化器263は、マップ回路262によりマッピングされた複素データ・シンボルを差動符号化してサブキャリア毎に複素データを割り当てる。逆離散フーリエ変換器264は、差動符号化器263により差動符号化された複素データを逆フーリエ変換により変調して、ベースバンド信号(I信号及びQ信号)を出力する。直交変調器265は、ベースバンド信号を直交変調して所定の中間周波数帯の中間信号を生成する。アップコンバータ266は、直交変調器265により生成された中間信号を短波帯の信号に変換してプラグ21に向けて出力する。
【0063】
なお、ここではPLC送信部26について説明したが、RF送信部14も同様の構成により、物理層インターフェース31からのデータを符号化及び変調して2.4GHz帯などの無線信号に変換してアンテナ11に向けて出力する。
【0064】
図6には、図3に示した複合ブリッジ装置406の通信制御部40内の、無線伝送路404及び電力線伝送路405からなる複合メディアにおけるデータ送信制御機能の機能的構成を示している。一方の複合ブリッジ装置403も同様のデータ送信制御機能を備えているものとする。
【0065】
図示のデータ送信制御機能は、データ・バッファ442に保持されたデータを分配するデータ分配部441と、無線伝送路404におけるデータ分配を制御する分配制御部A410と、電力線伝送路405におけるデータ分配を制御する分配制御部B420を備えている。
【0066】
分配制御部A410は、キャリアセンス部A411と、レスポンス判別部A412と、カウンタA413と、データ出力部A415で構成される。
【0067】
キャリアセンス部A411は、無線伝送路404における空き状況を、データ出力部A415、レスポンス判別部A412及びデータ分配部441に報告する。
【0068】
データ出力部A415は、キャリアセンス部A411により無線伝送路404が空いていないと報告された場合には、データを出力しない結果として、電力線伝送路405が空いていれば電力線伝送路405だけでデータ送信が行なわれることになる。この場合、電力線伝送路405におけるデータ送信が開始されてしまうと、その後で無線伝送路404が空いたことが判明したとしてもその回の無線伝送路404におけるデータ転送は行なわれないように制御することが望ましい。これは、無線伝送路404におけるデータ送信のタイミングにずれが生じることによる制御の複雑化を回避するためである。
【0069】
また、レスポンス判別部A412及びデータ分配器431は、キャリアセンス部A411により無線伝送路404が空いていないと報告された場合、実際のレスポンスを待つことなく次のデータ送信に関する制御を行なうことができる。
【0070】
レスポンス判別部A412は、無線伝送路404における前回のデータ送信に対するレスポンスを判別して、その結果をデータ分配部441、カウンタA413及びカウンタB423に供給する。
【0071】
カウンタA413は、成功カウンタA及び失敗カウンタA(いずれも図示しない)からなる。成功カウンタAは、無線伝送路404におけるデータ送信に対するレスポンスの受信に連続して成功した際の連続回数をカウントする。一方、失敗カウンタAは、無線伝送路404における送信データの受信に連続して失敗した際の連続回数をカウントする。
【0072】
カウンタA413にはレスポンス判別部A412及びレスポンス判別部B422の両者からレスポンス判別結果が供給されるようになっており、いずれか一方の伝送路404又は405における通信状態が悪化してレスポンスを受信できないような場合であっても、少なくとも一方の伝送路404又は405においてレスポンスを受信できれば、すべての周波数帯におけるデータの受信状態を認識することができる。
【0073】
また、分配制御部B420も、分配制御部A430と同様の構成により、電力線伝送路405におけるデータ分配を制御する。
【0074】
データ分配部441は、データ・バッファ442から送信データを取り出して、順次、データ出力部A415及びデータ出力部B425に分配していく。但し、次のようにカウンタA413の状態に応じて、無線伝送路404又は電力線伝送路405におけるデータ送信形態を切り替える。
【0075】
具体的には、サーバ401から無線通信端末408への下り方向のデータ送信のために、複合ブリッジ装置403と複合ブリッジ装置406がアクセスポイント間通信を行なう際、複合ブリッジ装置403側の通信制御部40のデータ送信制御機能では、失敗カウンタAや成功カウンタAによる計数値に基づいて無線伝送路404又は電力線伝送路405それぞれの通信品質をチェックして、無線伝送路404又は電力線伝送路405のうちいずれかのメディアを選択するか、若しくは伝送データを分割して両方のメディアに振り分けて伝送する(図2を参照のこと)。
【0076】
図7には、図3に示した複合ブリッジ装置406の通信制御部40内における、無線伝送路404及び電力線伝送路405からなる複合メディアにおけるデータ受信制御機能の機能的構成を示している。一方の複合ブリッジ装置403も同様のデータ送信制御機能を備えているものとする。
【0077】
図示のデータ受信制御機能は、各周波数帯において受信したデータを併合してデータ・バッファ472に保持させるデータ併合部471と、無線伝送路404における受信パケットのデータ併合を制御する併合制御部A480と、電力線伝送路405におけるデータ併合を制御する併合制御部B490を備えている。
【0078】
併合制御部A480は、データ判別部A481と、レスポンス出力部A482とからなる。また、併合制御部B490は、データ判別部B491と、レスポンス出力部B492とからなる。
【0079】
データ判別部A481は、無線伝送路404におけるデータ受信状態を判別して、その結果をデータ併合部471と、レスポンス出力部A482及びB492に供給する。また、データ判別部B491は、電力線伝送路405におけるデータ受信状態を判別して、その結果をデータ併合部471と、レスポンス出力部A482及びB492に供給する。
【0080】
レスポンス出力部A482は、データ判別部A481による無線伝送路404におけるデータ受信状態の判別結果、及びデータ判別部B491による電力線伝送路405におけるデータ受信状態の判別結果を併せて、無線伝送路404におけるレスポンスとして出力する。また、レスポンス出力部B492は、データ判別部A481による無線伝送路404におけるデータ受信状態の判別結果及びデータ判別部B491による電力線伝送路405におけるデータ受信状態の判別結果を併せて、電力線伝送路405におけるレスポンスとして出力する。すなわち、各伝送路404並びに405におけるレスポンスには、すべての伝送路404及び405におけるデータ受信状態の判別結果が含まれることになる。
【0081】
例えば、サーバ401から無線通信端末408への下り方向のデータ送信のために、複合ブリッジ装置403と複合ブリッジ装置406がアクセスポイント間通信を行なう際には、複合ブリッジ装置406は、複合ブリッジ装置403から下り方向で送出されるデータ・パケットに対するACK/NACKなどの制御パケットに、上述したレスポンスの内容が含まれる。
【0082】
図8には、本実施形態に係る通信システムにおいて使用されるデータ・パケットのフレーム構成例を示している。図示のパケットは、複合ブリッジ装置403と複合ブリッジ装置406がアクセスポイント間通信を行なう際に使用され、物理層ヘッダ610と、MACヘッダ620と、ペイロード630とからなる。
【0083】
物理層ヘッダ610は、物理層として例えばPLCP(物理層コンバージェンスプロトコル)副層における情報を伝達するPLCPフレームのヘッダであり、伝送速度、変調方式やPLCPフレームの長さなどを示すフィールドを含んでいる。また、MACヘッダ620は、MAC副層における情報を伝達するMACフレームのヘッダであり、フレームの種類やフレームの送受信アドレスなどを示すフィールドを含んでいる。また、ペイロード630は、MACフレームのペイロードであり、データ631及びCRC632を含んでいる。
【0084】
本実施形態では、パケットにおけるMACヘッダ620には、使用状況621、順序622、及び、CRC623の各フィールドを含んでいる。
【0085】
使用状況621は、このフレームが送信された際の各周波数帯の使用状況を示すフィールドであり、複合メディアを構成する伝送路毎に1ビットが割り当てられている。例えば、1ビット目が「0」の場合に無線伝送路404は未使用であることを示し、「1」の場合に無線伝送路404が使用されていることを示す。同様に、2ビット目が「0」の場合に電力線伝送路405は未使用であることを示し、「1」の場合に電力線伝送路405が使用されていることを示す。これにより、フレームを受信した受信部13及び25は、それぞれ他方の伝送路において同時に送信されたフレームが存在するか否かを知ることができる。
【0086】
順序622は、同時に送信されたデータ同士の順序関係(パケットの通し番号)を示すフィールドであり、例えば同時に2つのデータが分配されるものとすると、「0」の場合に前半データであることを示し、「1」の場合に後半データであることを示す。CRC(Cyclic Redundancy Code)623は、MACヘッダ620におけるデータ誤りを検出するための巡回型冗長チェック符号である。
【0087】
フレーム送信の際、通信制御部40のデータ分配部441は、これら使用状況621及び順序622を生成してMACヘッダ620に付加する。一方、フレーム受信側では、通信制御部40のデータ併合部471が順序622に従ってデータをデータ・バッファ472に格納する。
【0088】
例えば、サーバ401から無線通信端末408への下り方向のデータ送信のために、複合ブリッジ装置403と複合ブリッジ装置406がアクセスポイント間通信を行なう際には、図2に示したように、各伝送路404及び405へ送信データの分配、すなわちパケットの振り分けが行なわれる。図9には、転送対象となるデータを2つに分割して、各伝送路404及び405の送信パケットに分配して送信する様子を示している。図示の例では、転送データ601が1512バイトであり、データ・パケット602に含まれるデータは転送データ601の前半部分の504バイト、データ・パケット603に含まれるデータは転送データ601の後半部分の1008バイトとなっている。
【0089】
図10には、本実施形態に係る通信システムにおいて、レスポンスの返信に使用される制御パケットのフレーム構成例を示している。図示のレスポンス・パケットは、例えば、データ・パケットを受信した端末局からデータ送信元の基地局に返送されるものであり、物理層ヘッダ640と、MACヘッダ650と、ペイロード660とからなる。物理層ヘッダ640がPLCP副層における情報を伝達するPLCPフレームのヘッダである。MACヘッダ650がMAC副層における情報を伝達するMACフレームのヘッダである点は、図8に示したデータ・パケットの物理層ヘッダ610及びMACヘッダ620と同様である。
【0090】
図示のレスポンス・パケットは、ペイロード660において状態661及びCRC662の各フィールドを含んでいる。状態661は、分配されたデータの受信状態を示すフィールドである。また、CRC662はMACヘッダ650及びペイロード660におけるデータ誤りを検出するための巡回型冗長チェック符号である。
【0091】
状態661は、分配されて同時に送信されたデータに関する受信状態をすべて含む。したがって、例えば無線伝送路404におけるレスポンス・パケットであっても無線伝送路404のみならず電力線伝送路405の受信状態も含む。このため、状態661は、分配されたデータの数に応じた情報を含み、データが2つに分配されて送信された場合には、当該フィールドは例えば2ビットで構成され、1ビット目で前半部の受信状態を示し、2ビットで後半部の受信状態を示すものとすることができる。すなわち、前半部の受信に成功した場合には1ビット目が「0」、前半部の受信に失敗した場合には1ビット目が「1」となる。同様に、後半部の受信に成功した場合には2ビット目が「0」、後半部の受信に失敗した場合には2ビット目が「1」となる。
【0092】
レスポンス・パケットの状態661は、データ・パケットを受信した複合ブリッジ装置406側の通信制御部40のデータ判別部A451及びB461における判別結果に基づいてレスポンス出力部A452及びB462により生成される。レスポンス・パケットはデータ送信元となる複合ブリッジ装置403に返送されて、複合ブリッジ装置403内のレスポンス判別部A412及びB422において状態661が判別される。
【0093】
続いて、本実施形態に係る通信システムおけるデータ伝送動作について説明する。
【0094】
図1に示した通信システムでは、複合ブリッジ装置403では、受信データを複合ブリッジ装置406へ転送する際、無線伝送路404又は電力線伝送路405のうちいずれかのメディアを選択するか、若しくは伝送データを分割して両方のメディアに振り分けて伝送する。そして、複合ブリッジ装置406は、受信したデータを、無線伝送路407経由で無線通信端末408へ送信する。
【0095】
複合ブリッジ装置403がどちらかのメディアを選択して複合ブリッジ装置406へデータを転送する場合、無線伝送路404と電力線伝送路405それぞれの通信状況に応じて送信することで、データ伝送先である無線通信端末408に至るまでの伝送路においてより高いスループットを得ることができる。
【0096】
例えば、複合ブリッジ装置403は、それぞれの伝送路404及び405の通信品質が同程度であれば、無線伝送路404と電力線伝送路405を交互に選択する。また、電力線伝送路405の通信品質の方が良好であれば、メディアとして電力線伝送路405を選択する回数を多くする(あるいは、電力線伝送路405だけを用いてデータを伝送する)、という具合に使用メディアを動的に変化させる。
【0097】
各メディアの通信品質の取得方法には、さまざまな方式が考えられる。例えば、無線伝送路404が一般的な無線LANシステムを用いる場合、複合ブリッジ装置403は、データ・パケットを送信した際に、送信先である複合ブリッジ装置406から返されるACK(Acknowledge)パケットの受信電界強度に基づいて通信品質を判断することかできる。また、電力線伝送路405の場合は、送信失敗時の再送回数などによって、通信品質を判断することができる。
【0098】
複合ブリッジ装置403及び406間の無線伝送路404と、ブリッジ装置406と無線通信端末408間の無線伝送路407は、同じ無線LAN規格であっても、異なる無線LAN規格であっても良い。本実施形態では、装置コストの低減を考慮して、複合ブリッジ装置406がブリッジする2つの無線伝送路404及び407は同じ周波数帯で運用されている。
【0099】
上述したように、複合ブリッジ装置403は、無線伝送路404と電力線伝送路405それぞれに通信品質に応じて、各メディアに振り分ける伝送データの割合を調整するように動作する。ところが、無線伝送路404及び407が同じ周波数チャネルを使用する場合には、無線伝送路404と無線伝送路407は同じ時間にはデータを送信することができない、という制約が課される。
【0100】
すなわち、無線伝送路404及び407が同じ周波数チャネルを使用する場合、互いの干渉を回避する必要がある。データ伝送が不定期に行なわれる場合には、キャリア検出に基づく干渉回避動作が必要である。また、アイソクロナス通信時などにおいては、単位伝送周期において隣接する無線伝送路404と407は時分割で帯域を予約する必要がある。
【0101】
いずれにせよ、無線伝送路404を使用中のときには無線伝送路407は使用できないため、スループットは単純に半分以下となる。このため、複合ブリッジ装置403と406の間では、データ伝送先となる無線通信端末408へのスループットが最大となるように、無線伝送路404と電力線伝送路405に送信データを配分してアクセスポイント間通信を行なうことが重要である。
【0102】
例えば無線伝送路404の通信品質が電力線伝送路405に比べて著しく良好であったとしても、大量のデータを無線伝送路404上で伝送すると、後続の無線伝送路407上で無線通信端末408へデータ伝送するための十分な帯域(すなわちデータ伝送時間)を確保できなくなる。この結果、複合ブリッジ装置403及び406の間ではスループットが向上したとしても、複合ブリッジ装置406において伝送データが滞留してしまうので、通信システム全体としてはスループットの低下を招来してしまう。
【0103】
また、このように1つの複合ブリッジ装置406によりブリッジされる無線伝送路404と無線伝送路407との干渉を回避するために、複合ブリッジ装置403及び406間において専ら電力線伝送路406のみを用いてアクセスポイント間通信を行なおうとすると、当該通信システム全体のスループットは電力線伝送路405の通信品質にのみ依存することになる。この場合、分割した送信データを無線伝送路404と電力線伝送路405に交互に振り分けて送信して、通信速度を高速化する、という複合メディアの特長を十分に活用できなくなる。勿論、生活リズムに起因するノイズが電力線伝送路405上で発生した場合には、無線伝送路404でこれを補うことができず、通信速度や通信品質が著しく劣悪となる。
【0104】
そこで、以下では、図1に示した通信システムにおいて、複合ブリッジ装置403と406間で無線によるアクセスポイント間通信と電力線伝送を同時に使用しながら、システム全体のスループットを最大にするためのデータ伝送方法について考察する。
【0105】
本実施形態では、各無線伝送路404及び407、並びに電力線伝送路405のそれぞれにおいて単独で送信すると仮定した場合の最大スループットを基にして、システム全体のスループットを最大にするための伝送データの配分を算出するようにしている。ここで言うデータの配分は、複合ブリッジ装置403において、サーバ401から受信した伝送データを無線伝送路404及び電力線伝送路405に振り分ける比率と、単位伝送時間を各無線伝送路404及び407が時分割で共有する比率を意味する。
【0106】
ここでは、無線伝送路404並びに407はともにIEEE802.11aなどの無線LAN規格を使用するものとする。そして、各伝送路404、405、407がそれぞれ単体で持つ実効スループットがあらかじめ判明しているものとする。すなわち、無線伝送路404ではW1[Mbps]、無線伝送路407ではW2[Mbps]、電力線伝送路405ではP[Mbps]とする。また、以下では、無線伝送路404並びに無線伝送路407で1秒間に送られるデータ量をそれぞれDATAw1、DATAw2とおく。
【0107】
まず、複合ブリッジ装置403から他方の複合ブリッジ装置406へ、無線伝送路404を介して1秒間に送信するデータ量について考えてみる。1秒間では最大でW1[Mbyte]だけ送信することができるが、1秒間をすべて無線伝送路404が占有すると無線伝送路407を使用する帯域がなくなるので、複合ブリッジ装置406において伝送データが滞留してしまい、通信システム全体としてはスループットの低下を招来してしまう。
【0108】
そこで、1秒間に複合ブリッジ装置403から送信するデータ量をDATAw1[byte](但し、DATAw1<W1とする)に制限する。この場合、無線伝送路404上で実効スループットW1にてDATAw1のデータ量を送信するための所要時間tw1[sec]は、下式(1)の通りとなる。
【0109】
【数1】

【0110】
この場合、1秒間のうち無線伝送路404を使用する時間をtw1[sec]に制限することになるから(但し、0<tw1<1)、下式(2)に示すように、残りのtw2(=1−tw1)[sec]を複合ブリッジ装置406が複合ブリッジ装置403から受信したデータを無線伝送路407で無線通信端末408へ転送する時間に割り当てることができる。
【0111】
【数2】

【0112】
また、電力線伝送路405は、他の伝送路との干渉問題はないから、1秒間をすべて使ってデータ伝送を行なうことができる。したがって、複合ブリッジ装置403は、電力線伝送路405を用いて、1秒間に最大でP[Mbyte]のデータを送信することができる。
【0113】
次に、複合ブリッジ装置406から無線伝送路407を介して無線通信端末408へ1秒間に送信するデータ量DATAw2について考えてみる。
【0114】
無線伝送路407の最大スループットはW2[Mbps]であることから、1秒間のうち無線伝送路407の使用に割り当てられたtw2[sec]を用いて送信可能なデータ量DATAw2は、下式(3)の通りとなる。
【0115】
【数3】

【0116】
他方、複合ブリッジ装置407は、1秒間に無線伝送路404及び電力線伝送路405の双方を用いて送られてくるデータ量を、同様に1秒間に無線伝送路407で送出する必要がある。すなわち、無線伝送路407で1秒間に送られるデータ量DATAw2は、1秒間の無線伝送路404並びに電力線伝送路405それぞれの送信データ量DATAw1とPとを足した量に等しく、下式(4)が成り立つ。
【0117】
【数4】

【0118】
ここで、1秒間に無線伝送路404上で送信するデータ量DATAw1を横軸にとるとともに、1秒間に無線伝送路407上で送信するデータ量DATAw2を横軸にとって、式(3)及び式(4)で表される直線をそれぞれグラフ上に描くと、図11に示す通りとなる。
【0119】
上式(3)は、1秒間を無線伝送路404及び無線伝送路407で時分割した比率に基づいて決定される、1秒間に無線伝送路407で送信可能な最大データ量を表し(但し、電力線伝送路405の送信データ量を考慮しない)、実際には下式(3´)に示す不等式となる。
【0120】
【数5】

【0121】
また、上式(4)は、無線伝送路404及び電力線伝送路405の双方を用いて送られてくるデータ量の合計に基づいて決定される、1秒間に無線伝送路407で送信可能な最大データ量を表し(但し、1秒間を無線伝送路404と無線伝送路407で時分割する比率は考慮しない)、実際には下式(4´)に示す不等式となる。
【0122】
【数6】

【0123】
したがって、実際に送信する際にDATAw1及びDATAw2がとりうる値は、図11中の斜線で描いた領域内となる。1秒間のデータ送信に関して、無線伝送路407における送信データ量の最大値がシステム全体としての最大スループットとなる。すなわち、図11中で上式(3)及び(4)でそれぞれ表される2直線の交点(DATAw1,DATAw2)=(B,A)では、1秒間に無線伝送路404でB[Mbyte]、電力線伝送路405でP[Mbyte]だけ送信されるが、A=B+P[Mbyte]がシステム全体における最大スループットとなる。
【0124】
上式(3)及び(4)からなる連立1次方程式を解くことによって、システムの最大スループットが決まる。この最大スループットを実現する際の無線伝送路404の1秒間の送信データ量DATAw1に関しては、下式(8)の通りとなる。
【0125】
【数7】

【0126】
また、システムの最大スループットに相当する無線伝送路407の1秒間の送信データ量の最大値DATAw2は、下式(9)の通りとなる。
【0127】
【数8】

【0128】
そして、式(8)及び(9)で表されるDATAw1及びDATAw2をそれぞれ上式(1)及び(2)に代入して求まるtw1:tw2の比率で、1秒間を無線伝送路404と無線伝送路407に時分割で割り当てるようにすれば、システムの最大スループットを実現することができる。
【0129】
このように、本実施形態では、データ送信元であるサーバ401とデータ受信先である無線通信端末408の間を複合メディアで中継する複合ブリッジ装置403において、各メディアのスループットを考慮して無線伝送路404へ送信するデータ量を制御するようになっているので、システム全体としてより高いスループットを実現することができる。
【0130】
なお、上述の説明では、便宜上、各伝送路における1秒間の送信データ量として計算したが、これは単位伝送時間当たりのデータ量であり、スループットと言い換えることができる。
【0131】
但し、上式(8)及び(9)で表される、通信システムの最大スループットを実現するための無線伝送路404及び407の1秒間当たりの送信データ量DATAw1及びDATAw2は、無線伝送路407のスループットW2が電力線伝送路405のスループットよりも大きい(すなわち、W2>P)ことが前提となる。このことは、図11からも直感的に理解できよう。
【0132】
無線伝送路407のスループットW2が電力線伝送路405のスループットよりも小さい(すなわち、W2<P)ときには、1秒間に無線伝送路404上で送信するデータ量DATAw1を横軸にとるとともに、1秒間に無線伝送路407上で送信するデータ量DATAw2を横軸にとって、式(3)及び式(4)で表される直線をそれぞれグラフ上に描くと、図12に示す通りとなる。そして、同図中の斜線で描いた領域が実際に送信する際にDATAw1及びDATAw2がとりうる値となる。
【0133】
図12からも分るように、この場合、1秒間を無線伝送路404及び407に時分割割り当てすると、無線伝送路407に割り当てられる時間に応じてその送信データ量が減少することによって、単純に通信システム全体のスループットが低下していく。このため、1秒間を時分割せずにすべて無線伝送路407上のデータ伝送に使用し(すなわち、DATAw1=0[byte])、電力線伝送路405上では無線伝送路407のスループットW2相当のデータ伝送を行なうことが好ましい。
【0134】
次に、上述のようにして各メディアで送信すべき最大スループットを決定したときにおける、実際のデータ送信方法について、図1を参照しながら説明する。
【0135】
上式(8)を用いて、無線伝送路404のスループットをB、電力線伝送路405のスループットをPと算出したとする。このとき、複合ブリッジ装置403は、サーバ401からデータを受け取ると、無線伝送路404又は電力線伝送路405のどちらかのメディアを選択するか、又は転送対象となるデータを分割してこれら両方のメディアに振り分けて伝送することになる。
【0136】
どちらかのメディアを選択する場合、複合ブリッジ装置403は、算出したスループットBとPの比率に従ってメディアを選択することで、最大スループットを得るデータ送信を行なうことができる。
【0137】
一方、転送対象となるデータを分割する場合には、同様に算出したスループットBとPの比率に従ってデータを分割して各メディアの送信パケットに振り分けることで、同様に最大スループットを得るデータ送信を行なうことができる。
【0138】
上式(8)及び(9)に従って無線伝送路404と電力線伝送路405に送信データを配分してアクセスポイント間通信を行なうには、各伝送路404、405、407がそれぞれ単体で持つ実効スループットがあらかじめ判明する必要がある。そこで、以下では、各伝送路のスループットを算出する方法について説明する。
【0139】
例えば、無線伝送路404や407がIEEE802.11gであれば、OFDM変調方式が採用されるとともに、サブキャリア変調方式としてBPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature PSK)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMが規定されている。そして、通信環境が良好であれば、64QAMなどの高いスループットが得られるサブキャリア変調方式を適用する一方、劣悪な通信環境下ではBPSKのような低いスループットのサブキャリア変調方式に動的に切り替えるといった、通信環境に基づく適応変調を行なうことができる。
【0140】
ここで、複合ブリッジ装置403及び406は、変調方式の定義や、MAC(Media Access Control)層プロトコルの仕様に従って、論理的なスループットを算出することができる(IEEE802.11gの物理層レベルに関する規定を下表に示しておく)。また、実際の伝送時のエラー率を計測しておき、それを論理的なスループットに考慮することで、ある時点でのより正確なスループットを算出することができる。
【0141】
【表1】

【0142】
ある時点での各メディアのスループットを算出するには、実際の送信時に使用している変調方式に関する情報が必要である。図1に示した通信システムでは、無線伝送路404並びに電力線伝送路405のスループットを知ることができるのは、複合ブリッジ装置403と複合ブリッジ装置406である。また、無線伝送路407のスループットを知ることができるのは、複合ブリッジ装置406と無線通信端末408である。言い換えれば、複合ブリッジ装置403は、無線伝送路407のスループットを直接知ることはできない。
【0143】
ところが、図11並びに図12を参照しながら説明したような方法によってシステム全体のスループットを最大にするような複合メディア上のデータ伝送配分を実現するには、複合ブリッジ装置403において、無線伝送路404、電力線伝送路405、無線伝送路407のスループットをすべて知る必要がある。
【0144】
よって、複合ブリッジ装置406が認識している無線伝送路407のスループットに関する情報を、複合ブリッジ装置403に通知する手段若しくは複合ブリッジ装置403が取得する手段が必要である。この種の手段は、複合ブリッジ装置403と406間を接続する無線伝送路404又は電力線伝送路405などのメディアを使って構成することができる。
【0145】
例えば、複合ブリッジ装置406から複合ブリッジ装置403に送信する任意のフォーマットの制御データとして、定期的に無線伝送路407のスループットに関する情報を通知するようにする。
【0146】
また、無線伝送路407のスループットに関する情報を複合ブリッジ装置403に通知する他の方法として、無線LANのアクセスポイントとして複合ブリッジ装置406が定期的に報知するビーコンの中に無線伝送路407のスループットに関する情報を含めることで、定期的に無線伝送路407のスループットに関する情報を通知するようにする。
【0147】
また、無線伝送路407のスループットに関する情報を複合ブリッジ装置403に通知するさらに他の方法として、複合ブリッジ装置403から無線伝送路404又は電力線伝送路405を介して送信されるデータ・パケットに対するACK/NACKなどの制御パケットの中に無線伝送路407のスループットに関する情報を含めることで、無線伝送路407のスループットに関する情報を通知するようにする。
【0148】
これまで説明してきたように、本実施形態に係る通信システムでは、データ送信元であるサーバ401とデータ受信先である無線通信端末408の間を複合メディアで中継する複合ブリッジ装置403並びに406において、各メディアのスループットを考慮して無線伝送路404へ送信するデータ量を制御するようになっているので、システム全体としてより高いスループットを実現することができる。
【0149】
また、複合ブリッジ装置403並びに406において、中継する複合メディアとしての無線伝送路404及び電力線伝送路405、並びにデータ送信先への接続メディアである無線伝送路407のスループットを頻繁に計測することによって、時々刻々と変化する各メディアの通信品質に追従しながら、システム全体としてより高いスループットを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0151】
本明細書では、無線LANなどの無線伝送路とPLCなどの電力線伝送路からなる複合メディアで複合ブリッジ装置同士が接続されるシステム構成からなる実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨は必ずしもこれに限定されるものではない。無線LAN以外の無線メディア、並びにPLC以外の有線伝送路の組み合わせからなる複合メディアで構成されるさまざまな通信システムに対しても、同様に本発明を適用することができる。
【0152】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る通信システム構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、サーバ401と無線通信端末408間をリレーする複合ブリッジ装置403と複合ブリッジ装置406間でアクセスポイント間通信を行なう際の、無線伝送路及び電力線伝送路の各メディアに送信パケットを振り分けて伝送する様子を示した図である。
【図3】図3は、複合ブリッジ装置406の構成を示した図である。
【図4】図4は、図3に示した複合ブリッジ装置406のPLC受信部25の内部構成例を示した図である。
【図5】図5は、図3に示した複合ブリッジ装置406のPLC送信部26の内部構成例を示した図である。
【図6】図6は、図3に示した複合ブリッジ装置406の通信制御部40内の、無線伝送路404及び電力線伝送路405からなる複合メディアにおけるデータ送信制御機能の機能的構成を示した図である。
【図7】図7は、図3に示した複合ブリッジ装置406の通信制御部40内の、無線伝送路404及び電力線伝送路405からなる複合メディアにおけるデータ受信制御機能の機能的構成を示した図である。
【図8】図8は、本発明に係る通信システムにおいて使用されるデータ・パケットのフレーム構成例を示した図である。
【図9】図9は、転送対象となるデータを2つに分割して、各伝送路404及び405の送信パケットに分配して送信する様子を示した図である。
【図10】図10は、本発明に係る通信システムにおいて、レスポンスの返信に使用される制御パケットのフレーム構成例を示した図である。
【図11】図11は、1秒間に無線伝送路404上で送信するデータ量DATAw1を横軸にとるとともに、1秒間に無線伝送路407上で送信するデータ量DATAw2を横軸にとって、各メディアでのスループットの関係(但し、W2>Pの場合)を示した図である。
【図12】図12は、1秒間に無線伝送路404上で送信するデータ量DATAw1を横軸にとるとともに、1秒間に無線伝送路407上で送信するデータ量DATAw2を横軸にとって、各メディアでのスループットの関係(但し、W2<Pの場合)を示した図である。
【図13】図13は、外部ネットワークと仲介するブリッジ装置が室内で無線LANのアクセスポイントとして動作する通信システムの構成例を示した図である。
【図14】図14は、アクセスポイント間通信を利用した通信システムの構成例を示した図である。
【図15】図15は、有線伝送路の一部を電力線伝送路で置き換えた通信システムの構成例を示した図である。
【図16】図16は、図14に示した通信システムにおけるアクセスポイント間通信を無線LANから電力線伝送路に置き換えた通信システムの構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0154】
11…アンテナ
12…切替スイッチ
13…RF受信部
14…RF送信部
15…パワーアンプ
21…プラグ
22…電源コード
23…結合器
24…切替スイッチ
25…PLC受信部
26…PLC送信部
27…パワーアンプ
31…アンテナ
32…切替スイッチ
33…RF受信部
34…RF送信部
35…パワーアンプ
40…通信制御部
41…物理層インターフェース
251…ダウンコンバータ
252…直交復調器
253…離散フーリエ変換器
254…差動復号器
255…デマップ回路
256…誤り訂正回路
261…誤り訂正符号化回路
262…マップ回路
263…差動符号化器
264…逆離散フーリエ変換器
265…直交変調器
266…アップコンバータ
401…サーバ
402…有線伝送路
403…複合ブリッジ装置
404…無線伝送路
405…電力線伝送路
406…複合ブリッジ装置
407…無線伝送路
408…無線通信端末
410…分配制御部A
411…キャリアセンス部A
412…レスポンス判別部A
413…カウンタA
415…データ出力部A
420…分配制御部B
421…キャリアセンス部B
422…レスポンス判別部B
423…カウンタB
425…データ出力部B
441…データ分配部
442…データ・バッファ
471…データ併合部
472…データ・バッファ
480…併合制御部A
481…データ判別部A
482…レスポンス出力部A
490…併合制御部B
491…データ判別部B
492…レスポンス出力部B


【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信元となるサーバからデータ受信先である無線通信端末へデータ伝送を行なうための通信システムであって、
前記サーバと有線伝送路で接続され、該有線伝送路上の伝送データを第1の無線伝送路及び電力線伝送路からなる複合メディアに転送してデータ伝送を中継する第1の複合ブリッジ装置と、
前記複合メディア上の伝送データを第2の無線伝送路を介して前記無線通信端末へ転送してデータ伝送を中継する第2の複合ブリッジ装置と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1の無線伝送路と前記第2の無線伝送路は同じ周波数帯を使用しており、
前記第1又は第2の複合ブリッジ装置は、単位伝送時間を前記第1の無線伝送路と前記第2の無線伝送路で時分割して使用する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の無線伝送路、及び前記電力線伝送路それぞれが単体で持つ実効スループットはあらかじめ判明しており、且つ、各伝送路では最大スループットでデータ送信が行なわれるものとし、
単位伝送時間を第1の無線伝送路と第2の無線伝送路に時分割割り当てした比率に基づいて決定される、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信可能となる第1の送信データ量を求める第1の送信データ量算出手段と、
単位伝送時間当たりの第1の無線伝送路上の送信データ量と電力線伝送路上の送信データ量を足したデータ量を考慮して、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信する必要がある第2の送信データ量を求める第2の送信データ量算出手段と、
前記第1及び第2の送信データ量を基に、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信可能なデータ量の最大値を当該通信システム全体の最大スループットとして求める最大スループット算出手段をさらに備え、
前記第1及び第2の複合ブリッジ装置は、該最大スループットを実現する比率で、単位伝送時間を第1及び第2の無線伝送路の使用に時分割割り当てする、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記電力線伝送路のスループットの方が前記第2の無線伝送路のスループットよりも大きいときには、前記第1の複合ブリッジ装置は、単位伝送時間をすべて前記第2の無線伝送路に割り当てるとともに、前記電力線伝送路上で前記第2の無線伝送路のスループット相当のデータ伝送を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第2の複合ブリッジ装置は、前記第2の無線伝送路のスループットに関する情報を、前記第1の無線伝送路又は前記電力伝送路を介して送信するパケットに含まれる制御データとして通知する、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
第1の無線伝送路及び電力線伝送路からなる複合メディアを介して複合ブリッジ装置に接続される通信装置であって、
前記複合ブリッジ装置が前記複合メディアを介して受信したデータをさらに第2の無線伝送路を介して前記無線通信端末に送信するための送信データを取得する送信データ取得手段と、
前記複合ブリッジ装置への送信データの伝送を前記第1の無線伝送路及び前記電力線伝送路に配分する送信データ配分手段と、
前記複合ブリッジ装置と前記第1の無線伝送路を介して通信する無線通信手段と、
前記複合ブリッジ装置と前記電力線伝送路を介して通信する電力線通信手段と、
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項7】
前記無線通信端末へ送信するデータを提供するサーバと接続するサーバ接続手段をさらに備え、
前記送信データ取得手段は、前記無線通信端末に送信するための送信データを、前記サーバ接続手段を介して前記サーバから取得する、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1の無線伝送路と前記第2の無線伝送路は同じ周波数帯を使用しており、
前記送信データ配分手段は、単位伝送時間を前記第1の無線伝送路と前記第2の無線伝送路で時分割して使用するように、前記複合ブリッジ装置への送信データを前記第1の無線伝送路及び前記電力線伝送路にそれぞれ配分する、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第1の無線伝送路及び前記電力伝送路、及び前記第2の無線伝送路それぞれ単体でのスループットに関する情報を取得するスループット取得手段をさらに備え、
前記送信データ配分手段は、前記第1の無線伝送路及び前記電力伝送路、及び前記第2の無線伝送路の各スループットに基づいて、前記複合ブリッジ装置への送信データを前記第1の無線伝送路及び前記電力線伝送路にそれぞれ配分する、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項10】
前記スループット取得手段は、前記無線通信手段及び前記電力線通信手段を用いて前記複合ブリッジ装置と実際に伝送を行なうときのエラー率に基づいて、前記第1の無線伝送路及び前記電力伝送路のスループットに関する情報を取得する、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記スループット取得手段は、前記第2の無線伝送路のスループットに関する情報を、前記複合ブリッジ装置から前記第1の無線伝送路又は前記電力伝送路を介して送信されるパケットに含まれる制御データとして取得する、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項12】
前記送信データ配分手段は、
単位伝送時間を第1の無線伝送路と第2の無線伝送路に時分割割り当てした比率に基づいて決定される、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信可能となる第1の送信データ量を求める第1の送信データ量算出手段と、
単位伝送時間当たりの第1の無線伝送路上の送信データ量と電力線伝送路上の送信データ量を足したデータ量を考慮して、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信する必要がある第2の送信データ量を求める第2の送信データ量算出手段と、
前記第1及び第2の送信データ量を基に、単位伝送時間に第2の無線伝送路上で送信可能なデータ量の最大値を当該通信システム全体の最大スループットとして求める最大スループット算出手段を備え、
該最大スループットを実現する比率で、単位伝送時間を第1及び第2の無線伝送路の使用に時分割割り当てする、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項13】
前記送信データ配分手段は、前記電力線伝送路のスループットの方が前記第2の無線伝送路のスループットよりも大きいときには、単位伝送時間をすべて前記第2の無線伝送路に割り当てるとともに、前記電力線伝送路に対して前記第2の無線伝送路のスループット相当の送信データを配分する、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−177875(P2008−177875A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9608(P2007−9608)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】