説明

通信システム

【課題】高速なデータ通信を損なうことなく、確実に復元可能なようにオリジナルデータを送信する。
【解決手段】送信処理装置10は、送信するオリジナルデータを分割した分割データをパケット化し、パケット化された各パケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に、管理情報としてオリジナルデータを分割した分割数とオリジナルデータにおける分割データの位置関係を特定する識別情報とを付加することで実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速なデータ通信を行う通信システムに関し、詳しくは、PLC(programmable logic controller:プログラマブルロジックコントローラ)間のデータ通信に適用される通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるPLC間のデータ通信では、高速なデータ通信を要求されることから、意図的に誤り検出、パケットの再送信要求、フロー制御などを実行せずにデータ通信を高速化させることができる通信プロトコルが用いられている。
【0003】
このようなデータ通信の高速化を目的とした通信プロトコルでは、パケットの送達確認を実行しないため、伝送経路内でのパケットの消失や、パケットを送信した通りに受信できているかなどの確認をとることができない。したがって、データを分割したパケットとして送信することが困難となり、パケットの最大データ量以下のデータだけしか送信することができないといった問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、データを分割してパケット化する際に、各パケットにパケットどうしの順番を表すサブヘッダを追加する手法が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−109314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1では、分割したパケットに、各パケットどうしの順番を表すサブヘッダを追加しているだけであるため、分割前のデータの総数が分からず確実にオリジナルデータへと復元することができない場合があるといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、高速なデータ通信を損なうことなく、1パケットで送信できるデータ量よりも大きなデータ量のデータを、データを欠落させることなく、確実に復元可能なように送信することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信システムは、送信処理装置と受信処理装置とを備え、高速なデータ通信を行う通信システムにおいて、前記送信処理装置が、送信するオリジナルデータを分割した分割データをパケット化するパケット化手段と、前記パケット化手段によってパケット化された各パケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に、管理情報として前記オリジナルデータを分割した分割数と前記オリジナルデータにおける分割データの位置関係を特定する識別情報とを付加する管理情報付加手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の通信システムは、前記送信処理装置の管理情報付加手段が、前記パケット化手段によってパケット化された各パケットの前記受信処理装置への送信順を示す通し番号情報を、前記識別情報として付加することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の通信システムは、前記受信処理装置が、受信したパケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に付加された前記管理情報に基づき、分割データを所定の時間内に全て受信したかどうかを判定する分割データ受信判定手段と、前記分割データ受信判定手段によって、分割データを所定の時間内に全て受信できなかったと判定された場合に、既に受信した分割データを破棄する分割データ破棄手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の通信システムは、前記受信処理装置が、前記分割データ受信判定手段によって、分割データを所定の時間内に全て受信できなかったと判定された場合に、受信したパケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に付加された前記管理情報に基づき、受信できなかった分割データをパケット化したパケットを再び送信するよう前記送信処理装置に要求するパケット再送信要求手段とを有し、前記データ破棄手段が、前記パケット再送信要求手段によってパケット再送信要求がなされた後、前記分割データ受信判定手段によって、分割データを所定の時間内に全て受信できなかったと判定された場合に、既に受信した分割データを破棄することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の通信システムは、前記送信処理装置と前記受信処理装置とのデータ通信を、UDP/IPに基づくデータ通信とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高速なデータ通信を損なうことなく、1パケットで送信できるデータ量よりも大きなデータ量のデータを、データを欠落させることなく、確実に復元可能なように送信することを可能とする。
【0013】
また、本発明によれば、送信処理装置によって管理情報の識別情報として通し番号情報を付加された場合、受信処理装置は、分割数と、通し番号情報とから分割されたデータを全て受信できたのかどうかを容易に判断することが可能となるとともに、送信されるパケットに欠落があった場合には、通信途中であっても把握することが可能となる。
【0014】
また、本発明によれば、分割データが全て揃っていない状態で、オリジナルデータへの復元処理が実行されてしまうといったエラーを事前に回避することを可能とする。
【0015】
また、本発明によれば、データ通信時におけるなんらかの障害などにより、パケットの一部が消失したとしても再送信させることができるため、オリジナルデータへの復元処理をより確実に実行することを可能とする。
【0016】
また、本発明によれば、データ通信の高速性を優先させたUDP/IPの特徴をそのままに、容易にパケットの送達を確認させる情報である管理情報を付加することができるため、1パケットで送信できるデータ量よりも大きなデータ量のデータを、データを欠落させることなく、確実に復元可能なように送信することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示す通信システム1について説明をする。
【0018】
[通信システムの構成]
図1に示すように、通信システム1は、送信処理装置10と、受信処理装置20とを備えている。この送信処理装置10、受信処理装置20は、PLC(programmable logic controller:プログラマブルロジックコントローラ)などに搭載され、各PLC間のデータ通信に用いられることになる。
【0019】
通信システム1の送信処理装置10と受信処理装置20との通信方式は、例えば、コネクションレス型の通信でありデータ通信の高速性を優先させたUDP/IP(User Data Protocol/Internet Protocol)に基づく通信方式を適用することができる。なお、通信システム1の送信処理装置10と受信処理装置20との通信方式は、UDP/IPに基づくものに限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように送信処理装置10は、アプリケーション部11と、データ分割処理部12と、分割データ格納部13と、送信データ生成部14と、管理情報生成部15と、管理情報データベース16と、プロトコルヘッダデータ生成部17と、通信データ合成部18と、送信部19とを備えている。
【0021】
アプリケーション部11は、当該送信処理装置10を統括的に制御する制御部として機能する。
【0022】
データ分割処理部12は、アプリケーション部11の制御に応じて、受信処理装置20に送信するオリジナルデータを分割し分割データを生成する。
【0023】
分割データ格納部13は、データ分割処理部12で分割された分割データを一時的に格納する。
【0024】
送信データ生成部14は、分割データ格納部13で一時的に格納された分割データからパケット化した際のデータ領域となる送信データを生成する。このとき、アプリケーション部11の制御に応じて、管理情報生成部15で生成される管理情報を送信データの固定領域に付加するようにしてもよい。
【0025】
管理情報生成部15は、アプリケーション部11の制御に応じて、パケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に付加する管理情報を生成する。管理情報生成部15が生成する管理情報は、オリジナルデータを分割した分割数と、オリジナルデータにおける当該分割データの位置関係を特定する識別情報である。管理情報である分割数は、分割データの総数でもあり、さらにはパケットの総数も示していることになる。
【0026】
また、管理情報生成部15は、管理情報の識別情報として、パケット化された各パケットの受信処理装置20への送信順を示す通し番号情報を生成するようにしてもよい。具体的には、管理情報生成部15は、パケットが送信されるたびに1だけインクリメントされるカウンタのカウント値を通し番号情報とする。なお、通し番号情報には、時系列に並んだ情報である日付時刻データを用いることもできる。
【0027】
管理情報生成部15で生成された管理情報は、管理情報データベース16に一時的に記憶され、アプリケーション部11の制御に応じて適宜読み出され、プロトコルヘッダデータ生成部17、または送信データ生成部14に渡される。
【0028】
プロトコルヘッダデータ生成部17は、パケットのヘッダ領域となるプロトコルヘッダデータを生成する。このとき、プロトコルヘッダデータ生成部17は、管理情報生成部15で生成された管理情報を受け取った場合、アプリケーション部11の制御に応じてヘッダ領域の未使用領域に付加するようにする。
【0029】
通信データ合成部18は、送信データ生成部14で生成されたパケットのデータ領域となる送信データと、プロトコルヘッダデータ生成部17で生成されたパケットのヘッダ領域となるプロトコルヘッダデータを合成することで、パケット化したパケットである通信データを生成する。
【0030】
送信部19は、通信データ合成部18で生成されたパケットである通信データを所定の通信方式に基づき受信処理装置20に送信する。
【0031】
一方、図1に示すように受信処理装置20は、受信部21と、通信データ解析部22と管理情報保存部23と、受信データ保存部24と、管理情報処理部25と、分割データ合成部26と、アプリケーション部27とを備えている。
【0032】
受信部21は、送信処理装置10の送信部19を介して、所定の通信方式に基づき送信されるパケットである通信データを受信する。
【0033】
通信データ解析部22は、受信部21で受信された通信データを解析する。具体的には、通信データ解析部22は、パケットである通信データのヘッダ領域、あるいはデータ領域の固定領域に付加された管理情報と、データ領域に記述されたデータ本体とを分離する。このデータ本体は、送信処理装置10のデータ分割処理部12によってオリジナルデータから分割された分割データそのものである。通信データ解析部22で分離された管理情報と、データ本体とは、それぞれ管理情報保存部23、受信データ保存部24に保存される。
【0034】
管理情報処理部25は、管理情報保存部23を参照し、保存されている管理情報から分割数と、識別情報または通し番号情報とを取得し、アプリケーション部27に通知する。
【0035】
分割データ合成部26は、管理情報処理部25から受け取った管理情報に基づくアプリケーション部27の制御に応じて、受信データ保存部24に保存されているデータ本体、つまり分割データを読み出して合成することで、オリジナルデータへと復元をする。
【0036】
アプリケーション部27は、当該受信処理装置20を統括的に制御する制御部として機能する。
【0037】
[送信処理装置の送信処理動作、受信処理装置の受信処理動作]
続いて、図2に示すフローチャートを用いて、送信処理装置10の送信処理動作について説明をする。
【0038】
ステップS1において、データ分割処理部12は、アプリケーション部11の制御に応じて、オリジナルデータを分割し分割データを生成する。データ分割処理部12によって分割された分割データは、分割データ格納部13で一時的に格納される。そして、送信データ生成部14は、分割データ格納部13で格納されている分割データからパケット化した際のデータ領域となる送信データを生成する。
【0039】
ステップS2において、管理情報生成部15は、アプリケーション部11の制御に応じて、管理情報を生成する。管理情報生成部15は、生成した管理情報をプロトコルヘッダデータ生成部17、または送信データ生成部14に渡す。なお、説明のため、以下においてはプロトコルヘッダデータ生成部17に管理情報が渡されたものとする。
【0040】
ステップS3において、プロトコルヘッダデータ生成部17は、パケットのヘッダ領域となるプロトコルヘッダデータを生成する。プロトコルヘッダデータ生成部17は、管理情報生成部15で生成された管理情報を受け取ったことに応じて、管理情報をヘッダ領域の未使用領域に付加する。
【0041】
ステップS4において、通信データ合成部18は、送信データ生成部14で生成されたパケットのデータ領域となる送信データと、プロトコルヘッダデータ生成部17で生成されたパケットのヘッダ領域となるプロトコルヘッダデータを合成することで、パケット化したパケットである通信データを生成する。
【0042】
ステップS5において、送信部19は、通信データ合成部18で生成されたパケットである通信データを所定の通信方式に基づき受信処理装置20に送信する。
【0043】
次に、図3に示すフローチャートを用いて、受信処理装置20の受信処理動作について説明をする。
【0044】
ステップS21において、受信部21は、送信処理装置10の送信部19を介して、所定の通信方式に基づき送信されるパケットである通信データを順次受信する。
【0045】
ステップS22において、通信データ解析部22は、受信部21で受信された通信データを解析し、パケットである通信データのヘッダ領域に付加された管理情報と、データ領域に記述されたデータ本体とを分離して、それぞれ管理情報保存部23、受信データ保存部24に保存させる。
【0046】
ステップS23において、分割データ合成部26は、管理情報処理部25から受け取った管理情報に基づくアプリケーション部27の制御に応じて、受信データ保存部24に保存されているデータ本体、つまり分割データを読み出して合成することで、オリジナルデータへと復元をする。
【0047】
このようにして、通信システム1の送信処理装置10は、パケット化された各パケットに予め設けられたヘッダ領域に、管理情報としてオリジナルデータを分割した分割数とオリジナルデータにおける当該分割データの位置関係を特定する識別情報とを付加して、受信処理装置20に送信するため、送信するデータ量を増加させることがないことから、高速なデータ通信を損なうことなく、1パケットで送信できるデータ量よりも大きなデータ量のデータを、受信処理装置20にてパケットの送達を確認させる情報である管理情報ともに、データを欠落させることなく、確実に復元可能なように送信することができる。また、パケット化された各パケットの予め設けられたデータ領域の固定領域に、管理情報としてオリジナルデータを分割した分割数とオリジナルデータにおける当該分割データの位置関係を特定する識別情報とを付加する場合も同様の効果を奏することができる。
【0048】
これにより、受信処理装置20は、管理情報として付加された分割数から、分割された分割データの数、つまりオリジナルデータを構成する分割データの総数を把握することができ、さらに識別情報から、分割データのオリジナルデータにおける位置関係を把握することができるため、分割データを全て受信できたのかどうかを容易に判断することができるとともに、確実に分割データをオリジナルデータへと復元することができる。
【0049】
また、送信処理装置10によって管理情報の識別情報として通し番号情報を付加された場合、受信処理装置20は、分割数と、通し番号情報とから分割されたデータを全て受信できたのかどうかを容易に判断することができるとともに、送信されるパケットに欠落があった場合には、通信途中であっても把握することができる。
【0050】
[受信処理装置の別な構成]
上述したように、受信処理装置20は、送信処理装置10によって送信されたパケット化された各パケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に付加された管理情報から、分割されたデータを全て受信できたのかどうかを容易に把握することができる。
【0051】
そこで、図4に示すように、図1に示した受信処理装置20に、分割データ受信判定部28と、不完全データ破棄部29とを設けることで、分割データを全て受信できなかった場合に、既に受信された分割データを自動的に破棄することができるようにする。
【0052】
分割データ受信判定部28は、管理情報処理部25から渡される管理情報の分割数をキーとして受信データ保存部24を参照し、分割数と同じ数の分割データが保存されているかどうか判定する。分割データ受信判定部28は、受信部21でパケットである通信データの受信が開始されてから所定の時間経過しても、分割数と同じ数の分割データを受信できていない場合に、その旨を不完全データ破棄部29に通知する。
【0053】
不完全データ破棄部29は、分割データ受信判定部28により、分割数と同じ数の分割データを受信できていない場合には、受信データ保存部24へアクセスして、既に受信された分割データを削除して破棄する。
【0054】
続いて、図5に示すフローチャートを用いて、分割データを削除する機能を搭載した受信処理装置20の処理動作について説明をする。なお、図5に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートのステップS22とステップS23との間に、ステップS24乃至ステップS28の処理ステップを付加しただけであるので、新たに付加した処理ステップについてのみ説明をする。
【0055】
ステップS24において、分割データ受信判定部28は、管理情報処理部25から渡される管理情報の分割数をキーとして受信データ保存部24を参照し、分割数と同じ数の分割データが保存されているかどうか判定する。分割データ受信判定部28は、全ての分割データが保存されていると判定した場合には、ステップS23へと処理を進める一方、全ての分割データが保存されていないと判定した場合には、ステップS25へと処理を進める。
【0056】
ステップS25において、分割データ受信判定部28は、ステップS22でパケットである通信データの受信が開始されてから所定の時間経過したどうかを判断する。分割データ受信判定部28は、所定の時間経過したと判断した場合には、ステップS27へと処理を進める一方、所定の時間経過していないと判断した場合には、ステップS26へと処理を進める。
【0057】
ステップS26において、受信部21でのパケットである通信データの受信待機状態となる。ステップS26の処理ステップは、ステップS25において所定の時間経過するまで継続される。
【0058】
ステップS27において、再度、分割データ受信判定部28は、管理情報処理部25から渡される管理情報の分割数をキーとして受信データ保存部24を参照し、分割数と同じ数の分割データが保存されているかどうか判定する。分割データ受信判定部28は、全ての分割データが保存されていると判定した場合には、ステップS23へと処理を進める一方、全ての分割データが保存されていないと判定した場合には、ステップS28へと処理を進める。
【0059】
ステップS28において、不完全データ破棄部29は、ステップS27で分割データ受信判定部28により、分割数と同じ数の分割データを受信できていないと判定されたことに応じて、受信データ保存部24へアクセスして、既に受信された分割データを削除して破棄する。
【0060】
このように、受信処理装置20は、分割データ受信判定部28と、不完全データ破棄部29を設けることにより、分割データを全て受信できなかった場合に、既に受信された分割データを自動的に破棄することができる。
【0061】
これにより、分割データが全て揃っていない状態で、分割データ合成部26によりオリジナルデータへの復元処理が実行されてしまうといったエラーを事前に回避することができるとともに、受信データ保存部24の記憶容量の無駄な消費を防止することができる。
【0062】
[受信処理装置のさらに別な構成]
さらに、図6に示すように、図4に示す受信処理装置20に対して、再送信要求パケット生成部30を設けることで、全ての分割データを受信できなかった場合に、受信できなかった分割データをパケット化したパケットを再び送信するよう送信処理装置10に要求することができるようにする。
【0063】
再送信要求パケット生成部30は、分割データ受信判定部28によって、分割データを所定の時間内に全て受信できなかったと判定された場合に、管理情報処理部25から渡される管理情報に基づき、受信できなかった分割データを再送させるために、受信できなかった分割データをパケット化したパケットを再び送信するよう送信処理装置10に要求する再送信要求パケットを生成する。
【0064】
図7に、再送信要求パケットのデータフォーマットの一例を示す。図7に示すように、再送信要求パケットは、プロトコルヘッダHと、再送信要求コマンドRCと、再送信を要求するパケットを一意に特定することができる管理情報の識別情報や通し番号情報などである再送信要求データ番号RNとからなる。このような再送信要求パケットを受信した送信処理装置10は、再送信要求データ番号RNを参照して、所望のパケットを再び受信処理装置20に送信する。
【0065】
続いて、図8に示すフローチャートを用いて、パケットの再送信要求をする機能を搭載した受信処理装置20の処理動作について説明をする。なお、図8に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートのステップS27とステップS28との間に、ステップS29乃至ステップS32の処理ステップを付加しただけであるので、新たに付加した処理ステップについてのみ説明をする。
【0066】
ステップS29において、再送信要求パケット生成部30は、ステップS28で分割データ受信判定部28によって、分割データを所定の時間内に全て受信できなかったと判定された場合に、管理情報処理部25から渡される管理情報に基づき、受信できなかった分割データを再送させるために、受信できなかった分割データをパケット化したパケットを再び送信するよう送信処理装置10に要求する再送信要求パケットを生成する。再送信要求パケット生成部30で生成された再送信要求パケットは、送信処理装置10に送信される。
【0067】
ステップS30において、分割データ受信判定部28は、ステップS29で再送信要求パケットを送信してから所定の時間経過したどうかを判断する。分割データ受信判定部28は、所定の時間経過したと判断した場合には、ステップS32へと処理を進める一方、所定の時間経過していないと判断した場合には、ステップS31へと処理を進める。
【0068】
ステップS31において、受信部21でのパケットである通信データの受信待機状態となる。ステップS31の処理ステップは、ステップS30において所定の時間経過するまで継続される。
【0069】
ステップS32において、再度、分割データ受信判定部28は、管理情報処理部25から渡される管理情報の分割数をキーとして受信データ保存部24を参照し、分割数と同じ数の分割データが保存されているかどうか判定する。分割データ受信判定部28は、全ての分割データが保存されていると判定した場合には、ステップS23へと処理を進める一方、全ての分割データが保存されていないと判定した場合には、ステップS28へと処理を進める。
【0070】
このように、受信処理装置20は、再送信要求パケット生成部30を設けることにより、分割データを全て受信できなかった場合に、受信できなかった分割データをパケット化したパケットを再び送信するよう送信処理装置10に要求することができる。
【0071】
これにより、データ通信時におけるなんらかの障害などにより、パケットである通信データの一部が消失したとしても再送信させることができるため、オリジナルデータへの復元処理をより確実に実行することができる。
【0072】
また、通信システム1の送信処理装置10と受信処理装置20との通信方式をUDP/IPに基づく通信方式とした場合、データ通信の高速性を優先させたUDP/IPの特徴をそのままに、容易にパケットの送達を確認させる情報である管理情報を付加することができるため、1パケットで送信できるデータ量よりも大きなデータ量のデータを、データを欠落させることなく、確実に復元可能なように送信することができる。
【0073】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態として示す通信システムの構成について説明するための図である。
【図2】前記通信システムの送信処理装置の処理動作について説明するためのフローチャートである。
【図3】前記通信システムの受信処理装置の処理動作について説明するためのフローチャートである。
【図4】前記通信システムの受信処理装置の別な構成について説明するための図である。
【図5】前記受信処理装置の処理動作について説明するためのフローチャートである。
【図6】前記通信システムの受信処理装置のさらに別な構成について説明するための図である。
【図7】前記受信処理装置において生成される再送信要求パケットのデータフォーマットの一例を示した図である。
【図8】前記受信処理装置の処理動作について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 通信システム
10 送信処理装置
11 アプリケーション部
12 データ分割処理部
13 分割データ格納部
14 送信データ生成部
15 管理情報生成部
16 管理情報データベース
17 プロトコルヘッダデータ生成部
18 通信データ合成部
19 送信部
20 受信処理装置
21 受信部
22 通信データ解析部
23 管理情報保存部
24 受信データ保存部
25 管理情報処理部
26 分割データ合成部
27 アプリケーション部
28 分割データ受信判定部
29 不完全データ破棄部
30 再送信要求パケット生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信処理装置と受信処理装置とを備え、高速なデータ通信を行う通信システムにおいて、
前記送信処理装置は、
送信するオリジナルデータを分割した分割データをパケット化するパケット化手段と、
前記パケット化手段によってパケット化された各パケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に、管理情報として前記オリジナルデータを分割した分割数と前記オリジナルデータにおける分割データの位置関係を特定する識別情報とを付加する管理情報付加手段とを有すること
を特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記送信処理装置の管理情報付加手段は、前記パケット化手段によってパケット化された各パケットの前記受信処理装置への送信順を示す通し番号情報を、前記識別情報として付加すること
を特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記受信処理装置は、受信したパケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に付加された前記管理情報に基づき、分割データを所定の時間内に全て受信したかどうかを判定する分割データ受信判定手段と、
前記分割データ受信判定手段によって、分割データを所定の時間内に全て受信できなかったと判定された場合に、既に受信した分割データを破棄する分割データ破棄手段とを有すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記受信処理装置は、前記分割データ受信判定手段によって、分割データを所定の時間内に全て受信できなかったと判定された場合に、受信したパケットのヘッダ領域、またはデータ領域の固定領域に付加された前記管理情報に基づき、受信できなかった分割データをパケット化したパケットを再び送信するよう前記送信処理装置に要求するパケット再送信要求手段とを有し、
前記データ破棄手段は、前記パケット再送信要求手段によってパケット再送信要求がなされた後、前記分割データ受信判定手段によって、分割データを所定の時間内に全て受信できなかったと判定された場合に、既に受信した分割データを破棄すること
を特徴とする請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
前記送信処理装置と前記受信処理装置とのデータ通信は、UDP/IPに基づくデータ通信であること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−10496(P2009−10496A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167758(P2007−167758)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】