説明

通信放送連携システムにおける通信補完制御機能を有する端末及びプログラム

【課題】通信放送連携システムにおける携帯端末が、受信できなかった放送データを通信データによって補完する場合、当該携帯端末自身が、基地局への接続不可能確率を推測することによって、通信補完をするか否かを制御する端末等を提供する。
【解決手段】放送データのパケット損失率eを計測するパケット損失率計測手段と、パケット損失率eと、パケット損失率の判定パケット単位数kと、基地局の接続可能端末数sと、単位時間の通信補完完了確率uと、基地局周辺の存在端末数Nとを用いて、接続不可能確率pn≧sを算出する確率算出手段とを有し、通信補完制御手段は、接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えている場合、通信補完をしないように機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信放送連携システムにおける通信補完制御機能を有する端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上波デジタル放送(1セグ放送:MPEG2、ISO/IEC13818-1)の運用開始に伴って、放送受信機能を有する携帯端末が多くなってきている。地上波デジタル放送は、固定長のTS(Transport Stream)パケット単位で多重化(MUX:Multiplexing)したストリームを用いる。
【0003】
携帯端末が、高速に移動した場合、又は、放送波を受信できない場所に移動した場合には、TSパケットが欠落し、放送データを完全に受信できない。放送データは一定周期で再送されているけれども、例えば地上波デジタル放送の場合、次に同じTSパケットが送信されるまでに約45秒程度待たなければならない。
【0004】
一方で、携帯端末が、所定のコンテンツデータを放送局から受信すると共に、インターネットに接続されたコンテンツサーバから受信することができる通信放送連携システムがある。このようなシステムの中での携帯端末は、放送局から放送データを受信する放送受信部と、移動通信網の基地局と通信データを送受信する移動通信部とを有する。
【0005】
また、携帯端末は、放送データによって受信できなかったコンテンツデータを、移動通信網を介してコンテンツサーバから受信する「通信補完」機能を備えることもできる(例えば特許文献1及び2参照)。この技術によれば、受信できなかった放送データの再送を待つことなく、通信データによって受信できなかったコンテンツデータを受信することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−165915号公報
【特許文献2】特開2005−328267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、1つの基地局の配下で、多くの端末が通信補完を試みた場合、基地局が輻輳するという課題が生じる。例えば、携帯端末が集団的に移動している場合、放送局から放送データを受信できない携帯端末も集団的に発生する。これら携帯端末が、同時に1つの基地局に対して通信補完のためにアクセスすると、携帯端末の数が多くなるほど、その基地局が輻輳を生じる確率も高まることとなる。
【0008】
特許文献2によれば、通信回線を利用する場合、通信補完のためのデータ量に制限を設ける技術が記載されている。しかし、その基地局の配下に存在する携帯端末の数が多くなった場合、特許文献2に記載の技術を用いても、結局、輻輳状態を回避することはできない。一方で、基地局に少数の端末しかアクセスしていない場合、通信補完のためのデータ量に制限を設ける必要はない。
【0009】
従って、本発明は、通信放送連携システムにおける携帯端末が、受信できなかった放送データを通信データによって補完する場合、当該携帯端末自身が、基地局への接続不可能確率を推測することによって、通信補完をするか否かを制御する端末及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、放送局から放送データを受信する放送受信手段と、基地局を介してコンテンツサーバと通信データを送受信する移動通信手段と、受信できなかった放送データを通信データによって通信補完する通信補完制御手段とを有する端末であって、
放送データのパケット損失率eを計測するパケット損失率計測手段と、
パケット損失率eと、パケット損失率の判定パケット単位数kと、基地局の接続可能端末数sと、単位時間の通信補完完了確率uと、基地局周辺の存在端末数Nとを用いて、接続不可能確率pn≧sを算出する確率算出手段と
を有し、
通信補完制御手段は、接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えている場合、通信補完をしないように機能することを特徴とする。
【0011】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
確率算出手段は、接続不可能確率pn≧s
【数1】

tk:k個のパケットの受信時間
e:TSパケット損失率
k:TSパケット損失率の判定パケット単位数
u:単位時間の通信補完完了確率
s:1つの基地局の接続可能端末数
によって算出することも好ましい。
【0012】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
判定パケット単位数kは、予め設定されており、
基地局の接続可能端末数s及び基地局周辺の存在端末数Nは、基地局から受信し、
通信補完完了確率uは、通信データの伝送速度に基づいて決定される
ことも好ましい。
【0013】
本発明によれば、前述の端末と通信データを送受信する基地局であって、
基地局の接続可能端末数s及び基地局周辺の存在端末数Nをブロードキャストする基地局状態情報送信手段を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、コンピュータを搭載した端末であって、放送局から放送データを受信する放送受信手段と、基地局を介してコンテンツサーバと通信データを送受信する移動通信手段と、受信できなかった放送データを通信データによって通信補完する通信補完制御手段としてコンピュータを機能させる端末用プログラムであって、
放送データのパケット損失率eを計測するパケット損失率計測手段と、
パケット損失率eと、パケット損失率の判定パケット単位数kと、基地局の接続可能端末数sと、単位時間の通信補完完了確率uと、基地局周辺の存在端末数Nとを用いて、接続不可能確率pn≧sを算出する確率算出手段と
を有し、
通信補完制御手段は、接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えている場合、通信補完をしないように、コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明の端末用プログラムにおける他の実施形態によれば、
確率算出手段は、接続不可能確率pn≧s
【数2】

tk:k個のパケットの受信時間
e:TSパケット損失率
k:TSパケット損失率の判定パケット単位数
u:単位時間の通信補完完了確率
s:1つの基地局の接続可能端末数
によって算出するようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0016】
本発明の端末用プログラムにおける他の実施形態によれば、
判定パケット単位数kは、予め設定されており、
基地局の接続可能端末数s及び基地局周辺の存在端末数Nは、基地局から受信し、
通信補完完了確率uは、通信データの伝送速度に基づいて決定される
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の端末及びプログラムによれば、通信放送連携システムにおける携帯端末が、受信できなかった放送データを通信データによって補完する場合、当該携帯端末自身が、基地局への接続不可能確率を推測することによって、通信補完をするか否かを制御する。これにより、通信放送連携システムについて、携帯端末の通信補完によって基地局が輻輳することがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0020】
図1によれば、端末1は、放送局サーバ2から放送データを受信すると共に、基地局3と無線リンクを介して通信データを送受信する。基地局3は、移動アクセスネットワーク4を介してインターネット5に接続される。インターネット5には、コンテンツサーバ6が接続されている。ここで、コンテンツサーバ6は、放送局サーバ2が放送しているコンテンツデータと同じコンテンツデータを、端末1へ送信する。これにより、端末1は、受信できなかった放送データを、基地局3を介してコンテンツサーバ6から通信データによって補完することができる。
【0021】
図1によれば、携帯端末1は、放送受信部11と、移動通信部12と、通信補完制御部13と、パケット損失率計測部14と、確率算出部15とを有する。これら機能部は、携帯端末1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによっても実現できる。
【0022】
放送受信部11は、放送局サーバ2から放送データを受信する。
【0023】
移動通信部12は、基地局3と無線リンクを介して通信データを送受信する。また、移動通信部12は、基地局3からブロードキャストされる基地局状態情報を受信する。基地局状態情報は、基地局の接続可能端末数s及び基地局周辺の存在端末数Nを含む。s及びNは、確率算出部15へ通知される。
【0024】
通信補完制御部13は、受信できなかった放送データを、通信データによって通信補完する。具体的に、通信補完制御部13は、放送受信部11によって受信できなかったTSパケットを、コンテンツサーバ6へ要求するように移動通信部12を制御する。
【0025】
パケット損失率計測部14は、放送受信部11における放送データのパケット損失率eを計測する。計測したパケット損失率eは、確率算出部15へ通知される。
【0026】
確率算出部15は、パケット損失率eと、パケット損失率の判定パケット単位数kと、基地局の接続可能端末数sと、単位時間の通信補完完了確率uと、基地局周辺の存在端末数Nとを用いて、接続不可能確率pn≧sを算出する。判定パケット単位数kは、予め設定されており、通信補完完了確率uは、通信データの伝送速度に基づいて決定される。算出された接続不可能確率pn≧sは、通信補完制御部13へ通知される。通信補完制御部13は、接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えている場合、通信補完をしないように機能する。
【0027】
確率算出部15は、以下の式により、基地局に0個の携帯端末が接続している確率p0を算出する。
【数3】

tk:k個のパケットの受信時間
e:TSパケット損失率
k:TSパケット損失率の判定パケット単位数
u:単位時間の通信補完完了確率
s:1つの基地局の接続可能端末数
そして、接続不可能確率pn≧sを算出する。
【数4】

【0028】
以下では、確率算出部15の算出方法を順に説明する。
【0029】
[1つの携帯端末について通信補完が必要となる確率]
e:TSパケット損失率
(1−e):TSパケットを受信できる確率
k:TSパケット損失の判定パケット単位数
(1−e):k個のパケットを全て受信できる確率
1−(1−e):k個のパケットを全て受信できない確率
(k個のうち1個でも損失する確率、即ち、通信補完が必要となる確率)
【0030】
k=100個として、95個のTSパケットが受信できた場合、5個のTSパケットを損失したとする。このとき、TSパケット損失率e=0.05%となる。損失したTSパケットは、通信補完の対象となる。k=100個のTSパケットを全て受信できる確率は、(1−0.05)100≒0.592%となる。即ち、通信補完が必要となる確率は、1−(1−e)≒99.418%となる。
【0031】
t:1つのTSパケットの受信時間
tk:k個のパケットの受信時間(eを判定するための単位時間)
(1−(1−e)k/tk):単位時間当たりの通信補完が必要となる確率
【0032】
以下では、単位時間当たりの通信補完必要確率v=(1−(1−e)k/tk)に置き換えて説明する。
【0033】
[通信補完に要する平均時間]
u:単位時間の通信補完完了確率
1/u:通信補完に要する平均時間
【0034】
[通信補完を行っている端末数の変化]
前提として、単位時間は、2つの以上の携帯端末が損失パケットを判定することはない程度に短いものとする。
N:基地局周囲の携帯端末数
s:1つの基地局の接続可能端末数
n:基地局に、n個の携帯端末が接続している確率
(n個の携帯端末が、通信補完をしている確率)
0:基地局に0個の携帯端末が接続している確率
1:基地局に1個の携帯端末が接続している確率
2:基地局に2個の携帯端末が接続している確率
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
n-1:基地局にn−1個の携帯端末が接続している確率
n:基地局にn個の携帯端末が接続している確率
n+1:基地局にn+1個の携帯端末が接続している確率
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【0035】
図2は、携帯端末の接続数に応じた確率遷移図である。
【0036】
このとき、以下のような関係式が成立する。
N×v×p0=u×p1
N:基地局周囲の携帯端末数
v:単位時間当たりの通信補完必要確率
0:基地局に0個の携帯端末が接続している確率
u:単位時間の通信補完完了確率
1:基地局に1個の携帯端末が接続している確率
【0037】
n<s(基地局の接続可能端末数の範囲内)の場合、以下の関係式が成立する。
辺(1)+辺(3)=辺(2)+辺(4)
(N−(n−1))・v・pn-1+(n+1)・u・pn+1
=n・u・pn+(N−n)・v・pn
図2について、pnに入る確率(辺(1)と辺(3)との和)は、pnから出る確率(辺(2)と辺(4)との和)と等しい。
【0038】
辺(1):(N−(n−1))・v・pn-1
基地局にn−1個の端末が接続しているとき(pn-1)、更に1個の端末が基地局に接続する確率は、(N−n+1)・vである。このとき、N−n+1個の端末が、まだ通信補完を実行していない。
【0039】
辺(2):(N−n)・v・pn
基地局にn個の端末が接続しているとき(pn)、更に1個の端末が基地局に接続する確率は、(N−n)・vである。
【0040】
辺(3):(n+1)・u・pn+1
基地局にn+1個の端末が接続しているとき(pn+1)、更に1個の端末が通信補完を完了する確率は、(n+1)・uである。
【0041】
辺(4):n・u・pn
n個の端末が基地局に接続しているとき(pn)、更に1個の端末が通信補完を完了する確率は、n・uである。
【0042】
次に、n≧s(基地局の接続可能端末数を超えた)の場合、以下の関係式が成立する。
(N−(n−1))・v・pn-1+s・u・pn+1
=s・u・pn+(N−n)・v・pn
【0043】
辺(3):s・u・pn+1
基地局にn+1個の端末が接続しているとき(pn+1)、更に1個の端末が通信補完を完了する確率は、s・uである。
【0044】
辺(4):s・u・pn
基地局にnの端末が接続しているとき(pn)、更に1個の端末が通信補完を完了する確率は、s・uである。
【0045】
n=Nの場合、以下のような関係式が成立する。
v・pN-1=s・u・pN
【0046】
これらの式から
N・v・p0=u・p1
N・v・p0+2u・p2=1u・p1+(N−1)・v・p1
(N−1)・v・p1+3u・p3=2u・p2+(N−2)・v・p2
(N−2)・v・p2+4u・p4=3u・p3+(N−3)・v・p3
・・・・・・・
(N−n+1)・v・pn-1+s・u・pn+1=s・u・pn+(N−n)・v・pn
・・・・・・・
v・pN-1=s・u・pN
【0047】
[通信補完を行っている端末数毎の確率]
n<s(基地局の接続可能端末数の範囲内)の場合、以下の関係式が成立する。
n=v・(N−n+1)/(n・u)・pn-1
n≧s(基地局の接続可能端末数を超えた)の場合、以下の関係式が成立する。
n=v・(N−n+1)/(s・u)・pn-1
また、以下の関係式が成立する。
1=p0+p1+p2+・・・・+pn
【0048】
そうすると、以下の関係式が成立する。
【数5】

tk:k個のパケットの受信時間
e:TSパケット損失率
k:TSパケット損失率の判定パケット単位数
u:単位時間の通信補完完了確率
s:1つの基地局の接続可能端末数
これにより、接続不可能確率pn≧sが算出される。
【0049】
尚、図3及び図4は、接続不可能確率pn≧sの導出過程式を表す。
【0050】
前述した関係式によれば、以下のパラメータが必要となる。パケット損失率eは、パケット損失率計測部14によって計測される。パケット損失率の判定パケット単位数kは、予め設定される。基地局の接続可能端末数s及び基地局周辺の存在端末数Nは、基地局から受信する。単位時間の通信補完完了確率uは、通信速度によって決定される。
【0051】
前述した関係式に、具体的な値を代入して説明する。前提として、単位時間に、1つのTSパケットを受信するとする。また、通信補完のためのデータ量も、単位時間に、1つのTSパケット分のデータ量とする。
【0052】
第1のパラメータを、以下のようにする。
e(TSパケット損失率)=0.01(1%)
k(判定のパケット単位数)=10
N(携帯端末数)=10
s(接続可能な端末数)=1
【0053】
このとき、算出された値は、以下のようになる。
tk(判定の単位時間)=1×k=10
v=(1−(1−e)k/tk)=0.01
(損失があった場合の平均のパケット損失数)
=e×k/(1−e)=1.0458
u=1/n=0.9562
0=0.8966
n≧s=0.1034
【0054】
第1のパラメータに対して、パケット損失率がe=0.05(5%)に変化したとする。
tk=1×k=10
v=(1−(1−e)k/tk)=0.05
=e×k/(1−e)=1.2461
u=1/n=0.8025
0=0.4420
n≧s=0.5580
これにより、パケット損失率が高くなると、接続不可能確率が高くなることが理解できる。
【0055】
第1のパラメータに対して、基地局周辺に存在する携帯端末数Nが15に変化したとする。
N=15
tk=1×k=10
v=(1−(1−e)k/tk)=0.01
=e×k/(1−e)=1.0458
u=1/n=0.9562
0=0.8450
n≧s=0.1550
これにより、基地局周辺の存在端末数Nが増加すると、接続不可能確率が高くなることが理解できる。
【0056】
第1のパラメータに対して、通信補完のためのデータ量を、単位時間に0.5個のTSパケット分のデータ量とする。即ち、通信回線の伝送速度が遅いとする。
tk=1×k=10
v=(1−(1−e)k/tk)=0.01
=e×k/(1−e)=1.0458
u=0.5/n=0.4781
0=0.7960
n≧s=0.2040
これにより、通信補完に用いる通信回線が遅い場合、接続不可能確率が高くなることが理解できる。
【0057】
第1のパラメータに対して、接続可能な端末数sが2に変化したとする。
s=2
tk=1×k=10
v=(1−(1−e)k/tk)=0.01
=e×k/(1−e)=1.0458
u=1/n=0.9562
0=0.9011
n≧s=0.0046
これにより、基地局の接続可能端末数sが多い場合、接続不可能確率が低くなることが理解できる。
【0058】
図5は、本発明におけるシーケンス図である。
【0059】
(S501)携帯端末1は、TSパケット損失率eの判定パケット単位数kと、単位時間の通信補完完了確率uとを予め設定する。通信補完完了確率uは、携帯端末1が基地局3を介してコンテンツサーバ6との間で確立した通信回線の伝送速度によって決定される。
(S502)基地局3は、周囲に存在する携帯端末1へ、基地局状態情報をブロードキャストする。基地局状態情報には、基地局周囲の携帯端末数Nと、基地局の接続可能端末数sとを含む。
【0060】
(S503)放送局サーバ2は、放送波を用いてコンテンツデータを送信する。携帯端末2は、その放送波を受信し、コンテンツデータを取得する。
(S504)携帯端末1は、放送データのパケット損失率eを計測する。
(S505)携帯端末1は、パケット損失率eと、パケット損失率の判定パケット単位数kと、基地局の接続可能端末数sと、単位時間の通信補完完了確率uと、基地局周辺の存在端末数Nとを用いて、通信補完を実行している端末数毎に、接続不可能確率pn≧sを算出する。
(S506)携帯端末1は、接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えているか否かを判定する。
(S507)接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えている場合、通信補完をしないように機能する。
(S508)接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えていない場合、携帯端末1は、通信補完のために、コンテンツサーバ6へコンテンツ取得要求を送信する。
(S507)コンテンツサーバ6は、放送局サーバ2から放送されたコンテンツデータを、携帯端末1へ送信する。これにより、携帯端末1は、受信できなかった放送データを、通信データによって補完する。
【0061】
以上、詳細に説明したように、本発明の端末及びプログラムによれば、通信放送連携システムにおける携帯端末が、受信できなかった放送データを通信データによって補完する場合、当該携帯端末自身が、基地局への接続不可能確率を推測することによって、通信補完をするか否かを制御する。これにより、通信放送連携システムについて、携帯端末の通信補完によって基地局が輻輳することがなくなる。
【0062】
前述した本発明における種々の実施形態によれば、当業者は、本発明の技術思想及び見地の範囲における種々の変更、修正及び省略を容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明におけるシステム構成図である。
【図2】本発明における携帯端末の接続数に応じた確率遷移図である。
【図3】接続不可能確率pn≧sの第1の導出過程式である。
【図4】接続不可能確率pn≧sの第2の導出過程式である。
【図5】本発明におけるシーケンス図である。
【符号の説明】
【0064】
1 携帯端末
11 放送受信部
12 移動通信部
13 通信補完制御部
14 パケット損失率計測部
15 確率算出部
2 放送局サーバ
3 基地局
4 移動アクセスネットワーク
5 インターネット
6 コンテンツサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局から放送データを受信する放送受信手段と、基地局を介してコンテンツサーバと通信データを送受信する移動通信手段と、受信できなかった放送データを通信データによって通信補完する通信補完制御手段とを有する端末であって、
前記放送データのパケット損失率eを計測するパケット損失率計測手段と、
前記パケット損失率eと、パケット損失率の判定パケット単位数kと、前記基地局の接続可能端末数sと、単位時間の通信補完完了確率uと、前記基地局周辺の存在端末数Nとを用いて、接続不可能確率pn≧sを算出する確率算出手段と
を有し、
前記通信補完制御手段は、前記接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えている場合、通信補完をしないように機能することを特徴とする端末。
【請求項2】
前記確率算出手段は、接続不可能確率pn≧s
【数1】

tk:k個のパケットの受信時間
e:TSパケット損失率
k:TSパケット損失率の判定パケット単位数
u:単位時間の通信補完完了確率
s:1つの基地局の接続可能端末数
によって算出することを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記判定パケット単位数kは、予め設定されており、
前記基地局の接続可能端末数s及び前記基地局周辺の存在端末数Nは、前記基地局から受信し、
前記通信補完完了確率uは、前記通信データの伝送速度に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末。
【請求項4】
請求項3に記載の前記端末と通信データを送受信する基地局であって、
前記基地局の接続可能端末数s及び前記基地局周辺の存在端末数Nをブロードキャストする基地局状態情報送信手段を有することを特徴とする基地局。
【請求項5】
コンピュータを搭載した端末であって、放送局から放送データを受信する放送受信手段と、基地局を介してコンテンツサーバと通信データを送受信する移動通信手段と、受信できなかった放送データを通信データによって通信補完する通信補完制御手段としてコンピュータを機能させる端末用プログラムであって、
前記放送データのパケット損失率eを計測するパケット損失率計測手段と、
前記パケット損失率eと、パケット損失率の判定パケット単位数kと、前記基地局の接続可能端末数sと、単位時間の通信補完完了確率uと、前記基地局周辺の存在端末数Nとを用いて、接続不可能確率pn≧sを算出する確率算出手段と
を有し、
前記通信補完制御手段は、接続不可能確率pn≧sが所定閾値pthresholdを超えている場合、通信補完をしないように、コンピュータを機能させることを特徴とする端末用プログラム。
【請求項6】
前記確率算出手段は、接続不可能確率pn≧s
【数2】

tk:k個のパケットの受信時間
e:TSパケット損失率
k:TSパケット損失率の判定パケット単位数
u:単位時間の通信補完完了確率
s:1つの基地局の接続可能端末数
によって算出するようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5に記載の端末用プログラム。
【請求項7】
前記判定パケット単位数kは、予め設定されており、
前記基地局の接続可能端末数s及び前記基地局周辺の存在端末数Nは、前記基地局から受信し、
前記通信補完完了確率uは、前記通信データの伝送速度に基づいて決定される
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5又は6に記載の端末用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−72413(P2008−72413A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248860(P2006−248860)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人情報通信研究機構「ユビキタスITSの研究開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(599108264)株式会社KDDI研究所 (233)
【Fターム(参考)】