説明

通信装置、プリンタ、通信システム、プログラム

【課題】通信相手の機器の特定を容易する通信装置、プリンタ、通信システム及びプログラムを提供すること。
【解決手段】外部の機器11と通信する機能を有すると共に、外部の機器11に対し所定の機能を提供する通信装置12であって、当該通信装置12の存在通知を要求する存在通知要求情報を受信した際の、存在通知の態様を示す制御方法情報を記憶した制御方法記憶手段27と、存在通知要求情報を外部の機器から受信する受信手段25と、受信手段25が存在通知要求情報を受信した際に制御方法記憶手段27を検索して対応する制御方法情報を取得する検索手段31と、検索手段が検索して得た制御方法情報に基づいて存在通知を発する通知手段40と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信可能な機器等に関し、特に、通信相手の存在を通知可能な通信装置、プリンタ、通信システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信が可能な通信装置を搭載した、携帯電話、PDA、ノートパソコン、デジタルカメラ、プリンタ等のOA機器が市販されるようになっている。例えば、 Bluetooth(登録商標)に準拠した無線通信では,最大100m程度の通信が可能となり、デジタルカメラで撮影した画像をプリンタに送信することにより、無線によるダイレクプリントを可能にしたり、また、携帯電話,PDA,ノートPC等の様々なモバイル機器間で無線によるデータの送受信が可能となる。
【0003】
無線通信によって端末同士が接続するまでの手順は、接続を行なう一方の通信装置が無線到達範囲の通信装置を探索し、その探索結果から接続する通信装置を特定し、その通信装置に対して接続を行うという手順である。通信装置同士が通信装置を特定するために用いられる情報は固有アドレスであるが、この固有アドレスは長い数値の羅列であることが多いため、ユーザが通信相手の通信装置を把握する情報としては適切でない。そこで、通信相手とさらに通信して機器の型番などの情報を取得することがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1記載の通信装置は、探索された通信装置の型番の一覧を、通信装置を搭載した機器に表示することができる。図13は、通信装置を搭載した機器に表示された型番の一覧を示す。ユーザは一覧の中から所望の機器を選択することができる。
【0005】
また、例えば改良前の製品と改良後の製品等のように類似した機器だと型番も類似してしまい、固有アドレスで通信装置を表示する場合と同じ問題が生じることから、特許文献1記載の通信装置は、通信装置を探索した日時及び場所を表示することができる。したがって、探索された通信装置が数多い場合でも、ユーザが複数の型番から所望の機器を選択できるようになりユーザビリティを向上させることができる。
【特許文献1】特開2006−318284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようにして一覧表示した装置からの選択を用意しても、類似機種(デジタル複合機ならデジタル複合機同士)が複数実在する場合、ユーザが所望の通信装置を見分けることは難しい。例えば、デジタル複合機の場合、外見から型番を確認しにくい上、型番が酷似している。これでは、ユーザは実際に文書がどの機器から印刷されるかを把握できない。
【0007】
図13では、デジタル複合機の一覧を、型番と固有アドレスで示しているが、型番では「MP C4500」のように一致するデジタル複合機が存在する。また、固有アドレスは外観から見えない場所に記載されていることが多く、例えば、機器側の固有アドレスを確認するためには機器の電源を一旦オフにして、所定の場所(デジタル複合機の裏側等)に配置された通信装置を取り外す必要があるなど、事実上、ユーザが所望の通信装置を見分けることは困難である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、通信相手の機器の特定を容易する通信装置、プリンタ、通信システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、外部の機器と通信する機能を有すると共に、外部の機器に対し所定の機能を提供する通信装置であって、当該通信装置の存在通知を要求する存在通知要求情報を受信した際の、存在通知の態様を示す制御方法情報を記憶した制御方法記憶手段と、存在通知要求情報を外部の機器から受信する受信手段(例えば、BLTHモジュール25)と、受信手段が存在通知要求情報を受信した際に制御方法記憶手段を検索して対応する制御方法情報を取得する検索手段(プレゼンスコマンド制御部31)と、検索手段が検索して得た制御方法情報に基づいて存在通知を発する通知手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、通知手段が当該通信装置の存在を通知するので通信装置又はそれを搭載した機器を容易に特定できる。
【0011】
また、本発明の一形態において、前記通知手段は、音、光、振動等の物理作用を外部に及ぼす、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、存在通知要求を受信すると、通知手段が音、光、振動等の物理作用を外部に及ぼすので、通信装置又はそれを搭載した機器を容易に特定できる。
【0013】
また、本発明の一形態において、受信手段が受信した前記存在通知要求情報に対応する前記制御方法情報に基づき前記通知手段が存在通知を発することが可能か否かを判定する判定手段を有し、判定手段が存在通知を発することが可能でないと判定した場合、受信手段が受信した存在通知要求情報に対応して制御方法記憶手段に記憶された制御方法情報とは異なる、通知手段及び該通知手段の制御方法情報を前記機器に送信する送信手段を有する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、存在通知要求情報で指定された制御方法で通知手段を制御ができない場合には、実際の通知手段及び制御方法を機器に送信するので通信装置又はそれを搭載した機器を特定できる。
【0015】
また、本発明の一形態において、a)通知手段が光源の場合、光源が点灯又は点滅し、b)通知手段が音声出力手段の場合、音声出力手段から音又はメッセージを出力し、c)通知手段が表示装置の場合、表示装置が点灯若しくは点滅し、又は、存在通知要求情報を受信する前と色を変えて点灯若しくは点滅し、d)通知手段がモータの場合、モータが駆動し、のいずれか1つの制御方法により通知手段は存在通知を発する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、a)の場合、光を点灯又は点滅させて存在を通知するので、ユーザに煩わしさを感じさせにくい。また、b)の場合、光源が他の機器などで隠れていても機器が存在することを通知できる。c)の場合、光を点灯又は点滅させて存在を通知するのでユーザに煩わしさを感じさせにくく、かつ、新たなデバイス装置を追加する必要がないのでコスト増を抑制できる。d)の場合、モータ駆動の音によりプレゼンスを通知するので、光源が他の機器などで隠れていても機器が存在することを通知でき、また、多くの場合機器はモータを備えるので新たなデバイス装置を追加する必要がなくコスト増を抑制できる。
【0017】
また、本発明の一形態において、存在通知要求情報は、ブルートゥース通信規格のechoコマンドに含まれるか、ブルートゥース通信規格のホストコントロールインターフェイスの拡張コマンドであるか、又は、ブルートゥース通信規格のホストコントロールインターフェイスの標準コマンドである、ことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、echoコマンドを利用することで拡張コマンドを定義(ハードウェアの変更)する必要がなくプレゼンス通知が可能であり、拡張コマンドを利用することでプレゼンス通知の詳細な制御が可能であり、標準コマンドを利用することで拡張コマンドを定義することなくプレゼンス通知が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
通信相手の機器の特定を容易する機器、プリンタ、機器システム及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の無線通信システム100の概略構成図を示す。ユーザは無線通信装置を搭載した携帯電話やPDA(Personal Data Assistant)等の携帯機器11を携帯している。携帯機器11は、所定範囲に存在する無線通信装置を搭載した機器12A〜12C(区別しない場合、単に機器12という)を探索して固有アドレスや型番を取得している。例えば、ユーザの操作により携帯機器11のディスプレイ11aには機器12A〜12Cが一覧表示される。図1では、機器12A〜12Cの型番「imager MP C4500」等と固有アドレス「00:0B:50:00:06:9D」等が表示されている。
【0022】
本実施形態の無線通信システム100は、ユーザがペンやキーボードなどで携帯機器11に表示された機器12A〜12Cを選択すると、携帯機器11が選択された機器(図では機器12B)にプレゼンス要求を送信し、機器12BのLED等が例えば所定の色で点灯したり点滅する。
【0023】
すなわち、無線通信システム100は、携帯機器11に表示される2次元世界と物理空間内の実機とを結びつけるので、ユーザは選択した機器12Bがどこにあるか又はどれが選択した機器12Bかを容易に特定することができる。
【0024】
図2は、無線通信システム100の概略構成図の別の一形態を示す。図2の携帯機器11と機器12はいずれもBluetooth(登録商標)に準拠した通信装置を搭載している。携帯機器11は例えば携帯電話、PHS、PDA、PC(パーソナルコンピュータ)であり、機器12は例えばプリンタ、ファクシミリ、複写機、MFP(Multi Function Printer)等であるが、携帯機器11がプリンタ等であってもよく、機器12が携帯電話等であってもよい。
【0025】
以下では、Bluetooth(登録商標)をBLTHと、Bluetooth(登録商標)に準拠した通信装置をBLTHモジュールと、BLTHモジュールを搭載した機器12をBLTH機器と称す。
【0026】
BLTHは近距離無線通信規格の一つであり、一対多接続が可能で低消費電力であることを特長としており、携帯電話やPDA を始めとし様々な端末に搭載されている。本実施形態では、BLTHによる通信を例にして説明するが、Wi-Fi、Zigbeeなどの無線通信規格を用いてもよい。
【0027】
〔BLTHについて〕
BLTHについて概略を説明する。BLTH機器が初めて互いに接続する場合、双方に搭載されたBLTHモジュール25が同一のPIN(Personal Identification Number)コードを互いに送信することが要求される。すなわち、ユーザは最初の接続時だけ、端末間でPINコードにより互いに認証するボンディング又はペアリングと呼ばれる作業を完了させておくことになる。本実施形態では、BLTHモジュール25間でそれぞれボンディングが完了しているものとする。
【0028】
なお、Wi-Fiなどの無線LANの場合、アクセスポイントへの接続にはアクセスポイントと同じESS-ID(Extend Service Set-Identifier)及びアクセスポイントが記憶するWEP(Wired Equivalent Privacy)キーを、携帯機器11と機器12が記憶していることが必要である。したがって、無線LANで接続する場合、携帯機器11と機器12はESS-ID及びWEPを記憶しているものとする。
【0029】
続いて、BLTHのプロトコルスタックについて図3に基づき説明する。図3のプロトコルスタックは、BLTH標準規格で定義されているレイヤ構成に、HCI(Host Control Interface)インターフェイスを加えた構成となっている。図ではHCIインターフェイスをHCIドライバとHCIファームウェアで示した。
【0030】
物理層はいわゆるRF通信の処理を行うレイヤで、2.4GHzの周波数帯域を用いた周波数ホッピング型のスペクトル拡散方式で変調された電波により通信路を形成する。ベースバンド層は、物理層に対してパケットを送受信するインターフェイスとなるレイヤで、SCOリンクとACLリンクの2つの通信リンクを提供する。ベースバンド層により、周波数ホッピングのための送受信周波数の切り替え、誤り訂正、ピコネットの形成などの処理が実行される。
【0031】
リンク管理層は、ベースバンド層に対し通信リンクの設定やそのリンクに関する様々な通信パラメータを指定する。それらは、制御パケットとしてリンク管理層に定義され、必要に応じて接続先のBLTHモジュール25との通信に用いられる。
【0032】
HCIファームウェアとHCIドライバは、BLTHによる無線通信に対する既存のインターフェイスへの整合性を与える。HCIインターフェイスにより、上位層(図ではL2CAP以上)はBLTH特有の通信プロトコルを意識することなく、下位層のハードウェアにアクセスできることになる。
【0033】
HCIファームウェアは、物理層、ベースバンド層及びリンク管理層側と、それよりも上位のレイヤの間に設けられ、物理層及びベースバンド層を構成するICチップ又はICチップのファームウェア又はミドルウェアとして実装されている。
【0034】
また、HCIドライバは、上位層側が下位層側にアクセスするための共通のコマンドを提供する。本実施形態では、HCIのコマンドの規定されていない領域を利用してプレゼンス要求を送信したり、ベンダー拡張領域にプレゼンス要求のコマンドを新たに設けたり、標準HCIコマンドのプレゼンス要求と兼用するなどして、機器12にプレゼンス要求する。
【0035】
いずれの形態であっても、L2CAP(論理リンク管理層)にはプレゼンス要求を送信したり、受信してそれを解釈するプレゼンスコマンド制御部31が含まれる。プレゼンスコマンド制御部31は、プレゼンス要求にデバイス装置40及びその制御方法を対応づけて記憶する制御方法テーブル30を参照して、プレゼンス要求を生成しまた解釈する。プレゼンスコマンド制御部31は、後述するようにCPUがプログラムを実行することで実現される。
【0036】
L2CAPは、上位のアプリケーションから提供されるユーザデータ(例えば、印刷データ等)を、ベースバンド層で送受信される論理チャネルとして管理し、所定のサイズのパケットに分割したり再構築する。
【0037】
L2CAPよりも上のレイヤは、L2CAPに適合した種々のプロトコルがスタックされうるレイヤとなる。RFCOMMはケーブルリプレイスメントプロトコルとも呼ばれ、有線の代わりにシリアル伝送するプロコルを定めるレイヤである。また、利用可能なサービスを探索するSDP(service discovery protocol)をスタックし、サービスに関する情報獲得のための機能及び手続きを規定することが多い。
【0038】
なお、RFCOMMのレイヤには、この他にも種々のプロファイル(シリアルポートプロファイル、ヘッドセットプロファイル、オブジェクトエクスチェンジプロファイル等)がスタックされている。
【0039】
アプリケーションは、OS上で動作するブラウザソフトウェア、ワープロソフトウェア、デバイス制御ソフトウェア、又は、OSに含まれる一部のデバイス制御ソフトウェアである。アプリケーションインターフェイスは、RFCOMMなどの通信プロファイルに対し、アプリケーションがアクセスする共通のインターフェイスを規定する。
【0040】
アプリケーションのレイヤには、プレゼンス要求を受信した場合、LED43の点灯などによりプレゼンス通知するプレゼンス通知部32が含まれる。プレゼンス通知部32は、LED43などのデバイス装置40を制御するデバイス制御ソフトウェアの一形態である。プレゼンス通知部32は、プレゼンス要求に応じて所定のデバイス装置40の制御部又はデバイス制御ソフトウェアにプレゼンス通知を要求する。なお、以下では単に、プレゼンス通知部32がデバイス装置40を制御すると表現する。
【0041】
一般的には物理層、ベースバンド層及びリンク管理層は、全てのBLTHモジュール25に共通した機能であるので、BLTHモジュール25(ICチップ)、すなわちハードウェアとして構成される。また、HCIファームウェアはBLTHモジュール25と一体である。これに対し、HCIドライバ、L2CAP及びRFCOMM等の上位のレイヤは、BLTH機器などのホスト側で実行されるOSなどのソフトウェアにより実装されている。
【0042】
〔携帯機器11、機器12の構成について〕
図4は、携帯機器11及び機器12が有するコンピュータのハードウェア構成図を示す。携帯機器11及び機器12は、それぞれに要求される機能に応じてコンピュータも設計されているが、基本的な構成は共通である。なお、携帯機器11及び機器12の共通部分については同時に説明する。
【0043】
コンピュータは、それぞれバスで相互に接続されているRAM21、ROM22、メモリカード装着部23、入力装置24、BLTHモジュール25、表示制御装置26、記憶装置27及びCPU28を有するように構成される。
【0044】
RAM21はOS(Operating Software)や各種のプログラムやデータを展開する作業メモリになり、ROM22はBIOSなどOSを起動するためのプログラムや設定ファイルを記憶している。メモリカード装置部23は、フラッシュメモリなどの記憶媒体29が着脱可能に構成されており、記憶媒体29にプレゼンスコマンド制御プログラム31P、プレゼンス通知プログラム32Pやデータを書き込む際に使用され、また、記憶媒体29に記録されたプレゼンスコマンド制御プログラム31P、プレゼンス通知プログラム32Pやデータを読み込む際に使用される。
【0045】
入力装置24はキーボードやマウスなどのポインティングデバイス、タッチパネルなど、ユーザからの様々な操作指示を入力するための装置である。BLTHモジュール25は、Bluetooth(登録商標)に準拠した通信装置であって、図3のプロトコルスタックのうちハードウェアで構成されるレイヤが実装されたICチップ等である。したがって、BLTHモジュール25が備えるアンテナにより、互いに電波を送受信しパケットが抽出される。表示制御装置26は、ディスプレイ42に表示される画面を制御し、例えば、アプリケーションプログラムが生成するウィンドウ、操作画面、などの表示位置等をディスプレイ42に指示する。
【0046】
記憶装置27は、HDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリなど不揮発性メモリである。携帯機器11の記憶装置27には、OS、プレゼンスコマンド制御プログラム31P、制御方法テーブル30、アプリケーションプログラム、ドライバ等のファイルが記憶されている。機器12の記憶装置27には、これらに加え、さらにプレゼンス通知プログラム32Pが記憶されている。
【0047】
CPU28は、OS、プロトコルスタックの上位レイヤ、種々のプログラムを記憶装置27から読み込んで実行することで、コンピュータが行う処理を統括的に制御する。携帯機器11のCPU28は、プレゼンスコマンド制御プログラム31Pを記憶装置27からロードして実行することで、プレゼンスコマンド制御部31を実現する。また、機器12のCPU28は、プレゼンスコマンド制御プログラム31P、プレゼンス通知プログラム32Pを記憶装置27からロードして実行することで、プレゼンスコマンド制御部31とプレゼンス通知部32を実現する。また、機器12のCPU28は、不図示のプログラムを記憶装置27からロードして実行することで、携帯機器11から送信されたプレゼンス要求によりプレゼンス通知が可能か否かを判定する判定部33を実現する。
【0048】
プレゼンスコマンド制御プログラム31P及びプレゼンス通知プログラム32Pは、予め記憶装置27にインストールされた状態で携帯機器11又は機器12として出荷されてもよいし、ネットワークからダウンロードされたり、記憶媒体29に記憶された状態で配布されメモリカード装置部23から記憶装置27にインストールされてもよい。
【0049】
〔デバイス装置40〕
プレゼンス通知するための機器12のデバイス装置40について説明する。機器12は搬送モータ41、ディスプレイ42、LED43及びスピーカ44等のデバイス装置40を有する。なお、携帯機器11にも同様のデバイス装置40が接続されうるが図では省略した。
【0050】
これらデバイス装置40は、プレゼンス通知部32がプレゼンス要求に応じて制御するデバイス装置40である。搬送モータ41は排紙機構のあるプリンタ等で用紙を搬送するためのモータである。ディスプレイ42はUI(ユーザインターフェイス)となる画面であり、機器12の状態、操作画面、等を表示するものであって、通常はバックライトを備えている。LED43は、赤、青、黄、白など種々の色で点灯又は点滅する光源であって、動作状況等を光で知らせるため外部から視認できる箇所に配設されている。スピーカ44は音源回路に接続されたアンプを有し、音や音声メッセージを出力する。
【0051】
〔BLTHモジュール25間の通信〕
BLTHモジュール25間の通信について説明する。BLTHでは、1つのマスターと1つ以上のスレーブがネットワーク(ピコネット)を形成する。マスターはコンピュータネットワークの例えばサーバに相当し、スレーブはクライアントに相当するが、BLTHではこの関係は固定でなく原則的に通信をしたい方がマスターになり、ピコネットを形成した後もHCIコマンドにより切り替えることができる。
【0052】
BLTHでは、その通信状態をいくつかのフェーズに区分する。例えば、待ち受けフェーズはいかなるパケットの送受信も行わないフェーズであり、BLTH機器の電源を入れた直後や、通信リンクを切断した場合に待ち受けフェーズとなる。また、同期確立フェーズはピコネット内同期を確立するフェーズで、Inquiry(問い合わせ)とPage(呼び出し)の2つの状態がある。
【0053】
例えば、携帯機器11をマスターとすると、携帯機器11のBLTHモジュール25は無線到達範囲にある機器12を探索するため、Inquiryパケットをブロードキャストする。これを受信した機器12のBLTHモジュール25はFHSパケットを携帯機器11に送信する。FHSパケットには、自端末のBD_ADDR(BLTHアドレス)やクロック情報などの情報が含まれる。
【0054】
次いで、携帯機器11 はFHSパケットにより取得したBD_ADDR に対して、例えば"Create_Connection" のHCIコマンドを送信し、機器12と接続を行なう。機器12が接続を受け入れるとピコネット内同期が確立する。
【0055】
これにより、BLTHでは通信が可能な接続フェーズに遷移する。接続フェーズでは、携帯機器11は、"Remote_name_Request"と呼ばれるHCIコマンドによって機器12の機器情報を取得する。機器情報には、機器12の種類を表す"Code of Device"が含まれるので、以上の処理で携帯機器11は、機器12の型番や固有アドレスを取得できたことになり、図1に示したように、携帯機器11のディスプレイ11aに機器12の一覧を表示することができる。
【0056】
ユーザは、この探索結果の情報から接続するBLTH機器を特定し、FTP(File Transfer Profile)やOBEX(Object Exchange)Profile などのプロファイルで接続を行なう。
【0057】
〔プレゼンス通知の形態(デバイス装置40の制御方法)例〕
本実施形態のBLTH機器(携帯機器11)はユーザにより選択されたBLTH機器(機器12)に対してプレゼンス要求を送信し、機器12がLED43等のデバイス装置40を制御することで、ユーザにプレゼンス(存在)を通知する。例えば、搬送モータ41でプレゼンス通知する場合、搬送モータ41は用紙を搬送することなく搬送モータ41を回転駆動してその動作音によりにプレゼンスを通知する。例えば、短時間に搬送モータ41の回転方向を切り替えたりして動作音を大きくしてもよい。
【0058】
ディスプレイ42でプレゼンス通知する場合、ディスプレイ42のバックライトの輝度を最大にしたり、色を変えて点灯したり、点滅するなどによりプレゼンスを通知する。搬送モータ41やディスプレイ42を予め備えた機器12であれば、構成を追加する必要がないのでコスト増を抑制できる。
【0059】
LED43でプレゼンス通知する場合は、LED43を点灯したり、点滅したり、種々の色で点滅するなどしてプレゼンスを通知する。また、スピーカ44でプレゼンス通知する場合は、「ピピピ…」等の注意喚起音、「ブルートゥースにより接続しています」等の音声メッセージの出力によりプレゼンスを通知する。
【0060】
〔プレゼンス要求〕
プレゼンス要求のいくつかの形態について説明する。
<echoコマンドの利用>
echoコマンドとは、L2CAP層で接続したチャネル上のコマンドで、接続テスト行うためのコマンドであり、LAN(TCP/IP)の場合はPingコマンドに相当するコマンドである。以下、echoコマンドを利用したプレゼンス要求をエコー要求と、エコー要求に対する機器12の応答をエコー応答という。
【0061】
図5(a)はエコー要求"echo Request"のフォーマットを、図5(b)はエコー応答"echo Response"のフォーマットを、それぞれ示す。
【0062】
Code(echoコマンドのオペコード)とIdentifier(接続の識別番号)のビット長は固定であるが、Data欄には任意のデータを格納することができるので、Length(データ数)によりエコー要求とエコー応答の全体の長さを指定する。echoコマンドではエコー要求とエコー応答に含まれているData欄の記述が同一であるか否かによって、接続テストの結果を判断する。
【0063】
BLTHの仕様ではData欄の記述が定義されていない。このため、echoコマンドによりプレゼンス要求を送信する場合、エコー要求のData欄にプレゼンス要求を埋め込むことができる。
【0064】
図6(a)は、Data欄にプレゼンス要求が埋め込まれたエコー要求の一例を示す。Data欄には「PRESENCE_YOUKYU,RED」と記述されているが、実際には、ビット列にコード化(例えば、ASCIIコード等で16進数に変換)して記述される。カンマを挟んで記述される「RED」は、LED43を赤色で点灯するよう要求する引数で、「Blue」や「GREEN」など他の色でもよい。
【0065】
スピーカ44から音を出力する場合は、点灯色でなく例えば「Sound」が引数となり、例えば、「PRESENCE_YOUKYU,Sound」がData欄に記述される。また、搬送モータ41を駆動する場合は「Motor」が引数となり、例えば、「PRESENCE_YOUKYU,Motor」がData欄に記述される。ディスプレイ42を駆動する場合は「Display」が引数となり、例えば、「PRESENCE_YOUKYU,Display」がData欄に記述される。
【0066】
したがって、ecohコマンドを利用してプレゼンス要求する場合、制御方法テーブル30には例えば次のような制御方法が記憶されている。
RED :LED43 :赤色に点灯
Blue :LED43 :青色に点灯
Sound :スピーカ44 :音を出力
Motor :搬送モータ41 :搬送モータ41を駆動
Display:ディスプレイ42:ディスプレイ42のバックライトを点滅
携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、ディスプレイ11aに表示された機器12A〜12Cの一覧からいずれかが選択されると、プレゼンス要求するためのエコー要求コマンドを生成する。プレゼンスコマンド制御部31は、予め定められている制御方法を制御方法テーブル30から抽出してエコー要求のData欄に記述する。また、ユーザにより、所望のプレゼンス通知方法(LED43や搬送モータ41等)を選択することができ、この場合はユーザの選択に応じて制御方法テーブル30から制御方法を抽出しエコー要求のData欄に記述する。
【0067】
機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、エコー要求を受信するとData欄の記述に基づき制御方法テーブル30を参照し制御方法を抽出する。そして、制御方法をプレゼンス通知部32に送信する。プレゼンス通知部32は、指定された制御方法に従いデバイス装置40を制御する。これにより、ユーザにプレゼンスが通知される。
【0068】
また、echoコマンドは、上述のようにエコー応答を返送するコマンドであるので、機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、エコー応答を返送する。図6(b)は、エコー応答の一例を示す。原則的にエコー要求とエコー応答ではData欄の記述は同じになる。
【0069】
しかしながら、例えば、「PRESENCE_YOUKYU,RED」に対してLED43が備えられていない場合や、他の携帯機器11からのプレゼンス要求処理を実行していたり、機器12の本来の機能が作動中等のため、エコー要求のData欄に記述された制御方法でプレゼンス通知できない場合がある。判定部33は、デバイス装置40の動作状況等を監視したり問い合わせることで、エコー要求のData欄に記述された制御方法でプレゼンス通知できるか否かを判定する。
【0070】
判定部33がエコー要求のData欄に記述された制御方法ではプレゼンス通知できないと判定した場合、プレゼンスコマンド制御部31は実際に行ったプレゼンス通知をエコー応答を利用して携帯機器11に返す。
【0071】
図6(b)では、例えば赤色で点灯できないため青色で点灯した場合のエコー応答を示すものであり、Data欄に「BLUEDE_HYOUZI_TYU」と記述されている。
【0072】
したがって、機器12のプレゼンスコマンド制御部31には、プレゼンス要求と同じプレゼンス通知ができない場合に代替するプレゼンス通知を、制御方法テーブル30に記憶している。そして、最終的にプレゼンス通知が可能なデバイス装置40が定まると、プレゼンスコマンド制御部31がData欄を記述し、エコー応答のechoコマンドを送信する。エコー要求に従いプレゼンス通知できた場合はData欄に「PRESENCE_YOUKYU,RED」を記述する。
【0073】
ところで、例えばLED43の点灯によりプレゼンス通知した場合、いつまでも点灯していると消費電力が増大し、また煩わしさ感じさせる場合があるので、所定時間が経過したら終了することが好ましい。このため、プレゼンス通知部32は、予め定められた所定時間が経過したらデバイス装置40の制御を終了する。
【0074】
また、携帯機器11からプレゼンス通知を終了させるechoコマンドが受信された時にデバイス装置40の制御を終了してもよい。図6(c)は、プレゼンス通知を終了させるパラメータがData欄に記述されたエコー終了要求のechoコマンドの一例を示す。Data欄には「PRESENCE_YOUKYU_SYURYOU」と記述されている。プレゼンスコマンド制御部31はエコー終了要求のechoコマンドのData欄の記述に基づき制御方法テーブル30を参照し、プレゼンス通知部32にプレゼンス通知の終了を要求する。
【0075】
なお、エコー終了要求のechoコマンドは、ユーザの操作により携帯機器11から機器12に送信されてもよいし、携帯機器11がエコー応答のechoコマンドを受信してから所定時間が経過した時に、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31が自動的に機器12に送信してもよい。
【0076】
echoコマンドを用いてプレゼンス要求する無線通信システム100の動作について、図7のシーケンス図に基づき説明する。
【0077】
まず、携帯機器11と機器12が接続を確立する(S10)。
【0078】
そして、ユーザが携帯機器11のディスプレイ11aに表示された機器12の一覧から、いずれかの機器12を選択すると、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、エコー要求を送信する(S20)。
【0079】
機器12のプレゼンスコマンド制御部31はエコー要求を受信する(S30)。そして、機器12のプレゼンスコマンド制御部31はData欄の記述に基づき制御方法テーブル30を参照して、プレゼンス通知するデバイス装置40等を検出し、プレゼンス通知部32がデバイス装置40を制御することでプレゼンス通知が実行される。
【0080】
機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、echoコマンドの仕様に従いエコー応答を携帯機器11に送信する(S40)。実際に行ったプレゼンス通知とエコー要求の制御方法が等しければエコー要求と同じData欄のエコー応答を返送し、そうでなければ、実際に行ったプレゼンス通知をData欄に記述してエコー応答を返送する。
【0081】
ついで、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31はエコー終了要求を機器12に送信する(S50)。上記のように、ユーザの操作によりエコー終了要求を送信してもよいし、エコー応答を受信してから所定時間経過後に送信してもよい。また、エコー終了要求がなくても、機器12のプレゼンス通知部32が所定時間経過後にプレゼンス通知を終了してもよい。
【0082】
echoコマンドを利用することで次述のように拡張コマンドを定義(ハードウェアの変更)する必要がなく、コスト増を抑制してプレゼンス通知することができる。
【0083】
<ベンダー拡張コマンドの利用>
HCIコマンドは、一部のコードがベンダーのデバッグ領域として開放されている。すなわちデバッグ領域については各ベンダーがコマンドを定義することができる。HCIコマンドのオペコードは16ビットになっており、上位6ビットOGF(OpCode Group Field)と下位10ビットOCF(OpCode Command Field)とから構成される。このうち、0xfc00(OGF=0x3f/OCF=0x000)から0xffff(OGF=0x3f/OCF=0xfff)までがデバッグ領域である。 したがって、デバッグ領域を利用することで、ベンダー拡張コマンドを定義することができる。
【0084】
図8(a)はHCIコマンドのフォーマットの一例を示す。OpCodeにはベンダー拡張コマンドが、Lengthにはパラメータ数が、Parameter0〜Nには所望のパラメータを設定することができる。
【0085】
例えば、プレゼンス要求するHCIコマンドのOpCodeを「0xFC00」と定義し、制御方法をパラメータに定義する。パラメータにより、例えば表示する色等が決定される。したがって、ベンダー拡張コマンドを利用してプレゼンス要求する場合、制御方法テーブル30には例えば次のような制御方法が記憶されている。
FC00 0x1 :LED43 :赤色に点灯
FC00 0x2 :LED43 :青色に点灯
FC00 0x3 :スピーカ44 :音を出力
FC00 0x4 :搬送モータ41 :搬送モータ41を駆動
FC00 0x5 :ディスプレイ42:ディスプレイ42のバックライトを点滅
図8(b)は定義されたプレゼンス要求コマンドの一例を示す。ここでは、OpCodeは「FC00」、Parameter0は「0x1(=RED)」、Lengthはパラメータが1つなので「1」である。
【0086】
プレゼンス要求する場合、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、制御方法テーブル30を参照して図8(b)のようなHCIコマンドを生成する。HCIコマンドは、HCIドライバ側からHCIファームウェアにコマンドを送信される際に用いられるコマンドであるので、携帯機器11のHCIドライバからHCIファームウェアに送出されたHCIコマンドは、機器12のHCIファームウェアに送信される。
【0087】
これに対し、機器12のHCIファームウェアは、HCIイベントによりプレゼンスコマンド制御部31にイベントの発生を通知する。HCIイベントは、HCIファームウェアがHCIドライバにイベントが発生したことを通知するために用いられる。
【0088】
図9(a)はHCIイベントのフォーマットの一例を示す。プレゼンス要求のHCIコマンドを受信した機器12のHCIファームウェアは、OpCodeは「FC00」に対応した「Event Code」を格納し、「Parameter0〜N」にHCIコマンドのパラメータを格納してHCIイベントを生成し、機器12のHCIドライバに送出する。
【0089】
機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、制御方法テーブル30を参照してHCIイベントの「Event Code」及び「Parameter」を抽出し、プレゼンス通知部32に制御方法を送信する。プレゼンス通知部32は、制御方法に従いデバイス装置40を制御する。これにより、ユーザにプレゼンスが通知される。
【0090】
プレゼンス要求のHCIコマンドに対しては必ずしも応答を返送する必要はないが、要求されたパラメータでプレゼンス通知できたか否かを応答したり、要求されたパラメータでプレゼンス通知できなかった場合には実際の制御方法を「Parameter」に記述して応答することで、ユーザの利便性が向上する。
【0091】
プレゼンス要求のパラメータに従って通知できた場合、機器12のプレゼンスコマンド制御部31はプレゼンス要求のパラメータ「0x1(=RED)」を「Parameter」に格納しプレゼンス応答を送信する。プレゼンス応答のOpCodeはプレゼンス要求と同様に拡張定義されている。
【0092】
判定部33が、プレゼンス要求のパラメータに従って通知できないと判定した場合、機器12のプレゼンスコマンド制御部31は実際にプレゼンス通知した制御方法に応じたパラメータを「Parameter」に格納し応答を送信する。
【0093】
図9(b)はHCIコマンドによるプレゼンス応答の一例を示す。図9(b)では、プレゼンス要求のパラメータ「0x1(=RED)」に対し、「0x2(=BLUE)」が格納されている。したがって、HCIコマンドを用いてプレゼンス要求する場合も、ユーザは実際のプレゼンス通知の制御方法を把握することができる。
【0094】
また、echoコマンドを用いたプレゼンス要求と同様に、所定時間が経過したらプレゼンスの通知を終了することが好ましいので、機器12のプレゼンス通知部32は、予め定められた所定時間が経過したらデバイス装置40の制御を終了する。携帯機器11からプレゼンス終了要求のHCIコマンドを機器12に送信することで、プレゼンス通知を終了してもよい。
【0095】
図9(c)は、プレゼンス終了要求のHCIコマンドの一例を示す。プレゼンス通知の終了を要求するOpCodeはプレゼンス要求と同様に拡張定義されている。また、プレゼンス通知を終了要求する「Parameter」には実際にプレゼンス通知しているパラメータが格納される。
【0096】
機器12のプレゼンスコマンド制御部31はHCIコマンドに基づき制御方法テーブル30を参照して、プレゼンス通知部32にプレゼンス通知の終了を要求する。
【0097】
なお、HCIコマンドを拡張定義するには、BLTHモジュール(ICチップ)25を改良する必要があるが、HCIコマンドを用いれば、echoコマンドと兼用することなく、プレゼンス要求を通知することができる。
【0098】
図10は、無線通信システム100が拡張定義されたHCIコマンドを用いてプレゼンス要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0099】
まず、携帯機器11と機器12が接続を確立する(S10)。
【0100】
そして、ユーザが携帯機器11のディスプレイ11aに表示された機器12の一覧から、いずれかの機器12を選択すると、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、プレゼンス要求するためのHCIコマンドを送信する(S21)。
【0101】
機器12のプレゼンスコマンド制御部31はHCIコマンドを受信する(S30)。そして、機器12のプレゼンスコマンド制御部31はHCIコマンドに基づき制御方法テーブル30を参照して制御方法を抽出し、プレゼンス通知部32がデバイス装置40を制御することでプレゼンス通知が実行される。
【0102】
そして、機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、プレゼンス応答するためのHCIコマンドを送信する(S41)。送信するHCIコマンドのEvent Codeは予め拡張定義されており、また、パラメータには実際に行ったプレゼンス通知の制御方法が記述される。
【0103】
ついで、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31はプレゼンス終了要求のHCIコマンドを機器12に送信する(S51)。上記のように、ユーザの操作によりHCIコマンドを送信してもよいし、ステップS41のHCIコマンドを受信してから所定時間経過後に送信してもよい。また、機器12のプレゼンス通知部32が所定時間経過後にプレゼンス通知を終了してもよい。
【0104】
拡張コマンドを利用することでプレゼンス通知の詳細な制御が可能となる。
【0105】
<任意のコマンドの利用>
プレゼンス要求を拡張定義することなく、任意のコマンドを利用して送信することもできる。例えば、マスターとスレーブを接続してピコネットを形成するためのHCIコマンド(Create_Connection)を利用することができる。
【0106】
この場合、Create_Connectionとプレゼンス要求は一体である。したがって、機器12がCreate_Connectionを受信すると、携帯機器11と接続してピコネット内同期が確立すると共に、機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、予め定められた制御方法でプレゼンス通知部32にプレゼンスの通知を要求する。
【0107】
したがって、任意のコマンドの利用する場合、各デバイス装置40のプレゼンス通知の方法は固定となる。例えば、LED43でプレゼンス通知する場合は点灯色や点滅間隔が固定となり、スピーカ44でプレゼンス通知する場合は音やメッセージの内容が固定となる。
【0108】
また、Create_Connectionに対する応答はHCIの仕様として定められているので、プレゼンス要求として受信しても、これに対する応答は仕様に従った応答であり、プレゼンス要求の失敗などを通知することはできない。
【0109】
任意のコマンドを利用してプレゼンス要求する場合、制御方法テーブル30には例えば次のような制御方法が記憶されている。
Create_Connection :LED43 :赤色に点灯
Create_Connection :LED43 :青色に点灯
Create_Connection :スピーカ44 :音を出力
Create_Connection :搬送モータ41 :搬送モータ41を駆動
Create_Connection :ディスプレイ42:ディスプレイ42のバックライトを点滅
図11は、無線通信システム100が任意のHCIコマンドを用いてプレゼンス要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0110】
例えば、接続時にプレゼンス要求する場合、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は任意のHCIコマンドとしてCreate_Connectionを機器12に送信する(S12)。
【0111】
機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、受信したHCIコマンドに従い処理すると共に(S12)、任意のHCIコマンドに対応づけられたプレゼント通知を実行する(S30)。上記のように、このプレゼンス通知の制御方法は固定である。
【0112】
機器12のプレゼンス通知部32は別の任意のHCIコマンドを受信することで、プレゼンス通知を終了してもよいし、所定時間経過後にプレゼンス通知を終了してもよい。
【0113】
標準コマンドを利用することで拡張コマンドを定義することなくプレゼンス通知が可能となる。
【0114】
〔複数の機器12にプレゼンス要求する場合〕
上述したように、携帯機器11がプレゼンス要求した機器12はプレゼンス通知するが、携帯機器11は図1に示したように複数の機器12と接続しているので、接続が確立した全ての機器12にプレゼンス通知することもできる。
【0115】
例えば、機器12の1台1台にプレゼンス通知を要求する場合、プレゼンス通知を認識しながらユーザは順番に所望の機器12がどれかを確認していく必要がある。これに対し、利用可能な機器12が全て点灯していたらユーザは利用可能なサービスを一目で把握でき便利である。また、点灯していることは接続状態であることを意味するので、接続状態か否かを瞬時に把握できるので、通信のトラブルシューティングに利用することもできる。
【0116】
図12は、携帯機器11が複数の機器12にプレゼンス要求する手順を示すシーケンス図である。図12では、機器12としてプリンタ12D、ファクシミリ装置12E、及び、腕時計12Fが、携帯機器11と接続される。また、図では携帯機器11がマスターで、3台の機器12はいずれもスレーブとなる。なお、図12ではechoコマンドを用いてプレゼンス要求する。
【0117】
まず、携帯機器11は、3台の機器12と接続状態を確立する(S10)。これにより、携帯機器11のディスプレイ11aには機器12の一覧が表示される。そして、ユーザが、複数の機器12にプレゼンス要求する所定の操作を入力すると、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、3台の機器12に順番にプレゼンス要求していく。
【0118】
この順番は、例えば、携帯機器11のディスプレイ11aに一覧表示された機器12のリスト順(例えば、上から下)とすることで、ユーザはプレゼンス通知中の機器12と一覧表示された機器12との対応を把握することができる。ユーザがプレゼンス要求する順番を設定してもよい。
【0119】
例えば、プリンタ12Dからプレゼンス要求する場合、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、「MYGROUP_YOUKYU,RED」がData欄に記述されたエコー要求をプリンタ12Dに送信する(S110)。
【0120】
エコー要求を受信したプリンタ12Dのプレゼンスコマンド制御部31は、Data欄の記述に基づき制御方法テーブル30を参照して、プレゼンス通知するデバイス装置40等を検出し、プレゼンス通知部32がデバイス装置40を制御することでプレゼンス通知を実行する(S120)。ここで、機器12のプレゼンス通知部32は、他の処理に優先してData欄に指定されたプレゼンス通知を実行することが好ましい。これにより複数の機器12が同じプレゼンス通知を実行できユーザが把握しやすくなる。
【0121】
ついで、機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、echoコマンドの仕様に従い「RED_DE_HYOUJI_TYU」がData欄に記述されたエコー応答を携帯機器11に送信する(S130)。
【0122】
携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、同様の処理をファクシミリ装置12Eと腕時計12Fに繰り返す。
【0123】
携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、「MYGROUP_YOUKYU,RED」がData欄に記述されたエコー要求をファクシミリ装置12Eに送信する(S140)。
【0124】
エコー要求を受信したファクシミリ装置12Eのプレゼンスコマンド制御部31は、Data欄の記述に基づき制御方法テーブル30を参照して、プレゼンス通知するデバイス装置40等を検出し、プレゼンス通知部32がデバイス装置40を制御することでプレゼンス通知を実行する(S150)。ここで、機器12のプレゼンス通知部32は、他の処理に優先してData欄に指定されたプレゼンス通知を実行することが好ましい。これにより複数の機器12が同じプレゼンス通知を実行できユーザが把握しやすくなる。
【0125】
ついで、機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、echoコマンドの仕様に従い「RED_DE_HYOUJI_TYU」がData欄に記述されたエコー応答を携帯機器11に送信する(S160)。
【0126】
ついで、携帯機器11のプレゼンスコマンド制御部31は、「MYGROUP_YOUKYU,RED」がData欄に記述されたエコー要求を腕時計12Fに送信する(S170)。
【0127】
エコー要求を受信した腕時計12Fのプレゼンスコマンド制御部31は、Data欄の記述に基づき制御方法テーブル30を参照して、プレゼンス通知するデバイス装置40等を検出し、プレゼンス通知部32がデバイス装置40を制御することでプレゼンス通知を実行する(S180)。ここで、機器12のプレゼンス通知部32は、他の処理に優先してData欄に指定されたプレゼンス通知を実行することが好ましい。これにより複数の機器12が同じプレゼンス通知を実行できユーザが把握しやすくなる。
【0128】
ついで、機器12のプレゼンスコマンド制御部31は、echoコマンドの仕様に従い「RED_DE_HYOUJI_TYU」がData欄に記述されたエコー応答を携帯機器11に送信する(S190)。
【0129】
以上の処理により、複数の機器12が同時期にプレゼンス通知することができる。各機器12がプレゼンス通知するタイミングを少しずつ遅らせるなどしてもよい。なお、図12では省略したが、プレゼンス通知はユーザの操作又は所定時間の経過により終了する。
【0130】
本実施形態の無線通信システム100は、機器12が物理的作用を外界に及ぼすので、携帯機器11に表示される2次元世界と物理空間内の実機とを結びつけることができる。また、無線接続という接続の有無が把握しにくい通信形態でも、接続しているか否かを容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】無線通信システムの概略構成図である。
【図2】無線通信システムの別の一形態を示す図である。
【図3】BLTHのプロトコルスタックの一例を示す図である。
【図4】携帯機器及び機器が有するコンピュータのハードウェア構成図の一例である。
【図5】エコー要求のフォーマットとエコー応答のフォーマットを示す図である。
【図6】Data欄にプレゼンス要求が埋め込まれたエコー要求の一例を示す図である。
【図7】無線通信システムがechoコマンドを用いてプレゼンス要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【図8】HCIコマンドのフォーマットの一例を示す図である。
【図9】HCIイベントのフォーマットの一例を示す図である。
【図10】無線通信システムが拡張定義されたHCIコマンドを用いてプレゼンス要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【図11】無線通信システムが任意のHCIコマンドを用いてプレゼンス要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【図12】携帯機器が複数の機器にプレゼンス要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【図13】通信装置を搭載した機器に表示された型番の一覧を示す図である。
【符号の説明】
【0132】
11 携帯機器
12 機器
30 制御方法テーブル
31 プレゼンスコマンド制御部
32 プレゼンス通知部
33 判定部
40 デバイス装置
41 搬送モータ
42 ディスプレイ
43 LED
44 スピーカ
100 無線通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の機器と通信する機能を有すると共に、前記外部の機器に対し所定の機能を提供する通信装置であって、
当該通信装置の存在通知を要求する存在通知要求情報を受信した際の、前記存在通知の態様を示す制御方法情報を記憶した制御方法記憶手段と、
前記存在通知要求情報を前記外部の機器から受信する受信手段と、
前記受信手段が前記存在通知要求情報を受信した際に前記制御方法記憶手段を検索して対応する前記制御方法情報を取得する検索手段と、
前記検索手段が検索して得た前記制御方法情報に基づいて存在通知を発する通知手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通知手段は、音、光、振動等の物理作用を外部に及ぼす、
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記受信手段が受信した前記存在通知要求情報に対応する前記制御方法情報に基づき前記通知手段が存在通知を発することが可能か否かを判定する判定手段を有し、
前記判定手段が存在通知を発することが可能でないと判定した場合、
前記受信手段が受信した前記存在通知要求情報に対応して前記制御方法記憶手段に記憶された前記制御方法情報とは異なる、前記通知手段及び該通知手段の制御方法情報を前記機器に送信する送信手段を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。
【請求項4】
a)前記通知手段が光源の場合、前記光源が点灯又は点滅し、
b)前記通知手段が音声出力手段の場合、前記音声出力手段から音又はメッセージを出力し、
c)前記通知手段が表示装置の場合、前記表示装置が点灯若しくは点滅し、又は、前記存在通知要求情報を受信する前と色を変えて点灯若しくは点滅し、
d)前記通知手段がモータの場合、前記モータが駆動し、
のいずれか1つの制御方法により前記通知手段は存在通知を発する、
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の通信装置。
【請求項5】
前記存在通知要求情報は、
ブルートゥース通信規格のechoコマンドに含まれるか、
ブルートゥース通信規格のホストコントロールインターフェイスの拡張コマンドであるか、又は、
ブルートゥース通信規格のホストコントロールインターフェイスの標準コマンドである、
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の通信装置。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項記載の通信装置を搭載したプリンタ。
【請求項7】
機器と通信する通信装置において、
前記機器と通信する通信手段と、
前記通信手段が受信した前記機器の識別情報を一覧表示する表示部と、
一覧表示された前記機器からポインティングデバイスにより選択された前記機器に、存在通知を要求する存在通知要求情報を送信する送信手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項8】
第1の通信装置と第2の通信装置が通信する通信システムにおいて、
前記第1の通信装置は、
前記第2の通信装置の識別情報を一覧表示する表示部と、
一覧表示された前記第2の通信装置からポインティングデバイスにより選択された前記第2の通信装置に、存在通知を要求する存在通知要求情報を送信する送信手段と、
を有し、
前記第2の通信装置は、
当該通信装置の存在通知を要求する存在通知要求情報を受信した際の、前記存在通知の態様を示す制御方法情報を記憶した制御方法記憶手段と、
前記存在通知要求情報を外部の機器から受信する受信手段と、
前記受信手段が前記存在通知要求情報を受信した際に前記制御方法記憶手段を検索して対応する前記制御方法情報を取得する検索手段と、
前記検索手段が検索して得た前記制御方法情報に基づいて存在通知を発する通知手段と、を有する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
前記第2の通信装置が複数存在する場合、
前記第1の通信装置の前記送信手段は、一覧表示された前記第2の通信装置の全てに前記存在通知要求情報を送信し、
前記存在通知要求情報を受信した前記第2の通信装置の前記通知手段は前記制御方法情報に基づき存在通知を発する、
ことを特徴とする請求項8記載の通信システム。
【請求項10】
外部の機器と通信する機能を有すると共に、前記外部の機器に対し所定の機能を提供する通信装置を構成するコンピュータに、
当該通信装置の存在通知を要求する存在通知要求情報を受信した際の、前記存在通知の態様を示す制御方法情報を記憶部に記憶するステップと、
前記存在通知要求情報を前記外部の機器から受信するステップと、
前記存在通知要求情報を受信した際に前記制御方法記憶手段を検索して対応する前記制御方法情報を取得するステップと、
検索して得た前記制御方法情報に基づいて存在通知を発するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−75758(P2009−75758A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242752(P2007−242752)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】