説明

通信装置、リーダ/ライタ、通信システム、および通信方法

【課題】通信装置、リーダ/ライタ、通信システム、および通信方法を提供すること。
【解決手段】リーダ/ライタと非接触通信を行う非接触通信部と、少なくとも1の暗号方式に対応している論理システムごとのデータ、および、前記リーダ/ライタから送信される各通信コマンドの再送信間隔情報を暗号方式ごとに記憶する記憶部と、前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが対応している暗号方式における前記各通信コマンドの再送信間隔情報を前記記憶部から選択する選択部と、を備え、前記選択部により選択された再送信間隔情報を前記非接触通信部から前記リーダ/ライタへ送信する、通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、リーダ/ライタ、通信システム、および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リーダ/ライタと非接触通信可能な非接触IC(Integrated Circuit)カードが普及している。リーダ/ライタと非接触ICカードは、例えば13.56MHzなど特定の周波数の磁界を搬送波として用いることにより通信を行う。具体的には、リーダ/ライタが暗号化された搬送波信号を搬送波にのせて送信し、非接触ICカードが搬送波をアンテナで受信して応答信号(レスポンス)を返信することにより通信が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、リーダ/ライタと非接触ICカードの距離が離れているなどの理由で通信状態が不安定であると、リーダ/ライタは、非接触ICカードに送信した通信コマンドに対するレスポンスを所定の再送信間隔内に正常に受信できない場合がある。この場合、リーダ/ライタは、非接触ICカードに直前に送信した内容と同じ通信コマンドを非接触ICカードに再送信することにより通信品質を担保する。なお、再送信間隔を示すパラメータは、非接触ICカードにおいて通信コマンドごとに設定されており、1の非接触ICカードに1組だけ設定されていた。
【0004】
このような非接触ICカードは、例えば、財布やICカードホルダーなどに入れられていても、リーダ/ライタにかざすだけでリーダ/ライタと非接触通信を行うことができるため、利便性に優れる。このため、非接触ICカードは、例えば、電子マネーサービス、交通機関サービス、個人認証サービスなど、種々のサービスに応用されており、非接触ICカードの普及がますます進んでいる。また、近日、携帯電話に搭載される1の非接触ICカードには、複数のサービスに対応する機能が実装される傾向にある。
【0005】
【特許文献1】特開2007−279966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、1の非接触ICカードに実装される複数のサービスには、より高いセキュリティレベルが要求されるサービスや、処理時間の短縮が要求されるサービスが含まれる場合がある。このため、複数の暗号方式に対応可能な非接触ICカードが望まれる。ここで、暗号方式のセキュリティレベルの高低に応じて処理時間が異なると考えられるが、1の非接触ICカードに設定可能な再送信間隔を示すパラメータは一組だけであったため、暗号方式ごとに最適な再送信間隔を適用することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、暗号方式に応じた再送信間隔を適用することが可能な、新規かつ改良された通信装置、リーダ/ライタ、通信システム、および通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、リーダ/ライタと非接触通信を行う非接触通信部と、少なくとも1の暗号方式に対応している論理システムごとのデータ、および、前記リーダ/ライタから送信される各通信コマンドの再送信間隔情報を暗号方式ごとに記憶する記憶部と、前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが対応している暗号方式における前記各通信コマンドの再送信間隔情報を前記記憶部から選択する選択部と、を備え、前記選択部により選択された再送信間隔情報を前記非接触通信部から前記リーダ/ライタへ送信する通信装置が提供される。
【0009】
前記選択部は、前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが複数の暗号方式に対応している場合、前記各通信コマンドの再送信間隔情報を前記複数の暗号方式ごとに比較し、より長い間隔を示す再送信間隔情報を前記通信コマンドごとに選択してもよい。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通信装置と非接触通信を行う非接触通信部と、論理システムの指定情報を含み、前記非接触通信部から前記通信装置へ送信されるパケットを生成する生成部と、前記パケットにより指定される論理システムが対応している暗号方式に応じて異なり、前記パケットに応じて前記通信装置から送信された応答パケットに含まれる通信コマンドごとの再送信間隔情報に基づき、前記通信装置への通信コマンドの再送制御を行なう通信制御部と、を備えるリーダ/ライタが提供される。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、リーダ/ライタと、前記リーダ/ライタと非接触通信を行う第1の非接触通信部、少なくとも1の暗号方式に対応している論理システムごとのデータ、および、前記リーダ/ライタから送信される各通信コマンドの再送信間隔情報を暗号方式ごとに記憶する記憶部、前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが対応している暗号方式における前記各通信コマンドの再送信間隔情報を前記記憶部から選択する選択部、を有し、前記選択部により選択された再送信間隔情報を前記第1の非接触通信部から前記リーダ/ライタへ送信する通信装置と、を備える通信システムが提供される。
【0012】
より詳細には、前記リーダ/ライタは、前記通信装置と非接触通信を行う第2の非接触通信部、論理システムの指定情報を含み、前記第2の非接触通信部から前記通信装置へ送信されるパケットを生成する生成部、および、前記パケットに応じて前記通信装置から送信された通信コマンドごとの再送信間隔情報に基づき、前記通信装置への通信コマンドの再送制御を行なう通信制御部を有する。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、リーダ/ライタから非接触通信により任意の論理システムが指定されるステップと、少なくとも1の暗号方式に対応している論理システムごとのデータ、および、前記リーダ/ライタから送信される各通信コマンドの再送信間隔情報を暗号方式ごとに記憶する記憶媒体から、前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが対応している暗号方式における前記各通信コマンドの再送信間隔情報を選択するステップと、選択した再送信間隔情報を非接触通信により前記リーダ/ライタへ送信するステップと、を含む通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明にかかる通信装置、リーダ/ライタ、通信システム、および通信方法によれば、暗号方式に応じた再送信間隔を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
【0017】
〔1〕本実施形態にかかる通信システムの全体構成
〔2〕本実施形態に至る経緯
〔3〕本実施形態にかかる携帯電話および非接触ICカードの構成
〔4〕本実施形態による動作
〔5〕まとめ
【0018】
〔1〕本実施形態にかかる通信システムの全体構成
まず、図1を参照し、本実施形態にかかる通信システム8の全体構成を説明する。
【0019】
図1は、本実施形態にかかる通信システム8の全体構成を示した説明図である。図1に示したように、当該通信システム8は、リーダ/ライタ10と、PC(Personal Computer)12と、携帯電話20と、を備える。
【0020】
リーダ/ライタ10(Reader/Writer:データ読書装置)は、携帯電話20に設けられている非接触ICカード22と非接触通信を行う。例えば、リーダ/ライタ10は、携帯電話20の非接触ICカード22が近接されると、PC12からの指示に基づき、非接触ICカード22に対するデータの書き込み、または非接触ICカード22からのデータの読出しなどを行なうことができる。
【0021】
携帯電話20に設けられる非接触ICカード22(通信装置)は、例えば、薄型のカード外装内にリーダ/ライタ10と非接触通信するためのアンテナ(250)と、所定の演算処理を実行可能なICが搭載されたICチップとを備えている。ICチップは、耐タンパ性を有することができ、例えば、電子マネーなどデータの改竄が問題となるデータの書き込み、更新などを安全に行うことができる。なお、本実施形態にかかる非接触ICカード22は、アンテナとICチップとが別体として備えられる構成に限られず、例えば、ICチップ内にアンテナが内蔵されてもよいし、または、アンテナとICチップとを一体のパッケージとして備えることもできる。
【0022】
非接触ICカード22が備えるアンテナは、例えば、所定のインダクタンスをもつコイルおよび所定の静電容量をもつキャパシタを有して共振回路を構成することができる。非接触ICカード22は、リーダ/ライタ10から送信される所定周波数の磁界(以下、「搬送波」という。)がアンテナを通過するときに電磁誘導により生じる誘起電圧の交流成分を復調する。非接触ICカード22は、かかる構成により、リーダ/ライタ10から送信されるデータを取り出し、また、誘起電圧の直流成分から電力を得て駆動することができる。
【0023】
また、非接触ICカード22は、負荷変調を行なってアンテナから搬送波に対する反磁界を発生させることにより、応答を行うことができる。リーダ/ライタ10は、負荷変調によって生じるリーダ/ライタ10からみた非接触ICカード22のインピーダンスの変化を、非接触ICカード22からの応答信号として検出することができる。
【0024】
上述したように、リーダ/ライタ10と非接触ICカード22とは、搬送波を用いることにより非接触通信を行うことができる。したがって、例えば、ユーザが非接触ICカード22をリーダ/ライタ10にかざすだけで、リーダ/ライタ10および非接触ICカード22間の通信が行われる(例えば、データの読み書きを行うことができる。)。非接触ICカード22は、リーダ/ライタ10に対して抜き差しする必要がないため使い易く、迅速にデータを送受信でき、改造・変造しにくいため安全性が高く、データを書き換えることでカード自体を何度も再利用可能であるといった利便性を有する。
【0025】
このため、非接触ICカード22を利用したサービスの提供が社会的に広がっており、各種のサービスを提供するICカードシステムが稼動している。非接触ICカード22を利用したICカードシステムとしては、例えば、電子マネーシステム、交通機関の改札システム、高速道路の料金徴収システム、電子決済システム、建造物への入館・入室用やPCのログイン用などのセキュリティシステムなどがある。すなわち、非接触ICカード22は、例えば、以下の(1)〜(6)に示す各種カードとして機能する。
【0026】
(1)電子マネー、ポイント、クーポン等の電子バリュー値(貨幣または貨幣に準じた価値を有するデータ)を記憶した電子マネーカード
(2)電車、バス、高速道路等の交通機関の定期券または指定券、プリペイド式の運賃のデータなどを記憶した交通機関カード
(3)身分確認や、出退勤の管理、建造物への入退出時の鍵として使用される社員証、学生証などの身分証として用いられる個人認証用カード
(4)各種の店舗や施設の会員証、ポイントカード、クーポンカード
(5)映画館、コンサート会場、スポーツ競技場、アミューズメント施設などの電子チケットデータを記憶した電子チケットカード
(6)インターネット上でのショッピングや、動画・音楽コンテンツの配信、有価証券・預金等の金融商品の売買などといった電子商取引に用いる電子決済カード
【0027】
なお、図1には、非接触ICカード22が搭載される装置の一例として携帯電話20を示したに過ぎず、本発明はかかる例に限定されない。例えば、非接触ICカード22は、PC、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、家電機器などの任意の情報処理装置に搭載されてもよい。さらに、非接触ICカード22は、情報処理装置に搭載されず、独立的に利用されてもよい。
【0028】
また、上記では通信装置の一例として磁界により通信を行う非接触ICカード22を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、通信装置は、電界結合により1対1の近距離無線通信を行う機能を有してもよい。
【0029】
続いて、図2および図3を参照し、リーダ/ライタ10および非接触ICカード22間で行なわれる通信の流れを説明する。
【0030】
図2は、リーダ/ライタ10および非接触ICカード22間で行なわれる通信の流れを示したシーケンス図である。図2に示したように、まず、リーダ/ライタ10は非接触ICカード22を捕捉するコマンド(Polling)を実行する。そして、リーダ/ライタ10からの搬送波により電源が供給されている非接触ICカード22は、このPollingを受信し、応答条件に合致した場合はレスポンスパケットを返送する(S30)。
【0031】
続いて、リーダ/ライタ10は、非接触ICカード22に対し、以降の暗号通信を行うために必要な鍵のバージョン情報を取得するコマンド(Get Key Version)を実行する。そして、非接触ICカード22は指定されたパラメータに従い、鍵バージョン情報を含めたレスポンスを返送する(S32)。
【0032】
その後、リーダ/ライタ10と非接触ICカード22が相互認証を行う(S34、S36)。相互認証が正常に行われた場合は、以降の暗号化通信が可能となる。例えば、リーダ/ライタ10は、非接触ICカード22に記憶されているデータを読み出し(S38)、非接触ICカード22へデータを書き込む(S40)。なお、リーダ/ライタ10および非接触ICカード22間で送受信されるデータは暗号化されている。
【0033】
ここで、リーダ/ライタ10と非接触ICカード22の距離が離れているなどの理由で通信状態が不安定であると、リーダ/ライタ10は、非接触ICカード22に送信した通信コマンドに対するレスポンスを所定の再送信間隔内に正常に受信できない場合がある。この場合、リーダ/ライタ10は、非接触ICカード22に直前に送信した内容と同じ通信コマンドを非接触ICカード22に再送信することにより通信品質を担保する。以下、リーダ/ライタ10による再送制御について図3を参照して具体的に説明する。
【0034】
図3は、リーダ/ライタ10による再送制御の流れを示したシーケンス図である。図3に示したように、まず、リーダ/ライタ10がある通信コマンドを非接触ICカード22に送信する(S42)。そして、非接触ICカード22は、当該通信コマンドを受信すると、当該通信コマンドに対する応答パケットを送信する(S44)。しかし、図3に示したように当該応答パケットをリーダ/ライタが正常に受信できないまま前回の通信コマンドの送信から再送信間隔が経過すると、リーダ/ライタ10は通信コマンドを非接触ICカード22へ再送信する(S46)。
【0035】
そして、非接触ICカード22は、当該通信コマンドを受信すると、当該通信コマンドに対する応答パケットを送信する(S48)。しかし、再度当該応答パケットをリーダ/ライタが正常に受信できないまま前回の通信コマンドの送信から再送信間隔が経過すると、リーダ/ライタ10は通信コマンドを非接触ICカード22へ再送信する(S50)。そして、非接触ICカード22は、当該通信コマンドを受信すると、当該通信コマンドに対する応答パケットを送信する(S52)。このような再送制御によりリーダ/ライタ10および非接触ICカード22間の通信品質が担保される。
【0036】
〔2〕本実施形態に至る経緯
続いて、本実施形態に関連する非接触ICカードを例にあげて再送信間隔について説明した後に、本実施形態に至った経緯を説明する。
【0037】
図4は、本実施形態に関連する非接触ICカードのメモリ64の構成を示した説明図である。図4に示したように、本実施形態に関連する非接触ICカードのメモリ64は、論理的に複数の領域に区分されている。具体的には、メモリ64は、IC共通メモリ領域と、論理カード1、論理カード2、および論理カード3を含む。
【0038】
各論理カードは、一例として上記(1)〜(6)に示したようなカードの少なくともいずれかとして機能する。例えば、論理カード1は交通機関カードとして機能し、論理カード1には定期券に相当するデータがユーザデータとして格納されている。
【0039】
また、各論理カードにはシステムコードが設定されている。例えば、論理カード1にはシステムコード「0x1234」が設定されており、論理カード2にはシステムコード「0x5678」が設定されており、論理カード3にはシステムコード「0x9ABC」が設定されている。また、図4に示したように、論理カード1、論理カード2、および論理カード3は、単一の暗号方式1にのみ対応しているものとする。
【0040】
IC共通メモリ領域には、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6が格納されている。最大応答時間パラメータP1〜P6の各々は、通信コマンドごとの上記の再送信間隔を特定するためのパラメータである。例えば、最大応答時間パラメータP1は、図1に示したGet Key Version(S32)の再送信間隔を特定するためのパラメータであり、最大応答時間パラメータP5は、Write(S40)の再送信間隔を特定するためのパラメータである。
【0041】
本実施形態に関連する非接触ICカードは、上記暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6を、リーダ/ライタ10からのPollingに応答するレスポンスパケットに含めて送信する。その結果、リーダ/ライタ10が各通信コマンドの再送信間隔を特定することができる。以下、図5を参照し、本実施形態に関連する非接触ICカードが最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを送信するまでの具体例を説明する。
【0042】
図5は、本実施形態に関連する非接触ICカードの動作の具体例を示した説明図である。図5に示したように、リーダ/ライタ10がシステムコード「0x1234」を含むPollingパケットを送信すると、本実施形態に関連する非接触ICカード60は、システムコード「0x1234」が設定されている論理カード1に対応する暗号方式1を特定する。そして、本実施形態に関連する非接触ICカードは、特定した暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6をIC共通メモリ領域から抽出し、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを送信する。
【0043】
また、リーダ/ライタ10がシステムコード「0x5678」を含むPollingパケットを送信すると、本実施形態に関連する非接触ICカード60は、システムコード「0x5678」が設定されている論理カード2に対応する暗号方式1を特定する。そして、本実施形態に関連する非接触ICカードは、特定した暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6をIC共通メモリ領域から抽出し、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを送信する。
【0044】
同様に、リーダ/ライタ10がシステムコード「0x9ABC」を含むPollingパケットを送信すると、本実施形態に関連する非接触ICカード60は、システムコード「0x9ABC」が設定されている論理カード3に対応する暗号方式1を特定する。そして、本実施形態に関連する非接触ICカードは、特定した暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6をIC共通メモリ領域から抽出し、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを送信する。
【0045】
このように、本実施形態に関連する非接触ICカード60には、1組の最大応答時間パラメータP1〜P6のみが格納されていた。このため、本実施形態に関連する非接触ICカード60は、リーダ/ライタ10からどのシステムコードを指定されても同一の最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを送信していた。
【0046】
ここで、1の非接触ICカードに、より高いセキュリティレベルが要求されるサービスや、処理時間の短縮が要求されるサービスなど、複数のサービスを提供するための機能が実装される場合がある。このため、複数の暗号方式に対応可能な非接触ICカードが望まれる。ここで、暗号方式のセキュリティレベルの高低に応じて処理時間が異なると考えられるが、上述したように、1の非接触ICカードに設定可能な最大応答時間パラメータP1〜P6は一組だけであったため、暗号方式ごとに最適な再送信間隔を適用することができないという問題があった。
【0047】
そこで、上記事情に鑑みて本実施形態にかかる携帯電話20および非接触ICカード22を創作するに至った。本実施形態にかかる携帯電話20および非接触ICカード22によれば、暗号方式に応じた再送信間隔を適用することができる。以下、このような本実施形態にかかる携帯電話20および非接触ICカード22について図6〜図13を参照して詳細に説明する。
【0048】
〔3〕本実施形態にかかる携帯電話および非接触ICカードの構成
まず、図6を参照し、本実施形態にかかる携帯電話20のハードウェア構成について説明する。
【0049】
図6は、携帯電話20のハードウェア構成を示したブロック図である。携帯電話20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215と、非接触ICカード22と、を備える。
【0050】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って携帯電話20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0051】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0052】
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。携帯電話20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、携帯電話20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0053】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0054】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる携帯電話20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0055】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、携帯電話20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
【0056】
通信装置215は、例えば、通信網12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0057】
非接触ICカード22は、ユーザデータが記録されているメモリ(220)や、リーダ/ライタ10と非接触通信を行うアンテナ(250)を備える。以下、図7〜図11を参照し、このような非接触ICカード22、およびリーダ/ライタ10の構成を詳細に説明する。
【0058】
図7は、非接触ICカード22、およびリーダ/ライタ10の構成を示した機能ブロック図である。図7に示したように、リーダ/ライタ10は、通信制御部110と、メモリ120と、暗号処理部130と、信号処理部140と、アンテナ150と、を備える。また、非接触ICカード22は、通信制御部218と、メモリ220と、暗号処理部230と、信号処理部240と、アンテナ250と、を備える。
【0059】
リーダ/ライタ10の通信制御部110は、例えば各種プロセッサ、ROM、およびRAMなどを備えたICチップからなり、リーダ/ライタ10の動作全般を制御する。具体的には、リーダ/ライタ10の通信制御部110は、PC12からの入力に基づいて通信コマンドを生成したり(生成部)、暗号処理部130により復号されたパケットを解析したり、非接触ICカード22との相互認証を行なったりする。
【0060】
暗号処理部130は、通信制御部110から入力される通信コマンド(例えば、Write:書き込み用コマンド)を暗号化したり、信号処理部140により復調されたパケットを復号する。ここで、暗号処理部130は、DES(Data Encryption Standard)およびAES(Advanced Encryption Standard)などの複数種類の暗号方式に対応していてもよい。
【0061】
信号処理部140は、通信制御部110や暗号処理部130から入力される通信コマンドを変調したり、アンテナ150により受信されたパケットを復調する。例えば、信号処理部140は、ASK(Amplitude Shift Keying)に対応していてもよい。アンテナ150は、信号処理部140により変調された通信コマンドを非接触通信により送信したり、非接触ICカード22から送信されたパケットを受信する非接触通信部として機能する。
【0062】
非接触ICカード22の通信制御部218は、例えば各種プロセッサ、ROM、およびRAMなどを備えたICチップからなり、非接触ICカード22の動作全般を制御する。具体的には、非接触ICカード22の通信制御部218は、リーダ/ライタ10からの通信コマンドを解析し、当該通信コマンドに応答するレスポンスパケットを生成したり、リーダ/ライタ10との相互認証を行なったりする。
【0063】
暗号処理部230は、第1の暗号処理部232および第2の暗号処理部234を含む。ここで、第2の暗号処理部234は、第1の暗号処理部232が対応している暗号方式1よりセキュリティレベル(秘匿性)が高い暗号方式2に対応している。例えば、暗号方式1がDESであり、暗号方式2がAESであってもよい。このような第1の暗号処理部232または第2の暗号処理部234は、信号処理部240により復調された通信コマンドを復号したり、通信制御部218により生成されたデータパケットを暗号化する。
【0064】
信号処理部240は、通信制御部218や暗号処理部230から入力される各種パケットを変調したり、アンテナ250により受信された通信コマンドを復調する。例えば、信号処理部240は、ASKに対応していてもよい。アンテナ250は、信号処理部240により変調された各種パケットを非接触通信により送信したり、リーダ/ライタ10から送信された通信コマンドを受信する非接触通信部として機能する。
【0065】
メモリ220は、少なくとも1の暗号方式に対応している論理システムごとのユーザデータ、および、リーダ/ライタ10から送信される各通信コマンドの再送信間隔を特定するための最大応答時間パラメータ(再送信間隔情報)を記憶している記憶部として機能する。以下、図8および図9を参照し、メモリ220の構成について説明する。
【0066】
図8および図9は、メモリ220の構成を示した説明図である。図8に示したように、メモリ220は、論理的に複数の領域に区分されている。具体的には、メモリ220は、IC共通メモリ領域と、論理システムとしての論理カード1、論理カード2、および論理カード3と、を含む。
【0067】
各論理カードは、一例として「〔1〕本実施形態にかかる通信システムの全体構成」の(1)〜(6)に示したようなカードの少なくともいずれかとして機能する。例えば、論理カード1は交通機関カードとして機能し、論理カード1には定期券に相当するデータがユーザデータとして格納されている。
【0068】
また、各論理カードにはシステムコードが設定されている。例えば、論理カード1にはシステムコード「0x1234」が設定されており、論理カード2にはシステムコード「0x5678」が設定されており、論理カード3にはシステムコード「0x9ABC」が設定されている。また、図8に示したように、論理カード1は暗号方式1に対応しており、論理カード2は暗号方式2に対応しており、および論理カード3は暗号方式1および暗号方式2の双方に対応している。
【0069】
図9に示したように、暗号方式1および暗号方式2の双方に対応している論理カード3は、暗号方式1セクションおよび暗号方式2セクションを有する。各セクションは、複数のエリアに区分されており、各エリアの下位にはユーザデータがサービスコードと対応付けて配されている。リーダ/ライタ10は、このサービスコードを指定することにより、特定のサービスデータの読み出し、または特定のサービスデータへの書き込みを行なうことができる。なお、暗号方式1にのみ対応している論理カード1は暗号方式1セクションのみを有し、暗号方式2にのみ対応している論理カード2は暗号方式2セクションのみを有する。
【0070】
また、図8に示したように、IC共通メモリ領域には、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6、および暗号方式2の最大応答時間パラメータP1〜P6が格納されている。最大応答時間パラメータP1〜P6の各々は、通信コマンドごとの再送信間隔を特定するためのパラメータである。具体的には、最大応答時間パラメータP1〜P6は、以下に示す通信コマンドの再送信間隔を特定するためのパラメータであってもよい。
【0071】
・P1およびP2 再送信間隔が異なる任意の通信コマンド
・P3 相互認証用コマンド(Authetication 1、2)
・P4 読み出し用コマンド(Read)
・P5 書き込み用コマンド(Write)
・P6 未定義
【0072】
続いて、図10および図11を参照し、リーダ/ライタ10からPolling時に送信されるPollingパケット、およびPollingパケットに応答して非接触ICカード22から送信されるレスポンスパケットの構成例を説明する。
【0073】
図10は、Pollingパケットの構成例を示した説明図である。図10に示したように、Pollingパケットは、コマンドコード、システムコード、オプション、およびタイムスロット値を含む。コマンドコードは、当該コマンドがPollingであることを示すコードである。また、システムコードは、非接触ICカード22内のいずれかの論理カードを指定する指定情報である。また、オプションは必要に応じて付加され、タイムスロット値は非接触ICカード22からのレスポンスパケットの送信タイミングに関する情報である。
【0074】
非接触ICカード22の通信制御部218は、Pollingパケットを解析し、システムコードにより指定される論理カードが対応している暗号方式の最大応答時間パラメータP1〜P6を選択する選択部としての機能を有する。具体的には、通信制御部218は、暗号方式1にのみ対応している論理カード1が指定されると暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6を選択する。また、通信制御部218は、暗号方式2にのみ対応している論理カード2が指定されると暗号方式2の最大応答時間パラメータP1〜P6を選択する。
【0075】
また、通信制御部218は、暗号方式1および暗号方式2の双方に対応している論理カード3が指定されると、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6の各々と、暗号方式2の最大応答時間パラメータP1〜P6の各々とを比較する。そして、通信制御部218は、最大応答時間パラメータP1〜P6ごとに、再送信間隔が長くなる方のパラメータを選択する。
【0076】
例えば、通信制御部218は、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1と暗号方式2の最大応答時間パラメータP1を比較し、特定される再送信間隔が長い方のパラメータを選択する。通信制御部218は、同様に最大応答時間パラメータP2〜P6の選択も行なう。
【0077】
そして、通信制御部218は、選択した最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを生成し、アンテナ250が当該レスポンスパケットを送信する。レスポンスパケットは、図11に示したように、レスポンスコード、製造者コード(製造者情報)、ユニークID(製造情報)、ICコード(チップ種別識別情報)、最大応答時間パラメータP1〜P6、およびオプションデータを含む。
【0078】
当該レスポンスパケットを受信したリーダ/ライタ10は、最大応答時間パラメータP1〜P6に基づいて再送信間隔を特定し、特定した再送信間隔に基づいて通信コマンドの再送制御を行なうことができる。
【0079】
〔4〕本実施形態による動作
以上、本実施形態にかかる携帯電話20および非接触ICカード22の構成について説明した。続いて、図12および図13を参照し、本実施形態にかかる携帯電話20および非接触ICカード22の動作を説明する。
【0080】
図12は、本実施形態にかかる非接触ICカード22の動作を模式的に示した説明図である。図12に示したように、リーダ/ライタ10がシステムコード「0x1234」を含むPollingパケットを送信すると、本実施形態にかかる非接触ICカード22は、システムコード「0x1234」が設定されている論理カード1に対応する暗号方式1を特定する。そして、本実施形態にかかる非接触ICカード22は、特定した暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6をIC共通メモリ領域から選択し、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを送信する。
【0081】
また、リーダ/ライタ10がシステムコード「0x5678」を含むPollingパケットを送信すると、本実施形態にかかる非接触ICカード22は、システムコード「0x5678」が設定されている論理カード2に対応する暗号方式2を特定する。そして、本実施形態にかかる非接触ICカード22は、特定した暗号方式2の最大応答時間パラメータP1〜P6をIC共通メモリ領域から選択し、暗号方式2の最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを送信する。
【0082】
また、リーダ/ライタ10がシステムコード「0x9ABC」を含むPollingパケットを送信すると、本実施形態にかかる非接触ICカード22は、システムコード「0x9ABC」が設定されている論理カード3に対応する暗号方式1および2を特定する。そして、非接触ICカード22は、暗号方式1の最大応答時間パラメータP1〜P6の各々と、暗号方式2の最大応答時間パラメータP1〜P6の各々とを比較し、最大応答時間パラメータP1〜P6ごとに、特定される再送信間隔が最も長いものを選択する。さらに、非接触ICカード22は、選択した最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを生成し、リーダ/ライタ10へ送信する。
【0083】
図13は、非接触ICカード22内の詳細な動作の流れを示したフローチャートである。図13に示したように、非接触ICカード22の通信制御部218は、Pollingパケットを受信すると(S304)、Pollingパケットに記載されているシステムコードに基づき、指定されている論理カードを特定する(S308)。そして、通信制御部218は、特定した論理カードが対応している暗号方式を特定する(S312)。
【0084】
ここで、通信制御部218は、特定した暗号方式が1種類である場合(S316)、特定した暗号方式の最大応答時間パラメータP1〜P6を選択する(S320)。一方、通信制御部218は、特定した暗号方式が2種類である場合(S316)、各暗号方式の最大応答時間パラメータP1〜P6を比較し、最大応答時間パラメータP1〜P6の各々を選択する(S324)。ここで、通信制御部218は、2種類以上の暗号方式の最大応答時間パラメータP1〜P6のうちで、パラメータP1〜P6ごとに、特定される再送信間隔が最も長い最大応答時間パラメータP1〜P6を選択する。
【0085】
そして、通信制御部218は、最大応答時間パラメータP1〜P6を全て選択すると(S328)、最大応答時間パラメータP1〜P6を確定する(S332)。その後、通信制御部218は、S320において選択した最大応答時間パラメータP1〜P6、またはS332において確定した最大応答時間パラメータP1〜P6を含むレスポンスパケットを生成し、リーダ/ライタ10へ送信する(S336)
【0086】
〔5〕まとめ
以上説明したように、本実施形態にかかる非接触ICカード22は、複数の暗号方式に対応しており、複数の暗号方式ごとの各通信コマンドの再送信間隔を特定するための最大応答時間パラメータP1〜P6を記憶している。したがって、本実施形態にかかる非接触ICカード22によれば、いずれの通信方式においても、リーダ/ライタ10における通信コマンドの再送信間隔を最適化することができる。
【0087】
例えば、本実施形態にかかる非接触ICカード22によれば、処理時間の短縮が重視される鉄道改札においては短い再送信間隔を適用し、高度なセキュリティレベルが重視され暗号処理時間が長期化すると考えられる場合には、長い再送信間隔を適用できる。
【0088】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0089】
例えば、上記実施形態では、非接触ICカード22が2種類の暗号方式に対応する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、非接触ICカード22は、暗号方式1および暗号方式2に加え、暗号方式3、暗号方式4など、多数の暗号方式に対応していてもよい。この場合、非接触ICカード22には、対応している暗号方式の数の最大応答時間パラメータP1〜P6の組が格納されてもよい。また、上記実施形態では、最大応答時間パラメータが6種類である例を説明したが、本発明はかかる例に限定されず、任意の種類の最大応答時間パラメータが用意されていてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、指定された論理カードが複数の暗号方式に対応する場合、複数の暗号方式の最大応答時間パラメータP1〜P6のうちで、パラメータP1〜P6ごとに、特定される再送信間隔が最も長いパラメータP1〜P6を選択する例を説明した。しかし、本発明はかかる例に限定されず、例えば、非接触ICカード22は、パラメータごとに、特定される再送信間隔が最も短いパラメータを選択してもよい。
【0091】
また、本明細書のリーダ/ライタ10および非接触ICカード22の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図またはフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、リーダ/ライタ10および非接触ICカード22の処理における各ステップは、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)を含んでもよい。
【0092】
また、リーダ/ライタ10および非接触ICカード22に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述したリーダ/ライタ10および非接触ICカード22の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、図7の機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施形態にかかる通信システムの全体構成を示した説明図である。
【図2】リーダ/ライタおよび非接触ICカード間で行なわれる通信の流れを示したシーケンス図である。
【図3】リーダ/ライタによる再送制御の流れを示したシーケンス図である。
【図4】本実施形態に関連する非接触ICカードのメモリの構成を示した説明図である。
【図5】本実施形態に関連する非接触ICカードの動作の具体例を示した説明図である。
【図6】携帯電話のハードウェア構成を示したブロック図である。
【図7】非接触ICカード、およびリーダ/ライタの構成を示した機能ブロック図である。
【図8】メモリの構成を示した説明図である。
【図9】メモリの構成を示した説明図である。
【図10】Pollingパケットの構成例を示した説明図である。
【図11】レスポンスパケットの構成例を示した説明図である。
【図12】本実施形態にかかる非接触ICカードの動作を模式的に示した説明図である。
【図13】非接触ICカード内の詳細な動作の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
10 リーダ/ライタ
20 携帯電話
22 非接触ICカード
110、218 通信制御部
120、220 メモリ
130、230 暗号処理部
232 第1の暗号処理部
234 第2の暗号処理部
140、240 信号処理部
150、250 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダ/ライタと非接触通信を行う非接触通信部と;
少なくとも1の暗号方式に対応している論理システムごとのデータ、および、前記リーダ/ライタから送信される各通信コマンドの再送信間隔情報を暗号方式ごとに記憶する記憶部と;
前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが対応している暗号方式における前記各通信コマンドの再送信間隔情報を前記記憶部から選択する選択部と;
を備え、
前記選択部により選択された再送信間隔情報を前記非接触通信部から前記リーダ/ライタへ送信する、通信装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが複数の暗号方式に対応している場合、前記各通信コマンドの再送信間隔情報を前記複数の暗号方式ごとに比較し、より長い間隔を示す再送信間隔情報を前記通信コマンドごとに選択する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
通信装置と非接触通信を行う非接触通信部と;
論理システムの指定情報を含み、前記非接触通信部から前記通信装置へ送信されるパケットを生成する生成部と;
前記パケットにより指定される論理システムが対応している暗号方式に応じて異なり、前記パケットに応じて前記通信装置から送信された応答パケットに含まれる通信コマンドごとの再送信間隔情報に基づき、前記通信装置への通信コマンドの再送制御を行なう通信制御部と;
を備える、リーダ/ライタ。
【請求項4】
リーダ/ライタと;
前記リーダ/ライタと非接触通信を行う第1の非接触通信部、
少なくとも1の暗号方式に対応している論理システムごとのデータ、および、前記リーダ/ライタから送信される各通信コマンドの再送信間隔情報を暗号方式ごとに記憶する記憶部、
前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが対応している暗号方式における前記各通信コマンドの再送信間隔情報を前記記憶部から選択する選択部、
を有し、
前記選択部により選択された再送信間隔情報を前記第1の非接触通信部から前記リーダ/ライタへ送信する通信装置と;
を備え、
前記リーダ/ライタは、
前記通信装置と非接触通信を行う第2の非接触通信部、
論理システムの指定情報を含み、前記第2の非接触通信部から前記通信装置へ送信されるパケットを生成する生成部、および、
前記パケットに応じて前記通信装置から送信された通信コマンドごとの再送信間隔情報に基づき、前記通信装置への通信コマンドの再送制御を行なう通信制御部、
を有する、通信システム
【請求項5】
リーダ/ライタから非接触通信により任意の論理システムが指定されるステップと;
少なくとも1の暗号方式に対応している論理システムごとのデータ、および、前記リーダ/ライタから送信される各通信コマンドの再送信間隔情報を暗号方式ごとに記憶する記憶媒体から、前記リーダ/ライタにより指定された論理システムが対応している暗号方式における前記各通信コマンドの再送信間隔情報を選択するステップと;
選択した再送信間隔情報を非接触通信により前記リーダ/ライタへ送信するステップと;
を含む、通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−41405(P2010−41405A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202076(P2008−202076)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】