説明

通信装置、製造装置および方法

【課題】通信を効率良く行えるようにする。
【解決手段】グリーンシート101−3乃至101−10には、それぞれコンデンサパターン103−1乃至103−8と、アンテナパターン104−1乃至104−8が形成されている。グリーンシート101−3乃至101−10が重ね合わされたき、コンデンサパターン103−1乃至103−8で1つのコンデンサが構成され、アンテナパターン104−1乃至104−8で1つのヘリカル形状のアンテナが構成される。これらのコンデンサとアンテナは、ICチップ11と接続される。本発明は、非接触通信を行う非接触ICカードに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置、製造装置および方法に関し、特に、アンテナを有し、他の装置と非接触で効率良く通信を行えるようにした通信装置、製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IC(integrated circuit)を備え、非接触で通信を行える非接触アンテナモジュールを備えるカードが普及している。そのようなカードは、例えば、非接触ICカードなどと称され、非接触で他の装置と通信を行うことが可能とされている。非接触ICカードを用いた非接触通信は、例えば、交通乗車券、電子マネー、IDカード、入退室管理などに用いられ、その用途は広がりつつある。(例えば、特許文献1,2参照)
【0003】
また、音楽データや画像データなどをやり取りするために非接触通信が使用されるようになり、携帯音楽プレイヤー、デジタルカメラ、健康機器、電子玩具などの電子機器に非接触通信アンテナモジュールが搭載されつつある。
【特許文献1】特開2000―278027号公報
【特許文献2】特開2000―295024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子機器に、非接触アンテナモジュールを容易に組み込むためには、非接触通信アンテナモジュールをさらに小型化し、低背化し、かつ安価に提供する必要があった。
【0005】
また、非接触通信アンテナモジュールは、ガラスエポキシ系のプリント基板を通常用いることが多い。しかしながら、アンテナパターンおよび同調用のコンデンサが、プリント基板の同一平面上に配置されて使用されるため、その配置面積を大きくしなくては、通信精度を維持できなかった。そのために、アンテナモジュールの小型化は困難であった。そして仮に、小型化しても良好な非接触通信特性を得ることは困難であった。
【0006】
また、非接触通信アンテナモジュールが、電子機器に組み込まれて使用される場合、ホストコントローラと接続されて使用される。よって、ホストコントローラや、非接触通信アンテナモジュールに電力を供給する電源など、外部の装置と接続するための外部接続用端子電極が、非接触通信アンテナモジュールに必要になる。この外部接続用端子電極は、アンテナパターンやコンデンサとともにプリント基板の表面あるいは裏面に形成されることが多い。よって、外部接続用端子電極を設けた場合、さらに限られた面積の中で、アンテナやコンデンサを作成しなくてはならなかった。よって、このようなときには、さらにアンテナの開口部を広くすることが困難になり、通信精度が低下し、リーダライタとの通信距離が短くなってしまう。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、通信精度を向上させ、小型化させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面の通信装置は、多層基板で構成され、前記多層基板の各層に、アンテナパターンとコンデンサパターンの少なくとも一方が形成され、各層が重ね合わされ前記多層基板にされたとき、前記アンテナパターンによりアンテナが形成され、前記コンデンサパターンによりコンデンサが形成される。
【0009】
前記アンテナは、ヘリカル構造であるようにすることができる。
【0010】
前記多層基板は、誘電体材料で形成したセラミックグリーンシート、または磁性体材料を練り込んだセラミックグリーンシートのどちらか一方で構成されるか、組み合わされて構成されるようにすることができる。
【0011】
前記多層基板の素材は、低温焼成セラミックであるようにすることができる。
【0012】
前記多層基板には、ICが搭載され、前記アンテナと前記コンデンサは、前記ICに接続されるようにすることができる。
【0013】
前記多層基板の前記ICが搭載されている面と対向する面、または前記多層基板の側面に、端子が設けられるようにすることができる。
【0014】
前記端子は、導電性ペーストを印刷、または転写して焼き付けられるようにすることができる。
【0015】
前記ICは、ワイヤーボンディング方式、またはフリップチップボンディング方式で、前記多層基板に搭載されるようにすることができる。
【0016】
多層基板に設けられたキャビティ内に前記ICが搭載され、そのキャビティ内にエポキシ系樹脂が充填されて前記ICが封止されるようにすることができる。
【0017】
前記アンテナと前記コンデンサは、別々の層に形成されるようにすることができる。
【0018】
非接触で通信を行うようにすることができる。
【0019】
本発明の一側面の通信装置においては、アンテナパターンとコンデンサパターンの少なくとも一方が形成され層が重ね合わされ多層基板にされ、多層基板にされたときに、アンテナパターンによりアンテナが形成され、コンデンサパターンによりコンデンサが形成されるような構成とされる。
【0020】
本発明の一側面の第1の製造装置は、所定の層にアンテナパターンとコンデンサパターンを形成し、前記層が重ねられたとき、前記アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、前記アンテナパターンの一端に形成し、前記層が重ねられたとき、前記コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、前記コンデンサパターンの近傍に形成し、前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記アンテナパターン同士、および前記コンデンサパターン同士を接続し、アンテナとコンデンサを形成し、通信装置を製造する。
【0021】
本発明の一側面の第1の製造方法は、所定の層にアンテナパターンとコンデンサパターンを形成し、前記層が重ねられたとき、前記アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、前記アンテナパターンの一端に形成し、前記層が重ねられたとき、前記コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、前記コンデンサパターンの近傍に形成し、前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記アンテナパターン同士、および前記コンデンサパターン同士を接続し、アンテナとコンデンサを形成し、通信装置を製造するステップを含む。
【0022】
本発明の一側面の第1の製造装置および方法においては、所定の層にアンテナパターンとコンデンサパターンが形成され、層が重ねられたとき、アンテナパターン同士が接続されるビアホールが、アンテナパターンの一端に形成され、層が重ねられたとき、コンデンサパターン同士が接続されるビアホールが、コンデンサパターンの近傍に形成され、層を重ね合わせられ、隣接した層のビアホールが接続されることによって、アンテナパターン同士、およびコンデンサパターン同士が接続され、アンテナとコンデンサが形成され、通信装置が製造される。
【0023】
本発明の一側面の第2の製造装置は、所定の層にアンテナパターンを形成し、所定の層にコンデンサパターンを形成し、前記層が重ねられたとき、前記アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、前記アンテナパターンの一端に形成し、前記層が重ねられたとき、前記コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、前記コンデンサパターンの近傍に形成し、前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記アンテナパターン同士を接続し、アンテナを形成し、前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記コンデンサパターン同士を接続し、コンデンサを形成し、前記アンテナとコンデンサを重ね合わせることで通信装置を製造する。
【0024】
本発明の一側面の第2の製造方法は、所定の層にアンテナパターンを形成し、所定の層にコンデンサパターンを形成し、前記層が重ねられたとき、前記アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、前記アンテナパターンの一端に形成し、前記層が重ねられたとき、前記コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、前記コンデンサパターンの近傍に形成し、前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記アンテナパターン同士を接続し、アンテナを形成し、前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記コンデンサパターン同士を接続し、コンデンサを形成し、前記アンテナとコンデンサを重ね合わせることで通信装置を製造するステップを含む。
【0025】
本発明の一側面の第2の製造装置および方法においては、所定の層にアンテナパターンが形成され、他の層にコンデンサパターンが形成され、層が重ねられたとき、アンテナパターン同士が接続されるビアホールが、アンテナパターンの一端に形成され、層が重ねられたとき、コンデンサパターン同士が接続されるビアホールが、コンデンサパターンの近傍に形成され、層が重ね合わせられ、隣接した層のビアホールが接続されることによって、アンテナパターン同士が接続され、アンテナが形成され、層が重ね合わせられ、隣接した層のビアホールが接続されることによって、コンデンサパターン同士が接続され、コンデンサが形成され、アンテナとコンデンサが重ね合わせられることで通信装置が製造される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一側面によれば、通信精度を向上させ、アンテナモジュールを小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明を適用した通信装置の一実施の形態の構成を示す図である。図1に示した通信装置10は、IC(integrated circuit)チップ11と多層基板12とから構成される。図1に示した通信装置10は、他の装置と非接触で通信を行う装置に組み込まれる。そのような通信に用いられるアンテナやコンデンサが、多層基板12には設けられている。
【0029】
この非接触で通信を行う装置としては、例えば、非接触ICカードなどと称される装置がある。この非接触ICカードと称される装置は、例えば、交通乗車券、電子マネー、IDカード、入退室管理などに用いられる。非接触ICカードは、リーダライタと称される装置と非接触で通信を行う。なお、非接触とは、ここでは、ケーブルなどを相互に接続し、通信を行う以外の方法で、通信を行うことを意味する。非接触ICカードは、リーダライタと通信を行うとき、リーダライタの磁界により電力を発生し、ICチップ11を駆動する電力を取得する。よって非接触ICカードに、通信装置10が組み込まれた場合、図2に示したような構成となる。
【0030】
図2は、図1に示した通信装置10の電気等価回路図である。多層基板12には、後述するようなアンテナパターンで構成されるアンテナ21とコンデンサパターンで構成されるコンデンサ22が備えられている。このアンテナ21とコンデンサ22は、ICチップ11と接続されている。アンテナ21は、リーダライタ(不図示)が発生する磁界により、電力を発生し、その電力で、ICチップ11が駆動されるように、通信装置10は構成されている。
【0031】
ICチップ11は、整流器41、負荷変調回路42、復調回路43、電圧安定化回路44、および制御回路45を含む構成とされる。アンテナ21とコンデンサ22によりLC回路が構成される。このLC回路は、近傍に配置されたリーダライタから輻射される所定の周波数の電磁波と共振するように構成されている。アンテナ21により受信されたリーダライタからの送信データは、整流器41と復調回路43に供給される。
【0032】
整流器41と電圧安定化回路44は、リーダライタからの送信データを受信したときにアンテナ21に励起された交流磁界を整流し、安定化し、ICチップ11内の各部に直流電源として供給する。リーダライタから輻射される電磁波の電力は、通信装置10に必要な電力を賄う時間を発生させるように調整されている。
【0033】
復調回路43は、アンテナ41により受信されたリーダライタからの送信データを、所定の復調方式で復調し、制御回路45に供給する。所定の復調方式とは、例えば、ASK(amplitude shift keying)方式、PSK(Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などである。制御回路45は、復調回路43により復調されたリーダライタからのデータに基づく処理を実行する。
【0034】
負荷変調回路42は、リーダライタからアンテナ21としてのコイルを見たときのインピーダンスを、制御回路45から供給される信号にしたがって変化させる。リーダライタが搬送波としての電磁波を出力することにより、アンテナ21の周囲にRFフィールド(磁界)が形成されている場合、アンテナ21としてのコイルを見たときのインピーダンスが変化することにより、アンテナ21の周囲のRFフィールドも変化する。これにより、他の装置が出力している電磁波としての搬送波が、制御回路45から供給される信号にしたがって変調される。
【0035】
このような構成を有する通信装置10は、電源と接続されずに、他の装置(リーダライタ)からの電磁波で電力を取得するように構成されている。このような外部の電源と接続されない通信装置10の構成の他に、外部の電源と接続される構成とされる場合もある。通信装置10が、外部の電源と接続される構成とされる場合、その電源から、ICチップ11を駆動するための電力が適宜取得される構成とされる。
【0036】
そのような外部の電源が接続されるのは、通信装置10が、例えば、携帯音楽プレイヤー、デジタルカメラ、健康機器、電子玩具などの電子機器に組み込まれた場合などである。このような電子機器に組み込まれた場合、通信装置10は、音楽データや画像データなどをやり取りするときなどに、非接触通信を行う。
【0037】
通信装置10が電子機器に組み込まれ、電源が接続されている場合、図3に示したような構成となる。すなわち、図3に示した電気等価回路図によれば、ICチップ11’に外部電源71が接続されている。図2に示したICチップ11と区別が付くように、図3に示したICチップ11’には、ダッシュを付して記載する。
【0038】
ICチップ11’に接続される外部電源71は、主に電子機器自体を駆動するために備えられている電源であり、例えば、携帯音楽プレイヤーの場合、携帯音楽プレイヤー自体を駆動させるためのバッテリーに相当する。
【0039】
図3に示したICチップ11’は、図2に示したICチップ11と比較し、ICチップ11の内部構成に、キャリア検出回路61とスイッチ62が追加され、電圧安定化回路44が除かれた内部構成とされている。すなわち、図3に示したICチップ11’は、整流器41、負荷変調回路42、復調回路43、制御回路45を含み、キャリア検出回路61とスイッチ62をさらに含む構成とされている。
【0040】
キャリア検出回路61は、リーダライタから輻射された電磁波(搬送波)がアンテナ21により受信されているか否かを検出する。換言すれば、キャリア検出回路61は、リーダライタの近傍に通信装置10が位置しているか否かを検出する。キャリア検出回路61により近傍にリーダライタが位置していることを検出すると、その検出結果を、制御回路45とスイッチ62に出力する。
【0041】
スイッチ62は、キャリア検出回路61から信号が出されたとき閉じられ、キャリア検出回路61からの信号がないとき開かれるように構成されている。スイッチ62が閉じられることにより、外部電源71からの電力は、制御回路45に供給される。キャリア検出回路61がキャリアを検出しないときは、スイッチ62が開かれ、外部電源71からの電力が供給されない状態とし、外部電源71の電力の消耗を防ぐように構成されている。
【0042】
図2または図3に示した通信装置10のアンテナ21とコンデンサ22について説明を加える。図4は、多層基板12の構造を示す図であり、多層基板12の製造の過程を示す図でもある。
【0043】
多層基板12は、図4に示すように、複数のグリーンシートが重ねられて構成される。図4に示した例では、グリーンシート101−1乃至101−11の11枚のグリーンシートが重ね合わせられて多層基板12が構成されている。以下、グリーンシート101−1乃至グリーンシート101−11を個々に区別する必要がない場合、単にグリーンシート101と記述する。他の部分も同様に記述する。
【0044】
グリーンシート101−1上には、ICチップ11が搭載されている。グリーンシート101−2上には、配線パターン102−1が形成されている。グリーンシート101−3上には、コンデンサパターン103−1とアンテナパターン104−1が形成されている。グリーンシート101−4上には、コンデンサパターン103−2とアンテナパターン104−2が形成されている。グリーンシート101−5上には、コンデンサパターン103−3とアンテナパターン104−3が形成されている。
【0045】
グリーンシート101−6上には、コンデンサパターン103−4とアンテナパターン104−4が形成されている。グリーンシート101−7上には、コンデンサパターン103−5とアンテナパターン104−5が形成されている。グリーンシート101−8上には、コンデンサパターン103−6とアンテナパターン104−6が形成されている。グリーンシート101−9上には、コンデンサパターン103−7とアンテナパターン104−7が形成されている。グリーンシート101−10上には、コンデンサパターン103−8とアンテナパターン104−8が形成されている。グリーンシート101−11上には、配線パターン102−2が形成されている。
【0046】
このように、グリーンシート101−3乃至101−10にそれぞれ形成されているコンデンサパターン103−1乃至103−8により、コンデンサ22が構成される。コンデンサパターン103−1乃至103−8は、それぞれ、例えば、銅や銀などの導電性の板状のパターンである。板状のコンデンサパターン103が重ねられることで、各コンデンサパターン103間でコンデンサが形成され、コンデンサ22は、そのようなコンデンサが複数重ね合わされた状態のコンデンサとされる。詳細は、図5を参照して後述する。
【0047】
グリーンシート101−3乃至101−10にそれぞれ形成されているアンテナパターン104−1乃至104−8により、アンテナ21が構成される。アンテナパターン104―1乃至104−8は、それぞれ、例えば、銅や銀などの導電性の線状のパターンである。線状のアンテナパターン104が重ねられることで、1つのヘリカル構造のアンテナが形成される。すなわち、上下方向で隣り合うアンテナパターン104同士は接続され、1つのアンテナ21が形成される。詳細は、図5を参照して説明する。
【0048】
図5は、図4に示したグリーンシート101−3乃至101−5を抜き出した図である。グリーンシート101−3には、上記したように、コンデンサパターン103−1とアンテナパターン104−1が形成されている。このコンデンサパターン103−1の近傍には、2つのビアホール121−1とビアホール121−2が設けられている。このビアホール121−1とビアホール122−1は、グリーンシート101−3を貫通する穴である。ビアホール121−1には、コンデンサパターン103―1から延ばされた配線131−1が接続されている。
【0049】
アンテナパターン104−1は、図5に示したように、四角形の一部分が欠けたような形状とされている。その欠けている部分の一方に、ビアホール123−1が設けられ、他方に受け部124−1が設けられている。ビアホール123−1は、グリーンシート101−3を貫通する穴とされる。受け部124―1は、アンテナパターン104−1を構成する線よりも太い線、または、円形の形状(図5に示した形状)とされ、アンテナパターン104−1の延長上に形成される。
【0050】
同様に、グリーンシート101−4には、コンデンサパターン103−2とアンテナパターン104−2が形成されている。このコンデンサパターン103−2の近傍には、2つのビアホール121−2とビアホール122−2が設けられている。このビアホール121−2とビアホール122−2は、グリーンシート101−4を貫通する穴である。ビアホール122−2には、コンデンサパターン103―2と接続されている配線131−2が接続されている。ビアホール121−2とビアホール122−2は、グリーンシート101−3のビアホール121−1とビアホール122−1がそれぞれ位置する位置とほぼ同じ位置に設けられている。
【0051】
アンテナパターン104−2は、図5に示したように、四角形の一辺が欠けたようなコの字型の形状とされている。その欠けている部分の一方に、ビアホール123−2が設けられ、他方に受け部124−2が設けられている。ビアホール123−2は、グリーンシート101−4を貫通する穴とされる。受け部124―2は、アンテナパターン104−2の延長上に形成される。受け部124−2は、グリーンシート101−3のビアホール123−1の位置とほぼ同じ位置に設けられる。
【0052】
さらに同様に、グリーンシート101−5には、コンデンサパターン103−3とアンテナパターン104−3が形成されている。このコンデンサパターン103−3の近傍には、2つのビアホール121−3とビアホール122−3が設けられている。このビアホール121−3とビアホール122−3は、グリーンシート101−5を貫通する穴である。ビアホール121−3には、コンデンサパターン103―3と接続されている配線131−3が接続されている。ビアホール121−3とビアホール122−3は、グリーンシート101−4のビアホール121−2とビアホール122−2がそれぞれ位置する位置とほぼ同じ位置に設けられている。
【0053】
アンテナパターン104−3は、図5に示したように、四角形の一辺が欠けたようなコの字型の形状とされている。その欠けている部分の一方に、ビアホール123−3が設けられ、他方に受け部124−3が設けられている。ビアホール123−3は、グリーンシート101−5を貫通する穴とされる。受け部124―3は、アンテナパターン104−3の延長上に形成される。受け部124−3は、グリーンシート101−4のビアホール123−2の位置とほぼ同じ位置に設けられる。
【0054】
図示はしていないが、他のグリーンシート101−6乃至101−10も、同様にコンデンサパターン103の近傍に2つのビアホール121とビアホール122が設けられ、アンテナパターン104を構成する線状の一方にビアホール123が設けられ、他方に受け部124が設けられている構造とされる。また、コンデンサパターン103の近傍に設けられる2つのビアホールはそれぞれ、グリーンシート101が重ねられたときに、1つの線(1本の空洞)となるように位置に設けられている。また、アンテナパターン104に設けられているビアホール123は、下側に重ねられる受け部124の位置とほぼ同じ位置に設けられるように構成されている。
【0055】
ビアホール121、ビアホール122、ビアホール123は、それぞれ、グリーンシート101を貫通している。その貫通しているビアホール121乃至123には、コンデンサパターン103に設けられている配線131と同じ導電体や、アンテナパターン104を構成する導電体と同じ導電体が、製造時に流し込まれる(グリーンシート101が重ね合わされ多層基板12とされるときに導電体が充填される)。
【0056】
ビアホール121,122に導電体が流し込まれる(充填される)ことにより、所定のグリーンシート101に設けられているコンデンサパターン103と他のグリーンシート101に設けられているコンデンサパターン103が接続された状態にされる。すなわち、図5を参照するに、ビアホール121に導電体が流し込まれることにより、グリーンシート101−3に設けられているコンデンサパターン103−1の配線131−1と、グリーンシート101−5に設けられているコンデンサパターン103−2の配線131−2が、グリーンシート101−4のビアホール121−2を介して接続される。結果的に、コンデンサパターン103−1とコンデンサパターン103−3が接続される。
【0057】
また、ビアホール121に導電体が流し込まれることにより、グリーンシート101−4に設けられているコンデンサパターン103−2の配線131−2と、グリーンシート101−6に設けられているコンデンサパターン103−4の配線131−4(不図示)が、グリーンシート101−5のビアホール122−3を介して接続される。結果的に、コンデンサパターン101−2とコンデンサパターン101−4が接続される。
【0058】
このように構成されることで、奇数番目のグリーンシート101に設けられたコンデンサパターン103同士が接続され、偶数番目のグリーンシート101に設けられたコンデンサパターン103同士が接続される。換言するならば、互い違いの層毎にコンデンサパターン103が接続される。
【0059】
さらに、図6を参照し、多層基板12に設けられたコンデンサ22について説明を加える。図6は、図1に示した通信装置10を、アンテナ21とコンデンサ22を、横方向から投影したときのパターンを示す図である。図中、斜線は、各グリーンシート101の区切りを表す。図6に示したように、また図4を参照して説明したように、多層基板12は、グリーンシート101−1乃至101−11の11枚のグリーンシート101が重ね合わされることにより構成されている。
【0060】
図6に示したコンデンサ22に注目するに、コンデンサ22の図中縦方向に線がある。この線は、各層に設けられたコンデンサパターン103を接続している線である。この線は、各層のグリーンシート101に設けられたビアホール121とビアホール122に、導電体が充填されたことによりできる配線である。図6に示したコンデンサ22から、互い違い層に設けられたコンデンサパターン103同士が接続されていることがかわる。
【0061】
また、グリーンシート101−10に設けられているコンデンサパターン103−8の近傍には、受け部(図4、以下、受け部124−9と記述する)が設けられている。このコンデンサパターン103−8は、一番下の層に設けられたコンデンサパターン103である。図6を参照するように、ビアホール122は、このグリーンシート101−10上のコンデンサパターン103−8が終点とされている。よって、コンデンサパターン103−8の近傍には、2つのビアホールが設けられるのではなく、1つのビアホール(ビアホール121−8と記述する)と受け部124−9が設けられる。
【0062】
このように接続されることで、結果的に、コンデンサパターン103−8は、ビアホール122を介して、配線パターン102−1(図4)と接続され、さらには、配線パターン102−1を介して、ICチップ11と接続される。
【0063】
一方、コンデンサパターン103−8の近傍に設けられたビアホール121−8に導電体が充填されることにより、その導電体は、グリーンシート101−11上に形成されている配線パターン102−2と接続される。このように接続されることにより、結果的に、コンデンサパターン103−8は、ビアホール121を介して、コンデンサパターン103−1と接続され、さらに、コンデンサパターン103−1がICチップ11と接続されているため(図6)、ICチップ11とも接続されていることになる。
【0064】
コンデンサ22は、このような構成とされている。次に、アンテナ21について、再度図5を参照して説明する。
【0065】
アンテナパターン104−1に設けられている受け部124−1は、図5には図示していないが、図4に示したグリーンシート101−2に設けられている配線パターン102−1と接続される。配線パターン102の一端には、ビアホールが設けられており、そのビアホールに導電体が充填されると、その導電体が、受け部124−1と接触し、結果として、配線パターン102−1とアンテナパターン104−1が接続されることになる。配線パターン102−1は、上記したように、コンデンサ22とICチップ11に接続されているためアンテナパターン104−1も、コンデンサ22とICチップ11に接続されていることになる。
【0066】
アンテナパターン104−1に設けられているビアホール121−1に導電体が充填されると、アンテナパターン104−1は、アンテナパターン104−2に設けられている受け部124−2と接続される。さらに、アンテナパターン104−2に設けられているビアホール121−2に導電体が充填されると、アンテナパターン104−2は、アンテナパターン104−3に設けられている受け部124−3と接続される。
【0067】
アンテナパターン104−3乃至104−8も、それぞれこのように、それぞれ設けられているビアホール123と受け部124とにより、隣り合うアンテナパターン104同士が接続される。また、最も下の層に設けられたアンテナパターン104−8は、配線パターン102−2と接続される。
【0068】
図4、図5に示した例では、アンテナパターン104−1の受け部124−1、アンテナパターン104−1、アンテナパターン104―1のビアホール123−1、アンテナパターン104−2の受け部124−2、アンテナパターン104−2、アンテナパターン104―2のビアホール123−2、アンテナパターン104−3の受け部124−3、アンテナパターン104−3、アンテナパターン104―3のビアホール123−3、・・・、といったように、ひと筆書きのように、次々と連続して接続されることで、1つのアンテナ21が形成される。換言すれば、各層に設けられているアンテナパターン104が、連結されて、1つのヘリカル状のアンテナ21が形成される。
【0069】
このように、ビアホール123と受け部124が接続されるため、グリーンシート101が重ね合わされるときに、多少のずれなどを考慮し、受け部124を、図5に示したように、円形など、アンテナパターン104を形成する部分よりも少し大きめに構成することで、また、ビアホール121よりも大きな形状で構成することで、確実にビアホール121を充填する導電体を受け止め、接続されるようにすることが好ましい。
【0070】
図6に示したアンテナ21を参照するに、コンデンサ22について説明した場合と同様に、アンテナ21を構成する線のうち、縦の線は、ビアホール123と受け部124とが接続されることにより形成される配線を示している。横の線は、アンテナパターン104を示している。
【0071】
このように、アンテナ21を構成することにより、ヘリカル構造のアンテナを構成することが可能となる。同一面積でアンテナを構成することを考えると、ヘリカル構造のアンテナは、スパイラル構造のアンテナよりも、アンテナの開口部を広くするこが可能である。アンテナの開口部が広くなることにより、そのアンテナの開口部を鎖交する磁束が多くなり、アンテナの感度を高めることが可能となる。また、鎖交する磁束が増すことで、効率良く、ICチップ11への電力を発生させることが可能となる。
【0072】
なお、図示はしないが、アンテナパターン104(アンテナ21)を上方向から見た場合(ICチップ11側から見た場合)、四角形とされている。ここでは、四角形として説明を続けるが、四角形に限らず、円形や楕円形など、四角形以外の形状でアンテナ21を構成することも可能である。また、各層毎に異なる形状とし、アンテナ21を上から見たとき四角形や円形などが混在するような形状とすることも可能である。アンテナ21の形状は、上記したような、開口部をできるだけ広くできる形状であることが好ましく、鎖交する磁束ができるだけ多い形状であるように設計されればよい。
【0073】
このように、ICカードのような限られた面積でも、感度の良いアンテナを構成することが可能となる。また感度の良いアンテナを構成することが可能となることで、上述した本発明を適用した通信装置10を小型化しても、充分な通信距離を得ることが可能となる。よって、本発明を適用した通信装置10は、限られたスペースしか、通信装置10に割り当てることができないような、例えば、携帯電話などの電子機器であっても、組み込むことが可能となり、通信装置10の利用範囲を拡大することが可能となる。
【0074】
このように、本実施の形態においては、通信装置10は、多層基板12で構成され、その多層基板12の各層には、アンテナパターン104とコンデンサパターン103が形成され、各層が、重ね合わされ、それぞれ接続されて多層基板12とされたとき、アンテナパターン104によりアンテナ21が形成され、コンデンサパターン103によりコンデンサ22が形成される。
【0075】
このような、グリーンシート101が重ね合わせられることにより作成される多層基板12は、以下のようにして作成される。すなわち、まず、キャリアフィルム上にペースト状のセラミック材料が塗布され、厚さが数十μmのセラミックグリーンシート(上記したグリーンシート101)が形成される。そして、レーザやパンチなどが用いられて層間接続用ビアホールの孔が設けられる。設けられる孔は、上述した説明におけるビアホール121乃至123である。
【0076】
そのように、セラミック材料が塗布され、ビアホール121乃至123が設けられたグリーンシート101上に、銅や銀を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷して、厚さが数μmから十数μm程度の内部導体パターン(アンテナパターン104及びコンデンサパターンパターン103)が形成される。このとき、受け部124も形成される。また、このとき、ビアホール121乃至123に導電性ペーストが充填され、層間接続用ビアホールが形成される。
【0077】
このようにして作成された複数枚(上記した例では11枚)のセラミックグリーンシート101は、キャリアフィルムが剥がされ、積み重ねられ、積層装置により加圧密着させて積層体が構成される。この後、積層体は同時に焼成され、セラミック多層基板12となる。
【0078】
セラミック多層基板12には、例えば、低温焼成セラミック多層基板が用いられる。アルミナやチタン酸バリウムなどのセラミック材料にホウ酸系やケイ酸系ガラスが添加され、900℃程度の低温で焼成されることで生成される。低温焼成セラミック多層基板では、焼成温度が1000℃以下のため、融点が低く比抵抗の小さい銅や銀といった導体材料を利用することができる。
【0079】
また、セラミック多層基板12を、誘電体材料で形成したセラミックグリーンシート101で構成することも可能であるし、磁性体材料を練り込んだセラミックグリーンシート101を使用することも可能である。
【0080】
このように、通信装置10は製造される。簡単に換言するならば、所定の基板上にアンテナパターンとコンデンサパターンを形成し、基板が重ねられたとき、アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、アンテナパターンの一端に形成し、基板が重ねられたとき、コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、コンデンサパターンの近傍に形成し、基板を重ね合わせ、ビアホールに導電体を充填することで、アンテナパターン同士、およびコンデンサパターン同士を接続し、アンテナとコンデンサを形成することで、通信装置を製造することができる。
【0081】
ところで、図3に示したように、外部電源71が通信装置10に接続される場合や、所定の装置に通信装置10が組み込まれ、その装置を構成する他の部分、例えば、ホストコントローラと通信装置10が接続される場合など、多層基板12の裏面や側面に、外部電源71やホストコントローラと接続するための外部接続用端子電極が形成される。そして、その外部接続用端子電極を介して、外部電源71や他の部分(ホストコントローラ)と接続される。
【0082】
この外部接続用端子電極は、例えば、図7に示すように、多層基板12の裏面に設けられる。図7に示した例では、上述してきた多層基板12に、12層目のグリーンシート251が設けられ、そのグリーンシート251の片面に、外部接続用端子電極252が設けられている。グリーンシート251の外部接続用端子電極252が設けられている面と対向する面は、グリーンシート101−11の裏面と重ね合わされる。なお、図7には、1つの外部接続用端子電極252しか図示していないが、複数の外部接続用端子電極を、外部接続用端子電極252と同じように設けることは可能である。
【0083】
グリーンシート101−11には、図4を参照するに、配線パターン102−2が形成されている。この配線パターン102−2には、図4に示した例では、2つの受け部が設けられている。この受け部の一方、または両方を、ビアホールにする。そしてグリーンシート251に、配線パターン102−2に設けられたビアホールとほぼ同一の位置に、ビアホール(不図示)を設けるようにする。このように構成されたグリーンシート101−11とグリーンシート251に、それぞれ設けられたビアホールに、導電体が充填されることにより、外部接続用端子電極252と配線パターン102−2が接続される。
【0084】
外部接続用端子電極252自体は、導電性ペーストをグリーンシート251に印刷して焼き付けることによって形成される。上記したように、通信装置10は、例えば、他の装置に組み込まれ、その装置内の電子機器のプリント配線基板など他の基板に実装されることがある。そのように実装される際、外部接続用端子電極252は他の基板の導体層に対して半田付けなどによってホストコントローラなどと接続される。
【0085】
なお、ここでは、グリーンシート101−11にさらに、グリーンシート251を追加して、外部接続用端子電極252を設けるとして説明したが、グリーンシート101−11の配線パターン102−2が設けられている面と対向する面に、外部接続用端子電極252を形成するようにしても良い。また、そのようにした場合も、配線パターン102−2と外部接続用端子電極252は、ビアホールを介して接続される。
【0086】
図8は、外部接続用端子電極を多層基板12の側面に設けたときの例を示している。図8に示した外部接続用端子電極271と外部接続用端子電極272は、それぞれ、多層基板12の側面に設けられている。この場合も同様に、各層のグリーンシート101の側面に、導電性ペーストを印刷して焼き付けることにより形成することが可能である。
【0087】
このように、多層基板12のICが搭載されている面と対向する面(裏面)、または多層基板12の側面に、外部接続用端子電極が設けられる。このように、外部接続用端子電極を側面に設けるかまたは裏面に設けるかは、接続される部品や、接続される基板上の場所などに応じて適宜決定される。
【0088】
次に、通信装置10の他の構造について説明する。上記した説明においては、コンデンサパターン103とアンテナパターン104が同一のグリーンシート101上に形成されるとして説明したが、他の構成として、コンデンサパターンとアンテナパターンを別の層に設ける構成について次に説明する。
【0089】
図9は、異なる層にコンデンサパターンとアンテナパターンを構成したときの多層基板12の構成を示す図である。多層基板12は、12層のグリーンシート201―1乃至201−12から構成されている。グリーンシート201−1上には、ICチップ11が搭載されている。
【0090】
グリーンシート201−2上には、配線202−1とコンデンサパターン203−1が形成されている。このコンデンサパターン203−1は、例えば、グリーンシート101−3上に設けられているコンデンサパターン103―1(図4)と同様に、所定形状の導電体で構成されている。
【0091】
同様に、グリーンシート201−3上には、配線202−2とコンデンサパターン203−2が形成され、グリーンシート201−4上には、配線202−3とコンデンサパターン203−3が形成され、グリーンシート201−5上には、配線202−4とコンデンサパターン203−4が形成されている。
【0092】
コンデンサパターン203が設けられているグリーンシート201−2乃至201−5には、それぞれ、2つのビアホールが設けられている。図9を参照した説明では、個々のビアホールには符号を付さずに説明する。グリーンシート201−2乃至201−5のそれぞれに設けられている2つのビアホールのうち、一方のビアホールは、配線202と接続され、他方のビアホールは、配線202とは接続されていない。
【0093】
図9を参照するに、コンデンサパターン203−1の配線202−1とコンデンサパターン203−1の配線202−3は、ビアホール205−1で接続されている。また、コンデンサパターン203−2の配線202−2とコンデンサパターン203−4の配線202−4は、ビアホール205−2で接続されている。このような配線201とビアホール205との接続は、上記した場合、例えば、図5を参照して説明した場合と同様に行われる。
【0094】
このグリーンシート201−2乃至201−5に形成されているコンデンサパターン203−1乃至203−4によりコンデンサ22が構成される。図4に示したコンデンサ22は、コンデンサパターン103―1乃至103−8の8層のコンデンサパターン103から構成されているのに対し、図9に示したコンデンサ22’(以下、図4に示したコンデンサ22と区別が付くように、図9に示したコンデンサパターン203で構成されるコンデンサにはダッシュを付して記述する)は、コンデンサパターン203−1乃至202−4の4層のコンデンサパターン203から構成されている。
【0095】
このように、図4に示したコンデンサ22の半分の層の4層で、図9に示したコンデンサ22’は構成されているが、図9に示したコンデンサパターン203の方が、図4に示したコンデンサパターン103よりも、その面積が大きいため、図9に示したコンデンサ22’の容量は、図4に示したコンデンサ22の容量と同等またはそれ以上とすることができる。
【0096】
よって、図9に示したようなコンデンサパターン203でコンデンサ22’を構成した場合も、必要なコンデンサの容量を確保することができる。
【0097】
次に、アンテナ21’について説明する。アンテナ21’は、グリーンシート201−7乃至201−12に形成されたアンテナパターン204−1乃至204−6から構成される。グリーンシート201−7上には、アンテナパターン204−1が形成され、グリーンシート201−8上には、アンテナパターン204−2が形成され、グリーンシート201−9上には、アンテナパターン204−3が形成され、グリーンシート201−10上には、アンテナパターン204−4が形成され、グリーンシート201−11上には、アンテナパターン204−5が形成され、グリーンシート201−12上には、アンテナパターン204−6が形成されている。
【0098】
これらのアンテナパターン204−1乃至201−6は、順次接続され、1つのヘリカル構造のアンテナ21’を構成している点は、図4に示したアンテナ21と同様である。よって、各アンテナパターン204の一端には、ビアホールが設けられ、他端には、受け部が設けられている。
【0099】
グリーンシート201−7のアンテナパターン204−1の一端に設けられた受け部206−1は、ビアホール205−2により、ICチップ11と接続されている。受け部206−1が設けられている端とは別の端には、ビアホール205−3が設けられており、そのビアホール205−3は、グリーンシート201−8のアンテナパターン204―2の一端に設けられた受け部206−2と接続される。
【0100】
グリーンシート201−8のアンテナパターン204−2の一端に設けられた受け部206−2が設けられている端とは別の端には、ビアホール205−4が設けられている。そのビアホール205−4は、グリーンシート201−9のアンテナパターン204―3の一端に設けられた受け部206−3と接続される。
【0101】
グリーンシート201−9のアンテナパターン204−3の一端に設けられた受け部206−3が設けられている端とは別の端には、ビアホール205−5が設けられている。そのビアホール205−5は、グリーンシート201−10のアンテナパターン204―4の一端に設けられた受け部206−4と接続される。
【0102】
グリーンシート201−10のアンテナパターン204−4の一端に設けられた受け部206−4が設けられている端とは別の端には、ビアホール205−6が設けられている。そのビアホール205−6は、グリーンシート201−11のアンテナパターン204―5の一端に設けられた受け部206−5と接続される。
【0103】
グリーンシート201−11のアンテナパターン204−5の一端に設けられた受け部206−5が設けられている端とは別の端には、ビアホール205−7が設けられている。そのビアホール205−7は、グリーンシート201−12のアンテナパターン204―6の一端に設けられた受け部206−6と接続される。
【0104】
グリーンシート201−12のアンテナパターン204−6の一端に設けられた受け部206−6が設けられている端とは別の端にも受け部206−7が設けられている。この受け部206−7は、ICチップ11と、ビアホール205−1を介して接続されている。
【0105】
このように、図4に示したアンテナ21よりも少ない層の6層で、図9に示したアンテナ21’は構成されているが、図9に示したアンテナパターン204の方が、図4に示したアンテナパターン104よりも、その面積が大きいため、すなわち開口部が大きいため、図9に示したアンテナ21’を貫く磁束は、図4に示したアンテナ21と同等またはそれ以上とすることができる。
【0106】
よって、図9に示したようなアンテナパターン204でアンテナ21’を構成した場合も、必要な磁束を確保することはできる。
【0107】
このように、本実施の形態においては、通信装置10は、多層基板12で構成され、その多層基板12の各層には、アンテナパターン204またはコンデンサパターン203のどちらか一方が形成され、各層が、重ね合わされ、それぞれ接続されて多層基板12とされたとき、アンテナパターン204によりアンテナ21’が形成され、コンデンサパターン203によりコンデンサ22’が形成される。
【0108】
このように、アンテナ21’とコンデンサ22’を構成した場合、アンテナ21’を構成するグリーンシート201、すなわち、グリーンシート201−7乃至201−12には、磁性体材料が練り込まれたグリーンシート201が用いられるようにしても良い。
【0109】
すなわち、多層基板12を構成するグリーンシート201(または、グリーンシート101)は、誘電体材料で形成したセラミックグリーンシート、または磁性体材料を練り込んだセラミックグリーンシートのどちらか一方で構成されるか、組み合わされて構成されるようにすることができる。また、多層基板12の素材は、低温焼成セラミックであるようにすることができる。
【0110】
また、図9に示したようにアンテナ21’とコンデンサ22’を構成し、外部接続用端子電極を設ける場合、図7や図8を参照して説明した場合と同様に、多層基板12の裏面や側面に、その外部接続用端子電極を設けることができる。
【0111】
このように、通信装置10を多層基板12で構成し、各層を構成する基板(グリーンシート)上に、アンテナパターンやコンデンサパターンを形成することで、アンテナの開口部を広く取ることが可能となり、効率良い通信を行えるようになる。
【0112】
このような別々の層にアンテナとコンデンサを形成する場合も、上述した、アンテナとコンデンサを同一の層に形成する場合とほぼ同様に製造することができる。すなわち、簡単に記載すると、所定の基板上にアンテナパターンを形成し、所定の基板上にコンデンサパターンを形成し、基板が重ねられたとき、アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、アンテナパターンの一端に形成し、基板が重ねられたとき、コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、コンデンサパターンの近傍に形成し、基板を重ね合わせ、ビアホールに導電体を充填することで、アンテナパターン同士を接続し、アンテナを形成し、基板を重ね合わせ、ビアホールに導電体を充填することで、コンデンサパターン同士を接続し、コンデンサを形成し、アンテナとコンデンサを重ね合わせることで通信装置を製造することができる。
【0113】
上述した実施の形態においては、ICチップ11をセラミックの多層基板12に実装する方法として、セラミックパッケージあるいは樹脂パッケージなどによりパッケージングされたICを半田付けすることが実装する方法を採用することができる。また、以下に説明するような方法で、実装することも可能である。
【0114】
図10は、ベアチップ実装であり、ワイヤーボンディング方式でICチップ11を実装したときの通信装置10の構成を示している。図10に示したように、ICチップ11は、多層基板12にワイヤーボンディング方式で実装され、エポキシ系などの樹脂301で封止されて実装される。
【0115】
図11は、ベアチップ実装であり、フリップチップボンディング方式でICチップ11を実装したときの通信装置10の構成を示している。図11に示したように、ICチップ11は、多層基板12にフリップチップボンディング方式で実装され、エポキシ系などの樹脂301で封止されて実装される。
【0116】
図12は、図10に示したベアチップ実装であり、ワイヤーボンディング方式で実装したときの通信装置10の構成であるが、ICチップ11を収容する凹形状が多層基板12に設けられている点が異なる。すなわち、図12に示した実装方式においては、多層基板12に、凹形状のダウンキャビティが設けられる。そして、そのダウンキャビティ内に、ICチップ11がワイーボンディング方式で実装される。実装後、ダウンキャビティ内は、エポキシ系などの樹脂301が充填され、ICチップ11が封止される。
【0117】
図13は、図11に示したベアチップ実装であり、フリップチップボンディング方式で実装したときの通信装置10の構成であるが、ICチップ11を収容する凹形状が多層基板12に設けられている点が異なる。すなわち、図13に示した実装方式においては、多層基板12に、凹形状のダウンキャビティが設けられる。そして、そのダウンキャビティ内に、ICチップ11がフリップチップボンディング方式で実装される。実装後、ダウンキャビティ内は、エポキシ系などの樹脂301が充填され、ICチップ11が封止される。
【0118】
このようなICチップ11の実装方式を採用しても、多層基板12には、上述したようなアンテナ21やコンデンサ22が設けられるため、本発明を適用することで効率良い通信ができる。
【0119】
このように本発明によれば、非接触通信アンテナモジュールに搭載される部品が非接触通信用ICのみであるため、安価に通信装置10を構成することが可能となる。
【0120】
また、非接触通信アンテナモジュールに搭載される部品が非接触通信用ICのみであるため、平坦性が確保でき、製造時のハンドリングが容易になる。また非接触通信アンテナモジュールが搭載される機器への実装が容易になる。
【0121】
また、セラミック多層基板を用いることで、アンテナおよびコンデンサを基板内に形成できるため、外付けのチップコンデンサを不要とすることができる。また、セラミック多層基板内に形成した内部キャビティに、非接触通信用ICを埋設することにより、プリント基板に搭載した場合と比べて低背化できる。
【0122】
また、セラミック多層基板は、ガラスエポキシ系のプリント基板と比べて高い放熱効果が期待することができる。また、外部接続用端子電極を、セラミック多層基板の側面あるいは裏面に配置することができるので、小型化ができるとともに、アンテナの開口部を広くすることが可能になる。また、セラミック多層基板を利用することで、ヘリカル構造のアンテナを形成することができ、スパイラル構造のアンテナと比較してアンテナの開口部を広くすることが可能になる。このことから、通信効率や通信品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明を適用した通信装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】通信装置の内部構成を示す図である。
【図3】通信装置の他の内部構成を示す図である。
【図4】多層基板の構成について説明する図である。
【図5】多層基板の構成について説明する図である。
【図6】多層基板の構成について説明する図である。
【図7】外部接続用端子電極について説明する図である。
【図8】外部接続用端子電極について説明する図である。
【図9】多層基板の他の構成について説明する図である。
【図10】ICチップの実装について説明する図である。
【図11】ICチップの実装について説明する図である。
【図12】ICチップの実装について説明する図である。
【図13】ICチップの実装について説明する図である。
【符号の説明】
【0124】
10 通信装置, 11 ICチップ, 12 多層基板, 21 アンテナ, 22 コンデンサ, 41 整流器, 42 負荷変調回路, 43 復調回路, 44 電圧安定化回路, 45 制御回路, 101 グリーンシート, 102 配線パターン, 103 コンデンサパターン, 104 アンテナパターン, 201 グリーンシート, 202 配線, 203 コンデンサパターン, 204 アンテナパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層基板で構成され、
前記多層基板の各層に、アンテナパターンとコンデンサパターンの少なくとも一方が形成され、
各層が重ね合わされ前記多層基板にされたとき、前記アンテナパターンによりアンテナが形成され、前記コンデンサパターンによりコンデンサが形成される
通信装置。
【請求項2】
前記アンテナは、ヘリカル構造、または、スパイラル構造である
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記多層基板は、誘電体材料で形成したセラミックグリーンシート、または磁性体材料を練り込んだセラミックグリーンシートのどちらか一方で構成されるか、組み合わされて構成される
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記多層基板の素材は、低温焼成セラミックである
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記多層基板には、ICが搭載され、
前記アンテナと前記コンデンサは、前記ICに接続される
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記多層基板の前記ICが搭載されている面と対向する面、または前記多層基板の側面に、端子が設けられる
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記端子は、導電性ペーストを印刷、または、転写して焼き付けられる
請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記ICは、パッケージ化された形式、ワイヤーボンディング方式、またはフリップチップボンディング方式で、前記多層基板に搭載される
請求項5に記載の通信装置。
【請求項9】
多層基板に設けられたキャビティ内に前記ICが搭載され、そのキャビティ内にエポキシ系樹脂が充填されて前記ICが封止される
請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記アンテナと前記コンデンサは、別々の層に形成される
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
非接触で通信を行う
請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
多層基板の所定の層にアンテナパターンとコンデンサパターンを形成し、
前記層が重ねられたとき、前記アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、前記アンテナパターンの一端に形成し、
前記層が重ねられたとき、前記コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、前記コンデンサパターンの近傍に形成し、
前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記アンテナパターン同士、および前記コンデンサパターン同士を接続し、アンテナとコンデンサを形成し、通信装置を製造する
製造装置。
【請求項13】
多層基板の所定の層にアンテナパターンとコンデンサパターンを形成し、
前記層が重ねられたとき、前記アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、前記アンテナパターンの一端に形成し、
前記層が重ねられたとき、前記コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、前記コンデンサパターンの近傍に形成し、
前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記アンテナパターン同士、および前記コンデンサパターン同士を接続し、アンテナとコンデンサを形成し、通信装置を製造する
ステップを含む製造方法。
【請求項14】
所定の層にアンテナパターンを形成し、
所定の層にコンデンサパターンを形成し、
前記層が重ねられたとき、前記アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、前記アンテナパターンの一端に形成し、
前記層が重ねられたとき、前記コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、前記コンデンサパターンの近傍に形成し、
前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記アンテナパターン同士を接続し、アンテナを形成し、
前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記コンデンサパターン同士を接続し、コンデンサを形成し、
前記アンテナとコンデンサを重ね合わせることで通信装置を製造する
製造装置。
【請求項15】
所定の層にアンテナパターンを形成し、
所定の層にコンデンサパターンを形成し、
前記層が重ねられたとき、前記アンテナパターン同士が接続されるビアホールを、前記アンテナパターンの一端に形成し、
前記層が重ねられたとき、前記コンデンサパターン同士が接続されるビアホールを、前記コンデンサパターンの近傍に形成し、
前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記アンテナパターン同士を接続し、アンテナを形成し、
前記層を重ね合わせ、隣接した層のビアホールを接続することによって、前記コンデンサパターン同士を接続し、コンデンサを形成し、
前記アンテナとコンデンサを重ね合わせることで通信装置を製造する
ステップを含む製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−56998(P2010−56998A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220894(P2008−220894)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】