説明

通信装置、通信装置の制御プログラム、記録媒体、及び通信装置の制御方法

【課題】所定の通信品質の基準を満たさない種類のデータの受信を拒否することで、該種類のデータの利用価値を見極めるための不要な受信操作をなくして利用先の利便性を向上させると共に、該種類のデータの受信拒否が行われ、かつ、送信元が特定された場合には、前記所定の通信品質の基準よりも低い種類のデータを利用して、送信元に送信する。
【解決手段】
受信データの種類を特定するデータ種類特定部32と、送信元を特定するデータ送信元特定部31と、受信データの電波強度を算出する電波強度算出部33と、算出された電波強度と、電波強度の閾値とを比較する電波強度比較部34と、その比較結果によって、受信データの受信の許否を判定する受信許否判定部35と、受信の拒否が判定され、かつ、送信元が特定されたとき、メールデータ84を、送信元に送信するように送信処理部5を制御する送信制御部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の制御プログラム、記録媒体、及び通信装置の制御方法に関するものであり、より詳細には、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えた通信装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話などの携帯型の通信装置では、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの受信及び送信を行なえるようになっている。また、携帯型の通信装置は、持ち運びが便利であるという可搬性ゆえ、様々な場所に持ち運んで使用されることが多い。このような携帯型の通信装置の可搬性の結果として、地上基地局からかなり離れた遠方の場所や、遮蔽された空間である地下通路等、地上基地局からの受信電波の強度が弱い地域で、携帯型の通信装置を使用する状況がしばしば生じる。
【0003】
しかし、通信品質の基準が異なる複数種類のデータを取り扱う場合において、受信電波の強度がデータを受信する限界近くの強度である場合や、データの受信時のSN比が著しく小さい場合などには、受信するデータの種類によっては、通信品質の基準を確保することが困難な場合がある。
【0004】
それゆえ、受信電波の強度がデータを受信する限界近くの強度である場合や、データの受信時のSN比が著しく小さい場合などにおいて、データの受信を行うと、データの通信品質が所定の基準を満たしていないことによりデータの内容が不明瞭となってしまう状況がある。このような状況下で受信されたデータは利用価値が少ない場合が多い。
【0005】
また、電波強度が極めて弱い場合や、受信時のSN比が極めて小さい場合などには、例えば、音声通話の音声データの場合を例にとれば、通話自体が聞き取り不可能となってしまうケースも考えられる。
【0006】
したがって、受信電波の強度がデータを受信する限界近くの強度である場合やデータの受信時のSN比が著しく小さい場合などには、通信品質が所定の基準を満たしていないデータの受信を行わないようにすることが、利用先の利便性向上のための1つの手段であると考えられる。
【0007】
このような手段を採用した従来の技術として、通話制限を行う無線信号の強度の閾値を記録部に格納し、無線信号の強度が閾値未満である時は、通話制限を行う通話制限無線装置が特許文献1に開示されている。
【0008】
この通話制限無線通信装置では、受信電波の強度が、通話限界近くの強度である場合、すなわち、受信電波の強度があらかじめ定められた閾値未満である場合に、音声着信を拒否するようにすることで通話が発生しないようになっている。
【0009】
また、特許文献2には、相手側の切断等により通話が行われなかった場合、着信後に相手側の番号通知を確認して着信側の現在位置又は現在時刻或いは双方を本文とする電子メールを電話帳から作成し、相手側に自動送出する携帯電話機が開示されている。
【特許文献1】特開2000−278747号公報(平成12年10月 6日公開)
【特許文献2】特開2005−142875号公報(平成17年 6月 2日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、受信電波の強度が音声通話を受信する限界近くの強度である場合や音声通話の受信時のSN比が著しく小さい場合、比較的高い通信品質の基準を満たす必要がある音声通話の受信は、確かに不安定になる。しかし、このように通信状態が悪い場合でも、パケット通信方式等を用いたメール通信機能を用いた場合のように、通信品質の基準の比較的低い種類のデータを用いれば比較的安定した通信が可能である場合も多い。
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された通話制限無線通信装置では、受信電波の強度が音声通話の限界近くの強度である場合には、上述のように着信を拒否するだけで、拒否した後にどうするかと言う観点が欠けている。また、着信を拒否するだけでは、音声通話の発信者は、利用先が完全に地上基地局の圏外の場所にいるものと認識してしまう可能性が高い。
【0012】
したがって、発信者は、比較的通信品質の基準が低いメール通信機能を使用すれば連絡が可能であるのに、メール通信機能を利用することに思い至らないため、結局利用先と連絡を取り合うことができないといった状況になってしまうという問題点がある。
【0013】
一方、特許文献2に開示された携帯電話機では、上述のように、通話が行われなかった場合に、着信後に、発信者に対してメールを自動的に送信する方式を採用している。
【0014】
しかしながら、この方式では、単に、通話が行われたか否かによって、着信後に、発信者に対してメールを自動的に送信するか否かが決定されている。したがって、受信電波の強度がデータを受信する限界近くの強度である場合やデータの受信時のSN比が著しく小さい場合など、比較的通信品質の基準が高い音声データを受信してもその利用価値が極めて低いのにもかかわらず、データの利用価値を見極めるには、該データを受信しなければならない。すなわち、利用価値の少ないデータの利用価値を見極めるために、利用先が不用な受信操作を行わなければならず、利便性が悪いという問題点がある。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、所定の通信品質の基準を満たさない種類のデータの受信を拒否することで、該種類のデータの利用価値を見極めるための不要な受信操作をなくして利用先の利便性を向上させると共に、該種類のデータの受信拒否が行われ、かつ、送信元が特定された場合には、前記所定の通信品質の基準よりも低い種類のデータを利用して、送信元に送信することで、該種類のデータを利用した通信は可能であることを送信元に知らせることができる通信装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の通信装置は、前記課題を解決するために、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えた通信装置において、前記受信部で受信したデータから、該受信データの種類を特定するデータ種類特定手段と、前記受信データから、該受信データの送信元を特定する送信元特定手段と、前記受信データから、前記データ種類特定手段によって特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値を算出する指標値算出手段と、前記指標値算出手段によって算出された指標値と、前記特定された種類のデータの通信品質の基準を満たす指標値となる閾値とを比較し、その比較結果によって、前記受信データの受信の許否を判定する受信許否判定手段と、前記受信許否判定手段によって受信データの受信の拒否が判定され、かつ、前記送信元特定手段によって該受信データの送信元が特定された場合に、前記受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータを、特定された送信元に送信するように前記送信部を制御するデータ送信制御手段とを備えることを特徴としている。
【0017】
前記構成によれば、本発明の通信装置は、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えるものである。また、データ種類特定手段は、前記受信部で受信したデータから、該受信データの種類を特定し、指標値算出手段は、前記受信データから、特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値を算出し、受信許否判定手段は、算出された指標値と、特定された種類のデータの通信品質の基準を満たす指標値となる閾値とを比較し、その比較結果によって、前記受信データの受信の許否を判定する。それゆえ、所定の通信品質の基準を満たさない種類のデータの受信を拒否することで、該種類のデータの利用価値を見極めるための不要な受信操作をなくして利用先の利便性を向上させることができる。
【0018】
また、データ送信制御手段は、前記課題を解決するために、受信データの受信拒否が判定され、かつ、該受信データの送信元が特定されたとき、前記受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータを、特定された送信元に送信するように前記送信部を制御する。それゆえ、受信データの受信拒否が行われ、かつ、受信データの送信元が特定された場合に、受信データの所定の通信品質の基準よりも低い種類のデータを、受信データの送信元に送信することで、該種類のデータを利用した通信は可能であることを送信元に知らせることができる。
【0019】
また、本発明の通信装置の制御方法は、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えた通信装置の制御方法において、前記通信装置の受信部で受信したデータから、該受信データの種類を特定するデータ種類特定ステップと、前記受信データから、該受信データの送信元を特定する送信元特定ステップと、前記受信データから、前記データ種類特定ステップで特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値を算出する指標値算出ステップと、前記指標値算出ステップで算出された指標値と、前記データ種類特定ステップで特定された種類のデータの通信品質の基準を満たす指標値となる閾値とを比較し、その比較結果によって、前記受信データの受信の許否を判定する受信許否判定ステップと、該受信許否判定ステップで受信データの受信の拒否が判定され、かつ、前記送信元特定ステップで該受信データの送信元が特定されたとき、前記受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータを、特定された送信元に送信するように前記送信部を制御するデータ送信制御ステップとを備えることを特徴としている。
【0020】
前記方法によれば、本発明の制御方法は、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えている通信装置を制御する方法である。
【0021】
また、データ種類特定ステップでは、前記通信装置の受信部で受信したデータから、該受信データの種類を特定し、指標値算出ステップでは、前記受信データから、特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値を算出し、受信許否判定ステップでは、算出された指標値と、特定された種類のデータの通信品質の基準を満たす指標値となる閾値とを比較し、その比較結果によって、前記受信データの受信の許否を判定する。それゆえ、受信データの通信品質が所定の通信品質の基準を満たさない場合に、受信データを受信拒否することで無駄な操作を不要にして利用先の利便性を向上させることができる。
【0022】
また、データ送信制御ステップでは、受信データの受信拒否が判定され、かつ、該受信データの送信元が特定されたとき、前記受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータを、特定された送信元に送信するように前記通信装置の送信部を制御する。
【0023】
それゆえ、受信データの受信拒否が行われ、かつ、受信データの送信元が特定された場合に、受信データの所定の通信品質の基準よりも低い種類のデータを、受信データの送信元に送信することで、該種類のデータを利用した通信は可能であることを送信元に知らせることができる。
【0024】
以上より、所定の通信品質の基準を満たさない種類のデータの受信を拒否することで、該種類のデータの利用価値を見極めるための不要な受信操作をなくして利用先の利便性を向上させると共に、該種類のデータの受信拒否が行われ、かつ、送信元が特定された場合には、前記所定の通信品質の基準よりも低い種類のデータを利用して、送信元に送信することで、該種類のデータを利用した通信は可能であることを送信元に知らせることができる通信装置などを提供することができる。
【0025】
なお、「受信データの送信元を特定する」については、以下の2通りの場合が例示できる。第1に、データの送信元が利用先と接続を確立せずにデータを送信するコネクションレス型伝送の場合には、送信元を特定できる情報が前記データとともに送信される。この場合、受信データの送信元は、該データと共に受信する前記送信元を特定できる情報から特定すればよい。
【0026】
第2に、受信データの送信元が利用先と接続を確立してからコンテンツを送信するコネクション型伝送の場合には、接続の要求時、或いは接続の確立時に送信元を特定するようにすれば良い。
【0027】
本発明の通信装置は、前記構成に加えて、前記指標値は、前記受信データの電波強度であることが好ましい。
【0028】
前記構成によれば、あらかじめ電波強度の閾値を設定しておくことで、受信データの電波強度が該閾値以上(又は超える)の場合には、該受信データは、通信品質の基準を満たしているので、該受信データの受信を許可する判定を行なうようにすれば良い。一方、受信データの電波強度が該閾値未満(又は以下)の場合には、該受信データは、通信品質の基準を満たしていないので、該受信データの受信を拒否する判定を行なえばよい。
【0029】
また、電波強度は、受信データの信号電力などによって、算出しても良いし、電波強度を算出できるものであればどんな物理量を用いて算出しても良い。
【0030】
それゆえ、受信データの受信拒否の判定に、電波強度という比較的簡単に算出できる物理量を、特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値として用いることができる。
【0031】
また、例えば、従来の携帯型の通信装置などであれば、電波強度を判定・表示する機能を備えているものが一般的であり、このため、前記携帯型の通信装置に本発明を簡単に適用させることができる。
【0032】
また、本発明の通信装置は、前記構成に加えて、前記指標値は、前記受信データの信号対雑音比であることが好ましい。
【0033】
前記構成によれば、あらかじめ受信データの信号対雑音比の閾値を設定しておくことで、信号対雑音比が該閾値以上(又は超える)の場合には、該受信データは、通信品質の基準を満たしているので、該受信データの受信を許可する判定を行なうようにすれば良い。一方、信号対雑音比が該閾値未満(又は以下)の場合には、該受信データは、通信品質の基準を満たしていないので、該受信データの受信を拒否する判定を行なえばよい。
【0034】
それゆえ、受信データの受信拒否の判定に、受信データの信号対雑音比という物理量を
特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値として用いることができるので、雑音の影響を考慮した、より正確な判定を行なうことができる。
【0035】
なお、信号対雑音比は、SN比(Signal to Noise ratio)とも呼ばれる、受信データの信号電力の雑音電力に対する比のことである。
【0036】
本発明の通信装置は、前記構成に加えて、前記閾値を設定する閾値設定手段を備えていることが好ましい。
【0037】
前記構成によれば、受信データの利用先が所望の電波強度を閾値として設定することができるため、利用先の利便性を向上させることができる。
【0038】
本発明の通信装置は、前記構成に加えて、前記受信データが通話用のデータであるとき、該受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータは、メール用のデータであることが好ましい。
【0039】
前記構成によれば、例えば、音声通話などのように通信品質の基準が高い通話用のデータが受信データであるとき、該受信データが受信許否された場合に、パケット通信方式を利用したメール通信機能などのように、通信品質の基準が低いメール用のデータであれば、受信データの送信元と利用先との間で通信可能であることを該送信元に知らせることができる。
【0040】
本発明の通信装置は、前記構成に加えて、前記メール用のデータの内容を設定するメール内容設定手段を備えていることが好ましい。
【0041】
前記構成によれば、メール用のデータの内容を、例えば、「データの受信は無理であるが、メール通信機能であれば連絡可能である」といった内容とすることで、送信元にデータの受信が無理であること及びメール通信機能であれば、連絡が可能であることを確実に知らせることができるので、利用先の利便性をさらに向上させることができる。
【0042】
本発明の通信装置は、前記構成に加えて、前記受信データの送信元を識別するための送信元識別情報を1つ以上含む送信元データ群をあらかじめ記録する記録部を備え、前記送信元特定手段は、前記受信データが受信された場合に得られた送信元識別情報と、前記記録部に記録された送信元データ群に含まれる送信元識別情報とを参照して、該受信データの送信元を特定することが好ましい。
【0043】
前記構成によれば、送信元データ群に送信元識別情報をあらかじめ記録部に記録させておくことで、受信データが受信された場合に得られた送信元識別情報と、前記記録部に記録されている送信元データ群に含まれる送信元識別情報とを参照して受信データの送信元を特定することができる。
【0044】
なお、「送信元識別情報」とは、1つ以上の送信元のそれぞれを識別することができるような情報である。例えば携帯電話であれば、発信者の電話番号である発信者番号など、インターネットに接続された端末であれば、メールアドレスやIPアドレスなどが例示できる。
【0045】
また、「送信元データ群」とは、1つ以上の送信元識別情報を含むデータ群であり、例えば、携帯電話であれば電話帳データなど、インターネットに接続された端末であれば、送信元識別情報をデータベース化したものなどが例示できる。
【0046】
本発明の通信装置は、前記構成に加えて、前記送信元データ群に、前記送信元識別情報を登録する登録手段を備えることが好ましい。
【0047】
前記構成によれば、受信データの利用先は、送信元データ群に、所望の送信元識別情報を登録することができるので、利用先の利便性をさらに向上させることができる。
【0048】
なお、前記通信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記各手段として動作させることにより前記通信装置をコンピュータにて実現させる通信装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0049】
本発明の通信装置は、以上のように、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えた通信装置において、前記受信部で受信したデータから、該受信データの種類を特定するデータ種類特定手段と、前記受信データから、該受信データの送信元を特定する送信元特定手段と、前記受信データから、前記データ種類特定手段によって特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値を算出する指標値算出手段と、前記指標値算出手段によって算出された指標値と、前記特定された種類のデータの通信品質の基準を満たす指標値となる閾値とを比較し、その比較結果によって、前記受信データの受信の許否を判定する受信許否判定手段と、前記受信許否判定手段によって受信データの受信の拒否が判定され、かつ、前記送信元特定手段によって該受信データの送信元が特定された場合に、前記受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータを、特定された送信元に送信するように前記送信部を制御するデータ送信制御手段とを備えるものである。
【0050】
また、本発明の通信装置の制御方法は、以上のように、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えた通信装置の制御方法において、前記通信装置の受信部で受信したデータから、該受信データの種類を特定するデータ種類特定ステップと、前記受信データから、該受信データの送信元を特定する送信元特定ステップと、前記受信データから、前記データ種類特定ステップで特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値を算出する指標値算出ステップと、前記指標値算出ステップで算出された指標値と、前記データ種類特定ステップで特定された種類のデータの通信品質の基準を満たす指標値となる閾値とを比較し、その比較結果によって、前記受信データの受信の許否を判定する受信許否判定ステップと、該受信許否判定ステップで受信データの受信の拒否が判定され、かつ、前記送信元特定ステップで該受信データの送信元が特定されたとき、前記受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータを、特定された送信元に送信するように前記送信部を制御するデータ送信制御ステップとを備える方法である。
【0051】
それゆえ、所定の通信品質の基準を満たさない種類のデータの受信を拒否することで、該種類のデータの利用価値を見極めるための不要な受信操作をなくして利用先の利便性を向上させると共に、該種類のデータの受信拒否が行われ、かつ、送信元が特定された場合には、前記所定の通信品質の基準よりも低い種類のデータを利用して、送信元に送信することで、該種類のデータを利用した通信は可能であることを送信元に知らせることができる通信装置などを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0053】
〔1.通信装置の構成について〕
まず、図1〜3に基づいて、本発明の一実施形態である携帯通信装置(通信装置)10の構成について説明する。図1は、携帯通信装置10における受信制御部(受信部)3及び送信制御部(データ送信制御手段)4の構成の詳細を示す機能ブロック図である。図2は、携帯通信装置10の全体の構成を示す機能ブロック図である。図3は、携帯通信装置10が複数ある場合(図3では、2台しか示していない。)の通信状態の概要を示す概要図である。
【0054】
図3に示すように、携帯通信装置10は、音声通話を行なうための受話部、及び送話部を備えると共に、設定画面などの操作画面の画像、メールなどのテキストデータ、及び画像データや動画像を表示する表示部を備えるものである。利用先による携帯通信装置10への、各種操作(設定や登録など)は、キースイッチ6を押すことによって行われる。複数の携帯通信装置10がある場合、携帯通信装置10は、アンテナ1を介して無線電波をやり取りすることで装置間で通信を行なう。
【0055】
携帯通信装置10の全体の構成は、図2に示すように、アンテナ(受信部及び送信部)1、受信処理部(受信部)2、受信制御部3、送信制御部4、送信処理部(送信部)5、キースイッチ(閾値設定手段、メール内容設定手段、登録手段)6、インターフェース(閾値設定手段、メール内容設定手段、登録手段)7、及び記録部8を備える構成である。
【0056】
まず、説明上の便宜のため、記録部8にあらかじめ記録されている各種の情報について説明する。記録部8にあらかじめ記録されている情報としては、図2に示すように、音声・画像データ(通信品質の基準が異なる複数種類のデータ、データ、受信データ、及び通話用のデータ)81、電話帳データ(送信元データ群)82、電波強度の閾値(閾値)83、メールデータ(通信品質の基準が低い種類のデータ、通信品質の基準が異なる複数種類のデータ、受信データ、及びメール用のデータ)84、及び発信者番号等(送信元識別情報)85などがある。
【0057】
音声・画像データ81、及びメールデータ84は、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの一例であり、音声・画像データ81は、通信品質の基準が比較的高い種類のデータの一例であり、また、メールデータ84は、通信品質の基準が比較的低い種類のデータの一例である。これらのデータは、複数の携帯通信装置10の間でやりとりされるデータである。
【0058】
電話帳データ82、及び発信者番号等85は、送信元を特定するために用いられる情報の一例であり、発信者番号等85は、1つ以上の送信元のそれぞれを識別することができるような情報である。例えば携帯電話であれば、発信者の電話番号である発信者番号など、インターネットに接続された端末であれば、メールアドレスやIPアドレスなどが例示できる。また、電話帳データ82は、1つ以上の送信元識別情報を含むデータ群であり、例えば、携帯電話であれば電話帳データなど、インターネットに接続された端末であれば、送信元識別情報をデータベース化したものなどが例示できる。
【0059】
以上により、電話帳データ82に発信者番号等85をあらかじめ記録部に記録させておくことで、受信データが受信された場合に得られた発信者番号と、前記記録部に記録されている電話帳データ82に含まれる発信者番号等85とを参照して受信データの送信元を特定することができる。
【0060】
なお、受信データの利用先は、電話帳データ82に、所望の発信者番号等85を登録することが可能であることが好ましい。これにより利用先の利便性をさらに向上させることができる。
【0061】
電波強度の閾値(閾値)83は、受信データの受信の許否を判定する場合に用いられる情報であり、特定の種類のデータの通信品質を判定するための指標値として電波強度を採用した場合において、前記特定の種類のデータに要求される通信品質の基準を満たす指標値となる電波強度の閾値である。
【0062】
次に、図1及び図2に基づき、携帯通信装置10を構成する各要素の詳細について説明する。
【0063】
図2に示すアンテナ1は、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を外部の機器と行うためのものである。
【0064】
通信品質の基準が異なる複数種類のデータとしては、文字コードだけで構成された文字列や文書のデータなどのテキストデータ、メールのデータ、音声データ、画像データ、動画データ、及びコンピュータなどを動作させるためのプログラムなど様々な種類のデータがある。
【0065】
受信処理部2は、受信データのアナログ・デジタル変換に関する処理、受信データの受信許否に関する処理、受信制御部3への受信データなどの転送に関する処理、及び受信データを記録部8に記録させる受信データの記録に関する処理など様々なデータ受信に関する処理を行なうものである。
【0066】
次に、受信制御部3であるが、その全体の構成は、図1に示すように、データ送信元特定部(送信元特定手段)31、データ種類特定部(データ種類特定手段)32、電波強度算出部(指標値算出手段)33、電波強度比較部(受信許否判定手段)34、及び受信許否判定部(受信許否判定手段)35を備える構成である。
【0067】
ここで、受信制御部3を構成する各要素の詳細について説明する。データ送信元特定部31は、受信データから、受信データの送信元を特定するものである。なお、受信データの送信元を特定する方法については、以下の2通りの場合が例示できる。第1に、データの送信元が利用先と接続を確立せずにデータを送信するコネクションレス型伝送の場合には、送信元を特定できる情報が前記データとともに送信される。この場合、受信データの送信元は、該データと共に受信する前記送信元を特定できる情報から特定すればよい。
【0068】
第2に、受信データの送信元が利用先と接続を確立してからコンテンツを送信するコネクション型伝送の場合には、接続の要求時、或いは接続の確立時に送信元を特定するようにすれば良い。
【0069】
なお、以下では、説明の便宜上、データ送信元特定部31が、コネクションレス型伝送を採用している場合であるとし、受信データと共に受信することによって取得する送信元識別情報が発信者の電話番号である発信者番号であるものとして説明する。
【0070】
データ種類特定部32は、受信したデータから、該受信データの種類を特定するものである。なお、受信データの種類は、携帯通信装置10で扱われるデータの基本単位としてファイルが用いられる場合には、該ファイルに付された拡張子に関する情報などから、データの種類を特定すれば良い。この他、データの種類が特定できる方法であれば、どのような方法を採用しても良い。
【0071】
電波強度算出部33は、データ種類特定部32によって特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値として受信データを受信した場合の電波強度を算出するものである。電波強度は、受信データの信号電力などによって、算出しても良いし、これらの物理量に限られず、電波強度を算出できるものであればどんな物理量を用いて算出しても良い。
【0072】
なお、上述した指標値としては、この他、受信データの信号対雑音比などが考えられる。信号対雑音比は、SN比(Signal to Noise ratio)とも呼ばれ、受信データの信号電力の雑音電力に対する比のことである。なお、以下では簡単のため信号対雑音比を単に、SN比と呼ぶことにする。このSN比を指標値として用いた場合、雑音の影響を考慮した、より正確な判定を行なうことができる。
【0073】
電波強度比較部34は、電波強度算出部33によって算出された電波強度と、電波強度の閾値とを比較し、その比較結果を受信許否判定部35に伝えるものである。
【0074】
受信許否判定部35は、電波強度比較部34から伝えられた電波強度算出部33によって算出された電波強度と、あらかじめ記録部8に記録されている電波強度の閾値83との比較結果によって、受信データの受信の許否を判定するものである。なお、受信許否判定部35による受信データの受信許否の判定結果は、受信処理部2へ通知される。
【0075】
この受信データの受信の許否の判定について具体的に説明すると、以下のようになる。
【0076】
例えば、指標値として受信データの電波強度を用いる場合には、あらかじめ電波強度の閾値を記録部8の電波強度の閾値83に記録させておくことで、受信データの電波強度が該閾値以上(又は超える)の場合には、該受信データは、通信品質の基準を満たしているので、該受信データの受信を許可する判定を行なうようにすれば良い。一方、受信データの電波強度が該閾値未満(又は以下)の場合には、該受信データは、通信品質の基準を満たしていないので、該受信データの受信を拒否する判定を行なえばよい。
【0077】
以上より、受信データの受信拒否の判定に、電波強度という比較的簡単に算出できる物理量を指標値として用いることができる。また、例えば、従来の携帯型の通信装置などであれば、電波強度を判定・表示する機能を備えているものが一般的であり、このため、前記携帯型の通信装置に本実施の形態における技術的手段を簡単に適用させることができる。
【0078】
一方、指標値として受信データのSN比(信号対雑音比)を用いる場合には、あらかじめ受信データのSN比の閾値を設定しておくことで、SN比が該閾値以上(又は超える)の場合には、該受信データは、通信品質の基準を満たしているので、該受信データの受信を許可する判定を行なうようにすれば良い。一方、SN比が該閾値未満(又は以下)の場合には、該受信データは、通信品質の基準を満たしていないので、該受信データの受信を拒否する判定を行なえばよい。
【0079】
以上より、受信データの受信拒否の判定に、SN比という物理量を指標値や、閾値として用いることができるので、雑音の影響を考慮した、より正確な判定を行なうことができる。
【0080】
次に、送信制御部4であるが、その全体の構成は、図1に示すように、データ種類変更部41、及びデータ送信判定部42を備える構成である。送信制御部4の各要素の詳細について説明すると以下のようになる。
【0081】
データ種類変更部41は、受信許否判定部35によって受信データの受信の許否が判定された場合にその判定結果の通知を受けて、通信品質の基準が異なる音声・画像データ81及びメールデータ84の中から、受信データである音声・画像データ81よりも通信品質の基準が低い種類のデータであるメールデータ84を選択することで、携帯通信装置10の送信データを、音声・画像データ81から、メールデータ84に変更するものである。
【0082】
データ送信判定部42は、受信制御部3のデータ送信元特定部31が取得した発信者番号と、あらかじめ記録部8に記録されている電話帳データ82に含まれる発信者番号等85とを参照して受信データの送信元が特定されると、データ種類変更部41によって変更された種類のデータであるメールデータ84の送信を決定するものである。なお、データ送信判定部42によるメールデータ84の送信の決定は、送信処理部5に通知される。
【0083】
〔2.通信装置の動作について〕
次に、図1〜図7に基づき、携帯通信装置10の動作について説明する。なお、〔2.通信装置の動作について〕で説明すること以外の構成は、〔1.通信装置の構成について〕と同じである。また、説明の便宜上、〔1.通信装置の構成について〕の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
以下では、受信データが、音声・画像データ81である場合について説明するが、説明の便宜上、音声データ(通話用のデータ)と画像データを区別して説明する。
【0085】
また、指標値、及び閾値の例として、音声データを受信する場合にはそれぞれ、電波強度及び電波強度の閾値を用いて説明し、画像データを受信する場合には、SN比、及びSN比の閾値を用いて説明する。
【0086】
図4は、音声データを受信する場合であり、指標値、及び閾値の例として、それぞれ電波強度及び電波強度の閾値を用いた場合の携帯通信装置10の動作を示すフローチャートである。
【0087】
図4に示すフローチャートは、具体的には、音声データの受信時に、受信を報知する着信音等で音声データの着信(受信)を利用先に報知する前の段階からスタートする場合を想定したものである。
【0088】
まず、ステップS400では、図2に示すアンテナ1が、音声データ(受信データ)を受信し、アンテナ1から受信処理部2に音声データが送られる。次に音声データは、受信処理部2から受信制御部3に送られる。
【0089】
受信制御部3のデータ送信元特定部31は、地上基地局側より発信者番号の通知を受けることで、音声データに対応する発信者番号を取得し、送信制御部4のデータ送信判定部42に発信者番号を送ると共に、該発信者番号は、記録部8の図示しない一時記憶領域に記録される(ステップS401)。
【0090】
なお、ここでは、発信者番号が、記録部8の図示しない一時記憶領域に記録される場合について説明したが、図1に示すように、取得した発信者番号は、データ送信元特定部31から送信制御部4のデータ送信判定部42に直接送るように構成しても良い。
【0091】
一方、データ種類特定部32は、受信制御部3から送られた音声データが、音声データ(データの種類)であることを特定する。この音声データであるとの特定結果は、電波強度算出部33に通知され、さらに電波強度比較部34に通知される。また、音声データは、電波強度算出部33に送られる。
【0092】
電波強度算出部33は、データ種類特定部32から送られてきた音声データの電波強度を算出する。この電波強度の算出結果は、電波強度比較部34に送られる。
【0093】
電波強度比較部34は、データ種類特定部32から送られた音声データであるとの特定結果から、記録部8に記録されている電波強度の閾値83を参照して音声データに対応する電波強度の閾値を読み出す。その後、電波強度の算出結果と電波強度の閾値とが比較され、その比較結果が、受信許否判定部35に通知される。
【0094】
受信許否判定部35は、通知された比較結果により「受信電波強度は閾値より弱い」と判定された場合には、受信の許否を決定し、その決定を受信処理部2へ通知して、ステップS402に移る。一方、「受信電波強度は閾値より強い」と判定された場合には、その決定を受信処理部2へ通知してステップS405に進み。ステップS405で、受信処理部2が、受信許可の決定を受けて地上基地局側に対して受信許可通知を送信する。これにより、「通常音声着信動作」が実行され、動作が終了し、「エンド」となる。
【0095】
ステップS402では、受信処理部2は、受信許否判定部による受信許否の決定を受けて、地上基地局側に対して受信許否通知を送信する。これにより「着信拒否動作」が実行され、ステップS403に進む。
【0096】
ステップS403では、送信制御部4のデータ種類変更部41が、受信許否判定部による受信の許否の判定結果の通知を受けて、音声・画像データ81及びメールデータ84の中から、受信データである音声データよりも通信品質の基準が低い種類のデータであるメールデータ84を選択することで、送信データを、音声データから、メールデータ84に変更する。この変更結果は、データ送信判定部42に通知される。
【0097】
次に、データ送信判定部42は、ステップS401で記録部8の一時記録領域に記録した受信した音声データに対応する発信者番号を読み出し、電話帳データ82に含まれる発信者番号等85を参照して、「電話番号(音声データに対応する発信者番号)に対応したメールアドレス(送信元識別情報)が登録されているか」を確認する。メールアドレスが登録されていない場合には、動作を終了して「エンド」なる。一方、メールアドレスが登録されている場合には、データ送信判定部42が送信処理部5にメール(メール用のデータ)の送信を指示してステップS404に進む。
【0098】
ステップS404では、送信処理部5が、データ送信判定部42の指示を受けて、「該当アドレスにメール送信」して、動作を終了し、「エンド」となる。
【0099】
以上により、音声通話などのように通信品質の基準が比較的高い通話用のデータが受信データであるとき、該受信データが受信許否された場合に、パケット通信方式を利用したメール通信機能などのように、通信品質の基準が比較的低いメール用のデータであれば、受信データの送信元と利用先との間で通信可能であることを該送信元に知らせることができる。
【0100】
次に、図6(a)にしめす携帯通信装置10の操作画面の例に基づき、利用先が、図4のフローチャートに示す携帯通信装置10の動作に関して、各種設定を行う場合を具体的に説明する。図6(a)は、「着信拒否機能 設定画面」の画面表示の一例である。該画面表示は、図3に示す表示部に表示され、ユーザーの各種操作(閾値設定、メール内容設定、登録)は、キースイッチ(閾値設定手段、メール内容設定手段、登録手段)6を用いて行う。
【0101】
利用先は、例えば、携帯通信装置10の表示部に表示されたメニュー画面より、着信拒否機能の項目を選択し、「着信拒否機能 設定画面」を表示させる。なお、図6(a)では、すでに利用先によって、着信拒否機能の設定が入力済みである状態を示している。
【0102】
電波強度の閾値はあらかじめ利用先により設定可能となっており、「拒否閾値設定」では、音声着信拒否を行う電波強度の値を設定することができるようになっている。本例では、拒否閾値設定として利用先によりアンテナ1本と設定されている。つまり、電波強度のアンテナインジケータが1本以下の場合に音声着信拒否を行う設定となっている。以上より、受信データの利用先が所望の電波強度を閾値として設定することができるため、利用先の利便性を向上させることができる。
【0103】
一方、送信するメール(メール用のデータ)の内容は、利用先により、あらかじめ設定可能となっており、「送信メッセージ登録」では、音声着信拒否時に発信者に対して送信するメール文書を登録(設定)させておくことができる。利用先はキースイッチ6を使用して、「メールの題名」「メール本文」などを設定することができる。
【0104】
以上より、メールデータ84の内容を、例えば、「電話は無理ですけどメール連絡は可能です。メール下さい。」といった内容とすることで、送信元に通話は無理であること及びメール通信機能であれば、連絡が可能であることを確実に知らせることができるので、利用先の利便性をさらに向上させることができる。
【0105】
なお、「拒否閾値設定」「送信メッセージ登録」が利用者によって設定されていない場合でも、携帯通信装置10の出荷時に初期設定や初期登録を行っておき、初期設定や初期登録のデータが自動的に使用されるようになっていても良い。
【0106】
次に、図5は、画像データを受信する場合であり、指標値、及び閾値の例として、それぞれSN比及びSN比の閾値を用いた場合の携帯通信装置10の動作を示すフローチャートである。
【0107】
なお、図5に示すステップS501〜ステップS504までの一連の動作は、音声データを受信する場合の動作を示す図4に示すフローチャートのステップS401〜ステップS404までのそれぞれの動作と同様なので、ここでは、説明は省略する。
【0108】
まず、ステップS500では、図2に示すアンテナ1が、画像データ(受信データ)を受信し、アンテナ1を介して受信処理部2に画像データが送られる。次に画像データは、受信処理部2から受信制御部3に送られる。
【0109】
受信制御部3のデータ送信元特定部31は、地上基地局側より発信者番号の通知を受けることで、画像データに対応する発信者番号を取得し、送信制御部4のデータ送信判定部42に発信者番号を送ると共に、該発信者番号は、記録部8の図示しない一時記憶領域に記録される(ステップS501)。
【0110】
なお、ここでは、発信者番号が、記録部8の図示しない一時記憶領域に記録される場合について説明したが、図1に示すように、取得した発信者番号は、データ送信元特定部31から送信制御部4のデータ送信判定部42に直接送るように構成しても良い。
【0111】
一方、データ種類特定部32は、受信制御部3から送られた画像データが、画像データ(データの種類)であることを特定する。この画像データであるとの特定結果は、電波強度算出部33に通知され、さらに電波強度比較部34に通知される。また、画像データは、電波強度算出部33に送られる。
【0112】
電波強度算出部33は、データ種類特定部32から送られてきた画像データの電波強度を算出する。この電波強度の算出結果は、電波強度比較部34に送られる。
【0113】
電波強度比較部34は、データ種類特定部32から送られた画像データであるとの特定結果から、記録部8に記録されている電波強度の閾値83を参照して画像データに対応する電波強度の閾値を読み出す。その後、電波強度の算出結果と電波強度の閾値とが比較され、その比較結果が、受信許否判定部35に通知される。
【0114】
受信許否判定部35は、通知された比較結果により「受信電波強度は閾値より弱い」と判定され場合には、受信の許否を決定し、その決定を受信処理部2へ通知して、ステップS502に移る。一方、「受信電波強度は閾値より強い」と判定された場合には、その決定を受信処理部2へ通知してステップS505に進み。ステップS505で、受信処理部2が、受信許可の決定を受けて地上基地局側に対して受信許可通知を送信する。これにより、「通常音声着信動作」が実行され、動作が終了し、「エンド」となる。
【0115】
次に、図6(b)に示す携帯通信装置10の操作画面の例に基づき、利用先が、図5のフローチャートに示す携帯通信装置10の動作に関して、各種設定を行う場合を具体的に説明する。図6(b)は、「着信拒否機能 設定画面」の画面表示の一例である。該画面表示は、図3に示す表示部に表示され、ユーザーの各種操作(閾値設定、メール内容設定、登録)は、キースイッチ(閾値設定手段、メール内容設定手段、登録手段)6を用いて行う。
【0116】
利用先は、例えば、携帯通信装置10の表示部に表示されたメニュー画面より、着信拒否機能の項目を選択し、「着信拒否機能 設定画面」を表示させる。なお、図6(b)では、すでに利用先によって、着信拒否機能の設定が入力済みである状態を示している。
【0117】
なお、電波強度の閾値83の設定は、上述の図6(a)で説明したことと同様であるので、説明は省略する。
【0118】
一方、送信するメール(メール用のデータ)の内容は、利用先により、あらかじめ設定可能となっており、「送信メッセージ登録」では、音声着信拒否時に発信者に対して送信するメール文書を登録(設定)しておくことができる。利用先はキースイッチ6を使用して、「メールの題名」「メール本文」を設定することができる。
【0119】
以上より、メールデータ84の内容を、例えば、「画像の受信は無理です。メール連絡は可能です。メール下さい。」といった内容とすることで、画像データの受信が無理であること及び送信元にメール通信機能であれば、連絡が可能であることを確実に知らせることができるので、利用先の利便性をさらに向上させることができる。
【0120】
なお、「拒否閾値設定」「送信メッセージ登録」が利用者によって設定されていない場合でも、携帯通信装置10の出荷時に初期設定や初期登録を行っておき、初期設定や初期登録のデータが自動的に使用されるようになっていても良い。
【0121】
次に、図7に基づき、電話帳データ82に発信者番号等85を登録する場合の操作画面について説明する。図7は、「電話帳データ表示画面」の一例が示されている。「電話帳データ表示画面」においては、電話帳データ82に登録されているデータの「登録なまえ」(送信元識別情報)が表示されている。また、それぞれの「登録なまえ」に対して着信拒否機能を適用するかどうかを設定することができるようになっている。利用先は、図3に示すキースイッチ6を用いて、着信拒否機能を適用するかどうか入力・設定することができる。
【0122】
本例では、AAA・BBB・DDDは仲の良い友人等であるメールでの連絡に抵抗の無い相手、CCC・EEEは商談相手/上司等、メールアドレスを知ってはいるが相手からのメール連絡を要求するには不適当な相手を想定している。
【0123】
AAA・BBB・DDDから音声着信した場合、受信したデータの電波強度が弱い場合にはメールでの連絡を依頼するメールを発信元に送信する。一方、CCC・EEEから音声着信した場合には、受信したデータの電波強度に関係無く通常の音声着信動作を行う。
【0124】
これにより、受信したデータの電波強度が弱い場合においてメールでの連絡に抵抗の無い相手に対してのみメールでの連絡を依頼することができ、メールアドレスは登録されてはいるが相手からのメール連絡を要求するには不適当な相手には本機能を適用しないことが可能となるため、ユーザーの使用性が向上する。
【0125】
以上により、所定の通信品質の基準を満たさない種類のデータの受信を拒否することで、該種類のデータの利用価値を見極めるための不要な受信操作をなくして利用先の利便性を向上させると共に、該種類のデータの受信拒否が行われ、かつ、送信元が特定された場合には、前記所定の通信品質の基準よりも低い種類のデータを利用して、送信元に送信することで、該種類のデータを利用した通信は可能であることを送信元に知らせることができる携帯通信装置10を提供することができる。
【0126】
なお、本発明は、上述した通信装置の例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、〔発明を実施するための最良の形態〕の欄の説明においてそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0127】
最後に、携帯通信装置10の各ブロック、特に受信制御部3・送信制御部4は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0128】
すなわち、携帯通信装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである携帯通信装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、携帯通信装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0129】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0130】
また、携帯通信装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う送信部及び受信部を備えた通信装置などに広く適用することができる。具体的には、携帯型の通信装置であれば携帯電話、及び携帯端末などに適用することができる。また、このような携帯型の通信装置に限られず、非携帯型の通信装置あるパーソナル・コンピュータなどに適用することができる。さらに、これらの通信装置がネットワーク化されたインターネットなどにも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明における通信装置の受信制御部・送信制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明における通信装置の全体の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】上記通信装置の通信状態を説明するための概要図である。
【図4】上記通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】上記通信装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
【図6】(a)は上記通信装置の着信拒否機能に関する設定画面の一例を示す概要図であり、(b)は上記通信装置の着信拒否機能に関する設定画面の他の例を示す概要図である。
【図7】上記通信装置の電話帳データの表示の一例を示す概要図である。
【符号の説明】
【0133】
1 アンテナ(受信部及び送信部)
2 受信処理部(受信部)
3 受信制御部(受信部)
4 送信制御部(データ送信制御手段)
5 送信処理部(送信部)
6 キースイッチ(閾値設定手段、メール内容設定手段、登録手段)
7 インターフェース(閾値設定手段、メール内容設定手段、登録手段)
8 記録部
10 携帯通信装置(通信装置)
31 データ送信元特定部(送信元特定手段)
32 データ種類特定部(データ種類特定手段)
33 電波強度算出部(指標値算出手段)
34 電波強度比較部(受信許否判定手段)
35 受信許否判定部(受信許否判定手段)
41 データ種類変更部(データ送信制御手段)
42 データ送信判定部(データ送信制御手段)
81 音声・画像データ(通信品質の基準が異なる複数種類のデータ、データ、受信データ、及び通話用のデータ)
82 電話帳データ(送信元データ群)
83 電波強度の閾値(閾値)
84 メールデータ(通信品質の基準が低い種類のデータ、通信品質の基準が異なる複数種類のデータ、受信データ、及びメール用のデータ)
85 発信者番号等(送信元識別情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えた通信装置において、
前記受信部で受信したデータから、該受信データの種類を特定するデータ種類特定手段と、
前記受信データから、該受信データの送信元を特定する送信元特定手段と、
前記受信データから、前記データ種類特定手段によって特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値を算出する指標値算出手段と、
前記指標値算出手段によって算出された指標値と、前記特定された種類のデータの通信品質の基準を満たす指標値となる閾値とを比較し、その比較結果によって、前記受信データの受信の許否を判定する受信許否判定手段と、
前記受信許否判定手段によって受信データの受信の拒否が判定され、かつ、前記送信元特定手段によって該受信データの送信元が特定された場合に、
前記受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータを、特定された送信元に送信するように前記送信部を制御するデータ送信制御手段とを備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記指標値は、前記受信データの電波強度であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記指標値は、前記受信データの信号対雑音比であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記閾値を設定する閾値設定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記受信データが通話用のデータであるとき、該受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータは、メール用のデータであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記メール用のデータの内容を設定するメール内容設定手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記受信データの送信元を識別するための送信元識別情報を1つ以上含む送信元データ群をあらかじめ記録する記録部を備え、
前記送信元特定手段は、
前記受信データが受信された場合に得られた送信元識別情報と、前記記録部に記録された送信元データ群に含まれる送信元識別情報とを参照して、該受信データの送信元を特定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記送信元データ群に、前記送信元識別情報を登録する登録手段を備える請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の通信装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための通信装置の制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の通信装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
通信品質の基準が異なる複数種類のデータの通信を行う受信部及び送信部を備えた通信装置の制御方法において、
前記通信装置の受信部で受信したデータから、該受信データの種類を特定するデータ種類特定ステップと、
前記受信データから、該受信データの送信元を特定する送信元特定ステップと、
前記受信データから、前記データ種類特定ステップで特定された種類のデータの通信品質を判定するための指標値を算出する指標値算出ステップと、
前記指標値算出ステップで算出された指標値と、前記データ種類特定ステップで特定された種類のデータの通信品質の基準を満たす指標値となる閾値とを比較し、その比較結果によって、前記受信データの受信の許否を判定する受信許否判定ステップと、
該受信許否判定ステップで受信データの受信の拒否が判定され、かつ、前記送信元特定ステップで該受信データの送信元が特定されたとき、
前記受信データよりも通信品質の基準が低い種類のデータを、特定された送信元に送信するように前記送信部を制御するデータ送信制御ステップとを備えることを特徴とする通信装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−219494(P2008−219494A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54408(P2007−54408)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】