連続再生型粒子状物質フィルタ
【課題】圧力損失が小さく、連続再生が可能で、製造コストの低廉な連続再生型粒子状物質フィルタを提供する。
【解決手段】ハウジング4に収容されたSiCフィルタ5と、エンジンから排出される排気ガスをSiCフィルタ5に導くガス導入手段と、該SiCフィルタ5によって捕捉された粒子状物質を燃焼させるための電熱パネルヒータ7とを備えている。SiCフィルタ5は、円錐容器形状の炭素質多孔体にSiCををパルスCVI法によってコーティングすることによって製造されており、粒子状物質の粒子径よりも大きい孔を有する
【解決手段】ハウジング4に収容されたSiCフィルタ5と、エンジンから排出される排気ガスをSiCフィルタ5に導くガス導入手段と、該SiCフィルタ5によって捕捉された粒子状物質を燃焼させるための電熱パネルヒータ7とを備えている。SiCフィルタ5は、円錐容器形状の炭素質多孔体にSiCををパルスCVI法によってコーティングすることによって製造されており、粒子状物質の粒子径よりも大きい孔を有する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンから排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉しながら燃焼除去する連続再生型粒子状物質フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれている煤、ハイドロカーボン等の粒子状物質に関して発ガン性の疑いが指摘され、環境問題となっている。そして、この問題に対処すべく、粒子状物質の排ガス規制が厳しくなりつつある。このため、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれている粒子状物質を捕捉し、さらにこれを燃焼除去するセラミックス製のフィルタが開発されている。さらには、小さな粒子状物質を効率的に捕捉するため、フィルタをハニカム構造とし、そのハニカムを構成する壁から排ガスが通過させて粒子状物質を捕捉する構造(いわゆるウオールスルー型フィルタ)のものも開発されている。このようなハニカム構造の粒子物質フィルタで小さな粒子状物質まで捕捉するためには、できるだけ小さな細孔を有することが必要となる。また、圧力損失をできる限り減らすためには、ハニカムを構成する壁の厚さは、できるだけ薄くする必要がある。こうした薄い壁が圧力に耐えるようにするため、ハニカム型のフィルタ本体は、単位セルの径が1mm以下のものまで作られている。
【0003】
こうしたハニカム型のフィルタ本体は、セラミックス粉体とバインダーと発泡剤とを混合して成型してから、焼結することによって製造されている。しかしながら、このハニカム型フィルタ本体は、次のような問題を有している。すなわち、(1)セラミックとバインダーとの熱膨張率の差により、クラックや溶損を引き起こしやすい。(2)バインダーを必要とするため空孔率を大きくできない(50〜60%程度)。(3)セラミックス粉体の微細化に限界があるため(数ミクロン程度)、サブミクロン程度の小さな細孔を有するものは製造できない。(4)細かい単位セルから成るハニカム型フィルタ本体を製造することは難しく、量産が困難であり、製造コストも高騰化する。(5)フィルタの大きさも極めて大きくなるため、捕捉した粒子状物質を燃焼除去するために電気ヒータを設置した場合、消費電力が大きくなり、これらの問題が自動車への搭載を困難とする原因となっている。
【0004】
こうした問題点を解決するために、発明者らは、CVI法の一種であるパルスCVI法を用いて重ね合わせることが可能な容器形状のセラミックス製フィルタを開発し、これを粒子状物質フィルタに組み込むことによって、捕捉率が極めて高く、小型化が可能な粒子状物質フィルタを開発した(特許文献1)。CVI法とはCVD(Chemical Vapor Deposition)法の一種であり、多孔質のプリフォームを用意し、その空孔内部まで原料ガスを浸透させてCVDを行う手法である。CVI法によってプリフォームをセラミックスでコーティングすれば、内部まで均質な多孔体構造を有し、目の細かいセラミックス製のフィルタを容易に製造することができる。このため、粒子状物質に対するフィルタの捕捉率を大幅に上げることができ、粒子状物質フィルタの小型化を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】特許第3712713号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の重ね合わせることが可能な容器形状のセラミックス製フィルタを用いた粒子状物質フィルタでは、排ガス中の粒子状物質よりも小さな細孔によって粒子状物質を捕捉しようとするため、圧力損失が大きくなるという問題があった。また、捕捉された粒子状物質がフィルタの目詰まりの原因となり、圧力損を生じていた。このため、圧力損失を小さくするために粒子状物質フィルタの厚さを薄くしすぎた場合には、機械的強度が小さくなり、粒子状物質フィルタが排ガスの圧力によって破損するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、連続再生が可能で捕捉された粒子状物質がフィルタによる目詰まりのおそれが少なく、圧力損失が小さく、製造コストの低廉な連続再生型粒子状物質フィルタを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、上記従来の問題を解決するために、CVI法によって作製したフィルタ本体を用いて粒子状物質を捕捉する場合、従来の常識であった排ガス中の粒子状物質よりも小さな細孔で捕捉するという従来の考え方を再考した。確かに、フィルタ本体の細孔が排ガス中の粒子状物質よりも小さければ、確実に粒子状物質を捕捉することはできるが、そのかわり、フィルタ本体を緻密なものにしなければならず、このためどうしても圧力損失が大きくなる。このため、フィルタ本体の厚さは薄くしなければならない。上記従来のハニカム型のフィルタ本体も同様であり、圧力損失を低下させるには、ハニカムを構成する壁は、できる限り薄くしなければならない。
そこで、発明者は、発想の転換を行い、粒子状物質よりも大きな細孔を有するフィルタ本体で粒子状物質を捕捉することを考えたのである。すなわち、フィルタ本体の細孔が粒子状物質よりもたとえ大きかったとしても、粒子状物質は粘着性を有しているため(神奈川県川崎市の報告書「ディーゼル車排出ガス中のPM低減調査」における排ガス中の粒子状物質の成分分析によれば、粒子状物質は燃料である軽油成分とは異なり、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フルオレノン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の多環芳香族炭化水素及びその誘導体と炭素成分とからなり、粘着性を有するものである。http://www.k-erc.pref.kanagawa.jp/center/gakkai/knnishi1509.pdf)、フィルタ本体に衝突した場合にこれに付着して捕捉されるはずである。そうとすれば、フィルタ本体をバルク状とし、粒子状物質がフィルタ本体中を長い距離飛翔することにより、粒子状物質は飛翔途中でフィルタ本体に衝突し、付着するはずである。このため、フィルタ本体はそれほど緻密である必要はなく、空孔率が大きく圧力損失の極めて小さなものを使用することができる。また、このような空孔率が大きなフィルタ本体は、圧力損失が小さいため、圧力負荷が小さく、破損のおそれが少ないものとなる。
そして、以上の考察に基づいて鋭意試験研究を行った結果、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、第1発明の連続再生型粒子状物質フィルタは、ハウジングに収容されたフィルタ本体と、エンジンから排出される排気ガスを該フィルタ本体に導くガス導入手段と、該フィルタ本体によって捕捉された粒子状物質を燃焼させるための加熱手段と、を備え、
該フィルタ本体は、重ね合わせることが可能な容器形状の炭素質多孔体にセラミックスをパルスCVI法によってコーティングすることによって製造されており、該粒子状物質の粒子径よりも大きい孔を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の連続再生型粒子状物質フィルタでは、フィルタ本体が、炭素質多孔体にパルスCVI法を施してセラミックスをコーティングして製造されている。ここで、パルスCVIとはCVD法の一種であり、CVD法における反応圧力及び原料となるガスの導入・排出を周期的に行う方法をいう。この方法を炭素質多孔体に適用すれば、原料となるガスが炭素質多孔体の内部にまで導入・排出が繰り返されることになり、内部まで優れた膜厚の均一性を有するセラミックスのコーティング層が形成される。また、このパルスCVI法によれば、析出速度も大きなものとなる。
【0011】
また、フィルタ本体が粒子状物質の粒子径よりも大きい孔を有するため、圧力損失も小さくなり、フィルタ本体にかかる圧力負荷もそれほど大きくならない。
【0012】
さらに、本発明の連続再生型粒子状物質フィルタでは、ガス導入手段によってフィルタ本体に排ガスを導入しながら、加熱手段によってフィルタ本体を加熱することができる。これにより、排ガス中の粒子状物質をフィルタ本体によって捕捉しながら、燃焼除去することができる。したがって、長時間使用してもフィルタ本体が目詰まりを起こし難く、圧力損失の上昇を防止することができるのみならず、メンテナンスが容易となる。
【0013】
また、フィルタ本体が重ね合わせることが可能な容器形状とされているため、フィルタ本体をパルスCVI法によって製造する場合、反応容器内に多くの炭素質多孔体を重ね合わせて入れることにより、一度の数多くの炭素質多孔体のパルスCVI法によるセラミックスコーティングを行うことができる。このため、粒子状物質フィルタの生産効率を高めることができ、ひいては製造コストを飛躍的に低廉化することが可能となる。
【0014】
したがって、本発明の粒子状物質フィルタによれば、圧力損失が小さく、連続再生が可能で、製造コストの低廉化が可能となる。
【0015】
前記炭素質多孔体は、CVI法によってセラミックスがコーティングされた後、燃焼除去されていることが好ましい。こうであれば、炭素質多孔体が残存しているフィルタ本体と比べて空孔率が大きくなり、圧力損失をさらに小さくすることができる。
【0016】
また、前記フィルタ本体は円錐容器形状とされていることも好ましい。フィルタ本体の形状を円錐容器形状とすれば、形状の簡素化による製造コストのさらなる低廉化が可能となる。また、フィルタ本体の形状を円錐容器形状とすれば、底面の半径を変えることなく円錐の高さを変えるだけで濾過面積を変えることができるため、エンジンの排気量に合わせた粒子状物質フィルタとすることができる。このため、パルスCVI法における反応容器の共通化や、粒子状物質フィルタを車に取り付けるための部品の共通化を図ることができる。
【0017】
本発明の連続再生型粒子状物質フィルタでは、フィルタ本体中に導かれる排気ガス中に酸素を含むガスを混合するための酸素供給手段が備えられていることが好ましい。フィルタ本体に捕捉された粒子状物質は加熱手段によって燃焼されるが、排気ガス中に酸素を供給することにより、粒子状物質の燃焼が促進されるからである。排気ガス中に混合すべき酸素を含むガスとしては、空気や、酸素富化装置を経由して酸素濃度が高められた空気等が挙げられる。
【0018】
また、排気ガスがフィルタ本体中に導かれる前に該排気ガスを加熱するためのプレ加熱手段を備えることも好ましい。排気ガスがフィルタ本体に導かれる場合、フィルタ本体は排気ガスの入り口近くにおいて、排気ガスによって冷却されるおそれがある。プレ加熱手段を備えれば、フィルタ本体の排気ガス入り口に近い部分においても、加熱された排気ガスによって高温とすることができるため、排ガスの入り口近くにおいても、フィルタ本体に捕捉された粒子状物質を確実に燃焼除去することができる。このため、粒子状物質の捕捉による圧力損失をより小さくすることができる。
【0019】
また、炭素質多孔体にコーティングされるセラミックスとしては、CVI法によってコーティングが可能であって、捕捉された粒子状物質を燃焼除去可能な程度の耐熱性及び耐酸化性を有しておればよい。このようなセラミックスとして、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。この中でも、炭化ケイ素は優れた耐熱性、耐酸化性及び耐腐食性を示すため、炭化ケイ素からなるフィルタ本体を用いれば、極めて耐久性に優れた連続再生型粒子状物質フィルタとすることができる。また、炭化ケイ素の熱膨張率は炭素の熱膨張率とほぼ同じ値であるため、炭素質多孔体に炭化ケイ素をコーティングした場合、加熱による歪で破損するおそれが少ない。
【0020】
フィルタ本体の空孔率は75〜96%であることが好ましい。ここで空孔率とは、フィルタ本体の嵩密度及び比重から算出したフィルタ本体が保有する空孔の割合をいう。空孔率がこの範囲にあれば、実用上支障ない程度の機械的強度を保ちつつ、圧力損失もそれほど大きくならない。このため、粒子状物質を含む気体が流れる方向の長さを長くし、粒子状物質がフィルタ本体に衝突する確率を高め、粒子状物質の捕捉率を高めることができる。しかも、圧力損失も小さく、充分圧力に耐えうる強度を有することとなる。
【0021】
また、炭素質多孔体は、有機繊維が絡み合った多孔体を炭化してなることが好ましい。このような有機繊維が絡み合った多孔体としては、例えば綿等の植物繊維、羊毛などの動物性繊維、アクリル繊維等の合成繊維からなるフェルト、不織布、紙等が挙げられる。有機繊維が絡み合った多孔体には有機繊維間に大きな空隙が存在するため、これを炭化し、さらにCVI法によってセラミックスをコーティングしたフィルタ本体にも、大きな空隙が存在することとなり、圧力損失を極めて小さくすることができる。なお、このように大きな空隙が存在するフィルタ本体は、その空隙より小さな粒子状物質を捕捉できないと考えるかもしれないが、そのようなことはない。粒子状物質は粘性があり、フィルタ本体の中を通過している最中に、その粘性によって容易にフィルタ本体と衝突して付着するからである。このため、CVI法によるSiCのセラミックスのコーティングを繊維間の空隙の多くを埋めるほど厚く行わず、嵩密度の小さなフィルタ本体としても、フィルタ本体中を排ガスが流れる方向の長さを長くすれば、粒子状物質を充分な捕捉率でトラップすることができ、しかも圧力損失も小さく、充分圧力に耐えうる強度を有することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
フィルタ本体は、炭素質多孔体にパルスCVI法によってセラミックスをコーティングすることによって製造される。ここで、CVI法の種類については特に限定はないが、等温等圧CVI法、強制CVI法、パルスCVI法等を用いることができる。パルスCVI法とはCVD法の一種であり、CVD法における反応圧力及び原料となるガスの導入・排出を周期的に行う方法をいう。この方法を炭素質多孔体に適用すれば、原料となるガスが炭素質多孔体の内部にまで導入・排出が繰り返されることになり、内部まで優れた膜厚の均一性を有するセラミックスのコーティング層が形成される。また、このパルスCVI法は析出速度が大きく、製造時間が短くなるため、フィルタ本体の量産化が容易となる。また、パルスCVI法は、等温等圧CVI法や強制CVI法において必要とされる、炭素質多孔体に原料ガスを流すためのシールが不要である点において好ましい方法である。
【0023】
また、炭素質多孔体は活性炭や炭等に代表されるように、極めて空孔率が高い物質であるため、これにセラミックスをコーティングした多孔体も極めて空孔率が大きくなり、圧力損失が小さくなる。また、炭素質多孔体に存在する孔は、セラミックスがコーティングされた分だけ小さくなるため、コーティング時間を調節することによって孔の大きさを調節することも可能となり、所望のフィルタ本体を容易に製造することができる。
【0024】
また、ガス導入手段については特に限定はないが、エンジンのエグゾースト管からハウジングに配管を接続して被処理気体を導入したりすることなどが挙げられる。また、フィルタ本体を加熱するための加熱手段については特に限定はないが、ケイ化モリブデン等のセラミックやニクロム線等からなる電気式の発熱体をフィルタ本体の周りに配設すること等が挙げられる。
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1の連続再生型粒子状物質フィルタは、図1に示すように、ディーゼルエンジン90から排出される排ガス中の粒子状物質を除去するためのものであり、フィルタ部1と、コンプレッサ2と、フィルタ部1及びコンプレッサ2を制御するための制御部3とからなる。
【0026】
フィルタ部1は図2に示すように、ハウジング4内に円錐容器形状のSiCフィルタ5が同一形状のフィルタ保持具6に嵌合されて収容されている。フィルタ保持具6はSUS304からなり、多数の穴6aが開けられており、フィルタ保持具6の周囲には500Wの電熱パネルヒータ7が配設されている。また、電熱パネルヒータ7の周囲は断熱材8a、8b、8c、8dによって囲まれており、SiCフィルタ5の周縁はフランジ5aが形成されており、フェルトパッキン9を介してパッチン錠10によって固定されている。ハウジング4の両端には排ガス流入管11及び排ガス流出管12が接続されており、排ガス流入管11は、図1に示すディーゼルエンジン90のエグゾースト管に接続されており、一方、排ガス流出管12を介して図示しない排気管に接続されている。
また、排ガス流入管11及び排ガス流出管12にはそれぞれ温度センサ11a、12a及び圧力センサ11b、12bが取付けられている。さらに、電熱パネルヒータ7の中央部に近接して温度センサ13が設置されている。温度センサ11a、12a、13及び圧力センサ11b、12bは図1に示す制御部3に接続されている。また、電熱パネルヒータ7も、ヒータ端子7aを介して制御部3に接続されている。
また、排ガス流入管11には空気導入管14が接続されており、空気導入管14は電磁弁15を介してコンプレッサ2(図1参照)に接続されている。
【0027】
SiCフィルタ4はパルスCVI法によって、以下のように製造した。なお、パルスCVI法以外のCVI法(例えば等温等圧CVI法や強制CVI法)を用いて製造することも可能である。
【0028】
<型工程>
綿フェルトを立体的に縫製して、円錐帽子形状(形状はSiCフィルタ5と同様であるが、後述する炭化工程での収縮を考慮して、SiCフィルタ5の寸法より少し大き目とする)とし、これらを複数重ねて縫い合わせる。そしてフェノールレジンのエタノール10質量%溶液に浸し、再び乾燥させてレジン強化セルロース成形型とした。重ね合わせの枚数は5重及び3重の2種類とした。
なお、綿フェルトを縫製する以外の方法として、次のようにして成形型を作ることもできる。すなわち、図3(a)に示すコーン形状に成形したステンレス製の金網20を用意する。この金網20は、製造しようとするフィルタ本体とほぼ同様の形状比率とされている。ただし、後に述べる炭化工程における収縮を考慮して、最終的な粒子状物質フィルタの寸法よりも大きくされている。そして、綿をエチレングリコールに懸濁させた綿懸濁液を用意する。なお、エチレングリコールの替わりに水に抄造用の糊剤を加え、粘度を調整したものを使用しても良い。そして、まず金網20の外側から綿懸濁液を綿が均等な厚さに抄造されるように注ぐ。こうして図3(b)に示すように、金網2に抄造されたセルロース型21を乾燥させた後、金網20からセルロース型21を外す。さらにセルロース型21をフェノールレジンのエタノール10質量%溶液に浸し、再び乾燥させてレジン強化セルロース型とする。フェノールレジンでセルロース型21を強化する理由は、次の炭化工程において生ずる炭化成形型の縮みや変形を極力防止するためである。
【0029】
<炭化工程>
次に、型工程で得られた成形型を雰囲気炉の中に入れ、窒素雰囲気下において1000°Cで4時間の加熱を行う。そして、雰囲気炉を冷却した後、セルロース型10が炭素質多孔体となった炭化成形型を取り出す。こうして得られた炭化成形型の空孔率は93.3%と極めて高いものであった。
【0030】
<コーティング工程>
さらに、図4に示すパルスCVI装置を用いて炭化成形型に炭化ケイ素をコーティングする。このパルスCVI装置には、反応容器30が備えられており、反応容器30の外側には電気ヒータ31が近接して設けられている。また、反応容器30の下端には各種ガスを導入するための導入管30aと、反応容器30内部のガスを排気するための排気管30bとが取り付けられている。導入管30aは電磁弁32及びガス混合機33を介して流量計34a、34b、34cに接続されており、流量計34a、34bは、さらに図示しない水素ガスボンに接続され、流量計34cは大気側に開放されている。流量計34aとガス混合機33との間には、内部にメチルトリクロロシランが入れられ、温度調節することが可能な飽和器35が設けられており、水素ガスボンベからの水素の供給によりメチルトリクロロシランのバブリングが可能とされている。排気管30bは電磁弁36、真空ポンプ37を介してガス洗浄器38に接続されている。電磁弁32、36、ガス混合機33、真空ポンプ37及び電気ヒータ31は、図示しない制御装置によって制御可能とされている。
【0031】
このパルスCVI装置を用いて、炭化工程で得られた炭化成形型に対して次のようにして炭化ケイ素のコーティングを行う。すなわち、反応容器30を外し、炭化工程で得られた炭化成形型を載置し、再び反応容器30を被せる。そして、制御装置によって電磁弁32を閉じ、電磁弁36を開けて真空ポンプ37を駆動し反応容器30内部の圧力を130KPa以下とした後、電気ヒータ31により、反応容器30の内部の温度を1000°Cとする。さらに電磁弁36を閉じ、電磁弁32を開け、水素ガス及びメチルトリクロロシランを含む水素ガスをガス混合機33により混合してメチルトリクロロシランの濃度を約4%とした後、減圧下で反応容器30内に導入する。その後、反応容器30の排気とガス導入とを2〜4秒/サイクルの間隔で5000〜10000回繰り返す。こうして、パルスCVI法により、炭化成形型に対し炭化ケイ素のコーティングを行った後、電気ヒータ31による加熱を停止し、反応容器30を外して炭化成形型に炭化ケイ素がコーティングされたSiCフィルタを得た。コーティングを行う前と後の電子顕微鏡写真を図5、図6に示す。この図からわかるように、SiCによるコーティングは、もとの綿繊維に沿って均一に行われており、粒子状物質の粒子径よりもはるかに大きな隙間が開いている。
【0032】
(空隙率測定)
パルスCVIにおけるパルス回数を1000回として、得られたSiCフィルタの形状等を表1(綿フェルト5重重ねから得られたSiCフィルタ)及び表2(綿フェルト3重重ねから得られたSiCフィルタ)に示す(パルス回数1000回)。
【表1】
【表2】
【0033】
また、空隙率をSiCフィルタの重量、寸法から求めた見かけの体積、及びSiC比重から計算して求めたところ、パルス数5000では空隙率が91%であり、パルス数が15000においても空隙率は89%以上あり、極めて空隙率が高いことが分かった。
【0034】
(排ガス浄化試験)
上記のようにして得られたSiCフィルタ(綿フェルト3重重ねから得られたもの及び綿フェルト5重重ねから得られたものの2種類。ともに、パルスCVDにおけるパルス回数10000回)を組み込んだ、連続再生型粒子状物質フィルタを、ディーゼルエンジン(マツダ株式会社製 マツダMPV(登録商標) 型式KD−LVLW 排気量2500cc)のイグゾースト管に接続して排ガスを導入し、排ガス流出管12から排出される処理ガス中の黒煙濃度はBosch社製のオパシメータ(BEA150)で測定した。試験は電磁弁15を閉じて空気の導入を行わない場合と、電磁弁15を開け毎分15Lの空気を導入する場合との両方を行った。温度センサ13の温度が600℃となるように制御部2によって電熱パネルヒータ7を調節した。
【0035】
(結 果)
【0036】
−空気導入を行った場合−
<エンジン回転数と圧力との関係>
エンジン回転数と圧力との関係を図7及び図8に示す。これらのグラフから、エンジン回転数が2500rpmとなっても、圧力損失はそれほど大きくないことが分かる。
【0037】
<エンジン回転数と黒煙濃度との関係>
エンジン回転数と黒煙濃度との関係を図9及び図10に示す。黒煙濃度は、連続再生型粒子状物質フィルタを通さないで、排ガスそのものの黒煙濃度を100とした場合の光透過度で評価した。図9及び図10から、広範囲なエンジン回転数範囲において、黒煙濃度が極めて低い値となり、本発明の連続再生型粒子状物質フィルタがディーゼルエンジン排出される粒子状物質を効率よく除去できることが分かった。特に綿フェルト5重重ねから得られたものSiCフィルタ使用の連続再生型粒子状物質フィルタは、除去率が高かった。以上の結果から、ディーゼルエンジン排気ガス中に含まれる粒子状物質の径よりも大きな細孔を有するSiCフィルタを用いても、粒子状物質を効率よく除去できることが分かった。
【0038】
<エンジン回転数と排ガス流速との関係>
エンジン回転数と排ガス流速との関係を図11及び図12に示す。その結果、エンジン回転数に比例して排ガスの流速が増加することが分かる。
【0039】
<走行テスト>
SiCフィルタ4を図2に示すように、ハウジング4の内部にセットし、実車による走行テストを行った。また、走行テストに使用した自動車は、マツダMPV(登録商標) 型式KD−LVLW 排気量2500ccのディーゼルエンジン車である。走行テストは、電磁弁15を開けた状態でコンプレッサ2を駆動し、排気ガスに空気を導入して行った。また、走行中において図2に示す温度センサ11a、12a、13及び圧力センサ11b、12bからの出力も記録した。
【0040】
<走行テストの評価>
走行試験の結果、図13に示すように、排ガス中に空気を導入した場合には、エンジン回転数が2500rpmとなっても入口圧力は52KPaを超えることはなく、順調な走行が可能であった。また、排気管から黒煙が生じることもなかった。
以上の結果から、排気ガス中に空気を導入した場合、SiCフィルタ4に捕捉された粒子状物質が導入された空気中の酸素によって燃焼し、除去されることが分かった。
【0041】
−空気導入を行なわかった場合−
電磁弁15を閉じ、コンプレッサ2を駆動させないで、エンジンを駆動させ、走行テストを行った。その結果、入口圧力が上昇気味であり、回転数を2500rpmまで上げると、エンジンが短時間で停止した。以上の結果から、排気ガス中に空気を導入した場合、SiCフィルタ5に捕捉された粒子状物質が導入された空気中の酸素によって燃焼し、除去されることが分かった。
【0042】
上記実施例において用いたSiCフィルタをさらに酸化雰囲気下で加熱処理して炭素質多孔体が燃焼除去されたSiCフィルタを用いることもできる。このようなSiCフィルタは、上記実施例のSiCフィルタと比べて空孔率が大きくなり、圧力損失をより小さくすることができる。炭素質多孔体の燃焼除去については、以下の方法によって行うことができる。
【0043】
すなわち、SiCコーティング工程終了後、取り出された実施例1のSiCフィルタを電気炉の中に入れ、空気雰囲気下で700°Cで1時間の加熱を行う。この操作により、炭化成形型が酸化除去され、炭化ケイ素のコーティング層のみが抜け殻となって残る。以上の工程によって得られたSiCフィルタを走査型電子顕微鏡で観察したところ、炭化ケイ素のコーティング層の下に存在していた炭化成形型が酸化除去され、空洞が形成されていることが分かった。
【0044】
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1の連続再生型粒子状物質フィルタのブロック図である。
【図2】実施例1の粒子状物質フィルタの断面図である。
【図3】セルロース型の模式断面図である。
【図4】パルスCVI装置の模式図である。
【図5】綿フェルト炭化物の走査形電子顕微鏡写真(100倍)である。
【図6】CVI法によるSiCコーティング後の綿フェルト炭化物の走査形電子顕微鏡写真(100倍)である。
【図7】5重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と圧力との関係を示すグラフである。
【図8】3重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と圧力との関係を示すグラフである。
【図9】5重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と黒煙濃度との関係を示すグラフである。
【図10】3重フェルトから作製したSiCフィルタに係るでエンジン回転数と黒煙濃度との関係を示すグラフである。
【図11】5重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と排ガス流速との関係を示すグラフである。
【図12】3重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と排ガス流速との関係を示すグラフである。
【図13】排気ガス中に空気を導入した走行テストにおける試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
4…ハウジング
5…フィルタ本体(SiCフィルタ)
11、12…ガス導入手段(11…排ガス流入管、12…排ガス流出管)
2、14、15…酸素供給手段(2…コンプレッサ、14…空気導入管、15…電磁弁)
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンから排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉しながら燃焼除去する連続再生型粒子状物質フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれている煤、ハイドロカーボン等の粒子状物質に関して発ガン性の疑いが指摘され、環境問題となっている。そして、この問題に対処すべく、粒子状物質の排ガス規制が厳しくなりつつある。このため、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれている粒子状物質を捕捉し、さらにこれを燃焼除去するセラミックス製のフィルタが開発されている。さらには、小さな粒子状物質を効率的に捕捉するため、フィルタをハニカム構造とし、そのハニカムを構成する壁から排ガスが通過させて粒子状物質を捕捉する構造(いわゆるウオールスルー型フィルタ)のものも開発されている。このようなハニカム構造の粒子物質フィルタで小さな粒子状物質まで捕捉するためには、できるだけ小さな細孔を有することが必要となる。また、圧力損失をできる限り減らすためには、ハニカムを構成する壁の厚さは、できるだけ薄くする必要がある。こうした薄い壁が圧力に耐えるようにするため、ハニカム型のフィルタ本体は、単位セルの径が1mm以下のものまで作られている。
【0003】
こうしたハニカム型のフィルタ本体は、セラミックス粉体とバインダーと発泡剤とを混合して成型してから、焼結することによって製造されている。しかしながら、このハニカム型フィルタ本体は、次のような問題を有している。すなわち、(1)セラミックとバインダーとの熱膨張率の差により、クラックや溶損を引き起こしやすい。(2)バインダーを必要とするため空孔率を大きくできない(50〜60%程度)。(3)セラミックス粉体の微細化に限界があるため(数ミクロン程度)、サブミクロン程度の小さな細孔を有するものは製造できない。(4)細かい単位セルから成るハニカム型フィルタ本体を製造することは難しく、量産が困難であり、製造コストも高騰化する。(5)フィルタの大きさも極めて大きくなるため、捕捉した粒子状物質を燃焼除去するために電気ヒータを設置した場合、消費電力が大きくなり、これらの問題が自動車への搭載を困難とする原因となっている。
【0004】
こうした問題点を解決するために、発明者らは、CVI法の一種であるパルスCVI法を用いて重ね合わせることが可能な容器形状のセラミックス製フィルタを開発し、これを粒子状物質フィルタに組み込むことによって、捕捉率が極めて高く、小型化が可能な粒子状物質フィルタを開発した(特許文献1)。CVI法とはCVD(Chemical Vapor Deposition)法の一種であり、多孔質のプリフォームを用意し、その空孔内部まで原料ガスを浸透させてCVDを行う手法である。CVI法によってプリフォームをセラミックスでコーティングすれば、内部まで均質な多孔体構造を有し、目の細かいセラミックス製のフィルタを容易に製造することができる。このため、粒子状物質に対するフィルタの捕捉率を大幅に上げることができ、粒子状物質フィルタの小型化を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】特許第3712713号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の重ね合わせることが可能な容器形状のセラミックス製フィルタを用いた粒子状物質フィルタでは、排ガス中の粒子状物質よりも小さな細孔によって粒子状物質を捕捉しようとするため、圧力損失が大きくなるという問題があった。また、捕捉された粒子状物質がフィルタの目詰まりの原因となり、圧力損を生じていた。このため、圧力損失を小さくするために粒子状物質フィルタの厚さを薄くしすぎた場合には、機械的強度が小さくなり、粒子状物質フィルタが排ガスの圧力によって破損するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、連続再生が可能で捕捉された粒子状物質がフィルタによる目詰まりのおそれが少なく、圧力損失が小さく、製造コストの低廉な連続再生型粒子状物質フィルタを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、上記従来の問題を解決するために、CVI法によって作製したフィルタ本体を用いて粒子状物質を捕捉する場合、従来の常識であった排ガス中の粒子状物質よりも小さな細孔で捕捉するという従来の考え方を再考した。確かに、フィルタ本体の細孔が排ガス中の粒子状物質よりも小さければ、確実に粒子状物質を捕捉することはできるが、そのかわり、フィルタ本体を緻密なものにしなければならず、このためどうしても圧力損失が大きくなる。このため、フィルタ本体の厚さは薄くしなければならない。上記従来のハニカム型のフィルタ本体も同様であり、圧力損失を低下させるには、ハニカムを構成する壁は、できる限り薄くしなければならない。
そこで、発明者は、発想の転換を行い、粒子状物質よりも大きな細孔を有するフィルタ本体で粒子状物質を捕捉することを考えたのである。すなわち、フィルタ本体の細孔が粒子状物質よりもたとえ大きかったとしても、粒子状物質は粘着性を有しているため(神奈川県川崎市の報告書「ディーゼル車排出ガス中のPM低減調査」における排ガス中の粒子状物質の成分分析によれば、粒子状物質は燃料である軽油成分とは異なり、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フルオレノン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の多環芳香族炭化水素及びその誘導体と炭素成分とからなり、粘着性を有するものである。http://www.k-erc.pref.kanagawa.jp/center/gakkai/knnishi1509.pdf)、フィルタ本体に衝突した場合にこれに付着して捕捉されるはずである。そうとすれば、フィルタ本体をバルク状とし、粒子状物質がフィルタ本体中を長い距離飛翔することにより、粒子状物質は飛翔途中でフィルタ本体に衝突し、付着するはずである。このため、フィルタ本体はそれほど緻密である必要はなく、空孔率が大きく圧力損失の極めて小さなものを使用することができる。また、このような空孔率が大きなフィルタ本体は、圧力損失が小さいため、圧力負荷が小さく、破損のおそれが少ないものとなる。
そして、以上の考察に基づいて鋭意試験研究を行った結果、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、第1発明の連続再生型粒子状物質フィルタは、ハウジングに収容されたフィルタ本体と、エンジンから排出される排気ガスを該フィルタ本体に導くガス導入手段と、該フィルタ本体によって捕捉された粒子状物質を燃焼させるための加熱手段と、を備え、
該フィルタ本体は、重ね合わせることが可能な容器形状の炭素質多孔体にセラミックスをパルスCVI法によってコーティングすることによって製造されており、該粒子状物質の粒子径よりも大きい孔を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の連続再生型粒子状物質フィルタでは、フィルタ本体が、炭素質多孔体にパルスCVI法を施してセラミックスをコーティングして製造されている。ここで、パルスCVIとはCVD法の一種であり、CVD法における反応圧力及び原料となるガスの導入・排出を周期的に行う方法をいう。この方法を炭素質多孔体に適用すれば、原料となるガスが炭素質多孔体の内部にまで導入・排出が繰り返されることになり、内部まで優れた膜厚の均一性を有するセラミックスのコーティング層が形成される。また、このパルスCVI法によれば、析出速度も大きなものとなる。
【0011】
また、フィルタ本体が粒子状物質の粒子径よりも大きい孔を有するため、圧力損失も小さくなり、フィルタ本体にかかる圧力負荷もそれほど大きくならない。
【0012】
さらに、本発明の連続再生型粒子状物質フィルタでは、ガス導入手段によってフィルタ本体に排ガスを導入しながら、加熱手段によってフィルタ本体を加熱することができる。これにより、排ガス中の粒子状物質をフィルタ本体によって捕捉しながら、燃焼除去することができる。したがって、長時間使用してもフィルタ本体が目詰まりを起こし難く、圧力損失の上昇を防止することができるのみならず、メンテナンスが容易となる。
【0013】
また、フィルタ本体が重ね合わせることが可能な容器形状とされているため、フィルタ本体をパルスCVI法によって製造する場合、反応容器内に多くの炭素質多孔体を重ね合わせて入れることにより、一度の数多くの炭素質多孔体のパルスCVI法によるセラミックスコーティングを行うことができる。このため、粒子状物質フィルタの生産効率を高めることができ、ひいては製造コストを飛躍的に低廉化することが可能となる。
【0014】
したがって、本発明の粒子状物質フィルタによれば、圧力損失が小さく、連続再生が可能で、製造コストの低廉化が可能となる。
【0015】
前記炭素質多孔体は、CVI法によってセラミックスがコーティングされた後、燃焼除去されていることが好ましい。こうであれば、炭素質多孔体が残存しているフィルタ本体と比べて空孔率が大きくなり、圧力損失をさらに小さくすることができる。
【0016】
また、前記フィルタ本体は円錐容器形状とされていることも好ましい。フィルタ本体の形状を円錐容器形状とすれば、形状の簡素化による製造コストのさらなる低廉化が可能となる。また、フィルタ本体の形状を円錐容器形状とすれば、底面の半径を変えることなく円錐の高さを変えるだけで濾過面積を変えることができるため、エンジンの排気量に合わせた粒子状物質フィルタとすることができる。このため、パルスCVI法における反応容器の共通化や、粒子状物質フィルタを車に取り付けるための部品の共通化を図ることができる。
【0017】
本発明の連続再生型粒子状物質フィルタでは、フィルタ本体中に導かれる排気ガス中に酸素を含むガスを混合するための酸素供給手段が備えられていることが好ましい。フィルタ本体に捕捉された粒子状物質は加熱手段によって燃焼されるが、排気ガス中に酸素を供給することにより、粒子状物質の燃焼が促進されるからである。排気ガス中に混合すべき酸素を含むガスとしては、空気や、酸素富化装置を経由して酸素濃度が高められた空気等が挙げられる。
【0018】
また、排気ガスがフィルタ本体中に導かれる前に該排気ガスを加熱するためのプレ加熱手段を備えることも好ましい。排気ガスがフィルタ本体に導かれる場合、フィルタ本体は排気ガスの入り口近くにおいて、排気ガスによって冷却されるおそれがある。プレ加熱手段を備えれば、フィルタ本体の排気ガス入り口に近い部分においても、加熱された排気ガスによって高温とすることができるため、排ガスの入り口近くにおいても、フィルタ本体に捕捉された粒子状物質を確実に燃焼除去することができる。このため、粒子状物質の捕捉による圧力損失をより小さくすることができる。
【0019】
また、炭素質多孔体にコーティングされるセラミックスとしては、CVI法によってコーティングが可能であって、捕捉された粒子状物質を燃焼除去可能な程度の耐熱性及び耐酸化性を有しておればよい。このようなセラミックスとして、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。この中でも、炭化ケイ素は優れた耐熱性、耐酸化性及び耐腐食性を示すため、炭化ケイ素からなるフィルタ本体を用いれば、極めて耐久性に優れた連続再生型粒子状物質フィルタとすることができる。また、炭化ケイ素の熱膨張率は炭素の熱膨張率とほぼ同じ値であるため、炭素質多孔体に炭化ケイ素をコーティングした場合、加熱による歪で破損するおそれが少ない。
【0020】
フィルタ本体の空孔率は75〜96%であることが好ましい。ここで空孔率とは、フィルタ本体の嵩密度及び比重から算出したフィルタ本体が保有する空孔の割合をいう。空孔率がこの範囲にあれば、実用上支障ない程度の機械的強度を保ちつつ、圧力損失もそれほど大きくならない。このため、粒子状物質を含む気体が流れる方向の長さを長くし、粒子状物質がフィルタ本体に衝突する確率を高め、粒子状物質の捕捉率を高めることができる。しかも、圧力損失も小さく、充分圧力に耐えうる強度を有することとなる。
【0021】
また、炭素質多孔体は、有機繊維が絡み合った多孔体を炭化してなることが好ましい。このような有機繊維が絡み合った多孔体としては、例えば綿等の植物繊維、羊毛などの動物性繊維、アクリル繊維等の合成繊維からなるフェルト、不織布、紙等が挙げられる。有機繊維が絡み合った多孔体には有機繊維間に大きな空隙が存在するため、これを炭化し、さらにCVI法によってセラミックスをコーティングしたフィルタ本体にも、大きな空隙が存在することとなり、圧力損失を極めて小さくすることができる。なお、このように大きな空隙が存在するフィルタ本体は、その空隙より小さな粒子状物質を捕捉できないと考えるかもしれないが、そのようなことはない。粒子状物質は粘性があり、フィルタ本体の中を通過している最中に、その粘性によって容易にフィルタ本体と衝突して付着するからである。このため、CVI法によるSiCのセラミックスのコーティングを繊維間の空隙の多くを埋めるほど厚く行わず、嵩密度の小さなフィルタ本体としても、フィルタ本体中を排ガスが流れる方向の長さを長くすれば、粒子状物質を充分な捕捉率でトラップすることができ、しかも圧力損失も小さく、充分圧力に耐えうる強度を有することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
フィルタ本体は、炭素質多孔体にパルスCVI法によってセラミックスをコーティングすることによって製造される。ここで、CVI法の種類については特に限定はないが、等温等圧CVI法、強制CVI法、パルスCVI法等を用いることができる。パルスCVI法とはCVD法の一種であり、CVD法における反応圧力及び原料となるガスの導入・排出を周期的に行う方法をいう。この方法を炭素質多孔体に適用すれば、原料となるガスが炭素質多孔体の内部にまで導入・排出が繰り返されることになり、内部まで優れた膜厚の均一性を有するセラミックスのコーティング層が形成される。また、このパルスCVI法は析出速度が大きく、製造時間が短くなるため、フィルタ本体の量産化が容易となる。また、パルスCVI法は、等温等圧CVI法や強制CVI法において必要とされる、炭素質多孔体に原料ガスを流すためのシールが不要である点において好ましい方法である。
【0023】
また、炭素質多孔体は活性炭や炭等に代表されるように、極めて空孔率が高い物質であるため、これにセラミックスをコーティングした多孔体も極めて空孔率が大きくなり、圧力損失が小さくなる。また、炭素質多孔体に存在する孔は、セラミックスがコーティングされた分だけ小さくなるため、コーティング時間を調節することによって孔の大きさを調節することも可能となり、所望のフィルタ本体を容易に製造することができる。
【0024】
また、ガス導入手段については特に限定はないが、エンジンのエグゾースト管からハウジングに配管を接続して被処理気体を導入したりすることなどが挙げられる。また、フィルタ本体を加熱するための加熱手段については特に限定はないが、ケイ化モリブデン等のセラミックやニクロム線等からなる電気式の発熱体をフィルタ本体の周りに配設すること等が挙げられる。
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1の連続再生型粒子状物質フィルタは、図1に示すように、ディーゼルエンジン90から排出される排ガス中の粒子状物質を除去するためのものであり、フィルタ部1と、コンプレッサ2と、フィルタ部1及びコンプレッサ2を制御するための制御部3とからなる。
【0026】
フィルタ部1は図2に示すように、ハウジング4内に円錐容器形状のSiCフィルタ5が同一形状のフィルタ保持具6に嵌合されて収容されている。フィルタ保持具6はSUS304からなり、多数の穴6aが開けられており、フィルタ保持具6の周囲には500Wの電熱パネルヒータ7が配設されている。また、電熱パネルヒータ7の周囲は断熱材8a、8b、8c、8dによって囲まれており、SiCフィルタ5の周縁はフランジ5aが形成されており、フェルトパッキン9を介してパッチン錠10によって固定されている。ハウジング4の両端には排ガス流入管11及び排ガス流出管12が接続されており、排ガス流入管11は、図1に示すディーゼルエンジン90のエグゾースト管に接続されており、一方、排ガス流出管12を介して図示しない排気管に接続されている。
また、排ガス流入管11及び排ガス流出管12にはそれぞれ温度センサ11a、12a及び圧力センサ11b、12bが取付けられている。さらに、電熱パネルヒータ7の中央部に近接して温度センサ13が設置されている。温度センサ11a、12a、13及び圧力センサ11b、12bは図1に示す制御部3に接続されている。また、電熱パネルヒータ7も、ヒータ端子7aを介して制御部3に接続されている。
また、排ガス流入管11には空気導入管14が接続されており、空気導入管14は電磁弁15を介してコンプレッサ2(図1参照)に接続されている。
【0027】
SiCフィルタ4はパルスCVI法によって、以下のように製造した。なお、パルスCVI法以外のCVI法(例えば等温等圧CVI法や強制CVI法)を用いて製造することも可能である。
【0028】
<型工程>
綿フェルトを立体的に縫製して、円錐帽子形状(形状はSiCフィルタ5と同様であるが、後述する炭化工程での収縮を考慮して、SiCフィルタ5の寸法より少し大き目とする)とし、これらを複数重ねて縫い合わせる。そしてフェノールレジンのエタノール10質量%溶液に浸し、再び乾燥させてレジン強化セルロース成形型とした。重ね合わせの枚数は5重及び3重の2種類とした。
なお、綿フェルトを縫製する以外の方法として、次のようにして成形型を作ることもできる。すなわち、図3(a)に示すコーン形状に成形したステンレス製の金網20を用意する。この金網20は、製造しようとするフィルタ本体とほぼ同様の形状比率とされている。ただし、後に述べる炭化工程における収縮を考慮して、最終的な粒子状物質フィルタの寸法よりも大きくされている。そして、綿をエチレングリコールに懸濁させた綿懸濁液を用意する。なお、エチレングリコールの替わりに水に抄造用の糊剤を加え、粘度を調整したものを使用しても良い。そして、まず金網20の外側から綿懸濁液を綿が均等な厚さに抄造されるように注ぐ。こうして図3(b)に示すように、金網2に抄造されたセルロース型21を乾燥させた後、金網20からセルロース型21を外す。さらにセルロース型21をフェノールレジンのエタノール10質量%溶液に浸し、再び乾燥させてレジン強化セルロース型とする。フェノールレジンでセルロース型21を強化する理由は、次の炭化工程において生ずる炭化成形型の縮みや変形を極力防止するためである。
【0029】
<炭化工程>
次に、型工程で得られた成形型を雰囲気炉の中に入れ、窒素雰囲気下において1000°Cで4時間の加熱を行う。そして、雰囲気炉を冷却した後、セルロース型10が炭素質多孔体となった炭化成形型を取り出す。こうして得られた炭化成形型の空孔率は93.3%と極めて高いものであった。
【0030】
<コーティング工程>
さらに、図4に示すパルスCVI装置を用いて炭化成形型に炭化ケイ素をコーティングする。このパルスCVI装置には、反応容器30が備えられており、反応容器30の外側には電気ヒータ31が近接して設けられている。また、反応容器30の下端には各種ガスを導入するための導入管30aと、反応容器30内部のガスを排気するための排気管30bとが取り付けられている。導入管30aは電磁弁32及びガス混合機33を介して流量計34a、34b、34cに接続されており、流量計34a、34bは、さらに図示しない水素ガスボンに接続され、流量計34cは大気側に開放されている。流量計34aとガス混合機33との間には、内部にメチルトリクロロシランが入れられ、温度調節することが可能な飽和器35が設けられており、水素ガスボンベからの水素の供給によりメチルトリクロロシランのバブリングが可能とされている。排気管30bは電磁弁36、真空ポンプ37を介してガス洗浄器38に接続されている。電磁弁32、36、ガス混合機33、真空ポンプ37及び電気ヒータ31は、図示しない制御装置によって制御可能とされている。
【0031】
このパルスCVI装置を用いて、炭化工程で得られた炭化成形型に対して次のようにして炭化ケイ素のコーティングを行う。すなわち、反応容器30を外し、炭化工程で得られた炭化成形型を載置し、再び反応容器30を被せる。そして、制御装置によって電磁弁32を閉じ、電磁弁36を開けて真空ポンプ37を駆動し反応容器30内部の圧力を130KPa以下とした後、電気ヒータ31により、反応容器30の内部の温度を1000°Cとする。さらに電磁弁36を閉じ、電磁弁32を開け、水素ガス及びメチルトリクロロシランを含む水素ガスをガス混合機33により混合してメチルトリクロロシランの濃度を約4%とした後、減圧下で反応容器30内に導入する。その後、反応容器30の排気とガス導入とを2〜4秒/サイクルの間隔で5000〜10000回繰り返す。こうして、パルスCVI法により、炭化成形型に対し炭化ケイ素のコーティングを行った後、電気ヒータ31による加熱を停止し、反応容器30を外して炭化成形型に炭化ケイ素がコーティングされたSiCフィルタを得た。コーティングを行う前と後の電子顕微鏡写真を図5、図6に示す。この図からわかるように、SiCによるコーティングは、もとの綿繊維に沿って均一に行われており、粒子状物質の粒子径よりもはるかに大きな隙間が開いている。
【0032】
(空隙率測定)
パルスCVIにおけるパルス回数を1000回として、得られたSiCフィルタの形状等を表1(綿フェルト5重重ねから得られたSiCフィルタ)及び表2(綿フェルト3重重ねから得られたSiCフィルタ)に示す(パルス回数1000回)。
【表1】
【表2】
【0033】
また、空隙率をSiCフィルタの重量、寸法から求めた見かけの体積、及びSiC比重から計算して求めたところ、パルス数5000では空隙率が91%であり、パルス数が15000においても空隙率は89%以上あり、極めて空隙率が高いことが分かった。
【0034】
(排ガス浄化試験)
上記のようにして得られたSiCフィルタ(綿フェルト3重重ねから得られたもの及び綿フェルト5重重ねから得られたものの2種類。ともに、パルスCVDにおけるパルス回数10000回)を組み込んだ、連続再生型粒子状物質フィルタを、ディーゼルエンジン(マツダ株式会社製 マツダMPV(登録商標) 型式KD−LVLW 排気量2500cc)のイグゾースト管に接続して排ガスを導入し、排ガス流出管12から排出される処理ガス中の黒煙濃度はBosch社製のオパシメータ(BEA150)で測定した。試験は電磁弁15を閉じて空気の導入を行わない場合と、電磁弁15を開け毎分15Lの空気を導入する場合との両方を行った。温度センサ13の温度が600℃となるように制御部2によって電熱パネルヒータ7を調節した。
【0035】
(結 果)
【0036】
−空気導入を行った場合−
<エンジン回転数と圧力との関係>
エンジン回転数と圧力との関係を図7及び図8に示す。これらのグラフから、エンジン回転数が2500rpmとなっても、圧力損失はそれほど大きくないことが分かる。
【0037】
<エンジン回転数と黒煙濃度との関係>
エンジン回転数と黒煙濃度との関係を図9及び図10に示す。黒煙濃度は、連続再生型粒子状物質フィルタを通さないで、排ガスそのものの黒煙濃度を100とした場合の光透過度で評価した。図9及び図10から、広範囲なエンジン回転数範囲において、黒煙濃度が極めて低い値となり、本発明の連続再生型粒子状物質フィルタがディーゼルエンジン排出される粒子状物質を効率よく除去できることが分かった。特に綿フェルト5重重ねから得られたものSiCフィルタ使用の連続再生型粒子状物質フィルタは、除去率が高かった。以上の結果から、ディーゼルエンジン排気ガス中に含まれる粒子状物質の径よりも大きな細孔を有するSiCフィルタを用いても、粒子状物質を効率よく除去できることが分かった。
【0038】
<エンジン回転数と排ガス流速との関係>
エンジン回転数と排ガス流速との関係を図11及び図12に示す。その結果、エンジン回転数に比例して排ガスの流速が増加することが分かる。
【0039】
<走行テスト>
SiCフィルタ4を図2に示すように、ハウジング4の内部にセットし、実車による走行テストを行った。また、走行テストに使用した自動車は、マツダMPV(登録商標) 型式KD−LVLW 排気量2500ccのディーゼルエンジン車である。走行テストは、電磁弁15を開けた状態でコンプレッサ2を駆動し、排気ガスに空気を導入して行った。また、走行中において図2に示す温度センサ11a、12a、13及び圧力センサ11b、12bからの出力も記録した。
【0040】
<走行テストの評価>
走行試験の結果、図13に示すように、排ガス中に空気を導入した場合には、エンジン回転数が2500rpmとなっても入口圧力は52KPaを超えることはなく、順調な走行が可能であった。また、排気管から黒煙が生じることもなかった。
以上の結果から、排気ガス中に空気を導入した場合、SiCフィルタ4に捕捉された粒子状物質が導入された空気中の酸素によって燃焼し、除去されることが分かった。
【0041】
−空気導入を行なわかった場合−
電磁弁15を閉じ、コンプレッサ2を駆動させないで、エンジンを駆動させ、走行テストを行った。その結果、入口圧力が上昇気味であり、回転数を2500rpmまで上げると、エンジンが短時間で停止した。以上の結果から、排気ガス中に空気を導入した場合、SiCフィルタ5に捕捉された粒子状物質が導入された空気中の酸素によって燃焼し、除去されることが分かった。
【0042】
上記実施例において用いたSiCフィルタをさらに酸化雰囲気下で加熱処理して炭素質多孔体が燃焼除去されたSiCフィルタを用いることもできる。このようなSiCフィルタは、上記実施例のSiCフィルタと比べて空孔率が大きくなり、圧力損失をより小さくすることができる。炭素質多孔体の燃焼除去については、以下の方法によって行うことができる。
【0043】
すなわち、SiCコーティング工程終了後、取り出された実施例1のSiCフィルタを電気炉の中に入れ、空気雰囲気下で700°Cで1時間の加熱を行う。この操作により、炭化成形型が酸化除去され、炭化ケイ素のコーティング層のみが抜け殻となって残る。以上の工程によって得られたSiCフィルタを走査型電子顕微鏡で観察したところ、炭化ケイ素のコーティング層の下に存在していた炭化成形型が酸化除去され、空洞が形成されていることが分かった。
【0044】
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1の連続再生型粒子状物質フィルタのブロック図である。
【図2】実施例1の粒子状物質フィルタの断面図である。
【図3】セルロース型の模式断面図である。
【図4】パルスCVI装置の模式図である。
【図5】綿フェルト炭化物の走査形電子顕微鏡写真(100倍)である。
【図6】CVI法によるSiCコーティング後の綿フェルト炭化物の走査形電子顕微鏡写真(100倍)である。
【図7】5重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と圧力との関係を示すグラフである。
【図8】3重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と圧力との関係を示すグラフである。
【図9】5重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と黒煙濃度との関係を示すグラフである。
【図10】3重フェルトから作製したSiCフィルタに係るでエンジン回転数と黒煙濃度との関係を示すグラフである。
【図11】5重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と排ガス流速との関係を示すグラフである。
【図12】3重フェルトから作製したSiCフィルタに係るエンジン回転数と排ガス流速との関係を示すグラフである。
【図13】排気ガス中に空気を導入した走行テストにおける試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
4…ハウジング
5…フィルタ本体(SiCフィルタ)
11、12…ガス導入手段(11…排ガス流入管、12…排ガス流出管)
2、14、15…酸素供給手段(2…コンプレッサ、14…空気導入管、15…電磁弁)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに収容されたフィルタ本体と、エンジンから排出される排気ガスを該フィルタ本体に導くガス導入手段と、該フィルタ本体によって捕捉された粒子状物質を燃焼させるための加熱手段と、を備え、
該フィルタ本体は、重ね合わせることが可能な容器形状の炭素質多孔体にセラミックスをパルスCVI法によってコーティングすることによって製造されており、該粒子状物質の粒子径よりも大きい孔を有することを特徴とする連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項2】
前記炭素質多孔体はCVI法によってセラミックスがコーティングされた後、燃焼除去されていることを特徴とする請求項1記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項3】
前記フィルタ本体は円錐容器形状とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項4】
フィルタ本体に導かれる排気ガス中に酸素を含むガスを混合するための酸素供給手段が備えられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項5】
セラミックスは炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項6】
フィルタ本体の空孔率は75〜96%とされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項7】
炭素質多孔体は有機繊維が絡み合った多孔体を炭化してなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項1】
ハウジングに収容されたフィルタ本体と、エンジンから排出される排気ガスを該フィルタ本体に導くガス導入手段と、該フィルタ本体によって捕捉された粒子状物質を燃焼させるための加熱手段と、を備え、
該フィルタ本体は、重ね合わせることが可能な容器形状の炭素質多孔体にセラミックスをパルスCVI法によってコーティングすることによって製造されており、該粒子状物質の粒子径よりも大きい孔を有することを特徴とする連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項2】
前記炭素質多孔体はCVI法によってセラミックスがコーティングされた後、燃焼除去されていることを特徴とする請求項1記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項3】
前記フィルタ本体は円錐容器形状とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項4】
フィルタ本体に導かれる排気ガス中に酸素を含むガスを混合するための酸素供給手段が備えられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項5】
セラミックスは炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項6】
フィルタ本体の空孔率は75〜96%とされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【請求項7】
炭素質多孔体は有機繊維が絡み合った多孔体を炭化してなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の連続再生型粒子状物質フィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2008−286085(P2008−286085A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131272(P2007−131272)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(504269752)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(504269752)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]