説明

連続焼鈍炉

【課題】 光輝焼鈍用の雰囲気ガス中で処理材を加熱帯から冷却帯に連続して搬送させて焼鈍するにあたり、雰囲気ガス中に含まれているホワイトパウダーを適切に除去し、ホワイトパウダーが、冷却器等に付着して冷却効率が低下したり、処理材の表面に付着して処理材の表面の光沢が損なわれたりするのを適切に防止する。
【解決手段】 光輝焼鈍用の雰囲気ガス中で処理材1を加熱帯12から冷却帯13a〜13cに連続して搬送させて焼鈍する連続焼鈍炉10において、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスを連続焼鈍炉からホワイトパウダー除去部30に導く案内ダクト17を設けると共に、このホワイトパウダー除去部に、雰囲気ガスを冷却させてホワイトパウダーを発生させる冷却ロール32と、この冷却ロール上に発生したホワイトパウダーを冷却ロールから除去する除去手段33を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理材を加熱する加熱帯と加熱された処理材を冷却する冷却帯とを備え、光輝焼鈍用の雰囲気ガス中で処理材を加熱帯から冷却帯に連続して搬送させて焼鈍させる連続焼鈍炉に関するものである。特に、加熱帯において加熱された処理材を冷却帯に導いて冷却させるにあたり、加熱帯から冷却帯に導かれた加熱された雰囲気ガスを冷却させる際に、この雰囲気ガス中に含まれているホワイトパウダー成分が凝縮、固化して発生するホワイトパウダーを適切に除去し、ホワイトパウダーが冷却器等に付着して冷却効率が低下したり、ホワイトパウダーが処理材の表面に付着して、処理材の表面の光沢が損なわれたりするのを適切に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷間圧延等により得られたステンレス鋼帯等の処理材を連続焼鈍炉における加熱帯から冷却帯に連続して搬送させ、上記の加熱帯において処理材を加熱させた後、このように加熱された処理材を冷却帯において冷却させることが行われている。
【0003】
また、このようにステンレス鋼帯等の処理材を連続焼鈍炉において連続して焼鈍させるにあたり、ステンレス鋼帯等の処理材の表面の光沢が損なわれないようにするため、水素ガスと窒素ガスを主成分とする光輝焼鈍用の雰囲気ガス中で処理材を上記の加熱帯から冷却帯に連続して搬送させて光輝焼鈍させることが行われている。
【0004】
ここで、このように処理材を上記の雰囲気ガス中で加熱帯において加熱させた場合、処理材に添加されたボロン等が酸化された各種の酸化物や、この処理材の表面に付着している油脂類等からなるホワイトパウダー成分が蒸発して、雰囲気ガス中にホワイトパウダー成分が含まれるようになる。
【0005】
そして、このように加熱された処理材を冷却帯において冷却させるにあたっては、一般に、上記の加熱帯において加熱された雰囲気ガスを冷却器に導き、この冷却器により雰囲気ガスを冷却させ、このように冷却された雰囲気ガスを冷却帯に供給して、加熱された処理材を冷却された雰囲気ガス中において冷却させるようにしている。
【0006】
しかし、このように加熱帯において加熱された雰囲気ガスを冷却器に導いて冷却させるようにした場合、この雰囲気ガス中に含まれる上記のホワイトパウダー成分が冷却器との接触により凝縮、固化してホワイトパウダーが発生し、このホワイトパウダーが冷却器に付着して冷却効率が低下したり、このホワイトパウダーが処理材の表面に付着して、処理材の表面の光沢が損なわれたりするという問題があった。
【0007】
また、上記のようにホワイトパウダーが冷却器に付着して冷却効率が低下するのを防止するためには、冷却器を清掃することが必要になる。
【0008】
しかし、この連続焼鈍炉においては、上記のように水素ガスと窒素ガスを主成分とする光輝焼鈍用の雰囲気ガスを使用しているため、冷却器を清掃する場合には、この雰囲気ガスが外部に漏れ出して燃焼するのを防止するため、連続焼鈍炉内における雰囲気ガスを窒素ガス等の不活性ガスに置換することが必要になると共に、冷却器を清掃した後、この連続焼鈍炉内に再度、水素ガスと窒素ガスを主成分とする光輝焼鈍用の雰囲気ガスを充填させることが必要になり、冷却器を清掃する作業が非常に面倒で、多くの時間が必要になり、連続焼鈍炉を停止させる時間も長くなり、生産性が大きく低下するという問題があった。
【0009】
このため、従来においては、特許文献1,2に示されるように、連続焼鈍炉から取り出した雰囲気ガスをフィルタに導いて、このフィルタを通過させ、雰囲気ガス中において発生したホワイトパウダーをこのフィルタによって除去した後、この雰囲気ガスを連続焼鈍炉に戻すようにしたものが提案されている。
【0010】
しかし、このように雰囲気ガス中において発生したホワイトパウダーをフィルタによって除去するようにした場合には、ホワイトパウダーがフィルタに次第に蓄積されて、フィルタの能力が次第に低下するため、フィルタを交換したり、フィルタを清掃したりすることが必要になり、冷却器を清掃する場合と同様の問題が発生した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−72624号公報
【特許文献2】特開2003−247787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、処理材を加熱する加熱帯と加熱された処理材を冷却する冷却帯とを備えた連続焼鈍炉において、光輝焼鈍用の雰囲気ガス中で処理材を加熱帯から冷却帯に連続して搬送させて焼鈍する場合における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0013】
すなわち、本発明は、加熱帯において加熱された処理材を冷却帯に導いて冷却させるにあたり、加熱帯から冷却帯に導かれた加熱された雰囲気ガスを冷却させる際に、この雰囲気ガス中に含まれているホワイトパウダー成分が凝縮、固化して発生するホワイトパウダーを適切に除去し、ホワイトパウダーが冷却器等に付着して冷却効率が低下したり、ホワイトパウダーが処理材の表面に付着して、処理材の表面の光沢が損なわれたりするのを適切に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、処理材を加熱する加熱帯と加熱された処理材を冷却する冷却帯とを備え、光輝焼鈍用の雰囲気ガス中で処理材を加熱帯から冷却帯に連続して搬送させて焼鈍する連続焼鈍炉において、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスを連続焼鈍炉からホワイトパウダー除去部に導く案内ダクトを設けると共に、このホワイトパウダー除去部に、雰囲気ガスを冷却させてホワイトパウダーを発生させる冷却ロールと、この冷却ロール上に発生したホワイトパウダーを冷却ロールから除去する除去手段を設けるようにした。
【0015】
ここで、上記の連続焼鈍炉において、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスを、連続焼鈍炉からホワイトパウダー除去部に導くにあたっては、雰囲気ガスをホワイトパウダー除去部に導く前に、ホワイトパウダーが発生するのを防止するため、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスを、ホワイトパウダー成分の凝固点以上の温度でホワイトパウダー除去部に導くようにすることが好ましい。
【0016】
また、このようにホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスを、ホワイトパウダー成分の凝固点以上の温度でホワイトパウダー除去部に導くにあたり、上記の案内ダクトに、ホワイトパウダー除去部に導く上記の雰囲気ガスの温度を制御する温度制御装置を設け、ホワイトパウダー除去部に導かれる雰囲気ガスの温度を、ホワイトパウダー成分の凝固点以上の適切な温度に制御させるようにすることが好ましい。
【0017】
また、上記のホワイトパウダー除去部において、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスからホワイトパウダーを適切に除去させるためには、このホワイトパウダー除去部内に、上記の冷却ロールと除去手段とを複数設けると共に、雰囲気ガスが通過する冷却ロール間の隙間を小さくしたり、また上記のホワイトパウダー除去部内に冷媒供給装置から冷媒を供給させるようにすることが好ましい。
【0018】
そして、上記の除去手段によって冷却ロールからホワイトパウダーを除去した後は、除去されたホワイトパウダーをホワイトパウダー除去部から排出手段により外部に排出させるようにする一方、ホワイトパウダーを除去した後の雰囲気ガスを連続焼鈍炉に戻すようにすることができる。
【0019】
また、ホワイトパウダー除去部において発生したホワイトパウダーが、ホワイトパウダー除去部内に付着して残留するのを防止するため、このホワイトパウダー除去部に振動を与える振動装置を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明における連続焼鈍炉においては、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスを連続焼鈍炉から案内ダクトを通してホワイトパウダー除去部に導き、この雰囲気ガスをホワイトパウダー除去部に設けられた冷却ロールに接触させて冷却させ、この冷却ロール上に雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダーを発生させ、このように冷却ロール上に発生したホワイトパウダーを除去手段によって冷却ロールから除去するようにしている。
【0021】
この結果、本発明における連続焼鈍炉においては、上記の冷却ロールにホワイトパウダーが付着して蓄積されるということがなく、冷却ロールによって上記の雰囲気ガスが安定して冷却されるようになると共に、雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダー成分が安定して除去されるようになり、ホワイトパウダーが処理材の表面に付着して処理材の表面の光沢が損なわれたりするのが適切に防止されるようになる。
【0022】
また、上記のように冷却ロール上に発生したホワイトパウダーを除去手段によって冷却ロールから除去するようにしたため、従来のように冷却器やフィルタを清掃するために、連続焼鈍炉を停止させる必要もなくなり、生産効率が低下するということもなくなる。
【0023】
さらに、上記のホワイトパウダー除去部自体が雰囲気ガスを冷却する機能を持つため、別個に冷却装置を設ける必要がなくなる。
【0024】
また、上記のホワイトパウダー除去部内に、上記の冷却ロールと除去手段とを複数設けると共に、雰囲気ガスが通過する冷却ロール間の隙間を小さくすると、雰囲気ガスが冷却ロールと接触する面積が大きくなると共に、冷却ロール間を通過する雰囲気ガスの速度が速くなって熱伝達率が向上し、各冷却ロールにおいてホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスが十分に冷却されるようになると共に、雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダーが各冷却ロール上に適切に発生して、上記の除去手段により十分に除去されるようになる。
【0025】
さらに、上記のホワイトパウダー除去部内に冷媒供給装置から冷媒を供給させるようにすると、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスが上記の冷却ロールと冷媒とによって十分に冷却されるようになり、雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダーが冷却ロール上に適切に発生して、上記の除去手段により十分に除去されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る連続焼鈍炉を示した概略説明図である。
【図2】上記の実施形態に係る連続焼鈍炉において、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスからホワイトパウダーを除去する冷却ロールと除去手段とを設けたホワイトパウダー除去部の構造を示した概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係る連続焼鈍炉において、ホワイトパウダー除去部に設ける冷却ロールと除去手段との変更例を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態に係る連続焼鈍炉を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る連続焼鈍炉は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0028】
この実施形態においては、図1に示すように、冷間圧延により得られたステンレス鋼帯等の帯状の処理材1を、入口シール部11を通して水素ガスと窒素ガスを主成分とする光輝焼鈍用の雰囲気ガスが充填された連続焼鈍炉10内に導くようにしている。
【0029】
そして、この連続焼鈍炉10においては、上記のように入口シール部11を通して導かれた処理材1を加熱帯12において加熱させ、この加熱帯12において加熱された処理材1を第1〜第3の冷却帯13a〜13cに順々に導いて冷却させ、このように冷却された処理材1をローラが設けられたトップロール室14に導き、この処理材1をトップロール室14からシュート15を通して出口シール部16に導くようにしている。
【0030】
ここで、上記の加熱帯12において処理材1を加熱させるにあたり、この連続焼鈍炉10においては、加熱帯12を二重管構造にし、上記の処理材1を加熱帯12の内管12a内を通過させるようにし、外管12bに設けられたバーナ等の加熱手段12cにより、内管12a内を通過する処理材1を間接加熱させるようにしている。
【0031】
そして、上記のように処理材1を加熱帯12において加熱させると、処理材に添加されたボロン等が酸化された各種の酸化物や、この処理材の表面に付着している油脂類等からなるホワイトパウダー成分が蒸発して、この雰囲気ガス中にホワイトパウダー成分が含まれた状態になり、このようにホワイトパウダー成分が含まれた雰囲気ガスが加熱された処理材1と一緒に第1の冷却帯13aに導かれるようになる。
【0032】
ここで、この実施形態の連続焼鈍炉10においては、上記の第1の冷却帯13aに案内ダクト17を設け、この第1の冷却帯13aに導かれたホワイトパウダー成分が含まれた雰囲気ガスをブロワー18により上記の案内ダクト17を通してホワイトパウダー除去部30に導くようにすると共に、この案内ダクト17に上記の雰囲気ガスの温度を制御する温度制御装置22を設け、ホワイトパウダー除去部30に導かれる上記の雰囲気ガスの温度がホワイトパウダー成分の凝固点以上の適切な温度で導かれるようにしている。例えば、ホワイトパウダー成分の凝固点が580℃程度の場合には、ホワイトパウダー除去部30に導かれる上記の雰囲気ガスの温度を、上記の温度制御装置22によって600℃〜650℃の範囲になるように制御する。
【0033】
そして、このようにホワイトパウダー除去部30に導かれた上記の雰囲気ガスを冷却させて、雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダー成分を凝縮、固化させ、発生したホワイトパウダーをこのホワイトパウダー除去部30において除去させるようにしている。なお、この実施形態においては、このホワイトパウダー除去部30に振動を与える振動装置23を設けている。
【0034】
また、この実施形態においては、上記のホワイトパウダー除去部30においてホワイトパウダーを除去させた雰囲気ガスを、さらにフィルタ部19に導いて、雰囲気ガス中に僅かに残留するホワイトパウダーを除去するようにしている。
【0035】
次いで、このようにホワイトパウダーが除去された雰囲気ガスを酸素除去装置20と乾燥装置21とに導き、雰囲気ガス中に含まれる酸素や水分を除去した後、この雰囲気ガスを上記の第1の冷却帯13aに戻すようにしている。なお、この実施形態においては、ホワイトパウダー等が除去された雰囲気ガスを第1の冷却帯13aに戻すようにしたが、この雰囲気ガスを戻す位置は特に限定されず、上記の加熱帯12や第2及び第3の冷却帯13b,13cに戻すようにすることも可能である。
【0036】
ここで、この実施形態の連続焼鈍炉10においては、上記のホワイトパウダー除去部30において、雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダーを除去させるにあたり、図2に示すように、ホワイトパウダー除去部30内に液体窒素等の冷媒を噴射させる冷媒供給装置31を設けると共に、このホワイトパウダー除去部30内に、大小2種類の円筒状になった回転する水冷式の冷却ロール32を僅かな隙間、例えば10mm程度の隙間を介するようにして複数設け、各冷却ロール32の外周面にブレード33からなる除去手段を押圧させるようにしている。なお、この実施形態においては、大小2種類の水冷式の冷却ロール32を複数設けるようにしたが、ホワイトパウダー除去部30に設ける冷却ロール32の大きさや数は特に限定されない。
【0037】
そして、上記のようにホワイトパウダー成分の凝固点以上の温度の状態でホワイトパウダー除去部30内に導かれた雰囲気ガスを、上記の冷媒供給装置31から噴射された冷媒によって冷却させると共に上記の各冷却ロール32によって冷却させ、雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダー成分を凝縮、固化させて、回転する各冷却ロール32の外周面にホワイトパウダーを発生させるようにする。
【0038】
そして、このように回転する各冷却ロール32の外周面に発生したホワイトパウダーを、上記の各ブレード33によって各冷却ロール32の外周面から除去させるようにしている。このとき、除去されたホワイトパウダーは薄片状になるので、その取り扱いが容易になる。
【0039】
なお、上記のように冷却ロール32を僅かな隙間を介するようにして複数設けた場合、雰囲気ガスが冷却ロール32と接触する面積が大きくなると共に、冷却ロール32間を通過する雰囲気ガスの速度が速くなって熱伝達率が向上し、各冷却ロール32においてホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスがより十分に冷却されるようになる。
【0040】
そして、上記のように各冷却ロール32の外周面において、雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダー成分を十分に凝縮、固化させてホワイトパウダーを発生させ、このように各冷却ロール32の外周面に発生したホワイトパウダーを各ブレード33によって除去させるようにした結果、前記のフィルタ部19に導かれる雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダー成分が減少し、フィルタ部19にホワイトパウダーが蓄積されるのが一層抑制されるようになる。
【0041】
そして、この実施形態においては、ホワイトパウダー除去部30に設けた上記の振動装置23により振動を与えながら、上記のように各冷却ロール32の外周面から各ブレード33によって除去されたホワイトパウダーを、それぞれ回収部34において回収し、このように回収部34において回収されたホワイトパウダーを排出手段によって外部に排出させるようにしている。
【0042】
ここで、回収部34において回収されたホワイトパウダーを排出手段によって外部に排出させるにあたり、この実施形態においては、回収部34において回収されたホワイトパウダーを外部に排出させる排出管35の排出側端部に、第1バルブ35aと第2バルブ35bとを所要間隔を介して設けると共に、この第1バルブ35aと第2バルブ35bとの間の排出管35の部分に窒素ガスを供給する窒素ガス供給管35cを設けている。
【0043】
そして、上記の回収部34から排出管35に導かれたホワイトパウダーの量が所定量に達すると、上記の第1バルブ35aを開けて、ホワイトパウダーを第1バルブ35aと第2バルブ35bとの間の排出管35の部分に導くようにする。次いで、上記の第1バルブ35aを閉じた後、上記の第2バルブ35bを開けると共に、上記の窒素ガス供給管35cから第1バルブ35aと第2バルブ35bとの間の排出管35の部分に窒素ガスを供給し、この排出管35の部分に導かれたホワイトパウダーを外部に排出させた後、この第2バルブ35bを閉じるようにする。
【0044】
このようにすると、第1バルブ35aと第2バルブ35bとの間の排出管35の部分には窒素ガスが充填された状態になり、次に第1バルブ35aを開けてホワイトパウダーを上記の排出管35内に導く際に、外気が上記のホワイトパウダー除去部30を通して連続焼鈍炉10内に入り込むのが確実に防止されるようになる。
【0045】
なお、この実施形態においては、冷却ロール32として円筒状になったものを用いるようにしたが、使用する冷却ロール32はこのようなものに限定されない。
【0046】
例えば、ホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスと冷却ロール32との接触面積を大きくし、冷却ロール32によって雰囲気ガスを効率よく冷却させて、雰囲気ガス中に含まれるホワイトパウダーを十分に除去させるため、図3に示すように、大径部32aと小径部32bとが交互に設けられた蛇腹状の冷却ロール32を用いると共に、この冷却ロール32の外周面に発生したホワイトパウダーを除去させる除去手段として、上記の蛇腹状の冷却ロール32の外周形状に対応した櫛歯状のブレード33を用いるようにすることもできる。
【0047】
また、上記の実施形態における連続焼鈍炉10において、上記の第1〜第3の冷却帯13a〜13cにおいてホワイトパウダーが発生するのを抑制するため、この連続焼鈍炉10内に炭化水素を含むガスを導入し、雰囲気ガスの露点を下げて、水蒸気分圧を小さくすることも可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 処理材
10 連続焼鈍炉
11 入口シール部
12 加熱帯
12a 内管
12b 外管
12c 加熱手段
13a〜13c 第1〜第3の冷却帯
14 トップロール室
15 シュート
16 出口シール部
17 案内ダクト
18 ブロワー
19 フィルタ部
20 酸素除去装置
21 乾燥装置
30 ホワイトパウダー除去部
31 冷媒供給装置
32 冷却ロール
32a 大径部
32b 小径部
33 ブレード(除去手段)
34 回収部
35 排出管
35a 第1バルブ
35b 第2バルブ
35c 窒素ガス供給管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理材を加熱する加熱帯と加熱された処理材を冷却する冷却帯とを備え、光輝焼鈍用の雰囲気ガス中で処理材を加熱帯から冷却帯に連続して搬送させて焼鈍させる連続焼鈍炉において、ホワイトパウダー成分を含む上記の雰囲気ガスを連続焼鈍炉からホワイトパウダー除去部に導く案内ダクトを設けると共に、このホワイトパウダー除去部に、上記の雰囲気ガスを冷却させてホワイトパウダーを発生させる冷却ロールと、この冷却ロール上に発生したホワイトパウダーを冷却ロールから除去する除去手段とを設けたことを特徴とする連続焼鈍炉。
【請求項2】
請求項1に記載の連続焼鈍炉において、連続焼鈍炉からホワイトパウダー除去部に導かれるホワイトパウダー成分を含む雰囲気ガスの温度が、ホワイトパウダー成分の凝固点以上の温度であることを特徴とする連続焼鈍炉。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の連続焼鈍炉において、上記の案内ダクトに、ホワイトパウダー除去部に導く上記の雰囲気ガスの温度を制御する温度制御装置を設けたことを特徴とする連続焼鈍炉。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の連続焼鈍炉において、上記のホワイトパウダー除去部に、上記の冷却ロールと除去手段とを複数設けると共に、雰囲気ガスが通過する冷却ロール間の隙間を小さくしたことを特徴とする連続焼鈍炉。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の連続焼鈍炉において、上記のホワイトパウダー除去部内に冷媒を供給する冷媒供給装置を設けたことを特徴とする連続焼鈍炉。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の連続焼鈍炉において、上記の除去手段によって冷却ロールから除去されたホワイトパウダーをホワイトパウダー除去部から外部に排出させる排出手段を設けたことを特徴とする連続焼鈍炉。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の連続焼鈍炉において、ホワイトパウダーを除去した後の雰囲気ガスを連続焼鈍炉に戻すようにしたことを特徴とする連続焼鈍炉。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の連続焼鈍炉において、上記のホワイトパウダー除去部に振動を与える振動装置を設けたことを特徴とする連続焼鈍炉。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−261089(P2010−261089A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114595(P2009−114595)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000211123)中外炉工業株式会社 (170)
【Fターム(参考)】