説明

遊技機

【課題】 ハーフミラーを用いて三つ以上の画像情報それぞれに遠近感を持たせる表示ユニットを備える遊技機を提供する。
【解決手段】 ハーフミラー114に反射される映像光Lbを出射する反射側映像出力部120と、ハーフミラーを透過する映像光Laを出射する透過側映像出力部130と、を有する表示ユニット100を備える遊技機であって、各映像出力部120,130は、所定の光源を有するバックライト部127,137と、光源により照射され画像情報を表示する画像表示部124,134,1352と、をそれぞれ有し、少なくとも一方の映像出力部130は、映像光Laの伝播方向に沿った距離差を有しながら積層配置された複数の画像表示部134,1352を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出用の表示ユニットを備える遊技機に関し、特に、所定の光源により照射された画像情報を含む複数の映像光を、ハーフミラーを用いて合成させて多重映像を表示する表示ユニットを備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技場に設置されたスロットマシンやパチンコ機などの遊技機には、遊技を盛り上げる演出手段として、液晶TV、LED等の表示手段を備える表示ユニットが搭載されている。
近年では、表示される映像に遠近感や立体感を持たせるために、所定の光源により照射された画像情報を含む二つの映像光を、斜めに傾いたハーフミラーを用いて合成させて多重映像を表示する表示ユニットを搭載した遊技機が提案されている(例えば、特許文献1)。
この遊技機では、ハーフミラーを透過した一方の映像光のうえに、ハーフミラーに反射した他方の映像光が重なるように視認され、それぞれの映像光に含まれる画像情報に遠近を持たせるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−6961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなハーフミラーを用いる表示ユニットにおいて、三つ以上の画像情報にそれぞれに遠近感を持たせたいという要望がある。
このような要望に対しては、例えば、三つの画像情報を合成させる場合、二つの映像光の入射方向と異なる方向から第三の映像光をハーフミラーに入射させる必要がある。そうすると、合成された映像光の伝播経路(遊技者の目に入射する経路)を確保しながら、第三の映像光の入射経路を確保しなければならないことから、表示ユニットの構造が複雑化するという問題があった。
【0005】
また、ハーフミラーに反射させる映像光は、ハーフミラーの後方側ではなく、その前方側にあることから、一方の画像情報が直接目視されてしまうという欠点があった。
また、ハーフミラーを透過させる映像光の光源と、ハーフミラーにより反射される映像光の光源は、一般的に直角に配置されていることから、表示ユニットを遊技機に取り付ける部位によっては、これらの光源が他の部品に干渉するおそれがあった。そのため、合成された映像光の光量を損失させることなく、伝播経路を曲折させながら、他の部品との干渉を回避する技術が求められていた。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、ハーフミラーに反射される映像光を出射する反射側映像出力部と、ハーフミラーを透過する映像光を出射する透過側映像出力部とを備える表示ユニットにおいて、少なくとも一方の映像表示部からの映像光に、映像光の伝播方向に沿って距離差を有する二以上の画像表示部を備えることで、三つ以上の画像情報それぞれに遠近感を持たせた表示ユニットを備える遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、所定の画像情報を含む映像光を反射及び透過可能なハーフミラーと、ハーフミラーに反射される映像光を出射する反射側映像出力部と、ハーフミラーを透過する映像光を出射する透過側映像出力部と、を有する表示ユニットを備える遊技機であって、前記各映像出力部は、所定の光源を有するバックライト部と、前記光源により照射され前記画像情報を表示する画像表示部と、をそれぞれ有し、少なくとも一方の映像出力部は、前記映像光の伝播方向に沿った距離差を有しながら積層配置された複数の前記画像表示部を備え、前記ハーフミラーで反射された前記映像光と前記ハーフミラーを透過した前記映像光との合成光を、当該遊技機の表面に設けられた窓部から視認可能とした構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機によれば、三つ以上の画像情報それぞれに遠近感を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機の外観を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊技機の内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遊技機の制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る表示ユニットの外観を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る表示ユニットの組み立て斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る本体の組み立て斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る反射側映像出力部の組み立て斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る透過側映像出力部の組み立て斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る表示ユニットの断面斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る表示ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
【0011】
[遊技機]
遊技機には、スロットマシン、パチンコ機など様々な種類があるが、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
本実施形態のスロットマシン1は、複数のリールを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得できる回胴式遊技機として構成されているうえに、ハーフミラーに反射される映像光を出射する反射側映像出力部と、ハーフミラーを透過する映像光を出射する透過側映像出力部とを備える表示ユニットが設けられ、少なくとも一方の映像出力部からの映像光に、光の伝播方向に沿って距離差を有する二以上の画像情報を含ませることで、三つ以上の画像情報それぞれに遠近感を持たせるように構成されている。
以下、本実施形態に係るスロットマシン1について図1〜図3を参照しながら詳述する。
【0012】
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、回動可能に軸支された複数のリール41a,41b,41cが内蔵され、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成され、内部には、マイクロコンピュータ等で構成された主制御部10、主制御部10からの指令により、スピーカ8,表示ユニット100等のランプ類を制御する副制御部20、及び必要な機械,装置等が収納されている。
【0013】
前扉1aは、図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る複数の操作手段が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0014】
操作手段としては、メダルが投入されるメダル投入口2と、装置内部にクレジットとして貯留されたメダルをゲームに投じるベットボタン2aと、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
【0015】
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓6が、各操作手段の上側に設けられている。
表示窓6には、筐体側窓部6aが設けられ、この筐体窓部6aからは、表示窓6裏面に配置された表示ユニット100による表示演出が視認できるようになっている。
また、前扉1a下部には、効果音、音声等が出力されるスピーカ9が設けられている。
【0016】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2bにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0017】
[主制御部]
主制御部10は、メインCPU、メインROM、メインRAMなどが一体化された制御用チップの搭載された主基板、これを収容する基板ケース等から構成され、上記の各操作手段からの信号やメダルセレクタ2bからの信号に基づき、ドラムユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技を進行させる。
【0018】
具体的には、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2bにより検出され、検出信号が主制御部10に入力される。また、ベットボタン2aが操作された場合は、その操作信号が主制御部10に入力される。主制御部10は、これらの信号の入力の有無からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、主制御部10は、ドラムユニット4を駆動して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
【0019】
さらに、主制御部10は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナスゲーム(大当り)に移行する開始役であるボーナス役、小役、再遊技役、ハズレの複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象を抽選する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
【0020】
また、主制御部10は、各リール41a,41b,41cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口7bから払い出す。
【0021】
また、スロットマシン1では、上述したようなスロットマシン遊技において、主制御部10が所定の遊技タイミング(例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始、ボーナス役当選)において所定の制御信号を副制御部20に出力することで、副制御部20が、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づき、スピーカ8、表示ユニット100等を制御して、所定の遊技演出を行うようになっている。
【0022】
主制御部10から副制御部20に出力される制御信号には、例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始などの遊技の進行を示す制御信号の他に、内部抽選の結果当選した抽選対象を示す当選対象信号(例えば、当選したボーナス役の種類[ビッグボーナス、レギュラーボーナス]、当選した小役の種類、再遊技役、ハズレなどを示す信号)などがある。
【0023】
[副制御部]
副制御部20は、主制御部10と同様にコンピュータとして構成され、表示制御部20aと音制御部20bとを制御することで、所定の表示演出及び音響演出を行う。
副制御部20は、サブCPU、サブROM、サブRAMなどの演出用チップの搭載された副基板、これを収容する基板ケース等から構成され、サブCPUがサブROMに記憶されたプログラムを実行処理することで、表示制御部20aと音制御部20bとを制御して、表示ユニット100に所定の表示態様で表示演出させるとともに、スピーカ9から所定の音データを出力させる。
【0024】
表示制御部20aは、例えば、演出制御用のプロセッサ、RAM、LED等の点灯態様を示す点灯パターンデータなどを記憶したデータROMなどから構成され、サブCPUからの指示に従い、表示ユニット100を所定の表示態様で表示演出させる。
【0025】
音制御部20bは、例えば、PCM音源、効果音及び音声などの音データを記憶した音声ROM、アンプなどから構成され、サブCPUからの指示に従い、音データを再生してスピーカ9から出力する。
【0026】
このような構成からなる副制御部20は、主制御部10からの制御信号にもとづいて以下のように動作する。
具体的には、サブCPUは、主制御部10からの制御信号にもとづいてスロットマシン1のそのときの状態を判定し、その状態に応じた演出を行うように表示制御部20aと音制御部20bとに指示し、この指示を受けた表示制御部20aと音制御部20bが、この指示に従った点灯パターンデータ、音データを出力するようになっている。
【0027】
例えば、主制御部10から内部抽選の結果当選した抽選対象を示す当選対象信号としてボーナス役当選を示す制御信号を受信したときには、サブCPUは、表示制御部20aと音制御部20bにボーナス当選の演出を行うように指示し、表示制御部20aは表示ユニット100を制御してボーナス当選に係る表示演出を行わせるとともに、音制御部20bはスピーカ9から所定の効果音を出力させる。
【0028】
[表示ユニット]
次に、本発明に係る表示ユニット100について、図4〜図10を参照しながら説明する。
本実施形態に係る表示ユニット100は、ボーナス役に内部当選したことを表示演出により報知する報知手段として動作するとともに、図4に示すように、直方体の上底一辺を斜めに切り落とした筐体構造を有し、ハーフミラーに反射される映像光を出射する反射側映像出力部120と、ハーフミラーを透過する映像光を出射する透過側映像出力部130とを備えている。
詳細には、表示ユニット100は、図4、図5に示すように、本体110と、それぞれ本体110に装着される、反射側映像出力部120と、透過側映像出力部130とから構成され、その上部が筐体1b側に傾くように前扉1a背面に取り付けられる(図2参照)。
【0029】
本体110は、図6に示すように、本体ベース111と、これに装着される、窓カバー112、偏光板113、ハーフミラー114、ミラーホルダー115とから構成されている。
本体ベース111には、筐体側窓部6aと対向配置され環状に開口する窓部111aが設けられ、この窓部111aを介して、遠近感を有する画像情報が視認できるようになっている。
窓部111aには、所定方向に振動する光のみが透過可能な透過軸を有する偏光板113と、透明な合成樹脂からなる窓カバー112とが取り付けられている。
【0030】
ハーフミラー114は、反射側映像出力部120からの映像光を反射するとともに、透過側映像出力部130からの映像光を透過することで、これらの映像光が合成された合成光を形成する。
このハーフミラー114は、その上部が遊技者側に倒れ込むように、鉛直方向に対して約45°斜めに傾いた状態で(図10参照)、ミラーホルダー115と本体ベース111とに挟持されて固定される。
【0031】
反射側映像出力部120は、映像光を遊技者側に向けて出射するように本体110の背面側に取り付けられ、図7に示すように、反射側ベース121と、これに装着される、反射ミラー122、偏光板123、反射側画像表示部124、拡散シート125、シートホルダー126、反射側バックライト部127、基板カバー128とから構成されている。
【0032】
反射ミラー122は、ハーフミラー114により合成された合成光が入射されるとともに、この合成光を窓部111aに向けて全反射させる反射鏡であり、その上部が遊技者側に倒れ込むように、鉛直方向に対して約45°斜めに傾いた状態で(図10参照)、反射側ベース121上部に固定されている。
この反射ミラー122が遊技者の目Eに最も間近に位置する結像面となる。
【0033】
偏光板123は、所定方向に振動する光のみが透過可能な透過軸を有し、この透過軸が窓部111aに取り付けられる偏光板113の透過軸と平行とならない、例えば、直交関係を有するように、取り付けられている。
これにより、図10に示すように、伝播経路Rを介して遊技者の目Eから直接目視されることになる、反射側画像表示部124(反射側画像情報124a)を目視不能とすることができる。
【0034】
反射側画像表示部124は、反射側画像情報124aが表示される画像表示部であって、本実施形態では「GOGO!」の文字からなる反射側画像情報124aが印刷表示された透光性を有する樹脂シートで構成されている。
拡散シート125は、透光性を有する乳白色の樹脂シートで構成され、反射側バックライト部127から出射される光を拡散する。
これらの偏光板123、反射側画像表示部124、拡散シート125は、シートホルダー126と反射側ベース121とに挟持されて固定される。
【0035】
反射側バックライト部127は、複数の光源(LED)、この光源を個別に点灯・消灯制御するドライブ回路、雌コネクタ127c(図9及び図10参照)の実装された基板からなり、本実施形態では光源として、反射側画像表示部124を照射する反射側光源127aと、後述の透過側画像表示部135を照射する透過側光源127bとが実装されている。
この反射側バックライト部127は、基板カバー128と反射側ベース121とに挟持されて固定される。
【0036】
このように構成された反射側映像出力部120は、反射側バックライト部127が表示制御部20aによりオンオフ制御、すなわち、点灯・消灯制御され、反射側画像表示部124及び透過側画像表示部135に、反射側光源127a及び透過側光源127bからの光がそれぞれ入射される。これにより、反射側画像表示部124に入射した光に反射側画像情報124aが合成された映像光Lbが形成され(図10参照)、この映像光Lbが反射側ベース121の窓枠121aを介してハーフミラー114に入射され、反射ミラー122に向けて反射されるようになっている。
なお、透過側画像表示部135に入射した光については、以下の透過側映像出力部130の説明の中で詳述する。
【0037】
透過側映像出力部130は、映像光を上方に向けて出射するように本体110の底面側に取り付けられ、図8に示すように、透過側ベース131と、これに装着される、拡散シート132、透過側画像表示部133、シートホルダー136、透過側バックライト部137とから構成されている。
【0038】
拡散シート132は、透光性を有する乳白色の樹脂シートで構成され、透過側バックライト部137から出射される光を拡散する。
透過画像表示部133は、バックライト部137からの光の伝播方向に沿って距離差を有する複数の透過画像表示部134,135から構成され、具体的には、透過画像表示部134の一部を覆うように透過画像表示部135が積層配置されている。
【0039】
透過画像表示部134は、透過側画像情報134aが表示される画像表示部であって、本実施形態ではギザギザ外形を有する吹き出し図形からなる透過側画像情報134aが印刷表示された透光性を有する樹脂シートで構成されている。
透過画像表示部135は、導光部1351と立体造形部1352とが形成された透光性を有する乳白色の樹脂成形品で構成されている。
導光部1351は、その端面1351aから入射される前述の透過側光源127bからの光を、拡散させながら立体造形部1352に伝播させる。
立体造形部1352は、光の伝播方向に沿った距離差に対応する高さを有する立体構造物からなり、その外形自体が、例えば、「CHANCE」の文字からなる画像情報を有している。また、立体造形部1352は、光の伝播方向に向かうに従い先細りとなるテーパ形状を有している。
これらの拡散シート132、透過側画像表示部134,135は、シートホルダー136と透過側ベース131とに挟持されて固定される。
【0040】
透過側バックライト部137は、複数の光源(LED)、この光源を個別に点灯・消灯制御するドライブ回路、雄コネクタ137b(図9、図10参照)の実装された基板からなり、本実施形態では光源として、透過側画像表示部134を照射する透過側光源137aが実装されている。
この透過側バックライト部137は、雄コネクタ137bが雌コネクタ127cに挿入されることによって反射側バックライト部127と接続される、いわゆるボードTOボード接続されつつ、反射側ベース121に固定される。
【0041】
このように構成された透過側映像出力部130は、透過側バックライト部137が表示制御部20aによりオンオフ制御、すなわち、点灯・消灯制御され、透過側画像表示部134に対して、透過側光源137aからの光を出射する。これにより、透過側画像表示部134を照射した光に透過側画像情報134aが含まれた映像光Laが形成され(図10参照)、この映像光Laが透過側ベース131の窓枠131aを介してハーフミラー114に入射され、反射ミラー122に向けて透過されるようになっている。
また、この映像光Laには、立体造形部1352からの透過側画像情報(CHANCE)が含まれることになる。
これは、反射側バックライト部127の透過側光源127bから出射され、透過側画像表示部135に入射した光は、導光部1351を介して、立体造形部1352を照射することから、照射された立体造形部1352からの出射光が映像光Laに含まれるからである。
【0042】
すなわち、映像光Laには、透過側画像情報134aと、立体造形部1352の画像情報が含まれており、立体造形部1352の画像情報は透過側画像情報134aよりも映像光Laの伝播方向に沿って前方に位置することから、両者が重なった画像情報は、立体造形部1352の高さに対応する遠近感を有することになる。
さらに、立体造形部1352は、光の伝播方向に向かうに従い先細りとなるテーパ形状を有していることから、立体造形部1352の画像情報が立体視されることになる。
また、立体造形部1352からの出射光に含まれる文字情報(CHANCE)は、それぞれの文字が均一に発光する。これは、立体造形部1352を照射する透過側光源127bからの光は、導光部1351で拡散されながら伝播され、立体造形部1352を均一に照明するからである。
【0043】
以上のように構成された表示ユニット100の動作について、図9及び図10を参照しながら説明する。
反射側バックライト部127と、透過側バックライト部137は、表示制御部20aによってオンオフ制御され、これにより、反射側光源127aと、透過側光源127b,137aがそれぞれ独立して点灯・消灯する。
点灯(オン)は、副制御部20が主制御部10からボーナス当選を示す制御信号を受信したタイミングからボーナス遊技が開始するまで行われ、それ以外は消灯(オフ)される。
【0044】
反射側画像表示部124は、反射側光源127aにより照射され、反射側画像情報124aを含む映像光Lbを出射する。
映像光Lbのうち伝播経路Rを介して遊技者の目Eに向かう光は、偏光板123及び偏光板113により遮断される。これにより、反射側画像情報124aが直接目視されてしまうという欠点が解消される。
一方、ハーフミラー114に向かった映像光Lbは、ハーフミラー114表面で反射され、図中上方に位置する反射ミラー122に向かうことになる。
【0045】
一方、透過側画像表示部134,135は、透過側光源137a,127bにより照射され、透過側画像情報134a及び立体造形部1352の外形からなる画像情報を含む映像光Laを出射する。この映像光Laは、映像光の伝播方向に沿って所定の距離差を有して積層配置された透過側画像表示部134,135それぞれの画像情報を含むことから、距離差に応じた遠近情報を有している。
この映像光Laは、ハーフミラー114に入射され、その一部がハーフミラー114を透過し、図中上方に位置する反射ミラー122に向かうことになる。
これにより、ハーフミラー114からは、映像光Lbと映像光Laとの合成光Lcが出射される。
【0046】
合成光Lcは、反射ミラー122に入射され、そのほとんどが全反射され、窓部111aに向かって直進する。
窓部111aには、偏光板113が取り付けられているものの、ハーフミラー114と反射ミラー122に反射された映像光Lbは、これらにより偏光されることから、一部を残して偏光板113の透過軸を透過することができる。
これにより、遊技者の目Eには、映像光Lbと映像光Laとの合成光Ldが入射されることになる。
合成光Ldには、反射側画像情報124a、透過側画像情報134a及び立体造形部1352の外形からなる画像情報が含まれている。
【0047】
反射側画像表示部124からハーフミラー114までの距離と、透過側画像表示部134からハーフミラー114までの距離は、ほぼ等しくなるように構成されている。
そうすると、立体造形部1352の頂面がハーフミラー114までの距離が最も近いことになる。
その結果、光源127a,127b,137aの明るさが同じであれば、ハーフミラー114による光の減衰/反射率及び立体造形部1352の高さに応じて立体視される画像情報の見える順序やそれぞれの高低差は異なるものの、本実施形態では、透過側画像情報134aが光の伝播方向に沿って一番奥側に見え、その上に、反射側画像情報124aが見え、さらにその上に、立体造形部1352が見えるといった順序で、三つの画像情報がそれぞれ異なる高低差を有して見える遠近感を生じさせるようになっている。
【0048】
また、遊技者の目Eに対して間近に位置する合成光の結像面は、反射ミラー122の表面となっている。
この反射ミラー122は、窓部111a(φ40)から所定の間隔(例えば、50mm)をおいたスロットマシン1の内部に位置する。
そうすると、合成光Ldはスロットマシン1に着座する遊技者のみに視認され、他の遊技者からは視認できないようになっている。これにより、ボーナス当選を他の遊技者に悟られることがないため、ボーナス当選による演出表示を着座する遊技者限りの楽しみとすることができる。また、初心者の場合、他の遊技者にボーナス当選を悟られると、すばやくボーナス図柄を揃えることができないことから恥ずかしい思いをすることもあるが、スロットマシン1に着座する遊技者のみに視認されるようにすることで、人目を気にせずにボーナス図柄を揃えることに挑戦することができる。
【0049】
また、表示ユニット100は、ハーフミラー114で合成された合成光Lcを反射させる反射ミラー122を備えている。
本実施形態と異なり、ハーフミラー114を遊技者が視認可能な結像面とすることもできるが、反射ミラー122を結像面としたのは、以下のような理由からである。
【0050】
ハーフミラー114を用いて映像光を合成する場合、反射側バックライト部127と、透過側バックライト部137は、直角に配置せざるを得ないことから、表示ユニット100を取り付ける部位によっては、これらのバックライト部が他の部品に干渉するおそれがあった。
例えば、本実施形態のように、着座した遊技者が合成光Ldを目視できる位置に反射ミラーを有しない表示ユニットを取り付けようとすると、前扉1aの背面側に配置されたリール41と干渉するおそれがあった。
そこで、表示ユニットがリール41と干渉することを避けるため、バックライト部127,137とハーフミラー114を下方にずらした。そうすると、ハーフミラー114を結像面とすると、合成光Lcが視認不能となることから、合成光Lcを一旦反射ミラー122で反射させて、遊技者の目Eに入射させた。
これにより、バックライト部127,137からの映像光が遊技者の目Eに入射されるまでの光路長が長くなり、その分の奥行き感を生じさせながら、バックライト部127,137の配置場所の自由度を増大させることができる。
【0051】
さらに、反射ミラー122を、その上部が遊技者側に倒れ込むように斜め傾けて配置することで、表示ユニット100の上底一辺を斜めに切り落とすことが可能となり、リール41との干渉を積極的に解消させるようになっている。
また、反射側バックライト部127と透過側バックライト部137は、接続ケーブルを介することなく、雄コネクタ137bが雌コネクタ127cに挿入されることで電気的に接続される、いわゆるボードTOボード接続を採用していることから、接続ケーブルがリール41に干渉することもない。
【0052】
さらに、表示ユニット100は、映像光や合成光の伝播経路(伝播空間)を確保しながら、ユニット外部からの入光を避けるべく、本体110、反射側映像出力部120及び透過側映像出力部130とで伝播空間を囲む遮蔽構造、かつ、黒色の外装を有している。
これにより、各バックライト部127,137がオフ制御(消灯)時は、表示ユニット100内は真っ暗な空間として視認されるとともに、各バックライト部127,137がオン制御(点灯)時は、これらからの映像光のみが窓部111aから伝播され、奥行き感のある演出表示が楽しめるようになっている。
【0053】
以上、本発明の実施形態に係る遊技機によれば、ハーフミラー114に反射される映像光Lbを出射する反射側映像出力部120と、ハーフミラー114を透過する映像光Laを出射する透過側映像出力部130とを備える表示ユニット100が設けられ、少なくとも一方の透過側映像出力部130からの映像光Laに、光の伝播方向に沿って距離差を有する二以上の画像情報134,1352を含ませることで、三つの画像情報それぞれに遠近感を持たせることができる。
【0054】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0055】
例えば、本実施形態では、各画像表示部124,134,135を、樹脂シート及び樹脂成形品で構成し、画像情報を静止画としたが、各画像表示部124,134,135を、液晶表示器とし、画像情報を動画とすることもできる。
この場合、画像表示部134,135の距離差を有する積層配置は、画像表示部135が画像表示部134をすべて覆うのではなく、一部を覆うように積層することが好ましい。
【0056】
また、本実施形態では、画像表示部133を二層の積層配置としたが、三層以上の積層配置とすることもできる。
また、本実施形態では、透過側映像出力部130の画像表示部133を積層配置としたが、反射側映像出力部120の画像表示部124を複数設けてこれらを積層配置する構成とすることもでき、さらに、反射側映像出力部120と透過側映像出力部130の双方に画像表示部を複数設けて、これらを積層配置する構成とすることもできる。
【0057】
また、窓部111aからの入射光を防ぐために、窓カバー112をスモークのかかった半透明の樹脂とすることもできる。
また、筐体側窓部6aの周りを、凹凸を有する立体構造物で囲むこともできる。
これにより、筐体側窓部6aを介して視認される画像情報の遠近をさらに際立たせることができる。
また、反射ミラーは二枚以上設けることができる。
【0058】
また、本実施形態では、反射側画像表示部124からハーフミラー114までの距離と、透過側画像表示部134からハーフミラー114までの距離が、ほぼ等しくなるように構成したが、ハーフミラー114から画像表示部124,134までの距離をそれぞれ違えることもできる。
また、本実施形態では、光源127a,127b,137aの光量(強度)、ハーフミラー114による光の減衰/反射率、立体造形部1352の高さを不変としたが、これらを個別に変更して立体視される画像情報の見える順序や高低差を違えることができる。
特に、光源127a,127b,137aに印加される電流値を可変又はPWM制御することでこれらの光量(強度)を調光することにより、立体視される画像情報の見える順序や高低差をリアルタイムに変化させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、ハーフミラーを用いて立体視させる表示ユニットを備えるスロットマシン、パチンコ機などの遊技機に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 スロットマシン(遊技機)
10 主制御部
20 副制御部
100 表示ユニット(報知手段)
111a 窓部
113 偏光板
114 ハーフミラー
120 反射側映像出力部
122 反射ミラー
123 偏光板
124 反射側画像表示部
124a 反射側画像情報
127 反射側バックライト部
127a 反射側光源
130 透過側映像出力部
133(134,135) 透過側画像表示部
134a 透過側画像情報
1352 立体造形部(立体構造物)
137 透過側バックライト部
127b,137a 透過側光源
La 映像光(透過側)
Lb 映像光(反射側)
Lc,Ld 合成光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の画像情報を含む映像光を反射及び透過可能なハーフミラーと、ハーフミラーに反射される映像光を出射する反射側映像出力部と、ハーフミラーを透過する映像光を出射する透過側映像出力部と、を有する表示ユニットを備える遊技機であって、
前記各映像出力部は、
所定の光源を有するバックライト部と、
前記光源により照射され前記画像情報を表示する画像表示部と、をそれぞれ有し、
少なくとも一方の映像出力部は、前記映像光の伝播方向に沿った距離差を有しながら積層配置された複数の前記画像表示部を備え、
前記ハーフミラーで反射された前記映像光と前記ハーフミラーを透過した前記映像光との合成光を、当該遊技機の表面に設けられた窓部から視認可能とした
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記複数の画像表示部のうちの少なくとも一つの画像表示部が、前記距離差に対応する高さを有するとともに前記画像情報が立体形成された立体構造物からなり、
前記立体構造物は、前記映像光の伝播方向に向かうに従い先細りとなるテーパ形状を有する
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記表示ユニットは、所定の大当りを含む複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象を決定する内部抽選において前記大当りに内部当選したことを報知する報知手段であり、
遊技者が目視可能な前記合成光の結像面を、前記窓部から所定の間隔をおいた遊技機内部に配置した
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記合成光が入射され、この合成光を所定の方向に反射させる反射ミラーを備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記反射側映像出力部における前記画像表示部の表面側と、前記窓部に、所定方向に振動する光のみが透過可能な透過軸を有する偏光板をそれぞれ設け、
前記各偏光板を、それぞれの前記透過軸が平行にならないように取り付け、
前記窓部から、前記合成光を視認可能、かつ、前記反射側映像出力部の画像表示部を直視不能とした
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−94230(P2013−94230A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237084(P2011−237084)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】