説明

遊間用止水材

【課題】 橋梁や高架道路の道路基盤の遊間に形成される遊間用止水材において、保護層が水を含浸して凍結した状態においても、保護層に亀裂や破壊を生ずることなく遊間の伸縮を許容する遊間用止水材を供給する。
【解決手段】 支持層2と止水層1と保護層4とが固着一体形成される遊間用止水材において、保護層4に独立気泡と連続気泡が混在する独立/連続混在気泡フォーム層を形成する。また弾性率の異なる独立/連続混在気泡フォーム層を上方向や遊間方向に積層固着した保護層4を形成する。これにより、保護層4が水を含浸して凍結した状態においても、体積変化を容易にして保護層4に亀裂や破壊を生ずることなく遊間の伸縮を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁や高架道路に一定間隔で形成される道路基盤等の遊間から雨水等の落下を防止するための遊間用止水材に関するもので、特に止水材の保護層が水を含んだ状態で凍結しても保護層の亀裂や破壊等を防止する遊間用止水材に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や高架道路などでは、温度変化に起因する膨張や収縮が生ずるため、橋梁や高架道路の一定間隔毎に遊間が設けられている。そして、温度変化に起因する膨張や収縮、車の走行に伴う圧力に応じて遊間の間隔が伸縮する構造となっている。また、この遊間は、橋梁や高架道路に降った雨水が遊間から漏水して落下しないように、各遊間を塞ぐ遊間用止水材を取り付けて防水している。
この遊間用止水材には、弾性の異なるフォーム材を組み合せて遊間止水材とするものがある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の遊間止水材には、厚さ0.4mmの止水層を保護するための保護層が単層で設けられており、遊間の伸縮変位に追従し得るために低荷重での体積変化が容易な連続気泡フォームを使用した形状が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許第2689079号公報(頁5、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般に保護層を連続気泡フォームで構成した場合、連続気泡フォームは表面から内部まで気泡が連続しているので、雨水等が含浸し易い。このため、寒冷地等において連続気泡フォームで構成された保護層が水を含浸したまま凍結した場合には、フォーム自体の体積変化が拘束され遊間の伸縮を阻害することから、保護層に亀裂や破壊が生じ、よって止水層の亀裂を誘発し、水漏れを起こす問題があった。
【0005】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、保護層が水を含浸して凍結した状態においても保護層に亀裂や破壊が生じることなく、体積変化が可能で遊間の伸縮を許容できる遊間用止水材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る遊間用止水材は、遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、前記支持層の上面に固着一体化された止水層と、前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、前記保護層の一部または全部が、独立気泡と連続気泡が混在する独立/連続混在気泡フォーム層によって形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の他の実施形態に係る遊間用止水材は、遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、前記支持層の上面に固着一体化された止水層と、前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、前記保護層は独立気泡と連続気泡が混在する柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層と、前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層の上に形成され前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層より硬い独立/連続混在気泡フォームの表面とによって形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の実施形態に係る遊間用止水材は、遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、前記支持層の上面に固着一体化された止水層と、前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、前記保護層は、独立気泡と連続気泡が混在する硬い独立/連続混在気泡フォーム層と、前記硬い独立/連続混在気泡フォーム層より柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層または連続気泡フォーム層とが遊間方向に交互に積層して形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の実施形態に係る遊間用止水材は、遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、前記支持層の上面に固着一体化された止水層と、前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、前記保護層は、独立気泡と連続気泡が混在する第1の硬い独立/連続混在気泡フォーム層と前記第1の硬い独立/連続混在気泡フォーム層より柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層または連続気泡フォーム層とが遊間方向に交互に積層した層と、その両層の上に形成された第2の硬い独立/連続混在気泡フォームの表面とによって形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の実施形態に係る遊間用止水材は、遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、前記支持層の上面および両側面に固着一体化された止水層と、前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、前記保護層は、一部または全部が独立気泡と連続気泡が混在する独立/連続混在気泡フォーム層によって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遊間用止水材によれば、凍結環境下において止水材の保護層が水を含んだ状態で凍結しても保護層に亀裂や破壊等が生じることなく、遊間の伸縮変位を許容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明に係る遊間用止水材の第1の実施形態を示す図である。
図1に示した第1の実施形態に係る遊間用止水材は、橋梁や高架道路などの配設すべき遊間10の幅方向に形成された取り付け部の両端面1に支持層2が接着され、この支持層2は遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能である。そして、この支持層2の上面に止水層3が固着一体化されて形成されている。更に、止水層3の上面には本発明によって提供される保護層4が固着一体化されて形成されている。更に、保護層4の上面には遊間10の伸縮に追随する遊間用伸縮継手20a、20bが配設されている。
【0014】
なお、遊間用伸縮継手20a、20bは、間隔を隔てて対向する一対の串歯状の金属材から成り、遊間10の上を車両等が走行できるように走路相互間にわたって設置されている。
【0015】
伸縮可能な支持層2は、独立気泡フォームや連続気泡フォームなどにより形成することが出来る。
例えば、支持層2は、遊間10の両端面1と接着する一対の独立気泡フォーム層と、この独立気泡フォーム層に挟まれて固着一体化された連続気泡フォーム層とによって構成することが出来る。
【0016】
また、支持層2は、遊間10の両端面1と接着する一対の連続気泡フォーム層と、この連続気泡フォーム層に接着する独立気泡フォーム層と、この独立気泡フォーム層に挟まれて固着一体化された連続気泡フォーム層とによって構成することが出来る。
また、支持層2は、遊間10の両端面1と接着する一対の独立気泡フォーム層と、この独立気泡フォーム層に挟まれて固着一体化された硬さの異なる連続気泡フォームを遊間方向に交互に配設したものによって構成することが出来る。
また、支持層2は、遊間10の両端面1と接着する一対の連続気泡フォーム層と、この連続気泡フォーム層に接着する独立気泡フォーム層と、この独立気泡フォーム層に挟まれて固着一体化された硬さの異なる連続気泡フォームを遊間方向に交互に配設したものによって構成することが出来る。
【0017】
上記独立気泡フォーム層および止水層3の材質等については、例えば上述した特許文献1に記載されているものが使用可能である。
なお、止水層3は、支持層2よりも低弾性の薄いゴムシート状体から成り、支持層2と固着一体化しているため、支持層2の伸縮に対応して変形を行いながら保護層4側からの雨水等の遮断を行う機能を有している。
【0018】
次に、保護層4は、止水層3を保護し、土砂や雨水等を遮断する役割を有している。この第1の実施形態では、この保護層4を独立気泡と連続気泡の両方が混在する発泡フォーム層(以下、「独立/連続混在気泡フォーム層」と称する)によって形成している。
【0019】
独立/連続混在気泡フォーム層では、気泡の周りが完全に薄い膜で覆われているものと、その膜の一部に穴が開き気泡同士がつながっているものが混在している。このため、連続気泡には水が浸入するが、独立気泡には水が浸入しない構造となる。したがって、独立/連続混在気泡フォーム層で構成した保護層4が凍結した場合、連続気泡部分は気泡内の凍結した塊部分とそれ同士を連結する枝部分で氷が形成される。しかしながら、保護層4が変形した場合には、氷は枝部分が折れて気泡ごとに独立した氷の塊となり、引張りが生じた場合は、気泡が大きくなって変形を吸収することが出来る。また、保護層4に圧縮が生じた場合には、独立気泡が小さくなることによって変形を吸収することが出来る。
【0020】
したがって、この第1の実施形態に係る遊間用止水材によれば、凍結環境下において、遊間用止水材の保護層4が水を含んだ状態で凍結しても、保護層4の亀裂や破壊等が生じることなく、保護層5は遊間10の伸縮変位を許容することができる。
【実施例2】
【0021】
図2は、本発明に係る遊間用止水材の第2の実施形態を示す図である。
以下では、第2の実施形態と上述した第1の実施形態の違い点を説明する。即ち、この第2の実施形態では、保護層4を柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層5と、この柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層5より硬い独立/連続混在気泡フォームの表面6とによって形成する。
【0022】
このように形成された保護層4によれば、上層の硬い独立/連続混在気泡フォームの表面6は連続気泡の割合が少ないため雨水等の含浸が少なく、凍結環境においても凍結による影響は殆ど無い。また、硬い独立/連続混在気泡フォームの表面6の下層に位置する柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層5は、雨水による含浸が無いため、遊間10の伸縮変位に追従することができる。その他の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0023】
なお、硬い独立/連続混在気泡フォームの表面6と柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層5の硬さの違いは、例えば弾性率が異なるものであってもよい。
【0024】
したがって、この第2の実施形態に係る遊間用止水材によれば、凍結環境下において、遊間用止水材の保護層5が水を含んだ状態で凍結しても、保護層5の亀裂や破壊等が生じることなく、保護層5は遊間10の伸縮変位を許容することができる。
【実施例3】
【0025】
図3は、本発明に係る遊間用止水材の第3の実施形態を示す図である。
以下では、第3の実施形態と上述した第1の実施形態の違い点を説明する。即ち、この第3の実施形態では、保護層4を柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7と、この柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7より硬い独立/連続混在気泡フォーム層8を遊間方向に交互に積層して形成する。
【0026】
この保護層4によれば、硬い独立/連続混在気泡フォーム層8では表面を除き雨水による含浸が少ないため、たとえ柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7に雨水による含浸が発生したとしても、硬い独立/連続混在気泡フォーム層8が遊間の伸縮変位に追従するため第1および第2の実施形態と同様の効果を発揮する。その他の構成は、第1の実施形態と同じである。
なお、硬い独立/連続混在気泡フォームの表面8と柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7の硬さの違いは、例えば弾性率が異なるものであってもよい。
【0027】
したがって、この第3の実施形態に係る遊間用止水材によれば、凍結環境下において、遊間用止水材の保護層4が水を含んだ状態で凍結しても、保護層4の亀裂や破壊等が生じることなく、保護層4は遊間10の伸縮変位を許容することができる。
【0028】
この第3の実施形態の変形例として、前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7の代わりに連続気泡フォーム層としても良い。この連続気泡フォーム層を使用した場合でも、硬い独立/連続混在気泡フォーム層8が遊間の伸縮変位に追従するため同様の効果を発揮する。
【実施例4】
【0029】
図4は、本発明に係る遊間用止水材の第4の実施形態を示す図である。以下では、第4の実施形態と上述した第1の実施形態の違い点を説明する。即ち、この第4の実施形態では、保護層4を柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7と、この柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7より硬い独立/連続混在気泡フォーム層8を遊間方向に交互に積層し、更にその上層に硬い独立/連続混在気泡フォームの表面9を形成して構成する。
【0030】
この保護層4によれば、上層の硬い独立/連続混在気泡フォームの表面9は、連続気泡の割合が少ないため雨水等の含浸が少なく、凍結環境においても凍結による影響は殆ど無い。また、下層に位置する柔らかい及び硬い独立/連続混在気泡フォーム層7,8は、雨水による含浸が少ないため、保護層4は遊間10の伸縮変位に追従することができる。その他の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0031】
なお、硬い独立/連続混在気泡フォームの表面8と柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7の硬さの違いは、例えば弾性率が異なるものであってもよい。
【0032】
したがって、この第4の実施形態に係る遊間用止水材によれば、凍結環境下において、遊間用止水材の保護層4が水を含んだ状態で凍結しても、保護層4の亀裂や破壊等が生じることなく、保護層4は遊間10の伸縮変位を許容することができる。
【0033】
また、上層の硬い独立/連続混在気泡フォームの表面9が何らかの要因で破損し、下層に位置する柔らかい及び硬い独立/連続混在気泡フォーム層7,8が水を含んだ状態で凍結しても亀裂や破壊等が生じることなく、保護層4は遊間10の伸縮変位を許容することができる。
【0034】
この第4の実施形態の変形例として、前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層7の代わりに連続気泡フォーム層としても良い。この連続気泡フォーム層を使用した場合でも、上層の硬い独立/連続混在気泡フォームの表面9は、連続気泡の割合が少ないため雨水等の含浸が少なく、凍結環境においても凍結による影響は殆ど無いため、同様の効果を発揮する。
【実施例5】
【0035】
図5は、本発明に係る遊間用止水材の第5の実施形態を示す図である。
図5に示した第5の実施形態に係る遊間用止水材は、配設すべき遊間10の道路の幅方向に形成された取り付け部の両端面1に止水層11が接着し、全体として伸縮可能な支持層2の上面および両側面に止水層11が固着一体化されて形成されている。更に、止水層11の上面には保護層4が固着一体化されて形成されている。更に、保護層4の上面には遊間10の伸縮に追随する遊間用伸縮継手20a、20bが配設されている。
【0036】
この場合、保護層4の構成は上述した第1乃至第4の実施形態で示した保護層4が適用される。また、支持層2を上述したように独立気泡フォームや連続気泡フォームを遊間方向に積層して形成しても良く、また連続気泡フォームのみによって形成しても良い。
【0037】
上記実施例1乃至5に係わる遊間用止水材の保護層4には、以下の物性の気泡フォームを適用することができる。
【0038】
即ち、独立/連続混在気泡フォーム層は、比重:0.085g/cm3(JIS K 6767)、50%圧縮荷重値:3.0kPa(JIS K 6767)の物性を発現するエチレン・プロピレンゴムによって構成することができる。
【0039】
また、柔かい独立/連続混在気泡フォーム層は、比重:0.085g/cm3(JIS K 6767)、50%圧縮荷重値:3.0kPa(JIS K 6767)の物性を発現するエチレン・プロピレンゴムによって構成することができる。
【0040】
更に、硬い独立/連続混在気泡フォーム層は、比重:0.120g/cm3(JIS K 6767)、50%圧縮荷重値:6.3kPa(JIS K 6767)の物性を発現するエチレン・プロピレンゴムによって構成することができる。
【0041】
これらの独立/連続混在気泡フォーム層を作製するには、例えば、発泡剤を含むゴムコンパウンド(カーボンなどの充填材を混合したもの)を、一定温度(100〜150℃程度)で加熱することにより発泡反応と加硫反応とを同時に進行させて、独立気泡フォームを得、ついで、この独立気泡フォームを該フォームよりも厚みの小さいロールの間隙に通すことによって、独立気泡の膜が破損し、部分的に連続気泡となった独立/連続混在気泡フォームが得られる。
【0042】
また、エチレン・プロピレンゴムに代えて、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、ブタジエンゴム、天然ゴムなどを使用し、同様にして独立/連続混在気泡フォームを作製してもよい。
【0043】
次に、独立/連続混在気泡フォーム、連続気泡フォームおよび独立気泡フォームの各圧縮荷重の測定値を図6に示す。圧縮荷重の測定方法は、JIS K 6767に準拠した。
【0044】
図6に示すように、独立気泡フォームは、弾性変形であり、圧縮変形にほぼ比例して、圧縮応力が増加している。独立気泡フォームは、ほとんど水が浸入しないので、遊間止水材の保護層に用いると、凍結時における止水膜の損傷を防止できるが、圧縮荷重が大きいという特性を有する。すなわち、独立気泡フォームは、図6に示すように、50%圧縮荷重値が約40kPa(0.04MPa)にも達している。このため、(1)独立気泡フォームを保護層4(防塵層)として用いると、圧縮された際に座屈変形が発生してしまう、(2)独立気泡フォームを圧縮して遊間に取り付ける際に、より大きな力で圧縮する必要があるため施工性が非常に悪い、といった問題がある。
【0045】
一方、連続気泡フォームは、圧縮荷重が独立気泡フォームよりも小さいため、上記のような問題は生じないが、雨水等が浸入し易いため、寒冷地等において連続気泡フォームで構成された保護層が水を含浸したまま凍結した場合には、フォーム自体の体積変化が拘束され遊間の伸縮を阻害することから、保護層に亀裂や破壊が生じ、よって止水層の亀裂を誘発し、水漏れを起こしやすい。
【0046】
このような問題を解決し、凍結時における止水膜の損傷を防止するために、本発明では、独立/連続混在気泡フォームを保護層4に使用している。これにより、本発明では、座屈や施工性の問題を解決できる一方、凍結時に保護層に亀裂や破壊が生じて止水層が亀裂などの損傷を受ける危険性を低減することができる。
【0047】
本発明に係る独立/連続混在気泡フォームとしては、前記したように独立気泡フォーム内の独立気泡の膜を意図的に破損させ、連続気泡フォームと同等か、それ以下の圧縮応力としたものが好ましい。具体的には、保護層4を構成する独立/連続混在気泡フォーム層、又は前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層5、若しくは前記硬い独立/連続混在気泡フォーム層6の50%圧縮荷重値が1.0〜20.0kPaの範囲であるのがよい。これに対して、50%圧縮荷重値が20.0kPaを超える場合は、独立気泡フォームにおける前記した(1)、(2)の問題が発生するおそれがある。
【0048】
以上のように、各実施形態の遊間用止水材によれば、凍結環境下において止水材の保護層が水を含んだ状態で凍結しても保護層に亀裂や破壊等が生じることなく、遊間の伸縮変位を許容することができる。
【0049】
なお、本発明における保護層は、前記実施形態の変形例で説明したように、必ずしも保護層全体が独立/連続混在気泡フォーム層で構成されていなくてもよく、例えば連続気泡フォーム層と組み合わせるなどして、種々の変形や改善が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係わる遊間用止水材の第1の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図2】本発明に係わる遊間用止水材の第2の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図3】本発明に係わる遊間用止水材の第3の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図4】本発明に係わる遊間用止水材の第4の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図5】本発明に係わる遊間用止水材の第5の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図6】独立/連続混在気泡フォーム、連続気泡フォームおよび独立気泡フォームの圧縮荷重の測定値を示すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
1・・端面、2・・支持層、3・・止水層、4・・保護層、
5・・柔かい独立/連続混在気泡フォーム層
6・・硬い独立/連続混在気泡フォームの表面
7・・柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層あるいは連続気泡フォーム層
8・・硬い独立/連続混在気泡フォーム層
9・・硬い独立/連続混在気泡フォームの表面
10・・遊間
11・・止水層
20・・遊間用伸縮継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、
前記支持層の上面に固着一体化された止水層と、
前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、
前記保護層は、一部または全部が独立気泡と連続気泡が混在する独立/連続混在気泡フォーム層によって形成されていることを特徴とする遊間用止水材。
【請求項2】
遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、
前記支持層の上面に固着一体化された止水層と、
前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、
前記保護層は、独立気泡と連続気泡が混在する柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層と、前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層の上に形成され前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層より硬い独立/連続混在気泡フォームの表面とによって形成されていることを特徴とする遊間用止水材。
【請求項3】
遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、
前記支持層の上面に固着一体化された止水層と、
前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、
前記保護層は、独立気泡と連続気泡が混在する硬い独立/連続混在気泡フォーム層と、前記硬い独立/連続混在気泡フォーム層より柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層または連続気泡フォーム層とが遊間方向に交互に積層して形成されていることを特徴とする遊間用止水材。
【請求項4】
遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、
前記支持層の上面に固着一体化された止水層と、
前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、
前記保護層は、独立気泡と連続気泡が混在する第1の硬い独立/連続混在気泡フォーム層と前記第1の硬い独立/連続混在気泡フォーム層より柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層または連続気泡フォーム層とが遊間方向に交互に積層した層と、その両層の上に形成された第2の硬い独立/連続混在気泡フォームの表面とによって形成されていることを特徴とする遊間用止水材。
【請求項5】
遊間の両端面に接着して設けられ、遊間全体の伸縮に応じて伸縮可能な支持層と、
前記支持層の上面および両側面に固着一体化された止水層と、
前記止水層の上面に固着一体化された保護層とを有し、
前記保護層は、一部または全部が独立気泡と連続気泡が混在する独立/連続混在気泡フォーム層によって形成されていることを特徴とする遊間用止水材。
【請求項6】
前記独立/連続混在気泡フォーム層、又は前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層、若しくは前記硬い独立/連続混在気泡フォーム層の50%圧縮荷重値が1.0〜20.0kPaの範囲であることを特徴とする請求項1及至5のいずれかに記載の遊間用止水材。
【請求項7】
前記独立/連続混在気泡フォーム層、又は前記柔らかい独立/連続混在気泡フォーム層、若しくは前記硬い独立/連続混在気泡フォーム層の材質が、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、ブタジエンゴムおよび天然ゴムから選ばれる請求項1及至6のいずれかに記載の遊間用止水材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−29069(P2006−29069A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177322(P2005−177322)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】