説明

運行支援装置、運行支援方法、運行支援プログラム

【課題】覚醒度に基づいて安全運転を運転者に促すようなルート検索(運行計画)を行う運行支援装置、運行支援方法、運行支援プログラムを提供する。
【解決手段】目的地により地図データに基づいてルート検索をして運転者に最適の運行ルートを提示する運行支援装置であって、目的地に関する情報を含む過去の運行ルートと運行ルートに対して運転者につき測定された時間ごとの覚醒度から構成される眠気データを有する眠気データベースと、運転者の心拍間隔に基づいて運行ルートに対して時間ごとに覚醒度を測定し、眠気データベースに記録させる動的覚醒度判断部と、ルート検索を行う際に、眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、眠気データベース内に該目的地と対応付けて格納されている複数のルートのうち、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択する運行計画作成部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、覚醒度に基づいて運行支援を行う技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
近年、運行支援装置(カーナビゲーションシステム)などを搭載した車両が一般化してきたことにより、初めて行く場所にも安心して行くことができるようになった。さらに、最近のカーナビゲーションシステムでは、ルート検索時に、最短時間で目的地に到着するための時間優先探索、移動のためのコストを重視した一般道優先探索などが装備されるようになっている。
【0003】
しかしながら、従来のカーナビゲーションシステムは上記のような運行支援はしているが、安全面を考慮していないという問題がある。つまり、運転者が長時間運転して疲れていても、緊張して運転する時間が長時間におよんでも、事故を起こす可能性が増加したとしても、それを回避するような安全面での対策や通知をしていない。
【0004】
特許文献1には、高速道路通過中の車両の走行軌跡が覚醒度低下運転の特徴を示すときには、格納された地図情報に基づき、最寄りの前記異常走行解消のための施設の方向および/または距離を案内する提案がされている。
【特許文献1】特許第2809338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
覚醒度に基づいて安全運転を運転者に促すようなルート検索(運行計画)を行う運行支援装置、運行支援方法、運行支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のひとつである目的地により地図データに基づいてルート検索をして運転者に最適の運行ルートを提示する運行支援装置である。目的地に関する情報を含む過去の運行ルートと、運行ルートに対して前記運転者につき測定された時間ごとの覚醒度から構成される眠気データを有する眠気データベースと、運転者の心拍間隔に基づいて運行ルートに対して時間ごとに覚醒度を測定し、眠気データベースに記録させる動的覚醒度判断部と、前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、前記眠気データベース内に該目的地と対応付けて格納されている複数のルートのうち、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択する運行計画作成部と、を備える構成である。
【0007】
上記により休憩を含めた無理のない運行計画が組まれるので、安心して運転を開始することができること、眠気を起こす前に休憩をとることになり、事故を起こす可能性が低くなる。
【0008】
また、動的に覚醒度を検知することで、初期状態時に反して、覚醒度が低下している場合やその逆の場合は、そのときの状況にあわせた柔軟な対応がとれる。例えば、眠くなると想定していなかったところで、急激な覚醒度の低下が見られた場合などでは、動的な経路探索を行って、運転者の危険も回避することができる。
【発明の効果】
【0009】
覚醒度に基づいて安全運転を運転者に促すようなルート検索(運行計画)を行うことが
できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。
(運行支援装置の構成)
図1に運行支援装置1(例えば、カーナビゲーションシステム)のブロック図を示す。運行支援装置1は、入力部2、個人認証部3、データベース選択部4、眠気データベース5、眠気特徴判断部6、初期ルート検索部7、地図データベース8、休憩嗜好リスト判断部9、運行案内情報生成部10、センサー11、動的覚醒度判断部12、動的ルート検索部13、制御部14、表示部15から構成されている。また、運行計画作成部は、データベース選択部4、眠気特徴判断部6、初期ルート検索部7、地図データベース8、休憩嗜好リスト判断部9、運行案内情報生成部10、動的ルート検索部13から構成されている。
【0011】
入力部2は、運転者がデータ入力や行先設定(目的地の入力)を行うときに使用するタッチパネルやキーボードなどの入力装置や、地図データなどを読み込むためのCD、DVDなどの記録媒体からデータを読み込む装置である。
【0012】
個人認証部3は、運転者が誰であるかを認証してデータベース選択部4に認証した結果を通知する。認証方法は例えばパスワードを入力してもよいし、生体認証などを用いてもよい。
【0013】
データベース選択部4は、認証結果に基づいて予め記録された個人別の眠気データを眠気データベース5(メモリ)から読み出して眠気特徴判断部6に出力するための制御を行う。また、眠気データベース5から休憩嗜好リストを読み出し休憩嗜好リスト判断部9に出力する制御を行う。また、初期ルート検索部7または入力部2より目的地のデータを取得する。
【0014】
眠気データベース5には後述する眠気データ、休憩嗜好リストなどのデータが格納されている。
眠気特徴判断部6は、読み込んだ眠気データを解析して運転者が運行に支障をきたす恐れが予想される時間帯、地域などを予測し、その予想結果(眠気予想データ)を初期ルート検索部7に転送する。
【0015】
初期ルート検索部7は、入力部2から入力された行先情報などのルートを検出するために必要なデータと、地図データベース8に格納されている地図データに基づいてルート検索をする。さらに、運転者や同乗者が安全面を重視する場合には、上記眠気特徴判断部6から眠気予想データを取得して安全な走行を考慮したルート検索を行い、初期のルート検索結果(初期ルート検索情報)を運行案内情報生成部10に転送する。
【0016】
地図データベース8は、入力部2にセットされた記録媒体に保存されている地図データである。または、記録媒体と別に設けたメモリに保存した地図データを示している。
休憩嗜好リスト判断部9は、運転者のよく立ち寄る飲食店やガソリンスタンドなどの情報が記録されている休憩嗜好リストを解析して解析結果を運行案内情報生成部10に転送する。
【0017】
運行案内情報生成部10は、出発時は初期ルート検索情報と上記解析結果に基づいて運行案内情報を生成する。運行案内情報は現在の車両の位置、地図、運行方向の指示、音声データなどの運行支援に必要な情報を有するデータである。
【0018】
また、出発後(移動中)は動的ルート検索部13により検索された後述する動的ルート検索情報に基づいて運行案内情報は更新される。
また、初期ルート検索情報や動的ルート検索情報から得られる情報を必要に応じて眠気データベース5の対応する運転者の眠気データベース5a、5b、5cに保存し、眠気データベースの更新がされる。
【0019】
センサー11は、運転者の身体的変化を検知して動的覚醒度判断部12に転送する。例えば、運転者に電極を接触させてその電極に電圧を印加し、その電極の電位差から心拍信号を取得する。または、心臓の鼓動を捕らえるものであれば心電計、脈波計、心音センサーなどを用いてもよい。
【0020】
動的覚醒度判断部12は、センサー11から転送されたデータにより運転者の覚醒度を判断する。また、測定した覚醒度のデータは眠気データベース5にリアルタイムで記録される。
【0021】
動的ルート検索部13は、動的覚醒度判断部12から転送された覚醒度、車両位置、運行時間などに基づいて再度ルート検索を行う。
制御部14は運行支援装置の制御を行う。
【0022】
表示部15は、運行案内情報生成部10で生成された運行案内情報に基づいて生成された画像を表示する。
なお、図示していないが音声データを出力するスピーカなども備えており運行案内情報に基づいて生成された音声を出力する。
【0023】
(覚醒度判断方法)
動的覚醒度判断部12について説明する。動的覚醒度判断部12は、心拍間隔算出、スペクトル算出、ピーク周波数算出、ピーク周波数クラスタリング、覚醒度判定などの演算処理を行う。
【0024】
例えば、運転者の心拍信号をセンサー11により計測し、動的覚醒度判断部12により心拍信号の振幅のピーク間隔を算出し、さらに、その心拍信号の振幅ピーク間隔の変動に対するスペクトル密度を計算する。そして、スペクトル密度が極大となる周波数を算出し、極大周波数を各クラスタに分類する。
【0025】
心拍間隔算出は、心拍信号の振幅のピーク間隔の検出をする。図2のA(心電の強さ−時間)ではピーク間隔を算出するために、心拍信号をセンサー11から取得し、予め設定した閾値(図2のAの破線)以上になるポイントを検出する(振幅波形の立ち上がり、立ち下がりどちらで検出してもよい)。そして、検出したポイントの計測時間をメモリに記憶し、この計測時間に基づいて心拍間隔(心拍間隔データ)算出する。図2のAのように検出したポイントの計測時間がT1〜T3である場合、心拍間隔w1はT2−T1=w1、心拍間隔w2はT3−T2=w2のように算出する。また、心拍信号の微分係数が正から負に変わるゼロクロス点を用いてもよいし、振幅波形にパターンマッチングを行い振幅ピークの検出を用いて心拍間隔を検出してもよい。
【0026】
スペクトル算出は、時間の変化によって変動する心拍間隔の差である心拍間隔変動を算出する。図2のB(心拍間隔−時間)のように、図2のAで算出した心拍間隔データw0、w1、w2に基づいて心拍間隔変動(心拍間隔変動データ)を算出するときは、心拍間隔変動h1は|w1−w0|=h1、心拍間隔変動h2は|w2−w1|=h2のように算出する。
【0027】
次に、心拍間隔変動データに基づいて各周波数に対するスペクトル密度を算出する(図2のC(周波数−スペクトル密度)を参照)。スペクトル密度は、ARモデル(Auto-regressive model)やフーリエ変換によって算出することができる。周波数は図2のAに示す心拍間隔の波形データを周波数解析したものである。
【0028】
ARモデルを用いてスペクトル密度を算出する方法を説明する。ARモデルは、ある時点の状態を過去の時系列データの線形和で表すモデルであり、フーリエ変換と比較して少ないデータ数でも明瞭な極大点が得られる。
【0029】
時系列x(s)のp次のARモデルは、過去の値に対する重みであるAR係数a(m)および誤差項e(s)を用いて、式1によって表すことができる。ここで、e(S)はホワイトノイズを表している。
【数1】

【0030】
そして、pを同定次数としてk次のAR係数を式2のように示し、fをサンプリング周波数、εを同定誤差としてスペクトル密度を式3のように表すことができる。
【数2】

【0031】
そして、スペクトル算出では、式3および心拍間隔変動データに基づいて、スペクトル密度データを算出する。
ピーク周波数算出は、スペクトル密度データに基づいてスペクトル密度が極大となる周波数(極大周波数)および極大周波数に対応するスペクトル密度(極大スペクトル密度)を算出する。
【0032】
【数3】

つまり、式3に示す周波数fを極大周波数として算出し、この極大周波数を式(4)に代入することによって極大スペクトル密度を得る。
【0033】
ピーク周波数クラスタリングの処理は、極大周波数および極大スペクトル密度を複数のクラスタ(図3の表Aに示すデータ:クラスタ1〜)に分類してメモリに記憶する。つまり、類似する極大周波数ごとに各クラスタに分類される。ここで、類似する極大周波数とは予め設定した所定帯域に含まれる極大周波数である。また、クラスタデータ(図3の表A)はそれぞれの極大周波数に極大スペクトル密度が対応付けられて構成されている。
【0034】
このクラスタデータは、計測開始後一定時間の極大周波数および極大スペクトル密度のデータを取得して初期登録してもよいし、個人ごとに予め作成されたデータベースから個人固有の極大周波数および極大スペクトル密度のデータに基づいて初期登録してもよい。
【0035】
また、図3の表Bに示すように各クラスタには、代表周波数および代表スペクトル密度を設ける。代表周波数は、クラスタに含まれる極大周波数の代表値であり、代表スペクトル密度は、クラスタに含まれる極大スペクトル密度の代表値である。
【0036】
代表周波数は、クラスタに含まれる極大周波数の平均によって算出することができ、代表スペクトル密度も、クラスタに含まれる極大スペクトル密度の平均によって算出することができる。
【0037】
また、極大周波数のデータと代表周波数とを比較し、極大周波数と代表周波数との差が最小となるクラスタにこの極大周波数および対応する極大スペクトル密度を登録する。
覚醒度判定は、所定時間ごとに取得した対象のクラスタの代表周波数および代表スペクトル密度を取得し、取得した代表周波数および代表スペクトル密度から運転者が覚醒状態か否かを判定する。
【0038】
例えば、図4のグラフに示すように3段階の領域を設けて運転者の覚醒状態を判定する。図4では3段階の領域として安全領域、注意領域、危険領域が設定されており、どの領域にプロットされるかによって運転者の覚醒状態(覚醒度)を判定する。安全領域は運転者が覚醒していて眠くない状態であることを示す領域である。注意領域は運転者が少し眠くなりやや危険な状態であることを示す領域である。危険領域はかなり眠く危険な状態であることを示す領域である。なお、図4では3段階の領域を設けているが特に限定するものではなく、複数の領域を設定してもよい。
【0039】
なお、図4は所定時間ごとに対象のクラスタの代表周波数および代表スペクトル密度の関係を示したグラフであり、75分間の運行時の運転者の運転開始から運転終了までの覚醒度を示し、縦軸にスペクトル密度、横軸に周波数を示している。
【0040】
上記のグラフから分かるように、運転者の代表周波数および代表スペクトル密度が危険領域に入らないように運行を支援することにより安全運転をすることができる。
(安全運行)
車で出かける場合、同じような時間に出発することが多い。例えば、DL遊園地に行く場合は、土曜日の朝早く出かけ、帰りは、閉演時間の近くに帰るなど、人間側の条件(眠さ、体調)や、環境条件(渋滞状態など)が比較的そろうと考えられる。つまり、運転者は、比較的同じ行動をとりやすい傾向があることがいえる。
【0041】
そこで、運転者がどのようにすれば安全運行ができるかを考えると、休憩をとるタイミングが重要であることがわかる。
例えば、運転者の覚醒度が図4に示したように注意領域、危険領域に移行しようとするタイミングで休憩をすると眠気が回復して覚醒度が安定領域またはその付近に移行する。
【0042】
図5に示すグラフは所定時間ごとに対象のクラスタの代表周波数および代表スペクトル密度の関係を示したグラフであり、運行時の運転者の運転開始から運転終了までの覚醒度を示し、縦軸にスペクトル密度、横軸に周波数を示している。例えば、自宅からDL遊園地に何度かいった場合の眠気データを表している。
【0043】
図5Aは運転者の覚醒度が安全領域から危険領域に移行した場合のグラフであり、休憩
なしで危険な状態で運転を続けた場合のグラフである。
図5B、図5Cは運転者が眠気を覚ますために、安全領域から注意領域に覚醒度が移行した場合に、サービスエリア(SA)またはコンビニエンスストアに立ち寄り休憩をして覚醒度を安全領域または安全領域付近まで戻して再び運行をした場合のグラフである。
【0044】
上記のような結果から、安全運行をするためには従来の運行支援装置のルート検索だけでなく、以前安全運転ができたルート(図5B、Cのようなルート)、運転者ごとの眠気の特徴(覚醒度)を眠気データベースに保存しておき、運転開始時には、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択することにより安全な運行計画が立てられる。
【0045】
また、運転を開始した後は、現状の覚醒度をリアルタイムで判断し、適時、休憩場所を検索し運行計画を再設定(ルートの引きなおし)することにより安全な運行計画が立てられる。
【0046】
このように、従来のように運転者が眠くなってから眠気を解消する施設を案内するよりも、運転者が眠くならないような運行計画(ルート+休憩場所)を初めから出力したほうが、より安全な運行に寄与できる。
【0047】
(安全運行支援方法)
運転開始時に行う初期ルート検索により計画される運行計画(初期運行計画)と、既に設定された運行計画と現在の覚醒度により動的に運行計画を再設定(動的運行計画)する方法について説明する。
【0048】
(初期運行計画)
初期運行計画は、行ったことがある場所を目的地に設定した場合、あるいは、目的地の途中に通ったことがあるルートが用いられる場合に、眠気が起きにくいルートを選択するものである。
【0049】
まず、眠気データベース5により眠気データを抽出する。また、休憩嗜好リストが登録されていれば抽出する。
図1の入力部2から運転者を特定するために個人認証用のデータが個人認証部3に入力される。個人認証が完了するとデータベース選択部4に、運転者に対応する眠気データを取得するためにデータを通知する。また、データベース選択部4には、初期ルート検索部7から目的地を示すデータが入力される。データベース選択部4は眠気データベース5から運転者の眠気データを選択し、さらに、目的地に以前行ったことがある場合には、眠気データベース5から運転者に対応する既存の眠気データを読み出して初期運行計画の設定をするための準備をする。行ったことがない場合には既存の運転者に対応するデータを読み出す。
【0050】
眠気データベース5に記録されているデータベースについて図6を用いて説明する。
図6のデータベースは、以前に運行したときに眠気データベース5に記録された運行記録と覚醒度の記録である。
【0051】
図6のデータベースの「運転者」には、図1であれば運転者名A(父)、運転者B名(長男)、運転者名C(長女)が記憶されている(データベース5a(父:A)、データベース5b(長男:B)、データベース5c(長女:C))。
【0052】
「目的地」には、以前入力した目的地が記憶されている。図6では「DL遊園地」「軽井沢」「湘南海岸」などが記録されている。
「出発地」には、以前入力した目的地に対応する出発地が記憶されている。図6では「自宅」「海老名」などが記録されている。
【0053】
「出発時間」「到着時間」には以前入力した目的地に対応する出発時間と到着時間が記憶されている。
「測定時間」には運転開始から一定間隔で測定時間が記録されている。図6では、10分間隔で測定をしている。
【0054】
「緯度」「経度」には休憩したときの車両位置が記録されている。図6では、「La1」「Lo1」、「La2」「Lo2」が記録されているが、実際には記号ではなく休憩した場所の緯度、経度が記録されている(図6の丸範囲)。例えば、ある場所に一定時間以上停車していた場合、GPS位置と経過時間から休憩していたと判断し、その時間も記録しておく。
【0055】
図6では休憩したときに緯度、経度のデータを記録しているが、走行中(休憩場所以外)の通過場所の緯度、経度のデータを記録してもかまわない。
「覚醒度」は、覚醒度のレベルが記録されている。図6では、図4、図5などで説明したように安全領域、注意領域、危険領域によって3段階に分け、さらに図7の表Aに示すように4段階に覚醒度を「1」〜「4」段階に分けている。つまり、図7のBのグラフに示すように安全領域を覚醒度「1」、注意領域は覚醒度「2」「3」、危険領域に覚醒度「4」を割り付けている。
【0056】
なお、休憩中は運転者が車両を離れるため覚醒度が記録されていない。また、目的地、出発地、出発時間、到着時間を空欄として、単に走行開始からの経過時間とその時点での覚醒度とを対応付けて記録したデータを予備データとして記録しておいても構わない。
【0057】
また、別の方法として、図8に示すように覚醒度が変化したときのみを記録しておく方法も考えられる。図8は、図6の表61、表62に示された範囲を、覚醒度が変化したときのみ記録した表である。
【0058】
また、図9に示す表は休憩嗜好リストであり運転者(A、B、C)ごとに用意されている。
「休憩場所」には運転者が以前休憩した休憩場所が記録されている。例えば、ガソリンスタンド、レストラン、コンビニエンスストア、サービスエリアなどである。
【0059】
「回復度」には、以前休憩したときにどれくらい覚醒度が回復したかが記録されている。例えば、図6の「運行者」A、「目的地」軽井沢に行ったときに、コンビニエンスストアANPNに立ち寄り30分間(90分〜120分)休憩を取ったときに覚醒度「4」から覚醒度「2」に回復している。すなわち該コンビニエンスストアANPNの回復度は「2」である。つまり、次回もコンビニエンスストアANPNに立ち寄ると覚醒度が「2」回復することが予測される。
【0060】
次に、以前行ったことがある目的地に再度行く場合において、眠気データベース5より眠気データを抽出し、初期運行計画を設定する場合について説明をする。
運転者Aが、以前行った軽井沢に再度いく例について説明をする。運転者Aが再度軽井沢に行く場合、データベース選択部4が、眠気データベース5から眠気データとして表62に示したデータを眠気特徴判断部6に転送し、休憩嗜好リストとして図9の表Aに示したデータを休憩嗜好リスト判断部9に転送する。
【0061】
眠気特徴判断部6では、覚醒度が例えば「3」以上である箇所を検索し、その時間の周辺で休憩場所があるかを検索する。検索の結果、運転者Aは運転開始から40分後に既に
覚醒度が「3」になっていることがわかる。
【0062】
以前、運転者Aは、覚醒度が「4」でも運転をしているため覚醒度が危険領域に入らないうちに覚醒度を安全領域付近にするため、運転開始から40分または50分後に休憩を取る必要があると判断し、その判断結果である眠気予想データを初期ルート検索部7に転送する。
【0063】
初期ルート検索部7は、地図データと眠気予想データに基づいてその時間にいる位置を予測し、その周辺にある休憩場所を探索する。安全運転を考慮していない基本のルート検索結果に探索した休憩場所で休憩をするようにルートを変更した初期運行計画を生成する。
【0064】
また、休憩場所を探す場合に休憩嗜好リスト判断部9で運転者の好みの休憩場所があればその休憩場所を優先的に設定する。
もし、選択した眠気予想データを検索して覚醒度「3」以上がなければ安全運転を考慮していない基本のルートの運行計画のまま利用してもよい。
【0065】
次に、上記で生成した運行計画を初期ルート検索情報として運行案内情報生成部10に転送する。
ここで、初期運行計画が複数個あるときは、推奨ルートを提示する。
【0066】
なお、初期運行計画だけを設定する場合には、図1に示したブロック図の動的ルート検索部13がなくてもよい。
初期運行計画に生成方法について図10のフロー図を用いて説明する。
【0067】
ステップS101では個人認証をして運転者を特定する。
ステップS102では目的地が選択される。
ステップS103では、選択された目的地が既に行ったことがある場所かを判定する。即ち、眠気データベース5に、該目的地を含んだデータが格納されているか否かを判定する。行ったことがある、即ち、眠気データベース5に、該目的地を含んだデータが格納されている場合にはステップS104に移行する。行ったことがなければ、即ち、該目的地を含んだデータが格納されていなければステップS105に移行する。
【0068】
さらに、他の既存目的地において通過したことがある地域(場所)があるかを判定し、通過したことがある場合にはステップS104に移行し、通過したことがなければステップS105に移行してもよい。
【0069】
ステップS104では、眠気データベース5から対象の運転者と目的地とに対応する既存の眠気データの読み出しをする。
ステップS105では、S104同様、眠気データベース5から対象の運転者に対応する既存の眠気データの読み出しをする。なお、S105においては、目的地や時間に関係なく走行開始からの経過時間と覚醒度と記録した予備データを読み出しても良いし、S102で設定された目的地から所定の距離内に位置する目的地を含んだ眠気データを読み出しても良いし、現在時刻から所定の時間内である出発時刻を含んだ眠気データを読み出しても良い。
【0070】
ステップS106では、初期運行計画の設定をする。
初期運行計画の設定は図11に示すように行う。
ステップS111では覚醒度n以上の検索をする。図7ではn=3とする。もし、覚醒度「3」以上がない場合はステップS112に移行する。覚醒度「3」以上がある場合に
はステップS113に移行する。
【0071】
ステップS112では既存運行計画をそのまま設定する。既存の運行計画とは安全運転を考慮していない基本のルート検索結果である。
ステップS113では、覚醒度が「3」以上になった時間と車両位置の周辺で休憩場所を探索し設定する。この場合、休憩場所として、運転者に対応する休憩嗜好リストを参照し、覚醒度を3以下に回復可能な回復度と対応付けられている休憩場所を選択する。
【0072】
ステップS114では、既存運行計画に探索した休憩場所に立ち寄る追加設定をする。
上記のように初期運行計画を立てることにより運転者は安全運転をすることができる。
(動的運行計画)
動的運行計画について説明する。動的運行計画では、初期運行計画に従った運行中に、現在の覚醒度に基づいて、覚醒度に変化が見られない場合に、より強い反応が得られる休憩をするように運行計画を再設定する。
【0073】
動的覚醒度判断部12により判定された覚醒度を一定時間ごとに動的ルート検索部13が取得する。動的ルート検索部13は、現在の運転者の覚醒度が危険領域または危険領域付近にある場合は、休憩が必要であると判定する。その後、現在の運転者の覚醒度を休憩により回復するために、休憩する場所を探索する。休憩をする場所は、現在の覚醒度が安定領域または安定領域付近に回復可能な回復度を有する休憩場所を選択する。また、運転者の嗜好にあわせた休憩場所は、例えば該運転者と対応付けられている休憩嗜好リストなどを用いて選択し、選択された休憩場所を追加したルートを再検索する。再検索結果である動的ルート検索情報を運行案内情報生成部10に転送する。
【0074】
ここで、実際には初期運行計画で予測した時間帯と異なる時間に覚醒度が危険領域や危険領域付近になることがある。そこで、覚醒度が予め設定した覚醒度になった場合に運転者に休憩場所を提示するために判断を行う。例えば、判断開始の覚醒度として「3」が予め設定されていたときは、現在の運転者の覚醒度が「3」以上になったときに動的ルート検索を行う。
【0075】
また、初期運行計画では休憩をする時間であっても、現在の運転者の覚醒度が安全領域であれば休憩をしなくていいため、運転者に休憩が必要であるかの確認をしてもよい。さらに、このとき休憩が必要でなければ、この時間帯に休憩するはずの休憩場所に立ち寄らないように動的ルート検索をしてもよい。
【0076】
次に、運行案内情報生成部10は、新しい動的ルート検索情報を運行案内情報に盛り込み制御部14に転送する。新しいルートを眠気データベース5に記録する(更新)。
なお、以前行ったことがある目的地に再度行った場合、眠気データベース5の対応する古い眠気データを更新して最新の眠気データを記録してもよいし、新旧の眠気データを記録しておいてもよい。
【0077】
動的ルート検索の動作について図12を用いて説明する。
ステップS121〜ステップS123は、初期運行計画を立てるステップである。
ステップS124で運転が開始される。
【0078】
ステップS125では、リアルタイムで生成された覚醒度を取得する。
ステップS126では覚醒度に基づいて運行計画の見直しを判断する。初期運行計画で予測した時間帯と異なる時間に覚醒度が危険領域や危険領域付近になることがある。そこで、覚醒度が予め設定した覚醒度になった場合に運転者に休憩場所を提示するために判断を行う。現在の運転者の覚醒度が、予め設定した覚醒度以上であるかを判定する。例えば
、覚醒度「3」が予め設定されていたときは、現在の運転者の覚醒度が「3」以上になったときにステップS127に移行する。覚醒度が「3」以上でないときはステップS128に移行する。
【0079】
なお、現在の運転者の覚醒度が一定の時間連続したときにステップS127に移行してもよい。
ステップS127では運行計画を再設定する。再設定した運行計画である動的運行計画は眠気データベース5に記録される。ここでは、休憩場所として、運転者に対応する休憩嗜好リストを参照し、現在の車両位置周辺に存在し、かつ覚醒度を3以下に回復可能な回復度と対応付けられている休憩場所を選択する。そして、運行計画の再設定として、該選択した休憩場所を新たな通過地点として運行中のルートに追加する。
【0080】
ステップS128では目的地到達に到着したかを判断する。到着していないときはステップS125に移行する。到着した場合には運行案内を終了する。
上記により、眠気を回避した(安全な)個人にあわせた精度の高いルート検索ができる。
【0081】
(変形例1)
動的覚醒度判断部12は眠気方向を検知してもよい。
図4に示すように、代表周波数および代表スペクトル密度の関係が、周渡数が低下し、かつ、代表スペクトル密度が上昇する方向に移行する際に(図4の矢印:眠気方向)、運転者が覚醒状態から睡眠状態に移行していると判定することができる。つまり、取得した代表周波数および代表スペクトル密度の変動傾向から運転者が覚醒状態か否かを判定する。
【0082】
図13に動作フローを示す。
ステップS131では、時間Tにおける覚醒度を測定し、例えば覚醒度「2」(m)以上の検索を行い、覚醒度が「2」以上であればステップS132に移行する。覚醒度が「2」以上でなければループする。
【0083】
ステップS132では、時間T+Δtにおける覚醒度を測定し、例えば覚醒度「3」(n)以上の検索を行い、覚醒度が「3」以上であればステップS113に移行し、覚醒度が「2」以上でなければステップS112に移行して図11と同じように処理をおこなう。
【0084】
(変形例2)
覚醒度を顔面表情から判断してもよい。例えば、覚醒度1として視線の移動が速く頻繁である、瞬きは2回位の安定した周期、動きが活発で身体の動きをともなう。
【0085】
覚醒度2として、唇を開いている。視線移動の動きが遅い。
覚醒度3として、瞬きはゆっくりと頻発、口の動きがある、座り直し有り、顔に手おやる。
【0086】
覚醒度4として、意識的と思われる瞬きがある、頭を振る、肩の上下動などの無用な身体全体の動きがある、あくびは頻発し深呼吸も見られる、瞬きも視線の動きも遅い。
覚醒度5として、瞼を閉じる、頭が前に傾く、頭が後ろに倒れる。
【0087】
上記のような運転者の顔面表情の画像データを取得して、その画像データを画像処理などして、上記実施例の覚醒度の変わりに使用してもよい。
(変形例3)
帰りのルートも検索し、眠くならずに運転できたルートを記録しておき、後ほど推奨ルートとして運転者に簡単に提示できるようにする。
【0088】
例えば、出発地を神奈川県小田原市、目的地をDL遊園地とした場合に、行きは、神奈川県小田原市発→小田原厚木道路→東名高速道路→海老名SAで休憩15分→横浜出口→保土ヶ谷バイパス→首都高速湾岸線→大黒PA休憩15分→京葉道路→葛西IC出口→DL遊園地であれば、帰りは、DL遊園地→葛西IC入口→京葉道路→首都高速湾岸線→大黒PA休憩15分→保土ヶ谷バイパス→東名高速道路横浜IC→東名高速道路→海老名SAで休憩15分→小田原厚木道路→小田原着のようにしてもよい。
【0089】
また、高速道路優先、一般道優先のほかに、疲れにくい(眠くならない)ルート検索を作成する。
また、ルート検索時にいくつかの候補を表示して運転者に選択させる。動的な状況を見ながら、推奨運行計画の眠気遷移状態と明らかに異なれば別の運行計画を再設定する。
【0090】
また、眠気データ内容として運行時の時刻や天候を含んでも良い。運行時の時間や天候の含んでいる場合には、新たに目的地の入力を受け付けた時点の時刻および天候と類似している履歴を参照するようにしてもよい。
【0091】
眠気データベースに下記を記録してもよい。1)全覚醒度レベルの遷移ログ、2)どのくらい連続運転すると眠くなる傾向があるか、3)季節、4)天候、5)特定の場所(必ず眠くなる場所(覚醒度レベルより判断)、6)通勤時、7)よく行く場所、8)長時間運転しても眠くならなかったルート、条件(時間、天候など)を記録してもよい。
【0092】
また、図1の運行支援装置1の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散、統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または任意の一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能はその全部または任意の一部がCPUよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0093】
図14は、図1に示した運行支援装置1を構成するコンピュータのハードウェアの構成を示す図である。このコンピュータは、運転者からのデータの入力を受け付ける入力部2、表示部15、RAM141(Random Access Memory)、ROM142(Read Only Memory)、各種プログラムを記録した記録媒体からプログラムを読み取る媒体読取装置143、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行うネットワークインターフェース144、被験者の心拍を検出するセンサー11、CPU145(Central Processing Unit)、および、HDD146(Hard Disk Drive)をバス148で接続して構成される。
【0094】
そして、HDD146には、上述した運行支援装置1の機能と同様の機能を発揮するプログラム147が記憶されている。そして、CPU145が、そのプログラム147をHDD146から読み出して実行することにより、上述した運行支援装置1の機能部の機能を実現する。
【0095】
また、HDD146、RAM141、ROM142などのメモリに、眠気データベースのデータなどを格納している。
ところで、プログラム147は、最初からHDD146に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータに挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DV
Dディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータに接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにプログラム147を記憶しておき、コンピュータがこれらからのプログラム147を読み出しで実行するようにしてもよい。
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0096】
以上実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
目的地により地図データに基づいてルート検索をして運転者に運行ルートを提示する運行支援装置であって、
目的地に関する情報を含む過去の運行ルートと、前記運行ルートに対して前記運転者につき測定された時間ごとの覚醒度から構成される眠気データを有する眠気データベースと、
前記運転者の心拍間隔に基づいて前記運行ルートに対して時間ごとに前記覚醒度を測定し、前記眠気データベースに記録させる動的覚醒度判断部と、
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、前記眠気データベース内に該目的地と対応付けて格納されている複数のルートのうち、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択する運行計画作成部と、
を備えることを特徴とする運行支援装置。
(付記2)
前記運行計画作成部は、
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、あるいは、前記ルート検索の結果検索されたルート上に前記眠気データベースに既に記録されている場所がある場合は、前記眠気データベースより対象の眠気データを抽出し、該抽出した眠気データが予め設定した覚醒度以上になっている場合に、該覚醒度を回復させる回復度を持つ休憩場所を含むルートである初期運行計画を作成することを特徴とする付記1に記載の運行支援装置。
(付記3)
前記運行計画作成部は、
前記動的覚醒度判断部の測定結果である覚醒度に基づいて、該覚醒度が予め設定した覚醒度以上になった場合、前記運転者の覚醒度を安全な覚醒度に回復可能な回復度を有する前記休憩場所を探索し、前記休憩場所を含む運行計画を再設定することを特徴とする付記1または2に記載の運行支援装置。
(付記4)
前記休憩場所は、
前記運転者の嗜好に基づいて作成された休憩嗜好リストから選択することを特徴とする付記1〜3のいずれかにひとつに記載の運行支援装置。
(付記5)
目的地により地図データに基づいてルート検索をして運転者に最適の運行ルートを提示する運行支援方法であって、
目的地に関する情報を含む過去の運行ルートと、前記運行ルートに対して前記運転者につき測定された時間ごとの覚醒度から構成される眠気データを記録する眠気データベースと、
前記運転者の心拍間隔に基づいて前記運行ルートに対して時間ごとに前記覚醒度を測定して前記眠気データベースに記録し、
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新た
な目的地として設定された場合、前記眠気データベース内に該目的地と対応付けて格納されている複数のルートのうち、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択する、
ことを特徴とする運行支援方法。
(付記6)
目的地により地図データに基づいてルート検索をして運転者に最適の運行ルートを提示する運行支援プログラムであって、
コンピュータに、
目的地に関する情報を含む過去の運行ルートと、前記運行ルートに対して前記運転者につき測定された時間ごとの覚醒度から構成される眠気データベースに、前記運転者の心拍間隔に基づいて前記運行ルートに対して時間ごとに前記覚醒度を記録する処理と、
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、前記眠気データベース内に該目的地と対応付けて格納されている複数のルートのうち、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択する処理と、
を実行させることを特徴とする運行支援プログラム。
(付記7)
前記運行計画作成部は、
前記覚醒度に基づいて眠気方向を検知することを特徴とする付記1に記載の運行支援装置。
(付記8)
前記運行計画作成部は、
顔面表情から覚醒度を検出することを特徴とする付記1に記載の運行支援装置。
(付記9)
前記眠気データベースに、天気または季節を対象の前記覚醒度と対応するように記録することを特徴とする付記1に記載の運行支援装置。
(付記10)
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、あるいは、前記ルート検索の結果検索されたルート上に前記眠気データベースに既に記録されている場所がある場合は、前記眠気データベースより対象の眠気データを抽出し、該抽出した眠気データが予め設定した覚醒度以上になっている場合に、該覚醒度を回復させる回復度を持つ休憩場所を含むルートである初期運行計画を作成することを特徴とする付記5に記載の運行支援方法。
(付記11)
前記覚醒度に基づいて、該覚醒度が予め設定した覚醒度以上になった場合、前記運転者の覚醒度を安全な覚醒度に回復可能な回復度を有する前記休憩場所を探索し、前記休憩場所を含む運行計画を再設定することを特徴とする付記5または10に記載の運行支援方法。
(付記12)
前記休憩場所は、
前記運転者の嗜好に基づいて作成された休憩嗜好リストから選択することを特徴とする付記5、10、11のいずれかにひとつに記載の運行支援方法。
(付記13)
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、あるいは、前記ルート検索の結果検索されたルート上に前記眠気データベースに既に記録されている場所がある場合は、前記眠気データベースより対象の眠気データを抽出し、該抽出した眠気データが予め設定した覚醒度以上になっている場合に、該覚醒度を回復させる回復度を持つ休憩場所を含むルートである初期運行計画を作成することを特徴とする付記6に記載の運行支援プログラム。
(付記14)
前記覚醒度に基づいて、該覚醒度が予め設定した覚醒度以上になった場合、前記運転者の覚醒度を安全な覚醒度に回復可能な回復度を有する前記休憩場所を探索し、前記休憩場所を含む運行計画を再設定することを特徴とする付記6または13に記載の運行支援方法。
(付記15)
前記休憩場所は、
前記運転者の嗜好に基づいて作成された休憩嗜好リストから選択することを特徴とする付記6、13、14のいずれかにひとつに記載の運行支援方法。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】運行支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】グラフAは心拍信号を示す図である。グラフBは心拍間隔変動を示すための図である。グラフCは周波数とスペクトル密度の関係を示す図である。
【図3】表Aは極大周波数と極大スペクトル密度のクラスタ分類を示す表である。表Bはクラスタごとの代表周波数と代表スペクトル密度を示す図である。
【図4】安全領域、注意領域、危険領域を示す図である。
【図5】グラフAは休憩なしで危険な状態で運転を続けたときのグラフである。グラフBは途中のSAで休憩を取ったときのグラフである。グラフCは途中のコンビニエンスストアで買い物をしたときのグラフである。
【図6】眠気データベースの構造を示す表である。
【図7】覚醒度を示す表AとグラフBである。
【図8】図6の表61、表62に示された範囲を、覚醒度が変化したときのみ記録した表である。
【図9】休憩嗜好リストを示す表である。
【図10】初期運行計画に生成方法を示す図である。
【図11】初期運行計画の設定を示すフロー図である。
【図12】動的ルート検索の動作を示すフロー図である。
【図13】眠気方向を用いて覚醒度を判断する場合のフロー図である。
【図14】運行支援装置を構成するコンピュータの構成図である。
【符号の説明】
【0098】
1 運行支援装置
2 入力部
3 個人認証部
4 データベース選択部
5 眠気データベース
6 眠気特徴判断部
7 初期ルート検索部
8 地図データベース
9 休憩嗜好リスト判断部
10 運行案内情報生成部
11 センサー
12 動的覚醒度判断部
13 動的ルート検索部
14 制御部
15 表示部
141 RAM
142 ROM
143 媒体読取装置
144 ネットワークインターフェース
145 CPU
146 HDD
147 プログラム
148 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地により地図データに基づいてルート検索をして運転者に最適の運行ルートを提示する運行支援装置であって、
目的地に関する情報を含む過去の運行ルートと、前記運行ルートに対して前記運転者につき測定された時間ごとの覚醒度から構成される眠気データを有する眠気データベースと、
前記運転者の心拍間隔に基づいて前記運行ルートに対して時間ごとに前記覚醒度を測定し、前記眠気データベースに記録させる動的覚醒度判断部と、
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、前記眠気データベース内に該目的地と対応付けて格納されている複数のルートのうち、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択する運行計画作成部と、
を備えることを特徴とする運行支援装置。
【請求項2】
前記運行計画作成部は、
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、あるいは、前記ルート検索の結果検索されたルート上に前記眠気データベースに既に記録されている場所がある場合は、前記眠気データベースより対象の眠気データを抽出し、該抽出した眠気データが予め設定した覚醒度以上になっている場合に、該覚醒度を回復させる回復度を持つ休憩場所を含むルートである初期運行計画を作成することを特徴とする請求項1に記載の運行支援装置。
【請求項3】
前記運行計画作成部は、
前記動的覚醒度判断部の測定結果である覚醒度に基づいて、該覚醒度が予め設定した覚醒度以上になった場合、前記運転者の覚醒度を安全な覚醒度に回復可能な回復度を有する前記休憩場所を探索し、前記休憩場所を含む運行計画を再設定することを特徴とする請求項1または2に記載の運行支援装置。
【請求項4】
前記休憩場所は、
前記運転者の嗜好に基づいて作成された休憩嗜好リストから選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれかにひとつに記載の運行支援装置。
【請求項5】
目的地により地図データに基づいてルート検索をして運転者に最適の運行ルートを提示する運行支援方法であって、
目的地に関する情報を含む過去の運行ルートと、前記運行ルートに対して前記運転者につき測定された時間ごとの覚醒度から構成される眠気データを記録する眠気データベースと、
前記運転者の心拍間隔に基づいて前記運行ルートに対して時間ごとに前記覚醒度を測定して前記眠気データベースに記録し、
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、前記眠気データベース内に該目的地と対応付けて格納されている複数のルートのうち、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択する、
ことを特徴とする運行支援方法。
【請求項6】
目的地により地図データに基づいてルート検索をして運転者に最適の運行ルートを提示する運行支援プログラムであって、
コンピュータに、
目的地に関する情報を含む過去の運行ルートと、前記運行ルートに対して前記運転者に
つき測定された時間ごとの覚醒度から構成される眠気データベースに、前記運転者の心拍間隔に基づいて前記運行ルートに対して時間ごとに前記覚醒度を記録する処理と、
前記ルート検索を行う際に、前記眠気データベースに既に記録されている目的地が新たな目的地として設定された場合、前記眠気データベース内に該目的地と対応付けて格納されている複数のルートのうち、覚醒度が所定の値以上に悪化しなかったルートを推奨ルートとして選択する処理と、
を実行させることを特徴とする運行支援プログラム。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−223673(P2009−223673A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68155(P2008−68155)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】