説明

運転者支援装置、および運転者支援システム

【課題】自車両の運転者による運転操作を支援する運転者支援装置および運転者支援システムにおいて、燃費改善や渋滞緩和に貢献することができるようにする。
【解決手段】運転者支援システムにおいて路側機は、特定の信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報を車両に対して送信する。そして、車載装置は、目標速度設定処理にて、路側機から取得した信号機情報、および自車両から信号機が配置された交差点までの距離を表す交差点距離に基づいて、信号機の灯色が青の状態で自車両が交差点に進入可能な走行速度の範囲を表す進入速度範囲を演算する(S200)。そして、進入速度範囲を出力する(S210,S220)。この出力に応じて自車両の走行速度が進入速度範囲内になるように調節すれば、自車両を信号機の灯色が青の状態で交差点に進入させることができる。従って、燃費改善や渋滞緩和に貢献できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の運転者による運転操作を支援する運転者支援装置、および運転者支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の運転者支援装置として、外部から信号機の灯色のスケジュールを含む信号機情報を受け、自車両が現在の走行速度で交差点を通過できるか否かを判定し、交差点を通過できない場合、警告等を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−015510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記運転者支援装置では、交差点通過の可否に応じた警告を行うのみなので、燃費改善や渋滞緩和に貢献することができないという問題点があった。
そこで、このような問題点を鑑み、自車両の運転者による運転操作を支援する運転者支援装置および運転者支援システムにおいて、燃費改善や渋滞緩和に貢献することができるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために成された運転者支援装置において、進入速度演算手段は、自車両の進行方向に存在する信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報、および自車両から信号機が配置された交差点までの距離を表す交差点距離に基づいて、信号機の灯色が青の状態で自車両が交差点に進入可能な走行速度の範囲を表す進入速度範囲を演算する。そして、出力手段は、進入速度範囲を出力する(請求項1)。
【0006】
このような運転者支援装置によれば、信号機の灯色が青の状態で自車両が交差点に進入可能な進入速度範囲を演算し、出力をすることができるので、この出力に応じて自車両の走行速度が進入速度範囲内になるように調節すれば、自車両を信号機の灯色が青の状態で交差点に進入させることができる。従って、自車両が停車することなく交差点に進入することができるので、自車両が交差点の手前で停車する場合と比較して、燃費改善や渋滞緩和に貢献することができる。
【0007】
ところで、上記運転者支援装置においては、例えば出力された目標速度に応じて自車両を自動運転するようにしてもよいが、第1報知手段が報知を行うようにしてもよい。つまり、自車両の走行速度を取得する速度取得手段と、自車両の走行速度と進入速度範囲とを比較し、この比較結果に応じて自車両の運転者に対して報知を行う第1報知手段と、を備えていてもよい(請求項2)。
【0008】
このような運転者支援装置によれば、報知を行うことによって自車両が目標速度になるように運転者の意思で制御することができる。
また、上記運転者支援装置において第1報知手段は、所定の画像または所定の発光体を点灯可能な発光部を用いて自車両の走行速度と目標速度との差に応じた報知を行うようにしてもよい(請求項3)。
【0009】
このような運転者支援装置によれば、自車両の走行速度と目標速度との差を視覚的に運転者に報知することできる。よって、目標速度を音声で報知する構成等と比較して、簡素な構成で報知を行うことができる。
【0010】
加えて、上記運転者支援装置において、第1報知手段は、自車両の走行速度と目標速度との差が大きくなるにつれて発光部の点滅周期を早くすることによって、報知を行うようにしてもよい(請求項4)。
【0011】
このような運転者支援装置によれば、発光部の点滅周期によって自車両の走行速度と目標速度との差を運転者に報知することができるので、運転者は発光部を注視することなく、視野の一部位にて発光部の点滅を認識することができる。よって運転者は感覚的に自車両の走行速度と目標速度との差を認識することができる。
【0012】
さらに、上記運転者支援装置において第1報知手段は、自車両の走行速度と目標速度との差がなくなる前に報知を終了するようにしてもよい(請求項5)。
このような運転者支援装置によれば、運転者の反応遅れや自車両の制御遅れによって、自車両の走行速度が目標速度を超えて変化してしまうオーバシュートやアンダシュートを防止することができる。
【0013】
また、上記運転者支援装置においては、第1報知手段が報知を行ってから自車両の運転者が報知に対応する操作を行うまでの反応時間を取得する反応時間取得手段を備え、第1報知手段は、反応時間後に自車両の走行速度と目標速度との差がなくなると推定できる場合に報知を終了するようにしてもよい(請求項6)。
【0014】
このような運転者支援装置によれば、運転者の反応時間の特性を予め学習しておくことができるので、運転者の特性に応じて最適なタイミングで報知を終了させることができる。
【0015】
上記運転者支援装置においては、自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得する制限速度取得手段と、自車両の走行速度が制限速度を超えている場合、第1報知手段による報知を禁止し、自車両の減速を促す報知を行う第2報知手段と、を備えていてもよい(請求項7)。
【0016】
このような運転者支援装置によれば、自車両の車速が制限速度内に収まるように促すことができる。
また、上記運転者支援装置において交差点距離取得手段は、過去において光ビーコン受信機を介して取得された情報に含まれる交差点距離と、自車両の走行距離を取得する走行距離取得手段による検出結果と、を利用して演算された交差点距離を取得するビーコン取得手段、を備えていてもよい(請求項8)。
【0017】
このような運転者支援装置によれば、位置精度のよい光ビーコンからの情報を利用して演算された交差点距離を取得するので、目標速度等を演算する際の精度を向上させることができる。
【0018】
さらに、上記運転者支援装置において、交差点距離取得手段は、信号機が配置された交差点の緯度および経度を含む情報と、自車両の現在地における緯度および経度と、を利用して演算された交差点距離を取得する緯度経度取得手段、を備えていてもよい(請求項9)。
【0019】
このような運転者支援装置によれば、光ビーコンからの情報が得られない場合であっても交差点距離を演算することができる。なお、交差点距離取得手段は、緯度経度取得手段と、ビーコン取得手段との両方を備えていてもよい。
【0020】
また、上記運転者支援装置において、進入速度演算手段は、信号機の灯色が赤から青に遷移する際に自車両が交差点に進入するような進入速度範囲を演算する場合において、自車両の走行速度に応じて設定される距離だけ信号機の手前側で信号機の灯色が青に遷移するように進入速度範囲を演算するようにしてもよい(請求項10)。
【0021】
このような運転者支援装置によれば、距離だけ信号機の手前側で信号機の灯色が青に遷移させることができるので、自車両の運転者に、灯色が赤の状態で交差点に進入してしまうのではないかという懸念を抱かせないようにすることができる。
【0022】
さらに、上記運転者支援装置においては、自車両に対して先行して走行する先行車両の有無を取得する先行車両取得手段と、先行車両がある場合、出力手段が先行車両の走行速度よりも速い速度の目標速度を出力することを禁止する第1出力禁止手段と、を備えていてもよい(請求項11)。
【0023】
このような運転者支援装置によれば、自車両が先行車両に接近しないようにすることができる。この結果、自車両と先行車両との関係で、安全性を確保することができる。
また、上記運転者支援装置においては、自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得する制限速度取得手段と、出力手段が制限速度を超える目標速度を出力することを禁止する第2出力禁止手段と、を備えていてもよい(請求項12)。
【0024】
このような運転者支援装置によれば、制限速度を超えるような目標速度を出力することがないので、自車両が制限速度を超過することを防止することができる。
なお、本発明には制限速度取得手段が備えられているが、本発明を請求項7に記載の発明に適用する場合には、制限速度取得手段を少なくとも1つだけ備えていればよい。
【0025】
さらに、上記運転者支援装置においては、出力手段が予め設定された下限速度未満の目標速度を出力することを禁止する第3出力禁止手段を備えていてもよい(請求項13)。
このような運転者支援装置によれば、自車両の走行速度が極端に遅くなることを防止し、自車両が他車両の走行を阻害しないようにすることができる。
【0026】
次に、上記目的を達成するために成された運転者支援システムにおいて、路側機は、特定の信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報を車両に対して送信する信号機情報送信手段を備え、車載装置は、請求項1〜請求項13の何れか1項に記載の道路形状認識装置として構成されていることを特徴としている(請求項14)。
【0027】
このような運転者支援システムによれば、少なくとも請求項1に記載の効果と同様に効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】運転者支援システム100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】表示部12の具体例を示す説明図である。
【図3】実施形態の概要を示す説明図である。
【図4】目標速度設定処理を示すフローチャートである。
【図5】目標速度を設定する際の概要を示すとともに、時間と距離との関係を示すグラフである。
【図6】交差点で停止できる目標速度を設定する際の概要を示すグラフである。
【図7】報知処理を示すフローチャートである。
【図8】報知開始速度と報知終了速度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
まず、図1に基づいて本実施形態の運転者支援システム100の構成を説明する。運転者支援システム100は、道路を走行する複数の車両にそれぞれ搭載される車載装置1(運転者支援装置)と、道路交差点に設置される交通信号機毎に付随して設けられる路側機6とからなる。
【0030】
各車両の車載装置1は、他の車両の車載装置1と車車間通信を実施可能に構成されているとともに、路側機6との間で路車間通信を実施可能に構成されている。なお、各車両の車載装置1は全て同様の構成とされているため、図1においては、ある1つの車載装置1についてのみを詳細に図示している。
【0031】
車載装置1は、図1に示すように、位置特定部10、外部機器接続部11、表示部12(発光部)、音声出力部13、データベース14、無線通信部15、および車側制御部16等を備えている。
【0032】
このうち、位置特定部10は、車速センサ32や、光ビーコン受信機34、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ等による検出信号に基づいて車両の現在地や進行方向を特定し、その特定したデータを車側制御部16に入力する。なお、光ビーコン受信機34は、交差点手前に配置された光ビーコン送信機から、交差点までの距離の情報、現在地(ビーコン送信機の位置)の情報、交通情報等を受信する。
【0033】
また、外部機器接続部11は、車両に搭載されているレーダ31、車速センサ32、光ビーコン受信機34、作動処理部33等の他のECU(Electronic Control Unit)等、各種機器との間で通信を行うためのインタフェースであり、各機器から送信されてくる車両情報のデータを車側制御部16に入力する。
【0034】
表示部12は、画像を表示する液晶パネル等の表示面を備えた表示装置であり、車側制御部16からの制御に基づいて各種の運転支援画像を表示する。画像を表示する表示面は、車両の運転席から視認可能な場所に配置される。
【0035】
より詳細には、図2に示すように、表示部12は、ヘッドアップディスプレイ12a、メータ表示部12c、或いはナビゲーション装置の液晶ディスプレイ12e等として構成されていればよい。特に、ヘッドアップディスプレイ12aにおいては、所定形状の加減速指示表示画像12bを表示可能に構成されている。また、メータ表示部12cにおいては、所定形状の発光体12dを点灯および点滅可能に構成されている。さらに、液晶ディスプレイ12eにおいては、ヘッドアップディスプレイ12aと同様に、所定形状の画像を表示可能に構成されている。
【0036】
これらの加減速指示表示画像12bや発光体12d等の発光部は、それぞれ、例えば緑色と赤色とを含む2色以上の色のうちの1つを選択して発光するよう構成されている。なお、本実施形態では、説明を簡素にするため、車載装置1は、加減速指示表示画像12bを表示させるヘッドアップディスプレイ12aのみを備えているものとして以下の説明を行う。
【0037】
音声出力部13は、音声を出力するスピーカ等を備えた音声出力装置であり、車側制御部16からの制御に基づいて運転支援のための各種の案内音声を出力する。
データベース14は、路傍の各所に設置された路側機6から受信したエリアデータを記憶するための記憶装置であり、フラッシュメモリやハードディスクドライブ等の書き換え可能な不揮発性の記憶装置が用いられる。
【0038】
なお、ここでいうエリアデータとは、交通信号機が設置された複数の交差点を包含する所定のエリア単位でまとめられた各交通信号機における信号機情報を指す。また、信号機情報としては、各交通信号機(以下、単に「信号機」ともいう。)についての現在および将来の灯色、各灯色の継続時間の情報(つまり、信号灯色に関するスケジュールの情報)と、信号機が配置された位置の情報とが含まれている。データベース14に記憶されているエリアデータは、そのエリアデータに該当の交通信号機を通過する際に実行する運転支援制御に用いられる。
【0039】
無線通信部15は、他車両の無線通信部や、路傍に設置された路側機6との間で双方向の無線通信(車車間通信および路車間通信)を行うための通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式としては、例えばETC(登録商標)システム等で用いられる狭域通信(DSRC)や、VICS(登録商標)等で用いられる電波ビーコンおよび光ビーコンの技術を用いることが考えられる。あるいは、2011年(予定)のアナログテレビ放送の終了後に利用区分が再編される予定の700MHz帯の電波を利用することも考えられる。この700MHz帯の電波は、DSRCで用いられる5.8GHz帯の電波と比較して波長が長いため、回折を起こし易い。そのため、建築物が密集する都市部において、建物の影からでも良好に通信が行うことができる。
【0040】
なお、無線通信部15は、位置特定部10によって生成された自車両の位置情報や、後述する車群に関する情報を車側制御部16からの指令(例えば、定期的に車側制御部16から送信指令が成される。)に応じて外部送信する。
【0041】
車側制御部16は、CPU,ROM,RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとして構成されており、車載装置1の各部を統括制御する。この車側制御部16は、ROM等に記憶されたプログラムに従って、路車間通信によるエリアデータの取得・更新に関する処理や、各種の運転支援に関する処理を実行する。
【0042】
ここで、運転支援の具体的な内容としては、例えば、信号機情報が含まれるエリアデータを受けて、次に通過する交通信号機に関する情報提供や、交差点を円滑に通行するための走行制御等を行う。特に本実施形態の車側制御部16は、車群走行制御を行う。
【0043】
車群走行制御とは、自車両の挙動が隊列の先頭車両または自車両の直前車両と実質的に同じ挙動になるように制御する隊列走行や、他車両と並んで走行する並列走行等、自車両が他車両とともに同方向に走行する車群走行を行うように自車両を制御することを示す。
【0044】
車側制御部16は車群走行制御において、レーダ31や、車車間通信等によって得られる他車両の位置情報と、自車両の位置特定部10によって得られる自車両の位置情報とに基づいて、自車両が取るべき行動(加減速、旋回等)を出力する。つまり、車群を構成する他車両の挙動に合わせて、自車両が他車両の挙動に追従するための出力を行う。
【0045】
この出力に応じて、例えば、自車両の速度が所定速度になるよう促す音声や表示を表示部12または音声出力部13から出力する構成が考えられる。また、この出力を、ECUとして構成された作動処理部33に送信し、この作動処理部33が自車両の各部(アクセル、ブレーキ、ステアリング、ライト等の被制御部)の作動制御を行なうことによって、自車両が車群として統一のある作動を行うようにすることも考えられる。
【0046】
なお、車群走行において他車両に追従するように自車両の挙動を制御する処理に関する技術は周知技術であるため、本実施形態においてはこの処理の詳細は省略する。
また、車側制御部16は、車群に関する情報を検出する。具体的には、自車両および他車両の位置情報に基づいて、自車両が車群を形成する車両のうちの先頭車両であるか否か、最後尾車両であるか否か、先頭車両、最後尾車両を除く中間車両であるか否か(この場合、先頭や最後尾から何台目であるか)を判断する。この判断の際には、光ビーコン等の受信結果を利用するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態においては、車群に関する情報として、各車両(各車載装置1)が車車間通信において自身を特定するための「車両ID」を位置情報とともに他車両に繰り返し送信することによって、各車両がどの位置にいるかを特定する。また、各車両の位置に応じて、例えば先頭車両を、この車群を統括する代表車両として設定し、この情報を保有する。
【0048】
これらの車群に関する情報は、データベース14に登録されるとともに、無線通信部15を介してこの情報の交換が行わせることによって、車群を構成する他車両とも共有される。
【0049】
次に、路側機6は、無線通信部20、路側通信部21、エリア内信号機情報データベース22、および路側制御部23を備えている。
このうち、無線通信部20は、道路を走行する車両に搭載された車載装置1との間で無線通信(路車間通信)を行うための通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式としては、上述の車載装置1と同様のものを用いる。
【0050】
路側通信部21は、ネットワーク5を介して、同じ所定エリア内の他所の交差点に設置された交通信号機に付随する他の路側機6や交通信号機を制御したり、交通情報を提供する外部機関である交通管制センタ7との間で情報通信したりするための通信装置である。なお、路側通信部21による交通管制センタ7との間での情報通信は、無線によるものであってもよいし有線によるものであってもよい。
【0051】
エリア内信号機情報データベース22は、複数の交通信号機に関する各々の信号機情報をまとめたエリアデータを記憶するための記憶装置である。エリア内信号機情報データベース22には、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブ等の書き換え可能な不揮発性の記憶装置が用いられる。
【0052】
路側制御部23は、CPU,ROM,RAM等からなる周知のマイクロコンピュータで構成されており、路側機6の各部を統括制御する。特に、路側制御部23は、定期的に、エリア内信号機情報データベース22からエリアデータを読み出し、無線通信部20を介して車載装置1にエリアデータを無線配信する(信号機情報送信手段)。
【0053】
[本実施形態による処理]
このような運転者支援システム100においては、例えば、図3(a)に示すように、車載装置1を搭載した車両である自車両が交差点1および交差点2に進入しようとする際に、自車両が路側機6から各交差点における信号機情報を受信し、信号機が配置された交差点を極力停車せずに通過できるように適切な速度を報知する処理を行う。
【0054】
つまり、図3(b)に示すように、現在の自車両の車速で交差点1や交差点2に到達すると灯色が赤の状態となる場合(破線参照)には、表示部12を用いて自車両の加速や減速を促し、灯色が青の状態のときに交差点1や交差点2に到達できるようにする。また、複数の交差点について灯色が青の状態で通過できる速度があればその速度で走行できるよう促すようにする。
【0055】
この処理については、図4以下の図面を用いて説明する。図4は車載装置1の車側制御部16が実行する目標速度設定処理を示すフローチャートである。目標速度設定処理は、例えば、車載装置1の電源が投入されると開始され、その後、所定の周期で(例えば100〜500ms毎に)繰り返し実行される処理である。
【0056】
目標速度設定処理では、まず、自車両や他車両に関する情報を取得する(S110:速度取得手段、先行車両取得手段)。この処理では、自車両の位置、走行速度、前述の車群に関する情報、自車両に対して先行して走行する先行車両の有無についての情報等を含む。なお、先行車両の有無については、車群に関する情報や、レーダ31による検出結果を取得することによって判断することができる。
【0057】
そして、道路情報を取得する(S120:信号機情報取得手段、制限速度取得手段)。この処理では、自車両が走行する道路の制限速度の情報や、自車両が通過する交差点の信号機情報等が含まれる道路情報を、光ビーコン送信機や路側機6から取得する。
【0058】
続いて、変数nを1に設定する(S130)。ここで、変数nは、自車両の進行方向側における何番目に近い交差点(信号機が配置されたものに限る)であるかを示す。つまり、n=1の交差点は、自車両から最も近い交差点を示す。
【0059】
続いて、n番目の交差点についての信号機情報の有無を判定する(S160)。つまり、道路情報としてn番目の交差点についての信号機情報が取得できているか否かを判定する。
【0060】
この信号機情報がなければ(S160:NO)、目標速度設定処理を終了する。また、この信号機情報があれば(S160:YES)、n番目の交差点までの距離(交差点距離)を算出する(S170:交差点距離取得手段、ビーコン取得手段、緯度経度取得手段)。
【0061】
この処理では、原則として、過去において光ビーコン受信機34を介して取得された情報に含まれる交差点距離および光ビーコン送信機の位置と、光ビーコン送信機から情報を取得してから自車両が走行した走行距離と、を利用して、交差点距離を演算する。なお、自車両の走行距離については、自車両の走行速度と走行時間とを用いて演算すればよい。
【0062】
また、光ビーコン受信機34を備えていない場合や、光ビーコン送信機からの情報を受信してから一定以上の時間が経過している場合等には、路側機6から配信される信号機が配置された交差点の緯度および経度を含む情報と、位置特定部10によって検出された自車両の現在地(緯度および経度の情報)と、を利用して交差点距離を演算してもよい。このように演算された交差点距離は、RAM等のメモリに格納され、以下の処理において適宜読み出されて利用される。
【0063】
続いて、n番目の交差点に自車両が到達するまでの時間を算出する(S180:第1〜第3出力禁止手段)。ここで、以下の説明においては、
Vmax :上限速度
Vmin :下限速度
Vn :n交差点に進入する際の速度
dn :n交差点までの距離
d0 :速度Vnから減速度αで停止するまでに走行する距離
tn :速度Vnから減速度αで停止するまでにかかる時間
tnmax :上限速度で走行したときのn交差点に到達するまでの時間
(最も早くn交差点に到達する時間)
tnmin :下限速度で走行したときのn交差点に到達するまでの時間
(最も遅くn交差点に到達する時間)
tGnstart :n交差点で信号が青になるまでの時間(既に青の場合は0)
tGnend :n交差点で青信号が終了するまでの時間
Vnmax :n交差点を青信号で通過するための上限速度
Vnmin :n交差点を青信号で通過するための下限速度
Vajustmax :共通の目標速度上限値
Vajustmin :共通の目標速度下限値
α :設定減速度
と定義する(図5参照)。
【0064】
すると、上限速度Vmaxでn番目の交差点に到達するまでの時間tnmaxと下限速度Vminでn番目の交差点に到達するまでの時間tnminとは、次式で表すことができる。
【0065】
【数1】

ここで、上限速度Vmaxは、先行車両がある場合には先行車両の走行速度、自車両が走行する道路の制限速度のうちの遅いほうの速度が採用される。また、下限速度Vminは、交通流を妨げない程度の速度(例えば30km/h)が採用される。
【0066】
続いて、上記の到達時間(tnmaxからtnminまでの時間)の少なくとも一部が対象交差点の青の時間の範囲内(tGnstart〜tGnend)に含まれているか否かを判定する(S190)。つまり、下記の式(3)を満たすか否かを判定する。
【0067】
【数2】

上記式(3)を満たさなければ(S190:NO)、自車両がn番目の交差点を停車することなく通過することは不可能であるため、目標速度設定処理を終了する。また、上記式(3)を満たせば(S190:YES)、自車両がn番目の交差点を停車することなく通過可能であるため、目標速度を算出する(S200:進入速度演算手段)。
【0068】
この処理では、まず、n=1の場合には、次式により目標速度V1max、V1minを算出する。ここで、信号機の灯色が赤から青に遷移する際に自車両が交差点に進入するような目標速度を演算する場合において、自車両の走行速度に応じて設定される距離だけ信号機の手前側で信号機の灯色が青に遷移するような目標速度を演算する。
【0069】
具体的には、
d0=V1/2α
t1=V1/α
(d1−d0)/V1 = tG1start
という関係から、図6に示すように、加速度αで交差点手前で停車できる距離d0において信号機の灯色が赤から青に遷移するよう目標車速を設定すると式(4)(5)が得られる。
【0070】
【数3】

なお、式(4)については、カンマ「,」で区切られた前の項と後の項とのうちの小さいほうの値をV1maxとして採用することを意味し、式(5)ついては、カンマ「,」で区切られた前の項と後の項とのうちの大きいほうの値をV1minとして採用することを意味する。
【0071】
そして、式(6)(7)に示すように、V1maxとV1minとを目標速度の範囲の初期値(最大の範囲)とする。
【0072】
【数4】

次にn=2以降の場合には、次式で目標速度Vnmax、Vnminを算出する。
【0073】
【数5】

このようにして目標速度(範囲)を算出する。ここで、式(8)(9)は、自車両がn番目の交差点のみを通過する場合の目標速度であるから、算出した目標速度(範囲)が(n−1)番目に設定した目標速度の範囲内か否かを判定する(S210:出力手段)。つまり、その手前の交差点を今回求めた速度の範囲内で通過できるかを次式で判定する。
【0074】
【数6】

式(10)の条件が満たされなければn番目の交差点を一定の速度で走行して通過できないことを意味する。また、式(10)の条件が満たされた場合には、一定速度でn番目までの交差点の通過が可能であることを示す。つまり、(n−1)番目に設定した目標速度の範囲内であれば(S210:YES)、過去に演算された目標速度を今回の処理で演算した目標速度に上書きする(S220:出力手段)。
【0075】
この場合、次式によってVajustmaxおよびVajustminを選択し、更新する。
【0076】
【数7】

S220の処理が終了すると、変数nをインクリメントし(S230)、(n+1)番目の交差点に対してS160以下の処理を繰り返す。
【0077】
また、S210の処理にて、(n−1)番目に設定した目標速度の範囲内でなければ(S210:NO)、目標速度設定処理を終了する。
次に、自車両の運転者に信号機の灯色が青の状態で自車両が交差点に進入できるように報知する処理について図7を用いて説明する。図7は車側制御部16が実行する報知処理を示すフローチャートである。なお、報知処理は本発明でいう第1報知手段に相当する。
【0078】
報知処理は、前述の目標速度設定処理とは並行して実施される処理であって、例えば、車載装置1の電源が投入されると開始され、その後、所定の周期で繰り返し実行される処理である。
【0079】
報知処理では、まず、車両情報や運転者反応時間等、本処理で必要となる各種情報をRAMから抽出する(S310:反応時間取得手段)。そして、自車両の走行速度が、自車両が走行する道路の制限速度を超えているか否かを判定する(S320)。
【0080】
自車両の走行速度が制限速度を超えていれば(S320:YES)、減速する旨の報知を行うよう設定する(S330:第2報知手段)。この設定が終了すると、後述するS450の処理に移行し、報知の態様が設定される。
【0081】
また、自車両の走行速度が制限速度を超えていなければ(S320:NO)、現在、報知を行っているか否かを判定する(S340)。報知を行っているか否かについては、例えば、報知フラグの状態で判断する。
【0082】
報知を行っていれば(S340:YES)、報知終了速度を設定する(S350)。ここで、報知終了速度については図8を用いて説明する。図8は自車両の走行速度と報知開始速度および報知終了速度との関係を示すグラフである。図8に示すように、例えば、自車両の速度が目標速度(Vajustmax)を超えている場合には、Vajustmax−ΔVに報知終了速度を設定する。また、自車両の速度が目標速度(Vajustmin)を下回っている場合には、Vajustmin+ΔVを報知終了速度に設定する。なお、ΔVは、例えば目標速度の5〜10%程度の値に設定されていればよい。
【0083】
続いて、運転者の特性に応じて報知終了速度を補正する(S360)。ここでは、予め運転者の反応時間(例えば、車載装置1が運転者に対して報知等の何らかの指示を行ってから自車両の運転者が報知に対応する操作を行うまでの反応時間)を検出し、この検出結果(反応時間に関する情報)をRAM等のメモリに記録しておき、現在の操作状態(加速や減速の操作)が継続されたと仮定した場合に、この反応時間後に報知終了速度になるような速度を補正後の報知終了速度として設定する。
【0084】
つまり、補正後の報知終了速度のときに運転者に対して何らかの報知をすれば、この運転者が報知に対する反応をする反応時間後には、補正前の報知終了速度になっていることを意味する。
【0085】
そして、報知を終了すべきか否かを判定する(S370)。この処理では、自車両の走行速度が補正後の報知終了速度と一致したか否かを判定し、一致していれば報知を終了すべきと判定する。報知を終了すべきであれば(S370:YES)、報知を終了するよう設定し(S380)、報知フラグをOFF状態にする(S390)。
【0086】
また、報知を終了すべきでなければ(S370:NO)、後述するS450の処理に移行する。
ところで、S340の処理において、報知を行っていなければ(S340:NO)、報知開始速度を設定する(S410)。ここで、報知開始速度としては、図8に示すように、例えば、高速側報知開始速度(Vajustmax)と低速側報知開始速度(Vajustmin)とを設定する。なお、図8から分かるように、報知を開始する速度(VajustmaxまたはVajustmin)と報知を終了する速度(Vajustmax−ΔVまたはVajustmin+ΔV)とは異なる速度に設定されているので、一旦報知が開始されると、しばらく報知が継続され、一旦報知が終了されると、しばらく報知が開始されないようにすることができる。
【0087】
続いて、報知を開始すべきか否かを判定する(S420)。この処理では、自車両の走行速度が報知開始速度と一致したか否かを判定し、一致していれば報知を開始すべきと判定する。
【0088】
報知を開始すべきでなければ(S420:NO)、後述するS510の処理に移行する。また、報知を開始すべきであれば(S420:YES)、報知を開始するよう設定し(S430)、報知フラグをON状態に設定する(S440)。そして、加減速指示表示画像12bの点滅周期を設定する(S450)。
【0089】
この処理では、自車両の走行速度と目標速度(範囲)とを比較し、自車両の走行速度が目標速度を超えている場合、および減速する旨の報知をするよう設定されている場合には、加減速指示表示画像12bの点灯色を赤色に設定する。また、自車両の走行速度が目標速度を下回っている場合には、加減速指示表示画像12bの点灯色を緑色に設定する。そして、加減速指示表示画像12bの点滅周期を、自車両の走行速度と目標速度(制限速度)との差が大きくなるにつれて早くなるように設定する。
【0090】
詳細には、0.5Hz〜2.0Hz程度の範囲内で点滅周期を設定すると、運転者に連続点灯の見間違いを生じさせたり、いらつきを誘発したりする可能性が低くなるため好ましい。
【0091】
次いで、このような設定に応じて表示部12を制御するための出力を行い(S510:第2報知手段)、報知処理を終了する。なお、表示部12に何も表示させない場合には、この出力を省略してもよい。このような出力がなされると、表示部12では加減速指示表示画像12bが設定された条件で点灯や点滅することになる。
【0092】
[本実施形態による効果]
以上のように詳述した運転者支援システム100において、路側機6の路側制御部23は、特定の信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報を車両に対して送信する。そして、車載装置1の車側制御部16は、目標速度設定処理にて、路側機6から取得した信号機情報、および自車両から信号機が配置された交差点までの距離を表す交差点距離に基づいて、信号機の灯色が青の状態で自車両が交差点に進入可能な走行速度の範囲を表す進入速度範囲(目標速度)を演算する。そして、進入速度範囲を出力する。
【0093】
このような運転者支援システム100によれば、信号機の灯色が青の状態で自車両が交差点に進入可能な進入速度範囲を演算し、出力をすることができるので、自車両の走行速度が進入速度範囲内になるように調節すれば、自車両を信号機の灯色が青の状態で交差点に進入させることができる。従って、燃費改善や渋滞緩和に貢献することができる。
【0094】
また、運転者支援システム100において車側制御部16は、報知処理にて、自車両の運転者に対して目標速度に応じた報知を行う。
このような運転者支援システム100によれば、報知を行うことによって運転者の意思で自車両が目標速度になるよう制御することができる。
【0095】
また、車側制御部16は、所定の加減速指示表示画像12bを表示(点灯)可能な表示部12を用いて自車両の走行速度と目標速度との差に応じた報知を行う。
このような運転者支援システム100によれば、自車両の走行速度と目標速度との差を視覚的に運転者に報知することできる。よって、目標速度を音声で報知する構成等と比較して、簡素な構成で報知を行うことができる。
【0096】
加えて、運転者支援システム100において、車側制御部16は、自車両の走行速度と目標速度との差が大きくなるにつれて加減速指示表示画像12bの点滅周期を早くすることによって、報知を行う。
【0097】
このような運転者支援システム100によれば、加減速指示表示画像12bの点滅周期によって自車両の走行速度と目標速度との差を運転者に報知することができるので、運転者は発光体を注視することなく、視野の一部位にて加減速指示表示画像12bの点滅を認識することができる。よって運転者は感覚的に自車両の走行速度と目標速度との差を認識することができる。
【0098】
さらに、車側制御部16は、自車両の走行速度と目標速度との差がなくなる前に報知を終了する。
このような運転者支援システム100によれば、運転者の反応遅れや自車両の制御遅れによって、自車両の走行速度が目標速度を超えて変化してしまうオーバシュートやアンダシュートを防止することができる。
【0099】
また、車側制御部16は、報知を行ってから自車両の運転者が報知に対応する操作を行うまでの反応時間(反応時間に関する情報)を取得し、反応時間後に自車両の走行速度と目標速度との差がなくなると推定できる場合に報知を終了する。
【0100】
このような運転者支援システム100によれば、運転者の反応時間の特性を予め学習しておくことができるので、運転者の特性に応じて最適なタイミングで報知を終了させることができる。
【0101】
車側制御部16は、自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得し、自車両の走行速度が制限速度を超えている場合、車側制御部16による報知を禁止し、自車両の減速を促す報知を行う。
【0102】
このような運転者支援システム100によれば、自車両の車速が制限速度内に収まるように促すことができる。
また、車側制御部16は、過去において光ビーコン受信機34を介して取得された情報に含まれる交差点距離と、自車両の走行距離(走行距離に関する情報)と、を利用して演算された交差点距離(交差点距離に関する情報)を取得する。
【0103】
このような運転者支援システム100によれば、位置精度のよい光ビーコンからの情報を利用して演算された交差点距離(交差点距離に関する情報)を取得するので、目標速度等を演算する際の精度を向上させることができる。
【0104】
さらに、車側制御部16は、信号機が配置された交差点の緯度および経度を含む情報と、自車両の現在地における緯度および経度(緯度経路に関する情報)と、を利用して演算された交差点距離(交差点距離に関する情報)を取得する。
【0105】
このような運転者支援システム100によれば、光ビーコンからの情報が得られない場合であっても交差点距離を演算することができる。
さらに、車側制御部16は、自車両に対して先行して走行する先行車両の有無(先行車両有無に関する情報)を取得し、先行車両がある場合、先行車両の走行速度よりも速い速度の目標速度を出力することを禁止する。
【0106】
このような運転者支援システム100によれば、自車両が先行車両に接近しないようにすることができる。この結果、自車両と先行車両との関係で、安全性を確保することができる。
【0107】
また、車側制御部16は、制限速度を超える目標速度を出力することを禁止する。
このような運転者支援システム100によれば、制限速度を超えるような目標速度を出力することがないので、自車両が制限速度を超過することを防止することができる。
【0108】
さらに、車側制御部16は、予め設定された下限速度未満の目標速度を出力することを禁止する。
このような運転者支援システム100によれば、自車両の走行速度が極端に遅くなることを防止し、自車両が他車両の走行を阻害しないようにすることができる。
【0109】
また、車側制御部16は、目標速度設定処理にて目標速度を演算する際に、信号機の灯色が赤から青に遷移する際に自車両が交差点に進入するような進入速度範囲を演算する場合において、自車両の走行速度に応じて設定される距離だけ信号機の手前側で信号機の灯色が青に遷移するような目標速度を演算する。
【0110】
このような運転者支援システム100によれば、距離だけ信号機の手前側で信号機の灯色が青に遷移させることができるので、自車両の運転者に、灯色が赤の状態で交差点に進入してしまうのではないかという懸念を抱かせないようにすることができる。また、停止線の十分手前で灯色が青になるように案内するので、灯色が赤の状態で交差点に侵入することを未然に防止することができる。
【0111】
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0112】
例えば、上記実施形態において、運転者支援システム100においては、目標速度に応じた報知を行うようにしたが、出力された目標速度に応じて自車両を自動運転するようにしてもよい。また、本実施形態による報知処理と目標速度に応じた自動運転とを併用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…車載装置、5…ネットワーク、6…路側機、7…交通管制センタ、10…位置特定部、11…外部機器接続部、12…表示部、12a…ヘッドアップディスプレイ、12b…発光体、12c…メータ表示部、12e…液晶ディスプレイ、13…音声出力部、14…データベース、15…無線通信部、16…車側制御部、20…無線通信部、21…路側通信部、22…エリア内信号機情報データベース、23…路側制御部、31…レーダ、32…車速センサ、33…作動処理部、34…光ビーコン受信機、100…運転者支援システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、自車両の運転者による運転操作を支援する運転者支援装置であって、
自車両の進行方向に存在する信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報を取得する信号機情報取得手段と、
自車両から前記信号機が配置された交差点までの距離を表す交差点距離を取得する交差点距離取得手段と、
前記信号機情報および前記交差点距離に基づいて、前記信号機の灯色が青の状態で自車両が交差点に進入可能な走行速度の範囲を表す進入速度範囲を演算する進入速度演算手段と、
前記進入速度範囲を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする運転者支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転者支援装置において、
自車両の走行速度を取得する速度取得手段と、
自車両の走行速度と前記進入速度範囲とを比較し、該比較結果に応じて自車両の運転者に対して報知を行う第1報知手段と、を備えたこと
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の運転者支援装置において、
前記第1報知手段は、所定の画像または所定の発光体を点灯可能な発光部を用いて前記自車両の走行速度と前記目標速度との差に応じた報知を行うこと
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運転者支援装置において、
前記第1報知手段は、前記自車両の走行速度と前記目標速度との差が大きくなるにつれて前記発光部の点滅周期を早くすることによって、前記報知を行うこと
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の運転者支援装置において、
前記第1報知手段は、前記自車両の走行速度と前記目標速度との差がなくなる前に前記報知を終了すること
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の運転者支援装置において、
前記第1報知手段が前記報知を行ってから自車両の運転者が前記報知に対応する操作を行うまでの反応時間を取得する反応時間取得手段を備え、
前記第1報知手段は、前記反応時間後に前記自車両の走行速度と前記目標速度との差がなくなると推定できる場合に前記報知を終了すること
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項7】
請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の運転者支援装置において、
自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得する制限速度取得手段と、
自車両の走行速度が前記制限速度を超えている場合、前記第1報知手段による報知を禁止し、自車両の減速を促す報知を行う第2報知手段と、を備えたこと
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の運転者支援装置において、
前記交差点距離取得手段は、過去において光ビーコン受信機を介して取得された情報に含まれる交差点距離と、自車両の走行距離を取得する走行距離取得手段による検出結果と、を利用して演算された交差点距離を取得するビーコン取得手段、を備えたこと
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の運転者支援装置において、
前記交差点距離取得手段は、前記信号機が配置された交差点の緯度および経度を含む情報と、自車両の現在地における緯度および経度と、を利用して演算された交差点距離を取得する緯度経度取得手段、を備えたこと
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の運転者支援装置において、
前記進入速度演算手段は、前記信号機の灯色が赤から青に遷移する際に自車両が交差点に進入するような進入速度範囲を演算する場合において、自車両の走行速度に応じて設定される距離だけ前記信号機の手前側で前記信号機の灯色が青の遷移するように前記進入速度範囲を演算すること
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の運転者支援装置において、
自車両に対して先行して走行する先行車両の有無を取得する先行車両取得手段と、
前記先行車両がある場合、前記出力手段が前記先行車両の走行速度よりも速い速度の目標速度を出力することを禁止する第1出力禁止手段と、
を備えたことを特徴とする運転者支援装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の運転者支援装置において、
自車両が走行する道路の制限速度の情報を取得する制限速度取得手段と、
前記出力手段が前記制限速度を超える目標速度を出力することを禁止する第2出力禁止手段と、
を備えたことを特徴とする運転者支援装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の運転者支援装置において、
前記出力手段が予め設定された下限速度未満の目標速度を出力することを禁止する第3出力禁止手段を備えたこと
を特徴とする運転者支援装置。
【請求項14】
車載装置と、前記車載装置と通信可能な路側機と、を備え、車両の運転者による運転操作を支援する運転者支援システムであって、
前記路側機は、
特定の信号機についての現在および将来の灯色と各灯色の継続時間とを含む信号機情報を車両に対して送信する信号機情報送信手段を備え、
前記車載装置は、請求項1〜請求項13の何れか1項に記載の道路形状認識装置として構成されていること
を特徴とする運転者支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−227761(P2011−227761A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97932(P2010−97932)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】