道路網データのデータ構造、道路網データ生成装置、道路網データ生成用プログラム、および、経路案内装置
【課題】リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なうことのない道路網データのデータ構造、このような道路網データの生成装置、このような道路網データ生成用のプログラム、および、このような道路網データを有効に利用する経路案内装置を提供する。
【解決手段】車線変更許容区間20u内は複数車線の有無に係わらず1本の車線変更許容区間リンク211によって表し、車線変更禁止区間10uの車線毎の複数のリンク111,121,131を始端ノード210で1つに統合し、終端ノード220で車線毎の複数のリンク311,321,331に分岐させる。
【解決手段】車線変更許容区間20u内は複数車線の有無に係わらず1本の車線変更許容区間リンク211によって表し、車線変更禁止区間10uの車線毎の複数のリンク111,121,131を始端ノード210で1つに統合し、終端ノード220で車線毎の複数のリンク311,321,331に分岐させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路網データのデータ構造、道路網データ生成装置、道路網データ生成用プログラム、および、経路案内装置に関し、特に、車線の区分に沿った経路案内に適合し且つ利用に際しての利便性が確保された道路網データのデータ構造、道路網データ生成装置、道路網データ生成用プログラム、および、経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の道路網データは、各交差点の中心を表すノードとこれらノード間を結び道路の中心線を表すリンクとによって道路を表現する形式で道路網データが構成されていた。
特に、近年では、レイヤー構造の図形データから自動的にデジタル道路地図データを生成する技術も提案されるに到っている(例えば特許文献1参照)。
この提案では、ベクトル化されたデジタル地図データに基づいて街区の境界線や側溝、縁石等、道路の外側を構成するレイヤーの図形を二値画像に変換し、該二値画像を道路の1車線分の幅に合わせて調整することによって1本の画像ラインとして道路を描くようにする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−73009号公報(要約、段落0006〜段落0011等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、カーナビゲーション装置等の経路案内装置において、適切なタイミングで車線変更を促すなど現在時点での車線毎の交通状況を的確に反映した経路案内を行うためには、車線毎の詳細な道路網データが準備されていることが望ましい。
他方、従来のカーナビゲーション装置では、交差点毎に各対応して設定したノード間を結ぶリンクによって表した道路網データに基づいて、該当するリンクに沿った経路案内を行なう。
【0004】
この経路案内では、或るリンクから他のリンクへの移転(リンク間を跨ぐような移転)は許容されないという原則に従う。
このため、仮に各車線をリンクとして表すような詳細な道路網データを作成した場合、以下の不都合が生じる。
即ち、現実の道路において車線変更が許容されるような区間においては、複数の車線を表す各リンク間を跨ぐ移転も許容されるといった、従来は禁則に該当していた事項を新たな原則とする必要がある。
或いはまた、従来の原則を踏襲しつつも、リンク間を跨ぐ移転を例外的に許容する規定を導入する必要が生じる。
【0005】
上述のように従来の原則を部分的にも改変しないと、従来のカーナビゲーション装置おけるリンク間の移転が許容されないという原則と車線変更が許容されるという実態とが齟齬することになってしまう。
このため、1本の道路に設定されている複数の車線を各別のリンクとして表す詳細な道路網データを単純に導入すると、既存のカーナビゲーション装置との親和性を欠くといった問題が生じることになる。
既述の特許文献1では、複数の車線を各別のリンクとして表す道路網データを導入した場合における上述の技術課題への言及がなく、このような技術課題の解決の方途は開示されていない。
【0006】
本発明は、上述の状況に鑑み、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なうことのない道路網データのデータ構造、このような道路網データの生成装置、このような道路網データ生成用のプログラム、および、このような道路網データを有効に利用する経路案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく、本願では次に列記するような技術を提案する。
(1)各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータと、
当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータと、
当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータと、
車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータと、
前記車線ノードのうち該当する各一の車線ノードと他の車線ノード、該当する前記始端ノード、および、該当する前記終端ノードのうちの何れか一のノードとを結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータと、を備え、
前記各始端ノードデータは、前記車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクの各一端を当該始端ノードに接続し且つ単一の車線変更許容区間リンクを当該始端ノードに接続することにより該複数の車線対応リンクを該単一の車線変更許容区間リンクに統合する接続状態を規定する接続状態属性データを伴ない、
前記各終端ノードデータは、前記車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクを当該終端ノードに接続し且つ複数の車線対応リンクを当該終端ノードに接続することにより該単一の車線変更許容区間リンクを該複数の車線対応リンクに分岐させる接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっていることを特徴とする道路網データのデータ構造。
【0008】
上記(1)の道路網データのデータ構造によれば、車線変更許容区間内では、一つの道路は、車線の数によらず、前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
一方、前記車線変更禁止区間内では、該当する車線毎にリンクが対応しており、従って、各車線の状況に即した的確な経路案内を行うことが可能になる。
【0009】
(2)前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータは、当該ノードが識別され得るためのノード識別IDと該ノード識別IDに付帯する属性データとが含まれた共通のデータ様式を有することを特徴とする(1)の道路網データのデータ構造。
上記(2)の道路網データのデータ構造では、(1)の道路網データのデータ構造において特に、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータは、共通のデータ様式を有する。
このため、上述のデータ構造による道路網データを適用する経路案内装置においては、各ノードが原則的に別段の区分を要することなく取り扱われ得るため、従来の経路案内装置と該データ構造による道路網データとは両者の親和性が維持される。
【0010】
(3)前記共通のデータ様式は、対応する経路案内装置によって、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータによって表される各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、何れも一のノードとして認識されるデータ様式であることを特徴とする(2)の道路網データのデータ構造。
【0011】
上記(3)の道路網データのデータ構造では、(2)の道路網データのデータ構造において特に、前記共通のデータ様式は、対応する経路案内装置によって、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータによって表される各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、何れも一のノードとして認識される。
このため、該経路案内装置では、上述のようなノードの種別によらず、一のノードから一のリンクを経て他のノードに到る点において、従来の原則と変わりがない経路案内の処理を行うことが可能である。
【0012】
(4)車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを保持する道路網データ保持部と、
前記道路網データ保持部に保持された前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更禁止区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部と、
前記道路網データ保持部に保持された前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更許容区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する車線変更許容区間道路網データ抽出処理部と、
前記車線変更禁止区間道路網データおよび前記車線変更許容区間道路網データに基づいて、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクに統合し、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにする統合・分岐処理部と、
を含んで構成されていることを特徴とする道路網データ生成装置。
【0013】
上記(4)の道路網データ生成装置によれば、統合・分岐処理部において、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクが統合される。
また、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして、各車線に対応するリンクが設定される。
【0014】
上述のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されることによって、結果的に形成される道路網データのデータ構造によれば、車線変更許容区間内では、前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
一方、前記車線変更禁止区間内では、該当する車線毎に即した的確な経路案内が行われ得る。
【0015】
(5)車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを処理対象とする道路網データ生成用プログラムであって、コンピュータに、
前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更禁止区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する車線変更禁止区間道路網データ抽出処理と、
前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更許容区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する車線変更許容区間道路網データ抽出処理と、
前記車線変更禁止区間道路網データおよび前記車線変更許容区間道路網データに基づいて、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクに統合し、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにする統合・分岐処理と、
を実行させるための道路網データ生成用プログラム。
【0016】
上記(5)の道路網データ生成用プログラムに基づいてコンピュータが処理を実行することによって、統合・分岐処理によって、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクが統合される。
【0017】
また、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして、各車線に対応するリンクが設定される。
上述のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されることによって、結果的に形成される道路網データのデータ構造によれば、車線変更許容区間内は、前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
【0018】
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
一方、車線変更禁止区間内では、該当する車線毎に即した車線リンクが設定され、各車線毎に的確な経路案内が行われ得る。
【0019】
(6)ユーザの操作を受け付ける操作部と、自装置の現在地を検出する現在地検出処理部と、道路網データを保持する情報保持部と、前記操作部で受け付けたユーザの操作、前記現在地検出処理部で検出した自装置の現在地、および、前記情報保持部に保持された道路網データに基づいて経路案内データを生成する経路案内処理部と、を含んで構成された経路案内装置であって、
前記情報保持部は、各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータと、当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータと、当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータと、車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータと、前記車線ノードのうち該当する各一対の車線ノード間を結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータと、を備え、前記各始端ノードデータは、前記車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より単一の車線変更許容区間リンクが引き出される状態を表す接続状態属性が付帯し、前記各終端ノードデータは、前記車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より複数の車線対応リンクが引き出される状態を表す接続状態属性が付帯している道路網データを保持し、
前記経路案内処理部は、前記操作部で受け付けたユーザの操作、および、前記現在地検出処理部で検出した自装置の現在地に応じて前記情報保持部に保持された道路網データを参照し、前記車線変更禁止区間に関し当該車線を区分した経路案内を行うように構成されていることを特徴とする経路案内装置。
【0020】
上記(6)の経路案内装置では、前記情報保持部に保持された上述のような道路網データに依拠して前記経路案内処理部によって経路案内を行うため、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータによって、各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、同様の一のノードとして扱われることによって、複数車線を区分して認識するための特別な手段を要することなく、車線毎の的確な経路案内が行われる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なうことのない道路網データのデータ構造、このような道路網データの生成装置、このような道路網データ生成用のプログラム、および、このような道路網データを有効に利用する経路案内装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより本発明を明らかにする。
(道路網データによる車線・道路の表現)
図1は、本発明の一つの実施の形態としての道路網データのデータ構造によって車線を表す様子を説明するための概念図である。
図2は、図1の道路網データによって表現される道路の各部を表わす図である。
図2に表されているように、ここで想定された道路は、それぞれ片側で3車線ある道路が中央分離帯Mによって分離され、往復方向で合計6車線を有する形態の道路である。
【0023】
図2において、当該国の法規に従った車両等の移動体の一方の進行方向として想定した左手側から右手側方向に向かって、車線変更禁止区間10u→車線変更許容区間20u→車線変更禁止区間30uが設定されている。
また、車両等の移動体の他方の進行方向として想定した右手側から左手側方向に向かって、車線変更禁止区間30d→車線変更許容区間20d→車線変更禁止区間10dが設定されている。
【0024】
図2において、車両等の移動体の一方の進行方向として想定した、車線変更禁止区間10u→車線変更許容区間20u→車線変更禁止区間30uの流れに沿って車線の区分を見る。
左側の車線変更禁止区間10uには、最も路側寄りの第1車線11、この第1車線11に隣接する中間の第2車線12、および、最も中央分離帯M寄りの第3車線13が各設定されている。
この車線変更禁止区間10uでは、これら各車線11、12、および、13間の車線変更(即ち、車線間を跨ぐ移転)は禁止されている。
【0025】
同様に、図中右側の車線変更禁止区間30uには、最も路側寄りの第1車線31、この第1車線31に隣接する中間の第2車線32、および、最も中央分離帯M寄りの第3車線33が各設定されている。
この車線変更禁止区間30uでは、これら各車線31、32、および、33間の車線変更(即ち、車線間を跨ぐ移転)は禁止されている。
これら両車線変更禁止区間10u、30uに挟まれている車線変更許容区間20uには、最も路側寄りの第1車線21、この第1車線21に隣接する中間の第2車線22、および、最も中央分離帯M寄りの第3車線33が各設定されているが、これら各車線21、22、および、23について車線変更は法規に則って許容される。
【0026】
図2において、車両等の移動体の他方の進行方向として想定した、車線変更禁止区間30d→車線変更許容区間20d→車線変更禁止区間10dの流れに沿って車線の区分を見る。
上記他の方向に沿って見た場合も、図より容易に理解されるとおり、既述の一方向に沿って見た場合とは、流れの各順方向で見て同様の様相を呈している。
即ち、車線変更禁止区間30dには、図示のように車線34、35、および、36が設定され、車線変更禁止区間10dについても同様に、車線14、15、および、16が設定されている。
【0027】
これらの各車線34、35、および、36、ならびに、14、15、および、16について、車線変更(即ち、車線間を跨ぐ移転)は禁止されている。
また、両車線変更禁止区間30dおよび10dに挟まれている車線変更許容区間20dには、図示のように車線24、25、および、26が設定され、これら各車線24、25、および、26について車線変更は法規に則って許容される。
【0028】
図1においては、説明の便宜上、車両等の移動体の一方の進行方向として想定した、車線変更禁止区間10u→車線変更許容区間20u→車線変更禁止区間30uの流れに沿って車線が表現されている。
図1において車線変更許容区間20uに注目すると、この車線変更許容区間20uの始端に始端ノード210が設定され、終端に終端ノード220が設定される。
後述するように、始端ノード210は始端ノードデータによって表され、終端ノード220は終端ノードデータによって表されている。
【0029】
始端ノード210と終端ノード220との間は、道路網表現上の単一の線である1本の車線変更許容区間リンク211によって結ばれている。
この車線変更許容区間リンク211は、後述する車線変更許容区間リンクデータによって表されている。
この実施の形態における道路網データのデータ構造は、車線変更許容区間(20u)内では、車線を、その本数によらず、該当する一つの始端ノード(210)および終端ノード(220)間を結ぶ単一のリンク(211)で代表する点を一つの特徴としている。
一方、図2の道路(各車線)における、図示範囲の左端側は、例えば交差点などがあり、このような地点には、道路網表現上、結節点として位置付けられ、これら結節点にノードが設定される。
【0030】
即ち、図1および図2の車線変更禁止区間10uを対照して容易に理解されるとおり、上述の結節点には、車線11に対応して車線ノード110が設定され、車線12に対応して車線ノード120が設定され、車線13に対応して車線ノード130が設定されている。
同様に、図1および図2の車線変更禁止区間30uを対照して容易に理解されるとおり、車線31に対応して車線ノード310が設定され、車線32に対応して車線ノード320が設定され、車線33に対応して車線ノード330が設定されている。
【0031】
上述の各車線ノード110、120、130、310、320、および、330は、後述するように、各対応する車線ノードデータ110d、120d、130d、310d、320d、および、330dによって表されている。
図1の車線変更禁止区間10uでは、図2の車線11に対応するようにして、車線ノード110および始端ノード210間に車線対応リンク111が1本設定される。
同様に、車線12に対応するようにして、車線ノード120および始端ノード210間に車線対応リンク121が1本設定される。
更に、車線13に対応するようにして、車線ノード130および始端ノード210間に車線対応リンク131が1本設定される。
【0032】
更にまた、図1の車線変更禁止区間30uについても同様に、図2の車線31に対応するようにして、車線ノード310および終端ノード220間に1本の車線対応リンク311が1本設定される。
また、車線32に対応するようにして、車線ノード320および終端ノード220間に1本の車線対応リンク321が設定される。
更に、車線33に対応するようにして、車線ノード330および終端ノード220間に1本の車線対応リンク331が設定される。
車線対応リンクは上述のように一の車線ノードと車線変更許容区間の始端ノードまたは終端ノードとを結ぶほか、一の車線ノードと他の車線ノードとを結ぶ。
【0033】
上述のような車線対応リンクは後述する車線対応リンクデータによって表される。
図1の車線変更禁止区間10uと車線変更許容区間20uとの境界では、車線変更禁止区間10uにおける各別の車線11、12、および、13に対応する各車線対応リンク111,121、および、131は、それらの終端側が単一の始端ノード210に結ばれ、これ以降の車線変更許容区間20uにおいて1本の車線変更許容区間リンク211に統合されている。
【0034】
上述のような複数の車線対応リンクを単一の車線変更許容区間リンクに統合する始端ノード210を表す始端ノードデータは、車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクの各一端を当該始端ノードに接続し且つ単一の車線変更許容区間リンクを当該始端ノードに接続することにより該複数の車線対応リンクを該単一の車線変更許容区間リンクに統合する接続状態を規定する接続状態属性データを伴なってる。
【0035】
また、図1の車線変更許容区間20uと車線変更禁止区間30uとの境界では、車線変更許容区間20uにおける単一の車線変更許容区間リンク211は、その終端側が単一の終端ノード220に結ばれ、これ以降の車線変更禁止区間30uにおいて複数の車線対応リンク311、321、および、331に分岐している。
上述のような単一の車線変更許容区間リンクを複数の車線対応リンクに分岐させる終端ノード220を表す終端ノードデータは、車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクを当該終端ノードに接続し且つ複数の車線対応リンクを当該終端ノードに接続することにより該単一の車線変更許容区間リンクを該複数の車線対応リンクに分岐させる接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっている。
尚、上述における接続状態属性データについては後述する。
【0036】
(道路網データのデータ構造)
図3は、本発明の一つの実施の形態としての道路網データのデータ構造を表す概念図である。
この道路網データ100のデータ構造では、図1を参照してその一例を説明した各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータが設けられる。
図3では、説明の便宜上、各始端ノードデータのうち図1の始端ノード210に対応する始端ノードデータ210dが表されている。
同様に、各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータが設けられ、図3では、図1の終端ノード220に対応する始端ノードデータ220dが表されている。
【0037】
更に、車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータが設けられ、図3では、図1の各車線ノード110、120、130、310、320、および、330に各対応する車線ノードデータ110d、120d、130d、310d、320d、および、330dが表されている。
【0038】
また、車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータが設けられる。
車線変更許容区間リンク211に対応する車線変更許容区間リンクデータ211dが表されている。
更に、車線ノードのうち該当する各一の車線ノードと他の車線ノード、該当する前記始端ノード、および、該当する前記終端ノードのうちの何れか一のノードとを結び、車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータが設けられる。
【0039】
図3では、図1の各車線対応リンク111、121、131、311、321、および、331をそれぞれ表す車線対応リンクデータ111d、121d、131d、311d、321d、および、331dが表されている。
本実施の形態では、図3の始端ノードデータ210d、終端ノードデータ220d、および、各車線ノードデータ110d、120d、130d、310d、320d、および、330dは、図4に例示するような共通のデータ様式を有する。
【0040】
(ノードデータのデータ様式)
図4は、図3の道路網データのデータ構造におけるノードデータのデータ様式を例示する図である。
図4に表されているとおり、このノードデータのデータ様式は、ノード自体を特定するためのノード識別ID401とこのノード識別ID401に付帯する属性データ402とが含まれた形態を成している。
ノード識別ID401には、所謂「x、y、z」情報である当該ノードが表す地点の経度、緯度、および、標高を表すデータが含まれている。
【0041】
また、属性データ402には、該当領域を表すメッシュID、ノード種別、接続リンク数、リンク数分の接続ノードの識別番号、対応する交差点の名称、等々のデータが含まれている。
既述のように、各始端ノードデータは、車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクの各一端を当該始端ノードに接続し且つ単一の車線変更許容区間リンクを当該始端ノードに接続することにより該複数の車線対応リンクを該単一の車線変更許容区間リンクに統合する接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっている。
【0042】
各始端ノードデータに伴なっているこの接続状態属性データは、属性データ402におけるノード種別、接続リンク数、リンク数分の接続ノードの識別番号等をその要素としてリンクの統合態様を規定している。
同様に、各終端ノードデータは、車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクを当該終端ノードに接続し且つ複数の車線対応リンクを当該終端ノードに接続することにより該単一の車線変更許容区間リンクを該複数の車線対応リンクに分岐させる接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっている。
【0043】
各終端ノードデータに伴なっているこの接続状態属性データは、属性データ402におけるノード種別、接続リンク数、リンク数分の接続ノードの識別番号等をその要素としてリンクの分岐態様を規定している。
また一方、本実施の形態では、図3の車線変更許容区間リンクデータ210d、終端ノードデータ220d、車線対応リンクデータ111d、121d、131d、311d、321d、および、331dは、図5に例示するような共通のデータ様式を有する。
【0044】
(リンクデータのデータ様式)
図5は、図3の道路網データのデータ構造におけるリンクデータのデータ様式を例示する図である。
図5に表されているとおり、このリンクデータのデータ様式は、リンク自体を特定するためのリンク識別ID501とこのリンク識別ID501に付帯する属性データ502とが含まれた形態を成している。
リンク識別ID501には、当該リンクに係る両端のノードを表す端点ノード番号のデータが含まれる。
また、属性データ502には、道路の種別、道路管理者情報、リンク長、車線数、交通規制情報、等々を表すデータが含まれる。
【0045】
(データ構造によって得られる効果)
以上、図1ないし図5を参照して説明したような本発明の実施の形態としてのデータ構造による道路網データによれば、車線変更許容区間内では、当該進行方向の1本の道路に一つのリンクが対応している従来の道路網データによる表現と差異がない。
実際に車両等が走行するに際して車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった従来からの禁則に該当する事象が本質的に生じない。
【0046】
一方、車線変更禁止区間内では、該当する車線毎にノードとリンクによって道路網が表され、各車線毎に従来の表現におけるような道路が存在する場合に相応するような取り扱いが可能になり、車線毎に区分した的確な経路案内が行われ得る。
即ち、既述の実施の形態の道路網データのデータ構造によれば、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なう惧れがない。
【0047】
次に、図1ないし図5を参照して説明したような本発明の実施の形態としてのデータ構造による道路網データを生成する道路網データ生成装置について説明する。
(道路網データ生成装置の構成例)
図6は、本発明の実施の形態としての道路網データ生成装置の構成を表す機能ブロック図である。
図6の道路網データ生成装置610は、道路網データ保持部601と、車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部602と、車線変更許容区間道路網データ抽出処理部603と、統合・分岐処理部604と、を含んで構成される。
【0048】
この道路網データ生成装置610による道路網データの生成は、該当する道路を一定の方向に沿って漸次進行する如く進められ得る。
道路網データ保持部601は車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを保持する。
【0049】
道路網データ保持部601に保持されている上述の道路網データは、図1ないし図5を参照して説明した本発明の実施の形態としてのデータ構造を有する道路網データを生成するために用いられる、所謂リソースデータベースとしてのデータである。
また、車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部602は、道路網データ保持部601に保持された上述の道路網データにおける車線変更可否識別データに基づいて、道路網データから車線変更禁止区間に該当するノードデータおよびリンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する。
【0050】
更に、車線変更許容区間道路網データ抽出処理部603は、道路網データ保持部601に保持された道路網データにおける上述の車線変更可否識別データに基づいて、道路網データから車線変更許容区間に該当するノードデータおよびリンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する。
統合・分岐処理部604では、車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部602で抽出した車線変更禁止区間道路網データおよび車線変更許容区間道路網データ抽出処理部603で抽出した車線変更許容区間道路網データに基づいて、リンクの統合に相応する処理を実行する。
【0051】
即ち、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンク(図1におけるリンク111、121、131)の一端を当該境界における車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノード(図1におけるノード210)に接続することにより該始端ノード以降のリンクに(図1におけるリンク211)統合する。
【0052】
更に、統合・分岐処理部604では、車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部602で抽出した車線変更禁止区間道路網データおよび車線変更許容区間道路網データ抽出処理部603で抽出した車線変更許容区間道路網データに基づいて、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する境界に関して、車線変更許容区間のリンク(図1におけるリンク211)を当該境界における車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノード(図1におけるノード220)に接続して当該終端ノード以降の車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンク(図1におけるリンク311、321、331)に分岐させる。
【0053】
統合・分岐処理部604では、以上のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにデータ処理を実行する。
上述のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐の道路網データが形成されることによって、結果的に形成される道路網データのデータ構造によれば、車線変更許容区間内では、前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
【0054】
従って、本発明の実施の形態としての道路網データ生成装置610によって生成されたデータ構造による道路網データによれば、車線変更許容区間内では、当該進行方向の1本の道路に一つのリンクが対応している従来の道路網データによる表現と差異がない。
実際に車両等が走行するに際して車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった従来からの禁則に該当する事象が本質的に生じない。
【0055】
一方、車線変更禁止区間内では、該当する車線毎にノードとリンクによって道路網が表され、各車線毎に従来の表現におけるような道路が存在する場合に相応するような取り扱いが可能になり、車線毎に区分した的確な経路案内が行われ得る。
即ち、既述の実施の形態の道路網データのデータ構造によれば、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なう惧れがない。
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
【0056】
一方、前記車線変更禁止区間内では、該当する車線毎に即した的確な経路案内が行われ得る。
上述のような本発明の実施の形態としての道路網データ生成装置610によって生成された道路網データは、適宜の記憶装置に設定された道路網データ格納部620に格納される。
このようにして道路網データ格納部620に格納された道路網データは、所要に応じて、複数の情報記録媒体にコピーされて頒布され、或いはまた、適宜に加工が加えられてWeb上のサーバに準備され、そこからネットワークを通して需要先に配信されるなどして利用され得る。
【0057】
(道路網データ生成用プログラム)
次にフローチャートを参照して本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムについて説明する。
図7、図8、図9、および、図10は本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムによるコンピュータの処理動作を表すフローチャートである。
【0058】
(処理動作の概要)
図7は、本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムによるコンピュータの処理動作の概要を表すフローチャートである。
先ず、道路網データベースにアクセスして道路網データを読込む(ステップS701)。
ここに、道路網データベースとは、図1ないし図5を参照して説明した本発明の実施の形態としてのデータ構造を有する道路網データを生成するために用いられる、所謂リソースデータベースであり、各道路網に関して車線変更可否識別データを伴なうデータである。
【0059】
ステップS701で読込んだデータから車線変更可否識別データを判読する(ステップS702)。
ステップS702における判読の結果について、その車線変更可否識別データが車線変更許容区間を表しているか車線変更禁止区間を表しているかを識別する(ステップS703)。
ステップS703での識別の結果その車線変更可否識別データが車線変更許容区間を表していることが判明したときには、該当する車線変更許容区間道路網データを第1の記憶部に保持する(ステップS704)。
【0060】
一方、ステップS703での識別の結果その車線変更可否識別データが車線変更禁止区間を表していることが判明したときには、該当する車線変更禁止区間道路網データを第2の記憶部に保持する(ステップS705)。
次いで、ステップS704で第1の記憶部に保持された車線変更禁止区間道路網データ、および、ステップS705で第2の記憶部に保持された車線変更禁止区間道路網データに対して統合・分岐処理を実行する(ステップS706)。
【0061】
ステップS706での統合・分岐処理は、車線変更禁止区間における車線毎に分かれた複数本のリンクを車線変更許容区間において車線の区分のない1本のリンクに統合し、車線変更許容区間における車線の区分のない1本のリンクを車線変更禁止区間において車線毎の複数本のリンクに分岐させつ処理であるが、その詳細については、図7および図8のフローチャートを用いて後述する。
【0062】
次いで、ステップS706での統合・分岐処理によって作成された道路網データを所定の記憶部に格納し(ステップS707)、予定の範囲について道路網データが完成したかを判定する(ステップS708)。
ステップS708において予定の範囲について道路網データが完成したものと判定されたときには(ステップS708:Yes)それで処理を終了し、一方、未だ予定範囲の路網データが完成していないと判定されたときには(ステップS708:No)、ステップS701の処理に戻る。
【0063】
(統合・分岐処理)
図8は、図7のフローチャートにおける統合・分岐処理の詳細を表すフローチャートである。
道路網データの作成は、概ね、当該道路ないし車線における車両等の移動体が順法的に移動するに沿って進捗する。このような道路網データ作成の進捗過程で、既述の車線変更可否識別データを検出する(ステップS801)。
次いで、ステップS801で検出された車線変更可否識別データに基づいて、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する地点に差し掛かっているか否かを判定する(ステップS802)
【0064】
ステップS802において、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する地点に差し掛かっていると判定されたときには(ステップS802:Yes)、統合処理を実行して(ステップS803)、その後処理を終了する。
ステップS803の統合処理の詳細については、図9のフローチャートを参照して後述する。
他方、ステップS802において、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する地点に差し掛かっているのではないと判定されたときには(ステップS802:No)、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する地点に差し掛かっているか否かを判定する(ステップS804)。
【0065】
ステップS804で、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する地点に差し掛かっていると判定されたときには(ステップS804:Yes)、分岐処理を実行して(ステップS805)、その後処理を終了する。
ステップS805の分岐処理の詳細については、図10のフローチャートを参照して後述する。
ステップS804で、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する地点に差し掛かっているのではないと判定されたときには(ステップS804:No)、ステップS802の処理に戻る。
【0066】
図9は、図8のフローチャートにおける統合処理の詳細を表すフローチャートである。
統合処理では、図7のフローチャートのステップS705で第2の記憶部に格納された車線変更許容区間のデータを読込む(ステップS901)。
次いで、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する境界に関して、車線変更禁止区間における各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における車線変更許容区間の始端に対応して設定した単一の始端ノードにそれぞれ接続することにより、該始端ノード以降の車線変更許容区間における1本のリンクに統合する(ステップS902)。
【0067】
図10は、図8のフローチャートにおける分岐処理の詳細を表すフローチャートである。
分岐処理では、図7のフローチャートのステップS704で第1の記憶部に格納された車線変更禁止区間のデータを読込む(ステップS1001)。
次いで、車線変更許容区間から記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、車線変更許容区間の1本のリンクを当該境界における車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続し、この終端ノード以降の車線変更禁止区間において各車線に対応する複数本の各リンクに分岐するように処理する(ステップS1002)。
【0068】
上述のような処理のコンピュータに実行させる本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムによれば、この道路網データ生成用プログラムに基づいてコンピュータが処理を実行することによって、統合・分岐処理では、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する複数本のリンクの一端を当該境界における車線変更許容区間の始端に対応して設定した単一の始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクが統合される。
【0069】
また、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する境界に関して、車線変更許容区間の1本のリンクを当該境界における車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の車線変更禁止区間において各車線に対応する複数本の各リンクに分岐するようにして、各車線に対応するリンクがそれぞれ設定される。
上述のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるため、結果的に形成される道路網データのデータ構造では、車線変更許容区間内は、始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
【0070】
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
一方、車線変更禁止区間内では、該当する車線毎に即した車線リンクが設定され、各車線毎に的確な経路案内が行われ得る。
【0071】
次に、以上のような本発明のデータ構造を持つ道路網データを用いる本発明の実施の形態としての経路案内装置について説明する。
(経路案内装置の構成例)
図11は、本発明の実施の形態としての経路案内装置の構成を表す機能ブロック図である。
この経路案内装置1100は、操作部1101と、現在地検出処理部1102と、情報保持部1103と、経路案内処理部1104と、を含んで構成され、更に、表示部1105と通信部1106とシステムコントローラ1107とが設けられている。
【0072】
上述の操作部1101、現在地検出処理部1102、情報保持部1103、経路案内処理部1104、表示部1105、および、通信部1106は、バス1110を通してシステムコントローラ1107と結ばれている。
システムコントローラ1107はこれらバス1110で結ばれた各部を統括的に管理すると共に、各部と協働して該当する各部の機能が全うされるように作用する。
操作部1101は所定の操作スイッチ或いはタッチパネル等を備え、
ユーザの操作を受け付ける。
【0073】
現在地検出処理部1102は、慣性航法装置やGPSによって自装置の位置(自装置が搭載された車両等の移動体の位置)を検出する。
情報保持部1103は、例えば図1ないし図5を参照して説明したような本発明の実施の形態のデータ構造を有する道路網データを保持している。
即ち、情報保持部1103に保持されている道路網データは、各始端ノードデータと、各終端ノードデータと、車線変更許容区間リンクデータと、車線ノードデータと、車線対応リンクデータと、を備え、更に、各始端ノードデータおよび各終端ノードデータには、各対応する接続状態属性のデータが付帯している。
【0074】
ここに、各始端ノードデータは各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す。
また、各終端ノードデータは、当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す。
更に、車線変更許容区間リンクデータは、当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す。
【0075】
車線ノードデータは、車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す。
車線対応リンクデータは、上述の車線ノードのうち該当する各一対の車線ノード間を結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す。
また、各始端ノードデータに付帯する接続状態属性のデータは、車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より単一の車線変更許容区間リンクが引き出される状態を表す。
【0076】
各終端ノードデータに付帯する接続状態属性のデータは、車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より複数の車線対応リンクが引き出される状態を表す。
経路案内処理部1104は、情報保持部1103に保持された道路網データに基づいて経路案内データを生成する。
即ち、操作部1101で受け付けたユーザの操作、および、現在地検出処理部1102で検出した自装置の現在地に応じて情報保持部1103に保持された道路網データを参照し、車線変更禁止区間に関し当該車線を区分した経路案内を行うためのデータを生成する。
【0077】
図11を参照して説明した経路案内装置1100では、情報保持部1103に保持された上述のような道路網データに依拠して経路案内処理部1104によって経路案内が行われる。
このため、各始端ノードデータ、各終端ノードデータ、および、各車線ノードデータによって、各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、同様の一のノードとして扱われることによって、複数車線を区分して認識するための特別な手段を要することなく、車線毎の的確な経路案内が行われる。
【0078】
(経路案内表示の例)
図12は、図11の経路案内装置による経路案内表示の一例を示す図である。
表示画面1200における略中央下部の三角形のマークが、この経路案内装置が搭載された車両の位置、即ち、現在地を示す現在地マーク1201である。
表示画面1200中央部の上下方向に直線状の道路1210が表示されている。
この道路1210は、太線で描かれた中央分離帯M1より左側が、図示における上方向の流れを順法とする往路1211であり、中央分離帯M1より右側が、図示における下方向の流れを順法とする復路1212である。
【0079】
道路1210を横断する方向に表示された細線が境界線1220であり、この境界線1220より図示における上側が既述のような車線変更許容区間1230、下側が既述のような車線変更禁止区間1240である。
この車線変更禁止区間1240に設定された第1車線1241、第2車線1242、および、第3車線1243が、図示のように3条の車線に区分して表示されている。
【0080】
図示の時点で、現在地マーク1201は車線変更禁止区間1240の第3車線1243に位置しており、案内経路の表示(以下、ルート表示という)1250がこの第3車線1243を走行するように案内表示している。
車線変更禁止区間1240は境界線1220において終端し、これよりも前方において車線変更許容区間1230に移行する。車線変更許容区間1230に移行すると車線変更の禁止は解除され、車線変更が許容される。
【0081】
このため、第3車線1243に沿った車線の区分による実線図示のルート表示1250は境界線1220に到ったところで終了し、以降の車線変更許容区間1230では、破線図示の、車線の区分によらないルート表示1250に切り替る。
上述の切り替わりに関し、曲線の矢線による車線変更に関する注意喚起のための過渡的区間のルート表示1251が行われる。
同時に、表示画面1200における右肩の領域に、「あと800mで車線変更可能 並走車両注意」といったガイドメッセージ1260がスーパーインポーズ表示される。
【0082】
図11を参照して既述のように、本発明の実施の形態における経路案内装置1100では、情報保持部1103に保持された車線毎の情報に依拠して、経路案内処理部1104において車線毎の経路案内処理を実行する。
これによって、図12を参照して例示的に説明したような車線毎の状況を勘案した経路案内が実現している。
図13は、図11の経路案内装置による経路案内表示の他の例を示す図である。
図13の表示は、現在地は車線変更許容区間内にあり、案内経路の前方に車線変更禁止区間があり、この車線変更禁止区間に自然渋滞が発生している場合を想定したものである。
【0083】
図13において既述の図12との対応部は同一の参照符号によって示してある。
この図13においては、境界線1220より図示における上側が既述のような車線変更禁止区間1240、下側が既述のような車線変更許容区間1230であり、この点では図12とは異なる条件が想定されている。
境界線1220より上側の車線変更禁止区間1240においては、第1車線1241、第2車線1242、および、第3車線1243が、図示のように3条の車線に区分して表示されている。各車線間は実線の細線で区分されて表示されている。
【0084】
これに対し、車線変更許容区間1230においても、車線変更を許容しつつも、複数の車線が設定されている。即ち、第1車線1231、第2車線1232、および、第3車線1233であり、車線変更が許容される。
本発明の道路網データは車線変更許容区間において車線を区分した経路案内を可能にするものではないが、当該区間に複数の車線が設定されていることはリンクデータの属性データから判読される(図5の属性データ502等参照)。
【0085】
また、図11の経路案内装置1100における現在地検出処理部1102による現在地の検出精度が十分なものであれば、上述のような複数車線の区分を表すデータと現在地を表すデータとに依拠して、事実上現在時点での走行車線を識別することができる。
図13での表示例では、現在地マーク1201は上述のような識別に基づいて第1車線1241を走行しているような画面表示1300となっている。
【0086】
現在地マーク1201に対応する車両等の移動体が更に進行すると、行く手に、境界線1220があり、そこから先は車線変更禁止区間1230であって、この区間内では、複数の車線のうちの何れかに沿って走行する必要がある。
ユーザが、この経路案内装置1100を用いる当初ないしはその後の適宜の時点で、操作部1101に対する操作によって、複数車線が設定された車線変更禁止区間1230を走行する場合に優先的に選択する車線を予め設定しておくことが可能である。
【0087】
図13の場合においては、上述の車線変更禁止区間1230における第1車線1231に自然渋滞(図13では象徴的に楕円のチェーンの末尾に“!”マークで表し参照符号1310で示してある)の発生を想定している。
ユーザが予め優先的に走行する車線を第1車線1231に設定していた場合、この選択のままに走行すると、この自然渋滞1310の影響を被ることになる。
例えば、車線変更禁止区間で自車両が第1車線1231に位置しているときに自然渋滞1310に巻き込まれた場合、勝手に第2車線1232に割り込むような回避行動は許容されない。
【0088】
従って、当初から流れが相対的に円滑な第2車線1232を走行した方が自然渋滞1310の影響を僅少に留められることが期待できる。
このため、図13におけるように、車線変更禁止区間1230の第1車線に自然渋滞1310が発生したという情報が、例えば、図11の経路案内装置1100における通信部1106を通して道路交通情通信システムから取得されたときには、ユーザによる選択を変更して、第2車線1232を走行するように経路を変更するように案内表示を行う。
【0089】
即ち、車線変更許容区間1240における第1車線1241から、過渡的区間のルート表示1252を経て、上述のように車線変更禁止区間1230の第2車線1232を走行するように実線図示の経路案内1253を行う。
また、上述のような経路案内のルート表示と共に、表示画面1300における右肩の領域に、「1Km先:第1車線自然渋滞 選択車線変更」といったガイドメッセージ1360がスーパーインポーズ表示される。
【0090】
図11を参照して既述のように、本発明の実施の形態における経路案内装置1100では、情報保持部1103に保持された車線毎の情報に依拠して、経路案内処理部1104において車線毎の経路案内処理を実行する。
これによって、車線毎の、例えば自然渋滞発生等の情報が速やかに且つ十分に活用され、図13を参照して例示的に説明したような車線毎の状況を勘案して自然渋滞を回避し、ないしは、その他の障害等の影響をも最小限に留めるといった経路案内が実現している。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なうことのない道路網データのデータ構造、このような道路網データの生成装置、このような道路網データ生成用のプログラム、および、このような道路網データを有効に利用する経路案内装置の実現に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一つの実施の形態としての道路網データのデータ構造によって車線を表す様子を説明するための概念図である。
【図2】図1の道路網データによって表現される道路の各部を表わす図である。
【図3】本発明の一つの実施の形態としての道路網データのデータ構造を表す概念図である。
【図4】図3の道路網データのデータ構造におけるノードデータのデータ様式を例示する図である。
【図5】図3の道路網データのデータ構造におけるリンクデータのデータ様式を例示する図である。
【図6】本発明の実施の形態としての道路網データ生成装置の構成を表す機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムによるコンピュータの処理動作を表すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートにおける統合・分岐処理の詳細を表すフローチャートである。
【図9】図8のフローチャートにおける統合処理の詳細を表すフローチャートである。
【図10】図8のフローチャートにおける分岐処理の詳細を表すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態としての経路案内装置の構成を表す機能ブロック図である。
【図12】図11の経路案内装置による経路案内表示の一例を示す図である。
【図13】図11の経路案内装置による経路案内表示の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
10u,30u………車線変更禁止区間
20u……………車線変更許容区間
100……………道路網データ
110、120,130……………車線ノード
111、121,131……………車線対応リンク
210……………始端ノード
211……………車線変更許容区間リンク
220……………終端ノード
310、320,330……………車線ノード
311、321,331……………車線対応リンク
610……………道路網データ生成装置
1100…………経路案内装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路網データのデータ構造、道路網データ生成装置、道路網データ生成用プログラム、および、経路案内装置に関し、特に、車線の区分に沿った経路案内に適合し且つ利用に際しての利便性が確保された道路網データのデータ構造、道路網データ生成装置、道路網データ生成用プログラム、および、経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の道路網データは、各交差点の中心を表すノードとこれらノード間を結び道路の中心線を表すリンクとによって道路を表現する形式で道路網データが構成されていた。
特に、近年では、レイヤー構造の図形データから自動的にデジタル道路地図データを生成する技術も提案されるに到っている(例えば特許文献1参照)。
この提案では、ベクトル化されたデジタル地図データに基づいて街区の境界線や側溝、縁石等、道路の外側を構成するレイヤーの図形を二値画像に変換し、該二値画像を道路の1車線分の幅に合わせて調整することによって1本の画像ラインとして道路を描くようにする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−73009号公報(要約、段落0006〜段落0011等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、カーナビゲーション装置等の経路案内装置において、適切なタイミングで車線変更を促すなど現在時点での車線毎の交通状況を的確に反映した経路案内を行うためには、車線毎の詳細な道路網データが準備されていることが望ましい。
他方、従来のカーナビゲーション装置では、交差点毎に各対応して設定したノード間を結ぶリンクによって表した道路網データに基づいて、該当するリンクに沿った経路案内を行なう。
【0004】
この経路案内では、或るリンクから他のリンクへの移転(リンク間を跨ぐような移転)は許容されないという原則に従う。
このため、仮に各車線をリンクとして表すような詳細な道路網データを作成した場合、以下の不都合が生じる。
即ち、現実の道路において車線変更が許容されるような区間においては、複数の車線を表す各リンク間を跨ぐ移転も許容されるといった、従来は禁則に該当していた事項を新たな原則とする必要がある。
或いはまた、従来の原則を踏襲しつつも、リンク間を跨ぐ移転を例外的に許容する規定を導入する必要が生じる。
【0005】
上述のように従来の原則を部分的にも改変しないと、従来のカーナビゲーション装置おけるリンク間の移転が許容されないという原則と車線変更が許容されるという実態とが齟齬することになってしまう。
このため、1本の道路に設定されている複数の車線を各別のリンクとして表す詳細な道路網データを単純に導入すると、既存のカーナビゲーション装置との親和性を欠くといった問題が生じることになる。
既述の特許文献1では、複数の車線を各別のリンクとして表す道路網データを導入した場合における上述の技術課題への言及がなく、このような技術課題の解決の方途は開示されていない。
【0006】
本発明は、上述の状況に鑑み、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なうことのない道路網データのデータ構造、このような道路網データの生成装置、このような道路網データ生成用のプログラム、および、このような道路網データを有効に利用する経路案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく、本願では次に列記するような技術を提案する。
(1)各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータと、
当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータと、
当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータと、
車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータと、
前記車線ノードのうち該当する各一の車線ノードと他の車線ノード、該当する前記始端ノード、および、該当する前記終端ノードのうちの何れか一のノードとを結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータと、を備え、
前記各始端ノードデータは、前記車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクの各一端を当該始端ノードに接続し且つ単一の車線変更許容区間リンクを当該始端ノードに接続することにより該複数の車線対応リンクを該単一の車線変更許容区間リンクに統合する接続状態を規定する接続状態属性データを伴ない、
前記各終端ノードデータは、前記車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクを当該終端ノードに接続し且つ複数の車線対応リンクを当該終端ノードに接続することにより該単一の車線変更許容区間リンクを該複数の車線対応リンクに分岐させる接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっていることを特徴とする道路網データのデータ構造。
【0008】
上記(1)の道路網データのデータ構造によれば、車線変更許容区間内では、一つの道路は、車線の数によらず、前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
一方、前記車線変更禁止区間内では、該当する車線毎にリンクが対応しており、従って、各車線の状況に即した的確な経路案内を行うことが可能になる。
【0009】
(2)前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータは、当該ノードが識別され得るためのノード識別IDと該ノード識別IDに付帯する属性データとが含まれた共通のデータ様式を有することを特徴とする(1)の道路網データのデータ構造。
上記(2)の道路網データのデータ構造では、(1)の道路網データのデータ構造において特に、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータは、共通のデータ様式を有する。
このため、上述のデータ構造による道路網データを適用する経路案内装置においては、各ノードが原則的に別段の区分を要することなく取り扱われ得るため、従来の経路案内装置と該データ構造による道路網データとは両者の親和性が維持される。
【0010】
(3)前記共通のデータ様式は、対応する経路案内装置によって、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータによって表される各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、何れも一のノードとして認識されるデータ様式であることを特徴とする(2)の道路網データのデータ構造。
【0011】
上記(3)の道路網データのデータ構造では、(2)の道路網データのデータ構造において特に、前記共通のデータ様式は、対応する経路案内装置によって、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータによって表される各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、何れも一のノードとして認識される。
このため、該経路案内装置では、上述のようなノードの種別によらず、一のノードから一のリンクを経て他のノードに到る点において、従来の原則と変わりがない経路案内の処理を行うことが可能である。
【0012】
(4)車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを保持する道路網データ保持部と、
前記道路網データ保持部に保持された前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更禁止区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部と、
前記道路網データ保持部に保持された前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更許容区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する車線変更許容区間道路網データ抽出処理部と、
前記車線変更禁止区間道路網データおよび前記車線変更許容区間道路網データに基づいて、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクに統合し、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにする統合・分岐処理部と、
を含んで構成されていることを特徴とする道路網データ生成装置。
【0013】
上記(4)の道路網データ生成装置によれば、統合・分岐処理部において、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクが統合される。
また、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして、各車線に対応するリンクが設定される。
【0014】
上述のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されることによって、結果的に形成される道路網データのデータ構造によれば、車線変更許容区間内では、前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
一方、前記車線変更禁止区間内では、該当する車線毎に即した的確な経路案内が行われ得る。
【0015】
(5)車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを処理対象とする道路網データ生成用プログラムであって、コンピュータに、
前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更禁止区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する車線変更禁止区間道路網データ抽出処理と、
前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更許容区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する車線変更許容区間道路網データ抽出処理と、
前記車線変更禁止区間道路網データおよび前記車線変更許容区間道路網データに基づいて、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクに統合し、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにする統合・分岐処理と、
を実行させるための道路網データ生成用プログラム。
【0016】
上記(5)の道路網データ生成用プログラムに基づいてコンピュータが処理を実行することによって、統合・分岐処理によって、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクが統合される。
【0017】
また、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして、各車線に対応するリンクが設定される。
上述のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されることによって、結果的に形成される道路網データのデータ構造によれば、車線変更許容区間内は、前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
【0018】
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
一方、車線変更禁止区間内では、該当する車線毎に即した車線リンクが設定され、各車線毎に的確な経路案内が行われ得る。
【0019】
(6)ユーザの操作を受け付ける操作部と、自装置の現在地を検出する現在地検出処理部と、道路網データを保持する情報保持部と、前記操作部で受け付けたユーザの操作、前記現在地検出処理部で検出した自装置の現在地、および、前記情報保持部に保持された道路網データに基づいて経路案内データを生成する経路案内処理部と、を含んで構成された経路案内装置であって、
前記情報保持部は、各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータと、当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータと、当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータと、車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータと、前記車線ノードのうち該当する各一対の車線ノード間を結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータと、を備え、前記各始端ノードデータは、前記車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より単一の車線変更許容区間リンクが引き出される状態を表す接続状態属性が付帯し、前記各終端ノードデータは、前記車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より複数の車線対応リンクが引き出される状態を表す接続状態属性が付帯している道路網データを保持し、
前記経路案内処理部は、前記操作部で受け付けたユーザの操作、および、前記現在地検出処理部で検出した自装置の現在地に応じて前記情報保持部に保持された道路網データを参照し、前記車線変更禁止区間に関し当該車線を区分した経路案内を行うように構成されていることを特徴とする経路案内装置。
【0020】
上記(6)の経路案内装置では、前記情報保持部に保持された上述のような道路網データに依拠して前記経路案内処理部によって経路案内を行うため、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータによって、各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、同様の一のノードとして扱われることによって、複数車線を区分して認識するための特別な手段を要することなく、車線毎の的確な経路案内が行われる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なうことのない道路網データのデータ構造、このような道路網データの生成装置、このような道路網データ生成用のプログラム、および、このような道路網データを有効に利用する経路案内装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより本発明を明らかにする。
(道路網データによる車線・道路の表現)
図1は、本発明の一つの実施の形態としての道路網データのデータ構造によって車線を表す様子を説明するための概念図である。
図2は、図1の道路網データによって表現される道路の各部を表わす図である。
図2に表されているように、ここで想定された道路は、それぞれ片側で3車線ある道路が中央分離帯Mによって分離され、往復方向で合計6車線を有する形態の道路である。
【0023】
図2において、当該国の法規に従った車両等の移動体の一方の進行方向として想定した左手側から右手側方向に向かって、車線変更禁止区間10u→車線変更許容区間20u→車線変更禁止区間30uが設定されている。
また、車両等の移動体の他方の進行方向として想定した右手側から左手側方向に向かって、車線変更禁止区間30d→車線変更許容区間20d→車線変更禁止区間10dが設定されている。
【0024】
図2において、車両等の移動体の一方の進行方向として想定した、車線変更禁止区間10u→車線変更許容区間20u→車線変更禁止区間30uの流れに沿って車線の区分を見る。
左側の車線変更禁止区間10uには、最も路側寄りの第1車線11、この第1車線11に隣接する中間の第2車線12、および、最も中央分離帯M寄りの第3車線13が各設定されている。
この車線変更禁止区間10uでは、これら各車線11、12、および、13間の車線変更(即ち、車線間を跨ぐ移転)は禁止されている。
【0025】
同様に、図中右側の車線変更禁止区間30uには、最も路側寄りの第1車線31、この第1車線31に隣接する中間の第2車線32、および、最も中央分離帯M寄りの第3車線33が各設定されている。
この車線変更禁止区間30uでは、これら各車線31、32、および、33間の車線変更(即ち、車線間を跨ぐ移転)は禁止されている。
これら両車線変更禁止区間10u、30uに挟まれている車線変更許容区間20uには、最も路側寄りの第1車線21、この第1車線21に隣接する中間の第2車線22、および、最も中央分離帯M寄りの第3車線33が各設定されているが、これら各車線21、22、および、23について車線変更は法規に則って許容される。
【0026】
図2において、車両等の移動体の他方の進行方向として想定した、車線変更禁止区間30d→車線変更許容区間20d→車線変更禁止区間10dの流れに沿って車線の区分を見る。
上記他の方向に沿って見た場合も、図より容易に理解されるとおり、既述の一方向に沿って見た場合とは、流れの各順方向で見て同様の様相を呈している。
即ち、車線変更禁止区間30dには、図示のように車線34、35、および、36が設定され、車線変更禁止区間10dについても同様に、車線14、15、および、16が設定されている。
【0027】
これらの各車線34、35、および、36、ならびに、14、15、および、16について、車線変更(即ち、車線間を跨ぐ移転)は禁止されている。
また、両車線変更禁止区間30dおよび10dに挟まれている車線変更許容区間20dには、図示のように車線24、25、および、26が設定され、これら各車線24、25、および、26について車線変更は法規に則って許容される。
【0028】
図1においては、説明の便宜上、車両等の移動体の一方の進行方向として想定した、車線変更禁止区間10u→車線変更許容区間20u→車線変更禁止区間30uの流れに沿って車線が表現されている。
図1において車線変更許容区間20uに注目すると、この車線変更許容区間20uの始端に始端ノード210が設定され、終端に終端ノード220が設定される。
後述するように、始端ノード210は始端ノードデータによって表され、終端ノード220は終端ノードデータによって表されている。
【0029】
始端ノード210と終端ノード220との間は、道路網表現上の単一の線である1本の車線変更許容区間リンク211によって結ばれている。
この車線変更許容区間リンク211は、後述する車線変更許容区間リンクデータによって表されている。
この実施の形態における道路網データのデータ構造は、車線変更許容区間(20u)内では、車線を、その本数によらず、該当する一つの始端ノード(210)および終端ノード(220)間を結ぶ単一のリンク(211)で代表する点を一つの特徴としている。
一方、図2の道路(各車線)における、図示範囲の左端側は、例えば交差点などがあり、このような地点には、道路網表現上、結節点として位置付けられ、これら結節点にノードが設定される。
【0030】
即ち、図1および図2の車線変更禁止区間10uを対照して容易に理解されるとおり、上述の結節点には、車線11に対応して車線ノード110が設定され、車線12に対応して車線ノード120が設定され、車線13に対応して車線ノード130が設定されている。
同様に、図1および図2の車線変更禁止区間30uを対照して容易に理解されるとおり、車線31に対応して車線ノード310が設定され、車線32に対応して車線ノード320が設定され、車線33に対応して車線ノード330が設定されている。
【0031】
上述の各車線ノード110、120、130、310、320、および、330は、後述するように、各対応する車線ノードデータ110d、120d、130d、310d、320d、および、330dによって表されている。
図1の車線変更禁止区間10uでは、図2の車線11に対応するようにして、車線ノード110および始端ノード210間に車線対応リンク111が1本設定される。
同様に、車線12に対応するようにして、車線ノード120および始端ノード210間に車線対応リンク121が1本設定される。
更に、車線13に対応するようにして、車線ノード130および始端ノード210間に車線対応リンク131が1本設定される。
【0032】
更にまた、図1の車線変更禁止区間30uについても同様に、図2の車線31に対応するようにして、車線ノード310および終端ノード220間に1本の車線対応リンク311が1本設定される。
また、車線32に対応するようにして、車線ノード320および終端ノード220間に1本の車線対応リンク321が設定される。
更に、車線33に対応するようにして、車線ノード330および終端ノード220間に1本の車線対応リンク331が設定される。
車線対応リンクは上述のように一の車線ノードと車線変更許容区間の始端ノードまたは終端ノードとを結ぶほか、一の車線ノードと他の車線ノードとを結ぶ。
【0033】
上述のような車線対応リンクは後述する車線対応リンクデータによって表される。
図1の車線変更禁止区間10uと車線変更許容区間20uとの境界では、車線変更禁止区間10uにおける各別の車線11、12、および、13に対応する各車線対応リンク111,121、および、131は、それらの終端側が単一の始端ノード210に結ばれ、これ以降の車線変更許容区間20uにおいて1本の車線変更許容区間リンク211に統合されている。
【0034】
上述のような複数の車線対応リンクを単一の車線変更許容区間リンクに統合する始端ノード210を表す始端ノードデータは、車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクの各一端を当該始端ノードに接続し且つ単一の車線変更許容区間リンクを当該始端ノードに接続することにより該複数の車線対応リンクを該単一の車線変更許容区間リンクに統合する接続状態を規定する接続状態属性データを伴なってる。
【0035】
また、図1の車線変更許容区間20uと車線変更禁止区間30uとの境界では、車線変更許容区間20uにおける単一の車線変更許容区間リンク211は、その終端側が単一の終端ノード220に結ばれ、これ以降の車線変更禁止区間30uにおいて複数の車線対応リンク311、321、および、331に分岐している。
上述のような単一の車線変更許容区間リンクを複数の車線対応リンクに分岐させる終端ノード220を表す終端ノードデータは、車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクを当該終端ノードに接続し且つ複数の車線対応リンクを当該終端ノードに接続することにより該単一の車線変更許容区間リンクを該複数の車線対応リンクに分岐させる接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっている。
尚、上述における接続状態属性データについては後述する。
【0036】
(道路網データのデータ構造)
図3は、本発明の一つの実施の形態としての道路網データのデータ構造を表す概念図である。
この道路網データ100のデータ構造では、図1を参照してその一例を説明した各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータが設けられる。
図3では、説明の便宜上、各始端ノードデータのうち図1の始端ノード210に対応する始端ノードデータ210dが表されている。
同様に、各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータが設けられ、図3では、図1の終端ノード220に対応する始端ノードデータ220dが表されている。
【0037】
更に、車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータが設けられ、図3では、図1の各車線ノード110、120、130、310、320、および、330に各対応する車線ノードデータ110d、120d、130d、310d、320d、および、330dが表されている。
【0038】
また、車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータが設けられる。
車線変更許容区間リンク211に対応する車線変更許容区間リンクデータ211dが表されている。
更に、車線ノードのうち該当する各一の車線ノードと他の車線ノード、該当する前記始端ノード、および、該当する前記終端ノードのうちの何れか一のノードとを結び、車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータが設けられる。
【0039】
図3では、図1の各車線対応リンク111、121、131、311、321、および、331をそれぞれ表す車線対応リンクデータ111d、121d、131d、311d、321d、および、331dが表されている。
本実施の形態では、図3の始端ノードデータ210d、終端ノードデータ220d、および、各車線ノードデータ110d、120d、130d、310d、320d、および、330dは、図4に例示するような共通のデータ様式を有する。
【0040】
(ノードデータのデータ様式)
図4は、図3の道路網データのデータ構造におけるノードデータのデータ様式を例示する図である。
図4に表されているとおり、このノードデータのデータ様式は、ノード自体を特定するためのノード識別ID401とこのノード識別ID401に付帯する属性データ402とが含まれた形態を成している。
ノード識別ID401には、所謂「x、y、z」情報である当該ノードが表す地点の経度、緯度、および、標高を表すデータが含まれている。
【0041】
また、属性データ402には、該当領域を表すメッシュID、ノード種別、接続リンク数、リンク数分の接続ノードの識別番号、対応する交差点の名称、等々のデータが含まれている。
既述のように、各始端ノードデータは、車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクの各一端を当該始端ノードに接続し且つ単一の車線変更許容区間リンクを当該始端ノードに接続することにより該複数の車線対応リンクを該単一の車線変更許容区間リンクに統合する接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっている。
【0042】
各始端ノードデータに伴なっているこの接続状態属性データは、属性データ402におけるノード種別、接続リンク数、リンク数分の接続ノードの識別番号等をその要素としてリンクの統合態様を規定している。
同様に、各終端ノードデータは、車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクを当該終端ノードに接続し且つ複数の車線対応リンクを当該終端ノードに接続することにより該単一の車線変更許容区間リンクを該複数の車線対応リンクに分岐させる接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっている。
【0043】
各終端ノードデータに伴なっているこの接続状態属性データは、属性データ402におけるノード種別、接続リンク数、リンク数分の接続ノードの識別番号等をその要素としてリンクの分岐態様を規定している。
また一方、本実施の形態では、図3の車線変更許容区間リンクデータ210d、終端ノードデータ220d、車線対応リンクデータ111d、121d、131d、311d、321d、および、331dは、図5に例示するような共通のデータ様式を有する。
【0044】
(リンクデータのデータ様式)
図5は、図3の道路網データのデータ構造におけるリンクデータのデータ様式を例示する図である。
図5に表されているとおり、このリンクデータのデータ様式は、リンク自体を特定するためのリンク識別ID501とこのリンク識別ID501に付帯する属性データ502とが含まれた形態を成している。
リンク識別ID501には、当該リンクに係る両端のノードを表す端点ノード番号のデータが含まれる。
また、属性データ502には、道路の種別、道路管理者情報、リンク長、車線数、交通規制情報、等々を表すデータが含まれる。
【0045】
(データ構造によって得られる効果)
以上、図1ないし図5を参照して説明したような本発明の実施の形態としてのデータ構造による道路網データによれば、車線変更許容区間内では、当該進行方向の1本の道路に一つのリンクが対応している従来の道路網データによる表現と差異がない。
実際に車両等が走行するに際して車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった従来からの禁則に該当する事象が本質的に生じない。
【0046】
一方、車線変更禁止区間内では、該当する車線毎にノードとリンクによって道路網が表され、各車線毎に従来の表現におけるような道路が存在する場合に相応するような取り扱いが可能になり、車線毎に区分した的確な経路案内が行われ得る。
即ち、既述の実施の形態の道路網データのデータ構造によれば、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なう惧れがない。
【0047】
次に、図1ないし図5を参照して説明したような本発明の実施の形態としてのデータ構造による道路網データを生成する道路網データ生成装置について説明する。
(道路網データ生成装置の構成例)
図6は、本発明の実施の形態としての道路網データ生成装置の構成を表す機能ブロック図である。
図6の道路網データ生成装置610は、道路網データ保持部601と、車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部602と、車線変更許容区間道路網データ抽出処理部603と、統合・分岐処理部604と、を含んで構成される。
【0048】
この道路網データ生成装置610による道路網データの生成は、該当する道路を一定の方向に沿って漸次進行する如く進められ得る。
道路網データ保持部601は車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを保持する。
【0049】
道路網データ保持部601に保持されている上述の道路網データは、図1ないし図5を参照して説明した本発明の実施の形態としてのデータ構造を有する道路網データを生成するために用いられる、所謂リソースデータベースとしてのデータである。
また、車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部602は、道路網データ保持部601に保持された上述の道路網データにおける車線変更可否識別データに基づいて、道路網データから車線変更禁止区間に該当するノードデータおよびリンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する。
【0050】
更に、車線変更許容区間道路網データ抽出処理部603は、道路網データ保持部601に保持された道路網データにおける上述の車線変更可否識別データに基づいて、道路網データから車線変更許容区間に該当するノードデータおよびリンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する。
統合・分岐処理部604では、車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部602で抽出した車線変更禁止区間道路網データおよび車線変更許容区間道路網データ抽出処理部603で抽出した車線変更許容区間道路網データに基づいて、リンクの統合に相応する処理を実行する。
【0051】
即ち、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンク(図1におけるリンク111、121、131)の一端を当該境界における車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノード(図1におけるノード210)に接続することにより該始端ノード以降のリンクに(図1におけるリンク211)統合する。
【0052】
更に、統合・分岐処理部604では、車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部602で抽出した車線変更禁止区間道路網データおよび車線変更許容区間道路網データ抽出処理部603で抽出した車線変更許容区間道路網データに基づいて、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する境界に関して、車線変更許容区間のリンク(図1におけるリンク211)を当該境界における車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノード(図1におけるノード220)に接続して当該終端ノード以降の車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンク(図1におけるリンク311、321、331)に分岐させる。
【0053】
統合・分岐処理部604では、以上のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにデータ処理を実行する。
上述のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐の道路網データが形成されることによって、結果的に形成される道路網データのデータ構造によれば、車線変更許容区間内では、前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
【0054】
従って、本発明の実施の形態としての道路網データ生成装置610によって生成されたデータ構造による道路網データによれば、車線変更許容区間内では、当該進行方向の1本の道路に一つのリンクが対応している従来の道路網データによる表現と差異がない。
実際に車両等が走行するに際して車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった従来からの禁則に該当する事象が本質的に生じない。
【0055】
一方、車線変更禁止区間内では、該当する車線毎にノードとリンクによって道路網が表され、各車線毎に従来の表現におけるような道路が存在する場合に相応するような取り扱いが可能になり、車線毎に区分した的確な経路案内が行われ得る。
即ち、既述の実施の形態の道路網データのデータ構造によれば、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なう惧れがない。
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
【0056】
一方、前記車線変更禁止区間内では、該当する車線毎に即した的確な経路案内が行われ得る。
上述のような本発明の実施の形態としての道路網データ生成装置610によって生成された道路網データは、適宜の記憶装置に設定された道路網データ格納部620に格納される。
このようにして道路網データ格納部620に格納された道路網データは、所要に応じて、複数の情報記録媒体にコピーされて頒布され、或いはまた、適宜に加工が加えられてWeb上のサーバに準備され、そこからネットワークを通して需要先に配信されるなどして利用され得る。
【0057】
(道路網データ生成用プログラム)
次にフローチャートを参照して本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムについて説明する。
図7、図8、図9、および、図10は本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムによるコンピュータの処理動作を表すフローチャートである。
【0058】
(処理動作の概要)
図7は、本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムによるコンピュータの処理動作の概要を表すフローチャートである。
先ず、道路網データベースにアクセスして道路網データを読込む(ステップS701)。
ここに、道路網データベースとは、図1ないし図5を参照して説明した本発明の実施の形態としてのデータ構造を有する道路網データを生成するために用いられる、所謂リソースデータベースであり、各道路網に関して車線変更可否識別データを伴なうデータである。
【0059】
ステップS701で読込んだデータから車線変更可否識別データを判読する(ステップS702)。
ステップS702における判読の結果について、その車線変更可否識別データが車線変更許容区間を表しているか車線変更禁止区間を表しているかを識別する(ステップS703)。
ステップS703での識別の結果その車線変更可否識別データが車線変更許容区間を表していることが判明したときには、該当する車線変更許容区間道路網データを第1の記憶部に保持する(ステップS704)。
【0060】
一方、ステップS703での識別の結果その車線変更可否識別データが車線変更禁止区間を表していることが判明したときには、該当する車線変更禁止区間道路網データを第2の記憶部に保持する(ステップS705)。
次いで、ステップS704で第1の記憶部に保持された車線変更禁止区間道路網データ、および、ステップS705で第2の記憶部に保持された車線変更禁止区間道路網データに対して統合・分岐処理を実行する(ステップS706)。
【0061】
ステップS706での統合・分岐処理は、車線変更禁止区間における車線毎に分かれた複数本のリンクを車線変更許容区間において車線の区分のない1本のリンクに統合し、車線変更許容区間における車線の区分のない1本のリンクを車線変更禁止区間において車線毎の複数本のリンクに分岐させつ処理であるが、その詳細については、図7および図8のフローチャートを用いて後述する。
【0062】
次いで、ステップS706での統合・分岐処理によって作成された道路網データを所定の記憶部に格納し(ステップS707)、予定の範囲について道路網データが完成したかを判定する(ステップS708)。
ステップS708において予定の範囲について道路網データが完成したものと判定されたときには(ステップS708:Yes)それで処理を終了し、一方、未だ予定範囲の路網データが完成していないと判定されたときには(ステップS708:No)、ステップS701の処理に戻る。
【0063】
(統合・分岐処理)
図8は、図7のフローチャートにおける統合・分岐処理の詳細を表すフローチャートである。
道路網データの作成は、概ね、当該道路ないし車線における車両等の移動体が順法的に移動するに沿って進捗する。このような道路網データ作成の進捗過程で、既述の車線変更可否識別データを検出する(ステップS801)。
次いで、ステップS801で検出された車線変更可否識別データに基づいて、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する地点に差し掛かっているか否かを判定する(ステップS802)
【0064】
ステップS802において、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する地点に差し掛かっていると判定されたときには(ステップS802:Yes)、統合処理を実行して(ステップS803)、その後処理を終了する。
ステップS803の統合処理の詳細については、図9のフローチャートを参照して後述する。
他方、ステップS802において、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する地点に差し掛かっているのではないと判定されたときには(ステップS802:No)、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する地点に差し掛かっているか否かを判定する(ステップS804)。
【0065】
ステップS804で、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する地点に差し掛かっていると判定されたときには(ステップS804:Yes)、分岐処理を実行して(ステップS805)、その後処理を終了する。
ステップS805の分岐処理の詳細については、図10のフローチャートを参照して後述する。
ステップS804で、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する地点に差し掛かっているのではないと判定されたときには(ステップS804:No)、ステップS802の処理に戻る。
【0066】
図9は、図8のフローチャートにおける統合処理の詳細を表すフローチャートである。
統合処理では、図7のフローチャートのステップS705で第2の記憶部に格納された車線変更許容区間のデータを読込む(ステップS901)。
次いで、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する境界に関して、車線変更禁止区間における各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における車線変更許容区間の始端に対応して設定した単一の始端ノードにそれぞれ接続することにより、該始端ノード以降の車線変更許容区間における1本のリンクに統合する(ステップS902)。
【0067】
図10は、図8のフローチャートにおける分岐処理の詳細を表すフローチャートである。
分岐処理では、図7のフローチャートのステップS704で第1の記憶部に格納された車線変更禁止区間のデータを読込む(ステップS1001)。
次いで、車線変更許容区間から記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、車線変更許容区間の1本のリンクを当該境界における車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続し、この終端ノード以降の車線変更禁止区間において各車線に対応する複数本の各リンクに分岐するように処理する(ステップS1002)。
【0068】
上述のような処理のコンピュータに実行させる本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムによれば、この道路網データ生成用プログラムに基づいてコンピュータが処理を実行することによって、統合・分岐処理では、車線変更禁止区間から車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する複数本のリンクの一端を当該境界における車線変更許容区間の始端に対応して設定した単一の始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクが統合される。
【0069】
また、車線変更許容区間から車線変更禁止区間に移行する境界に関して、車線変更許容区間の1本のリンクを当該境界における車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の車線変更禁止区間において各車線に対応する複数本の各リンクに分岐するようにして、各車線に対応するリンクがそれぞれ設定される。
上述のようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるため、結果的に形成される道路網データのデータ構造では、車線変更許容区間内は、始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクで表される。
【0070】
このため、この車線変更許容区間内では、車線を変更して移動する場合についても、何れの車線に該当するかの区分によらない1本のリンクで表された道路内での車線変更であるため、リンク間を跨いでの移動を許容するといった禁則に該当する事象が本質的に生じない。
一方、車線変更禁止区間内では、該当する車線毎に即した車線リンクが設定され、各車線毎に的確な経路案内が行われ得る。
【0071】
次に、以上のような本発明のデータ構造を持つ道路網データを用いる本発明の実施の形態としての経路案内装置について説明する。
(経路案内装置の構成例)
図11は、本発明の実施の形態としての経路案内装置の構成を表す機能ブロック図である。
この経路案内装置1100は、操作部1101と、現在地検出処理部1102と、情報保持部1103と、経路案内処理部1104と、を含んで構成され、更に、表示部1105と通信部1106とシステムコントローラ1107とが設けられている。
【0072】
上述の操作部1101、現在地検出処理部1102、情報保持部1103、経路案内処理部1104、表示部1105、および、通信部1106は、バス1110を通してシステムコントローラ1107と結ばれている。
システムコントローラ1107はこれらバス1110で結ばれた各部を統括的に管理すると共に、各部と協働して該当する各部の機能が全うされるように作用する。
操作部1101は所定の操作スイッチ或いはタッチパネル等を備え、
ユーザの操作を受け付ける。
【0073】
現在地検出処理部1102は、慣性航法装置やGPSによって自装置の位置(自装置が搭載された車両等の移動体の位置)を検出する。
情報保持部1103は、例えば図1ないし図5を参照して説明したような本発明の実施の形態のデータ構造を有する道路網データを保持している。
即ち、情報保持部1103に保持されている道路網データは、各始端ノードデータと、各終端ノードデータと、車線変更許容区間リンクデータと、車線ノードデータと、車線対応リンクデータと、を備え、更に、各始端ノードデータおよび各終端ノードデータには、各対応する接続状態属性のデータが付帯している。
【0074】
ここに、各始端ノードデータは各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す。
また、各終端ノードデータは、当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す。
更に、車線変更許容区間リンクデータは、当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す。
【0075】
車線ノードデータは、車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す。
車線対応リンクデータは、上述の車線ノードのうち該当する各一対の車線ノード間を結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す。
また、各始端ノードデータに付帯する接続状態属性のデータは、車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より単一の車線変更許容区間リンクが引き出される状態を表す。
【0076】
各終端ノードデータに付帯する接続状態属性のデータは、車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より複数の車線対応リンクが引き出される状態を表す。
経路案内処理部1104は、情報保持部1103に保持された道路網データに基づいて経路案内データを生成する。
即ち、操作部1101で受け付けたユーザの操作、および、現在地検出処理部1102で検出した自装置の現在地に応じて情報保持部1103に保持された道路網データを参照し、車線変更禁止区間に関し当該車線を区分した経路案内を行うためのデータを生成する。
【0077】
図11を参照して説明した経路案内装置1100では、情報保持部1103に保持された上述のような道路網データに依拠して経路案内処理部1104によって経路案内が行われる。
このため、各始端ノードデータ、各終端ノードデータ、および、各車線ノードデータによって、各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、同様の一のノードとして扱われることによって、複数車線を区分して認識するための特別な手段を要することなく、車線毎の的確な経路案内が行われる。
【0078】
(経路案内表示の例)
図12は、図11の経路案内装置による経路案内表示の一例を示す図である。
表示画面1200における略中央下部の三角形のマークが、この経路案内装置が搭載された車両の位置、即ち、現在地を示す現在地マーク1201である。
表示画面1200中央部の上下方向に直線状の道路1210が表示されている。
この道路1210は、太線で描かれた中央分離帯M1より左側が、図示における上方向の流れを順法とする往路1211であり、中央分離帯M1より右側が、図示における下方向の流れを順法とする復路1212である。
【0079】
道路1210を横断する方向に表示された細線が境界線1220であり、この境界線1220より図示における上側が既述のような車線変更許容区間1230、下側が既述のような車線変更禁止区間1240である。
この車線変更禁止区間1240に設定された第1車線1241、第2車線1242、および、第3車線1243が、図示のように3条の車線に区分して表示されている。
【0080】
図示の時点で、現在地マーク1201は車線変更禁止区間1240の第3車線1243に位置しており、案内経路の表示(以下、ルート表示という)1250がこの第3車線1243を走行するように案内表示している。
車線変更禁止区間1240は境界線1220において終端し、これよりも前方において車線変更許容区間1230に移行する。車線変更許容区間1230に移行すると車線変更の禁止は解除され、車線変更が許容される。
【0081】
このため、第3車線1243に沿った車線の区分による実線図示のルート表示1250は境界線1220に到ったところで終了し、以降の車線変更許容区間1230では、破線図示の、車線の区分によらないルート表示1250に切り替る。
上述の切り替わりに関し、曲線の矢線による車線変更に関する注意喚起のための過渡的区間のルート表示1251が行われる。
同時に、表示画面1200における右肩の領域に、「あと800mで車線変更可能 並走車両注意」といったガイドメッセージ1260がスーパーインポーズ表示される。
【0082】
図11を参照して既述のように、本発明の実施の形態における経路案内装置1100では、情報保持部1103に保持された車線毎の情報に依拠して、経路案内処理部1104において車線毎の経路案内処理を実行する。
これによって、図12を参照して例示的に説明したような車線毎の状況を勘案した経路案内が実現している。
図13は、図11の経路案内装置による経路案内表示の他の例を示す図である。
図13の表示は、現在地は車線変更許容区間内にあり、案内経路の前方に車線変更禁止区間があり、この車線変更禁止区間に自然渋滞が発生している場合を想定したものである。
【0083】
図13において既述の図12との対応部は同一の参照符号によって示してある。
この図13においては、境界線1220より図示における上側が既述のような車線変更禁止区間1240、下側が既述のような車線変更許容区間1230であり、この点では図12とは異なる条件が想定されている。
境界線1220より上側の車線変更禁止区間1240においては、第1車線1241、第2車線1242、および、第3車線1243が、図示のように3条の車線に区分して表示されている。各車線間は実線の細線で区分されて表示されている。
【0084】
これに対し、車線変更許容区間1230においても、車線変更を許容しつつも、複数の車線が設定されている。即ち、第1車線1231、第2車線1232、および、第3車線1233であり、車線変更が許容される。
本発明の道路網データは車線変更許容区間において車線を区分した経路案内を可能にするものではないが、当該区間に複数の車線が設定されていることはリンクデータの属性データから判読される(図5の属性データ502等参照)。
【0085】
また、図11の経路案内装置1100における現在地検出処理部1102による現在地の検出精度が十分なものであれば、上述のような複数車線の区分を表すデータと現在地を表すデータとに依拠して、事実上現在時点での走行車線を識別することができる。
図13での表示例では、現在地マーク1201は上述のような識別に基づいて第1車線1241を走行しているような画面表示1300となっている。
【0086】
現在地マーク1201に対応する車両等の移動体が更に進行すると、行く手に、境界線1220があり、そこから先は車線変更禁止区間1230であって、この区間内では、複数の車線のうちの何れかに沿って走行する必要がある。
ユーザが、この経路案内装置1100を用いる当初ないしはその後の適宜の時点で、操作部1101に対する操作によって、複数車線が設定された車線変更禁止区間1230を走行する場合に優先的に選択する車線を予め設定しておくことが可能である。
【0087】
図13の場合においては、上述の車線変更禁止区間1230における第1車線1231に自然渋滞(図13では象徴的に楕円のチェーンの末尾に“!”マークで表し参照符号1310で示してある)の発生を想定している。
ユーザが予め優先的に走行する車線を第1車線1231に設定していた場合、この選択のままに走行すると、この自然渋滞1310の影響を被ることになる。
例えば、車線変更禁止区間で自車両が第1車線1231に位置しているときに自然渋滞1310に巻き込まれた場合、勝手に第2車線1232に割り込むような回避行動は許容されない。
【0088】
従って、当初から流れが相対的に円滑な第2車線1232を走行した方が自然渋滞1310の影響を僅少に留められることが期待できる。
このため、図13におけるように、車線変更禁止区間1230の第1車線に自然渋滞1310が発生したという情報が、例えば、図11の経路案内装置1100における通信部1106を通して道路交通情通信システムから取得されたときには、ユーザによる選択を変更して、第2車線1232を走行するように経路を変更するように案内表示を行う。
【0089】
即ち、車線変更許容区間1240における第1車線1241から、過渡的区間のルート表示1252を経て、上述のように車線変更禁止区間1230の第2車線1232を走行するように実線図示の経路案内1253を行う。
また、上述のような経路案内のルート表示と共に、表示画面1300における右肩の領域に、「1Km先:第1車線自然渋滞 選択車線変更」といったガイドメッセージ1360がスーパーインポーズ表示される。
【0090】
図11を参照して既述のように、本発明の実施の形態における経路案内装置1100では、情報保持部1103に保持された車線毎の情報に依拠して、経路案内処理部1104において車線毎の経路案内処理を実行する。
これによって、車線毎の、例えば自然渋滞発生等の情報が速やかに且つ十分に活用され、図13を参照して例示的に説明したような車線毎の状況を勘案して自然渋滞を回避し、ないしは、その他の障害等の影響をも最小限に留めるといった経路案内が実現している。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、リンク間を跨ぐような移転を許容しない原則に準拠した従来の経路案内装置との親和性を損なうことのない道路網データのデータ構造、このような道路網データの生成装置、このような道路網データ生成用のプログラム、および、このような道路網データを有効に利用する経路案内装置の実現に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一つの実施の形態としての道路網データのデータ構造によって車線を表す様子を説明するための概念図である。
【図2】図1の道路網データによって表現される道路の各部を表わす図である。
【図3】本発明の一つの実施の形態としての道路網データのデータ構造を表す概念図である。
【図4】図3の道路網データのデータ構造におけるノードデータのデータ様式を例示する図である。
【図5】図3の道路網データのデータ構造におけるリンクデータのデータ様式を例示する図である。
【図6】本発明の実施の形態としての道路網データ生成装置の構成を表す機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態としての道路網データ生成用プログラムによるコンピュータの処理動作を表すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートにおける統合・分岐処理の詳細を表すフローチャートである。
【図9】図8のフローチャートにおける統合処理の詳細を表すフローチャートである。
【図10】図8のフローチャートにおける分岐処理の詳細を表すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態としての経路案内装置の構成を表す機能ブロック図である。
【図12】図11の経路案内装置による経路案内表示の一例を示す図である。
【図13】図11の経路案内装置による経路案内表示の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
10u,30u………車線変更禁止区間
20u……………車線変更許容区間
100……………道路網データ
110、120,130……………車線ノード
111、121,131……………車線対応リンク
210……………始端ノード
211……………車線変更許容区間リンク
220……………終端ノード
310、320,330……………車線ノード
311、321,331……………車線対応リンク
610……………道路網データ生成装置
1100…………経路案内装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータと、
当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータと、
当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータと、
車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータと、
前記車線ノードのうち該当する各一の車線ノードと他の車線ノード、該当する前記始端ノード、および、該当する前記終端ノードのうちの何れか一のノードとを結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータと、を備え、
前記各始端ノードデータは、前記車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクの各一端を当該始端ノードに接続し且つ単一の車線変更許容区間リンクを当該始端ノードに接続することにより該複数の車線対応リンクを該単一の車線変更許容区間リンクに統合する接続状態を規定する接続状態属性データを伴ない、
前記各終端ノードデータは、前記車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクを当該終端ノードに接続し且つ複数の車線対応リンクを当該終端ノードに接続することにより該単一の車線変更許容区間リンクを該複数の車線対応リンクに分岐させる接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっていることを特徴とする道路網データのデータ構造。
【請求項2】
前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータは、当該ノードが識別され得るためのノード識別IDと該ノード識別IDに付帯する属性データとが含まれた共通のデータ様式を有することを特徴とする請求項1に記載の道路網データのデータ構造。
【請求項3】
前記共通のデータ様式は、対応する経路案内装置によって、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータによって表される各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、何れも一のノードとして認識されるデータ様式であることを特徴とする請求項2に記載の道路網データのデータ構造。
【請求項4】
車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを保持する道路網データ保持部と、
前記道路網データ保持部に保持された前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更禁止区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部と、
前記道路網データ保持部に保持された前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更許容区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する車線変更許容区間道路網データ抽出処理部と、
前記車線変更禁止区間道路網データおよび前記車線変更許容区間道路網データに基づいて、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクに統合し、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにする統合・分岐処理部と、
を含んで構成されていることを特徴とする道路網データ生成装置。
【請求項5】
車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを処理対象とする道路網データ生成用プログラムであって、コンピュータに、
前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更禁止区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する車線変更禁止区間道路網データ抽出処理と、
前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更許容区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する車線変更許容区間道路網データ抽出処理と、
前記車線変更禁止区間道路網データおよび前記車線変更許容区間道路網データに基づいて、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクに統合し、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにする統合・分岐処理と、
を実行させるための道路網データ生成用プログラム。
【請求項6】
ユーザの操作を受け付ける操作部と、自装置の現在地を検出する現在地検出処理部と、道路網データを保持する情報保持部と、前記操作部で受け付けたユーザの操作、前記現在地検出処理部で検出した自装置の現在地、および、前記情報保持部に保持された道路網データに基づいて経路案内データを生成する経路案内処理部と、を含んで構成された経路案内装置であって、
前記情報保持部は、各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータと、当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータと、当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータと、車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータと、前記車線ノードのうち該当する各一対の車線ノード間を結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータと、を備え、前記各始端ノードデータは、前記車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より単一の車線変更許容区間リンクが引き出される状態を表す接続状態属性が付帯し、前記各終端ノードデータは、前記車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より複数の車線対応リンクが引き出される状態を表す接続状態属性が付帯している道路網データを保持し、
前記経路案内処理部は、前記操作部で受け付けたユーザの操作、および、前記現在地検出処理部で検出した自装置の現在地に応じて前記情報保持部に保持された道路網データを参照し、前記車線変更禁止区間に関し当該車線を区分した経路案内を行うように構成されていることを特徴とする経路案内装置。
【請求項1】
各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータと、
当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータと、
当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータと、
車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータと、
前記車線ノードのうち該当する各一の車線ノードと他の車線ノード、該当する前記始端ノード、および、該当する前記終端ノードのうちの何れか一のノードとを結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータと、を備え、
前記各始端ノードデータは、前記車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクの各一端を当該始端ノードに接続し且つ単一の車線変更許容区間リンクを当該始端ノードに接続することにより該複数の車線対応リンクを該単一の車線変更許容区間リンクに統合する接続状態を規定する接続状態属性データを伴ない、
前記各終端ノードデータは、前記車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクを当該終端ノードに接続し且つ複数の車線対応リンクを当該終端ノードに接続することにより該単一の車線変更許容区間リンクを該複数の車線対応リンクに分岐させる接続状態を規定する接続状態属性データを伴なっていることを特徴とする道路網データのデータ構造。
【請求項2】
前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータは、当該ノードが識別され得るためのノード識別IDと該ノード識別IDに付帯する属性データとが含まれた共通のデータ様式を有することを特徴とする請求項1に記載の道路網データのデータ構造。
【請求項3】
前記共通のデータ様式は、対応する経路案内装置によって、前記各始端ノードデータ、および、前記各終端ノードデータ、ならびに、前記各車線ノードデータによって表される各始端ノード、および、各終端ノード、ならびに、各車線ノードが、何れも一のノードとして認識されるデータ様式であることを特徴とする請求項2に記載の道路網データのデータ構造。
【請求項4】
車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを保持する道路網データ保持部と、
前記道路網データ保持部に保持された前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更禁止区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する車線変更禁止区間道路網データ抽出処理部と、
前記道路網データ保持部に保持された前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更許容区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する車線変更許容区間道路網データ抽出処理部と、
前記車線変更禁止区間道路網データおよび前記車線変更許容区間道路網データに基づいて、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクに統合し、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにする統合・分岐処理部と、
を含んで構成されていることを特徴とする道路網データ生成装置。
【請求項5】
車線の部分的区間毎に対応した道路網表現上の線である各リンクを表すリンクデータと、前記各リンクの両端が各接続される道路網表現上の結節点である各ノードを表すノードデータと、前記各リンク毎に当該リンクが車線変更禁止区間に該当するか車線変更許容区間に該当するかを識別するための車線変更可否識別データと、を含む道路網データを処理対象とする道路網データ生成用プログラムであって、コンピュータに、
前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更禁止区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更禁止区間道路網データとして抽出する車線変更禁止区間道路網データ抽出処理と、
前記道路網データにおける前記車線変更可否識別データに基づいて前記道路網データから前記車線変更許容区間に該当する前記ノードデータおよび前記リンクデータを車線変更許容区間道路網データとして抽出する車線変更許容区間道路網データ抽出処理と、
前記車線変更禁止区間道路網データおよび前記車線変更許容区間道路網データに基づいて、前記車線変更禁止区間から前記車線変更許容区間に移行する境界に関して、各車線に対応する各リンクの一端を当該境界における前記車線変更許容区間の始端に対応して設定した始端ノードに接続することにより該始端ノード以降のリンクに統合し、前記車線変更許容区間から前記車線変更禁止区間に移行する境界に関して、前記車線変更許容区間のリンクを当該境界における前記車線変更許容区間の終端に対応して設定した終端ノードに接続して当該終端ノード以降の前記車線変更禁止区間において各車線に対応する各リンクに分岐するようにして各該当する境界ノードにおいてリンクの統合および分岐が形成されるようにする統合・分岐処理と、
を実行させるための道路網データ生成用プログラム。
【請求項6】
ユーザの操作を受け付ける操作部と、自装置の現在地を検出する現在地検出処理部と、道路網データを保持する情報保持部と、前記操作部で受け付けたユーザの操作、前記現在地検出処理部で検出した自装置の現在地、および、前記情報保持部に保持された道路網データに基づいて経路案内データを生成する経路案内処理部と、を含んで構成された経路案内装置であって、
前記情報保持部は、各一の車線変更許容区間の始端にそれぞれ設定される始端ノードを表す各始端ノードデータと、当該各一の車線変更許容区間の終端にそれぞれ設定される終端ノードを表す各終端ノードデータと、当該車線変更許容区間内の車線をその本数によらず該当する前記始端ノードおよび終端ノード間を道路網表現上の単一の線で結ぶ車線変更許容区間リンクを表す車線変更許容区間リンクデータと、車線変更禁止区間の車線毎に道路網表現上の各結節点に対応して設定された車線ノードをそれぞれ表す車線ノードデータと、前記車線ノードのうち該当する各一対の車線ノード間を結び前記車線毎に各1本設定される車線対応リンクをそれぞれ表す車線対応リンクデータと、を備え、前記各始端ノードデータは、前記車線変更禁止区間における複数の車線対応リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より単一の車線変更許容区間リンクが引き出される状態を表す接続状態属性が付帯し、前記各終端ノードデータは、前記車線変更許容止区間における単一の車線変更許容区間リンクが自己に向かって引き込まれ且つ自己より複数の車線対応リンクが引き出される状態を表す接続状態属性が付帯している道路網データを保持し、
前記経路案内処理部は、前記操作部で受け付けたユーザの操作、および、前記現在地検出処理部で検出した自装置の現在地に応じて前記情報保持部に保持された道路網データを参照し、前記車線変更禁止区間に関し当該車線を区分した経路案内を行うように構成されていることを特徴とする経路案内装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−117273(P2010−117273A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291489(P2008−291489)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(501400437)財団法人日本デジタル道路地図協会 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(501400437)財団法人日本デジタル道路地図協会 (2)
【Fターム(参考)】
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