説明

遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置

【課題】 遠隔操作式の作業機2において、作業待ち時のエンジン4停止制御を、送信機14に設けられたオートパワーオフ機能22の非操作状態監視情報(オートパワーオフ信号)を利用して行うようにした遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置を提供する。
【解決手段】 エンジン4で駆動される作業機2を、作業者の操作が所定時間以上なされなかった時に電源をオフにして省電力モードにするオートパワーオフ機能22を備えた遠隔操作用送信機14が出力する操作信号によって遠隔操作可能にした遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置において、送信機14にオートパワーオフ機能22の作動情報をエンジン停止信号として作業機2側に出力するエンジン停止信号出力手段25を設けると共に、作業機2に送信機14が出力したエンジン停止信号を受けてエンジンを停止制御するエンジン停止制御手段28を設けて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンで駆動される遠隔操作式の作業機において、作業待ち時に自動的にエンジンを停止させて無駄な燃料の消費を防止するようにした遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンで駆動される作業機の一例として、走行可能な車輌(トラック)上に小型のクレーンを搭載して、主として荷台上への荷物の積み降し作業を行うようにした車載式クレーンがある。当該クレーンは、車輌の走行用エンジンで油圧ポンプを駆動し、当該ポンプが吐出する作動油を油圧制御弁で切換制御して作業用アクチュエータ(旋回モータや起伏シリンダ等)に供給し、伸縮ブームを起伏・伸縮動させると共に荷役用フックを昇降動させてクレーン作業を行うようになっている。
【0003】
このため、この種の作業機を用いてクレーン作業等を行う場合は、エンジンを駆動して作動油を供給状態にしておき、作業者が別の作業をするため作業機を長時間作業待ちの状態にする時は、エンジンを停止して無駄な燃料の消費を防止するのが望ましい。しかしながら、作業中の作業者にとって車輌の運転席に戻ってエンジンを停止操作するのは、極めて煩わしい操作であり、多くの場合エンジンを駆動したままで作業待ちをして燃料の無駄使いになっていた。
【0004】
そこで、このような作業待ち時の燃料の無駄使いを防止する装置として、作業機を駆動する駆動操作が所定時間以上なされなかった時にこれを検出して自動的にエンジンを停止制御し、燃料の無駄使いを防止するエンジン停止装置が開発されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、車載式クレーン等の作業機では、一人の作業者が玉掛け等の関連作業をしながら離れた位置から操作を行いたいとの要望が強く、このため作業者が携帯して操作可能な遠隔操作用の送信機と、当該送信機が出力した操作信号を受信して対応する作業用アクチュエータを駆動制御するコントローラとで構成した遠隔操作装置を取付け、遠隔操作可能にした遠隔操作式の作業機が多数用いられている。そして、この種の遠隔操作式の作業機には、例えば送信機からの操作信号(例示の場合は「走行指令」信号であるが、エンジンを停止させる際の安全を期す目的で作業機側の停止条件に対応する信号が付加されている)が所定時間以上変化しなかった時に作業待ちであると判断してエンジンを停止制御するエンジン停止装置が開発されていた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−87799号公報
【特許文献2】特開昭61−119439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の遠隔操作式作業機のエンジン停止装置(後者のもの)は、作業機側(受信側)で操作信号の変化を監視してエンジンの停止制御を行うようになっていたため、次のような問題があった。すなわち、この種の遠隔操作装置には、送信機の電源であるバッテリの使用時間を延ばす目的で、作業機の操作が所定時間以上なされなかった時に電源をオフにして省電力モードにするオートパワーオフ機能が装備されている。このオートパワーオフ機能は、送信機側での独立制御であるため、オートパワーオフ機能付きの送信機を用いて例示の如きエンジン停止装置を構成した場合、このオートパワーオフ機能の設定時間によっては作業機側のエンジン停止制御の前にオートパワーオフ機能が作動して送信機からの操作信号の出力が停止し、作業機側での操作信号の監視が行えなくなってエンジン停止制御が不能になるという問題である。
【0007】
上記問題は、オートパワーオフ機能の設定時間を長めに設定することで解決するが、この場合にも次のような問題があった。すなわち、遠隔操作装置として一般的に使用されている無線式の遠隔操作装置の場合、障害物等によって通信エラーが発生し易く、特に受信側で長時間(数分間)に渡って操作信号の変化を監視する制御の場合には、通信エラーの影響を受けて誤作動する可能性が高くなり、制御の信頼性が低いという問題である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなしたものであり、操作状態の監視を送信機が装備しているオートパワーオフ機能の監視情報を利用して送信機側で行うようにして、無線による遠隔操作式作業機でも信頼性の高いエンジン停止制御が行えるようにした遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、次の如き構成を有している。
【0010】
すなわち、請求項1に係る遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置は、エンジンで駆動される作業機を、作業者の操作が所定時間以上なされなかった時に電源をオフにして省電力モードにするオートパワーオフ機能を備えた遠隔操作用送信機が出力する操作信号によって遠隔操作可能にした遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置において、送信機にオートパワーオフ機能の作動情報をエンジン停止信号として作業機側に出力するエンジン停止信号出力手段を設けると共に、作業機に送信機が出力したエンジン停止信号を受けてエンジンを停止制御するエンジン停止制御手段を設けて構成している。
【0011】
このように構成したことにより、作業者が作業待ち等のため作業機を所定時間以上操作しなかった場合、送信機のオートパワーオフ機能が操作状態(操作信号)を監視して非操作状態が所定時間以上続けば作業待ち状態であると判断して送信機の電源をオフにするオートパワーオフ信号を出力する。この信号を受けた送信機のエンジン停止信号出力手段は、送信機の電源がオフになる前に作業機に向けてエンジン停止信号を出力し、作業機にオートパワーオフ機能が作動したことを伝達する。この制御における操作状態の監視は、通信エラーの影響を受け難い送信機側で行われ、作業機にはその結果のみ伝達するようになっているため、通信エラーの影響を受け難く信頼性の高い制御が可能になるのである。
【0012】
この送信機から出力されたエンジン停止信号は、作業機のエンジン停止制御手段に出力され、これを受けたエンジン停止制御手段はエンジンに停止信号を出力し、エンジンを停止制御するようになっている。これにより、エンジンが停止して、作業待ち時の燃料の無駄使いが防止できるのである。
【0013】
また、請求項2に係る遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置は、エンジンで駆動される作業機を、作業者の操作が所定時間以上なされなかった時に電源をオフにして省電力モードにするオートパワーオフ機能を備えた遠隔操作用送信機が出力する操作信号によって遠隔操作可能にした遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置において、送信機に電源がオフ操作されたことをエンジン停止信号として作業機側に出力するエンジン停止信号出力手段を設けると共に、作業機に送信機が出力したエンジン停止信号を受けてエンジンを停止制御するエンジン停止制御手段を設けて構成している。
【0014】
このように構成したことにより、作業者が作業待ち等のため送信機の電源をオフ操作すれば、送信機のエンジン停止信号出力手段はこのオフ操作を受けて送信機の電源がオフになる前に作業機に向けてエンジン停止信号を出力し、作業者により電源がオフ操作されたことを作業機に伝達する。作業者による電源のオフ操作は、作業者が作業の終了あるいは作業待ち等を意図して行う操作であり、このためエンジン停止信号を受けた作業機のエンジン停止制御手段は、作業者に作業中止(エンジン停止)の意思があるとしてエンジンに停止信号を出力して、エンジンを停止制御するようになっている。これにより、エンジンが停止して、燃料の無駄使いが防止できるのである。
【0015】
この際、エンジン停止信号は、送信機の電源オフ操作で出力されるようにしたので、送信機にエンジン停止のための専用の操作スイッチを設ける必要がなく、低コストでの対応が可能になるのである。
【0016】
また、請求項1における遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置では、オートパワーオフ機能が作動する非操作状態の継続時間を任意に調節可能にしてもよい。この場合には、作業に応じた最適なエンジン停止タイミングに調節することが可能になるのである。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く構成した本発明の遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置は、作業機の作業待ち状態を送信機のオートパワーオフ機能の監視情報(非操作状態の監視情報)、あるいは電源オフ操作の操作情報を利用して送信機側で把握し、この情報を作業機側に伝達してエンジン停止制御を行うようになっているので、無線式の遠隔操作装置を用いた作業機でも通信エラーにより誤作動する恐れがなく、信頼性の高いエンジン停止制御が可能になるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1・図2に基づき説明する。
【実施例1】
【0019】
図2において、1は作業機(車載式クレーン)2を搭載した作業車であり、この実施例の場合には走行可能なトラック等の車輌3上(運転室3aと荷台3b間に位置するシャーシフレーム3c上)に小型のクレーン2を搭載して、主として荷台3b上への荷物の積み降し作業を行うようにした作業車である。当該作業車1に架装される車載式クレーン2は、車輌3の走行用エンジン4で駆動される油圧ポンプ5が吐出する作動油を油圧制御弁6で切換制御して作業用アクチュエータ(伸縮ブーム7を旋回駆動する旋回モータ8、伸縮ブーム7を起伏駆動する起伏シリンダ9、伸縮ブーム7を伸縮駆動する伸縮シリンダ10、及び荷役用フック11を巻上げ巻下げ駆動するウインチモータ12等)に供給して、伸縮ブーム7を起伏並びに伸縮動させると共に荷役用フック11を昇降動させてクレーン作業を行うようになっている。
【0020】
そして、当該クレーン2は、クレーン作業を行う時にはエンジン4を駆動して作業用アクチュエータ8,9,10,12に作動油を供給可能な状態にしておき、作業者が別の作業等を行うために作業機を長時間作業待ち状態にする時にはエンジンを停止して、燃料の無駄使いを防止するようになっている。
【0021】
13は、一人の作業者が玉掛け等の関連作業をしながら離れた位置からクレーン操作をするための遠隔操作装置である。当該遠隔操作装置13は、作業者が携帯して操作可能な遠隔操作用の送信機14と、当該送信機14が出力した操作信号を受信して対応する作業用アクチュエータ8,9,10,12を駆動制御するコントローラ15とで構成されている。
【0022】
遠隔操作用の送信機14は、パネル面に旋回モータ8を駆動操作する旋回操作スイッチ14a、起伏シリンダ9を駆動操作する起伏操作スイッチ14b、伸縮シリンダ10を駆動操作する伸縮操作スイッチ14c、ウインチモータ12を駆動操作するウインチ操作スイッチ14dが夫々取付けられており、作業者が駆動したいアクチュエータ8,9,10,12に対応した操作スイッチ14a,14b,14c,14d(例えば、旋回モータ8を駆動したいのであれば旋回操作スイッチ14a)を切換操作すれば、その操作に対応した操作信号を生成してコントローラ15に送信するようになっている。14eは、送信機14の電源をオン・オフ操作する電源スイッチである。
【0023】
16は、前記操作スイッチ14a,14b,14c,14dの切換信号を受けて対応するアクチュエータ8,9,10,12を遠隔操作するための操作信号を生成して出力する操作信号出力手段である。17は、操作信号出力手段16から出力された操作信号を受け、受け取った操作信号を電波に乗せてアンテナ18から送信する送信信号出力手段である。また、19は電源制御手段であり、電源スイッチ14eのオン・オフ信号と後述するオートパワーオフ信号出力手段22が出力したオートパワーオフ信号を受けて、バッテリ20の電力を送信機14に給電制御する電源リレー21の切換制御信号を出力するようになっている。なお、当該電源制御手段19の電源リレー21オフ切換側の制御は、後述するエンジン停止信号の送信を可能にするため、所定時間遅延作動させるようになっている。
【0024】
22は、操作信号出力手段16に設けられたオートパワーオフ信号出力手段である。当該オートパワーオフ信号出力手段22は、前記各操作スイッチ14a,14b,14c,14dが切換操作された切換信号を監視し、全ての切換信号が所定時間以上非操作状態から変化しなかったと判断した時に、作業待ち状態であるとして前記電源制御手段19にオートパワーオフ信号を出力するようになっている。このオートパワーオフ信号を受けた電源制御手段19は、電源リレー21を所定時間遅延後オフ制御して、送信機14の給電を断ち省電力モードに切換えるようになっている(オートパワーオフ機能)。
【0025】
23は、オートパワーオフ信号出力手段22におけるオートパワーオフ機能が作動するまでの設定時間、すなわち非操作状態を監視する監視時間を作業者が任意に変更可能にしたオートパワーオフ作動時間調節手段であり、可変抵抗器やアップダウンスイッチ等で構成した設定器24の信号を受けオートパワーオフ機能が作動するまでの監視時間の設定を変更するようになっている。
【0026】
25は、オートパワーオフ信号出力手段22が非操作状態を監視して出力したオートパワーオフ信号と、電源制御手段19が出力した電源オフ信号を受けてエンジン停止信号を送信信号出力手段17に出力するエンジン停止信号出力手段である。当該エンジン停止信号出力手段25は、オートパワーオフ信号か、電源オフ信号の何れかの信号が入力された時に送信信号出力手段17にエンジン停止信号を出力し、送信信号出力手段17から電波に乗せてエンジン停止信号を送信するようになっている。なお、クレーン操作に関連した特殊操作を電源スイッチ14eの同時操作で行うように構成している等の理由で電源スイッチ14eのオフ操作でエンジン停止制御を行わせたくない場合には、電源オフ信号のエンジン停止信号出力手段25への入力を止め、オートパワーオフ信号が入力された時だけエンジン停止信号を出力するよう構成してもよい。
【0027】
15は、作業機2に設けられたコトローラである。当該コトローラ15は、送信機14から送信された操作信号を受信する受信手段26と、当該受信手段26が受信した操作信号を受けて対応するアクチュエータ8,9,10,12に圧油を給排制御する油圧制御弁6(旋回制御弁6a、起伏制御弁6b、伸縮制御弁6c、ウインチ制御弁6d)を切換制御するための弁切換信号を生成し、各油圧制御弁6a,6b,6c,6dに出力する弁切換信号出力手段27とで構成されている。
【0028】
また28は、受信手段26で受信したエンジン停止信号を受けてエンジン4に装備されているエンジン停止手段29(燃料カット弁等)に停止信号を出力するエンジン停止制御手段である。当該エンジン停止制御手段28は、送信機14側から送信されたエンジン停止信号で、エンジン停止手段29に停止信号を出力しエンジンを停止制御するようになっている。このため、エンジン4が停止して作業待ち時の燃料の無駄使いが防止できるのである。
【0029】
次に作動を説明する。
【0030】
作業者がクレーンを遠隔操作するために送信機14の操作スイッチ14a,14b,14c,14dを切換操作すれば、操作に対応した操作信号(遠隔操作用の操作信号)が電波に乗って送信機14から送信され、遠隔操作が行えるようになる。この送信された操作信号は、コントローラ15の受信手段26で受信されて弁切換信号出力手段27に出力され、当該弁切換信号出力手段27で対応する油圧制御弁6a,6b,6c,6dを切換制御するための弁切換信号が生成されて各油圧制御弁6a,6b,6c,6dに出力されるようになっている。これにより、油圧制御弁6a,6b,6c,6dが切換制御され、対応するアクチュエータ8,9,10,12に駆動油が供給されて、従来の遠隔操作装置と同様にクレーンの遠隔操作が可能になっている。
【0031】
一方、作業者が作業待ち等のため操作スイッチ14a,14b,14c,14dを所定時間以上操作しなかった場合には、送信機14のオートパワーオフ信号出力手段22が各操作スイッチ14a,14b,14c,14dの切換信号を監視し、全ての切換信号が所定時間以上非操作状態から変化しなかったと判断した時に、作業待ち状態であるとしてオートパワーオフ信号を出力する。このオートパワーオフ信号は、電源制御手段19とエンジン停止信号出力手段25に出力され、これを受けた電源制御手段19は電源リレー21をオフ制御して送信機14を省電力モードにする。一方、エンジン停止信号出力手段25は、電源リレー21がオフ制御される前に送信信号出力手段17にエンジン停止信号を出力し、電波に乗せてエンジン停止信号をコントローラ15に送信する。
【0032】
このエンジン停止信号を受けたコントローラ15は、受信手段26で受信してエンジン停止制御手段28に出力し、これを受けたエンジン停止制御手段28はエンジン停止手段29に停止信号を出力して、エンジンを停止制御するようになっている。これにより、エンジン4が停止し、作業待ち時の燃料の無駄使いが防止できるのである。
【0033】
なお、作業に応じてエンジン停止制御の開始タイミングを変更したい場合には、設定器24を操作してオートパワーオフ機能が作動するまでの設定時間を調節すればよい。これにより、エンジン停止制御の開始タイミングも同時に変更されるようになっている。
【0034】
また、オートパワーオフ機能が作動してエンジン停止制御が行われる前に作業者自らの操作でエンジンを停止させたい場合には、送信機14の電源スイッチ14eをオフ操作すればよい。これにより、電源スイッチ14eのオフ操作を受けた電源制御手段19は、電源リレー21をオフ操作(送信機14の給電を絶ち待機状態にする)する前にエンジン停止信号出力手段25にオフ信号を出力し、これを受けたエンジン停止信号出力手段25が送信信号出力手段17にエンジン停止信号を出力してコントローラ15に送信するようになっている。そして、このエンジン停止信号を受けたコントローラ15は、前述の制御と同様に停止信号をエンジン停止手段29に出力しエンジンを停止制御するようになっている。これにより、作業者の意思に基づくエンジン4の停止制御が可能になるのである。
【0035】
そして、このように構成したエンジン停止制御装置は、非操作状態の監視を送信機14のオートパワーオフ機能の監視情報(オートパワーオフ信号)を利用して送信機14側で行うようになっているので、無線式の遠隔操作装置であっても通信エラーによる誤作動の恐れが少なく、信頼性の高い制御が可能になるのである。また、オートパワーオフ機能の監視情報をエンジン停止信号として作業機2に伝達してエンジン停止制御を行うようになっているので、オートパワーオフ機能との制御干渉がなく、信頼性の高い制御が可能になるのである。なお、送信機14から送信するエンジン停止信号が誤作動する懸念がある場合には、エンジン停止信号を続けて数回送信する等の対応を採ることで誤作動の可能性を低くすることが可能である。
【0036】
なお、上記実施例では、エンジン4の停止制御について説明したが、このエンジン停止制御によって停止したエンジン4を作業再開時に始動させたい場合には、送信機14の電源オン操作を利用し、電源スイッチ14eのオン操作で電源制御手段19が電源リレー21をオン制御するオン信号を、前述したオフ信号と同様な手段でエンジン停止信号出力手段25からコントローラ15に送信し、これを受けたコントローラ15のエンジン停止制御手段28がエンジン4の始動装置30(セルモーター等)に始動信号を出力してエンジン4を始動させるように構成すればよい。このように構成した場合には、作業再開時のエンジン4始動を送信機14で行うことが可能になり、作業再開時に作業者が運転席3aに戻ってエンジン4を始動する必要が無くなって作業性の向上が図れるのである。
【0037】
また、上記実施例では、電波を用いた遠隔操作装置に適応した例について説明したが、赤外線を用いた遠隔操作装置や、有線式の遠隔操作装置にも同様に適応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置の構成を説明する説明図である。
【図2】同、遠隔操作式作業機の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 作業車、
2 作業機(車載式クレーン)、
3 車輌、
3a 運転室、
3b 荷台、
3c シャーシフレーム、
4 走行用エンジン、
5 油圧ポンプ、
6 油圧制御弁(旋回制御弁6a、起伏制御弁6b、伸縮制御弁6c、ウインチ制御弁6d)
7 伸縮ブーム、
8 旋回モータ、
9 起伏シリンダ、
10 伸縮シリンダ、
11 荷役用フック、
12 ウインチモータ、
13 遠隔操作装置、
14 送信機、
14a 旋回操作スイッチ14a、
14b 起伏操作スイッチ14b、
14c 伸縮操作スイッチ14c、
14d ウインチ操作スイッチ14d
14e 電源スイッチ、
15 コントローラ、
16 操作信号出力手段、
17 送信信号出力手段、
19 電源制御手段、
20 バッテリ、
21 電源リレー、
22 オートパワーオフ信号出力手段、
23 オートパワーオフ作動時間調節手段、
24 設定器、
25 エンジン停止信号出力手段、
26 受信手段、
27 弁切換信号出力手段、
28 エンジン停止制御手段、
29 エンジン停止手段、
30 始動装置、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンで駆動される作業機を、作業者の操作が所定時間以上なされなかった時に電源をオフにして省電力モードにするオートパワーオフ機能を備えた遠隔操作用送信機が出力する操作信号によって遠隔操作可能にした遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置において、
前記送信機にオートパワーオフ機能の作動情報をエンジン停止信号として作業機側に出力するエンジン停止信号出力手段を設けると共に、作業機に送信機が出力したエンジン停止信号を受けてエンジンを停止制御するエンジン停止制御手段を設けたことを特徴とする遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置。
【請求項2】
エンジンで駆動される作業機を、作業者の操作が所定時間以上なされなかった時に電源をオフにして省電力モードにするオートパワーオフ機能を備えた遠隔操作用送信機が出力する操作信号によって遠隔操作可能にした遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置において、
前記送信機に電源がオフ操作されたことをエンジン停止信号として作業機側に出力するエンジン停止信号出力手段を設けると共に、作業機に送信機が出力したエンジン停止信号を受けてエンジンを停止制御するエンジン停止制御手段を設けたことを特徴とする遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置。
【請求項3】
送信機は、オートパワーオフ機能が作動する非操作継続時間を任意に調節可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の遠隔操作式作業機のエンジン停止制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−230696(P2007−230696A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52789(P2006−52789)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】