説明

遮断弁

【課題】シール性を向上させた遮断弁を提供する。
【解決手段】スライド駆動機構10と、スライド駆動機構10に摺動可能に装着した軸11と、出口3を閉止するため軸11の端部に設けた弁体5と、弁体5を出口3の方向に付勢するスプリング12とを備え、弁体5は、出口3に当接可能な柔軟性を有した弁ゴム9と、弁ゴム9の出口3に対向する面の裏側に配設され軸11と接合された弁ゴム受け6とで構成され、弁ゴム9は、周囲に弁ゴム受け6裏側まで包み込む第1の保持部7と中央にラジアル方向で弁ゴム受け6に勘合する第2の保持部8を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの事故を未然に防ぐガス遮断装置、その他の遮断アクチュエータとして使用される遮断弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の遮断弁を図4に示す。図において、21はガス流通路で入り口22から出口23にガスが流れる。24はガス流通路21の閉止される開口部に設けた弁座で、25はその上流に設けた弁体である。弁体25の前面には周囲にゴム受け26裏側まで包み込む保持部27を有する弁ゴム29が設けられている。30はスライド駆動装置で軸31を摺動可能に構成するものである。32は弁体25を弁座24の方向に付勢するスプリングである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
または、遮断弁の弁ゴムの中央部にスライド機構のシャフトを貫通させてEリングと座金等で保持させる構成のものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−234033号公報
【特許文献2】特開平07−071637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成の例えば特許文献1に記載の構成の遮断弁では、図5に示す様に背圧で弁ゴムが伸び中央が下流側に膨らみ、シール性が低下すると言う課題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載の構成の遮断弁では弁ゴムの変形は抑えられるものの、中央部に設けた貫通穴のためにシール性が悪いと言う課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、シール性を向上させた遮断弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、スライド駆動機構と、前記スライド駆動機構に摺動可能に装着した軸と、被閉止開口を閉止するため前記軸の端部に設けた弁体と、前記弁体を前記被閉止開口の方向に付勢するスプリングとを備え、前記弁体は、前記被閉止開口に当接可能な柔軟性を有した弁ゴムと、前記弁ゴムの前記被閉止開口に対向する面の裏側に配設され前記軸と接合された弁ゴム受けとで構成され、前記弁ゴムは、周囲に前記弁ゴム受け裏側まで包み込む第1の保持部と中央にラジアル方向で前記弁ゴム受けに勘合する第2の保持部を有することを特徴とするもので、弁ゴムに貫通穴を明けずに中央部を保持することで弁ゴムの変形を抑えてシール性を向上させ、周囲を包み込むことで弁ゴムが弁ゴム受けから容易に外れない構成を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遮断弁は、中央保持部と周囲を包み込む構造の弁ゴムとすることにより、ガスの背圧を受けてもシール性が良く、弁ゴムが容易に外れることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、スライド駆動機構と、前記スライド駆動機構に摺動可能に装着した軸と、被閉止開口を閉止するため前記軸の端部に設けた弁体と、前記弁体を前記被閉止開口の
方向に付勢するスプリングとを備え、前記弁体は、前記被閉止開口に当接可能な柔軟性を有した弁ゴムと、前記弁ゴムの前記被閉止開口に対向する面の裏側に配設され前記軸と接合された弁ゴム受けとで構成され、前記弁ゴムは、周囲に前記弁ゴム受け裏側まで包み込む第1の保持部と中央にラジアル方向で前記弁ゴム受けに勘合する第2の保持部を有するもので、高いシール性と弁ゴムが容易に外れ無い構成を実現できる。
【0010】
第2の発明は、特に第1の発明のスライド駆動機構をステッピングモータで構成したもので、停止トルクが大きいステッピングモータを利用することで、遮断維持のスプリングを廃止でき、安定性の高い遮断弁を構成させる事ができる、という効果がある
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の遮断弁の開弁状態の断面図、図2は、弁ゴムと弁ゴム受けを相互に接合面の正面図を示す。
【0012】
図1、図2において、1はガス流通路で入り口2から出口3にガスが流れる。4はガス流通路1において閉止される開口部に設けた弁座で、5は、その上流に設けた弁体である。弁体5の前面には周囲にゴム受け6の裏側まで包み込む保持部7と中央にラジアル方向にスライドさせて保持する構造部8を備える弁ゴム9を設ける。10はスライド駆動装置で軸11を摺動可能に構成するものである。12は弁体5を前記弁座4に付勢するスプリングである。本実施の形態において、このスライド駆動装置は、図に示す弁開状態では、軸11が永久磁石15に吸着されており、電磁コイル14に通電することで、吸着面における磁束密度が低下して、スプリング12の付勢力により、弁体5が弁座4方向に移動して出口3を閉止する構成となっている。
【0013】
次に動作、作用について説明すると、図1に示す様に、通常の開弁状態では、軸11と弁体5は、後退していて弁座4と弁体5の間には隙間があり、ガス流通路1をガスが通れる。
【0014】
各種センサーが危険を察知しマイコンメータの制御部(図示せず)から電気信号が送られるとスライド駆動装置10が働き、軸11で弁体5を弁座4に押し付けて、被閉止開口部を閉止してガスが遮断される。スプリング12はマイコンメータの制御部からの電気信号がなくても閉弁状態を維持させるものである。
【0015】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2の遮断弁の開弁状態を示す断面図である。
【0016】
本実施形態において、実施の形態1と異なる点はスライド駆動装置13をステッピングモータで構成した点である。
【0017】
なお、実施の形態1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0018】
次に動作、作用を説明すると、実施の形態1と同様であるが停止時のトルクが大きいステッピングモータをスライド駆動機構に使うことでスプリングを使用しない簡素な構造で確実に閉弁状態を維持させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように、本発明にかかる遮断弁は、弁ゴムに貫通穴を明けずに中央部を保持する構造から、シール性を向上させることが可能となるので、ガス以外の流体の遮断弁等の用
途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1における遮断弁の開弁状態の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における弁ゴムと弁ゴム受けの接合面の平面図
【図3】本発明の実施の形態2における遮断弁の開弁状態の断面図
【図4】従来の遮断弁の開弁状態の断面図
【図5】従来の遮断弁で背圧を受けた状態の弁ゴムの閉弁状態の断面図
【符号の説明】
【0021】
3 出口(被閉止開口)
5 弁体
6 弁ゴム受け
7 第1の保持部
8 第2の保持部
9 弁ゴム
10、13 スライド駆動機構
11 軸
12 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド駆動機構と、前記スライド駆動機構に摺動可能に装着した軸と、被閉止開口を閉止するため前記軸の端部に設けた弁体と、前記弁体を前記被閉止開口の方向に付勢するスプリングとを備え、前記弁体は、前記被閉止開口に当接可能な柔軟性を有した弁ゴムと、前記弁ゴムの前記被閉止開口に対向する面の裏側に配設され前記軸と接合された弁ゴム受けとで構成され、前記弁ゴムは、周囲に前記弁ゴム受け裏側まで包み込む第1の保持部と中央にラジアル方向で前記弁ゴム受けに勘合する第2の保持部を有することを特徴とする遮断弁。
【請求項2】
スライド駆動機構をステッピングモータで構成した請求項1記載の遮断弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−216532(P2010−216532A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62329(P2009−62329)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】