説明

遮断機用警告灯

【課題】警告灯自体が小型で、且つ太陽電池による発電量を大きいものとできる遮断機用警告灯を提供する。
【解決手段】平板状の太陽電池2が発光基板3と重ね合わされて設けられることで、幅方向についてスペースの無駄なく発光基板3及び太陽電池2を設けることができ、且つ発光基板3に発光体1が取り付けられることで、太陽電池2、発光基板3及び発光体1を最小限のスペースにて本体4内に収納して警告灯10自体を小型のものとできる。また発光基板3以上の面積を太陽電池2の受光面とすることが可能となり、太陽電池2による発電量を大きいものとできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切や駐車場の料金ゲート等の遮断バーに取り付けられ、夜間において車両の運転者等に対し発光により遮断バーの存在を喚起させて事故防止を図る遮断機用警告灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
踏切や駐車場の料金ゲート等の遮断バーに取り付けられ、発光体が備えられて夜間における視認性が高められると共に、太陽電池が設けられることで外部電源等を必要とすることなく発光体による発光を持続できる遮断機用警告灯としては、例えば電源部と発光部とを備え、該電源部と発光部との接続回路に所定の傾斜角度でオンオフする傾斜感応スイッチを介在させた踏切警告灯において、踏切警告灯上面に太陽電池を設けた構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【0003】
また遮断杆の軸方向に所定間隔で複数個取り付けられた赤色の発光ダイオードと、これら発光ダイオードを点灯させる太陽電池からなる電源と、夜間や濃霧などにより照度が初手一より低下したことを検出する照度検出手段と、前記遮断杆が略垂直位置より所定角度降下した作動位置と略水平位置との間の傾斜角を検出する遮断杆傾斜角検出手段と、この遮断杆傾斜角検出手段が傾斜角を検出し、かつ照度が初手位置より低下したことを前記照度検出手段が検出したとき、前記電源を投入して発光ダイオードを点灯させる制御手段とを具えた踏切遮断機の遮断杆表示装置において、制御器箱の上面に太陽電池を備えた構成が開示されている(例えば特許文献2)。
【0004】
更にまた、遮断竿に取り付けた箱体の側面に太陽電池を取り付け、該太陽電池によって充電される蓄電池を前記箱体内に収納し、該蓄電池によって発光する光源を前記箱体の前面に設け、該光源が前記遮断竿が下降したときに点灯し、遮断竿が上昇したときに消灯するようにスイッチを設け踏切遮断機用標示装置において、前記スイッチを遮断竿が左右いずれの方向に上昇しても開放するスイッチで構成するとともに、前記遮断竿が上昇したときに上面となる箱体の側面に前記太陽電池が配置できるようにした踏切遮断機用標示装置が開示されている(例えば特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】実願平2−77630号のマイクロフィルム(実開平4−35966号)
【特許文献2】実願平2−39120号のマイクロフィルム(実開平3−129561号)
【特許文献3】実願平1−139363号のマイクロフィルム(実開平3−77775号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の遮断機用警告灯では、車両等が到来する方向に発光体が正対するように装置を取り付ける必要があり、車両や自転車の衝突等により警告灯が破損する恐れが大きくなるものであった。また発光体の背後に種々の機器を設けていることから、警告灯自体の大型化が懸念されるものであった。
【0007】
また、特許文献2に記載のような従来の遮断機用警告灯では、制御器箱の上面に太陽電池を設け、その電力を発光ダイオードに供給するために配線が必要となり、設置に係わる作業が繁雑となったり、配線の切断による故障も懸念されたりするものであった。またこちらも発光体が車両等が到来する方向に向けられていることで衝突による破損の恐れが高いものであった。
【0008】
更にまた、特許文献3に記載のような従来の遮断機用警告灯では、車両等が到来する方向に発光体が正対するように取り付ける必要はなく、また配線等は必要ではないものの、厚みの小さい警告灯の側面に太陽電池を設けていることから、警告灯の大きさに対して太陽電池の面積が小さくなり、太陽電池により発電される発電量が不足する恐れのあるものであった。またこちらも警告灯自体の大型化が懸念されるものであった。
【0009】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、警告灯自体が小型で、且つ太陽電池による発電量を大きいものとできる遮断機用警告灯を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、本発明に係わる遮断機用警告灯は、本体と、発光体と、明るさセンサと、制御部と、前記本体を遮断バーに取り付ける取付部と、平板状の太陽電池と、該太陽電池により生起された電力を蓄電する蓄電手段とを備え、前記本体内に前記発光体、明るさセンサ及び制御部が収納され、前記明るさセンサにより外界の明るさを検知し、その明るさが一定以下となった場合に前記制御部により前記蓄電手段から発光体に電力が供給されて発光体から光が発せられるようになされた遮断機用警告灯であって、前記発光基板と前記太陽電池とが重ね合わせて設けられると共に、該発光基板に前記発光体が取り付けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係わる遮断機用警告灯によれば、平板状の太陽電池が発光基板と重ね合わされて設けられることで、幅方向についてスペースの無駄なく発光基板及び太陽電池を設けることができ、且つ発光基板に発光体が取り付けられることで、太陽電池、発光基板及び発光体を最小限のスペースにて本体内に収納して警告灯自体を小型のものとできる。また発光基板以上の面積を太陽電池の受光面とすることが可能となり、太陽電池による発電量を大きいものとできる。
【0012】
また前記太陽電池は、縦方向及び/又は横方向の長さが前記発光基板と略同一となされていれば、縦方向及び/又は横方向についてもスペースの無駄なく発光基板及び太陽電池を設けて更にスペースの無駄なく配置を行うことができ好ましい。
【0013】
更にまた、前記発光体は、光軸が前記発光基板と略同一となされていれば、遮断機杆の上面に遮断機用警告灯を取り付ければ、上面を太陽電池の受光面とすると共に側面から発光体による光を発せさせることができ、太陽電池への太陽光の受光が大きな面積で行われると共に、遮断機杆への自動車の衝突時に遮断機用警告灯が破損する恐れを小さくすることができ好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係わる遮断機用警告灯によれば、平板状の太陽電池が発光基板と重ね合わされて設けられることで、幅方向についてスペースの無駄なく発光基板及び太陽電池を設けることができ、且つ発光基板に発光体が取り付けられることで、太陽電池、発光基板及び発光体を最小限のスペースにて本体内に収納して警告灯自体を小型のものとできる。また発光基板以上の面積を太陽電池の受光面とすることが可能となり、太陽電池による発電量を大きいものとできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係わる最良の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係わる遮断機用警告灯の、実施の一形態を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は下面図である。まず(a)において、遮断機用警告灯10は踏切や駐車場ゲート等、車両の通行を妨げる注意喚起を促す遮断機杆に取り付けられるもので、横長の本体4の中程には透光性の部材から形成されて窓部41が設けられ、窓部41内には窓部41を透過して入射される太陽光を受光して発電を行う太陽電池セル21が横一列に8枚配置されて太陽電池2が設けられている。太陽電池2は、太陽電池2の幅と略同一となされた発光基板3上に取り付けられることで発光基板3と重ね合わせて設けられ、発光基板3には図中下方に向かって光を発する砲弾型の発光ダイオードである発光体1が等間隔に4個設けられており、夜間において発光体1から光が発せられて遮断機杆の存在喚起が行われる。窓部41は透明なカバーにより形成され、少なくとも太陽電池2の上面及び発光体1の光軸方向が窓部41となされている。太陽電池2により生起された電力は、本体4内に収納された鉛蓄電池である蓄電手段5に蓄電されるようになされている。
【0017】
本体4について、窓部41とその他の部分については別部材を接着して形成してもよいが、本実施形態においては、両端部分の側部蓋体42以外は透明なポリカーボネート樹脂の射出成形品により窓部41と一体に成形され、窓部41以外の部分は反射シートRを貼着して内部構造を隠すと共に再帰反射性を備えさせるようにしている。側部蓋体42については不透明なポリカーボネート樹脂の射出成形品により形成されている。遮断機用警告灯10の組み立てにおいては、側部蓋体42のいずれか一方を取り外して本体4の中空部分を開放し、発光体1、太陽電池2、発光基板3及び蓄電手段5等を収納した後、側部蓋体42を取り付ける。
【0018】
次に(b)において、太陽電池2は平板状のものであり、発光基板3と重ね合わせて設けられている。また発光基板3には発光体1のリード12が直接半田付けされて取り付けられている。発光体1のリード12はその途中が直角に折り曲げられ、発光基板3へ確実に接続されると共に、発光体1の光軸Lが図中下方に向かうことが両立されるようになされている。発光体1は、発光基板3と発光体受け材11との間に挟まれることで、発光体1と発光基板3との間に無駄なスペースが生じるのを防いで占めるスペースを最小限としていると共に、発光体1が動いて光軸Lがずれる恐れを小さくしている。また太陽電池2の幅は、発光基板3の幅と略同一となされ、幅方向のスペースが最大限に活用されるようになされている。
【0019】
本体4の背面側には、不透明なポリカーボネート樹脂の射出成形品からなる背面材7が取り付けられ、背面材7は背面が開口された本体4の背面側を閉塞する背面板71と、背面板71から背後に間隔をおいて突設された二体のリブ部72とが一体に設けられ、二体のリブ部72の間には、台形コ字状に折り曲げられたアルミニウム板である出入金具8が、コ字状の開口部分を背面側に向けて設けられている。かかるリブ部72及び出入金具8を用いて遮断機杆への取り付けが行われる。
【0020】
次に(c)において、発光体1は発光基板2及び発光体受け材11により上下から挟まれると共に、発光体受け材11に設けられた窪み部13に嵌着されることで、いずれの方向に対しても発光体1がずれるのを防いで光軸Lの方向を安定させるようになされている。また四体設けられた発光体1の、配置された同一線上の中央付近にはフォトセンサである明るさセンサ6が設けられ、外界の明るさを連続的又は断続的に検知するようになされている。
【0021】
明るさセンサ6により検知された外界の明るさは、発光基板3に設けられた制御部(図示せず)に信号として送信され、一定の照度以下となった場合に夜間と判断し、蓄電手段5から発光体1に電力を供給して発光体1を点灯させる。発光体1の点灯は、常時点灯している如く発光させてもよく、点滅させて発光体1の存在喚起を高めるようにしてもよい。また明るさセンサ6が夜間に車両の前照灯等に由来する一時的な光を受けた際に、制御部が車両が接近していると判断して発光体1の点滅速度を高めるようにしたり、発光体1からの発光輝度を高めるようにしたりすることで、更に遮断機用警告灯10による警告効果を高めるようにしてもよい。
【0022】
図2は、遮断機用警告灯10が遮断機杆に取り付けられた状態を示す縦断面図である。断面円形の遮断機杆20の上面に遮断機用警告灯10が取り付けられることで、遮断機用警告灯10の上面に太陽電池2が向けられると共に、車両の到来方向αに発光体1が向けられている。本実施形態においては遮断機用警告灯10の幅は遮断機杆20の外径より小さくなされていることで、到来方向αから車両が衝突してもまず遮断機杆20に当たることから、遮断機用警告灯10が破損する恐れは小さくなされている。また透光性となされた本体4の窓部41が、上面のみならず左右の面についても透光性となされていることで、一体の本体4により発光体1からの光が出射可能となされると共に、太陽電池2への光の入射角度が拡大されて、太陽電池2による発電量が高められるようになされている。
【0023】
遮断機用警告灯10は、取付バンド9を用いて遮断機杆20に取り付けられている。取付バンド9は、バンド本体91が遮断機杆20の外周に巻回されると共に、バンド本体91の一端に設けられた係止部92を用いてバンド本体91が重ねられた状態で係止されて、バンド本体91により遮断機杆20が締め付けられるようになされている。このバンド本体91が出入金具8に挿通されて係止されることで、遮断機用警告灯10が遮断機杆20に強固に取り付けられる。
【0024】
図3は、取付バンドの詳細を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図である。取付バンド9を構成するバンド本体91及び係止部92はいずれもステンレス製のものであり、一般には自動ロック式と呼ばれる固定方法のバンドである。係止部92の上面に設けられた突起部921内にボール922が収納され、係止部92に設けられたバンド挿通部923にバンド本体91が先端911から挿通されると、ボール922が移動して突起部921の内面とバンド本体91の上面との間にボール922が挟み付けられることでバンド本体91が係止される。バンド本体91を取り外す際には、バンド本体91の先端911を挿入した側から、バンド本体91に近似する幅及び厚みのバンド片を挿入すれば、ボール922が突起部923内を移動してバンド本体91の係止が解除されるようになされている。かかる取り外しが簡便に行われることで、遮断機杆20が折損した場合でも遮断機用警告灯10のみを取り外して再利用することも容易に行うことができる。
【0025】
図4は、出入金具8及び取付バンド9を用いた取り付けの詳細を示すもので、(a)は遮断機用警告灯10の背面図、(b)は仮り止め状態を示す(a)のB−B断面図、(c)は本固定状態を示す(a)のA−A断面図である。まず(a)において、背面材7には進退ネジ84を用いて取り付けた出入金具8を囲むようにリブ部72が設けられ、出入金具8の断面台形コ字状を形成する脚部81及び取付部82の内、脚部81の先端付近にバンド本体91を挿通させるバンド挿通孔83が設けられている。バンド挿通孔83付近のリブ部72は幅広となされて幅広部73となされ、取付バンド9の挿通時に便宜が図られるようになされている。また出入金具8は、進退ネジ84を締め付ける若しくは緩めることで、取付部82と背面板71との距離が進退自在となされている。
【0026】
かかる幅広部73付近において、(b)に示す如く出入金具8の脚部81間に取付バンド9の係止部92が配置された状態で、両方の脚部81に各々設けられたバンド挿通孔83の一方にバンド本体91が先端911が挿通され、挿通されたバンド本体91は遮断機杆20を巻回して、他方の更に先端911からバンド挿通孔83に挿通されると共に、先端911が係止部92に挿通されて上述の如く係止されることで、出入金具8と遮断機杆20とが取付バンド9により緊結される。この状態においては、出入金具8は進退ネジ84が緩められて背面板71から距離をおいた状態で背面側に突出されており、バンド本体91の係止部92への挿通時及び係止部92を用いた緊結時においてリブ部72が邪魔になりにくくできる。またかかる挿通及び緊結を周辺の空間が広くなされた幅広部73により行うことで、取り付けに係わる作業を円滑なものとできる。
【0027】
最後に(c)において、進退ネジ84を締め付けて出入金具8を背面板71側に移動させる。出入金具8が背面板71に移動させられることで、リブ部72と遮断機杆20との距離が縮められてリブ部72によりバンド本体9の係止部92が隠されることで、係止部92から取付バンド9が外されて遮断機用警告灯10が盗難に遭う恐れを低減している。また出入金具8の脚部81の外側部分においてバンド本体91が遮断機杆20から浮き上がっている部分をリブ部72の先端が押し付けられることで、バンド本体91が屈曲して取付バンド9による緊結力を更に高めるようにしている。
【0028】
進退ネジ84は、遮断機用警告灯10の背面側に設けられていることで、進退ネジ84が悪戯される恐れを小さくしているが、特殊工具による締め付けを行う等の対策を施した上で正面側に設けるようにしてもよい。また進退ネジ84を締め付ける若しくは緩める際に遮断機杆20が邪魔になる恐れがあるが、直角に屈曲した六角レンチ等の工具を用いて、リブ部72の一部を切り欠いて工具が挿入及び操作できるようにして取り付けが可能なようにしておくのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係わる遮断機用警告灯の、実施の一形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係わる遮断機用警告灯の、遮断機杆へ取り付けられた状態を示す縦断面図である。
【図3】遮断機用警告灯の遮断機杆への取り付けに係わる取付バンドの詳細を示す説明図である。
【図4】遮断機用警告灯の、出入金具及び取付バンドを用いた遮断機杆への取り付けの詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 発光体
2 太陽電池
3 発光基板
5 蓄電手段
6 明るさセンサ
10 遮断機用警告灯
20 遮断機杆


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、発光体と、明るさセンサと、制御部と、前記本体を遮断バーに取り付ける取付部と、平板状の太陽電池と、該太陽電池により生起された電力を蓄電する蓄電手段とを備え、前記本体内に前記発光体、明るさセンサ及び制御部が収納され、前記明るさセンサにより外界の明るさを検知し、その明るさが一定以下となった場合に前記制御部により前記蓄電手段から発光体に電力が供給されて発光体から光が発せられるようになされた遮断機用警告灯であって、前記発光基板と前記太陽電池とが重ね合わせて設けられると共に、該発光基板に前記発光体が取り付けられていることを特徴とする遮断機用警告灯。
【請求項2】
前記太陽電池は、縦方向及び/又は横方向の長さが前記発光基板と略同一となされていることを特徴とする請求項1に記載の遮断機用警告灯。
【請求項3】
前記発光体は、光軸が前記発光基板と略同一となされていれることを特徴とする請求項1又は2に記載の遮断機用警告灯。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−62824(P2008−62824A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243736(P2006−243736)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】