説明

遷移金属触媒を利用した弾性重合体の製造方法

本発明は、弾性重合体の製造方法を提供する。本発明による弾性重合体の製造方法は、高温で高分子量のエチレン−プロピレン弾性共重合体またはエチレン−プロピレン−ジエン系弾性共重合体を製造することができる。本発明による弾性重合体の製造方法は、遷移金属化合物を含む触媒組成物の存在下で、エチレン、プロピレンおよび選択的にジエン系単量体を重合する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性重合体の製造方法に関する。具体的に、本発明は、高温で高分子量のエチレン−プロピレン弾性共重合体またはエチレン−プロピレン−ジエン系弾性共重合体の製造方法に関する。本出願は2009年7月1日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0059595号の出願日の利益を主張し、その内容全体は本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
「弾性重合体」は、1940年に初めて定義されており、これは加硫された天然ゴムの性質と類似する性質、例えば、元の長さの2倍以上に伸びる能力および弛緩時にその元の長さとほぼ類似する長さに非常に急速に収縮する能力を有する合成熱硬化性高級重合体をいう。
【0003】
最近生産される最も通常のポリオレフィン弾性重合体は、エチレンおよびプロピレンの共重合体(EP)、およびエチレン、プロピレンおよびジエンの三元混成重合体(EPDM)である。
【0004】
従来は前記ポリオレフィン弾性重合体の製造時、VCl、VOCl、VO(AC)等のような可溶性バナジウム触媒を使用したが、前記バナジウム触媒の活性が低く、特にジエン含有時には触媒活性がより低くなる問題点がある。また、ポリマー内のバナジウム(V)残存量が10ppm以上である場合には、高分子着色、毒性を誘導することがあるため、工程中に触媒残渣除去(de−ashing)段階が追加的に必要である。
【0005】
一方、メタロセン触媒は、環構造の間に挟まった遷移金属原子から構成される。メタロセン触媒で製造される重合体は、衝撃強度および引張強度に優れ、良好な溶融特性およびフィルムにおける改善された透明性を持ちやすいという長所がある。前記メタロセン触媒は、従来のチーグラナッタ触媒よりも触媒自体には多くの費用がかかり得るが、生産性が非常に優れていて触媒残渣除去段階が不要であり、プロピレンやジエン共重合度に優れていて広い領域の多様な共重合体を作ることができる。また、バナジウム(V)系に比べて高温で重合することができるため、工程的な側面でEP(D)Mの生産に非常に有用である。
【0006】
カミンスキー(kaminsky)の文献(J.Polm.Sci.Vol.23、p2151〜64(1985))には、EPおよびEPDM弾性重合体の溶液重合のための可溶性ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル−アルミノキサン触媒システムの用途が記載されており、米国特許第5,229,478号には、類似するビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム系触媒システムを使用するスラリー重合方法が記載されている。
【0007】
前記従来の触媒システム下では、EPおよびEPDM弾性重合体の製造時、ジエン単量体成分の反応性を増加させた条件下で、前記EPおよびEPDM弾性重合体を製造しなければならないという問題点がある。これは前記米国特許第5,229、478号に説明されており、まだ解決しなければならない問題である。EPおよびEPDMの使用性に影響を与える因子は生産費用およびジエン単量体の費用である。一般にジエン単量体は、エチレンまたはプロピレンよりも高い単量体物質である。また、ジエン単量体と以前に公知されたメタロセン触媒の反応性は、エチレンおよびプロピレンよりも低い。したがって、速い硬化速度でEPDMを製造するためのジエン混入に必要な程度になるために、最終EPDM生成物に混入されるように目的されたジエンの含量に比べて実質的に過剰なジエン単量体濃度を使用することが必要である。また、未反応のジエン単量体の実質的な量が再利用のために重合体反応器流出物から回収されなければならないため、製造費用が不必要に増加する。
【0008】
また、EPDMの費用に追加されるものは、一般にオレフィン重合触媒のジエンへの露出、特に最終EPDM生成物で必要水準のジエン混入を生成するのに必要なジエン単量体の高濃度が時々エチレンおよびプロピレン単量体の重合を進行させる速度または活性を減少させるという事実である。したがって、エチレン−プロピレン弾性重合体または他のα−オレフィン共重合体弾性重合体の製造に比べてより低い生産およびより長い反応時間が必要となる。
【0009】
ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン/α−オレフィン共重合体を製造するために、アルミノキサン−活性化メタロセン触媒が導入されて以来、前記弾性重合体の製造にこれら触媒を適用するための努力が行われてきたが、合理的な重合反応時間内に高収率の弾性重合体を製造し、高分子量の弾性重合体を製造する方法はまだ知られていない実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,229,478号
【特許文献2】韓国特許KR0,820,542
【特許文献3】韓国特許出願番号2007−0042084
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】カミンスキー(kaminsky)の文献(J.Polm.Sci.Vol.23、p2151〜64(1985))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の従来の問題点を解決するために、本発明は、遷移金属化合物を含む触媒組成物の存在下で、高温で高分子量のエチレン−プロピレン弾性共重合体またはエチレン−プロピレン−ジエン系弾性共重合体を高収率で製造する方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、下記化学式1で表される遷移金属化合物を含む触媒組成物の存在下で、エチレン、プロピレンおよび選択的にジエン系単量体を重合させる段階を含む弾性重合体の製造方法を提供する。
【0014】
【化1】

【0015】
前記化学式1中、
R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;シリルラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;またはヒドロカルビルで置換された4族金属のメタロイドラジカルであり;前記R1とR2または2個のR2は、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数6〜20のアリールラジカルを含むアルキリジンラジカルにより互いに連結されて環を形成することができ;
R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルコキシラジカル;炭素数6〜20のアリールオキシラジカル;またはアミドラジカルであり;前記R3中の2個以上のR3は、互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができ;
CY1は、置換または非置換の脂肪族または芳香族環であり、前記CY1において置換される置換基は、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルコキシラジカル;炭素数6〜20のアリールオキシラジカル;またはアミドラジカルであり、前記置換基が複数個である場合には、前記置換基中の2個以上の置換基が互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ;
Mは、4族遷移金属であり;
Q1およびQ2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル;炭素数6〜20のアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【0016】
また、本発明は、前記弾性重合体の製造方法により製造された弾性重合体を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明による弾性重合体の製造方法は、高温で高分子量のエチレン−プロピレン弾性共重合体またはエチレン−プロピレン−ジエン系弾性共重合体を高収率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明による弾性重合体の製造方法は、前記化学式1で表される遷移金属化合物を含む触媒組成物の存在下で、エチレン、プロピレンおよび選択的にジエン系単量体を重合させる段階を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明による前記化学式1で表される遷移金属化合物は、従来の遷移金属化合物とは異なり、キノリン系アミドグループにより金属部位周囲が堅固な5角環構造で非常に安定的に維持され、そのため、構造的に単量体の接近が非常に容易であり、前記遷移金属化合物を含む触媒組成物を使用してエチレンと立体障害が大きい単量体との間の共重合で優れた反応性を示すこととなる。したがって、前記化学式1で表される遷移金属化合物は、相対的に他の遷移金属化合物に比べてプロピレンとジエン共重合度に優れており、特に100℃以上の高温で高収率でEPおよびEPDMの製造が可能であるという長所がある。
【0021】
次に、前記化学式1で表される遷移金属化合物に対してより具体的に説明する。
【0022】
前記化学式1で、ヒドロカルビルは、ヒドロカーボンから水素原子を除去した形態の1価基であり、エチル、フェニルなどを含む。
【0023】
前記化学式1で、メタロイドは、半金属であって金属と非金属の中間的性質を有する元素であり、砒素、ホウ素、ケイ素、テルルなどを含む。
【0024】
前記遷移金属化合物は、前記化学式1の化合物中、金属周囲の電子的、立体的環境の制御のためにより好まれる化合物としては、下記化学式2または化学式3で表される遷移金属化合物がある。
【0025】
【化2】

【0026】
前記化学式2および化学式3中、
R4およびR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;またはシリルラジカルであり;
R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルコキシラジカル;炭素数6〜20のアリールオキシラジカル;またはアミドラジカルであり;前記R6中の2個以上のR6は、互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ;
Q3およびQ4は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル;または炭素数6〜20のアリールアミドラジカルであり;
Mは、4族遷移金属である。
【0027】
前記化学式1で、金属周囲の電子的、立体的環境の制御のためにより好まれる化合物としては、下記構造の遷移金属化合物がある。
【0028】
【化3】

【0029】
前記構造式中、
R7は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素またはメチルラジカルの中から選択され、
Q5およびQ6は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してメチルラジカル、ジメチルアミドラジカル、またはクロライドラジカルの中から選択される。
【0030】
本発明による弾性重合体の製造方法において、前記触媒組成物は、下記化学式4、化学式5または化学式6で表される化合物の中から選択される1種以上の助触媒をさらに含むことができる。
【0031】
[化学式4]
−[Al(R8)−O]
【0032】
前記化学式4中、
R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1〜20の炭化水素;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の炭化水素であり;
nは、2以上の整数であり;
【0033】
[化学式5]
D(R8)
【0034】
前記化学式5中、
R8は、前記化学式4に定義された通りであり;
Dは、アルミニウムまたはホウ素であり;
【0035】
[化学式6]
[L−H][ZAまたは[L][ZA
【0036】
前記化学式6中、
Lは、中性または陽イオン性ルイス酸であり;
Hは、水素原子であり;
Zは、13族元素であり;
Aは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素、アルコキシまたはフェノキシで置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルキル基である。
【0037】
前記化学式4で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどがあり、より好ましい化合物は、メチルアルミノキサンである。
【0038】
前記化学式5で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどが含まれ、より好ましい化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムの中から選択される。
【0039】
前記化学式6で表される化合物は、ブロンステッド酸である陽イオンと両立可能な非配位結合性陰イオンを含む。好ましい陰イオンは、大きさが比較的大きく、半金属を含む単一配位結合性錯化合物を含有するものである。特に、陰イオン部分に単一ホウ素原子を含有する化合物が広く使用されている。このような観点で、前記化学式6で表される化合物は、単一ホウ素原子を含有する配位結合性錯化合物を含む陰イオンを含む塩が好ましい。
【0040】
このような化合物の具体的な例として、トリアルキルアンモニウム塩の場合には、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(2−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムn−ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(4−(t−ブチルジメチルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(4−トリイソプロピルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、デシルジメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラデシルジメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヘキサデシルジメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、オクタデシルジメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、エイコシルジメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジドデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジテトラデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジヘキサデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジエイコシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリドデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリテトラデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリヘキサデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエイコシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、デシルジ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ドデシルジ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、オクタデシルジ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジドデシルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N−メチル−N−ドデシルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジ(ドデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを例に挙げられる。
【0041】
また、ジアルキルアンモニウム塩の場合には、ジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを例に挙げられる。
【0042】
また、カルボニウム塩の場合には、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを例に挙げられる。
【0043】
特に、好ましい化合物としては、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(オクタデシル)(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを例に挙げられる。
【0044】
本発明による弾性重合体の製造方法において、前記触媒組成物は、前記化学式1で表される遷移金属化合物と前記化学式4または化学式5で表される化合物とを接触させて混合物を得る段階;および前記混合物に前記化学式6で表される化合物を添加する段階を含む方法により製造され得る。
【0045】
前記触媒組成物において、前記化学式1で表される遷移金属化合物と前記化学式4または化学式5で表される化合物とのモル比は、1:5〜1:500であることが好ましく、前記化学式1で表される遷移金属化合物と前記化学式6で表される化合物とのモル比は、1:1〜1:10であることが好ましいが、これに限定されるのではない。
【0046】
本発明による弾性重合体の製造方法において、前記触媒組成物は、反応溶媒をさらに含むことができ、前記反応溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのような炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエンなどのような芳香族系溶媒などが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0047】
本発明による弾性重合体の製造方法において、前記ジエン系単量体は、共役ジエン系単量体および非共役ジエン系単量体からなる群より選択されるジエン系単量体を含むことができる。
【0048】
前記共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン−1,3、1,2−ジメチルブタジエン−1,3、1,4−ジメチルブタジエン−1,3、1−エチルブタジエン−1,3、2−フェニルブタジエン−1,3、ヘキサジエン−1,3、4−メチルペンタジエン−1,3、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、1,3−ペンタジエンがより好ましいが、これに限定されるのではない。
【0049】
前記非共役ジエン系単量体としては、脂肪族ジエン系単量体、環状ジエン系単量体、芳香族ジエン系単量体、トリエン系単量体などが挙げられる。
【0050】
前記脂肪族ジエン系単量体としては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,13−テトラデカジエン、1,19−エイコサジエンなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0051】
前記環状ジエン系単量体としては、1,4−シクロヘキサジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2,5−ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ビシクロ[2,2,2]オクト−2,5−ジエン、4−ビニルシクロヘクス−1−エン、ビシクロ[2,2,2]オクト−2,6−ジエン、1,7,7−トリメチルビシクロ−[2,2,1]ヘプト−2,5−ジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−アリルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0052】
前記芳香族ジエン系単量体としては、1,4−ジアリルベンゼン、4−アリル−1H−インデンなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0053】
前記トリエン系単量体としては、2,3−ジイソプロフェニリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロフェニル−2,5−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエンなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0054】
前記非共役ジエン系単量体としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンがより好ましいが、これに限定されるのではない。
【0055】
本発明による弾性重合体の製造方法において、前記弾性重合体は、エチレンおよびプロピレンを含む弾性重合体またはエチレン、プロピレンおよびジエン系単量体を含む弾性重合体であってもよい。
【0056】
本発明による弾性重合体の製造方法において、前記エチレンおよびプロピレンを含む弾性重合体内のエチレンの含量は20〜90重量%およびプロピレンの含量は10〜80重量%であってもよく、エチレンの含量は30〜85重量%およびプロピレンの含量は15〜70重量%であることが好ましく、エチレンの含量は30〜80重量%およびプロピレンの含量は20〜70重量%であることがより好ましい。
【0057】
また、前記エチレン、プロピレンおよびジエン系単量体を含む弾性重合体内のエチレンの含量は20重量%以上90重量%未満、プロピレンの含量は10〜80重量%およびジエン系単量体の含量は0超過20重量%以下であってもよく、エチレンの含量は30重量%以上85重量%未満、プロピレンの含量は15〜70重量%およびジエン系単量体の含量は0超過17重量%以下であることが好ましく、エチレンの含量は30重量%以上80重量%未満、プロピレンの含量は20〜70重量%およびジエン系単量体の含量は0超過15重量%以下であることがより好ましい。
【0058】
本発明による弾性重合体の製造方法において、前記重合は、従来に公知された条件、つまり、0〜250℃の温度および大気圧〜1,000気圧の圧力で行われ得る。また、懸濁液、溶液、スラリー、気相および他の重合方法条件は、場合により使用され得るが、溶液重合方法条件、特に、連続溶液重合方法が好ましい。連続溶液重合に使用されるために、重合温度は100〜180℃が適する。支持体は使用され得るが、好ましくは、触媒が均一技法に使用され、つまり、これらは溶液に溶解される。
【0059】
また、本発明は、前記本発明による弾性重合体の製造方法により製造された弾性重合体を提供する。
【0060】
本発明による弾性重合体は、プロピレン、ジエン系単量体のような共単量体の混入度が高く、転換率が高く、高い活性を有する特徴がある。特に、従来は技術的、経済的理由によりジエン系単量体の混入度を増加させ難かったが、本発明では、前記化学式1で表される遷移金属化合物を含む触媒組成物を利用することによって、前記ジエン系単量体の混入度、転換率などを容易に増加させることができる特徴がある。
【0061】
本発明による弾性重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜15であってもよく、1.8〜10であることが好ましく、2〜6であることがより好ましい。
【0062】
本発明による弾性重合体の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜1,000,000であってもよく、20,000〜800,000であることが好ましく、40,000〜600,000であることがより好ましく、60,000〜500,000であることが特に好ましい。
【0063】
一般に、弾性重合体の粘度は、125℃でせん断流動計を使用してASTM D1646−89により測定されたムーニー粘度を特徴とする。
【0064】
本発明による弾性重合体のムーニー粘度は、1〜150であってもよく、5〜125であることが好ましく、10〜100であることがより好ましく、15〜80であることが特に好ましい。
【0065】
また、弾性重合体の密度は、ASTM D−792により測定され得、本発明による弾性重合体の密度は、0.850〜0.895g/cmであってもよく、0.853〜0.885g/cmであることが好ましく、0.855〜0.875g/cmであることがより好ましい。
【実施例】
【0066】
以下、下記の実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、これら実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明がこれに限定されるのではない。
【0067】
<実施例>
<リガンドおよび金属化合物の合成>
有機試薬および溶媒は、アルドリッチ社とメルク社で購入し、標準方法で精製して使用した。合成のすべての段階で空気と水分の接触を遮断して実験の再現性を高めた。化合物の構造を立証するために、400MHz核磁気共鳴器(NMR)およびX−ray分光器を利用してそれぞれスペクトルと図式を得ることができた。
【0068】
本願の実施例に使用された触媒化学式1の製造方法は、韓国特許KR0,820,542、韓国特許出願番号2007−0042084に記載されている。
【0069】
比較例に使用された触媒であるダウ社のジメチルシリル(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド触媒は、米国のBoulder Scientific社から購入し、そのままエチレン共重合反応に使用した。
【0070】
<物性評価(溶融指数、融点、密度、ムーニー粘度、分子量)>
高分子の溶融指数(Melt Index、MI)は、ASTM D−1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した。
【0071】
高分子の融点(Tm)は、TA社で製造した示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter 2920)を利用して得た。つまり、温度を200℃まで上げた後、5分間その温度で維持し、その後30℃まで下げ、再び温度を上げてDSC曲線の頂点を融点とした。この時、温度の上昇と下降速度は10℃/minであり、融点は二番目に温度が上昇する間に得られる。
【0072】
また、高分子の密度(Density)は、酸化防止剤(1,000ppm)で処理されたサンプルを180℃プレスモールド(Press Mold)で厚さ3mm、半径2cmのシートを製作し、10℃/minで冷却してメトラー(Mettler)はかりで測定した。
【0073】
高分子のムーニー粘度は、125℃でせん断流動計を使用してASTM D1646−89により測定した。
【0074】
高分子の分子量は、3個の線状混合されたベッドコラムが装着されたPolymer Laboratory社のPL−GPC 220により測定した。温度160℃で1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒として使用して1.0ml/分の流速で測定した。
【0075】
<実施例1〜2および比較例1〜2>
エチレン−プロピレン弾性共重合体の製造
2Lオートクレーブ反応器にヘキサン(1.0L)溶媒と所望する量のプロピレン共単量体を満たした。反応器を重合温度120℃で加熱し、エチレンを約35barで飽和させた。トリイソブチルアルミニウム化合物(50mmol)で処理された触媒(2mmol)とジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒溶液(10mmol)をシリンダーに満たした後、反応器中へ注入した。重合反応は8分間反応器内の圧力を35barに維持するためにエチレンを継続して注入しながら進行した。反応熱は、反応機内部の冷却コイルを通じて除去して重合温度を最大限一定に維持した。重合反応後、高分子溶液は、反応器の下部に排出され、過量のエタノールを加えて冷却させた。得られた高分子は真空オーブンで12時間以上乾燥された。
【0076】
<実施例3および比較例3>
エチレン−プロピレン弾性共重合体の製造
実施例3および比較例3は、トリイソブチルアルミニウム化合物(25μmol)で処理された触媒(1μmol)とジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒溶液(5μmol)が使用されたこと以外は、前記実施例1〜2および比較例1〜2と同様な方法で重合された。
【0077】
実施例1〜3および比較例1〜3の重合条件は、下記表1に示し、製造された高分子の物性は下記表2に示した。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
前記表1および2において、実施例の触媒は、本願の触媒である1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)テトラメチルシクロペンタジエニル−N]チタニウムジメチルを使用し、比較例の触媒は、ダウ社のジメチルシリル(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライドを使用した。
【0081】
前記表1および2の結果から分かるように、本願の触媒は、比較例の触媒に比べて高い温度で優れた活性を有するとともにプロピレン転換率が高いため、密度が低い弾性重合体の製造に非常に適した触媒であることを示している。実施例1と比較例1を見ると、重合条件は同一であるが、重合熱が実施例1で30℃以上発生し、プロピレン転換率は3倍以上高く、非常に低い密度の弾性重合体が得られる。実施例2と比較例2を見ると、その差異はより顕著である。本願の触媒は、重合熱が50℃以上発生し、その活性も2.7倍以上高く、プロピレン共単量体の混入度が高いため、プロピレン含量が28%に達する密度0.865g/ccの弾性重合体を作ることができた。プロピレンの転換率も4倍以上の差異を示し、本願の触媒が比較例の触媒に比べて高温で顕著に経済的にエチレン−プロピレン弾性共重合体を製造できる触媒であることを見せている。
【0082】
実施例3と比較例3は、密度0.875g/ccの弾性重合体の製造時、本願の触媒と比較例の触媒の効率を比較してみた。触媒活性の側面では5倍以上の差異を示し、より高い温度でプロピレン転換率が高い結果を示した。
【0083】
<実施例4〜6および比較例4〜6>
エチレン、プロピレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンの三元弾性共重合体の製造
2Lオートクレーブ反応器にヘキサン(1.0L)溶媒と適正量の5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)を反応機内部に投入した。反応器を重合温度115℃で加熱し、プロピレンを反応器に添加して7.5barになるまで十分に飽和させた。エチレンを反応器に添加して約16barに到達するようにした。トリイソブチルアルミニウム化合物(125mmol)で処理された触媒(5mmol)とジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒溶液(25mmol)をシリンダーに満たした後、反応器中へ注入した。重合反応は8分間反応器内の圧力を16barに維持するためにエチレンを継続して注入しながら進行した。反応熱は、反応機内部の冷却コイルを通じて除去して重合温度を最大限一定に維持した。重合反応後、高分子溶液は、反応器の下部に排出され、過量のエタノールを加えて冷却させた。得られた高分子は真空オーブンで12時間以上乾燥された。
【0084】
実施例4〜6および比較例4〜6により製造された高分子の物性を下記表3に示した。
【0085】
【表3】

【0086】
前記表3から分かるように、本願の実施例の触媒は、比較例の触媒に比べてEDPMの製造時、高い分子量を有する弾性重合体が形成される。また、重合体内の5−エチリデン−2−ノルボルネンの含量が高く、ジエンの転換率がEDPM製造に適した触媒であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される遷移金属化合物を含む触媒組成物の存在下で、エチレンおよびプロピレンを重合させる段階を含む、弾性重合体の製造方法:
【化1】

前記化学式1中、
R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;シリルラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;またはヒドロカルビルで置換された4族金属のメタロイドラジカルであり;前記R1とR2または2個のR2は、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数6〜20のアリールラジカルを含むアルキリジンラジカルにより互いに連結されて環を形成することができ;R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルコキシラジカル;炭素数6〜20のアリールオキシラジカル;またはアミドラジカルであり;前記R3中の2個以上のR3は、互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができ;CY1は、置換または非置換の脂肪族または芳香族環であり、前記CY1において置換される置換基は、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルコキシラジカル;炭素数6〜20のアリールオキシラジカル;またはアミドラジカルであり、前記置換基が複数個である場合には、前記置換基中の2個以上の置換基が互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ;
Mは、4族遷移金属であり;
Q1およびQ2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル;炭素数6〜20のアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【請求項2】
下記化学式1で表される遷移金属化合物を含む触媒組成物の存在下で、エチレン、プロピレンおよびジエン系単量体を重合させる段階を含む、弾性重合体の製造方法:
【化2】

前記化学式1中、
R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;シリルラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;またはヒドロカルビルで置換された4族金属のメタロイドラジカルであり;前記R1とR2または2個のR2は、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数6〜20のアリールラジカルを含むアルキリジンラジカルにより互いに連結されて環を形成することができ;R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルコキシラジカル;炭素数6〜20のアリールオキシラジカル;またはアミドラジカルであり;前記R3中の2個以上のR3は、互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができ;CY1は、置換または非置換の脂肪族または芳香族環であり、前記CY1において置換される置換基は、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルコキシラジカル;炭素数6〜20のアリールオキシラジカル;またはアミドラジカルであり、前記置換基が複数個である場合には、前記置換基中の2個以上の置換基が互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ;
Mは、4族遷移金属であり;
Q1およびQ2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル;炭素数6〜20のアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【請求項3】
前記化学式1で表される遷移金属化合物は、下記化学式2または化学式3で表される遷移金属化合物であることを特徴とする、請求項1にまたは請求項2に記載の弾性重合体の製造方法:
【化3】

前記化学式2および化学式3中、
R4およびR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;またはシリルラジカルであり;
R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数2〜20のアルケニルラジカル;炭素数6〜20のアリールラジカル;炭素数7〜20のアルキルアリールラジカル;炭素数7〜20のアリールアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルコキシラジカル;炭素数6〜20のアリールオキシラジカル;またはアミドラジカルであり;前記R6中の2個以上のR6は、互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ;
Q3およびQ4は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドラジカル;または炭素数6〜20のアリールアミドラジカルであり;
Mは、4族遷移金属である。
【請求項4】
前記触媒組成物は、下記化学式4、化学式5または化学式6で表される化合物の中から選択される1種以上の助触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の弾性重合体の製造方法:
[化学式4]
−[Al(R8)−O]
前記化学式4中、R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1〜20の炭化水素;またはハロゲンで置換された炭素数1〜20の炭化水素であり;nは、2以上の整数であり;
[化学式5]
D(R8)
前記化学式5中、R8は、前記化学式4に定義された通りであり;Dは、アルミニウムまたはホウ素であり;
[化学式6]
[L−H][ZAまたは[L][ZA
前記化学式6中、Lは、中性または陽イオン性ルイス酸であり;Hは、水素原子であり;Zは、13族元素であり;Aは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素、アルコキシまたはフェノキシで置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルキル基である。
【請求項5】
前記触媒組成物は、前記化学式1で表される遷移金属化合物と前記化学式4または化学式5で表される化合物とを接触させて混合物を得る段階;および前記混合物に前記化学式6で表される化合物を添加する段階を含む方法により製造されることを特徴とする、請求項4に記載の弾性重合体の製造方法。
【請求項6】
前記化学式1で表される遷移金属化合物と前記化学式4または化学式5で表される化合物とのモル比は、1:5〜1:500であることを特徴とする、請求項5に記載の弾性重合体の製造方法。
【請求項7】
前記化学式1で表される遷移金属化合物と前記化学式6で表される化合物とのモル比は、1:1〜1:10であることを特徴とする、請求項5に記載の弾性重合体の製造方法。
【請求項8】
前記弾性重合体内のエチレンの含量は20〜90重量%であり、プロピレンの含量は10〜80重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の弾性重合体の製造方法。
【請求項9】
前記ジエン系単量体は、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエンおよびジシクロペンタジエンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項2に記載の弾性重合体の製造方法。
【請求項10】
前記弾性重合体内のエチレンの含量は20重量%以上90重量%未満であり、プロピレンの含量は10〜80重量%であり、ジエン系単量体の含量は0超過20重量%以下であることを特徴とする、請求項2に記載の弾性重合体の製造方法。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の弾性重合体の製造方法により製造されることを特徴とする、弾性重合体。
【請求項12】
前記弾性重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜15であることを特徴とする、請求項11に記載の弾性重合体。
【請求項13】
前記弾性重合体の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜1,000,000であることを特徴とする、請求項11に記載の弾性重合体。
【請求項14】
前記弾性重合体のムーニー粘度は、1〜150であることを特徴とする、請求項11に記載の弾性重合体。
【請求項15】
前記弾性重合体の密度は、0.850〜0.895g/cmであることを特徴とする、請求項11に記載の弾性重合体。

【公表番号】特表2012−531503(P2012−531503A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518490(P2012−518490)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004199
【国際公開番号】WO2011/002199
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】