説明

還元顔料

本発明は、TiO2/SiOy(0.03≦y≦1.95、特に0.03≦y≦1.8、とりわけ0.70≦y≦1.8)又はTiO2/金属、特にTiO2/Alを焼成することによって得られる層を含む小板形の顔料ならびに塗料、織物、インクジェット印刷、化粧品、コーティング、プラスチック、印刷インク、セラミックスやガラスのためのうわぐすり及びセキュリティ印刷におけるその使用に関する。本発明の顔料は、高い光沢及び非常に均一な厚さによって特徴付けられ、その結果、非常に高い色の純度及び色の濃さが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TiO2/SiOy(0.03≦y≦1.95)又はTiO2/金属、特にTi、Zr、Cr又はZn、とりわけAlを焼成することによって得られる層を含む小板形の顔料ならびに塗料、織物、インクジェット印刷、化粧品、コーティング、プラスチック、印刷インク、セラミックスやガラスのためのうわぐすり及びセキュリティ印刷におけるその使用に関する。本発明の顔料は、高い光沢及び非常に均一な厚さによって特徴付けられ、その結果、非常に高い色の純度及び色の濃さが得られる。
【0002】
公知の二酸化チタン還元顔料は、ベース基材として雲母又は二酸化チタン小板の使用に基づく。二酸化チタンは、コーティングされている又はコーティングされていないベース基材に沈殿によって適用されたのち、亜酸化チタンに還元される。気体状還元剤、たとえば水素もしくはアンモニア又は金属、たとえばケイ素もしくはチタンが一般に還元剤として使用される。
【0003】
US−B−4,948,631は、二酸化チタンでコーティングされた雲母顔料を750〜850℃の温度でアンモニアによって還元することによって特に青みを帯びた真珠光沢顔料を調製する方法を開示している。
【0004】
JP H4−20031は、二酸化チタンでコーティングされた雲母顔料をチタンと混合し、得られた混合物を真空中500〜1000℃で還元することによって有色雲母顔料を調製する方法を記載している。
【0005】
DE−A−19618562は、二酸化チタン、亜酸化チタン及び場合によってはさらなる金属二酸化物又はオキシ亜硝酸チタンからなる二酸化チタン還元顔料を開示している。この顔料は、熱加水分解性チタン化合物の水溶液をエンドレスベルト上で固化させ、得られた層を剥離させ、得られた二酸化チタン小板を湿式法によってさらなる二酸化チタンでコーティングし、乾燥させ、場合によっては非酸化性ガス雰囲気中で焼成し、処理することによって得られる。
【0006】
しかし、公知の顔料の欠点は、隠蔽力が低すぎること及び/又はカラーフロップを示さないことである。
【0007】
SiO2小板に基づく、非常に光沢のある小板形のチタン還元顔料がDE−A−19843014に記載されている。このチタン還元顔料は、TiO2及び場合によっては少なくとも1種のさらなる金属酸化物でコーティングされたSiO2小板を少なくとも1種の固体還元剤と100:1〜5:1の比で混合し、その混合物を非酸化性ガス雰囲気中600℃を超える温度で焼成することによって得られる。
【0008】
驚くことに今、まず、TiO2コーティングされたSiOy小板(0.03≦y≦1.95)又はTiO2コーティングされた金属小板、特にAl小板を非酸化性雰囲気中600℃を超える温度で焼成し、次に、特にTiO2コーティングされたSiOy小板を、場合によっては、200℃を超える、好ましくは400℃を超える、特に500〜1000℃の温度で空気又は他の酸素含有ガスによって処理すると、SiOy又は金属小板、特にTi、Zr、CrもしくはZn小板、より好ましくはAl小板に基づく、高い光沢及びカラーフロップを有する顔料を得ることができるということがわかった。
【0009】
したがって、本発明は、TiO2/SiOy(0.03≦y≦1.95、特に0.03≦y≦1.80、とりわけ0.70≦y≦1.80)又はTiO2/金属、特にTiO2/Alを焼成することによって得られる層を含む小板形の顔料に関する。
【0010】
小板状顔料の粒子は一般に、長さ1μm〜5mm、幅1μm〜2mm、厚さ20nm〜2μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有し、その間の距離がコアの最短軸である。
【0011】
本発明のフレークは形状が均一ではない。そうではあるが、簡潔に説明するため、フレークは「直径」を有するものとして参照する。フレークは、高い面平行性及び平均厚さの±30%、特に±10%、もっとも好ましくは±5%の所定の厚さを有する。フレークは、厚さ20〜2000nm、特に100〜350nmである。フレークの直径は、約1〜60μmの範囲、より好ましくは約5〜40μmの範囲にあることが好ましい。
【0012】
「SiOy(0.03≦y≦1.95)」とは、酸化ケイ素層の平均値でケイ素に対する酸素のモル比が0.03〜1.95であることをいう。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(化学分析用電子分光法)によって決定することができる。SiOx、SiOx1、SiOx2、SiOy1及びSiOzは相応に定義される。
【0013】
本発明にしたがって、「アルミニウム」は、アルミニウム及びアルミニウム合金を含む。アルミニウム合金は、たとえば、G. WassermannのUllmanns Enzyklopadie der Industriellen Chemie, 4. Auflage, Verlag Chemie, Weinheim, Band 7, S. 281〜292に記載されている。特に適切なものは、WO00/12634の10〜12頁に記載されている、アルミニウムの他にケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、スズ、カドミウム、ビスマス、チタン、クロム及び/又は鉄を20重量%未満、好ましくは10重量%未満の量で含む腐食安定性アルミニウム合金である。
【0014】
好ましいものは、
(a)SiOz(0.03≦z≦2.0)の基材層、
(b)TiO2/SiOy(0.03≦y≦1.8)を非酸化性雰囲気中で焼成することによって得られる中間層、及び
(c)TiO2
を含む顔料、又は
(a)Alの基材層、
(b)TiO2/Alを非酸化性雰囲気中で焼成することによって得られる中間層、及び
(c)TiO2
を含む顔料であり、特に好ましいものは、SiOz小板又はAl小板に基づき、表面全体がTiO2でコーティングされたのち、非酸化性雰囲気中で焼成されているものである。
【0015】
TiO2及びSiOy層の厚さならびに焼成工程で選択される工程パラメータに依存して、全TiO2又はSiOy層が中間層に組み込まれて、その場合に基材層(a)及び中間層(b)又は中間層(b)及びTiO2層(c)のみを有する小板形の顔料が製造される。
【0016】
したがって、この実施態様で、本発明は、小板形の顔料であって、その粒子が一般に、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ20nm〜1.5μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有するSiOz又はAlのコアを有し、それらの面の間の距離がコアの最短軸であり、TiO2層がコアの平行な面、好ましくは表面全体に適用されており、SiOz又はAl基材とTiO2層との間に、TiO2/SiOy(0.03≦y≦1.8)を焼成することによって得られる中間層が配設されている顔料に関する。顔料は、場合によっては、TiO2層の上にさらなる層を有することもできる。
【0017】
SiOz層の厚さは、一般に20〜1000nm、好ましくは50〜500nmであり、TiO2層の厚さは、一般に1〜200nm、特に10〜100nm、とりわけ20〜50nmである。
【0018】
本発明はまた、塗料、織物(EP02405889.3)、インクジェット印刷(EP02405888.5)、化粧品(WO/03076520)、印刷インク、プラスチック、コーティング(WO03/068868)、特に自動車仕上げ塗装、セラミックス及びガラスのためのうわぐすりならびにセキュリティ印刷における本発明の顔料の使用に関する。
【0019】
SiOy又はAl小板に基づく顔料は、TiO2コーティングされたSiOy(0.03≦y≦1.95、特に0.03≦y≦1.80、とりわけ0.70≦y≦1.80)又はAl小板を非酸化性雰囲気中600℃を超える(Alの場合600℃未満)、好ましくは700〜1100℃の範囲の温度で10分を超える時間、好ましくは15〜120分間焼成することによって得られる。その後、特に、SiOy小板に基づく顔料を、200℃を超える、好ましくは400℃を超える、特に500〜1000℃の温度で、空気又は他の酸素含有ガスによって処理することができる。
【0020】
TiO2コーティングされたSiOy又は金属小板、特にAl小板は、基本的に、以下の工程
a)TiO2層を支持体に蒸着させる工程、
b)工程a)で得られたTiO2層にSiOy層又は金属層、特にアルミニウム層を蒸着させる工程、及び
c)工程b)で得られたSiOy層又は金属層にTiO2層を蒸着させる工程
を含む方法(WO03/068868)によって得ることができる。好ましくは、工程a)の前に支持体に分離剤を蒸着させて、支持体からのフレークの分離を容易にする分離剤層を製造する。
【0021】
しかし、好ましくは、まずSiOy又はAlフレークを製造したのち、それを湿式化学塗布によってTiO2でコーティングする。
【0022】
以下、本発明の範囲を限定することなく金属層としてAlを参照しながら本発明をさらに詳細に例示する。
【0023】
Al基材として、Al箔から打ち抜いたAl小板又は公知の微粉砕及び磨砕技術によって製造したAl顔料を使用してもよい。好ましくは、物理蒸着によって製造されたAlフレークを使用する(たとえばUS−B−4,321,087、WO00/24946を参照)。このような方法は、以下の工程
a)支持体に分離剤を蒸着させて分離剤層を製造する工程、
b)分離剤層にAl層を蒸着させる工程、
c)分離剤層を溶媒に溶解させる工程、及び
d)溶媒からAlフレークを分離する工程
を含む。
【0024】
そして、たとえばEP−A−338428にしたがって、化学蒸着法(CVD)によってアルミニウム顔料を二酸化チタンでコーティングすることができる。この方法では、TiCl4蒸気を、流動床中、温められて移動するAl粒子の存在で、H2O蒸気と低濃度で反応させる。
TiCl4+2H2O+Al顔料→TiO2/Al顔料+4HCl
【0025】
そして、二酸化チタンコーティングされたAlフレークを、非酸化性雰囲気中600℃未満の温度で10分を超える時間、好ましくは15〜120分間焼成する。非酸化性ガス雰囲気、たとえばN2、Ar、He、CO2、H2又はNH3、好ましくはN2又はAr中で還元反応が起こる。N2又はNH3の場合、TiO2-xに加えてTiN又はTiONが製造されることもある。
2Al+6TiO2→Al23×3Ti23
2Al+3TiO2→Al23×3TiO
【0026】
そして、二酸化チタンコーティングされた還元顔料をさらなる無機コーティング、たとえばFe23、酸化クロム又はCrOOH、SiO2、Al23又はZrO2コーティングでコーティングしてもよい。
【0027】
SiOyフレークを出発原料として使用することが特に有利である。小板形のSiOy基材(0.95≦y≦1.95、好ましくは1.0≦y≦1.80)は、以下の工程
a)支持体に分離剤を蒸着させて分離剤層を製造する工程、
b)分離剤層にSiOy層を蒸着させる工程、
c)分離剤層を溶媒に溶解させる工程、及び
d)溶媒からSiOyフレークを分離する工程
を含む方法(WO03/068868を参照)によって得ることができる。
【0028】
上述した方法は、天然の雲母小板及び湿式法で製造された小板と比較して、高度な面平行性及び平均厚さの±30%、好ましくは±10%、もっとも好ましくは±5%の所定の厚さを有するSiOz基材を利用可能にする。
【0029】
SiOy基材又は層(0.70≦y≦0.99)は、好ましくは、ケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素を1300℃を超える温度で蒸発させることによって形成される。数10-2Paの工業用真空下でSi(Si/SiO2又はSiO/Siではなく)を蒸発させるならば、0.95未満の酸素含量を有する酸化ケイ素、すなわちSiOx(0.03≦x≦0.95、特に0.05≦x≦0.50、とりわけ0.10≦x≦0.30)を得ることができる(WO03/076520)。
【0030】
工程b)で、SiOy層(0.95≦y≦1.95、好ましくは1.0≦y≦1.80)は、好ましくは、Siと、SiO2、SiOy又はそれらの混合物との混合物を含む仕込み原料を入れた蒸発器から蒸着させる。SiOy層は、微細なケイ素と石英(SiO2)粉末との好ましくは化学量論的な混合物を、たとえばDE−C−4342574及びUS−B−6,202,591に記載されている蒸発器中、高真空下で1300℃を超える温度に加熱することによって得られる。反応生成物は一酸化ケイ素ガスであり、これを、真空下、通過中の支持体に直接当てると、そこでSiOとして凝縮する。非化学量論的混合物を使用してもよい。蒸発器は、Siと、SiO2、SiOy又はそれらの混合物との混合物を含む仕込み原料を含み、互いに反応する物質(Si及びSiO2)の粒径は、有利には0.3mm未満である。SiとSiO2との重量比は、有利には0.15:1〜0.75:1(重量部)の範囲であり、好ましくは、化学量論的混合物が存在する。蒸発器中に存在するSiOyは直接蒸発する。SiとSiO2とは、1300℃を超える温度で反応して一酸化ケイ素蒸気を形成する。支持体に凝縮する分離剤は、ラッカー、ポリマー、たとえばUS−B−6,398,999に記載されているようなポリマー(熱可塑性ポリマー)、特にアクリルもしくはスチレンポリマー又はそれらの混合物、有機溶媒又は水に可溶性であり、真空中で蒸発させることができる有機物質、たとえばアントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニル−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミド及びそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリン及びその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール又はこれらの物質の少なくとも2種の混合物であることができる。分離剤は、好ましくは、水溶性であり、真空中で蒸発可能である無機塩(たとえばDE−A−19844357を参照)、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウムアルミニウム及び四ホウ酸二ナトリウムである。
【0031】
工程c)は通常、工程a)及びb)の圧力よりも高く、かつ大気圧よりも低い圧力で実施される。
【0032】
可動支持体は、好ましくは、ポリマーコーティングを有しても有しなくてもよい1個以上の連続した金属ベルト又は1個以上のポリイミドもしくはポリエチレンテレフタレートベルトを含む。可動支持体はさらに、軸を中心に回転する1個以上の円板、円柱又は他の回転対称体を含むことができる。
【0033】
複数の分離剤層及び亜酸化ケイ素層を真空中で交互に連続して可動支持体に蒸着させたのち、凝縮した分離剤層を溶解によって分離させることが可能である。SiOyからなる面平行な構造は、好ましくは洗い流しならびにその後のろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション又は蒸発によって溶媒から分離させる。さらには、亜酸化ケイ素(SiOy)からなる面平行な構造(小板又はフレーク)は、溶媒に含まれる溶解した分離剤の洗い流しののち、溶媒とともに凍結させ、続いて凍結乾燥の処理に付してもよく、その間に三重点未満での昇華の結果として溶媒が分別され、乾燥した亜酸化ケイ素が個々の面平行な構造の形態で後に残る。
【0034】
可動支持体に凝縮する亜酸化ケイ素は、式SiOyに相当する(0.95≦y≦1.8、好ましくは1.0≦y≦1.8、1未満のy値は、蒸発器材料中の過剰なケイ素によって得られる)。超高真空下を除き、数10-2Paの工業用真空では、蒸発したSiOは常にSiOy(1.1≦y≦1.8、特に1.1≦y≦1.5)として凝縮する。理由は、高真空装置は、表面からのガス放出の結果として、蒸発温度で反応しやすいSiOと反応する痕跡量の水蒸気を常に含むからである。
【0035】
詳細には、塩、たとえばNaCl、続いて亜酸化ケイ素(SiOy)の層を、蒸発器を経由して0.5Pa未満の真空下を通過させながら、連続金属ベルトであってもよい支持体に順次に蒸着させる。蒸着される塩の厚さはおよそ20〜100nm、好ましくは30〜60nmであり、SiOの厚さは、生成物の使用目的に依存して、20〜1000nm、好ましくは50〜500nmである。閉鎖されてループを形成するベルト形の支持体は、そのさらなる行程で、公知の構造の動的真空ロックチャンバ(US−B−6,270,840を参照)を通過して、1〜5×104Paの圧力、好ましくは600〜109Paの圧力、特に103〜5×103Paの圧力の領域に入り、そこで分離浴に浸漬される。溶媒の温度は、その蒸気圧が指示された圧力範囲に入るように選択されるべきである。機械的支援により、分離剤層は急速に溶解し、生成物層はフレークに砕散し、その後、溶媒中で懸濁液の形態になる。ベルトは、そのさらなる行程で、乾燥させられ、なおもそれに付着する汚染物質が除かれる。ベルトは、第二の群の動的真空ロックチャンバを通過して蒸発チャンバに戻り、そこで、分離剤及びSiOyの生成物層をコーティングする工程が繰り返される。
【0036】
そして、生成物構造及び溶媒ならびにそれに溶解した分離剤を含む、両方の場合に得られる懸濁液を、さらなる処理で、公知の技術にしたがって分離する。そのためには、まず、生成物構造を液中で濃縮し、新鮮な溶媒で数回すすいで、溶解した分離剤を洗い流す。そして、まだ湿潤している固体の形態の生成物を、ろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション又は蒸発によって分別し、乾燥させる。
【0037】
蒸発区域中、複数の分離剤及び生成物蒸発器をベルトの走行方向に一列に並べることが可能である。この手段により、装置の点でほとんど追加の出費なしに、S+P+S+P(Sは分離剤層であり、Pは生成物層である)の連続層が得られる。
【0038】
大気圧で洗い流ししたのちの面平行な構造の分別は、固形分約50%まで濃縮しておいた懸濁液を凍結させ、それを公知の方法で約−10℃及び50Paの圧力で凍結乾燥に付すことにより、穏やかな条件下で実施することができる。乾燥質が生成物として後に残り、それを、コーティング又は化学転換によってさらに処理する工程に付すことができる。
【0039】
連続ベルトを使用する代りに、WO01/25500にしたがって、回転体を有する装置の中で、分離剤及びSiOを蒸着させる工程、分離工程及び支持体を乾燥させる工程を実施することにより、生成物を製造することが可能である。回転体は、1個以上の円板、円柱又は他の回転対称体であることができる。
【0040】
また、基材は、多層基材、たとえば、SiOx2層もしくはSiOy1層を上下の面に有するが、側面には有しないSiOx1のコアを有する多層小板形基材層、SiOx1層もしくはSiOy1層を上下の面に有するが、側面には有しないSiOx2のコアを有する多層小板形基材層、SiOx1層もしくはSiOx2層を上下の面に有するが、側面には有しないSiOy1のコアを有する多層小板形基材層又はSiOx1層、SiOx2層もしくはSiOy1層を上下の面に有するが、側面には有しない金属、特にAlのコアを有する多層小板形基材層であってもよい(0.03≦x1<0.70、特に0.05≦x1≦0.50、とりわけ0.1≦x1≦0.30、0.70≦x2≦0.99、1.00≦y1≦1.95、特に1.0≦y1≦1.8、とりわけ1.1≦y1≦1.8)(PCT/EP03/50229)。
【0041】
基材はさらに、SiOy/金属反射材料、好ましくは1000℃を超える融点を有する金属の層構造を有する基材、たとえば、SiOy、金属反射材料及びSiOyを順に分離剤に蒸着することによって得られるチタン/SiOyであってもよい。
【0042】
したがって、多層基材から形成される顔料は、
(a)多層小板形基材層、
(b)TiO2/SiOx1、TiO2/SiOx2又はTiO2/SiOy1を非酸化性雰囲気中で焼成することによって得られる中間層、及び
(c)TiO2
(0.03≦x1<0.70、特に0.05≦x1≦0.50、とりわけ0.10≦x1≦0.30、0.70≦x2≦0.99、1.00≦y1≦1.95、特に1.0≦y1≦1.8、とりわけ1.1≦y1≦1.8)
を含む。
【0043】
SiOy小板のコーティングは、たとえばWO93/08237に記載されている湿式化学塗布により、ゾルゲル法により、又はたとえばDE−A−19614637に記載されているCVD法により、実施することができる。SiOy小板のコーティングは、湿式化学塗布によって実施することが好ましく、たとえば、DE−A−1467468、DE−A−1959988、DE−A−2009566、DE−A−2214545、DE−A−2215191、DE−A−2244298、DE−A−2313331、DE−A−2522572、DE−A−3137808、DE−A−3137809、DE−A−3151343、DE−A−3151354、DE−A−3151355、DE−A−3211602及びDE−A−3235017、DE−A−1959988、WO93/08237、WO98/53001及びWO03/6558に記載されている、真珠光沢顔料の製造のために開発された手法を使用することが可能である。
【0044】
コーティングのためには、SiOy粒子を水に懸濁させ、1種以上の加水分解性チタン塩を、酸化チタン又は酸化チタン水和物が副次的な沈殿を発生させることなく粒子上に直接沈殿するように選択される、加水分解に適したpH値でそこに加える。pHは通常、同時に塩基を計量供給することによって一定に維持される。そして、顔料を分別し、洗浄し、乾燥させ、場合によっては焼成する。望むならば、個々のコーティングを適用したのち、顔料を分別し、乾燥させ、場合によっては焼成して、さらなる層を沈殿させるために再懸濁させてもよい。
【0045】
酸化チタン層は、たとえば、DE−A−19501307に記載されている方法と同様にして、場合によっては有機溶媒及び塩基性触媒の存在で、ゾルゲル法による1種以上の金属酸エステルの制御された加水分解によって酸化チタン層を製造することによって得ることができる。適切な塩基性触媒は、たとえば、アミン、たとえばトリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン及びメトキシプロピルアミンである。有機溶媒は、水混和性有機溶媒、たとえばC1-4アルコール、特にイソプロパノールである。
【0046】
適切なチタン酸エステルは、チタンのアルキル及びアリールアルコラート、カルボキシレートならびにカルボキシル基又はアルキル基又はアリール基で置換されたアルキルアルコラート又はカルボキシレートから選択される。チタン酸テトライソプロピルが好ましい。加えて、チタンのアセチルアセトネート及びアセトアセチルアセトネートを使用してもよい。このタイプの金属酸エステルの好ましい例はチタンアセチルアセトネートである。
【0047】
本発明の好ましい実施態様にしたがって、二酸化チタン層の適用には、US−A−3,553,001に記載されている方法が使用される。約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にチタン塩水溶液をゆっくりと加え、塩基、たとえばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液を同時に計量供給することにより、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5の実質的に一定のpH値を維持する。沈殿したTiO2の所望の層厚さが達成されるとただちに、チタン塩溶液及び塩基の添加を止める。
【0048】
滴定法とも呼ばれるこの方法は、過剰なチタン塩を避けられるという事実によって特徴付けられる。これは、水和TiO2による均一なコーティングに必要であり、コーティングされる粒子の利用可能な表面によって単位時間あたり吸収されることができる量だけを単位時間あたり加水分解のために供給することによって達成される。
【0049】
通例の処理の後で得られる、SiOy小板(0.03≦y≦1.95、特に0.03≦x1≦0.70、0.70≦x2≦0.99、1.0<y1≦1.95、特に1.10≦y1≦1.80)に基づき、(a)SiOyの基材層及び(b)TiO2層を含む粒子は新規であり、本発明はその粒子にも関する。TiO2層が湿式化学法によってSiOy小板に付着されるならば、TiO2は、SiOy小板の、上下の面及び側面を含む全面に存在する。
【0050】
その後、TiO2コーティングされたSiOy小板を、非酸化性ガス雰囲気中600℃を超える、好ましくは700〜1100℃の範囲の温度で10分を超える時間、好ましくは15〜120分間焼成する。非酸化性ガス雰囲気、たとえばN2、Ar及び/又はHe、好ましくはN2又はAr中又は13Pa(10-1torr)未満の真空下で還元反応が起こる。N2又はNH3の場合、TiO2-xに加えてTiN又はTiONが製造されることもある。
【0051】
場合によっては、TiO2コーティングされたSiOy小板を酸化加熱処理に付すことができる。たとえば、空気又は他の酸素含有ガスを、200℃を超える、好ましくは400℃を超える、特に500〜1000℃の温度で、ばら材料の形態又は流動床にある小板に通す。そして、生成物を、粉砕、超音波処理、風ひ又はふるい分けによって所望の粒径にし、さらなる使用のために送り出すことができる。
【0052】
その場合に得られる、SiOy小板に基づき、(a)SiOzの基材層(0.03≦z≦2.0、特に0.10≦z≦2.0、とりわけ0.70≦z≦2.0)、(b)TiO2/SiOy(0.03≦y≦1.95、特に0.03≦y≦1.80、とりわけ0.70≦y≦1.80)を焼成することによって得られる中間層及び(c)TiO2層を含む顔料もまた新規であり、本発明はその顔料にも関する。
【0053】
原則的に、アナタース形TiO2が出発顔料の表面に形成する。しかし、少量のSnO2を加えることにより、800〜900℃での焼成によってルチル形構造を形成させることも可能である(たとえば、WO93/08237及びUS−A−4,086,100を参照)。
【0054】
さらなる好ましい実施態様で、基材は、
(a1)SiOx1層又はSiOx2層、特にSiOy1層、
(b1)反射層、特に金属層、及び
(c1)SiOx1層又はSiOx2層、特にSiOy1層(0.03≦x1<0.70、特に0.05≦x1≦0.50、とりわけ0.10≦x1≦0.30、0.70≦x2≦0.99、1.00≦y1≦1.95、特に1.0≦y1≦1.8、とりわけ1.1≦y1≦1.8)
をこの順序で含む。
【0055】
層(a1)、(b1)及び(c1)を含む基材は、
a)可動支持体に分離剤を蒸着させて分離剤層を製造する工程、
b1)分離剤層にSiOx1層、SiOx2層又はSiOy1層を蒸着させる工程、
b2)工程(b1)で得られた層に反射材料、特にチタン又はアルミニウムを蒸着させる工程、
b3)金属層にSiOx1層、SiOx2層又はSiOy1層を蒸着させる工程、
c)分離剤層を溶媒に溶解させる工程、及び
d)溶媒から酸化ケイ素/反射材料/酸化ケイ素粒子を分離する工程
を含む方法によって調製される。
【0056】
工程(b3)を省略するならば、層(a1)及び(b1)を含む非対称な顔料が得られる。
【0057】
反射層は、好ましくは、金属反射材料、特にAg、Al、Au、Cu、Cr、Ge、Mo、Ni、Si、Ti、それらの合金、黒鉛、Fe23又はMoS2、特に好ましくはAl又はMoS2からなる。Alが反射層を形成し、反射層が保持されるべきであるならば、Alと、隣接層に含有されるケイ素及び/又は酸化ケイ素との反応を防ぐため、600℃を超える温度は避けるべきである。Alが反射層を形成し、フレークが600℃を超える温度に加熱されるならば、Alは、隣接層に含有されるケイ素及び/又は酸化ケイ素と反応し、反射層は透明なケイ酸アルミニウム層に転換される。
【0058】
Alが層(b1)の金属として使用されるならば、層(b1)の厚さは、一般に20〜100nm、特に40〜60nmである。Alは、1000℃を超える温度で蒸発する。
【0059】
層(a1)及び(c1)の厚さは、一般に2〜500nm、特に50〜300nmである。
【0060】
さらなる好ましい実施態様で、基材は、
(a2)SiO0.70-0.99層、
(b2)SiO1.00-1.8層、及び
(c2)SiO0.70-0.99
をこの順序で含む。
【0061】
層(a2)、(b2)及び(c2)を含む基材は、
a)可動支持体に分離剤を蒸着させて分離剤層を製造する工程、
b1)分離剤層にSiOy層(0.70≦y≦0.99)を蒸着させる工程、
b2)工程(b1)で得られた層にSiOy層(1.0≦y≦1.8)を蒸着させる工程、
b3)工程(b2)で得られた層にSiOy層(0.70≦y≦0.99)を蒸着させる工程、
c)分離剤層を溶媒に溶解させる工程、及び
d)溶媒からSiO0.70-0.99/SiO1.0-1.8/SiO0.70-0.99粒子を分離する工程
を含む方法によって調製される。
【0062】
工程(b3)を省略するならば、層(a2)及び(b2)を含む非対称な顔料が得られる。
【0063】
工程b)のSiO1.00-1.8層は、好ましくは、蒸発器中1300℃を超える温度でのSiとSiO2との混合物の反応によって発生する一酸化ケイ素蒸気から形成される。
【0064】
工程b)のSiO0.70-0.99層は、好ましくは、ケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素を1300℃を超える温度で蒸発させることによって形成される。
【0065】
さらなる好ましい実施態様で、基材は、
(a3)SiO1.00-1.8層、
(b3)SiO0.70-0.99層、及び
(c3)SiO1.00-1.8
をこの順序で含む。
【0066】
層(a3)、(b3)及び(c3)を含む基材は、
a)可動支持体に分離剤を蒸着させて分離剤層を製造する工程、
b1)分離剤層にSiOy層(1.0≦y≦1.8)を蒸着させる工程、
b2)工程(b1)で得られた層にSiOy層(0.7≦y≦0.99)を蒸着させる工程、
b3)工程(b2)で得られた層にSiOy層(1.0≦y≦1.8)を蒸着させる工程、
c)分離剤層を溶媒に溶解させる工程、
d)溶媒からSiO1.0-1.8/SiO0.70-0.99/SiO1.0-1.8粒子を分離する工程
を含む方法によって調製される。
【0067】
工程b1)及びb3)のSiO1.00-1.8層は、好ましくは、蒸発器中1300℃を超える温度でのSiとSiO2との混合物の反応によって発生する一酸化ケイ素蒸気から形成される。
【0068】
工程b2)のSiO0.70-0.99層は、好ましくは、ケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素を1300℃を超える温度で蒸発させることによって形成される。
【0069】
数10-2Paの工業用真空下でSi(Si/SiO2又はSiO/Siではなく)を蒸発させるならば、0.95未満の酸素含量を有する酸化ケイ素、すなわちSiOx(0.03≦x≦0.95)を得ることができる(WO03/076520)。
【0070】
工程(b3)を省略するならば、層(a3)及び(b3)を含む非対称な顔料が得られる。
【0071】
層(b3)の厚さは、一般に50〜400nm、特に100〜300nmである。
【0072】
層(a3)及び(c3)の厚さは、一般に50〜200nm、特に50〜100nmである。
【0073】
顔料の着色効果は一般に、
―TiO2層の厚さ、
―中間層の厚さ、及び
―中間層の組成
によって調節することができる。
【0074】
TiO2/SiOyを非酸化性雰囲気中で焼成することが、屈折率の変化を生じさせる中間層を製造すると推測される。しかし、中間層が連続層ではなく、むしろTiO2とSiOyとの界面の個々の領域だけが、屈折率の変化を生じさせる転換を受けるという可能性を排除することはできない。さらに、屈折率の変化はSiOyによるTiO2の還元のせいであると推測される。したがって、本発明の原理は、屈折率の変化を生じさせる中間層をSiOy(又はAl)によるTiO2の還元によって製造することに基づく。
TiO2+SiOy→SiOy+b+TiO2-b
【0075】
現在、TiO2/SiOy粒子を無酸素雰囲気、すなわちアルゴン又はヘリウム雰囲気中又は13Pa(10-1Torr)未満の真空中、400℃を超える、特に400〜1100℃の温度で加熱することにより、SiOyによるTiO2の還元の他に、SiOyがSiO2とSiとに不均化するということを排除することはできない(PCT/EP03/50229)。
SiOy→(y/y+a)SiOy+a+(1−(y/y+a))Si
【0076】
この不均化で、(1−(y/y+a))Siを含有するSiOy+aフレークが形成する(0.03≦y≦1.95、特に0.70≦y≦0.99又は1≦y≦1.8、0.05≦a≦1.97、特に0.05≦a≦1.30、y+aの和は2以下である)。SiOy+aは、酸素で富化された亜酸化ケイ素である。
【0077】
さらなるコーティング層の形成には種々のコーティング法を使用することができる。コーティング層を形成するのに適切な方法としては、真空蒸着、ゾルゲル加水分解、流動床中のCVD(US−A−5,364,467及びUS−A−5,763,086)及び電気化学的付着がある。もう一つの付着方法は、プラズマによって化学種を活性化するプラズマ化学蒸着(PECVD)である。このような方法はWO02/31058で詳細に開示されている。
【0078】
原則的に、面平行な顔料は、本明細書では約1.65以下の屈折率と定義される「低い」屈折率を有する材料をさらに含むこともできるし、本明細書では約1.65を超える屈折率と定義される「高い」屈折率を有することもできるし、半透明の金属層を有することもできる。使用することができる種々の(絶縁)材料としては、無機材料、たとえば金属酸化物、金属フッ化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物、それらの組み合わせなど及び無機絶縁材料がある。これらの材料は入手しやすく、物理蒸着法又は化学蒸着法によって容易に適用される。
【0079】
使用することができる適切な低屈折率絶縁材料の非限定的な例は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)及び金属フッ化物、たとえばフッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化ナトリウムアルミニウム(たとえばNa3AlF6又はNa5Al3F114)、フッ化ネオジム(NdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)、それらの組み合わせ又は約1.65以下の屈折率を有する他の低屈折率材料を含む。たとえば、ジエン又はアルケン、たとえばアクリレート(たとえばメタクリレート)、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、それらの組み合わせなどをはじめとする有機モノマー及びポリマーを低屈折率材料として使用することができる。さらには、前記材料は、蒸発させ、凝縮させ、架橋させた透明なアクリレート層を含み、これは、US−B−5,877,895に記載されている方法によって付着させることができる。
【0080】
半透明な金属層に適切な金属は、たとえば、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au又はNiである。
【0081】
「高い」屈折率、すなわち、約1.65を超える、好ましくは約2.0を超える、もっとも好ましくは約2.2を超える屈折率を有する絶縁材料の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)、炭素、酸化インジウム(In23)、酸化インジウムスズ(ITO)、五酸化タンタル(Ta25)、酸化クロム(Cr23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ユーロピウム(Eu23)、酸化鉄、たとえば酸化鉄(II)/(III)(Fe34)及び酸化鉄(III)(Fe23)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd23)、酸化プラセオジム(Pr611)、酸化サマリウム(Sm23)、三酸化アンチモン(Sb23)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se23)、酸化スズ(SnO2)、三酸化タングステン(WO3)又はそれらの組み合わせである。絶縁材料は、好ましくは金属酸化物であり、金属酸化物は、吸収性を有してもよいし有しなくてもよい、単独の酸化物又は酸化物の混合物、たとえばTiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23又はZnOであることが可能であり、TiO2が特に好ましい。
【0082】
金属酸化物層は、CVD(化学蒸着)によって適用することもできるし、湿式化学コーティングによって適用することもできる。金属酸化物層は、金属カルボニルの水蒸気の存在における分解(比較的低分子量の金属酸化物、たとえば磁鉄鉱)又は酸素及び場合によっては水蒸気の存在における分解(たとえば酸化ニッケル及び酸化コバルト)によって得ることができる。金属酸化物層は、特に、金属カルボニル(たとえば鉄ペンタカルボニル、クロムヘキサカルボニル、EP−A−45851)の酸化気相分解によって、金属アルコラート(たとえばチタン及びジルコニウムテトラ−n−及び−イソ−プロパノラート、DE−A−4140900)もしくは金属ハロゲン化物(たとえば四塩化チタン、EP−A−338428)の加水分解気相分解によって、オルガニルスズ化合物(特にアルキルスズ化合物、たとえばテトラブチルスズ及びテトラメチルスズ、DE−A−4403678)の酸化分解によって、又はEP−A−668329に記載されているオルガニルケイ素化合物(特にジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって適用され、コーティング作業は、流動床反応器で実施することが可能である(EP−A−045851及びEP−A−106235)。Al23層(B)は、好都合にも、他の方法では不活性ガス下で実施される(DE−A−19516181)、アルミニウムコーティングされた顔料の冷却の間の制御された酸化によって得ることができる。
【0083】
TiO2層の上に、低い屈折率の金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23又はそれらの混合物、好ましくはSiO2を適用し、その層の上にさらなるTiO2層を適用することにより、より色が濃く、より透明である顔料を得ることが可能である(EP−A−892832、EP−A−753545、WO93/08237、WO98/53011、WO98/12266、WO98/38254、WO99/20695、WO00/42111及びEP−A−1213330)。
【0084】
場合によっては、二酸化チタン層の上にSiO2(保護)層を適用することができ、そのためには以下の方法を使用することができる。約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にソーダ水ガラス溶液を計量供給する。同時に10%塩酸を加えることによってpHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液を加えたのち、攪拌をさらに30分間実施する。
【0085】
さらに、完成した顔料を、光、天候及び化学的安定性を高める、又は顔料の取り扱い、特に種々の媒体へのその練込みを容易にする後続のコーティング又は後続の処理に付すことが可能である。たとえば、DE−A−2215191、DE−A−3151354、DE−A−3235017、DE−A−3334598、DE−A−4030727、EP−A−649886、WO97/29059、WO99/57204及びUS−A−5,759,255に記載されている手順が後続の処理又は後続のコーティングとして適切である。
【0086】
また、顔料の表面に存在するTiO2を、DE−A−19502231、WO97/39065、WO00/17277及び特にDE−A−19843014に記載されている方法によって還元し、それにより、亜酸化チタン、金属酸化物、非金属酸化物、窒化チタン及び/又はオキシ窒化チタンを形成することが可能である。
【0087】
用いられる還元剤は、気体状還元剤、たとえば水素又は金属粉末、合金、金属ホウ化物、金属炭化物もしくは金属ケイ化物の形態の固体還元剤である。金属/非金属、たとえばホウ素、アルミニウム、ケイ素、亜鉛又は鉄、特にケイ素又はそれらの組み合わせの粉末の使用が好ましい。
【0088】
通例の還元剤、たとえばアルカリ金属を液相又は気相で使用してもよい。挙げられる他の還元剤は、水素化物、たとえばLiH又はCaH2である。これらの還元剤どうしの組み合わせもまた適切である。
【0089】
二酸化チタンコーティングされた小板は、上記の固体還元剤と100:1〜5:1の比で徹底的に混合し、非酸化性雰囲気中600℃を超える、好ましくは700〜1100℃の範囲の温度で10分を超える期間、好ましくは15〜60分間処理する。
【0090】
還元反応は、ハロゲン化物、好ましくは塩化物の存在で促進される。好ましいものは、特にLiCl、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、CuCl2、CrCl3、MnCl2、FeCl2、FeCl3、CoCl2、NiCl2又はCeCl3である。反応温度は、塩化物、たとえばCaCl2の存在では150〜300℃下げることができる。塩化物は、無水であることが好ましい。ハロゲン化物の量は、TiO2でコーティングされたSiO2小板に基づいて0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜10重量%であることができる。加えて、本発明の顔料はまた、難溶性で固着性の無機又は有機着色剤でコーティングすることができる。好ましいものは、染色レーキ、特にアルミニウム染色レーキの使用である。そのためには、水酸化アルミニウム層を沈殿させ、それを、第二の工程で、染色レーキを使用することによって染色する(DE−A−2429762及びDE−A−2928287)。
【0091】
さらには、本発明の顔料はまた、錯塩顔料、特にシアノ鉄酸錯体のさらなるコーティングを有することができる(EP−A−141173及びDE−A−2313332)。
【0092】
本発明の顔料はまた、DE−A−4009567にしたがって、有機染料、特にフタロシアニンもしくは金属フタロシアニン及び/又はインダンスレン染料でコーティングしてもよい。
【0093】
有色顔料は、TiO2コーティングされたSiOz小板を少なくとも1種の固体還元剤、好ましくはアルカリ土類金属、B、Al、Si、Zn、Fe、LiH、CaH2、Al43、Mg2Si、MgSi2、Ca2Si又はCaSi2と混合し、混合物を非酸化性雰囲気中600℃を超える温度で10分よりも長い時間焼成することによって製造することができる。非酸化性ガス雰囲気、たとえばN2、Ar、He、CO2、H2又はNH3、好ましくはN2又はAr中で還元反応が起こる。また、好ましくは3容量%の水素含量を有する水素/窒素混合物が好ましい。N2又はNH3の場合、TiO2-xに加えてTiN又はTiONが製造されることもある。
【0094】
本発明の顔料は、高い光沢及び非常に均一な厚さによって特徴付けられ、その結果、非常に高い色の純度及び色の濃さが得られる。本発明の顔料は、すべての通例の目的に、たとえば織物の着色、ポリマーの練込み着色、コーティング(自動車分野のためのものをはじめとする特殊効果仕上げ塗装を含む)、セラミックスやガラスのうわぐすり及び印刷インク(セキュリティ印刷用を含む)、ならびにたとえば化粧品及びインクジェット印刷への適用に使用することができる。このような用途は、参考文献、たとえば「Industrielle Organische Pigmente」(W. Herbst and K. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York、全面改訂第二版1995)から公知である。
【0095】
本発明の顔料は、エフェクト顔料(金属エフェクト顔料及び干渉顔料)、すなわち、適用媒体に色を付与する他に、さらなる性質、たとえば色の角度依存性(フロップ)、ラスター(表面光沢ではない)又はテキスチャーを付与する顔料である。金属エフェクト顔料では、指向性顔料粒子で実質的に指向性の反射が起こる。干渉顔料の場合、色付与効果は、薄い高屈折層における光の干渉現象による。本発明の顔料は、ゴニオクロマチックかつ鮮やかであり、高彩度の(鮮やかな)色を発することができる。したがって、これらの顔料は、従来の透明顔料、たとえば有機顔料、たとえばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノンなどとの組み合わせにとりわけ適している。透明顔料は、エフェクト顔料と類似した色を有することができる。しかし、たとえばEP−A−388932又はEP−A−402943と同様に、透明顔料の色とエフェクト顔料の色とが補色である場合に、特に興味深い組み合わせ効果が得られる。
【0096】
高分子量有機材料を着色するために本発明の顔料を使用すると、優れた結果を得ることができる。
【0097】
本発明の顔料又は顔料組成物を使用して着色することができる高分子量有機材料は、天然起源であっても合成起源であってもよい。高分子量有機材料は通常、約103〜108g/mol又はそれを超える分子量を有する。これらは、たとえば、天然樹脂、乾性油、ゴムもしくはカゼイン又は改質天然物質、たとえば塩素化ゴム、油改質アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、たとえばエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酪酸セルロースもしくはニトロセルロースであることができるが、特に、重合、重縮号又は重付加によって得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性樹脂)である。重合樹脂のクラスのうち、特にポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン及び置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合物ならびに前記モノマーの共重合物、たとえば特にABS又はEVAを挙げることができる。
【0098】
重付加樹脂及び重縮合樹脂の系のうち、ホルムアルデヒドとフェノール類との縮合物、いわゆるフェノプラスト及びホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素又はメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラストならびに表面コーティング樹脂として使用されるポリエステル、飽和樹脂、たとえばアルキド樹脂又は不飽和樹脂、たとえばマレイン酸樹脂、直鎖状ポリエステル及びポリアミド、ポリウレタン又はシリコーンを挙げることができる。
【0099】
前記高分子量化合物は、単独で存在してもよいし、混合物としてプラスチック素材又は溶融体の形態で存在してもよい。これらはまた、それらのモノマーの形態で存在することもできるし、重合状態で、コーティング又は印刷インクのための膜形成剤又はバインダー、たとえば煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂として溶解した形態で存在することもできる。
【0100】
意図する目的に依存して、本発明のエフェクト顔料又はエフェクト顔料組成物をトナーとして又は調製物の形態で使用することが有利であることがわかった。コンディショニング法又は意図する用途に依存して、高分子量有機材料、特にポリエチレンを着色するためのエフェクト顔料の使用に悪影響を及ぼさないという条件で、コンディショニング工程の前又は後で特定量のテキスチャー改善剤をエフェクト顔料に加えることが有利であるかもしれない。適切な薬剤は、特に、炭素原子を少なくとも18個含有する脂肪酸、たとえばステアリン酸もしくはベヘン酸又はそれらのアミドもしくは金属塩、特にマグネシウム塩及び可塑剤、ロウ、樹脂酸、たとえばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノール類又は脂肪族アルコール、たとえばステアリルアルコール又は炭素原子8〜22個を含有する脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、たとえば1,2−ドデカンジオールならびに変性松やにマレイン酸樹脂又はフマル酸松やに樹脂である。テキスチャー改善剤は、最終生成物に基づいて好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜15重量%の量で加えられる。
【0101】
本発明のエフェクト顔料は、着色される高分子量有機材料に着色有効量で加えることができる。高分子量有機材料と、高分子量有機材料に基づいて0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%の本発明のエフェクト顔料とを含む着色された組成物が有利である。多くの場合、1〜20重量%、特に約10重量%の濃度を実践で使用することができる。
【0102】
高い濃度、たとえば30重量%を超える濃度は普通、比較的低い顔料含量を有する色付き材料を製造するための着色剤として使用することができる濃縮物(「マスタバッチ」)の形態にあるが、本発明の顔料は、通例の配合物中で異例に低い粘度を有するため、それでも十分に加工することができる。
【0103】
有機材料を着色する目的には、本発明のエフェクト顔料を単独で使用してもよい。しかし、異なる色相又は色効果を達成するために、本発明のエフェクト顔料に加えて、所望の量の他の色付与成分、たとえば白、有色、黒又はエフェクト顔料を高分子量有機物質に加えることも可能である。有色顔料が本発明のエフェクト顔料と混合して使用される場合、合計量は、高分子量有機材料に基づいて好ましくは0.1〜10重量%である。本発明のエフェクト顔料と、別の色、特に補色の有色顔料との好ましい組み合わせによって特に高い角度依存呈色性が得られ、エフェクト顔料を使用して得られる着色と、有色顔料を使用して得られる着色とは、10°の計測角で20〜340、特に150〜210の色相差(△H*)を示す。
【0104】
好ましくは、本発明のエフェクト顔料は透明な有色顔料と組み合わされ、このとき、透明な有色顔料は、本発明のエフェクト顔料と同じ媒体中に存在することもできるし、隣接媒体中に存在することもできる。エフェクト顔料と有色顔料とが好都合に隣接媒体中に存在する構造の例は、多層エフェクト仕上げ塗装である。
【0105】
本発明の顔料による高分子量有機物質の着色は、たとえば、ロールミル又は混合もしくは粉砕装置を使用して、場合によってはマスタバッチの形態にある当該顔料を基材と混合することによって実施される。そして、着色された材料を、そのものは公知の方法、たとえば圧延、圧縮成形、押出し、コーティング、流延又は射出成形によって所望の最終形態にする。顔料の練込みの前又は後で、プラスチック工業で通例の添加物、たとえば可塑剤、充填剤又は安定剤を通例の量でポリマーに加えることができる。特に、非剛性の成形物を製造する、又はそれらの脆性を下げるためには、成形の前に可塑剤、たとえばリン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを高分子量化合物に加えることが望ましい。
【0106】
コーティング及び印刷インクを着色する場合、高分子量有機材料及び本発明のエフェクト顔料を、場合によっては通例の添加物、たとえば充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、同じ有機溶媒又は溶媒混合物中に微分散又は溶解させる。このとき、個々の成分を別々に溶解又は分散させることも可能であるし、いくつかの成分をいっしょに分散又は溶解させ、その後ではじめてすべての成分を合わせることも可能である。
【0107】
着色される高分子量有機材料への本発明のエフェクト顔料の分散の間及び本発明の顔料組成物の加工の間には、エフェクト顔料がより小さな部分に砕散しないよう比較的弱い剪断力しか発生しない条件を維持することが好ましい。本発明の顔料を0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量で含むプラスチック。コーティングの分野では、本発明の顔料は、0.1〜10重量%の量で使用される。バインダー系、たとえば凹版、オフセット又はスクリーン印刷のための塗料及び印刷インクの着色においては、顔料は、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜15重量%の量で印刷インクに配合される。たとえばプラスチック、コーティング又は印刷インク、特にコーティング又は印刷インク、とりわけコーティングで得られる着色は、優れた性質、特に極めて高い彩度、抜群の堅ろう性及び高い角度依存呈色性によって特徴付けられる。着色される高分子量有機材料がコーティングである場合、それは特に特殊コーティング、とりわけ自動車仕上げ塗装である。
【0108】
本発明の顔料はまた、唇や肌のメイクアップ及び髪や爪の着色にも適している。
【0109】
したがって、本発明は、化粧品調製物又は配合物の全重量に基づいて、本発明のケイ素/酸化ケイ素フレーク及び/又は顔料0.0001〜90重量%と、化粧品に適したキャリヤ材料10〜99.9999重量%とを含む化粧品調製物又は配合物に関する。
【0110】
このような化粧品調製物又は配合物は、たとえば、リップスティック、ほお紅、ファンデーション、ネイルエナメル及びヘアシャンプーである。
【0111】
顔料は、単独で使用してもよいし、混合物の形態で使用してもよい。加えて、本発明の顔料を他の顔料及び/又は着色剤とともに、たとえば先に記載したように又は化粧品調製物で公知であるように組み合わせて使用することが可能である。
【0112】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、好ましくは、本発明の顔料を、調製物の全重量に基づいて0.005〜50重量%の量で含有する。
【0113】
本発明の化粧品調製物及び配合物に適したキャリヤ材料としては、そのような組成物に使用される通例の物質がある。
【0114】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、たとえばスティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末又は溶液の形態であってもよい。これらは、たとえば、リップスティック、マスカラ剤、ほお紅、アイシャドー、ファンデーション、アイライナー、パウダー又はネイルエナメルである。
【0115】
調製物がスティック、たとえばリップスティック、アイシャドー、ほお紅又はファンデーションの形態にあるならば、調製物は、そのかなりの部分が、1種以上のロウ、たとえばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンロウ、蜜ロウ、カンデリラロウ、微晶質ロウ、カルナバロウ、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、石油ゼリー、25℃で固体であるモノ−、ジ−もしくはトリ−グリセリド又はそれらの脂肪エステル、シリコーンロウ、たとえばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサン及びポリ(ジメチルシロキシ)ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、マツ脂及びその誘導体、たとえばアビエチン酸グリコール及びアビエチン酸グリセロール、25℃で固体である水添油、糖グリセリドならびにカルシウム、マグネシウム、ジルコニウム及びアルミニウムのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラノリン脂肪酸塩、ステアリン酸塩及びジヒドロキシステアリン酸塩からなることができる脂肪成分からなる。
【0116】
脂肪成分はまた、少なくとも1種のロウと、少なくとも1種の油との混合物からなることもでき、その場合、たとえば以下の油が適切である。パラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロキシスクアレン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、約310〜410℃の沸点を有する鉱油、シリコーン油、たとえばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀粒油、たとえば小麦胚芽油、イソプロピルラノレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコール及びポリアルコール、たとえばグリコール及びグリセロールのオクタノエート及びデカノエート、アルコール及びポリアルコール、たとえばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシルラウレート及びオクチルドデカノールのリシノレエート。
【0117】
スティックの形態のこのような調製物中の脂肪成分は一般に、調製物の全重量の99.91重量%までを構成することができる。
【0118】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、さらなる成分、たとえばグリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、無着色ポリマー無機又は有機充填剤、防腐剤、UVフィルタ又は化粧品で通例である他の補助剤及び添加物、たとえば、天然又は合成もしくは部分的に合成のジ−もしくはトリ−グリセリド、鉱油、シリコーン油、ロウ、脂肪アルコール、Guerbetアルコールもしくはそのエステル、親油性機能的化粧品有効成分、たとえば日焼け止めフィルタ又はそれらの物質の混合物をさらに含むことができる。
【0119】
皮膚化粧品に適した親油性機能的化粧品有効成分、有効成分組成物又は有効成分抽出物は、経皮的又は局所的な適用に関して認可されている成分又は成分の混合物である。例として以下を挙げることができる。
【0120】
―皮膚表面及び毛髪に対して清浄作用を有する有効成分。これらは、皮膚を清浄するように働くすべての物質、たとえば油、石鹸、合成洗剤及び固形物質を含む。
【0121】
―脱臭及び制汗作用を有する有効成分。これらは、アルミニウム塩又は亜鉛塩に基づく制汗剤、殺菌性又は静菌性脱臭物質、たとえばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコール及びカチオン性物質、たとえば第四級アンモニウム塩を含む脱臭剤ならびに吸臭剤、たとえばGrillocin(登録商標)(リシノール酸亜鉛と種々の添加剤との組み合わせ)又はクエン酸トリエチル(場合によっては酸化防止剤、たとえばブチルヒドロキシトルエンと組み合わされている)又はイオン交換樹脂を含む。
【0122】
―陽光に対する防護を提供する有効成分(UVフィルタ)。適切な有効成分は、陽光からのUV線を吸収し、それを熱に転換することができるフィルタ物質(日焼け止め)である。所望の作用に依存して、以下の光防護剤が好ましい。約280〜315nmの範囲(UV−B吸収剤)の、日焼けを生じさせる高エネルギーUV線を選択的に吸収し、より長い、たとえば315〜400nmの波長範囲(UV−A範囲)を透過させる光防護剤ならびにより長い315〜400nmのUV−A範囲の波長の放射線だけを吸収する光防護剤(UV−A吸収剤)。適切な光防護剤は、たとえば、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、1個以上の有機ケイ素基を含むポリマーUV吸収剤、ケイ皮酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びその塩、メンチルアントラニレート、ベンゾトリアゾール誘導体のクラスからの有機UV吸収剤及び/又は酸化アルミニウムもしくは二酸化ケイ素でコーティングされたTiO2、酸化亜鉛もしくは雲母から選択される無機マイクロ顔料である。
【0123】
―昆虫に対する有効成分(駆除剤)は、昆虫が皮膚に触れ、そこで活性化することを防ぐための薬剤である。昆虫を駆逐し、ゆっくりと揮発する。もっともよく使用される駆除剤はジエチルトルアミド(DEET)である。他の一般的な駆除剤は、たとえば、「Pflegekosmetik」(W. Raab and U. Kindl, Gustav-Fischer-Verlag Stuttgart/New York, 1991)の161頁に見られる。
【0124】
―化学的及び機械的な影響に対する防護のための有効成分。これらは、皮膚と外部の有害物質との間にバリヤを形成するすべての物質、たとえばパラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL製品及び水溶液に対する防護のためのラノリン、膜形成剤、たとえばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコール又は有機溶媒の影響に対する防護のためのセルロースエーテル又は皮膚に対する激しい機械的応力に対する防護のための「潤滑剤」としての、鉱油、植物油もしくはシリコーン油に基づく物質を含む。
【0125】
―保湿物質。たとえば以下の物質が水分調整剤(保湿剤)として使用される。乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸。
【0126】
―角質新生効果を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄及びレゾルシノール。
【0127】
―抗微生物剤、たとえばトリクロサン又は第四級アンモニウム化合物。
【0128】
―経皮的に適用することができる油性又は油溶性ビタミン又はビタミン誘導体、たとえばビタミンA(遊離酸又はその誘導体の形態のレチノール)、パンテノール、パントテン酸、葉酸及びそれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF、必須脂肪酸又はナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)。
【0129】
―ビタミンベースの胎盤抽出物、特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸及びビオチンを含む有効成分組成物、アミノ酸及び酵素ならびに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物。
【0130】
―ビフィズス族の細菌の不活性化及び壊変培養物から得られる皮膚修復複合体。
【0131】
―植物及び植物抽出物、たとえばアルニカ、アロエ、サルオガセ、ツタ、イラクサ、チョウセンニンジン、ヘナ、カミツレ、マリゴールド、ローズマリー、セージ、トクサ又はタイム。
【0132】
―動物抽出物、たとえばロイヤルゼリー、プロポリス、タンパク質又は胸腺抽出物。
【0133】
―経皮的に適用することができる化粧油:Miglyol 812タイプのニュートラルオイル、アプリコット核油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、落花生油、ガンマ−オリザノール、ローズヒップシード油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、クロフサスグリ種子油、ホホバ油、サクランボ種子油、サーモン油、アマニ油、コーンシード油、マカダミアナッツ油、アーモンド油、月見草油、ミンク油、オリーブ油、ピーカンナッツ油、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、ライスシード油、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、グレープシード油又は小麦胚芽油。
【0134】
スティック形態の調製物は、好ましくは無水であるが、特定の場合には、一般に化粧品調製物の全重量に基づいて40重量%を超えない一定量の水を含んでもよい。
【0135】
本発明の化粧品調製物及び配合物が半固形生成物の形態、すなわち軟膏又はクリームの形態にあるならば、それも同じく無水であってもよいし水性であってもよい。このような調製物及び配合物は、たとえば、マスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドー又は目の下のくまを手入れするための組成物である。
【0136】
他方、このような軟膏又はクリームが水性であるならば、それは特に、顔料とは別に脂肪相1〜98.8重量%、水相1〜98.8重量%及び乳化剤0.2〜30重量%を含む油中水型又は水中油型のエマルションである。
【0137】
このような軟膏及びクリームはまた、さらなる従来の添加物、たとえば香料、酸化防止剤、防腐剤、ゲル形成剤、UVフィルタ、着色剤、顔料、真珠光沢剤、無着色ポリマー及び無機又は有機充填剤を含むことができる。
【0138】
調製物が粉末の形態にあるならば、それは実質的にミネラルもしくは無機又は有機充填剤、たとえば滑石、カオリン、デンプン、ポリエチレン粉末又はポリアミド粉末及び補助剤、たとえばバインダー、着色剤などからなる。
【0139】
このような調製物も同じく、化粧品で従来から使用されている種々の補助剤、たとえば芳香、酸化防止剤、防腐剤などを含むことができる。
【0140】
本発明の化粧品調製物及び配合物がネイルエナメルであるならば、それは本質的に、溶媒系の溶液の形態のニトロセルロース及び天然又は合成のポリマーからなり、その溶液が他の補助剤、たとえば真珠光沢剤を含むことが可能である。
【0141】
その実施態様では、着色されたポリマーは約0.1〜5重量%の量で存在する。
【0142】
本発明の化粧品調製物及び配合物はまた、毛髪を着色するために使用することができ、その場合、化粧品工業で従来から使用されているベース物質及び本発明の顔料で構成されるシャンプー、クリーム又はゲルの形態で使用される。
【0143】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、従来の方法で、たとえば各成分を、場合によっては混合物が融解するよう加熱しながら、いっしょに混合又は攪拌することによって調製される。
【0144】
以下の実施例が本発明を説明するが、本発明の範囲を限定することはない。断りない限り、%及び部はそれぞれ重量%及び重量部である。
【0145】
実施例
実施例1
高真空下、TiO2層(100nm)、SiO層(100nm)及びTiO2層(100nm)をこの順序で昇華させてガラス板に付着させた。一方のサンプルを基準サンプルとして使用し(サンプル1)、他方のサンプル(サンプル2)を窒素雰囲気中550℃で2時間加熱した。
【0146】
サンプル1及び2の10°及び65°での反射スペクトルを図1に示す。図1から、焼成は反射最大値の変化を生じさせるが、反射最小値の変化は生じさせず、それが、おそらくはSiOによるTiO2の還元による、TiO2/SiO界面での屈折率の変化を指すということが明かである。
【0147】
サンプル1及び2のL*、a*、b*、c*及びh値(CIELAB系)を以下の表にまとめる。
【0148】
【表1】

【0149】
実施例2
0.1Pa未満の真空下、SiOの昇華によってSiOyフレークを製造した。基材を事前にNaCl剥離層100nmでコーティングした。基材を脱イオン水で洗浄し、得られたフレークを脱イオン水で洗浄してNaClを除去し、乾燥させた。白く見える厚さ245nm±5%のSiOyフレークが得られた。SiOyフレークは、反射光で作動する顕微鏡の下では青く見えた。空気中の最大反射率の振幅は10%未満であった。
【0150】
SiOyフレーク190mgを脱イオン水44mlに加え、超音波浴中で10分間攪拌した。65%硝酸によって懸濁液のpHを1.4に調節した。次いで、懸濁液を75℃に加熱し、全部で1mlのTiOCl2を加えながら60分間激しく攪拌した。NaOHの連続添加によってpHを1.4で一定に維持した。懸濁液を75℃で2時間さらに攪拌したのち、冷却し、ろ過した。得られたフレークを50℃で乾燥させた。TiO2コーティングされたSiOyフレークは、バックライトモードで作動する顕微鏡の下では黄緑色に見えた。同じTiO2コーティングされたSiOyフレークは、透明なボトルの中では白っぽい緑色に見えた。次いで、粉末を10Pa未満の真空中700℃で2時間加熱した。加熱後、TiO2コーティングされたSiOyフレークは、透明なボトルの中で鮮やかな緑色に見えた。TiO2コーティングされたSiOyフレークの粒子は、顕微鏡(反射光で作動)下で鮮やかな黄緑色に見え、最大反射率は20%を超えた。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】サンプル1(焼成なし)及びサンプル2(焼成あり)の10°及び65°での反射スペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TiO2/SiOy(0.03≦y≦1.95、特に0.03≦y≦1.8、とりわけ0.70≦y≦1.8)又はTiO2/金属、特にTi、Zr、Cr又はZn、とりわけAlを非酸化性雰囲気中で焼成することによって得られる層を含む小板形の顔料。
【請求項2】
(a)SiOz(0.03≦z≦2.0、特に0.10≦z≦2.0、とりわけ0.70≦z≦2.0)の基材層、
(b)TiO2/SiOy(0.03≦y≦1.8)を非酸化性雰囲気中で焼成することによって得られる中間層、及び
(c)TiO2
を含む、請求項1記載の顔料。
【請求項3】
(a)Alの基材層、
(b)TiO2/Alを非酸化性雰囲気中で焼成することによって得られる中間層、及び
(c)TiO2
を含む、請求項1記載の顔料。
【請求項4】
(a)SiOx2層もしくはSiOy1層を上下の面に有するが、側面には有しないSiOx1のコアを有する多層小板形基材層、SiOx1層もしくはSiOy1層を上下の面に有するが、側面には有しないSiOx2のコアを有する多層小板形基材層、SiOx1層もしくはSiOx2層を上下の面に有するが、側面には有しないSiOy1のコアを有する多層小板形基材層又はSiOx1層、SiOx2層もしくはSiOy1層を上下の面に有するが、側面には有しない金属、特にAlのコアを有する多層小板形基材層、
(b)TiO2/SiOx1、TiO2/SiOx2又はTiO2/SiOy1を非酸化性雰囲気中で焼成することによって得られる中間層、及び
(c)TiO2
(0.03≦x1<0.70、特に0.05≦x1≦0.50、とりわけ0.10≦x1≦0.30、0.70≦x2≦0.99、1.00≦y1≦1.95、特に1.0≦y1≦1.8、とりわけ1.1≦y1≦1.8)
を含む、請求項1記載の顔料。
【請求項5】
基材層が、厚さ20〜1000nm、好ましくは50〜500nmである、請求項2記載の顔料。
【請求項6】
中間層が、厚さ1〜500nm、好ましくは10〜50nmである、請求項2又は5記載の顔料。
【請求項7】
TiO2層が、厚さ1〜200nm、特に10〜100nm、とりわけ20〜50nmである、請求項2、5及び6のいずれか1項記載の顔料。
【請求項8】
(a)TiO2コーティングされたSiOy小板(0.03≦y≦1.95、特に0.03≦y≦1.8、とりわけ0.70≦y≦1.8)又はTiO2コーティングされた金属小板、特にAl小板を非酸化性ガス雰囲気中600℃を超える温度で焼成し、
(b)場合によっては、TiO2コーティングされたSiOy小板を、200℃を超える、好ましくは400℃を超える、特に500〜1000℃の温度で、空気又は他の酸素含有ガスによって処理する、請求項1記載の顔料の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法によって得ることができる顔料。
【請求項10】
請求項1〜7又は9のいずれか1項記載の顔料の、単独で又は工業的に通例の顔料と組み合わせての、塗料、織物、インクジェット印刷、化粧品、コーティング、印刷インク、プラスチック、セラミックス及びガラスのためのうわぐすりならびにセキュリティ印刷における使用。
【請求項11】
請求項1〜7又は9のいずれか1項記載の顔料を含む化粧品調製物、着色剤、コーティング、印刷インク、プラスチック又はセラミックス及びガラスのためのうわぐすり。

【図1】
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【公表番号】特表2006−503146(P2006−503146A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544297(P2004−544297)
【出願日】平成15年10月6日(2003.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050690
【国際公開番号】WO2004/035694
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】