部品内蔵配線板、部品内蔵配線板の製造方法
【課題】半導体素子部品の端子に接続される接続導体を面積狭小化して配線パターン形成の自由度を向上することができる部品内蔵配線板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】グリッド状配列の表面実装用端子41aを備えた半導体素子部品41と、半導体素子部品41を埋め込んだ板状絶縁層11〜13と、板状絶縁層11〜13の上面上に設けられた第1の配線パターン24と、板状絶縁層11〜13の下面上に設けられた、半導体素子部品41の表面実装用端子41aの一部をはんだ接続するためのランドを含む第2の配線パターン21と、半導体素子部品41の表面実装用端子41aの上記一部と第2の配線パターン21のランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含むはんだ接続部材51と、第2の配線パターン21から、半導体素子部品41の表面実装用端子41aのうちの一部以外に電気導通するように延設されたビアホール内めっきビア53とを具備する。
【解決手段】グリッド状配列の表面実装用端子41aを備えた半導体素子部品41と、半導体素子部品41を埋め込んだ板状絶縁層11〜13と、板状絶縁層11〜13の上面上に設けられた第1の配線パターン24と、板状絶縁層11〜13の下面上に設けられた、半導体素子部品41の表面実装用端子41aの一部をはんだ接続するためのランドを含む第2の配線パターン21と、半導体素子部品41の表面実装用端子41aの上記一部と第2の配線パターン21のランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含むはんだ接続部材51と、第2の配線パターン21から、半導体素子部品41の表面実装用端子41aのうちの一部以外に電気導通するように延設されたビアホール内めっきビア53とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状絶縁層中に半導体素子部品を埋設して有する部品内蔵配線板およびその製造方法に係り、特に、半導体素子部品の端子に接続される接続導体を面積狭小化して配線パターン形成の自由度を増加するのに好適な部品内蔵配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子部品が内蔵された配線板構造の例として下記特開2003−197849号公報記載のものがある。この構造では、半導体素子部品としてベアチップが使われ、このベアチップが内層の配線パターン上にフリップ接続されている。
【0003】
近年、フリップ接続が必要なベアチップのほかに、ベアチップとほとんど同様の大きさで構成されかつ表面実装用端子を備えてはんだにより表面実装が可能な半導体素子部品(WL−CSP;wafer level − chip scale package;など)も市場投入されている。このような部品は、ベアチップ同様の大きさゆえに絶縁層中に内蔵する部品としても向いている。
【0004】
表面実装用の端子を有する半導体素子部品は、その端子がグリッド状配列であるため、より内側に位置する端子につながる配線パターンは、より外側に位置する端子用のランド間を抜けるように引かれる必要がある。そのため、配線パターンとしてはそれ相応に微細なルールのものを使用する必要がある。一般に微細ルールであるほどコスト高の配線板になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−197849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、板状絶縁層中に半導体素子部品を埋設して有する部品内蔵配線板およびその製造方法において、半導体素子部品の端子に接続される接続導体を面積狭小化してそれほど微細ルールでなくても配線パターン形成の自由度を向上することができる部品内蔵配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である部品内蔵配線板は、端子パッドを有する半導体チップと、該半導体チップ上で該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体素子部品と、前記半導体素子部品の表面の少なくとも一部に密着して該半導体素子部品の少なくとも一部分を埋め込んだ板状絶縁層と、前記板状絶縁層の上面上に設けられた第1の配線パターンと、前記板状絶縁層の前記上面に対向する下面上に設けられた、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの一部をはんだ接続するためのランドを含む第2の配線パターンと、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子の前記一部と前記第2の配線パターンの前記ランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含むはんだ接続部材と、前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外に電気導通するように延設されたビアホール内めっきビアとを具備することを特徴とする。
【0008】
すなわち、この部品内蔵配線板では、内蔵されている半導体素子部品が有する表面実装用端子のうちの一部は、第2の配線パターンが含むランドにはんだで接続されており、一部以外の端子は、第2の配線パターンから延設されたビアホール内めっきビアで第2の配線パターンに電気導通している。はんだで接続するためのランドは、はんだ接続に必要なランド径であるところ、第2の配線パターンの側から形成されるビアホールは、一般にその径をより小さく加工できる。
【0009】
これにより、ビアホール内に形成されるビアホール内めっきビアは、はんだ接続のためのランドより面積小にできる。よって、半導体素子部品の端子に接続される接続導体(=ランドおよびビアホール内めっきビア)のうち大部分を面積狭小化することができ、これにより、第2の配線パターンにおいては、それほど微細ルールでなくても配線パターン形成の自由度を向上することができる。
【0010】
また、本発明の別の態様である部品内蔵配線板は、端子パッドを有する半導体チップと、該半導体チップ上で該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの一部をはんだ接続するためのランドとなるべき領域を、金属箔上に位置設定する工程と、前記金属箔の前記領域上に、すずを含むはんだ成分を含有のペースト状はんだ組成物を付着させる工程と、前記金属箔上の、前記ペースト状はんだ組成物を介した前記領域上に前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部が位置するように、前記半導体素子部品をマウントする工程と、前記ペースト状はんだ組成物をリフローさせ前記半導体素子部品を前記金属箔上に固定する工程と、前記半導体素子部品の表面に密着して該半導体素子部品を埋め込むように、前記金属箔上に板状絶縁層を積層する工程と、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外に達するように、前記金属箔および前記板状絶縁層に連通する穴を形成する工程と、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外と前記金属箔とを電気導通させるように、前記金属箔および前記板状絶縁層に連通する前記穴内にめっきビアを形成する工程と、前記めっきビアが電気導通されている前記金属箔を、前記ランドとなるべき前記領域が第1の導電パターンとして少なくとも残り、かつ前記めっきビアから引き出されるような金属箔のパターンが第2の導電パターンとして少なくとも残るように、パターニングする工程とを具備することを特徴とする。
【0011】
この製造方法は、上記の部品内蔵配線板を製造することができるひとつの方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、板状絶縁層中に半導体素子部品を埋設して有する部品内蔵配線板およびその製造方法において、半導体素子部品の端子に接続される接続導体を面積狭小化して微細ルールでなくても配線パターン形成の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図2】図1に示した部品内蔵配線板における、半導体素子部品41が接続される配線パターン21の構成を示す平面図(俯瞰図)。
【図3】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図。
【図4】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の別の一部を模式的断面で示す工程図。
【図5】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程のさらに別の一部を模式的断面で示す工程図。
【図6】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程のさらに別の一部を模式的断面で示す工程図。
【図7】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程のさらに別の一部を模式的断面で示す工程図。
【図8】本発明の別の実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図9】図8に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す平面図。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図11】図10に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図。
【図12】図1等に示した部品内蔵配線板に使用のはんだ接続部材51に代えて使用できるはんだ接続部材51aの微細な構造を示す説明図。
【図13】図12に示したはんだ接続部材51a中の導電部を得るための材料の例を示す表。
【図14】図12に示したはんだ接続部材51aを構成する複数元素系相部の材料例を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施態様として、表面実装型受動素子部品をさらに具備し、前記板状絶縁層が、前記表面実装型受動素子部品の表面の一部に密着して該表面実装型受動素子部品の少なくとも一部分をも埋め込み、前記第2の配線パターンが、前記表面実装型受動素子部品の端子をはんだ接続するためのランドをも第2のランドとして含み、前記表面実装型受動素子部品の前記端子と前記第2の配線パターンの前記第2のランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含む第2のはんだ接続部材をさらに具備する、とすることができる。
【0015】
この態様は、表面実装型受動素子部品をも内蔵する配線板である。表面実装型受動素子部品は通常、2端子の部品なので、多端子の半導体素子部品とは異なり、第2の配線パターンとの接続をはんだで行うことにしても、配線パターン形成の自由度をそれほどには阻害しない。
【0016】
また、実施態様として、前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから前記板状絶縁層を貫通して、前記第1の配線パターンに電気導通するように延設された、層間接続体たる第2のビアホール内めっきビアをさらに具備する、とすることができる。この態様は、板状絶縁層の両面にそれぞれ位置する第1、第2配線パターン間を層間接続するために、接続体として第2の配線パターンから延設してビアホール内めっきビアを有するものである。このようなビアホール内めっきビアは、内蔵の半導体素子部品の端子に接触するように設けられるビアホール内めっきビアと、同段階の製造工程で形成することが可能であり、その意味で製造効率の向上になる。
【0017】
また、実施態様として、前記第2の配線パターンが、前記板状絶縁層に接する面と対向する面上には多層化配線構造のない最外配線層のパターンである、とすることができる。これによれば、配線層数の増加が限られるが、より薄型の部品内蔵配線板を提供できる。
【0018】
また、実施態様として、前記板状絶縁層との間に前記第2の配線パターンを挟むように、前記第2の配線パターン上に積層位置する第2の板状絶縁層をさらに具備する、とすることができる。これによれば、半導体素子部品が実装されている第2の配線パターンは内層配線層のパターンとなる。第2の板状絶縁層の面上には別の配線パターンを設けることができるので、配線パターンの形成密度を増加させ、パターン設計の自由度がさらに高い部品内蔵配線板とすることができる。
【0019】
また、実施態様として、前記第2の配線パターンが、基層と、該基層上位置選択的に積層された、前記はんだ接続部材と該基層との間に挟まれて位置するニッケル金属層とを有し、前記はんだ接続部材が、金をも含む、とすることができる。
【0020】
この構造では、はんだ接続部材とランドとの接触はニッケル金属層が担うことになる。ここで、はんだ接続部材には金が含まれている。これらは、金が溶融はんだとの濡れ性が比較的良好であることを利用してはんだ付けを行ったことによる構造である。金層の消失は、はんだ接続部材が含むすずの中に金が取り込まれたことによる。よってはんだ接続部材には、金も含まれることになる。
【0021】
これによれば、はんだ接続部材とすべき溶融はんだの濡れ広がりをランドの領域に限定して制御でき、かつ揃ったものにできる。よって、各はんだ接続部材での応力発生を偏らせず、電気的接続の信頼性を向上できる。また、はんだレジストの層を設けるに及ばないことから、板状絶縁層とはんだレジストとの密着性が良好でないことによる剥離を心配する必要がなく、構造的な信頼性が悪化することもない。
【0022】
また、実施態様として、前記第2の配線パターンの前記ランド上であって前記はんだ接続部材が接触する第1の領域と該第1の領域から延設された前記第2の配線パターン上であって前記はんだ接続部材が接触しない第2の領域とを隔てるように設けられた樹脂パターンをさらに具備する、とすることができる。
【0023】
第2の配線パターン上にこのような樹脂パターンを設けることにより、はんだ接続部材とすべき溶融はんだの濡れ広がりをランドの領域に限定して制御でき、かつ揃ったものにできる。よって、各はんだ接続部材での応力発生を偏らせず、電気的接続の信頼性を向上できる。また、第2の配線パターンの第2の領域にまで樹脂パターンを設けるには及ばないので、板状絶縁層と樹脂パターンとの密着性の悪さが問題となることはほとんどなく、構造的な信頼性が悪化することもない。
【0024】
また、実施態様として、前記はんだ接続部材が、多孔性の構造を備えた導電部と、該導電部の該多孔性構造の間を埋めて存在する樹脂部とを有し、前記導電部が、高融点金属の粒子の種部と、該種部を覆った、前記高融点金属とすずとの複数元素系相部とを含有し、かつ、該複数元素系相部が連接して前記多孔性の構造を形成しており、前記導電部が、すずを組成のひとつとするはんだ成分をさらに含有し、該はんだ成分の融点が240℃以下であり、前記複数元素系相部の融点が260℃以上である、とすることができる。
【0025】
この実施態様は、はんだ接続部材が2次実装時に溶融して信頼性を低下する可能性を減じてさらに信頼性を向上する態様である。2次実装とは、この部品内蔵配線板上に別の部品がはんだ実装される場合や、この部品内蔵配線板が別の配線板(マザーボードなど)上に実装される場合を指す。高融点金属とすずとの複数元素系相部の融点が260℃以上となるように高融点金属を材料選択することで、2次実装の加熱(例えば高くとも250℃以下)において、はんだ接続部材の再溶融自体を防止することができる。これにより部品内蔵配線板として信頼性がなお向上する。
【0026】
また、実施態様として、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子が、前記一部および該一部以外を含めすべて、少なくとも表面に銅を有する、とすることができる。半導体素子部品の表面実装用端子の表面が銅である場合、廉価で、はんだ接続およびめっきビア接続するための表面とすることができる。
【0027】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この部品内蔵配線板は、絶縁層(板状絶縁層)11、同12、同13、配線層(配線パターン、導電パターン)21(ニッケル金属層21aを含む)、同22、同23、同24(=合計4層配線)、ビアホール内めっきビア31(層間接続体)、スルーホール導電体32、層間接続体33、半導体素子部品41、チップ抵抗42(表面実装型受動素子部品)、はんだ接続部材51(接続導体)、はんだ接続部材52、ビアホール内めっきビア53(接続導体)、はんだレジスト61、62を有する。
【0028】
内蔵されている半導体素子部品41は、半導体チップと、この半導体チップ上に形成されたグリッド状配列の表面実装用端子41aとを少なくとも備えている(ウエハレベル・チップスケールパッケージによる)。表面実装用端子41aは、半導体チップがもともと有する端子パッドから再配線層を介して電気的に導通しつつその位置を再配置して設けられた端子であり、このような再配置により端子としての配置密度が半導体チップ上の端子パッドのそれより粗くなっている。
【0029】
そして、半導体素子部品41が有する表面実装用端子41aのうちの一部が、配線パターン21が含むランド(ニッケル金属層21a)にはんだ接続部材51ではんだ接続されており、一部以外の端子は、配線パターン21から延設されたビアホール内めっきビア53で配線パターン21に電気導通している。はんだ接続するためのランド(ニッケル金属層21a)は、はんだ接続に必要な面積のランド径であるところ、配線パターン21から延設されたビアホール内めっきビア53のためのビアホールは、それよりも一般により小さく加工できる。
【0030】
これにより、ビアホール内に形成されるビアホール内めっきビア53は、はんだ接続のためのランド(ニッケル金属層21a)より面積小にできる。よって、半導体素子部品41の端子21aに接続される接続導体(=ランド(ニッケル金属層21a)およびビアホール内めっきビア53)のうち大部分を面積狭小化することができ、これにより、配線パターン21においては、それほど微細ルールでなくても配線パターン形成の自由度を向上することができる。
【0031】
なお、ニッケル金属層21aは、その上に位置するはんだ接続部材51の溶融時の広がりを制限する領域として設けられたニッケルの層である。その厚さは例えば5μm程度とすることができる。平面的には、はんだ接続部材51が広がるべき制限領域に対応して、配線パターン21の金属箔(後述する)部分を基層としてこの基層上に、位置選択的に形成されている。ニッケル金属層21aにより、はんだ接続部材51の広がりを抑制的にかつ揃ったものにして、接続された端子41aにおけるはんだ接続部材51での応力発生を偏らせず、はんだ接続部材51による電気的接続の信頼性を向上することができる。
【0032】
ニッケル金属層21a上には、製造途上においてはさらに金めっき層が形成されているが(後述する)、はんだ接続の工程を経ることで、金めっき層ははんだ接続部材51が含むすずの中に取り込まれて消失する。このはんだ接続工程において、溶融はんだは、配線パターン21の基層材料である例えば銅と比べて、金との濡れ性の方が大きく良好であるため、上記のような広がり制限の効果を得ることができる。
【0033】
このような広がり制限効果により、ニッケル金属層21aの外側の領域には、はんだレジストのような樹脂パターンを設けるには及ばないので、配線パターン21と絶縁層11との密着性劣化のおそれはほとんどなく、構造的な信頼性の向上も図ることができる。なお、はんだ接続部材51の溶融時の広がりを制限するには、別の手段も採り得る(後述する)。
【0034】
図2は、図1に示した部品内蔵配線板における、半導体素子部品41が接続される配線パターン21の構成を示す平面図(俯瞰図)である。図2において、図1中で登場の符号をその対応する構成要素に対して使用している。なお、はんだレジスト61の図示は省略している。
【0035】
図2に示すように、例えば、はんだ接続部材51が載るべきランド(ニッケル金属層21a)は、半導体素子部品41の四隅の端子41aに対応して設けられており、それ以外の端子41aについては、ビアホール内めっきビア53により配線パターン21に電気導通している。はんだ接続部材51が載るべきランド(ニッケル金属層21a)が、はんだ接続に必要な最小の径(例えば250μm)であるとしたときに、ビアホール内めっきビア53は、その製造過程に由来して上記径よりも小さくできる(例えば150μm)。
【0036】
したがって、図示するように、ビアホール内めっきビア53どうしの間に、配線パターン21を引くことが、それほどに微細なルールの配線パターン形成を行わなくても実現する。すなわち、すべての端子41aが、はんだ接続部材51で接続される場合には、そのランドはすべて例えば250μmの径となり、そのランドどうしの間に配線パターン21を通すには、それに対応するだけの微細なルールの配線パターン形成が必要になる。ピッチが0.5mmに満たない端子41aの配列の場合には、必要なルールの差は顕著になる。一般に微細ルールであるほどコスト高の配線板になる。
【0037】
図2に図示された構成は、その対応する端子41aの数、配置や、どの端子41aをはんだ接続部材51でランド(ニッケル金属層21a)に接続するかについて、一例を示した構成である。一般に、四隅の端子41aをはんだ接続部材51でランド(ニッケル金属層21a)に接続する端子に設定すると、半導体素子部品41のはんだ接続の安定性や、配線パターン21を引くときの自由度増の観点から非常に好ましい。
【0038】
図1を参照する説明に戻り、内蔵されているチップ抵抗42は、その平面的な大きさが例えば0.6mm×0.3mmである。両端に端子(電極)42aを有し、その下側が内層の配線層21が含む内蔵部品実装用ランド(ニッケル金属層21a)に対向位置している。チップ抵抗42の端子42aとニッケル金属層21aとははんだ接続部材52により電気的、機械的に接続されている。はんだ接続部材52は、端子42a周りに形成されたフィレットを含む形状で配線層21のニッケル金属層21a上に位置している。
【0039】
チップ抵抗42下のニッケル金属層21aも、上記説明の、半導体素子部品41下のニッケル金属層21aと同様に、はんだ溶融時の広がり制限の機能を有している。そして、半導体素子部品41もチップ抵抗42も表面実装型部品であり、製造過程においては、同時期の工程により、それぞれはんだ接続部材51、52で金属箔上に実装することができる(後述する)。
【0040】
部品内蔵配線板としての説明を補足するに、配線層21、24は、配線板としての両主面上の配線層であり、その上に各種の部品(不図示)が実装され得る。実装ではんだ(不図示)が載るべき配線層21、24のランド部分を除いて両主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト61、62が形成されている(厚さはそれぞれ例えば20μm程度)。
【0041】
このランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。また、配線層21、24が含むランド上には、はんだボールを設けるような使い方もあり得る。このはんだボールは、この部品内蔵配線板を別の配線板(例えばマザーボードのような大きな配線板)上に実装するための構成である。
【0042】
配線層22、23は、それぞれ、内層の配線層であり、順に、配線層21と配線層22の間に絶縁層11が、配線層22と配線層23の間に絶縁層12が、配線層23と配線層24との間に絶縁層13が、それぞれ位置しこれらの配線層21〜24を隔てている。各配線層21〜24は、例えばそれぞれ厚さ18μmの金属(銅)箔からなっている。
【0043】
各絶縁層11〜13は、絶縁層12を除き例えばそれぞれ厚さ100μm、絶縁層12のみ例えば厚さ300μmで、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。特に絶縁層12は、内蔵された半導体素子部品41、チップ抵抗42に相当する位置部分が開口部となっており、半導体素子部品41およびチップ抵抗42を内蔵するための空間を提供する。絶縁層11、13は、半導体素子部品41およびチップ抵抗42の表面に密着するように絶縁層12の上記開口部および絶縁層12のスルーホール導電体32内部の空間を埋めて変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
【0044】
配線層21と配線層22とは、配線パターン21と電気導通して配線パターン21から絶縁層11を貫通して、配線パターン22に電気導通するように延設された、層間接続体たるビアホール内めっきビア31により導通し得る。配線層22と配線層23とは、絶縁層12を貫通して設けられたスルーホール導電体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層13を貫通する層間接続体33により導通し得る。
【0045】
ビアホール内めっきビア31は、製造過程においては、すでに説明したビアホール内めっきビア53と同時期、同段階の工程で形成することができる。このような同時期の工程により製造効率の向上になる。層間接続体33は、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とするものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向)に径が変化している。その直径は、太い側で例えば200μmである。なお、ビアホール内めっきビア31をこれに代えて層間接続体33と同様な構成のものにすることや、逆に、層間接続体33をこれに代えてビアホール内めっきビア31と同様な構成のものにすることも当然ながら可能である。
【0046】
この実施形態は、配線パターン21が、絶縁層11に接する面と対向する面上には多層化配線構造のない最外配線層のパターンとなっており、これにより、配線層数の増加が限られるが、より薄型の部品内蔵配線板を提供できる点も利点である。
【0047】
次に、図1に示した部品内蔵配線板の製造工程を図3ないし図7を参照して説明する。図3ないし図7は、それぞれ、図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図である。これらの図において図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
【0048】
図3から説明する。図3は、図1中に示した各構成のうち配線層21および内蔵部品(半導体素子部品41、チップ抵抗42)を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図3(a)に示すように、厚さ例えば18μmの金属箔(電解銅箔)21Aを用意し、その表面上位置選択的に、ニッケルめっき層21a(例えば厚さ5μm;以下、適宜「ニッケル金属層」の代わりに「ニッケルめっき層」という場合がある。)をめっき形成し、さらにその上に積層して金めっき層21b(例えば厚さ0.05μm)をめっき形成する。
【0049】
これらのめっき形成は、金属箔21Aを給電路とする、電解めっき工程を含むめっき処理で効率的に行うことができる。より具体的に、めっき用のレジストマスクを金属箔21Aに形成して所定のパターニングを施し、そのパターンにより位置選択的にニッケルめっき層21aおよび金めっき層21bの積層金属パターン層を形成し得る。この積層金属パターン層は、半導体素子部品41またはチップ抵抗42の、すでに説明した実装用のランドに対応している。
【0050】
次に、金属箔21Aの実装用ランド上(すなわち金めっき層21bが形成された領域上)に、図3(b)に示すように、例えばスクリーン印刷によりペースト状はんだ組成物(クリームはんだ)51A、52Aを印刷する。ペースト状はんだ組成物51A、52Aは、フラックス中にすずを含むはんだの微細粒(例えばSn−3Ag−0.5Cuのはんだ微細粒、融点は例えば220℃程度)を分散させたものでありスクリーン印刷を用いれば容易に所定パターンに印刷できる。図示するような大きさの異なるペースト状はんだ組成物51A、52Aの付着も、例えば、スクリーン板のピット径を変えることで容易に実現する。スクリーン印刷に代えてディスペンサを使用することもできる。
【0051】
ペースト状はんだ組成物51A、52Aの印刷のあと、半導体素子部品41およびチップ抵抗42をペースト状はんだ組成物51A、52Aを介して実装用ランド上に例えばマウンタで載置し、さらにその後ペースト状はんだ組成物51A、52Aを例えばリフロー炉でリフローさせる。このリフローで、ペースト状はんだ組成物51A、52Aが含むはんだ微粒子が溶融したとき、銅と比べて比較的濡れ性が高い金めっき層21b(ニッケルめっき層21a)上にのみ溶融はんだが広がり、はんだ接続部材51、52が形成される。金めっき層21bは、その金成分がはんだ接続部材51、52中に取り込まれて消失する。
【0052】
以上説明の工程を経て、図3(c)に示すように、金属箔21A上で、はんだ接続部材51、52を介して半導体素子部品41、チップ抵抗42がニッケルめっき層21aの実装用ランド上に接続、固定された状態の積層部材1が得られる。この状態では、上記のように、金めっき層21bは、はんだ接続部材51、52中に取り込まれて層としてはほぼ消滅おり、はんだ接続部材51、52とランドとの接触はニッケルめっき層21aが担った状態になる。図3(c)に示す積層部材1を用いる後の工程については図6で後述する。
【0053】
次に、図4を参照して説明する。図4は、図1中に示した各構成のうち絶縁層12および同11を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図4(a)に示すように、両面に例えば厚さ18μmの金属箔(電解銅箔)22A、23Aが積層された例えば厚さ300μmのFR−4の絶縁層12を用意し、その所定位置にスルーホール導電体を形成するための貫通孔83をあけ、かつ内蔵する半導体素子部品41およびチップ抵抗42に相当する部分に部品用開口部81、82を形成する。
【0054】
次に、無電解めっきおよび電解めっきを行い、図4(b)に示すように、貫通孔83の内壁にスルーホール導電体33を形成する。このとき開口部81、82の内壁にも導電体が形成される。さらに、図4(c)に示すように、金属箔22A、23Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングして配線層22、23を形成する。配線層22、23のパターニング形成により、開口部81、82の内壁に形成された導電体も除去される。
【0055】
次に、図4(d)に示すように、絶縁層11とすべきFR−4のプリプレグ11A(公称厚さ例えば100μm)を配線層22側にプレス機を用い積層する。プリプレグ11Aには、絶縁層12と同様の、内蔵する半導体素子部品41およびチップ抵抗42に相当する部分の開口部をあらかじめ設けておく。以上により得られた部材を積層部材2とする。
【0056】
以上の図4に示した工程は、以下のような手順とすることも可能である。図4(a)の段階では、貫通孔83のみ形成し内蔵部品用の開口部81、82を形成せずに続く図4(b)、(c)の工程を行う。次に、図4(d)に相当する工程として、プリプレグ11A(開口のないもの)の積層を行う。そして、絶縁層12およびプリプレグ11Aに部品内蔵用の開口部を同時に形成する、という工程である。
【0057】
次に、図5を参照して説明する。図5は、図1中に示した各構成のうち絶縁層13を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図5(a)に示すように、厚さ例えば18μmの金属箔(電解銅箔)24A上に例えばスクリーン印刷により、層間接続体33となるペースト状の導電性組成物をほぼ円錐形のバンプ状(底面径例えば200μm、高さ例えば160μm)に形成する。この導電性組成物は、ペースト状の樹脂中に銀、金、銅などの金属微細粒または炭素微細粒を分散させたものである。説明の都合で金属箔24Aの下面に印刷しているが上面でもよい。層間接続体33の印刷後これを乾燥させて硬化させる。
【0058】
次に、図5(b)に示すように、金属箔24A上に厚さ例えば公称100μmのFR−4のプリプレグ13Aを積層して層間接続体33を貫通させ、その頭部が露出するようにする。露出に際してあるいはその後その先端を塑性変形でつぶしてもよい(いずれにしても層間接続体33の形状は、積層方向に一致する軸を有しその軸方向に径が変化する形状である。)。以上により得られた部材を積層部材3とする。
【0059】
次に、図6を参照して説明する。図6は、上記で得られた積層部材1、2、3を積層する配置関係を示す図である。図6に示すような配置で各積層部材1、2、3を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、半導体素子部品41およびチップ抵抗42の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。また、配線層23は、層間接続体33に電気的に接続される。
【0060】
次に、図7を参照して説明する。図7は、図6に示した積層工程で得られた素材に対して、ビアホール内めっきビア53、31を形成するためのビアホール53h、31hを加工形成する工程を説明する図である。
【0061】
図7に示すように、金属箔21Aの露出面の側から、その必要な位置にビアホール53h、31hを例えばレーザ加工で形成する。ビアホール53hは、半導体素子部品41のはんだ接続のされない端子41aの位置に対応して、金属箔21A、絶縁層11を連通して端子41aに達するように設ける。ビアホール31hは、配線層21となる金属箔21Aと配線層22との層間接続が必要な位置に、金属箔21A、絶縁層11を連通、貫通して配線層22に達するように設ける。
【0062】
ビアホール53h、31hの形成は、レーザ加工で金属箔21Aおよび絶縁層11を連続して消失させるように穴加工する方法のほかに、まず、金属箔21Aのみをエッチング加工で貫通させその後に、そのエッチングされた金属箔21Aをマスクにその後絶縁層11をレーザ加工で消失させ穴加工するという2段階の工程とすることもできる。金属箔21Aのみをエッチング加工する段階では、パターン化された、エッチング用のレジストマスクを金属箔21A上に形成しておく。前者の方法は、効率的には好ましいと考えられ、後者の方法は、効率で劣るものの穴形状の制御性に優れていると考えられる。
【0063】
図7に示すようにビアホール53h、31hの形成後、無電解めっきおよび電解めっきの工程を行い、金属箔21Aと電気導通してこの金属箔21Aから、半導体素子部品41の端子41a(のうちの一部)および配線層22に電気導通するように、ビアホール内めっきビア53、31を形成する。めっきビア53、31は、少なくともビアホール53h、31hの内壁上に形成されることが必要であるが、ビアホール53h、31h内をほとんど充填し埋めるように形成されてもよい。このようなビアとしての形状コントロールのためには、金属箔21A上に、パターン化されたレジストマスクを形成した上で上記のめっき工程を行ってもよい。
【0064】
以上説明の工程の後、上下両面の金属箔24A、21Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、さらにはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図1に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。
【0065】
次に、本発明の別の実施形態について図8を参照して説明する。図8は、別の実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
【0066】
この実施形態は、図1に示した実施形態における、はんだ接続部材51、52の溶融時の広がりを制限する手段(ニッケル金属層21a)に変更を加えたものである。すなわち、この実施形態では、ニッケル金属層21aを用いず、代わりに、堰き止め樹脂パターン55、56を用いている。
【0067】
図9は、図8に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す平面図であり、より具体的には、金属箔21A上に堰き止め樹脂パターン55、56を形成する工程を示している。堰き止め樹脂パターン55、56は、金属箔21A上の実装用ランドに対応する領域に位置させるべきはんだ接続部材51、52の溶融時の広がりを制限するように、図9に示すように、例えば枠状に形成される。これにより、堰き止めパターン55、56より外の領域に、さらに樹脂パターンを延設するには及ばないので、例えば、金属箔21Aを由来とする配線層21と、絶縁層11との密着性劣化のおそれはほとんどなく、構造的な信頼性の向上が図れる。
【0068】
堰き止め樹脂パターン55、56は、例えばはんだレジストと同様な材質、同様なパターニング形成方法で設けることができる。その厚さは例えば20μm程度とすることができる。図9に示した、堰き止め樹脂パターン55、56の形成された金属箔21Aは、図3(a)に示した部材の代わりに用いられてその後の各工程に供される。その後に、図7に示した状態が得られ、さらにめっきビア53、31が形成された後で、金属箔21Aが周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングされる。
【0069】
これにより、堰き止め樹脂パターン55、56は、配線パターン21のランド上であってはんだ接続部材51、52が接触する第1の領域と、この第1の領域から延設された配線パターン21上であってはんだ接続部材51、52が接触しない第2の領域とを隔てるように設けられることになる。
【0070】
次に、本発明のさらに別の実施形態に係る部品内蔵配線板について図10を参照して説明する。図10は、さらに別の実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
【0071】
この実施形態は、図1に示した実施形態を素材として、さらに配線層数を増加させるべくビルドアップ層110、130を積層した構造である。これによれば、半導体素子部品41、チップ抵抗42が実装されている配線パターン21は内層配線層のパターンになる。そして、ビルドアップ層110、130が有する板状絶縁層の面上には別の配線パターンが設けられるので、配線パターンの形成密度を増加させ、パターン設計の自由度がさらに高い部品内蔵配線板とすることができる。
【0072】
図11は、図10に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図であり、より具体的には、ビルドアップ層110、130を設けるための積層工程を示している。図11中に示す積層前のビルドアップ層110A、130Aは、それぞれ、図5(b)に示した積層部材3と同様の構成であり、プリプレグたる板状層、金属箔、層間接続体を含んでいる。図11中に示す中間の部材は、図1に示した部品内蔵配線板とほぼ同様のものであってはんだレジスト61、62の形成がされていない状態のものである。
【0073】
図11に示すような配置で各積層部材を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、ビルドアップ層110A、130Aがそれぞれ含むプリプレグが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグの流動性により、ビアホール内めっきビア53、31の部分にくぼみがある場合でも、そのくぼみにプリプレグが変形進入し空隙は発生しない。また、ビルドアップ層110A、130Aがそれぞれ含む層間接続体は、それぞれ、配線層21、24に電気的に接続される。
【0074】
以上説明の工程の後、ビルドアップ層110A、130Aがそれぞれ含む上下両面の金属箔を周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、さらにはんだレジストの層を形成することにより、図10に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。なお、変形例として、ビルドアップ層110、130がそれぞれ含む層間接続体については、これに代えてビアホール内めっきビア31と同様な構成のものにすることも当然ながら可能である。さらに、図11に示したような積層工程を繰り返すことでさらに多層の配線板を得ることができる。
【0075】
次に、図1等に示した部品内蔵配線板に使用の、すずを含むはんだ接続部材51(52)に代えて使用できる別のはんだ接続部材について図12を参照して説明する。図12は、図1等に示した部品内蔵配線板に使用のはんだ接続部材51(52)に代えて使用できるはんだ接続部材51aの微細な構造を示す説明図である。はんだ接続部材51aは、図12(a)右側に示すように、微細な構造として、硬化されている樹脂部502A中に導電部505の多孔性構造が形成された構成(樹脂含有はんだ接続部材)になっている。この多孔性構造はその孔の部位に樹脂部502Aが満たされ、空隙をもたせないようにしている。
【0076】
導電部505は、さらに詳細には、図12(b)に示す拡大断面図に描かれるように、粒子状の金属の種部503Aとこの表面を覆う複数元素系相部513とを有し、種部503Aを覆う複数元素系相部513が互いに連接することによって多孔性構造になっている。なお、はんだ接続部材51a中には、種部503A、複数元素系相部513のほかに、残留はんだ501AAも多少存在する。複数元素系相部513は、はんだ粒子501(図12(a)左側を参照)中のすずと種部503A中の高融点金属とによる合成相であり、はんだ粒子501の融点が240℃以下、複数元素系相部513の融点が260℃以上となるように、はんだ粒子501および種部503A(種粒子503)の材料が選ばれている。
【0077】
はんだ接続部材51aの上記微細構造には、それらの形成過程が関連している。概略的には、図12(a)左側に示すように、はんだ接続部材51aは、硬化される前の状態として、ペースト状の絶縁性接着樹脂部502中に、すずを含むはんだ粒子501と高融点金属含有の種粒子503とが分散された構成の組成物(硬化前のはんだ接続部材51aA)である。
【0078】
このような導電性接着性樹脂を加熱してはんだ粒子501を溶解させると、そのすず成分と種粒子503が含有する高融点金属とが反応(または溶け合って。以下では「反応」で溶け合う場合も含むこととする)して種粒子503表面が複数元素系相部513に変化し、はんだ粒子501の溶解に由来して複数元素系相部513は互いに連接する。複数元素系相部513が発現するとその融点ははんだ粒子501より高いので、上記加熱の温度程度では固相となって多孔性構造になる。種粒子503のうちの未反応部(中心に近い部位)は、複数元素系相部513の中に種となって残り種部503Aになる。はんだ粒子501のうち複数元素系相部513への変化に残留した分は凝固して残留はんだ501AAになる。
【0079】
上記で、はんだ粒子501を溶解させる温度では、絶縁性接着樹脂部502は硬化しないようにその材料が選択されている。これにより、はんだ粒子501が溶解したときのその移動を妨げずに溶解金属と種粒子503との反応が円滑になされるようになっている。このような溶解、反応を生じさせた後に、加熱温度を上げて絶縁性接着樹脂部502を熱硬化させる。この熱硬化により、上記形成された多孔性構造を固定化するように多孔性構造の隙間に樹脂部502Aが満たされた構造ができあがる。
【0080】
このような構成のはんだ接続部材51aでは、とりわけ、上記導電部505中において複数元素系相部513が連接して形成された多孔性構造がその導電性を担っており、この複数元素系相部513は、上記のように、融点が260℃以上になっている。260℃以上とすることで、この部品内蔵配線板の最外の配線層上に部品実装をするときや、この部品内蔵配線板を別の基板に実装するときの加熱(両者、2次実装時加熱(例えば高くとも250℃))での溶融自体を回避でき、接続不良や短絡をさらに効果的に防止できる利点がある。
【0081】
また、この導電性の多孔性構造は硬化された樹脂部502A中に形成されており、多孔性構造の隙間はこれにより埋められている。したがって、はんだ接続部材51a中にボイドが発生し信頼性が損なわれることがない。さらに、はんだ接続部材51aの導電性が導電体505による多孔性構造によっているので、低抵抗の接続部にすることができる。なお、残留はんだ501AAが2次実装時に再溶融することはあり得るが、複数元素系相部513へ変化せずに残留した分なのでその量はわずかでありかつ樹脂部502A中に閉じ込められているので、信頼性に対する影響は最小限に抑制できる。
【0082】
図13は、図12に示したはんだ接続部材51a中の導電部505を得るための材料の例を示す表であり、図13(a)は、硬化前のはんだ接続部材51aA中に含まれるはんだ粒子501の材料例(すずを含む)、図13(b)は、同じく種粒子503の材料例(高融点金属を含む)である。図13(a)に示すように、これらのはんだ粒子501では、その融点が240℃以下である。はんだ粒子501としてこのような融点の金属材料を用いることで、絶縁層11の耐熱温度までには余裕を持たせることができる。図13(b)に示す組成系または金属は、はんだ粒子501の組成金属であるすずと反応してできる複数元素系相部が融点として260℃以上を有する組成系または金属として選択されている。
【0083】
図14は、図12に示したはんだ接続部材51aを構成する複数元素系相部513の材料例を示す表であり、図13に示した材料のはんだ粒子501と種粒子503とから形成され得る複数元素系相を示している。図14に示すように、これらの複数元素系相部513は、その融点が260℃以上になっている。このような複数元素系相部513により、2次実装時加熱(例えば高くとも250℃)での再溶融自体が起こらない。
【0084】
なお、図14に示す複数元素系相におけるx、y(、z)の比は、単純な整数比になる場合(=化学量論的組成;金属間化合物)のみならず、これからはずれて例えばxの値を固定したときにy(、z)が幅をもった値で存在できる場合もある。例えば、固溶体の相の場合や、組成比の異なる2種以上の金属間化合物や固体相が混晶している相(例えば共晶)の場合である。
【0085】
図14に示す複数元素系相における金属間化合物としては、例えば、Cu6Sn5、Ag3Sn、FeSn2、AuSn2が知られている。Cu6Sn5は、これと組成元素が同じで組成比が異なる異種の金属間化合物であるCu3Snと混在して形成される場合があり、この混在比に応じて全体としてx、yの比は単純な整数比ではなくなる。Cu3Snは、Cu6Sn5と比較してもろい性質があるが、その融点が260℃以上であることに変わりはなく、また、導電部505の構造が樹脂部502Aにより補強される構造により、その悪影響を小さく留めることができる。
【符号の説明】
【0086】
1…積層部材、2…積層部材、3…積層部材、11…絶縁層(板状絶縁層)、11A…プリプレグ、12…絶縁層(板状絶縁層)、13…絶縁層(板状絶縁層)、13A…プリプレグ、21…配線層(配線パターン)、21A…金属箔(銅箔)、21a…ニッケル金属層(ニッケルめっき層)、21b…金めっき層、22…配線層(配線パターン)、22A…金属箔(銅箔)、23…配線層(配線パターン)、23A…金属箔(銅箔)、24…配線層(配線パターン)、24A…金属箔(銅箔)、31…ビアホール内めっきビア(層間接続体)、31h…ビアホール、32…スルーホール導電体、33…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)、41…半導体素子部品(ウエハレベル・チップスケールパッケージによる)、41a…表面実装用端子、42…チップ抵抗(表面実装型受動素子部品)、42a…端子、51…はんだ接続部材(接続導体)、52…はんだ接続部材、51A,52A…ペースト状はんだ組成物、51a…樹脂含有はんだ接続部材、51aA…樹脂含有はんだ接続部材(硬化前;ペースト状はんだ組成物)、53…ビアホール内めっきビア(接続導体)、53h…ビアホール、55、56…堰き止め樹脂パターン、61,62…はんだレジスト、81,82…部品用開口部、83…貫通孔、110,130…ビルドアップ層、110A,130A…ビルドアップ層(積層前)、501…はんだ粒子、501AA…残留はんだ、502…絶縁性接着樹脂部(硬化前)、502A…絶縁性接着樹脂部(硬化後)、503…種粒子、503A…種部、505…多孔性構造導電部(種部と複数元素系相部とによる)、513…複数元素系相部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状絶縁層中に半導体素子部品を埋設して有する部品内蔵配線板およびその製造方法に係り、特に、半導体素子部品の端子に接続される接続導体を面積狭小化して配線パターン形成の自由度を増加するのに好適な部品内蔵配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子部品が内蔵された配線板構造の例として下記特開2003−197849号公報記載のものがある。この構造では、半導体素子部品としてベアチップが使われ、このベアチップが内層の配線パターン上にフリップ接続されている。
【0003】
近年、フリップ接続が必要なベアチップのほかに、ベアチップとほとんど同様の大きさで構成されかつ表面実装用端子を備えてはんだにより表面実装が可能な半導体素子部品(WL−CSP;wafer level − chip scale package;など)も市場投入されている。このような部品は、ベアチップ同様の大きさゆえに絶縁層中に内蔵する部品としても向いている。
【0004】
表面実装用の端子を有する半導体素子部品は、その端子がグリッド状配列であるため、より内側に位置する端子につながる配線パターンは、より外側に位置する端子用のランド間を抜けるように引かれる必要がある。そのため、配線パターンとしてはそれ相応に微細なルールのものを使用する必要がある。一般に微細ルールであるほどコスト高の配線板になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−197849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、板状絶縁層中に半導体素子部品を埋設して有する部品内蔵配線板およびその製造方法において、半導体素子部品の端子に接続される接続導体を面積狭小化してそれほど微細ルールでなくても配線パターン形成の自由度を向上することができる部品内蔵配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である部品内蔵配線板は、端子パッドを有する半導体チップと、該半導体チップ上で該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体素子部品と、前記半導体素子部品の表面の少なくとも一部に密着して該半導体素子部品の少なくとも一部分を埋め込んだ板状絶縁層と、前記板状絶縁層の上面上に設けられた第1の配線パターンと、前記板状絶縁層の前記上面に対向する下面上に設けられた、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの一部をはんだ接続するためのランドを含む第2の配線パターンと、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子の前記一部と前記第2の配線パターンの前記ランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含むはんだ接続部材と、前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外に電気導通するように延設されたビアホール内めっきビアとを具備することを特徴とする。
【0008】
すなわち、この部品内蔵配線板では、内蔵されている半導体素子部品が有する表面実装用端子のうちの一部は、第2の配線パターンが含むランドにはんだで接続されており、一部以外の端子は、第2の配線パターンから延設されたビアホール内めっきビアで第2の配線パターンに電気導通している。はんだで接続するためのランドは、はんだ接続に必要なランド径であるところ、第2の配線パターンの側から形成されるビアホールは、一般にその径をより小さく加工できる。
【0009】
これにより、ビアホール内に形成されるビアホール内めっきビアは、はんだ接続のためのランドより面積小にできる。よって、半導体素子部品の端子に接続される接続導体(=ランドおよびビアホール内めっきビア)のうち大部分を面積狭小化することができ、これにより、第2の配線パターンにおいては、それほど微細ルールでなくても配線パターン形成の自由度を向上することができる。
【0010】
また、本発明の別の態様である部品内蔵配線板は、端子パッドを有する半導体チップと、該半導体チップ上で該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの一部をはんだ接続するためのランドとなるべき領域を、金属箔上に位置設定する工程と、前記金属箔の前記領域上に、すずを含むはんだ成分を含有のペースト状はんだ組成物を付着させる工程と、前記金属箔上の、前記ペースト状はんだ組成物を介した前記領域上に前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部が位置するように、前記半導体素子部品をマウントする工程と、前記ペースト状はんだ組成物をリフローさせ前記半導体素子部品を前記金属箔上に固定する工程と、前記半導体素子部品の表面に密着して該半導体素子部品を埋め込むように、前記金属箔上に板状絶縁層を積層する工程と、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外に達するように、前記金属箔および前記板状絶縁層に連通する穴を形成する工程と、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外と前記金属箔とを電気導通させるように、前記金属箔および前記板状絶縁層に連通する前記穴内にめっきビアを形成する工程と、前記めっきビアが電気導通されている前記金属箔を、前記ランドとなるべき前記領域が第1の導電パターンとして少なくとも残り、かつ前記めっきビアから引き出されるような金属箔のパターンが第2の導電パターンとして少なくとも残るように、パターニングする工程とを具備することを特徴とする。
【0011】
この製造方法は、上記の部品内蔵配線板を製造することができるひとつの方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、板状絶縁層中に半導体素子部品を埋設して有する部品内蔵配線板およびその製造方法において、半導体素子部品の端子に接続される接続導体を面積狭小化して微細ルールでなくても配線パターン形成の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図2】図1に示した部品内蔵配線板における、半導体素子部品41が接続される配線パターン21の構成を示す平面図(俯瞰図)。
【図3】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図。
【図4】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の別の一部を模式的断面で示す工程図。
【図5】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程のさらに別の一部を模式的断面で示す工程図。
【図6】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程のさらに別の一部を模式的断面で示す工程図。
【図7】図1に示した部品内蔵配線板の製造過程のさらに別の一部を模式的断面で示す工程図。
【図8】本発明の別の実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図9】図8に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す平面図。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図11】図10に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図。
【図12】図1等に示した部品内蔵配線板に使用のはんだ接続部材51に代えて使用できるはんだ接続部材51aの微細な構造を示す説明図。
【図13】図12に示したはんだ接続部材51a中の導電部を得るための材料の例を示す表。
【図14】図12に示したはんだ接続部材51aを構成する複数元素系相部の材料例を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施態様として、表面実装型受動素子部品をさらに具備し、前記板状絶縁層が、前記表面実装型受動素子部品の表面の一部に密着して該表面実装型受動素子部品の少なくとも一部分をも埋め込み、前記第2の配線パターンが、前記表面実装型受動素子部品の端子をはんだ接続するためのランドをも第2のランドとして含み、前記表面実装型受動素子部品の前記端子と前記第2の配線パターンの前記第2のランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含む第2のはんだ接続部材をさらに具備する、とすることができる。
【0015】
この態様は、表面実装型受動素子部品をも内蔵する配線板である。表面実装型受動素子部品は通常、2端子の部品なので、多端子の半導体素子部品とは異なり、第2の配線パターンとの接続をはんだで行うことにしても、配線パターン形成の自由度をそれほどには阻害しない。
【0016】
また、実施態様として、前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから前記板状絶縁層を貫通して、前記第1の配線パターンに電気導通するように延設された、層間接続体たる第2のビアホール内めっきビアをさらに具備する、とすることができる。この態様は、板状絶縁層の両面にそれぞれ位置する第1、第2配線パターン間を層間接続するために、接続体として第2の配線パターンから延設してビアホール内めっきビアを有するものである。このようなビアホール内めっきビアは、内蔵の半導体素子部品の端子に接触するように設けられるビアホール内めっきビアと、同段階の製造工程で形成することが可能であり、その意味で製造効率の向上になる。
【0017】
また、実施態様として、前記第2の配線パターンが、前記板状絶縁層に接する面と対向する面上には多層化配線構造のない最外配線層のパターンである、とすることができる。これによれば、配線層数の増加が限られるが、より薄型の部品内蔵配線板を提供できる。
【0018】
また、実施態様として、前記板状絶縁層との間に前記第2の配線パターンを挟むように、前記第2の配線パターン上に積層位置する第2の板状絶縁層をさらに具備する、とすることができる。これによれば、半導体素子部品が実装されている第2の配線パターンは内層配線層のパターンとなる。第2の板状絶縁層の面上には別の配線パターンを設けることができるので、配線パターンの形成密度を増加させ、パターン設計の自由度がさらに高い部品内蔵配線板とすることができる。
【0019】
また、実施態様として、前記第2の配線パターンが、基層と、該基層上位置選択的に積層された、前記はんだ接続部材と該基層との間に挟まれて位置するニッケル金属層とを有し、前記はんだ接続部材が、金をも含む、とすることができる。
【0020】
この構造では、はんだ接続部材とランドとの接触はニッケル金属層が担うことになる。ここで、はんだ接続部材には金が含まれている。これらは、金が溶融はんだとの濡れ性が比較的良好であることを利用してはんだ付けを行ったことによる構造である。金層の消失は、はんだ接続部材が含むすずの中に金が取り込まれたことによる。よってはんだ接続部材には、金も含まれることになる。
【0021】
これによれば、はんだ接続部材とすべき溶融はんだの濡れ広がりをランドの領域に限定して制御でき、かつ揃ったものにできる。よって、各はんだ接続部材での応力発生を偏らせず、電気的接続の信頼性を向上できる。また、はんだレジストの層を設けるに及ばないことから、板状絶縁層とはんだレジストとの密着性が良好でないことによる剥離を心配する必要がなく、構造的な信頼性が悪化することもない。
【0022】
また、実施態様として、前記第2の配線パターンの前記ランド上であって前記はんだ接続部材が接触する第1の領域と該第1の領域から延設された前記第2の配線パターン上であって前記はんだ接続部材が接触しない第2の領域とを隔てるように設けられた樹脂パターンをさらに具備する、とすることができる。
【0023】
第2の配線パターン上にこのような樹脂パターンを設けることにより、はんだ接続部材とすべき溶融はんだの濡れ広がりをランドの領域に限定して制御でき、かつ揃ったものにできる。よって、各はんだ接続部材での応力発生を偏らせず、電気的接続の信頼性を向上できる。また、第2の配線パターンの第2の領域にまで樹脂パターンを設けるには及ばないので、板状絶縁層と樹脂パターンとの密着性の悪さが問題となることはほとんどなく、構造的な信頼性が悪化することもない。
【0024】
また、実施態様として、前記はんだ接続部材が、多孔性の構造を備えた導電部と、該導電部の該多孔性構造の間を埋めて存在する樹脂部とを有し、前記導電部が、高融点金属の粒子の種部と、該種部を覆った、前記高融点金属とすずとの複数元素系相部とを含有し、かつ、該複数元素系相部が連接して前記多孔性の構造を形成しており、前記導電部が、すずを組成のひとつとするはんだ成分をさらに含有し、該はんだ成分の融点が240℃以下であり、前記複数元素系相部の融点が260℃以上である、とすることができる。
【0025】
この実施態様は、はんだ接続部材が2次実装時に溶融して信頼性を低下する可能性を減じてさらに信頼性を向上する態様である。2次実装とは、この部品内蔵配線板上に別の部品がはんだ実装される場合や、この部品内蔵配線板が別の配線板(マザーボードなど)上に実装される場合を指す。高融点金属とすずとの複数元素系相部の融点が260℃以上となるように高融点金属を材料選択することで、2次実装の加熱(例えば高くとも250℃以下)において、はんだ接続部材の再溶融自体を防止することができる。これにより部品内蔵配線板として信頼性がなお向上する。
【0026】
また、実施態様として、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子が、前記一部および該一部以外を含めすべて、少なくとも表面に銅を有する、とすることができる。半導体素子部品の表面実装用端子の表面が銅である場合、廉価で、はんだ接続およびめっきビア接続するための表面とすることができる。
【0027】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この部品内蔵配線板は、絶縁層(板状絶縁層)11、同12、同13、配線層(配線パターン、導電パターン)21(ニッケル金属層21aを含む)、同22、同23、同24(=合計4層配線)、ビアホール内めっきビア31(層間接続体)、スルーホール導電体32、層間接続体33、半導体素子部品41、チップ抵抗42(表面実装型受動素子部品)、はんだ接続部材51(接続導体)、はんだ接続部材52、ビアホール内めっきビア53(接続導体)、はんだレジスト61、62を有する。
【0028】
内蔵されている半導体素子部品41は、半導体チップと、この半導体チップ上に形成されたグリッド状配列の表面実装用端子41aとを少なくとも備えている(ウエハレベル・チップスケールパッケージによる)。表面実装用端子41aは、半導体チップがもともと有する端子パッドから再配線層を介して電気的に導通しつつその位置を再配置して設けられた端子であり、このような再配置により端子としての配置密度が半導体チップ上の端子パッドのそれより粗くなっている。
【0029】
そして、半導体素子部品41が有する表面実装用端子41aのうちの一部が、配線パターン21が含むランド(ニッケル金属層21a)にはんだ接続部材51ではんだ接続されており、一部以外の端子は、配線パターン21から延設されたビアホール内めっきビア53で配線パターン21に電気導通している。はんだ接続するためのランド(ニッケル金属層21a)は、はんだ接続に必要な面積のランド径であるところ、配線パターン21から延設されたビアホール内めっきビア53のためのビアホールは、それよりも一般により小さく加工できる。
【0030】
これにより、ビアホール内に形成されるビアホール内めっきビア53は、はんだ接続のためのランド(ニッケル金属層21a)より面積小にできる。よって、半導体素子部品41の端子21aに接続される接続導体(=ランド(ニッケル金属層21a)およびビアホール内めっきビア53)のうち大部分を面積狭小化することができ、これにより、配線パターン21においては、それほど微細ルールでなくても配線パターン形成の自由度を向上することができる。
【0031】
なお、ニッケル金属層21aは、その上に位置するはんだ接続部材51の溶融時の広がりを制限する領域として設けられたニッケルの層である。その厚さは例えば5μm程度とすることができる。平面的には、はんだ接続部材51が広がるべき制限領域に対応して、配線パターン21の金属箔(後述する)部分を基層としてこの基層上に、位置選択的に形成されている。ニッケル金属層21aにより、はんだ接続部材51の広がりを抑制的にかつ揃ったものにして、接続された端子41aにおけるはんだ接続部材51での応力発生を偏らせず、はんだ接続部材51による電気的接続の信頼性を向上することができる。
【0032】
ニッケル金属層21a上には、製造途上においてはさらに金めっき層が形成されているが(後述する)、はんだ接続の工程を経ることで、金めっき層ははんだ接続部材51が含むすずの中に取り込まれて消失する。このはんだ接続工程において、溶融はんだは、配線パターン21の基層材料である例えば銅と比べて、金との濡れ性の方が大きく良好であるため、上記のような広がり制限の効果を得ることができる。
【0033】
このような広がり制限効果により、ニッケル金属層21aの外側の領域には、はんだレジストのような樹脂パターンを設けるには及ばないので、配線パターン21と絶縁層11との密着性劣化のおそれはほとんどなく、構造的な信頼性の向上も図ることができる。なお、はんだ接続部材51の溶融時の広がりを制限するには、別の手段も採り得る(後述する)。
【0034】
図2は、図1に示した部品内蔵配線板における、半導体素子部品41が接続される配線パターン21の構成を示す平面図(俯瞰図)である。図2において、図1中で登場の符号をその対応する構成要素に対して使用している。なお、はんだレジスト61の図示は省略している。
【0035】
図2に示すように、例えば、はんだ接続部材51が載るべきランド(ニッケル金属層21a)は、半導体素子部品41の四隅の端子41aに対応して設けられており、それ以外の端子41aについては、ビアホール内めっきビア53により配線パターン21に電気導通している。はんだ接続部材51が載るべきランド(ニッケル金属層21a)が、はんだ接続に必要な最小の径(例えば250μm)であるとしたときに、ビアホール内めっきビア53は、その製造過程に由来して上記径よりも小さくできる(例えば150μm)。
【0036】
したがって、図示するように、ビアホール内めっきビア53どうしの間に、配線パターン21を引くことが、それほどに微細なルールの配線パターン形成を行わなくても実現する。すなわち、すべての端子41aが、はんだ接続部材51で接続される場合には、そのランドはすべて例えば250μmの径となり、そのランドどうしの間に配線パターン21を通すには、それに対応するだけの微細なルールの配線パターン形成が必要になる。ピッチが0.5mmに満たない端子41aの配列の場合には、必要なルールの差は顕著になる。一般に微細ルールであるほどコスト高の配線板になる。
【0037】
図2に図示された構成は、その対応する端子41aの数、配置や、どの端子41aをはんだ接続部材51でランド(ニッケル金属層21a)に接続するかについて、一例を示した構成である。一般に、四隅の端子41aをはんだ接続部材51でランド(ニッケル金属層21a)に接続する端子に設定すると、半導体素子部品41のはんだ接続の安定性や、配線パターン21を引くときの自由度増の観点から非常に好ましい。
【0038】
図1を参照する説明に戻り、内蔵されているチップ抵抗42は、その平面的な大きさが例えば0.6mm×0.3mmである。両端に端子(電極)42aを有し、その下側が内層の配線層21が含む内蔵部品実装用ランド(ニッケル金属層21a)に対向位置している。チップ抵抗42の端子42aとニッケル金属層21aとははんだ接続部材52により電気的、機械的に接続されている。はんだ接続部材52は、端子42a周りに形成されたフィレットを含む形状で配線層21のニッケル金属層21a上に位置している。
【0039】
チップ抵抗42下のニッケル金属層21aも、上記説明の、半導体素子部品41下のニッケル金属層21aと同様に、はんだ溶融時の広がり制限の機能を有している。そして、半導体素子部品41もチップ抵抗42も表面実装型部品であり、製造過程においては、同時期の工程により、それぞれはんだ接続部材51、52で金属箔上に実装することができる(後述する)。
【0040】
部品内蔵配線板としての説明を補足するに、配線層21、24は、配線板としての両主面上の配線層であり、その上に各種の部品(不図示)が実装され得る。実装ではんだ(不図示)が載るべき配線層21、24のランド部分を除いて両主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト61、62が形成されている(厚さはそれぞれ例えば20μm程度)。
【0041】
このランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。また、配線層21、24が含むランド上には、はんだボールを設けるような使い方もあり得る。このはんだボールは、この部品内蔵配線板を別の配線板(例えばマザーボードのような大きな配線板)上に実装するための構成である。
【0042】
配線層22、23は、それぞれ、内層の配線層であり、順に、配線層21と配線層22の間に絶縁層11が、配線層22と配線層23の間に絶縁層12が、配線層23と配線層24との間に絶縁層13が、それぞれ位置しこれらの配線層21〜24を隔てている。各配線層21〜24は、例えばそれぞれ厚さ18μmの金属(銅)箔からなっている。
【0043】
各絶縁層11〜13は、絶縁層12を除き例えばそれぞれ厚さ100μm、絶縁層12のみ例えば厚さ300μmで、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。特に絶縁層12は、内蔵された半導体素子部品41、チップ抵抗42に相当する位置部分が開口部となっており、半導体素子部品41およびチップ抵抗42を内蔵するための空間を提供する。絶縁層11、13は、半導体素子部品41およびチップ抵抗42の表面に密着するように絶縁層12の上記開口部および絶縁層12のスルーホール導電体32内部の空間を埋めて変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
【0044】
配線層21と配線層22とは、配線パターン21と電気導通して配線パターン21から絶縁層11を貫通して、配線パターン22に電気導通するように延設された、層間接続体たるビアホール内めっきビア31により導通し得る。配線層22と配線層23とは、絶縁層12を貫通して設けられたスルーホール導電体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層13を貫通する層間接続体33により導通し得る。
【0045】
ビアホール内めっきビア31は、製造過程においては、すでに説明したビアホール内めっきビア53と同時期、同段階の工程で形成することができる。このような同時期の工程により製造効率の向上になる。層間接続体33は、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とするものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向)に径が変化している。その直径は、太い側で例えば200μmである。なお、ビアホール内めっきビア31をこれに代えて層間接続体33と同様な構成のものにすることや、逆に、層間接続体33をこれに代えてビアホール内めっきビア31と同様な構成のものにすることも当然ながら可能である。
【0046】
この実施形態は、配線パターン21が、絶縁層11に接する面と対向する面上には多層化配線構造のない最外配線層のパターンとなっており、これにより、配線層数の増加が限られるが、より薄型の部品内蔵配線板を提供できる点も利点である。
【0047】
次に、図1に示した部品内蔵配線板の製造工程を図3ないし図7を参照して説明する。図3ないし図7は、それぞれ、図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図である。これらの図において図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
【0048】
図3から説明する。図3は、図1中に示した各構成のうち配線層21および内蔵部品(半導体素子部品41、チップ抵抗42)を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図3(a)に示すように、厚さ例えば18μmの金属箔(電解銅箔)21Aを用意し、その表面上位置選択的に、ニッケルめっき層21a(例えば厚さ5μm;以下、適宜「ニッケル金属層」の代わりに「ニッケルめっき層」という場合がある。)をめっき形成し、さらにその上に積層して金めっき層21b(例えば厚さ0.05μm)をめっき形成する。
【0049】
これらのめっき形成は、金属箔21Aを給電路とする、電解めっき工程を含むめっき処理で効率的に行うことができる。より具体的に、めっき用のレジストマスクを金属箔21Aに形成して所定のパターニングを施し、そのパターンにより位置選択的にニッケルめっき層21aおよび金めっき層21bの積層金属パターン層を形成し得る。この積層金属パターン層は、半導体素子部品41またはチップ抵抗42の、すでに説明した実装用のランドに対応している。
【0050】
次に、金属箔21Aの実装用ランド上(すなわち金めっき層21bが形成された領域上)に、図3(b)に示すように、例えばスクリーン印刷によりペースト状はんだ組成物(クリームはんだ)51A、52Aを印刷する。ペースト状はんだ組成物51A、52Aは、フラックス中にすずを含むはんだの微細粒(例えばSn−3Ag−0.5Cuのはんだ微細粒、融点は例えば220℃程度)を分散させたものでありスクリーン印刷を用いれば容易に所定パターンに印刷できる。図示するような大きさの異なるペースト状はんだ組成物51A、52Aの付着も、例えば、スクリーン板のピット径を変えることで容易に実現する。スクリーン印刷に代えてディスペンサを使用することもできる。
【0051】
ペースト状はんだ組成物51A、52Aの印刷のあと、半導体素子部品41およびチップ抵抗42をペースト状はんだ組成物51A、52Aを介して実装用ランド上に例えばマウンタで載置し、さらにその後ペースト状はんだ組成物51A、52Aを例えばリフロー炉でリフローさせる。このリフローで、ペースト状はんだ組成物51A、52Aが含むはんだ微粒子が溶融したとき、銅と比べて比較的濡れ性が高い金めっき層21b(ニッケルめっき層21a)上にのみ溶融はんだが広がり、はんだ接続部材51、52が形成される。金めっき層21bは、その金成分がはんだ接続部材51、52中に取り込まれて消失する。
【0052】
以上説明の工程を経て、図3(c)に示すように、金属箔21A上で、はんだ接続部材51、52を介して半導体素子部品41、チップ抵抗42がニッケルめっき層21aの実装用ランド上に接続、固定された状態の積層部材1が得られる。この状態では、上記のように、金めっき層21bは、はんだ接続部材51、52中に取り込まれて層としてはほぼ消滅おり、はんだ接続部材51、52とランドとの接触はニッケルめっき層21aが担った状態になる。図3(c)に示す積層部材1を用いる後の工程については図6で後述する。
【0053】
次に、図4を参照して説明する。図4は、図1中に示した各構成のうち絶縁層12および同11を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図4(a)に示すように、両面に例えば厚さ18μmの金属箔(電解銅箔)22A、23Aが積層された例えば厚さ300μmのFR−4の絶縁層12を用意し、その所定位置にスルーホール導電体を形成するための貫通孔83をあけ、かつ内蔵する半導体素子部品41およびチップ抵抗42に相当する部分に部品用開口部81、82を形成する。
【0054】
次に、無電解めっきおよび電解めっきを行い、図4(b)に示すように、貫通孔83の内壁にスルーホール導電体33を形成する。このとき開口部81、82の内壁にも導電体が形成される。さらに、図4(c)に示すように、金属箔22A、23Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングして配線層22、23を形成する。配線層22、23のパターニング形成により、開口部81、82の内壁に形成された導電体も除去される。
【0055】
次に、図4(d)に示すように、絶縁層11とすべきFR−4のプリプレグ11A(公称厚さ例えば100μm)を配線層22側にプレス機を用い積層する。プリプレグ11Aには、絶縁層12と同様の、内蔵する半導体素子部品41およびチップ抵抗42に相当する部分の開口部をあらかじめ設けておく。以上により得られた部材を積層部材2とする。
【0056】
以上の図4に示した工程は、以下のような手順とすることも可能である。図4(a)の段階では、貫通孔83のみ形成し内蔵部品用の開口部81、82を形成せずに続く図4(b)、(c)の工程を行う。次に、図4(d)に相当する工程として、プリプレグ11A(開口のないもの)の積層を行う。そして、絶縁層12およびプリプレグ11Aに部品内蔵用の開口部を同時に形成する、という工程である。
【0057】
次に、図5を参照して説明する。図5は、図1中に示した各構成のうち絶縁層13を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図5(a)に示すように、厚さ例えば18μmの金属箔(電解銅箔)24A上に例えばスクリーン印刷により、層間接続体33となるペースト状の導電性組成物をほぼ円錐形のバンプ状(底面径例えば200μm、高さ例えば160μm)に形成する。この導電性組成物は、ペースト状の樹脂中に銀、金、銅などの金属微細粒または炭素微細粒を分散させたものである。説明の都合で金属箔24Aの下面に印刷しているが上面でもよい。層間接続体33の印刷後これを乾燥させて硬化させる。
【0058】
次に、図5(b)に示すように、金属箔24A上に厚さ例えば公称100μmのFR−4のプリプレグ13Aを積層して層間接続体33を貫通させ、その頭部が露出するようにする。露出に際してあるいはその後その先端を塑性変形でつぶしてもよい(いずれにしても層間接続体33の形状は、積層方向に一致する軸を有しその軸方向に径が変化する形状である。)。以上により得られた部材を積層部材3とする。
【0059】
次に、図6を参照して説明する。図6は、上記で得られた積層部材1、2、3を積層する配置関係を示す図である。図6に示すような配置で各積層部材1、2、3を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、半導体素子部品41およびチップ抵抗42の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。また、配線層23は、層間接続体33に電気的に接続される。
【0060】
次に、図7を参照して説明する。図7は、図6に示した積層工程で得られた素材に対して、ビアホール内めっきビア53、31を形成するためのビアホール53h、31hを加工形成する工程を説明する図である。
【0061】
図7に示すように、金属箔21Aの露出面の側から、その必要な位置にビアホール53h、31hを例えばレーザ加工で形成する。ビアホール53hは、半導体素子部品41のはんだ接続のされない端子41aの位置に対応して、金属箔21A、絶縁層11を連通して端子41aに達するように設ける。ビアホール31hは、配線層21となる金属箔21Aと配線層22との層間接続が必要な位置に、金属箔21A、絶縁層11を連通、貫通して配線層22に達するように設ける。
【0062】
ビアホール53h、31hの形成は、レーザ加工で金属箔21Aおよび絶縁層11を連続して消失させるように穴加工する方法のほかに、まず、金属箔21Aのみをエッチング加工で貫通させその後に、そのエッチングされた金属箔21Aをマスクにその後絶縁層11をレーザ加工で消失させ穴加工するという2段階の工程とすることもできる。金属箔21Aのみをエッチング加工する段階では、パターン化された、エッチング用のレジストマスクを金属箔21A上に形成しておく。前者の方法は、効率的には好ましいと考えられ、後者の方法は、効率で劣るものの穴形状の制御性に優れていると考えられる。
【0063】
図7に示すようにビアホール53h、31hの形成後、無電解めっきおよび電解めっきの工程を行い、金属箔21Aと電気導通してこの金属箔21Aから、半導体素子部品41の端子41a(のうちの一部)および配線層22に電気導通するように、ビアホール内めっきビア53、31を形成する。めっきビア53、31は、少なくともビアホール53h、31hの内壁上に形成されることが必要であるが、ビアホール53h、31h内をほとんど充填し埋めるように形成されてもよい。このようなビアとしての形状コントロールのためには、金属箔21A上に、パターン化されたレジストマスクを形成した上で上記のめっき工程を行ってもよい。
【0064】
以上説明の工程の後、上下両面の金属箔24A、21Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、さらにはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図1に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。
【0065】
次に、本発明の別の実施形態について図8を参照して説明する。図8は、別の実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
【0066】
この実施形態は、図1に示した実施形態における、はんだ接続部材51、52の溶融時の広がりを制限する手段(ニッケル金属層21a)に変更を加えたものである。すなわち、この実施形態では、ニッケル金属層21aを用いず、代わりに、堰き止め樹脂パターン55、56を用いている。
【0067】
図9は、図8に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す平面図であり、より具体的には、金属箔21A上に堰き止め樹脂パターン55、56を形成する工程を示している。堰き止め樹脂パターン55、56は、金属箔21A上の実装用ランドに対応する領域に位置させるべきはんだ接続部材51、52の溶融時の広がりを制限するように、図9に示すように、例えば枠状に形成される。これにより、堰き止めパターン55、56より外の領域に、さらに樹脂パターンを延設するには及ばないので、例えば、金属箔21Aを由来とする配線層21と、絶縁層11との密着性劣化のおそれはほとんどなく、構造的な信頼性の向上が図れる。
【0068】
堰き止め樹脂パターン55、56は、例えばはんだレジストと同様な材質、同様なパターニング形成方法で設けることができる。その厚さは例えば20μm程度とすることができる。図9に示した、堰き止め樹脂パターン55、56の形成された金属箔21Aは、図3(a)に示した部材の代わりに用いられてその後の各工程に供される。その後に、図7に示した状態が得られ、さらにめっきビア53、31が形成された後で、金属箔21Aが周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングされる。
【0069】
これにより、堰き止め樹脂パターン55、56は、配線パターン21のランド上であってはんだ接続部材51、52が接触する第1の領域と、この第1の領域から延設された配線パターン21上であってはんだ接続部材51、52が接触しない第2の領域とを隔てるように設けられることになる。
【0070】
次に、本発明のさらに別の実施形態に係る部品内蔵配線板について図10を参照して説明する。図10は、さらに別の実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
【0071】
この実施形態は、図1に示した実施形態を素材として、さらに配線層数を増加させるべくビルドアップ層110、130を積層した構造である。これによれば、半導体素子部品41、チップ抵抗42が実装されている配線パターン21は内層配線層のパターンになる。そして、ビルドアップ層110、130が有する板状絶縁層の面上には別の配線パターンが設けられるので、配線パターンの形成密度を増加させ、パターン設計の自由度がさらに高い部品内蔵配線板とすることができる。
【0072】
図11は、図10に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図であり、より具体的には、ビルドアップ層110、130を設けるための積層工程を示している。図11中に示す積層前のビルドアップ層110A、130Aは、それぞれ、図5(b)に示した積層部材3と同様の構成であり、プリプレグたる板状層、金属箔、層間接続体を含んでいる。図11中に示す中間の部材は、図1に示した部品内蔵配線板とほぼ同様のものであってはんだレジスト61、62の形成がされていない状態のものである。
【0073】
図11に示すような配置で各積層部材を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、ビルドアップ層110A、130Aがそれぞれ含むプリプレグが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグの流動性により、ビアホール内めっきビア53、31の部分にくぼみがある場合でも、そのくぼみにプリプレグが変形進入し空隙は発生しない。また、ビルドアップ層110A、130Aがそれぞれ含む層間接続体は、それぞれ、配線層21、24に電気的に接続される。
【0074】
以上説明の工程の後、ビルドアップ層110A、130Aがそれぞれ含む上下両面の金属箔を周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、さらにはんだレジストの層を形成することにより、図10に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。なお、変形例として、ビルドアップ層110、130がそれぞれ含む層間接続体については、これに代えてビアホール内めっきビア31と同様な構成のものにすることも当然ながら可能である。さらに、図11に示したような積層工程を繰り返すことでさらに多層の配線板を得ることができる。
【0075】
次に、図1等に示した部品内蔵配線板に使用の、すずを含むはんだ接続部材51(52)に代えて使用できる別のはんだ接続部材について図12を参照して説明する。図12は、図1等に示した部品内蔵配線板に使用のはんだ接続部材51(52)に代えて使用できるはんだ接続部材51aの微細な構造を示す説明図である。はんだ接続部材51aは、図12(a)右側に示すように、微細な構造として、硬化されている樹脂部502A中に導電部505の多孔性構造が形成された構成(樹脂含有はんだ接続部材)になっている。この多孔性構造はその孔の部位に樹脂部502Aが満たされ、空隙をもたせないようにしている。
【0076】
導電部505は、さらに詳細には、図12(b)に示す拡大断面図に描かれるように、粒子状の金属の種部503Aとこの表面を覆う複数元素系相部513とを有し、種部503Aを覆う複数元素系相部513が互いに連接することによって多孔性構造になっている。なお、はんだ接続部材51a中には、種部503A、複数元素系相部513のほかに、残留はんだ501AAも多少存在する。複数元素系相部513は、はんだ粒子501(図12(a)左側を参照)中のすずと種部503A中の高融点金属とによる合成相であり、はんだ粒子501の融点が240℃以下、複数元素系相部513の融点が260℃以上となるように、はんだ粒子501および種部503A(種粒子503)の材料が選ばれている。
【0077】
はんだ接続部材51aの上記微細構造には、それらの形成過程が関連している。概略的には、図12(a)左側に示すように、はんだ接続部材51aは、硬化される前の状態として、ペースト状の絶縁性接着樹脂部502中に、すずを含むはんだ粒子501と高融点金属含有の種粒子503とが分散された構成の組成物(硬化前のはんだ接続部材51aA)である。
【0078】
このような導電性接着性樹脂を加熱してはんだ粒子501を溶解させると、そのすず成分と種粒子503が含有する高融点金属とが反応(または溶け合って。以下では「反応」で溶け合う場合も含むこととする)して種粒子503表面が複数元素系相部513に変化し、はんだ粒子501の溶解に由来して複数元素系相部513は互いに連接する。複数元素系相部513が発現するとその融点ははんだ粒子501より高いので、上記加熱の温度程度では固相となって多孔性構造になる。種粒子503のうちの未反応部(中心に近い部位)は、複数元素系相部513の中に種となって残り種部503Aになる。はんだ粒子501のうち複数元素系相部513への変化に残留した分は凝固して残留はんだ501AAになる。
【0079】
上記で、はんだ粒子501を溶解させる温度では、絶縁性接着樹脂部502は硬化しないようにその材料が選択されている。これにより、はんだ粒子501が溶解したときのその移動を妨げずに溶解金属と種粒子503との反応が円滑になされるようになっている。このような溶解、反応を生じさせた後に、加熱温度を上げて絶縁性接着樹脂部502を熱硬化させる。この熱硬化により、上記形成された多孔性構造を固定化するように多孔性構造の隙間に樹脂部502Aが満たされた構造ができあがる。
【0080】
このような構成のはんだ接続部材51aでは、とりわけ、上記導電部505中において複数元素系相部513が連接して形成された多孔性構造がその導電性を担っており、この複数元素系相部513は、上記のように、融点が260℃以上になっている。260℃以上とすることで、この部品内蔵配線板の最外の配線層上に部品実装をするときや、この部品内蔵配線板を別の基板に実装するときの加熱(両者、2次実装時加熱(例えば高くとも250℃))での溶融自体を回避でき、接続不良や短絡をさらに効果的に防止できる利点がある。
【0081】
また、この導電性の多孔性構造は硬化された樹脂部502A中に形成されており、多孔性構造の隙間はこれにより埋められている。したがって、はんだ接続部材51a中にボイドが発生し信頼性が損なわれることがない。さらに、はんだ接続部材51aの導電性が導電体505による多孔性構造によっているので、低抵抗の接続部にすることができる。なお、残留はんだ501AAが2次実装時に再溶融することはあり得るが、複数元素系相部513へ変化せずに残留した分なのでその量はわずかでありかつ樹脂部502A中に閉じ込められているので、信頼性に対する影響は最小限に抑制できる。
【0082】
図13は、図12に示したはんだ接続部材51a中の導電部505を得るための材料の例を示す表であり、図13(a)は、硬化前のはんだ接続部材51aA中に含まれるはんだ粒子501の材料例(すずを含む)、図13(b)は、同じく種粒子503の材料例(高融点金属を含む)である。図13(a)に示すように、これらのはんだ粒子501では、その融点が240℃以下である。はんだ粒子501としてこのような融点の金属材料を用いることで、絶縁層11の耐熱温度までには余裕を持たせることができる。図13(b)に示す組成系または金属は、はんだ粒子501の組成金属であるすずと反応してできる複数元素系相部が融点として260℃以上を有する組成系または金属として選択されている。
【0083】
図14は、図12に示したはんだ接続部材51aを構成する複数元素系相部513の材料例を示す表であり、図13に示した材料のはんだ粒子501と種粒子503とから形成され得る複数元素系相を示している。図14に示すように、これらの複数元素系相部513は、その融点が260℃以上になっている。このような複数元素系相部513により、2次実装時加熱(例えば高くとも250℃)での再溶融自体が起こらない。
【0084】
なお、図14に示す複数元素系相におけるx、y(、z)の比は、単純な整数比になる場合(=化学量論的組成;金属間化合物)のみならず、これからはずれて例えばxの値を固定したときにy(、z)が幅をもった値で存在できる場合もある。例えば、固溶体の相の場合や、組成比の異なる2種以上の金属間化合物や固体相が混晶している相(例えば共晶)の場合である。
【0085】
図14に示す複数元素系相における金属間化合物としては、例えば、Cu6Sn5、Ag3Sn、FeSn2、AuSn2が知られている。Cu6Sn5は、これと組成元素が同じで組成比が異なる異種の金属間化合物であるCu3Snと混在して形成される場合があり、この混在比に応じて全体としてx、yの比は単純な整数比ではなくなる。Cu3Snは、Cu6Sn5と比較してもろい性質があるが、その融点が260℃以上であることに変わりはなく、また、導電部505の構造が樹脂部502Aにより補強される構造により、その悪影響を小さく留めることができる。
【符号の説明】
【0086】
1…積層部材、2…積層部材、3…積層部材、11…絶縁層(板状絶縁層)、11A…プリプレグ、12…絶縁層(板状絶縁層)、13…絶縁層(板状絶縁層)、13A…プリプレグ、21…配線層(配線パターン)、21A…金属箔(銅箔)、21a…ニッケル金属層(ニッケルめっき層)、21b…金めっき層、22…配線層(配線パターン)、22A…金属箔(銅箔)、23…配線層(配線パターン)、23A…金属箔(銅箔)、24…配線層(配線パターン)、24A…金属箔(銅箔)、31…ビアホール内めっきビア(層間接続体)、31h…ビアホール、32…スルーホール導電体、33…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)、41…半導体素子部品(ウエハレベル・チップスケールパッケージによる)、41a…表面実装用端子、42…チップ抵抗(表面実装型受動素子部品)、42a…端子、51…はんだ接続部材(接続導体)、52…はんだ接続部材、51A,52A…ペースト状はんだ組成物、51a…樹脂含有はんだ接続部材、51aA…樹脂含有はんだ接続部材(硬化前;ペースト状はんだ組成物)、53…ビアホール内めっきビア(接続導体)、53h…ビアホール、55、56…堰き止め樹脂パターン、61,62…はんだレジスト、81,82…部品用開口部、83…貫通孔、110,130…ビルドアップ層、110A,130A…ビルドアップ層(積層前)、501…はんだ粒子、501AA…残留はんだ、502…絶縁性接着樹脂部(硬化前)、502A…絶縁性接着樹脂部(硬化後)、503…種粒子、503A…種部、505…多孔性構造導電部(種部と複数元素系相部とによる)、513…複数元素系相部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子パッドを有する半導体チップと、該半導体チップ上で該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体素子部品と、
前記半導体素子部品の表面の少なくとも一部に密着して該半導体素子部品の少なくとも一部分を埋め込んだ板状絶縁層と、
前記板状絶縁層の上面上に設けられた第1の配線パターンと、
前記板状絶縁層の前記上面に対向する下面上に設けられた、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの一部をはんだ接続するためのランドを含む第2の配線パターンと、
前記半導体素子部品の前記表面実装用端子の前記一部と前記第2の配線パターンの前記ランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含むはんだ接続部材と、
前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外に電気導通するように延設されたビアホール内めっきビアと
を具備することを特徴とする部品内蔵配線板。
【請求項2】
表面実装型受動素子部品をさらに具備し、
前記板状絶縁層が、前記表面実装型受動素子部品の表面の一部に密着して該表面実装型受動素子部品の少なくとも一部分をも埋め込み、
前記第2の配線パターンが、前記表面実装型受動素子部品の端子をはんだ接続するためのランドをも第2のランドとして含み、
前記表面実装型受動素子部品の前記端子と前記第2の配線パターンの前記第2のランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含む第2のはんだ接続部材をさらに具備すること
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項3】
前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから前記板状絶縁層を貫通して、前記第1の配線パターンに電気導通するように延設された、層間接続体たる第2のビアホール内めっきビアをさらに具備することを特徴とする請求項1または2記載の部品内蔵配線板。
【請求項4】
前記第2の配線パターンが、前記板状絶縁層に接する面と対向する面上には多層化配線構造のない最外配線層のパターンであることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項5】
前記板状絶縁層との間に前記第2の配線パターンを挟むように、前記第2の配線パターン上に積層位置する第2の板状絶縁層をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項6】
前記第2の配線パターンが、基層と、該基層上位置選択的に積層された、前記はんだ接続部材と該基層との間に挟まれて位置するニッケル金属層とを有し、
前記はんだ接続部材が、金をも含むこと
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項7】
前記第2の配線パターンの前記ランド上であって前記はんだ接続部材が接触する第1の領域と該第1の領域から延設された前記第2の配線パターン上であって前記はんだ接続部材が接触しない第2の領域とを隔てるように設けられた樹脂パターンをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項8】
前記はんだ接続部材が、多孔性の構造を備えた導電部と、該導電部の該多孔性構造の間を埋めて存在する樹脂部とを有し、
前記導電部が、高融点金属の粒子の種部と、該種部を覆った、前記高融点金属とすずとの複数元素系相部とを含有し、かつ、該複数元素系相部が連接して前記多孔性の構造を形成しており、前記導電部が、すずを組成のひとつとするはんだ成分をさらに含有し、該はんだ成分の融点が240℃以下であり、前記複数元素系相部の融点が260℃以上であること
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項9】
前記半導体素子部品の前記表面実装用端子が、前記一部および該一部以外を含めすべて、少なくとも表面に銅を有することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項10】
端子パッドを有する半導体チップと、該半導体チップ上で該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの一部をはんだ接続するためのランドとなるべき領域を、金属箔上に位置設定する工程と、
前記金属箔の前記領域上に、すずを含むはんだ成分を含有のペースト状はんだ組成物を付着させる工程と、
前記金属箔上の、前記ペースト状はんだ組成物を介した前記領域上に前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部が位置するように、前記半導体素子部品をマウントする工程と、
前記ペースト状はんだ組成物をリフローさせ前記半導体素子部品を前記金属箔上に固定する工程と、
前記半導体素子部品の表面に密着して該半導体素子部品を埋め込むように、前記金属箔上に板状絶縁層を積層する工程と、
前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外に達するように、前記金属箔および前記板状絶縁層に連通する穴を形成する工程と、
前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外と前記金属箔とを電気導通させるように、前記金属箔および前記板状絶縁層に連通する前記穴内にめっきビアを形成する工程と、
前記めっきビアが電気導通されている前記金属箔を、前記ランドとなるべき前記領域が第1の導電パターンとして少なくとも残り、かつ前記めっきビアから引き出されるような金属箔のパターンが第2の導電パターンとして少なくとも残るように、パターニングする工程と
を具備することを特徴とする部品内蔵配線板の製造方法。
【請求項1】
端子パッドを有する半導体チップと、該半導体チップ上で該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体素子部品と、
前記半導体素子部品の表面の少なくとも一部に密着して該半導体素子部品の少なくとも一部分を埋め込んだ板状絶縁層と、
前記板状絶縁層の上面上に設けられた第1の配線パターンと、
前記板状絶縁層の前記上面に対向する下面上に設けられた、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの一部をはんだ接続するためのランドを含む第2の配線パターンと、
前記半導体素子部品の前記表面実装用端子の前記一部と前記第2の配線パターンの前記ランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含むはんだ接続部材と、
前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから、前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外に電気導通するように延設されたビアホール内めっきビアと
を具備することを特徴とする部品内蔵配線板。
【請求項2】
表面実装型受動素子部品をさらに具備し、
前記板状絶縁層が、前記表面実装型受動素子部品の表面の一部に密着して該表面実装型受動素子部品の少なくとも一部分をも埋め込み、
前記第2の配線パターンが、前記表面実装型受動素子部品の端子をはんだ接続するためのランドをも第2のランドとして含み、
前記表面実装型受動素子部品の前記端子と前記第2の配線パターンの前記第2のランドとを電気的、機械的に接続する、すずを含む第2のはんだ接続部材をさらに具備すること
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項3】
前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから前記板状絶縁層を貫通して、前記第1の配線パターンに電気導通するように延設された、層間接続体たる第2のビアホール内めっきビアをさらに具備することを特徴とする請求項1または2記載の部品内蔵配線板。
【請求項4】
前記第2の配線パターンが、前記板状絶縁層に接する面と対向する面上には多層化配線構造のない最外配線層のパターンであることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項5】
前記板状絶縁層との間に前記第2の配線パターンを挟むように、前記第2の配線パターン上に積層位置する第2の板状絶縁層をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項6】
前記第2の配線パターンが、基層と、該基層上位置選択的に積層された、前記はんだ接続部材と該基層との間に挟まれて位置するニッケル金属層とを有し、
前記はんだ接続部材が、金をも含むこと
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項7】
前記第2の配線パターンの前記ランド上であって前記はんだ接続部材が接触する第1の領域と該第1の領域から延設された前記第2の配線パターン上であって前記はんだ接続部材が接触しない第2の領域とを隔てるように設けられた樹脂パターンをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項8】
前記はんだ接続部材が、多孔性の構造を備えた導電部と、該導電部の該多孔性構造の間を埋めて存在する樹脂部とを有し、
前記導電部が、高融点金属の粒子の種部と、該種部を覆った、前記高融点金属とすずとの複数元素系相部とを含有し、かつ、該複数元素系相部が連接して前記多孔性の構造を形成しており、前記導電部が、すずを組成のひとつとするはんだ成分をさらに含有し、該はんだ成分の融点が240℃以下であり、前記複数元素系相部の融点が260℃以上であること
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項9】
前記半導体素子部品の前記表面実装用端子が、前記一部および該一部以外を含めすべて、少なくとも表面に銅を有することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項10】
端子パッドを有する半導体チップと、該半導体チップ上で該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの一部をはんだ接続するためのランドとなるべき領域を、金属箔上に位置設定する工程と、
前記金属箔の前記領域上に、すずを含むはんだ成分を含有のペースト状はんだ組成物を付着させる工程と、
前記金属箔上の、前記ペースト状はんだ組成物を介した前記領域上に前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部が位置するように、前記半導体素子部品をマウントする工程と、
前記ペースト状はんだ組成物をリフローさせ前記半導体素子部品を前記金属箔上に固定する工程と、
前記半導体素子部品の表面に密着して該半導体素子部品を埋め込むように、前記金属箔上に板状絶縁層を積層する工程と、
前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外に達するように、前記金属箔および前記板状絶縁層に連通する穴を形成する工程と、
前記半導体素子部品の前記表面実装用端子のうちの前記一部以外と前記金属箔とを電気導通させるように、前記金属箔および前記板状絶縁層に連通する前記穴内にめっきビアを形成する工程と、
前記めっきビアが電気導通されている前記金属箔を、前記ランドとなるべき前記領域が第1の導電パターンとして少なくとも残り、かつ前記めっきビアから引き出されるような金属箔のパターンが第2の導電パターンとして少なくとも残るように、パターニングする工程と
を具備することを特徴とする部品内蔵配線板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−249458(P2011−249458A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119331(P2010−119331)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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