部品実装装置及び部品実装方法
【課題】部品装着前の基板と部品の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係を簡易な工程で検出することができる部品実装装置及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板載置台14aに載置された吸着ツール20の上面の上端開口部20bを、撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラ18aにより撮像するとともに、吸着ツール20を装着ヘッド17に取り付けて上昇させた状態で吸着ツール20の下面の下端開口部20cを、撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラ18bにより撮像し、得られた両画像より求められる上端開口部20bと下端開口部20cの相対位置に基づいて、下方撮像カメラ18aの撮像視野内により撮像される物体と上方撮像カメラ18bの撮像視野内により撮像される物体の相対位置関係を検出する。そして、その検出した位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行う。
【解決手段】基板載置台14aに載置された吸着ツール20の上面の上端開口部20bを、撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラ18aにより撮像するとともに、吸着ツール20を装着ヘッド17に取り付けて上昇させた状態で吸着ツール20の下面の下端開口部20cを、撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラ18bにより撮像し、得られた両画像より求められる上端開口部20bと下端開口部20cの相対位置に基づいて、下方撮像カメラ18aの撮像視野内により撮像される物体と上方撮像カメラ18bの撮像視野内により撮像される物体の相対位置関係を検出する。そして、その検出した位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置及び部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体組立工程で使用されるフリップチップボンダー等の部品実装装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品(電子部品)を吸着するヘッド部とを備え、基板位置決め部に位置決めされた基板に対してヘッド部を相対移動させ、基板上の部品装着部位に対する装着ヘッドに吸着された部品の位置合わせを行った後、ヘッド部を下降させて部品を基板に装着するようになっている。
【0003】
上記部品装着前の位置合わせは、撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラによって基板上の部品装着部位を撮像しつつ、撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラによってヘッド部に吸着された部品を撮像し、下方撮像カメラにより撮像される基板上の部品装着部位と、上方撮像カメラにより撮像されるヘッド部に吸着された部品とが所定の位置関係になるように部品を(ヘッド部を)移動させることによって行われる。
【0004】
ここで、上記位置合わせの基準となる「所定の位置関係」は、所定の治具載置部に載置された治具部品を下方撮像カメラにより上方から撮像するとともに、治具載置部に載置された治具部品をヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその治具部品を上方撮像手段により下方から撮像し、得られた両画像より求められる両治具部品の相対位置から、下方撮像カメラにより撮像される物体と上方撮像カメラにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)を検出して求められる(例えば、特許文献1)。そして、基板上の部品装着部位と装着ヘッドに吸着された部品とが上記位置関係になるように位置合わせされたうえで装着ヘッドが下降されれば、部品は正確に部品装着部位に装着されることになる。
【0005】
このような基板上の部品装着部位とヘッド部に吸着された部品との位置合わせを行うときの基準となる上記位置関係(撮像物体の相対位置関係)は、部品実装装置による部品実装工程が進行して部品実装装置の構成部材間に熱歪み等が生じると変化してしまうことから、部品実装工程を開始する前だけでなく、部品実装工程の実行中にも随時上記位置関係を検出する作業を行ってデータの更新をする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−168299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、部品を吸着するためのツールは部品のサイズに応じて大小さまざまな大きさのものがあることから、撮像物体の相対位置関係を求める作業を行う際にはその都度治具部品専用の吸着ツールをヘッド部に取り付ける(付け替える)必要があり、このため時間的ロスが大きくなって基板の生産性が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0008】
そこで本発明は、部品装着前の基板と部品の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係(下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係)を簡易な工程で検出することができる部品実装装置及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の部品実装装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板位置決め部に位置決めされた基板に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品を吸着し、その吸着した部品を基板位置決め部に位置決めされた基板上の部品装着部位に装着するヘッド部と、撮像視野を下方に向けた下方撮像手段と、撮像視野を上方に向けた上方撮像手段と、所定の吸着ツール載置部に載置された吸着ツールの上面の第1の認識対象部位を下方撮像手段により上方から撮像して得られる第1の画像及び前記吸着ツール載置部に載置された吸着ツールをヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツールの下面の第2の認識対象部位を上方撮像手段により下方から撮像して得られる第2の画像より求められる第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の相対位置から、下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係を検出する位置関係検出手段と、位置関係検出手段において検出された下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行い、そのうえでヘッド部を下降させて部品を部品装着部位に装着する部品装着手段とを備えた。
【0010】
請求項2に記載の部品実装装置は、請求項1に記載の部品実装装置であって、第1の認識対象部位及び第2の認識対象部位は吸着ツールに設けられた貫通孔の上端開口部と下端開口部である。
【0011】
請求項3に記載の部品実装装置は、請求項2に記載の部品実装装置であって、前記貫通孔は部品の吸着管路である。
【0012】
請求項4に記載の部品実装装置は、請求項1乃至3の何れかに記載の部品実装装置であって、下方撮像手段及び上方撮像手段は基板位置決め部とその上方に位置したヘッド部との間の領域に進退可能である。
【0013】
請求項5に記載の部品実装方法は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板位置決め部に位置決めされた基板に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品を吸着し、その吸着した部品を基板位置決め部に位置決めされた基板上の部品装着部位に装着するヘッド部とを備えた部品実装装置による部品実装方法であって、所定の吸着ツール載置部に載置された吸着ツールの上面の第1の認識対象部位を、撮像視野を下方に向けた下方撮像手段により上方から撮像して第1の画像を得る工程と、前記吸着ツール載置部に載置された吸着ツールをヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツールの下面の第2の認識対象部位を、撮像視野を上方に向けた上方撮像手段により下方から撮像して第2の画像を得る工程と、得られた第1の画像及び第2の画像より求められる第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の相対位置から、下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係を検出する工程と、検出した下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行い、そのうえでヘッド部を下降させて部品を部品装着部位に装着する工程とを含む。
【0014】
請求項6に記載の部品実装方法は、請求項5に記載の部品実装方法であって、第1の認識対象部位及び第2の認識対象部位は吸着ツールに設けられた貫通孔の上端開口部と下端開口部である。
【0015】
請求項7に記載の部品実装方法は、請求項6に記載の部品実装方法であって、前記貫通孔は部品の吸着管路である。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、部品装着前の基板と部品の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係(下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係)を、もともとヘッド部に取り付けられる部材である吸着ツールを治具部品として検出するようになっているので、従来のように撮像物体の相対位置関係を求めるための専用の治具を必要とせず、したがって治具を吸着するための専用の吸着ツールをヘッド部に取り付ける(付け替える)必要がないので、撮像物体の相対位置関係を非常に簡易な工程で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーの構成を示す簡略側面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーの一部の斜視図
【図3】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える装着ヘッドの拡大一部断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える撮像部の構成を示す簡略側面図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える撮像部の簡略側面図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える撮像部の移動動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーの制御系統を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが実行する撮像物体の相対位置関係の検出工程の手順を示すフローチャート
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが行う部品装着工程の説明図
【図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが行う部品装着工程の説明図
【図11】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える下方撮像カメラによる撮像画像と上方撮像カメラによる撮像画像を同方向から見た状態で重ねて表した図
【図12】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える吸着ツールの側断面図
【図13】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが実行する部品装着工程の手順を示すフローチャート
【図14】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが実行する部品装着工程の説明図
【図15】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが実行する部品装着工程の説明図
【図16】(a)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える吸着ツールの上方斜視図(b)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える吸着ツールの下方斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、本発明に係る部品実装装置の一実施の形態としてのフリップチップボンダー1は、基板2に部品(電子部品)3を装着する部品装着工程を繰り返し実行するものであり、基台11上に基板搬送路12、基板移載ヘッド13、基板位置決め部14、部品供給部15、反転ヘッド16、装着ヘッド17及び撮像部18を備えている。
【0019】
図1において、基板搬送路12は、紙面に垂直な方向に対向する一対のベルトコンベア機構から成り、外部より供給される基板2を水平面内方向に搬送して所定の位置に供給する。
【0020】
図1において、基板移載ヘッド13は水平面内方向に移動でき、下方に延びる昇降自在な吸着ノズル13aを備えている。基板移載ヘッド13は、基板搬送路12により所定の位置に供給された基板2の上方に移動した上で吸着ノズル13aを下降させ(矢印A1)、吸着ノズル13aを基板2の上面に接触させて基板2を吸着した後上昇し、基板位置決め部14の上方に移動する。そして、吸着ノズル13aを下降させて(矢印A2)、基板2を基板位置決め部14に移載する。
【0021】
図1及び図2において、基板位置決め部14は基板2の位置決めを行うものであり、テーブル状の基板載置台14aと基板載置台14aに連結された基板載置台移動機構14bを備えている。基板載置台14aには基板移載ヘッド13により基板搬送路12から移載された基板2が載置される。基板位置決め部14は、基板載置台移動機構14bが駆動されることによって基板載置台14aが水平面内方向に移動し、基板2上の部品装着部位2a(図2)を所定の位置に位置決めする。
【0022】
図1において、部品供給部15はテーブル状のパレット載置台15aとパレット載置台15aに連結されたパレット載置台移動機構15bを備えており、パレット載置台15aには複数の部品3を収容したパレット15cが載置される。部品供給部15は、パレット載置台移動機構15bが駆動されることによってパレット載置台15aが水平面内方向に移動し、パレット15c内の部品3を所定の位置に位置決めする。
【0023】
図1において、反転ヘッド16は水平面内方向に移動でき、下方に延びた昇降自在な吸着ノズル16aを備えている。反転ヘッド16は水平面内方向(図1では紙面に垂直な方向)に延びた回転軸J回りに回転して吸着ノズル16aの向きを上下反対にし、吸着ノズル16aを下方に向けた状態(図1中に実線で示す反転ヘッド16参照)から上方に向けた状態(図1中に一点鎖線で示す反転ヘッド16参照)に切り替える。
【0024】
反転ヘッド16は、部品供給部15により所定の位置に位置決めされた部品3を吸着ノズル16aによって真空吸着した後、回転軸J回りに回転されて部品3の表裏を反転させ、その状態で水平面内方向に移動することによって(図1中に示す矢印B)、表裏を反転させた部品3を装着ヘッド17に受け渡す。
【0025】
図1及び図2において、装着ヘッド17は水平面内方向に移動でき、下方に延びた昇降自在な吸着ノズル17aを備えている。装着ノズル17aの下端には部品3の上面と接触する吸着ツール20(図2も参照)が着脱自在に取り付けられている。
【0026】
図3(a),(b)において、装着ヘッド17の吸着ノズル17a内には、吸着ノズル17aの軸中心部を下方に開口して延びる部品吸着用管路17bと部品吸着用管路17bの周辺領域を下方に開口して延びる複数の吸着ツール取り付け用管路17cが設けられている。吸着ノズル17aの下端に吸着ツール20を接触させた状態で吸着ツール取り付け用管路17c内に真空圧が供給されると、吸着ノズル17aの下面に吸着ツール20が取り付けられ、その真空圧の供給が解除されると、吸着ノズル17aの下端から吸着ツール20が離脱する。
【0027】
図3(a),(b)において、吸着ツール20の内部には上下方向の貫通孔である吸着ツール内管路20aが設けられており、吸着ツール20の上面には上端開口部20bが開口し、吸着ツール20の下面には下端開口部20cが開口している。この吸着ツール内管路20aは、吸着ツール20が吸着ノズル17aの下端に取り付けられた状態で、吸着ノズル17aの部品吸着用管路17bと連通する。
【0028】
吸着ノズル17aの下端に吸着ツール20を取り付け、吸着ツール20の下面に部品3を接触させた状態で吸着ノズル17aの部品吸着用管路17b(及び吸着ツール内管路20a)内に真空圧が供給されると吸着ツール20の下面に部品3が吸着され、その真空圧の供給が解除されると、吸着ツール20の下面から部品3が離脱する。
【0029】
すなわち本実施の形態におけるフリップチップボンダー1が備える装着ヘッド17は、基板位置決め部14によって位置決めされた基板2に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツール20を介して部品3を吸着するヘッド部となっている。
【0030】
装着ヘッド17は、反転ヘッド16が供給する部品3の上方に吸着ノズル17aを位置させた上で吸着ノズル17aを下降させ(図1中に示す矢印C1)、吸着ツール20を部品3の上面に接触させて部品3を吸着した後上昇し、基板位置決め部14によって位置決めされた基板2の上方に移動する。そして、後述する撮像部18を用いた基板2上の部品装着部位2aと部品3との位置合わせがなされた後、吸着ノズル17aを下降させて(図1中に示す矢印C2)、吸着ノズル17aにより吸着した部品3を部品装着部位2aに上方から装着する。
【0031】
撮像部18は、図2及び図4に示すように、水平面内方向に広がって延びるとともに上面及び下面に開口部(下側開口部21a及び上側開口部21b)を有した筐体21内にプリズム22を備えている。プリズム22は下側開口部21aと上側開口部21bの間に設けられており、筐体21の下側開口部21aを介してプリズム22に入った光LT1と上側開口部21bを介してプリズム22に入った光LT2はいずれも筐体21と結合された拡大レンズ23を通ってCCDカメラ24に入射される。
【0032】
筐体21内には上下のシャッター(下側シャッター25a及び上側シャッター25b)が設けられている。下側シャッター25aは下側シャッター移動機構26aの作動により筐体21内を水平面内方向に移動して(図4中に示す矢印D1)、下側開口部21aを開閉する。また、上側シャッター25bは上側シャッター移動機構26bの作動により筐体21内を水平面内方向に移動して(図4中に示す矢印D2)、上側開口部21bを開閉する。
【0033】
下側シャッター25aが下側開口部21aを開放して上側シャッター25bが上側開口部21bを閉止すると、筐体21の下側から下側開口部21a内に入射した光LT1がCCDカメラ24に受光されるので、下側開口部21aの下方に位置する物体が撮像部18によって撮像される。一方、下側シャッター25aが下側開口部21aを閉止して上側シャッター25bが上側開口部21bを開放すると、筐体21の上側から上側開口部21b内に入射した光LT2がCCDカメラ24に受光されるので、上側開口部21bの上方に位置する物体が撮像部18によって撮像される。
【0034】
このように撮像部18では、下側シャッター25a及び上側シャッター25bの作動により、撮像方向を下方又は上方に切り替えて選択的に撮像を行うことができる。すなわち本実施の形態において、撮像部18は、撮像視野を下方に向けて下方に位置する撮像対象(例えば、基板位置決め部14によって位置決めされた基板2上の部品装着部位2a)を上方から撮像する下方撮像手段としての下方撮像カメラ18a(撮像方向を下方に切り替えた撮像部18。図5(a))と、撮像視野を上方に向けて上方に位置する撮像対象(例えば、吸着ツール20を介して装着ヘッド17に吸着された部品3)を下方から撮像する上方撮像手段としての上方撮像カメラ18b(撮像方向を上方に切り替えた撮像部18。図5(b))を併せ持ったものとなっている。
【0035】
撮像部18は撮像部移動機構27(図2)によって水平面内方向に移動自在であり、撮像部18を基板位置決め部14の上方から退避させた「待機位置」(図6(a))と、この待機位置から水平面内方向に移動して(図6(a)及び図2中に示す矢印E)、基板位置決め部14の上方に進出した「撮像位置」(図6(b))との間で移動させることができる。
【0036】
すなわち本実施の形態におけるフリップチップボンダー1では、下方撮像カメラ18a及び上方撮像カメラ18bは基板位置決め部14とその上方に位置した装着ヘッド17との間の領域(撮像位置)に進退可能になっている。
【0037】
基板搬送路12による基板2の搬送動作は、フリップチップボンダー1が備える制御装置30(図7)の作業実行制御部30a(図7)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路駆動部31(図7)の作動制御を行うことよってなされる。
【0038】
基板移載ヘッド13が備える吸着ノズル13aの昇降動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータから成る基板移載ヘッド吸着ノズル昇降部32(図7)の作動制御を行うことによってなされ、基板移載ヘッド13の水平面内方向への移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る基板移載ヘッド移動部33(図7)の作動制御を行うことによってなされる。また、基板移載ヘッド13が備える吸着ノズル13aによる基板2の吸着及び離脱動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る基板移載ヘッド吸着部34(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0039】
基板位置決め部14が備える基板載置台14aの水平面内方向への移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが基板載置台移動機構14bを駆動するアクチュエータから成る基板載置台移動機構駆動部35(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0040】
部品供給部15による部品3の供給動作は、制御装置30の作業実行制御部30aがパレット載置台移動機構15bを駆動するアクチュエータ等から成るパレット載置台移動機構駆動部36(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0041】
反転ヘッド16が備える吸着ノズル16aの昇降動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが備える図示しないアクチュエータ等から成る反転ヘッド吸着ノズル昇降部37(図7)の作動制御を行うことによってなされ、反転ヘッド16による部品3の吸着動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る反転ヘッド吸着部38(図7)の作動制御を行うことによってなされる。また、反転ヘッド16の上下反転動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る反転ヘッド反転部39(図7)の作動制御を行うことによってなされ、反転ヘッド16の水平面内方向への移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る反転ヘッド移動部40(図7)の作動制御を行ことによってなされる。
【0042】
装着ヘッド17が備える吸着ノズル17aの昇降動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド吸着ノズル昇降部41(図7)の作動制御を行うことによってなされ、装着ヘッド17の水平面内方向への移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド移動部42(図7)の作動制御を行うことによってなされる。また、装着ヘッド17が備える吸着ノズル17aによる部品3の吸着及び離脱動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド吸着部43(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0043】
撮像部18の撮像方向の切り替え(下方撮像カメラ18aと上方撮像カメラ18bの切り替え)は、制御装置30の作業実行制御部30aが前述の下側シャッター移動機構26a及び上側シャッター移動機構26bを駆動するアクチュエータ等から成るシャッター移動機構駆動部44(図7及び図4)の作動制御を行うことよってなされ、撮像部18による撮像は、制御装置30の作業実行制御部30aがCCDカメラ駆動部45(図7)の作動制御を行うことによってなされる。なお、CCDカメラ24の撮像によって得られた画像データは制御装置30に入力されて、制御装置30の画像認識部30b(図7)において画像認識される。また、撮像部18の待機位置と撮像位置との間の移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが前述の撮像部移動機構27を駆動するアクチュエータ等から成る撮像部移動機構駆動部46(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0044】
制御装置30の作業実行制御部30aは、反転ヘッド16から部品3を受け取った装着ヘッド17により、その部品3を基板2に装着するときは、基板位置決め部14(基板載置台14a)上に載置した基板2の部品装着部位2aと装着ヘッド17により吸着した部品3との位置合わせ(部品装着前の位置合わせ)を行う。この部品装着前の位置合わせは、下方撮像カメラ18aにより基板2上の部品装着部位2aを上方から撮像するとともに、上方撮像カメラ18bにより装着ヘッド17に吸着された部品3を下方から撮像し、下方撮像カメラ18aにより撮像される(下方撮像カメラ18aの撮像視野内に映じている)基板2上の部品装着部位2aと上方撮像カメラ18bにより撮像される(上方撮像カメラ18bの撮像視野内に映じている)装着ヘッド17に吸着された部品3が、そのまま部品3を(装着ヘッド17を)下降したときに部品3が部品装着部位2aに装着されることとなる位置関係になるように部品3を(装着ヘッド17を)移動させることによって行う。このため、下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(以下、撮像物体の相対位置関係と称する)を予め(部品実装工程の開始前に)検出しておく必要があり、以下、撮像物体の相対位置関係の検出工程の実行手順を、図8のフローチャート及び図9〜図11の説明図を参照しながら説明する。
【0045】
撮像物体の相対位置関係の検出では、制御装置30は先ず、装着ヘッド17を下降させ、装着ヘッド17に取り付けられている吸着ツール20を基板位置決め部14の基板載置台14a上で取り外して基板載置台14a上に載置する(図9(a)。図8に示すステップST1の吸着ツール載置工程)。
【0046】
制御装置30は、吸着ツール20を基板載置台14a上に載置したら、撮像部18を吸着ツール20と装着ヘッド17の間の撮像位置に進出させて(図9(a)中に示す矢印F1。図8に示すステップST2の撮像部進出工程)、基板載置台14a上に載置された吸着ツール20の直上に筐体21の下側開口部21aが位置するようにする。そして、制御装置30の作業実行制御部30aは、撮像部18の撮像方向を下方に切り替えたうえで(図8に示すステップST3の撮像方向切り替え工程)、吸着ツール内管路20aの上端開口部20bを吸着ツール20の上面の認識対象部位(第1の認識対象部位)としてこれを含む領域を下方撮像カメラ18aによって撮像する(図9(b)。図8に示すステップST4の吸着ツール上面撮像工程)。
【0047】
制御装置30の作業実行制御部30aは、下方撮像カメラ18aにより吸着ツール20の上端開口部20bを含む領域を撮像したら、撮像部18を基板位置決め部14上と装着ヘッド17の間の撮像位置から移動させて待機位置に退避させる(図9(c)中に示す矢印F2。図8に示すステップST5の撮像部退避工程)。そして、装着ヘッド17を下降させ(図10(a)中に示す矢印G1)、装着ヘッド17に吸着ツール20を吸着させて取り付ける(図10(a)。図8に示すステップST6の吸着ツール取り付け工程)。
【0048】
制御装置30の作業実行制御部30aは、装着ヘッド17に吸着ツール20を取り付けたら、装着ヘッド17を上昇させて(図10(b)中に示す矢印G2)、装着ヘッド17を撮像部18よりも上方の規定位置に位置させる(図10(b)。図8に示すステップST7の装着ヘッド上昇工程)。
【0049】
制御装置30の作業実行制御部30aは、吸着ツール20を取り付けた装着ヘッド17を上昇させたら、撮像部18を吸着ツール20と装着ヘッド17の間の撮像位置に撮像部18を進出させ(図10(c)中に示す矢印F3。図8に示すステップST8の撮像部進出工程)、装着ヘッド17に取り付けた吸着ツール20の直下に筐体21の上側開口部21bが位置するようにする。なお、このとき撮像部18は、下方撮像カメラ18aにより吸着ツール20の上面の上端開口部20bを撮像したときと同じ位置に位置させるようにする。そして、制御装置30の作業実行制御部30aは、撮像部18の撮像方向を上方に切り替えたうえで(図8に示すステップST9の撮像方向切り替え工程)、吸着ツール内管路20aの下端開口部20cを吸着ツール20の下面の認識対象部位(第2の認識対象部位)としてこれを含む領域を撮像する(図10(c)。図8に示すステップST10の吸着ツール下面撮像工程)。
【0050】
制御装置30の作業実行制御部30aは、上方撮像カメラ18bにより吸着ツール20の下端開口部20cを含む領域を撮像したら、撮像部18を基板位置決め部14と装着ヘッド17の間の撮像位置から待機位置に退避させる(図8に示すステップST11の撮像部退避工程)。
【0051】
制御装置30の位置関係検出部30c(図7)は、撮像部18を待機位置に退避させたら、ステップST4で得られた画像、すなわち装着ヘッド17に取り付けられる前の吸着ツール20の上端開口部20bを含む領域を下方撮像カメラ18aにより撮像して得られた画像(第1の画像とする)と、ステップST10で得られた画像、すなわち装着ヘッド17に取り付けられた後の吸着ツール20の下端開口部20cを上方撮像カメラ18bにより撮像して得られた画像(第2の画像とする)より上端開口部20bと下端開口部20cの相対位置を把握し、その相対位置から、下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)を検出する(図8に示すステップST12の相対位置関係検出工程)。
【0052】
図11に示す画像SGは、下方撮像カメラ18aによる撮像画像と、上方撮像カメラ18bによる撮像画像を同方向から見た状態で重ねて表したものであり、符号P1で示す黒丸は下方撮像カメラ18aで視認した吸着ツール20の上面の上端開口部20b、符号P2で示す白丸は上方撮像カメラ18bで視認した吸着ツール20の下面の下端開口部20cを表している。この場合、部品装着時に、下方撮像カメラ18aで撮像した基板2上の部品装着部位2aと上方撮像カメラ18bで撮像した装着ヘッド17に装着された部品3との位置関係が、図11における黒丸P1と白丸P2の位置関係となるように基板2に対する装着ヘッド17の位置を調整すれば、その後装着ヘッド17を下降したときに、装着ヘッド17に吸着させた部品3が基板2上の部品装着部位2aに正確に装着されることになる。
【0053】
なお、このようにして検出される撮像物体の相対位置関係は部品実装工程の進行に従って経時的に変化するものであり、部品実装工程の開示時だけでなく、部品実装工程の実行中も折に触れて頻繁に行う必要がある。
【0054】
また、図12に示すように、吸着ツール20に設けられた吸着ツール内管路20aの中心軸Sが上下軸Wと平行でない(上下軸Wに対して傾いている)場合には、吸着ツール内管路20aの下端開口部20cにおける吸着ツール20の下面に沿った方向(水平面内方向)のオフセット量δ1と、吸着ツール内管路20aの上端開口部20bにおける吸着ツール20の上面に沿った方向(水平面内方向)のオフセット量δ2とを予め取得して制御装置30の記憶部30d(図7)に記憶させておき、これらオフセット量δ1,δ2のデータをステップST12において呼び出して用いるようにすることにより、吸着ツール内管路20aの中心軸Sが上下軸Wと平行でない場合の影響をなくすことができる。
【0055】
次に、本実施の形態におけるフリップチップボンダー1による部品実装工程の手順について、図13のフローチャート及び図14、図15の説明図を用いて説明する。これには制御装置30は先ず、前述の手順によって下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)の検出を行う(図13に示すステップST21の撮像物体位置関係検出工程)。
【0056】
制御装置30は、ステップST21の撮像物体位置関係の検出工程が終了したら、基板搬送路12によって基板2を搬送して所定の位置に供給する(図13に示すステップST22の基板供給工程)。そして、制御装置30は、基板搬送路12によって供給された基板2を基板移載ヘッド13により吸着し、基板位置決め部14に移載する(図13に示すステップST23の基板移載工程)。
【0057】
制御装置30は、ステップST23の基板移載工程が終了したら、部品供給部15によってパレット15c内の部品3を所定の位置に位置決めする(図13に示すステップST24の部品位置決め工程)。そして、反転ヘッド16によりパレット15c内の部品3を吸着し、反転ヘッド16を回転軸J回りに回転させて部品3を上下に反転させたうえで、反転ヘッド16を装着ヘッド17の側へ移動させる(図13に示すステップST25の部品吸着・反転・移動工程)。
【0058】
制御装置30は、部品3を吸着した反転ヘッド16を装着ヘッド17の側へ移動させたら、反転ヘッド16が吸着している部品3の直上に装着ヘッド17を移動させたうえで、装着ヘッド17によりその部品3を吸着して装着ヘッド17に部品3を受け取らせる(図13に示すステップST26の部品受け取り工程)。
【0059】
制御装置30は、装着ヘッド17に部品3を受け取らせたら、装着ヘッド17を基板位置決め部14の上方に位置させる。そして、撮像部18を基板位置決め部14と装着ヘッド17の間の撮像位置に進出させて(図14(a)→図14(b)。図14(a)中に示す矢印H1)、下方撮像カメラ18aによる基板2上の部品装着部位2aの撮像を行うとともに(図14(c))、上方撮像カメラ18bによる装着ヘッド17に吸着された部品3の撮像を行う(図15(a))。そして、制御装置30は、ステップST21で検出した下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)に基づいて、基板2上の部品装着部位2aに対する装着ヘッド17に吸着された部品3の位置合わせ(部品装着前の位置合わせ)を行う(図13に示すステップST27の位置合わせ工程)。
【0060】
このステップST27の位置合わせ工程では、前述のように、基板2上の部品装着部位2aと装着ヘッド17に吸着された部品3との位置関係が、ステップST21で検出した撮像物体の相対位置関係、すなわち、下方撮像カメラ18aの視野内に映し出された上端開口部20bの位置と上方撮像カメラ18bの視野内に映し出された下端開口部20cの位置との位置関係と同じになるように、装着ヘッド17の位置を調整する。
【0061】
制御装置30は、ステップST27の位置合わせ工程が終了したら、撮像部18を基板位置決め部14と装着ヘッド17の間の撮像位置から待機位置に退避させたうえで(図15(b)。図中に示す矢印H2)、装着ヘッド17を下降させ(図15(c)。図中に示す矢印K)、装着ヘッド17に吸着した部品3を基板2の部品装着部位2a上に装着する(図13に示すステップST28の部品装着工程)。これにより、装着ヘッド17に吸着させた部品3は、基板2上の部品装着部位2a上に正確に装着される。
【0062】
制御装置30は、ステップST28の部品装着工程が終了したら、現在部品3の装着対象となっている基板2に装着すべき部品3を全て装着したかどうかの判断を行う(図13に示すステップST29の部品装着判断工程)。そして、制御装置30は、基板2に装着すべき部品3を全て装着していなかった場合には、ステップST24に戻って部品供給部15による部品3の位置決めを新たに行い、基板2に装着すべき部品3を全て装着していた場合には、基板移載ヘッド13により基板2を基板搬送路12に移載したうえで(図13に示すステップST30の基板移載工程)、その基板2を基板搬送路12によってフリップチップボンダー1の外部に搬出する(図13に示すステップST31の基板搬出工程)。
【0063】
制御装置30は、基板2をフリップチップボンダー1の外部に搬出したら、まだ部品3の装着を行うべき基板2が残っているかどうかの判断を行う(図13に示すステップST32の基板有無判断工程)。そして、まだ部品3の装着を行うべき基板2が残っていた場合には、更に、ステップST21の撮像物体位置関係検出工程を実行する必要があるか否かの判断を行う(図13に示すステップST33の位置関係検出実行判断工程)。このステップST33では、例えば、部品実装工程を開始した後、一定時間が経過し、或いは一定作業量を実行していた場合には、ステップST21の撮像物体位置関係検出工程を実行する判断を行う。
【0064】
制御装置30は、ステップST33でステップST21の撮像物体位置関係検出工程を実行する必要はないと判断したときには、ステップST22に戻って基板搬送路12による基板2の供給を新たに行い、ステップST21の撮像物体位置関係検出工程を実行する必要があると判断したときには、ステップST21に戻って撮像物体位置関係検出工程を実行する。
【0065】
このステップST21に戻って行う撮像物体位置関係検出工程では、吸着ツール20を一旦装着ヘッド17から取り外して基板位置決め部14の基板載置台14a上に載置する必要はあるものの、装着ヘッド17から吸着ノズル17aを取り外す必要はない。このため、吸着ノズル17aについては部品実装工程の実行中における状態のまま、すなわち、吸着ノズル17aに熱歪み等がある場合には、その熱歪み等の影響を加味した状態で撮像物体の相対位置関係の検出を行うことができる。
【0066】
制御装置30は、ステップST32で、部品3の装着を行うべき基板2がないと判断した場合には、一連の部品実装工程を終了する。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置としてのフリップチップボンダー1は、基板2の位置決めを行う基板位置決め部14と、基板位置決め部14に位置決めされた基板2に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツール20を介して部品3を吸着し、その吸着した部品3を基板位置決め部14に位置決めされた基板2上の部品装着部位2aに装着するヘッド部としての装着ヘッド17を備えるほか、撮像視野を下方に向けた下方撮像手段としての下方撮像カメラ18aと、撮像視野を上方に向けた上方撮像手段としての上方撮像カメラ18bと、所定の吸着ツール載置部(基板載置台14a)に載置された吸着ツール20の上面の上端開口部20b(第1の認識対象部位)を下方撮像カメラ18aにより上方から撮像して得られる第1の画像及び上記吸着ツール載置部(基板載置台14a)に載置された吸着ツール20を装着ヘッド17に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツール20の下面の下端開口部20c(第2の認識対象部位)を上方撮像カメラ18bにより下方から撮像して得られる第2の画像より求められる吸着ツール20の上端開口部20b(第1の認識対象部位)と吸着ツール20の下端開口部20c(第2の認識対象部位)の相対位置から、下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)を検出する位置関係検出手段としての制御装置30の位置関係検出部30cと、位置関係検出部30cにおいて検出された下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位2aに対する装着ヘッド17に吸着された部品3の位置合わせを行い、そのうえで装着ヘッド17を下降させて部品3を部品装着部位2aに装着する部品装着手段としての制御装置30の作業実行制御部30aを備えたものとなっている。
【0068】
また、本実施の形態における部品実装方法は、本実施の形態におけるフリップチップボンダー1による部品実装方法であり、所定の吸着ツール載置部(基板載置台14a)に載置された吸着ツール20の上面の上端開口部20b(第1の認識対象部位)を、撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラ18aにより上方から撮像して第1の画像を得る工程(ステップST4の吸着ツール上面撮像工程)と、上記吸着ツール載置部(基板載置台14a)に載置された吸着ツール20を装着ヘッド17に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツール20の下面の下端開口部20c(第2の認識対象部位)を、撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラ18bにより下方から撮像して第2の画像を得る工程(ステップST10の吸着ツール下面撮像工程)と、得られた第1の画像及び第2の画像より求められる上端開口部20bと下端開口部20cの相対位置から、下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)を検出する工程(ステップST12の相対位置関係検出工程)と、検出した下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位2aに対する装着ヘッド17に吸着された部品3の位置合わせを行い、そのうえで装着ヘッド17を下降させて部品3を部品装着部位に装着する工程(ステップST28の部品装着工程)を含むものとなっている。
【0069】
本実施の形態におけるフリップチップボンダー1及びこれを用いた部品実装方法では、部品装着前の基板2と部品3の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係(下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係)を、もともと装着ヘッド17に取り付けられる部材である吸着ツール20を治具部品として検出するようになっているので、従来のように撮像物体の相対位置関係を求めるための専用の治具を必要とせず、したがって治具を吸着するための専用の吸着ツールをヘッド部に取り付ける(付け替える)必要がないので、撮像物体の相対位置関係を非常に簡易な工程で検出することができる。
【0070】
また、本実施の形態におけるフリップチップボンダー1及びこれを用いた部品実装方法では、下方撮像カメラ18aにより撮像される吸着ツール20の上面の第1の認識対象部位及び上方撮像カメラ18bにより撮像される吸着ツール20の下面の第2の認識対象部位は吸着ツール20に設けられた貫通孔(吸着ツール内管路20a)の上端開口部20bと下端開口部20cであるので、第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の形成が容易である。更には、貫通孔は吸着ツール20に必ず設けられる部品3の吸着管路の吸着ツール内管路20aから成るので、第1の認識対象部位と第2の認識対象部位を別途設ける必要がない。
【0071】
なお、吸着ツール20の上面の第1の認識対象部位及び吸着ツール20の下面の第2の認識対象部位は、必ずしも吸着ツール20に設けられた部品3の吸着管路(吸着ツール内管路20a)の上端開口部20bと下端開口部20cである必要はなく、吸着ツール20上の位置を把握できるのであれば、図16(a),(b)に示すように、部品3の吸着管路(吸着ツール内管路20a)とは別個に設けた貫通孔20pの上端開口部20s及び下端開口部20tとしてもよい。
【0072】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、下方撮像カメラ18aと上方撮像カメラ18bは一体となった構成となっていたが、下方撮像カメラ18aと上方撮像カメラ18bは必ずしも一体となっていなければならないわけではない。
【0073】
また、上述の実施の形態では、本発明が適用される部品実装装置がフリップチップボンダー1であったが、これは一例であり、本発明は、フリップチップ型ではないダイボンダーや、表面実装型の部品実装装置等に対しても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
部品装着前の基板と部品の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係を簡易な工程で検出することができる部品実装装置及び部品実装方法を提供する。
【符号の説明】
【0075】
1 フリップチップボンダー(部品実装装置)
2 基板
2a 部品装着部位
3 部品
14 基板位置決め部
14a 基板載置台(吸着ツール載置部)
17 装着ヘッド(ヘッド部)
18a 下方撮像カメラ(下方撮像手段)
18b 上方撮像カメラ(上方撮像手段)
20 吸着ツール
20a 吸着ツール内管路(貫通孔、吸着管路)
20b 上端開口部(第1の認識対象部位)
20c 下端開口部(第2の認識対象部位)
30a 作業実行制御部(部品装着手段)
30c 位置関係検出部(位置関係検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置及び部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体組立工程で使用されるフリップチップボンダー等の部品実装装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品(電子部品)を吸着するヘッド部とを備え、基板位置決め部に位置決めされた基板に対してヘッド部を相対移動させ、基板上の部品装着部位に対する装着ヘッドに吸着された部品の位置合わせを行った後、ヘッド部を下降させて部品を基板に装着するようになっている。
【0003】
上記部品装着前の位置合わせは、撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラによって基板上の部品装着部位を撮像しつつ、撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラによってヘッド部に吸着された部品を撮像し、下方撮像カメラにより撮像される基板上の部品装着部位と、上方撮像カメラにより撮像されるヘッド部に吸着された部品とが所定の位置関係になるように部品を(ヘッド部を)移動させることによって行われる。
【0004】
ここで、上記位置合わせの基準となる「所定の位置関係」は、所定の治具載置部に載置された治具部品を下方撮像カメラにより上方から撮像するとともに、治具載置部に載置された治具部品をヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその治具部品を上方撮像手段により下方から撮像し、得られた両画像より求められる両治具部品の相対位置から、下方撮像カメラにより撮像される物体と上方撮像カメラにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)を検出して求められる(例えば、特許文献1)。そして、基板上の部品装着部位と装着ヘッドに吸着された部品とが上記位置関係になるように位置合わせされたうえで装着ヘッドが下降されれば、部品は正確に部品装着部位に装着されることになる。
【0005】
このような基板上の部品装着部位とヘッド部に吸着された部品との位置合わせを行うときの基準となる上記位置関係(撮像物体の相対位置関係)は、部品実装装置による部品実装工程が進行して部品実装装置の構成部材間に熱歪み等が生じると変化してしまうことから、部品実装工程を開始する前だけでなく、部品実装工程の実行中にも随時上記位置関係を検出する作業を行ってデータの更新をする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−168299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、部品を吸着するためのツールは部品のサイズに応じて大小さまざまな大きさのものがあることから、撮像物体の相対位置関係を求める作業を行う際にはその都度治具部品専用の吸着ツールをヘッド部に取り付ける(付け替える)必要があり、このため時間的ロスが大きくなって基板の生産性が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0008】
そこで本発明は、部品装着前の基板と部品の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係(下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係)を簡易な工程で検出することができる部品実装装置及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の部品実装装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板位置決め部に位置決めされた基板に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品を吸着し、その吸着した部品を基板位置決め部に位置決めされた基板上の部品装着部位に装着するヘッド部と、撮像視野を下方に向けた下方撮像手段と、撮像視野を上方に向けた上方撮像手段と、所定の吸着ツール載置部に載置された吸着ツールの上面の第1の認識対象部位を下方撮像手段により上方から撮像して得られる第1の画像及び前記吸着ツール載置部に載置された吸着ツールをヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツールの下面の第2の認識対象部位を上方撮像手段により下方から撮像して得られる第2の画像より求められる第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の相対位置から、下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係を検出する位置関係検出手段と、位置関係検出手段において検出された下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行い、そのうえでヘッド部を下降させて部品を部品装着部位に装着する部品装着手段とを備えた。
【0010】
請求項2に記載の部品実装装置は、請求項1に記載の部品実装装置であって、第1の認識対象部位及び第2の認識対象部位は吸着ツールに設けられた貫通孔の上端開口部と下端開口部である。
【0011】
請求項3に記載の部品実装装置は、請求項2に記載の部品実装装置であって、前記貫通孔は部品の吸着管路である。
【0012】
請求項4に記載の部品実装装置は、請求項1乃至3の何れかに記載の部品実装装置であって、下方撮像手段及び上方撮像手段は基板位置決め部とその上方に位置したヘッド部との間の領域に進退可能である。
【0013】
請求項5に記載の部品実装方法は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板位置決め部に位置決めされた基板に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品を吸着し、その吸着した部品を基板位置決め部に位置決めされた基板上の部品装着部位に装着するヘッド部とを備えた部品実装装置による部品実装方法であって、所定の吸着ツール載置部に載置された吸着ツールの上面の第1の認識対象部位を、撮像視野を下方に向けた下方撮像手段により上方から撮像して第1の画像を得る工程と、前記吸着ツール載置部に載置された吸着ツールをヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツールの下面の第2の認識対象部位を、撮像視野を上方に向けた上方撮像手段により下方から撮像して第2の画像を得る工程と、得られた第1の画像及び第2の画像より求められる第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の相対位置から、下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係を検出する工程と、検出した下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行い、そのうえでヘッド部を下降させて部品を部品装着部位に装着する工程とを含む。
【0014】
請求項6に記載の部品実装方法は、請求項5に記載の部品実装方法であって、第1の認識対象部位及び第2の認識対象部位は吸着ツールに設けられた貫通孔の上端開口部と下端開口部である。
【0015】
請求項7に記載の部品実装方法は、請求項6に記載の部品実装方法であって、前記貫通孔は部品の吸着管路である。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、部品装着前の基板と部品の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係(下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係)を、もともとヘッド部に取り付けられる部材である吸着ツールを治具部品として検出するようになっているので、従来のように撮像物体の相対位置関係を求めるための専用の治具を必要とせず、したがって治具を吸着するための専用の吸着ツールをヘッド部に取り付ける(付け替える)必要がないので、撮像物体の相対位置関係を非常に簡易な工程で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーの構成を示す簡略側面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーの一部の斜視図
【図3】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える装着ヘッドの拡大一部断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える撮像部の構成を示す簡略側面図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える撮像部の簡略側面図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える撮像部の移動動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーの制御系統を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが実行する撮像物体の相対位置関係の検出工程の手順を示すフローチャート
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが行う部品装着工程の説明図
【図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが行う部品装着工程の説明図
【図11】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える下方撮像カメラによる撮像画像と上方撮像カメラによる撮像画像を同方向から見た状態で重ねて表した図
【図12】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える吸着ツールの側断面図
【図13】本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが実行する部品装着工程の手順を示すフローチャート
【図14】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが実行する部品装着工程の説明図
【図15】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが実行する部品装着工程の説明図
【図16】(a)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える吸着ツールの上方斜視図(b)本発明の一実施の形態におけるフリップチップボンダーが備える吸着ツールの下方斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、本発明に係る部品実装装置の一実施の形態としてのフリップチップボンダー1は、基板2に部品(電子部品)3を装着する部品装着工程を繰り返し実行するものであり、基台11上に基板搬送路12、基板移載ヘッド13、基板位置決め部14、部品供給部15、反転ヘッド16、装着ヘッド17及び撮像部18を備えている。
【0019】
図1において、基板搬送路12は、紙面に垂直な方向に対向する一対のベルトコンベア機構から成り、外部より供給される基板2を水平面内方向に搬送して所定の位置に供給する。
【0020】
図1において、基板移載ヘッド13は水平面内方向に移動でき、下方に延びる昇降自在な吸着ノズル13aを備えている。基板移載ヘッド13は、基板搬送路12により所定の位置に供給された基板2の上方に移動した上で吸着ノズル13aを下降させ(矢印A1)、吸着ノズル13aを基板2の上面に接触させて基板2を吸着した後上昇し、基板位置決め部14の上方に移動する。そして、吸着ノズル13aを下降させて(矢印A2)、基板2を基板位置決め部14に移載する。
【0021】
図1及び図2において、基板位置決め部14は基板2の位置決めを行うものであり、テーブル状の基板載置台14aと基板載置台14aに連結された基板載置台移動機構14bを備えている。基板載置台14aには基板移載ヘッド13により基板搬送路12から移載された基板2が載置される。基板位置決め部14は、基板載置台移動機構14bが駆動されることによって基板載置台14aが水平面内方向に移動し、基板2上の部品装着部位2a(図2)を所定の位置に位置決めする。
【0022】
図1において、部品供給部15はテーブル状のパレット載置台15aとパレット載置台15aに連結されたパレット載置台移動機構15bを備えており、パレット載置台15aには複数の部品3を収容したパレット15cが載置される。部品供給部15は、パレット載置台移動機構15bが駆動されることによってパレット載置台15aが水平面内方向に移動し、パレット15c内の部品3を所定の位置に位置決めする。
【0023】
図1において、反転ヘッド16は水平面内方向に移動でき、下方に延びた昇降自在な吸着ノズル16aを備えている。反転ヘッド16は水平面内方向(図1では紙面に垂直な方向)に延びた回転軸J回りに回転して吸着ノズル16aの向きを上下反対にし、吸着ノズル16aを下方に向けた状態(図1中に実線で示す反転ヘッド16参照)から上方に向けた状態(図1中に一点鎖線で示す反転ヘッド16参照)に切り替える。
【0024】
反転ヘッド16は、部品供給部15により所定の位置に位置決めされた部品3を吸着ノズル16aによって真空吸着した後、回転軸J回りに回転されて部品3の表裏を反転させ、その状態で水平面内方向に移動することによって(図1中に示す矢印B)、表裏を反転させた部品3を装着ヘッド17に受け渡す。
【0025】
図1及び図2において、装着ヘッド17は水平面内方向に移動でき、下方に延びた昇降自在な吸着ノズル17aを備えている。装着ノズル17aの下端には部品3の上面と接触する吸着ツール20(図2も参照)が着脱自在に取り付けられている。
【0026】
図3(a),(b)において、装着ヘッド17の吸着ノズル17a内には、吸着ノズル17aの軸中心部を下方に開口して延びる部品吸着用管路17bと部品吸着用管路17bの周辺領域を下方に開口して延びる複数の吸着ツール取り付け用管路17cが設けられている。吸着ノズル17aの下端に吸着ツール20を接触させた状態で吸着ツール取り付け用管路17c内に真空圧が供給されると、吸着ノズル17aの下面に吸着ツール20が取り付けられ、その真空圧の供給が解除されると、吸着ノズル17aの下端から吸着ツール20が離脱する。
【0027】
図3(a),(b)において、吸着ツール20の内部には上下方向の貫通孔である吸着ツール内管路20aが設けられており、吸着ツール20の上面には上端開口部20bが開口し、吸着ツール20の下面には下端開口部20cが開口している。この吸着ツール内管路20aは、吸着ツール20が吸着ノズル17aの下端に取り付けられた状態で、吸着ノズル17aの部品吸着用管路17bと連通する。
【0028】
吸着ノズル17aの下端に吸着ツール20を取り付け、吸着ツール20の下面に部品3を接触させた状態で吸着ノズル17aの部品吸着用管路17b(及び吸着ツール内管路20a)内に真空圧が供給されると吸着ツール20の下面に部品3が吸着され、その真空圧の供給が解除されると、吸着ツール20の下面から部品3が離脱する。
【0029】
すなわち本実施の形態におけるフリップチップボンダー1が備える装着ヘッド17は、基板位置決め部14によって位置決めされた基板2に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツール20を介して部品3を吸着するヘッド部となっている。
【0030】
装着ヘッド17は、反転ヘッド16が供給する部品3の上方に吸着ノズル17aを位置させた上で吸着ノズル17aを下降させ(図1中に示す矢印C1)、吸着ツール20を部品3の上面に接触させて部品3を吸着した後上昇し、基板位置決め部14によって位置決めされた基板2の上方に移動する。そして、後述する撮像部18を用いた基板2上の部品装着部位2aと部品3との位置合わせがなされた後、吸着ノズル17aを下降させて(図1中に示す矢印C2)、吸着ノズル17aにより吸着した部品3を部品装着部位2aに上方から装着する。
【0031】
撮像部18は、図2及び図4に示すように、水平面内方向に広がって延びるとともに上面及び下面に開口部(下側開口部21a及び上側開口部21b)を有した筐体21内にプリズム22を備えている。プリズム22は下側開口部21aと上側開口部21bの間に設けられており、筐体21の下側開口部21aを介してプリズム22に入った光LT1と上側開口部21bを介してプリズム22に入った光LT2はいずれも筐体21と結合された拡大レンズ23を通ってCCDカメラ24に入射される。
【0032】
筐体21内には上下のシャッター(下側シャッター25a及び上側シャッター25b)が設けられている。下側シャッター25aは下側シャッター移動機構26aの作動により筐体21内を水平面内方向に移動して(図4中に示す矢印D1)、下側開口部21aを開閉する。また、上側シャッター25bは上側シャッター移動機構26bの作動により筐体21内を水平面内方向に移動して(図4中に示す矢印D2)、上側開口部21bを開閉する。
【0033】
下側シャッター25aが下側開口部21aを開放して上側シャッター25bが上側開口部21bを閉止すると、筐体21の下側から下側開口部21a内に入射した光LT1がCCDカメラ24に受光されるので、下側開口部21aの下方に位置する物体が撮像部18によって撮像される。一方、下側シャッター25aが下側開口部21aを閉止して上側シャッター25bが上側開口部21bを開放すると、筐体21の上側から上側開口部21b内に入射した光LT2がCCDカメラ24に受光されるので、上側開口部21bの上方に位置する物体が撮像部18によって撮像される。
【0034】
このように撮像部18では、下側シャッター25a及び上側シャッター25bの作動により、撮像方向を下方又は上方に切り替えて選択的に撮像を行うことができる。すなわち本実施の形態において、撮像部18は、撮像視野を下方に向けて下方に位置する撮像対象(例えば、基板位置決め部14によって位置決めされた基板2上の部品装着部位2a)を上方から撮像する下方撮像手段としての下方撮像カメラ18a(撮像方向を下方に切り替えた撮像部18。図5(a))と、撮像視野を上方に向けて上方に位置する撮像対象(例えば、吸着ツール20を介して装着ヘッド17に吸着された部品3)を下方から撮像する上方撮像手段としての上方撮像カメラ18b(撮像方向を上方に切り替えた撮像部18。図5(b))を併せ持ったものとなっている。
【0035】
撮像部18は撮像部移動機構27(図2)によって水平面内方向に移動自在であり、撮像部18を基板位置決め部14の上方から退避させた「待機位置」(図6(a))と、この待機位置から水平面内方向に移動して(図6(a)及び図2中に示す矢印E)、基板位置決め部14の上方に進出した「撮像位置」(図6(b))との間で移動させることができる。
【0036】
すなわち本実施の形態におけるフリップチップボンダー1では、下方撮像カメラ18a及び上方撮像カメラ18bは基板位置決め部14とその上方に位置した装着ヘッド17との間の領域(撮像位置)に進退可能になっている。
【0037】
基板搬送路12による基板2の搬送動作は、フリップチップボンダー1が備える制御装置30(図7)の作業実行制御部30a(図7)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路駆動部31(図7)の作動制御を行うことよってなされる。
【0038】
基板移載ヘッド13が備える吸着ノズル13aの昇降動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータから成る基板移載ヘッド吸着ノズル昇降部32(図7)の作動制御を行うことによってなされ、基板移載ヘッド13の水平面内方向への移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る基板移載ヘッド移動部33(図7)の作動制御を行うことによってなされる。また、基板移載ヘッド13が備える吸着ノズル13aによる基板2の吸着及び離脱動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る基板移載ヘッド吸着部34(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0039】
基板位置決め部14が備える基板載置台14aの水平面内方向への移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが基板載置台移動機構14bを駆動するアクチュエータから成る基板載置台移動機構駆動部35(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0040】
部品供給部15による部品3の供給動作は、制御装置30の作業実行制御部30aがパレット載置台移動機構15bを駆動するアクチュエータ等から成るパレット載置台移動機構駆動部36(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0041】
反転ヘッド16が備える吸着ノズル16aの昇降動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが備える図示しないアクチュエータ等から成る反転ヘッド吸着ノズル昇降部37(図7)の作動制御を行うことによってなされ、反転ヘッド16による部品3の吸着動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る反転ヘッド吸着部38(図7)の作動制御を行うことによってなされる。また、反転ヘッド16の上下反転動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る反転ヘッド反転部39(図7)の作動制御を行うことによってなされ、反転ヘッド16の水平面内方向への移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る反転ヘッド移動部40(図7)の作動制御を行ことによってなされる。
【0042】
装着ヘッド17が備える吸着ノズル17aの昇降動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド吸着ノズル昇降部41(図7)の作動制御を行うことによってなされ、装着ヘッド17の水平面内方向への移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド移動部42(図7)の作動制御を行うことによってなされる。また、装着ヘッド17が備える吸着ノズル17aによる部品3の吸着及び離脱動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド吸着部43(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0043】
撮像部18の撮像方向の切り替え(下方撮像カメラ18aと上方撮像カメラ18bの切り替え)は、制御装置30の作業実行制御部30aが前述の下側シャッター移動機構26a及び上側シャッター移動機構26bを駆動するアクチュエータ等から成るシャッター移動機構駆動部44(図7及び図4)の作動制御を行うことよってなされ、撮像部18による撮像は、制御装置30の作業実行制御部30aがCCDカメラ駆動部45(図7)の作動制御を行うことによってなされる。なお、CCDカメラ24の撮像によって得られた画像データは制御装置30に入力されて、制御装置30の画像認識部30b(図7)において画像認識される。また、撮像部18の待機位置と撮像位置との間の移動動作は、制御装置30の作業実行制御部30aが前述の撮像部移動機構27を駆動するアクチュエータ等から成る撮像部移動機構駆動部46(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0044】
制御装置30の作業実行制御部30aは、反転ヘッド16から部品3を受け取った装着ヘッド17により、その部品3を基板2に装着するときは、基板位置決め部14(基板載置台14a)上に載置した基板2の部品装着部位2aと装着ヘッド17により吸着した部品3との位置合わせ(部品装着前の位置合わせ)を行う。この部品装着前の位置合わせは、下方撮像カメラ18aにより基板2上の部品装着部位2aを上方から撮像するとともに、上方撮像カメラ18bにより装着ヘッド17に吸着された部品3を下方から撮像し、下方撮像カメラ18aにより撮像される(下方撮像カメラ18aの撮像視野内に映じている)基板2上の部品装着部位2aと上方撮像カメラ18bにより撮像される(上方撮像カメラ18bの撮像視野内に映じている)装着ヘッド17に吸着された部品3が、そのまま部品3を(装着ヘッド17を)下降したときに部品3が部品装着部位2aに装着されることとなる位置関係になるように部品3を(装着ヘッド17を)移動させることによって行う。このため、下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(以下、撮像物体の相対位置関係と称する)を予め(部品実装工程の開始前に)検出しておく必要があり、以下、撮像物体の相対位置関係の検出工程の実行手順を、図8のフローチャート及び図9〜図11の説明図を参照しながら説明する。
【0045】
撮像物体の相対位置関係の検出では、制御装置30は先ず、装着ヘッド17を下降させ、装着ヘッド17に取り付けられている吸着ツール20を基板位置決め部14の基板載置台14a上で取り外して基板載置台14a上に載置する(図9(a)。図8に示すステップST1の吸着ツール載置工程)。
【0046】
制御装置30は、吸着ツール20を基板載置台14a上に載置したら、撮像部18を吸着ツール20と装着ヘッド17の間の撮像位置に進出させて(図9(a)中に示す矢印F1。図8に示すステップST2の撮像部進出工程)、基板載置台14a上に載置された吸着ツール20の直上に筐体21の下側開口部21aが位置するようにする。そして、制御装置30の作業実行制御部30aは、撮像部18の撮像方向を下方に切り替えたうえで(図8に示すステップST3の撮像方向切り替え工程)、吸着ツール内管路20aの上端開口部20bを吸着ツール20の上面の認識対象部位(第1の認識対象部位)としてこれを含む領域を下方撮像カメラ18aによって撮像する(図9(b)。図8に示すステップST4の吸着ツール上面撮像工程)。
【0047】
制御装置30の作業実行制御部30aは、下方撮像カメラ18aにより吸着ツール20の上端開口部20bを含む領域を撮像したら、撮像部18を基板位置決め部14上と装着ヘッド17の間の撮像位置から移動させて待機位置に退避させる(図9(c)中に示す矢印F2。図8に示すステップST5の撮像部退避工程)。そして、装着ヘッド17を下降させ(図10(a)中に示す矢印G1)、装着ヘッド17に吸着ツール20を吸着させて取り付ける(図10(a)。図8に示すステップST6の吸着ツール取り付け工程)。
【0048】
制御装置30の作業実行制御部30aは、装着ヘッド17に吸着ツール20を取り付けたら、装着ヘッド17を上昇させて(図10(b)中に示す矢印G2)、装着ヘッド17を撮像部18よりも上方の規定位置に位置させる(図10(b)。図8に示すステップST7の装着ヘッド上昇工程)。
【0049】
制御装置30の作業実行制御部30aは、吸着ツール20を取り付けた装着ヘッド17を上昇させたら、撮像部18を吸着ツール20と装着ヘッド17の間の撮像位置に撮像部18を進出させ(図10(c)中に示す矢印F3。図8に示すステップST8の撮像部進出工程)、装着ヘッド17に取り付けた吸着ツール20の直下に筐体21の上側開口部21bが位置するようにする。なお、このとき撮像部18は、下方撮像カメラ18aにより吸着ツール20の上面の上端開口部20bを撮像したときと同じ位置に位置させるようにする。そして、制御装置30の作業実行制御部30aは、撮像部18の撮像方向を上方に切り替えたうえで(図8に示すステップST9の撮像方向切り替え工程)、吸着ツール内管路20aの下端開口部20cを吸着ツール20の下面の認識対象部位(第2の認識対象部位)としてこれを含む領域を撮像する(図10(c)。図8に示すステップST10の吸着ツール下面撮像工程)。
【0050】
制御装置30の作業実行制御部30aは、上方撮像カメラ18bにより吸着ツール20の下端開口部20cを含む領域を撮像したら、撮像部18を基板位置決め部14と装着ヘッド17の間の撮像位置から待機位置に退避させる(図8に示すステップST11の撮像部退避工程)。
【0051】
制御装置30の位置関係検出部30c(図7)は、撮像部18を待機位置に退避させたら、ステップST4で得られた画像、すなわち装着ヘッド17に取り付けられる前の吸着ツール20の上端開口部20bを含む領域を下方撮像カメラ18aにより撮像して得られた画像(第1の画像とする)と、ステップST10で得られた画像、すなわち装着ヘッド17に取り付けられた後の吸着ツール20の下端開口部20cを上方撮像カメラ18bにより撮像して得られた画像(第2の画像とする)より上端開口部20bと下端開口部20cの相対位置を把握し、その相対位置から、下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)を検出する(図8に示すステップST12の相対位置関係検出工程)。
【0052】
図11に示す画像SGは、下方撮像カメラ18aによる撮像画像と、上方撮像カメラ18bによる撮像画像を同方向から見た状態で重ねて表したものであり、符号P1で示す黒丸は下方撮像カメラ18aで視認した吸着ツール20の上面の上端開口部20b、符号P2で示す白丸は上方撮像カメラ18bで視認した吸着ツール20の下面の下端開口部20cを表している。この場合、部品装着時に、下方撮像カメラ18aで撮像した基板2上の部品装着部位2aと上方撮像カメラ18bで撮像した装着ヘッド17に装着された部品3との位置関係が、図11における黒丸P1と白丸P2の位置関係となるように基板2に対する装着ヘッド17の位置を調整すれば、その後装着ヘッド17を下降したときに、装着ヘッド17に吸着させた部品3が基板2上の部品装着部位2aに正確に装着されることになる。
【0053】
なお、このようにして検出される撮像物体の相対位置関係は部品実装工程の進行に従って経時的に変化するものであり、部品実装工程の開示時だけでなく、部品実装工程の実行中も折に触れて頻繁に行う必要がある。
【0054】
また、図12に示すように、吸着ツール20に設けられた吸着ツール内管路20aの中心軸Sが上下軸Wと平行でない(上下軸Wに対して傾いている)場合には、吸着ツール内管路20aの下端開口部20cにおける吸着ツール20の下面に沿った方向(水平面内方向)のオフセット量δ1と、吸着ツール内管路20aの上端開口部20bにおける吸着ツール20の上面に沿った方向(水平面内方向)のオフセット量δ2とを予め取得して制御装置30の記憶部30d(図7)に記憶させておき、これらオフセット量δ1,δ2のデータをステップST12において呼び出して用いるようにすることにより、吸着ツール内管路20aの中心軸Sが上下軸Wと平行でない場合の影響をなくすことができる。
【0055】
次に、本実施の形態におけるフリップチップボンダー1による部品実装工程の手順について、図13のフローチャート及び図14、図15の説明図を用いて説明する。これには制御装置30は先ず、前述の手順によって下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)の検出を行う(図13に示すステップST21の撮像物体位置関係検出工程)。
【0056】
制御装置30は、ステップST21の撮像物体位置関係の検出工程が終了したら、基板搬送路12によって基板2を搬送して所定の位置に供給する(図13に示すステップST22の基板供給工程)。そして、制御装置30は、基板搬送路12によって供給された基板2を基板移載ヘッド13により吸着し、基板位置決め部14に移載する(図13に示すステップST23の基板移載工程)。
【0057】
制御装置30は、ステップST23の基板移載工程が終了したら、部品供給部15によってパレット15c内の部品3を所定の位置に位置決めする(図13に示すステップST24の部品位置決め工程)。そして、反転ヘッド16によりパレット15c内の部品3を吸着し、反転ヘッド16を回転軸J回りに回転させて部品3を上下に反転させたうえで、反転ヘッド16を装着ヘッド17の側へ移動させる(図13に示すステップST25の部品吸着・反転・移動工程)。
【0058】
制御装置30は、部品3を吸着した反転ヘッド16を装着ヘッド17の側へ移動させたら、反転ヘッド16が吸着している部品3の直上に装着ヘッド17を移動させたうえで、装着ヘッド17によりその部品3を吸着して装着ヘッド17に部品3を受け取らせる(図13に示すステップST26の部品受け取り工程)。
【0059】
制御装置30は、装着ヘッド17に部品3を受け取らせたら、装着ヘッド17を基板位置決め部14の上方に位置させる。そして、撮像部18を基板位置決め部14と装着ヘッド17の間の撮像位置に進出させて(図14(a)→図14(b)。図14(a)中に示す矢印H1)、下方撮像カメラ18aによる基板2上の部品装着部位2aの撮像を行うとともに(図14(c))、上方撮像カメラ18bによる装着ヘッド17に吸着された部品3の撮像を行う(図15(a))。そして、制御装置30は、ステップST21で検出した下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)に基づいて、基板2上の部品装着部位2aに対する装着ヘッド17に吸着された部品3の位置合わせ(部品装着前の位置合わせ)を行う(図13に示すステップST27の位置合わせ工程)。
【0060】
このステップST27の位置合わせ工程では、前述のように、基板2上の部品装着部位2aと装着ヘッド17に吸着された部品3との位置関係が、ステップST21で検出した撮像物体の相対位置関係、すなわち、下方撮像カメラ18aの視野内に映し出された上端開口部20bの位置と上方撮像カメラ18bの視野内に映し出された下端開口部20cの位置との位置関係と同じになるように、装着ヘッド17の位置を調整する。
【0061】
制御装置30は、ステップST27の位置合わせ工程が終了したら、撮像部18を基板位置決め部14と装着ヘッド17の間の撮像位置から待機位置に退避させたうえで(図15(b)。図中に示す矢印H2)、装着ヘッド17を下降させ(図15(c)。図中に示す矢印K)、装着ヘッド17に吸着した部品3を基板2の部品装着部位2a上に装着する(図13に示すステップST28の部品装着工程)。これにより、装着ヘッド17に吸着させた部品3は、基板2上の部品装着部位2a上に正確に装着される。
【0062】
制御装置30は、ステップST28の部品装着工程が終了したら、現在部品3の装着対象となっている基板2に装着すべき部品3を全て装着したかどうかの判断を行う(図13に示すステップST29の部品装着判断工程)。そして、制御装置30は、基板2に装着すべき部品3を全て装着していなかった場合には、ステップST24に戻って部品供給部15による部品3の位置決めを新たに行い、基板2に装着すべき部品3を全て装着していた場合には、基板移載ヘッド13により基板2を基板搬送路12に移載したうえで(図13に示すステップST30の基板移載工程)、その基板2を基板搬送路12によってフリップチップボンダー1の外部に搬出する(図13に示すステップST31の基板搬出工程)。
【0063】
制御装置30は、基板2をフリップチップボンダー1の外部に搬出したら、まだ部品3の装着を行うべき基板2が残っているかどうかの判断を行う(図13に示すステップST32の基板有無判断工程)。そして、まだ部品3の装着を行うべき基板2が残っていた場合には、更に、ステップST21の撮像物体位置関係検出工程を実行する必要があるか否かの判断を行う(図13に示すステップST33の位置関係検出実行判断工程)。このステップST33では、例えば、部品実装工程を開始した後、一定時間が経過し、或いは一定作業量を実行していた場合には、ステップST21の撮像物体位置関係検出工程を実行する判断を行う。
【0064】
制御装置30は、ステップST33でステップST21の撮像物体位置関係検出工程を実行する必要はないと判断したときには、ステップST22に戻って基板搬送路12による基板2の供給を新たに行い、ステップST21の撮像物体位置関係検出工程を実行する必要があると判断したときには、ステップST21に戻って撮像物体位置関係検出工程を実行する。
【0065】
このステップST21に戻って行う撮像物体位置関係検出工程では、吸着ツール20を一旦装着ヘッド17から取り外して基板位置決め部14の基板載置台14a上に載置する必要はあるものの、装着ヘッド17から吸着ノズル17aを取り外す必要はない。このため、吸着ノズル17aについては部品実装工程の実行中における状態のまま、すなわち、吸着ノズル17aに熱歪み等がある場合には、その熱歪み等の影響を加味した状態で撮像物体の相対位置関係の検出を行うことができる。
【0066】
制御装置30は、ステップST32で、部品3の装着を行うべき基板2がないと判断した場合には、一連の部品実装工程を終了する。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置としてのフリップチップボンダー1は、基板2の位置決めを行う基板位置決め部14と、基板位置決め部14に位置決めされた基板2に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツール20を介して部品3を吸着し、その吸着した部品3を基板位置決め部14に位置決めされた基板2上の部品装着部位2aに装着するヘッド部としての装着ヘッド17を備えるほか、撮像視野を下方に向けた下方撮像手段としての下方撮像カメラ18aと、撮像視野を上方に向けた上方撮像手段としての上方撮像カメラ18bと、所定の吸着ツール載置部(基板載置台14a)に載置された吸着ツール20の上面の上端開口部20b(第1の認識対象部位)を下方撮像カメラ18aにより上方から撮像して得られる第1の画像及び上記吸着ツール載置部(基板載置台14a)に載置された吸着ツール20を装着ヘッド17に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツール20の下面の下端開口部20c(第2の認識対象部位)を上方撮像カメラ18bにより下方から撮像して得られる第2の画像より求められる吸着ツール20の上端開口部20b(第1の認識対象部位)と吸着ツール20の下端開口部20c(第2の認識対象部位)の相対位置から、下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)を検出する位置関係検出手段としての制御装置30の位置関係検出部30cと、位置関係検出部30cにおいて検出された下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位2aに対する装着ヘッド17に吸着された部品3の位置合わせを行い、そのうえで装着ヘッド17を下降させて部品3を部品装着部位2aに装着する部品装着手段としての制御装置30の作業実行制御部30aを備えたものとなっている。
【0068】
また、本実施の形態における部品実装方法は、本実施の形態におけるフリップチップボンダー1による部品実装方法であり、所定の吸着ツール載置部(基板載置台14a)に載置された吸着ツール20の上面の上端開口部20b(第1の認識対象部位)を、撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラ18aにより上方から撮像して第1の画像を得る工程(ステップST4の吸着ツール上面撮像工程)と、上記吸着ツール載置部(基板載置台14a)に載置された吸着ツール20を装着ヘッド17に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツール20の下面の下端開口部20c(第2の認識対象部位)を、撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラ18bにより下方から撮像して第2の画像を得る工程(ステップST10の吸着ツール下面撮像工程)と、得られた第1の画像及び第2の画像より求められる上端開口部20bと下端開口部20cの相対位置から、下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係(撮像物体の相対位置関係)を検出する工程(ステップST12の相対位置関係検出工程)と、検出した下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位2aに対する装着ヘッド17に吸着された部品3の位置合わせを行い、そのうえで装着ヘッド17を下降させて部品3を部品装着部位に装着する工程(ステップST28の部品装着工程)を含むものとなっている。
【0069】
本実施の形態におけるフリップチップボンダー1及びこれを用いた部品実装方法では、部品装着前の基板2と部品3の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係(下方撮像カメラ18aにより撮像される物体と上方撮像カメラ18bにより撮像される物体の相対位置関係)を、もともと装着ヘッド17に取り付けられる部材である吸着ツール20を治具部品として検出するようになっているので、従来のように撮像物体の相対位置関係を求めるための専用の治具を必要とせず、したがって治具を吸着するための専用の吸着ツールをヘッド部に取り付ける(付け替える)必要がないので、撮像物体の相対位置関係を非常に簡易な工程で検出することができる。
【0070】
また、本実施の形態におけるフリップチップボンダー1及びこれを用いた部品実装方法では、下方撮像カメラ18aにより撮像される吸着ツール20の上面の第1の認識対象部位及び上方撮像カメラ18bにより撮像される吸着ツール20の下面の第2の認識対象部位は吸着ツール20に設けられた貫通孔(吸着ツール内管路20a)の上端開口部20bと下端開口部20cであるので、第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の形成が容易である。更には、貫通孔は吸着ツール20に必ず設けられる部品3の吸着管路の吸着ツール内管路20aから成るので、第1の認識対象部位と第2の認識対象部位を別途設ける必要がない。
【0071】
なお、吸着ツール20の上面の第1の認識対象部位及び吸着ツール20の下面の第2の認識対象部位は、必ずしも吸着ツール20に設けられた部品3の吸着管路(吸着ツール内管路20a)の上端開口部20bと下端開口部20cである必要はなく、吸着ツール20上の位置を把握できるのであれば、図16(a),(b)に示すように、部品3の吸着管路(吸着ツール内管路20a)とは別個に設けた貫通孔20pの上端開口部20s及び下端開口部20tとしてもよい。
【0072】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、下方撮像カメラ18aと上方撮像カメラ18bは一体となった構成となっていたが、下方撮像カメラ18aと上方撮像カメラ18bは必ずしも一体となっていなければならないわけではない。
【0073】
また、上述の実施の形態では、本発明が適用される部品実装装置がフリップチップボンダー1であったが、これは一例であり、本発明は、フリップチップ型ではないダイボンダーや、表面実装型の部品実装装置等に対しても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
部品装着前の基板と部品の位置合わせ時に必要な撮像物体の相対位置関係を簡易な工程で検出することができる部品実装装置及び部品実装方法を提供する。
【符号の説明】
【0075】
1 フリップチップボンダー(部品実装装置)
2 基板
2a 部品装着部位
3 部品
14 基板位置決め部
14a 基板載置台(吸着ツール載置部)
17 装着ヘッド(ヘッド部)
18a 下方撮像カメラ(下方撮像手段)
18b 上方撮像カメラ(上方撮像手段)
20 吸着ツール
20a 吸着ツール内管路(貫通孔、吸着管路)
20b 上端開口部(第1の認識対象部位)
20c 下端開口部(第2の認識対象部位)
30a 作業実行制御部(部品装着手段)
30c 位置関係検出部(位置関係検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の位置決めを行う基板位置決め部と、
基板位置決め部に位置決めされた基板に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品を吸着し、その吸着した部品を基板位置決め部に位置決めされた基板上の部品装着部位に装着するヘッド部と、
撮像視野を下方に向けた下方撮像手段と、
撮像視野を上方に向けた上方撮像手段と、
所定の吸着ツール載置部に載置された吸着ツールの上面の第1の認識対象部位を下方撮像手段により上方から撮像して得られる第1の画像及び前記吸着ツール載置部に載置された吸着ツールをヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツールの下面の第2の認識対象部位を上方撮像手段により下方から撮像して得られる第2の画像より求められる第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の相対位置から、下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係を検出する位置関係検出手段と、
位置関係検出手段において検出された下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行い、そのうえでヘッド部を下降させて部品を部品装着部位に装着する部品装着手段とを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
第1の認識対象部位及び第2の認識対象部位は吸着ツールに設けられた貫通孔の上端開口部と下端開口部であることを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記貫通孔は部品の吸着管路であることを特徴とする請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
下方撮像手段及び上方撮像手段は基板位置決め部とその上方に位置したヘッド部との間の領域に進退可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の部品実装装置。
【請求項5】
基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板位置決め部に位置決めされた基板に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品を吸着し、その吸着した部品を基板位置決め部に位置決めされた基板上の部品装着部位に装着するヘッド部とを備えた部品実装装置による部品実装方法であって、
所定の吸着ツール載置部に載置された吸着ツールの上面の第1の認識対象部位を、撮像視野を下方に向けた下方撮像手段により上方から撮像して第1の画像を得る工程と、
前記吸着ツール載置部に載置された吸着ツールをヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツールの下面の第2の認識対象部位を、撮像視野を上方に向けた上方撮像手段により下方から撮像して第2の画像を得る工程と、
得られた第1の画像及び第2の画像より求められる第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の相対位置から、下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係を検出する工程と、
検出した下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行い、そのうえでヘッド部を下降させて部品を部品装着部位に装着する工程とを含むことを特徴とする部品実装方法。
【請求項6】
第1の認識対象部位及び第2の認識対象部位は吸着ツールに設けられた貫通孔の上端開口部と下端開口部であることを特徴とする請求項5に記載の部品実装方法。
【請求項7】
前記貫通孔は部品の吸着管路であることを特徴とする請求項6に記載の部品実装方法。
【請求項1】
基板の位置決めを行う基板位置決め部と、
基板位置決め部に位置決めされた基板に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品を吸着し、その吸着した部品を基板位置決め部に位置決めされた基板上の部品装着部位に装着するヘッド部と、
撮像視野を下方に向けた下方撮像手段と、
撮像視野を上方に向けた上方撮像手段と、
所定の吸着ツール載置部に載置された吸着ツールの上面の第1の認識対象部位を下方撮像手段により上方から撮像して得られる第1の画像及び前記吸着ツール載置部に載置された吸着ツールをヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツールの下面の第2の認識対象部位を上方撮像手段により下方から撮像して得られる第2の画像より求められる第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の相対位置から、下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係を検出する位置関係検出手段と、
位置関係検出手段において検出された下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行い、そのうえでヘッド部を下降させて部品を部品装着部位に装着する部品装着手段とを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
第1の認識対象部位及び第2の認識対象部位は吸着ツールに設けられた貫通孔の上端開口部と下端開口部であることを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記貫通孔は部品の吸着管路であることを特徴とする請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
下方撮像手段及び上方撮像手段は基板位置決め部とその上方に位置したヘッド部との間の領域に進退可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の部品実装装置。
【請求項5】
基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板位置決め部に位置決めされた基板に対して相対移動自在に設けられ、下端に着脱自在に取り付けられた吸着ツールを介して部品を吸着し、その吸着した部品を基板位置決め部に位置決めされた基板上の部品装着部位に装着するヘッド部とを備えた部品実装装置による部品実装方法であって、
所定の吸着ツール載置部に載置された吸着ツールの上面の第1の認識対象部位を、撮像視野を下方に向けた下方撮像手段により上方から撮像して第1の画像を得る工程と、
前記吸着ツール載置部に載置された吸着ツールをヘッド部に取り付けて上昇させた状態でその吸着ツールの下面の第2の認識対象部位を、撮像視野を上方に向けた上方撮像手段により下方から撮像して第2の画像を得る工程と、
得られた第1の画像及び第2の画像より求められる第1の認識対象部位と第2の認識対象部位の相対位置から、下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係を検出する工程と、
検出した下方撮像手段により撮像される物体と上方撮像手段により撮像される物体の相対位置関係に基づいて部品装着部位に対するヘッド部に吸着された部品の位置合わせを行い、そのうえでヘッド部を下降させて部品を部品装着部位に装着する工程とを含むことを特徴とする部品実装方法。
【請求項6】
第1の認識対象部位及び第2の認識対象部位は吸着ツールに設けられた貫通孔の上端開口部と下端開口部であることを特徴とする請求項5に記載の部品実装方法。
【請求項7】
前記貫通孔は部品の吸着管路であることを特徴とする請求項6に記載の部品実装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−49157(P2012−49157A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186814(P2010−186814)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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