説明

部品配膳台車を用いた部品配膳システム及び部品配膳方法

【課題】多品種少量生産において、作業者の作業習熟度の個人差を低減し、且つ部品の選択間違いや組立間違いをなくすこと。
【解決手段】複数の保管箱を有する保管棚12と、部品箱20に部品を配膳する部品配膳台車1と、保管箱18と部品箱20の表示を制御する部品出庫・配膳作業指示システム7と、部品箱20から部品を取り出して部品組立作業を指示する組立作業指示システム13と、部品の出庫作業と配膳作業に必要なデータ及び部品の組立作業に必要なデータを管理し両システムにデータを提供するデータ管理サーバ16と、を備え、両システム7,13は、データ管理サーバ16からのデータを基に、出庫作業と配膳作業と組立作業とからなる一連の作業を、単一の部品配膳台車1を介在させて、複数の型式又は品種の製品の製作に対処すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管棚に部品ごとに分類して保管管理されている部品群から出庫情報に基づいて必要な部品を取り出して部品配膳台車に配膳し、配膳した部品を組立作業指示情報に基づいて部品を組立てる一連の部品配膳システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組立工場では部品倉庫より組立に必要な分だけ出庫し、組立作業を行う場合、部品出庫作業や組立作業の効率向上と出庫ミス防止のため、出庫または組立作業を支援するシステムを用いている。通常、部品の出庫作業では保管棚をある規則で配列し、例えば出庫した部品を載せる台車をこのような保管棚に沿って移動させながら出庫作業などを行っている。出庫システムは、例えば保管棚に設けられた表示ランプのうち組立に必要とされる部品が収容されている部分に対応する表示ランプを点灯させ、部品収容部を特定するようになっている(例えば、出庫のときの表示ランプ点灯については特許文献1を参照)。
【0003】
また、部品の組立作業では、組立作業指示システムは例えば、組立作業方法として、組立に必要な部品の組み込み方法や組み込み順番、組み込み作業に使用する治具番号、組み込み上の注意事項などの細かな作業指示情報が記載されている組立作業指示システムや、同様に作業指示情報が記載された作業指示情報図面を使用して作業を行うことが一般的な手法として知られている。例えば、セル生産の作業情報の内容を表示する表示手段と生産に使用される部品の収納間口の表示ランプとを対応する色で点灯又は点滅させて部品の取り違えをなくするようなことは、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−341817号公報
【特許文献2】特開2001−242928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1や特許文献2に開示されたような従来の部品配膳台車及び部品配膳システムを備えた組立工場では、作業者はランプの点灯又は点滅により指定された部品を出庫し、組立てれば良く、伝票もしくは図示に基づく部品取り出しに比べて作業の効率及び正確さが向上する。しかしながら、多品種、少量生産の組立工場では出庫対象となる部品は数千種類に及び、さらに組立製品も千数百種類に及ぶ。しかも、部品組込不良は全く許容されないため出庫作業には極めて高い正確さが要求され且つ出庫作業は迅速に行う必要がある。
【0006】
本発明は、組立工場における部品の出庫作業、組立作業、及び生産品種切替時の出庫作業の誤り防止と作業効率向上を可能とする部品配膳台車を用いた一連の部品配膳システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
部品を種別毎に収容する複数の保管箱を有する保管棚と、前記保管棚の特定の保管箱から部品を出庫して特定の部品箱に部品を配膳する移動可能な部品配膳台車と、前記部品の出庫と配膳の作業指示情報を読み込むとともに前記作業指示情報を表示するとともに前記保管箱と前記部品箱を表示制御する部品出庫・配膳作業指示システムと、表示された部品組立指示情報を基にして前記部品配膳台車の部品箱から所定の部品を取り出して部品組立作業を行うように指示する部品組立作業指示システムと、前記部品出庫・配膳作業指示システム及び前記部品組立作業指示システムとデータを授受することによって、部品の出庫作業と配膳作業に必要なデータ及び部品の組立作業に必要なデータを管理し両システムにデータを提供するデータ管理サーバと、を備え、
前記部品出庫・配膳作業システムと前記部品組立作業システムは、前記データ管理サーバから提供されるデータを基にして、前記保管箱からの出庫作業と前記部品箱への配膳作業と前記部品箱から取り出された部品による組立作業とからなる一連の作業を、単一の部品配膳台車を介在させて、複数の型式又は品種の製品の製作に対処する機能を有する部品配膳台車を用いた部品配膳システム。
【0008】
また、前記部品配膳台車を用いた部品配膳システムにおいて、前記部品出庫・配膳作業システムは、部品毎の出庫情報及び配膳情報をディスプレイ表示するとともに、出庫を必要とする部品が保管されている保管箱を特定するランプ表示と、前記部品配膳台車の配膳すべき部品箱を特定するランプ表示とを、それぞれ前記保管棚と前記部品配膳台車に対して指示し、さらに、前記ランプ表示された保管箱以外の保管箱から部品を出庫した場合、及び前記ランプ表示された部品箱以外の部品箱に部品を配膳した場合は警告又は警報を発する機能を備える構成である。さらに、前記部品組立作業システムは、部品毎の組立情報をディスプレイ表示するとともに、組立に必要となる部品が配膳されている部品箱を特定するランプ表示を前記部品配膳台車に対して指示し、さらに、前記ランプ表示された部品箱以外の部品箱から部品を取り出した場合は警告又は警報を発する機能を備える構成である。
【0009】
また、前記部品配膳台車を用いた部品配膳システムにおいて、前記部品出庫・配膳作業システム及び前記部品組立作業システムは、製品の型式又は品種を特定する作業指示タグを読み込んで、前記データ管理サーバからの前記製品の型式又は品種に対応する部品リストのデータ提供を受けることによって、前記複数の型式又は品種の製品の製作に対処する機能を奏する構成である。さらに、前記部品配膳台車を用いた部品配膳システムにおいて、前記単一の部品配膳台車を介在させる代わりに、複数の部品配膳台車と配置し、さらに、前記複数の部品配膳台車に対応して複数の部品組立作業システムを配置することで、同時に多型式又は多品種の部品組立作業を行う構成である。
【0010】
また、部品の種別毎に収容する複数の保管箱を有する保管棚と、前記保管棚の特定の保管箱から部品を出庫して特定の部品箱に部品を配膳する移動可能な部品配膳台車と、前記部品の出庫と配膳の作業指示情報を読み込むとともに前記作業指示情報を表示するとともに前記保管箱と前記部品箱を表示制御する部品出庫・配膳作業指示システムと、表示された部品組立指示情報を基にして前記部品配膳台車の部品箱から所定の部品を取り出して部品組立作業を行うように指示する部品組立作業指示システムと、前記部品出庫・配膳作業指示システム及び前記部品組立作業指示システムとデータを授受することによって、部品の出庫作業と配膳作業に必要なデータ及び部品の組立作業に必要なデータを管理し両システムにデータを提供するデータ管理サーバと、を備えた部品配膳システムにおける部品配膳方法において、
前記部品出庫・配膳作業システムによって、前記データ管理サーバから提供されるデータを基にして、前記保管箱からの出庫作業と前記部品箱への配膳作業に際して出庫すべき保管箱と配膳すべき部品箱をランプ表示するステップと、前記出庫すべき保管箱から部品が出庫されたか否か、および前記配膳すべき部品箱に部品が配膳されたか否かを確認するステップと、前記配膳されたか否かの判定で否の場合には警告又は警報を発するステップと、前記部品組立作業システムによって、前記データ管理サーバから提供されるデータを基にして、組立に必要となる部品が配膳されている部品箱を特定するランプ表示するステップと、前記ランプ表示された部品箱以外の部品箱から部品を取り出した場合には警告又は警報を発するステップと、からなる部品配膳方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品出庫指示により部品を迅速に且つ正確に部品の配膳作業を行い、組立作業指示により迅速に且つ正確に組立作業を行うことができ、出庫及び組立効率を向上し出庫及び組立ミスを防止することができる。
【0012】
また、部品配膳台車を用いることで部品の保管棚から組立作業場所へ容易に移動することができ、部品の出庫から組立作業の部品保管場所として使用できる。さらに、部品配膳台車を複数台同時に使用し、多品種の同時組立作業を効率よく正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る部品配膳台車を用いた部品配膳システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】本実施形態に関する保管棚から部品配膳台車に部品を出庫する部品出庫・配膳作業のフローを示す図である。
【図3】本実施形態に関する部品配膳台車から組立作業台に部品を移す部品組立作業のフローを示す図である。
【図4】本実施形態に関する保管棚の具体的構成を示す図である。
【図5】本実施形態に関する部品配膳台車の部品箱の具体的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る部品配膳台車を用いた部品配膳システムについて、図1〜図5を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る部品配膳台車を用いた部品配膳システムの全体構成を示す説明図である。図2は本実施形態に関する保管棚から部品配膳台車に部品を出庫・配膳する部品出庫・配膳作業のフローを示す図である。図3は本実施形態に関する部品配膳台車から組立作業台に部品を移す部品組立作業のフローを示す図である。図4は本実施形態に関する保管棚の具体的構成を示す図である。図5は本実施形態に関する部品配膳台車の部品箱の具体的構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る部品配膳台車を用いた部品配膳システムは、複数の部品箱20が配置された部品配膳台車1と、部品配膳台車に通常載置されている部品出庫作業指示システム7と、組立作業指示システム13と、部品を保管している保管棚12と、部品出庫作業指示システム7及び組立作業指示システム13とデータ授受するデータ管理サーバ16と、から構成されている。
【0016】
まず、本実施形態に係る部品配膳システムの概要を説明する。部品出庫作業指示システム7を載置した部品配膳台車1を作業者が部品の保管棚12に持ち来して保管棚12から必要な部品を取り出して所定の部品箱20に出庫・配膳するのであるが、その際、部品出庫作業指示システム7の部品出庫用端末8は、製品を特定する型式を作業指示書タグ11から読み出すとともにデータ管理サーバ16から当該型式の部品リスト、部品の保管棚12の保管箱18場所や数量、部品箱20の配膳場所等の提供を受けて、部品出庫用端末8の一画面には部品1種類に対する出庫・配膳指示が表示され、当該出庫・配膳作業の終了確認が行われることで、次の部品の出庫・配膳指示が再び表示されることが原則的な作業流れとなっている。部品出庫用端末8における1つの画面に部品の1種類毎に対する指示の表示があって、この指示の画面表示に関連させて保管棚12の保管箱18における保管棚ランプ17や部品配膳台車1の部品箱20におけるランプ21を利用して間違いのない出庫・配膳作業を行うものである。
【0017】
さらに、部品配膳台車1から組立作業台14への部品移動の部品組立作業においても、上述した部品出庫・配膳作業と同様に、組立作業指示システム13の組立作業用端末15には、1つの画面に1つの部品の組立作業の指示が表示されるのが前提となっている。そして、本実施形態では、部品の保管棚12から出庫、部品の部品箱20への配膳、組立作業台14への部品移動という一連の作業について、部品出庫作業指示システム7と組立作業指示システム13とをデータ管理サーバ16を介して連係させ、部品配膳台車を用いて実施することが、本実施形態の特徴の1つである。本実施形態において、部品配膳システムというのは、部品箱20への部品の収納を単に指すのではなくて、図1に示す全体のシステムを指称する。
【0018】
次に、本発明の実施形態に係る部品配膳システムにおける各構成要素について詳細にその構成と機能を説明する。図1及び図5に示すように、部品配膳台車1には、複数の部品箱20が配置されている(単一の部品毎にそれぞれ部品箱20が設けられている)。そして、部品箱20を置くエリアごとに報知装置としてのランプ21(例えばLED等)と作業誤りを検出するためのセンサ22(例えば光電センサ等)が取り付けられている。付け加えると、部品出庫作業指示システム7の指示によって保管棚12から出庫した部品に対して、部品箱(部品ボックス)20中のどの部品箱に配膳(収容)するのかをランプ21を点灯又は点滅させて特定することで、間違いのない収容を図っている。また、点灯又は点滅していない部品箱20に誤って部品を収容すると、センサ22が検知してブザー23で警告するようになっている。
【0019】
また、部品配膳台車1には、作業誤り検出時に報知するブザー23と、部品出庫作業指示システム7からのデータと通信するための無線端末3と、部品出庫作業指示システム7からのデータによりランプ21とセンサ22を制御するための制御装置2と、移動時にも使用できるための電源装置4(例えばバッテリ等)と、電源装置4を充電するための充電器5と、複数ある部品配膳台車1の内で該当する部品配膳台車1へデータを通信するための個別認識コードを持った配膳台車認識タグ6と、が搭載されている。
【0020】
部品出庫作業指示システム7は、通常、部品配膳台車1に載置されているものであり、部品の出庫指示情報を表示する部品出庫用端末8と、作業指示書タグ11(例えば、組み立てる製品を特定する型式が読み込まれたタグ)と配膳台車認識タグ6(複数の配膳台車の1台毎に認識用として付されたタグ)を読込むためのRFIDリーダ10と、部品配膳台車1へのデータを通信するための無線送受信機9と、から構成されている。
【0021】
ここで、部品出庫用端末8は、例えば組立製品の型式を記憶した作業指示書タグ11をRFIDリーダ10で読み取って取り込むことの外に、複数の組立製品の型式に対応する部品リスト等を記憶したデータ管理サーバ16から部品リスト等を受信する機能を有するとともに、保管棚12から出庫すべき適宜の保管箱18のランプ17を点灯又は点滅させるようなデータを保管棚12に送信する機能を有している。
【0022】
組立作業指示システム13は、組立作業を行う組立作業台14と、組立作業指示情報を表示する組立作業用端末15と、作業指示書タグ11と配膳台車認識タグ6を読込むためのRFIDリーダ10と、部品配膳台車1へデータを通信するための無線送受信機9と、から構成されている。組立作業指示システム13によって、基本的には、部品配膳台車1を組立作業台14の近くに持ち来した後に、部品箱20の内で点灯又は点滅している部品箱から部品を取り出して組立作業用端末15に表示されている部品毎の組立作業の表示指示に従って組み立てるものである(この組立作業の表示指示の具体的内容については本実施形態では特に限定するものではない)。
【0023】
保管棚12は、図1と図4を参照すると、報知装置としての保管棚ランプ17と、部品を保管する保管箱18と、製品型式ごとの部品IDを持った部品タグ19(保管箱18毎に設けられている)と、から構成されている。ここで、部品出庫作業及び組立作業を行う場合には、作業指示情報(例えば組み立てるべき製品の型式であってもよい)が登録された作業指示書タグ11を用いて作業を行う。
【0024】
データ管理サーバ16は、部品出庫作業指示システム7に必要な部品出庫指示情報データと組立作業指示システム13に必要な組立作業指示情報データとを管理している。部品出庫情報には作業指示ごとに部品の保管棚12の場所や必要数、部品型式、部品ID、部品配膳台車1への配膳場所等の情報を管理している。また、組立作業指示情報には組立に必要な部品の部品配膳台車1の取り出し場所や組立方法や組立順番、組立作業に使用する治具番号、組立上の注意事項などの細かな作業指示情報を管理している。
【0025】
次に、本実施形態に関する部品出庫・配膳作業のプロセスについて、図2を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
まず、部品出庫作業指示システム7のRFIDリーダ10において、作業指示書タグ11と配膳台車認識タグ6の読み込み作業を行う(S1,S2)。部品出庫用端末8に保管棚12の場所や必要員数、部品型式等の部品情報が表示される(S3)。部品出庫用端末8の部品情報の表示タイミングと同期して該当する保管棚12の保管棚ランプ17が点灯又は点滅し(以下、点灯と云う)、報知する(S4)。さらに、部品出庫用端末8における部品情報の表示タイミングと同期して部品配膳台車1の該当する部品箱20のランプ21(例えば、部品ボックスのLED)が点灯し報知する(S5)。
【0027】
保管棚12のランプ17を目印として、保管箱18から該当する部品を必要員数出庫し(S6)、部品配膳台車1の指定された部品箱20に配膳した後に(S7)、指定された部品箱20以外の箇所に部品を配膳していないどうかをセンサ22で検出し判断する(S8)。指定された部品箱以外に配膳するとセンサ22により自動的に検出され(ランプ表示していない部品箱に部品を入れるとセンサ22が誤配膳を検出)、作業誤りをブザー23により報知し、作業者に注意を促す(S9)。
【0028】
指定された部品箱20に部品が配膳されていると(S8のY)、保管棚の保管箱18(ランプ17が点灯を維持している)毎に付された部品タグ19をRFIDリーダ10に近づけて部品タグ19の内容を読込むことにより、出庫した部品が指示された部品であるかどうかの確認を行い(S11)、出庫指示された部品出庫の作業完了の処理を行う(S12)。部品出庫用端末8に表示された部品を作業者が誤って出庫した場合は(S11のN)、画面表示により注意を促し正しい部品の出庫作業を行う。
【0029】
上述したS3〜S11のステップ(部品毎の出庫・配膳作業のステップ)は、作業者が所定の部品出庫作業を終了するまで繰り返される(S12)。所定の部品出庫作業終了後、組立作業台14へ部品配膳台車1を移動(S13)して次の組立工程を行う。
【0030】
次に、本実施形態に関する部品組立作業のプロセスについて、図3を参照しながら詳細に説明する。まず、組立作業指示システム13のRFIDリーダ10において、作業指示書タグ11と配膳台車認識タグ6の読み込み作業を行う(S14,S15)。配膳台車認識タグ6を読込むことにより、部品組立作業指示システム13の無線送受信機9より複数ある部品配膳台車1の中の認識された1台へデータの送信を行う。すなわち、組立作業用端末15の表示(或る部品箱20の部品を組立作業台14上に設けられた例えばシャーシの或る部位に取り付けるように表示)に対応して組み立てるべき部品の収容された部品箱20のランプ21を点灯するようにデータを送る。
【0031】
データ管理サーバ16とのデータ授受に基づいて、部品の組立方法や組立順番、組立作業に使用する治具番号、組立上の注意事項、確認項目などの細かな作業指示情報が組立作業用端末15に表示される(S16)。ここでも、組立作業用端末15の1つの画面で1つの部品の組立作業の指示が前提である。部品の取り出し指示がある場合(S17)は組立作業用端末15の作業指示情報の表示タイミングと同期して部品配膳台車1の該当する部品箱20のランプ21が点灯し報知する(S18)。作業者が部品配膳台車1のランプ21の点灯している該当する部品箱20より部品を取り出す(S19)。ここで、指定された部品箱20以外の部品を取り出すと(S20のN)、センサ22により検出され、作業誤りをブザー23により報知し、作業者に注意を促す(S21)。
【0032】
正しい場所から部品が取り出されると(S20のY)、組立作業用端末15に表示されている作業を行う(S22)。組立作業用端末15に指示された作業終了後、組立作業用端末15より作業指示情報の画面を、例えば、組立作業用端末15のEnterキーにより切替える(S23)。上述してステップS16〜S23は、1個の部品毎に作業者が所定の組立を終了するまで繰り返される(S24)。所定の組立作業終了後、部品配膳台車1は再び部品出庫作業を行う。
【0033】
以上説明した部品出庫作業指示システム7と組立作業指示システム13は、データ管理サーバ16より作業指示ごとの情報を共有化しているので、製作する製品の型式(品種)ごとに部品の種類及び保管場所、部品の取り出し場所をフレキシブルに変更し指示することができる。例えば、作業指示書タグ11によって製作する製品の型式をRFIDリーダ10で読み取ってこの型式をデータ管理サーバ16に送ると、該当する型式の部品リストや保管場所、配膳場所などがデータ管理サーバから送られてくるので、これに基づいて部品出庫用端末8、組立作業用端末15に表示して、上述した部品出庫・配膳作業と部品組立作業を実施することができ、これにより、作業指示ごとに部品配膳台車1を用いて部品出庫作業及び組立作業を行うことにより、漏れや間違い無く作業を行うことができる。
【0034】
また、部品配膳台車を複数台揃えるとともに部品組立作業指示システムも複数台揃えて、固有の部品配膳台車の台車認識タグ6と部品組立作業指示システム13の固有の作業指示書タグ11を利用することによって、異なる型式や異なる品種の同時の部品組立作業を効率良く正確に実施することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 部品配膳台車
2 制御装置
3 無線端末
4 電源装置
5 充電器
6 配膳台車認識タグ
7 部品出庫作業指示システム
8 部品出庫用端末
9 無線送受信機
10 RFIDリーダ
11 作業指示書タグ
12 保管棚
13 組立作業指示システム
14 組立作業台
15 組立作業用端末
16 データ管理サーバ
17 保管棚ランプ
18 保管箱
19 部品タグ
20 部品箱
21 ランプ
22 センサ
23 ブザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を種別毎に収容する複数の保管箱を有する保管棚と、
前記保管棚の特定の保管箱から部品を出庫して特定の部品箱に部品を配膳する移動可能な部品配膳台車と、
前記部品の出庫と配膳の作業指示情報を読み込むとともに前記作業指示情報を表示するとともに前記保管箱と前記部品箱を表示制御する部品出庫・配膳作業指示システムと、
表示された部品組立指示情報を基にして前記部品配膳台車の部品箱から所定の部品を取り出して部品組立作業を行うように指示する部品組立作業指示システムと、
前記部品出庫・配膳作業指示システム及び前記部品組立作業指示システムとデータを授受することによって、部品の出庫作業と配膳作業に必要なデータ及び部品の組立作業に必要なデータを管理し両システムにデータを提供するデータ管理サーバと、を備え、
前記部品出庫・配膳作業システムと前記部品組立作業システムは、前記データ管理サーバから提供されるデータを基にして、前記保管箱からの出庫作業と前記部品箱への配膳作業と前記部品箱から取り出された部品による組立作業とからなる一連の作業を、単一の部品配膳台車を介在させて、複数の型式又は品種の製品の製作に対処する機能を有する
ことを特徴とする部品配膳台車を用いた部品配膳システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記部品出庫・配膳作業システムは、部品毎の出庫情報及び配膳情報をディスプレイ表示するとともに、出庫を必要とする部品が保管されている保管箱を特定するランプ表示と、前記部品配膳台車の配膳すべき部品箱を特定するランプ表示とを、それぞれ前記保管棚と前記部品配膳台車に対して指示し、
さらに、前記ランプ表示された保管箱以外の保管箱から部品を出庫した場合、及び前記ランプ表示された部品箱以外の部品箱に部品を配膳した場合は警告又は警報を発する機能を備える
ことを特徴とする部品配膳台車を用いた部品配膳システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記部品組立作業システムは、部品毎の組立情報をディスプレイ表示するとともに、組立に必要となる部品が配膳されている部品箱を特定するランプ表示を前記部品配膳台車に対して指示し、
さらに、前記ランプ表示された部品箱以外の部品箱から部品を取り出した場合は警告又は警報を発する機能を備える
ことを特徴とする部品配膳台車を用いた部品配膳システム。
【請求項4】
請求項1、2または3において、
前記部品出庫・配膳作業システム及び前記部品組立作業システムは、製品の型式又は品種を特定する作業指示タグを読み込んで、前記データ管理サーバからの前記製品の型式又は品種に対応する部品リストのデータ提供を受けることによって、前記複数の型式又は品種の製品の製作に対処する機能を奏する
ことを特徴とする部品配膳台車を用いた部品配膳システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記単一の部品配膳台車を介在させる代わりに、複数の部品配膳台車と配置し、さらに、前記複数の部品配膳台車に対応して複数の部品組立作業システムを配置することで、同時に多型式又は多品種の部品組立作業を行う
ことを特徴とする部品配膳台車を用いた部品配膳システム。
【請求項6】
部品の種別毎に収容する複数の保管箱を有する保管棚と、前記保管棚の特定の保管箱から部品を出庫して特定の部品箱に部品を配膳する移動可能な部品配膳台車と、前記部品の出庫と配膳の作業指示情報を読み込むとともに前記作業指示情報を表示するとともに前記保管箱と前記部品箱を表示制御する部品出庫・配膳作業指示システムと、表示された部品組立指示情報を基にして前記部品配膳台車の部品箱から所定の部品を取り出して部品組立作業を行うように指示する部品組立作業指示システムと、前記部品出庫・配膳作業指示システム及び前記部品組立作業指示システムとデータを授受することによって、部品の出庫作業と配膳作業に必要なデータ及び部品の組立作業に必要なデータを管理し両システムにデータを提供するデータ管理サーバと、を備えた部品配膳システムにおける部品配膳方法において、
前記部品出庫・配膳作業システムによって、前記データ管理サーバから提供されるデータを基にして、前記保管箱からの出庫作業と前記部品箱への配膳作業に際して出庫すべき保管箱と配膳すべき部品箱をランプ表示するステップと、
前記出庫すべき保管箱から部品が出庫されたか否か、および前記配膳すべき部品箱に部品が配膳されたか否かを確認するステップと、
前記配膳されたか否かの判定で否の場合には警告又は警報を発するステップと、
前記部品組立作業システムによって、前記データ管理サーバから提供されるデータを基にして、組立に必要となる部品が配膳されている部品箱を特定するランプ表示するステップと、
前記ランプ表示された部品箱以外の部品箱から部品を取り出した場合には警告又は警報を発するステップと、からなる
ことを特徴とする部品配膳方法。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−170195(P2010−170195A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9958(P2009−9958)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】