説明

配線・配管材固定具

【課題】支持材に簡単に固定し、かつ、支持材に対して位置ずれするのを防止し、もって、配線・配管材を建物の天井面等に沿って簡単にかつ一定位置に安定して配線、配管し、また、部品管理が容易なものとし、安価に製造する。
【解決手段】ヒンジ5を有する基部2と、支持材41の開口側端部44に当接する当接部6と、支持材41の一対の折曲片45に係合する係合部11と、電線管51を両側から把持する把持部21とを備え、係合部11は、弾性片12と、当接部6とで支持材41の折曲片45を挟持する係合爪13とを備え、係合爪13は、支持材41の開口から挿入されて折曲片45に係合した状態で、係合部11がヒンジ5を軸に拡開することにより、支持材41の長手方向に回動して折曲片45に圧接するよう形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の二重天井面、壁面等に取付けられたハンガーレールなどの支持材に、ケーブル等の配線や電線管、給水管、給湯管等の配管材を固定するための配線・配管材固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の配線・配管材固定具として、サドル等の一対の弾性挟持板で配線・配管材を挟持し、これをハンガーレール等の支持材に固定するものが知られている。これに関する固定具としては、例えば、実開平3−46084号公報、特開2001−50427公報等に掲載されたものを例示することができる。
【0003】
図10は従来の配線・配管材固定具を示す。図中、固定具71は、配線・配管材としての電線管51を挟持する一対の弾性挟持板72,72の下端部に、切欠係止部73が設けられ、上端部にボルト74が取付けられるフランジ75が形成されて成る。一方、この固定具71が取付けられる支持材41は、断面略コ字形状の形鋼材からなり、開口側端部44から内側斜め下方に一対の折曲片45,45が設けられている。この固定具71を支持材41に固定するには、各弾性挟持板72の下端部を支持材41内に開口46側から挿入し、次に、弾性挟持板72を90度回動して下端部の切欠係止部73を支持材41の一対の折曲片45,45に係止させつつ、電線管51を両側から保持する。そして、上端部のフランジ75にボルト74を挿通し、締付けることにより、一対のフランジ75を連結し、電線管51を挟持、固定する。これにより、電線管51を建物の二重天井面、壁面等に沿って所定位置に配線、配管することができる。
【特許文献1】実開平3−46084号公報
【特許文献2】特開2001−50427公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記公報等に掲載の従来の固定具71を使用して電線管51を支持材41に固定するには、一対の弾性挟持板72,72を一旦その板面を支持材41の長手方向と平行する向きにしてからそれぞれ支持材41の開口46から挿入し、次いで、各弾性挟持板72を90度回動して向きを変え、支持材41の折曲片45に直交させて下端部の切欠係止部73を該折曲片45に係止させつつ両側から電線管51を保持する。次に、一対の弾性挟持板72,72の上端部のフランジ75にボルト74を挿通し、工具を使用して締付けて電線管51を強固に挟持していた。したがって、多くの操作が必要であり、支持材41に固定具71を設置し、電線管51を固定するには大変手間がかかり面倒な作業となっていた。
【0005】
また、前記固定具71は、弾性挟持板72の下端部に形成した切欠係止部73が支持材41の折曲片45に対して直交する方向に係止するものであるから、支持材41の開口46からの抜脱は防止できるものの、支持材41に固定した後も、支持材に対して長手方向にずれ易かった。即ち、ボルト74を締付けて電線管51を挟持することにより弾性挟持板72の切欠係止部73と支持材41の折曲片45との間に摺動抵抗が発生し、ある程度のずれは防止できるものの、固定具71の弾性挟持板72は鋼板等で形成されているから、支持材41に固定した後に、固定具71に直接外力が加わったり、電線管51に引張りや曲げなどの外力が作用することによって、固定具71は長手方向にずれ易かった。その結果、電線管51の配列が変動し、他の配線・配管材と接触したり、電線管51自身や配線機器、配管機器との接続箇所等に無理な力が加わって、電線管51に亀裂が発生したり、接続不良を起こしたりすることがあった。
【0006】
更に、前記固定具71は、電線管51を挟持する一対の弾性挟持板72,72との2部材、或いは、ボルト74を加えれば3部材で構成されているため、部品管理が大変で、製造コストも嵩張っていた。
【0007】
そこで、本発明は、支持材に簡単に固定でき、かつ、支持材に対して位置ずれすることがなく、もって、配線・配管材を建物の天井面等に沿って簡単にかつ一定位置に安定して配線、配管でき、そして、部品管理が容易で安価な配線・配管材固定具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の配線・配管材固定具は、支持材に配線・配管材を固定するためのものであって、回動中心を有する基部と、前記支持材の開口側端部に当接する当接部と、前記基部の一方側に設けられ、前記支持材の一対の折曲片に係合する係合部と、前記基部の他方側に延設され、前記配線・配管材を両側から把持する把持部とを備えている。前記係合部は、前記支持材の幅方向に弾性変形可能な弾性片と、該弾性片に設けられ、前記当接部とで前記支持材の折曲片を挟持する係合爪とを備えている。そして、前記係合爪は、前記支持材の開口から挿入されてその折曲片に係合した状態で、前記基部の一方側が前記回動中心を軸に拡開することにより、前記支持材の長手方向に回動して前記折曲片に圧接するよう形成されている。
【0009】
ここで、前記支持材は、底板と左右一対の側板とで断面コ字状に形成され、前記各側板の開口側端部に内方に折曲する折曲片を備えており、具体的にはハンガーレール等を挙げることができる。この支持材は建物の二重天井面に沿って布設されている場合は、上方に開口し、壁面に沿って布設されている場合は、側方に開口する。前記支持材の折曲片は、開口の両側に一対形成されており、各開口側端部から一旦内方に向けて直角に折曲された後更に底板側に折曲されたり、各開口側端部から内方に向けて斜め下方に折曲されるなどの形態で形成されている。なお、折曲片は、各開口側端部から単に内方に向けて直角に折曲されただけのものであってもよい。
【0010】
前記回動中心は、基部において、支持材の幅方向と一致する方向に形成され、一般には、基部の中央部に設けられる。回動中心は例えば薄肉のヒンジとして形成することができる。
前記当接部は、一般には基部に設けられるが、他の箇所に設けられていてもよく、支持材の開口側端部に開口面と直交する方向から当接する。
前記係合部は、基部の一方側において、支持材の一対の折曲片に係合すべく固定後の支持材の幅方向に一対設けられ、更に、通常、固定後の支持材の長さ方向において回動中心を軸に左右対称に一対設けられている。即ち、係合部は、通常、計4個設けられるが、固定後の支持材の幅方向にのみ一対設けられていてもよい。係合部は、支持材に対する固定具の取付方向によって、例えば、支持材が天井面に沿って布設されている場合は、基部の一方側は基部に対して下側となり、支持材が壁面に布設されている場合は、基部の一方側は基部に対して左右いずれかの側となる。係合部は支持材の内方から折曲片に係合する。 前記係合部の弾性片は、基部を軸に支持材の幅方向にたわみ、係合部の係合爪は、支持材の折曲片の先端部に係合する。
前記把持部は、基部に対して係合部とは反対側に設けられている。
【0011】
固定具は、係合爪が支持材の折曲片に係合した状態で、前記基部の一方側即ち係合部側が回動中心を軸に左右に拡開すると、係合爪が回動中心を軸に支持材の長手方向に回動して折曲片に圧接するようになっている。したがって、係合部は、弾性片が支持材に対して幅方向にたわんで係合爪が折曲片に係合するのに対し、基部が拡開すると、係合爪は支持材の長手方向に回動し、折曲片の先端面に圧接する、つまり、弾性片のたわみ方向と係合爪の回動方向とは90度相違する。基部の一方側に設けられた係合部は、前述のように、回動中心を軸に左右対称に一対形成されている場合には、基部が拡開すると、それぞれ支持材の長手方向において互いに反対側に回動して該支持材の折曲片に圧接することになる。基部の一方側の拡開は、例えば、請求項2に記載のように、把持部を締付けることによって行なうことができ、また、請求項3に記載のように、係合部の弾性片の一側の端面にビスを締付けることによって行なうことができる。
【0012】
これにより、固定具は、支持材の開口に単に押し込むだけで、係合部の弾性片が支持材の幅方向にたわみつつ挿入され、係合爪が折曲片の先端部に係合し、当接部とによって折曲片を挟持して支持材に取付けられ、支持材からの抜脱が防止される。また、配線・配管材は把持部によって締付けられて固定具に保持される。そして、基部の一方側を回動中心を軸に支持材の長手方向に拡開させることにより、係合爪は支持材の長手方向に回動し、折曲片の先端部に圧接し、制動手段として機能する。したがって、固定具は、ワンタッチで支持材に固定されるとともに、支持材に対して長手方向にずれるのが確実に防止される。
【0013】
請求項2の配線・配管材固定具は、把持部が、係合部の弾性片の弾性変形方向と直交する方向に締付けられて配線・配管材を把持し、前記把持部が締付けられることにより、基部の一方側が回動中心を軸に拡開するものである。これにより、前記把持部は、係合部の弾性片の弾性変形方向即ち支持材の幅方向と直交する方向即ち支持材の長手方向に締付けられて配線・配管材を把持すれば、同時に、基部の一方側は回動中心を軸に支持材の長手方向に拡開する。
【0014】
請求項3の配線・配管材固定具は、基部の一方側が、係合部の弾性片の一側の端面にビスを締付けることにより、回動中心を軸に拡開するものである。即ち、ビスを締付けると、ビスは係合部の弾性片の一側の端面を螺刻しつつ側方に押し付けるので、基部の一方側は回動中心を軸に拡開する。ここで、係合部は回動中心を軸に左右対称に一対設けられていると、一対の弾性片間にビスを挿入し締付け易くなる。なお、請求項2の、把持部を締付けることにより基部の一方側を拡開させる手段に、本請求項のビスの締付けによる拡開手段を更に加えてもよい。
【0015】
請求項4の配線・配管材固定具は、支持材の一対の折曲片の相対向する端部に当接してねじれを防止するねじれ防止板を更に備えている。固定具は、配線・配管材が引張られたりすることによって、支持材の開口面に沿う方向にねじる力が加えられることがある。ここで、固定具の係合部は弾性片がその平面と直交する方向即ち支持材の幅方向に弾性的にたわむから、固定具にねじる力が加わると、弾性片は支持材の折曲片によって内方に押圧されてたわんで固定具がねじられるのを許容し、固定具はそのままねじられて変形するおそれがある。しかし、本請求項では、ねじれ防止板が設けられているので、ねじる力が加わっても、ねじれ防止板が支持材の折曲片の端部に当接し、固定具がねじられるのを防止する。
【0016】
請求項5の配線・配管材固定具は、把持部が、互いに係合する一対の把持片を備えて成り、前記各把持片は、複数サイズの配線・配管材に対応すべく、互いに係止する複数の鈎突条を有する係止歯列を備えている。
【0017】
請求項6の配線・配管材固定具は、把持部に、把持工具を使用して締付け可能な一対の把持突起が設けられている。把持部は手で締付けて配線・配管材を把持することも可能であるが、把持工具で把持突起相互を挟圧することにより強固に締付けることができ、また、手で把持した後に増し締めすることができる。
【0018】
請求項7の配線・配管材固定具は、支持材の長手方向に相互を連結可能な連結部を更に備えている。なお、連結部は、固定具相互を連結した状態で、把持部を拡開して配線・配管材の挿入を可能とし、或いは把持を解除して配線・配管材の取出しを可能とすべく、固定具相互間を離間して把持部の拡開許容空間を形成するために、所定距離長手方向に突出させておくのが望ましい。
【0019】
請求項8の配線・配管材固定具は、係合部の係合爪において支持材の折曲片との係合面における回動中心側端部が、回動中心から離間する方向に傾斜する傾斜面に形成されている。即ち、係合爪の係合面における回動中心側端部が傾斜面に形成されているので、回動中心側端部に向かうに従い、支持材の開口側端部に当接する当接部と、係合爪の回動中心側端部の係合面との間隔は次第に拡大する。係合爪は回動中心を軸に支持材の折曲片との圧接を緩和する方向に回動していくと、最終的には係合面において反対側の回動中心側端部が再度支持材の折曲片と圧接することになるが、本請求項では、前記傾斜面が形成されているので、回動中心側端部の圧接は回避され、当接部と係合爪との間隔が開く。このため、固定具を支持材に沿って楽に移動することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明は、固定具を支持材の開口に単に押し込むだけで、係合部が支持材の折曲片に係合し、基部の一方側を回動中心を軸に拡開させることにより、係合爪は折曲片の先端部に圧接するから、固定具を支持材に簡単に固定でき、かつ、固定具が支持材に対して長手方向にずれるのを確実に防止できる。その結果、配線・配管材を建物の天井面等に沿って簡単にかつ一定位置に安定して配線、配管できる。更に、固定具は、支持材の折曲片に係合する係合部及び配線・配管材を把持する把持部を備えているから、一体物として部品管理が容易となり、安価に製造できる。
【0021】
請求項2の発明は、把持部が、係合部の弾性片の弾性変形方向と直交する方向に締付けられて配線・配管材を把持すれば、同時に、基部の一方側は回動中心を軸に拡開するから、一の操作で、配線・配管材の把持と基部の一方側の拡開とを同時に行なうことができ、作業が簡素化し、簡単に固定具を支持材に固定することができる。
【0022】
請求項3の発明は、基部の一方側が、係合部の弾性片の一側の端面にビスを締付けることにより、回動中心を軸に拡開するから、支持材に対して長手方向にずれるのを確実に防止できる。なお、請求項2の、把持部を締付けることにより基部の一方側を拡開させる手段に、本請求項のビスの締付けによる手段を更に加えた場合は、係合爪はより強く支持材の折曲片に圧接することとなり、一層確実に固定具のずれを防止できる。
【0023】
請求項4の発明は、ねじれ防止板が設けられているので、配線・配管材が引張られたりすることによってねじる力が加わっても、ねじれ防止板が支持材の折曲片の端部に当接して固定具がねじられるのを防止する。これにより、固定具の変形を防止でき、配線・配管材の向きが変動するのを防止できる。
【0024】
請求項5の発明は、把持部の一対の把持片が、互いに係止する複数の鈎突条を有する係止歯列を備えているので、係止歯列の係止位置を調整して、把持内の径を変化させ、複数サイズの配線・配管材に対応して把持することができる。
【0025】
請求項6の発明は、把持部に把持突起が設けられているので、把持工具を使用して強固に締付け或いは増し締めして配線・配管材を確実に把持できる。また、把持部を強固に締付けることにより、基部の一側の係合爪はより強固に支持材の折曲片に圧接されるので、一層確実に固定具が支持材の長手方向にずれるのを防止できる。
【0026】
請求項7の発明は、支持材の長手方向に相互に連結可能な連結部を備えているので、固定具は、互いに補強し合い、支持材の長手方向にずれるのをより確実に防止でき、配線・配管材を一定の整列状態に安定して保持できる。
【0027】
請求項8の発明は、係合爪の係合面における回動中心側端部が、回動中心から離間する方向に傾斜する傾斜面に形成されているので、固定具を支持材に固定した後、把持部の締付けを緩めて拡開し、当接部と係合爪との間隔を広げることができ、固定具を簡単に支持材に沿って移動して固定位置の再調整或いは変更を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態の配線・配管材固定具を図に基づいて説明する。
図1乃至図5において、固定具1は、建物の二重天井面、壁面等に取付けられたハンガーレールなどの支持材41に配線・配管材を固定するものであり、合成樹脂により一体に形成されている。前記支持材41は、本実施形態においては、二重天井において室内天井の天井裏面に水平方向に取付けられ、上方に開口するハンガーレールを例示する。この支持材41は、形鋼材を使用し、図3に示すように、底板42と左右一対の側板43,43とで断面略コ字状に形成され、前記各側板43の開口側端部44に内方に折曲する折曲片45を備えている。この折曲片45は、開口46の両側に一対形成されており、各開口側端部44から一旦内方に向けて水平方向に折曲され、更に底板42側に折曲されている。また、前記配線・配管材は、本実施形態では、内部にケーブルが挿通され、これを保護する電線管51を例示する。
【0029】
前記固定具1は、回動中心としてのヒンジ5を有する基部2と、支持材41の開口側端部44に当接する当接部6と、基部2の一方側に設けられ、支持材41の一対の折曲片45に係合する係合部11と、基部2の他方側に延設され、電線管51を両側から把持する把持部21とで構成されている。ここで、基部2の一方側とは、本実施形態においては、各図において、基部2の下側を意味し、基部2の他方側とは、基部2の上側を意味する。
【0030】
前記基部2は、中央よりやや下方にあって電線管51の下部を支持する部分に形成されており、左右対称の略円弧板状に形成され、中央には、後述するビス62の頭部を収容する凹溝部3が水平方向に設けられ、左右に、電線管51の下部が当接する円弧部4が設けられている。また、凹溝部3の底部3aの下面の中央には薄肉形成してなる回動中心としての前記ヒンジ5が凹溝部3の長手方向に沿って設けられており、基部2はヒンジ5を軸に左右が互いに反対方向に回動して拡開縮閉するようになっている。このヒンジ5は、固定具1を支持材41に固定した状態で支持材41の幅と合致する方向に沿って設けられていることになる。更に、凹溝部3の底部3aの下面は、一部が前後方向に突出しており、その突出部分は支持材41の開口側端部44にその開口面と直交する方向から当接する当接部6を構成している。
【0031】
前記係合部11は、基部2の一方側である下側において前面側及び後面側に、それぞれ左右対称に一対設けられている。即ち、計4個設けられている。各係合部11は、支持材41に固定したときにその支持材41の幅方向となる方向にたわむ弾性変形可能な弾性片12と、この弾性片12の外面の端部に設けられた係合爪13とで構成されている。弾性片12は、平板状に形成され、基部2の下部から垂直下方に突出している。係合爪13は所定幅の係合面14が支持材41の折曲片45の下端47と当接し、前記当接部6とで支持材41の折曲片45を上下方向から挟持するようになっている。また、係合爪13の係合面14は、回動中心側端部15即ち左右一対の係合爪13,13が対向するヒンジ5寄りの対向側端部が、回動中心であるヒンジ5から離間する方向に、即ち図2(a)において下方に傾斜する傾斜面16に形成されている。したがって、係合爪13は、回動中心側端部15に向かうに従い、当接部6と係合面14との間隔は次第に拡大する。なお、係合爪13の外側面は、図2(b)に示すように、下端程先すぼまりとなる傾斜面13aに形成されており、支持材41の開口46からの挿入を容易ならしめている。
【0032】
このように構成された係合部11は、支持材41の開口46から挿入され、係合爪13が支持材41の折曲片45に係合した状態で、後述する把持部21を締付けるなどして基部2の左右の円弧部4をヒンジ5を軸に左右に拡開する方向に回動すると、左右一対の係合爪13,13の反対向側端部17における係合面14が支持材41の折曲片45の下端47に圧接するようになっている。ここで、係合爪13の係合面14には、間隔をおいて幅方向に複数、図1において3個の小突起18が形成されており、係合面14が支持材41の折曲片45の下端47に強く圧接するようにしている。
【0033】
前記把持部21は、基部2の他方側である上側に設けられ、基部2の円弧部4の上端部から上方に延設されている。把持部21は、左右両側方に電線管51の外周面と当接する一対の凸部22が形成され、更にその上方に内方に向けて突出し、互いに係合する一定幅の把持片23と把持片24とを備え、これら一対の把持片が係合することによって電線管51を両側から把持するようになっている。更に、各把持片は上下2段の突出片で構成されており、一方の把持片23は、他方の把持片24と係止する上部突出片25と、電線管51の外周面と当接する下部突出片26とで構成されている。他方の把持片24は、上部突出片27と、前記一方の把持片23と係止する下部突出片28とで構成されている。各突出片は電線管51に対応して湾曲する短冊板状に形成されている。把持片23と把持片24とは、これら4片の突出片が交互に交差し合う状態で、ヒンジ5を軸として互いに縮閉及び拡開し、電線管51を把持及び解除する。
【0034】
そして、複数サイズの電線管51に対応して把持すべく、一方の把持片23の上部突出片25の下面には、上部突出片25の幅方向に長い複数の小さい鈎突条25bが円弧に沿って配列されてなる係止歯列25aが設けられている。また、他方の把持片24の下部突出片28の上面には、同じく下部突出片28の幅方向に長く、一方の把持片23の係止歯列25aに係止する複数の小さい鈎突条28bが円弧に沿って配列されてなる係止歯列28aが設けられている。
【0035】
ここで、各係止歯列の鈎突条は尖った山形に形成され、一対の突出片が互いに近接する側の面は傾斜面に、その反対側の面は垂直面に形成されている。したがって、各突出片は互いに近接させて締付ける場合は、回動可能であり、互いに離間して拡開する場合は、両突出片を上下方向に離間させない限り、回動不能となっている。これらの係止歯列25a及び係止歯列28aに形成された各鈎突条は、同一の長さに形成されているとともに、上部突出片25及び下部突出片28の幅より小さい長さに形成され、各突出片の幅方向の中央部分に一体に設けられている。したがって、各突出片の幅方向における両端部には、係止歯列の形成されていない部分が均等に形成されている。この係止歯列の形成されていない部分は、図5(b)に示すように、締付けを解除するときに使用するマイナスドライバ等の工具の先端部が挿入される挿入溝29を形成している。
【0036】
更に、一側の上部突出片25の一端部にはこれとほぼ直交してペンチ、プライヤ等の把持工具の先端が当接して把持するための把持突起25cが突設され、他側の上部突出片27の一端部には同じく前記把持工具の先端が当接する把持突起27aが突設されている。
【0037】
前記基部2の凹溝部3の底部3aにおいて、一対の係合部11,11の弾性片12,12が対向する間隙と対応する部分の2箇所には、図2(c)及び図9等に示すように、ビス62が螺刻しつつ挿入されるビス孔3bが設けられている。また、一対の係合部11,11の弾性片12,12において互いに対向する一対の端面12a,12aは円弧状の凹面に形成されており、その曲率半径はビス62の雄ねじの半径より僅かに小さく形成され、一対の弾性片12,12の間隙に前記ビス孔3b内を挿通したビス62を螺入できるようになっている。これらによって、ビス孔3bから一対の弾性片12,12の間隙にビス62を挿入し、締付けることにより、弾性片12の一側の端面12aを螺刻しつつ側方に押し付け、一対の弾性片12,12をヒンジ5を軸に左右に拡開することが可能となっている。
【0038】
固定具1の両端部には、略矩形板状に形成されたねじれ防止板31が基部2の下部から垂直下方に一体に突設されている。このねじれ防止板31は支持材41の一対の折曲片45,45の相対向する端部に当接して固定具1自身がねじれて変形するのを防止するためのものであり、支持材41の一対の折曲片45,45の間隔と略同一の幅寸法に形成されている。なお、ねじれ防止板31の下端の両角部は、支持材41の開口46からの挿入を容易とするためにテーパに形成されている。
【0039】
更に、一方のねじれ防止板31の下部には外側に向けて水平方向に突出し、先端部に上向きの嵌合爪32aを有する連結部32が設けられており、他方のねじれ防止板31の下部において前記一方のねじれ防止板31の連結部32と対応する位置には、外側に向けて水平方向に突出し、先端部に前記連結部32の嵌合爪32aと嵌合する下向きの嵌合爪33aを有する連結部33が設けられている。これらの連結部は他の固定具1と連結して、支持材41に並置して固定するためのものである。各連結部は、固定具1相互を連結した状態で把持部21を拡開して電線管51を挿入し、或いは把持を解除して電線管51の取出しを可能とするために固定具1相互間に拡開許容空間を形成すべく、所定距離長手方向に突出している。
【0040】
次に、上記のように構成された本実施形態の固定具1を支持材41に取付け、電線管51を固定する方法を図4及び図5に基づいて説明する。
まず、固定具1の把持部21の左右一対の把持片を手で拡開し、内部に電線管51を収容する。次いで、電線管51を収容した状態で、固定具1を下方に押し付けながら係合部11を支持材41の開口46から内部に挿入する。このとき、固定具1の係合部11の係合爪13の外側面は傾斜面13aに形成されているので、支持材41に容易に挿入できる。また、固定具1の係合部11の弾性片12は支持材41の折曲片45に押圧されて内方に弾性的にたわみ、内部への挿入を可能ならしめる。支持材41に挿入されると、図4に示すように、固定具1の係合部11の係合爪13が支持材41の折曲片45に係合し、係合爪13の係合面14は折曲片45の下端47と当接する。このとき、係合爪13の係合面14は折曲片45の下端47とほぼ平行する状態で当接する。
【0041】
次に、図5に示すように、把持部21を締付け、一方の把持片23の上部突出片25の係止歯列25aと他方の把持片24の下部突出片28の係止歯列28aとを係止させつつ、把持片23及び把持片24をヒンジ5を軸に互いに近接する方向に回動し、両者を係合させる。すると、同時に、基部2の一方側の係合部11はヒンジ5を軸として互いに離間する方向に回動し、係合爪13の係合面14の外側端部である反対向側端部17が支持材41の折曲片45の下端47に圧接する。これにより、把持部21の締付けを強くする程、係合爪13の係合面14の反対向側端部17は強固に支持材41の折曲片45の下端47に圧接することとなり、固定具1は支持材41に対して長手方向に移動するのが強く阻止される。また、同時に、電線管51は一対の把持片によって強固に挟持され、支持材41の所定位置に安定して固定される。
【0042】
なお、把持片23と把持片24との締付けは手操作で行なうことができるが、図6に示すように、把持突起25c及び把持突起27aをペンチ、プライヤ等の把持工具61を使用して把持してもよく、この場合は、より強固に締付けることができる。また、最初は手操作で締付けた後、把持工具61で両把持突起を把持することにより増し締めすることもできる。
【0043】
次に、固定具1を介して電線管51を支持材41に固定した後、固定具1をずらして支持材41に対する固定位置を変更する方法を説明する。
まず、一旦把持部21によって電線管51を把持した後は、上部突出片25と下部突出片28とが係合し、そのままでは回動不能となっているので、図5(b)に示す、上部突出片25と下部突出片28との間の挿入溝29にマイナスドライバ等の工具の先端を挿入し、両突出片をこじながら工具を回して両突出片の係止歯列の係止を解除し、両突出片を上下方向に離間させつつ左右に拡開する。
【0044】
これに伴い、一対の係合部11,11は、固定時には、図5に示すように、係合爪13の係合面14の反対向側端部17において支持材41の折曲片45の下端47と強固に圧接していた状態から、ヒンジ5を軸に互いに近接する方向に回動し、図7(a)に示すように、係合爪13の係合面14と支持材41の折曲片45の下端47とがほぼ平行する状態となる。
【0045】
次に、図7(b)に示すように、把持部21の両把持片を掴持してその間隔を更に左右に広げると、一対の係合部11,11の相対向する端部相互がほぼ当接する状態となる。ここで、この状態においては、係合爪13は、図7(c)の二点鎖線の係合面14で示すように、反対向側端部17とは逆の回動中心側端部15が再度支持材41の折曲片45の下端47に圧接するため、固定具1の移動が困難または不能となってしまい、固定具1をずらすことはできないこととなる。
【0046】
しかし、本実施形態の係合部11は、係合爪13の係合面14の回動中心側端部15がヒンジ5から離間する下方に傾斜する傾斜面16に形成されている。このため、ヒンジ5と係合面14の回動中心側端部15との間隔は大きくなっている。これにより、当接部6と係合部11の係合面14との間隔は、図7(a)の寸法aから同(b)の寸法bに拡大する。ここにおいて、a<bである。その結果、支持材41の折曲片45に対する係合爪13の回動中心側端部15の圧接は完全に解除され、固定具1は支持材41に沿って長手方向に移動するのが容易となる。そこで、固定具1を所定位置にずらし、或いは一旦固定具1を取り外して他の位置に変更する。
【0047】
なお、支持材41の折曲片45に対する係合爪13の回動中心側端部15の圧接は、上述のように、把持部21の両把持片を掴持してその間隔を更に広げることによって行なうことができるが、他に、両ねじれ防止板31から水平方向に突出する連結部32及び連結部33を押し下げることによって行なうこともできる。即ち、左右の連結部32及び連結部33を押し下げれば、ねじれ防止板31及び基部2を介して一対の係合部11,11はヒンジ5を軸として回動し、相対向する端部相互が、同様に、図7(b)に示すように、ほぼ当接する状態となり、支持材41の折曲片45の下端47に対する係合爪13の係合面14の圧接が解除される。これにより、固定具1は支持材41に沿って長手方向に容易に移動できることとなる。これによって圧接を解除する場合は、連結部32及び連結部33を押し下げつつ固定具1全体を支持材41の折曲片45に沿って前方に押して長手方向に移動させることができるため、片手操作で簡単に固定具1をずらすことができる。
【0048】
次に、固定具1を介して電線管51を支持材41に固定した後、電線管51を取り外すには、前述の固定具1の固定位置の変更方法と同様の操作で行なうことができる。即ち、図5(b)に示す、上部突出片25と下部突出片28との間の両側部に形成された挿入溝29のいずれかに、マイナスドライバ等の工具の先端部を挿入し、上部突出片25と下部突出片28とを工具の先端部でこじながら上下方向に拡開、離間させる。次いで、その状態で、把持片23及び把持片24を互いに離間する方向に拡開して電線管51を取り外す。なお、把持部21の拡開に伴って、左右一対の係合部11,11はヒンジ5を軸に互いに近接する方向に回動するので、係合面14は支持材41の折曲片45の下端47との圧接が解除される。
【0049】
次に、固定具1は複数を相互に連結して支持材41に固定することもできる。
図8は、2個の固定具1を支持材41に並置して固定したものを示す。図8において、2個の固定具1は、一方の固定具1のねじれ防止板31の下部に設けられた連結部32の嵌合爪32aと、他方の固定具1のねじれ防止板31の下部に設けられた連結部33の嵌合爪33aとを単に嵌合させるだけで、相互に連結することができる。手順としては、いずれか一方の固定具1を支持材41に固定してから、他方の固定具1を固定して連結してもよく、予め両者の嵌合爪相互を嵌合した状態で、同時に支持材41に固定してもよい。これにより、固定具1は、互いに補強し合い、支持材41の長手方向にずれるのをより確実に防止でき、電線管51を一定の整列状態に安定して保持できる。
【0050】
次に、本実施形態の固定具1の作用を説明する。
まず、固定具1の係合部11は、支持材41の幅方向に弾性変形可能な弾性片12と、当接部6とで支持材41の折曲片45を挟持する係合爪13とを備えているので、固定具1は、単に、係合部11を支持材41の開口46に挿入し、押し込むだけで、係合部11の弾性片12が支持材41の幅方向にたわみつつ挿入され、係合爪13は折曲片45の下端47に係合し、当接部6とによって折曲片45を挟持して支持材41に取付けられ、支持材41からの抜脱が防止される。
【0051】
次に、上記のようにして係合爪13が支持材41の折曲片45に係合した状態で、把持部21を締付けて電線管51を把持すると、一対の係合部11,11がヒンジ5を軸に左右に拡開し、係合爪13が支持材41の長手方向に回動し、即ち、弾性片12のたわみ方向と90度相違する方向に回動して折曲片45に圧接する。これにより、電線管51が把持部21によって固定具1に安定して把持されると同時に、固定具1は、係合爪13の折曲片45の下端47への圧接によって、支持材41に対して長手方向にずれるのが確実に防止される。その結果、電線管51を建物の天井面等に沿って簡単にかつ一定位置に安定して配線、配管できる。
【0052】
更に、固定具1は、支持材41の折曲片45に係合する係合部11及び電線管51を把持する把持部21を備えているから、一体物として部品管理が容易となり、安価に製造できる。
【0053】
そして、ねじれ防止板31が設けられているので、電線管51が引張られたりすることによってねじる力が加えられても、ねじれ防止板31が支持材41の折曲片45の端部に当接し、固定具1がねじられて変形するのが防止される。
【0054】
ところで、上記実施形態においては、係合部11は把持部21を締付けることによってヒンジ5を回動中心として回動し、左右に拡開するものとなっているが、他の手段、例えば、図9に示すように、ビス62を締付けることによって拡開させることもできる。
【0055】
前述のように、係合部11の弾性片12の一側の端面12aは、円弧状の凹面に形成され、その曲率半径はビス62の雄ねじの半径より僅かに小さく形成されている。そこで、図9(a)に示すように、ビス62を基部2の凹溝部3のビス孔3bに取付ける。この状態では、係合爪13の係合面14は単に支持材41の折曲片45の下端47に当接してのみである。次に、同(b)に示すように、ビス62を更に締付けると、ビス62は係合部11の弾性片12の一側の端面12aを螺刻しつつ側方に押し付け、一対の弾性片12を左右に押し広げる。このとき、ビス62の頭部全体は基部2の凹溝部3内に収容され、ビス62の頭部の一部が凹溝部3の開口から上方に突出して電線管51と干渉するのが防止される。これにより、把持部21を締付けることなく、ヒンジ5を回動中心として一対の係合部11,11を拡開方向に回動させ、係合爪13の係合面14を支持材41の折曲片45の下端47に圧接することができる。
【0056】
但し、一対の係合部11,11を左右に拡開するには、把持部21の締付けによる拡開手段を基本とし、ビス62による係合部11の拡開手段は、把持部21の締付けによる拡開後の増し締め手段として用いてもよい。
【0057】
ところで、上記実施形態において、係合爪13とともに電線管51を挟持する当接部6は、基部2の凹溝部3の底部3aの下面に設けているが、他の箇所に設けてもよい。
また、ヒンジ5は、基部2の凹溝3の底部3aの下面中央に設けているが、同様に、他の箇所に設けてもよい。そして、ヒンジ5は、前記底部3aの一部を薄肉にして形成しているが、これに限られるものではない。
【0058】
更に、係合部11の係合爪13の係合面14は、回動中心側端部15を傾斜面16に形成しているが、係合面14全体に至って傾斜面16に形成してもよい。この場合は、ヒンジ5を軸とした係合爪13の回動量が小さくても、支持材41の折曲片45に対して係合爪13の係合面14を圧接することができる。
【0059】
また、係合部11は、固定具1の前面側及び後面側に各一対の計4個設けているが、これに限られるものではなく、固定具1の前面側及び後面側においてそれぞれ左右のいずれか1側のみに設けてもよい。即ち、計2個の係合部11を対向位置または対角位置に形成してもよい。或いは、固定具1の前面側及び後面側にそれぞれ3個以上形成してもよい。
【0060】
そして、上記実施形態の固定具1は、合成樹脂により一体に形成しているが、金属材で形成してもよく、また、複数部材を組付けて形成することを妨げるものでもない。
【0061】
なお、上記実施形態の固定具1は、内部にケーブルが挿通されてこれを保護する電線管51に適用したものを示しているが、配線・配管材は、これに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態の配線・配管材固定具の斜視図である。
【図2】図1の固定具を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図、(d)は(a)のA−A切断線による断面図である。
【図3】図1の固定具で電線管を把持し、支持材に取付けた配置状態を示す斜視図である。
【図4】図1の固定具を支持材に取付けた状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B切断線による断面図である。
【図5】図1の固定具を支持材に固定した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C切断線による断面図である。
【図6】図1の固定具の把持部を把持工具を使用して締付ける状態を示す正面図である。
【図7】図5の固定具の固定位置を変更するときの係合爪の支持材に対する圧接を解除する状態を示し、(a)は圧接が解除された状態を示す正面図、(b)は支持材との係合が更に緩められた状態を示す正面図、(c)は係合部の拡大図である。
【図8】図1の固定具を連結した状態を示す正面図である。
【図9】図1の固定具の一対の係合部をビスを使用して拡開する状態を示す正面図であり、(a)はビスを取付けた状態、(b)はビスを締付けた状態を示す。
【図10】従来の配線・配管材固定具の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 固定具
2 基部
5 ヒンジ
6 当接部
11 係合部
12 弾性片
12a 端面
13 係合爪
14 係合面
15 回動中心側端部
16 傾斜面
21 把持部
23、24 把持片
25a、28a 係止歯列
25c、27a 把持突起
31 ねじれ防止板
32、33 連結部
41 支持材
44 開口側端部
45 折曲片
46 開口
47 下端
51 電線管
61 把持工具
62 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と左右一対の側板とで断面コ字状に形成され、前記各側板の開口側端部に内方に折曲する折曲片を備えた支持材に、配線・配管材を固定するための配線・配管材固定具であって、
回動中心を有する基部と、前記支持材の開口側端部に当接する当接部と、前記基部の一方側に設けられ、前記支持材の一対の折曲片に係合する係合部と、前記基部の他方側に延設され、前記配線・配管材を両側から把持する把持部とを備え、
前記係合部は、前記支持材の幅方向に弾性変形可能な弾性片と、該弾性片に設けられ、前記当接部とで前記支持材の折曲片を挟持する係合爪とを備え、
前記係合爪は、前記支持材の開口から挿入されてその折曲片に係合した状態で、前記基部の一方側が前記回動中心を軸に拡開することにより、前記支持材の長手方向に回動して前記折曲片に圧接するよう形成されたことを特徴とする配線・配管材固定具。
【請求項2】
前記把持部は、係合部の弾性片の弾性変形方向と直交する方向に締付けられて配線・配管材を把持し、
前記基部の一方側は、前記把持部が締付けられることにより、回動中心を軸に拡開することを特徴とする請求項1に記載の配線・配管材固定具。
【請求項3】
前記基部の一方側は、係合部の弾性片の一側の端面にビスを締付けることにより、回動中心を軸に拡開することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線・配管材固定具。
【請求項4】
前記支持材の一対の折曲片の相対向する端部に当接してねじれを防止するねじれ防止板を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の配線・配管材固定具。
【請求項5】
前記把持部は、互いに係合する一対の把持片を備えて成り、
前記各把持片は、複数サイズの配線・配管材に対応すべく、互いに係止する複数の鈎突条を有する係止歯列を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の配線・配管材固定具。
【請求項6】
前記把持部は、把持工具を使用して締付け可能な一対の把持突起が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の配線・配管材固定具。
【請求項7】
前記支持材の長手方向に相互に連結可能な連結部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の配線・配管材固定具。
【請求項8】
前記係合部の係合爪は、支持材の折曲片との係合面における回動中心側端部が回動中心から離間する方向に傾斜する傾斜面に形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の配線・配管材固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−298153(P2008−298153A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144274(P2007−144274)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】