説明

配車処理システム

【課題】基地局から同一配車内容の文字データを複数台の移動局へ送信する場合に、複数台の移動局に対する配車処理時間を短縮し、且つ衝突による了解返送信号の欠落を無くすと共に了解返送信号の受信効率を向上する。
【解決手段】タクシー無線システムにおいて、複数の移動局11、12、…に対して同一内容の文字データ配車を行う場合、基地局より送信する配車通知のポーリングデータ中に、該当移動局が了解返送信号を送信するための順番を示す情報を付加する。基地局から上記ポーリングデータを受信した該当移動局11、12、…は、乗務員へ了解操作を行うよう通知し、了解待ち時間m中に了解ボタンが操作されると、その直後の時刻t2から了解送信タイミングnまで所定の順番で了解返送信号を基地局へ複数回繰り返して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば業務用無線によるタクシー配車用AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システム等の配車処理システムに係り、特に、全車ポーリング方式における複数台注文時の配車処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタクシー配車用AVMシステム等のタクシー無線システムでは、移動局である車両(タクシー)の現在位置をGPS(Global Positioning System:人工衛星を利用した測位システム)により移動局自身が検出して記憶している。そして、各移動局は基地局との間で位置動態情報を基地局からの定期的なポーリング信号に従い、車両番号毎に割り当てられた専用の送信スロットで返送する。基地局では移動局全車両を順にポーリングを行い、全ての移動局の位置動態情報を把握する。なお、基地局は少なくとも1つあって、管理センタに接続されており、管理センタではタクシー顧客からの要求に従い、移動局の位置動態情報から最適車両検索を行ってタクシー車両の配車を行う。配車を行う方式として音声で直接移動局へ指示する方法と、文字データの伝送により移動局へ配車情報を送信して指示する方法がある。
【0003】
文字データの伝送により移動局へ配車を行う場合において、同じ配車内容で複数の台数注文があった場合、管理センタは同一配車内容の文字データを基地局経由で必要台数分移動局へ1台ずつ順に配車情報を送信して指示する。一方移動局は、文字データ伝送による配車情報を受信すると、了解操作を行ったあと、必要なタイミングを取って了解返送信号を基地局へ送信する。
【0004】
図6は、上記従来のタクシー無線システムにおける文字配車データ信号の構成図である。文字配車データ信号は、移動局の車両番号(車番)1及び文字配車データ2からなり、各移動局に対する文字配車データ2の前に配車指示を行う車両番号1をセットとした構成となっている。
【0005】
図7は、複数の移動局に対して配車を行う場合における従来の文字データ配車の実施タイミング図である。なお、図7は文字配車データを3台の移動局1、2、3へ送信する場合のタイミングを示している。
【0006】
基地局は、管理センタから配車情報を受信すると、図7(a)に示すように移動局1に対して車両番号が付加された文字配車データを送信する。該当する自局の車両番号と一致した移動局1は、文字配車データを受信表示し、移動局1の乗務員はその表示を確認した後、了解待ち時間mの間に了解ボタンの操作を行う。この了解ボタンの操作が行われると、移動局1は図7(b)に示すように、そのタイミングで了解返送信号を送信し、この了解返送信号を受信した基地局は管理センタへ送信する。
【0007】
次に基地局は、移動局2に対して車両番号が付加された文字配車データを送信する。該当する自局の車両番号と一致した移動局2は、文字配車データを受信表示し、移動局2の乗務員はその表示を確認した後、了解待ち時間mの間に了解ボタンの操作を行う。この了解ボタンの操作が行われると、移動局2は図7(c)に示すように、そのタイミングで了解返送信号を送信する。基地局は、以下同様にして上記の処理を配車する移動局の車両台数分繰り返して行う。
【0008】
また、文字配車データの内容が同一である場合、すなわち、同じ配車内容で複数台の配車処理を行う場合でも、基地局は配車台数分だけ上記の配車処理を行っている。このため同一文字配車データを複数台、例えば3台の移動局へ送信処理する場合には、複数台文字データ配車合計時間T1は、「データ送信時間t×3回+了解待ち時間m×3回」となり、多大な時間が必要である。
【0009】
また、本発明に関連する公知技術として、自車両の車両番号を伝送する複数の移動局と、各移動局から送られてくる情報を受信して処理する基地局からなるタクシー配車用AVMシステム等の無線通信システムにおいて、基地局は、定期的に全ての移動局の位置動態情報を車両番号順に収集するポーリングによるデータ収集と配車指示を同時に行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−268999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の文字データ配車方式では、文字によるデータ伝送で移動局へ配車を行う場合、同じ配車内容で複数の台数注文があった場合に、基地局は同一配車内容の文字データを必要台数分移動局へ1台ずつ順に配車情報を送信し、一方移動局は文字データ伝送による配車情報を受信した場合、了解操作を行ったあと、必要なタイミングを取って了解返送信号を送信している。上記配車に関する文字データは、配車の場所や名称など大量のデータであり伝送に時間がかかるため、同じ配車内容であっても複数の台数注文があった場合には、配車処理に多大な時間が必要である。このため短時間に多くの配車処理を行う必要がある大規模のシステムでは、同一配車内容の複数注文に対する配車処理を短時間で行うことができないという問題があった。
【0011】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、同一配車内容の文字データを複数台の移動局へ送信する場合に、一括して送信処理できるようにし、かつ移動局から送信される了解返送信号の同期を取り、衝突による欠落無く受信できるようにし、システム規模が移動局数百台のシステムでも同一配車内容の複数注文に対する配車処理を短時間で行うことができ、また、了解ボタンを押す期間である了解待ち時間を利用し、了解ボタンを押した直後に同期を取り了解返送信号を複数回送信することで了解返送信号の受信率を向上できる配車処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、車両番号と位置動態情報を無線装置にて伝送する移動局と、ポーリングにより前記移動局からの位置動態情報を収集すると共に配車情報を前記移動局に送信して配車処理する基地局とにより構成される配車処理システムであって、前記基地局は、複数の移動局に対して同一配車指示を行う際、ポーリングデータ中に配車情報と共に該当移動局が了解返送信号を送信するための順番を示す情報を付加し一括して送信する送信手段を備え、前記基地局から前記配車指示を受信した該当移動局は、所定の了解待ち時間中に行われる了解操作により、該了解操作の直後から前記基地局で指示された順番で了解返送信号を前記基地局へ複数回送信する手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記基地局は、配車指示した全ての移動局からの了解返送信号を受信した際、その後に送られてくる了解返送信号を廃棄して次の処理に移行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同一の配車情報を複数台の移動局に同時に配車することが可能となり、また各移動局からの了解返送信号の同期をとることで衝突による了解返送信号の欠落を防止でき、移動局が例えば数百台の大規模なシステムであっても、同一配車内容の複数注文に対する配車処理を短時間で且つ確実に行うことができる。
【0015】
また、基地局は、配車指示した全ての移動局からの了解返送信号を受信した際、その後に送られてくる了解返送信号を廃棄して次の処理に移行することにより、処理効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る配車処理システムの構成例を示したもので、GPSを利用したタクシー配車用AVMシステムに実施した場合の例を示している。
【0017】
図1において、11、12、13、14は車両(タクシー)に搭載される移動局で、通常運用(業務)中であり、管理センタ20から基地局21を経由して送られてくる指示を受けて業務を遂行している状態を示している。
【0018】
また、21、22、23は配車処理システムの基地局である。一般的に基地局21、22、23は、電波を利用して移動局11、12、…と双方向の通信を行ったり、有限資源である電波の管理などを行う機能を備えている。この場合、電波の届く範囲は限定されるため、例えば基地局21においては電波が届く基地局カバーエリア25内で移動局11、12、13、14との通信が可能である。
【0019】
基地局21は、各移動局11、12、…に対してポーリング方式によりデータを収集する。すなわち、基地局21は、各移動局11、12、…にポーリング信号P1の送信を行い、基地局カバーエリア25内の各移動局11、12、…からのポーリング信号の返信P11、P12、P13、P14の返信により、各移動局11、12、…の位置状態情報を管理センタ20からの指定された移動局車両番号により、車両番号の順にデータを収集する。
【0020】
また、基地局21は、上記移動局11、12、…との間のポーリングにより、移動局から車両の現在の状況を示す例えば「実車」、「空車」、「迎車」、「降車」等の車両情報を収集して管理センタ20へ送信する。
上記ポーリング方式によるデータ収集のための基地局21と移動局11、12、…間の業務用無線通信方式としては、例えばデジタルSCPC(Single Channel Per Carrier)無線システム(狭帯域デジタル通信方式標準規格ARIB STD−T61に準拠し、周波数分割により構成されたチャンネルにより通信を行うシステム)が使用される。
【0021】
管理センタ20は、基地局21、22、23に対して専用回線27などで接続されており、タクシー顧客からの要求に従い、例えば基地局21を介して収集する移動局11、12、13、14の位置動態情報から最適車両検索を行ってタクシー車両の配車を行う。
【0022】
図2は管理センタ20から基地局21を経由して送信されるポーリングデータ中の文字配車データ信号の構成を示すもので、(a)は基本的なデータ構成、(b)は複数の移動局に対して同一内容で配車を行う場合の例である。文字配車データ信号は、基本的には図2(a)に示すように例えば配車の場所や名称などからなる文字配車データ32の前に配車指示を行う移動局の車両番号(車番)31をセットした構成であり、複数の移動局に対して同一内容で配車を行う場合には図2(b)に示すように文字配車データ32の前に配車指示を行う各移動局の車両番号31a、31b、…を順番にセットした構成となっている。すなわち、車両(タクシー)を同一内容で複数台配車する際に、予め基地局21から送信する配車通知のポーリングデータ中に、該当車両が了解返送信号を送信するための順番を示すデータを入力している。なお、図2(b)は、文字配車データ32の前に配車指示を行う3台の移動局の車両番号31a、31b、31cを順番にセットした場合の例を示している。
【0023】
図3は、タクシー配車用AVMシステムにおける上記移動局11、12、…の構成例を示したものである。なお、各移動局11、12、…の構成は同じであるので、移動局11について説明する。
【0024】
図3において、41はAVM操作表示器で、このAVM操作表示器41には、AVM無線部42、GPS受信部44、料金メータ46等が接続される。
【0025】
上記AVM操作表示器41は、表示部411及び操作部412を備えると共に、CPU等の情報処理部413を備えている。更に、AVM操作表示器41には、動作状態を表示するための表示灯、例えばLED414が設けられる。上記表示部411は、例えば液晶表示パネルを用いたもので、漢字、カナ、英、数字等を表示することが可能であり、待機場所や行先、顧客情報、更には乗務員への操作指示等を表示する。操作部412は、文字入力キーやカーソルキーの他、「応答」、「了解」等のファンクションキーを備えている。情報処理部413は、移動局全体の制御処理を行うと共に、例えば基地局21からポーリングデータを受信した場合、乗務員へ了解ボタンの操作を行うようにメッセージを表示部411に表示すると共にLED414を点灯制御する。
【0026】
上記AVM無線部42は、無線通信用のアンテナ43を備え、業務用無線例えばデジタルSCPC方式の無線システムを使用して基地局21及び他の移動局11、12、…と無線通信を行う。
上記GPS受信部44は、GPS衛星26からの電波をGPSアンテナ45により受信し、現在位置情報を取得する。この現在位置情報は、AVM操作表示器41の情報処理部413へ送られ、基地局21からの定期的なポーリング信号に従ってそれぞれの車両番号と共にAVM無線部42より位置動態情報として基地局21へ送信される。
【0027】
上記料金メータ46は、タクシー料金を表示する料金表示部461を備えると共に、「実車」ボタン462、「空車」ボタン463、「迎車」ボタン464、「降車」ボタン465及び領収書発行用のプリンタ466を備えている。
【0028】
次に、上記実施形態において、管理センタ20により文字データ配車を行う場合の基本的な動作を図4に示すタイミングチャートを参照して説明する。
管理センタ20は、同一配車内容の文字データを複数台の移動局へ送信する場合、図2(b)及び図4(a)に示すように同一の文字配車データ32の前に複数の移動局車両番号31a、31b、…を順番にセットし、ポーリング信号と共に基地局21へ送出する。基地局21は、ポーリング信号を送信する際、上記管理センタ20から受けた文字配車データ信号、すなわち複数の移動局車両番号31a、31b、…が順番にセットされた文字配車データ信号を配車対象の移動局へ一括して送信する。なお、図4は、3台の移動局11、12、13に対して配車を行う場合の基地局配車データの送信及び移動局による了解返送信号の送信タイミングを示している。
【0029】
移動局11、12、…は、基地局21から送られてきた文字配車データをAVM無線部42で受信し、自局の車両番号と一致するかどうかを判断する。受信した文字配車データの車両番号31と自局の車両番号と一致した移動局、この場合の例では移動局11、12、13は、受信した文字配車データをAVM操作表示器41における情報処理部413の制御により表示部411に表示すると共にLED414を表示し、了解ボタンの操作を行うように指示する。このとき各移動局11、12、13の情報処理部413は、文字配車データ32にセットされた車両番号31a、31b、31cにおける自局番号の順位を認識して記憶する。
【0030】
各移動局11、12、13の乗務員は、表示部411の表示内容を確認した後、図4(a)に示すように受信した文字配車データ32の後に設定される了解待ち時間mの間に了解ボタンの操作を行う。上記了解待ち時間mは、数秒間必要であり、例えば8秒程度に設定される。
【0031】
各移動局11、12、13の情報処理部413は、上記了解ボタンの操作が行われると、了解待ち時間mの後に設定される了解送信タイミングnにおいて、所定の順位、例えば図4(b)〜(d)に示すように予め文字配車データ32の前にセットされた自局番号の順位に従ってタイミングをとり、順番に了解返送信号をAVM無線部42より基地局21へ送信する。上記了解送信タイミングnは数十msであり、了解待ち時間mに比較すると非常に短い時間である。
【0032】
基地局21は、移動局11、12、13から送られてくる了解返送信号を受信すると、この了解返送信号を管理センタ20へ送信する。これにより管理センタ20は、移動局11、12、13が文字配車データ32を受信して了解したことを確認する。
【0033】
上記の方式によれば、複数台の移動局に対する文字データ配車合計時間T2は、図4に示されているように「データ送信時間t×1+了解待ち時間m×1」の時間となり、短時間で複数の移動局への配車が可能になる。また、各移動局11、12、13からは、順次異なるタイミングで了解返送信号が基地局21へ送信されるので、了解返送信号の衝突による欠落を確実に防止することができる。
【0034】
次に、複数台の移動局に対する文字データ配車処理を更に効率的に行うことができる配車処理システムについて、図5に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、図5は、図4の場合と同様に3台の移動局11、12、13に対して配車を行う場合の基地局配車データの送信及び移動局による了解返送信号の送信タイミングを示している。
【0035】
上記図4に示したように複数の移動局に対して同一内容の文字データ配車を行う場合に、同一の文字配車データ32の前に複数の移動局車両番号31a、31b、…を順番にセットして管理センタ20から一括送信し、移動局では車両番号の順番に同期を取って了解返送信号を送信することにより複数台の移動局への配車処理時間を短時間で行うことができる。しかし、移動局での了解ボタンの操作が了解待ち時間m中の早いタイミングで行なわれた場合でも、了解返送信号は了解待ち時間mを経過した後の了解送信タイミングnまで送信されないので、無駄な時間を生じて了解返送信号の送信が遅れることになる。上記了解待ち時間mは移動局の乗務員の操作待ち時間であり、了解送信タイミングnに比較して長い時間を要しているので、了解返送信号の送信タイミングに大きく影響する。
【0036】
このため図5に示す方式では、了解待ち時間mの間に了解ボタンが操作されると、その直後から各移動局間で同期を取り、了解待ち時間m内から了解返送信号を基地局へ送信することにより、了解ボタンが操作されてから了解送信タイミングnまでの待ち時間を無くすようにしており、以下にその詳細を説明する。
【0037】
管理センタ20は、同一配車内容の文字データを複数台の移動局へ送信する場合、図2(b)及び図5(a)に示すように同一の文字配車データ32の前に複数の移動局車両番号31a、31b、…を順番にセットし、ポーリング信号と共に基地局21へ送出する。基地局21は、ポーリング信号を送信する際、上記管理センタ20から受けた文字配車データ信号、すなわち複数の移動局車両番号31a、31b、…が順番にセットされた文字配車データ信号を配車対象の移動局へ一括して送信する。
【0038】
移動局11、12、…は、基地局21から送られてきた文字配車データをAVM無線部42で受信し、自局の車両番号と一致するかどうかを判断する。受信した文字配車データの車両番号31と自局の車両番号と一致した移動局、この場合の例では移動局11、12、13は、受信した文字配車データをAVM操作表示器41における情報処理部413の制御により表示部411に表示すると共にLED414を表示し、了解ボタンの操作を行うように指示する。このとき各移動局11、12、13の情報処理部413は、文字配車データ32にセットされた車両番号31a、31b、31cにおける自局番号の順位を認識して記憶する。
【0039】
各移動局11、12、13の乗務員は、表示部411の表示内容を確認した後、図5(a)に示すように受信した文字配車データ32の後に設定される了解待ち時間mの間に了解ボタンの操作を行う。このとき移動局11、12、13の乗務員は、例えば了解待ち時間m内の時刻t1において了解ボタンの押下を完了したものとする。
【0040】
各移動局11、12、13の情報処理部413は、上記時刻t1において了解ボタンの操作が行われると、その直後、すなわち了解待ち時間m内の時刻t2から所定の順位、例えば図5(b)〜(d)に示すように予め文字配車データ32の前にセットされた自局番号の順位に従ってタイミングをとり、了解返送信号をAVM無線部42より基地局21へ複数回繰り返して送信する。この場合、上記各移動局11、12、13の了解返送信号は、了解待ち時間m内の時刻t2から了解送信タイミングnまで順次繰り返して送信される。上記了解送信タイミングnは数十msであり、了解待ち時間m(数秒間)に比較すると非常に短い時間であるので、了解待ち時間mにおいて了解返送信号を送信することが可能である。
【0041】
なお、上記t1のタイミングにおいて、例えば移動局11と移動局13のみが了解ボタンを操作した場合には、移動局12のタイミングでは了解返送信号は出力されない。すなわち、了解ボタンが操作された移動局のみ、その直後から基地局21により指示された順位に従ってタイミングをとり、了解返送信号を基地局21へ複数回繰り返して送信する。
【0042】
基地局21は、移動局11、12、13から送られてくる了解返送信号を受信すると、この了解返送信号を管理センタ20へ送信し、移動局11、12、13が文字配車データ32を受信して了解したことを確認する。この場合、基地局21は、了解待ち時間m中に全ての移動局11、12、13からの了解返送信号を受け取ることができた場合は、その後に送られてくる了解返送信号を全て廃棄して次の処理に移行する。
【0043】
上記実施形態で示したように、複数の移動局に対して同一内容の文字データ配車を行う場合に、基地局21から送られてくる文字配車データ32を受信した移動局11、12、…において、了解待ち時間mの間に了解ボタンが操作されると、その直後から、すなわち了解待ち時間mの終了を待たずに了解返送信号を基地局21へ送信することにより、了解ボタンが操作されてから了解送信タイミングnまでの待ち時間を無くすことができ、文字配車データ32を受信してから了解返送信号を送信するまでの時間を短縮することができる。
【0044】
また、各移動局11、12、…間で了解返送信号の同期を取ることで、衝突による了解返送信号の欠落を無くすことができる。更に、移動局11、12、…から基地局21へ了解返送信号を複数回繰り返して送信することにより、基地局21における了解返送信号の受信率を向上することができる。更に、基地局21は、配車指示した全ての移動局11、12、…からの了解返送信号を受信した際、その後に送られてくる了解返送信号を廃棄して次の処理に移行することにより、処理効率を向上することができる。従って、移動局が例えば数百台の大規模なシステムであっても、同一配車内容の複数注文に対する配車処理を短時間で効率的に行うことができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、文字配車データ32の前に複数の移動局車両番号31a、31b、…を順番にセットすることで、各移動局の了解返送信号の送信タイミングを決定するようにしたが、その他、例えば文字配車データ32に対し、各移動局車両番号31a、31b、…と共に了解返送信号の送信の順番を示すデータをセットするようにしても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、GPS受信部44によりGPS衛星26からの電波を受信して現在位置情報を取得する場合について示したが、その他、例えばGPS受信部及びGPS地図表示部を備えたカーナビゲーション装置を設置し、カーナビゲーション装置が取得した現在位置情報を利用しても良い。
【0047】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るGPSを利用したタクシー配車用AVMシステムの構成例を示す図である。
【図2】同実施形態における文字配車データ信号の構成例を示す図である。
【図3】同実施形態における移動局の構成例を示すブロック図である。
【図4】同実施形態において、3台の移動局に対して配車を行う場合の基本的な動作を示すタイミングチャートである。
【図5】同実施形態において、3台の移動局に対して配車を行う場合の他の動作例を示すタイミングチャートである。
【図6】従来の文字データ配車方式における文字配車データ信号の構成図である。
【図7】従来の複数台文字データ配車方式の動作タイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
11、12、13、14…移動局、20…管理センタ、21、22、23…基地局、25…基地局カバーエリア、26…GPS衛星、27…専用回線、31、31a、31b、31c…車両番号、32…文字配車データ、41…AVM操作表示器、411…表示部、412…操作部、413…情報処理部、414…LED、42…AVM無線部、43…無線通信用のアンテナ、44…GPS受信部、45…GPSアンテナ、46…料金メータ、461…料金表示部、462…「実車」ボタン、463…「空車」ボタン、464…「迎車」ボタン、465…「降車」ボタン、466…プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両番号と位置動態情報を無線装置にて伝送する移動局と、ポーリングにより前記移動局からの位置動態情報を収集すると共に配車情報を前記移動局に送信して配車処理する基地局とにより構成される配車処理システムであって、
前記基地局は、複数の移動局に対して同一配車指示を行う際、ポーリングデータ中に配車情報と共に該当移動局が了解返送信号を送信するための順番を示す情報を付加し一括して送信する送信手段を備え、前記基地局から前記配車指示を受信した該当移動局は、所定の了解待ち時間中に行われる了解操作により、該了解操作の直後から前記基地局で指示された順番で了解返送信号を前記基地局へ複数回送信する手段を備えたことを特徴とする配車処理システム。
【請求項2】
前記基地局は、配車指示した全ての移動局からの了解返送信号を受信した際、その後に送られてくる了解返送信号を廃棄して次の処理に移行することを特徴とする請求項1に記載の配車処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−102622(P2008−102622A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282897(P2006−282897)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】