説明

酵素阻害剤

HDAC活性を阻害する、式(I)の化合物類:


(式中、A、BおよびDは独立して=CH−または=N−を表し;Wは−CH=CH−または−CH2CH2−であり;R1はカルボン酸基(−COOH)、または1以上の分子内カルボキシエステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基であり;R2またはR3のいずれもが水素でないという条件で、R2およびR3は天然または非天然のアルファアミノ酸の側鎖から選択されるか、あるいはR2およびR3はそれらが結合している炭素と一緒になって、3−6員の飽和シクロアルキルまたはヘテロサイクリル環を形成してもよく;Yは、結合手、−C(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)O−、−C(=O)NR’−、−C(=S)−NR’、−C(=NH)NR’または−S(=O)2NR−(ここで、R’は水素または任意に置換されていてもよい(C1−C6)アルキルである)であり;L1は式−(Alk1m(Q)n(Alk2p−の2価の基[ここで、m、n、p、Q、Alk1およびAlk2は請求項で定義したとおりである]であり;X1は、結合手;−C(=O);または−S(=O)2−;−NR4C(=O)−、−C(=O)NR4−、−NR4C(=O)NR5−、−NR4S(=O)2−もしくは−S(=O)2NR4−(ここで、R4およびR5は、独立して水素または任意に置換されていてもよい、(C1−C6)アルキルである)を表し;そしてzは0または1である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素のヒストン脱アセチル化酵素ファミリーのメンバーを阻害する化合物、ならびに癌を含む細胞増殖性疾患、ポリグルタミン病、例えばハンチントン病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、自己免疫性疾患、例えば慢性関節リウマチ、糖尿病、血液疾患、炎症性疾患、心臓血管系疾患、アテローム性動脈硬化症および感染症の炎症性後遺症の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
真核細胞中で、DNAはクロマチンを形成するためにヒストンでパッケージされている。DNAのおよそ150の塩基対が、クロマチンの基本単位であるヌクレオソームを形成するために、ヒストン・オクタマー(ヒストン2A、2B、3および4のそれぞれ2つ)の周囲で2重に包まれている。
【0003】
クロマチンの規則正しい構造は、関連する遺伝子の転写を可能とするために修飾される必要がある。転写の調節は、分化、増殖およびアポトーシスへの鍵であり、それ故に厳密に制御される。クロマチン構造中での変化の制御(および転写の結果)は、ヒストン、最も顕著にはN−末端尾への共有結合修飾により仲介される。
【0004】
アミノ酸の側鎖の共有結合修飾(例えばメチル化、アセチル化、リン酸化およびユビキチン化)は、酵素的に仲介される(ヒストンの共有結合修飾および転写の調節でのそれらの役割の総説は、S.L. Berger,Oncogene,2001,20,3007-3013で見られる。ヒストンのアセチル化および転写の総説については、M. Grunstein,Nature,1997,389,349-352;A.P. Wolffe,Science,1996,272,371-372;およびP.A.Wadeら,Trends Biochem.Sci.,1997,22,128-132を参照)。
【0005】
ヒストンのアセチル化は転写的に活性なクロマチンの領域と関連し、それ故に低アセチル化度のヌクレオソームは典型的には転写的に不活性である。ヒストンのアセチル化の状態は、反対の活性の、2つの酵素のクラス:ヒストン・アセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)により制御される。
【0006】
形質転換された細胞内で、HDACの不適切な発現は、腫瘍抑制遺伝子の沈黙をもたらすと信じられている(腫瘍形成におけるHDACの潜在的役割の総説については、S.G. GrayおよびB.T.The,Curr.Mol.Med.,2001,1,401-429を参照)。
【0007】
HDAC酵素の阻害剤は文献に記載され、動物における癌細胞増殖の阻害、アポトーシスの誘発および腫瘍の成長の阻害をもたらす、特定の遺伝子の転写の再活性化を誘発することが示されている(総説として、W.K.Kellyら,Expert Opin.Investig.Drugs,2002,11,1695-1713を参照)。
【0008】
そのような発見は、HDAC阻害剤が、癌のような増殖性疾患の治療において、治療の可能性を有することを提案している(O.H.Kramerら,Trends Endocrinol.,2001,12,294-300,;D.M.VigushinおよびR.C.Coombes,Anticancer Drugs,2002,13,1-13)。
【0009】
さらに、その他のものは、異常なHDACの活性またはヒストンのアセチル化が次の疾患および障害;炎症性疾患(F. Leoniら, Proc. Soc. Natl. Acad. Sci.,2002, 99, 2995-3000)、ポリグルタミン病、例えばハンチントン病(R.E.Hughes,Curr Biol,2002,12,R141-R143;A.McCampbellら,Proc.Soc.Natl.Acad.Sci.,2001,98,15179-15184;E.Hocklyら,Proc.Soc.Natl.Acad.Sci.,2003,100,2041-2046)、その他の神経変性疾患、例えばアルツハイマー病(B.HempenおよびJ.P.Brion,J.Neuropathol.Exp.Neurol.,1996,55,964-972)、自己免疫性疾患および臓器移植拒絶(S.Skovら,Blood,2003,101,1430-1438;N.Mishraら,J.Clin.Invest.,2003,111,539-552)、糖尿病(A.L.MosleyおよびS.Ozcan,J.Biol.Chem.,2003,278,19660-19666)および糖尿病合併症、感染症(原虫感染を含む(S.J.Darkin-Rattrayら,Proc.Soc.Natl.Acad.Sci.,1996,93,13143-13147))、ならびにサラセミアを含む血液疾患(O.Wittら,Blood,2003,101,2001-2007)に関係していると提案していた。
【0010】
これらの文献に含まれる知見は、HDAC阻害がこれらおよびその他の関連する疾患における治療上の恩恵を有するであろうと提案している。
【0011】
多くのタイプのHDAC阻害剤の化合物が癌治療のために提案され、いくつかのそのようなの化合物が、癌の治療のために現在臨床評価されている。例えば、次の特許文献がそのような化合物を開示している。
【0012】
US 5,369,108 WO 02/22577 WO 03/092686
WO 01/18171 WO 03/075929 WO 03/066579
US 4,254,220 WO 03/076395 WO 03/011851
WO 01/70675 WO 03/076400 WO 04/013130
WO 01/38322 WO 03/076401 WO 04/110989
WO 02/30879 WO 03/076421 WO 04/092115
WO 02/26703 WO 03/076430 WO 04/224991
WO 02/069947 WO 03/076422 WO 04/076386
WO 02/26696 WO 03/082288 WO 05/014588
WO 03/082288 WO 03/087057 WO 05/018578
WO 05/019174 WO 05/030704 WO 05/026907
WO 05/004861 WO 05/013958 WO 06/016680
WO 05/007091 WO 05/028447
【0013】
当技術分野において知られている多くのHDAC阻害剤は、式(A):
【化1】

(式中、環Aは任意の置換基Rを有する炭素環式または複素環式の環系であり、[リンカー]は様々なタイプのリンカー基である。)
として表され得る、構造的なテンプレートを有する。
【0014】
ヒドロキサメート基は、折り畳まれた酵素の構造内の、ポケットの底に存在する、HDAC酵素の活性部位で金属イオンと相互作用する金属結合基として機能する。環または環系Aは、金属イオンを含むポケットの内部またはポケットの入口に存在し、それはAを金属結合性ヒドロキサム酸基と結合する、前記ポケットの中へより深く広がる−[リンカー]−基を有する。
【0015】
当技術分野、時には本明細書において、環または環系Aは非公式に阻害剤の「ヘッド基」と言われることもある。
【0016】
標的臓器および標的組織への送達を高めるため、または親薬剤の貧弱な薬物動態特性を克服するためのプロドラッグの使用は、よく知られた医薬品化学的なアプローチである。例えば、インビボで血清カルボキシエステラーゼにより活性な親化合物の酸に加水分解されるエステルのプロドラッグの投与は、親化合物の酸それ自体の投与より親の酸のより高い血清レベルをもたらすことができる。
【発明の概要】
【0017】
発明の簡単な説明
我々は、今、HDAC酵素に対して強力でかつ選択的な阻害剤である一群の化合物を見出した。従って、これらの化合物は、例えばHDACが治療介入のための認識された標的である、疾患の治療用医薬において使用される。
【0018】
その化合物類は、α,α−2置換グリシンエステルモチーフ、または細胞内カルボキシエステラーゼにより加水分解され得るα,α−2置換グリシンエステルモチーフの分子内の存在による特徴付けられる。親油性のα,α−2置換グリシンエステルモチーフを有する本発明の化合物類は、細胞膜を通過し、細胞内カルボキシエステラーゼ類により酸に加水分解される。
【0019】
極性の加水分解生成物は、細胞膜をたやすく通過しないので細胞内に蓄積する。よって、化合物のHDAC阻害活性は、細胞内で長期に亘り、かつ強化される。
【0020】
本発明の化合物類は、国際特許出願番号WO2008/040934中の開示に含まれるHDAC阻害剤に関連する。後者の化合物は、前記化合物が細胞内へ細胞膜を通過することを可能にもするα−1置換グリシンエステルモチーフを有し、そしてそこでそれらは細胞内カルボキシエステラーゼによって対応する酸に加水分解される。しかしながら、前記公報は、α,α−2置換グリシンエステル共役物(conjugates)が、細胞内カルボキシエステラーゼによって加水分解され得ることを示唆していない。実際、細胞内カルボキシエステラーゼ、主にhCE−1、hCE−2およびhCE−3のα,α−2置換グリシンエステルを加水分解する能力は以前に研究されていなかったと思われる。
【0021】
カルボン酸加水分解生成物の細胞内蓄積の恩恵を得るために、α−1置換グリシンエステルモチーフを細胞内酵素またはレセプターの調節剤にコンジュゲートさせる(conjugating)一般的概念は、我々の国際特許出願WO2006/117567に開示されている。しかしながら、この公報は、α,α−2置換グリシンエステル共役物が、細胞内カルボキシエステラーゼによって加水分解され得ることを示唆していない。前記のように、細胞内カルボキシエステラーゼ、主にhCE−1、hCE−2およびhCE−3のα,α−2置換グリシンエステルを加水分解する能力は以前に研究されていなかったと思われる。
【0022】
それ故、本発明は、細胞壁を介する作用物質の浸透を容易とし、その結果、細胞内カルボキシエステラーゼ活性に親化合物の酸を放出するためのエステルの加水分解を可能ならしめるα,α−2置換グリシンエステルグループを有する化合物であり、HDACの細胞内での阻害から恩恵を受け、癌または炎症のような疾患の治療における医薬的な有用性を有する、HDAC阻害剤の新たなクラスを入手可能とする。
【0023】
帯電しているとき、前記の酸は細胞から直ちには移動せず、それ故に蓄積して活性なHDAC阻害剤の細胞内の濃度を増す。このことは、作用の効力および持続の強化を引き起こす。
【0024】
本発明の化合物類は、同時係属中の国際特許出願番号WO2008/040934号中に記載されているものとは異なったものであり、後者の化合物のアミノ酸エステルの共役部分はアルファ炭素上で1置換され、他方、本化合物類においては、アルファ炭素は2置換されている。
【0025】
本発明のα,α−2置換されたグリシンエステル共役物はそれらのモノ−アルファ置換された対応物よりも低HDAC阻害活性を有する傾向があるため、この構造上の相違は有益であり、そのような場合、その結果、本化合物類のHDAC阻害活性は、一般的な全身的な効果としてよりもむしろそれらの加水分解生成物が蓄積する、細胞内で主に発揮される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本発明によれば、式(I)の化合物が提供される:
【化2】

【0027】
(式中、
A、BおよびDは独立して=CH−または=N−を表し;
【0028】
Wは2価の基−CH=CH−または−CH2CH2−であり;
【0029】
1はカルボン酸基(−COOH)、または1以上の分子内カルボキシエステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基であり;
【0030】
2またはR3のいずれもが水素でないという条件で、R2およびR3は天然または非天然のアルファアミノ酸の側鎖から選択されるか、あるいはR2およびR3はそれらが結合している炭素と一緒になって、3−6員の飽和スピロシクロアルキルまたはヘテロサイクリル環を形成してもよく;
【0031】
Yは、結合手、−C(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)O−、−C(=O)NR’−、−C(=S)−NR’、−C(=NH)NR’または−S(=O)2NR’−(ここで、R’は水素または任意に置換されていてもよい(C1−C6)アルキルである)であり;
【0032】
1は式−(Alk1m(Q)n(Alk2p−の2価の基
【0033】
[ここで、m、nおよびpは独立して0または1であり、
【0034】
Qは、(i)任意に置換されていてもよい、5−13員環の、2価の単環式もしくは2環式の炭素環式基または複素環式基であるか、あるいは(ii)mおよびpが共に0である場合、式−X2−Q1−または−Q1−X2−の2価の基{ここで、X2は−O−、S−またはNRA−(ここで、RAは水素もしくは、任意に置換されていてもよい(C1−C3)アルキルである)であり、Q1は任意に置換されていてもよい、5−13員環の、2価の単環式もしくは2環式の炭素環式または複素環式基である}であり、
【0035】
Alk1およびAlk2は、独立して、任意に置換されていてもよい、2価の(C3−C7)シクロアルキル基、または任意に置換されていてもよい、直鎖状もしくは分枝鎖状の(C1−C6)アルキレン、(C2−C6)アルケニレンもしくは(C2−C6)アルキニレン基を表し、これらの基はエーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)もしくはアミノ(−NRA−)結合(ここで、RAは水素または任意に置換されていてもよい(C1−C3)アルキルである)を任意に含んでいてもよいか、あるいは末端としていてもよい]であり;
【0036】
1は、結合手;−C(=O);または−S(=O)2−;−NR4C(=O)−、−C(=O)NR4−、−NR4C(=O)NR5−、−NR4S(=O)2−、−S(=O)2NR4−(ここで、R4およびR5は、独立して水素または任意に置換されていてもよい、(C1−C6)アルキルである)を表し;そして
【0037】
zは0または1である)。
【0038】
前記の式(I)の化合物類は、それらの塩類、特に医薬的に許容な塩類、N−オキサイド類、水和物類、溶媒和物類および多形相類の形態で製造されてもよい。本明細書における化合物についてのいずれの請求項、または本明細書で用いる場合、「本発明の化合物類」、「本発明に係る化合物類」、「式(I)の化合物類」等の記載は、そのような化合物類の塩類、N−オキサイド類、水和物類、溶媒和物類および多形相類を含む。
【0039】
本明細書で用いる場合「本発明のエステル化合物類」、「本発明に係るエステル化合物類」、「式(I)のエステル化合物類」等の記載は、R1が1以上の分子内カルボキシエステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基である、式(I)の化合物類に関し、そのような化合物の塩類、N−オキサイド類、水和物類、溶媒和物類および多形相類を含む。
【0040】
前記の定義は高分子量の分子を潜在的に含み得るが、医薬品化学の実務での一般的な原則に従い、本発明に係る化合物は600以下の分子量を有することが好ましい。
【0041】
本発明のエステル化合物類は、細胞壁への浸透後、分子内カルボキシエステラーゼ酵素により加水分解され、対応するカルボン酸に変換される。後者は、それらが細胞内に放出されたときに活性なHDAC阻害剤であるため、本発明の一部を形成するが、一般的にそれらはそれら自身を対象物に投与する薬物として役に立たない。投与に有用であると考えられるのは本発明のエステル化合物類である。
【0042】
その結果、もう1つの広汎な観点では、本発明はヒストン脱アセチル化酵素活性を阻害するための組成物の調製における、本発明のエステル化合物の使用を提供する。
【0043】
本発明に係るエステル化合物類は、エクスビボまたはインビボでの、ヒストン脱アセチル化酵素活性の阻害のために用いられ得る。
【0044】
本発明のある観点では、本発明のエステル化合物類は、細胞増殖性疾患、例えば癌細胞増殖および自己免疫性疾患の治療のための組成物の調製に使用され得る。
【0045】
もう1つの観点では、本発明は、前記疾患を患う対象者に本発明のエステル化合物の有効量を投与することを含む、前記疾患の種類の治療方法を提供する。
【0046】
用語
用語「エステル」または「エステル化されたカルボキシ基」は、観念的にアルコールR9OHから誘導される、R9がエステルを特徴付ける基である、基R9O(C=O)−を意味する。
【0047】
ここで用いられている用語「(Ca−Cb)アルキル」(ここで、aおよびbは整数である)は、a−bの炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基をいう。従って、aが1であり、bが6であるとき、例えば、この用語はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルを含む。
【0048】
ここで用いられている用語「2価の(Ca−Cb)アルキレン基」(ここで、aおよびbは整数である)は、a−bの炭素原子および2つの遊離の価を有する、飽和炭化水素鎖をいう。
【0049】
ここで用いられている用語「(Ca−Cb)アルケニル」(ここで、aおよびbは整数である)は、適用できる場合にはEまたはZいずれかの立体化学の少なくとも1つの2重結合を有し、a−bの炭素原子を有する、直鎖状または分枝鎖状のアルケニル部分をいう。この用語は、例えば、ビニル、アリル、1−および2−ブテニルならびに2−メチル−2−プロペニルを含む。
【0050】
ここで用いられている用語「2価の(Ca−Cb)アルケニレン基」は、a−bの炭素原子、少なくとも1つの2重結合および2つの遊離の価を有する炭化水素鎖を意味する。
【0051】
ここで用いられている用語「(Ca−Cb)アルキニル」(ここで、aおよびbは整数である)は、a−bの炭素原子を有し、かつ加えて1つの3重結合を有する直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基をいう。この用語は、例えばエチニル、1−プロピニル、1−および2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニルおよび5−ヘキシニルを含む。
【0052】
ここで用いられている用語「2価の(Ca−Cb)アルキニレン基」(ここで、aおよびbは整数である)は、a−bの炭素原子および少なくとも1つの3重結合を有する2価の炭化水素鎖をいう。
【0053】
ここで用いられている用語「炭素環式基」は、全て炭素であり、16までの環原子数を有する、1、2または3環式の基をいい、アリールおよびシクロアルキルを含む。
【0054】
ここで用いられている用語「シクロアルキル」は、3−8の炭素原子を有する単環式の飽和炭素環式基をいい、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。
【0055】
ここで用いられる非限定の用語「アリール」は、1、2または3環式の炭素環式芳香族基をいい、共有結合により直接結合した2つの単環式の炭素環式芳香族環を有する基を含む。そのような基の具体例は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0056】
ここで用いられる非限定の用語「ヘテロアリール」は、S、NおよびOから選択される1−4のヘテロ原子を含む1、2または3環式の芳香族基をいい、共有結合により直接結合している、2つのそのような単環式環、または1つのそのような単環式環と1つの単環式アリール環を有する基を含む。
【0057】
そのような基の具体例は、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニリル、インドリルおよびインダゾリルである。
【0058】
ここで用いられる非限定の用語「ヘテロサイクリル」または「複素環式」は、前記で定義されたような「ヘテロアリール」を含み、非芳香族という意味では、S、NおよびOから選択される1−4のヘテロ原子を含む、1、2または3環式の非芳香族基、およびその他のそのような基または単環式の炭素環式基に共有結合している、1以上の前記のようなヘテロ原子を含む、単環式の非芳香族基からなる基に関する。
【0059】
そのような基の具体例は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンズフラニル、ピラニル、イソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミドおよびスクシンイミド基である。
【0060】
文中で特に規定されていない限り、ここでのいずれかの部分に適用される「置換された」という用語は、4つまでの矛盾のない置換基で置換されていることを意味し、置換基のそれぞれは独立して、例えば(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、メルカプト、メルカプト(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルチオ、フェニル、(フッ素、臭素および塩素を含む)ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ニトリル(−CN)、オキソ、−COOH、−COORA、−CORA、−SO2A、−CONH2、−SO2NH2、−CONHRA、−SO2NHRA、−CONRAB、−SO2NRAB、−NH2、−NHRA、−NRAB、−OCONH2、−OCONHRA、−OCONRAB、−NHCORA、−NHCOORA、−NRBCOORA、−NHSO2ORA、−NRBSO2OH、−NRBSO2ORA、−NHCONH2、−NRACONH2、−NHCONHRB、−NRACONHRB、−NHCONRABまたは−NRACONRABであってもよい(ここで、RAおよびRBは独立して、(C1−C6)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、フェニルまたは5もしくは6の環原子を有する単環式ヘテロアリールであるか、またはRAおよびRBが同じ窒素原子に結合しているとき、RAおよびRBは環状アミノ基(例えばモルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニルまたはテトラヒドロピロリル)を形成する)。「任意の置換基」は、前記の置換基の1つであり得る。
【0061】
ここで用いられる用語「窒素置換基」は、窒素原子上の置換基を意味し、次のものから選択される。アミノ(C1−C6)アルキル、例えばアミノエチル、(C1−C3)アルキルアミノ−(C1−C6)アルキル、(C1−C3)ジアルキルアミノ−(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、例えばヒドロキシエチル、(C1−C3)アルコキシ−(C1−C6)アルキル、例えばメトキシエチル、メルカプト(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルキルメルカプト−(C1−C6)アルキル、カルボキサミド(C1−C6)アルキル、例えば−CH2CONH2、アミノスルホニル(C1−C6)アルキル、例えば−CH2SO2NH2、(C1−C3)アルキルアミノスルホニル(C1−C6)アルキル、例えば−CH2SO2NHMe、(C1−C3)ジアルキルアミノスルホニル−(C1−C6)アルキル、例えば−CH2SO2NMe2、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルキルスルホニル、アミノスルホニル(−SO2NH2)、(C1−C6)アルキルアミノスルホニル、例えば−SO2NHMe、(C1−C6)ジアルキルアミノスルホニル、例えば−SO2NMe2、任意に置換されていてもよいフェニルアミノスルホニル、カルボキシアミド(−CONH2)、(C1−C6)アルキルアミノカルボニル、(C1−C6)ジアルキルアミノカルボニル、モルホリニル(C1−C6)アルキル、イミダゾリル(C1−C6)アルキル、トリアゾリル(C1−C6)アルキル、またはイミダゾリル、トリアゾリルもしくはヘテロサイクリル環において任意に置換されていてもよい単環式複素環式アルキル(C1−C6)アルキル、例えばピペリジニル(C1−C6)アルキル、ピペラジニル(C1−C6)アルキルもしくは4−((C1−C6)アルキル)ピペラジニル(C1−C6)アルキル。
【0062】
用語「天然または非天然のアルファ−アミノ酸の側鎖」は、式NH2−CH(R1)−COOHの天然または非天然のアミノ酸の基R1をいう。
【0063】
天然のアルファ−アミノ酸の側鎖の例は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、ヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、a−アミノアジピン酸、α−アミノ−n−酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、β−メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸およびチロキシンのものを含む。
【0064】
特徴的な側鎖に、官能性の置換基、例えばアミノ、カルボキシ、ヒドロキシ、メルカプト、グアニジル、イミダゾリル、またはインドリル基を含む天然のアルファ−アミノ酸は、アルギニン、リシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、セリン、トレオニン、チロシンおよびシステインを含む。本発明の化合物類中のR2がこれらの側鎖の1つであるとき、官能性の置換基は任意に保護されていてもよい。
【0065】
用語「保護された」は、天然のアルファ−アミノ酸の側鎖中の官能性の置換基に関連して用いられるとき、実質的には非官能性であるそのような置換基の誘導体を意味する。例えば、カルボキシ基はエステル化されていてもよく(例えば(C1−C6)アルキルエステルのように)、アミノ基はアミド(例えばNHCO(C1−C6)アルキルアミドのように)、またはカルバメート(例えば、NHC(=O)O(C1−C6)アルキルまたはNHC(=O)OCH2Phカルバメートのように)に変換されていてもよく、ヒドロキシ基はエーテル(例えばO(C1−C6)アルキルまたはO((C1−C6)アルキル)フェニルエーテル)またはエステル(例えばOC(=O)(C1−C6)アルキルエステル)に変換されていてもよく、またチオール基はチオエーテル(例えばtert−ブチルまたはベンジルチオエーテル)またはチオエステル(例えばSC(=O)(C1−C6)アルキルチオエステル)に変換されていてもよい。
【0066】
非天然のアルファ−アミノ酸の側鎖の例は、本発明の化合物類中で用いられる好適なR2およびR3基の考察中で、以下に言及される側鎖が含まれる。
【0067】
本発明の化合物類は、非限定的に、シス−およびトランス−の形態、E−およびZ−の形態、R−、S−およびメソ−の形態、ケト−ならびにエノールの形態を含む、1以上の幾何学的、光学的、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび互変異性の形態で存在してもよい。その他の記載がなければ、特定の化合物の関連には、ラセミおよびそれらの他の混合物を含む、すべてのそのような異性体の形態を含む。
【0068】
適当なときには、そのような異性体をそれらの混合物から公知の方法の適用または適合により分離するこができる(例えば、クロマト技術および再結晶技術)。適当なときには、そのような異性体を公知の方法の適用または適合により調製してもよい(例えば、不斉合成)。
【0069】
ここで用いられている用語「塩」は、塩基付加物、酸付加物およびアンモニウムの塩類を含む。前で簡単に述べたように、酸性である本発明の化合物類は、水酸化アルカリ金属、例えば水酸化ナトリウムおよびカリウム;水酸化アルカリ土類金属、例えば水酸化カルシウム、バリウムおよびマグネシウムのような塩基と;有機塩基、例えば、N−メチル−D−グルカミン、コリン トリス(ヒドロキシメチル)アミノ−メタン、L−アルギニン、L−リシン、N−エチルピペリジン、ジベンジルアミン等と、医薬的に許容な塩類を含む、塩類を形成することができる。
【0070】
塩基性である本発明の化合物類は無機酸と、例えば塩酸または臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸等と、ならびに有機酸と、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸およびマンデル酸等と、医薬的に許容な塩類を含む、塩類を形成することができる。
【0071】
塩基性の窒素を有する化合物(I)類は、クロライド、ブロマイド、アセテート、ホルメート、p−トルエンスルホネート、スクシネート、ヘミ−スクシネート、ナフタレンビススルホネート、メタンスルホネート、トリフルオロ酢酸塩、キシナホエート等のような医薬的に許容なカウンターイオンとの四級アンモニウム塩を形成することもできる。塩の総説については、StahlおよびWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)を参照。
【0072】
本発明の化合物類は、水和物類または溶媒和物類の形態で製造され得ることが予測される。本請求項を含む、ここでの「本発明に係る化合物類」、「本発明の化合物類」、「本化合物類」等のあらゆる言及は、そのような化合物の塩類、水和物類および溶媒和物類の言及を含む。
【0073】
用語「溶媒和物」は、ここでは、本発明の化合物および化学量論的な量の1以上の医薬的に許容な溶媒分子、例えばエタノールを含む、分子複合体を指すのに用いられる。用語「水和物」は前記の溶媒が水であるときに用いられる。
【0074】
本発明の個々の化合物は、非晶質の形態および/または多形の形態で存在してもよく、異なった晶癖で得られてもよい。本請求項を含む、ここでの「本発明に係る化合物類」、「本発明の化合物類」、「本化合物類」等のあらゆる言及は、非晶質または多形の形態と関係のない化合物の言及を含む。
【0075】
芳香環中に窒素原子を有するいくつかの本発明の化合物類はN−オキサイド類を形成してもよく、本発明はN−オキサイドの形態の本発明の化合物を含む。
【0076】
前記のように、本発明のエステルは、主として、細胞内のエステラーゼにより対応するカルボン酸に変換されるプロドラッグである。しかしながら、それらが加水分解されないままである間、前記エステルはそれら自身でHDAC阻害活性を有してもよい。本発明の化合物類は、エステルだけでなく対応するカルボン酸の加水分解物も含むが、患者への投与が意図されるのはエステルである。
【0077】
本発明の化合物類において、任意の適合可能な組み合わせで、600未満の分子量を有する化合物が好ましいことを念頭に置く本発明の化合物類は、以下のとおりである。
【0078】
ヒドロキサメート基−C(=O)NHOH
本発明の化合物類において、ヒドロキサメート基は、折り畳まれた酵素の構造内のポケットの底に存在するHDAC酵素の活性部位で、金属イオンと相互に作用する金属結合基として機能する。
【0079】
A、BおよびDを含む環
A、BおよびDはそれぞれ−CH=であってもよく、またはA、BおよびDの少なくとも1つが−N=であってもよい。例えばAは−CH=であってよく、またはBおよびDがそれぞれ−N=であってもよい。多くの実施態様において、A、BおよびDのそれぞれが−CH=であるか、あるいはAおよびDのそれぞれが−CH=であり、他方のBが−N=である。
【0080】
基−Y−L1−X1−[CH2]z
1は、次のものから選択され得る:
(i)結合手;
【0081】
(ii)−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)2−、−NR10−、−C(=O)NR10−、−S(=O)2NR10−、−NR10C(=O)−、−NR10S(=O)2−、−NR10(CH2m−、−NR10C(=O)(CH2m−、−NR10S(=O)2(CH2m−、−NR20C(=O)NR10−、−NR10C(=O)(CH2mAr−または−NR10S(=O)2(CH2mAr−(ここで、R10および20は独立して、水素、(C1−C4)アルキルまたは窒素置換基であり、mは0、1、2または3であり、Arは2価のフェニル基または5−13員環の単環式もしくは2環式ヘテロアリール基である);および
【0082】
(iii)エーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)あるいはアミノ(−NRA−)結合(ここで、RAは水素、(C1−C3)アルキルまたは窒素置換基である)を任意に含んでいてもよく、あるいは末端としていてもよい、任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状の、(C1−C6)アルキレン、(C2−C6)アルケニレンもしくは(C2−C6)アルキニレン基;
【0083】
基L1において、存在するとき、Alk1およびAlk2は、例えば−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH2CH2−ならびに2価のシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基から選択されてもよい。
【0084】
基L1において、Q1は例えば1,4−フェニレンであってもよい。
【0085】
基L1において、mおよびpは共に0であるか、またはnおよびpは0であってもよく、他方のmは1であるか、あるいはm、nおよびpはすべて0であってもよい。
【0086】
1は、例えば−NR3−、−S−、−O−、−C(=O)NR3−、−NR3C(=O)−または−C(=O)O−であってもよい(ここで、R3は水素、(C1−C6)アルキルもしくは窒素置換基、またはその他の場合、結合手である)。
【0087】
基L1において、存在するとき、Alk1およびAlk2は、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−ならびに2価のシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基から選択され得る。
【0088】
基L1において、Q1は、例えば2価のフェニル基または1,4−フェニレンのような5−13員環の単環式または2環式ヘテロアリール基であってもよい。
【0089】
基−L1−X1−[CH2]z−の具体例は、−(CH23NH−、−CH2C(=O)NH−、−CH2CH2C(=O)NH−、−CH2C(O)O−、−CH2S−、−CH2CH2C(O)O−、−(CH24NH−、−CH2CH2S−、−CH2O、−CH2CH2O−、:
【化3】

である。
【0090】
基−Y−L1−X1−[CH2]z−の具体例は、−C(=O)−、−C(=O)NH−、−(CH2v−、−(CH2vO−、−C(=O)−(CH2v−、−C(=O)−(CH2vO−、−C(=O)NH(CH2w−、−C(=O)NH(CH2wO−、:
【化4】

(ここで、vは1、2、3または4であり、wは1、2または3である)
である。
【0091】
これらの中で、好ましい基−Y−L1−X1−[CH2]z−は、−CH2−および−CH2O−であり、最も好ましくは−CH2−である。
【0092】
基R1
1がカルボン酸基である本発明の化合物類は、対応する本発明のエステルの細胞内加水分解生成物である。そのようなカルボン酸はHDAC阻害活性を有するにもかかわらず、それらが、細胞中で、R1がエステル基である対応する化合物の投与後、細胞内のエステラーゼの作用により生成されることが好ましい。
【0093】
エステル基R1は、本発明の化合物において、1以上の細胞内カルボキシエステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るものでなければならない。
【0094】
本発明の化合物のエステル基を対応する酸に加水分解し得る細胞内カルボキシエステラーゼ酵素は、3つの公知のヒト酵素のアイソタイプ、hCE−1、hCE−2およびhCE−3を含む。これらは主要な酵素であると考えられているが、ビフェニルハイドロラーゼ(BPH)のようなその他の酵素も、エステルを加水分解する役割を有している。
【0095】
一般に、カルボキシエステラーゼが遊離アミノ酸エステルを親化合物の酸に加水分解すれば、阻害剤に共有結合しているときの前記エステルのモチーフも加水分解するであろう。従って、本明細書に記載の破壊細胞の分析および/または単離したカルボキシエステラーゼの分析は、必要とされる加水分解プロフィルを有するエステルのための直接的で、速やかで、簡単な第一のスクリーンを提供する。
【0096】
次いでそのようにして選択されるエステルのモチーフは、選択された共役化学を介して、阻害剤にコンジュゲートされたとき、それがまだその背景にあるカルボキシエステラーゼの基質であることを確認するため、同じカルボキシエステラーゼの分析で再評価され得る。
【0097】
細胞内カルボキシエステラーゼにより加水分解され得るエステルは、国際特許出願WO2006/117567、WO2006/117549、WO2006/117548、WO2006/117570、WO2006/117552、WO2007/129036、WO2007/129020、WO2007/132146、WO2007/129040、WO2007/129048、WO2007/129005、WO2008/040934、WO2008/050096、WO2008/050078、WO2008/53131、WO2008/053157、WO2008/053185、WO2008/053182、WO2008/053158、WO2008/053136、WO2009/060160、WO2009/106848、WO2009/106844、およびWO2009/130453において調製される化合物中に存在するエステル基を含む。
【0098】
それらが細胞内カルボキシエステラーゼ酵素により加水分解され得ることを要件とすると、具体的なエステル基R1の例は、式−(C=O)OR12のものを含む:
【0099】
[式中、R12は、R78CR9−{ここで、
(i)R7は水素、または任意に置換されていてもよい、(C1−C3)アルキル−(Z1a−[(C1−C3)アルキル]b−または(C2−C3)アルケニル−(Z1a−[(C1−C3)アルキル]b−(ここで、aおよびbは独立して0または1であり、Z1は−O−、−S−または−NR13−(ここで、R13は水素または(C1−C3)アルキルである)である)であり;R8およびR9は、独立して水素または(C1−C3)アルキル−であるか;
【0100】
(ii)R7は水素、または任意に置換されていてもよいR1415N−(C1−C3)アルキル−(ここで、R14は水素または(C1−C3)アルキルであり、R15は水素または(C1−C3)アルキルであるか;またはR14およびR15はそれらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換されていてもよい、5もしくは6の環原子の単環式複素環、または8−10の環原子の2環式複素環系を形成する)であり、R8およびR9は独立して水素または(C1−C3)アルキル−であるか;あるいは
【0101】
(iii)R7およびR8はそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されていてもよい、3−7の環原子の単環式炭素環または8−10の環原子の2環式炭素環系、あるいは7−10の環原子の架橋単環式炭素環系を形成し、R9は水素である}である]。
【0102】
前記(i)、(ii)および(iii)の場合、「アルキル」はフルオロアルキルを含む。
【0103】
これらのクラス(i)、(ii)および(iii)内で、R9はしばしば水素である。R12の具体例は、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−もしくはイソ−プロピル、n−、sec−もしくはtert−ブチル、シクロペンチル、メチル置換シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル、フェニル、ベンジル、2−、3−もしくは4−ピリジルメチル、N−メチルピペリジン−4−イル、テトラヒドロフラン−3−イルまたはメトキシエチルを含む。今のところ、R12はシクロペンチルであることが好ましい。
【0104】
マクロファージが、サイトカイン、特にTNFαおよびIL−1の放出を介して炎症性疾患で鍵となる役割を演ずることは公知である(van Roonら Arthritis and Rheumatism, 2003, 1229-1238)。リウマチ性関節炎では、それらは関節炎および関節破壊の維持の主要な一因である。
【0105】
マクロファージは、腫瘍の成長および発達にも関与する(Naldini and Carraro Curr Drug Targets Inflamm Allergy, 2005, 3-8)。従って、マクロファージ細胞の増殖を選択的に標的とする作用物質は、癌および自己免疫性疾患の治療において価値を有し得る。特異な細胞のタイプを標的とすることは、低減された副作用に到ることが期待される。
【0106】
マクロファージが、その他の細胞のタイプは含まない、ヒトカルボキシエステラーゼhCE−1を含むことが見出されている。
【0107】
一般式(I)において、エステラーゼのモチーフであるR1C(R2)(R3)NH−の窒素がカルボニル(−C(=O)−)に直接結合していないとき、すなわちYが−C(=O)、−C(=O)O−または−C(=O)NR3−基でないとき、エステルはhCE−1によってのみで加水分解されるであろう、その結果、阻害剤はマクロファージにのみに蓄積するであろう。
【0108】
ここで、「単球」または「単球類」が特定されなければ、用語マクロファージまたはマクロファージ類は(腫瘍に関連するマクロファージ類を含む)マクロファージ類および/または単球類を示すのに用いられる。
【0109】
置換基R2およびR3
置換基R2およびR3は、α,α−2置換グリシンまたはα,α−2置換グリシンエステルのα−置換基として見なされ得る。それ故、これらの置換基は、グリシン以外の天然または非天然アルファ-アミノ酸の側鎖から選択され、そのような側鎖においてあらゆる官能基は保護され得る。
【0110】
グリシン以外の天然および非天然のアルファ−アミノ酸の側鎖の例は、国際特許出願WO2006/117567、WO2006/117549、WO2006/117548、WO2006/117570、WO2006/117552、WO2007/129036、WO2007/129020、WO2007/132146、WO2007/129040、WO2007/129048、WO2007/129005、WO2008/040934、WO2008/050096、WO2008/050078、WO2008/53131、WO2008/053157、WO2008/053185、WO2008/053182、WO2008/053158、WO2008/053136、WO2009/060160、WO2009/106848、WO2009/106844、およびWO2009/130453において調製される化合物中の、様々な酵素阻害剤にコンジュゲートしたアルファ−アミノ酸のものを含む。
【0111】
2およびR3の例は、フェニル、および式−CRabcの群を含む:
【0112】
ここで、Ra、RbおよびRcはそれぞれ独立して、水素、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、フェニル(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキルであるか;または、
【0113】
cは水素であり、RaおよびRbは独立してフェニルもしくはピリジルのようなヘテロアリールであるか;または、
【0114】
cは水素、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、フェニル(C1−C6)アルキルもしくは(C3−C8)シクロアルキルであり、RaおよびRbはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、3−8員のシクロアルキルまたは5−6員の複素環式環を形成するか;または、
【0115】
a、RbおよびRcはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、3環式の環(例えば、アダマンチル)を形成するか;または、
【0116】
aおよびRbは、それぞれ独立して、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、フェニル(C1−C6)アルキル、またはRcについて以下で定義される水素以外の基であるか、またはRaおよびRbはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロアルキル環もしくは複素環を形成し、Rcは水素、−OH、−SH、ハロゲン、−CN、−CO2H、(C1−C4)パーフルオロアルキル、−CH2OH、−O(C1−C6)アルキル、−O(C2−C6)アルケニル、−S(C1−C6)アルキル、−SO(C1−C6)アルキル、−SO2(C1−C6)アルキル、−S(C2−C6)アルケニル、−SO(C2−C6)アルケニル、−SO2(C2−C6)アルケニルまたは基−Q−W(ここで、Qは結合手または−O−、−S−、−SO−もしくは−SO2−を表し、Wはフェニル、フェニルアルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C3−C8)シクロアルキルアルキル、(C4−C8)シクロアルケニル、(C4−C8)シクロアルケニルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル基を表し、基Wはヒドロキシ、ハロゲン、−CN、−CONH2、−CONH(C1−C6)アルキル、−CONH((C1−C6)アルキル)2、−CHO、−CH2OH、(C1−C4)パーフルオロアルキル、−O(C1−C6)アルキル、−S(C1−C6)アルキル、−SO(C1−C6)アルキル、−SO2(C1−C6)アルキル、−NO2、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N((C1−C6)アルキル)2、−NHCO(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C4−C8)シクロアルケニル、フェニルまたはベンジルから独立して選択される1以上の置換基により任意に置換されていてもよい)である。
【0117】
あるいは、置換基R2およびR3は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシル環のような3〜6員の飽和スピロシクロアルキル環、またはピペリジン−4−イル環のようなスピロヘテロサイクリル環を形成し得る。
【0118】
ある場合に、置換基R2およびR3の少なくとも1つは(C1−C6)アルキル置換基、例えばメチル、エチルまたはn−もしくはイソ−プロピルである。
【0119】
いくつかの実施形態において、置換基R2およびR3の一方は(C1−C6)アルキル置換基、例えばメチル、エチルまたはn−もしくはイソ-プロピルであり、他方はメチル、エチル、n−およびイソ-プロピル、n−、sec−およびtert−ブチル、フェニル、ベンジル、チエニル、シクロヘキシルならびにシクロヘキシルメチルからなる群から選択される。
【0120】
特定の事例において、置換基R2およびR3の一方はメチルであり、他方はメチルまたはベンジルである。その他の特定の事例において、R2およびR3は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシル環を形成する。
【0121】
全身に投与される本発明の化合物類については、それらが前全身性の代謝に影響されにくいため、カルボキシエステラーゼの開裂速度の遅いエステルが好ましい。従って、標的組織に無傷で達するそれらの性能は増加され、エステルは標的組織の細胞内で酸物質に変換され得る。
【0122】
しかしながら、エステルが直接的に標的組織に適用されるか、または例えば吸引によりそこへ向けられる局所投与については、全身への暴露およびその結果として起こる好ましくない副作用を低減するため、エステルはエステラーゼの開裂速度の速いことが望ましいこともある。
【0123】
この発明の化合物において、アルファアミノ酸エステルのアルファ炭素に隣接する炭素が1置換されている、すなわちR2がCH2z(Rzはモノ置換基である)である場合、前記エステルはR2が例えばフェニルまたはシクロヘキシルである場合のように、前記炭素が2または3置換されている場合より、さらに速く開裂する傾向がある。
【0124】
本発明の化合物類の1つの下位集合は、式(IA):
【化5】

(式中、R1、R2およびR3は前記で定義され、さらに考察されたとおりである)
を有する。
【0125】
本発明の化合物類のもう1つの下位集合は、式(IB):
【化6】

(式中、R1、R2およびR3は前記で定義され、さらに考察されたとおりである)
を有する。
【0126】
本発明の化合物類のさらにもう1つの下位集合は、式(IC):
【化7】

(式中、R1、R2およびR3は前記で定義され、さらに考察されたとおりである)
を有する。
【0127】
本発明の化合物類のさらにもう1つの下位集合は、式(ID):
【化8】

(式中、R1、R2およびR3は前記で定義され、さらに考察されたとおりである)
を有する。
【0128】
本発明の化合物類の現在の好ましい下位集合は、式(IE):
【化9】

【0129】
(式中、R1、WおよびBは請求項1で定義されたとおりであり、R2およびR3の一方がメチルであり、他方がメチル、エチル、n−もしくはイソ−プロピル、ベンジル、またはn、secもしくはtertブチルであるか;またはR2およびR3がそれらが結合する炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル環を形成する)
を有する。
【0130】
この下位集合において、R1が式R12OC(=O)−のエステル基(ここで、R12はシクロペンチルである)である化合物がしばしば好ましい。また、この下位クラスにおいて、Wが−CH=CH−である化合物もしばしば好ましい。
【0131】
前記の各下位集合(1A)−(1E)において、R1が式(I)について定義され、議論されたようなエステル基である化合物が、エステルとして細胞に入り、対応する酸に細胞内で加水分解されるため、患者への投与のための化合物として好ましい。
【0132】
本発明の具体的な化合物類は、塩の形態であるかどうかを問わず、実施例の化合物を含む。
【0133】
有用性
前記のように、本発明に係る化合物類はHDAC活性の阻害のために使用される。HDAC活性の阻害は、(単球細胞系統の悪性腫瘍、例えば若年性骨髄単球性白血病を含む)癌および乾癬のような細胞増殖疾患、ハンティントン病のようなポリグルタミン病、アルツハイマー病のような神経変性疾患、(全身性若年性特発性関節炎を含む)慢性関節リウマチのような自己免疫性疾患、糖尿病、血液病、炎症性の疾患、心疾患、アテローム性動脈硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ウェグナー肉芽腫症および感染症の炎症性後遺症を含む様々な疾患の治療のメカニズムである。
【0134】
自己免疫性疾患はしばしば炎症性要素を有する。そのような病状は、急性播種性全身脱毛症、ANCAの陽性の疾患、ベーチェット病、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、脳脊髄炎、強直性脊椎炎、再生不良性貧血、汗腺膿瘍、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、セリアック病、炎症性腸疾患、クローン病、1型の糖尿病、ファンコーニ症候群、巨細胞性動脈炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン‐バレー症候群、橋本病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、川崎病、全身性紅斑性狼瘡、微視的な大腸炎、微視的な多発動脈炎、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、眼球クローヌスのミオクローヌス症候群、視神経炎、オードの甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、天疱瘡、結節性多発動脈炎、多筋痛、慢性関節リウマチ、ライター症候群、シェーグレン症候群、側頭動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、温式自己免疫性溶血性貧血、間質性膀胱炎、ライム病、限局性強皮症、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎および白斑を含む。
【0135】
本発明の化合物類により治療されるその他の炎症性の病状は、例えば、虫垂炎、皮膚炎、皮膚筋炎、心内膜炎、結合組織炎、歯肉炎、舌炎、肝炎、汗腺膿瘍、虹彩炎、喉頭炎、乳腺炎、心筋炎、腎炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、肺炎、前立腺炎、腎盂腎炎、および口内炎、(腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓(例えば、島細胞)、骨髄、角膜、小腸、皮膚の同種移植片、皮膚の同種移植、および心臓弁異種移植のような器官、血清病、ならびに対宿主性移植片病を含む)移植拒絶、急性膵炎、慢性膵炎、急性呼吸促迫症候群、セクサリー症候群(Sexary's syndrome)、先天性副腎性過形成、非化膿性甲状腺炎、癌に関連する高カルシウム血症、天疱瘡、水疱性の疱疹状皮膚炎、重篤な多形紅斑、剥脱性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、季節性または通年性のアレルギー性鼻炎、気管支ぜん息、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、薬剤過敏症反応、アレルギー結膜炎、角膜炎、眼部帯状疱疹、虹彩炎およびオイリドシクリティス(oiridocyclitis)、脈絡網膜炎、視神経炎、症候性サルコイドーシス、激症または播種性の肺結核化学療法、成人の特発性血小板減少性紫斑病、成人の続発性血小板減少症、後天性の(自己免疫性)溶血性貧血症、成人の白血病およびリンパ種、小児の急性白血病、限局性腸炎、自己免疫性脈管炎、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、実質臓器移植拒絶(solid organ transplant rejection)、敗血症、原発性胆汁性肝硬変ならびに原発性硬化性胆管炎を含む。
【0136】
本発明の化合物類を使用する好ましい治療は、移植拒絶、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、1型の糖尿病、ぜん息、炎症性腸疾患、全身性紅斑性狼瘡、および感染状態を伴う炎症(例えば、敗血症)、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎ならびに対宿主性移植片病を含む。
【0137】
本発明の化合物類のもう1つの好ましい使用は癌の治療においてである。
【0138】
個々の患者に対する服用レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食習慣、投与時間、投与経路、排泄速度、医薬の組合せおよび治療を受ける個々の疾患の重篤度を含む様々な要素に依存することが理解されるであろう。最適な服用レベルおよび服用頻度は、臨床試験により決定される。しかしながら、典型的な服用量は、体重のkg当たり、約0.001−50mgの範囲内であることが予測される。
【0139】
本発明に係る化合物類は、それらの薬物動態学的特性と整合性がとれたいずれかの経路による投与のために調製され得る。経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、経口、局所もしくは無菌の非経口用の溶液もしくは懸濁液のような液体またはゲル製剤の形態であってもよい。
【0140】
経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、単回服用形態であってよく、結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガントまたはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば乳糖、砂糖、とうもろこし澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤用滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えば馬鈴薯澱粉、またはラウリル硫酸ナトリウムのような許容される湿潤剤のような通常の賦形剤を含んでいてもよい。錠剤は通常の医薬的な実務でよく知られる方法によりコーティングされていてもよい。
【0141】
経口用の液体製剤は、例えば水性もしくは油性の懸濁液、溶液、乳液、シロップまたはエリキシル剤の形態であるか、または使用前に水またはその他の適切な媒体で再調製するための乾燥製品として提供される。
【0142】
そのような液体製剤は、懸濁化剤、例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、硬化食用油脂;乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアカシア;非水性媒体(食用オイルを含んでいてもよい)、例えばアーモンド油、分別ヤシ油、グリセリンのような油性エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;防腐剤、例えばメチルもしくはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステルまたはソルビン酸、および所望により風味剤または着色剤のような通常の添加剤を含んでいてもよい。
【0143】
皮膚への局所的な適用のため、医薬はクリーム、ローションまたは軟膏に調製されてもよい。医薬のために用いられ得るクリームまたは軟膏製剤は、例えば英国薬局方のような調剤学の標準的な教科書に記載の、当技術分野においてよく知られる通常の製剤である。
【0144】
吸入による局所的な適用のため、医薬は例えば加圧式ジェット噴霧器もしくは超音波噴霧器によるか、あるいは好ましくは加圧ガス式定量エアゾル、または微粉末の非加圧ガス式投与、例えば吸入用カプセル剤またはその他の「乾燥粉末製剤」の投与システムによるエアゾル送達用に調製されてもよい。
【0145】
例えば加圧ガス(例えば、定量エアゾルの場合のフリゲン)のような賦形剤、界面活性物質、乳化剤、安定化剤、防腐剤、風味剤および充填剤(例えば、粉末吸入の場合の乳糖)が、そのような吸入製剤に存在していてもよい。吸入目的のため、患者にとって適当な吸入技術を用い、最適な粒子経のエアロゾルが生成され、投与され得る多数の器具が入手可能である。
【0146】
定量エアゾルのため、特に粉末吸入器の場合、アダプター(スペーサー、エクスパンダー)および洋梨型の容器(例えば、ネブレイター(Nebulator(商標))、ヴォルマティック(Volumatic(商標)))ならびにパファスプレーを放出する自動器具(オートヘイラー(Autohaler(商標)))の使用に加えて、多くの技術的な解決法が利用可能である(例えば、ディスクヘイラー(Diskhaler(商標))、ロタディスク(Rotadisk(商標))、ターボヘイラー(Turbohaler(商標))または、例えば欧州特許出願EP 0505321に記載の吸入器)。
【0147】
眼への局所的適用のため、医薬は適切な無菌の水性媒体または非水性媒体中の溶液または懸濁液に調製されてもよい。添加剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムまたはエデト酸2ナトリウムのような緩衝剤;酢酸フェニル水銀もしくは硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウムまたはクロルヘキシジンのような殺菌剤ならびに防かび剤を含む防腐剤、およびハイプロメロース(hypromellose)のような増粘剤も含まれ得る。
【0148】
無菌の媒体中の有効成分は非経口でも投与され得る。用いられる媒体および濃度により、薬剤は媒体中に懸濁または溶解され得る。有利には、局所麻酔剤、防腐剤および緩衝剤のようなアジュバントが媒体中に溶解され得る。
【0149】
本発明の化合物類は、例えば、以下に記載のおよび本願実施例の方法によって製造されてもよい。
【0150】
合成
本発明に係る化合物(I)を合成するために、複数の合成戦略があるが、全て有機合成化学者に知られた、公知の化学に基づくものである。従って、式(I)による化合物を標準的な文献に記載され、当業者によく知られた手順に従って合成することができる。
【0151】
典型的な文献のソースは、「Advanced organic chemistry」,第4版(Wiley),J March;「Comprehensive Organic Transformation」,第2版(Wiley),R.C.Larock;「Handbook of
Heterocyclic Chemistry」,第2版(Pergamon),A.R.Katritzky;「Synthesis」,「Acc.Chem.Res」,「Chem.Rev」で見られるような総論あるいは標準的な文献の検索オンラインにより、または「Chemical Abstracts」もしくは「Beilstein」のような第2のソースから特定される第1の文献のソースである。以下の実施例の化合物の製造で用いられる合成経路は、類似する化合物の製造に適用され得る。
【0152】
略語
MeOH=メタノール
EtOH=エタノール
EtOAc=酢酸エチル
Boc=tert-ブトキシカルボニル
DCM=ジクロロメタン
【0153】
DMF=ジメチルホルムアミド
DCE=1,2−ジクロロエタン
TMSOK=カリウムトリメチルシラノシド
DMSO=ジメチルスルホキサイド
TFA=トリフルオロ酢酸
【0154】
THF=テトラヒドロフラン
Na2CO3=炭酸ナトリウム
2CO3=炭酸カリウム
HCl=塩酸
aq=水溶液
【0155】
sat=飽和の
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
NaH=水素化ナトリウム
NaOH=水酸化ナトリウム
STAB=トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム
【0156】
NaCNBH3=シアノ水素化ホウ素ナトリウム
NaHCO3=炭酸水素ナトリウム
Pd/C=パラジウム炭素
TBME=tert−ブチルメチルエーテル
TPAP=過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム
【0157】
(COCl)2=塩化オキサリル
2=窒素
PyBop=ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート
Na2SO4=硫酸ナトリウム
Et3N=トリエチルアミン
【0158】
NH3=アンモニア
TMSCl=トリメチルクロロシラン
NH4Cl=塩化アンモニウム
LiAlH4=水素化リチウムアルミニウム
PyBrOP=ブロモ−トリス−ピロリジノ ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
【0159】
MgSO4=硫酸マグネシウム
nBuLi=n−ブチルリチウム
CO2=二酸化炭素
EDCI=N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩
Et2O=ジエチルエーテル
【0160】
LiOH=水酸化リチウム
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
TLC=薄層クロマトグラフィ
LCMS=液体クロマトグラフィ/質量分析
mL=ミリリットル(s)
【0161】
g=グラム(s)
mg=ミリグラム(s)
mol=モル(s)
mmol=ミリモル(s)
HPLC=高性能液体クロマトグラフィ
【0162】
NMR=核磁気共鳴
RT=室温
h=時間(s)
【0163】
市販の試薬および溶媒(HPLCグレード)はさらに精製を行わずに用いた。溶媒は、Buchiロータリーエバポレータを用いて除去した。マイクロ波照射は、Biotage Initiator(商標) Eight microwave synthetiserを用いて行った。フラッシュカラムクロマトグラフィによる化合物の精製は、Fluorochemから入手した粒子サイズ40−63μm(230−400メッシュ)のシリカゲルを用いて行った。
【0164】
逆相カラムクロマトグラフィは、RediSep Rf C18カラム(Presearch,Basingstoke,UK)を用いるCombiFlash Companion(Teledyne Isco,Nebraska,USA)での精製の前に、Merck liChroprep RP−18(40−60μM)のプレカラムを用いて行った。
【0165】
分取HPLCによる化合物の精製は、逆相Axia(商標) prep Luna C18カラム(10μmu、100×21.2mm)、10分にわたる勾配0〜100% B(A=水/0.05%TFA、B=アセトニトリル/0.05%TFA)、流速=25ml/分、254nmでのUV検出を用いるGilsonシステムで行った。
【0166】
1H NMRスペクトルは、重水素化溶媒中でのBruker 300 MHz AV分光計で記録した。ケミカルシフト(δ)(δ)は百万分率である。薄層クロマトグラフィ(TLC)分析は、Kieselgel 60 F254(Merck)プレートで行い、UV光を用いて視覚化した。
【0167】
分析HPLC/MSは、逆相Luna C18カラム(3μm、50×4.6mm)、2.25分間にわたる勾配5−95% B(A=水/0.1%ギ酸、B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)、流速=2.25ml/分を用いるAgilent HP1100 LCシステムで行った。
【0168】
UVスペクトルは、G1315B DAD検出器を用いて220nmおよび254nmで記録した。質量スペクトルは、LC/MSD SL G1956B検出器で、M/z 150〜800の範囲で取得した。データは、ChemStationおよびChemStation Data Browserソフトウェアを用いて積分して報告した。
【0169】
かくして、一般式(8)および(9)の化合物を、以下に限定することなく、スキーム1に概略した方法により製造してもよい。
【化10】

【0170】
試薬: a) エチルグリオキサレート, Ac2O b) BH3.THF c) LiOH, H2O, EtOH d) NHORii, HOBT, EDC e) MnO2 f)STAB, H2NCRiiiRivCO2Rv g) ジオキサン中4N HCl h) NaOH, H2O, MeOH、次いでジオキサン中4N HCl
【0171】
かくして、6−メチルニコチン酸(1)のようなヘテロ芳香族カルボン酸をエチルグリオキサレートのようなアルデヒド試薬との縮合反応において、無水酢酸の存在下、トルエンのような炭化水素溶媒中、還流条件下で使用することにより、一般式(2)のα,β−不飽和エステルを得てもよい。
【0172】
(2)のカルボキシ置換基をボランTHF錯体のような還元剤を使用することによりヒドロキシメチレン基に変換し、一般式(3)のアルコールを得てもよい。一般式(4)のα,β−不飽和酸をメチルまたはエチルアルコールのような水と親和性の共溶媒の存在下、水酸化ナトリウムまたはリチウムのようなアルカリを用い、塩基性加水分解条件下で(3)から得てもよい。
【0173】
一般式(5)のO−保護されたヒドロキサム酸を、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩またはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドのような試薬を用い、O−(1−イソブトキシエチル)ヒドロキシアミン(WO 01/060785)のような保護されたヒドロキシアミンをカップリングさせて製造してもよい。
【0174】
対応するアルデヒドへの一般式(5)の化合物の酸化を、二酸化マグネシウムのような試薬を使用して行ってもよい。水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような試薬を使用する、(6)のようなアルデヒドのα,α−2置換アミノ酸エステルでの還元的アミノ化は、一般式(7)のアミノ酸エステル誘導体をもたらす。
【0175】
一般式(8)のヒドロキサム酸を、塩酸のような酸性条件下、1,4−ジオキサンのような溶媒中、(7)を処理することにより製造してもよい。一般式(9)のアミノ酸誘導体を、水性塩基性条件下、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いて、メチルアルコールまたはテトラヒドロフランのような水と親和性の共溶媒の存在下で(7)を加水分解することにより製造してもよい。
【0176】
替わりに、一般式(8)の化合物をスキーム2に記載の方法により得てもよい。
【化11】

【0177】
試薬: a) LiAlH4, THF b) OHCCOORi, Ac2O c) (COCl)2, DMSO, CH2Cl2 d) STAB, H2NCRiiiRivCO2Rv, THF e) NH2OH.HCl, KOH, MeOH
【0178】
かくして、メチル−6−メチルニコチネート(10)のような化合物を、水酸化リチウムアルミニウムのようなヒドリドドナーで還元することにより活性なアルキル基を有する(11)のようなアルコールを得てもよく、前記アルキル基はエチルグリオキサレートのようなアルデヒドとの縮合反応において、(12)のようなα,β−不飽和エステルを得るのに利用することができる。
【0179】
(12)のような化合物を、さらに、Swern [J.Org.Chem. 1976,41,3329]により記載されたような条件下で、例えばオキサリルクロリドおよびDMSOを用いて酸化することにより、一般式(13)のアルデヒドを得てもよい。
【0180】
順に、(13)のようなアルデヒドを、式(14)のアミノ酸エステルへ、Borch [J Am. Chem. Soc. 1969, 91, 3006]により記載されたような還元的アミノ化の手順で、シアノ水素化ホウ素またはトリアセトキシ水素化ホウ素アニオンを用いて変換してもよい。式(8)のヒドロキサム酸を、式(14)の化合物とヒドロキシアミン塩酸塩とを水酸化ナトリウムまたはカリウムのようなアルカリの存在下で反応させることにより製造してもよい。
【0181】
一般式(21)および(23)の化合物を、以下に限定することなく、スキーム3に概略した方法により製造してもよい。
【化12】

【0182】
試薬: a) トリメチルホスホノアセテート, K2CO3, THF b) BH3:THF錯体 c) KOH, MeOH, H2O d) NHOR2, HOBT, EDC e) MnO2 f) STAB, H2NCRiiiRivCO2Rv, THF g) NaOH, H2O, MeOH h) 4N HCl, ジオキサン
【0183】
一般式(16)の化合物のようなα,β−不飽和エステルを、ホスホン酸カルバニオンと(15)のようなアルデヒドとの間のホーマー−エモンズ反応により、炭酸カリウムのような無機塩基の存在下、水性条件下で製造してもよい。
【0184】
替わりに、DMSO中の水素化ナトリウムのような他の塩基またはアセトニトリル中のDBUのような有機塩基をこの変換に用いることもできる。一般式(17)のアルコールを、(16)のような酸の、ボランのようなヒドリドドナー試薬での、THFのような不活性溶媒中での還元により得ることができる。一般式(17)のエステルの一般式(18)の酸への加水分解を、水酸化ナトリウムまたはカリウムのような無機塩基で、水性条件下、メタノールのような共溶媒の存在下で行ってもよい。
【0185】
一般式(19)のアルデヒドを、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩またはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドのような試薬の存在下、O−保護されたヒドロキシアミンとのカップリング反応により、次い得られたヒドロキサム酸中間体のアルコール置換基を二酸化マンガンのような試薬で酸化することにより(18)から得てもよい。
【0186】
次いで式(19)のアルデヒドを、アミノ酸エステルと、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウムのような試薬での還元的アミノ化の条件下反応させることにより、一般式(20)の化合物を得てもよい。一般式(21)のヒドロキサム酸を、ジオキサン中4M HClのような酸性試薬で、タイプ(20)の化合物(例えばR2が(1−イソブトキシエチル)である)を脱保護することにより製造してもよい。
【0187】
(22)のようなアミノ酸を、一般式(20)の化合物を水酸化リチウムのような無機塩基で処理することにより製造してもよい。一般式(23)のヒドロキサム酸を、式(22)の化合物を酸性条件下、例えば塩酸で処理することによって製造してもよい。
【0188】
替わりに、(23)のような化合物を、スキーム4に記載したような方法により得てもよい。よって、4−ジエトキシベンズアルデヒド(24)のような試薬を、臭化リチウムのような塩およびトリエチルアミンのような有機塩基の存在下、トリアルキルホスホノアセテートと反応させることにより、酸処理後、(25)のようなアルデヒドを得てもよい。
【0189】
順に、(25)のようなアルデヒドを、式(26)のアミノ酸エステルへ、Borch [J Am. Chem. Soc. 1969, 91, 3006]により記載されたような還元的アミノ化の手順で、シアノ水素化ホウ素またはトリアセトキシ水素化ホウ素アニオンを用いて変換してもよい。次いで、一般式(23)のヒドロキサメートを、式(26)のような化合物をヒドロキシアミン塩酸塩で、水酸化カリウムまたはリチウムのような塩基の存在下、メタノールまたはエタノールのような溶媒中で処理することにより製造してもよい。
【化13】

【0190】
試薬: a) トリアルキルホスホノアセテート, Et3N, LiBr, THF、次いでメタノール中のHCl b) STAB, THF c) KOH, NH2OH.HCl, KOH, MeOH
【0191】
また、一般式(28)のアミノ酸誘導体を、スキーム5に記載の方法により製造してもよい。
【化14】

【0192】
よって、一般式(27)のエステル[X=CHまたはN]を、タイプ(28)の酸[X=CH,N]に、水酸化カリウムまたはナトリウムのようなアルカリ塩基で加水分解してもよい。もう1つの手順においては、一般式(28)の酸[X=CH,N]をスキーム6に記載の方法により製造してもよい。
【0193】
よって、一般式(29)のアルデヒド[X=CH,N]およびアミノ酸を、還元的アミノ化の条件下で反応させることにより、一般式(30)の中間体[X=CH,N]を得る。式(30)の保護されたヒドロキサメート[X=CH,N]を、酸性条件下、塩酸のようなもので処理することにより、一般式(28)の酸[X=CH,N]を得る。
【化15】

【0194】
試薬: a) HO2CiR2NH2, STABまたはα−ピコリン−ボラン, MeOH b) 4N HCl,ジオキサン
【0195】
一般式(32)のアミノ酸エステルをスキーム7に記載のものを含む多くの方法により製造してもよい。かくして、式(31)のアミノ酸を、適当なアルコール(R3OH)と共に、H2SO4の存在下に加熱するか、またはディ−ン−スターク(Dean-Stark)の条件下、パラ−トルエンスルホン酸のような酸の存在下、適当なアルコール(R3OH)と反応させることにより、式(32)のエステルを得てもよい。
【化16】

【0196】
試薬: R3OH, H2SO4 または R3OH, PTSA, シクロヘキサン, ディ−ン−スターク
【0197】
中間体
中間体1 エチル(2E)−3−(5−ホルミルピリジン−2−イル)アクリレート
【化17】

【0198】
工程1
水素化リチウムアルミニウム(23g、1.2当量)のTHF(500mL)溶液を−78℃に冷却した。メチル−6−メチルニコチネートをTHF(200mL)中に溶解させ、−70℃以下で反応物に投入した。反応物を0℃に1時間かけて温め、〜0℃で1時間熟成した。終了時、反応物をsat.NaHCO3(250mL)を用い10℃でクエンチした。反応混合物を濾過して無機物を除去し、濾過ケーキをTHFで洗浄し、濾液を真空下で濃縮し、ほとんどのTHFを除去した。残渣を酢酸エチルと水とに分別し、水層を3度、EtOAcで抽出した。組み合わせた有機物をK2CO3(aq)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、次いで乾燥するまで濃縮して生成物(40.5g)を得た。
【0199】
1H NMR (CDCl3): (8.35 ,1H,s), 7.61 (1H,dd), 7.13 (1H,d), 4.65 (2H,d), 2.51 (3H,d)。
【0200】
水層の2度目の抽出により追加の生成物(5.5g)を得、最初の抽出からの生成物と組み合わせた。
【0201】
工程2
工程1からの生成物(46g、1当量)を無水酢酸(670mL)中に溶解させ、80℃で約1時間攪拌した。エチルグリオキサール溶液(トルエン中、50%)(147mL、2当量)を反応容器中に投入し、次いで1夜、100℃で加熱した。エチルグリオキサール溶液の追加量(トルエン中、50%)(37mL、0.5当量)を還流開始後、約16時間で加え、加熱を2時間継続した。反応物を水(100mL)でクエンチし、〜50℃で40分間攪拌し、次いで真空下で濃縮した。残渣液をpH9〜10に1N NaOH、次いで固体のNaOHで塩基性とした。EtOAcでの2度の抽出後、組み合わせた有機物を0.25NaOHで洗浄し、次いで乾燥するまで濃縮した。粗残渣をエタノール(500mL)およびconc.HCl(50mL)の混合物中、一夜、40℃で攪拌した。脱アセチル化の終了時、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、EtOAcとK2CO3(aq)とに分別し、水層をEtOAcで洗浄した。組み合わせた有機物をK2CO3(aq)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、次いで真空下で乾燥するまで濃縮した。ドライ−フラッシュクロマトグラフィ(3:2−1:4 ヘプタン:EtOAc溶出液)により精製して、所望の生成物(21.9g)を得た。
【0202】
1H NMR (CDCl3): 8.64 (1H,s), 7.76-7.79 (1H,m), 7.74 (1H,d), 7.44 (1H,d), 6.92 (1H,d), 4.79 (2H,d), 4.29 (2H,q) および 1.36 (3H,t)。
【0203】
工程3
DCM(20mL)およびDMSO(3.4mL、5当量)をフラスコに投入し、−70℃以下に冷却した。オキサリルクロリド(1.47mL、2.2当量)を−65℃以下で滴下投入し、次いで反応液を〜0.5時間熟成した。工程2の生成物(2g、1当量)をDCM(20mL)中に溶解させ、前記反応液に投入し、次いで−70℃以下で〜1時間熟成した。トリエチルアミン(6.7mL、5当量)を投入し、反応液を常温に温めた。水(40mL)を反応容器に投入し、層を分離させ、水層をDCMで抽出した。組み合わせた有機物を水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、次いで乾燥するまで濃縮して、中間体1(1.7g)を得た。
【0204】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ(ppm):10.14 (1H,s), 9.10 (1H,d), 8.20 (1H,dd), 7.72 (1H,d), 7.60 (1H,d) 7.28 (1H,s), 7.08 (1H,d), 4.31 (2H,q), 1.37 (3H,t)。
【0205】
中間体2 (2E)−3−(5−ホルミルピリジン−2−イル)−N−(1−イソブトキシエトキシ)アクリルアミド
【化18】

中間体2をWO2008/040934に記載の方法により製造した。
【0206】
中間体3 (2E)−3−(4−ホルミルフェニル)−N−(1−イソブトキシエトキシ)アクリルアミド
【化19】

中間体3をWO2008/040934に記載の方法により製造した。
【0207】
中間体4 3−(4−ホルミルフェニル)−N−(1−イソブトキシエトキシ)プロパンアミド
【化20】

中間体4をWO2008/040934に記載の方法により製造した。
【0208】
中間体5 シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロブタンカルボキシレート
【化21】

STAB(1.2g、5.6mmol)を、中間体1(0.77g、3.75mmol)および中間体20(1.25g、3.74mmol)のTHF(15mL)スラリーに投入した。反応物を16時間、常温で攪拌し、次いでsat.NaHCO3(20mL)でクエンチした。層を分離させ、水相をEtOAc(20mL)で抽出した。組み合わせた有機相を乾燥し(MgSO4)、乾燥するまで濃縮し、次いで残渣をシリカクロマトグラフィで精製して、黄色の油状物として標記化合物(0.75g)を得た。m/z = 373 [M+H]+
【0209】
次の中間体を中間体5と同様の方法により製造した。
【0210】
中間体6 シクロペンチル 1−{[(6−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ピリジン−3−イル)メチル]アミノ}シクロペンタンカルボキシレート
【化22】

【0211】
中間体2(100mg、0.34mmol)および中間体19(トシレート塩)(125.5mg、0.34mmol)から中間体6(84.7mg)を得た。m/z 474 [M+H]+
【0212】
中間体7 シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート
【化23】

【0213】
中間体1(0.1g)および中間体18(0.1g)から中間体7(60mg)を得た。m/z 400 [M+H]+
【0214】
中間体8 シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−メトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボキシレート塩酸塩
【化24】

【0215】
中間体29(4.4g、23mmol)および中間体19(トシレート)(8g、23mmol)から、遊離塩基(8.7g)の酢酸エチル(90mL)溶液を2N HClのジエチルエーテル溶液(11.7mL)で処理することにより、塩酸塩として中間体8(7.33g)を得た。
【0216】
1H NMR (300MHz, d6-DMSO) δ(ppm): 9.99 (2H, bs), 7.81 (2H, d), 7.69 (1H, d), 7.61 (2H, d), 6.72 (1H, d), 5.23 (1H, m), 4.13 (2H, m), 3.72 (3H, s), 2.30-1.50 (16H, m)。
【0217】
中間体9 シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−メトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロブタンカルボキシレート塩酸塩
【化25】

【0218】
中間体29(0.57g、2.9mmol)および中間体20(1g、2.6mmol)から、遊離塩基(1.15g)の酢酸エチル(15mL)溶液を2N HClのジエチルエーテル溶液(1.55mL)で処理することにより、塩酸塩として中間体9(0.63g)を得た。アイスバス中での熟成後、生成物を濾過で回収した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、乾燥した。m/z = 358 [M+H]+
【0219】
中間体10 シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−メトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−2−メチルーD−アラニネート
【化26】

【0220】
中間体29(360mg、1.05mmol)および中間体28(200mg、1.05mmol)から中間体10(103.9mg)を得た。m/z 346 [M+H]+
【0221】
中間体11 シクロペンチル 1−[(4−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ベンジル)アミノ]シクロプロパンカルボキシレート
【化27】

【0222】
中間体3(100mg、0.34mmol)および中間体23(57.5mg、0.34mmol)から中間体11(59mg)を得た。m/z 445 [M+H]+
【0223】
中間体12 シクロペンチル 1−[(4−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ベンジル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート
【化28】

【0224】
中間体3(100mg、0.34mmol)および中間体18(71.7mg、0.34mmol)から中間体12(64.9mg)を得た。m/z 487 [M+H]+
【0225】
中間体13 シクロペンチル N−(4−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ベンジル)−α−メチル−L−フェニルアラニネート
【化29】

【0226】
中間体3(100mg、0.34mmol)および中間体27(84mg、0.34mmol)から中間体13(83mg)を得た。m/z 523 [M+H]+
【0227】
中間体14 シクロペンチル N−(4−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ベンジル)−2−メチル−D−ロイシネート
【化30】

【0228】
中間体3(100mg、0.34mmol)および中間体25(72.4mg、0.34mmol)から中間体14(78.2mg)を得た。m/z 489 [M+H]+
【0229】
中間体15 シクロペンチル N−(4−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ベンジル)−2−メチル−L−ロイシネート
【化31】

【0230】
中間体3(100mg、0.34mmol)および中間体26(72mg、0.34mmol)から中間体15(84.8mg)を得た。m/z 489 [M+H]+
【0231】
中間体16 シクロペンチル N−(4−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ベンジル)−L−イソバリネート
【化32】

【0232】
中間体3(100mg、0.34mmol)および中間体24(63mg、0.34mmol)から中間体16(47mg)を得た。m/z 461 [M+H]+
【0233】
中間体17 シクロペンチル N−(4−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ベンジル)−3−メチル−L−イソバリネート
【化33】

【0234】
中間体3(100mg、0.34mmol)および中間体22(68mg、0.34mmol)から中間体17(75.7mg)を得た。m/z 375 [M+H]+
【0235】
中間体18 シクロペンチル 1−アミノシクロヘキサンカルボキシレートトシレート
【化34】

【0236】
1−アミノシクロヘキサンカルボン酸(4.2g、29mmol)のシクロヘキサン(250mL)溶液に、シクロペンタノール(50mL)およびパラ−トスエンスルホン酸(5.89g)を加え、得られた懸濁液を還流させながら、ディ−ン−スターク装置内で、72時間加熱した。室温に冷却し、得られた白色の固体を濾過で回収し、シクロヘキサン(2×100mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して無色の固体として中間体18(トシレート塩)(4.1g)を得た。m/z 212.3 [M+H]+
【0237】
中間体19 シクロペンチル 1−アミノシクロペンタンカルボキシレート
方法A
【化35】

【0238】
1−アミノシクロペンタンカルボン酸(2.58g、19.97mmol)のシクロペンタノール(20ml)溶液に、濃硫酸(2.15g、21.97mmol)を加え、混合物を一夜、70℃で攪拌した。反応物を室温に冷却し、シクロペンタノールを減圧下で除去した。残渣をEtOAc(30ml)中に溶解させ、sat.NaHCO3(30ml)および水(3×20ml)で洗浄し、次いで乾燥し(MgSO4)、濾過し、真空下で濃縮し、暗黄色油状物を得た。カラムクロマトグラフィ(15% 1.2M NH3/MeOHのEtOAc溶液)で精製して中間体19(1.97g)を得た。
【0239】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ(ppm): 5.21-5.17 (1H, m), 2.15-1.90 (2H, m), 1.85-1.57 (14H, m)。
【0240】
方法B
中間体18のものと同様の方法に従って、シクロペンチル 1−アミノシクロペンタンカルボキシレートトシレート(28.9g、147mmol)を1−アミノシクロペンタンカルボン酸(10.7g)およびシクロペンタノール(37.5mL)から、パラ−トルエンスルホン酸(17.3g)の存在下で製造した。
【0241】
中間体20 シクロペンチル 1−アミノシクロブタンカルボキシレートトシレート
方法A
【化36】

【0242】
1−アミノ−1−シクロブタンカルボン酸(1g、8.7mmol)、シクロペンタノール(2.4mL)およびパラ−トルエンスルホン酸(1.8g、9.6mmol)をシクロヘキサン(5mL)中で攪拌し、還流させながら23時間加熱し、その後、反応物が乾燥したので、追加のシクロヘキサン(3mL)を加えた。さらに80分後、反応物を70℃に手早く冷却し、シクロヘキサン(5mL)およびシクロペンタノール(2.4mL)を加え、還流させながらの加熱を反応が終了するまで継続した。反応物を常温に冷却し、メチルt−ブチルエーテル(50mL)を加え、反応物を10分間攪拌した。得られた固体を濾過で回収し、メチルt−ブチルエーテル(20mL)で洗浄してトシレート塩として中間体20(2.83g)を得た。
【0243】
m/z 184 [M+H]+ 1H NMR (300MHz,d6-DMSO) δ(ppm): 7.72 (2H,d), 7.25 (2H,d), 5.35 (1H,m), 2.58-2.67 (2H,m), 2.42-2.48 (2H,m), 2.41 (3H,s),2.10-2.39 (2H,m), 1.93-2.08 (2H,m), 1.71-1.86 (6H,m)。
【0244】
次の中間体を中間体19と同様の方法により製造した。
【0245】
中間体21 シクロペンチル 2−メチル−D,L−ロイシネート
【化37】

【0246】
(R,S)−α−メチルロイシン(500mg、3.44mmol)から中間体21(650mg)を得た。214.3 [M+H]+
【0247】
中間体22 シクロペンチル 3−メチル−L−イソバリネート
【化38】

【0248】
3−メチル−L−イソバリン(500mg)からオレンジ色の油状物として中間体22(292mg)を得た。m/z 200.2 [M+H]+
【0249】
中間体23 シクロペンチル 1−アミノシクロプロパンカルボキシレート
【化39】

【0250】
1−アミノシクロプロパンカルボン酸(500mg、4.95mmol)から中間体23(302.9mg)を得た。m/z 170 [M+H]+
【0251】
中間体24 シクロペンチル L−イソバリネート
【化40】

【0252】
(S)−α−エチルアラニン(1g、8.54mmol)から中間体24(1.03g)を得た。m/z 186 [M+H]+
【0253】
中間体25 シクロペンチル 2−メチル−D−ロイシネート
【化41】

【0254】
(R)−α−メチルロイシン(1.0g、6.9mmol)から中間体25(1.12g)を得た。m/z 214 [M+H]+
【0255】
中間体26 シクロペンチル 2−メチル−L−ロイシネート
【化42】

【0256】
(S)−α−メチルロイシン(1.0g、6.9mmol)から中間体26(0.61g)を得た。m/z 214 [M+H]+
【0257】
中間体27 シクロペンチル α−メチル−L−フェニルアラニネート
【化43】

【0258】
(S)−α−メチルフェニルアラニン(1.0g、5.58mmol)から中間体27(0.62g)を得た。m/z 248 [M+H]+
【0259】
中間体28 シクロペンチル 2−メチルアラニネート塩酸塩
【化44】

【0260】
工程1
0℃のN−(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチルアラニン(1.00g、4.92mmol)のDCM(10ml)溶液に、シクロペンタノール(0.83ml、9.84mmol)、EDCl(1.06g、5.42mmol)および最後にDMAP(60mg、0.49mmol)を加えた。反応混合物を室温に温め、18時間攪拌した。DCMを真空下で除去し、透明な油状物を得た。粗残渣をEtOAc(100ml)中に溶解させ、水、1M NaHCO3および食塩水で洗浄した。有機相を乾燥(MgSO4)し、真空下で濃縮した。粗抽出物をカラムクロマトグラフィ(10%EtOAcのヘプタン溶液)で精製して、透明な油状物として所望の生成物を得た(0.254g、収率20%)。
【0261】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ(ppm): 5.25-5.17 (1H, m), 5.04 (1H, br s), 1.93-1.54 (8H, m), 1.49 (6H, s), 1.45 (9H, s)。
【0262】
工程2
シクロペンチル N−(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチルアラニネート(0.254g、0.93mmol)をTHF(5ml)中に溶解させ、4M HClのジオキサン溶液(2ml)で処理し、反応混合物を室温で24時間攪拌した。粗混合物を減圧下で濃縮し、Et2Oで粉砕して白色の沈殿物を得た。これをEt2Oでさらに洗浄して白色の粉末として中間体28(0.16g、収率82%)。
【0263】
1H NMR (300MHz, DMSO-d6) δ(ppm): 8.58 (3H, br s), 5.21-5.14 (1H, m), 1.93-1.78 (2H, m), 1.74-1.53 (6H, m), 1.45 (6H, s)。
【0264】
中間体29 メチル (2E)−3−(4−ホルミルフェニル)アクリレート
【化45】

【0265】
臭化リチウム(159g、2.5当量)をTHF(2L)中に溶解させ、<5℃に冷却した。トリメチル ホスホノアセテート(1.3当量、138mL)、次いでトリエチルアミン(204mL、2当量)を<10℃で投入した。4−ジエトキシベンズアルデヒド(152.8g、1当量)を25分間かけて投入し、反応物を20±5℃に温め、次いで冷却し、取り去った。1時間40分後、反応物を水でクエンチし、分離し、水層をEtOAcで抽出した。組み合わせた有機相を3度食塩水で洗浄し、次いで真空下で乾燥するまで濃縮した。メタノール(0.5L)を残渣に投入し、再び乾燥するまで濃縮した。メタノール(0.75L)および1N HCl(0.75L)を残渣に投入し、常温で45分間攪拌した。水(0.75L)を投入し、生成物(128.5g)を濾過で単離した。
【0266】
1H NMR (300MHz,CDCl3) δ(ppm): 10.06 (1H, s), 7.93 (2H, d), 7.71 (3H, m), 6.58 (1H, d), 3.85 (3H, s)。
【0267】
中間体30 1−[(4−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ベンジル)アミノ]シクロペンタンカルボン酸
【化46】

【0268】
中間体3(100mg、0.34mmol)および1−アミノシクロペンタンカルボン酸(48.3mg、0.37mmol)をメタノール(10mL)中に溶解させ、室温で1時間攪拌し、次いでα−ピコリン−ボラン(72.08mg、0.68mmol)を加えた。4時間後、反応が終了したように見え、溶媒を減圧下で除去した。残渣をクロマトグラフィ(逆相シリカ、CH3CNの水溶液、勾配0〜100%)により精製して中間体30(13.6mg)を得た。m/z 405 [M+H]+
【0269】
中間体31 1−{[(6−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ピリジン−3−イル)メチル]アミノ}シクロペンタンカルボン酸
【化47】

【0270】
中間体30と同様の方法により、中間体2(200mg、0.68mmol)、1−アミノシクロペンタンカルボン酸(43.8mg、0.34mmol)およびα−ピコリン−ボラン(109mg)から、中間体31(70mg)を得た。m/z 406 [M+H]+
【0271】
中間体32 t−ブチル 2−メチルアラニネート
【化48】

【0272】
工程1
N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−2−メチルアラニン(1g、4.21mmol)のDCM(10ml、無水)、シクロヘキサン(10ml)溶液に、0℃、窒素下で、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(7μl、触媒)を加えた。次いでシクロヘキサン(10ml)中のtert−ブチル 2,2,2−トリクロロアセトイミデート(1.51ml、8.43mmol)を、室温に温める前に、30分間かけてゆっくりと加えた。反応物を室温で、16時間攪拌した。粗反応混合物にNaHCO3190mgを加え、反応物を濾過した。母液を真空下で濃縮した。粗抽出物をカラムクロマトグラフィ(EtOAc 10%のヘプタン溶液)で精製して所望の生成物(0.863g、70%)を得た。
【0273】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 7.39-7.31 (5H, m), 5.46 (1H, br s), 5.10 (2H, s), 1.54 (6H, s), 1.45 (9H, s)。
【0274】
工程2−t−ブチル 2−メチルアラニネート
tert−ブチル N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−2−メチルアラニネート(0.86mg、2.90mmol)のEtOAc(20ml)溶液に、100mgの10%のパラジウム炭素触媒を加えた。混合物を排気し、水素雰囲気下で18時間攪拌し、セライト(商標)で濾過し、EtOAcで洗浄し、真空下で濃縮した。生成物を、EtOAcの痕跡を含む黄色の油状物(0.45mg、96%)として単離した。
【0275】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.48 (9H, s), 1.32 (6H ,s)。
【0276】
中間体33 tert−ブチル N−[(6−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−D−アラニネート
【化49】

【0277】
ジクロロエタン(5mL)中の中間体2(100mg、0.34mmol)および中間体32(59mg、0.37mmol)を、窒素下、室温で、20分間攪拌した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(32mg、0.51mmol)を加え、反応物を6時間攪拌し続けた。次いでジクロロメタン(100mL)と水(100mL)とで分配し、有機層を分離し、水層をさらなるジクロロメタン(50mL)で抽出した。組み合わせた有機層を乾燥し(Na2SO4)、溶媒を真空で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル:EtOc0−100%のヘプタン溶液)で精製することにより、オレンジ色の油状物として標記化合物(30mg)を得た。m/z 436 [M+H]+
【0278】
中間体34 3−メチルシクロペンチル N−[(6−{(1E)−3−[(1−イソブトキシエトキシ)アミノ]−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル}ピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−D−アラニネート
【化50】

【0279】
中間体33と同様の方法により、中間体2(100mg、0.34mmol)、中間体35(63mg、0.34mmol)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(32mg、0.51mmol)から、オレンジ色の油状物として中間体34(42mg)を得た。m/z 462 [M+H]+
【0280】
中間体35 3−メチルシクロペンチル 2−メチルアラニネート
【化51】

【0281】
2−アミノイソ酪酸(1g、9.7mmol)、3−メチルシクロペンタノール(3.2mL、29.1mmol)およびパラ−トルエンスルホン酸(2.03、10.67mmol)を100℃に、シクロヘキサン(100mL)中、ディ−ン−スターク装置内で、72時間加熱した。次いで反応物を室温に冷却した。反応物を濾過し、濾液を褐色の油状物(1.29g)まで減圧下で濃縮した。油状物を中間体35と3−メチルシクロペンタノールとの1:1の混合物であることを1H NMRで同定し、さらに精製することなく使用した。
【実施例】
【0282】
実施例
実施例1 シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロブタンカルボキシレート
【化52】

【0283】
中間体5(0.75g、1当量)およびヒドロキシアミン塩酸塩(0.42g、3当量)をメタノール(8mL)中で攪拌し、<5℃に冷却した。水酸化カリウム(0.68g、6当量)を水(2mL)中に溶解させ、前記反応物に<5℃で、5分間かけて投入した。反応物をさらに20分間攪拌し、次いでpH〜7に4N HClでクエンチした。水(20mL)を投入し、1時間40分間、アイスバス中で熟成させ、次いで標記化合物を濾過で固体(0.42g、58%)として単離した。
【0284】
m/z 360 [M+H]+ 1H NMR (300MHz,d6-DMSO) δ(ppm): 10.88 (1H, s), 9.10 (1H, s), 8.53 (1H,s), 7.76 (1H, d), 7.49 (2H, dd), 6.90 (1H, d), 5.07 (1H, m), 3.58 (2H, s), 2.87 (1H, bs), 2.27 (2H, m), 2.08-1.48 (12H, m)。
【0285】
次の実施例を実施例1のものと同様の方法により製造した。
【0286】
実施例2 シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート
【化53】

【0287】
中間体7(60mg、0.14mmol)、ヒドロキシアミン塩酸塩(40mg、0.58mmol)から、水酸化カリウム(70mg、1.24mmol)の存在下、標記化合物(34mg)を得た。この場合、生成物を、クエンチした水性反応混合物から酢酸エチルで抽出し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で溶媒を除去して精製することなく単離した。
【0288】
m/z 388 [M+H]+, 1H NMR (300 MHz, d6-DMSO) δ:10.87 (1H, br s), 9.09 (1H, br s), 8.52 (1H, s), 7.75 (1H, dd), 7.51 (1H, d), 7.45 (1H, d), 6.89 (1H, d), 5.07 (1H, t), 3.58 (2H, s), 2.31-2.50 (2H, m), 1.18-1.89 (16H, m)。
【0289】
実施例3 シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロブタンカルボキシレート
【化54】

【0290】
中間体9(0.63g、1.54mmol)およびヒドロキシアミン塩酸塩(0.32g、4.60mmol)から標記化合物(0.4g)を得た。この場合、標記化合物をクエンチした水性反応混合物から酢酸エチルで抽出した後、カラムクロマトグラフィ[シリカゲル、酢酸エチルのヘキサン溶液(25−100%)]で精製した。
【0291】
m/z 359 [M+H]+ 1H NMR (300MHz,d6-DMSO) δ(ppm): 10.72 (1H,s), 9.02 (1H,s), 7.49 (2H,s), 7.44 (1H,d), 7.36 (2H,d), 6.42 (1H,d), 5.09 (1H,t), 3.55 (2H,s), 2.19-2.21 (2H,m)および1.55-2.01 (12H,m)。
【0292】
実施例4 シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボキシレート
【化55】

【0293】
中間体8(7.3g、17.8mmol)およびヒドロキシアミン塩酸塩(3.7g、53.2mmol)から標記化合物(3.77g)を得た。
【0294】
m/z = 373 [M+H]+ 1H NMR,(300MHz d6-DMSO) δ(ppm): 10.72 (1H, s), 9.02 (1H, s), 7.51 (2H,d), 7.43 (1H,d), 7.33 (2H,d), 6.43 (1H, d), 5.10 (1H, m), 3.64 (2H, s), 1.99-1.56 (16H, m)。
【0295】
実施例5 シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−2−メチル−D−アラニネートトリフルオロ酢酸塩
【化56】

【0296】
中間体10(103.9g、0.30mmol)、ヒドロキシアミン塩酸塩(62.6mg、0.90mmol)および水酸化リチウム(43.2mg、1.8mmol)から、HPLCによる精製後、トリフルオロ酢酸塩として標記化合物(3.5mg)を得た。
【0297】
m/z 347 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.71 (2H, d), 7.49 (3H, m) 6.61 (1H, m), 5.37 (1H, m) 4.35 (2H, m) 2.00 (2H, m) 1.83-1.54(12H, m)。
【0298】
実施例6 シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロプロパンカルボキシレートトリフルオロ酢酸塩
【化57】

【0299】
中間体11(96mg、0.22mmol)をジクロロメタン/メタノール(11mL、10:1 v/v)に溶解させ、4M HClのジオキサン溶液(0.17mL、0.66mmol)を加えた。1時間後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をHPLCで精製してトリフルオロ酢酸塩として標記化合物(14.8mg)を得た。
【0300】
m/z 345 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.74-7.46 (6H, m), 5.33 (1H, t), 4.44 (2H, s), 1.96-1.54 (12H, m)。
【0301】
次の化合物を実施例6の化合物と同様の方法により製造した。
【0302】
実施例7 シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロヘキサンカルボキシレートトリフルオロ酢酸塩
【化58】

【0303】
中間体12(64.9g、0.13mmol)から、トリフルオロ酢酸塩として標記化合物(37mg)を得た。
【0304】
m/z 387 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.69 (2H, d), 7.58 (3H, m), 6.54 (1H, m), 5.39 (1H, m), 4.18 (2H, s), 2.36 (2H, d), 2.02-1.38 (16H, m)。
【0305】
実施例8 シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−α−メチル−L−フェニルアラニネートトリフルオロ酢酸塩
【化59】

【0306】
中間体13(83mg、0.16mmol)から、トリフルオロ酢酸塩として標記化合物(22.5mg)を得た。
【0307】
m/z 389 [M+H]+,1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.68 (2H, m), 7.63 (1H, m) 7.57 (2H, m), 7.30 (3H, m), 7.24 (2H, m), 6.56 (1H, d), 5.22 (1H, m), 4.92 (1H, d), 4.14 (1H, d), 3.35 (1H, d), 3.29 (1H, d), 1.94-1.41 (8H, m), 1.69 (3H, s)。
【0308】
実施例9 シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−2−メチル−D−ロイシネートトリフルオロ酢酸塩
【化60】

【0309】
中間体14(78.2mg、0.16mmol)から標記化合物(35.7mg)を得た。
【0310】
m/z 389 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.67 (3H, m), 7.57 (2H, d), 6.55 (1H, m), 5.36 (1H, m), 4.28 (1H, d), 4.13 (1H, s), 1.98-1.54 (14H, m), 1.00 (6H, s)。
【0311】
実施例10 シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−2−メチル−L−ロイシネートトリフルオロ酢酸塩
【化61】

【0312】
中間体15(85mg、0.17mmol)から、トリフルオロ酢酸塩として標記化合物(31.4mg)を得た。
【0313】
m/z 389 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.67 (2H, d) 7.59 (3H, m), 6.56 (1H, d), 5.36 (1H, m), 4.28 (1H, d), 4.12 (1H, d), 2.03-1.74 (11H, m), 1.71 (3H, s), 0.98 (6H, m)。
【0314】
実施例11 シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−L−イソバリネートトリフルオロ酢酸塩
【化62】

【0315】
中間体16(47mg)からトリフルオロ酢酸塩として標記化合物(11.3mg)を得た。
【0316】
m/z 361 [M+H]+,1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.69 (2H, d), 7.60 (1H, d) 7.56 (2H, d), 6.57 (1H, d), 5.36 (1H, m), 4.30 (1H, d), 4.16 (1H, d), 2.16-1.66 (10H, m), 1.60 (3H, s), 1.05 (3H, t)。
【0317】
実施例12 シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−3−メチル−L−イソバリネートトリフルオロ酢酸塩
【化63】

【0318】
中間体17(75.7mg、0.16mmol)からトリフルオロ酢酸塩として標記化合物(17mg)を得た。
【0319】
m/z 375 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.68 (2H, d), 7.60 (1H, d), 7.58 (2H, d), 6.57 (1H, d), 5.35 (1H, m), 4.38 (1H, d), 4.12 (1H, d), 2.38 (1H, セプテット) 1.84-1.69 (8H, m), 1.63 (3H, s), 1.13 (3H, d), 1.05 (3H, d)。
【0320】
実施例13 シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロペンタンカルボキシレートトリフルオロ酢酸塩
【化64】

【0321】
中間体6(84.7mg、0.18mmol)からトリフルオロ酢酸塩として標記化合物(34.9mg)を得た。
【0322】
m/z 374 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 8.75 (1H, s), 8.06 (1H, d), 7.70 (1H, d), 7.60 (1H, d), 6.97 (1H, d), 5.39 (1H, m), 4.35 (2H, s), 2.38 (2H, m), 2.13 (2H, m), 1.97 (6H, m), 1.77 (6H, m)。
【0323】
実施例14 シクロペンチル 1−({4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボキシレート
【化65】

【0324】
中間体4(208mg、0.68mmol)および中間体19(184mg、0.68mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(430mg、2.04mmol)および酢酸(47μL)を加えた。得られた溶液を室温で5時間攪拌し、次いで飽和NH4Clでクエンチした。反応物をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、組み合わせた有機層を乾燥(MgSO4)し、真空で濃縮した。得られた残渣を4M HClのジオキサン溶液(5mL)中に溶解させ、室温で1時間攪拌した。反応物をsatd.NaHCO3でクエンチし、酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。組み合わせた有機層を乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残渣をHPLCで精製して無色の固体として標記化合物(80mg)を得た。
【0325】
m/z 375 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD), δ(ppm): 7.46 (2H, d J=7.9Hz), 7.36 (2H, d J=8.1Hz), 5.40 (1H, m), 4.18 (2H, s), 2.98 (2H, t, J=7.2), 2.38 (4H, m), 2.08-1.52 (14H, m)。
【0326】
次の実施例を実施例14の標記化合物と同様の方法により作った。
【0327】
実施例15 シクロペンチル N−{4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}−2−メチル−D−アラニネート
【化66】

【0328】
中間体4(140mg、0.47mmol)および中間体21(89mg、0.52mmol)から無色の固体として標記化合物(130mg)を得た。
【0329】
m/z 349 [M+H]+. 1H NMR (300 MHz, CD3OD), δ(ppm): 7.47 (2H, d J=8.1Hz), 7.35 (2H, d J=8.1Hz), 5.38-5.34 (1H, m), 4.18 (2H, s), 2.98 (2H,t J=7.5), 2.41 (2H, t J=7.5Hz), 1.98-1.66 (8H, m), 1.60 (6H, s)。
【0330】
実施例16 シクロペンチル N−{4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}−2−メチル−D,L−ロイシネート
【化67】

【0331】
中間体4(209mg、0.68mmol)および中間体21(146mg、0.61mmol)から無色の固体として標記化合物(200mg)を得た。m/z 391.51 [M+H]+
【0332】
実施例17 シクロペンチル N−{4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}−3−メチル−L−イソバリネート
【化68】

【0333】
中間体4(200mg、0.68mmol)および中間体22(140mg、0.68mmol)から無色の固体として標記化合物(21mg)を得た。
【0334】
m/z 377 [M+H]+. 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm): 7.43-7.48 (2H, m), 7.32-7.37(2H, m), 5.35 (1H, td, J=5.4, 2.9 Hz), 4.02-4.33 (2H, m), 2.97 (2H, t, J=7.5 Hz), 2.41 (2H, t, J=7.4 Hz), 1.67-2.05 (8H, m), 1.60 (3H, s), 1.02-1.15 (6H, m)。
【0335】
実施例18 1−({4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボン酸
【化69】

【0336】
中間体4(208mg、0.68mmol)および中間体19(184mg、0.68mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(430mg、2.04mmol)および酢酸(47μL)を加えた。得られた溶液を室温で5時間攪拌し、次いで飽和NH4Clでクエンチした。反応物をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、組み合わせた有機層を乾燥(MgSO4)し、真空で濃縮した。固体残渣(40mg)を、THF(1mL)および水(1mL)中の水酸化リチウム(40mg、15mmol)と共に45℃で36時間攪拌した。反応物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を分取HPLCで精製した。精製したカルボン酸誘導体をジクロロメタン−TFA(1mL、1:1 v/v)中、1時間、室温で攪拌し、反応物を減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCに付して無色の固体として標記化合物(3mg)を得た。
【0337】
1H NMR (300 MHz, CD3OD), δ(ppm):7.47 (2H, d J=7.9Hz), 7.36 (2H, d J=8.1Hz), 4.18 (2H, s), 3.01-2.95 (2H, t J=7.5), 2.38 (4H, m), 1.97-1.59 (6H, m)。
【0338】
実施例19 N−{4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}−2−メチル−D,L−ロイシン
【化70】

【0339】
中間体4(150mg、51mmol)および(R,S)−α−メチルロイシン(75mg、51mmol)のDCE(20mL)溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(323mg、183mmol)を加え、反応物を室温で12時間攪拌した。反応物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をHPLCで精製して無色の固体として標記化合物(1mg)を得た。
【0340】
m/z 332 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD), δ(ppm): 7.44 (2H, d J=8.1Hz), 7.35(2H, d J=8.1Hz), 4.20 (1H, d J=12.4Hz), 4.09 (1H, d, J=12.6Hz), 2.97 (2H, t J=7.3Hz), 2.41 (2H, t J=7.7Hz), 2.01-1.87 (3H, m), 1.76 (3H, s), 1.01 (6H, t J=6.3Hz)。
【0341】
実施例20 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボン酸トリフルオロ酢酸塩
【化71】

【0342】
中間体30(13.6mg、0.034mmol)をCH2Cl2/MeOH[10:1 v/v](11mL)中に溶解させ、4M HCl(0.042mL、0.168mmol)を加え、反応物を室温で1時間攪拌した。溶媒を真空で除去し、残渣をHPLCで精製して標記化合物(2.4mg)を得た。
【0343】
m/z 305 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 7.67-7.59 (6H, m), 4.25 (2H, s), 2.41 (2H, d), 2.19-1.86 (6H, m)。
【0344】
実施例21 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロペンタンカルボン酸トリフルオロ酢酸塩
【化72】

【0345】
実施例20と同様の方法で、中間体31(70mg、0.17mmol)からHPLCによる精製後、トリフルオロ酢酸塩として標記化合物(63mg)を得た。
【0346】
m/z 306 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm); 8.78 (1H, s), 8.12 (1H, d), 7.75 (1H, d), 7.59 (1H, d), 6.98 (1H, d) 4.37 (2H, s), 2.43 (2H, m), 2.17 (2H, m), 1.97 (4H, m)。
【0347】
実施例22 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロブタンカルボン酸
【化73】

【0348】
実施例1の化合物(0.1g、0.27mmol)をメタノール(10mL)中の1N NaOH(10mL)と共に19時間攪拌した。反応物をpH7に4N HClで酸性とし、得られた固体を濾過で回収し、水およびEtOAcで洗浄し、次いで乾燥し、標記化合物(52.7mg)を得た。
【0349】
m/z 292 [M+H]+ 1H NMR (300MHz, d6-DMSO) δ(ppm): 10.89 (1H, s), 8.57 (1H, s), 7.81 (1H, d), 7.54 (1H, d), 7.46 (1H, d), 6.92 (1H, d), 3.68 (2H, s), 2.30-1.69 (6H, m)。
【0350】
実施例23 t−ブチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]−2−メチル−D−アラニネートトリフルオロ酢酸塩
【化74】

【0351】
実施例6の手順に従って、中間体33(30mg、0.069mmol)からHPLCによる精製後、標記化合物(7.7mg)を得た。
【0352】
m/z 336 [M+H]+, 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δppm; 9.46 (1H, bs), 8.69 (1H, m), 7.95 (1H, m), 7.88 (1H, m), 7.69 (1H, m), 7.52 (1H, d, J = 15.6Hz), 7.08 (1H, s), 6.97 (1H, d, J = 15.6Hz), 4.21 (2H, m), 1.57 (6H, s), 1.51 (9H, s)。
【0353】
実施例24 3−メチルシクロペンチル N−({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)−2−メチル−L−アラニネートトリフルオロ酢酸塩
【化75】

【0354】
実施例6の手順に従って、中間体34(42mg、0.091mmol)からHPLCによる精製後、白色の固体およびジアステレオ異性体の混合物として標記化合物(2.4mg)を得た。
【0355】
m/z 362 [M+H]+ 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δppm; 10.98 (1H, s), 9.58 (2H, m), 8.67 (1H, m), 7.93 (1H, m), 7.69 (1H, d, J = 7.8Hz), 7.51 (1H, m), 7.01 (1H, m), 5.19 (1H, m), 4.22 (2H, m), 2.30-1.80 (5H, m), 1.58 (6H, m), 1.25 (2H, m), 1.02 (3H, m)。
【0356】
生物学的活性の測定
ヒストン脱アセチル化酵素活性
ヒストン脱アセチル化酵素活性を阻害する化合物の性能を、バイオモル(Biomol)から市販されているHDAC蛍光活性分析を用いて測定した。簡単に言えば、イプシロン−アミノ基をアセチル化したリシンである、Fluor de Lys(商標)の基質を、阻害剤の存在下または非存在下でヒストン脱アセチル化酵素活性のソース(HeLa核抽出物)と共にインキュベートした。
【0357】
基質の脱アセチル化は、基質をFluor de Lys(商標)のデベロッパーに増感し、これが蛍光体を発生する。従って、HDAC活性のソースとの基質のインキュベーションは、HDAC阻害剤の存在下に減少されるシグナルの増加をもたらす。
【0358】
データを阻害剤の非存在下で測定し、次のようにして、
% 活性=[(Si−B)/(So−B)]×100
全てのサンプルからバックグラウンドシグナルを差し引いた、対照のパーセントで表した(ここで、Siは基質、酵素および阻害剤の存在下でのシグナルであり、Soは基質、酵素および阻害剤を溶解した媒体の存在下でのシグナルであり、Bは酵素の非存在下で測定したバックグラウンドシグナルである)。
【0359】
HeLa細胞由来の粗核抽出物からのヒストン脱アセチル化酵素活性を、スクリーニングのために用いた。チルバイオテック(Cilbiotech)(モンス(Mons)、ベルギー)から購入した組織標本を、指数増殖期に回収したHeLa細胞から調製した。
【0360】
核抽出物をJ.D.DignamらのNucl.Acid.Res.,1983,11,1475-1489に記載の方法に従って調製した。最終的な緩衝剤組成は、20mM HEPES pH7.9、100mM KCl、0.2mM EDTA、0.5mM DTT、0.5mM PMSFおよび20%(v/v)グリセロールであった。
【0361】
用量応答曲線を、重複した点を使用して、8つの化合物の濃度(最高濃度10μM、3倍希釈)から作製した。
【0362】
IC50の結果は、以下の3つの範囲の1つに当てはめた:
範囲A:IC50<100nM;範囲B:IC50101nMから1000nM;範囲C:IC50>1001nM、
NT=試験せず。
【0363】
U937およびHUT細胞阻害分析
対数期に増殖する癌細胞株(U937およびHUT)を回収し、96のウェルを有する組織培養プレート中に、1000−2000細胞/ウェルで播種した。24時間の増殖後に、細胞を化合物で処理した。次いで、WST−1細胞生存分析を供給元(ロシュ・アプライド・サイエンス)の指示書に従って実施する前に、プレートをさらに72−96時間再インキュベートした。
【0364】
データを阻害剤の非存在下で測定し、次のようにして、
% 阻害=100−[(Si/So)×100]
対照のパーセント阻害で表した(ここで、Siは阻害剤の存在下でのシグナルであり、SoはDMSOの存在下でのシグナルである)。
【0365】
用量応答曲線を、6回の反復を用いて、8つの濃度(最高最終濃度10μM、3倍希釈)から得た。
【0366】
IC50値を、グラフパッド・プリズム・ソフトウエア(Graphpad Prism software)を用いて、結果を様々な勾配(化合物の対数濃度に対する%活性)を有するS字状の用量応答についての等式に適合させた後に、非線形回帰分析により判定した。
【0367】
IC50の結果は、以下の3つの範囲の1つに当てはめた:
範囲A:IC50<100nM;範囲B:IC50101nMから1000nM;範囲C:IC50>1000nM、
NT=試験せず。
【0368】
ヒト全血のLPS−刺激
全血を、ヘパリン処理された吸引器(Becton Dickinson)を用いて、静脈穿刺により採血し、等量のRPMI1640組織培養媒体(Sigma)中に希釈した。100μlをV−ボトムの96ウェル組織培養処理プレートに入れた。100μlのRPMI1640媒体中の阻害剤を添加して2時間後、最終濃度100ng/mlで、血液をLPS(E大腸菌株 005:B5、Sigma)で刺激し、5%CO2中、37℃で6時間インキュベートした。サンドウィッチELISA(R&D Systems #QTA00B)により、TNF−αレベルを細胞非含有上澄液から測定した。
【0369】
IC50の結果は、以下の3つの範囲の1つに当てはめた:
範囲A:IC50<100nM
範囲B:IC50101nMから1000nM
範囲C:IC50>1000nM、
NT=試験せず。
【0370】
表1−結果
【表1】

【0371】
破壊細胞のカルボキシエステラーゼの分析
1がエステル基である本発明の各化合物について、細胞内のエステラーゼにより加水分解されるという要件に合致するか否かを判定するために、以下の分析により試験を行い得る。
【0372】
細胞抽出液の調製
U937またはHut78の腫瘍細胞(〜109)を、4倍の体積のダルベッコス(Dulbeccos)PBS(〜1リットル)中で洗浄し、525g、10分間、4℃でペレット化した。これを2度繰り返し、最終的な細胞ペレットを、35mlの冷均質緩衝液(トリズマ(Trizma) 10mM、NaCl 130mM、CaCl2 0.5mM、pH 7.0、25℃)中に再懸濁した。
【0373】
窒素キャビテーション(700psi、50分間、4℃)によりホモジネートを製造した。氷上にホモジネートを保ち、阻害剤の混合物を以下の最終的な濃度で補った。
ロイペプチン 1μM
アプロチニン 0.1μM
E64 8μM
ペプスタチン 1.5μM
ベスタチン 162μM
キモスタチン 33μM
525g、10分間の遠心分離により細胞ホモジネートを清澄化した後、得られた上澄液をエステラーゼ活性のソースとして用い、必要となるまで−80℃で保存した。
【0374】
エステル開裂の測定
エステルの対応するカルボン酸への加水分解を、前記のとおり調製した細胞抽出液を用いて測定し得る。この効果について、細胞抽出液(〜30μg/0.5mlの総検定体積)を、25℃でのpHが7.5である、トリス塩酸25mM、125mM NaCl緩衝液中、37℃でインキュベートした。
【0375】
開始時、2.5μMの最終濃度でエステル(基質)を加え、試料を37℃で適当な時間(通常、0または80分)インキュベートした。3倍の体積のアセトニトリルを加えることにより、反応を停止させた。開始時の試料について、アセトニトリルをエステル化合物に先立って加えた。12000g、5分間の遠心分離の後、エステルおよびそれに対応するカルボン酸について、LCMS(Sciex API 3000、HP1100バイナリポンプ、CTC PAL)を用いて、室温で試料を分析した。
【0376】
クロマトグラフィは、AcCN(75×2.1mm)カラムおよび水/0.1%ギ酸中の5−95%アセトニトリルの移動相に基づいた。加水分解の速度をpg/mL/分で表す。
【0377】
HCE−1カルボキシエステラーゼの分析
hCE−1によるエステルの対応するカルボン酸への加水分解は以下の手順を使用して測定することができる。開始時、ホスフェート分析緩衝剤(K2PO4 100mM、KCl 40mM、pH7.4)中6μg/mlの濃度の組換えhCE−1 100μLを、5μMエステル基質を含有する等量の分析緩衝剤に加えた。十分に混合した後、三連のサンプルを37℃にて0、20または80分間インキュベートした。
【0378】
適切な時点で、600μLのアセトニトリルを添加することにより加水分解を停止させた。開始時のサンプルについては、酵素より前にアセトニトリルを加えた。サンプルを、エステルおよび対応するカルボン酸について、室温にてLCMS(Sciex API3000、HP1100バイナリポンプ、CTC PAL)により分析した。クロマトグラフィは、AcCN(75×2.1mm)カラムおよび水/0.1%ギ酸中の5〜95%アセトニトリルの移動相に基づいた。80分後の酸および加水分解産物のレベルをng/mLで表す。
【0379】
表2
【表2】

【0380】
NA=適用できず。 ND=測定せず。
【0381】
表2は、実施例14および16の酸が前記の酵素アッセイにおいて親化合物Aと同様なIC50を有することを示し、酵素への結合がエステラーゼモチーフの結合によって妨げられていないことを示す。2−置換化合物は前記分析でhCE−1により加水分解され、結果として酸が細胞内に蓄積する。この酸の蓄積は、実施例14および16が前記U937細胞分析において親化合物より有意に強力であるという結果をもたらす。これらデータは、エステラーゼモチーフの結合により達成され得る効力の利益を強調する。
【0382】
表3
【表3】

【0383】
表3は、親化合物Aが単球細胞株(U937)および非単球細胞株(Hut78)において同様な効力を有する一方、実施例14および16は単球細胞株において非単球細胞株より30倍強力であることを示す。これらのデータは化合物のマクロファージ選択性を強調する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
A、BおよびDは独立して=CH−または=N−を表し;
Wは−CH=CH−または−CH2CH2−であり;
1はカルボン酸基(−COOH)、または1以上の分子内カルボキシエステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基であり;
2またはR3のいずれもが水素でないという条件で、R2およびR3は天然または非天然のアルファアミノ酸の側鎖から選択されるか、あるいはR2およびR3はそれらが結合している炭素と一緒になって、3−6員の飽和シクロアルキルまたはヘテロサイクリル環を形成してもよく;
Yは、結合手、−C(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)O−、−C(=O)NR’−、−C(=S)−NR’、−C(=NH)NR’または−S(=O)2NR’−(ここで、R’は水素または任意に置換されていてもよい(C1−C6)アルキルである)であり;
1は式−(Alk1m(Q)n(Alk2p−の2価の基
[ここで、m、nおよびpは独立して0または1であり、
Qは、(i)任意に置換されていてもよい、5−13員環の、2価の単環式もしくは2環式の炭素環式基または複素環式基であるか、あるいは(ii)mおよびpが共に0である場合、式−X2−Q1−または−Q1−X2−の2価の基{ここで、X2は−O−、S−またはNRA−(ここで、RAは水素もしくは、任意に置換されていてもよい(C1−C3)アルキルである)であり、Q1は任意に置換されていてもよい、5−13員環の、2価の単環式もしくは2環式の炭素環式または複素環式基である}であり、
Alk1およびAlk2は、独立して、任意に置換されていてもよい、2価の(C3−C7)シクロアルキル基、または任意に置換されていてもよい、直鎖状もしくは分枝鎖状の(C1−C6)アルキレン、(C2−C6)アルケニレンもしくは(C2−C6)アルキニレン基を表し、これらの基はエーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)もしくはアミノ(−NRA−)結合(ここで、RAは水素または任意に置換されていてもよい(C1−C3)アルキルである)を任意に含んでいてもよいか、あるいは末端としていてもよい]であり;
1は、結合手;−C(=O);または−S(=O)2−;−NR4C(=O)−、−C(=O)NR4−、−NR4C(=O)NR5−、−NR4S(=O)2−もしくは−S(=O)2NR4−(ここで、R4およびR5は、独立して水素または任意に置換されていてもよい、(C1−C6)アルキルである)を表し;そして
zは0または1である)。
【請求項2】
A、BおよびDがそれぞれ=CH−である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
A、BおよびDの1つが=N−であり、その他がそれぞれ=CH−である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
基HONHC(=O)−W−が、基R123C−NHYL11[CH2z−に対してメタ−またはパラ−位で、A、BおよびCを含む環に結合している請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
基R123C−NHYL11[CH2z−において、zが0である請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
基R123C−NHYL11[CH2z−において、Yが結合手である請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
基R123C−NHYL11[CH2z−において、X1が結合手である請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
基R123C−NHYL11[CH2z−において、zが0であり、YおよびX1がそれぞれ結合手であり、L1が式−(Alk1m(Q)n(Alk2p−(ここで、mおよびpの一方が0であり、他方が1であり、nが0である)の2価の基である請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
基−YL11[CH2z−が、−CH2−である請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
1が、式R12OC(=O)−:
[式中、R12は、R78CR9−{ここで、
(i)R7は水素、または任意に置換されていてもよい、(C1−C3)アルキル−(Z1a−[(C1−C3)アルキル]b−または(C2−C3)アルケニル−(Z1a−[(C1−C3)アルキル]b−(ここで、aおよびbは独立して0または1であり、Z1は−O−、−S−または−NR13−(ここで、R13は水素または(C1−C3)アルキルである)である)であり;R8およびR9は、独立して水素または(C1−C3)アルキル−であるか;あるいは
(ii)R7は水素、または任意に置換されていてもよいR1415N−(C1−C3)アルキル−(ここで、R14は水素または(C1−C3)アルキルであり、R15は水素または(C1−C3)アルキルであるか;またはR14およびR15はそれらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換されていてもよい、5もしくは6の環原子の単環式複素環、または8−10の環原子の2環式複素環系を形成する)であり、R8およびR9は独立して水素または(C1−C3)アルキル−であるか;あるいは
(iii)R7およびR8はそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されていてもよい、3−7の環原子の単環式炭素環または8−10の環原子の2環式炭素環系、あるいは7−10の環原子の架橋単環式炭素環系を形成し、R9は水素である}であり、そして、
(i)、(ii)および(iii)の場合、「アルキル」はフルオロアルキルを含む]
のエステル基である請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
1が、式R12OC(=O)−(ここで、R12は、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−もしくはイソ−プロピル、n−、sec−もしくはtert−ブチル、シクロペンチル、メチル置換シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル、フェニル、ベンジル、2−、3−もしくは4−ピリジルメチル、N−メチルピペリジン−4−イル、テトラヒドロフラン−3−イルまたはメトキシエチルである)のエステル基である請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
1が、式R12OC(=O)−(ここで、R12はシクロペンチルである)のエステル基である請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
置換基R2およびR3の一方が(C1−C6)アルキル基であり、他方がメチル、エチル、n−およびイソ−プロピル、n−、sec−およびtert−ブチル、フェニル、ベンジル、チエニル、シクロヘキシル、ならびにシクロヘキシルメチルからなる群から選択されるか;あるいは
2およびR3が、それらが結合している炭素と一緒になって、3〜6員の飽和スピロシクロアルキル環を形成する請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
2およびR3の一方がメチルまたはエチルであり、他方がベンジルまたは(C1−C6)アルキルであるか;あるいは
2およびR3が、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル環を形成する請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
2およびR3の一方がメチルであり、他方がメチル、エチル、n−もしくはイソ−プロピル、ベンジルまたはn、secもしくはtertブチルであるか;あるいは
2およびR3が、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル環を形成する請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項16】
式(IE):
【化2】

(式中、R1、WおよびBは請求項1で定義されたとおりであり、R2およびR3の一方がメチルであり、他方がメチル、エチル、n−もしくはイソ−プロピル、ベンジル、またはn、secもしくはtertブチルであるか;あるいはR2およびR3が、それらが結合する炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル環を形成する)
を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
1が、式R12OC(=O)−(ここで、R12はシクロペンチルである)のエステル基である請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Wが−CH=CH−である請求項16または17に記載の化合物。
【請求項19】
医薬的に許容な塩の形態である請求項1〜18のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項20】
シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロブタンカルボキシレート、
シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート、
シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロブタンカルボキシレート、
シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボキシレート、
シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−2−メチル−D−アラニネート、
シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロプロパンカルボキシレート、
シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロヘキサンカルボキシレート、
シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−α−メチル−L−フェニルアラニネート、
シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−2−メチル−D−ロイシネート、
シクロペンチル N−{4−[(−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−2−メチル−L−ロイシネート、
シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−L−イソバリネート、
シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−3−メチル−L−イソバリネート、
シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロペンタンカルボキシレート、
シクロペンチル 1−({4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボキシレート、
シクロペンチル N−{4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}−2−メチル−D−アラニネート、
シクロペンチル N−{4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}−2−メチル−D,L−ロイシネート、
シクロペンチル N−{4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}−3−メチル−L−イソバリネート、
1−({4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボン酸、
N−{4−[3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロピル]ベンジル}−2−メチル−D,L−ロイシン、
1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボン酸、
1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロペンタンカルボン酸、
1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロブタンカルボン酸、
t−ブチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]−2−メチル−D−アラニネート、
3−メチルシクロペンチル N−({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)−2−メチル−L−アラニネートからなる群から選択される請求項1に記載の化合物、またはそれらの医薬的に許容な塩。
【請求項21】
シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロブタンカルボキシレート、
シクロペンチル 1−[({6−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピリジン−3−イル}メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート、
シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロブタンカルボキシレート、
シクロペンチル 1−({4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}アミノ)シクロペンタンカルボキシレート、
シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−2−メチル−D−アラニネート、および
シクロペンチル N−{4−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ベンジル}−α−メチル−L−フェニルアラニネートからなる群から選択される請求項1に記載の化合物;またはそれらの医薬的に許容な塩。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1つに記載の化合物(ここで、R1は請求項1で定義されたエステル基である)を、医薬的に許容な担体と共に含む医薬組成物。
【請求項23】
HDAC活性の阻害のための、またはそのための薬剤の調製における請求項1〜21のいずれか1つに記載の化合物(ここで、R1は請求項1で定義されたエステル基である)の使用。
【請求項24】
疾患が、細胞増殖性疾患、ポリグルタミン病、神経変性疾患、自己免疫性疾患、炎症性疾患、臓器移植拒絶、糖尿病、血液疾患または感染症の炎症性後遺症である請求項23に記載の使用。
【請求項25】
請求項1〜21のいずれか1つに記載の化合物(ここで、R1は請求項1で定義されたエステル基である)の有効量をHDACの阻害に対応する疾患を患う対象者に投与することを含む、HDACの阻害に対応する疾患の治療方法。
【請求項26】
疾患が、移植拒絶、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、1型の糖尿病、ぜん息、炎症性腸疾患、全身性紅斑性狼瘡、および感染状態を伴う炎症(例えば、敗血症)、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎ならびに対宿主性移植片病である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
治療が、癌細胞増殖の治療である請求項23または24に記載の使用、あるいは請求項24または25に記載の方法。
【請求項28】
治療が、慢性関節リウマチの治療である請求項23または24に記載の使用、あるいは請求項24または25に記載の方法。

【公表番号】特表2012−519162(P2012−519162A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551519(P2011−551519)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000337
【国際公開番号】WO2010/097586
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(507288718)クロマ セラピューティクス リミテッド (18)
【氏名又は名称原語表記】CHROMA THERAPEUTICS LTD
【住所又は居所原語表記】93 Milton Park,Abingdon,Oxfordshire OX14 4RY,UNITED KINGDOM
【Fターム(参考)】