量子ドット構造および関連構造を用いる半導体構造体および半導体デバイスの製造方法
光起電力デバイスを製造する方法は、半導体材料の上に垂直積層構成の形で複数のサブセルを形成するステップを含み、サブセルのそれぞれは、隣り合うサブセルがそれぞれ異なる有効バンドギャップを有するように隣り合うサブセルと異なる温度で形成される。製造する方法はまた、構造体を反転するステップと、別の基板を第2の半導体材料に取り付けるステップと、基板を除去するステップとを含む。例えば、サブセルのそれぞれは、III窒化物材料を含むことができ、それぞれの次のサブセルは、隣り合うサブセルと異なるインジウム含有率を有することができる。このような方法を用いて、新規の構造体を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2009年7月20日出願の米国特許仮出願第61/227,006号明細書、「Methods of Fabricating Semiconductor Structures and Devices Using Quantum DOT Structures and Related Structures」の出願日の利益を主張する。
【0002】
本発明は一般に、量子ドット構造を含む光起電力デバイスなどの半導体構造体または半導体デバイスの製造に関し、より具体的には、異なる有効バンドギャップを有する複数の吸収構造を含む中間構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽エネルギーは、代替電気エネルギー源になりうる豊富な資源である。しかし、太陽エネルギーは、経済的に集め、貯蔵し、輸送することに問題がありうる。太陽エネルギーを集め、利用する方法の1つは、太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換する光起電力セルによるものである。このエネルギー変換は、半導体材料中のi型(真性)、n型およびp型の伝導領域を利用して行われ、それによって、電子−ホール対が半導体材料中に形成されるときに発生する光起電力電位および光電流を生成することができる。これらの電子−ホール対は、光起電力セル内の衝突光子に対する反応として形成される。
【0004】
半導体によって吸収されるエネルギーは、その特性バンドギャップによって決まる。半導体材料の「バンドギャップエネルギー」は、外郭電子をその原子核のまわりの軌道から自由状態に解放するのに必要なエネルギー量で定義される。半導体では、電子が価電子帯から半導体伝導帯まで励起されるのに必要なエネルギーは、2つのバンド間の分離(すなわちバンドギャップ)に基づいて異なる。材料が異なると特性バンドギャップエネルギーが異なりうる。バンドギャップエンジニアリングは、ある材料のバンドギャップを制御または変更する方法である。従来のシリコンベースの、光起電力セル(PV)に使用される半導体材料は、約1.1eVのバンドギャップエネルギーを有するが、これはすなわち、光子領域のおよそ0.4eVから4.0eVの使用可能エネルギーを持つ広帯域の太陽放射スペクトルのほんの一部しかカバーしていない。
【0005】
エネルギーが半導体のバンドギャップより下にある光は吸収されず、電力に変換されない。エネルギーが半導体のバンドギャップより上にある光は吸収されるが、生成された電子−ホール対は、そのバンドギャップより上の過剰エネルギーを熱の形で早く失う。したがって、このエネルギーは電力への変換には利用できない。
【0006】
したがって、光起電力セルでのエネルギーの吸収および変換を最大にするために、多層、多接合、または多サブセルの光起電力デバイスが開発されてきた。これらの多サブセルデバイスでは、より広いスペクトルの太陽エネルギーを吸収できるように、異なる特性バンドギャップエネルギーを有する様々な材料を利用する。
【0007】
多サブセル光起電力デバイスは従来から、垂直積層方向に半導体材料の多数の層(すなわちサブセル)を含む。各サブセルは、異なる材料の別の層とは異なる太陽エネルギー帯域または波長域を吸収し変換するように設計されている。放射エネルギーに最初に露光されるサブセルは、一般に最も高いバンドギャップエネルギーを有し、その下に配置されたサブセルは、それに対応する小さいバンドギャップエネルギーを有する。この構成の結果、1つのサブセル(すなわち、基準面)で吸収されないエネルギーは、そのデバイスの別のサブセルに伝達され、そこで変換されて、広いスペクトルの太陽エネルギーを電力に変換することが可能になる。
【0008】
しかし、このタイプの多接合光起電力デバイスは、ヘテロエピタキシャル成長によっていくつかの異種の材料を格子整合する能力に限界がある。隣り合うサブセルの間の格子不整合により、歪みおよび転位が生じることになり、そのため光起電力デバイスの総合効率が低下する。通常、光起電力デバイスに使用できる材料は、格子不整合の問題のために厳しく限定される。この問題を克服し、光起電力セル効率を向上させる試みは、例えば、Freundlichの特許文献1、およびFreundlichらの特許文献2に記載されており、1つまたは複数の量子井戸を含む光起電力セルが開示されている。加えて、Kurtzらの特許文献3では、エネルギー変換を改善するためのヒ化窒化インジウムガリウム(InGaAsN)/ヒ化ガリウム(GaAs)半導体p−nヘテロ接合を含む多接合太陽電池が開示されている。
【0009】
光起電力セルの効率を高める上で興味のある別の領域は、量子ドット(QD)を使用することに関連する。量子ドットのバンドギャップエネルギーは、その組成による影響だけでなく、その大きさを変えることによる影響も受ける。量子ドットは、光起電力デバイスに組み入れられてきた。例えば、Fafardの2005年1月21日出願の特許文献4(2005年7月21日公開の特許文献5)では、複数のサブセルを含む太陽光発電セルで、そのサブセルの少なくとも1つがエピタキシャル成長自己集合量子ドット材料を含むものを開示している。ゲルマニウム(Ge)下部サブセルがゲルマニウム基板上に成長され、ヒ化ガリウム中間サブセルと、ガリウムインジウムリン(GaInP)またはアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)の上部サブセルとが直列に接続される。太陽光発電セルの効率は、中間サブセルにバルクヒ化ガリウム材料ではなく自己集合量子ドット材料を使用することによって改善される。
【0010】
光起電力デバイスでは、広いスペクトルの太陽エネルギーを吸収する能力を得るために、異種の諸材料を利用する。しかし、異種の材料は、結晶特性が悪くなり太陽電池の効率が制限されることになる格子不整合の問題を引き起こす。したがって、吸収されるエネルギーの複数の波長で光起電力を生成できるいくつかのサブセル要素がある光起電力デバイスを、高品質の結晶を維持しながら形成する方法を提供することは、当技術分野の進歩になるはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,372,980号明細書
【特許文献2】米国特許第5,851,310号明細書
【特許文献3】米国特許第6,252,287号明細書
【特許文献4】米国特許出願第11/038,230号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0155641 A1号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0137698号明細書
【特許文献7】米国特許第RE39,484号明細書
【特許文献8】米国特許第6,303,468第号明細書
【特許文献9】米国特許第6,335,258号明細書
【特許文献10】米国特許第6,756,286号明細書
【特許文献11】米国特許第6,809,044号明細書
【特許文献12】米国特許第6,946,365号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Adelmann et al, "Growth and Optical Characterization of LiGaN QDs Resulting from 2D-3D Transition," Phys. Stat. Sol. (a), (176):639-642
【非特許文献2】Tanaka et al., "Fabrication of Self- Assembling GaN Quantum Dots on AlxGa1-xN Surfaces Using a Surfactant," App. Phys. Lett., 69:4096 (1996)
【非特許文献3】Choi et al., "Fabrication of InGaN Quantum Dots by Periodically Interrupted Growth in MOCVD," Proceedings of the SPEE, v. 6831, pp. 683119 (2008)
【発明の概要】
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、半導体構造体または半導体デバイスを形成する方法を含む。この方法は、半導体材料の層を基板の上に堆積するステップと、この半導体材料の層の上に、少なくとも1つの構造を含むサブセルを形成し、バリア材料の上に少なくとも1つの別のサブセルを形成するステップとを含むことができる。この少なくとも1つの構造体は、バリア材料によって少なくとも部分的に取り囲まれた複数の量子ドットを含むことができる。少なくとも1つの別のサブセルは、別のバリア材料で取り囲まれた別の複数の量子ドット構造を含むことができる。別のバリア材料は、下にあるサブセルのバリア材料よりもかなり低い有効バンドギャップを有することができる。
【0014】
本発明は、半導体構造体または半導体デバイスを形成する方法の追加の実施形態を含む。このような方法は、ベース基板の上に半導体材料の少なくとも1つの層を堆積するステップと、この半導体材料の少なくとも1つの層の上に少なくとも1つの吸収構造を製造して、サブセルを形成するステップと、少なくとも1つの吸収構造の上に少なくとも1つの別の吸収構造を形成して、別のサブセルを形成するステップとを含むことができる。このサブセルは、第1の温度で、窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを半導体材料の少なくとも1つの層の上に成長させ、窒化インジウムガリウムを含むバリア材料を、複数の量子ドットを覆うとともに少なくとも部分的に取り囲んで堆積することによって形成でき、一方、別のサブセルは、第1の温度と異なる第2の温度で、窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを少なくとも1つの吸収構造のバリア材料の上に成長させ、窒化インジウムガリウムを含む別のバリア材料を、複数の量子ドットを覆うとともに少なくとも部分的に取り囲んで堆積することによって形成することができる。
【0015】
さらに別の実施形態では、本発明は光起電力構造体を含み、この構造体は、基板上の半導体材料の第1の層の上にある積層構成の形で複数のサブセルを含む。複数のサブセルのそれぞれは、隣り合うサブセルよりも低い有効バンドギャップを有することができ、かつ少なくとも1つの吸収構造を含むことができる。半導体材料の第2の層は、複数のサブセルの上面を覆って配置することができ、第1の半導体材料と異なる材料を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書は、具体的に指し示し明瞭に特許請求している特許請求の範囲とともに、どれが本発明とみなされるかを結論付けているが、本発明の利点は、添付の図面を併せ読めば、本発明の説明からより容易に確認することができるであろう。
【0017】
【図1】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にある半導体材料の少なくとも一層を含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図2】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にある半導体材料の層の上に複数の量子ドット構造を含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図3】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、図2に示される複数の量子ドット構造を密閉するバリア材料からなる吸収構造を含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図4】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にあるサブセルを形成する複数の垂直に積層された吸収構造を含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図5】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にある複数のサブセルを含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図6】本発明の方法の実施形態の間に生成することができ、別の複数のサブセルの上にある半導体材料の別の層を含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図7】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にある半導体材料の少なくとも一層を含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図8】本発明の方法の実施形態の間に生成することができ、複数の吸収構造を含むサブセルを含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図9】本発明の方法の実施形態の間に生成することができ、最も高い有効バンドギャップを有するベース基板に隣接する複数のサブセルを含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図10】本発明の方法の実施形態の間に生成することができ、基板上の半導体材料の層の上にあり、第2の半導体材料の下に配置された複数のサブセルを含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図11】図10の部分形成構造体に接合基板が、反転された構造の上で第2の半導体材料に付着して取り付けられていることを示す図である。
【図12】図8〜11に示すように形成された光起電力デバイスの、ベース基板を第1の半導体材料から層剥離した後の簡略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で提示される説明は、何か特定の材料、装置、システム、または方法の実際の概観を示すのではなく、単に理想化して表現されたものであり、本発明を説明するために用いられている。加えて、各図の間で共通の要素は、同じ数字表示を保持しうる。
【0019】
本明細書で、「上部」および「下部」という語は、ベースまたは成長基板に対する位置を指す。「上部」という語は基板と離れた位置を指し、「下部」という語は基板に近いことを示す。
【0020】
本明細書では、「有効バンドギャップ」という語は、光子が材料に吸収される可能性があり、かつ光子がヘテロ構造(すなわち、量子ドット構造およびバリア材料)の量子化エネルギーレベルによって選択される最低エネルギー遷移を意味し含む。
【0021】
本明細書では、「吸収端」という語は、吸収が急激な値の低下を示す波長値を意味し含む。
【0022】
本明細書では、「III型半導体材料」という語は、周期表のIIIA族(B、Al、Ga、In、およびTi)の1つまたは複数の元素から主として構成される任意の材料を意味し含む。
【0023】
本明細書では、「III−窒化材料」という語は、窒素と、周期表のIII族の例えば、通常はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)および/またはインジウム(In)などの1つまたは複数の元素とから実質的に構成される任意の材料を意味し含む。
【0024】
本明細書では、「III−V型半導体材料」という語は、周期表のIIIA族(B、Al、Ga、In、およびTl)の1つまたは複数の元素と、周期表のVA族(N、P、As、Sb、およびBi)の1つまたは複数の元素とから主として構成される任意の材料を意味し含む。
【0025】
本明細書では、「ドーパント」または「ドーピング剤」という語は、自由電荷キャリアの数を増やすために半導体格子の中に付加される原子を意味し含む。さらに「n型」ドーパントは、電子ドナーとして作用しGe、Si、Oなどの原子を含む作用物を意味し、「p型」ドーパントは、電子アクセプタとして作用しMg、Ca、Be、Cなどの原子を含む作用物を意味する。
【0026】
本明細書で「加工基板」という語は、その広義では、材料の2つ以上の層からなる任意の基板で、その上に1つまたは複数の半導体デバイスを製造する基板として使用するための基板を意味し含む。加工基板には、例えば半導体オンインシュレータ型基板が含まれる。
【0027】
本明細書では、「材料のエピタキシャル層」という語は、材料の層で、その材料の少なくとも実質的に単結晶であり、その単結晶が既知の結晶方位を呈示するように形成されている材料の層を意味する。
【0028】
本明細書では、「格子歪み」という語は、材料の層に関して用いられる場合、材料の層の面に少なくとも実質的に平行な方向の結晶格子の歪みを意味する。
【0029】
他の層または基板の「上(on)」または「上方(over)」にあると言われる層は、その層または基板と直に接触して配置されていることがあり、あるいは、その層または基板の上にある介在層の上に配置されていることがあると理解されたい。また、ある層が他の層または基板の「上」または「上方」にあると言われる場合、その層は、他の層もしくは基板の全体、または他の層もしくは基板の一部分を覆っていることがあると理解されたい。
【0030】
本発明の実施形態は、広いスペクトルの太陽エネルギーを吸収し電気エネルギーに変換できるように有効バンドギャップエネルギーの程度が選択された太陽電池または光起電力デバイスの製造を容易にする方法および構造体を含む。このような有効バンドギャップ特性を含む光起電力デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を、図1から12を参照して以下で説明する。
【0031】
本発明の実施形態は、非反転および反転光起電力構造体を含むことができ、図1〜6は、非反転光起電力構造体に関連する実施形態を対象とし、図6〜12は、反転光起電力構造体に関連する実施形態を対象としている。本明細書で、見出しは分かりやすくするためだけに用いられており、何も限定するものではない。いくつかの参照文献が引用される。さらに、上記でどのように示されているかにかかわらず、引用文献のどれも、本明細書で特許請求される主題の本発明に対する先行技術とは認められない。
【0032】
非反転光起電力構造体
図1を参照すると、部分形成光起電力デバイス構造体110を製造することができ、この構造体は、成長基板112の上にある半導体材料の層114を含む。半導体材料の層114は、その上に半導体材料の1つまたは複数の層を光起電力デバイスの製造の一部として形成するためのシード層を含む。いくつかの実施形態では、半導体材料の層114は、半導体材料の単一のエピタキシャル層または複数のエピタキシャル層を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、半導体材料の層114は、III−V型半導体材料のドープされたエピタキシャル層を含むことができる。非限定的な例として示すと、半導体材料の層114は、窒化ガリウム(GaN)の少なくとも1つのエピタキシャル層と、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)のエピタキシャル層とを含むことができる。いくつかの実施形態では、半導体材料の層114は、シリコンn型ドープ窒化ガリウムまたは窒化インジウムガリウムなどのn型材料またはp型材料を含む。非限定的な例として、半導体材料の層は、約12.5%よりも高いインジウム濃度を有することができる。
【0033】
成長基板112は、III−窒化物材料を成長させるのに適した同種基板または異種基板を含むことができる。具体的な非限定的例として、成長基板112は、よく「サファイア」と呼ばれる酸化アルミニウム(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、GaNオンサファイア、窒化インジウムガリウム(InGaN)、InGaNオンサファイア、石英(SiO2)、ヒ化ガリウム(GaAs)、溶融石英(SiO2)ガラス、ガラス−セラミック複合材料(例えば、ペンシルベニア、DuryeaのSchott North America, Inc.からZERODUR(登録商標)の商標で販売されているものなど)、または溶融石英ガラス複合材料(例えば、SiO2−TiO2またはCu2−Al2O3−SiO2など)を含むことができる。
【0034】
図1を引き続き参照すると、成長基板112はベース材料113を含み、また任意選択で、シャドーラインを用いて描かれた半導体材料の1つまたは複数の中間層115を含み、これらは最終的に、半導体材料の層114と成長基板112の間に配置される。材料のこのような中間層115は、例えば、圧縮歪みまたは引っ張り歪みの程度を低減させるためのシード層として、成長基板112のベース材料113の上に直に半導体材料の層114を形成することが困難または不可能である場合に使用することができる。図は原寸に比例して示されていなく、実際には、半導体材料の中間層115および半導体材料の層114は、成長基板112のベース材料113の厚さに対して相対的に薄いことがある。
【0035】
限定ではなく例として示すと、部分形成構造体110は、成長基板112のベース材料113の上に形成された半導体材料の単一の中間層115を含むことができ、半導体材料の層114は、半導体材料の単一の中間層115の上に形成することができる。半導体材料の中間層115は、例えばIII−V型半導体材料などの半導体材料の1つまたは複数の層を含むことができ、その上の半導体材料の追加層がエピタキシャル成長するのに十分な厚さを有するように形成することができる。いくつかの実施形態では、半導体材料の層114は、n型またはp型ドープされた半導体材料を含むことができる。非限定的な例として、半導体材料の中間層115は、ドープされた半導体材料が積み重なった層などのトンネル接合構造を含むことができる。加えて、半導体材料の中間層115は、分離材料の層または伝導性材料の層を含むことができるが、その諸例は当業者に知られており、本明細書では詳細に説明しない。半導体材料の中間層115は、例えば、ハイブリッド気相エピタキシ(HVPE)、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、および分子ビームエピタキシ(MBE)など、当業者に知られている様々な方法を用いて成長させることができる。加えて、半導体材料の中間層115を形成する際に、例えば、ELO(epitaxial lateral over−growth)、FIELO(facet−initiated epitaxial lateral over−growth)、in−situマスキング、およびウェハボンディングなどの様々な方法を用いて、中間層中の転位密度を低減させることができる。
【0036】
図1に示される部分形成光起電力構造体110を形成するために、半導体材料の1つまたは複数の中間層115をベース材料113の主面上にエピタキシャル成長させること、または他の方法で形成することができ、その後、半導体材料の1つまたは複数の中間層115の上に半導体材料の層114をエピタキシャル成長させること、または他の方法で形成することができる。別の実施形態では、半導体材料の層114は、半導体材料の中間層115を全く含まずに、ベース材料113上に直にエピタキシャル成長させること、または他の方法で形成することができる。
【0037】
図2を参照すると、ドープされた半導体材料114上に複数の量子ドット構造118を形成して、部分形成光起電力デバイス構造体116を形成することができる。複数の量子ドット構造118は、例えば、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)または窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1−xN)などのIII−窒化物材料を含むことができる。量子ドット構造118を形成する際は、当業者に知られている様々な方法を用いることができる。具体的な非限定的例として、量子ドット構造118は、よく「層プラスアイランド成長」と呼ばれるStranski−Krastanow(S−K)成長モード(非特許文献1に詳細に記載されているものなど)を用いて形成することができる。このようなStranski−Krastanow(S−K)成長モードは、例えば、プラズマ利用分子ビームエピタキシ(PA−MBE)法もしくはMBE法、またはMOCVD法を用いてGaNの歪み層を形成するステップを含むことができ、その後、三次元構造が形成される再編成(すなわち、歪み緩和)が続く。
【0038】
追加の実施形態では、量子ドット構造118は、非特許文献2に詳細に記載されているものなどの方法を利用し、界面活性剤または反界面活性剤を使用して形成することができる。具体的には、量子ドット構造118は、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)層などのIII−窒化物材料の第1の層の表面に、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)法を用いて製造することができる。自己集合量子ドット構造118を形成するには、III−窒化物材料の第1の層の表面に、窒化ガリウム層、または第1の層と異なるインジウム組成物を有する窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)などのIII−窒化物材料の第2の層を形成でき、「界面活性剤」を使用することによって三次元モードに修正することができる。何か特定の理論に拘束されることを望むものではないが、界面活性剤は、III−窒化物材料の第2の層がIII−窒化物材料の第1の層の表面を表面自由エネルギーの変化により濡らすことを抑制すると考えられる。
【0039】
別の実施形態では、量子ドット構造118は、III型金属のナノ小滴の堆積を用い、その後にナノ小滴の窒化および選択的成長法を続けることで形成することができる。加えて、量子ドット構造118は、窒化インジウムガリウムなどのIII−窒化物材料の薄いエピタキシャル層を約400℃から約1000℃の間の温度において分子窒素中でアニーリングすることによって形成することができる。量子ドット構造118はまた、中断成長モード(例えば、非特許文献3に開示されているものなど)を用いて形成することもできる。量子ドット構造118は、前駆体としてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、およびアンモニア(NH3)を使用し、キャリアガスとしてN2またはH2を使用する有機金属気相成長(MOCVD)法によって形成することができる。
【0040】
当技術分野で知られているように、量子ドット構造118の量子化エネルギーおよび有効バンドギャップエネルギーは、量子ドット構造118の組成、大きさ、および構成を変えることによって制御することができる。いくつかの実施形態では、有効バンドギャップエネルギーは、量子ドット構造118を100nm未満の平均直径、および25nm未満の平均高さを有するように成長させることによって制御することができる。非限定的な例として、量子ドット構造118の初期成長温度を調整して、量子ドット構造118の形状および組成を制御することができる。例えば、量子ドット構造118の初期成長温度は、約400℃から約1000℃の間に調整することができる。加えて、量子ドット構造118の大きさおよび組成は、量子ドット構造118の成長の継続時間によって制御することができ、例えば、約15秒と約120秒の間の成長継続時間を用いることができる。さらに、量子ドット構造118の大きさおよび組成は、形成中の前駆体ガスの分圧を変えることによって制御することができる。半導体材料の層114の表面に形成された、または半導体材料の中間層115があればその表面に形成された量子ドット構造118は、ほぼ同じまたは同様の大きさを備えることができる。別の実施形態では、有効バンドギャップエネルギーは、例えば、ドット118のパーセントインジウム含有率を変えることによって制御される。量子ドット構造118は、約0.7eVから約3.4eVの範囲のバンドギャップエネルギーを有することができる。非限定的な例として、量子ドット構造118は、約1.0eVの有効バンドギャップエネルギーを有することができる。
【0041】
図3を参照すると、バリア材料122を量子ドット構造118の上に形成して、吸収構造124を含む部分形成光起電力デバイス構造体120を形成することができる。非限定的な例として、バリア材料122は、量子ドット構造118の露出面を取り囲むように、または密閉するように堆積することができる。バリア材料122は、半導体材料の層114の主面に対向する、または半導体材料の中間層115があればその主面に対向する、量子ドット構造118のそれぞれの表面を実質的に覆うのに十分な厚さを有することができる。非限定的な具体的な一例として、バリア材料122は、約50nm未満の厚さ、より具体的には約20nmと約40nmの間の厚さを有することができる。
【0042】
バリア材料122は、量子ドット構造118と比較して有効バンドギャップがかなり高められた材料を含むことができる。限定ではなく例として示すと、バリア材料122は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1-xN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)などのIII−窒化物材料、および他の2元または3元のIII−窒化物を含むことができる。いくつかの実施形態では、バリア材料122は、量子ドット構造118と比較してかなり減少したインジウム含有率を有することができ、その結果、バリア材料122の有効バンドギャップは、それが取り囲む量子ドット構造118の有効バンドギャップよりも大きくなる。さらに、3元の窒化インジウムガリウム中へのインジウムの混合が少なくとも一部には堆積温度に依存するので、量子ドット構造118の堆積温度とバリア材料122の堆積温度との差を200℃未満とすることがある。この堆積温度の差を維持して、量子ドット構造118からの諸成分の脱離を実質的に防止することができる。例えば、窒化インジウムガリウム材料の温度をその堆積温度を超えて高めると、その材料からの脱離が生じうることが当技術分野で知られている。さらに、窒化インジウムガリウム量子ドット構造からインジウムが脱離することにより、量子ドット構造の組成が変化することがあり、したがって、量子ドット構造の有効バンドギャップが変化することになりうる。
【0043】
別の実施形態では、バリア材料122の形成時の温度を量子ドット構造118の過成長中に変化させて、量子ドット構造118のサイズおよび組成をさらに制御することができる。例えば、バリア材料122の形成時に成長温度が変化すると、量子ドット構造118からの脱離が減少し、ドット構造の大きさが制御され、バリア材料122の結晶特性が向上することになりうる。
【0044】
非限定的な例として、バリア材料122形成時の成長温度の変化は、量子ドット構造に隣接するバリア材料の一部分を形成するための初期成長温度と、量子ドット構造118からもっと離れているバリア材料の残り部分のための次の成長温度を含むことがある。例えば、量子ドット構造118に隣接するバリア材料の一部分を形成するための初期成長温度は、量子ドット構造を成長させるのに用いられる温度とほぼ等しくすることができる。バリア材料の成長が継続するにつれて成長温度を高めることができ、バリア材料122の厚さが増大するにつれて成長温度がこのように上昇することが、バリア材料122の結晶特性を改善する助けになりうる。
【0045】
本発明の別の実施形態では、バリア材料の一部分が、量子ドット構造118を形成するのに使用される温度とほぼ等しい初期成長温度で成長することができ、次に成長は、量子ドット構造がバリア材料122によって密封されるときまで初期成長温度で継続することができる。バリア材料122で量子ドット構造118の密閉することにより、バリア層の成長温度を高めてバリア材料の結晶特性をより改善することができ、または量子ドット構造を密閉することにより成長を停止させ、結晶特性を維持するのに適したガス雰囲気中でリアクタの温度を高めることができ、例えばアンモニア(NH3)を導入してIII−窒化物材料の特性を維持することができる。所望の次の成長温度に達すると、バリア材料122の残り部分を成長させることができる。
【0046】
さらに別の実施形態では、量子ドット構造118の諸特性を、例えば、前駆体ガスの分圧、基板の選択および成長速度を変えることによって修正することができ、このようにして吸収構造124の有効バンドギャップエネルギーを制御することができる。
【0047】
図4を参照すると、任意選択でp型またはn型原子でドープされた半導体材料114と、その上に形成された第1のサブセル128とを有する成長基板112を含む、部分形成光起電力デバイス構造体126を製造することができる。第1のサブセル128は、半導体材料114を覆って積層構成の形で次々に上に配置された複数の吸収構造124A、124B、124Cを含むことができる。第1のサブセル128の内部で、各吸収構造124A、124B、124Cは、図2および図3に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて製造することができる。例えば、第1の吸収構造124Aは、図3に関して説明したように、量子ドット構造118の層を初期温度で成長させ、その後に量子ドット118の周りにバリア材料122を異なる温度で堆積させることによって形成することができる。
【0048】
第1の吸収構造124Aの形成に続いて、第1の吸収構造124Aのバリア材料122の上面に複数の吸収構造124B、124Cを製造して、第1のサブセル128を形成することができる。サブセル内の吸収構造の数は、吸収されるべき電磁放射に基づいて選択することができる。例えば、光起電力構造体126内の吸収構造124A、124B、124Cのそれぞれの厚さを増大させ、吸収構造124A、124B、124Cの数を増加することによって、電磁放射を吸収する確率を高めることができる。したがって、吸収構造124A、124B、124Cの数は、入ってくる電磁放射の吸収深さに基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、所与のサブセル内の吸収構造124A、124B、124Cは、ほぼ同じ構成を有することができる。非限定的な一例として、吸収構造124Aの量子ドット構造118のそれぞれは、吸収構造124Bおよび124Cの量子ドット構造118のそれぞれとほぼ同じ全体サイズおよび組成を有することができる。あるいは、吸収構造124Aの量子ドット構造118のそれぞれは、吸収構造124Bおよび124Cの量子ドット構造118のそれぞれと比較してかなり異なるサイズおよび組成を有することもできる。
【0049】
引き続き図4を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のサブセル128内の吸収構造124A、124B、124Cの各量子ドット構造118は、互いにほぼ一直線上にありうる。量子ドット構造118の整列は、下にある吸収構造124内の、量子ドット構造118の材料とバリア材料122の間の格子不整合の結果として存在する歪みによって、当技術分野で知られている製造方法を用いて生じさせることができる。すなわち、バリア材料122の格子パラメータを選択的に調整することによって、上にある吸収構造124B、124Cの一部を形成するバリア材料122と量子ドット構造118との間の格子不整合は、次の吸収構造124B、124C内の次の量子ドット構造118の整列を促進するのに利用することができる。その結果、本発明の諸実施形態では、吸収構造124A、124B、124Cのそれぞれにおいてほぼ一直線上にある量子ドット構造118の製造を可能にすることができ、これにより光起電力デバイス構造体126の効率がかなり向上しうる。
【0050】
量子ドット構造118のそれぞれの平均の大きさは、所望の有効バンドギャップを有するように選択することができる。量子ドット構造118それぞれの有効バンドギャップは、量子ドット構造118の平均直径を減少させることによってかなり増大させることができる。例えば、サブセル128内の量子ドット構造118の平均の大きさは、約0.7eVと約6.2eVの間、より具体的には約0.7eVから約4eVの吸収エネルギー(すなわち、有効バンドギャップ)を有するように形成することができる。量子ドット構造118のそれぞれの有効バンドギャップはさらに、光起電力デバイス中に組み込まれるべきサブセルの数に基づいて選択することができ、理想的な吸収エネルギー、したがって個々のサブセルの有効バンドギャップエネルギーは、下の表1に応じて変化しうる。この表は、理想的な条件のもとで求められた、1つまたは複数のサブセルを含む光起電力構造体の計算された効率を示す。このような条件は、例えば、Wanlassらの特許文献6に詳細に記載されている。
【0051】
【表1】
【0052】
図5を参照すると、別の部分形成光起電力構造体130が示されており、これは、第1のサブセル128のバリア材料122の上に形成された第2のサブセル136を有する。サブセル136は、例えば、複数の吸収構造134A、134B、および134Cを含むことができ、これらのそれぞれが複数の量子ドット構造118’の上にあるバリア材料122’を含み、図2または図3に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて形成することができる。いくつかの実施形態では、吸収構造134A、134B、および134Cのそれぞれの量子ドット構造118’は、ほぼ同じ平均の大きさで形成して、図5に示された部分形成光起電力構造体130を形成することができる。他の実施形態では、吸収構造134A、134B、および134Cのそれぞれの量子ドット構造118’は、それぞれ異なる平均の大きさで形成することができる。量子ドット構造118’の平均の大きさは、図4に関して説明した所望の有効バンドギャップを有するように選択することができる。非限定的な例として、量子ドット構造118’は、その有効バンドギャップが約0.7eVと約4eVの間になるように、または特定の実施形態では、およそ1.6eVの有効バンドギャップになるように形成することができる。バリア材料122’は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1-xN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)などのIII−窒化物材料、および他の2元または3元のIII−窒化物を含むことができ、図3に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて形成することができる。バリア材料122’は、第1のサブセル128のバリア材料122のインジウム含有率よりもかなり少ないインジウム含有率を有することができ、したがって、バリア材料122よりもかなり大きい有効バンドギャップを有することができる。このようなバリア材料122’を形成するために、第2のサブセル136のバリア材料122’は、第1のサブセル128のバリア材料122の堆積温度よりも高い温度で堆積されることがある。前に論じたように、バリア材料122’第2のサブセル136の堆積温度は、第1のサブセル128のバリア材料122の堆積温度を約200℃以上超えない温度に維持して、量子ドット構造118および118’からのインジウムの脱離を防止することができる。
【0053】
図6を参照すると、第3のサブセル144を第2のサブセル136の上に形成して、成長基板112の上にある複数のサブセル128、136、144を有する部分形成光起電力構造体138を形成することができる。第3のサブセル144は、複数の量子ドット構造118”と、量子ドット構造118”のそれぞれを覆うとともに少なくとも部分的に取り囲んで形成されたバリア材料122”とを含むことができる。第3のサブセル144の量子ドット構造118”は、下にあるサブセル136の量子ドット構造118’の平均の大きさよりもかなり小さい平均の大きさで形成することができる。バリア材料122”は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1-xN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)などのIII−窒化物材料、および他の2元または3元のIII−窒化物を含むことができる。第3のサブセル40のバリア材料122”は、第2のサブセル136のバリア材料122’の堆積温度よりも高い温度で堆積することができ、その結果、第3のサブセル144のバリア材料122”は、第2のサブセル136のバリア材料122’のインジウム含有率よりもかなり少ないインジウム含有率を有するようになる。
【0054】
いくつかの実施形態では、サブセル128、136、144それぞれの中の量子ドット構造118のそれぞれの平均の大きさは、サブセル128、136、144のうちの1つの中の量子ドット構造118のそれぞれがほぼ同様または同一の有効バンドギャップを含むように、ほぼ同一または同様とすることができる。次のサブセル136、144の量子ドット構造118のそれぞれの平均の大きさは、それぞれのサブセル128、136、144の中で異なりうる。サブセル128、136、144のうちの選択されたものの中の量子ドット構造118のそれぞれの有効バンドギャップエネルギーは、量子ドット構造118の平均の大きさを変えることによって、サブセル128、136、144のうちの選択されたものの吸収端が電磁スペクトルの所望の部分に対応するように制御することができる。非限定的な例として、第1のサブセル128の量子ドット構造118は約1.0eVの有効バンドギャップを有することができ、第2のサブセル136の量子ドット構造118’は約1.6eVのバンドギャップを有することができ、第3のサブセル144の量子ドット構造118”は約2.2eVのバンドギャップを有することができる。
【0055】
加えて、バリア材料122の組成は、サブセル128、136、144の間のバリアを形成しながら、量子ドット構造118の間の有効バンドギャップを維持するように選択することができる。非限定的な例として示すと、バリア材料122が窒化インジウムガリウムを含む場合、バリア材料122の有効バンドギャップは、バリア材料中のインジウムの原子百分率を低下させることによってかなり増大させることができる。窒化インジウムガリウムバリア材料122へのインジウムの混合は、当技術分野で知られている方法を用い、かなりの高温において窒化インジウムガリウムバリア材料122を堆積することによってかなり低減させることができる。サブセル128、136、144のそれぞれが形成されるとき、その堆積温度を以前に形成されたサブセルと比較して高めることができ、その結果、インジウム濃度が減少し、したがって、隣り合うサブセル128、136、144の吸収端が順次的に増大するようになる。
【0056】
図6に示されているこのような一例として、各サブセル128、136、144の量子ドット構造118の大きさは、電磁放射源との関係で順次に減少することができ、したがって、サブセルの有効バンドギャップは電磁放射源との関係で増大する。サブセル128、136、144のそれぞれの対応するバリア層122、122’、122”は、窒化インジウムガリウムを含むことができ、サブセルの有効バンドギャップは、前に説明したように堆積温度を高めることによって順次的にかなり増大させることができる。それぞれが異なる吸収端を有する所望の数のサブセル128、136、144を形成した後、最上部のサブセル(例えば、サブセル144)の上面131を覆って、半導体材料の別の層140を堆積することができる。半導体材料140は、例えば、III−窒化物材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、半導体材料の層140は、n型またはp型ドープされたIII−窒化物材料を含むことができる。非限定的な例として、半導体材料の層140は、マグネシウム(Mg)ドープされた窒化ガリウム、またはマグネシウムドープされた窒化インジウムガリウムを含むことができる。限定ではなく例として示すと、半導体材料の層114は、n型ドープされたIII−窒化物材料を含むことができ、半導体材料の別の層140は、p型ドープされたIII−窒化物材料を含むことができ、それによって、PIN光起電力ダイオードデバイス138が生成される。
【0057】
図6を引き続き参照すると、別の実施形態では、サブセル128、136、144のバンドギャップエネルギーを制御できる一方で、サブセル間の量子ドット構造118、118’、118”の平均の大きさは、量子ドット構造118、118’、118”の組成を変えることによって、ほぼ同様または同一のままになる。いくつかの実施形態では、サブセル128、136、144のそれぞれの量子ドット構造118のインジウム含有率は、サブセルが成長基板112からは遠くに、入射電磁源には近くに配置されているので、かなり減少しうる。限定ではなく例として示すと、量子ドット構造118、118’、118”およびバリア材料122、122’、122”の百分率インジウム含有率は、光起電力デバイスの上面に向かって減少しうる。あるいは、バリア材料122のインジウム含有率は一定のままとすることができ、一方、量子ドット構造118、118’、118”のインジウム含有率は、成長基板112から遠いほど、かつ入射電磁源に近いほど減少する。サブセル128、136、144それぞれの中の量子ドット構造118、118、118”およびバリア材料122、122’、122”の堆積温度を高めることによって、サブセル128、136、144のそれぞれのインジウム含有率を下にあるサブセルのインジウム含有率よりもかなり少なくすることができ、したがって、サブセル128、136、144のそれぞれの有効バンドギャップが、下にあるサブセルよりもかなり大きくなりうる。
【0058】
反転光起電力構造体
以下の諸実施形態は、反転光起電力構造体を生成するための構造および方法を含む。決して限定するのではなく説明としてのみ示すと、光起電力デバイス構造では、吸収構造、すなわちサブセルに関して、当たっている放射源(例えば、太陽放射)に最大有効吸収エネルギー(すなわち、最大有効バンドギャップ)が最も近くなっているのが一般的である。このような構成では、最上部の吸収構造で吸収されなかった放射は、前記構造を通して伝達し、下にある有効吸収エネルギー(すなわち低い有効バンドギャップ)の低い吸収構造で吸収することができる。このような構成では、当たっている放射をより高い割合で有効に電気エネルギーに変換することができる。反対の構成では、すなわち、当たっている放射に最小有効吸収エネルギーが隣接する場合では、光起電力デバイス構造体中の損失により、例えば熱の形で、当たっている放射がより高い割合で浪費されうる。
【0059】
完成した光起電力デバイス構造体内で所望の吸収構成をより効率的に生成するために、結晶吸収構造を反転して、すなわち最小有効吸収エネルギーがベース基板から最も離れた吸収構造と、最大有効吸収エネルギーがベース基板に最も近くにある吸収構造とを用いて、結晶吸収構造を成長させる必要がありうる。このような反転成長構成は、それぞれ異なる吸収構造を互いに整合させ、かつベース基板と整合させる成長パラメータまたは格子の故に効果的でありうる。
【0060】
反転結晶構造の完成時に、その構造を反転することが、入ってくる放射をより効率的に電気エネルギーに変換するのに有利な最終デバイスを生成するために必要になりうる。光起電力デバイス構造体の反転には、光起電力デバイス構造体の上面をキャリア基板に取り付けることが伴いうる。適切なキャリア基板への取付けの後に、最初のベース基板を取り除くことができ、それによって、当たっている太陽放射に光起電力デバイス構造体を露光することが可能になる。
【0061】
図7を参照すると、成長基板112の上にある半導体材料の層114が含まれる部分形成光起電力デバイス構造体110を、図1に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて製造することができる。非限定的な例として、半導体材料の層114は、p型ドープされたIII−窒化物材料を含むことができる。
【0062】
図8を参照すると、成長基板112に取り付けられた半導体材料の層114を含む部分形成光起電力デバイス構造体146の別の実施形態を、図1に関して説明した方法と実質的に同様または同一の方法を用いて製造することができる。成長基板112は、III−窒化物材料を成長させるのに適した同種基板または異種基板を含むことができ、半導体材料の層114は、図1に関して前に説明したように、半導体材料の単一のエピタキシャル層または複数のエピタキシャル層を含むことができる。
【0063】
成長基板112は、ベース材料113(図1)を含むことができ、また任意選択で、シャドーラインを用いて描かれた半導体材料の1つまたは複数の中間層115(図1)を含むことができ、これらは最終的に、半導体材料の層114とベース基板113の間に配置される。
【0064】
図8をなお参照すると、部分形成光起電力デバイス構造体146は第1のサブセル150を含むことができ、第1のサブセル150は、バリア材料122”によって取り囲まれた量子ドット構造118”を有する複数の吸収構造148A、148B、148Cを含むことが示されている。サブセル150は、前記の図2〜4に関して説明した方法とほぼ同様または同一の方法を用いて製造することができる。非限定的な例として示すと、量子ドット構造118”は窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)を含むことができる。次に、III−窒化物材料を含むバリア材料122”を量子ドット構造118”の上に、ある堆積温度で堆積することができる。複数の吸収構造148A、148B、148Cそれぞれの中の量子ドット構造118”は、同じ大きさになりうる。加えて、吸収構造148A、148B、148Cのそれぞれは、図4に関して論じたように、量子ドット構造118”およびバリア材料122”の平均の大きさおよび組成を制御することによって、所望の有効バンドギャップを有して形成することができる。例えば、量子ドット構造118”は、2.2eVの有効バンドギャップを有するように形成することができる。
【0065】
図9を参照すると、ベース基板112の上に複数のサブセル150、156を含む部分形成光起電力構造152が示されている。第2のサブセル156は、図2〜4に関して論じた方法と実質的に同様または同一の方法を用いて、第1のサブセル150の上に形成することができる。第2のサブセル156は、第1のサブセルの吸収構造148A、148B、148Cの吸収端と異なる電磁スペクトルの部分に対応する吸収端をそれぞれが有する、複数の吸収構造154A、154B、154Cを含むことができる。限定ではなく例として示すと、第1のサブセル150の量子ドット構造118”の大きさは、第2のサブセル156の量子ドット構造118’の大きさよりかなり小さくなりうる。サイズが増大された結果として、量子ドット構造118’の有効バンドギャップはかなり減少する。大きさを増した量子ドット構造118’を形成するために、第2のサブセル156の量子ドット構造118’は、第1のサブセル150の量子ドット構造118”が形成される温度よりも低い温度で形成されることがある。
【0066】
追加の実施形態では、サブセル150、156の有効バンドギャップは、サブセル間の量子ドット構造118”、118’の大きさを維持しながら、量子ドット構造118’の組成を変えることによって制御することができる。非限定的な例として、量子ドット構造118”、118’は、実質的に同様または同一の大きさを有することができ、かつ光起電力構造体のサブセル全体にわたって窒化インジウムガリウムを含むことができる。量子ドット構造118”、118’それぞれの、例えばインジウム含有率などの組成を変えて、各サブセルの所望の有効バンドギャップを得ることができる。
【0067】
複数の量子ドット構造のそれぞれの上に堆積されるバリア材料122”、122’を選択して、量子ドット構造118”、118’の有効バンドギャップとバリア材料122”、122’の有効バンドギャップとの間の所望の差を維持することができる。量子ドット構造118”、118’の有効バンドギャップが、量子ドット構造118”、118’の平均の大きさを増大させることによってかなり低減されているので、バリア材料122”、122’の有効バンドギャップは、バリア材料122”、122’のインジウム含有率を増大させることによって低減することができる。したがって、量子ドット構造118”、118’の有効バンドギャップとバリア材料122”、122’の有効バンドギャップとの間の差は、下にある第1のサブセル150などの構造の堆積温度と比較してかなり低下した温度でバリア材料122”、122’を堆積することによって維持することができる。低下した温度で第2のサブセル156のバリア材料122’を形成することによって、第1のサブセル150のバリア材料122”から第2のサブセル156のバリア材料122’へのインジウムの脱離がかなり低減され、またはなくなる。
【0068】
図10に示されるように、第3のサブセル162を第2のサブセル156の上に形成して部分形成光起電力構造体158を形成することができる。第3のサブセル162は、複数の吸収構造160A、160B、160Cを含むことができ、これらのそれぞれが、バリア材料122によって取り囲まれた複数の量子ドット構造118を含む。第3のサブセル162の各量子ドット構造118は、実質的に同様または同一の平均の大きさを有することができ、かつ第1のサブセル150および第2のサブセル156の量子ドット構造118”、118’の有効バンドギャップよりも小さい有効バンドギャップを有するように形成することができる。例えば、第3のサブセル162の量子ドット構造118は、約1.0eVの有効バンドギャップを有することができる。前に説明したように、量子ドット構造118の大きさは、吸収構造160A、160B、160Cのそれぞれが、電磁スペクトルの別の部分に対応する吸収端を含むように選択することができる。非限定的な例として示すと、第3のサブセルの吸収構造160A、160B、160Cの吸収端は、第1のサブセル150および第2のサブセル156と異なる電磁スペクトルの部分に対応することができる。バリア材料122は、図3に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて、各吸収構造156の量子ドット構造118の上に堆積することができる。第3のサブセル162のバリア材料122の有効バンドギャップは、バリア材料122の堆積温度を下げることによってかなり低減されて、バリア材料122中のインジウムの混合がかなり増加し、かつ上にある材料(すなわち、第1のサブセル150のバリア材料122”、および第2のサブセル156のバリア材料122’、および量子ドット構造118”、118’)からのインジウムの脱離がかなり低減し、またはなくなる。
【0069】
部分形成光起電力構造体158のサブセル150、156、162はそれぞれ、個々のサブセル150、156、162を形成するために用いられる堆積温度がサブセルごとにかなり低下するように形成されており、したがって、各サブセルは、下にあるサブセルと比較して増大されたインジウム含有率を有する。その結果、図10に示される各サブセル150、156、162の有効バンドギャップエネルギーは、ベース基板112に最も近い下部サブセル150で最高になり、上部サブセル162で、すなわちベース基板112から最も遠くで最低になる。対照的に、図10に示される各サブセル150、156、162のインジウム含有率は、ベース基板112に最も近い下部サブセル150で最低になり、上部サブセル162で、すなわちベース基板112から最も遠くで最高になる。
【0070】
サブセル形成中に堆積温度を低下させると、下にあるサブセルの脱離を防止する助けになり、それによって、下にある材料の組成の安定性が改善され、したがって、下にある吸収構造の有効バンドギャップが改善される。部分形成光起電力構造158は、効果的な太陽光デバイスとして動作するように反転させることができる。
【0071】
図10をなお参照すると、別の半導体材料の層140を部分形成光起電力構造体158の上部サブセル(すなわち、第3のサブセル162)の上に堆積することができる。限定ではなく例として示すと、半導体材料の層114は、p型ドープされた半導体材料を含むことができ、別の半導体材料の層140は、n型ドープされた半導体材料を含むことができる。
【0072】
各サブセル150、156、162、および付随する吸収構造148A〜C、154A〜C、160A〜Cは、光起電力デバイスに組み込まれるべきサブセルの数に応じて、電磁スペクトルの特定の部分を吸収するように形成することができる。それに応じて、理想的な吸収エネルギーが、したがって個々のサブセルの有効バンドギャップが異なりうる。非限定的な例として、サブセル150、156、162のそれぞれの有効バンドギャップは、各サブセル内の量子ドット構造118”、118’、118の大きさを変えることによって制御することができる。いくつかの実施形態では、量子ドット構造118”、118’、118の大きさがサブセルごとに異なるのに対して、個々のサブセル150、156、162の中では、これらの大きさが維持される。図10に示されるこのような一例として、サブセル150、156、162のそれぞれの量子ドット構造118”、118’、118のサイズは、電磁放射源に対するサブセルの近さと関連して順次的に増大しうる。別の実施形態では、複数のサブセル150、156、162のそれぞれの量子ドット構造118”、118’、118の物理的サイズは一定のままにとどめることができ、量子ドット構造118”、118’、118の組成を変えて所望の有効バンドギャップにすることができる。図を簡単にするために、部分形成光起電力構造体158は、3つの吸収構造をそれぞれが含む3つのサブセルを含めて示されている。しかし、部分形成光起電力構造体158は、本明細書で説明されている方法を用い、任意の数の吸収構造をそれぞれが含む、任意の数のサブセルを含むように形成することができる。
【0073】
図11を参照すると、部分形成光起電力構造体164が、図10に示された構造の半導体材料140に取り付けられた接合基板166を含めて示されている。中間光起電力デバイス164を製造するために、図10の構造体が反転され、当技術分野で知られている方法を用いて、接合基板166に取り付けられる。その結果、バンドギャップエネルギーもまた反転されて、最高有効バンドギャップエネルギーサブセルが、入ってくる電磁放射に最も近く配置されることになる。しかし、ベース基板112は、入ってくる太陽放射をサブセルが吸収することを妨げる可能性がある。いくつかの実施形態では、ベース基板112が中間構造164から除去され、それによって、図12に示された、太陽放射を電気エネルギーに変換できる光起電力デバイス168が形成される。ベース基板112は、イオン注入、エッチング、リフトオフ、研磨、およびレーザリフトオフなどの知られている方法によって除去することができる。このような非限定的な一例として、ベース基板112は、例えばBruelの特許文献7、Asparらの特許文献8、Asparらの特許文献9、Moriceauらの特許文献10、Asparらの特許文献11、Asparらの特許文献12に詳細に記載されているスマートカット法により分離することができる。
【0074】
例えば、上述の本発明の方法の実施形態を用いて、吸収構造を、窒化ガリウムバリア材料によって取り囲まれた複数の窒化インジウム量子ドット構造を含むように形成することができる。窒化ガリウム(GaN)材料は、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)法を用いて、サファイア基板を約1170℃の温度でアンモニアおよびトリメチルガリウムにさらすことによって、サファイア基板の上に形成することができる。GaN材料の成長の後、その上に窒化インジウム(InN)量子ドット構造。量子ドット構造は、窒化ガリウムを約520℃の温度でトリメチルインジウムおよびアンモニアに約10秒から60秒さらすことによって成長させることができる。量子ドットは、約1×1012cm-2の密度、約10nmの平均高さ、および約10nmの平均幅を有することができる。
【0075】
InN量子ドットの形成の後、量子ドットの上にGaNのバリア材料を堆積することができる。この例では、GaNは、トリメチルガリウム前駆体を使用して、量子ドットと同じ温度で堆積することができる。あるいは、トリメチルガリウムはまた、バリア材料の前駆体として使用することもできる。本明細書で説明されているように、複数のサブセルは、上記の原理により製造することができる。
【0076】
本発明の諸実施形態を本明細書では主として、窒化インジウムガリウムを含む半導体材料の層114、140に関して説明したが、本発明はそのように限定されず、また本発明の諸実施形態を用いて、他のIII−窒化物材料を含む半導体材料の層、他のIII−V型半導体材料の層、または他の半導体材料の層(例えば、II−VI型半導体材料の層、シリコンの層、およびゲルマニウムの層など)を形成することができる。加えて、本発明の諸実施形態を本明細書では主として3つのサブセルにより説明したが、本発明はそのように限定されず、本発明の諸実施形態で含むサブセルは、もっと多くすることも少なくすることもできる。
【0077】
本発明を本明細書では、特定の好ましい実施形態に関して説明したが、本発明がそのように限定されないことを当業者は認識および理解されよう。むしろ、好ましい実施形態に対し多くの追加、削除および修正を行うことが、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく可能である。加えて、1つの実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴と組み合わせることができる一方で、本発明者によって企図された本発明の範囲内に依然として包含されている。
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2009年7月20日出願の米国特許仮出願第61/227,006号明細書、「Methods of Fabricating Semiconductor Structures and Devices Using Quantum DOT Structures and Related Structures」の出願日の利益を主張する。
【0002】
本発明は一般に、量子ドット構造を含む光起電力デバイスなどの半導体構造体または半導体デバイスの製造に関し、より具体的には、異なる有効バンドギャップを有する複数の吸収構造を含む中間構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽エネルギーは、代替電気エネルギー源になりうる豊富な資源である。しかし、太陽エネルギーは、経済的に集め、貯蔵し、輸送することに問題がありうる。太陽エネルギーを集め、利用する方法の1つは、太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換する光起電力セルによるものである。このエネルギー変換は、半導体材料中のi型(真性)、n型およびp型の伝導領域を利用して行われ、それによって、電子−ホール対が半導体材料中に形成されるときに発生する光起電力電位および光電流を生成することができる。これらの電子−ホール対は、光起電力セル内の衝突光子に対する反応として形成される。
【0004】
半導体によって吸収されるエネルギーは、その特性バンドギャップによって決まる。半導体材料の「バンドギャップエネルギー」は、外郭電子をその原子核のまわりの軌道から自由状態に解放するのに必要なエネルギー量で定義される。半導体では、電子が価電子帯から半導体伝導帯まで励起されるのに必要なエネルギーは、2つのバンド間の分離(すなわちバンドギャップ)に基づいて異なる。材料が異なると特性バンドギャップエネルギーが異なりうる。バンドギャップエンジニアリングは、ある材料のバンドギャップを制御または変更する方法である。従来のシリコンベースの、光起電力セル(PV)に使用される半導体材料は、約1.1eVのバンドギャップエネルギーを有するが、これはすなわち、光子領域のおよそ0.4eVから4.0eVの使用可能エネルギーを持つ広帯域の太陽放射スペクトルのほんの一部しかカバーしていない。
【0005】
エネルギーが半導体のバンドギャップより下にある光は吸収されず、電力に変換されない。エネルギーが半導体のバンドギャップより上にある光は吸収されるが、生成された電子−ホール対は、そのバンドギャップより上の過剰エネルギーを熱の形で早く失う。したがって、このエネルギーは電力への変換には利用できない。
【0006】
したがって、光起電力セルでのエネルギーの吸収および変換を最大にするために、多層、多接合、または多サブセルの光起電力デバイスが開発されてきた。これらの多サブセルデバイスでは、より広いスペクトルの太陽エネルギーを吸収できるように、異なる特性バンドギャップエネルギーを有する様々な材料を利用する。
【0007】
多サブセル光起電力デバイスは従来から、垂直積層方向に半導体材料の多数の層(すなわちサブセル)を含む。各サブセルは、異なる材料の別の層とは異なる太陽エネルギー帯域または波長域を吸収し変換するように設計されている。放射エネルギーに最初に露光されるサブセルは、一般に最も高いバンドギャップエネルギーを有し、その下に配置されたサブセルは、それに対応する小さいバンドギャップエネルギーを有する。この構成の結果、1つのサブセル(すなわち、基準面)で吸収されないエネルギーは、そのデバイスの別のサブセルに伝達され、そこで変換されて、広いスペクトルの太陽エネルギーを電力に変換することが可能になる。
【0008】
しかし、このタイプの多接合光起電力デバイスは、ヘテロエピタキシャル成長によっていくつかの異種の材料を格子整合する能力に限界がある。隣り合うサブセルの間の格子不整合により、歪みおよび転位が生じることになり、そのため光起電力デバイスの総合効率が低下する。通常、光起電力デバイスに使用できる材料は、格子不整合の問題のために厳しく限定される。この問題を克服し、光起電力セル効率を向上させる試みは、例えば、Freundlichの特許文献1、およびFreundlichらの特許文献2に記載されており、1つまたは複数の量子井戸を含む光起電力セルが開示されている。加えて、Kurtzらの特許文献3では、エネルギー変換を改善するためのヒ化窒化インジウムガリウム(InGaAsN)/ヒ化ガリウム(GaAs)半導体p−nヘテロ接合を含む多接合太陽電池が開示されている。
【0009】
光起電力セルの効率を高める上で興味のある別の領域は、量子ドット(QD)を使用することに関連する。量子ドットのバンドギャップエネルギーは、その組成による影響だけでなく、その大きさを変えることによる影響も受ける。量子ドットは、光起電力デバイスに組み入れられてきた。例えば、Fafardの2005年1月21日出願の特許文献4(2005年7月21日公開の特許文献5)では、複数のサブセルを含む太陽光発電セルで、そのサブセルの少なくとも1つがエピタキシャル成長自己集合量子ドット材料を含むものを開示している。ゲルマニウム(Ge)下部サブセルがゲルマニウム基板上に成長され、ヒ化ガリウム中間サブセルと、ガリウムインジウムリン(GaInP)またはアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)の上部サブセルとが直列に接続される。太陽光発電セルの効率は、中間サブセルにバルクヒ化ガリウム材料ではなく自己集合量子ドット材料を使用することによって改善される。
【0010】
光起電力デバイスでは、広いスペクトルの太陽エネルギーを吸収する能力を得るために、異種の諸材料を利用する。しかし、異種の材料は、結晶特性が悪くなり太陽電池の効率が制限されることになる格子不整合の問題を引き起こす。したがって、吸収されるエネルギーの複数の波長で光起電力を生成できるいくつかのサブセル要素がある光起電力デバイスを、高品質の結晶を維持しながら形成する方法を提供することは、当技術分野の進歩になるはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,372,980号明細書
【特許文献2】米国特許第5,851,310号明細書
【特許文献3】米国特許第6,252,287号明細書
【特許文献4】米国特許出願第11/038,230号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0155641 A1号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0137698号明細書
【特許文献7】米国特許第RE39,484号明細書
【特許文献8】米国特許第6,303,468第号明細書
【特許文献9】米国特許第6,335,258号明細書
【特許文献10】米国特許第6,756,286号明細書
【特許文献11】米国特許第6,809,044号明細書
【特許文献12】米国特許第6,946,365号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Adelmann et al, "Growth and Optical Characterization of LiGaN QDs Resulting from 2D-3D Transition," Phys. Stat. Sol. (a), (176):639-642
【非特許文献2】Tanaka et al., "Fabrication of Self- Assembling GaN Quantum Dots on AlxGa1-xN Surfaces Using a Surfactant," App. Phys. Lett., 69:4096 (1996)
【非特許文献3】Choi et al., "Fabrication of InGaN Quantum Dots by Periodically Interrupted Growth in MOCVD," Proceedings of the SPEE, v. 6831, pp. 683119 (2008)
【発明の概要】
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、半導体構造体または半導体デバイスを形成する方法を含む。この方法は、半導体材料の層を基板の上に堆積するステップと、この半導体材料の層の上に、少なくとも1つの構造を含むサブセルを形成し、バリア材料の上に少なくとも1つの別のサブセルを形成するステップとを含むことができる。この少なくとも1つの構造体は、バリア材料によって少なくとも部分的に取り囲まれた複数の量子ドットを含むことができる。少なくとも1つの別のサブセルは、別のバリア材料で取り囲まれた別の複数の量子ドット構造を含むことができる。別のバリア材料は、下にあるサブセルのバリア材料よりもかなり低い有効バンドギャップを有することができる。
【0014】
本発明は、半導体構造体または半導体デバイスを形成する方法の追加の実施形態を含む。このような方法は、ベース基板の上に半導体材料の少なくとも1つの層を堆積するステップと、この半導体材料の少なくとも1つの層の上に少なくとも1つの吸収構造を製造して、サブセルを形成するステップと、少なくとも1つの吸収構造の上に少なくとも1つの別の吸収構造を形成して、別のサブセルを形成するステップとを含むことができる。このサブセルは、第1の温度で、窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを半導体材料の少なくとも1つの層の上に成長させ、窒化インジウムガリウムを含むバリア材料を、複数の量子ドットを覆うとともに少なくとも部分的に取り囲んで堆積することによって形成でき、一方、別のサブセルは、第1の温度と異なる第2の温度で、窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを少なくとも1つの吸収構造のバリア材料の上に成長させ、窒化インジウムガリウムを含む別のバリア材料を、複数の量子ドットを覆うとともに少なくとも部分的に取り囲んで堆積することによって形成することができる。
【0015】
さらに別の実施形態では、本発明は光起電力構造体を含み、この構造体は、基板上の半導体材料の第1の層の上にある積層構成の形で複数のサブセルを含む。複数のサブセルのそれぞれは、隣り合うサブセルよりも低い有効バンドギャップを有することができ、かつ少なくとも1つの吸収構造を含むことができる。半導体材料の第2の層は、複数のサブセルの上面を覆って配置することができ、第1の半導体材料と異なる材料を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書は、具体的に指し示し明瞭に特許請求している特許請求の範囲とともに、どれが本発明とみなされるかを結論付けているが、本発明の利点は、添付の図面を併せ読めば、本発明の説明からより容易に確認することができるであろう。
【0017】
【図1】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にある半導体材料の少なくとも一層を含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図2】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にある半導体材料の層の上に複数の量子ドット構造を含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図3】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、図2に示される複数の量子ドット構造を密閉するバリア材料からなる吸収構造を含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図4】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にあるサブセルを形成する複数の垂直に積層された吸収構造を含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図5】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にある複数のサブセルを含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図6】本発明の方法の実施形態の間に生成することができ、別の複数のサブセルの上にある半導体材料の別の層を含む、別の部分形成構造体の簡略断面図である。
【図7】本発明の方法の実施形態の間に形成することができ、成長基板の上にある半導体材料の少なくとも一層を含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図8】本発明の方法の実施形態の間に生成することができ、複数の吸収構造を含むサブセルを含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図9】本発明の方法の実施形態の間に生成することができ、最も高い有効バンドギャップを有するベース基板に隣接する複数のサブセルを含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図10】本発明の方法の実施形態の間に生成することができ、基板上の半導体材料の層の上にあり、第2の半導体材料の下に配置された複数のサブセルを含む、部分形成構造体の簡略断面図である。
【図11】図10の部分形成構造体に接合基板が、反転された構造の上で第2の半導体材料に付着して取り付けられていることを示す図である。
【図12】図8〜11に示すように形成された光起電力デバイスの、ベース基板を第1の半導体材料から層剥離した後の簡略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で提示される説明は、何か特定の材料、装置、システム、または方法の実際の概観を示すのではなく、単に理想化して表現されたものであり、本発明を説明するために用いられている。加えて、各図の間で共通の要素は、同じ数字表示を保持しうる。
【0019】
本明細書で、「上部」および「下部」という語は、ベースまたは成長基板に対する位置を指す。「上部」という語は基板と離れた位置を指し、「下部」という語は基板に近いことを示す。
【0020】
本明細書では、「有効バンドギャップ」という語は、光子が材料に吸収される可能性があり、かつ光子がヘテロ構造(すなわち、量子ドット構造およびバリア材料)の量子化エネルギーレベルによって選択される最低エネルギー遷移を意味し含む。
【0021】
本明細書では、「吸収端」という語は、吸収が急激な値の低下を示す波長値を意味し含む。
【0022】
本明細書では、「III型半導体材料」という語は、周期表のIIIA族(B、Al、Ga、In、およびTi)の1つまたは複数の元素から主として構成される任意の材料を意味し含む。
【0023】
本明細書では、「III−窒化材料」という語は、窒素と、周期表のIII族の例えば、通常はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)および/またはインジウム(In)などの1つまたは複数の元素とから実質的に構成される任意の材料を意味し含む。
【0024】
本明細書では、「III−V型半導体材料」という語は、周期表のIIIA族(B、Al、Ga、In、およびTl)の1つまたは複数の元素と、周期表のVA族(N、P、As、Sb、およびBi)の1つまたは複数の元素とから主として構成される任意の材料を意味し含む。
【0025】
本明細書では、「ドーパント」または「ドーピング剤」という語は、自由電荷キャリアの数を増やすために半導体格子の中に付加される原子を意味し含む。さらに「n型」ドーパントは、電子ドナーとして作用しGe、Si、Oなどの原子を含む作用物を意味し、「p型」ドーパントは、電子アクセプタとして作用しMg、Ca、Be、Cなどの原子を含む作用物を意味する。
【0026】
本明細書で「加工基板」という語は、その広義では、材料の2つ以上の層からなる任意の基板で、その上に1つまたは複数の半導体デバイスを製造する基板として使用するための基板を意味し含む。加工基板には、例えば半導体オンインシュレータ型基板が含まれる。
【0027】
本明細書では、「材料のエピタキシャル層」という語は、材料の層で、その材料の少なくとも実質的に単結晶であり、その単結晶が既知の結晶方位を呈示するように形成されている材料の層を意味する。
【0028】
本明細書では、「格子歪み」という語は、材料の層に関して用いられる場合、材料の層の面に少なくとも実質的に平行な方向の結晶格子の歪みを意味する。
【0029】
他の層または基板の「上(on)」または「上方(over)」にあると言われる層は、その層または基板と直に接触して配置されていることがあり、あるいは、その層または基板の上にある介在層の上に配置されていることがあると理解されたい。また、ある層が他の層または基板の「上」または「上方」にあると言われる場合、その層は、他の層もしくは基板の全体、または他の層もしくは基板の一部分を覆っていることがあると理解されたい。
【0030】
本発明の実施形態は、広いスペクトルの太陽エネルギーを吸収し電気エネルギーに変換できるように有効バンドギャップエネルギーの程度が選択された太陽電池または光起電力デバイスの製造を容易にする方法および構造体を含む。このような有効バンドギャップ特性を含む光起電力デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を、図1から12を参照して以下で説明する。
【0031】
本発明の実施形態は、非反転および反転光起電力構造体を含むことができ、図1〜6は、非反転光起電力構造体に関連する実施形態を対象とし、図6〜12は、反転光起電力構造体に関連する実施形態を対象としている。本明細書で、見出しは分かりやすくするためだけに用いられており、何も限定するものではない。いくつかの参照文献が引用される。さらに、上記でどのように示されているかにかかわらず、引用文献のどれも、本明細書で特許請求される主題の本発明に対する先行技術とは認められない。
【0032】
非反転光起電力構造体
図1を参照すると、部分形成光起電力デバイス構造体110を製造することができ、この構造体は、成長基板112の上にある半導体材料の層114を含む。半導体材料の層114は、その上に半導体材料の1つまたは複数の層を光起電力デバイスの製造の一部として形成するためのシード層を含む。いくつかの実施形態では、半導体材料の層114は、半導体材料の単一のエピタキシャル層または複数のエピタキシャル層を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、半導体材料の層114は、III−V型半導体材料のドープされたエピタキシャル層を含むことができる。非限定的な例として示すと、半導体材料の層114は、窒化ガリウム(GaN)の少なくとも1つのエピタキシャル層と、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)のエピタキシャル層とを含むことができる。いくつかの実施形態では、半導体材料の層114は、シリコンn型ドープ窒化ガリウムまたは窒化インジウムガリウムなどのn型材料またはp型材料を含む。非限定的な例として、半導体材料の層は、約12.5%よりも高いインジウム濃度を有することができる。
【0033】
成長基板112は、III−窒化物材料を成長させるのに適した同種基板または異種基板を含むことができる。具体的な非限定的例として、成長基板112は、よく「サファイア」と呼ばれる酸化アルミニウム(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、GaNオンサファイア、窒化インジウムガリウム(InGaN)、InGaNオンサファイア、石英(SiO2)、ヒ化ガリウム(GaAs)、溶融石英(SiO2)ガラス、ガラス−セラミック複合材料(例えば、ペンシルベニア、DuryeaのSchott North America, Inc.からZERODUR(登録商標)の商標で販売されているものなど)、または溶融石英ガラス複合材料(例えば、SiO2−TiO2またはCu2−Al2O3−SiO2など)を含むことができる。
【0034】
図1を引き続き参照すると、成長基板112はベース材料113を含み、また任意選択で、シャドーラインを用いて描かれた半導体材料の1つまたは複数の中間層115を含み、これらは最終的に、半導体材料の層114と成長基板112の間に配置される。材料のこのような中間層115は、例えば、圧縮歪みまたは引っ張り歪みの程度を低減させるためのシード層として、成長基板112のベース材料113の上に直に半導体材料の層114を形成することが困難または不可能である場合に使用することができる。図は原寸に比例して示されていなく、実際には、半導体材料の中間層115および半導体材料の層114は、成長基板112のベース材料113の厚さに対して相対的に薄いことがある。
【0035】
限定ではなく例として示すと、部分形成構造体110は、成長基板112のベース材料113の上に形成された半導体材料の単一の中間層115を含むことができ、半導体材料の層114は、半導体材料の単一の中間層115の上に形成することができる。半導体材料の中間層115は、例えばIII−V型半導体材料などの半導体材料の1つまたは複数の層を含むことができ、その上の半導体材料の追加層がエピタキシャル成長するのに十分な厚さを有するように形成することができる。いくつかの実施形態では、半導体材料の層114は、n型またはp型ドープされた半導体材料を含むことができる。非限定的な例として、半導体材料の中間層115は、ドープされた半導体材料が積み重なった層などのトンネル接合構造を含むことができる。加えて、半導体材料の中間層115は、分離材料の層または伝導性材料の層を含むことができるが、その諸例は当業者に知られており、本明細書では詳細に説明しない。半導体材料の中間層115は、例えば、ハイブリッド気相エピタキシ(HVPE)、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)、および分子ビームエピタキシ(MBE)など、当業者に知られている様々な方法を用いて成長させることができる。加えて、半導体材料の中間層115を形成する際に、例えば、ELO(epitaxial lateral over−growth)、FIELO(facet−initiated epitaxial lateral over−growth)、in−situマスキング、およびウェハボンディングなどの様々な方法を用いて、中間層中の転位密度を低減させることができる。
【0036】
図1に示される部分形成光起電力構造体110を形成するために、半導体材料の1つまたは複数の中間層115をベース材料113の主面上にエピタキシャル成長させること、または他の方法で形成することができ、その後、半導体材料の1つまたは複数の中間層115の上に半導体材料の層114をエピタキシャル成長させること、または他の方法で形成することができる。別の実施形態では、半導体材料の層114は、半導体材料の中間層115を全く含まずに、ベース材料113上に直にエピタキシャル成長させること、または他の方法で形成することができる。
【0037】
図2を参照すると、ドープされた半導体材料114上に複数の量子ドット構造118を形成して、部分形成光起電力デバイス構造体116を形成することができる。複数の量子ドット構造118は、例えば、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)または窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1−xN)などのIII−窒化物材料を含むことができる。量子ドット構造118を形成する際は、当業者に知られている様々な方法を用いることができる。具体的な非限定的例として、量子ドット構造118は、よく「層プラスアイランド成長」と呼ばれるStranski−Krastanow(S−K)成長モード(非特許文献1に詳細に記載されているものなど)を用いて形成することができる。このようなStranski−Krastanow(S−K)成長モードは、例えば、プラズマ利用分子ビームエピタキシ(PA−MBE)法もしくはMBE法、またはMOCVD法を用いてGaNの歪み層を形成するステップを含むことができ、その後、三次元構造が形成される再編成(すなわち、歪み緩和)が続く。
【0038】
追加の実施形態では、量子ドット構造118は、非特許文献2に詳細に記載されているものなどの方法を利用し、界面活性剤または反界面活性剤を使用して形成することができる。具体的には、量子ドット構造118は、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)層などのIII−窒化物材料の第1の層の表面に、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)法を用いて製造することができる。自己集合量子ドット構造118を形成するには、III−窒化物材料の第1の層の表面に、窒化ガリウム層、または第1の層と異なるインジウム組成物を有する窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)などのIII−窒化物材料の第2の層を形成でき、「界面活性剤」を使用することによって三次元モードに修正することができる。何か特定の理論に拘束されることを望むものではないが、界面活性剤は、III−窒化物材料の第2の層がIII−窒化物材料の第1の層の表面を表面自由エネルギーの変化により濡らすことを抑制すると考えられる。
【0039】
別の実施形態では、量子ドット構造118は、III型金属のナノ小滴の堆積を用い、その後にナノ小滴の窒化および選択的成長法を続けることで形成することができる。加えて、量子ドット構造118は、窒化インジウムガリウムなどのIII−窒化物材料の薄いエピタキシャル層を約400℃から約1000℃の間の温度において分子窒素中でアニーリングすることによって形成することができる。量子ドット構造118はまた、中断成長モード(例えば、非特許文献3に開示されているものなど)を用いて形成することもできる。量子ドット構造118は、前駆体としてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、およびアンモニア(NH3)を使用し、キャリアガスとしてN2またはH2を使用する有機金属気相成長(MOCVD)法によって形成することができる。
【0040】
当技術分野で知られているように、量子ドット構造118の量子化エネルギーおよび有効バンドギャップエネルギーは、量子ドット構造118の組成、大きさ、および構成を変えることによって制御することができる。いくつかの実施形態では、有効バンドギャップエネルギーは、量子ドット構造118を100nm未満の平均直径、および25nm未満の平均高さを有するように成長させることによって制御することができる。非限定的な例として、量子ドット構造118の初期成長温度を調整して、量子ドット構造118の形状および組成を制御することができる。例えば、量子ドット構造118の初期成長温度は、約400℃から約1000℃の間に調整することができる。加えて、量子ドット構造118の大きさおよび組成は、量子ドット構造118の成長の継続時間によって制御することができ、例えば、約15秒と約120秒の間の成長継続時間を用いることができる。さらに、量子ドット構造118の大きさおよび組成は、形成中の前駆体ガスの分圧を変えることによって制御することができる。半導体材料の層114の表面に形成された、または半導体材料の中間層115があればその表面に形成された量子ドット構造118は、ほぼ同じまたは同様の大きさを備えることができる。別の実施形態では、有効バンドギャップエネルギーは、例えば、ドット118のパーセントインジウム含有率を変えることによって制御される。量子ドット構造118は、約0.7eVから約3.4eVの範囲のバンドギャップエネルギーを有することができる。非限定的な例として、量子ドット構造118は、約1.0eVの有効バンドギャップエネルギーを有することができる。
【0041】
図3を参照すると、バリア材料122を量子ドット構造118の上に形成して、吸収構造124を含む部分形成光起電力デバイス構造体120を形成することができる。非限定的な例として、バリア材料122は、量子ドット構造118の露出面を取り囲むように、または密閉するように堆積することができる。バリア材料122は、半導体材料の層114の主面に対向する、または半導体材料の中間層115があればその主面に対向する、量子ドット構造118のそれぞれの表面を実質的に覆うのに十分な厚さを有することができる。非限定的な具体的な一例として、バリア材料122は、約50nm未満の厚さ、より具体的には約20nmと約40nmの間の厚さを有することができる。
【0042】
バリア材料122は、量子ドット構造118と比較して有効バンドギャップがかなり高められた材料を含むことができる。限定ではなく例として示すと、バリア材料122は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1-xN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)などのIII−窒化物材料、および他の2元または3元のIII−窒化物を含むことができる。いくつかの実施形態では、バリア材料122は、量子ドット構造118と比較してかなり減少したインジウム含有率を有することができ、その結果、バリア材料122の有効バンドギャップは、それが取り囲む量子ドット構造118の有効バンドギャップよりも大きくなる。さらに、3元の窒化インジウムガリウム中へのインジウムの混合が少なくとも一部には堆積温度に依存するので、量子ドット構造118の堆積温度とバリア材料122の堆積温度との差を200℃未満とすることがある。この堆積温度の差を維持して、量子ドット構造118からの諸成分の脱離を実質的に防止することができる。例えば、窒化インジウムガリウム材料の温度をその堆積温度を超えて高めると、その材料からの脱離が生じうることが当技術分野で知られている。さらに、窒化インジウムガリウム量子ドット構造からインジウムが脱離することにより、量子ドット構造の組成が変化することがあり、したがって、量子ドット構造の有効バンドギャップが変化することになりうる。
【0043】
別の実施形態では、バリア材料122の形成時の温度を量子ドット構造118の過成長中に変化させて、量子ドット構造118のサイズおよび組成をさらに制御することができる。例えば、バリア材料122の形成時に成長温度が変化すると、量子ドット構造118からの脱離が減少し、ドット構造の大きさが制御され、バリア材料122の結晶特性が向上することになりうる。
【0044】
非限定的な例として、バリア材料122形成時の成長温度の変化は、量子ドット構造に隣接するバリア材料の一部分を形成するための初期成長温度と、量子ドット構造118からもっと離れているバリア材料の残り部分のための次の成長温度を含むことがある。例えば、量子ドット構造118に隣接するバリア材料の一部分を形成するための初期成長温度は、量子ドット構造を成長させるのに用いられる温度とほぼ等しくすることができる。バリア材料の成長が継続するにつれて成長温度を高めることができ、バリア材料122の厚さが増大するにつれて成長温度がこのように上昇することが、バリア材料122の結晶特性を改善する助けになりうる。
【0045】
本発明の別の実施形態では、バリア材料の一部分が、量子ドット構造118を形成するのに使用される温度とほぼ等しい初期成長温度で成長することができ、次に成長は、量子ドット構造がバリア材料122によって密封されるときまで初期成長温度で継続することができる。バリア材料122で量子ドット構造118の密閉することにより、バリア層の成長温度を高めてバリア材料の結晶特性をより改善することができ、または量子ドット構造を密閉することにより成長を停止させ、結晶特性を維持するのに適したガス雰囲気中でリアクタの温度を高めることができ、例えばアンモニア(NH3)を導入してIII−窒化物材料の特性を維持することができる。所望の次の成長温度に達すると、バリア材料122の残り部分を成長させることができる。
【0046】
さらに別の実施形態では、量子ドット構造118の諸特性を、例えば、前駆体ガスの分圧、基板の選択および成長速度を変えることによって修正することができ、このようにして吸収構造124の有効バンドギャップエネルギーを制御することができる。
【0047】
図4を参照すると、任意選択でp型またはn型原子でドープされた半導体材料114と、その上に形成された第1のサブセル128とを有する成長基板112を含む、部分形成光起電力デバイス構造体126を製造することができる。第1のサブセル128は、半導体材料114を覆って積層構成の形で次々に上に配置された複数の吸収構造124A、124B、124Cを含むことができる。第1のサブセル128の内部で、各吸収構造124A、124B、124Cは、図2および図3に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて製造することができる。例えば、第1の吸収構造124Aは、図3に関して説明したように、量子ドット構造118の層を初期温度で成長させ、その後に量子ドット118の周りにバリア材料122を異なる温度で堆積させることによって形成することができる。
【0048】
第1の吸収構造124Aの形成に続いて、第1の吸収構造124Aのバリア材料122の上面に複数の吸収構造124B、124Cを製造して、第1のサブセル128を形成することができる。サブセル内の吸収構造の数は、吸収されるべき電磁放射に基づいて選択することができる。例えば、光起電力構造体126内の吸収構造124A、124B、124Cのそれぞれの厚さを増大させ、吸収構造124A、124B、124Cの数を増加することによって、電磁放射を吸収する確率を高めることができる。したがって、吸収構造124A、124B、124Cの数は、入ってくる電磁放射の吸収深さに基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、所与のサブセル内の吸収構造124A、124B、124Cは、ほぼ同じ構成を有することができる。非限定的な一例として、吸収構造124Aの量子ドット構造118のそれぞれは、吸収構造124Bおよび124Cの量子ドット構造118のそれぞれとほぼ同じ全体サイズおよび組成を有することができる。あるいは、吸収構造124Aの量子ドット構造118のそれぞれは、吸収構造124Bおよび124Cの量子ドット構造118のそれぞれと比較してかなり異なるサイズおよび組成を有することもできる。
【0049】
引き続き図4を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のサブセル128内の吸収構造124A、124B、124Cの各量子ドット構造118は、互いにほぼ一直線上にありうる。量子ドット構造118の整列は、下にある吸収構造124内の、量子ドット構造118の材料とバリア材料122の間の格子不整合の結果として存在する歪みによって、当技術分野で知られている製造方法を用いて生じさせることができる。すなわち、バリア材料122の格子パラメータを選択的に調整することによって、上にある吸収構造124B、124Cの一部を形成するバリア材料122と量子ドット構造118との間の格子不整合は、次の吸収構造124B、124C内の次の量子ドット構造118の整列を促進するのに利用することができる。その結果、本発明の諸実施形態では、吸収構造124A、124B、124Cのそれぞれにおいてほぼ一直線上にある量子ドット構造118の製造を可能にすることができ、これにより光起電力デバイス構造体126の効率がかなり向上しうる。
【0050】
量子ドット構造118のそれぞれの平均の大きさは、所望の有効バンドギャップを有するように選択することができる。量子ドット構造118それぞれの有効バンドギャップは、量子ドット構造118の平均直径を減少させることによってかなり増大させることができる。例えば、サブセル128内の量子ドット構造118の平均の大きさは、約0.7eVと約6.2eVの間、より具体的には約0.7eVから約4eVの吸収エネルギー(すなわち、有効バンドギャップ)を有するように形成することができる。量子ドット構造118のそれぞれの有効バンドギャップはさらに、光起電力デバイス中に組み込まれるべきサブセルの数に基づいて選択することができ、理想的な吸収エネルギー、したがって個々のサブセルの有効バンドギャップエネルギーは、下の表1に応じて変化しうる。この表は、理想的な条件のもとで求められた、1つまたは複数のサブセルを含む光起電力構造体の計算された効率を示す。このような条件は、例えば、Wanlassらの特許文献6に詳細に記載されている。
【0051】
【表1】
【0052】
図5を参照すると、別の部分形成光起電力構造体130が示されており、これは、第1のサブセル128のバリア材料122の上に形成された第2のサブセル136を有する。サブセル136は、例えば、複数の吸収構造134A、134B、および134Cを含むことができ、これらのそれぞれが複数の量子ドット構造118’の上にあるバリア材料122’を含み、図2または図3に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて形成することができる。いくつかの実施形態では、吸収構造134A、134B、および134Cのそれぞれの量子ドット構造118’は、ほぼ同じ平均の大きさで形成して、図5に示された部分形成光起電力構造体130を形成することができる。他の実施形態では、吸収構造134A、134B、および134Cのそれぞれの量子ドット構造118’は、それぞれ異なる平均の大きさで形成することができる。量子ドット構造118’の平均の大きさは、図4に関して説明した所望の有効バンドギャップを有するように選択することができる。非限定的な例として、量子ドット構造118’は、その有効バンドギャップが約0.7eVと約4eVの間になるように、または特定の実施形態では、およそ1.6eVの有効バンドギャップになるように形成することができる。バリア材料122’は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1-xN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)などのIII−窒化物材料、および他の2元または3元のIII−窒化物を含むことができ、図3に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて形成することができる。バリア材料122’は、第1のサブセル128のバリア材料122のインジウム含有率よりもかなり少ないインジウム含有率を有することができ、したがって、バリア材料122よりもかなり大きい有効バンドギャップを有することができる。このようなバリア材料122’を形成するために、第2のサブセル136のバリア材料122’は、第1のサブセル128のバリア材料122の堆積温度よりも高い温度で堆積されることがある。前に論じたように、バリア材料122’第2のサブセル136の堆積温度は、第1のサブセル128のバリア材料122の堆積温度を約200℃以上超えない温度に維持して、量子ドット構造118および118’からのインジウムの脱離を防止することができる。
【0053】
図6を参照すると、第3のサブセル144を第2のサブセル136の上に形成して、成長基板112の上にある複数のサブセル128、136、144を有する部分形成光起電力構造体138を形成することができる。第3のサブセル144は、複数の量子ドット構造118”と、量子ドット構造118”のそれぞれを覆うとともに少なくとも部分的に取り囲んで形成されたバリア材料122”とを含むことができる。第3のサブセル144の量子ドット構造118”は、下にあるサブセル136の量子ドット構造118’の平均の大きさよりもかなり小さい平均の大きさで形成することができる。バリア材料122”は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1-xN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)などのIII−窒化物材料、および他の2元または3元のIII−窒化物を含むことができる。第3のサブセル40のバリア材料122”は、第2のサブセル136のバリア材料122’の堆積温度よりも高い温度で堆積することができ、その結果、第3のサブセル144のバリア材料122”は、第2のサブセル136のバリア材料122’のインジウム含有率よりもかなり少ないインジウム含有率を有するようになる。
【0054】
いくつかの実施形態では、サブセル128、136、144それぞれの中の量子ドット構造118のそれぞれの平均の大きさは、サブセル128、136、144のうちの1つの中の量子ドット構造118のそれぞれがほぼ同様または同一の有効バンドギャップを含むように、ほぼ同一または同様とすることができる。次のサブセル136、144の量子ドット構造118のそれぞれの平均の大きさは、それぞれのサブセル128、136、144の中で異なりうる。サブセル128、136、144のうちの選択されたものの中の量子ドット構造118のそれぞれの有効バンドギャップエネルギーは、量子ドット構造118の平均の大きさを変えることによって、サブセル128、136、144のうちの選択されたものの吸収端が電磁スペクトルの所望の部分に対応するように制御することができる。非限定的な例として、第1のサブセル128の量子ドット構造118は約1.0eVの有効バンドギャップを有することができ、第2のサブセル136の量子ドット構造118’は約1.6eVのバンドギャップを有することができ、第3のサブセル144の量子ドット構造118”は約2.2eVのバンドギャップを有することができる。
【0055】
加えて、バリア材料122の組成は、サブセル128、136、144の間のバリアを形成しながら、量子ドット構造118の間の有効バンドギャップを維持するように選択することができる。非限定的な例として示すと、バリア材料122が窒化インジウムガリウムを含む場合、バリア材料122の有効バンドギャップは、バリア材料中のインジウムの原子百分率を低下させることによってかなり増大させることができる。窒化インジウムガリウムバリア材料122へのインジウムの混合は、当技術分野で知られている方法を用い、かなりの高温において窒化インジウムガリウムバリア材料122を堆積することによってかなり低減させることができる。サブセル128、136、144のそれぞれが形成されるとき、その堆積温度を以前に形成されたサブセルと比較して高めることができ、その結果、インジウム濃度が減少し、したがって、隣り合うサブセル128、136、144の吸収端が順次的に増大するようになる。
【0056】
図6に示されているこのような一例として、各サブセル128、136、144の量子ドット構造118の大きさは、電磁放射源との関係で順次に減少することができ、したがって、サブセルの有効バンドギャップは電磁放射源との関係で増大する。サブセル128、136、144のそれぞれの対応するバリア層122、122’、122”は、窒化インジウムガリウムを含むことができ、サブセルの有効バンドギャップは、前に説明したように堆積温度を高めることによって順次的にかなり増大させることができる。それぞれが異なる吸収端を有する所望の数のサブセル128、136、144を形成した後、最上部のサブセル(例えば、サブセル144)の上面131を覆って、半導体材料の別の層140を堆積することができる。半導体材料140は、例えば、III−窒化物材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、半導体材料の層140は、n型またはp型ドープされたIII−窒化物材料を含むことができる。非限定的な例として、半導体材料の層140は、マグネシウム(Mg)ドープされた窒化ガリウム、またはマグネシウムドープされた窒化インジウムガリウムを含むことができる。限定ではなく例として示すと、半導体材料の層114は、n型ドープされたIII−窒化物材料を含むことができ、半導体材料の別の層140は、p型ドープされたIII−窒化物材料を含むことができ、それによって、PIN光起電力ダイオードデバイス138が生成される。
【0057】
図6を引き続き参照すると、別の実施形態では、サブセル128、136、144のバンドギャップエネルギーを制御できる一方で、サブセル間の量子ドット構造118、118’、118”の平均の大きさは、量子ドット構造118、118’、118”の組成を変えることによって、ほぼ同様または同一のままになる。いくつかの実施形態では、サブセル128、136、144のそれぞれの量子ドット構造118のインジウム含有率は、サブセルが成長基板112からは遠くに、入射電磁源には近くに配置されているので、かなり減少しうる。限定ではなく例として示すと、量子ドット構造118、118’、118”およびバリア材料122、122’、122”の百分率インジウム含有率は、光起電力デバイスの上面に向かって減少しうる。あるいは、バリア材料122のインジウム含有率は一定のままとすることができ、一方、量子ドット構造118、118’、118”のインジウム含有率は、成長基板112から遠いほど、かつ入射電磁源に近いほど減少する。サブセル128、136、144それぞれの中の量子ドット構造118、118、118”およびバリア材料122、122’、122”の堆積温度を高めることによって、サブセル128、136、144のそれぞれのインジウム含有率を下にあるサブセルのインジウム含有率よりもかなり少なくすることができ、したがって、サブセル128、136、144のそれぞれの有効バンドギャップが、下にあるサブセルよりもかなり大きくなりうる。
【0058】
反転光起電力構造体
以下の諸実施形態は、反転光起電力構造体を生成するための構造および方法を含む。決して限定するのではなく説明としてのみ示すと、光起電力デバイス構造では、吸収構造、すなわちサブセルに関して、当たっている放射源(例えば、太陽放射)に最大有効吸収エネルギー(すなわち、最大有効バンドギャップ)が最も近くなっているのが一般的である。このような構成では、最上部の吸収構造で吸収されなかった放射は、前記構造を通して伝達し、下にある有効吸収エネルギー(すなわち低い有効バンドギャップ)の低い吸収構造で吸収することができる。このような構成では、当たっている放射をより高い割合で有効に電気エネルギーに変換することができる。反対の構成では、すなわち、当たっている放射に最小有効吸収エネルギーが隣接する場合では、光起電力デバイス構造体中の損失により、例えば熱の形で、当たっている放射がより高い割合で浪費されうる。
【0059】
完成した光起電力デバイス構造体内で所望の吸収構成をより効率的に生成するために、結晶吸収構造を反転して、すなわち最小有効吸収エネルギーがベース基板から最も離れた吸収構造と、最大有効吸収エネルギーがベース基板に最も近くにある吸収構造とを用いて、結晶吸収構造を成長させる必要がありうる。このような反転成長構成は、それぞれ異なる吸収構造を互いに整合させ、かつベース基板と整合させる成長パラメータまたは格子の故に効果的でありうる。
【0060】
反転結晶構造の完成時に、その構造を反転することが、入ってくる放射をより効率的に電気エネルギーに変換するのに有利な最終デバイスを生成するために必要になりうる。光起電力デバイス構造体の反転には、光起電力デバイス構造体の上面をキャリア基板に取り付けることが伴いうる。適切なキャリア基板への取付けの後に、最初のベース基板を取り除くことができ、それによって、当たっている太陽放射に光起電力デバイス構造体を露光することが可能になる。
【0061】
図7を参照すると、成長基板112の上にある半導体材料の層114が含まれる部分形成光起電力デバイス構造体110を、図1に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて製造することができる。非限定的な例として、半導体材料の層114は、p型ドープされたIII−窒化物材料を含むことができる。
【0062】
図8を参照すると、成長基板112に取り付けられた半導体材料の層114を含む部分形成光起電力デバイス構造体146の別の実施形態を、図1に関して説明した方法と実質的に同様または同一の方法を用いて製造することができる。成長基板112は、III−窒化物材料を成長させるのに適した同種基板または異種基板を含むことができ、半導体材料の層114は、図1に関して前に説明したように、半導体材料の単一のエピタキシャル層または複数のエピタキシャル層を含むことができる。
【0063】
成長基板112は、ベース材料113(図1)を含むことができ、また任意選択で、シャドーラインを用いて描かれた半導体材料の1つまたは複数の中間層115(図1)を含むことができ、これらは最終的に、半導体材料の層114とベース基板113の間に配置される。
【0064】
図8をなお参照すると、部分形成光起電力デバイス構造体146は第1のサブセル150を含むことができ、第1のサブセル150は、バリア材料122”によって取り囲まれた量子ドット構造118”を有する複数の吸収構造148A、148B、148Cを含むことが示されている。サブセル150は、前記の図2〜4に関して説明した方法とほぼ同様または同一の方法を用いて製造することができる。非限定的な例として示すと、量子ドット構造118”は窒化インジウムガリウム(InxGa1-xN)を含むことができる。次に、III−窒化物材料を含むバリア材料122”を量子ドット構造118”の上に、ある堆積温度で堆積することができる。複数の吸収構造148A、148B、148Cそれぞれの中の量子ドット構造118”は、同じ大きさになりうる。加えて、吸収構造148A、148B、148Cのそれぞれは、図4に関して論じたように、量子ドット構造118”およびバリア材料122”の平均の大きさおよび組成を制御することによって、所望の有効バンドギャップを有して形成することができる。例えば、量子ドット構造118”は、2.2eVの有効バンドギャップを有するように形成することができる。
【0065】
図9を参照すると、ベース基板112の上に複数のサブセル150、156を含む部分形成光起電力構造152が示されている。第2のサブセル156は、図2〜4に関して論じた方法と実質的に同様または同一の方法を用いて、第1のサブセル150の上に形成することができる。第2のサブセル156は、第1のサブセルの吸収構造148A、148B、148Cの吸収端と異なる電磁スペクトルの部分に対応する吸収端をそれぞれが有する、複数の吸収構造154A、154B、154Cを含むことができる。限定ではなく例として示すと、第1のサブセル150の量子ドット構造118”の大きさは、第2のサブセル156の量子ドット構造118’の大きさよりかなり小さくなりうる。サイズが増大された結果として、量子ドット構造118’の有効バンドギャップはかなり減少する。大きさを増した量子ドット構造118’を形成するために、第2のサブセル156の量子ドット構造118’は、第1のサブセル150の量子ドット構造118”が形成される温度よりも低い温度で形成されることがある。
【0066】
追加の実施形態では、サブセル150、156の有効バンドギャップは、サブセル間の量子ドット構造118”、118’の大きさを維持しながら、量子ドット構造118’の組成を変えることによって制御することができる。非限定的な例として、量子ドット構造118”、118’は、実質的に同様または同一の大きさを有することができ、かつ光起電力構造体のサブセル全体にわたって窒化インジウムガリウムを含むことができる。量子ドット構造118”、118’それぞれの、例えばインジウム含有率などの組成を変えて、各サブセルの所望の有効バンドギャップを得ることができる。
【0067】
複数の量子ドット構造のそれぞれの上に堆積されるバリア材料122”、122’を選択して、量子ドット構造118”、118’の有効バンドギャップとバリア材料122”、122’の有効バンドギャップとの間の所望の差を維持することができる。量子ドット構造118”、118’の有効バンドギャップが、量子ドット構造118”、118’の平均の大きさを増大させることによってかなり低減されているので、バリア材料122”、122’の有効バンドギャップは、バリア材料122”、122’のインジウム含有率を増大させることによって低減することができる。したがって、量子ドット構造118”、118’の有効バンドギャップとバリア材料122”、122’の有効バンドギャップとの間の差は、下にある第1のサブセル150などの構造の堆積温度と比較してかなり低下した温度でバリア材料122”、122’を堆積することによって維持することができる。低下した温度で第2のサブセル156のバリア材料122’を形成することによって、第1のサブセル150のバリア材料122”から第2のサブセル156のバリア材料122’へのインジウムの脱離がかなり低減され、またはなくなる。
【0068】
図10に示されるように、第3のサブセル162を第2のサブセル156の上に形成して部分形成光起電力構造体158を形成することができる。第3のサブセル162は、複数の吸収構造160A、160B、160Cを含むことができ、これらのそれぞれが、バリア材料122によって取り囲まれた複数の量子ドット構造118を含む。第3のサブセル162の各量子ドット構造118は、実質的に同様または同一の平均の大きさを有することができ、かつ第1のサブセル150および第2のサブセル156の量子ドット構造118”、118’の有効バンドギャップよりも小さい有効バンドギャップを有するように形成することができる。例えば、第3のサブセル162の量子ドット構造118は、約1.0eVの有効バンドギャップを有することができる。前に説明したように、量子ドット構造118の大きさは、吸収構造160A、160B、160Cのそれぞれが、電磁スペクトルの別の部分に対応する吸収端を含むように選択することができる。非限定的な例として示すと、第3のサブセルの吸収構造160A、160B、160Cの吸収端は、第1のサブセル150および第2のサブセル156と異なる電磁スペクトルの部分に対応することができる。バリア材料122は、図3に関して説明した方法と同様または同一の方法を用いて、各吸収構造156の量子ドット構造118の上に堆積することができる。第3のサブセル162のバリア材料122の有効バンドギャップは、バリア材料122の堆積温度を下げることによってかなり低減されて、バリア材料122中のインジウムの混合がかなり増加し、かつ上にある材料(すなわち、第1のサブセル150のバリア材料122”、および第2のサブセル156のバリア材料122’、および量子ドット構造118”、118’)からのインジウムの脱離がかなり低減し、またはなくなる。
【0069】
部分形成光起電力構造体158のサブセル150、156、162はそれぞれ、個々のサブセル150、156、162を形成するために用いられる堆積温度がサブセルごとにかなり低下するように形成されており、したがって、各サブセルは、下にあるサブセルと比較して増大されたインジウム含有率を有する。その結果、図10に示される各サブセル150、156、162の有効バンドギャップエネルギーは、ベース基板112に最も近い下部サブセル150で最高になり、上部サブセル162で、すなわちベース基板112から最も遠くで最低になる。対照的に、図10に示される各サブセル150、156、162のインジウム含有率は、ベース基板112に最も近い下部サブセル150で最低になり、上部サブセル162で、すなわちベース基板112から最も遠くで最高になる。
【0070】
サブセル形成中に堆積温度を低下させると、下にあるサブセルの脱離を防止する助けになり、それによって、下にある材料の組成の安定性が改善され、したがって、下にある吸収構造の有効バンドギャップが改善される。部分形成光起電力構造158は、効果的な太陽光デバイスとして動作するように反転させることができる。
【0071】
図10をなお参照すると、別の半導体材料の層140を部分形成光起電力構造体158の上部サブセル(すなわち、第3のサブセル162)の上に堆積することができる。限定ではなく例として示すと、半導体材料の層114は、p型ドープされた半導体材料を含むことができ、別の半導体材料の層140は、n型ドープされた半導体材料を含むことができる。
【0072】
各サブセル150、156、162、および付随する吸収構造148A〜C、154A〜C、160A〜Cは、光起電力デバイスに組み込まれるべきサブセルの数に応じて、電磁スペクトルの特定の部分を吸収するように形成することができる。それに応じて、理想的な吸収エネルギーが、したがって個々のサブセルの有効バンドギャップが異なりうる。非限定的な例として、サブセル150、156、162のそれぞれの有効バンドギャップは、各サブセル内の量子ドット構造118”、118’、118の大きさを変えることによって制御することができる。いくつかの実施形態では、量子ドット構造118”、118’、118の大きさがサブセルごとに異なるのに対して、個々のサブセル150、156、162の中では、これらの大きさが維持される。図10に示されるこのような一例として、サブセル150、156、162のそれぞれの量子ドット構造118”、118’、118のサイズは、電磁放射源に対するサブセルの近さと関連して順次的に増大しうる。別の実施形態では、複数のサブセル150、156、162のそれぞれの量子ドット構造118”、118’、118の物理的サイズは一定のままにとどめることができ、量子ドット構造118”、118’、118の組成を変えて所望の有効バンドギャップにすることができる。図を簡単にするために、部分形成光起電力構造体158は、3つの吸収構造をそれぞれが含む3つのサブセルを含めて示されている。しかし、部分形成光起電力構造体158は、本明細書で説明されている方法を用い、任意の数の吸収構造をそれぞれが含む、任意の数のサブセルを含むように形成することができる。
【0073】
図11を参照すると、部分形成光起電力構造体164が、図10に示された構造の半導体材料140に取り付けられた接合基板166を含めて示されている。中間光起電力デバイス164を製造するために、図10の構造体が反転され、当技術分野で知られている方法を用いて、接合基板166に取り付けられる。その結果、バンドギャップエネルギーもまた反転されて、最高有効バンドギャップエネルギーサブセルが、入ってくる電磁放射に最も近く配置されることになる。しかし、ベース基板112は、入ってくる太陽放射をサブセルが吸収することを妨げる可能性がある。いくつかの実施形態では、ベース基板112が中間構造164から除去され、それによって、図12に示された、太陽放射を電気エネルギーに変換できる光起電力デバイス168が形成される。ベース基板112は、イオン注入、エッチング、リフトオフ、研磨、およびレーザリフトオフなどの知られている方法によって除去することができる。このような非限定的な一例として、ベース基板112は、例えばBruelの特許文献7、Asparらの特許文献8、Asparらの特許文献9、Moriceauらの特許文献10、Asparらの特許文献11、Asparらの特許文献12に詳細に記載されているスマートカット法により分離することができる。
【0074】
例えば、上述の本発明の方法の実施形態を用いて、吸収構造を、窒化ガリウムバリア材料によって取り囲まれた複数の窒化インジウム量子ドット構造を含むように形成することができる。窒化ガリウム(GaN)材料は、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)法を用いて、サファイア基板を約1170℃の温度でアンモニアおよびトリメチルガリウムにさらすことによって、サファイア基板の上に形成することができる。GaN材料の成長の後、その上に窒化インジウム(InN)量子ドット構造。量子ドット構造は、窒化ガリウムを約520℃の温度でトリメチルインジウムおよびアンモニアに約10秒から60秒さらすことによって成長させることができる。量子ドットは、約1×1012cm-2の密度、約10nmの平均高さ、および約10nmの平均幅を有することができる。
【0075】
InN量子ドットの形成の後、量子ドットの上にGaNのバリア材料を堆積することができる。この例では、GaNは、トリメチルガリウム前駆体を使用して、量子ドットと同じ温度で堆積することができる。あるいは、トリメチルガリウムはまた、バリア材料の前駆体として使用することもできる。本明細書で説明されているように、複数のサブセルは、上記の原理により製造することができる。
【0076】
本発明の諸実施形態を本明細書では主として、窒化インジウムガリウムを含む半導体材料の層114、140に関して説明したが、本発明はそのように限定されず、また本発明の諸実施形態を用いて、他のIII−窒化物材料を含む半導体材料の層、他のIII−V型半導体材料の層、または他の半導体材料の層(例えば、II−VI型半導体材料の層、シリコンの層、およびゲルマニウムの層など)を形成することができる。加えて、本発明の諸実施形態を本明細書では主として3つのサブセルにより説明したが、本発明はそのように限定されず、本発明の諸実施形態で含むサブセルは、もっと多くすることも少なくすることもできる。
【0077】
本発明を本明細書では、特定の好ましい実施形態に関して説明したが、本発明がそのように限定されないことを当業者は認識および理解されよう。むしろ、好ましい実施形態に対し多くの追加、削除および修正を行うことが、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく可能である。加えて、1つの実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴と組み合わせることができる一方で、本発明者によって企図された本発明の範囲内に依然として包含されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造体または半導体デバイスを形成する方法であって、
ベース基板の上に半導体材料の少なくとも一層を堆積するステップと、
1つまたは複数の吸収構造を含むサブセルを形成するステップであって、前記1つまたは複数の吸収構造のそれぞれを形成することは、
窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを配置して、半導体材料の前記少なくとも一層の少なくとも一部分の上にあるようにすることと、
窒化インジウムガリウムを含むバリア材料を第1の温度で堆積することであって、前記バリア材料は前記複数の量子ドットの少なくとも一部分の上にあるとともに少なくとも部分的に取り囲む、こととを含む、ステップと、
1つまたは複数の吸収構造を含む少なくとも1つの別のサブセルを形成するステップであって、前記1つまたは複数の吸収構造のそれぞれを形成することは、
窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを配置して、前記バリア材料の少なくとも一部分の上にあるようにすることと、
窒化インジウムガリウムを含む別のバリア材料を第2の温度で堆積することであって、前記第2の温度は前記第1の温度と異なっており、前記別の材料は前記複数の量子ドットの少なくとも一部分の上にあるとともに少なくとも部分的に取り囲む、こととを含む、ステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記半導体構造体または半導体デバイスを反転するステップと、
前記半導体構造体または半導体デバイスにキャリア基板を接合するステップであって、前記キャリア基板は、前記別のサブセルに隣接する前記半導体構造体または半導体デバイスの表面に接合される、ステップと、
前記ベース基板を除去するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
窒化インジウムガリウムを含むバリア材料を前記複数の量子ドットを覆うとともに少なくとも部分的に取り囲んで堆積することは、前記複数の量子ドットのインジウム含有率より実質的に低いインジウム含有率を有するバリア材料を堆積することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の量子ドットのインジウム含有率より実質的に低いインジウム含有率を有するバリア材料を堆積することは、前記複数の量子ドットの成長温度よりも高い温度で前記バリア材料を堆積することを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
別のバリア材料を堆積することは、前記バリア材料を堆積するために用いられた第1の温度よりも低い第2の温度で前記別のバリア材料を堆積して、別のサブセルを、その下にあるサブセルより実質的に低いインジウム含有率にすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の吸収構造を含む少なくとも1つの別のサブセルを形成するステップは、前記下にあるサブセルより実質的に低い有効バンドギャップを有する少なくとも1つの別の吸収構造を形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを配置して前記バリア材料の少なくとも一部分の上にあるようにすることは、前記バリア材料の上に配置された中間層の上に前記複数の量子ドットを成長させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを配置して前記バリア材料の少なくとも一部分の上にあるようにすることは、前記バリア材料の上に直に前記複数の量子ドットを成長させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光起電力構造体であって、
基板上の半導体材料の第1の層の上にある積層構成の複数のサブセルであって、前記基板に隣接するサブセルのバンドギャップは、上にある最少1つのサブセルのバンドギャップより実質的に小さく、前記複数のサブセルのそれぞれは、
インジウム、ガリウムおよびアルミニウムのうちの少なくとも1つをそれぞれが含む複数の量子ドットと、
前記複数の量子ドットを密閉するIII−窒化物材料と
を含む、複数のサブセルと、
前記複数のサブセルの上面の上にある、前記第1の半導体材料と異なる半導体材料の第2の層と
を備えることを特徴とする光起電力構造体。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバリア材料の有効バンドギャップは、前記複数の量子ドットの有効バンドギャップと異なることを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項11】
前記複数のサブセルのそれぞれは、ほぼ同じ平均の大きさを有する量子ドットを含むことを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項12】
前記基板に隣接するサブセルは、前記基板ともっと離れている前記複数のサブセルと比較して、実質的に減少したインジウム含有率を有する窒化インジウムガリウムを含むことを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項13】
前記基板に隣接する前記サブセルの量子ドット構造の平均直径は、前記基板ともっと離れている前記複数のサブセルの量子ドット構造の平均直径より実質的に小さいことを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項14】
各サブセルの前記量子ドット構造は、前記III−窒化物材料の有効バンドギャップよりも小さい有効バンドギャップを有することを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項15】
光起電力構造体であって、
基板上の半導体材料の第1の層の上にある積層構成の複数のサブセルであって、前記基板に隣接するサブセルのバンドギャップは、上にある最少1つのサブセルのバンドギャップより実質的に大きく、前記複数のサブセルのそれぞれは、
インジウム、ガリウムおよびアルミニウムのうちの少なくとも1つをそれぞれが含む複数の量子ドットと、
前記複数の量子ドットを密閉するIII−窒化物材料と
を含む、複数のサブセルと、
前記複数のサブセルの上面の上にある半導体材料の第2の層と、
前記複数のサブセルの上面の上にある半導体材料の前記第2の層の表面に対向して、半導体材料の前記第2の層の表面に接合されたキャリア基板と
を備えることを特徴とする光起電力構造体。
【請求項1】
半導体構造体または半導体デバイスを形成する方法であって、
ベース基板の上に半導体材料の少なくとも一層を堆積するステップと、
1つまたは複数の吸収構造を含むサブセルを形成するステップであって、前記1つまたは複数の吸収構造のそれぞれを形成することは、
窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを配置して、半導体材料の前記少なくとも一層の少なくとも一部分の上にあるようにすることと、
窒化インジウムガリウムを含むバリア材料を第1の温度で堆積することであって、前記バリア材料は前記複数の量子ドットの少なくとも一部分の上にあるとともに少なくとも部分的に取り囲む、こととを含む、ステップと、
1つまたは複数の吸収構造を含む少なくとも1つの別のサブセルを形成するステップであって、前記1つまたは複数の吸収構造のそれぞれを形成することは、
窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを配置して、前記バリア材料の少なくとも一部分の上にあるようにすることと、
窒化インジウムガリウムを含む別のバリア材料を第2の温度で堆積することであって、前記第2の温度は前記第1の温度と異なっており、前記別の材料は前記複数の量子ドットの少なくとも一部分の上にあるとともに少なくとも部分的に取り囲む、こととを含む、ステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記半導体構造体または半導体デバイスを反転するステップと、
前記半導体構造体または半導体デバイスにキャリア基板を接合するステップであって、前記キャリア基板は、前記別のサブセルに隣接する前記半導体構造体または半導体デバイスの表面に接合される、ステップと、
前記ベース基板を除去するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
窒化インジウムガリウムを含むバリア材料を前記複数の量子ドットを覆うとともに少なくとも部分的に取り囲んで堆積することは、前記複数の量子ドットのインジウム含有率より実質的に低いインジウム含有率を有するバリア材料を堆積することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の量子ドットのインジウム含有率より実質的に低いインジウム含有率を有するバリア材料を堆積することは、前記複数の量子ドットの成長温度よりも高い温度で前記バリア材料を堆積することを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
別のバリア材料を堆積することは、前記バリア材料を堆積するために用いられた第1の温度よりも低い第2の温度で前記別のバリア材料を堆積して、別のサブセルを、その下にあるサブセルより実質的に低いインジウム含有率にすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の吸収構造を含む少なくとも1つの別のサブセルを形成するステップは、前記下にあるサブセルより実質的に低い有効バンドギャップを有する少なくとも1つの別の吸収構造を形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを配置して前記バリア材料の少なくとも一部分の上にあるようにすることは、前記バリア材料の上に配置された中間層の上に前記複数の量子ドットを成長させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
窒化インジウムガリウムを含む複数の量子ドットを配置して前記バリア材料の少なくとも一部分の上にあるようにすることは、前記バリア材料の上に直に前記複数の量子ドットを成長させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光起電力構造体であって、
基板上の半導体材料の第1の層の上にある積層構成の複数のサブセルであって、前記基板に隣接するサブセルのバンドギャップは、上にある最少1つのサブセルのバンドギャップより実質的に小さく、前記複数のサブセルのそれぞれは、
インジウム、ガリウムおよびアルミニウムのうちの少なくとも1つをそれぞれが含む複数の量子ドットと、
前記複数の量子ドットを密閉するIII−窒化物材料と
を含む、複数のサブセルと、
前記複数のサブセルの上面の上にある、前記第1の半導体材料と異なる半導体材料の第2の層と
を備えることを特徴とする光起電力構造体。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバリア材料の有効バンドギャップは、前記複数の量子ドットの有効バンドギャップと異なることを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項11】
前記複数のサブセルのそれぞれは、ほぼ同じ平均の大きさを有する量子ドットを含むことを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項12】
前記基板に隣接するサブセルは、前記基板ともっと離れている前記複数のサブセルと比較して、実質的に減少したインジウム含有率を有する窒化インジウムガリウムを含むことを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項13】
前記基板に隣接する前記サブセルの量子ドット構造の平均直径は、前記基板ともっと離れている前記複数のサブセルの量子ドット構造の平均直径より実質的に小さいことを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項14】
各サブセルの前記量子ドット構造は、前記III−窒化物材料の有効バンドギャップよりも小さい有効バンドギャップを有することを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項15】
光起電力構造体であって、
基板上の半導体材料の第1の層の上にある積層構成の複数のサブセルであって、前記基板に隣接するサブセルのバンドギャップは、上にある最少1つのサブセルのバンドギャップより実質的に大きく、前記複数のサブセルのそれぞれは、
インジウム、ガリウムおよびアルミニウムのうちの少なくとも1つをそれぞれが含む複数の量子ドットと、
前記複数の量子ドットを密閉するIII−窒化物材料と
を含む、複数のサブセルと、
前記複数のサブセルの上面の上にある半導体材料の第2の層と、
前記複数のサブセルの上面の上にある半導体材料の前記第2の層の表面に対向して、半導体材料の前記第2の層の表面に接合されたキャリア基板と
を備えることを特徴とする光起電力構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−533906(P2012−533906A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521637(P2012−521637)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/036162
【国際公開番号】WO2011/011111
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(507088071)ソイテック (93)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/036162
【国際公開番号】WO2011/011111
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(507088071)ソイテック (93)
【Fターム(参考)】
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