説明

金型構造

【課題】部品の精密な寸法を保持し、また、構造或いは外見を傷めることなく成形されるため、改良された金型構造を提供する。
【解決手段】異種材料成形体のインサート成形のための金型構造であり、上部金型210及び下部金型220を含む。前記上部金型は、インサート物を配設するキャビティ212を含む。前記下部金型は、剛性体222及び前記インサート物を載置する弾性接触部材224を含む。前記弾性接触部材は、前記形成プロセスの間の前記注入材料の寸法変動を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願とのクロスリファレンス
本出願は、2010年12月30日に出願したアメリカ合衆国仮特許出願第61/428822号の効果を主張する。本発明は、一般的には金型構造に関し、より具体的には異種材料成形体のインサート成形に適用される技術に特に適した技術であり少なくとも弾性接触部材を含む金型構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び図2は、従来技術の金型構造の断面である。剛性金型構造100は例えば異種材料成形体として部品10をインサート成形するために使用されている。ここで、前記剛性金型構造100の材料は例えばアルミニウム、鉄、鋼等である。剛性金型構造100は、上部金型110及び下部金型120を含み、かつ内部スペース130が前記上部金型及び前記下部金型の間に形成される。部品10は非弾性部分2及び前記非弾性部分2に組み込まれた弾性部分4を含む。ここで前記非弾性部分2は、例えば金属、セラミックス、ガラス、プラスチック等の非ポリマーエラストマーであってもよく、さらに前記弾性部分4は、例えば合成ゴム、シリコーン等のポリマーエラストマーであってよい。前記部分10形成の方法は次の方法が可能であり。即ち前記内部スペース130に前記非弾性部分2が設置され、その後前記ポリマーエラストマーを前記内部スペースに注入し、前記ポリマーエラストマーを硬化させる。この時点で部品10が完成される。
【0003】
上記従来技術の方法の欠点は次の点である。即ち、前記非弾性部分2の自己寸法変動、前記非弾性部分2の熱膨張又は硬度により生じる前記非弾性部分2の変形による、前記剛性金型構造100との間の隙間又は干渉である。例えば、図1の円で囲われた拡大図において示されるように、非弾性部分2のサイズが小さすぎる場合、前記非弾性部分2と前記下部金型120との間にギャップ140が生じる。前記ギャップ140は、前記注入ポリマーエラストマーのオーバーフローを起こす恐れがあり、また後工程で清潔にすることが困難とするかもしれない。その結果、生産の歩留りが低下する。さらに、図2の拡大図の円内に示されるように、非弾性部分2のサイズが大きすぎると、非弾性部分2と下部金型120との間で干渉が生じ、それにより前記非弾性部分2の外観に損傷を受ける可能性がある。インサート成形の間に部品10及び剛性金型構造100との間の熱膨張により干渉がまた起こり得る。それにより部品10の外見が損なわれる可能性がある。
【0004】
図3は、他の従来技術の金型構造の断面図である。前記弾性部分4は前記非弾性部分2の2側で組み合わされており、前記非弾性部分2の前記上側A1及び前記下側A2はそれぞれ上部金型110及び下部金型120に接触している。前記非弾性部分2、上部金型110及び下部金型120の弾性及び変形可能性が欠けていることから、前記非弾性部分2は、非弾性部分2のサイズが大きすぎる場合前記上部金型110及び下部金型120により容易に破壊されるか損傷を受ける。一方、図4で示されるように、前記非弾性部分2が小さすぎると、金型固定後に前記ポリマーエラストマーのオーバーフローが生じる恐れがある。
【0005】
従って、その部品の精密な寸法を保持し、また、構造或いは外見を傷めることなく成形されるため、改良された金型構造が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、その部品の精密な寸法を保持し、また、構造或いは外見を傷めることなく成形されるため、改良された金型構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記従来技術の問題及び欠点を解決するために、少なくとも弾性接触部材を持つ金型構造を提供する。
【0008】
本発明は、異種材料成形体をインサート成形するための金型構造を提供するものであり、前記金型構造には、上部金型及び下部金型が含まれている。前記上部金型はインサート物(insert object)を設置するためのキャビティを含む。前記下部金型は剛性体と弾性接触部材を含む。前記インサート物は、インサート成形の間に前記弾性接触部材(resilient contact member)上に置き、それにより前記弾性接触部材は前記インサート成形の間に前記インサート物の寸法変動を吸収する。
【0009】
本発明は、金型構造を提供するものであり、前記金型構造は上部金型及び下部金型を含む。前記上部金型は第一剛性本体及び第一弾性接触部材を含む。前記下部金型には第二剛性本体及び第二弾性接触部材が含まれている。前記上部金型及び下部金型は共に組み合わされる際、インサート物を配設するために内部スペースを定義し、ここで前記インサート物は前記第一の弾性接触部材及び第二の接触部材と接触し、それにより前記インサート物の寸法公差を吸収する。
【0010】
前記に従って、本発明は、金型構造を提供するものであり、前記金型構造は、前記金型構造中に設置されるインサート物と接触させるために少なくともひとつの弾性接触部材を含み、前記インサート物が前記金型構造の前記剛性体と接触しないようにされるものである。ポリマーエラストマーが前記金型構造に注入され、前記インサート物とポリマーエラストマーが結合して異種材料成形体を形成する際に、前記インサート物の寸法変動により生じる隙間と干渉で前記ポリマーエラストマーのオーバーフロー又は前記インサート物の損傷が生じないである。
【0011】
当該技術分野の熟練者にとって、これら及び他の本発明の目的は、以下の種々の図表に説明されている好ましい実施例についての詳細な説明を読むことで、疑いもなく明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、従来技術の金型構造の断面を示す。
【図2】図2は、従来技術の金型構造の断面を示す。
【図3】図3は、他の従来技術の金型構造の断面を示す。
【図4】図4は、他の従来技術の金型構造の断面を示す。
【図5】図5は、本発明の第一実施例による金型構造の断面を示す。
【図6】図6は、図5に示す金型構造の組み合わせの断面を示す。
【図7】図7は、本発明の実施例により異種材料成形体の立体的側面図である。
【図8】図8は、本発明のプライマー結合原理を示す。
【図9】図9は、本発明の第二実施例により金型構造の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図5は、本発明の第一実施例による金型構造の断面を示す。図6は、組み合わせ後における図5の金型構造の断面を示す。図5及び図6に示されるように、金型構造200は、上部金型210及び下部金型220が含まれている。前記下部金型220は、剛性本体222と、前記剛性本体222の内側S1に置く弾性接触部材224が含まれている。前記上部金型210は、インサート物24を設置するためのキャビティ212が含まれている。前記インサート物24は、前記弾性接触部材224上に設置される。前記上部金型210と前記下部金型220は、組み合わされる際、内部スペース230を定義する。金型構造200は、前記上部金型210及び前記下部金型220に限定されるものではなく、金型構造200の金型構造数は実際の要求に依存する。前記上部金型210及び前記下部金型220の相対位置はまた、要求に従い変更されることができる。前記ポリマーエラストマー22は、前記内部スペース230内に注入されて前記内部スペース230を充填する。前記ポリマーエラストマー22が硬化された後、前記ポリマーエラストマー22は、前記インサート物24と結合して異種材料成形体20を形成する。前記インサート物24の寸法変動はインサート成形プロセス中で弾性材料である前記弾性接触部材224により吸収される。ここで前記インサート物24の寸法変動は、製造プロセスの際に生じるか又はインサート成形プロセスの際に熱膨張又は冷収縮することで生じる可能性のあるものである。インサート物24のサイズが小さすぎる場合、前記弾性接触部材224は、前記インサート物24に僅かの圧力を与えて隙間なく前記スペースを埋めさせ、注入されたポリマーエラストマー22のオーバーフローを回避するようにする。逆にインサート物24のサイズが大きすぎる場合、前記インサート物24はまた、前記弾性接触部材224の圧縮特性のために剛性材料と接触する場合よりも変形することが許容され、従って干渉を生じる可能性のある前記インサート物24の寸法変動は吸収され、前記インサート物24の構造や外見を損なうことがない。その結果、本発明は、生産歩留りを改善することができ、異種材料成形体20のインサート成形のための金型構造200を提供する。
【0014】
具体的には、前記上部金型210及び前記剛性体222の材料は、例えばアルミニウム、鋼、金属合金等の剛性材料である。好ましい実施例においては、前記上部金型210及び前記剛性体222は、耐高温度材料であり、前記インサート成形の際の成形温度に対して耐え得る材料である。前記弾性接触部材224及び前記ポリマーエラストマー22は、例えばシリコーン、プラスチック、合成ゴム、各種の樹脂等のポリマー弾性材料から構成される。次の点は留意すべきである。即ち、前記弾性接触部材224及び前記ポリマーエラストマー22は、異なる材料から構成されるものであり、従って前記弾性接触部材及び前記ポリマーエラストマー22が、インサート成形の際に一体物に結合することはない、ということである。例えば、前記ポリマーエラストマー22はシリコーンから構成する場合、前記弾性接触部材224は合成ゴムから構成する。又は前記ポリマーエラストマー22は合成ゴムから構成する場合、前記弾性接触部材224はシリコーンから構成する。言い換えると、前記ポリマーエラストマー22及び前記弾性接触部材224とは同時に、共にシリコーン、又は共に合成ゴムではあり得ないということである。この理由は、前記インサート成形プロセス間で金型構造に注入される前記ポリマーエラストマー22は溶融状態であって、従って硬化後に前記インサート物24と結合するからである。その結果、前記ポリマーエラストマー22及び前記弾性接触部材224は溶融して一体化されてしまい、成形された前記異種材料成形体20が、成形後に金型から離れることができなくなるであろう。
【0015】
図7は、本発明の実施態様による異種材料成形体の三次元側面図である。この実施態様においては、異種材料成形体20は、ポリマーエラストマー22及びインサート物24を持つノートブック又は携帯電話であり得る。ここで、前記インサート物24はノートブック又は携帯電話のケースの一部であり得る。及び前記ポリマーエラストマー22は、前記ケースを覆うソフトフィルムであり得る。他の実施態様では、前記異種材料成形体20は他の成形体であってよく、それに限定されるものではない。前記ポリマーエラストマー22のパターン化された表面S2は前記インサート物24に対応してパターン化された表面S3と強く結合する。ここで、前記ポリマーエラストマー22の材料は、例えばシリコーン、ゴム等のポリマーエラストマーであってよく、前記インサート物24の材料は、例えばアルミニウム合金、プラスチックスチール、プラスチック、セラミックス又はガラス等の非ポリマーエラストマー材料であってよい。前記ポリマーエラストマー22及び前記インサート物24との相対位置は、前記ポリマーエラストマー22及び前記インサート物24の材料が異なる限り変更可能である。さらに、前記ポリマーエラストマー22と前記インサート物24とを固定及び結合するために使用する前記パターンの形状、サイズ及び数については、実用上の考慮に依存する。
【0016】
図6に示されるように、前記弾性接触部材224の接触表面S4の輪郭は、前記インサート物24の底部表面S5に一致する。即ち、前記弾性接触部材224及び前記インサート物24は最大の接触面積で緊密な結合することができる。従って、インサート成形の際に前記ポリマーエラストマー22のオーバーフロー又は前記インサート物24の損傷を引き起こす可能性のある前記弾性接触部材224及び前記インサート物24の間の滑動、ギャップ又は干渉が回避できる。好ましい実施態様において、前記インサート物24は、前記上部金型210又は前記剛性体222とは接触しない。従って、前記インサート物24、前記上部金型210及び前記剛性体222の弾性又は変形能力が欠如の原因で、成形中の隙間或いは干渉が起きることが回避できる。
【0017】
ひとつの好ましい実施態様において、前記弾性接触部材224は、前記剛性体222の前記内側S1上に固定される。これにより、高温度プロセス中での熱膨張や冷収縮、又は温度変動環境により起こる前記弾性接触部材224の位置の変動による、前記弾性接触部材224上の前記インサート物24の位置ずれを回避できる。具体的に、前記弾性接触部材224は、プライマーを介して前記剛性体222と結合可能である。前記プライマーのひとつの種類の結合原理が図8に示される。ここで、シランプライマーが加水分解した後生成する−OH基が、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック等の非ポリマーエラストマーと結合することができる。それにより、前記弾性接触部材224及び前記剛性体222は高結合強度で結合し、さらに繰り返して使用しても良好な寸法安定性を有する。金型構造200の耐久性は顕著に改善される。留意すべきなのは、本発明は、前記弾性接触部材224及び前記剛性体222との間にプライマーを用いることに限定されるものではない、ということである。成形体形状が複雑ではない場合、耐高温性の前記弾性接触部材224を最初に形成し、さらに金型構造200の一部として金型構造200内に埋め込むことができる。この形成方法のメリットは、前記弾性接触部材224が使用回数が多くて損壊になる場合、迅速に交換可能となることである。さらに、前記インサート物24及び前記ポリマーエラストマー22は、図6に示されるプライマーを介して結合され得る。そうすることにより、前記インサート物24及び前記ポリマーエラストマー22は安定に形成され、さらに前記インサート物24及び前記ポリマーエラストマー22のサイズ精度が成形後にも維持され得る。前記インサート物24及び前記ポリマーエラストマー22との強い結合により、前記異種材料成形体20の耐久性も向上する。ここでさらに留意すべきなのは、前記弾性接触部材224及び前記剛性体222との前記プライマー結合は、前記インサート物24及び前記ポリマーエラストマー22とのプライマー結合と必ずしも同じである必要はなく、これらのコンポーネントの材料の特性に依存する。
【0018】
図9は、本発明の第二実施態様により描かれた金型構造の断面図である。図9に示されるように、金型構造300は、上部金型310及び下部金型320が含まれている。前記上部金型310は第一の剛性体312及び第一の弾性接触部材314が含まれ、前記下部金型320は、第二の剛性体322及び第二の弾性接触部材324が含まれている。本実施態様においては、前記上部金型310及び前記下部金型320は、上下対称である。しかし他の実施態様では、上下部金型の構造は非対称でもよく、実際の製程の要求によって変わる。金型構造300は、上部金型310及び下部金型320だけが含まれていることではなく、金型構造300の金型数は要求により可変である。前記上部金型310及び前記下部金型320の相対位置は又要求により可変である。前記上部金型310及び前記下部金型320はお互いに組み合わされると、インサート物24’を設置する内部スペース330を定義することができる。前記インサート物24’が前記内部スペース330に設置された後、ポリマーエラストマー22’が前記内部スペース330に注入され、前記内部スペース330の残りの空間を充填することができる。それにより、前記ポリマーエラストマー22’は前記インサート物24’と結合でき、異種材料成形体20’を形成する。本実施態様において、前記第一の弾性接触部材314及び前記第二の弾性接触部材324に前記インサート物24’を挟み込み、それにより前記インサート物24’の寸法変動を吸収することができる。かかる方法で、前記インサート物24’のサイズが小さすぎて、インサート物24’は前記上部金型310及び前記下部金型320との間に隙間が生じる場合、又は前記インサート物24’のサイズが大きすぎて、前記上部金型310及び前記インサート物24’の間、又は前記下部金型320及び前記インサート物24’の間に干渉が生じる場合、前記ポリマーエラストマー22’のオーバーフローや、前記インサート物24’の損傷などを、前記第一の弾性接触部材314及び前記第二の弾性接触部材324の弾性により回避することができる。
【0019】
同様に、前記第一の剛性体312及び前記第二の剛性体322は、例えば金属、他の合金等の剛性材料から構成される。前記インサート物24’は、例えば金属、プラスチック、セラミックス、ガラス等の非ポリマー材料がある。前記第一の弾性接触部材314、前記第二の弾性接触部材324及び前記ポリマーエラストマー22’は、例えばシリコーン、プラスチック、各種の合成ゴム、各種の樹脂等のポリマー弾性材料がある。もちろん、前記第一の弾性接触部材314及び前記第二の弾性接触部材324は異なる材料であってよく、前記第一の剛性体312及び前記第二の剛性体322も同様に要求に応じて異なる材料から構成されることが出来る。留意すべきなのは、前記第一弾性接触部材314及び前記第二の弾性接触部材324は、前記ポリマーエラストマー22’の材料とは異なる材料を選択する必要がある。というのは、前記ポリマーエラストマー22’はそれぞれ前記第一の弾性接触部材314と前記第二の弾性接触部材324と接触するからである。例えば、前記ポリマーエラストマー22’はシリコーンから構成され、一方前記第一及び前記第二の弾性接触部材314、324は合成ゴムから構成されている、又は前記ポリマーエラストマー22’が合成ゴムから構成され、一方前記第一及び前記第二の弾性接触部材314、324がシリコーンから構成される。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。理由は、前記インサート成形の間に金型へ注入される前記ポリマーエラストマー22’は溶融状態であり、前記ポリマーエラストマー22’は前記第一の弾性接触部材314又は前記第二の弾性接触部材324と同じである場合には、前記ポリマーエラストマー22’は前記第一の弾性接触部材314又は前記第二の弾性接触部材324と結合するからである。結果として、前記ポリマーエラストマー22’及び前記第一の弾性接触部材314又は前記第二の弾性接触部材324は溶融し一体となり、成形された前記異種材料成形体20’が成形された後、金型から離れることができなくなる。
【0020】
好ましい実施態様において、前記第一の弾性接触部材314及び前記第二の弾性接触部材324の輪郭は、前記インサート物24’と前記第一及び前記第二の弾性接触部材314、324との相対位置を固定するために、前記インサート物24’の前記内部表面S6、S7の輪郭に適合する。これにより、前記インサート物24’は前記第一弾性接触部材314又は前記第二弾性接触部材324との間の隙間を回避し、及び前記インサート物24’の滑動により生じる前記第一剛性体312及び前記第二剛性体322は前記インサート物24’との間の干渉が回避できる。
【0021】
ひとつの好ましい実施態様において、前記第一の弾性接触部材314は前記第一の剛性体312の前記内側S8に固定されるか又は前記第二の弾性接触部材324が前記第二の剛性体322の前記内側S9に固定される。従って、これにより、高温度プロセス中での膨張や圧縮、又は温度変動環境により起こる前記第一の弾性接触部材314又は前記第二の弾性接触部材324の位置ずれによる、前記インサート物24とぴったり合わないことが回避できる。前記第一実施例の述べたように前記第一弾性接触部材314又は前記第二の弾性接触部材324は、それぞれ前記第一の剛性体312又は前記第二の剛性体322とプライマーを介して結合することができる。ここで、前記プライマーは、前記第一の弾性接触部材314又は前記第二の弾性接触部材324を、前記第一の剛性体312又は前記第二の剛性体322と高結合強度で結合させて、繰り返し操作した後でさえ良好な寸法安定性を維持させる。従って、金型構造300の耐久性が改良されることができる。留意すべきなのは、本発明は、前記第一の弾性接触部材314又は前記第二の弾性接触部材324及び前記第一の剛性体312又は前記第二の剛性体322の間にプライマーを使用することに限定されないことである。前記インサート物24’及び前記ポリマーエラストマー22’の間に図6の示されている前記プライマーで結合される原理が利用できる。さらには、前記第一の弾性接触部材314又は前記第二の弾性接触部材324及び前記第一の剛性体312又は前記第二の剛性体322とを結合するために使用されているプライマーは必ずしも同じである必要はなく、使用する材料の特性に依存する。
【0022】
他の好ましい実施態様において、前記インサート物24’は、前記第一の剛性体312又は前記第二の剛性体322とは接触しない。従って、前記各剛性材料の弾性及び変形能力が欠如することにより生じる隙間や干渉が回避できる。
【0023】
従って、本発明は金型構造を提供するものであり、前記金型構造は、上部金型及び下部金型を含まれている。少なくともひとつの弾性接触部材、より具体的には前記上部金型又は前記金型構造の内側上に位置されたポリマー弾性接触部材が、前記金型構造中に設置されたインサート物と接触させるため使用される。この方法で、前記インサート物は前記金型構造の前記剛性材料部分に直接には接触せず、従って前記インサート物の寸法変動により生じる隙間又は干渉による前記ポリマーエラストマーのオーバーフローや前記インサート物の損傷が回避される。前記ポリマーエラストマーは、前記金型構造に注入され前記インサート物と結合し異種材料成形体を形成する。ここで、前記ポリマー弾性接触部材及び注入されたポリマーエラストマーは異なる材質から構成され、これにより、前記ポリマー弾性接触部材及び前記注入ポリマーエラストマーが結合して一体化して離型を困難にすることを回避する。本発明はまた、前記ポリマーエラストマーと前記インサート物を結合するため、及び前記ポリマー弾性接触部材と前記剛性体を結合するためのプライマーを提供する。該プライマーは前記2つの物が強い結合で結合することを可能とし、従って寸法安定性があり前記部品又は金型構造の耐久性を向上させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり:
インサート物を設置するキャビティを含む上部金型と;
剛性体と弾性接触部材を含み、前記インサート物を前記弾性接触部材上に置き、従って弾性接触部材がインサート成形する間に前記インサート材料の寸法変動を吸収する下部金型とも含む、金型構造。
【請求項2】
請求項1に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記上部金型と前記下部金型が、これらが共に組み合わされた後の内部スペースを定義し、及び前記内部スペースに注入されるポリマーエラストマーが、前記インサート材料と結合して前記異種材料成形体を形成する、金型構造。
【請求項3】
請求項2に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記ポリマーエラストマー及び前記弾性接触部材が異なる材料から構成される、金型構造。
【請求項4】
請求項3に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記ポリマーエラストマーがシリコーンから及び前記弾性接触部材が合成ゴムから構成される、金型構造。
【請求項5】
請求項3に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記ポリマーエラストマーが各種類の合成ゴム及び前記弾性接触部材がシリコーンから構成される、金型構造。
【請求項6】
請求項1に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記上部金型が金属上部金型である、金型構造。
【請求項7】
請求項1に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記剛性体が金属を含む、金型構造。
【請求項8】
請求項1に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記インサート物が、金属、プラスチック、セラミック又はガラスを含む、金型構造。
【請求項9】
請求項1に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記弾性接触部材が、前記剛性体の内側に固定されている、金型構造。
【請求項10】
請求項9に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記弾性接触部材が、プライマーで前記内側に結合されている、金型構造。
【請求項11】
請求項1に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記インサート物を、前記弾性接触部材に置く際に前記剛性体に接触しない、金型構造。
【請求項12】
請求項1に記載の異種材料成形体をインサート成形するための金型構造であり、前記弾性接触部材のひとつ接触面の輪郭が、前記インサート物ひとつの底部輪郭に完全に又は一部分組み合わされている、金型構造。
【請求項13】
金型構造であり:
第一剛性体及び第一弾性接触部材を含む上部金型;及び
第二剛性体及び第二弾性接触部材を含む下部金型を含み、
前記上部金型と前記下部金型が、共に組み合わされる際、インサート物を配設する内部スペースを定義し、前記インサート物が前記第一弾性接触部材と前記第二弾性接触部材に共に接触し、それにより前記インサート物の寸法変動を吸収する、金型構造。
【請求項14】
請求項13に記載の金型構造であり、前記第一弾性接触部材が前記第一剛性体の内側に固定されている、金型構造。
【請求項15】
請求項13に記載の金型構造であり、前記第二弾性接触部材が、前記第二剛性体の内側に固定されている、金型構造。
【請求項16】
請求項13に記載の金型構造であり、前記内部スペースに注入されるポリマーエラストマーが、前記インサート物と結合して異種材料成形体を形成する、金型構造。
【請求項17】
請求項16に記載の金型構造であり、前記ポリマーエラストマーが、前記第一及び前記第二弾性接触部材とは異なる材料から構成される、金型構造。
【請求項18】
請求項17に記載の金型構造であり、前記ポリマーエラストマーが、シリコーンを含み及び前記第一及び第二弾性接触部材が各種類の合成ゴムから構成される、金型構造。
【請求項19】
請求項17に記載の金型構造であり、前記ポリマーエラストマーが、合成ゴムであり、前記第一及び第二弾性接触部材がシリコーンから構成される、金型構造。
【請求項20】
請求項13に記載の金型構造であり、前記インサート物が前記剛性体に接触しない、金型構造。
【請求項21】
請求項13に記載の金型構造であり、前記インサート物が金属、プラスチック、セラミックス又はガラスを含む、金型構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−139993(P2012−139993A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189162(P2011−189162)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(511212376)先鋒材料科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】PIONEER MATERIAL PRECISION TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F, NO.11, WUCYUAN 2ND RD., Wugu Dist., NEW Taipei City 248, Taiwan, R.O.C.
【Fターム(参考)】