説明

金属化フィルムの製造装置

【課題】高品質の金属化フィルムを低コストに製造し得る、小型且つ簡略な構造の金属化フィルムの製造装置を提供する。
【解決手段】真空槽26内に、巻出し機38にてロール42から巻き出された誘電体フィルム12を巻き掛ける、冷却手段46を内蔵した第一の回転ドラム44を設置した。また、真空槽26内の第一の回転ドラム44の周囲に、第一の分割マスク部形成手段52と第一の端部マスク部形成手段54と第一の金属蒸着電極形成手段56とを周方向に並べて設置した。それにより、第一の回転ドラム44に巻き掛けられた誘電体フィルム12に対して、分割マスク部及び端部マスク部と、複数の分割電極部及び複数のヒューズ部からなる分割パターンを有する金属蒸着電極とを、順次形成し得るように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属化フィルムの製造装置に係り、特に、フィルムコンデンサを作製する際に有利に用いられる金属化フィルムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器に使用されるフィルムコンデンサとして、積層タイプや巻回タイプのフィルムコンデンサが知られている。これら積層タイプや巻回タイプのフィルムコンデンサは、何れも、樹脂フィルム等からなる誘電体フィルムに、金属蒸着膜からなる、所謂金属蒸着電極が積層形成されてなる金属化フィルムを用いて、作製されている。
【0003】
すなわち、積層タイプのフィルムコンデンサは、誘電体フィルムの片面又は両面に金属蒸着電極を積層形成してなる構造の金属化フィルム(基本素子)の複数を更に積層して、積層形コンデンサ素子を構成し、そして、この積層形コンデンサ素子に対して、一対のメタリコン電極を形成すると共に、それら各メタリコン電極に外部接続用端子を接続して、構成されている。また、巻回タイプのフィルムコンデンサは、誘電体フィルムの片面に金属蒸着電極を積層形成してなる構造の金属化フィルムの複数を互いに重ね合わせた状態で巻回して、或いは誘電体フィルムの両面に金属蒸着電極を積層形成してなる構造の金属化フィルムと誘電体フィルムとを互いに重ね合わせた状態で巻回して、巻回型コンデンサ素子を構成し、そして、積層タイプのフィルムコンデンサと同様に、かかる巻回型コンデンサ素子に対して、外部接続用端子が接続された一対のメタリコン電極を形成することによって構成されている。
【0004】
ところで、このような積層タイプや巻回タイプのフィルムコンデンサの作製に際しては、金属化フィルムとして、金属蒸着電極が形成されていないマージン(金属非蒸着部)にて囲まれた複数の分割電極部と、それらの複数の分割電極部の隣り合うもの同士を相互に接続するヒューズ部(狭幅の金属蒸着電極部分)とからなる分割パターンを有する金属蒸着電極が、誘電体フィルムに形成されてなるものが、好適に用いられる。何故なら、そのような金属化フィルムを用いて作製されたフィルムコンデンサでは、過度の条件での使用等により、金属蒸着膜特有の自己回復でクリアリングできない微小破壊が発生したときに、過大な短絡電流が流れてヒューズ部が切断され、それによって、微小破壊の発生した分割電極部を他の分割電極部から切り離す自己保安機能が発揮されるからである。
【0005】
このような自己保安機能を備えたフィルムコンデンサの作製に使用される金属化フィルムは、従来、例えば、特開2009−221506号公報(特許文献1)に示される如き製造装置を用いて製造される。
【0006】
図5に示されるように、上記公報に開示の金属化フィルムの製造装置100は、真空ポンプ101により内部が真空状態とされる真空槽102を有している。この真空槽102内には、誘電体フィルム104のロール106が取り付けられて、このロール106から誘電体フィルム104を巻き出す巻出し機108と、ロール106から巻き出された誘電体フィルム104を巻き取る巻取り機110とが設置されている。また、真空槽102内には、外周面を冷却する冷却機構134を内蔵した冷却用キャンローラ112が設置され、巻出し機108から巻取り機110に向かって走向する誘電体フィルム104が、巻取り機110に巻き取られる前に、冷却用キャンローラ112に巻き掛けられるようになっている。
【0007】
また、真空槽102内には、ロール106から巻き出されて、巻出し機108から冷却用キャンローラ112に向かって走向する誘電体フィルム104の片面に、狭幅の分割マスク部と端部マスク部とをそれぞれ形成する分割マスク部形成ユニット114と端部マスク部形成ユニット116とが、設置されている。分割マスク部は、金属蒸着電極が、複数の分割電極部と、互いに隣り合う分割電極部同士を接続する狭幅のヒューズ部とからなる分割パターンを有するように、誘電体フィルム104上に、金属蒸着電極を複数に分割する、金属非蒸着部である分割マージンを与えるものである。端部マスク部は、最終的に得られるフィルムコンデンサのメタリコン電極と金属蒸着電極とを非接続とする、金属非蒸着部である端部マージンを与えるものである。ここでは、それら分割マスク部と端部マスク部とが、何れも、オイル膜にて構成される。
【0008】
分割マスク部形成ユニット114は、オイル供給ロール118と転写ロール120と印刷ロール122とバックアップロール124とを有している。印刷ロール122の外周面には、分割電極部とヒューズ部とからなる金属蒸着電極の分割パターンに対応した凸版が形成されている(図示せず)。そして、オイル供給ロール118から供給された、金属付着防止剤としてのオイルが、転写ロール120にて、印刷ロール122の外周面に形成された凸版に転写され、また、この凸版に転写されたオイルが、かかる印刷ロール122とバックアップロール124とにて挟持されて走向する誘電体フィルム104の片面(冷却用キャンローラ112への巻き掛け時に外側面となる面)に更に転写されるようになっている。かくして、かかる分割マスク部形成ユニット114にあっては、誘電体フィルムの片面に対して、オイルマスク(オイル印刷膜)からなる分割マスク部を、転写されたオイルにて、所定の分割パターンで形成し得るように構成されているのである。
【0009】
一方、端部マスク部形成ユニット116は、オイルを蒸発させ、その蒸気をノズル125から噴出させるオイル蒸発源126と、誘電体フィルム104の分割マスク部形成面とは反対側面に接触して、誘電体フィルム104を送り出すように配置されたバックアップロール128とを有している。また、バックアップロール128には、冷却機構132が内蔵されている。そして、誘電体フィルム104が、バックアップロール128にて送り出されつつ、かかる誘電体フィルム104の分割マスク部形成面の幅方向端部に、オイル蒸発源126のノズル125から吹き出されたオイルの蒸気が膜状に付着させられるようになっている。かくして、端部マスク部形成ユニット116にあっては、オイルマスク(オイル蒸着膜)からなる端部マスク部を、誘電体フィルム104の分割マスク部形成面の幅方向端部に対して、その長さ方向に連続して延びるように形成可能とされているのである。
【0010】
そして、真空槽102内における冷却用キャンローラ112の周囲には、所定の金属を蒸発させて、その蒸気を、冷却用キャンローラ112に巻き掛けられた誘電体フィルム104の外側面(冷却用キャンローラ112との接触側とは反対側の面)に付着させて、金属蒸着膜を成膜するための金属蒸発源130が設置されている。
【0011】
かくして、従来の金属化フィルム製造装置100にあっては、真空状態とされた真空槽102内で、巻出し機108にてロール106から巻き出された誘電体フィルム104が巻取り機110にて巻き取られるまでの間に、誘電体フィルム104の片面に、端部マージンを与える端部マスク部と分割マージンを与える分割マスク部とがそれぞれ形成されると共に、それら端部マスク部と分割マスク部の形成部位を除く部位に、金属蒸着膜が成膜されるようになっている。そして、そのような金属蒸着膜により、複数の分割電極部とヒューズ部とからなる分割パターンを有する金属蒸着電極が形成されると共に、幅方向一端にメタリコン電極との非接続部分が設けられた、目的とする金属化フィルムが、ロール形態で製造されるようになっているのである。
【0012】
ところが、そのような従来の金属化フィルム製造装置100には、以下の如き幾つかの問題が内在していた。即ち、かかる金属化フィルム製造装置100においては、冷却用キャンローラ112とは別個のバックアップロール124,128にそれぞれ巻き掛けられた誘電体フィルム104に対して、分割マスク部と端部マスク部とが、分割マスク部形成ユニット114と端部マスク部形成ユニット116とにて、それぞれ形成される一方、冷却用キャンローラ112に巻き掛けられた誘電体フィルム104に対して、金属蒸着電極が、金属蒸発源130にて形成されるようになっている。そのため、真空槽102内には、誘電体フィルム104に分割マスク部を形成するための、分割マスク部形成ユニット114が設置されたエリアと、誘電体フィルム104に端部マスク部を形成するための、端部マスク部形成ユニット116が設置されたエリアと、誘電体フィルム104に金属蒸着電極を形成するための、金属蒸発源130が設置されたエリアとを、それぞれ設けるスペースが必要とされており、それ故に、真空槽102、ひいては金属化フィルム製造装置100の全体が、大型化することが避けられなかった。
【0013】
しかも、従来の金属化フィルム製造装置100では、一般に、二つのバックアップロール124,128や冷却用キャンローラ112、或いは、それら以外の多くのロールと誘電体フィルム104との接触時に、誘電体フィルム104に横ズレによる皺が生ずる恐れがあったため、誘電体フィルム104を幾つかのエキスパンダロール131に巻き掛ける必要があった。それ故、ロール106から巻き出された誘電体フィルム104が巻取り機110にて巻き取られるまでの間に、誘電体フィルム104に対して、多くのロールからテンションが加えられ、それによって、誘電体フィルム104に伸びが生ずる可能性があった。このような誘電体フィルム104の伸びは、最終的に得られるフィルムコンデンサの電気的特性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0014】
加えて、従来の金属化フィルム製造装置100では、オイル蒸着膜からなる端部マスク部の形成工程や金属蒸着電極の形成工程で誘電体フィルム104が熱ダメージを受けないように、端部マスク部形成ユニット114を構成するバックアップロール128と冷却用キャンローラ112とに冷却機構132,134が、それぞれ内蔵されていた。また、分割マスク部形成ユニット116として、オイル供給ロール118から転写ロール120にオイルを供給する構造のものに代えて、オイル蒸発源から吹き出されたオイルの蒸気を転写ロール120に付着させる構造のものを採用する場合には、分割マスク部形成ユニット114の転写ロール120と印刷ロール122とバックアップロール124のうちの何れかに対しても、冷却機構132を設ける必要が生ずる。それ故、そのような複数の冷却機構132,134を必要とする従来の金属化フィルム製造装置100には、複数の冷却機構132,134の設置によって、金属化フィルム製造装置100自体の構造が複雑化するばかりでなく、目的とする金属化フィルムの製造コストが高騰するといった問題が存していたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−221506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、より安定した品質のフィルムコンデンサを作製可能な金属化フィルムを低コストに製造し得る、小型且つ簡略な構造の金属化フィルムの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0018】
<1> 誘電体フィルムに金属蒸着電極を形成してなる金属化フィルムを製造するための装置であって、(a)前記誘電体フィルムのロールから誘電体フィルムを巻き出す巻出し機と、該ロールから巻き出された誘電体フィルムを巻き取る巻取り機とが内部に設置された真空槽と、(b)該真空槽内の空気を排出して、該真空槽内を真空状態とする排気手段と、(c)前記真空槽内に設置されており、前記巻出し機にて前記ロールから巻き出された前記誘電体フィルムが、前記巻取り機に巻き取られる前に巻き掛けられる第一の回転ドラムと、(d)前記第一の回転ドラムに内蔵されて、該第一の回転ドラムの外周面を冷却する第一の冷却手段と、(e)前記真空槽内における前記第一の回転ドラムの周囲に設置されており、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた前記誘電体フィルムの外側面に前記金属蒸着電極を形成する第一の金属蒸着電極形成手段と、(f)前記真空槽内における前記第一の回転ドラムの周囲において、前記第一の金属蒸着電極形成手段の設置個所よりも、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた前記誘電体フィルムの走向方向の上流側の箇所に設置されており、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面への前記金属蒸着電極の形成を阻止するマスク部を、該誘電体フィルムの外側面の幅方向一端部に、その長手方向に連続して延びるように形成する第一の端部マスク部形成手段と、(g)前記真空槽内における前記第一の回転ドラムの周囲において、前記第一の金属蒸着電極形成手段の設置個所よりも、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた前記誘電体フィルムの走向方向の上流側の箇所に設置されており、前記金属蒸着電極が、前記マスク部にて囲まれて、複数に分割された分割電極部と、それらの複数の分割電極部の隣り合うもの同士を相互に接続するヒューズ部とからなる分割パターンを有するように、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面に、該金属蒸着電極を複数に分割するマスク部を形成する第一の分割マスク部形成手段とを含んで構成されていることを特徴とする金属化フィルムの製造装置。
【0019】
<2> 前記第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの幅方向他端部に位置する前記金属蒸着電極部分に、該誘電体フィルムの長手方向に連続して延びる亜鉛蒸着膜を形成する亜鉛蒸着膜形成手段が、前記真空槽内における該第一の回転ドラムの周囲において、前記第一の金属蒸着電極形成手段の設置個所よりも、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの走向方向の下流側の箇所に設置されている上記態様<1>に記載の金属化フィルムの製造装置。
【0020】
<3> 前記第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面に、被覆樹脂層を形成する被覆樹脂層形成手段が、前記真空槽内における該第一の回転ドラムの周囲において、前記第一の端部マスク部形成手段と前記第一の分割マスク部形成手段のそれぞれの設置個所よりも、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの走向方向の上流側の箇所に設置されている上記態様<1>又は<2>に記載の金属化フィルムの製造装置。
【0021】
<4> 前記第一の回転ドラムから送り出された前記誘電体フィルムが、前記巻取り機に巻き取られる前に、前記金属蒸着電極の形成面を内側にして巻き掛けられる第二の回転ドラムが、その外周面を冷却する第二の冷却手段を内蔵して、前記真空槽内に設置されると共に、該第二の回転ドラムに巻き掛けられた該誘電体フィルムの外側面に前記金属蒸着電極を更に形成する第二の金属蒸着電極形成手段が、該真空槽内の該第二の回転ドラムの周囲に設置され、更に、該第二回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面に、該誘電体フィルムの幅方向一端部において長手方向に連続して延びる前記マスク部を形成する第二の端部マスク部形成手段と、該第二回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面に、該金属蒸着電極を複数に分割する前記マスク部を形成する第二の分割マスク部形成手段とが、該真空槽内における該第二の回転ドラムの周囲において、該第二の金属蒸着電極形成手段の設置個所よりも、該第二の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの走向方向の上流側の箇所に、それぞれ設置されている上記態様<1>乃至<3>のうちの何れか一つに記載の金属化フィルムの製造装置。
【発明の効果】
【0022】
すなわち、本発明に従う金属化フィルムの製造装置にあっては、第一の端部マスク部形成手段と第一の分割マスク部形成手段と第一の金属蒸着電極形成手段とが、真空槽内の第一の回転ドラムの周囲において、第一の回転ドラムの周方向に並んで設置されている。換言すれば、端部マージンを与える端部マスク部を形成するための、端部マスク部形成手段が設置されたエリアと、分割マージンを与える分割マスク部を形成するための、分割マスク部形成手段が設置されたエリアと、金属蒸着電極を形成するための、金属蒸着電極形成手段が設置されたエリアとが、真空槽内における第一の回転ドラムの周囲に集約して、形成されている。それ故、かかる本発明装置にあっては、バックアップロールに巻き掛けられた誘電体フィルムに端部マスク部を形成するエリアと、別のバックアップロールに巻き掛けられた誘電体フィルムに分割マスク部を形成するエリアと、冷却用キャンローラに巻き掛けられた誘電体フィルムに金属蒸着電極を形成するエリアとが、真空槽内に分散して設けられた従来装置に比して、真空槽、ひいては製造装置全体のサイズが効果的に小さくされ得る。
【0023】
また、本発明に係る金属化フィルムの製造装置では、誘電体フィルムが、唯一つの第一の回転ドラムに巻き掛けられた状態で、その外側に対して、端部マスク部と分割マスク部と金属蒸着電極とが、順次形成されるようになっている。このため、少なくとも2個のバックアップロールと1個の冷却用キャンローラにそれぞれ巻き掛けられた状態で、端部マスク部と分割マスク部と金属蒸着電極とが順次形成される従来装置とは異なって、誘電体フィルムに対して、多くのローラからテンションが加えられることが可及的に抑制される。そして、それにより、端部マスク部と分割マスク部と金属蒸着電極の形成途中で、誘電体フィルムに皺が発生したり、伸びが生じたりすることが、有利に防止され得る。
【0024】
さらに、本発明装置においては、誘電体フィルムに対する端部マスク部と分割マスク部と金属蒸着電極の形成時に、誘電体フィルムを冷却するための冷却手段が、誘電体フィルムが巻き掛けられる第一の回転ドラムだけに設けられている。それ故、冷却手段が、誘電体フィルムに金属蒸着電極を形成するのに誘電体フィルムが巻き掛けられる冷却用キャンローラだけでなく、誘電体フィルムに端部マスク部を形成するためのユニットを構成する幾つかのロールのうちの少なくとも何れか1個に対して、また、場合によって、誘電体フィルムに端部マスク部を形成するのに誘電体フィルムが巻き掛けられるバックアップロールにも設けられる従来装置に比して、冷却手段の設置個数が有利に少なくされ、それによって、装置全体の構造の簡略化と設備コストの低下とが、有利に図られ得る。
【0025】
従って、かくの如き本発明に従う金属化フィルムの製造装置にあっては、小型且つ簡略な構造が有利に実現され得ると共に、皺や伸びのない金属化フィルムを、より低コストに製造することが可能となる。そして、それが、金属化フィルムを用いて製造されるフィルムコンデンサの品質の向上と製造コストの低下に大きく寄与し得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に従う構造を有する金属化フィルム製造装置を用いて製造された金属化フィルムの一例を示す縦断面説明図であって、図2のI−I断面に相当する図である。
【図2】図1のII矢視説明図である。
【図3】本発明に従う構造を有する金属化フィルム製造装置の一例をモデル的に示した説明図である。
【図4】本発明に従う構造を有する金属化フィルム製造装置の別の例をモデル的に示した説明図である。
【図5】従来の金属化フィルム製造装置をモデル的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0028】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する製造装置を用いて得られた金属化フィルムの一例が、その縦断面形態において示されている。図1から明らかなように、金属化フィルム10は、誘電体フィルムとしての樹脂フィルム12の一方の面に、被覆樹脂層13と金属蒸着電極14と亜鉛蒸着膜15とが、その順番で積層形成されてなる積層構造を有している。
【0029】
樹脂フィルム12は、金属化フィルム10のベースとなるもので、ここでは、ポリプロピレン製の延伸フィルムからなり、1〜10μm程度の薄い厚さを有している。なお、樹脂フィルム12の形成材料は、ポリプロピレンに何等限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート等、従来のフィルムコンデンサの樹脂フィルムの形成材料として使用される絶縁性の樹脂材料が、ポリプロピレンに代えて、適宜に用いられ得る。
【0030】
樹脂フィルム12の一方の面に積層される被覆樹脂層13は、樹脂フィルム12の一方の面の全面を被覆する薄膜からなり、樹脂フィルム12よりも薄い50〜150nm程度の厚さを有している。この被覆樹脂層13は、延伸フィルム等からなる樹脂フィルム12の一方の面を平滑化し、フィルム欠陥部等を補修することにより、金属化フィルム10(フィルムコンデンサ)の耐電圧の向上や不良率低下を図ること等を目的として、樹脂フィルム12の金属蒸着電極14が形成されるべき面に積層形成されるものである。このような被覆樹脂層13の形成材料には、例えば、DCPA(ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート)等のモノマーの重合体等、樹脂フィルム12の表面平滑性向上のために、樹脂フィルム12の表面を被覆する被覆層の形成材料として、従来より用いられるものが、何れも使用可能である。
【0031】
かかる被覆樹脂層13の樹脂フィルム12側とは反対側の面に積層される金属蒸着電極14は、ここでは、アルミニウムからなり、金属化フィルム10を用いて作製されるフィルムコンデンサの内部電極として、公知の手法に従って、樹脂フィルム12の一方の面上に積層形成されるものである。つまり、金属蒸着電極14は、従来品と同様に、フィルムコンデンサの内部電極を形成する公知の金属材料(例えば、アルミニウムや亜鉛等)を蒸着材として用いて、PVDやCVDの範疇に属する、従来から公知の真空蒸着法を実施することにより、樹脂フィルム14の一方の面上に成膜される金属蒸着膜からなる。このような金属蒸着電極14の膜抵抗値は1〜50Ω/cm2 程度とされ、また、その膜厚は、膜抵抗値等によって適宜に決定される。
【0032】
一方、図1及び図2に示されるように、亜鉛蒸着膜15は、金属蒸着電極14の被覆樹脂層13(樹脂フィルム12)側とは反対側の面において、樹脂フィルム12の幅方向一端部に、その長さ方向に連続して延びる狭幅の帯状形態を有している。この亜鉛蒸着膜15は、金属化フィルム10を用いて作製されるフィルムコンデンサの両端面へのメタリコン電極の付着性向上のために、樹脂フィルム12の幅方向の一端部に位置する金属蒸着電極14部分上に形成されるものである。このような亜鉛蒸着膜15の形成に際しては、亜鉛を蒸着材として用いた、PVDやCVDの範疇に属する、従来から公知の真空蒸着法が、何れも採用可能である。
【0033】
そして、図2に示されるように、金属化フィルム10には、一つの端部マージン16と多数の分割マージン18a,18bとが形成されている。それらの端部マージン16と分割マージン18a,18bは、何れも、金属蒸着電極14が形成されていない金属非蒸着部分からなっている。
【0034】
端部マージン16は、樹脂フィルム12の幅方向における亜鉛蒸着膜15の形成側とは反対側の端部において、その全長に亘って、長さ方向に連続して延びる狭幅の帯状形態を有している。このような端部マージン16は、金属化フィルム10を用いて作製されたフィルムコンデンサの金属蒸着電極14とメタリコン電極との非接続部として構成されるものである。
【0035】
一方、多数の分割マージン18a,18bには、樹脂フィルム12の幅方向に真っ直ぐに延びる横分割マージン18aと、長さ方向に真っ直ぐに延びる縦分割マージン18bの2種類のものがある。それら横分割マージン18aと縦分割マージン18bは、何れも、所定長さを有する狭幅のスリット形態を呈している。そして、そのような横分割マージン18aの複数と縦分割マージン18bの複数とが、樹脂フィルム12における端部マージン16の形成部位と亜鉛蒸着膜15の形成部位とを除く部分に、碁盤の目形態を呈するように、縦横に配列された状態で形成されている。また、樹脂フィルム12の幅方向に一直線に並ぶ横マージン18aの互いに隣り合うもの同士と、樹脂フィルム12の長さ方向に一直線に並ぶ縦マージン18bの互いに隣り合うもの同士は、それぞれ、一定の間隔を隔てて配置されている。即ち、樹脂フィルム12の幅方向に隣り合う横マージン18a同士の間と、長さ方向に隣り合う縦マージン18b同士の間には、狭幅の金属蒸着電極14部分が存在しているのである。
【0036】
かくして、金属蒸着電極14が、複数の横分割マージン18aと複数の縦分割マージン18bとにて縦横に分割されている。そして、それにより、金属蒸着電極14が、横分割マージン18aと縦分割マージン18bとにて囲まれてなる略矩形の分割電極部20を複数有し、且つそれら複数の分割電極部20が縦横に配置されてなる構造とされている。また、それら複数の分割電極部20のうち、樹脂フィルム12の幅方向に隣り合うもの同士の間や、長さ方向に隣り合うもの同士の間には、ヒューズ部22が、それぞれ形成されている。それらのヒューズ部22は、樹脂フィルム12の幅方向に互いに隣り合う横分割マージン18a同士の間に存在する狭幅の金属蒸着電極14部分や、樹脂フィルム12の長さ方向に互いに隣り合う縦分割マージン18b同士の間に存在する狭幅の金属蒸着電極14部分にて、構成されている。
【0037】
要するに、ここでは、金属電極部14が、横分割マージン18aと縦分割マージン18bとにて囲まれて、複数に分割された分割電極部20と、それらの複数の分割電極部20の隣り合うもの同士を相互に接続するヒューズ部22とからなる分割パターンを有して、構成されているのである。
【0038】
ところで、かくの如き構造とされた金属化フィルム10は、例えば、図3に示されるような構造を有する金属化フィルム製造装置24を用いて、製造される。
【0039】
図3から明らかなように、金属化フィルム製造装置24は、所定大きさの真空槽26を有している。この真空槽26内には、その内側空間を二つに仕切る仕切壁28が設けられている。そして、かかる真空槽26内に仕切壁28にて画成された二つの空間のうちの一方が、第一真空室30とされている一方、それらのうちの他方が、第一真空室30よりも容積の小さな第二真空室32とされている。
【0040】
また、第一真空室30と第二真空室32とには、それら各真空室30,32の内側空間を外部に連通させる排気パイプ34,34が、それぞれ接続されている。そして、それら各排気パイプ34,34上には、排気手段としての真空ポンプ36,36が、各々設けられている。かくして、第一真空室30内の空気と第二真空室32内の空気とが、二つの真空ポンプ36,36の作動により、排気パイプ34,34を通じて外部に排出されて、それら第一及び第二の真空室30,32内が、それぞれ真空状態とされるようになっている。また、ここでは、それら二つの真空ポンプ36,36の作動が、互いに独立して制御されるようになっており、それによって、第一真空室30と第二真空室32とを、互いに異なる真空度にて真空状態とすることが可能となっている。これらのことから明らかなように、本実施形態では、排気パイプ34と真空ポンプ36とにて、排気手段が構成されている。
【0041】
さらに、かかる真空槽26の第一真空室30内の中心部よりも外周側に偏倚した部分には、巻出し機としての巻出しローラ38と、巻取り機としての巻取りローラ40とが、互いに平行な回転軸回りに回転可能に設置されている。そして、巻出しローラ38は、樹脂フィルム12が巻回されてなるフィルムロール42が取り付けられるようになっており、巻取りローラ40は、巻出しローラ38に取り付けられたフィルムロール42から巻き出された樹脂フィルム12の先端部分が取り外し可能に取り付けられるようになっている。また、巻取りローラ40は、例えば、図示しない電動モータ等によって回転駆動するようになっている。これにより、フィルムロール42から巻き出された樹脂フィルム12が、巻取りローラ40の回転駆動に伴って、巻取りローラ40にて巻き取られるようになっている。
【0042】
第一真空室30内の略中心部分には、第一の回転ドラムとしてのキャンローラ44が、巻出しローラ38と巻取りローラ40の回転軸と平行な回転軸回りに回転可能に設置されている。このキャンローラ44は、鉄等の金属製の円筒体からなり、図示しない電動モータ等によって回転駆動するようになっている。また、キャンローラ44は、その外周部の一部分が、第一真空室30と第二真空室32とを仕切る仕切壁28に設けられた窓部45を通じて、第二真空室32内に突入している。それにより、キャンローラ44の外周面の一部が、第二真空室32内に露呈して、配置されるようになっている。
【0043】
かかるキャンローラ44の内部には、冷却手段としての冷却機構46が設けられている。この冷却機構46は、例えば、冷却媒体の循環等によって、キャンローラ44の筒部の外周面を冷却する公知の構造を有している。そして、このようなキャンローラ44に対して、巻出しローラ38に取り付けられたフィルムロール42から巻き出された樹脂フィルム12が、巻取りローラ40に巻き取られる前に巻き掛けられている。即ち、かかる樹脂フィルム12が、キャンローラ44に巻き掛けられた後、巻取りローラ40に取り付けられているのである。なお、図3中、48a,48bは、エキスパンダロールであって、キャンローラ44と巻出しローラ38との間、及びキャンローラ44と巻取りローラ40との間において、キャンローラ44の回転軸と平行に延び、且つ互いに近接位置する回転軸回りに回転可能に設置されている。
【0044】
かくして、巻出しローラ38に取り付けられたフィルムロール42から巻き出されて、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12が、冷却機構46にて冷却されたキャンローラ44の外周面と接触することで、冷却されるようになっている。そして、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12は、キャンローラ44の回転駆動に伴って、キャンローラ44の周方向の一方向(図3の矢印方向)に走向し、巻取りローラ40に向かって送り出されて、巻取りローラ40にて巻き取られるようになっている。なお、ここでは、キャンローラ44が一定の角速度(周速度)で回転して、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12が、キャンローラ44から一定の速度で送り出されるようになっている。一方、巻取りローラ40は、キャンローラ44から送り出される樹脂フィルム12の速度に応じて、角速度(周速度)が適宜に調節されて、キャンローラ44から送り出される樹脂フィルム12が、巻取りローラ40にて、弛みなく巻き取られ得るようになっている。
【0045】
そして、真空槽26内におけるキャンローラ44の周囲には、被覆樹脂層形成手段としての被覆樹脂層形成装置50と、第一の分割マスク部形成手段としての分割マスク部形成装置52と、第一の端部マスク部形成手段としての端部マスク部形成装置54と、第一の金属蒸着電極形成手段としての金属蒸着電極形成装置56と、亜鉛蒸着膜形成手段としての亜鉛蒸着膜形成装置58とが、キャンローラ44に巻き掛けられる樹脂フィルム12の走向方向の上流側から下流側に向かって、上記の順番で、キャンローラ44の周方向に、所定の間隔を隔てて並んで設置されている。また、樹脂被覆層形成装置50と分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54は、第一真空室30内に配置されており、金属蒸着電極形成装置56と亜鉛蒸着膜形成装置58は、第二真空室32内に配置されている。
【0046】
被覆樹脂層形成装置50は、モノマー蒸発源60と電子ビーム照射器62とを有している。モノマー蒸発源60は、ヒータ等の加熱装置とモノマーポット(何れも、図示せず)とを更に含み、モノマーポット内に収容された被覆樹脂層の原料モノマーを加熱装置にて加熱し、蒸発させて、かかる原料モノマーの蒸気を、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の外側面に向かって吹き出させる公知の構造を有している。電子ビーム照射器62は、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の外側面の全面に、電子ビームを照射可能な公知の構造を有している。
【0047】
かくして、被覆樹脂形成装置50は、モノマー蒸発源60で蒸発させた原料モノマーの蒸気を、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の外側面の全面に堆積させて付着させると共に、電子ビーム照射器62から照射される電子ビームにて、樹脂フィルム12の外側面に付着した原料モノマーを加熱して、重合させ、それによって、樹脂フィルム12の外側面に、その全面を覆う被覆樹脂層13を、十分に薄い厚さで形成するように構成されている。
【0048】
分割マスク部形成装置52は、第一真空室30のキャンローラ44の周囲において、被覆樹脂形成装置50の設置個所よりも、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の走向方向の下流側の箇所に設置されている。かかる分割マスク部形成装置52は、オイル供給ロール64と転写ロール66と印刷ロール68とを有している。
【0049】
オイル供給ロール64は、金属付着防止剤としてのオイルを転写ロール66に供給可能な公知の構造を有している。印刷ロール68は、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12を、キャンローラ44との間で挟持可能に配置されており、その外周面には、複数の分割電極部20と複数のヒューズ部22とからなる金属蒸着電極14の分割パターンに対応した凸版が形成されている(図示せず)。そして、オイル供給ロール64から供給されたオイルが、転写ロール66にて、印刷ロール68の外周面に形成された凸版に転写され、また、この凸版に転写されたオイルが、印刷ロール68とキャンローラ44とにて挟持されて走向する樹脂フィルム12の被覆樹脂層13上に更に転写されるようになっている。
【0050】
かくして、分割マスク部形成装置52は、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の外側面に形成される被覆樹脂層13に対して、オイルマスク(オイル印刷膜)からなる横分割マスク部と縦分割マスク部とを形成し得るように構成されている。また、それら横分割マスク部と縦分割マスク部の被覆樹脂層13(樹脂フィルム12)への形成位置が、前記した金属蒸着電極14の分割パターンを与える複数の横分割マージン18aと複数の縦分割マージン18bの樹脂フィルム12への形成位置と対応した位置と為し得るようになっている。
【0051】
端部マスク部形成装置54は、第一真空室30のキャンローラ44の周囲において、分割マスク部形成装置52の設置個所よりも、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の走向方向の下流側の箇所に設置されている。かかる端部マスク部形成装置54は、オイル蒸発源70とノズル72とを有している。オイル蒸発源70は、ヒータ等の加熱装置を内蔵し、かかる加熱装置にてオイルを加熱して、蒸発させるようになっている。ノズル72は、オイル蒸発源70にて蒸発させられたオイルの蒸気を、キャンローラ44に巻き掛けられて、キャンローラ44の周方向一方側に向かって走向する樹脂フィルム12の外側面に積層形成された被覆樹脂層13の幅方向一端部に吹き出して、付着させるようになっている。
【0052】
かくして、端部マスク部形成装置54は、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の外側面に形成される被覆樹脂層13の幅方向一端部に対して、オイルマスク(オイル蒸着膜)からなる端部マスク部を、樹脂フィルム12の長さ方向に連続形成し得るように構成されている。また、端部マスク部の被覆樹脂層13(樹脂フィルム12)への形成位置が、前記した端部マージン16の樹脂フィルム12への形成位置と対応した位置と為し得るようになっている。
【0053】
金属蒸着電極形成装置56は、第二真空室30のキャンローラ44の周囲において、端部マスク部形成装置54の設置個所よりも、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の走向方向の下流側の箇所に設置されている。この金属蒸着電極形成装置56は、アルミニウムを蒸発させる金属蒸発源74を有している。かかる金属蒸発源74は、ヒータ等の加熱装置を内蔵し、かかる加熱装置にてアルミニウムを加熱し、蒸発させて、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の外側面に積層形成される被覆樹脂層13の全面に、かかるアルミニウムの蒸気を付着させ得る構造を有している。
【0054】
かくして、金属蒸着電極形成装置56にあっては、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の外側面の被覆樹脂層13における横分割マスク部と縦分割マスク部と端部マスク部の形成部位を除く部分に、金属蒸着電極14を形成し得るようになっているのである。
【0055】
亜鉛蒸着膜形成装置58は、第二真空室30のキャンローラ44の周囲において、金属蒸着電極形成装置56の設置個所よりも、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の走向方向の下流側の箇所に設置されている。この亜鉛蒸着膜形成装置58は、亜鉛蒸発源76とノズル78とを有している。亜鉛蒸発源76は、ヒータ等の加熱装置を内蔵し、かかる加熱装置にて亜鉛を加熱して、蒸発させるようになっている。ノズル78は、亜鉛蒸発源76にて蒸発させられた亜鉛の蒸気を、キャンローラ44に巻き掛けられて、キャンローラ44の周方向一方側に向かって走向する樹脂フィルム12上の金属蒸着電極14の端部マージン16側とは反対側の端部に吹き出して、付着させるようになっている。
【0056】
かくして、亜鉛蒸着膜形成装置58にあっては、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12上の金属蒸着電極14の端部マージン16側とは反対側の端部に、亜鉛蒸着膜15を、樹脂フィルム12の長さ方向に連続して延びる形態で形成し得るようになっているのである。
【0057】
そして、かくの如き構造とされた金属化フィルム製造装置24を用いて、金属化フィルム10を製造する際には、例えば、先ず、樹脂フィルム12が巻回されてなるフィルムロール42を巻出しローラ38に取り付けて、フィルムロール42から樹脂フィルム12の一部を巻き出す。次に、フィルムロール42から巻き出された樹脂フィルム12部分を、エキスパンダロール48aに巻き掛けた後、キャンローラ44に巻き掛ける。更に、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12部分をエキスパンダロール48bに巻き掛けた後、かかる樹脂フィルム12の端部を巻取りローラ40に取り付ける。これにより、キャンローラ44の外周面の全周に近い領域に亘って、樹脂フィルム12を巻き掛ける。そして、かかる状態で、或いはキャンローラ44に樹脂フィルム12部分を巻き掛ける前に、キャンローラ44に内蔵の冷却機構44を作動させて、キャンローラ44の外周面を冷却する。ここでの冷却機構44による冷却温度は、特に限定されるものではないものの、一般に、−15〜−5℃程度とされる。
【0058】
次いで、真空槽26の第一真空室30と第二真空室32とにそれぞれ接続された排気パイプ34,34上の真空ポンプ36,36を各々作動させる。これにより、第一真空室30内と第二真空室32内の空気を排出して、それら第一及び第二真空室30,32内を真空状態とする。このとき、好適には、第一真空室28の内圧が、10-1Pa程度とされ、また、第二真空室30の内圧が、第一真空室30の内圧よりも低い10-2Pa程度とされる。
【0059】
その後、巻取りローラ40とキャンローラ44とをそれぞれ回転駆動させて、フィルムロール42から樹脂フィルム12を次々と巻出しながら、かかる樹脂フィルム12をキャンローラ44の周方向一方側(図3の矢印方向)に向かって走向させる。また、その一方で、被覆樹脂層形成装置50と分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54と金属蒸着電極形成装置56と亜鉛蒸着膜形成装置58とを作動させる。これにより、フィルムロール42から巻き出されて、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の外側面に対して、先ず、その全面に、被覆樹脂層形成装置50にて、被覆樹脂層13を積層形成する。次に、樹脂フィルム12の外側面の全面に形成された被覆樹脂層13に対して、横分割マスク部と縦分割マスク部とを、分割マスク部形成装置52により前記の如きパターンで形成する。その後、かかる被覆樹脂層13の幅方向一端部に、その長さ方向に連続して延びる端部マスク部を、端部マスク部形成装置54にて形成する。この被覆樹脂層13の形成から端部マスク部の形成までの工程は、第一真空室30内で実施される。
【0060】
次いで、被覆樹脂層13の横分割マスク部と縦分割マスク部と端部マスク部の形成部位を除く部分に、金属蒸着電極14を金属蒸着電極形成装置56により積層形成する。かくして、被覆樹脂層13上に、横分割マスク部が形成されて、金属蒸着電極14が形成されていない部分からなる横分割マージン18aを形成すると共に、縦分割マスク部が形成されて、金属蒸着電極14が形成されていない部分からなる縦分割マージン18bを形成する。これにより、金属蒸着電極14を、複数の分割電極部20と複数のヒューズ部22とからなる分割パターンをもって形成された構造とする。また、被覆樹脂層13の幅方向一方側の端部に、端部マスク部が形成されて、金属蒸着電極14が形成されていない部分からなる端部マージン16を、樹脂フィルム12の長さ方向に連続して延びるように形成する。
【0061】
その後、金属蒸着電極14の幅方方向における端部マージン16側とは反対側に、樹脂フィルム12の長さ方向に連続して延びる亜鉛蒸着膜15を、亜鉛蒸着膜形成装置56にて形成する。かくして、樹脂フィルム12のうちの巻出し側の端部を除いた、亜鉛蒸着膜15と金属蒸着電極14とが形成された部分を、図1及び図2に示される如き構造を有する金属化フィルム10部分とする。なお、樹脂フィルム12(被覆樹脂層13)に対する金属蒸着膜14と亜鉛蒸着膜15の形成工程は、上記のように、第一真空質30よりも内圧の低い(真空度の高い)第二真空室32内で実施される。これにより、金属蒸着電極形成装置56で蒸発させられたアルミニウムの蒸気や、亜鉛蒸着膜形成装置58で蒸発させられた亜鉛の蒸気が、第二真空室32から第一真空質30内にて侵入することが防止される。
【0062】
そして、上記のようにして得られた金属化フィルム10部分を、巻取りローラ40にて巻き取る。これにより、フィルムロール42から巻き出される樹脂フィルム12の巻き始めの端部を除く大部分を金属化フィルム10として形成し、また、かくして形成された金属化フィルム10を巻回してなるフィルムロール80を得るのである。
【0063】
このように、本実施形態の金属化フィルム製造装置24では、被覆樹脂層形成装置50と分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54と金属蒸着電極形成装置56と亜鉛蒸着膜形成装置58とが、真空槽26内のキャンローラ44の周囲において、かかるキャンローラ44の周方向に並んで位置するように設置されている。そして、それら各装置50,52,54,56,58の作動状態下で、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12をキャンローラ44の周方向に走向させることにより、かかる樹脂フィルム12の外側面に対して、複数の分割電極部20及び複数のヒューズ部22からなる金属蒸着電極14が、被覆樹脂層13を介して積層形成されると共に、かかる金属蒸着電極14に対して亜鉛蒸着膜15が更に積層形成され、以て、目的とする金属化フィルム10が得られるようになっている。
【0064】
それ故、真空槽内におけるキャンローラの設置位置とは異なる位置に、樹脂フィルムに対して横及び縦分割マスク部や端部マスク部を形成するための装置が分散して設置され、そして、それら各装置により、キャンローラとは別個のバックアップロールに巻き掛けられた樹脂フィルムに対して、横及び縦分割マスク部や端部マスク部が形成されるように構成された従来装置とは異なって、本実施形態の金属化フィルム製造装置24は、バックアップロールが省略されている分と、各装置がキャンローラ44の周囲に集約して設置されている分だけ、真空槽26、ひいては金属化フィルム製造装置24全体のサイズが、有利に小型化され得る。
【0065】
また、本実施形態の金属化フィルム製造装置24では、巻出しローラ38にてフィルムロール42から巻き出された樹脂フィルム12が、巻取りローラ40にて巻き取られるまでの間に、二つのエキスパンダロール48a,48bとキャンローラ44とに巻き掛けられるだけであるため、樹脂フィルム12が、それらのエキスパンダロール48a,48bやキャンローラ44以外のバックアップロール等の数多くのローラに巻き掛けられる従来装置とは異なって、樹脂フィルム12に加えられる各ローラからのテンションによって、樹脂フィルム12に皺や伸び等が生ずることが、可及的に抑制乃至は解消され得る。
【0066】
その上、金属やオイルの蒸着工程で樹脂フィルムが熱ダメージを受けるのを回避するために、複数のローラの内部に冷却機構を設けてなる従来装置とは異なって、本実施形態の金属化フィルム製造装置24では、キャンローラ44だけに冷却機構46が設けられている。これによって、金属化フィルム製造装置24を設置するための設備コスト、更にはかかる金属化フィルム製造装置24を用いて得られる金属化フィルム10の製造コストの削減が、極めて有利に図られ得る。
【0067】
従って、かくの如き構造を有する金属化フィルム製造装置24にあっては、皺や伸びのない高品質の金属化フィルム10を、小型且つ簡略な構造をもって、より低コストに製造することができる。そして、それによって、金属化フィルム10を用いて製造されるフィルムコンデンサの品質の向上と製造コストの削減とを効果的に実現することができる。
【0068】
次に、図4には、前記第一の実施形態とは構造の異なる別の実施形態が、示されている。本実施形態に係る金属化フィルム製造装置82に関しては、前記第一の実施形態に係る金属化フィルム製造装置24と同一の構造とされた部位や部材について、図3と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0069】
図4から明らかなように、本実施形態の金属化フィルム製造装置82は、内部に第一真空室30と第二真空室32とが画成された真空槽26を有している。そして、真空槽26の第一真空室30内には、巻出しローラ38と巻取りローラ40とが設置されている。また、かかる第一真空槽30内には、同一の構造を有する第一キャンローラ44aと第二キャンローラ44bが、互いに平行な回転軸回りに回転可能に設置されている。更に、真空槽26内の第一及び第二キャンローラ44a,44bの周囲には、被覆樹脂層形成装置50と分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54と金属蒸着電極形成装置56と亜鉛蒸着膜形成装置58とが、それぞれ、一つずつ、第一及び第二キャンローラ44a,44bの周方向に並んで設置されている。そして、それら被覆樹脂層形成装置50と分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54と金属蒸着電極形成装置56と亜鉛蒸着膜形成装置58は、何れも、前記第一の実施形態に係る金属化フィルム製造装置24の真空槽26内に設置されるものと同一の構造を有している。
【0070】
すなわち、本実施形態では、第一キャンローラ44aにて、第一の回転ドラムが、また、第二キャンローラ44bにて、第二の回転ドラムが、それぞれ構成されている。そして、第一キャンローラ44aの周囲に設置された分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54と金属蒸着電極形成装置56にて、第一の分割マスク部形成手段と第一の端部マスク部形成手段と第一の金属蒸着電極形成手段とが、それぞれ構成され、また、第二キャンローラ44bの周囲に設置された分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54と金属蒸着電極形成装置56にて、第二の分割マスク部形成手段と第二の端部マスク部形成手段と第二の金属蒸着電極形成手段とが、それぞれ構成されている。
【0071】
このような構造の金属化フィルム製造装置82を用いて、目的とする金属化フィルム10を得る際には、例えば、先ず、巻出しローラ38にてフィルムロール42から巻き出された樹脂フィルム12を、エキスパンダロール48aと第一キャンローラ44aとエキスパンダロール48bに、その順番で巻き掛けた後、第一キャンローラ44aへの巻掛け状態で外側面とされた樹脂フィルム12の面を内側にして、第二キャンローラ44bに巻き掛ける。また、この第二キャンローラ44bに巻き掛けられた樹脂フィルム12をエキスパンダロール48cに巻き掛けた後、巻取りローラ40に取り付ける。
【0072】
その後、二つの真空ポンプ36,36を作動させて、真空槽26の第一真空室30内と第二真空室32内とを、後者が前者よりも低い内圧となるように減圧して、真空状態とする。また、それと共に、第一キャンローラ44aと第二キャンローラ44bとに内蔵された冷却機構46,46とをそれぞれ作動させて、第一及び第二キャンローラ44a,44bの外周面を冷却する。
【0073】
次いで、巻取りローラ40と第一及び第二キャンローラ44a,44bとを回転駆動させて、フィルムロール42から巻き出された樹脂フィルム12を、第一及び第二キャンローラ44a,44bの周方向の一方向(図4の矢印方向)に走向させる。また、その一方で、それら第一及び第二キャンローラ44a,44bの周囲に設置された分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54と金属蒸着電極形成装置56と亜鉛蒸着膜形成装置58とを作動させる。
【0074】
かくして、第一キャンローラ44aに巻き掛けられた樹脂フィルム12が第一キャンローラ44aから送り出されるまでの間に、かかる樹脂フィルム12の一方の面(第一キャンローラ44aへの巻掛け状態で外側となる面)に対して、被覆樹脂層13と、横及び縦分割マージン18a,18b、端部マージン16を与える横及び縦分割マスク部、端部マスク部と、複数の分割電極部20と複数のヒューズ部22とからなる金属蒸着電極14と、亜鉛蒸着膜15とを積層形成する。また、エキスパンダロール48cを経て、第二キャンローラ44bに巻き掛けられた樹脂フィルム12が第二キャンローラ44bから送り出されるまでの間に、かかる樹脂フィルム12の他方の面(第二キャンローラ44bへの巻掛け状態で外側となる面)に対して、被覆樹脂層13と、横及び縦分割マージン18a,18b、端部マージン16を与える横及び縦分割マスク部、端部マスク部と、複数の分割電極部20と複数のヒューズ部22とからなる金属蒸着電極14と、亜鉛蒸着膜15とを積層形成する。これにより、樹脂フィルム12の両面に、複数の分割電極部20と複数のヒューズ部22とからなる金属蒸着電極14が、被覆樹脂層13を介して積層され、更に、かかる金属蒸着電極14上に亜鉛蒸着膜15とが積層形成されてなる金属化フィルム10を得る。そして、かくして得られた金属化フィルム10を巻取りローラ40にて巻き取って、金属化フィルム10を巻回してなるフィルムロール84を得るのである。
【0075】
このように、本実施形態の金属化フィルム製造装置82によれば、樹脂フィルム10の両面に金属蒸着電極14がそれぞれ積層形成されてなる金属化フィルム10を、第一及び第二の二つのキャンローラ44a,44bの周方向に連続して走向させつつ実施する一連の工程によって一挙に作製することができる。そして、かかる金属化フィルム製造装置82では、第一及び第二キャンローラ44a,44bの周囲に、被覆樹脂層形成装置50と分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54と金属蒸着電極形成装置56と亜鉛蒸着膜形成装置58とが、周方向に並んで設置されている。
【0076】
従って、かくの如き本実施形態に係る金属化フィルム製造装置82にあっても、前記第一の実施形態に係る金属化フィルム製造装置24と同様に、従来装置に比して、十分に小型で且つ簡略な構造が有利に実現されている。そして、特に、樹脂フィルム10の両面に金属蒸着電極14がそれぞれ積層形成されてなる金属化フィルム10が、皺や伸びのない高い品質をもって、より低コストに製造することができるのである。
【0077】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0078】
例えば、金属蒸着電極14の形成材料には、例示されたアルミニウム以外に亜鉛等も使用可能である。その他、フィルムコンデンサの内部電極を構成する金属蒸着膜の形成材料として、従来から用いられるものが、何れも使用可能である。
【0079】
横分割マスク部や縦分割マスク部は、オイル蒸着膜にて形成することもできる。即ち、第一の分割マスク部形成手段や第二の分割マスク部形成手段は、印刷方式で横及び縦分割マスク部を形成する例示の構造のものに代えて、蒸着方式で横及び縦分割マスク部を形成する構造のものを採用しても良い。
【0080】
また、端部マスク部は、オイル印刷膜にて形成しても良い。即ち、第一の端部マスク部形成手段や第二の端部マスク部形成手段は、蒸着印刷方式で端部マスク部を形成する例示の構造のものに代えて、印刷方式で端部マスク部を形成する構造のものを採用することも可能である。
【0081】
分割電極部20やヒューズ部22の形状や大きさは、例示のものに、何等限定されるものではない。つまり、分割マージン18a,18bの形状や大きさは、適宜に変更可能であり、それに応じて、分割マスク部形成装置52にて形成される分割マスク部の形状や大きさも、種々変更されることとなる。
【0082】
前記第一及び第二の実施形態では、分割マスク部形成装置52が、キャンローラ44の周囲において、端部マスク部形成装置54の設置個所よりも、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の走向方向の上流側の箇所に設置されていたが、その反対に、端部マスク部形成装置54を、キャンローラ44の周囲において、分割マスク部形成装置52の設置個所よりも、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の走向方向の上流側の箇所に設置しても良い。何れにしろ、それら分割マスク部形成装置52と端部マスク部形成装置54は、キャンローラ44の周囲において、金属蒸着電極形成装置56の設置個所よりも、キャンローラ44に巻き掛けられた樹脂フィルム12の走向方向の上流側の箇所に設置されておれば良いのである。
【0083】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0084】
10 金属化フィルム 12 樹脂フィルム
13 被覆樹脂層 14 金属蒸着電極
15 亜鉛蒸着膜 16 端部マージン
18a 横分割マージン 18b 縦分割マージン
20 分割電極部 22 ヒューズ部
24,82 金属化フィルム製造装置 26 真空槽
34 排気パイプ 36 真空ポンプ
38 巻出しローラ 40 巻取りローラ
44 キャンローラ 46 冷却機構
50 被覆樹脂層形成装置 52 分割マスク部形成装置
54 端部マスク部形成装置 56 金属蒸着電極形成装置
58 亜鉛蒸着膜形成装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体フィルムに金属蒸着電極を形成してなる金属化フィルムを製造するための装置であって、
前記誘電体フィルムのロールから誘電体フィルムを巻き出す巻出し機と、該ロールから巻き出された誘電体フィルムを巻き取る巻取り機とが内部に設置された真空槽と、
該真空槽内の空気を排出して、該真空槽内を真空状態とする排気手段と、
前記真空槽内に設置されており、前記巻出し機にて前記ロールから巻き出された前記誘電体フィルムが、前記巻取り機に巻き取られる前に巻き掛けられる第一の回転ドラムと、
前記第一の回転ドラムに内蔵されて、該第一の回転ドラムの外周面を冷却する第一の冷却手段と、
前記真空槽内における前記第一の回転ドラムの周囲に設置されており、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた前記誘電体フィルムの外側面に前記金属蒸着電極を形成する第一の金属蒸着電極形成手段と、
前記真空槽内における前記第一の回転ドラムの周囲において、前記第一の金属蒸着電極形成手段の設置個所よりも、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた前記誘電体フィルムの走向方向の上流側の箇所に設置されており、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面への前記金属蒸着電極の形成を阻止するマスク部を、該誘電体フィルムの外側面の幅方向一端部に、その長手方向に連続して延びるように形成する第一の端部マスク部形成手段と、
前記真空槽内における前記第一の回転ドラムの周囲において、前記第一の金属蒸着電極形成手段の設置個所よりも、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた前記誘電体フィルムの走向方向の上流側の箇所に設置されており、前記金属蒸着電極が、前記マスク部にて囲まれて、複数に分割された分割電極部と、それらの複数の分割電極部の隣り合うもの同士を相互に接続するヒューズ部とからなる分割パターンを有するように、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面に、該金属蒸着電極を複数に分割するマスク部を形成する第一の分割マスク部形成手段と、
を含んで構成されていることを特徴とする金属化フィルムの製造装置。
【請求項2】
前記第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの幅方向他端部に位置する前記金属蒸着電極部分に、該誘電体フィルムの長手方向に連続して延びる亜鉛蒸着膜を形成する亜鉛蒸着膜形成手段が、前記真空槽内における該第一の回転ドラムの周囲において、前記第一の金属蒸着電極形成手段の設置個所よりも、該第一の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの走向方向の下流側の箇所に設置されている請求項1に記載の金属化フィルムの製造装置。
【請求項3】
前記第一の回転ドラムから送り出された前記誘電体フィルムが、前記巻取り機に巻き取られる前に、前記金属蒸着電極の形成面を内側にして巻き掛けられる第二の回転ドラムが、その外周面を冷却する第二の冷却手段を内蔵して、前記真空槽内に設置されると共に、該第二の回転ドラムに巻き掛けられた該誘電体フィルムの外側面に前記金属蒸着電極を更に形成する第二の金属蒸着電極形成手段が、該真空槽内の該第二の回転ドラムの周囲に設置され、更に、該第二回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面に、該誘電体フィルムの幅方向一端部において長手方向に連続して延びる前記マスク部を形成する第二の端部マスク部形成手段と、該第二回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの外側面に、該金属蒸着電極を複数に分割する前記マスク部を形成する第二の分割マスク部形成手段とが、該真空槽内における該第二の回転ドラムの周囲において、該第二の金属蒸着電極形成手段の設置個所よりも、該第二の回転ドラムに巻き掛けられた誘電体フィルムの走向方向の上流側の箇所に、それぞれ設置されている請求項1又は請求項2に記載の金属化フィルムの製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−92392(P2012−92392A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240597(P2010−240597)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】