説明

金属化樹脂フィルムおよびそれからなる積層フィルムコンデンサ、多層積層基板およびフレキシブルプリント回路基板

【課題】
電気回路部品の製造において、導電体による電極および配線パターンを、蒸着やスパッタによるシワや熱負荷とそれによるパターンの乱れなく、また蒸着やスパッタ後にエッチングによる廃液や層の欠落による厚みの段差を生成することなく、絶縁体パターンを所望のとおり形成できることで歩留まり低下を防止することができる金属化樹脂フィルム、およびこれを用いた積層フィルムコンデンサ、多層積層基板およびフレキシブルプリント回路基板を提供すること。
【解決手段】
樹脂フィルム上に金属による導電性金属皮膜とその金属化合物からなる絶縁性皮膜が、樹脂フィルム上に積層されており、その厚み差が0nm以上10nm以下であることを特徴とする電気回路部品用金属化樹脂フィルムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空蒸着装置やスパッタにて蒸着される樹脂フィルムに関し、特に金属などの導電性物質を事前のパターン作成・マスキングを経ることなく全面蒸着させてなる電気回路部品の製造において、全面蒸着後のフィルムを薬品へ浸漬することなしに導電体による電極および配線パターンを形成することで、エッチングによる廃液の排出もなく、層の欠落による厚みの段差を生じて積層に支障をきたすこともなく、また蒸着時の熱や搬送によるパターンが乱れることもなく、絶縁性皮膜のパターンを所望のとおり形成できることで、歩留まり低下を防止することができる金属化樹脂フィルム、およびこれを用いた積層フィルムコンデンサ、多層積層基板およびフレキシブルプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器等の発達とともに、安価に製造が可能であり、限られた体積に必要な回路を配置・結線することができる積層性・屈曲性が可能な素材として、絶縁体となる樹脂フィルム上に蒸着層を設けた電気回路部品が多用されている。
【0003】
しかしながら、近年のさらなる電子機器の小型化によって、これら樹脂フィルム上に形成させる導電体パターン(導線とそれからなる回路)と、その間の短絡を防ぎ誘導電流を抑える絶縁体パターンにもとめられる精度がより高まっているとともに、電気回路部品として密着・貼り合わせ・積層・屈曲などにより限られた体積に収められる過程で回路が損傷することも防ぐことが求められる。
【0004】
また、これら電気回路部品の製造において、古くから用いられてきた溶液を用いたエッチング手法は、マスキングパターンの精度だけではなく、そこからの溶出条件による加工寸法のバラツキによってさらにパターンの寸法精度を悪化させ、歩留まり低下の一因となる。加えて、近年の省資源・省エネルギー・廃棄物削減の達成が難しく、環境面およびコスト面でのデメリットも多い。
【0005】
例えば、特許文献1では、アルミニウム電解コンデンサにおいて、導電性のアルミ金属の表面積を広くするためにエッチングを用いて粗面化させ、その金属の表面に誘電体層を設けることが開示されている。
【0006】
特許文献2では、導電体であるチタン箔をエッチングしてマスキング剤を塗布し、陽極酸化を行って、マスキングを剥がすことで得られる積層コンデンサが開示されている。
【0007】
特許文献3では、誘電体セラミック粒子を塗工後、フォトリソグラフィによってパターン化したのち、酸と過酸化水素によるエッチングをおこなって、誘電体パターンの形成を行ったコンデンサや回路材料用の層間絶縁材料、光配線材料が開示されている。
【0008】
特許文献4や特許文献5では、セラミック粉末と感光性高誘電体ペーストで製造されたセラミック積層チップコンデンサーやセラミックス多層基板が開示されている。
【0009】
特許文献6では、層間絶縁のためにやはり高誘電率ペースト組成物を電極上に塗布し、加熱などにより脱溶剤したうえ、金属箔や電極が形成された基板をラミネートし、樹脂重合のための熱処理を行って製造したコンデンサ(キャパシタ)や基板が開示されている。
【0010】
特許文献7では、導電体としての箔だけでなく、誘電体層も形成して転写する技術が開示されている。
【0011】
特許文献8では、電極、抵抗体、誘電体あるいは障壁等の高精度なパターンをスクリーン印刷法により形成して製造した集積回路等が開示されている。
【0012】
特許文献9では、誘電体フィルムに金属薄膜が形成され、電極側端部を波型形状とした金属化フィルムコンデンサが開示されている。
【0013】
そして、特許文献10では、オイルを用いたパターニング方法により、誘電体層上に電気的絶縁部分を形成した積層形フィルムコンデンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−299257号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】国際公開第2008/090985号(特許請求の範囲、第10頁)
【特許文献3】特開2006−004854号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2000−030534号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2005−202387号公報(特許請求の範囲、第3頁)
【特許文献6】特開2009−007558号公報(特許請求の範囲、第3頁、第4頁)
【特許文献7】特開2005−064311号公報(特許請求の範囲、第3頁)
【特許文献8】特開平9−265833号公報(特許請求の範囲、第2頁、第3頁)
【特許文献9】特開2009−147255号公報(特許請求の範囲、第7頁、第10頁)
【特許文献10】特開2007−180199号公報(特許請求の範囲、第5頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし前述の特許文献1では、エッチングとともに原理上電解質溶液を存在させる必要があることから、廃液の発生と部品内の液体の保持による液漏れが避けられない問題がある。
【0016】
特許文献2でも、フッ酸などの強酸を用いての箔表面の粗面化が必要であり、廃液の発生とパターンの加工精度の制御が困難という問題がある。
【0017】
特許文献3でも、酸や酸化剤によるエッチングおよび廃液の発生が避けられず、またリソグラフの精度に加えてエッチングによる精度悪化が避けられない問題がある。
【0018】
特許文献4や特許文献5では、セラミックのため可堯性が求められる工程や用途には適用できず、フォトリソグラフィ技術でパターン化したのちセラミックを焼成する必要があることからパターンの寸法変化も避けられない問題がある。さらに、粒子やペーストでの塗工精度によって、誘電体層の厚みのバラツキを生じ、誘電率の局所的なムラという難点がある。
【0019】
特許文献6では、塗工工程と重合熱処理工程によって、その誘電体層の厚み精度およびそれによる誘電体層の誘電率の局所的なムラが避けられない問題がある。
【0020】
特許文献7では、フォトレジストの塗工が必要である上に、さらに誘電体の塗工が必要であることから、誘電率のムラという難点を抱えている。
【0021】
特許文献8では、スクリーン印刷による回り込みの課題に加え、塗布後の焼成が必要であり、焼成後のパターンの寸法制御が困難という問題がある。また、導電体と誘電体を別々に塗工することにより、電極部分と絶縁体部分の厚みに差が生じ、エッチングによる電極生成時と同様、段差が生じることからこれを積層する際や積層品を加工・屈曲させたときの耐久性に問題がある。
【0022】
特許文献9では、マージン形成のためのマスクを誘電体フィルム上に油を塗布することで作成しているため、その後に蒸着によって高温の導電体蒸気にさらされることにより、誘電体フィルムの寸法変化によるマージン寸法の変化を起こす問題がある。また、マージンとして誘電体フィルム上に導電体層がない部分を設けたことによって、その厚みの段差にともない積層体がその部分で屈曲し積層が乱れるとともに、回路の構成に不可欠な導電体層・誘電体フィルムともに損傷を受けやすくなる問題がある。
【0023】
そして、特許文献10では、蒸着工程での熱負荷によるマージン寸法変化を受ける問題がある。また、切断面からの水分の浸入の遅延や絶縁性能向上のためにリン酸化合物を含む溶液でコンデンサ素子を処理して不動態を形成し、腐食を防止しているが、この不動態層はアルミニウム導体の表面に形成されるのみであり、マージン部分が空隙のままとなることから、前述のような積層の乱れや導電体層・誘電体フィルムの損傷へは対策できていない。
【0024】
そのため本発明は、上述のような電気回路部品の製造において、導電体による電極および配線パターンを、蒸着やスパッタによるシワや熱負荷とそれによるパターンの乱れなく、また蒸着やスパッタ後にエッチングによる廃液や層の欠落による厚みの段差を生成することなく、絶縁体パターンを所望のとおり形成できることで歩留まり低下を防止することができる金属化樹脂フィルム、およびこれを用いた積層フィルムコンデンサ、多層積層基板およびフレキシブルプリント回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するための本発明は以下の特徴を有する。
1) 樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、金属からなる導電性金属皮膜並びに金属化合物からなる絶縁性皮膜が、隣接して積層された金属化樹脂フィルムであり、
前記金属化合物中の金属の元素は、導電性金属皮膜を構成する金属の元素と同一元素であり、
隣接する導電性金属皮膜と絶縁性皮膜との厚み差が、0nm以上10nm以下であることを特徴とする、金属化樹脂フィルム。
2) 前記導電性金属皮膜の厚みが10nm以上1000nm以下であり、
さらに前記絶縁性皮膜の厚みが10nm以上1000nm以下であることを特徴とする、前記1)記載の金属化樹脂フィルム。
3) 前記絶縁性皮膜中の前記金属化合物が、金属のリン酸塩または金属の亜リン酸塩であることを特徴とする、前記1)又は2)に記載の金属化樹脂フィルム。
4) 前記絶縁性皮膜中の前記金属化合物が、金属のリン酸塩または金属の亜リン酸塩であり、
絶縁性皮膜に存在するリンのモル濃度をP、絶縁性皮膜に存在する金属のモル濃度をMe、前記金属のリン酸塩中の金属または前記金属の亜リン酸塩中の金属が取る酸化数をNとした際に、Me/(P・N)が0.5以上4.0以下であることを特徴とする、前記1)又は2)記載の金属化樹脂フィルム。
5) 前記導電性金属皮膜が、銅、アルミニウム、クロム、及びチタンからなる群より選ばれる1つの金属による導電性金属皮膜であることを特徴とする、前記1)から3)のいずれかに記載の金属化樹脂フィルム。
6) 前記樹脂フィルムの樹脂が、ポリオレフィン、又はポリエステルであることを特徴とする、前記1)〜5)のいずれかに記載の金属化樹脂フィルム。
7) 前期1)〜6)のいずれかに記載の金属化樹脂フィルムからなる電気回路部品。
8) 前記1)〜6)のいずれかに記載の金属化樹脂フィルムからなる積層フィルムコンデンサ。
9) 前記1)〜6)のいずれかに記載の金属化樹脂フィルムからなる多層積層基板。
10) 前記1)〜6)のいずれかに記載の金属化樹脂フィルムからなるフレキシブルプリント回路基板。
【発明の効果】
【0026】
このように、本発明の金属化樹脂フィルムによって、特に電気回路部品の製造において、導電体による電極および配線パターンを、蒸着やスパッタによるシワや熱負荷とそれによるパターンの乱れなく、また蒸着やスパッタ後にエッチングによる廃液や層の欠落による厚みの段差を生成することなく、絶縁体パターンを所望のとおり形成できることで歩留まり低下を防止することができる金属化樹脂フィルム、およびこれを用いた積層フィルムコンデンサ、多層積層基板およびフレキシブルプリント回路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明で蒸着フィルムを製造する際に用いられる真空蒸着装置の概略模式図である。
【図2】本発明で形成される絶縁性皮膜表面のSEM像の一例である。
【図3】本発明で絶縁性皮膜を形成させる前の導電性金属皮膜表面のSEM像の一例である。
【図4】本発明で形成される樹脂フィルム上の導電性金属皮膜および絶縁性皮膜の配置の模式図である。
【図5】従来の方法で樹脂フィルムに導電性金属皮膜が配置された模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の金属化樹脂フィルムの実施の形態について説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
【0029】
本発明は、樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、金属からなる導電性金属皮膜、並びに金属化合物からなる絶縁性皮膜が、隣接して積層された金属化樹脂フィルムであり、前記金属化合物中の金属の元素は、導電性金属皮膜を構成する金属の元素と同一元素であり、隣接する導電性金属皮膜と絶縁性皮膜との厚み差が、0nm以上10nm以下であることを特徴とする、金属化樹脂フィルムである。なお金属化樹脂フィルムとは、樹脂フィルムに導電性金属皮膜が全面または一部に積層された態様を意味するものとする。
【0030】
本発明の金属化樹脂フィルムは、樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、金属からなる導電性金属皮膜が積層されることが重要である。ここで、金属からなる導電性金属皮膜とは、金属の性質に由来して導電機能を有する薄膜である。そして後述する通り、本発明でいう導電性金属皮膜とは、表面抵抗値が0.4MΩ/□未満のものを意味する。樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、金属からなる導電性金属皮膜を積層するためには、金属を蒸着やスパッタすることなどによって形成することができる。
【0031】
導電性金属皮膜を構成する金属としては、導電機能を有すれば特に限定されないが、後述する理由で銅、アルミニウム、クロム、及びチタンからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、より好ましくは銅である。
【0032】
本発明の金属化樹脂フィルムは、樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、前記導電性金属皮膜だけでなく、その金属化合物からなる絶縁性皮膜が、導電性金属皮膜と隣接して積層されていることが重要である。ここで、金属化合物からなる絶縁性皮膜とは、金属化合物の性質に由来して絶縁機能を有する薄膜であれば特に限定されないが、例えば前述の導電性金属皮膜が化学反応により導電性を失って金属化合物に変換されることで形成することができるものである。そして後述する通り、本発明でいう絶縁性皮膜とは、表面抵抗値が0.4MΩ/□以上のものを意味する。また隣接とは、導電性金属皮膜と絶縁性皮膜が、図4に示すように隣り合って配置されていることを意味する。
【0033】
本発明の金属化樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、金属化合物からなる絶縁性皮膜を、導電性金属皮膜と隣接した位置に形成する方法としては、特に限定されないが、後述する導電性金属皮膜に対してリン系水溶液を印刷して、導電性金属皮膜の一部分を絶縁性皮膜に変換する方法が好ましい。このため、本発明の絶縁性皮膜を構成する金属化合物としては、該金属化合物中の金属の元素が、前述の導電性金属皮膜を構成する金属の元素と同一元素であることが重要である。
【0034】
また絶縁性皮膜を構成する金属化合物としては、前述の通り絶縁性皮膜の金属化合物中の金属元素と、導電性金属皮膜を構成する金属元素とが、同一元素でありさえすれば、特に限定されない。そして絶縁性皮膜の金属化合物は、金属のリン酸塩や亜リン酸塩であることが好ましい。絶縁性皮膜を構成する金属化合物を、金属のリン酸塩や亜リン酸塩にすることで、化学的に安定であり、各皮膜厚の段差を抑えたまま(つまり、導電性金属皮膜と絶縁性皮膜の膜厚差を抑えたまま)、導電性金属皮膜の一部を絶縁性をもつ良好な誘電体に変化させることができるために好ましく、特に好ましくは絶縁性皮膜を構成する金属化合物が、金属のリン酸塩または金属の亜リン酸である態様である。
【0035】
また本発明の金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜は、その表面抵抗値が0.4MΩ/□未満であるものを意味し、好ましくは1Ω/□、より好ましくは、0.1Ω/□未満であると良好な導電性が得られる。1mΩ/□未満の場合、電流制御の面で、支障が出るので、導電性金属皮膜の表面抵抗値の下限は1mΩ/□程度である。
【0036】
また、本発明の金属化樹脂フィルムの絶縁性皮膜は、その表面抵抗値が0.4MΩ/□以上であるものを意味し、好ましくは1MΩ/□以上、さらに好ましくは、30MΩ/□以上であると、絶縁性が良好である。100MΩ/□を越える場合、絶縁性皮膜が弱くなるので、絶縁性皮膜の表面抵抗値の上限は100MΩ/□程度である。
【0037】
導電性金属皮膜と絶縁性皮膜の表面抵抗値をこのように制御することにより、本発明の金属化樹脂フィルムを電気回路部品用途等に好適に使用することができるために重要である。
【0038】
また本発明の金属化樹脂フィルムを積層フィルムコンデンサに用いる場合には、絶縁性皮膜は、誘電体としての性質を有することが好ましい(つまり、絶縁性皮膜が絶縁性誘電体皮膜であることが好ましい。)。 本発明の金属化樹脂フィルムは、樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、隣接して前記導電性金属皮膜並びに前記絶縁性皮膜が積層されていることにより、本発明の金属化樹脂フィルムを電気回路部品用途に使用することが可能となる。
【0039】
本発明の金属化樹脂フィルムは、樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、前記導電性金属皮膜、並びに、前記絶縁性皮膜が、隣接して積層されていればよく、樹脂フィルムの両面に、前記導電性金属皮膜、並びに、前記絶縁性皮膜が隣接して積層されている態様も含みえるが、樹脂フィルムそのものを誘電体として電気回路部品として機能させるためには、樹脂フィルムの一方の面にのみ、前期導電性金属皮膜ならびに絶縁性皮膜が隣接して積層されていることが好ましい。
【0040】
本発明の金属化樹脂フィルムは、導電性金属皮膜の厚みが10nm以上1000nm以下であり、絶縁性皮膜の厚みも10nm以上1000nm以下であることが好ましい。導電性金属皮膜及び絶縁性皮膜の厚みを各々10nm以上1000nm以下にすることで、本発明の金属化樹脂フィルムを電気回路部品等に好適に使用することができるためである。
【0041】
また本発明の金属化樹脂フィルムは、導電性金属皮膜と絶縁性皮膜との皮膜の厚み差が小さいことが重要であり、具体的には隣接する導電性金属皮膜と絶縁性皮膜との厚み差が、0nm以上10nm以下であることが重要である。隣接する導電性金属皮膜と絶縁性皮膜との厚み差は、より好ましくは0nm以上5nm以下である。このように隣接する皮膜の厚み差を0nm以上10nm以下とすることで、厚み段差に基づく屈曲を抑制することができるために重要である。
【0042】
導電性金属皮膜の厚みを10nm以上1000nm以下として樹脂フィルム上に形成すれば、続いて行なわれる後述する導電性金属皮膜上へリン酸系水溶液を印刷する製造方法により、導電性金属皮膜の厚み方向の全体にわたって、導電性金属皮膜が絶縁性皮膜となるよう反応を完結させることができ、絶縁体パターンとして機能させることができる。そのため、絶縁性皮膜の厚みを10nm以上1000nm以下に制御するためには、導電性金属皮膜の厚みを10nm以上1000nm以下とすることが好ましい。なお、後述する導電性金属皮膜上へリン酸系水溶液を印刷する製造方法によれば、導電性金属皮膜と絶縁性皮膜との厚み差を小さくすることができる(つまり、皮膜の厚み差を0nm以上10nm以下にすることができる)点でも優れる。この導電性金属皮膜上へリン酸系水溶液を印刷する製造方法によって、導電性金属皮膜と絶縁性皮膜との厚み差を特に小さくしたい場合には、導電性金属皮膜に塗布するリン酸系水溶液の濃度および量を調整することや、反応時間を調整することが重要である。
【0043】
また、導電性金属皮膜及び絶縁性皮膜は、樹脂フィルムの少なくとも一方の面に積層されていることが重要であるが、導電性金属皮膜と樹脂フィルムとの間、及び絶縁性皮膜と樹脂フィルムとの間には、密着性を向上させるために他の樹脂層を介することもできる。
【0044】
本発明の金属化樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの少なくとも一方の面に積層された導電性金属皮膜及び絶縁性皮膜は、回路パターンを形成していることが好ましい。導電性金属皮膜及び絶縁性皮膜とが回路パターンを形成することにより、本発明の金属化樹脂フィルムを電気回路部品用途に好適に使用することができる。導電性金属皮膜及び絶縁性皮膜とからなる回路パターンを作成するためには、後述する導電性金属皮膜に対してリン系水溶液を印刷する本発明の製造方法において、回路パターンとなるようにリン系水溶液を印刷することにより可能である。
【0045】
また、本発明の金属化樹脂フィルムの基材となる樹脂フィルムの態様については、後述する。
【0046】
続いて、本発明の金属化樹脂フィルムの製造方法について説明する。
【0047】
樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、金属からなる導電性金属皮膜を積層するには、前述のとおり銅などの金属を蒸着やスパッタすることなどにより可能である。
【0048】
本発明の金属化樹脂フィルムが有する絶縁性皮膜は、蒸着やスパッタ等によって樹脂フィルムの少なくとも一方の全面に積層された導電性金属皮膜に対して、リン酸、亜リン酸、それらが縮合したピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸などの縮合リン酸、またはそれらの塩や、酸/塩混合物の水溶液(以下、これらを総称してリン酸系水溶液と呼ぶ)を印刷することで形成することが好ましい。導電性金属皮膜に対して、リン酸系水溶液を印刷する手段としては、スクリーン印刷手段のほか、インクジェット方式の印刷手段、ロール転写方式の印刷手段などを用いることができる。
【0049】
このような印刷によって、導電性金属皮膜に塗布されたリン酸系水溶液は、蒸着やスパッタにより結晶格子欠陥をもつ導電性金属皮膜を浸透していき、導電性金属皮膜を構成する金属のリン酸塩や亜リン酸塩を形成するとともに、水素イオンと大気中の酸素による酸化によって酸化物を形成して、金属状態での自由電子を失うことにより金属光沢を失うとともに、導電性を失った絶縁性皮膜に変化する。つまり本発明の金属化樹脂フィルムは、絶縁性皮膜を構成する金属化合物が、金属のリン酸塩または金属の亜リン酸塩であることが好ましい。
【0050】
圧延による箔ではなく、蒸着やスパッタによって形成された金属からなる導電性金属皮膜においては、その格子欠陥を通じて深く基材となる樹脂フィルムにまで印刷塗布したリン酸系水溶液および水素イオンが達し、導電性金属皮膜の全厚が絶縁性皮膜となることによって回路パターンが形成されるとともに、光学的にも金属光沢の無い絶縁体パターンを得ることができる。
【0051】
樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、蒸着やスパッタによって金属からなる導電性金属皮膜を設けるには、図1に模式的に示されるような蒸着装置やスパッタ装置が広く適用可能であり、圧延による金属箔の貼り合わせに比べ、高速で均一に積層・密着された導電性金属皮膜を得やすい。そして、基材である樹脂フィルム上に積層された金属からなる導電性金属皮膜を10nm以上1000nm以下とすることによって、その後のリン酸系水溶液の印刷により、厚み方向に導電性金属皮膜全体が絶縁性皮膜となるよう反応を完結させることができ、リン酸系水溶液を回路パターンとなるように印刷すれば、絶縁体パターンとして機能させることができる。圧延による金属箔の場合、圧延による金属原子の配列が稠密となり、基材と導電性皮膜との界面までリン酸系水溶液による反応が達せず、厚み方向に層全体を絶縁性皮膜とさせる反応が完結しない。
【0052】
厚み方向に層全体が絶縁性皮膜となることにより、基材となる樹脂フィルムが積層された隣の層との絶縁性皮膜および誘電層として機能するのに加え、同一層の中で隣接した導電体(導線)の間の絶縁体層および誘電体層としても機能する。たとえば、上述のリン酸系水溶液を用いた製造方法により得られる金属のリン酸塩・亜リン酸塩や酸化物は誘電性が特に良好であることから、コンデンサとしては静電容量のさらなる向上、積層基板やフレキシブルプリント回路基板では導線間の絶縁とともに隣接する導線間での電磁相互作用によるノイズの低減、さらには層間を誘電体層が物理的に支持することによる積層回路の密着性・均一性・可堯性の維持が可能となる。
【0053】
印刷によって、導電性金属皮膜に塗布されたリン酸系水溶液によって形成された金属化合物(リン酸塩・亜リン酸塩や酸化物)は、化学的に安定な絶縁性皮膜となることから、そのようにして形成された本発明の金属化フィルムをフレキシブルプリント回路基板とした場合に、該絶縁性皮膜は、導電性金属皮膜からなる導電体との界面における腐食を抑制する効果も発揮する。これにより、層内での(導電性金属皮膜からなる)導電体と(絶縁性皮膜からなる)絶縁体との界面は化学的にも物理的にも安定に維持され、形成された回路パターンが安定に存在できる。
【0054】
このような絶縁性皮膜となる金属化合物(リン酸塩・亜リン酸塩や酸化物)の生成において、塩酸・硫酸・硝酸・亜硝酸のような強酸、第1属元素や第2属元素の水酸化物のような強塩基、カルボン酸のような有機酸、アンモニアやアミンのような有機塩基を、導電性金属皮膜に塗布した場合、生成した金属塩が水溶性となって絶縁性皮膜が残らないことや、残存しても化学的に不安定な塩であるための物理的な強度不足、および導電体・絶縁体の界面での腐食が止まらないことによる回路パターンの損傷が生じる。
【0055】
本発明で形成される絶縁性皮膜においては、絶縁性皮膜に存在するリンのモル濃度をPとして、絶縁性皮膜に存在する金属のモル濃度をMeとした際に、これらの比Me/Pから、該絶縁性皮膜に存在する金属のリン酸塩中の金属が取る酸化数又は該絶縁性皮膜に存在する金属の亜リン酸塩中の金属が取る酸化数をNとした際に、該Nを除した、Me/(P・N)が、0.5以上4.0以下であることが好ましい。リンが少なくMe/(P・N)が4.0より大きくなると、化学的に安定なリン酸塩または亜リン酸塩ではなく、水和した水酸化物やその脱水により生成した酸化物が多くなり、物理的強度が確保できない。また、リンが多くMe/(P・N)が0.5より小さい場合は、リン酸系水溶液との反応が未完了である部分が残存し十分な絶縁性や誘電性が確保できない。さらに好ましいMe/(P・N)は、1.0以上3.5以下である。なお後述するように、銅からなる導電性金属皮膜に対して、リン酸系水溶液を塗布して、金属化合物からなる絶縁性皮膜を形成した場合、該金属化合物は酸化数N=1の銅化合物(銅のリン酸塩・亜リン酸塩)が形成され、アルミニウムからなる導電性金属皮膜に対して同様にした場合、該金属化合物は酸化数N=3のアルミニウム化合物(アルミニウムのリン酸塩・亜リン酸塩)が形成され、クロムからなる導電性金属皮膜に対して同様にした場合、該金属化合物は酸化数N=3のクロム化合物(クロムのリン酸塩・亜リン酸塩)が形成され、チタンからなる導電性金属皮膜に対して同様にした場合、該金属化合物は酸化数N=4のチタン化合物(チタンのリン酸塩・亜リン酸塩)が形成される。
【0056】
また、Me/(P・N)を0.5以上4.0以下に調整するための方法は、導電性金属皮膜に塗布するリン酸系水溶液の濃度および量を調整することや反応時間を調整する方法を挙げることができる。
【0057】
本発明で用いられる導電性金属皮膜を構成する金属は、リン酸系水溶液によって生成する塩や酸化物の化学的安定性から、銅、アルミニウム、クロム、チタンであることが好ましい。特に、銅は安価に良好な電気伝導度が得られると同時に、リン酸系水溶液による反応が良好であり、酸化数Nが1(銅イオンのイオン価数が1)であるリン酸銅(I)が得られ、反応によって生じる銅イオンを有する塩や酸化物が化学的に安定であり好ましい。例えば、リン酸銅(I)や水酸化銅(II)、空気中の酸素や二酸化炭素によって脱水変性した酸化銅(I,II)や炭酸銅(II)またはそれら水酸化物と炭酸塩の混合物(緑青)などが存在する絶縁性皮膜を形成する。同様に、アルミニウムは蒸着によって簡便安価に樹脂フィルム上に層を形成できるとともに、リン酸系水溶液による生成物(ベーマイトやバイヤライトなど)がpH4〜8近辺で化学的に安定に存在する上、誘電率が良好であることから、絶縁体・および誘電体の層として用いたときに電気的性能の面からより好ましい。例えば、酸化数Nが3(アルミニウムイオンのイオン価数が3)であるリン酸アルミニウムや水酸化アルミニウム、そして水酸化アルミニウムが脱水して生じる酸化アルミニウムなどが存在する絶縁性皮膜を形成する。
【0058】
図2は、銅スパッタにより積層した導電性金属皮膜に、リン酸系水溶液を塗布して得られる絶縁性皮膜のSEM(走査電子顕微鏡)像である。5μmから50μmほどの大きさを持つ絶縁体が、粒状となって均一に並んでいるとともに、曲率をもった粒子がその間に空隙を維持して、基材界面に向かって厚み方向に反応を進めるのを可能にするとともに、反応完了後にも生成した粒子が互いに接触し移動せず、物理的に安定した皮膜を維持している。図3は、塗布せずに残存させた導電性金属皮膜部のSEM像である。これらから、図2のような絶縁性皮膜に見られる構造はリン酸系水溶液との反応により形成されるものであることが確認される。
【0059】
本発明の金属化樹脂フィルムを、積層フィルムコンデンサ用途に用いる際には、樹脂フィルムの厚みが5.0μm以下であることが好ましい。5.0μmを超える厚みの樹脂フィルムを用いて金属化フィルムを製造すると、そもそも誘電体としての厚みが大きく単位面積あたりのコンデンサの静電容量を下げるのに加え、同一体積内に巻き込める巻き数も少なくなることからコンデンサの体積削減ができない。
【0060】
このようなコンデンサの大容量化、およびサイズ縮小の観点から、誘電体となる熱可塑性樹脂フィルムは5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下であり、2.0μm以下であればより顕著な効果が得られ好ましい。しかし、0.5μm未満の場合は、樹脂フィルムを製造する際、ハンドリング性が著しく悪化する為、下限としては0.5μm程度である。
【0061】
本発明の金属化樹脂フィルムを多層積層基板やフレキシブルプリント回路基板に用いる場合、積層体の小型化の観点からは、上記フィルムコンデンサと同様の厚みの樹脂フィルムが好適に用いられる。従来の回路基板の構成では、導電体と隣接する積層膜がないので、屈曲や回路形成時の磨耗を防ぐ為に、保護層として20μm以上のカバーレイ層を設ける必要があったが、本願の金属化樹脂フィルムを用いた場合は、(導電性金属皮膜からなる)導電体と隣接する(絶縁性皮膜からなる)絶縁体があるので、屈曲強度や耐摩耗性が向上し、カバーレイ層の厚みを小さく出来る。
【0062】
また、本発明の金属化樹脂フィルム中の樹脂フィルムに用いられる樹脂は、溶液製膜されるポリイミドやポリアミド、ポリアラミドも含め、分子配向により高強度フィルムとなる樹脂を使用したものであれば特に限定しないが、延伸による薄膜化や強力化を適用できる点から、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。ポリフェニレンサルファイド(PPS)などのポリアリーレンスルフィドやポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリングプラスチックをフィルム化したものも使用可能であるが、溶融製膜における延伸の容易さや強度制御および価格面で、ポリオレフィンやポリエステルであることが更に好ましい。
【0063】
樹脂フィルムとしてポリオレフィンフィルムを用いる場合には、特に、延伸後フィルムの物性に影響する立体規則性の改善のため、炭素数が2〜4のオレフィンを用いて得られるポリオレフィンとすることで、取りうるコンフォメーションの数や組み合わせを減らすことができるために有効である。特に、フィルム製造での延伸性や価格面から、ポリプロピレンホモポリマーやエチレンとのランダム共重合ポリプロピレンが、樹脂フィルムの樹脂として好適に用いられる。
【0064】
電気回路部品に求められる耐熱性および耐電圧性の向上のためには、沸騰ヘプタン不溶部のアイソタクチック・ペンダット分率を0.955以上と立体規則性を高めたり、沸騰ヘプタン不溶部のラセミペンダット分率を0.01以下としたり、灰分量や塩素分をそれぞれ40質量ppm以下、2質量ppm以下とするなど、立体規則性の向上や不純物の減少の手段をとることができる。
【0065】
樹脂フィルムとしてポリエステルフィルムを用いる場合には、樹脂は芳香族系ポリエステルであることが好ましい。これは、分子間力を生みやすい芳香環を有するほうが、芳香環のπ電子間に生じる分子間力の割合を制御して強力化できるためである。例えば、主としてベンゼン環やテレフタル酸など単環式芳香族基を、または主としてナフタレン環やナフトエ酸など二環式芳香族基を主鎖骨格にもつポリエステルであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどからなることが好ましい。さらには、薄膜成型の容易性や製造コスト、および市場価格の面で、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0066】
エチレンテレフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどのジオール成分、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカンジオン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが使用できる。さらに、エステル結合を生成するモノマーとして、ジカルボン酸成分、ジオール成分以外に、カルボキシル基とヒドロキシ基を一分子内に有するモノマーである、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸を共重合せしめることができる。これら共重合ポリマーの構成モノマー分率はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)などの分光法を用いて調べることができる。
【0067】
本発明の基材として用いられる樹脂フィルムの製造法を、以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
本発明における樹脂フィルムの樹脂としてポリオレフィンを用いる場合は、次の方法で製造することができる。例えば、エチレンやプロピレンなどのオレフィンを水素とともに遷移金属触媒の存在下に供給して付加重合させ、得られたスラリーを失活させたのち、重合触媒除去のための洗浄や脱ハロゲン処理を行う方法等がある。この際、反応触媒としては、クロム系のフィリップス触媒や、チタン系のチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒などが用いられる。さらには、有機アルミニウム化合物やハロゲン化マグネシウムなどの担体上に三塩化チタンまたは四塩化チタンを担持させたものを触媒として用いることが好ましい。灰分の減少のためには、重合触媒の除去のために、重合して得られたポリオレフィンを液状のプロピレン、ブタン、ヘキサンまたはヘプタンなどで洗浄する方法が好ましい。このとき、水、アルコール化合物、ケトン化合物、エーテル化合物、エステル化合物、アミン化合物、有機酸化合物または無機酸化合物などを添加してチタンやマグネシウムなどの触媒成分を可溶化し、抽出しやすくしてもよい。また、水またはアルコールなどの極性化合物で洗浄することも好ましい。また、塩素分の減少のために重合後に脱ハロゲン処理をすることが好ましい。特に、エポキシ化合物を用いた脱ハロゲン処理が好ましく、エポキシ化合物としては、たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイドまたはシクロヘキセンオキサイドなどのアルキレンオキサイドあるいはグリシジルアルコール、グリシジル酸またはグリシジルエステルなどが好適に用いられる。
【0069】
本発明における樹脂フィルムの樹脂としてポリエステルを用いる場合は、次の方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。この際、必要に応じて、反応触媒としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物を用いることもできる。
【0070】
本発明における樹脂フィルムの樹脂がポリオレフィンやポリエステルには、必要に応じて、着色防止剤(リン化合物)、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤、あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。
【0071】
ポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルムは、強力化や強度制御のために二軸方向に延伸されたフィルムを適用でき、フィルムを二軸延伸する場合の方法は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法であってもよい。逐次二軸延伸法の場合、例えば、熱可塑性樹脂をTダイ押し出し法によってキャストドラム上に押し出すことによって未延伸フィルムとし、次いで、縦方向、横方向の順に延伸するのが一般的であるが、横方向、縦方向の順に延伸してもよい。同時二軸延伸法の場合、例えば、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法等いずれの延伸方式を採用しても良いが、製膜安定性、厚み均一性の点からステンター同時二軸延伸法が好ましい。ポリエステルを例にとれば、延伸温度は、延伸に用いるポリエステルのガラス転移温度(Tg)と昇温結晶化温度(Tcc)との間であることが好ましい。
【0072】
延伸倍率は特に限定されるものではなく、用いるフィルムポリマの種類によって適宜決定される。例えば、ポリオレフィンでは延伸倍率(縦×横の面倍率)として30倍〜80倍が適用可能であり、縦延伸倍率として4.5〜9倍、横延伸倍率として7〜11倍が好ましく用いられる。ポリエステルでは、好ましくは縦、横それぞれ2〜8倍、より好ましくは3〜8倍が適当である。また、二軸延伸後、縦または横、あるいは縦横に再延伸してもかまわない。
【0073】
さらに、易滑性を付与するために、樹脂フィルムの表面粗さを形成する手段として、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子や、アクリル酸系ポリマー類、シリコーンや架橋ポリスチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合することもできる。これら有機粒子の場合には、架橋による強力化がされた粒子も好適に用いることができる。また、ポリエステルの場合、重合反応時に添加する触媒等が失活して形成される、いわゆる内部粒子による方法も用いることができる。
【0074】
重合段階でこれらの粒子を添加する場合、分散が良好でないと樹脂フィルム表面の粗大突起の原因となり、絶縁抵抗、耐電圧性に悪影響を及ぼすことがある。例えば、これらの不活性粒子をエチレングリコールのスラリーとした後、ジェットアジタによる分散やメディヤ分散を行い、さらに濾過により粗大粒子を除去した後、重合反応過程に添加することが効果的である。
【0075】
また、樹脂フィルム上にプライマー層を設ける場合には、プライマー層に粒子を添加し目的の表面を形成することもできる。
【0076】
本発明の金属化樹脂フィルムは、少なくとも一方の面に、導電性金属皮膜と絶縁性皮膜を隣接して有しており、それをパターン化することができるので、電気回路部品、積層フィルムコンデンサ、多層積層基板、フレキシブルプリント回路基板に好適に用いる事ができる。
【実施例】
【0077】
以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚実施例は本発明の一例を示すものであり、この方法に限定されるものではない。
【0078】
(1)樹脂フィルムの厚み
フィルムの長手幅方向に約100mm、幅方向は全幅にわたる試験片を10枚とり、これを重ね合わせて幅方向10箇所を等間隔に外側マイクロメーター(JISB7502−1994)を用いて測定し、その平均値をフィルム枚数10で除した値をフィルム厚みとした。
【0079】
(2)皮膜厚み測定
金属化樹脂フィルムを試料として、下記条件にて断面観察を行い、得られた合計9点の厚み[nm]の平均値を算出し、皮膜の厚み[nm]とする。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−800型
測定条件:加速電圧 150kV
測定倍率:10万倍
試料調整:超薄膜切片法
測定回数:1視野につき3点、3視野を測定する。
なお、導電性金属皮膜と絶縁性皮膜の厚みは、互いに隣接する皮膜について測定を行った。
【0080】
(3)含有モル濃度比Me/(P・N)の測定
株式会社堀場製作所EDX(エネルギー分散型X線検出器)/EMAX−7000を備えた株式会社日立製作所製SEM(走査電子顕微鏡)/S−4000を用い、樹脂フィルム上の金属化合物による絶縁性皮膜の定性分析及び定量分析を実施した。なお、リンのモル濃度及び金属のモル濃度は、試料中の質量を原子量で割った値とした。
・測定範囲:100μm径
・X線照射時間:100秒
なお、金属の酸化数Nは、次のように決定した。
絶縁性皮膜において、リンと共に金属として銅が検出された場合は酸化数N=1、リンと共に金属としてアルミニウムが検出された場合は酸化数N=3、リンと共に金属としてクロムが検出された場合は酸化数N=3、リンと共に金属としてチタンが検出された場合は酸化数N=4とした。
【0081】
(4)マージン精度、コンデンサ製造時の素子巻き評価
抵抗加熱型金属蒸着装置を用い、真空室の圧力を10−2Pa以下として、ポリエステルフィルムの片面に、表面抵抗が0.3Ω/□となるように銅を真空スパッタして巻き取った。その後、任意濃度の亜リン酸水溶液を、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状(導電性金属皮膜の幅8.00mm、絶縁性皮膜部の幅1.00mmの繰り返し)となるように印刷した。
【0082】
なお、フィルムロールは、製造後、蒸着工程にかけるまでの間、外部からの水分が侵入しないように防湿包装を施した。上記により得られた金属化樹脂フィルムを左または右に幅0.50mmのマージン部を有する4.50mm幅のテープ状にスリットした。この際、絶縁性皮膜部分であるマージン幅を長手方向に20cmおきに5m測定し、マージン幅の最大、最小値から、下記のような基準でマージン精度を評価した。
【0083】
(マージン幅範囲) (マージン精度)
0.50±0.15 超高精度 ランクA
0.50±0.20 高精度 ランクB
0.50±0.25 精度不良 ランクF(不良)
得られた左マージンおよび右マージンの金属化樹脂フィルム各1枚ずつを併せて巻回し、巻回体を得た。このとき、幅方向に導電性金属皮膜部分が0.50mmずつはみ出すように2枚のフィルムをずらして巻回した。素子巻回には皆藤製作所製KAW−4NHBを用いた。この巻回体から芯材を抜いて、そのまま150℃、10kg/cmの温度、圧力で5分間プレスした。この両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型コンデンサ素子を得た。
【0084】
上記のコンデンサの製造の際、巻き始めから巻き終わりまでを目視で観察し、しわやずれが発生したものを不合格とし、不合格となったものの数の製造数全体に対する割合を百分率で示し加工性の指標とした(以下、素子巻収率と称する)。素子巻収率は高いほど好ましい。
95%以上 ランクA(最適)
85%以上95%未満 ランクB(良好)
85%未満 ランクF(不良)
(5)絶縁性皮膜評価
得られた絶縁性皮膜は、光学顕微鏡による目視にて下記のような評価を行った。
マージン部全体に金属化合物が認められる ランクA
マージン部の一部に金属化合物の凝集が認められる ランクB
マージン部に樹脂フィルムが露出する段差が認められる ランクF(不良)
(6)抵抗指数評価
絶縁性皮膜の抵抗指数は、表面抵抗値を表面抵抗測定器(シムコジャパン(株)製、ワークサーフェイステスターST-3)を用いて測定し、下記の判定基準で評価した。なお、前項の絶縁性皮膜評価でランクFのものは皮膜が抜けていることから、皮膜の抵抗指数が測定不能とした。
0.4MΩ/□以上 ランクA
0.4MΩ/□未満 ランクF(不良)
(実施例1)
ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。重合段階に平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子をポリマーあたり0.5質量%になるように、公知の方法で添加しチップを製造した。
【0085】
このチップを165℃で真空乾燥し、押出機に供給し、285℃で溶融させた後、スリット間隙を形成する一対のリップを持ち一方のリップにスリット幅方向に沿って配列された複数のスリット間隙調整用ボルトが設けられた口金を通して吐出させシート化し、表面温度25℃の冷却キャンにてキャストした。
【0086】
このフィルムをステンター法同時二軸延伸により、108℃に加熱し長手方向に3.5倍延伸、108℃で幅方向に3.8倍に延伸し、引き続き235℃で長手方向に1.0%、幅方向に1.8%弛緩処理をし、その後さらに200℃で長手方向に1.5%、幅方向に2.7%の弛緩処理をすることで、1.55μmの二軸延伸フィルム原反を得た。
【0087】
上記条件で製造した二軸延伸フィルムの片面に表面抵抗が0.3Ω/□となるように銅を真空スパッタした後、0.3wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成した(処理温度25℃、処理時間4時間)。前記マージンは、前記濃度の亜リン酸水溶液をインクジェットの液溜めに8.75ml投入し、印刷した。なお、残存した亜リン酸水溶液は帆布に吸着させ、除去した。得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、100nmであり、絶縁性皮膜の厚みは102nmであった。このスパッタフィルムを左または右に幅0.5mmのマージン部を有する4.5mm幅のテープ状になるようスリットし、70本のテープ状スリット品を採取した(以後、リールサンプルと称す)。その後、巻回してコンデンサを得た。一つのリールサンプルのマージン幅の最大値は0.62mm、最小値は0.38mmであり、素子巻収率が98%であった。
(実施例2)
実施例1と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成した。銅を実施例1と同様に真空スパッタした後、0.03wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間4時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、99nmであり、絶縁性皮膜の厚みは100nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。これらの結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例1と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成した。銅を実施例1と同様に真空スパッタした後、0.5wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間4時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、100nmであり、絶縁性皮膜の厚みは104nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。これらの結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成した。銅を実施例1と同様に真空スパッタした後、1.0wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間4時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、98nmであり、絶縁性皮膜の厚みは103nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。これらの結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成した。銅を表面抵抗が0.013Ω/□となるように銅を真空蒸着して巻き取った。0.01wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間12時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、800nmであり、絶縁性皮膜の厚みは803nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。これらの結果を表1に示した。
(実施例6)
実施例1と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成した。アルミニウムを表面抵抗が0.021Ω/□となるように真空蒸着して巻き取った。0.01wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間12時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは70nmであり、絶縁性皮膜の厚みは72nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。これらの結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成した。銅を実施例1と同様に真空スパッタした後、0.01wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間4時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、99nmであり、絶縁性皮膜の厚みは99nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。一つのリールサンプルのマージン幅の最大値は、0.76mm、最小値は0.24mmと許容幅を超える大きな変動を生じており、素子巻収率は80%と低かった。実施例5の銅蒸着品よりも銅金属膜厚が厚く、マージン部に未反応の金属層が残存し、絶縁性が不十分であった(抵抗指数評価において「F」評価となっている通り表面抵抗値が0.4MΩ/□未満のため、比較例1には本発明でいう絶縁性皮膜が形成されていなかった。)。
(比較例2)
実施例1と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成した。銅を実施例1と同様に真空スパッタした後、3.0wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間12時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、100nmであり、絶縁性皮膜の厚みは115nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。マージン部の表面に凹凸が発生して、マージン精度が悪くなり、素子巻収率が低下した。
(比較例3)
実施例1と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成した。銅を表面抵抗が0.013Ω/□となるように銅を真空蒸着して巻き取った。0.3wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間12時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、801nmであり、絶縁性皮膜の厚みは770nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。マージン部の表面に凹凸が発生して、マージン精度が悪くなり、素子巻収率が低下した。
(比較例4)
実施例6と同原料・同条件で二軸延伸フィルムを作成し、アルミニウムを表面抵抗が0.021Ω/□となるように真空蒸着して巻き取った。0.3wt%亜リン酸水溶液でマージンを形成し(処理温度25℃、処理時間12時間)、得られた金属化樹脂フィルムの導電性金属皮膜の厚みは、72nmであり、絶縁性皮膜の厚みは55nmであった。実施例1と同様な方法でコンデンサを得、リールサンプルのマージン幅および素子巻収率を評価した。マージン部の表面に凹凸が発生して、マージン精度が悪くなり、素子巻収率が低下した。
【0088】
【表1−1】

【0089】
【表1−2】

【符号の説明】
【0090】
1:真空蒸着装置
2:真空チャンバ
3:巻出しロール部
4:ポリエステルフィルム
5:ガイドロール
6:冷却キャン
7:蒸着チャンバ
8:巻取りロール部
9:金属材料
10:電子銃
11:電子ビーム
12:るつぼ
21:樹脂フィルム
22:導電性金属皮膜
23:絶縁性皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、金属からなる導電性金属皮膜並びに金属化合物からなる絶縁性皮膜が、隣接して積層された金属化樹脂フィルムであり、
前記金属化合物中の金属の元素は、導電性金属皮膜を構成する金属の元素と同一元素であり、
隣接する導電性金属皮膜と絶縁性皮膜との厚み差が、0nm以上10nm以下であることを特徴とする、金属化樹脂フィルム。
【請求項2】
前記導電性金属皮膜の厚みが10nm以上1000nm以下であり、
さらに前記絶縁性皮膜の厚みが10nm以上1000nm以下であることを特徴とする、請求項1記載の金属化樹脂フィルム。
【請求項3】
前記絶縁性皮膜中の前記金属化合物が、金属のリン酸塩または金属の亜リン酸塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属化樹脂フィルム。
【請求項4】
前記絶縁性皮膜中の前記金属化合物が、金属のリン酸塩または金属の亜リン酸塩であり、
絶縁性皮膜に存在するリンのモル濃度をP、絶縁性皮膜に存在する金属のモル濃度をMe、前記金属のリン酸塩中の金属または前記金属の亜リン酸塩中の金属が取る酸化数をNとした際に、Me/(P・N)が0.5以上4.0以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属化樹脂フィルム。
【請求項5】
前記導電性金属皮膜が、銅、アルミニウム、クロム、及びチタンからなる群より選ばれる1つの金属による導電性金属皮膜であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の金属化樹脂フィルム。
【請求項6】
前記樹脂フィルムの樹脂が、ポリオレフィン、又はポリエステルであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属化樹脂フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属化樹脂フィルムからなる電気回路部品。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属化樹脂フィルムからなる積層フィルムコンデンサ。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属化樹脂フィルムからなる多層積層基板。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属化樹脂フィルムからなるフレキシブルプリント回路基板。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−201189(P2011−201189A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71535(P2010−71535)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】