説明

金属表面及びポリマー表面用のポリシラザン含有被覆材

腐食の防止、耐引っ掻き性の向上及びより簡単な洗浄し易さのための、金属表面またはポリマー表面上での永久的な被膜としてのポリシラザンの使用であって、前記ポリシラザンが、以下の一般式1
-(SiR'R''-NR''')n- (1)
[式中、R'、R''、R'''は、同一かまたは異なり、そして互いに独立して水素または場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基もしくは(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、nは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが、150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するような数である]
で表されるポリシラザンを溶剤中に含む溶液または溶剤中の複数種のこのようなポリシラザンの混合物であることを特徴とする、前記使用。更に本発明は、上記被膜の形成方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面またはプラスチック表面用の洗浄が容易な保護被膜を形成するためのポリシラザンに基づく被覆材に関する。該被膜はホイールリム、特にアルミニウム製のホイールリムの保護被膜として非常に良好な性質を示す。
【背景技術】
【0002】
自動車の構造にアルミニウム製のホイールリムを使用することが近年非常に多くなっている。より軽量のアルミニウム製ホイールリムは、一方では、スチール製のホイールリムと比べて重量の点で利点を供し、それによって燃料の節約を可能にするが、実際は、アルミニウム製のホイールリムは、高価値で高級感のある外観を乗り物に与えることから、中でも視覚的な理由から使用されている。
【0003】
アルムニウム製のホイールリムの欠点の一つは、中でも、それらが腐食されやすいことと、汚れやすいことである。更に、アルミニウム製ホイールリムの光沢のある表面上の引っ掻き傷は、スチール製ホイールリムの場合よりもかなり目立つ。そのため、アルミニウム製ホイールリムには、それの製造工程の最後に、一般的にアルミニウムの前処理(クロメート処理またはクロメートフリー処理)、下塗り、顔料着色されたベースコート及び最後にクリアコート層からなる被膜が付与される。この煩雑な被覆工程は、十分な腐食保護を保証するために必要である。この被覆にも関わらず、例えば冬期の凍結防止用の塩の使用を原因として、腐食が問題を起こす。最後に、時間が経つにつれてアルミニウム製ホイールリム上に堆積するブレーキダストも同様に被膜を中まで浸食し、これはもはや除去することができない。更に、スノーチェーンを使用すると、アルミニウム製ホイールリムには簡単に引っ掻き傷がついてしまう。引っ掻き傷の更に別の原因は、研磨具、例えばブラシやスポンジでのアルミニウムホイールリムの洗浄である。
【0004】
アルミニウムの自然の光沢を得るために薄いクリアコートだけで保護されそして純粋なアルミニウムの見た目がよく光沢のある表面を有する所謂ポリッシュドもしくはブライトマシーンド(bright-machined)アルミニウム製ホイールリムがますます広く普及しつつある。このタイプのホイールリムでは、更に人の目にはできる限り見えないものであるべき薄いクリアコート層では腐食に対する保護は達成するのが非常に困難である。
【0005】
国際公開第02/088 269 A1号パンフレットは、親水撥汚性の表面を作るためにパーヒドロポリシラザン溶液を使用することを開示している。このパンフレット中では、中でも、自動車の分野(車体またはホールリム表面)での使用も記載されており、それに関しては、0.3〜2重量%のパーヒドロポリシラザン溶液が推奨されている。その際、例1においては、パーヒドロポリシラザン含量が僅か0.5重量%の非常に希釈された溶液が使用されており、スチール上での層厚が約0.2マイクロメータの非常に薄い被膜が得られている。
【0006】
このように薄い被膜は、先ず、塗装表面の引っ掻き傷を防ぐのには適しておらず、更には、十分な腐食保護を保証することができず、またブレーキダストの侵入を阻止することができない。更には、この薄い層は、比較的非均一なクリアコート層を平らにしそして簡単に洗浄できる本当に光沢のあるガラス様表面を形成するのには十分ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、より簡単に洗浄することができそして腐食及びブレーキダストの侵入に対してアルミニウム製のホールリムを保護する硬質で耐引っ掻き性の被膜をホイールリムに供することができる被覆材を開発するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、ポリシラザンを使用することによって、腐食、引っ掻き傷及びブレーキダストの侵入からホイールリムを保護し、更にホイールリムのより簡単な洗浄を可能にする十分に厚い保護層を形成できることがここに見出された。
【0009】
それゆえ、本発明の対象は、以下の一般式1
-(SiR'R''-NR''')n- (1)
[式中、R'、R''、R'''は、同一かまたは異なり、そして互いに独立して水素、または場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基もしくは(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、nは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するような数である]
で表されるポリシラザンまたは複数種のポリシラザンの混合物を溶剤中に含む溶液を含む、金属表面及びポリマーの被覆のためにポリシラザンを使用することである。
【0010】
この際、上記式中、R'、R''、R'''が、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、iso-ブチル、tert.-ブチル、フェニル、トリル、ビニルまたは3−(トリエトキシシリル)プロピル、3−(トリメトキシシリルプロピル)からなる群から選択される基を表すポリシラザンが特に好ましい。
【0011】
更に別の好ましい態様の一つでは、本発明の被覆材は、次式(2)
-(SiR'R''-NR''')n-(SiR*R**-NR***)p- (2)
[式中、R'、R''、R'''、R*、R**及びR***は、互いに独立して、水素、または場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n及びpは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するような数である]
で表されるポリシラザンを含む。
【0012】
特に好ましいものは、上記式中、
− R'、R'''及びR***が水素を表し、そしてR''、R*及びR**がメチルを表す化合物;
− R'、R'''及びR***が水素を表し、R''、R*がメチルを表し、そしてR**がビニルを表す化合物;
− R'、R'''、R*及びR***が水素を表し、R''、R*がメチルを表す化合物、
である。
【0013】
次式(3)
-(SiR'R''-NR''')n-(SiR*R**-NR***)p -(SiR1, R2-NR3)q- (3)
[式中、R'、R''、R'''、R*、R**、R***、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、または場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基もしくは(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n、p及びqは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するような数である]
で表されるポリシラザンも同様に好ましく使用される。
【0014】
上記式中、R'、R'''及びR***が水素を表し、R''、R*、R**及びR2がメチルを表し、
R3が(トリエトキシシリル)プロピルを表し、そしてR1がアルキルまたは水素を表す化合物が特に好ましい。
【0015】
一般的に、溶剤中のポリシラザンの割合は、1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。
【0016】
ポリシラザン構造中の有機部分と、バインダー中の低減されたSi−H含有量の故に、柔軟な構造が得られる。このような系は、比較的高い熱膨張係数を有するために、特に、コートされた表面の被覆に好適である。
【0017】
該ポリシラザン調合物の溶剤としては、特に、水及び反応性基(例えばヒドロキシル基またはアミノ基)を含まない有機溶剤が好適である。この際、この有機溶剤は、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステル、例えば酢酸エチルまたは酢酸ブチル、ケトン、例えばアセトンまたはメチルエチルケトン、エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジブチルエーテル、並びにモノ−もしくはポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(グライム類)またはこれらの溶剤の混合物である。
【0018】
該ポリシラザン調合物の追加の成分は、塗料の製造に慣用されているものなどの更に別のバインダーであることができる。この際、このようなバインダーは、例えば、セルロースエーテルもしくはセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートまたはセルロースアセトブチレート、天然樹脂、例えばゴムもしくはロジン樹脂、または合成樹脂、例えば重合樹脂もしくは縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素ホルムアルデヒド樹脂及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロックドポリイソシアネート、またはポリシロキサンであることができる。
【0019】
該ポリシラザン調合物の更に別の成分は、例えば調合物の粘度、下地の濡れ、成膜、潤滑作用または曝気挙動(外気に曝された際の挙動;Ablueftverhalten)に影響を与える添加物、あるいは無機ナノ粒子、例えばSiO2、TiO2、ZnO、ZrO2またはAl23であることができる。
【0020】
該ポリシラザン調合物の追加の成分は、触媒、例えば有機アミン、酸並びに金属もしくは金属塩またはこれらの化合物の混合物であることができる。触媒は、ポリシラザンの重量を基準にして、好ましくは0.001〜10%、特に0.01〜6%、特に好ましくは0.1〜3%の量で使用される。
【0021】
アミン触媒の例は、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アニリン、2,4−ジメチルピリジン、4,4−トリメチレンビス−(1−メチルピペリジン)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N−ジメチルピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、トランス−2,5−ジメチルピペラジン、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ステアリルアミン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N,N−ジメチルオクタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、1−ピペリジンエタノール、4−ピペリジノールである。
【0022】
有機酸の例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸である。触媒としての金属及び金属化合物の例は、パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、プロピオン酸パラジウム、ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、銀粉末、銀アセチルアセトネート、白金、白金アセチルアセトネート、ルテニウム、ルテニウムアセチルアセトネート、ルテニウムカルボニル、金、銅、銅アセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)である。
【0023】
使用する触媒系に依存して、湿分または酸素の存在が被膜の硬化の際に重要となりうる。例えば、適当な触媒系の選択によって、高いもしくは低い大気湿度または高いもしくは低い酸素含有率において高速な硬化を達成することができる。このような影響は当業者には既知であり、適当な最適化方法によって、環境条件を相応して調節することができる。
【0024】
上記のポリシラザン調合物の塗布は、金属表面上にだけ限られるものではなく、特にコートされた表面にも使用することができる。該ポリシラザン被覆材は、ベースコート上に直接塗布する他、慣用のクリアコート上にも塗布することができる。このような慣用のコート層は、溶剤含有の塗料系でも、粉末塗料でもよい。この際、平坦化性及び有利な表面極性の故に、強い光沢があり洗浄が簡単な表面が得られる。
【0025】
上記ポリシラザン調合物を用いたコーティングは、塗装に慣用の方法によって行うことができる。この方法は、例えば、スプレー塗布法、浸漬塗布法またはフロー塗布(Fluten)法であることができる。次いで、被膜の硬化を速めるために熱後処理を行うことができる。使用したポリシラザン調合物及び触媒に依存して、既に室温化でも硬化は起こるが、加熱して加速させることもできる。例えば、170℃で30分間内でポリシラザン層を硬化させることもできる。
【0026】
該被覆材を塗布する前に、例えば付着力の向上のために先ずプライマー層を塗布することができる。それ故、本発明の更に別の対象は、ホイールリム上に保護層を形成する方法であって、ポリシラザン溶液(これは場合によっては共バインダー(Co-Bindermittel)を含む)を、適当な方法、例えばスプレー塗布法または浸漬塗布法でホイールリム上に塗布し、次いで硬化する前記方法である。硬化された被膜は、少なくとも1マイクロメータ、好ましくは2〜20マイクロメータ、特に好ましくは3〜10マイクロメータの厚さを有し、そして腐食及び引っ掻き傷に対して非常に優れた表面の保護を保証する。このような被覆されたホイールリムでは、この被膜が高温耐性のトップコートであるために、ブレーキダストの浸食が防がれる。表面が平滑なために洗浄が非常に簡単になる。本発明の被覆材は、ホイールリムを引っ掻き傷、腐食またはブレーキダストの侵入から追加的に保護する目的で、既にコーティングされた表面、例えば既にクリアコートが塗布されたホイールリム上に塗布することができる。更に、該被覆材の塗布の後は、クリアコートと比べて光沢度が高まる。またその代わりに、クリアコート層は設けずに、該被覆材を、顔料着色されたベースコートの上に直接塗布することができる。これにより、塗装段階を節約することが可能である。
【0027】
前もってコートされてない材料の場合、例えばポリッシュドもしくは所謂ブライドマシーンドアルミニウムホイールリムの場合には、該ポリシラザン溶液を、通常使用されるクリアコートの代わりに単一の保護層として使用することもできる。
【0028】
それによって、慣用のコート層よりもかなりより薄い厚さを有し、それ故材料消費量及び溶剤の放出がより少なく、更に加えて慣用の塗料よりも優れた性質を有する保護層を形成することができる。そのため、該ポリシラザン被覆材は、経済及び環境の面での利点が大きい。
【0029】
原則的に、被膜の硬化は、ポリシラザンの高い反応性の故に、室温下またはそれ以下の温度でも既に起こるが、温度を高めることによって加速することができる。好ましくは、被膜は、10〜200℃の範囲、好ましくは80〜170℃の範囲の温度で硬化される。硬化のための可能な最大温度は、該被覆材が塗布される基材に本質的に依存する。金属、例えばアルミニウムの場合は、電解酸化された領域が許容しない限度において、180〜200℃またはそれ以上のより高い温度が可能である。既に存在するコート層(ベースコートまたはクリアコート)上に被覆する場合、下にあるコート層が軟化しないようにより低い温度で、好ましくは25〜180℃、特に好ましくは80〜170℃の温度で作業することが推奨される。使用する基材が160〜170℃での作業を許容する場合は、15〜30分内で硬化を行う。
【0030】
更に、空気湿度も被膜の硬化に影響を及ぼす。空気湿度が高い程に、硬化が高速になり、これは利点となり得る。これとは逆に、空気湿度が僅かな雰囲気中、例えば乾燥室中で硬化すると、時間がかかるが均一な硬化プロセスとなる。それ故、本発明の被覆材の硬化は、0〜100%の相対空気湿度において行うことができる。
【0031】
上記パーヒドロポリシラザン調合物を用いたコーティングの後には、被膜の表面エネルギーを調節する更なる後処理を行うことができる。それによって、汚れ易さに影響を与える親水性もしくは疎水性の表面を得ることができる。
【実施例】
【0032】
使用したポリシラザンは、対応するジクロロシラン類からアンモニアとの反応によって製造することができる。例えば、アンモニア、ジメチルクロロシラン及びメチルクロロシランを使用した場合には、ランダムなコポリマーが得られる。網状体を形成させる対応する構造を導入することによって、被覆材の硬化が保証される。
【0033】
以下の例において、部及び百分率は重量に基づく値である。
【0034】
アルミニウムホイールリムは、溶剤系のクリアコートまたは粉末状のアクリレートコートが施された慣用のアルミニウムホイールリムである。完全なホイールリムを鋸で切って得た上記ホイールリムの一部か、または同等の塗装系を有する試験金属板を基材として使用した。
【0035】
コーティングは、慣用の塗装ガンを用いてスプレーすることによってかまたは慣用の浸漬装置中で浸漬することによって行った。
【0036】
【表1】

【0037】
被覆材調合物の調製
調合物1
コポリマー1 35〜40 %
ポリアクリレート 0.5〜1 %
流動制御添加剤 < 2.0 %
上記の各成分を酢酸ブチル中に溶解し、そしてディスソルバーを用いて均一化する。酢酸ブチルの量は、合計で100%の被覆材調合物が得られるように計算される。
【0038】
調合物2
コポリマー1 35〜40 %
ポリアクリレート 0.5〜1 %
流動制御添加剤 < 2.0 %
AMEO < 2.0 %
上記の各成分を酢酸ブチル中に溶解し、そしてディスソルバーを用いて均一化する。酢酸ブチルの量は、合計で100%の被覆材調合物が得られるように計算される。
【0039】
調合物3
コポリマー2 35〜40 %
ポリアクリレート 0.5〜1 %
流動制御添加剤 < 2.0 %
AMEO < 2.0 %
上記の各成分を酢酸ブチル中に溶解し、そしてディスソルバーを用いて均一化する。酢酸ブチルの量は、合計で100%の被覆材調合物が得られるように計算される。
【0040】
調合物4
コポリマー2 35〜40 %
ポリアクリレート 0.5〜1 %
流動制御添加剤 < 2.0 %
上記の各成分を酢酸ブチル中に溶解し、そしてディスソルバーを用いて均一化する。酢酸ブチルの量は、合計で100%の被覆材調合物が得られるように計算される。
【0041】
調合物5
コポリマー2 20〜25 %
ポリアクリレート 0.5〜1 %
流動制御添加剤 < 2.0 %
AMEO < 2.0 %
増粘剤 < 5.0 %
上記の各成分を酢酸ブチル中に溶解し、そしてディスソルバーを用いて均一化する。酢酸ブチルの量は、合計で100%の被覆材調合物が得られるように計算される。
【0042】
調合物6
コポリマー3 35〜40 %
ポリアクリレート 0.5〜1 %
流動制御添加剤 < 2.0 %
上記の各成分を酢酸ブチル中に溶解し、そしてディスソルバーを用いて均一化する。酢酸ブチルの量は、合計で100%の被覆材調合物が得られるように計算される。
被覆材調合物の塗布
スプレーガンを用いた塗布の際には、塗布される被覆材の量、被膜の均一性及びスプレー強度が最適になるようにガンの設定を選択しなければならない。この設定は当業者に既知である。
【0043】
塗布は、コートされたAl試験片及び対応する多層コート系を有するアルミニウムホイールリム上に行う。この際、一番上の層は、アクリレート粉末塗料、溶剤系クリアコートまたは水性クリアコートである。これらの試験片は、予め適切に十分な洗浄及び乾燥に付す。
【0044】
硬化は、170℃の試験片温度で25分間内で行う。加熱速度は、溶剤が均一に蒸発するように選択する。
【0045】
【表2】

参考例1:
参考ホイールリム、通例のホイールリムコート、ポリアクリレート粉体塗料クリアコートを含む多層コート系
参考例2:
参考ホイールリム、通例のホイールリムコート、溶剤系クリアコートを含む多層コート系
【0046】
ブレーキダスト試験:
ブレーキダストを水で懸濁させ、そして上記の試験片上に塗る。次いで、これらの試験片を2時間160℃の条件下に置き、水ですすぎ、軽く拭きそして評価する(評点)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面、ポリマー及び塗装の上の永久的な被膜としてのポリシラザンの使用であって、前記ポリシラザンが、以下の一般式1
-(SiR'R''-NR''')n- (1)
[式中、R'、R''、R'''は、同一かまたは異なり、そして互いに独立して水素、または場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基もしくは(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、nは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するような数である]
で表されるポリシラザンまたは複数種のポリシラザンの混合物を溶剤中に含む溶液であることを特徴とする、前記使用。
【請求項2】
R'、R''、R'''が、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、iso-ブチル、tert.-ブチル、フェニル、ビニルまたは3-(トリエトキシシリル)プロピル、3-(トリメトキシシリルプロピル)からなる群から選択される基を表すことを特徴とする、請求項1の使用。
【請求項3】
上記ポリシラザンが、次式(2)
-(SiR'R''-NR''')n-(SiR*R**-NR***)p - (2)
[式中、R’、R’’、R’’’、R*、R**及びR***は、互いに独立して、水素または場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基もしくは(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n及びpは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが、150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するような数である]
で表されるポリシラザンであることを特徴とする、請求項1の使用。
【請求項4】
− R'、R'''及びR***が水素を表し、そしてR''、R*及びR**がメチルを表すか;
− R'、R'''及びR***が水素を表し、R''、R*がメチルを表し、そしてR**がビニルを表すか、または
− R'、R'''、R*及びR***が水素を表し、そしてR''及びR**がメチルを表す、
ことを特徴とする、請求項3の使用。
【請求項5】
上記ポリシラザンが、次式(3)
-(SiR'R''-NR''')n-(SiR*R**-NR***)p -(SiR1, R2-NR3)q- (3)
[式中、R'、R''、R'''、R*、R**、R***、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、または場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基もしくは(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n、p及びqは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するような数である]
で表されるポリシラザンであることを特徴とする、請求項1の使用。
【請求項6】
R’、R'''及びR***が水素を表し、R''、R*、R**及びR2がメチルを表し、R3が(トリエトキシシリル)プロピルを表し、そしてR1がアルキルまたは水素を表すことを特徴とする、請求項5の使用。
【請求項7】
上記ポリシラザン溶液が、ポリシラザンを1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも一つの使用。
【請求項8】
上記ポリシラザン溶液が触媒を0.001〜10重量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1〜7の少なくとも一つの使用。
【請求項9】
有機アミン、酸、金属、金属塩、またはこれらの化合物の混合物を触媒として使用することを特徴とする、請求項8の使用。
【請求項10】
反応性基を含まない水不含の有機溶剤が溶剤として使用されることを特徴とする、請求項1〜9の少なくとも一つの使用。
【請求項11】
上記調合物が、調合物の粘度、下地の濡れ、成膜性、潤滑作用または曝気挙動に影響を及ぼす添加剤及びバインダーを含むことを特徴とする、請求項1〜10の少なくとも一つの使用。
【請求項12】
上記調合物が無機ナノ粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜11の少なくとも一つの使用。
【請求項13】
金属表面またはポリマー表面上に永久的な被膜を形成する方法であって、次式(1)
-(SiR'R''-NR''')n- (1)
[式中、R'、R''、R'''は、同一かまたは異なり、水素または場合によっては置換されたアルキル基、アリール基もしくは(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、nは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するような数である]
で表されるポリシラザンまたは複数種のポリシラザンの混合物を溶剤中に含む溶液を金属表面上に塗布しそしてその被膜を硬化することを特徴とする、前記方法。
【請求項14】
請求項1〜13の少なくとも一つに記載の被覆材で塗装された金属表面を有する物品。
【請求項15】
金属表面が、鉄、鋼、亜鉛メッキ鋼、アルミニウム、クロム、ニッケル、亜鉛、チタン、バナジウム、モリブデン、マグネシウムまたは銅の合金であることを特徴とする、請求項14の金属表面を有する物品。
【請求項16】
ポリマーが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項14の金属表面を有する物品。
【請求項17】
塗料がアクリレート、エポキシまたはウレタンに基づく塗料であることを特徴とする、請求項14の塗装表面を有する物品。

【公表番号】特表2009−507113(P2009−507113A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529500(P2008−529500)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008352
【国際公開番号】WO2007/028511
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(398025878)クラリアント・インターナシヨナル・リミテッド (74)
【Fターム(参考)】