鉄道車両構体及びその製造方法
【課題】 組み立て作業性の向上を図りつつ、十分な剛性を担保することができる鉄道車両構体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 鉄道車両構体1では、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとが突き合わされた状態でドアブロック10と窓ブロック12とが接合されている。これにより、各接合片10a,12aを、ドアブロック10と窓ブロック12との接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体1の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保できる。また、鉄道車両構体1では、ドアブロック10によってドア部14及び戸袋25a,25bがユニット化され、窓ブロック12によって窓部26がユニット化されている。従って、ドアブロック10及び窓ブロック12の配置数を増減させることで様々なタイプの側構体4を容易に作製できる。
【解決手段】 鉄道車両構体1では、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとが突き合わされた状態でドアブロック10と窓ブロック12とが接合されている。これにより、各接合片10a,12aを、ドアブロック10と窓ブロック12との接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体1の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保できる。また、鉄道車両構体1では、ドアブロック10によってドア部14及び戸袋25a,25bがユニット化され、窓ブロック12によって窓部26がユニット化されている。従って、ドアブロック10及び窓ブロック12の配置数を増減させることで様々なタイプの側構体4を容易に作製できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合して構成された鉄道車両構体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、例えば特許文献1に開示された鉄道車両の側構体製造方法がある。この鉄道車両の製造方法では、外板パネルを組み合わせて車端窓ブロック、中間窓ブロック、側入口ブロック等を作製し、これらの各ブロック同士を相互に溶接することで鉄道車両の側構体を形成している。このように、側構体を構成するブロックを個々に作製することで各外板パネルの寸法を小さくし、その取り扱いを容易化している。
【特許文献1】特開2002−104180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した鉄道車両の側構体製造方法では、側構体を構成するブロック同士は、骨部によって接合されるため、側構体の組み立てに要する工数の増加が避けられない。その一方で、ブロック同士の接合に骨部を利用しなければ、鉄道車両構体として十分な剛性が得ることが難しい。そのため、組み立て作業性の向上と剛性の担保とを同時に満足させることができる技術が望まれていた。
【0004】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、組み立て作業性の向上を図りつつ、十分な剛性を担保することができる鉄道車両構体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の解決のため、本発明に係る鉄道車両構体は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体であって、側構体は、ドア部及び戸袋を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、窓部を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックと、を交互に配置して構成され、ドアブロックと窓ブロックとは、ドア側接合片と窓側接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴としている。
【0006】
この鉄道車両構体では、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、一縁部から車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックとが、ドア側接合片と窓側接合片とが突き合わされた状態で接合されている。これにより、互いに突き合わされて接合された各接合片を、ドアブロックと窓ブロックとの接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。また、この鉄道車両構体では、ドアブロックによってドア部及び戸袋がユニット化され、窓ブロックによって窓部がユニット化されている。このため、窓ブロック及びドアブロックの配置数を増減させることで様々なタイプの側構体を容易に作製することができる。このことは、製造のコストダウンを実現する。
【0007】
また、本発明に係る鉄道車両構体は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体であって、側構体は、ドア部及び戸袋を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、窓部を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックを複数並設してなる窓ブロック接合体とを有し、ドアブロックと窓ブロック接合体とは、ドア側接合片と窓側接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴としている。
【0008】
この鉄道車両構体では、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、一縁部から車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロック接合体とが、ドア側接合片と窓側接合片とが突き合わされた状態で接合されている。これにより、互いに突き合わされて接合された各接合片を、ドアブロック及び窓ブロック接合体の接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。また、この鉄道車両構体では、ドアブロックによってドア部及び戸袋がユニット化され、窓ブロックによって窓部がユニット化されている。このため、ドアブロックの配置数や窓ブロック接合体を構成する窓ブロックの設置数を増減させることで様々なタイプの側構体を容易に作製することができる。このことは、製造のコストダウンを実現する。
【0009】
また、窓ブロックは、一縁部から前記車両内面側に向けて突出する第1の接合片と、他縁部から前記車両内面側に向けて突出する第2の接合片とを有し、窓ブロック接合体において、隣接する窓ブロック同士は、隣接する第1の接合片と第2の接合片とが互いに突き合わされて接合されていることが好ましい。これにより、第1及び第2の接合片を窓ブロック接合体における窓ブロック間の接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性をより向上させることができる。
【0010】
また、窓側接合片とドア側接合片とが互いに突き合わされた接合部分には、突き合わせ接合部分の車両内面側の端部に形成された内側溶接部と、突き合わせ接合部分の車両外面側の端部に形成された外側溶接部と、内側溶接部と外側溶接部との間に形成された中間連結部と、が設けられていることが好ましい。これにより、ドア側接合片及び窓側接合片の突き合わせ接合部分を、内側溶接部及び外側溶接部によって強固に接合することができる。また、接合される各ブロックの外側表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約も生じない。さらに、ドア側接合片及び窓側接合片は中間連結部によって連結されており、突き合わせ接合部分における空隙の発生が抑えられている。この結果として、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0011】
また、内側溶接部及び外側溶接部の少なくとも一方は、突き合わせ接合部分に沿って長手方向に連続的に形成されていることが好ましい。これにより、各接合片同士の接合をさらに確実なものとすることができ、鉄道車両構体の剛性をより高めることが可能となる。特に、外側溶接部を連続的に溶接する場合には、突き合わせ接合部分を車両外部から遮断することができるため、水密性・気密性の高い鉄道車両構体を作り出すことが可能となる。
【0012】
また、ドアブロックの外形寸法は、窓ブロックの外形寸法と同一であることが好ましい。このように,窓ブロックとドアブロックの外形寸法を統一化することで、車両設計を一層容易化・効率化することができる。
【0013】
また、本発明に係る鉄道車両構体の製造方法は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体の製造方法であって、ドア部及び戸袋を有するドアブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出するドア側接合片と、窓部を有する窓ブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出する窓側接合片とを突き合わせるように配置して、ドア側接合片と窓側接合片との突き合わせ部分を仮止めする仮止め工程と、仮止め工程後、突き合わせ部分の車両内面予定側の端部を溶接する内側溶接工程と、仮止め工程後、突き合わせ部分の車両外面予定側の端部を溶接する外側溶接工程と、を備えることを特徴としている。
【0014】
この鉄道車両構体の製造方法では、ドアブロックにおけるドア側接合片と窓ブロックにおける窓側接合片とをその突き合わせ部分において仮止めした後、突き合わせ部分の車両内面予定側の端部及び車両外面予定側の端部を溶接によって接合する。これにより、互いに突き合わされて接合された各接合片を、ドアブロック及び窓ブロックの接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものとしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。また、このような製造方法によれば、接合される各ブロックの表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約も生じない。さらに、鉄道車両構体を製造するにあたっては、ドアブロックと窓ブロックとの接合箇所の内面側と外面側をいきなり溶接するのではなく、内側溶接工程及び外側溶接工程を行う前工程として、溶接や締結部材などによる仮止め工程を採用しているので、ブロック同士の位置合わせを確かなものにすることができ、しっかりとした内側溶接及び外側溶接を行うことができる。しかも、この仮止め工程によって、接合片同士の突き合わせ部分における空隙の発生が抑えられるため、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る鉄道車両構体の製造方法は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体の製造方法であって、ドア部及び戸袋を有するドアブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出するドア側接合片と、窓部を有する窓ブロックを複数並設してなる窓ブロック接合体の一縁部から車両内面予定側に向けて突出する窓側接合片とを突き合わせるように配置して、ドア側接合片と窓側接合片との突き合わせ部分を仮止めする仮止め工程と、仮止め工程後、突き合わせ部分の車両内面予定側の端部を溶接する内側溶接工程と、仮止め工程後、突き合わせ部分の車両外面予定側の端部を溶接する外側溶接工程と、を備えることを特徴としている。
【0016】
この鉄道車両構体の製造方法では、ドアブロックにおけるドア側接合片と窓ブロック接合体における窓側接合片とをその突き合わせ部分において仮止めした後、突き合わせ部分の車両内面予定側の端部及び車両外面予定側の端部を溶接によって接合する。これにより、互いに突き合わされて接合された各接合片を、ドアブロック及び窓ブロック接合体の接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。また、このような製造方法によれば、ドアブロック及び窓ブロック接合体の表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約も生じない。さらに、鉄道車両構体を製造するにあたっては、ドアブロックと窓ブロック接合体との接合箇所の内面側と外面側をいきなり溶接するのではなく、内側溶接工程及び外側溶接工程を行う前工程として、溶接や締結部材などによる仮止め工程を採用しているので、ドアブロックと窓ブロック接合体との位置合わせを確かなものにすることができ、しっかりとした内側溶接及び外側溶接を行うことができる。しかも、この仮止め工程によって、接合片同士の突き合わせ部分における空隙の発生が抑えられるため、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0017】
また、外側溶接工程は、内側溶接工程の後に行われることが好ましい。この場合、内側溶接工程において定盤上に各ブロックを平坦に設置することができる。これにより、定盤上での各ブロックの歪みを抑えることができると共に、車両内面予定側の端部の溶接作業性を向上させることが可能となる。また、溶接で発生する熱が各ブロックの車両外面予定側を通して定盤側に放熱されるので、良好な溶接を実現することできる。
【0018】
さらに、内側溶接工程及び外側溶接工程の少なくとも一方は、突き合わせ部分の溶接が連続溶接であることが好ましい。これにより、各接合片同士の接合をさらに確実なものとすることができ、鉄道車両構体の剛性をより高めることが可能となる。特に、外側溶接部を連続的に溶接する場合には、各ブロックの接合部分を車両外部から遮断することができるため、水密性・気密性の高い鉄道車両構体を作り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、鉄道車両構体の組み立て作業性の向上を図りつつ、十分な剛性を担保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る鉄道車両構体の好適な実施形態について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る鉄道車両構体1を示す斜視図である。この鉄道車両構体1は、床部を構成する床構体2と、側部を構成する側構体4と、屋根部を構成する屋根構体6と、前部及び後部を構成する妻構体8とを有し、各構体2〜8は相互に溶接されている。
【0022】
側構体4は、図1及び図2に示すように、4個のドアブロック10及び5個の窓ブロック12を備えており、これらのドアブロック10と窓ブロック12とが交互に溶接されて構成されている。このタイプの側構体4は、例えば、首都圏などでの通勤用車両に用いられる。
【0023】
各ドアブロック10は、ドア部14と、腰パネル16,18と、吹寄せパネル20,22と、幕パネル24と、戸袋25a及び戸袋25b(図3参照)とを備えて構成されている。このドアブロック10により、ドア部14及び戸袋25a,25bのユニット化がなされている。また、各窓ブロック12は、ドアブロック10と同一の外形寸法を有しており、窓部26と、腰パネル28と、窓枠パネル30と、幕パネル32とを備えると共に、略同等の構成を有している。この窓ブロック12により、窓部26のユニット化がなされている。
【0024】
腰パネル16,18,28は、窓部26の下縁部よりも下側に位置し、床構体2と溶接されるパネルである。吹寄せパネル20,22は、ドア部14と窓部26との間に位置するパネルである。また、ドアブロック10において、腰パネル16,18及び吹寄せパネル20,22は、ドア部10を挟んで対称に配置されており、各パネル16,20及び18,22の内側に戸袋25a,25b(図3参照)とがそれぞれ取り付けられている。
【0025】
幕パネル24,32は、ドア部14及び窓部26の上縁部よりも上側に位置し、屋根構体6と溶接されるパネルである。また、窓枠パネル30は、窓ブロック12において、腰パネル28と幕パネル32との間に位置するパネルであり、中央部分に窓部26を嵌め込むための開口部30c(図6参照)が形成されている。
【0026】
次に、前述したドアブロック10及び窓ブロック12についてさらに詳細に説明する。ドアブロック10及び窓ブロック12を構成する各パネル16〜24,28〜32は、例えばステンレス鋼から形成された種々の外板パネルとして構成されている。なお、外板パネルの材質は、ステンレス鋼のほか、アルミ合金、高張力鋼、その他の一般鋼であってもよい。
【0027】
図3及び図4に示すように、ドアブロック10において、腰パネル(外板パネル)16,18の各々の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片16a,18aが水平方向に延在しており、各々の上縁部には、それぞれ断面L字形状を有する長尺の接合片16b,18bが水平方向に延在している。さらに、腰パネル16,18におけるドア部14側の縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片16c,18cが鉛直方向に延在している。
【0028】
また、吹寄せパネル(外板パネル)20,22の各々の下縁部には、平板状の長尺の接合片20a,22aが水平方向に延在しており、各々の上縁部には、平板状の接合片20b,22bが水平方向に延在している。また、吹寄せパネル20,22におけるドア部14側の縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片20c,22cが鉛直方向に延在している。さらに、幕パネル(外板パネル)24の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片24aが水平方向に延在しており、上縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片24bが水平方向に延在している。
【0029】
そして、腰パネル16,18は、上側の縁部に形成された接合片16b,18bが吹寄せパネル20,22の下側の縁部に形成された接合片20a,22aに突き合わされた状態で吹寄せパネル20,22に溶接されている。また、吹寄せパネル20,22は、上側の縁部に形成された接合片20b,22bが幕パネル24の下側の縁部に形成された接合片24aに突き合わされた状態で幕パネル24に溶接されている。
【0030】
ここで、前述した腰パネル16の接合片16bと吹寄せパネル20の接合片20aとの溶接について詳細に説明する。
【0031】
腰パネル16と吹寄せパネル20との接合部分において、接合片16b,20aは、図5に示すように、接合片16bと接合片20aとの突き合わせ部分34における車両内面側の端部34aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部34bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、接合片16b,20aは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分34の中間部分34cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接された接合片16b,20aは、腰パネル16と吹寄せパネル20との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能している(図3参照)。
【0032】
このような溶接を行う場合、まず、各々の車両外面予定側の側面16f,20fが下側となるように、腰パネル16と、吹寄せパネル20とを定盤(図示しない)上に配置する。次に、接合片16bに接合片20aが突き合わされるように腰パネル16と吹寄せパネル20とを隣接させ、この接合片16b,20aの突き合わせ部分34の中間部分34cを、スポット溶接により形成される中間連結部W3によって仮止めする(仮止め工程)。
【0033】
仮止めを行った後、突き合わせ部分34の車両内面予定側の端部34aを長手方向に沿って連続溶接し、内側溶接部W1を形成する(内側溶接工程)。その後、腰パネル16及び吹寄せパネル20を各々の車両内面予定側の側面16g,20gが下側となるように定盤上に再配置する。そして、突き合わせ部分34の車両外面予定側の端部34bを長手方向に沿って連続溶接し、外側溶接部W2を形成する(外側溶接工程)。
【0034】
このような溶接方法によれば、内側溶接工程において定盤上に各パネル16,20を平坦に設置することができる。これにより、定盤上での各パネル16,20の歪みを抑えることができると共に、車両内面予定側の端部34aにおける溶接の作業性を向上させることが可能となる。また、溶接で発生する熱が各パネル16,20の車両外面側の側面16f,20fを通して定盤側にスムーズに放熱されるので、良好な溶接を実現することできる。
【0035】
なお、溶接部W1及びW2の形成に用いる溶接方法としては、摩擦撹拌溶接(FSW)、レーザ溶接、ハイブリッドレーザ溶接、タンデムMIG、ろう接を用いることが好ましい。これらの溶接方法によれば、パネルへの入熱量を少なくできるので、熱による歪みを抑えた連続溶接が可能となる。また、中間連結部W3による仮止めの方法としては、スポット溶接を用いることが好ましいが、リベット締結やアーク溶接、或いはボルトによる固定であってもよい。
【0036】
以下、同様の手順に従って、図4に示すように、ドアブロック10におけるもう一方の腰パネル18の接合片18bと吹寄せパネル22の接合片22aとの溶接においても溶接部W1,W2及び連結部W3が形成されている。そして、溶接された接合片18b,22aは、腰パネル18と吹寄せパネル22との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能する。
【0037】
また、吹寄せパネル20,22と幕パネル24との溶接においても、上述の方法に従って溶接部W1,W2及び連結部W3が形成されている。そして、溶接された接合片20b,24a及び接合片22b,24aは、吹寄せパネル20,22と幕パネル24との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能する。
【0038】
さらに、図3に示すように、各パネル16,18,20,22,24におけるドアブロック10の端部側に位置する縁部には、接合片16a,18a,20a,22a,24a及び接合片16b,18b,20b,22b,24bよりも大きく突出する接合片16d,20d,24d及び接合片18e,22e,24eが鉛直方向に延在している。この接合片16d,20d,24d及び接合片18e,22e,22eが溶接によって上下で相互に連結されることで、ドアブロック14の前後の端部には、鉛直方向に延在するドア側接合片10a,10bが形成されている。
【0039】
一方、図6及び図7に示すように、窓ブロック12において、腰パネル(外板パネル)28の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片28aが水平方向に延在しており、上縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片28bが水平方向に延在している。また、窓枠パネル(外板パネル)30の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片30aが水平方向に延在しており、上縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片30bが水平方向に延在している。さらに、幕パネル(外板パネル)32の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片32aが水平方向に延在しており、上縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片32bが水平方向に延在している。
【0040】
そして、腰パネル28は、上側の縁部に形成された接合片28bが窓枠パネル30の下側の縁部に形成された接合片30aに突き合わされた状態で窓枠パネル30に溶接されている。さらに、窓枠パネル30は、上側の縁部に形成された接合片30bが幕パネル32の下側の縁部に形成された接合片32aに突き合わされた状態で幕パネル32に溶接されている。
【0041】
ここで、腰パネル28及び窓枠パネル30の溶接にあたっては、前述した溶接方法が用いられている。すなわち、図8に示すように、腰パネル28の接合片28bと窓枠パネル30の接合片30aとは、接合片28bと接合片30aとの突き合わせ部分35における車両内面側の端部35aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部35bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、接合片28b,30aは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分35の中間部分35cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接された接合片28b,30aは、腰パネル28と窓枠パネル30との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能する(図6参照)。
【0042】
また、図7に示すように、窓枠パネル30と幕パネル32との溶接についても同様の溶接方法が採られている。すなわち、窓枠パネル30の接合片30bと幕パネル32の接合片32aとは、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されている。そして、溶接された接合片30b,32aは、窓枠パネル30と幕パネル32との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能する。
【0043】
さらに、図6に示すように、各パネル28,30,32において、窓ブロック12の端部側に位置する縁部には、接合片28a,30a,32a及び接合片28b,30b,32bよりも大きく突出する断面L字形状の接合片28d,30d,32d及び接合片28e,30e,32eがそれぞれ鉛直方向に延在している。接合片28d,30d,32d及び接合片28e,30e,32eが溶接によってそれぞれ上下で相互に連結されることで、窓ブロック12の前後の端部には、鉛直方向に延在する窓側接合片12a,12bが形成されている。
【0044】
次に、ドアブロック10と窓ブロック12との溶接について詳細に説明する。ドアブロック10と窓ブロック12とは、図9に示すように、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとを突き合わせた状態で相互に溶接されている。
【0045】
ここで、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとは、図10に示すように、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとの突き合わせ部分36における車両内面側の端部36aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部36bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、ドア側接合片10a及び窓側接合片12aは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分36の中間部分36cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されたドア側接合片10a及び窓側接合片12aは、ドアブロック10と窓ブロック12との溶接部分に沿って鉛直方向に延在する縦骨として機能している(図9参照)。
【0046】
このような溶接を行う場合、まず、各々のブロック10,12における車両外面予定側の側面10f,12fが下側となるように、ドアブロック10と、窓ブロック12とを定盤(図示しない)上に配置する。次に、ドア側接合片10aに窓側接合片12aが突き合わされるようにドアブロック10と窓ブロック12とを隣接させ、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとの突き合わせ部分36の中間部分36cを、スポット溶接により形成される中間連結部W3によって仮止めする(仮止め工程)。
【0047】
仮止めを行った後、突き合わせ部分36の車両内面予定側の端部36aを長手方向に沿って連続溶接し、内側溶接部W1を形成する(内側溶接工程)。その後、ドアブロック10及び窓ブロック12を各々の車両内面予定側の側面10g,12gが下側となるように定盤上に再配置する。そして、突き合わせ部分36の車両外面予定側の端部36bを長手方向に沿って連続溶接し、外側溶接部W2を形成する(外側溶接工程)。
【0048】
このような溶接方法によれば、内側溶接工程において定盤上に各ブロック10,12を平坦に設置することができる。これにより、定盤上での各パネル16,20の歪みを抑えることができると共に、車両内面予定側の端部36aにおける溶接の作業性を向上させることが可能となる。また、溶接で発生する熱が各ブロック10,12の車両外面側の側面10f,12fを通して定盤側にスムーズに放熱されるので、良好な溶接を実現することできる。
【0049】
以下、上述した溶接手順に従って、ドアブロック10におけるもう一方のドア側接合片10bと窓ブロック12におけるもう一方の窓側接合片12bとの溶接を行うことにより、隣接するドアブロック10と窓ブロック12とを順次溶接していくと側構体4が完成する。このとき、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されたドア側接合片10b及び窓側接合片12bも同様に、ドアブロック10と窓ブロック12との溶接部分に沿う縦骨として機能する。
【0050】
以上説明したように、この鉄道車両構体1では、ドアブロック10と窓ブロック12の接合において、互いに突き合わされて接合されたドア側接合片10a,10b及び窓側接合片12a,12bを、ドアブロック10と窓ブロック12との接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体1の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。
【0051】
一方で、ドア側接合片10a,10bと窓側接合片12a,12bとの突き合わせ部分36,38は、内側溶接部W1及び外側溶接部W2によって連続溶接されている。そのため、ドアブロック10と窓ブロック12との接合を強固に行うことが可能となる。また、ドアブロック10と窓ブロック12の外側表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約が生じることもない。
【0052】
さらに、ドアブロック10と窓ブロック12の溶接部分は、外側溶接部W2によって車両外部から遮断されている。このため、トンネルに入った時の急激な圧力変化や風雨に耐えることのできる水密性・気密性の高い鉄道車両構体1が作り出される。また、ドア側接合片10a,10bと窓側接合片12a,12bとは中間連結部W3によって接合されており、突き合わせ部分36,38において空隙の発生が抑えられている。この結果として、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0053】
また、図2に示された鉄道車両構体1では、ドアブロック10によってドア部14及び戸袋25a,25bがユニット化され、このドアブロック10と同一の外形寸法を有する窓ブロック12によって窓部26がユニット化されている。このため、ドアブロック10及び窓ブロック12の配置数を増減させることで、様々なタイプの側構体4を容易に作製することができる。このことは、製造のコストダウンを実現するものである。
【0054】
[第2実施形態]
続いて、本発明に係る鉄道車両構体の第2実施形態について説明する。この実施形態では、図11に示すように、側構体4Aがドアブロック10と、窓ブロック12を2個並設してなる窓ブロック接合体12Aとを交互に接合して構成されている点で、ドアブロック10と窓ブロック12とを交互に接合して構成されている第1実施形態に係る側構体4と相違している。このタイプの側構体4は、例えば首都圏近郊での通勤用車両に用いられる。
【0055】
ここで、窓ブロック接合体12Aを構成している窓ブロック12,12同士の溶接について詳細に説明する。図6に示したように、各窓ブロック12における前後の端部には、鉛直方向に延在する窓側接合片(第1の接合片)12aと、窓側接合片(第2の接合片)12bとが形成されている。
【0056】
窓ブロック12と窓ブロック12とを連結するにあたって、隣接する窓側接合片12aと窓側接合片12bとは、図12に示すように、窓側接合片12aと窓側接合片12bとの突き合わせ部分40における車両内面側の端部40aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部40bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、窓側接合片12a及び窓側接合片12bは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分40の中間部分40cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接された窓側接合片12a及び窓側接合片12bは、窓ブロック12,12の溶接部分に沿った縦骨として機能している。
【0057】
次に、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの溶接について説明する。ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとは、図13に示すように、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとを突き合わせた状態で相互に溶接されている。すなわち、このドア側接合片10aと窓側接合片12aとは、ドア接合片12aと窓側接合片12aとの突き合わせ部分42における車両内面側の端部42aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部42bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、ドア側接合片10a及び窓側接合片12aは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分42の中間部分42cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されたドア側接合片10a及び窓側接合片12aは、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの溶接部分に沿った縦骨として機能している。
【0058】
このような溶接を行う場合、まず、ドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aにおける車両外面予定側の側面10f,12fが下側となるように、ドアブロック10と、窓ブロック接合体12Aとを定盤(図示しない)上に配置する。次に、ドア側接合片10aに窓側接合片12aが突き合わされるようにドアブロック10と窓ブロック接合体12とを隣接させ、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとの突き合わせ部分42の中間部分42cを、スポット溶接により形成される中間連結部W3によって仮止めする(仮止め工程)。
【0059】
仮止めを行った後、突き合わせ部分42の車両内面予定側の端部42aを長手方向に沿って連続溶接し、内側溶接部W1を形成する(内側溶接工程)。その後、ドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aを各々の車両内面予定側の側面10g,12gが下側となるように定盤上に再配置する。そして、突き合わせ部分42の車両外面予定側の端部42bを長手方向に沿って連続溶接し、外側溶接部W2を形成する(外側溶接工程)。
【0060】
このような溶接方法によれば、内側溶接工程において定盤上にドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aを平坦に設置することができる。これにより、定盤上でのドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aの歪みを抑えることができると共に、車両内面予定側の端部42aにおける溶接の作業性を向上させることが可能となる。また、溶接で発生する熱がドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aの車両外面側の側面10f,12fを通して定盤側にスムーズに放熱されるので、良好な溶接を実現することできる。
【0061】
以下、上述した溶接手順に従って、ドアブロック10におけるもう一方のドア側接合片10bと窓ブロック接合体12Aにおけるもう一方の窓側接合片12bとの溶接を行い、隣接するドアブロック10と窓ブロック接合体12とを順次溶接していくと側構体4Aが完成する。このとき、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されたドア側接合片10b及び窓側接合片12bも同様に、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの溶接部分に沿う縦骨として機能する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態における鉄道車両構体では、ドアブロック10と窓ブロック12Aの接合において、互いに突き合わされて接合されたドア側接合片10a,10b及び窓側接合片12a,12bを、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。
【0063】
一方で、ドア側接合片10a,10bと窓側接合片12a,12bとの突き合わせ部分42は、内側溶接部W1及び外側溶接部W2によって連続溶接されている。そのため、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの接合を強固に行うことが可能となる。また、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aの外側表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約が生じることもない。
【0064】
さらに、ドアブロック10と窓ブロック12Aの溶接部分は、外側溶接部W2によって車両外部から遮断されている。このため、トンネルに入った時の急激な圧力変化や風雨に耐えることのできる水密性・気密性の高い鉄道車両構体が作り出される。また、ドア側接合片10a,10bと窓側接合片12a,12bとは中間連結部W3によって接合されており、突き合わせ部分42において空隙の発生が抑えられている。この結果として、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0065】
また、窓ブロック接合体12Aにおいて、隣接する窓ブロック12,12同士は、隣接する窓側接合片12aと窓側接合片12bとが互いに突き合わされて接合されている。これにより、各接合片12a,12bを窓ブロック接合体12Aにおける窓ブロック12,12間の接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性をより向上させることができる。
【0066】
また、この鉄道車両構体では、ドアブロック10によってドア部14及び戸袋25a,25bがユニット化され、窓ブロック接合体12Aを構成する各窓ブロック12によって窓部26がユニット化されている。このため、ドアブロック10の配置数や窓ブロック接合体12Aを構成する窓ブロック10の設置数を増減させること様々なタイプの側構体を容易に作製することができる。このことは、製造のコストダウンを実現する。
【0067】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、図14に示すように、2個のドアブロック10と、5個の窓ブロック12を並設してなる窓ブロック接合体12Bとを接合して側構体4Bを構成すれば、都市近郊での2扉通勤用車両とすることができる。また、図15に示すように、1個のドアブロック10と、8個の窓ブロック12を並設してなる窓ブロック接合体12Cとを接合して側構体4Cを構成すれば、1扉特急用車両とすることができる。さらに、図16に示すように、2個のドアブロック10と、10個の窓ブロック12を並設してなる窓ブロック接合体12Dとを接合して側構体4Dを構成すれば、幹線用の車両とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る鉄道車両構体の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】側構体のパネル構成を示す側面図である。
【図3】車両内面側から見たドアブロックの斜視図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】ドアブロックにおける腰パネルと吹寄せパネルの接合片同士の溶接状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】車両内面側から見た窓ブロックの斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】窓ブロックにおける腰パネルと窓枠パネルの接合片同士の溶接状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】ドアブロックと窓ブロックとの連結状態を示す斜視図である。
【図10】図9におけるX−X線断面図である。
【図11】本発明に係る鉄道車両構体の第2実施形態における側構体のパネル構成を示す側面図である。
【図12】窓ブロック接合体を構成する窓ブロック同士の連結状態を示す要部拡大断面図である。
【図13】ドアブロックと窓ブロック接合体との連結状態を示す要部拡大断面図である。
【図14】側構体のパネル構成の別の実施形態を示す側面図である。
【図15】側構体のパネル構成のさらに別の実施形態を示す側面図である。
【図16】側構体のパネル構成のさらに別の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0069】
1…鉄道車両構体、2…床構体、4,4A〜4D…側構体、6…屋根構体、8…妻構体、10…ドアブロック、10a,10b…ドア側接合片、12…窓ブロック、12A〜12D…窓ブロック接合体、12a,12b…窓側接合片、14…ドア部、25a,25b…戸袋、26…窓部、36,38,40,42…突き合わせ部分(突き合わせ接合部分)、36a,38a,40a,42a…車両内面側の端部、36b,38b,40b,42b…車両外面側の端部、W1…内側溶接部、W2…外側溶接部,W3…中間連結部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合して構成された鉄道車両構体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、例えば特許文献1に開示された鉄道車両の側構体製造方法がある。この鉄道車両の製造方法では、外板パネルを組み合わせて車端窓ブロック、中間窓ブロック、側入口ブロック等を作製し、これらの各ブロック同士を相互に溶接することで鉄道車両の側構体を形成している。このように、側構体を構成するブロックを個々に作製することで各外板パネルの寸法を小さくし、その取り扱いを容易化している。
【特許文献1】特開2002−104180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した鉄道車両の側構体製造方法では、側構体を構成するブロック同士は、骨部によって接合されるため、側構体の組み立てに要する工数の増加が避けられない。その一方で、ブロック同士の接合に骨部を利用しなければ、鉄道車両構体として十分な剛性が得ることが難しい。そのため、組み立て作業性の向上と剛性の担保とを同時に満足させることができる技術が望まれていた。
【0004】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、組み立て作業性の向上を図りつつ、十分な剛性を担保することができる鉄道車両構体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の解決のため、本発明に係る鉄道車両構体は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体であって、側構体は、ドア部及び戸袋を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、窓部を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックと、を交互に配置して構成され、ドアブロックと窓ブロックとは、ドア側接合片と窓側接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴としている。
【0006】
この鉄道車両構体では、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、一縁部から車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックとが、ドア側接合片と窓側接合片とが突き合わされた状態で接合されている。これにより、互いに突き合わされて接合された各接合片を、ドアブロックと窓ブロックとの接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。また、この鉄道車両構体では、ドアブロックによってドア部及び戸袋がユニット化され、窓ブロックによって窓部がユニット化されている。このため、窓ブロック及びドアブロックの配置数を増減させることで様々なタイプの側構体を容易に作製することができる。このことは、製造のコストダウンを実現する。
【0007】
また、本発明に係る鉄道車両構体は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体であって、側構体は、ドア部及び戸袋を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、窓部を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックを複数並設してなる窓ブロック接合体とを有し、ドアブロックと窓ブロック接合体とは、ドア側接合片と窓側接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴としている。
【0008】
この鉄道車両構体では、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、一縁部から車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロック接合体とが、ドア側接合片と窓側接合片とが突き合わされた状態で接合されている。これにより、互いに突き合わされて接合された各接合片を、ドアブロック及び窓ブロック接合体の接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。また、この鉄道車両構体では、ドアブロックによってドア部及び戸袋がユニット化され、窓ブロックによって窓部がユニット化されている。このため、ドアブロックの配置数や窓ブロック接合体を構成する窓ブロックの設置数を増減させることで様々なタイプの側構体を容易に作製することができる。このことは、製造のコストダウンを実現する。
【0009】
また、窓ブロックは、一縁部から前記車両内面側に向けて突出する第1の接合片と、他縁部から前記車両内面側に向けて突出する第2の接合片とを有し、窓ブロック接合体において、隣接する窓ブロック同士は、隣接する第1の接合片と第2の接合片とが互いに突き合わされて接合されていることが好ましい。これにより、第1及び第2の接合片を窓ブロック接合体における窓ブロック間の接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性をより向上させることができる。
【0010】
また、窓側接合片とドア側接合片とが互いに突き合わされた接合部分には、突き合わせ接合部分の車両内面側の端部に形成された内側溶接部と、突き合わせ接合部分の車両外面側の端部に形成された外側溶接部と、内側溶接部と外側溶接部との間に形成された中間連結部と、が設けられていることが好ましい。これにより、ドア側接合片及び窓側接合片の突き合わせ接合部分を、内側溶接部及び外側溶接部によって強固に接合することができる。また、接合される各ブロックの外側表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約も生じない。さらに、ドア側接合片及び窓側接合片は中間連結部によって連結されており、突き合わせ接合部分における空隙の発生が抑えられている。この結果として、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0011】
また、内側溶接部及び外側溶接部の少なくとも一方は、突き合わせ接合部分に沿って長手方向に連続的に形成されていることが好ましい。これにより、各接合片同士の接合をさらに確実なものとすることができ、鉄道車両構体の剛性をより高めることが可能となる。特に、外側溶接部を連続的に溶接する場合には、突き合わせ接合部分を車両外部から遮断することができるため、水密性・気密性の高い鉄道車両構体を作り出すことが可能となる。
【0012】
また、ドアブロックの外形寸法は、窓ブロックの外形寸法と同一であることが好ましい。このように,窓ブロックとドアブロックの外形寸法を統一化することで、車両設計を一層容易化・効率化することができる。
【0013】
また、本発明に係る鉄道車両構体の製造方法は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体の製造方法であって、ドア部及び戸袋を有するドアブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出するドア側接合片と、窓部を有する窓ブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出する窓側接合片とを突き合わせるように配置して、ドア側接合片と窓側接合片との突き合わせ部分を仮止めする仮止め工程と、仮止め工程後、突き合わせ部分の車両内面予定側の端部を溶接する内側溶接工程と、仮止め工程後、突き合わせ部分の車両外面予定側の端部を溶接する外側溶接工程と、を備えることを特徴としている。
【0014】
この鉄道車両構体の製造方法では、ドアブロックにおけるドア側接合片と窓ブロックにおける窓側接合片とをその突き合わせ部分において仮止めした後、突き合わせ部分の車両内面予定側の端部及び車両外面予定側の端部を溶接によって接合する。これにより、互いに突き合わされて接合された各接合片を、ドアブロック及び窓ブロックの接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものとしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。また、このような製造方法によれば、接合される各ブロックの表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約も生じない。さらに、鉄道車両構体を製造するにあたっては、ドアブロックと窓ブロックとの接合箇所の内面側と外面側をいきなり溶接するのではなく、内側溶接工程及び外側溶接工程を行う前工程として、溶接や締結部材などによる仮止め工程を採用しているので、ブロック同士の位置合わせを確かなものにすることができ、しっかりとした内側溶接及び外側溶接を行うことができる。しかも、この仮止め工程によって、接合片同士の突き合わせ部分における空隙の発生が抑えられるため、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る鉄道車両構体の製造方法は、側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体の製造方法であって、ドア部及び戸袋を有するドアブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出するドア側接合片と、窓部を有する窓ブロックを複数並設してなる窓ブロック接合体の一縁部から車両内面予定側に向けて突出する窓側接合片とを突き合わせるように配置して、ドア側接合片と窓側接合片との突き合わせ部分を仮止めする仮止め工程と、仮止め工程後、突き合わせ部分の車両内面予定側の端部を溶接する内側溶接工程と、仮止め工程後、突き合わせ部分の車両外面予定側の端部を溶接する外側溶接工程と、を備えることを特徴としている。
【0016】
この鉄道車両構体の製造方法では、ドアブロックにおけるドア側接合片と窓ブロック接合体における窓側接合片とをその突き合わせ部分において仮止めした後、突き合わせ部分の車両内面予定側の端部及び車両外面予定側の端部を溶接によって接合する。これにより、互いに突き合わされて接合された各接合片を、ドアブロック及び窓ブロック接合体の接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。また、このような製造方法によれば、ドアブロック及び窓ブロック接合体の表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約も生じない。さらに、鉄道車両構体を製造するにあたっては、ドアブロックと窓ブロック接合体との接合箇所の内面側と外面側をいきなり溶接するのではなく、内側溶接工程及び外側溶接工程を行う前工程として、溶接や締結部材などによる仮止め工程を採用しているので、ドアブロックと窓ブロック接合体との位置合わせを確かなものにすることができ、しっかりとした内側溶接及び外側溶接を行うことができる。しかも、この仮止め工程によって、接合片同士の突き合わせ部分における空隙の発生が抑えられるため、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0017】
また、外側溶接工程は、内側溶接工程の後に行われることが好ましい。この場合、内側溶接工程において定盤上に各ブロックを平坦に設置することができる。これにより、定盤上での各ブロックの歪みを抑えることができると共に、車両内面予定側の端部の溶接作業性を向上させることが可能となる。また、溶接で発生する熱が各ブロックの車両外面予定側を通して定盤側に放熱されるので、良好な溶接を実現することできる。
【0018】
さらに、内側溶接工程及び外側溶接工程の少なくとも一方は、突き合わせ部分の溶接が連続溶接であることが好ましい。これにより、各接合片同士の接合をさらに確実なものとすることができ、鉄道車両構体の剛性をより高めることが可能となる。特に、外側溶接部を連続的に溶接する場合には、各ブロックの接合部分を車両外部から遮断することができるため、水密性・気密性の高い鉄道車両構体を作り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、鉄道車両構体の組み立て作業性の向上を図りつつ、十分な剛性を担保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る鉄道車両構体の好適な実施形態について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る鉄道車両構体1を示す斜視図である。この鉄道車両構体1は、床部を構成する床構体2と、側部を構成する側構体4と、屋根部を構成する屋根構体6と、前部及び後部を構成する妻構体8とを有し、各構体2〜8は相互に溶接されている。
【0022】
側構体4は、図1及び図2に示すように、4個のドアブロック10及び5個の窓ブロック12を備えており、これらのドアブロック10と窓ブロック12とが交互に溶接されて構成されている。このタイプの側構体4は、例えば、首都圏などでの通勤用車両に用いられる。
【0023】
各ドアブロック10は、ドア部14と、腰パネル16,18と、吹寄せパネル20,22と、幕パネル24と、戸袋25a及び戸袋25b(図3参照)とを備えて構成されている。このドアブロック10により、ドア部14及び戸袋25a,25bのユニット化がなされている。また、各窓ブロック12は、ドアブロック10と同一の外形寸法を有しており、窓部26と、腰パネル28と、窓枠パネル30と、幕パネル32とを備えると共に、略同等の構成を有している。この窓ブロック12により、窓部26のユニット化がなされている。
【0024】
腰パネル16,18,28は、窓部26の下縁部よりも下側に位置し、床構体2と溶接されるパネルである。吹寄せパネル20,22は、ドア部14と窓部26との間に位置するパネルである。また、ドアブロック10において、腰パネル16,18及び吹寄せパネル20,22は、ドア部10を挟んで対称に配置されており、各パネル16,20及び18,22の内側に戸袋25a,25b(図3参照)とがそれぞれ取り付けられている。
【0025】
幕パネル24,32は、ドア部14及び窓部26の上縁部よりも上側に位置し、屋根構体6と溶接されるパネルである。また、窓枠パネル30は、窓ブロック12において、腰パネル28と幕パネル32との間に位置するパネルであり、中央部分に窓部26を嵌め込むための開口部30c(図6参照)が形成されている。
【0026】
次に、前述したドアブロック10及び窓ブロック12についてさらに詳細に説明する。ドアブロック10及び窓ブロック12を構成する各パネル16〜24,28〜32は、例えばステンレス鋼から形成された種々の外板パネルとして構成されている。なお、外板パネルの材質は、ステンレス鋼のほか、アルミ合金、高張力鋼、その他の一般鋼であってもよい。
【0027】
図3及び図4に示すように、ドアブロック10において、腰パネル(外板パネル)16,18の各々の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片16a,18aが水平方向に延在しており、各々の上縁部には、それぞれ断面L字形状を有する長尺の接合片16b,18bが水平方向に延在している。さらに、腰パネル16,18におけるドア部14側の縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片16c,18cが鉛直方向に延在している。
【0028】
また、吹寄せパネル(外板パネル)20,22の各々の下縁部には、平板状の長尺の接合片20a,22aが水平方向に延在しており、各々の上縁部には、平板状の接合片20b,22bが水平方向に延在している。また、吹寄せパネル20,22におけるドア部14側の縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片20c,22cが鉛直方向に延在している。さらに、幕パネル(外板パネル)24の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片24aが水平方向に延在しており、上縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片24bが水平方向に延在している。
【0029】
そして、腰パネル16,18は、上側の縁部に形成された接合片16b,18bが吹寄せパネル20,22の下側の縁部に形成された接合片20a,22aに突き合わされた状態で吹寄せパネル20,22に溶接されている。また、吹寄せパネル20,22は、上側の縁部に形成された接合片20b,22bが幕パネル24の下側の縁部に形成された接合片24aに突き合わされた状態で幕パネル24に溶接されている。
【0030】
ここで、前述した腰パネル16の接合片16bと吹寄せパネル20の接合片20aとの溶接について詳細に説明する。
【0031】
腰パネル16と吹寄せパネル20との接合部分において、接合片16b,20aは、図5に示すように、接合片16bと接合片20aとの突き合わせ部分34における車両内面側の端部34aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部34bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、接合片16b,20aは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分34の中間部分34cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接された接合片16b,20aは、腰パネル16と吹寄せパネル20との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能している(図3参照)。
【0032】
このような溶接を行う場合、まず、各々の車両外面予定側の側面16f,20fが下側となるように、腰パネル16と、吹寄せパネル20とを定盤(図示しない)上に配置する。次に、接合片16bに接合片20aが突き合わされるように腰パネル16と吹寄せパネル20とを隣接させ、この接合片16b,20aの突き合わせ部分34の中間部分34cを、スポット溶接により形成される中間連結部W3によって仮止めする(仮止め工程)。
【0033】
仮止めを行った後、突き合わせ部分34の車両内面予定側の端部34aを長手方向に沿って連続溶接し、内側溶接部W1を形成する(内側溶接工程)。その後、腰パネル16及び吹寄せパネル20を各々の車両内面予定側の側面16g,20gが下側となるように定盤上に再配置する。そして、突き合わせ部分34の車両外面予定側の端部34bを長手方向に沿って連続溶接し、外側溶接部W2を形成する(外側溶接工程)。
【0034】
このような溶接方法によれば、内側溶接工程において定盤上に各パネル16,20を平坦に設置することができる。これにより、定盤上での各パネル16,20の歪みを抑えることができると共に、車両内面予定側の端部34aにおける溶接の作業性を向上させることが可能となる。また、溶接で発生する熱が各パネル16,20の車両外面側の側面16f,20fを通して定盤側にスムーズに放熱されるので、良好な溶接を実現することできる。
【0035】
なお、溶接部W1及びW2の形成に用いる溶接方法としては、摩擦撹拌溶接(FSW)、レーザ溶接、ハイブリッドレーザ溶接、タンデムMIG、ろう接を用いることが好ましい。これらの溶接方法によれば、パネルへの入熱量を少なくできるので、熱による歪みを抑えた連続溶接が可能となる。また、中間連結部W3による仮止めの方法としては、スポット溶接を用いることが好ましいが、リベット締結やアーク溶接、或いはボルトによる固定であってもよい。
【0036】
以下、同様の手順に従って、図4に示すように、ドアブロック10におけるもう一方の腰パネル18の接合片18bと吹寄せパネル22の接合片22aとの溶接においても溶接部W1,W2及び連結部W3が形成されている。そして、溶接された接合片18b,22aは、腰パネル18と吹寄せパネル22との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能する。
【0037】
また、吹寄せパネル20,22と幕パネル24との溶接においても、上述の方法に従って溶接部W1,W2及び連結部W3が形成されている。そして、溶接された接合片20b,24a及び接合片22b,24aは、吹寄せパネル20,22と幕パネル24との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能する。
【0038】
さらに、図3に示すように、各パネル16,18,20,22,24におけるドアブロック10の端部側に位置する縁部には、接合片16a,18a,20a,22a,24a及び接合片16b,18b,20b,22b,24bよりも大きく突出する接合片16d,20d,24d及び接合片18e,22e,24eが鉛直方向に延在している。この接合片16d,20d,24d及び接合片18e,22e,22eが溶接によって上下で相互に連結されることで、ドアブロック14の前後の端部には、鉛直方向に延在するドア側接合片10a,10bが形成されている。
【0039】
一方、図6及び図7に示すように、窓ブロック12において、腰パネル(外板パネル)28の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片28aが水平方向に延在しており、上縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片28bが水平方向に延在している。また、窓枠パネル(外板パネル)30の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片30aが水平方向に延在しており、上縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片30bが水平方向に延在している。さらに、幕パネル(外板パネル)32の下縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片32aが水平方向に延在しており、上縁部には、断面L字形状を有する長尺の接合片32bが水平方向に延在している。
【0040】
そして、腰パネル28は、上側の縁部に形成された接合片28bが窓枠パネル30の下側の縁部に形成された接合片30aに突き合わされた状態で窓枠パネル30に溶接されている。さらに、窓枠パネル30は、上側の縁部に形成された接合片30bが幕パネル32の下側の縁部に形成された接合片32aに突き合わされた状態で幕パネル32に溶接されている。
【0041】
ここで、腰パネル28及び窓枠パネル30の溶接にあたっては、前述した溶接方法が用いられている。すなわち、図8に示すように、腰パネル28の接合片28bと窓枠パネル30の接合片30aとは、接合片28bと接合片30aとの突き合わせ部分35における車両内面側の端部35aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部35bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、接合片28b,30aは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分35の中間部分35cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接された接合片28b,30aは、腰パネル28と窓枠パネル30との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能する(図6参照)。
【0042】
また、図7に示すように、窓枠パネル30と幕パネル32との溶接についても同様の溶接方法が採られている。すなわち、窓枠パネル30の接合片30bと幕パネル32の接合片32aとは、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されている。そして、溶接された接合片30b,32aは、窓枠パネル30と幕パネル32との溶接部分に沿って水平方向に延在する骨部材として機能する。
【0043】
さらに、図6に示すように、各パネル28,30,32において、窓ブロック12の端部側に位置する縁部には、接合片28a,30a,32a及び接合片28b,30b,32bよりも大きく突出する断面L字形状の接合片28d,30d,32d及び接合片28e,30e,32eがそれぞれ鉛直方向に延在している。接合片28d,30d,32d及び接合片28e,30e,32eが溶接によってそれぞれ上下で相互に連結されることで、窓ブロック12の前後の端部には、鉛直方向に延在する窓側接合片12a,12bが形成されている。
【0044】
次に、ドアブロック10と窓ブロック12との溶接について詳細に説明する。ドアブロック10と窓ブロック12とは、図9に示すように、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとを突き合わせた状態で相互に溶接されている。
【0045】
ここで、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとは、図10に示すように、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとの突き合わせ部分36における車両内面側の端部36aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部36bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、ドア側接合片10a及び窓側接合片12aは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分36の中間部分36cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されたドア側接合片10a及び窓側接合片12aは、ドアブロック10と窓ブロック12との溶接部分に沿って鉛直方向に延在する縦骨として機能している(図9参照)。
【0046】
このような溶接を行う場合、まず、各々のブロック10,12における車両外面予定側の側面10f,12fが下側となるように、ドアブロック10と、窓ブロック12とを定盤(図示しない)上に配置する。次に、ドア側接合片10aに窓側接合片12aが突き合わされるようにドアブロック10と窓ブロック12とを隣接させ、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとの突き合わせ部分36の中間部分36cを、スポット溶接により形成される中間連結部W3によって仮止めする(仮止め工程)。
【0047】
仮止めを行った後、突き合わせ部分36の車両内面予定側の端部36aを長手方向に沿って連続溶接し、内側溶接部W1を形成する(内側溶接工程)。その後、ドアブロック10及び窓ブロック12を各々の車両内面予定側の側面10g,12gが下側となるように定盤上に再配置する。そして、突き合わせ部分36の車両外面予定側の端部36bを長手方向に沿って連続溶接し、外側溶接部W2を形成する(外側溶接工程)。
【0048】
このような溶接方法によれば、内側溶接工程において定盤上に各ブロック10,12を平坦に設置することができる。これにより、定盤上での各パネル16,20の歪みを抑えることができると共に、車両内面予定側の端部36aにおける溶接の作業性を向上させることが可能となる。また、溶接で発生する熱が各ブロック10,12の車両外面側の側面10f,12fを通して定盤側にスムーズに放熱されるので、良好な溶接を実現することできる。
【0049】
以下、上述した溶接手順に従って、ドアブロック10におけるもう一方のドア側接合片10bと窓ブロック12におけるもう一方の窓側接合片12bとの溶接を行うことにより、隣接するドアブロック10と窓ブロック12とを順次溶接していくと側構体4が完成する。このとき、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されたドア側接合片10b及び窓側接合片12bも同様に、ドアブロック10と窓ブロック12との溶接部分に沿う縦骨として機能する。
【0050】
以上説明したように、この鉄道車両構体1では、ドアブロック10と窓ブロック12の接合において、互いに突き合わされて接合されたドア側接合片10a,10b及び窓側接合片12a,12bを、ドアブロック10と窓ブロック12との接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体1の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。
【0051】
一方で、ドア側接合片10a,10bと窓側接合片12a,12bとの突き合わせ部分36,38は、内側溶接部W1及び外側溶接部W2によって連続溶接されている。そのため、ドアブロック10と窓ブロック12との接合を強固に行うことが可能となる。また、ドアブロック10と窓ブロック12の外側表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約が生じることもない。
【0052】
さらに、ドアブロック10と窓ブロック12の溶接部分は、外側溶接部W2によって車両外部から遮断されている。このため、トンネルに入った時の急激な圧力変化や風雨に耐えることのできる水密性・気密性の高い鉄道車両構体1が作り出される。また、ドア側接合片10a,10bと窓側接合片12a,12bとは中間連結部W3によって接合されており、突き合わせ部分36,38において空隙の発生が抑えられている。この結果として、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0053】
また、図2に示された鉄道車両構体1では、ドアブロック10によってドア部14及び戸袋25a,25bがユニット化され、このドアブロック10と同一の外形寸法を有する窓ブロック12によって窓部26がユニット化されている。このため、ドアブロック10及び窓ブロック12の配置数を増減させることで、様々なタイプの側構体4を容易に作製することができる。このことは、製造のコストダウンを実現するものである。
【0054】
[第2実施形態]
続いて、本発明に係る鉄道車両構体の第2実施形態について説明する。この実施形態では、図11に示すように、側構体4Aがドアブロック10と、窓ブロック12を2個並設してなる窓ブロック接合体12Aとを交互に接合して構成されている点で、ドアブロック10と窓ブロック12とを交互に接合して構成されている第1実施形態に係る側構体4と相違している。このタイプの側構体4は、例えば首都圏近郊での通勤用車両に用いられる。
【0055】
ここで、窓ブロック接合体12Aを構成している窓ブロック12,12同士の溶接について詳細に説明する。図6に示したように、各窓ブロック12における前後の端部には、鉛直方向に延在する窓側接合片(第1の接合片)12aと、窓側接合片(第2の接合片)12bとが形成されている。
【0056】
窓ブロック12と窓ブロック12とを連結するにあたって、隣接する窓側接合片12aと窓側接合片12bとは、図12に示すように、窓側接合片12aと窓側接合片12bとの突き合わせ部分40における車両内面側の端部40aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部40bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、窓側接合片12a及び窓側接合片12bは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分40の中間部分40cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接された窓側接合片12a及び窓側接合片12bは、窓ブロック12,12の溶接部分に沿った縦骨として機能している。
【0057】
次に、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの溶接について説明する。ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとは、図13に示すように、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとを突き合わせた状態で相互に溶接されている。すなわち、このドア側接合片10aと窓側接合片12aとは、ドア接合片12aと窓側接合片12aとの突き合わせ部分42における車両内面側の端部42aを連続溶接した内側溶接部W1と、車両外面側の端部42bを連続溶接した外側溶接部W2とによって強固に連結されている。さらに、ドア側接合片10a及び窓側接合片12aは、内側溶接部W1と外側溶接部W2との間における突き合わせ部分42の中間部分42cで、中間連結部W3により溶接されている。そして、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されたドア側接合片10a及び窓側接合片12aは、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの溶接部分に沿った縦骨として機能している。
【0058】
このような溶接を行う場合、まず、ドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aにおける車両外面予定側の側面10f,12fが下側となるように、ドアブロック10と、窓ブロック接合体12Aとを定盤(図示しない)上に配置する。次に、ドア側接合片10aに窓側接合片12aが突き合わされるようにドアブロック10と窓ブロック接合体12とを隣接させ、ドア側接合片10aと窓側接合片12aとの突き合わせ部分42の中間部分42cを、スポット溶接により形成される中間連結部W3によって仮止めする(仮止め工程)。
【0059】
仮止めを行った後、突き合わせ部分42の車両内面予定側の端部42aを長手方向に沿って連続溶接し、内側溶接部W1を形成する(内側溶接工程)。その後、ドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aを各々の車両内面予定側の側面10g,12gが下側となるように定盤上に再配置する。そして、突き合わせ部分42の車両外面予定側の端部42bを長手方向に沿って連続溶接し、外側溶接部W2を形成する(外側溶接工程)。
【0060】
このような溶接方法によれば、内側溶接工程において定盤上にドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aを平坦に設置することができる。これにより、定盤上でのドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aの歪みを抑えることができると共に、車両内面予定側の端部42aにおける溶接の作業性を向上させることが可能となる。また、溶接で発生する熱がドアブロック10及び窓ブロック接合体12Aの車両外面側の側面10f,12fを通して定盤側にスムーズに放熱されるので、良好な溶接を実現することできる。
【0061】
以下、上述した溶接手順に従って、ドアブロック10におけるもう一方のドア側接合片10bと窓ブロック接合体12Aにおけるもう一方の窓側接合片12bとの溶接を行い、隣接するドアブロック10と窓ブロック接合体12とを順次溶接していくと側構体4Aが完成する。このとき、溶接部W1,W2及び連結部W3によって溶接されたドア側接合片10b及び窓側接合片12bも同様に、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの溶接部分に沿う縦骨として機能する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態における鉄道車両構体では、ドアブロック10と窓ブロック12Aの接合において、互いに突き合わされて接合されたドア側接合片10a,10b及び窓側接合片12a,12bを、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性を良好なものにしつつ、上下方向における剛性を十分に担保することができる。
【0063】
一方で、ドア側接合片10a,10bと窓側接合片12a,12bとの突き合わせ部分42は、内側溶接部W1及び外側溶接部W2によって連続溶接されている。そのため、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aとの接合を強固に行うことが可能となる。また、ドアブロック10と窓ブロック接合体12Aの外側表面に段差部分が生じてしまうような重ね代が不要となるため、設計上の制約が生じることもない。
【0064】
さらに、ドアブロック10と窓ブロック12Aの溶接部分は、外側溶接部W2によって車両外部から遮断されている。このため、トンネルに入った時の急激な圧力変化や風雨に耐えることのできる水密性・気密性の高い鉄道車両構体が作り出される。また、ドア側接合片10a,10bと窓側接合片12a,12bとは中間連結部W3によって接合されており、突き合わせ部分42において空隙の発生が抑えられている。この結果として、接合片同士の接合強度をアップさせることが可能となる。
【0065】
また、窓ブロック接合体12Aにおいて、隣接する窓ブロック12,12同士は、隣接する窓側接合片12aと窓側接合片12bとが互いに突き合わされて接合されている。これにより、各接合片12a,12bを窓ブロック接合体12Aにおける窓ブロック12,12間の接合部分に延在する縦骨としてそのまま機能させることができるため、鉄道車両構体の組み立て作業性をより向上させることができる。
【0066】
また、この鉄道車両構体では、ドアブロック10によってドア部14及び戸袋25a,25bがユニット化され、窓ブロック接合体12Aを構成する各窓ブロック12によって窓部26がユニット化されている。このため、ドアブロック10の配置数や窓ブロック接合体12Aを構成する窓ブロック10の設置数を増減させること様々なタイプの側構体を容易に作製することができる。このことは、製造のコストダウンを実現する。
【0067】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、図14に示すように、2個のドアブロック10と、5個の窓ブロック12を並設してなる窓ブロック接合体12Bとを接合して側構体4Bを構成すれば、都市近郊での2扉通勤用車両とすることができる。また、図15に示すように、1個のドアブロック10と、8個の窓ブロック12を並設してなる窓ブロック接合体12Cとを接合して側構体4Cを構成すれば、1扉特急用車両とすることができる。さらに、図16に示すように、2個のドアブロック10と、10個の窓ブロック12を並設してなる窓ブロック接合体12Dとを接合して側構体4Dを構成すれば、幹線用の車両とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る鉄道車両構体の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】側構体のパネル構成を示す側面図である。
【図3】車両内面側から見たドアブロックの斜視図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】ドアブロックにおける腰パネルと吹寄せパネルの接合片同士の溶接状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】車両内面側から見た窓ブロックの斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】窓ブロックにおける腰パネルと窓枠パネルの接合片同士の溶接状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】ドアブロックと窓ブロックとの連結状態を示す斜視図である。
【図10】図9におけるX−X線断面図である。
【図11】本発明に係る鉄道車両構体の第2実施形態における側構体のパネル構成を示す側面図である。
【図12】窓ブロック接合体を構成する窓ブロック同士の連結状態を示す要部拡大断面図である。
【図13】ドアブロックと窓ブロック接合体との連結状態を示す要部拡大断面図である。
【図14】側構体のパネル構成の別の実施形態を示す側面図である。
【図15】側構体のパネル構成のさらに別の実施形態を示す側面図である。
【図16】側構体のパネル構成のさらに別の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0069】
1…鉄道車両構体、2…床構体、4,4A〜4D…側構体、6…屋根構体、8…妻構体、10…ドアブロック、10a,10b…ドア側接合片、12…窓ブロック、12A〜12D…窓ブロック接合体、12a,12b…窓側接合片、14…ドア部、25a,25b…戸袋、26…窓部、36,38,40,42…突き合わせ部分(突き合わせ接合部分)、36a,38a,40a,42a…車両内面側の端部、36b,38b,40b,42b…車両外面側の端部、W1…内側溶接部、W2…外側溶接部,W3…中間連結部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体であって、
前記側構体は、
ドア部及び戸袋を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、
窓部を有すると共に、一縁部から前記車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックと、を交互に配置して構成され、
前記ドアブロックと前記窓ブロックとは、前記ドア側接合片と前記窓側接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴とする鉄道車両構体。
【請求項2】
側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体であって、
前記側構体は、
ドア部及び戸袋を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、
窓部を有すると共に、一縁部から前記車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックを複数並設してなる窓ブロック接合体とを有し、
前記ドアブロックと前記窓ブロック接合体とは、前記ドア側接合片と前記窓側接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴とする鉄道車両構体。
【請求項3】
前記窓ブロックは、一縁部から前記車両内面側に向けて突出する第1の接合片と、他縁部から前記車両内面側に向けて突出する第2の接合片とを有し、
前記窓ブロック接合体において、隣接する前記窓ブロック同士は、隣接する前記第1の接合片と前記第2の接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴とする請求項2記載の鉄道車両構体。
【請求項4】
前記窓側接合片と前記ドア側接合片とが互いに突き合わされた接合部分には、
前記突き合わせ接合部分の前記車両内面側の端部に形成された内側溶接部と、
前記突き合わせ接合部分の車両外面側の端部に形成された外側溶接部と、
前記内側溶接部と前記外側溶接部との間に形成された中間連結部と、が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両構体。
【請求項5】
前記内側溶接部及び前記外側溶接部の少なくとも一方は、前記突き合わせ接合部分に沿って長手方向に連続的に形成されていることを特徴とする請求項4記載の鉄道車両構体。
【請求項6】
前記ドアブロックの外形寸法は、前記窓ブロックの外形寸法と同一であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の鉄道車両構体。
【請求項7】
側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体の製造方法であって、
ドア部及び戸袋を有するドアブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出するドア側接合片と、窓部を有する窓ブロックの一縁部から前記車両内面予定側に向けて突出する窓側接合片とを突き合わせるように配置して、前記ドア側接合片と前記窓側接合片との突き合わせ部分を仮止めする仮止め工程と、
前記仮止め工程後、前記突き合わせ部分の前記車両内面予定側の端部を溶接する内側溶接工程と、
前記仮止め工程後、前記突き合わせ部分の車両外面予定側の端部を溶接する外側溶接工程と、を備えることを特徴とする鉄道車両構体の製造方法。
【請求項8】
側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体の製造方法であって、
ドア部及び戸袋を有するドアブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出するドア側接合片と、窓部を有する窓ブロックを複数並設してなる窓ブロック接合体の一縁部から前記車両内面予定側に向けて突出する窓側接合片とを突き合わせるように配置して、前記ドア側接合片と前記窓側接合片との突き合わせ部分を仮止めする仮止め工程と、
前記仮止め工程後、前記突き合わせ部分の前記車両内面予定側の端部を溶接する内側溶接工程と、
前記仮止め工程後、前記突き合わせ部分の車両外面予定側の端部を溶接する外側溶接工程と、を備えることを特徴とする鉄道車両構体の製造方法。
【請求項9】
前記外側溶接工程は、前記内側溶接工程の後に行われることを特徴とする請求項7又は8記載の鉄道車両構体の製造方法。
【請求項10】
前記内側溶接工程及び前記外側溶接工程の少なくとも一方は、前記突き合わせ部分の溶接が連続溶接であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項記載の鉄道車両構体の製造方法。
【請求項1】
側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体であって、
前記側構体は、
ドア部及び戸袋を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、
窓部を有すると共に、一縁部から前記車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックと、を交互に配置して構成され、
前記ドアブロックと前記窓ブロックとは、前記ドア側接合片と前記窓側接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴とする鉄道車両構体。
【請求項2】
側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体であって、
前記側構体は、
ドア部及び戸袋を有すると共に、一縁部から車両内面側に向けて突出するドア側接合片を有するドアブロックと、
窓部を有すると共に、一縁部から前記車両内面側に向けて突出する窓側接合片を有する窓ブロックを複数並設してなる窓ブロック接合体とを有し、
前記ドアブロックと前記窓ブロック接合体とは、前記ドア側接合片と前記窓側接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴とする鉄道車両構体。
【請求項3】
前記窓ブロックは、一縁部から前記車両内面側に向けて突出する第1の接合片と、他縁部から前記車両内面側に向けて突出する第2の接合片とを有し、
前記窓ブロック接合体において、隣接する前記窓ブロック同士は、隣接する前記第1の接合片と前記第2の接合片とが互いに突き合わされて接合されていることを特徴とする請求項2記載の鉄道車両構体。
【請求項4】
前記窓側接合片と前記ドア側接合片とが互いに突き合わされた接合部分には、
前記突き合わせ接合部分の前記車両内面側の端部に形成された内側溶接部と、
前記突き合わせ接合部分の車両外面側の端部に形成された外側溶接部と、
前記内側溶接部と前記外側溶接部との間に形成された中間連結部と、が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両構体。
【請求項5】
前記内側溶接部及び前記外側溶接部の少なくとも一方は、前記突き合わせ接合部分に沿って長手方向に連続的に形成されていることを特徴とする請求項4記載の鉄道車両構体。
【請求項6】
前記ドアブロックの外形寸法は、前記窓ブロックの外形寸法と同一であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の鉄道車両構体。
【請求項7】
側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体の製造方法であって、
ドア部及び戸袋を有するドアブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出するドア側接合片と、窓部を有する窓ブロックの一縁部から前記車両内面予定側に向けて突出する窓側接合片とを突き合わせるように配置して、前記ドア側接合片と前記窓側接合片との突き合わせ部分を仮止めする仮止め工程と、
前記仮止め工程後、前記突き合わせ部分の前記車両内面予定側の端部を溶接する内側溶接工程と、
前記仮止め工程後、前記突き合わせ部分の車両外面予定側の端部を溶接する外側溶接工程と、を備えることを特徴とする鉄道車両構体の製造方法。
【請求項8】
側構体、床構体、屋根構体及び妻構体を接合してなる鉄道車両構体の製造方法であって、
ドア部及び戸袋を有するドアブロックの一縁部から車両内面予定側に向けて突出するドア側接合片と、窓部を有する窓ブロックを複数並設してなる窓ブロック接合体の一縁部から前記車両内面予定側に向けて突出する窓側接合片とを突き合わせるように配置して、前記ドア側接合片と前記窓側接合片との突き合わせ部分を仮止めする仮止め工程と、
前記仮止め工程後、前記突き合わせ部分の前記車両内面予定側の端部を溶接する内側溶接工程と、
前記仮止め工程後、前記突き合わせ部分の車両外面予定側の端部を溶接する外側溶接工程と、を備えることを特徴とする鉄道車両構体の製造方法。
【請求項9】
前記外側溶接工程は、前記内側溶接工程の後に行われることを特徴とする請求項7又は8記載の鉄道車両構体の製造方法。
【請求項10】
前記内側溶接工程及び前記外側溶接工程の少なくとも一方は、前記突き合わせ部分の溶接が連続溶接であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項記載の鉄道車両構体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図11】
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【図16】
【公開番号】特開2006−15843(P2006−15843A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194686(P2004−194686)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
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