説明

鉄道車両用検出装置

【課題】本発明は、簡易な構成で回転数と回転角を検出可能な鉄道車両用検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】鉄道車両の運転に伴い回転する円形の磁性鋼板と、この磁性鋼板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、前記磁性鋼板の外周側且つ前記磁性鋼板と接触しない位置に設けられた速度検出器とを有し、前記磁性鋼板の凸又は凹の一部の高さを、他の凸又は凹の高さより低くし、前記速度検出器により検出される電圧に基づき、前記他の凸又は凹の高さよりも低い凸又は凹の位置を検出することを特徴とする鉄道車両用検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の速度検出器の構成を図10に示し、A相センサ2及びB相センサ3によりけちされるA相出力電圧及びB相出力電圧の波形図を図11に示す。
【0003】
従来の速度検出器は、均一に歯5が設けられたセンサ歯車4と、速度センサ1から構成され、速度センサ1は、A相出力電圧とB相出力電圧の周期をカウントし、電動機の回転数を検出していた。
【0004】
従来、永久磁石式電動機を搭載した鉄道車両には、上述した永久磁石式電動機の回転数を検出する速度検出器と、永久磁石式電動機の回転角を検出可能なレゾルバの両方を一般的に搭載し、インバータは、この速度検出器とレゾルバにより検出された永久磁石式電動機の回転数と回転角に基づき、電動機に供給する電力の制御を行っていた。
【特許文献1】特開2001−298932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年は、鉄道車両に搭載される装置の小型化への要求や低コスト化への要求があり、価格が高いレゾルバを用いずに、回転角を検出可能な検出装置が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構成で回転数と回転角を検出可能な鉄道車両用検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、鉄道車両の運転に伴い回転する円形の磁性鋼板と、この磁性鋼板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、前記磁性鋼板の外周側且つ前記磁性鋼板と接触しない位置に設けられた速度検出器とを有し、前記磁性鋼板の凸又は凹の一部の高さを、他の凸又は凹の高さより低くし、前記速度検出器により検出される電圧に基づき、前記他の凸又は凹の高さよりも低い凸又は凹の位置を検出することによって達成することが出来る。
【0008】
上記課題は、鉄道車両の運転に伴い回転する円形の磁性鋼板と、この磁性鋼板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、前記磁性鋼板の外周側且つ前記磁性鋼板と接触しない位置に設けられた速度検出器とを有し、前記磁性鋼板の凸の一部の高さを、他の凸の高さより高くし、前記速度検出器により検出される電圧に基づき、前記他の凸の高さよりも高い凸の位置を検出することによって達成することが出来る。
【0009】
上記課題は、鉄道車両の運転に伴い回転する楕円形状の磁性鋼板と、この磁性鋼板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、前記磁性鋼板の外周側且つ前記磁性鋼板と接触しない位置に設けられた速度検出器とを有し、前記速度検出器により検出される電圧に基づき、回転位置を検出することによって達成することが出来る。
【0010】
上記課題は、鉄道車両の運転に伴い回転する楕円形状の板と、この板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、前記板の外周側且つ前記板と接触しない位置に設けられた光学センサーとを有し、前記光学センサーにより、回転位置を検出することによって達成することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、簡易な構成で回転数と回転角を検出可能な鉄道車両用検出装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明に基づく第1の実施の形態の鉄道車両用検出装置について、図を参照し詳細に説明する。図1は、本発明に基づく第1の実施の形態の鉄道車両用検出装置の正面図である。図2は、本発明に基づく第1の実施の形態の鉄道車両用検出装置の速度検出装置により検出されるA相及びB相の出力電圧の波形図である。
【0013】
本発明に基づく第1の実施の形態の鉄道車両用検出装置は、永久磁石式同期電動機(図示しない)のロータシャフト(図示しない)に接続され、永久磁石式同期電動機の回転に伴い回転する円形の磁性鋼板であるセンサ歯車4と、このセンサ歯車4の外周に設けられた複数の凸凹を形成するセンサ歯車の歯5と、センサ歯車4及びセンサ歯車4の歯5の外周側でセンサ歯車4及び歯5と接触しない位置に設けられた速度検出器1とから構成されている。
【0014】
このように構成された鉄道車両用検出装置において、センサ歯車4の外周に形成された歯5は、等間隔で複数設けられ、ひとつの歯5aの高さだけ、他の歯5の高さよりも低く構成されている。速度検出器1は、磁石を内蔵し、センサ歯5に対向するように設けられたA相センサ2と、A相センサ2と所定の間隔で設置され、同じく磁石を内蔵しセンサ歯5と対向するように設けられたB相センサ3とから構成されている。
【0015】
このように構成された鉄道車両用検出装置において、電動機の回転に伴い、磁性鋼板であるセンサ歯車4が回転した場合電力が発生し、A相センサ2及びB相センサ3により、図2に示すA相出力電圧10とB相出力電圧を検知することが出来る。
【0016】
本実施の形態の鉄道車両用検出装置は、歯5aの高さを他の歯5の高さよりも低くしているので、センサ1及び2が歯5aと対向している際に検出される電圧は、センサが他の歯と対向している際に検出される電圧よりも、低い電圧が検出される。そのため、低い電圧が検出された際には、歯5aの位置を検出することが出来る。また歯5aの位置を基準として、他の歯の位置(回転角)も、A相電圧10及びB相電圧11をカウントすることにより検出することが出来る。また、A相電圧10及びB層電圧11により、電動機の回転方向も検出することができる。
【0017】
このように構成された鉄道車両用検出装置は、レゾルバを用いずに、簡単な構成で鉄道車両駆動時の回転数と回転角を検出することが出来るので、鉄道車両用機器の小型化にも貢献することが出来る。
【0018】
尚、図1において、一例として歯5aは無いものとして記載をしたが、歯5aは他の歯5よりも低ければ同様の効果を得られるので、本発明は、歯5aがない鉄道車両用検出装置のみに限定するものではない。
【0019】
(第2の実施の形態)
本発明に基づく第2の実施の形態の鉄道車両用検出装置について、図を参照し詳細に説明する。図3は、本発明に基づく第2の実施の形態の鉄道車両用検出装置の正面図である。図4は、本発明に基づく第2の実施の形態の鉄道車両用検出装置の速度検出装置により検出されるA相及びB相の出力電圧の波形図である。尚、図1及び図2に記載したものと構造上同一の物については、同符号を付して説明を省略する。
【0020】
本発明に基づく第2の実施の形態の鉄道車両用検出装置は、ひとつの歯5bの高さを他の歯5の高さよりも高くした点で、第1の実施の形態の鉄道車両用検出装置と異なる。
【0021】
本実施の形態鉄道車両用検出装置は、歯5bの高さを他の歯5の高さよりも高くしているので、歯5bがセンサ1及び2と対向している際に検出される電圧は、センサ1及び2が他の歯5と対向している際に検出される電圧よりも、高い電圧が検出される。そのため、高い電圧が検出された際には、歯5bの位置を検出することが出来る。また歯5bの位置を基準として、他の歯の位置も、A相電圧10及びB相電圧11をカウントすることにより検出することが出来る。また、A相電圧10及びB層電圧11により、電動機の回転方向も検出することができる。
【0022】
このように構成された鉄道車両用検出装置は、レゾルバを用いずに、簡単な構成で鉄道車両駆動時の回転数と回転角を検出することが出来るので、鉄道車両用機器の小型化にも貢献することが出来る。
【0023】
(第3の実施の形態)
本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置について、図を参照し詳細に説明する。図5は、本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置の正面図である。図6は、本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置の歯車の正面図である。図7は、本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置の速度検出装置により検出されるA相及びB相の出力電圧の波形図である。図8は、本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置の速度検出装置のA相センサにより検出されるA相出力電圧の波形図である。図9は、図7の拡大図である。尚、図1乃至図4に記載したものと構造上同一の物については、同符号を付して説明を省略する。
【0024】
本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置は、センサ歯車4を楕円形状とした点が、他の実施の形態の鉄道車両用検出装置と異なる。
【0025】
このように構成された鉄道車両用検出装置は、センサ歯車4が楕円形状をしているため、A相出力電圧及びB相出力電圧は、図7乃至図9に示すように、電圧の値が検出する歯のによって異なる値となる。
【0026】
そのため、本実施の形態の鉄道車両用電圧検出装置では、A相出力電圧10とB相出力電圧により歯5の位置と回転方向を検出することが出来る。
【0027】
第1乃至第3実施の形態の変形例としては、速度センサ1の代わりに、光センサをセンサ歯車の外周側に非接触で設置し、歯車4の歯5に光を照射し、帰ってくる時間を検知して、歯の位置を検出する方法が考えられる。光センサを用いる場合には、センサ歯車を磁性鋼板とする必要がないので、簡単に製造が出来るというメリットがある。
【0028】
このように構成された鉄道車両用検出装置は、レゾルバを用いずに、簡単な構成で鉄道車両駆動時の回転数と回転角を検出することが出来るので、鉄道車両用機器の小型化にも貢献することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に基づく第1の実施の形態の鉄道車両用検出装置の正面図である。
【図2】本発明に基づく第1の実施の形態の鉄道車両用検出装置の速度検出装置により検出されるA相及びB相の出力電圧の波形図である。
【図3】本発明に基づく第2の実施の形態の鉄道車両用検出装置の正面図である。
【図4】本発明に基づく第2の実施の形態の鉄道車両用検出装置の速度検出装置により検出されるA相及びB相の出力電圧の波形図である。
【図5】本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置の正面図である。
【図6】本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置の歯車の正面図である。
【図7】本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置の速度検出装置により検出されるA相及びB相の出力電圧の波形図である。
【図8】本発明に基づく第3の実施の形態の鉄道車両用検出装置の速度検出装置のA相センサにより検出されるA相出力電圧の波形図である。
【図9】図7の拡大図である。
【図10】従来の速度検出器の構成図。
【図11】従来の速度検出器により検出される電圧波形である。
【符号の説明】
【0030】
1 速度センサ
2 A相センサ
3 B相センサ
4 センサ歯車
5 センサ歯車の歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の運転に伴い回転する円形の磁性鋼板と、この磁性鋼板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、
前記磁性鋼板の外周側且つ前記磁性鋼板と接触しない位置に設けられた速度検出器とを有し、
前記磁性鋼板の凸又は凹の一部の高さを、他の凸又は凹の高さより低くし、
前記速度検出器により検出される電圧に基づき、前記他の凸又は凹の高さよりも低い凸又は凹の位置を検出することを特徴とする鉄道車両用検出装置。
【請求項2】
鉄道車両の運転に伴い回転する円形の磁性鋼板と、この磁性鋼板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、
前記磁性鋼板の外周側且つ前記磁性鋼板と接触しない位置に設けられた速度検出器とを有し、
前記磁性鋼板の凸の一部の高さを、他の凸の高さより高くし、
前記速度検出器により検出される電圧に基づき、前記他の凸の高さよりも高い凸の位置を検出することを特徴とする鉄道車両用検出装置。
【請求項3】
鉄道車両の運転に伴い回転する楕円形状の磁性鋼板と、この磁性鋼板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、
前記磁性鋼板の外周側且つ前記磁性鋼板と接触しない位置に設けられた速度検出器とを有し、
前記速度検出器により検出される電圧に基づき、回転位置を検出することを特徴とする鉄道車両用検出装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至前記請求項3に記載の鉄道車両用検出装置において、
前記速度検出装置は、所定の間隔を置いて配置されたA相電圧センサーとB相電圧センサーとからなることを特徴とする鉄道車両用検出装置。
【請求項5】
鉄道車両の運転に伴い回転する楕円形状の板と、この板の外周に同じ間隔で設けられた複数の凸凹と、
前記板の外周側且つ前記板と接触しない位置に設けられた光学センサーとを有し、
前記光学センサーにより、回転位置を検出することを特徴とする鉄道車両用検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−82755(P2008−82755A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260816(P2006−260816)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】