説明

銀メッキ回路に適するように改良を受けさせたコーティング

金属表面のはんだ付け性を向上させる方法を開示し、この方法では、前記金属表面にはんだ付けを受けさせる前にそれを浸漬もしくは無電解銀メッキでメッキしておいた後、その浸漬銀メッキをビニルポリマー水溶液とアクリルポリマー水溶液と抗菌・カビ剤とベンゾトリアゾールまたはベンズイミダゾール化合物を含有して成るアルカリ性ポリマーコーティングで処理することで、耐エレクトロマイグレーション性を示しかつ抗変色性で抗腐食性のコーティングを与える付着物を前記表面の上に生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、表面のはんだ付け性を向上させる溶液、より重要なことは、その表面にとって抗変色剤または抗腐食剤として働く溶液を用いて表面を処理する方法に関する。本方法は特にプリント基板の加工および組み立てで用いるに有用である。
【背景技術】
【0002】
いろいろな製品に機械的、電気機械的または電子的連結部を生じさせようとする時、一般的にははんだ付けが用いられる。そのような接合部に期待される機能の間の区別を行うことが重要である、と言うのは、各用途は表面調製に関してそれ自身の特定の要求を有するからである。前記3種類のはんだ付け用途の中で最も要求が厳しいのは電子的連結部を生じさせる用途である。
【0003】
印刷回路を用いて電子装置を製造しようとする時、電子構成要素と印刷回路の連結はその構成要素の先端をスルーホール、周囲パッド(surrounding pads)、ランド(lands)および他の連結点(集合的に「連結領域」)にはんだ付けすることで行われる。そのような連結は典型的にウェーブソルダリング技術を用いて行われる。
【0004】
印刷回路加工業者は、そのようなはんだ付け操作を容易にする目的で、前記スルーホール、パッド、ランドおよび他の連結点をこれらが次のはんだ付け工程を受け入れるように準備しておく必要がある。従って、そのような表面ははんだで容易に湿る必要がありかつ電子構成要素の先端または表面との一体的導電性連結を可能にする必要がある。印刷回路加工業者はそのような必要性から表面のはんだ付け性を持続かつ向上させるいろいろな方法を考案してきた。
【0005】
当該表面が良好なはんだ付け性を示すようにしようとする1つの手段は、その表面にはんだのプレコーティング(pre−coating)を与えておく手段である。それは、典型的に熱風はんだ水平化(hot air solder leveling)と呼ばれる方法またはある種のメッキ方法を用いて行われる。しかしながら、そのような方法を印刷回路の加工で用いるといくつかの欠点が生じる。熱風はんだ水平化を用いると、ショート、特に小型回路を取り扱っている時に起こるショートが理由で欠陥率が受け入れられないほど高くなってしまう可能性がある。メッキを用いると、そのような領域にはんだを選択的に取り付けるのは容易でないことから、基板のあらゆる導電性領域をはんだでメッキする必要があり、それによって、後ではんだマスク(solder mask)を取り付ける時に重大な問題が引き起こされる。加うるに、この上に示した方法は効率が悪くかつ比較的高価である。
【0006】
当該表面が良好なはんだ付け性を示すようにしようとする別の手段は、それらを貴金属、例えば金、パラジウムまたはロジウムなどの最終的仕上げコーティングでメッキしておく手段である。そのような最終的な金属仕上げを前以て達成しておく方法が特許文献1(これの教示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に提案されている。特許文献1には、はんだ付けすべき銅領域を無電解ニッケル−ホウ素でメッキしておいた後に貴金属コーティング、例えば金などでメッキすることが提案されている。また、無電解銅メッキに続く電解銅メッキに続いてニッケルメッキの後にはんだ付け可能表面として金メッキすることを教示している同様な方法も参照のこと[特許文献2(これの教示は引用することによって本明細書に組み入れられる)]。そのような方法はうまく働くが、時間を消費しかつ高価である。
【0007】
はんだを必要な領域のみに選択的に付着させるいろいろな試みが成された。特許文献3(これの教示は引用することによって本明細書に組み入れら)に記述されている1つのそのような方法は、はんだでメッキする連結領域の上に有機腐食レジストを用いそして次に錫−鉛を銅トレース(copper traces)から選択的に剥がした後にはんだマスクを取り付けることを伴う。他の公知選択的はんだ方法に関してはまた特許文献4(これの教示は引用することによって本明細書に組み入れら)も参照のこと。
【0008】
銅表面に直接はんだ付けするのは困難でありかつ一貫性がなかった。そのような問題は主に銅表面を奇麗なままに保つことができないこととはんだ付け操作全体に渡って酸化が起こらないようにすることができないことによるものである。銅表面をはんだ付けが容易な状態に持続させるいろいろな有機的処理が開発された。例えば、銅表面のはんだ付け性を持続させる目的で特定の2−アルキルベンズイミダゾールを銅プレフラックス(copper pre−fluxes)として用いることを教示している特許文献5を参照のこと。特許文献5に教示されている如き処理は効果があることが確かめられてはいるが、それでもそのような方法の信頼性を向上させる必要性が存在する。
【0009】
それに提案されているはんだ付け性持続方法は、はんだ付けすべき銅表面をはんだ付けに先立って浸漬もしくは無電解銅メッキで覆う方法である。しかしながら、この上に示した方法を用いると回路が水分の存在下で用いられる時(即ち電位差が存在する時)に銀塗膜がエレクトロマイグレーション機構によって突出物またはフィラメントを生じる性向があることを確認した。
【0010】
エレクトロマイグレーションが起こる性向は、Bellcore GR−78−CORE(13.2.5、13.2.7)標準試験手順(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に明記されている標準的技術を用いて測定可能である。この上に示したBellcore手順では、回路造作間の平均的絶縁抵抗を測定する。BellcoreおよびIPC標準では、初期値(バイアス無しに85℃/85%の相対湿度で96時間条件付けした後に得た)と最終値(10V.dcのバイアスをかけて85℃/85%の相対湿度で更に500時間後に得た)の間で平均絶縁抵抗が1デケード(one decade)以上低下しないことを要求している。
【0011】
銀メッキのエレクトロマイグレーションを克服する目的で使用可能な1つの方法は、銀メッキを別のさらなる貴金属、例えば金などで覆う方法である。そのような方法の欠点は金メッキの費用ばかりでなく追加的工程段階が必要な点にある。
【0012】
浸漬銀メッキのエレクトロマイグレーションを克服する目的で使用可能な別の方法が特許文献6(これの教示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。そのような方法では、脂肪アミン、脂肪アミド、第四級塩、両性塩、樹脂状アミン、樹脂状アミド、脂肪酸、樹脂状酸、これらのいずれかのエトキシル化誘導体およびこれらのいずれかの混合物から成る群から選択される添加剤で浸漬銀メッキを処理している。
【0013】
本発明の1つの目的は、従来技術の銀付着物が示す耐エレクトロマイグレーション性よりも高い耐エレクトロマイグレーション性を示す新規な銀メッキで銅表面をメッキすることで前記銅表面のはんだ付け性を持続かつ向上させる方法を提案することにある。本発明のさらなる目的は、ポリマー溶液を銀メッキ浴に添加するか或はポリマー溶液を後浸漬処理(post dip treatment)として用いることで銀メッキの耐マイグレーション性(micration resistance)を向上させるばかりでなく銀メッキが耐変色性または耐腐食性を示すようにすることにある。
【特許文献1】米国特許第5,235,139号(Bengston他)
【特許文献2】Juskey,Jr他の米国特許第4,940,181号
【特許文献3】Durnwith他の米国特許第4,978,423号
【特許文献4】Larsonの米国特許第5,160,579号
【特許文献5】米国特許第5,173,130号(Kinoshita)
【特許文献6】Kukanskisの米国特許第6,444,109号
【発明の開示】
【0014】
(発明の要約)
本発明は、いろいろな表面、特に銅表面が示すはんだ付け性の持続を向上させるコーティングとして浸漬もしくは無電解銀コーティングを用いることを提案するものである。また、そのような浸漬銀コーティングを付着させるに好適な組成物も開示する。本新規銀メッキ方法は、通常の銀付着物が示す耐エレクトロマイグレーション性よりも高い耐エレクトロマイグレーション性を示す銀メッキを生じさせる。この提案する方法は、表面、特に銅表面およびプリント基板上の連結領域のはんだ付け性を有効に持続させるに適した用途が広くて低コストの方法である。
【0015】
加うるに、本発明は、ポリマー溶液を銀メッキ表面への後浸漬液として用いることで銀メッキ材料が示す耐マイグレーション性を向上させるばかりでなく耐変色性または耐腐食性も向上させることも提案するものである。
(発明の詳細な説明)
本発明は、金属表面、特に銅表面のはんだ付け性を持続かつ向上させる方法を提案するものである。この提案する方法は下記の段階を含んで成る:
a)当該金属表面を奇麗にし、
b)場合により、前記金属表面にエッチングを受けさせ、
c)前記金属表面を銀メッキ溶液(この溶液は、
1. 可溶銀イオン源、
2. 酸、
3. 場合により、脂肪アミン、脂肪アミド、第四級塩、両性塩、樹脂状アミン、樹脂状アミド、脂肪酸、樹脂状酸およびこれらの混合物から成る群から選択した添加剤、
4. 場合により、イミダゾール、ベンズイミダゾールもしくはイミダゾール誘導体またはトリアゾール誘導体、
5. 場合により、酸化剤、
を含んで成る)で処理し、そして
d)前記浸漬銀メッキした表面をビニルポリマーもしくはコポリマーの水溶液、アクリルポリマーもしくはコポリマーの水溶液およびこれらの混合物から成る群から選択した材料と場合によりトリアゾール、イミダゾールおよびこれらの誘導体から成る群から選択した化合物を含有して成る溶液で処理する。
【0016】
浸漬もしくは無電解銀付着物ははんだ付け性の持続が優れていることを見いだし、これは特にプリント基板の加工で用いるに有用である。簡単もしくは無電解浸漬銀付着物を印刷回路用途で用いた時に達成可能なはんだ付け性は従来技術のニッケル−金メッキ方法、例えば米国特許第5,235,139号に記述されている方法などを用いた時に達成可能なはんだ付け性よりも勝っておりかつ他の浸漬付着物を用いた時に達成可能なそれよりも予想外に勝っていることを予想外に見いだした。以下に示す実施例で分かるであろうように、本発明の方法を用いると、不利な条件下でも極めてはんだ付け可能な表面がもたらさ
れる。印刷回路用途では表面が金属線結合可能(wire bondable)になる。
【0017】
浸漬メッキは、メッキすべき表面が置換反応の結果として溶液に溶解すると同時にメッキすべき金属がメッキ溶液から表面に付着する工程である。そのような浸漬メッキは表面を前以て活性化させておかなくても始まる。一般的には、そのメッキすべき金属の方が表面の金属よりも貴重である。従って、浸漬メッキは一般に無電解メッキ(無電解メッキでは複雑な自己触媒作用メッキ溶液が必要でありかつメッキを行う前に表面を活性化させておく工程も必要である)よりも有意に制御が容易でありかつ費用効果も有意に高い。無電解メッキは、この名称が意味するように、溶液を用いてメッキした金属に還元をそのメッキすべき表面上で受けさせる目的で通常は化学的還元剤が用いられるメッキ方法である。そのメッキした金属およびメッキすべき表面の性質に応じて、触媒を用いて表面を活性化させる必要があり得る。
【0018】
可溶銀イオン源はいろいろな銀化合物から誘導可能である。硝酸銀が最も好ましいことを確認した。メッキ溶液中の銀の濃度は1リットル当たり0.1から25グラムの範囲であってもよいが、最も好適には、それを1リットル当たり0.5から2グラムの濃度で存在させる。
【0019】
そのような配合で用いるに適した酸はいろいろ存在するが、メタンスルホン酸または硝酸が最も好適である。メッキ溶液中の酸の濃度は1リットル当たり1から150グラムの範囲であってもよいが、好適には、それを1リットル当たり5から50グラムの範囲にする。
【0020】
銀メッキ溶液にイミダゾールを入れることは一般にメッキ溶液にとって大きな利点になるが、特に浸漬もしくは無電解銀メッキを行う時に有用かつ有利である。本発明者らは、メッキ用浴液にイミダゾールを入れておくと結果として銀付着物がイミダゾールが入っていない浴液を用いてメッキした銀付着物よりも明るくなり、滑らかになりかつ凝集力が高くなることを見いだした。加うるに、メッキ用浴液にイミダゾールを入れておくと、イミダゾールが入っていない匹敵する浴液に比べて有効寿命も長くなる。用いることができる適切なイミダゾールおよびイミダゾール誘導体の例が米国特許第6,444,109号の中で考察されている。
【0021】
メッキ用溶液に場合により有利にはまた酸化剤も入れておいてもよい。これに関してニトロ芳香族化合物、最も好適にはジニトロ化合物、例えば3,5ジニトロヒドロキシ安息香酸などが好適である。そのような酸化剤を前記溶液に入れる濃度は1リットル当たり0.1から25グラムの範囲であってもよいが、それを好適には1リットル当たり0.5から2グラムにする。
【0022】
更に銀メッキがエレクトロマイグレーションを起こさないようにするか或は起こす性向を有意に低下させる目的で、場合により、脂肪アミン、脂肪酸、脂肪アミド、第四級塩、両性塩、樹脂状アミン、樹脂状アミド、樹脂状酸およびこれらの混合物から成る群から選択した添加剤を用いてもよい。適切な添加剤の例が米国特許第6,444,109号の中で考察されている。この上に示した添加剤を用いる場合、浸漬銀メッキ用浴液中のそれの濃度を1リットル当たり0.1から15グラムの範囲にしてもよいが、好適にはそれを1リットル当たり1から5グラムにする。そのような添加剤をメッキ浴液自身に混合するのが好適な方法である。
【0023】
本発明者らは、浸漬銀メッキがエレクトロマイグレーションを起こさないようにするか或はその性向を有意に添加させるばかりでなく耐変色性および耐腐食性を示すようにするにはそのメッキした付着物の上にポリマー溶液を付着させると有益な結果がもたらされる
ことを見いだした。そのようなポリマー溶液は、一般に、1種以上のビニルポリマーもしくはコポリマーの水溶液および/または1種以上のアクリルポリマーもしくはコポリマーの水溶液ばかりでなく好適には抗菌・カビ剤およびトリアゾールもしくはイミダゾール型の化合物を含有して成る。そのようなポリマーコーティング溶液(polymer coating solution)を好適には後の処理段階で加える。
【0024】
適切なビニルポリマー水溶液には、UCAR(商標)ビニル樹脂分散液、例えばUnion Carbide−Dowから入手可能なUCAR(商標)Aw−875などが含まれる。別の適切なビニルコポリマー水溶液をAllied Colloids Limitedから商標DP6−4586TMの下で入手することができる。そのようなビニルポリマーもしくはコポリマー水溶液は一般にポリマーが20−50重量パーセントの量で存在、好適には30−45重量パーセント存在する溶液として存在する。そのようなビニルポリマーもしくはコポリマーは好適には40−100℃のTg、2,000から50,000の分子量、45−100の酸価および7−9のpHを示す。
【0025】
適切なアクリルポリマー水溶液には、Johnson Chemicalsから入手可能なJoncryl(商標)142およびMorton Chemicalsから入手可能なMONCRYL(商標)350が含まれる。他の適切なアクリルコポリマー水溶液をAllied Colloids Limitedから商標GlascolTMHおよびPの下で入手することができる。そのようなアクリルポリマー水溶液は一般にポリマーが約5−30重量パーセントの量で存在、好適には30−45重量パーセント存在する溶液として存在する。そのようなアクリルポリマーもしくはコポリマーは好適には0−80℃のTg、1,000から50,000の分子量および7−9のpHを示す。
【0026】
好適には抗菌・カビ剤を用いるが、それは好適にはイソチアゾールまたは1,2−チアゾールである。適切な1つの抗菌・カビ剤をRiedel−de Haenから商標Mergal K7の下で入手することができる。別の適切な抗菌・カビ剤はInternational Specialty Products Companyから入手可能なFUNGITROL(商標)158である。そのような抗菌・カビ剤を一般に前記ポリマー溶液に0.5−2重量パーセントの量で存在させる。
【0027】
本発明で好適に用いることができるトリアゾールまたはイミダゾール型の化合物には、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾールおよびヒスチジンが含まれる。そのような化合物を一般に前記ポリマー含有溶液に0.5−5重量パーセント、より好適には0.5から2重量パーセントの量で存在させる。
【0028】
そのようなポリマー溶液が示すpHをほぼ7−11、好適には9−10に調整する目的で、前記溶液に好適には更にアンモニアまたは他のアルカリを入れておいてもよい。
【0029】
本発明の方法では、そのような浸漬銀メッキ溶液を室温から200度Fの範囲の温度で用いてもよいが、好適には80から120度Fで用いる。そのようなメッキ溶液への浸漬時間は1から30分の範囲であってもよいが、好適にはそれを1から5分間にする。
【0030】
そのような浸漬もしくは無電解銀溶液を用いて、そのはんだ付けすべき表面に銀の薄層をメッキする。表面のはんだ付け性が有効に向上かつ持続するように、結果として生じさせる銀塗膜の厚みを1から100ミクロインチ、好適には厚みを10から60ミクロインチにすべきであると考えている。本方法はいろいろな表面へのはんだ付けに有効であるが、特に、銅表面、例えばプリント基板上の連結領域へのはんだ付けで用いるに有用である。
【0031】
本発明の浸漬もしくは無電解銀メッキ技術を用いてそのような材料をメッキした後、それらを前記ポリマー溶液に少なくとも15秒から約数分間浸漬する。吊るすか、焼き付けるか或は吹き付けるなどの技術を用いて前記材料を乾燥させる。好適には、前記ポリマー溶液を室温で約8.5−10.5のpHで用いる。
【0032】
本技術は有利にほとんど全ての表面で利用可能であるが、プリント基板、特に裸の銅板の上のはんだマスク(SMOBC)の加工で用いるに最も有用である。このように、SMOBC板を加工する時、前記板の表面にはんだマスクを取り付けた後、露光および現像によって連結領域が現れるようにする。その時点で、その連結領域のみが本質的に前記板上の露出した銅領域であり、その残りは本質的にはんだマスクで覆われている。このように、その露出した連結領域が結合点、ほとんどのケースで、加工サイクルの後期に電子構成要素を後で前記板の上に位置させる時のはんだ付けによる結合点になる。従って、その露出した点のはんだ付け性、一般的には銅のはんだ付け性を向上させかつ持続させるべきである。
【0033】
そのような領域に好適には酸洗浄剤による洗浄を受けさせた後、ミクロエッチングを受けさせることで、表面が浸漬メッキを受け入れるようにそれを調製しておく。そのような好適な調製を受けさせておいた後の前記板を浸漬銀メッキ溶液に浸漬することで、適切な厚みの銀付着を達成する。その後、前記板を本発明のアルカリ性ポリマーコーティング溶液に浸漬する。
【0034】
本発明を以下の実施例で単に説明の目的で更に説明するが、本実施例は決して本発明自身を限定するものでない。本実施例の各々で一貫性が得られるように標準的IPC−B−25試験回路板を用いる。IPC−B−25標準は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【実施例1】
【0035】
本発明のポリマーコーティング溶液の調製を下記の如く行う:
1. DP6−4586(商標)(Allied Colloids Limitedから入手可能)をタンクに加えて撹拌を開始し、
2. 撹拌を行ないながらGLASCOL(商標)(Allied Colloidsから入手可能)を前記タンクに加え、
3. 撹拌を行ないながらMergal(商標)(Riedel−deHaenから入手可能)溶液を前記タンクに加え、
4. 撹拌を行ないながらIrgamet(商標)(Ciba Geigyから入手可能)を前記タンクに加え、
5. アンモニアを前記タンクにpHが9−10になるまで加えた後の混合物を少なくとも1時間撹拌し、そして
6. 脱イオン水を前記混合物に加えることで、固体の全部が完全に溶解しかつ前記混合物が均一であることを確保する。撹拌を更に30分間継続する。
【0036】
一連の銀試験浴液に実験を受けさせた。耐変色性およびはんだ付け性に関する観察を定性的および定量的の両方で行った。前記板を硫黄チャンバに2.5時間入れたままにした。次に、連続的電気化学還元分析(SERA)を用いて変色を目で定量的に観察した。ウェーブソルダリング機を用いてはんだ付け性を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
ポリマー浴液の最適な濃度を決定しかつアルカリ性ポリマーコーティングが基材上に生じかつ機能することを立証するに効率の良い試験を開発する目的で研究を行った。2インチx2インチの標準的銀メッキクーポンを用いた。前記ポリマーコーティングで処理しておいたクーポンおよび1つの対照(アルカリ性ポリマーコーティングを伴わない銀メッキクーポン)を硫黄チャンバに1.5時間入れることで処理した。その結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
加うるに、硫黄チャンバに24時間入れておいたサンプルにもはんだ付けを受けさせた後、硫黄チャンバに戻して更に24時間入れた。対照サンプルは変色を起こしたが、ポリマーで覆っておいたパネルは変化しないままであった。両方のサンプルとも100%はんだ付けされたが、2番目の24時間が経過した後、アルカリ性ポリマーで覆っておいたパネルは変化しないままであったが、対照パネルは追加的変色を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面のはんだ付け性を維持させながら前記金属表面の変色への耐性を向上させる方法であって、
a)前記金属表面を浸漬もしくは無電解銀メッキ溶液に接触させることで前記金属表面の上に銀メッキを生じさせた後、
b)その銀メッキされた表面をビニルコポリマー、アクリルコポリマー、ビニルポリマー、アクリルポリマーおよびこれらの混合物から成る群から選択した材料を含有して成るポリマーコーティング溶液に接触させる、
段階を含んで成る方法。
【請求項2】
前記金属表面が銅を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ビニルコポリマーもしくはビニルポリマーを前記溶液に20−50重量パーセントの総量で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ビニルコポリマーもしくはビニルポリマーを前記溶液に30−45重量パーセントの総量で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記アクリルコポリマーもしくはアクリルポリマーを前記溶液に5−30重量パーセントの総量で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記アクリルコポリマーもしくはアクリルポリマーを前記溶液に30−45重量パーセントの総量で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング溶液がまたトリアゾール、イミダゾールおよびこれらの組み合わせから成る群から選択した化合物も含有して成る請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記トリアゾールまたはイミダゾール化合物をベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾール、ヒスチジンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択する請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記トリアゾールまたはイミダゾール化合物を前記溶液に0.5−5重量パーセントの量で存在させる請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーコーティング溶液が更にアンモニアも含有して成る請求項1記載の方法。
【請求項11】
銀で被覆された基材の表面が起こす変色および腐食を防止するに適したアルカリ性ポリマー水溶液であって、ビニルコポリマー、アクリルコポリマー、ビニルポリマー、アクリルポリマーおよびこれらの混合物から成る群から選択される材料を含んで成るアルカリ性ポリマー水溶液。
【請求項12】
前記コポリマーもしくはポリマーが該溶液に25−50重量パーセントの量で存在する請求項11記載のポリマーコーティング溶液。
【請求項13】
該ポリマー溶液がまたトリアゾール、イミダゾールおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される化合物も含有して成る請求項11記載のアルカリ性ポリマーコーティング溶液。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面のはんだ付け性を維持させながら前記金属表面のエレクトロマイグレーションへの耐性を向上させる方法であって、
a)前記金属表面を浸漬もしくは無電解銀メッキ溶液に接触させることで前記金属表面の上に銀メッキを生じさせた後、
b)その銀メッキされた表面をビニルコポリマー、アクリルコポリマー、ビニルポリマー、アクリルポリマーおよびこれらの混合物から成る群から選択した材料を含有して成るポリマーコーティング溶液に接触させる、
段階を含んで成っていて、前記銀メッキが段階(b)の処理を受けさせていない同じ銀メッキよりも低いエレクトロマイグレーションの性向を有する、上記方法。
【請求項2】
前記金属表面が銅を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ビニルコポリマーもしくはビニルポリマーを前記溶液に20−50重量パーセントの総量で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ビニルコポリマーもしくはビニルポリマーを前記溶液に30−45重量パーセントの総量で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記アクリルコポリマーもしくはアクリルポリマーを前記溶液に5−30重量パーセントの総量で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記アクリルコポリマーもしくはアクリルポリマーを前記溶液に30−45重量パーセントの総量で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング溶液がまたトリアゾール、イミダゾールおよびこれらの組み合わせから成る群から選択した化合物も含有して成る請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記トリアゾールまたはイミダゾール化合物をベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾー
ル、イミダゾール、ヒスチジンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択する請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記トリアゾールまたはイミダゾール化合物を前記溶液に0.5−5重量パーセントの量で存在させる請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーコーティング溶液が更にアンモニアも含有して成る請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2006−522216(P2006−522216A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501235(P2006−501235)
【出願日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/007773
【国際公開番号】WO2004/094682
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(503059622)マクダーミド・インコーポレーテツド (5)
【Fターム(参考)】