説明

銅張積層板及びその製造方法

【課題】ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高く、しかも高温雰囲気下(例えば、150℃以上)に長時間(例えば、100時間以上)曝された場合においてもこのような接着強度の低下を十分に抑制することが可能な銅張積層板を提供すること。
【解決手段】ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に形成された防錆処理層と、前記防錆処理層の表面上に形成されたシランカップリング剤処理層とを備えており、且つ、前記シランカップリング剤処理層が、8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃の温度で乾燥させて形成させたものであることを特徴とする銅張積層板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅張積層板及びその製造方法に関し、より詳しくは、前記銅張積層板に使用される銅箔が防錆処理層及びシランカップリング剤処理層を備える銅張積層板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅張積層板に用いられる銅箔においては、銅張積層板としての電気特性、エッチング特性、耐熱性、耐薬品性といった諸特性を満足させるという観点から、銅箔表面の防錆性や、銅箔とポリイミド樹脂等の絶縁樹脂層との間の接着強度が要求されている。そのため、製箔後の銅箔の表面上に粗化処理を施し、更に粗化処理が施された表面上に亜鉛めっきやニッケルめっきを施し、更には亜鉛めっきやニッケルめっきが施された表面上に耐薬品性と防錆のための防錆処理層としてクロメート処理を施すといった方法が採用されていた。
【0003】
また、銅箔とポリイミド樹脂等の絶縁樹脂層との間の接着強度の更なる向上を図るという観点から、防錆処理層の表面上にシランカップリング剤処理層を更に備える表面処理銅箔が検討されており、例えば、特開2007−98732号公報(特許文献1)には、絶縁樹脂層との接着面に化学構造式の両端部に−Si(OCH)で表される官能基を有するシランカップリング剤を用いて形成されたシランカップリング剤処理層を備える表面処理銅箔が開示されている。また、特開2008−111169号公報(特許文献2)には、母材銅箔と防錆処理層とシランカップリング剤処理層とを備える表面処理銅箔が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−98732号公報
【特許文献2】特開2008−111169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献等に記載のような表面処理銅箔を用いて得られる銅張積層板においては、プリント配線板の作製時や使用時にかかる熱処理により、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が低下するため、高温雰囲気下に長時間曝された場合には、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高く、しかも高温雰囲気下(例えば、150℃以上)に長時間(例えば、100時間以上)曝された場合においてもこのような接着強度の低下を十分に抑制することが可能な銅張積層板、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板において、母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に防錆処理層を形成させ、その後、8〜50g/Lという高濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃という高い温度で乾燥させて、前記防錆処理層の表面上にシランカップリング剤処理層を形成させることにより、驚くべきことに、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高く、しかも高温雰囲気下に長時間曝された場合においてもこのような接着強度の低下を十分に抑制することが可能な銅張積層板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の銅張積層板は、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に形成された防錆処理層と、前記防錆処理層の表面上に形成されたシランカップリング剤処理層とを備えており、且つ、前記シランカップリング剤処理層が、8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃の温度で乾燥させて形成させたものであることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の銅張積層板の製造方法は、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板の製造方法であって、
母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に防錆処理層を形成させて防錆処理層付銅箔を得る工程と、
8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃の温度で乾燥させて、前記防錆処理層の表面上にシランカップリング剤処理層を形成させて前記表面処理銅箔を得る工程と、
前記表面処理銅箔の表面上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理して、ポリイミド樹脂層を形成させて前記銅張積層板を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0010】
また、本発明の銅張積層板及びその製造方法においては、前記防錆処理層が、ニッケル−亜鉛合金を含有するめっき処理層とクロメート処理層とを備えることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の銅張積層板及びその製造方法においては、前記防錆処理層中における亜鉛含有量が0.01mg/dm以上であり、且つニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対する亜鉛含有量の比率が5〜25質量%の範囲にあることが好ましい。
【0012】
また、本発明の銅張積層板及びその製造方法においては、前記シランカップリング剤処理液の乾燥時間が0.1〜3分間であることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の銅張積層板及びその製造方法においては、前記シランカップリング剤がアミン系シランカップリング剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高く、しかも高温雰囲気下に長時間曝された場合においてもこのような接着強度の低下を十分に抑制することが可能な銅張積層板、並びにその製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0016】
本発明の銅張積層板及びその製造方法について説明する。すなわち、本発明の銅張積層板は、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に形成された防錆処理層と、前記防錆処理層の表面上に形成されたシランカップリング剤処理層とを備えており、且つ、前記シランカップリング剤処理層が、8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃の温度で乾燥させて形成させたものであることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の銅張積層板の製造方法は、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板の製造方法であって、
母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に防錆処理層を形成させて防錆処理層付銅箔を得る工程と、
8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃の温度で乾燥させて、前記防錆処理層の表面上にシランカップリング剤処理層を形成させて前記表面処理銅箔を得る工程と、
前記表面処理銅箔の表面上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理して、ポリイミド樹脂層を形成させて前記銅張積層板を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0018】
本発明の銅張積層板は、表面処理銅箔とポリイミド樹脂層とを備えているものである。このような銅張積層板は、前記ポリイミド樹脂層の片面のみに前記表面処理銅箔を備える片面銅張積層板であってもよく、前記ポリイミド樹脂層の両面に前記表面処理銅箔を備える両面銅張積層板であってもよい。
【0019】
本発明にかかる表面処理銅箔は、前記防錆処理層を形成させる前の母材銅箔と、前記防錆処理層と、前記シランカップリング剤処理層を備えるものである。このような母材銅箔は、電解銅箔及び圧延銅箔のうちのいずれであってもよい。このような母材銅箔の厚みは一般的な銅張積層板に用いられる銅箔の厚み範囲であれば特に制限はないが、銅張積層板の可撓性の観点から、70μm以下であることが好ましい。厚みが70μmを超えると得られる銅張積層板の用途が限定されるため好ましくない。また、銅張積層板をフレキシブル銅張積層板として用いる場合においては、前記母材銅箔の厚みが5〜35μmの範囲であることが好ましい。前記母材銅箔の厚みが5μm未満では、製造時においてシワ等が入りやすく、薄い銅箔の製造にコストがかかる傾向にあり、他方、厚みが35μmを超えると、得られる銅張積層板を用いた場合において、パソコン、携帯電話や携帯情報端末(PDA)の表示部である液晶ディスプレイを駆動するIC実装基板等の薄型化や小型化が不十分となる傾向にある。
【0020】
前記母材銅箔は、銅箔とポリイミド樹脂層との間の接着強度(ピール強度)や耐薬品性を向上させるという観点から、表面に粗化処理を施したものを用いることが好ましい。そして、前記母材銅箔の十点平均粗さ(Rz)は、上記観点及び得られる銅張積層板の屈曲性の観点から、1.5μm以下であることが好ましく、0.1〜1.0μmの範囲であることがより好ましい。また、前記母材銅箔の算術平均粗さ(Ra)は0.15μm以下であることが好ましい。なお、十点平均粗さ及び算術平均粗さはJIS B 0601に記載された方法に準じた方法で測定することができる。
【0021】
本発明にかかる防錆処理層は、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に形成される防錆性を有する層である。本発明においては、このような防錆処理層を前記母材銅箔に形成させることにより前記母材銅箔に十分な防錆性を付与すると共に、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度を向上させることが可能となる。このような防錆処理層の厚みは、10〜50nmの範囲であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、母材銅箔表面が均一に覆われず十分な防錆効果が得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、防錆処理層の銅エッチング液に対する溶解性(エッチング性)が不十分となる傾向にある。
【0022】
前記防錆処理層は、ニッケル−亜鉛合金を含有するめっき処理層とクロメート処理層とを備えることが好ましい。このようなめっき処理層は、ニッケル化合物及び亜鉛化合物及を含有するめっき液を用いて、前記母材銅箔の表面にめっき処理を施すことにより形成することができる。また、このようなクロメート処理層を備えることにより、防錆効果及びポリイミド樹脂との接着性を更に向上させることができる。前記クロメート処理層は前記防錆処理層の表面上にクロム酸化物等を含有するクロメート処理剤を用いて、浸漬又は電解クロメート処理を施すことにより形成することができる。
【0023】
本発明においては、前記防錆処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であることが好ましい。ニッケル含有量が前記下限未満では、銅箔表面の防錆効果が十分でなく、加熱後や高温や高湿度の環境下において銅箔表面の変色が起きやすくなる傾向にある。また、防錆処理層やポリイミド樹脂層に母材銅箔からの銅の拡散することを十分に防止するという観点から、ニッケル含有量は0.1〜3mg/dmの範囲であることがより好ましい。
【0024】
また、前記防錆処理層中における亜鉛含有量が0.01mg/dm以上であることが好ましい。亜鉛含有量が前記下限未満では、防錆処理層の銅エッチング液に対する溶解性(エッチング性)が不十分となると共に、防錆処理層の銅張積層板の製造時における熱劣化によってポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となる傾向にある。また、防錆処理層のエッチング性、並びにポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度を更に向上させるという観点から、亜鉛含有量は0.01〜1.5mg/dmの範囲であることがより好ましい。
【0025】
さらに、前記防錆処理層中におけるニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対する亜鉛含有量の比率は5〜25質量%の範囲にあることが好ましい。前記ニッケル含有量の比率が前記下限未満では、エッチング液に対する溶解性が悪化するため、回路加工に支障をきたすと共に、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、回路加工時におけるエッチング液に対する耐性が低下するため、回路加工に支障をきたしやすくなる傾向にある。
【0026】
本発明にかかるシランカップリング剤処理層は、前記防錆処理層の表面上に形成される層である。このようなシランカップリング剤処理層は、8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃の温度で乾燥させて形成させたものであることが必要である。
【0027】
本発明に用いるシランカップリング剤処理液は、8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するものである。前記シランカップリング剤の濃度が8g/L未満では、得られる銅張積層板が高温雰囲気に曝された場合において、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となり、他方、50g/Lを超えると、シランカップリング剤処理液の安定性が悪くなり、均一なシランカップリング剤処理層を形成することができない。また、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度の更なる向上の観点から、前記シランカップリング剤の濃度は、10〜30g/Lの範囲であることがより好ましく、10〜20g/Lの範囲であることが特に好ましい。
【0028】
前記シランカップリング剤処理液は、溶媒又は分散媒に前記シランカップリング剤を溶解又は分散させることにより作製することができる。このような溶媒又は分散媒としては、例えば、エタノール、メタノール等の有機溶媒;水が挙げられる。これらの溶媒又は分散媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
前記シランカップリング剤としては、例えば、アミノ系シラン、エポキシ系シラン、メタクリロキシ系シラン、メルカプト系シランが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらのシランカップリング剤の中でも、ポリイミド樹脂との接着性の観点から、アミノ系シランカップリング剤であることが特に好ましい。
【0030】
前記アミノ系シランカップリング剤としては、例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジン)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0031】
本発明においては、前記シランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に乾燥させてシランカップリング剤処理層を形成させる。前記シランカップリング剤は防錆処理層上に存在するOH基等と縮合結合することにより、防錆処理層上に吸着し、その後、このように吸着したシランカップリング剤の分子同士が乾燥処理により縮合結合してシランカップリング剤処理層が形成されるものと推察される。前記シランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させる方法としては、適宜公知の方法を採用することができ、例えば、浸漬法;スプレー、刷毛等による塗布法を採用することができる。また、このように乾燥させる方法としては、トンネル炉、遠赤外線炉、熱風乾燥炉等の乾燥炉を用いる方法を採用することができる。
【0032】
このように乾燥させる温度(乾燥温度)は、240〜350℃の範囲であることが必要である。乾燥温度が240℃未満では、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となり、他方、350℃を超えると、シランカップリング剤のポリイミド樹脂との接着性に関与する官能基が破壊されるために、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となる。また、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度の更なる向上という観点から、乾燥温度が280〜350℃の範囲であることがより好ましい。
【0033】
このように乾燥させる時間(乾燥時間)は、0.1〜3分間の範囲であることが好ましく、0.3〜2分間の範囲であることがより好ましい。乾燥時間が前記下限未満では、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、シランカップリング剤のポリイミド樹脂との接着性に関与する官能基が破壊されるために、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となる傾向にある。
【0034】
本発明にかかるポリイミド樹脂層に用いるポリイミド樹脂は、一般的に下記一般式(1)で表される樹脂であり、例えばジアミンと酸二無水物とを実質的に等モル使用して有機極性溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。
【0035】
【化1】

【0036】
前記一般式(1)において、Arは芳香族環を1個以上有する4価の有機基を示し、Arは芳香族環を1個以上有する2価の有機基を示す。すなわち、Arは酸二無水物の残基であり、Arは芳香族ジアミンの残基である。
【0037】
前記酸二無水物としては、一般式:O(CO)−Ar−(CO)Oによって表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることができる。また、前記一般式におけるArとしては、例えば下記構造式で表される有機基が挙げられる。
【0038】
【化2】

【0039】
これらの酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの酸二無水物の中でも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、及び4、4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を使用することが好ましい。
【0040】
前記芳香族ジアミンとしては、一般式:HN−Ar−NHによって表される芳香族ジアミンを用いることができる。また、前記一般式におけるArとしては、例えば下記構造式で表される有機基が挙げられる。
【0041】
【化3】

【0042】
これらの芳香族ジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの芳香族ジアミンの中でも、ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド(MABA)、2、2’−ジメチル−4、4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1、3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1、4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、及び2、2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を使用することが好ましい。
【0043】
前記芳香族ジアミン及び前記酸二無水物を重合させる際に用いる溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、n-メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレンが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、重合して得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)の樹脂粘度については、500cps〜35000cpsの範囲とすることが好ましい。
【0044】
本発明の銅張積層板において、前記ポリイミド樹脂層は、単層からなるものであってもよく、複数層からなるものであってもよいが、銅張積層板がフレキシブル銅張積層板である場合にその反りや寸法安定性を制御するという観点や、銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度が優れたものとするという観点から、複数層からなるものとすることが好ましい。また、前記ポリイミド樹脂層の厚みは、特に制限されないが、フレキシブル銅張積層板とする場合には、6〜60μmの範囲であることが好ましく、9〜40μmの範囲であることがより好ましい。ポリイミド樹脂層の厚みが前記下限未満では、銅張積層板の製造時にポリイミド樹脂層にシワが入る等の不具合が生じるやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、銅張積層板の製造時の寸法安定性や屈曲性において問題が生じやすくなる傾向にある。なお、前記ポリイミド樹脂層が複数層からなるものである場合には、複数層の合計の厚みが上記範囲内になるようにすればよい。
【0045】
前記ポリイミド樹脂層が複数層からなるものである場合においては、線膨張係数(CTE)が30×10−6(1/K)以下、好ましくは1×10−6〜30×10−6(1/K)の範囲の低線膨張性ポリイミド樹脂層と、その片面又は両面にガラス転移温度(Tg)が330℃以下の低Tgポリイミド樹脂層とを備えることが好ましい。前記低線膨張性ポリイミド樹脂層の線膨張係数が30×10−6(1/K)を超えると、銅張積層板を形成した際のカールが激しくなる傾向にあり、また、寸法安定性が低下する傾向にある。
【0046】
また、このようにポリイミド樹脂層が複数層からなるものである場合には、前記低Tgポリイミド樹脂層としては、線膨張係数(CTE)が30×10−6(1/K)を超え且つガラス転移温度が330℃以下であるものを用いることが好ましく、線膨張係数が30×10−6〜60×10−6(1/K)の範囲で且つガラス転移温度が200〜330℃の範囲にあるものを用いることがより好ましい。
【0047】
さらに、このようにポリイミド樹脂層が複数層からなるものである場合には、前記低線膨張性ポリイミド樹脂層を主たる樹脂層とすることが好ましい。また、前記低線膨張性ポリイミド樹脂層の厚みは、複数層の合計の厚みに対し50%以上とすることが好ましく、70〜95%の範囲とすることがより好ましい。
【0048】
また、本発明の銅張積層板の製造方法においては、前記表面処理銅箔の表面にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理して、前記ポリイミド樹脂層を形成させて前記本発明の銅張積層板を得る。
【0049】
ポリイミド樹脂層を形成する方法については特に限定されないが、例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂溶液を、前記表面処理銅箔の表面に直接塗布し、樹脂溶液に含まれる溶剤を150℃以下の温度である程度除去した後、更に、100〜450℃、好ましくは300〜450℃の温度範囲で5〜40分間程度の熱処理を施すことによって、溶媒の乾燥及びイミド化を行う方法を採用することができる。熱処理の温度が100℃未満では、ポリイミドの脱水閉環反応が進行しにくくなる傾向にあり、他方、450℃を超えると、ポリイミド樹脂層及び銅箔が酸化等により劣化しやすくなる傾向にある。また、ポリアミド酸や溶剤としては、前記本発明の銅張積層板に用いるポリアミド酸や溶剤と同様のものを使用することができる。また、前記ポリイミド樹脂層を例えば3層からなるものとする場合は、第1のポリアミド酸の樹脂溶液を塗布、乾燥した後、第2のポリアミド酸の樹脂溶液を塗布、乾燥し、その後、第3のポリアミド酸の樹脂溶液を塗布、乾燥した後、まとめて300〜450℃の温度範囲で5〜40分間程度の熱処理を施すことによってイミド化を行う方法を採用することができる。
【0050】
このようにしてポリイミド樹脂層の片面に表面処理銅箔を備えた片面銅張積層板が得られる。また、ポリイミド樹脂層の両面に表面処理銅箔を備えた両面銅張積層板を作製する方法としては、(i)片面銅張積層板を作製した後、互いにポリイミド樹脂層を向き合わせて熱プレスによって圧着して両面銅張積層板を形成する方法、(ii)片面銅張積層板のポリイミド樹脂層に表面処理銅箔を加熱圧着して両面銅張積層板を形成する方法を採用することができる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、銅箔とポリイミド樹脂層とのピール強度、及び耐熱試験後のピール強度保持率はそれぞれ以下の方法により測定又は評価した。
【0052】
(i)銅箔とポリイミド樹脂層とのピール強度の測定
幅1mmの銅張積層板を試料とし、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製)を用いて、試料の樹脂側を両面テープによりステンレス板に固定し、銅箔を180°方向に50mm/分の速度で剥離した際のピール強度を測定した。
【0053】
(ii)耐熱試験後のピール強度保持率の測定
幅1mmの銅張積層板に対し、温度150℃の環境下に168時間曝露する耐熱試験を施して試料を得た。その後、得られた試料について前記ピール強度の測定方法と同様の方法で測定して、耐熱試験後のピール強度を測定した。そして、得られた測定値、並びに前記ピール強度の測定方法で得られた耐熱試験前のピール強度の測定値から、下記関係式:
(ピール強度保持率) = {(耐熱試験後のピール強度)/(耐熱試験前のピール強度)}×100(%)
に基づいてピール強度保持率を算出した。
【0054】
(合成例1)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)132質量部を投入した後、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)11.7質量部を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、この溶液に、ジアミン成分と等モルのピロメリット酸二無水物(PMDA)6.3質量部を加え、その後、室温にて3時間撹拌を続けて重合反応を進行させ、固形分濃度が12質量%であり溶液粘度が3000cpsであるポリアミド酸aの樹脂溶液を得た。得られたポリアミド酸aを用いてポリイミドフィルムを作製し、ポリイミドフィルムのガラス転移温度及び線膨張係数を測定したところ、ガラス転移温度は280℃であり、線膨張係数は55×10−6(1/K)であった。
【0055】
(合成例2)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)127.5質量部を投入した後、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド(MABA)6.5質量部及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)5.1質量部を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、この溶液に、ジアミン成分と等モルのピロメリット酸二無水物(PMDA)10.9質量部を加え、その後、室温にて3時間撹拌を続けて重合反応を進行させ、固形分濃度が15質量%であり溶液粘度が20000cpsであるポリアミド酸bの樹脂溶液を得た。得られたポリアミド酸bを用いてポリイミドフィルムを作製し、ポリイミドフィルムの線膨張係数を測定したところ、線膨張係数は13×10−6(1/K)であった。
【0056】
(実施例1)
母材銅箔(未処理の電解銅箔、厚み:12μm、大きさ:10cm×10cm)の表面上にめっき処理によりニッケル−亜鉛合金を含有するめっき処理層を形成し、その後、形成されためっき処理層の表面上にクロメート処理を施してクロメート処理層を形成してめっき処理層及びクロメート処理層付銅箔を得た。そして、めっき処理層及びクロメート処理層付銅箔を、シランカップリング剤処理液(濃度:10g/L、溶媒:純水、シランカップリング剤:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)に室温(25℃)にて30秒間浸漬して、3−アミノプロピルトリメトキシシランをクロメート処理層の表面上に付着させた。その後、表面上に付着した余分なシランカップリング剤処理液をエアーで除去した後、乾燥炉(タバイエスペック社製、商品名「STPH−201」)内において乾燥温度300℃にて0.5分間の乾燥処理を施すことにより、クロメート処理層の表面上にシランカップリング剤層を形成して、表面処理銅箔を得た。
【0057】
得られた表面処理銅箔のシランカップリング剤層の表面上に、合成例1で得られたポリアミド酸aを塗工し、130℃で1分間乾燥してポリアミド酸aの膜を形成した。その後、このポリアミド酸aの膜の表面上に合成例2で得られたポリアミド酸bを塗工し、130℃で4分間乾燥してポリアミド酸bの膜を形成し、さらに、合成例1で得られたポリアミド酸aを塗工し、130℃で1分間乾燥してポリアミド酸aの膜を形成した。そして、15分かけて350℃まで昇温することによりイミド化を進行させ、ポリイミド樹脂層(2μmの低Tgポリイミド樹脂層/36μmの低線膨張性ポリイミド樹脂層/2μmの低Tgポリイミド樹脂層)を形成してフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0058】
得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度及び耐熱試験後のピール強度保持率を測定したところ、ピール強度は1.8kN/mであり、ピール強度保持率は100%であった。得られた結果、並びに実施例1におけるシランカップリング剤処理液の濃度、乾燥温度及び乾燥時間を表1に示す。
【0059】
(実施例2)
シランカップリング剤処理液の乾燥温度を250℃とし、乾燥時間を1分間とした以外は実施例1と同様にしてフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0060】
得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度及び耐熱試験後のピール強度保持率を測定したところ、ピール強度は1.8kN/mであり、ピール強度保持率は95%であった。得られた結果、並びに実施例2におけるシランカップリング剤処理液の濃度、乾燥温度及び乾燥時間を表1に示す。
【0061】
(実施例3)
シランカップリング剤処理液の濃度を20g/Lとした以外は実施例1と同様にしてフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0062】
得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度及び耐熱試験後のピール強度保持率を測定したところ、ピール強度は1.1kN/mであり、ピール強度保持率は100%であった。得られた結果、並びに実施例3におけるシランカップリング剤処理液の濃度、乾燥温度及び乾燥時間を表1に示す。
【0063】
(比較例1)
シランカップリング剤処理液の濃度を1g/Lとし、シランカップリング剤の乾燥温度を150℃とし、乾燥時間を10分間とした以外は実施例1と同様にして比較のためのフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0064】
得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は0.7kN/mであった。得られた結果、並びに比較例1におけるシランカップリング剤処理液の濃度、乾燥温度及び乾燥時間を表1に示す。
【0065】
(比較例2)
シランカップリング剤処理液の濃度を1g/Lとした以外は実施例2と同様にして比較のためのフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0066】
得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度及び耐熱試験後のピール強度保持率を測定したところ、ピール強度は1.7kN/mであり、ピール強度保持率は83%であった。得られた結果、並びに比較例2におけるシランカップリング剤処理液の濃度、乾燥温度及び乾燥時間を表1に示す。
【0067】
(比較例3)
シランカップリング剤処理液の濃度を5g/Lとした以外は比較例1と同様にして比較のためのフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0068】
得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度及び耐熱試験後のピール強度保持率を測定したところ、ピール強度は0.9kN/mであり、ピール強度保持率は85%であった。得られた結果、並びに比較例3におけるシランカップリング剤処理液の濃度、乾燥温度及び乾燥時間を表1に示す。
【0069】
(比較例4)
シランカップリング剤処理液の濃度を10g/Lとした以外は比較例1と同様にして比較のためのフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0070】
得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は0.8kN/mであった。得られた結果、並びに比較例4におけるシランカップリング剤処理液の濃度、乾燥温度及び乾燥時間を表1に示す。
【0071】
(比較例5)
シランカップリング剤処理液の濃度を20g/Lとした以外は比較例1と同様にして比較のためのフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0072】
得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は0.4kN/mであった。得られた結果、並びに比較例5におけるシランカップリング剤処理液の濃度、乾燥温度及び乾燥時間を表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に示した結果から明らかなように、本発明の銅張積層板(実施例1〜3)においては、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高く、しかもピール強度保持率も高く、高温雰囲気下に長時間曝された場合においてもこのような接着強度の低下を十分に抑制できることが確認された。これに対し、比較例1、4及び5で得られた銅張積層板は、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分なものであった。また、比較例2で得られた銅張積層板は、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度は満足したものの、ピール強度保持率が低く、高温雰囲気下に長時間曝された場合に接着強度が不十分なものであった。さらに、比較例3で得られた銅張積層板は、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分であると共にピール強度保持率も低いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本発明によれば、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高く、しかも高温雰囲気下に長時間曝された場合においてもこのような接着強度の低下を十分に抑制することが可能な銅張積層板、並びにその製造方法を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に形成された防錆処理層と、前記防錆処理層の表面上に形成されたシランカップリング剤処理層とを備えており、且つ、前記シランカップリング剤処理層が、8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃の温度で乾燥させて形成させたものであることを特徴とする銅張積層板。
【請求項2】
前記防錆処理層が、ニッケル−亜鉛合金を含有するめっき処理層とクロメート処理層とを備えることを特徴とする請求項1に記載の銅張積層板。
【請求項3】
前記防錆処理層中における亜鉛含有量が0.01mg/dm以上であり、且つニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対する亜鉛含有量の比率が5〜25質量%の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の銅張積層板。
【請求項4】
前記シランカップリング剤処理液の乾燥時間が0.1〜3分間であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の銅張積層板。
【請求項5】
前記シランカップリング剤がアミン系シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の銅張積層板。
【請求項6】
ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板の製造方法であって、
母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側の表面上に防錆処理層を形成させて防錆処理層付銅箔を得る工程と、
8〜50g/Lの濃度のシランカップリング剤を含有するシランカップリング剤処理液を前記防錆処理層の表面上に付着させた後に、240〜350℃の温度で乾燥させて、前記防錆処理層の表面上にシランカップリング剤処理層を形成させて前記表面処理銅箔を得る工程と、
前記表面処理銅箔の表面上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理して、ポリイミド樹脂層を形成させて前記銅張積層板を得る工程と、
を含むことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
【請求項7】
前記防錆処理層が、ニッケル−亜鉛合金を含有するめっき処理層とクロメート処理層とを備えることを特徴とする請求項6に記載の銅張積層板。
【請求項8】
前記防錆処理層中における亜鉛含有量が0.01mg/dm以上であり、且つニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対する亜鉛含有量の比率が5〜25質量%の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の銅張積層板。
【請求項9】
前記シランカップリング剤処理液の乾燥時間が0.1〜3分間であることを特徴とする請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の銅張積層板。
【請求項10】
前記シランカップリング剤がアミン系シランカップリング剤であることを特徴とする請求項6〜9のうちのいずれか一項に記載の銅張積層板。


【公開番号】特開2010−234638(P2010−234638A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84799(P2009−84799)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】