説明

銅微粒子分散体及びその製造方法

【課題】 不純物無機成分の混入のおそれがなく、且つ安全な方法により製造された銅微粒子分散体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ヒドラジン誘導体及び銅微粒子を含有する銅微粒子分散体を、a)ヒドラジン誘導体と銅微粒子前駆体を混合する工程、b)得られた混合物に水を加え、加熱することにより銅微粒子を還元析出させる工程、からなる方法により製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅微粒子分散体及びその製造方法に関する。本発明の銅微粒子分散体は、特にエレクトロニクス分野で配線基板の回路パターン形成用材料である、導電性インク、導電性ペーストとして好適に用いることのできる。
【背景技術】
【0002】
近年、金属微粒子を含有する導電性材料をインクジェット印刷法や、スクリーン印刷法により所望のパターンを形成し、回路基板における配線等を形成する技術(導電性パターンの形成技術)が注目を集めている。現状、この用途に用いられる導電性材料(導電性パターン形成用組成物)としては、銀微粒子を含有するものが中心であるが、銀ではエレクトロマイグレーションが発生する問題があるため、低コスト化が可能で且つエレクトロマイグレーションが生じるおそれのない、銅の微粒子をインク化又はペースト化して用いることが望まれている。
【0003】
しかしながら、銅は酸化されやすく、ナノサイズの銅微粒子ではその傾向がさらに顕著となる。酸化された銅は著しく導電性が低下するため、銅微粒子をインク若しくはペーストとして用いるためには、分散性を維持しながら酸化を防止することが大きな課題となっている。
【0004】
このような課題を解決するため、酸化防止剤として、窒素原子を分子構造内に有する有機化合物を銅微粒子と共存させ、銅金属表面に吸着させ、銅微粒子と酸素や水との接触を妨げ酸化を防ぐと同時に、銅微粒子相互の凝集を防止し、分散性を保持する方法が検討されている。例えば、酸化防止剤として、アルキルアミンを利用する方法(例えば、特許文献1)やベンゾトリアゾールを利用する方法(例えば、特許文献2)が知られている。
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1に記載の方法では、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを使用しているため、精製を行ってもホウ素化合物やナトリウムイオンが不純物として残存するおそれがあり、電子材料分野での利用は制限されるおそれがある。また、例えば特許文献2に記載の方法では、不純物成分が残らないヒドラジンを還元剤として使用しているが、製造時に短時間で大量のヒドラジンを添加する必要があり、工業規模での実施には非常に危険性が高いという問題点があった。
【0006】
以上のように従来の方法では、十分なものとはいえず、工業的に更なる検討が要望されている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−321215号公報
【特許文献2】特開2004−211108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は不純物無機成分の混入のおそれがなく、且つ安全な方法により製造された銅微粒子分散体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、銅微粒子分散体及びその製造方法について鋭意検討した結果、特定のヒドラジン誘導体及び銅微粒子を含有する銅微粒子分散体により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に示すとおりの銅微粒子分散体及びその製造方法、銅微粒子及びその製造方法、並びに導電性パターン形成用組成物に関するものである。
【0011】
[1]下記一般式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
[一般式(1)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示されるヒドラジン誘導体と、平均粒子径が1〜1000nmの範囲の銅微粒子を含有する銅微粒子分散体。
【0014】
[2]一般式(1)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、R、Rが水素原子である上記[1]に記載の銅微粒子分散体。
【0015】
[3]一般式(1)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、R、Rが水素原子である上記[1]又は[2]に記載の銅微粒子分散体。
【0016】
[4]銅微粒子に対し、ヒドラジン誘導体を5〜10000重量%含有する上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【0017】
[5]以下のa)及びb)の工程を含む上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0018】
a)上記一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体と銅微粒子前駆体を混合する工程。
【0019】
b)a)工程で得た混合物に水を加え、それを加熱することにより銅微粒子を還元析出させる工程。
【0020】
[6]銅微粒子前駆体が、銅酸化物、銅水酸化物、銅ハロゲン化物、銅無機酸塩、銅有機酸塩及び銅キレート錯体からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物である上記[5]に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0021】
[7]銅微粒子前駆体が、亜酸化銅、酸化銅、水酸化銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅及びアセチルアセトナト銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上である上記[5]に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0022】
[8]上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の銅微粒子分散体を含む導電性パターン形成用組成物。
【0023】
[9]平均粒子径が1〜1000nmの範囲の銅微粒子であって、下記一般式(1)
【0024】
【化2】

【0025】
[一般式(1)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示されるヒドラジン誘導体により銅微粒子表面が被覆されている銅微粒子。
【0026】
[10]上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の銅微粒子分散体から分離操作により銅微粒子を分離する上記[9]に記載の銅微粒子の製造方法。
【0027】
[11]分離操作が、濾過、遠心分離、又は銅微粒子以外の成分の留去である上記[10]に記載の銅微粒子の製造方法。
【0028】
[12]上記[9]に記載の銅微粒子と、銅微粒子を分散させる分散剤とを含む導電性パターン形成用組成物。
【発明の効果】
【0029】
本発明の銅微粒子分散体は、ヒドラジン誘導体が還元剤及び酸化防止剤として作用し、さらに還元剤を添加する必要がないため、不純物無機成分が混入するおそれがなく、電子材料分野での利用が制限されるおそれもない。
【0030】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法は、ヒドラジン誘導体が還元剤及び酸化防止剤として作用するため、安全性に優れ、また特別な反応装置の設置が必要なく、設備投資及び、ユーティリティコスト低減が図れる。
【0031】
また、本発明の銅微粒子分散体から分離操作により分離された銅微粒子は、当該粒子表面がヒドラジン誘導体により被覆されているため、有機溶媒等で容易に再分散することができる。
【0032】
さらに本発明は、低価格で入手、製造可能なヒドラジン誘導体を利用しているため、コスト性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0034】
本発明の銅微粒子分散体において、ヒドラジン誘導体とは、下記一般式(1)
【0035】
【化3】

【0036】
[一般式(1)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示される化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物である。
【0037】
本発明の銅微粒子分散体において、ヒドラジン誘導体としては、特に限定するものではないが、還元力、分解性及び分解生成物の除去性を考慮すると、上記一般式(1)において、置換基R、Rが各々独立して水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない)、置換基R、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることが好ましく、上記一般式(1)において、置換基R、Rが各々独立して水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、置換基R、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることがさらに好ましい。
【0038】
本発明の銅微粒子分散体において、上記一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体としては、例えば、置換基R、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、i−ブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、i−ペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、i−ヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−フェニルエチルヒドラジン等が例示される。
【0039】
また、例えば、置換基Rがメチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジメチルヒドラジン、1−メチル−1−エチルヒドラジン、1−メチル−1−n−プロピルヒドラジン、1−メチル−1−i−プロピルヒドラジン、1−メチル−1−n−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−メチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−メチル−1−n−デシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−メチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン、1−メチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−メチル−1−ベンジルヒドラジン、1−メチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0040】
また、例えば、置換基Rがエチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジエチルヒドラジン、1−エチル−1−n−プロピルヒドラジン、1−エチル−1−i−プロピルヒドラジン、1−エチル−1−n−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−エチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−エチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−エチル−1−n−デシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−エチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−フェニルヒドラジン、1−エチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−エチル−1−ベンジルヒドラジン、1−エチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0041】
また、例えば、置換基Rがn−プロピル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−プロピルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−プロピルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−t−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−フェニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−プロピル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0042】
また、例えば、置換基Rがi−プロピル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−i−プロピルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−t−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−フェニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−プロピル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0043】
また、例えば、置換基Rがn−ブチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0044】
また、例えば、置換基Rがi−ブチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−i−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0045】
また、例えば、置換基Rがsec−ブチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−sec−ブチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0046】
また、例えば、置換基Rがt−ブチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−t−ブチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−t−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0047】
また、例えば、置換基Rがn−ペンチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0048】
また、例えば、置換基Rがi−ペンチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−i−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0049】
また、例えば、置換基Rがneo−ペンチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−neo−ペンチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0050】
また、例えば、置換基Rがt−ペンチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−t−ペンチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0051】
また、例えば、置換基Rがn−ヘキシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0052】
また、例えば、置換基Rがi−ヘキシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0053】
また、例えば、置換基Rがn−ヘプチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0054】
また、例えば、置換基Rがn−オクチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−オクチルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−オクチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0055】
また、例えば、置換基Rがn−ノニル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ノニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ノニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0056】
また、例えば、置換基Rがn−デシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−デシルヒドラジン、1−n−デシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−デシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−デシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−デシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−デシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−デシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−デシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0057】
また、例えば、置換基Rがn−ウンデシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0058】
また、例えば、置換基Rがn−ドデシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0059】
また、例えば、置換基Rがシクロヘキシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジシクロヘキシルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0060】
また、例えば、置換基Rがフェニル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジフェニルヒドラジン、1−フェニル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−フェニル−1−ベンジルヒドラジン、1−フェニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0061】
また、例えば、置換基Rが4−メチルフェニル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ビス(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−1−ベンジルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0062】
また、例えば、置換基Rがベンジル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジベンジルヒドラジン、1−ベンジル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0063】
そして、例えば、置換基Rが2−フェニルエチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ビス(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0064】
これらのヒドラジン誘導体のうち、上記一般式(1)において、置換基R〜Rの炭素数が各々12を超えないものが好ましい。R〜Rの炭素数が各々12を超えると、還元力が低下したり、銅微粒子分散体の調製時における分解生成物である炭化水素類の沸点が高くなり、蒸発、気散することができずに銅微粒子分散体中に残存するおそれがあり、導電性パターン形成用組成物として使用した場合に、金属銅としての純度や、形成した銅薄膜の導電性に悪影響を与える場合がある。還元力、コスト及び安全性を考慮すると、ヒドラジン誘導体としては、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン及び1,1−ジエチルヒドラジンからなる群の中より選ばれる一種、又は二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0065】
本発明の銅微粒子分散体には、本発明の趣旨に反しない程度であれば、上記した以外のヒドラジン誘導体を含んでいても差し支えない。
【0066】
上記した一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでも良く、特に限定されない。公知の調製法としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩を亜硫酸塩や塩化スズ(II)等の還元剤で還元する方法、白金触媒を用いてヒドラゾンやアジンを接触還元する方法、アシルヒドラジンの還元、N−ニトロソアミンの還元、高後続ニトロ化合物の還元的カップリング、ヒドラジンやアジンのアルキル化及びアリール化、アミンとクロラミンの反応(Reasching反応)等の方法が挙げられる。また、一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体の純度について、特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を考慮すると、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0067】
本発明の銅微粒子分散体において、含有される銅微粒子は、平均粒子径が1〜1000nmの範囲のものである。銅微粒子の粒子径が1nm未満になると、銅表面の活性が高くなり、酸化を抑制できなくなる場合がある。また、導電性パターン形成用組成物としての用途を考慮すると、銅微粒子の平均粒子径は1〜400nmの範囲が好ましい。銅微粒子の粒子径を400nm以下とすることにより、長期保存した場合に銅微粒子が沈降したり、沈殿が発生したりする等の分散性の低下を抑制することができる。
【0068】
本発明において、銅微粒子の粒子径の測定方法としては、一般的な粒子の測定方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM),電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM),電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等を適宜使用することができる。平均粒子径の値は、例えば、
(1)上記装置を用いて測定し、観測された視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択する、
(2)粒径測定に最も適した倍率で撮影し、各々の写真から、一番多数存在すると思われる銅微粒子を100個選択し、それらの直径をものさしで測り、測定倍率を除して、個々の銅微粒子の粒子径を算出する、
(3)これらの値を算術平均する、
ことにより求めることができる。また、標準偏差については、上記観察時に個々の銅微粒子の粒子径と数により求めることができる。そして、変動係数は、上記した平均粒子径及びその標準偏差に基づいて、下式により算出することができる。
【0069】
変動係数=標準偏差/体積平均粒子径×100(%)。
【0070】
本発明の銅微粒子分散体において、ヒドラジン誘導体と銅微粒子の組成比は特に限定するものではないが、銅微粒子量に対し、ヒドラジン誘導体が5〜10000重量%であることが好ましく、50〜1000重量%であることがさらに好ましい。ヒドラジン誘導体の量が銅微粒子量に対し、5重量%未満では酸化を抑制できないおそれがあり、10000重量%を超えて使用しても、使用しただけの向上効果は得られないだけでなく、銅微粒子分散体中の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下するため好ましくない。
【0071】
本発明の銅微粒子分散体において、その組成は、上記一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体と平均粒子径が1〜1000nmの範囲の銅微粒子のみでも特に問題はないが、その他に、ヒドラジン誘導体が溶解し、ヒドラジン誘導体と反応しないものであれば、どの様な有機溶媒を含んでいても一向に差し支えない。このような有機溶媒としては、例えば、アルコール類、グリコール類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
【0072】
具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が挙げられ、グリコール類としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、エーテル類としては、具体的には、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、エステル類としては、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、炭化水素類としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0073】
中でもコスト及び安全性の面から、エタノール、i−プロピルアルコール、ターピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、n−デカン、トルエン及びn−ブチルベンゼンからなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0074】
本発明の銅微粒子分散体において、その組成に有機溶媒を含む場合、ヒドラジン誘導体と銅微粒子の合計量は、銅微粒子分散体全体の重量に対して0.1重量%以上、100重量%未満で、残部が有機溶媒であることが好ましく、10重量%以上、80重量%以下で残部が有機溶媒であることがさらに好ましい。銅微粒子分散体全体の重量に対し、ヒドラジン誘導体と銅微粒子の合計量が10重量%未満では、導電性パターン形成用組成物として利用する際に、濃縮等の操作が必要となり作業工数の増加を招くおそれがあり、80重量%を超えると、流動性が低下して作業性が著しく低下するおそれがある。
【0075】
本発明の銅微粒子分散体は必要に応じ、その形態を自由に選択することができる。例えば、銅微粒子分散体中のヒドラジン誘導体及び/又は有機溶媒の一部を除去することにより所望の濃度の濃縮液として用いたり、ペースト状に加工して用いることもできる。さらには、濃縮物、又はペースト状加工物は、上記したような有機溶媒の共存下で再分散できることから、有機溶媒の置換を自由に行うことができる。
【0076】
本発明の銅微粒子分散体は、ヒドラジン誘導体と銅微粒子とを接触させることで製造することができる。公知の調製法としては、例えば、液層に分散した銅微粒子に対して、ヒドラジン誘導体を加え混合したり、気化させたヒドラジン誘導体を銅微粒子粉体と接触させる方法が挙げられる。しかしながら、銅微粒子は大気雰囲気下ですぐに酸化を受けるため、上記方法では複雑で高価な製造装置が必要となり、莫大なコストがかかるため、工業的に有利ではない。よって、銅微粒子を合成する際に同時にヒドラジン誘導体と接触させる方法が好ましい。
【0077】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、銅微粒子の合成方法は特に制限はなく、公知のいずれの方法も使用できるが、電子材料分野での利用を前提とした場合、不純物無機成分の混入を避けるため、銅イオンとヒドラジン誘導体を混合し、加熱する事でヒドラジン誘導体の還元作用を利用し、銅微粒子を析出させる方法が好ましい。本法によれは、銅微粒子の生成と銅微粒子とヒドラジン誘導体との接触を、同時且つ、同一の反応容器で行うことができ、工業的に有利である。
【0078】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法は、以下の2の工程を含む。
【0079】
a)ヒドラジン誘導体と銅微粒子前駆体を混合する工程(以下、a工程と称する。)
b)a工程で得た混合物に水を加え、それを加熱することにより銅微粒子を還元析出させる工程(以下、b工程と称する。)
本発明の銅微粒子分散体の製造方法においては、上記a工程及びb工程を実施していればよく、それら以外の工程を追加して実施しても一向に差し支えない。例えば、ヒドラジン誘導体及び/又は銅微粒子前駆体を希釈する工程、ヒドラジン誘導体と銅微粒子前駆体の混合物を希釈又は濃縮する工程、ヒドラジン誘導体と銅微粒子前駆体の混合物を冷却又は加熱する工程、銅微粒子分散体を洗浄する工程、銅微粒子分散体を希釈又は濃縮する工程、銅微粒子分散体中の銅微粒子を凝集及び/又は沈降させる工程等を適宜実施することができる。
【0080】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用する銅微粒子前駆体としては、銅イオンを含む化合物であればよく、特に限定するものではないが、具体的には、亜酸化銅、酸化銅等の銅酸化物、水酸化銅(I)、水酸化銅(II)等の銅水酸化物、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等の銅ハロゲン化物、塩基性炭酸銅、亜硝酸銅、硝酸銅、亜硫酸銅、硫酸銅、リン酸銅、ピロリン酸銅等の銅無機酸塩、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、コハク酸銅、マレイン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅等の銅有機酸塩、アセチルアセトナト銅、エチレンジアミン銅等の銅キレート錯体等を好適に用いることができる。これらの中でもコストの面から、酢酸銅が特に好ましい。上記以外の銅微粒子前駆体を使用しても差し支えないが、入手が困難であったり、高価であったりするため、工業的に不利な場合がある。また銅微粒子前駆体としては、電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。
【0081】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用するヒドラジン誘導体としては、例えば、上記一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体が使用される。
【0082】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程でのヒドラジン誘導体と銅微粒子前駆体の混合比は特に限定するものではないが、銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、ヒドラジン誘導体が0.25〜1000モル当量の範囲であることが好ましく、1〜100モル当量の範囲であることがさらに好ましい。ヒドラジン誘導体の量が金属銅量に対し、0.25モル当量未満では金属銅への還元が完全に進行しないおそれがあり、1000モル当量を超えて多量に使用しても、使用しただけの向上効果は得られないばかりでなく、銅微粒子分散体の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下するため好ましくない。
【0083】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程で加える水は、銅微粒子分散体を電子材料として使用することを考慮すると、例えば、イオン交換水、純水や超純水等のイオン性物質やパーティクル等を極力低減させたものが好ましい。
【0084】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程で加える水の量は銅微粒子前駆体の水和状態に由来する水の持込み量に依存するため、規定することは困難ではあるが、あえて規定すると、銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、銅微粒子前駆体の水和状態に由来する水の持込み量と加える水の量が2〜100モル当量の範囲になるように加えればよく、4〜10モル当量の範囲になるように加えることがさらに好ましい。銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、銅微粒子前駆体の水和状態に由来する水の持込み量と加える水の量が2モル当量未満であると、金属銅への還元が完全に進行しないおそれがあり、100モル当量を超えて加えても、加えただけの向上効果は得られない。
【0085】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程における加熱温度は、ヒドラジン誘導体が銅イオンを金属銅まで還元できる温度であればよく、特に制限されるものではないが、通常0〜300℃の範囲であり、50〜200℃の範囲が好ましい。0℃未満では、還元反応は極めて遅くなるおそれがあり、300℃を超える温度では、ヒドラジン誘導体が分解する場合があるため、現実的ではない。
【0086】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程では、還元反応を制御するために、pH調整を行ってもよい。pH調整を行うため塩基としては、例えば、アンモニア水の他、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩が挙げられる。これらは電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。
【0087】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程及び/又はb工程では有機溶媒を添加してもよい。このような有機溶媒としては、本発明の銅微粒子分散体に含有することができる上記した有機溶媒と同じものを使用することができる。
【0088】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、不純物無機成分が混入してもよい場合には、銅微粒子前駆体とヒドラジン誘導体との混合物にさらに還元剤を加えてもよい。還元剤としては、銅イオンを金属銅まで還元できる還元力を有するものであればよく、特に限定するものではないが、具体的には、ヒドラジン、ソジウムハイドロホスフェート、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、ソジウムボロハイドライド、ボラン、ジボラン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸等が好適なものとして例示される。これらの中でも安全性及びコストの面から、ソジウムボロハイドライドが特に好ましい。還元剤としては、電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。還元剤の使用量は、銅イオンを完全に金属銅まで還元できる量であればよく、特に限定するものではないが、銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、1〜10モル当量の範囲であることが好ましく、1〜2モル当量の範囲であることがさらに好ましい。還元剤の使用量が銅イオンのモル数に対し、1モル当量未満では金属銅への還元が完全に進行しないおそれがあり、10モル当量を超えて使用しても、使用しただけの向上効果は得られない。
【0089】
本発明の銅微粒子分散体は、そのままで又は必要に応じて添加剤を混合する等して、インク状又はペースト状の導電性パターン形成用組成物として好適に用いることができる。
【0090】
また、本発明の銅微粒子分散体のそれ以外の用途としては、電極材料、触媒、着色剤、化粧品、近赤外線吸収剤、光記録材料、偏光材料、偽造防止用インク、電磁波シールド材等の材料等が挙げられる。
【0091】
本発明の銅微粒子は、平均粒子径が1〜1000nmの範囲の銅微粒子であって、上記一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体が当該粒子表面に吸着していることをその特徴とする。
【0092】
本発明の銅微粒子としては、導電性パターン形成用組成物としての用途を考慮すると、平均粒子径が1〜400nmの範囲のものが好ましい。
【0093】
本発明の銅微粒子は、上記した本発明の銅微粒子分散体から分離操作により銅微粒子を分離し、粉末の形状で得ることができる。
【0094】
本発明の銅微粒子の製造方法において、銅微粒子の分離操作としては、特に限定するものではないが、例えば、濾過、遠心分離、銅微粒子以外の成分の留去等が挙げられる。
【0095】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が濾過である場合、その濾過効率を向上させるため、貧溶媒を添加し銅微粒子の凝集を促すことができる。貧溶媒としては、例えば、メタノール、アセトニトリル及び水等の極性溶媒から選ばれる1種若しくは相溶性のある2種以上の混合物を好適に用いることができる。
【0096】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が遠心分離である場合、公知の方法を用いることができる。
【0097】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が銅微粒子以外の成分の留去である場合、公知の方法を用いることができ、その方法は特に限定されないが、留去に必要な加熱温度が、ヒドラジン誘導体の分解温度以上である場合、減圧条件下で行うことが好ましい。
【0098】
本発明の銅微粒子は、有機溶媒に再分散させ、必要に応じて添加剤を混合する等して、インク状若しくはペースト状の導電性パターン形成用組成物として好適に用いることができる。
【0099】
本発明の導電性パターン形成用組成物は、上記した本発明の銅微粒子分散体を含有するか、又は上記した本発明の銅微粒子と当該銅微粒子を分散させる分散剤とを含有する。
【0100】
本発明の導電性パターン形成用組成物において、本発明の銅微粒子を分散させる分散剤としては、特に限定するものではないが、本発明の銅微粒子の表面には、上記一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体が吸着しているため、有機溶媒を分散剤として使用することにより、その濃度、粘度等を自由にコントロールすることができる。
【0101】
有機溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、アルコール類、グリコール類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
【0102】
具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が挙げられ、グリコール類としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、エーテル類としては、具体的には、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、エステル類としては、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、炭化水素類としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0103】
これらの中でもコスト及び安全性の面から、エタノール、i−プロピルアルコール、ターピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、n−デカン、トルエン及びn−ブチルベンゼンからなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0104】
上記した本発明の銅微粒子と当該銅微粒子を分散させる分散剤とを含有する導電性パターン形成用組成物において、銅微粒子量は、銅微粒子と分散剤全体の重量に対して0.1重量%以上、100重量%未満で、残部が有機溶媒であることが好ましく、10重量%以上、80重量%以下で残部が有機溶媒であることがさらに好ましい。銅微粒子と分散剤全体の重量に対し、銅微粒子の合計量が10重量%未満では、その使用の際に濃縮等の操作が必要となり作業工数の増加を招くおそれがあり、80重量%を超えると、流動性が低下して作業性が著しく低下するおそれがある。
【0105】
本発明の導電性パターン形成用組成物は、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤等の添加剤を含有することができる。
【0106】
本発明の導電性パターン形成用組成物は、インクジェットやディスペンサー又はスクリーン印刷で基板上に描画し加熱することによりプリント配線に利用することができ、また基板上に塗布し乾燥することにより高密度記録材料や遮光用フィルター等として利用することができる。
【実施例】
【0107】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定解釈されるものではない。
【0108】
なお、以下の実施例において、銅微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で、観測した視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択し、100,000倍の倍率で撮影を行い、それぞれの写真から、粒子を計100個選択し、その直径をものさしで測り、測定倍率を除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより求めた。TEMは日本電子製、商品名「JEM−2000FX」を使用した。
【0109】
実施例1 n−ヘキシルヒドラジンを含有した銅微粒子分散体の調製.
n−ヘキシルヒドラジン20gに酢酸銅(II)一水和物2gを加え完全に溶解させた後、水2gを加え100℃で30分加熱攪拌することで、黒色の銅微粒子分散体を得た。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、34nm(標準偏差17.7、変動係数52%)であった。得られた銅微粒子分散体は大気中で1時間放置しても、酸化による変色は見られず、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体にアセトニトリル:水=1:1(v/v)溶液100mlを加え静置し、生じた沈殿を濾過することにより、銅微粒子粉体を得た。得られた銅微粒子粉体はi−ブチルアルコールに再分散可能であった。
【0110】
実施例2 n−ドデシルヒドラジンを含有した銅微粒子分散体の調製.
n−ドデシルヒドラジン20gとオクタノール20gを混合し酢酸銅(II)一水和物2g、水2gを加え110℃で30分加熱攪拌することで、黒色の銅微粒子分散体を得た。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、54nm(標準偏差19.4、変動係数36%)であった。得られた銅微粒子分散体は大気中で1時間放置しても、酸化による変色は見られず、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体にアセトニトリル:水=1:1(v/v)溶液100mlを加え静置し、生じた沈殿を濾過することにより、銅微粒子粉体を得た。得られた銅微粒子粉体はトルエンに再分散可能であった。
【0111】
実施例3 フェニルヒドラジンを含有した銅微粒子分散体の調製.
フェニルヒドラジン20gに酢酸銅(II)一水和物2gを加え完全に溶解させた後、水2gを加え110℃で30分加熱攪拌することで、黒色の銅微粒子分散体を得た。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、68nm(標準偏差18.1、変動係数27%)であった。得られた銅微粒子分散体は大気中で1時間放置しても、酸化による変色は見られず、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体にアセトニトリル:水=1:1(v/v)溶液100mlを加え静置し、生じた沈殿を濾過することにより、銅微粒子粉体を得た。得られた銅微粒子粉体はジエチレングリコールジメチルエーテルに再分散可能であった。
【0112】
実施例4 1,1−ジメチルヒドラジンを含有した銅微粒子分散体の調製.
1,1−ジメチルヒドラジン20gと1,4−ジオキサン20gを混合し、シュウ酸銅(II)・0.5水和物2g、水2gを加え70℃で30分加熱攪拌することで、黒色の銅微粒子分散体を得た。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、95nm(標準偏差20.9、変動係数22%)であった。得られた銅微粒子分散体は大気中で1時間放置しても、酸化による変色は見られず、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体にアセトニトリル:水=1:1(v/v)溶液100mlを加え静置し、生じた沈殿を濾過することにより、銅微粒子粉体を得た。得られた銅微粒子粉体はn−オクタンに再分散可能であった。
【0113】
比較例1 ヒドラジンを含有した銅微粒子分散体の調製.
ヒドラジン一水和物20gとエチレングリコール20gを混合し酢酸銅(II)一水和物2gを加え50℃で30分加熱攪拌したところ、黒色の銅微粒子分散体は得られず、赤褐色の銅粒子沈殿物が生成した。この銅微粒子沈殿物をTEMで観測し平均粒子径を算出したところ、1100nm(標準偏差28.5、変動係数2.6%)であった。銅粒子沈殿物を濾過することにより、銅粒子粉体を得た。得られた銅粒子粉体はエタノールに再分散可能であったが、1時間程度で沈降した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

[一般式(1)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示されるヒドラジン誘導体と、平均粒子径が1〜1000nmの範囲の銅微粒子を含有する銅微粒子分散体。
【請求項2】
一般式(1)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、R、Rが水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の銅微粒子分散体。
【請求項3】
一般式(1)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、R、Rが水素原子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅微粒子分散体。
【請求項4】
銅微粒子に対し、ヒドラジン誘導体を5〜10000重量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【請求項5】
以下のa)及びb)の工程を含む請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
a)上記一般式(1)で示されるヒドラジン誘導体と銅微粒子前駆体を混合する工程。
b)a)工程で得た混合物に水を加え、それを加熱することにより銅微粒子を還元析出させる工程。
【請求項6】
銅微粒子前駆体が、銅酸化物、銅水酸化物、銅ハロゲン化物、銅無機酸塩、銅有機酸塩及び銅キレート錯体からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることを特徴とする請求項5に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項7】
銅微粒子前駆体が、亜酸化銅、酸化銅、水酸化銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅及びアセチルアセトナト銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項5に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銅微粒子分散体を含む導電性パターン形成用組成物。
【請求項9】
平均粒子径が1〜1000nmの範囲の銅微粒子であって、下記一般式(1)
【化2】

[一般式(1)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示されるヒドラジン誘導体により銅微粒子表面が被覆されていることを特徴とする銅微粒子。
【請求項10】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銅微粒子分散体から分離操作により銅微粒子を分離することを特徴とする請求項9に記載の銅微粒子の製造方法。
【請求項11】
分離操作が、濾過、遠心分離、又は銅微粒子以外の成分の留去であることを特徴とする請求項10に記載の銅微粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の銅微粒子と、銅微粒子を分散させる分散剤とを含む導電性パターン形成用組成物。

【公開番号】特開2010−24526(P2010−24526A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190108(P2008−190108)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】