説明

間欠駆動装置、給紙装置及び画像形成装置。

【課題】強度を維持するとともにスムーズな動作を実現する間欠駆動装置、この間欠駆動装置を有する給紙装置及びこの給紙装置を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】間欠駆動装置76は、歯の一部が欠如した歯欠け部82bを有する歯欠けギア82と、この歯欠けギア82を駆動する駆動ギア80と、駆動ギア80が歯欠けギア82と噛合う時に駆動ギア80を回転方向へ逃がす逃がし手段とを有する。逃がし手段は、駆動軸92に形成された凸部92bと駆動ギア80に形成された凹部80aとを有し、凸部92bと凹部80aとの間に周方向の隙間部96が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間欠駆動装置、この間欠駆動装置を有する給紙装置、この給紙装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置において、歯欠け歯車を用いて駆動源の駆動力を所定のタイミングで可動部材に伝達する間欠駆動装置が一般に用いられている。この種の間欠駆動装置おいては、歯欠け歯車と該歯欠け歯車を駆動する駆動歯車とが噛合う際に、歯先同士が衝突する場合があり、異常音の発生や歯車の破損が問題となっていた。そこで、例えば、送り出し手段を間欠駆動する歯車の歯を尖頭状にしたものが知られている(例えば特許文献1)。また、例えば、駆動伝達側歯面の頂上部の高さが被駆動伝達側歯面の頂上部の高さより高くなるようにカットしたものも知られている(例えば特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−227183号公報
【特許文献2】特許第3466752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、歯先を細くしているため、ギアの強度が低下し、装置の寿命が短縮するとの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、強度を維持するとともにスムーズな動作を実現する間欠駆動装置、この間欠駆動装置を有する給紙装置及びこの給紙装置を有する画像形成装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴とするところは、歯の一部が欠如した歯欠け部を有する歯欠け歯車と、この歯欠けギアを駆動する駆動歯車と、前記駆動歯車が前記歯欠け歯車と噛合う時に前記駆動歯車を回転方向へ逃がす逃がし手段とを有する間欠駆動装置にある。
【0007】
好適には、前記駆動歯車に連結された駆動軸をさらに有し、前記逃がし手段は前記駆動軸に形成された係合部と前記駆動歯車に形成された被係合部とを有し、前記係合部と前記被係合部との間に周方向の隙間が設けられてなる。
【0008】
好適には、前記逃がし手段はワンウェイクラッチからなる。
【0009】
好適には、前記隙間の角度は前記駆動歯車のピッチの角度以上である。
【0010】
本発明は、上述した間欠駆動装置を有する給紙装置を含むものである。
【0011】
本発明は、上述した給紙装置を有する画像形成装置を含むものである。
【0012】
本発明の第2の特徴とするところは、歯の一部が欠如した歯欠け部を有する歯欠け歯車と、この歯欠けギアを駆動する駆動歯車と、前記駆動歯車が前記歯欠け歯車と噛合う時に前記駆動歯車を回転方向へ逃がす逃がし手段とを有することを特徴とした間欠駆動装置と、前記間欠駆動装置に接続された少なくとも1つの現像装置とを有する画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、歯車の強度を維持するとともにスムーズな動作を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12の下部には、給紙装置14が配置されていると共に、画像形成装置本体12の上部には排紙部16が形成されている。
【0015】
給紙装置14は、給紙カセット18を有し、この給紙カセット18に多数の用紙が積層される。この給紙カセット18の一端上部には、積層された用紙に接触する給紙ロール20が配置されていると共に、この給紙ロール20に対向して捌きロール22が設けられている。この給紙ロール20により給紙カセット18の最上位にある用紙がピックアップされ、給紙ロール20と捌きロール22との協働により用紙が捌かれて搬送される。
【0016】
給紙カセット18から搬送された用紙は、レジストローラ24により一時停止され、所定のタイミングにより後述する感光体ユニット26とベルトユニット28との間及び定着装置30を通って排出ローラ32により排紙部16へ排出される。
【0017】
画像形成装置本体12内には、像形成手段としての感光体ユニット26、ベルトユニット28、電源ユニット34及び制御部36が配置されている。感光体ユニット26は、感光体ユニット本体38に例えば4つの感光体40が回転自在に支持されている。各感光体40の周囲には、感光体40を一様に帯電する帯電ロールを備えた帯電手段としての帯電装置42と、各感光体40に書き込まれた静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して可視化する現像手段としての現像装置44と、転写後の感光体40を除電する除電装置46と、転写がなされた後に感光体40表面の残留トナーを除去するトナー除去装置48とを有する。感光体ユニット26は、4つの感光体40、帯電装置42、現像装置44、除電装置46及びトナー除去装置48を一体化したものであり、画像形成装置本体12に対して着脱自在になっている。
【0018】
電源ユニット34は、画像形成装置本体12上部に配置され、上述した給紙装置14、ベルトユニット28、帯電装置42及び現像装置44等に電力を供給するようになっている。
【0019】
4つのトナーボックス50は、感光体ユニット26の裏面側方に接続されている。各トナーボックス50は、マゼンダ、イエロー、シアン及び黒用であり、トナー供給部52とトナー回収部54とが一体になって構成されている。トナー供給部52は現像装置44に接続されて各色のトナーを現像装置44に供給し、トナー回収部54はトナー除去装置48に接続されて各色のトナーを回収する。
【0020】
光書込み装置56は、それぞれレーザ露光装置からなり、感光体ユニット26の背面側にあって各感光体40に対応した位置に配置され、一様に帯電された感光体40に対してレーザを照射して潜像を形成するようになっている。
【0021】
ベルトユニット28は、感光体ユニット26の表側にあって感光体ユニット26に対向して縦方向に配置されている。このベルトユニット28は上下方向に設けられた二つの支持ロール58を有し、該支持ロール58には搬送ベルト60が掛けられている。また、各感光体40に搬送ベルト60を挟んで対向して転写ロール62が設けられている。
【0022】
クリーニング装置64は、ベルトユニット28の表側にあって該ベルトユニット28に対向して配置されている。このクリーニング装置64は、クリーニング装置本体66と、クリーニング部材としてのクリーニングブレード68と、回収容器70と、除電フィルム72とを有し、搬送ベルト60表面のトナーや紙粉等の付着物を除去するようになっている。
【0023】
ユーザインターフェイス(UI)装置73は、画像形成装置本体12と一体に、又はネットワークを介して設けられ、制御部36に電気的に接続されている。このUI装置73には表示手段としての表示パネル73a及び入力ボタン73b等が設けられており画像形成装置10の処理内容を選択し、かつ表示するようになっている。
【0024】
したがって、各感光体40は、帯電装置42により一様に帯電され、光書込み装置56により潜像が形成され、現像装置44により潜像がトナーにより可視像化される。各感光体40に形成されたトナー像は、下方から順番にベルトユニット28の転写ロール62により搬送される用紙に転写され、定着装置30により用紙に定着される。
【0025】
図2乃至8に給紙装置14及び間欠駆動装置76の詳細が示されている。
給紙装置14は、給紙装置本体(図示省略)を有し、この給紙装置本体には、間欠駆動装置76が設けられている。間欠駆動装置76は、間欠駆動装置本体78(図5に示す)を有し、この間欠駆動装置本体78には、駆動歯車の一例である駆動ギア80、歯欠け歯車の一例である歯欠けギア82、ソレノイド84及び付勢バネ86が設けられている。
【0026】
図3乃至5にも示すように、歯欠けギア82は、間欠駆動装置本体78に回転自在に設けられた回転軸88(図5に示す)に固定されており、外周には所定のピッチで複数の歯が形成されている歯部82aと一部に歯が設けられていない(歯の一部が欠如した)歯欠け部82bとが形成されている。また、この歯欠けギア82には、軸方向(歯幅方向)に突出する円柱状のボス部90が歯欠けギア82と一体に形成されている。このボス部90(図4に示す)には、後述するソレノイド84の可動片98が摺動する摺動面90aが形成されている。摺動面90aの一部には、係止部90bが設けられており、該係止部90bとソレノイド84の可動片98とが係合することにより、歯欠けギア82の回転が規制されるようになっている。また、回転軸88には上述した給紙ロール20が固定されており、歯欠けギア82の回転に伴って給紙ロール20(図2に示す)が回転するようになっている。
【0027】
駆動ギア80は、支持軸95(図4及び5に示す)に回転自在に支持されている。支持軸95には駆動ギア80に連結された駆動軸92が回転自在に設けられている。図8にも示すように、駆動軸92の一方の端部には入力ギア92aが形成されており、駆動軸92の他方の端部には係合部としての凸部92bが複数(本例においては2つ)形成されている。また、図7にも示すように、駆動ギア80の側面には被係合部としての凹部80aが複数(本例においては2つ)形成されている。図6にも示すように、駆動軸92の凸部92bと駆動ギア80の凹部80aとが係合することで駆動ギア80と駆動軸92とが連結するようになっている。駆動軸92の凸部92bの周方向の大きさ(図8のL1)は、駆動ギア80の凹部80aの周方向の大きさ(図7のL2)よりも小さくなっており、図5及び6に示すように、凸部92bと凹部80aとの間に周方向の隙間部96が形成されるようになっている。
【0028】
この隙間部96の大きさ、すなわち凸部92bの周方向の大きさと凹部80aの周方向の大きさの差(L2−L1)は、駆動ギア80のピッチの角度より大きくなるように設定されている。ここで、駆動ギア80のピッチの角度とは駆動ギア80の円周(360°)を該駆動ギア80の歯数で割った(除した)角度である。また、隙間部96の角度、すなわち凸部92bと凹部80aとにより形成される角度(図9(a)の角度α)は、駆動ギア80のピッチの角度よりも大きくなるように設定されている。
【0029】
また、入力ギア92aは、モータ等の駆動源(図示省略)に連結され、入力ギア92aの駆動力が駆動軸92を介して駆動ギア80に伝達されるようになっている。駆動ギア80は、歯欠けギア82の歯部82aと噛合う位置に配置され、歯欠けギア82に動力を伝達すべく回転駆動するようになっている。この駆動ギア80と歯欠けギア82の歯欠け部82bとが対向しているときには、駆動ギア80は空転し、該駆動ギア80からの動力は歯欠けギア82に伝達されないようになっている。
【0030】
ソレノイド84は、歯欠けギア82の近傍に配置されており、可動片98とコイルスプリング100(図5に示す)とを有する。可動片98には、先端部がL字状に折り曲げられた係止爪98aが形成されている。コイルスプリング100は、可動片98の係止爪98aを歯欠けギア82の摺動面90aの方向へ付勢している。係止爪98aは、歯欠けギア82の係止部90bと係合することにより、歯欠けギア82の回転を規制するようになっている。
【0031】
付勢バネ86は、一端部が歯欠けギア82の側面に設けられたバネ掛け部82cに係止され、他端部が駆動装置本体78(図5に示す)に係止され、歯欠けギア82に対して所定の付勢力を与えるようになっている。より具体的には、付勢バネ86は、歯欠けギア82の歯部82aと駆動ギア80とが噛み合うまでの間、歯欠けギア82を回転させるための付勢力を与えるようになっている。この付勢バネ86と上述したソレノイド84とにより、駆動ギア80と歯欠けギア82の歯欠け部82bとを対向させたポジションで該歯欠けギア82の回転をロックするとともに、そのロックを解除することにより歯欠けギア82を回転させて駆動ギア80に噛み合わせる作動手段を構成する。
【0032】
次に本発明の実施形態における間欠駆動装置76の作用を図9に基づいて説明する。
図9(a)に示すように、ソレノイド84が非励磁状態(オフ)であるときには、ソレノイド84の係止爪98aと歯欠けギア82の係止部90bとが係合しており、歯欠けギア82は可動片98によって回転が規制されている。このとき、駆動ギア80は、歯欠けギア82の歯欠け部82bと対向するようになっており、該駆動ギア80からの駆動力は歯欠けギア82に伝達されていない。なお、駆動ギア80は、駆動軸92より該駆動軸92の凸部92bを介して動力を受け、駆動軸92と伴って図9(a)の矢印A方向へ回転している。
【0033】
ソレノイド84が励磁状態(オン)となると、可動片98に磁気吸引力が作用し、該可動片98がコイルスプリング100の付勢力に抗して引き込まれる。これにより、歯欠けギア82の係止部90bと可動片98の係止爪98aとの係合が解除され、歯欠けギア90が付勢バネ86の付勢力により矢印B方向へ回転する。このとき、図9(b)に示すように、駆動ギア80の歯先部と歯欠けギア82の歯部82bの歯先部とが衝突する場合がある。駆動ギア80の歯先部と歯欠けギア82の歯部82bの歯先部とが衝突した場合には、図9(c)に示すように、駆動ギア80は回転方向へ逃げる。より具体的には、駆動ギア80は、歯欠けギア82の歯部82bに押圧され、駆動軸92より速い速度で隙間部96の範囲内を回転(図9(c)の矢印A方向へ回転)する。これにより、駆動ギア80の歯面と歯欠けギア82の歯部82aの歯面とが噛合うようになりスムーズな動作が実現される。
【0034】
以上のように、駆動軸92の凸部92b、駆動ギア80の凹部80a及び凸部92bと凹部80aとの間に周方向の形成された隙間部96は、駆動ギア80が歯欠けギア82と噛合う時に駆動ギア80を回転方向へ逃がす逃がし手段として用いられる。
【0035】
次に本発明の第2の実施形態に係る間欠駆動装置76を図10乃至12に基づいて説明する。
図10に示すように、各現像装置44(図1に示す)内には、各色のトナー現像するための現像ロール74Y,74M,74C,74Kが設けられている。これら現像ロール74Y,74M,74C,74Kは、後述する駆動伝達ユニット102により伝達される駆動力により駆動されるようになっている。
【0036】
駆動伝達ユニット102は、画像形成装置本体12(図1に示す)に設けられており、複数のギアを有する。より具体的には、駆動伝達ユニット102は、駆動源104、第1の伝達ギア106a,106b,106c、第2の伝達ギア108a,108b、第3の伝達ギア110a,110b、第4の伝達ギア112a,112b,112c、現像駆動伝達ギア114a,114b,114c,114d及び後述する間欠駆動装置76の入力ギア126、出力ギア128を有する。
【0037】
駆動源104から第1の伝達ギア106a,106b,106c、現像駆動ギア114dを介して現像ロール74Kが駆動されるようになっている。また、駆動源104から第2の伝達ギア108a,108bに駆動力が伝達され、入力ギア126から出力ギア128に駆動力が伝達されると、第3の伝達ギア110a,110b、第4の伝達ギア112a,112b,112c、現像駆動ギア114a,114b,114cを介して現像ロール74Y,74M,74Cが駆動されるようになっている。
【0038】
図11及び12に本実施形態の間欠駆動装置76を有する駆動伝達装置115の詳細が示されている。
図11及び12に示すように、本実施形態における駆動伝達装置76には、間欠駆動装置76と該間欠駆動装置76の歯欠けギア82により上述した駆動伝達ユニット102の駆動の連結・解除を切り替える駆動切替部116(図12に示す)が設けられおり、この駆動切換部116には、従動ギア118及びカップリング120が設けられている。ここで、間欠駆動装置の駆動源(図示省略)は駆動伝達ユニット102と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
歯欠けギア82は、間欠駆動装置本体78に回転自在に設けられており、該歯欠けギア82のボス部90には従動ギア118と噛み合うギア部90cが形成されている。駆動ギア80は、支持軸95に回転自在に支持された駆動軸92とワンウェイクラッチ117を介して連結されている。このワンウェイクラッチ117は、駆動軸92からの入力に対しては一方向(図11の矢印A方向とは逆方向)のみに回転し、他方向(図11の矢印A方向)はロックされるようになっている。すなわち、駆動ギア80は、矢印A方向には駆動軸92の駆動力により該駆動軸92とともに回転するようになっており、駆動ギア80を矢印A方向に回転させると回転自在になっている。
【0040】
従動ギア118は、間欠駆動装置本体78に回転自在に設けられており、歯欠けギア82のギア部90cに噛み合う位置に配置されている。この従動ギア118の一方の側面にはカム122が、該従動ギア118と一体に形成されている。カム122は、従動ギア118の側面の略半周(約180°程度)部分に従動ギア118と一体に形成されており、カップリング120のスライド部材130に接触するように設けられている。このカム122は、従動ギア118と一体に回転することでスライド部材130に対して周期的な運動を与えるようになっている。なお、従動ギア118と歯欠けギア90のギア部104bとのギア比は1:2となっており、歯欠けギア82が一回転すると従動ギア118は半回転するようになっている。
【0041】
カップリング120は、間欠駆動装置本体78に形成された回転支軸124に回転自在に設けられ、入力ギア126、出力ギア128及びスライド部材130を有する。入力ギア126は、上述したように、第2の伝達ギア108bと噛み合う位置に配置されている。また、入力ギア126は、スライド部材130の被係合部130aと係合する係合部126aを有する。
【0042】
スライド部材130は、回転支軸124に対して軸方向にスライド自在に設けられており、先端部に入力ギア126の係合部126aと係合する被係合部130aが形成されている。また、スライド部材130は、出力ギア128と一体に回転するよう出力ギア130を支持するとともに、出力ギア128に対してスライド自在に設けられている。出力ギア130は、上述したように、第3の伝達ギア110a,110bと噛み合う位置に配置されている。
【0043】
出力ギア128は、スライド部材130にスライド自在に支持されており、且つスライド部材130とともに回転するようになっている。コイルバネ132は、間欠駆動装置本体78とスライド部材130との間に設けられており、スライド部材130を入力ギア126の方向に付勢するようになっている。このようにして、カップリング120は、入力ギア126と出力ギア128との間の動力の連結又は連結解除を行なうようになっている。
【0044】
次に本実施形態における間欠駆動装置76を有する駆動伝達装置115の作用を図13に基づいて説明する。
図13(a)に示すように駆動伝達装置115の駆動切換部116が第1の動作状態にあるときには、入力ギア126と出力ギア128との間の動力が連結された状態となっている。より具体的には、従動ギア118の側面のカム122が形成されていない部分とカップリング120のスライド部材130とが接触し、コイルバネ132の付勢力により入力ギア126の係合部126aとスライド部材130の被係合部130aとが係合した状態となっている。したがって、第2の伝達ギア108bから伝達された駆動力により入力ギア126及び出力ギア128が回転する。これにより、出力ギア126は、第3の伝達ギア110a,110b、第4の伝達ギア112a〜112c、現像駆動ギア114a〜114cを介して現像ロール74Y,74M,74Cを作動させる。このように、駆動伝達装置115の駆動切換部116が第1の動作状態であるときには、現像ロール74Y,74M,74C,74Kが作動するようになっている。
【0045】
続いて、ソレノイド84が励磁状態(オン)となると、歯欠けギア82が付勢バネ86の付勢力により回転する。歯欠けギア82がさらに回転し、駆動ギア80と歯欠けギア82の歯部82aとが噛合うと、歯欠けギア82は、駆動ギア80の動力により回転するようになる。このとき、駆動ギア80の歯先部と歯欠けギア82の歯部82bの歯先部とが衝突する場合がある。駆動ギア80の歯先部と歯欠けギア82の歯部82bの歯先部とが衝突した場合には、駆動ギア80はワンウェイクラッチ117の作用により回転方向(図11の矢印A方向)へ逃げる。これにより、駆動ギア80の歯面と歯欠けギア82の歯部82aの歯面とが噛合うようになりスムーズな動作が実現される。
【0046】
このように、ワンウェイクラッチ117は、駆動ギア80が歯欠けギア82と噛合う時に駆動ギア80を回転方向へ逃がす逃がし手段として用いられる。
【0047】
歯欠けギア82が略一回転すると、駆動ギア80との噛み合い位置に歯欠け部82bが再び対向する状態となり、歯欠けギア82と駆動ギア80との噛み合いが外れる。歯欠けギア82と駆動ギア80との噛み合いが外れると、歯欠けギア82の係止部90bが可動片98の係止爪98aに突き当たり、歯欠けギア82は可動片98によって回転が規制される。これにより、歯欠けギア82は再度動作開始ポジションで保持された状態となり、駆動伝達装置115の駆動切換部116は後述する第2の動作状態となる。
【0048】
図13(b)に示すように、駆動伝達装置115の駆動切換部116が第2の動作状態にあるときには、入力ギア126と出力ギア128との間の動力の連結が解除された状態となっている。より具体的には、第1の動作状態と比較し、従動ギア118が約180°回転した状態となり、該従動ギア118のカム122がコイルバネ132の付勢力に抗してカップリング120のスライド部材130を押圧し、該スライド部材130を入力ギア126とは反対の方向にスライド移動させている。これにより、入力ギア126の係合部126aとスライド部材130の被係合部130aとの係合が解除された状態となっている。したがって、第2の伝達ギア108cから伝達される駆動力により入力ギア126のみが回転し、入力ギア126から出力ギア128への駆動力の伝達が解除され、現像ロール74Y,74M,74Cの作動が停止される。一方、現像ロール74Kは、駆動源104の駆動力により作動を継続する。このように、間欠駆動装置76の駆動切換部116が第2の動作状態であるときには、現像ロール74Kが作動し、現像ロール74Y,74M,74Cの作動が停止される。
【0049】
以上ように、本実施形態における間欠駆動装置76を有する駆動伝達装置115は、駆動切換部116の動作状態を切替えることにより、各現像ロール74Y,74M,74C,74Kへの駆動力の伝達を切替えるようになっている。
なお、本発明の第2の実施形態の説明においては、本発明の第1の実施形態と同一部分について図面に同一番号を付してその説明を省略した。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の給紙装置を説明する斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る間欠駆動装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る間欠駆動装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る間欠駆動装置を示す正面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る駆動ギアを示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る駆動ギアを示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る駆動ギアを示す斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る間欠駆動装置の動作を示し、(a)は駆動ギアと歯欠けギアとが噛合う前の状態、(b)は駆動ギアの頂上部と歯欠けギアの頂上部とが衝突した状態、(c)は駆動ギアが回転方向に逃げた状態を説明する図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る駆動伝達ユニットを説明する模式図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る間欠駆動装置を有する駆動伝達装置を示す正面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る間欠駆動装置を有する駆動伝達装置を示す側面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る間欠駆動装置を有する駆動伝達装置の動作状態を示し、(a)は第1の動作状態、(b)は第2の動作状態を説明する正面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 画像形成装置
14 給紙装置
44 現像装置
74 現像ロール
76 間欠駆動装置
80 駆動ギア
80a 凹部
82 歯欠けギア
82a 歯部
82b 歯欠け部
92 駆動軸
92b 凸部
96 隙間部
117 ワンウェイクラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の一部が欠如した歯欠け部を有する歯欠け歯車と、
この歯欠け歯車を駆動する駆動歯車と、
前記駆動歯車が前記歯欠け歯車と噛合う時に前記駆動歯車を回転方向へ逃がす逃がし手段と、
を有することを特徴とした間欠駆動装置。
【請求項2】
前記駆動歯車に連結された駆動軸をさらに有し、前記逃がし手段は前記駆動軸に形成された係合部と前記駆動歯車に形成された被係合部とを有し、前記係合部と前記被係合部との間に周方向の隙間が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の間欠駆動装置。
【請求項3】
前記逃がし手段はワンウェイクラッチからなることを特徴とする請求項1に記載の間欠駆動装置。
【請求項4】
前記隙間の角度は前記駆動歯車のピッチの角度以上であることを特徴とする請求項2に記載の間欠駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか記載の間欠駆動装置を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項5に記載の給紙装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
歯の一部が欠如した歯欠け部を有する歯欠け歯車と、この歯欠けギアを駆動する駆動歯車と、前記駆動歯車が前記歯欠け歯車と噛合う時に前記駆動歯車を回転方向へ逃がす逃がし手段とを有することを特徴とした間欠駆動装置と、
前記間欠駆動装置に接続された少なくとも1つの現像装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−164151(P2008−164151A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−448(P2007−448)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】