説明

防災システムおよびこれに用いる警報出力方法

【課題】 簡易な構成で、複数のテレメータから短時間周期で確実に計測値を収集することが可能な防災システムおよびこれに用いる警報出力方法を提供する
【解決手段】 接続された複数のテレメータの全てから所定周期で監視エリアの環境情報の計測値を取得するとともに、これらの複数のテレメータから選択されたテレメータから前記所定周期よりも短周期で環境情報の計測値を取得する計測値取得制御部122と、計測値取得制御部122で取得された計測値が異常値であるか否かを判定する異常値判定部42と、異常値判定部42において取得された計測値が異常値であると判定したときに警報情報を出力する警報出力制御部43とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象の情報として環境に関する計測値を収集して解析し、これに基づいて警報情報を出力する防災システムおよびこれに用いる警報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害を未然に防ぐために、気象に関する警報情報や避難誘導情報を提供する防災システムがある。このような防災システムでは、たとえば複数の監視局にそれぞれ設置されたテレメータから雨量や河川の水位等の計測値を監視装置で収集して解析し、計測値が異常値となったことが検知されたときに警報情報を出力する。これにより、周辺の住民等に危険情報を通知し、災害を未然に防いでいる。
【0003】
この従来の防災システムでは、テレメータで計測される計測値の取得周期は、最短でも10分程度である。テレメータから10分周期で環境データを取得するときの動作を、図6に示す。
【0004】
図6では、まず基準時となる正定時+0分のときに、親局である監視装置から子局であるn台のテレメータ(1)〜(n)に対して一括して呼び出し処理を行い(S1)、これに応答して各テレメータ(1)〜(n)から計測値を返送させる(S2)。ここで計測値が受信されなかった欠測の子局があると判断されたときには、当該子局のテレメータに対し再呼び出し処理が行われ(S3)、これに応答して該当するテレメータから計測値を返送させる(S4)。これらの返送された計測値は上位装置に送信され管理される(S5)。
【0005】
そして、この正定時+0分から10分経過した正定時+10分のときに同様にステップS1〜S5の処理が行われ、計測値が管理される。
【0006】
このようにして10分ごとに同様の処理が行われることで、10分周期の計測値を監視装置で収集し、監視することができる。
【0007】
しかし、近年は局地的な集中豪雨などにより予想を超える激しい降雨や短時間での増水等が起こることがあり、このような現象に対応するためにさらに短い時間周期、例えば1分周期で計測値を収集し監視することが望まれている。
【0008】
そこで図7に示すように、上述した計測値の取得処理を1分周期で実行することが考えられる。
【0009】
図7に示す動作では、上述したステップS1およびS2と同様の処理が、正定時+1分、+2分、+3分…と1分周期で実行され、これにより短周期で計測値を監視することが可能になる。
【0010】
ところが、防災システムにおいて無線通信が利用される場合には通信速度に限界があるため、1回の計測値の取得処理が1分以内に収まらず、短時間周期で計測値の収集が確実にできないことがあるという問題があった。例えば、図7においてステップS1〜S5までの処理が1分以上かかるときには、正定時+1分のときに一括呼び出し処理(S1)が開始できず、1分周期で計測値の収集ができないという問題があった。
【0011】
この問題を解決するため、特許文献1には、他のテレメータで送信が行われている間は計測値の送信を待合せ、他のテレメータからの送信が停止した後に計測値を送信するように自律的にデータの送信タイミングを決定する待合せ処理機能を有する監視システムが記載されている。
【0012】
この監視システムを利用することにより、他の監視局のテレメータから送信されるデータと衝突せずに、従来よりも短時間周期で複数のテレメータから計測値を収集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−322680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、この特許文献1に記載の監視システムでは、各テレメータに上述した待合せ処理機能を持たせるように構成しなければならず、手間や経費がかかるという問題があった。また、所望の短時間周期、例えば1回の計測値取得処理に1分以上かかるときに1分周期で計測値を取得することができないという問題があった。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、複数のテレメータから短時間周期で確実に計測値を収集することが可能な防災システムおよびこれに用いる警報出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明の防災システムは、接続された複数のテレメータから所定周期で監視エリアの監視情報を取得するとともに、これらの複数のテレメータから選択されたテレメータから前記所定周期よりも短周期で監視情報を取得する監視情報取得制御部と、前記監視情報取得制御部で取得された監視情報が異常であるか否かを判定する異常値判定部と、前記異常値判定部において取得された監視情報が異常であると判定したときに警報情報を出力する警報出力制御部とを有することを特徴とする。
【0017】
またこの防災システムの前記監視情報取得制御部は、振り分けた複数のグループごとに前記所定周期内に順次監視情報を取得することで、前記複数のテレメータから監視情報を取得するようにしてもよい。
【0018】
またこの防災システムの前記監視情報取得制御部は、接続された複数のテレメータから選択されたテレメータが、前記所定周期で監視情報を取得する通常モードから、前記所定周期よりも短周期で監視情報を取得するための短周期モードに切り替わったときに、この選択されたテレメータから前記短周期で監視情報を取得する処理を実行するようにしてもよい。
【0019】
またこの防災システムの前記通常モードから前記短周期モードへの切り替えは、前記テレメータのいずれかから環境情報の状態変化通知が取得されたとき、外部から短周期モードへの切り替え指示が取得されたとき、または、前記監視情報取得制御部により取得された監視情報により監視エリアの状態変化が検知されたときをトリガとして実行されるようにしてもよい。
【0020】
また本発明の警報出力方法は、防災システムが、接続された複数のテレメータから所定周期で監視エリアの監視情報を取得するとともに、これらの複数のテレメータから選択されたテレメータから前記所定周期よりも短周期で監視情報を取得し、前記取得された監視情報が異常であるか否かを判定し、前記取得された監視情報が異常であると判定したときに警報情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の防災システムおよびこれに用いる防災システムおよびこれに用いる警報出力方法によれば、簡易な構成で、複数のテレメータから短時間周期で確実に計測値を収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態および第2実施形態による防災システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による防災システムに利用されるテレメータシステムの通常モードの動作を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の第1実施形態による防災システムに利用されるテレメータシステムの短周期モードの動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第2実施形態による防災システムに利用されるテレメータシステムの短周期モードの動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第2実施形態による防災システムに利用されるテレメータシステムで計測された河川の水量の変化の一例を示すグラフである。
【図6】従来の防災システムに利用されるテレメータシステムにおいて、10分周期で計測値を監視するときの動作を示すシーケンス図である。
【図7】従来の防災システムに利用されるテレメータシステムにおいて、1分周期で計測値を監視するときの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1実施形態および第2実施形態として、親局である監視装置と子局である複数のテレメータとの1回の計測値取得処理に要する通信時間が、1分以上である場合について説明する。
【0024】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による防災システムの構成〉
本発明の第1実施形態による防災システム1の構成について、図1を参照して説明する。
【0025】
本実施形態による防災システム1は、テレメータシステム10と、このテレメータシステム10に事務所内LAN20を介して接続された上位装置30および警報装置40と、この警報装置40に警報設備LAN50を介して接続された出力装置60とを有する。
【0026】
本実施形態においては説明を簡略化するため出力装置60が1つの場合を示しているが、警報設備LAN50には複数の出力装置60が接続されていてもよい。
【0027】
テレメータシステム10は、監視エリアの環境情報として雨量、河川の水位等をそれぞれ計測するn台の子局としてのテレメータ11−1〜11−nと、これらのテレメータ11−1〜11−nと無線にて通信可能な状態に接続された親局としての監視装置12とを有する。
【0028】
監視装置12は、子局側送受信部121と、計測値取得制御部122と、LAN側送受信部123とを有する。
【0029】
子局側送受信部121は、各テレメータ11−1〜11−nとの無線通信を行う。
【0030】
計測値取得制御部122は、各テレメータ11−1〜11−nで計測された計測値を、子局側送受信部121を介して取得する。このとき、計測値を取得するための動作モードを、通常モードと短周期モードとの間で切り替える。本実施形態において通常モードでは10分周期で取得して上位装置30に送信し、短時間周期で監視する短周期モードでは1分周期で取得して警報装置40に送信するように制御する。
【0031】
LAN側送受信部123は、事務所内LAN20を介して上位装置30および警報装置40との通信を行う。
【0032】
上位装置30は、監視装置12において各テレメータ11−1〜11−nから10分周期で取得された計測値を受信し、記憶する。
【0033】
警報装置40は、入出力部41と、異常値判定部42と、警報出力制御部43とを有する。
【0034】
入出力部41は、監視対象の環境情報を監視する監視員により操作され、各テレメータ11−1〜11−nで計測された計測値を、通常モードにより10分周期で取得するかまたは、短周期モードにより1分周期で取得するかを切り替える指示を入力する。また、上位装置30に記憶された計測値を表示して監視員に提供する。
【0035】
異常値判定部42は、上位装置30に記憶された10分周期で計測された計測値、および監視装置12から送信された1分周期で計測された計測値が異常値であるか否かを、予め設定された閾値に基づいて判定する。
【0036】
警報出力制御部43は、異常値判定部42において計測値が異常値であると判定されたときに警報情報を生成し、警報設備LAN50を介して出力装置60に送信する。
【0037】
出力装置60は、スピーカ、表示灯、サイレン鳴動装置等であり、警報装置40から送信された警報情報を、音声、電光、サイレン等により出力し、近隣にいる人に警報が発令されたことを通知する。
【0038】
〈第1実施形態による防災システムの動作〉
次に、本実施形態による防災システム1の動作について、図2および図3のシーケンス図を参照して説明する。
【0039】
まず図2のシーケンス図に示すように、監視装置12において通常モードにより10分周期で全テレメータ11−1〜11−nからの計測値の取得処理が行われる。
【0040】
通常モードにおける計測値の取得処理においては、正定時+0分のときに監視装置12の計測値取得制御部122の制御により、子局側送受信部121から全てのテレメータ11−1〜11−nに対して計測値の送信を要求するための一括呼び出し処理が行われる(S1)。
【0041】
次にこの一括呼び出し処理に応答し、各テレメータ11−1〜11−nにおいて計測された雨量、河川の水位等の計測値が監視装置12に送信される(S2)。
【0042】
監視装置12では、各テレメータ11−1〜11−nから送信された計測値が子局側送受信部121を介して計測値取得制御部122で取得される。
【0043】
ここで、計測値取得制御部122において計測値が受信されなかった欠測の子局があると判断されたときには、当該子局のテレメータに対し再呼び出し処理が行われる(S3)。そして、再呼び出し処置が受信されたテレメータから計測値が監視装置12に送信され、監視装置12の子局側送受信部121を介して計測値取得制御部122で受信される(S4)。このように再呼び出しを行うことにより、通常モード時は全てのテレメータから確実に計測値が取得されるようにする。本実施形態において、このステップS1〜S4までの処理には、1分以上2分未満の時間を要するものとする。
【0044】
この正定時+0分に計測値取得制御部122で取得された計測値は、上位装置30に送信され記憶される(S5)。上位装置30では、受信された計測値が蓄積され管理される。
【0045】
そして正定時+10分になると、再度ステップS1〜S5の処理が行われる。このようにして10分周期で各テレメータ11−1〜11−nで計測された計測値が監視装置12で取得され、上位装置30に記憶される。
【0046】
上述したように通常モードの動作が行われているときに、例えば以下のような切り替え動作(a)〜(c)が行われると、対象となるテレメータにおいてはより短周期である1分周期で計測値の取得処理が行われるように切り替えられる。
【0047】
・切り替え動作(a)
通常モードで計測値の取得処理が行われているときに、計測値の取得処理を短周期化すべき環境状態の変化、例えば降雨が始まったこと、または河川の水位が予め設定された閾値を上回ったことがいずれかのテレメータで検知されると、状態変化があったことを示す状態変化通知が当該テレメータから監視装置12にリアルタイムで送信される。
【0048】
監視装置12では、送信された状態変化通知が子局側送受信部121を介して計測値取得制御部122で取得され、この通知をトリガとして、対象となるテレメータに対しては1分周期で計測値を取得する短周期モードへ切り替えられる。
【0049】
・切り替え動作(b)
通常モードで計測値の取得処理が行われているときに、警報装置40の入出力部41に上位装置30から取得された計測値が表示されて監視され、監視員により計測値の取得処理を短周期モードへ切り替えるテレメータが指定されるとともに切り替え指示が入出力部41から入力されると、この指示が監視装置12に送信される。
【0050】
監視装置12では、送信された状態切り替え指示がLAN側送受信部123を介して計測値取得制御部122で取得され、この指示をトリガとして、対象となるテレメータに対しては1分周期で計測値を取得する短周期モードへ切り替えられる。
【0051】
・切り替え動作(c)
通常モードで計測値の取得処理が行われているときに、一括呼び出し処理で取得された計測値に基づいて、いずれかの観測値において降雨が始まったこと、または河川の水位が予め設定された閾値を上回ったこと等の状態変化があったと計測値取得制御部122において判断されると、この判断をトリガとして、対象となるテレメータに対しては1分周期で計測値を取得する短周期モードへ切り替えられる。
【0052】
これらの切り替え動作(a)〜(c)において、切り替えの対象となるテレメータは、監視装置12との通信が1分以内で完了する数内で、優先度に応じて選択される。この短周期モードの対象として選択されたテレメータを、1分観測対象局群のテレメータとする。
【0053】
これらのいずれかの切り替え動作により計測値の取得処理が1分周期の短周期モードに切り替えられたときの動作を、図3に示す。
【0054】
本実施形態において計測値の取得処理が1分周期に切り替えられると、まず正定時+0分に、図2に示した通常モードのときと同様にステップS1〜S4の一括呼び出し処理が実行される。
【0055】
ここで、計測値取得制御部122で取得された計測値は、上位装置30に送信される(S5)とともに、警報装置40にも送信される(S6)。
【0056】
次に、ステップS1〜S4の処理が完了した後の正定時である正定時+2分に監視装置12の計測値取得制御部122の制御により、1分観測対象局群のテレメータに対して計測値の送信を要求するための個別呼び出し処理が行われる(S7)。
【0057】
次にこの個別呼び出し処理に応答し、対象となるテレメータにおいて計測された雨量、河川の水位等の計測値が監視装置12に送信される(S8)。
【0058】
ここで、短周期モード時に取得される計測値は蓄積の対象とはせず監視のみの対象とするため、通常モード時に取得される計測値よりも優先度が低く、再呼び出し処理は行わないものとする。本実施形態においては、このステップS7〜S8の処理は1分以内に完了する。
【0059】
この正定時+2分に計測値取得制御部122で取得された計測値は、警報装置40に送信され監視される(S9)。
【0060】
そして、正定時+3、+4分・・・+9分においてもそれぞれステップS7〜S9と同様の処理が行われることにより、1分周期で1分観測対象局群のテレメータから計測値が取得され、警報装置40に送信される。
【0061】
また、正定時+10分には、再度通常モードのときと同様のステップS1〜S4の一括呼び出し処理が実行され、取得された計測値が上位装置30に送信される(S5)とともに警報装置にも送信される(S6)。
【0062】
このように短周期モードでは、通常モードとのときと同様に10分周期で全テレメータ11−1〜11−nから計測値が取得され上位装置30で管理されるとともに、1分周期で1分観測対象局群のテレメータから計測値が取得され警報装置40で取得される。
【0063】
警報装置40では、1分周期で監視装置12から送信された計測値が異常値判定部42で受信され、これらの計測値が異常値であるか否かが、予め設定された閾値に基づいて判定される。
【0064】
異常値判定部42において、取得された計測値が異常値であると判定されたときには、警報出力制御部43において警報情報が生成され、警報設備LANを介して出力装置60に送信される。
【0065】
出力装置60では、受信された警報情報が、スピーカ、表示灯、サイレン等により出力され、近隣にいる人に危険状態であることが通知される。
【0066】
また切り替えられた動作モードは、切り替え動作(a)においてテレメータで状態変化通知を送信する要因がなくなったとき、切り替え動作(b)において通常モードから短周期モードに切り替える状態切り替え指示が送信された後にさらに短周期モードを通常モードに切り替える状態切り替え指示が送信されたとき、または、切り替え動作(c)において降雨が無くなったことまたは河川の水位が閾値を下回ったと判断されたときには、計測値取得制御部122により短周期モードから通常モードに戻される。
【0067】
以上の本実施形態によれば、通常モードから短周期モードに切り替えられると、全テレメータ11−1〜11−nからの計測値を10分周期で取得するとともに、1分観測対象局群のテレメータからの計測値を取得可能な範囲内で1分周期で取得することができ、短時間周期で環境情報を監視することができる。
【0068】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による防災システムの構成〉
本発明の第2実施形態による防災システム2の構成は、第1実施形態における防災システム1と同様であるため、詳細な説明については省略する。
【0069】
〈第2実施形態による防災システムの動作〉
次に、本実施形態による防災システム2の動作について説明する。
【0070】
上述した第1実施形態においては、短周期モード時に1分観測対象局群のテレメータからの計測値が1分周期で取得されるが、図3に示すように正定時+0分の一括呼び出し処理が1分以上かかるため正定時+1分のときの個別呼び出し処理を実行することができない。
【0071】
そこで本実施形態においては、第1実施形態で説明したような切り替え動作(1)〜(3)により通常モードから短周期モードに切り替えられたときに、正定時+1分のときにも1分観測対象局群のテレメータから計測値を取得可能とする場合について、図4を参照して説明する。
【0072】
本実施形態では計測値の取得処理が1分周期に切り替えられると、計測値取得制御部122において、1分観測対象局群のテレメータ以外のテレメータが、グループ(1)〜(9)に振り分けられた他観測局群グループ情報が生成される。この他観測局群グループ情報が生成される際は、〔監視装置12と1分観測対象局群のテレメータとの通信時間〕+〔監視装置12と各グループのテレメータとの通信時間〕+〔欠測の子局がある場合の再呼び出し処理時間〕が1分以内で完了するように、1分観測対象局群のテレメータ以外のテレメータが振り分けられる。
【0073】
他観測局群グループ情報が生成された状態で、まず正定時+0分に、図3に示した短周期モードのときのステップS7およびS8と同様の個別呼び出し処理が実行され、1分観測対象局群のテレメータから計測値が取得される(S11、S12)。
【0074】
ここで、計測値取得制御部122において計測値が受信されなかった欠測の子局があると判断されたときには、当該子局のテレメータに対し再呼び出し処理が行われる(S13)。そして、再呼び出し処置が受信されたテレメータから計測値が監視装置12に送信され、監視装置12の子局側送受信部121を介して計測値取得制御部122で受信される(S14)。
【0075】
本実施形態において、ステップS11〜S14までの処理は、1分以内で完了するものとする。
【0076】
この正定時+0分に計測値取得制御部122で取得された計測値は、警報装置40に送信され監視される(S15)。
【0077】
次に、正定時+1分にも個別呼び出し処理が実行され、1分観測対象局群のテレメータから計測値が取得される(S16、S17)。取得された計測値は、警報装置40に送信される(S18)。
【0078】
続いて、生成された他観測局群グループ情報のグループ(1)に該当するテレメータに対し個別呼び出し処理が実行され、計測値が取得される(S19、S20)。
【0079】
ここで、計測値取得制御部122において計測値が受信されなかった欠測の子局があると判断されたときには、当該子局のテレメータに対し再呼び出し処理が行われ、計測値が取得される(S21、S22)。このステップS16〜S22までの処理は、1分以内で完了するものとする。
【0080】
そして、正定時+2分、+3分・・・+9分において、それぞれ他観測局群グループ情報のグループ(2)、(3)・・・(9)に該当するテレメータに対し、ステップS16〜S22と同様に個別呼び出し処理および再呼び出し処理が順次行われ、計測値が取得される。さらに正定時+9分におけるグループ(9)に該当するテレメータからの計測値が取得されると、正定時+0分の1分観測対象局群のテレメータから取得された計測値及び、正定時+1分〜+9分までに1分観測対象局群のテレメータ以外のテレメータから取得された計測値(すなわち、すべてのテレメータから取得された計測値)が、上位装置30に送信され記憶される(S23)。
【0081】
また正定時+10になると、再度正定時+0分のステップS11の処理から繰り返され、第1実施形態と同様に警報装置40の異常値判定部42において計測値が異常値であると判定されたときには、警報出力制御部43により警報出力処理が行われる。
【0082】
本実施形態の短周期モードにおいて1分周期でテレメータから計測値が取得されたときの、河川の水量の計測値の変化の一例を図5のグラフに示す。
【0083】
図5においては、時刻t26のときから急激に水量が増加し始め、時刻t32〜t33の間に、警報装置40において異常値であるか否かを判定する閾値vを超えていることを示している。
【0084】
このような場合、従来の通常モードにより10分周期で計測値を取得し監視すると、水位が閾値vを超えたことは時刻t40にならなければ認識できない。しかし、本発明の短周期モードにより1分周期で計測値を取得し監視すると、水位が閾値vを超えたことが時刻t33で認識することができ、従来よりもリアルタイムに近い時点で警報を出力させることができる。
【0085】
以上の本実施形態によれば、1分観測対象局群のテレメータからの計測値を確実に1分周期で取得するとともに、9つのグループに振り分けられた1分観測対象局群以外のテレメータからの計測値をそれぞれ10分周期で取得することができ、短時間周期で環境情報を監視することができる。
【符号の説明】
【0086】
1、2…防災システム
10…テレメータシステム
11−1〜11−n…テレメータ
12…監視装置
20…事務所内LAN
30…上位装置
40…警報装置
41…入出力部
42…異常値判定部
43…警報出力制御部
50…警報設備LAN
60…出力装置
121…子局側送受信部
122…計測値取得制御部
123…LAN側送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された複数のテレメータから所定周期で監視エリアの監視情報を取得するとともに、これらの複数のテレメータから選択されたテレメータから前記所定周期よりも短周期で監視情報を取得する監視情報取得制御部と、
前記監視情報取得制御部で取得された監視情報が異常であるか否かを判定する異常値判定部と、
前記異常値判定部において取得された監視情報が異常であると判定したときに警報情報を出力する警報出力制御部と
を有することを特徴とする防災システム。
【請求項2】
前記監視情報取得制御部は、振り分けた複数のグループごとに前記所定周期内に順次監視情報を取得することで、前記複数のテレメータから監視情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の防災システム。
【請求項3】
前記監視情報取得制御部は、接続された複数のテレメータから選択されたテレメータが、前記所定周期で監視情報を取得する通常モードから、前記所定周期よりも短周期で監視情報を取得するための短周期モードに切り替わったときに、この選択されたテレメータから前記短周期で監視情報を取得する処理を実行する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の防災システム。
【請求項4】
前記通常モードから前記短周期モードへの切り替えは、前記テレメータのいずれかから環境情報の状態変化通知が取得されたとき、外部から短周期モードへの切り替え指示が取得されたとき、または、前記監視情報取得制御部により取得された監視情報により監視エリアの状態変化が検知されたときをトリガとして実行される
ことを特徴とする請求項3に記載の防災システム。
【請求項5】
防災システムが、
接続された複数のテレメータから所定周期で監視エリアの監視情報を取得するとともに、これらの複数のテレメータから選択されたテレメータから前記所定周期よりも短周期で監視情報を取得し、
前記取得された監視情報が異常であるか否かを判定し、
前記取得された監視情報が異常であると判定したときに警報情報を出力する
ことを特徴とする警報出力方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−153979(P2011−153979A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16702(P2010−16702)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】