説明

防災情報提示装置及び防災情報提供システムとその配信装置

【課題】災害発生時又は災害の発生が予想される状況において、過大な演算処理を必要とすることなく簡単かつ迅速に現状に即した防災情報をユーザに提供できるようにする。
【解決手段】携帯端末において、想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成された複数の防災情報を予め記憶部17の防災情報記憶領域17aに記憶しておく。そして、携帯端末の利用者が入力部18により現在の気象条件を入力した場合に、上記記憶された複数の防災情報の中から上記入力された気象条件に最も近い防災情報を選択し、この選択された防災情報を表示部19に表示する。また、上記防災情報を記憶する際に、基図データと複数の災害シミュレーション情報とを分けて記憶する。そして、防災情報を選択表示する際に、上記基図データと選択された災害シミュレーション情報とを合成してハザードマップを作成するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、災害発生時に必要となる避難場所や危険場所等を示す防災情報を住民等に提示する防災情報提示装置、及び上記防災情報を配信する防災情報提供システムとその配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害発生時に必要となる避難場所や危険場所等を示す防災情報は、「防災マップ」又は「ハザードマップ」等という名称(以後ハザードマップと総称する)で呼ばれ、一般には紙に印刷された地図の状態で配布されている。ハザードマップは、洪水や地震災害等を想定し、予め決められた気象条件の下で作成される。例えば、洪水災害の場合には、200年確率で発生する可能性のある洪水災害を想定して作成される(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0003】
【非特許文献1】赤桐毅一:洪水ハザードマップの現状と今後の方向,2003 予防時報 215 pp.36-41(特にp.39右段) http://www.sonpo.or.jp/business/liblary/public/pdf/yz215_36-41.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のハザードマップは、予め決められた気象条件の下で作成されたものであるため、現実の水位や降水量が必ずしも反映されたものになるとは限らない。また、河川の氾濫災害シミュレーションの結果がインターネット上で公開されている地域もある。しかしこの場合も、氾濫災害シミュレーション結果は予め決められた気象条件の下で推測したものであるため、現実の状況に対応しないものになることが多い。
【0005】
すなわち、ハザードマップを紙に印刷された地図として配布する場合も、またインターネット上で公開したり電子データの状態で配信する場合も、災害発生時にユーザが取得する防災情報は平常時に予め決められた気象条件の下で予測したものに過ぎず、必ずしも現実の気象条件を反映したものにはならない。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、災害発生時又は災害の発生が予想される状況において、過大な演算処理を必要とすることなく簡単かつ迅速に現状に即した防災情報をユーザに提供できるようにした防災情報提示装置及び防災情報提供システムとその配信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明に係わる防災情報提示装置は、想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報と、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報とのうちの少なくとも一方を、防災情報に含めて記憶媒体に予め記憶しておく。そして、現実の気象条件の入力を受け付け、この受け付けた気象条件をもとに上記記憶された複数の防災情報の中から当該気象条件に近い防災情報を選択し、この選択された防災情報を利用者に提示するようにしたものである。
【0008】
したがってこの防災情報提示装置によれば、例えば災害発生時又は災害の発生が予想される状況において、利用者が現在の気象条件を入力すると、予め記憶された複数の防災情報の中から当該気象条件に近い防災情報が選択されて利用者に提示される。このため、従来のように一つの条件の下に作成されたハザードマップを紙により配布する場合に比べ、現在の気象状況に即した防災情報を住民等に提示することが可能となり、この結果住民等はより的確な対策を講じることが可能となる。
【0009】
また、予め記憶された複数の防災情報の中から現在の気象条件に近い防災情報が選択されて提示されるので、現在の気象条件を入力した時点で防災情報を作成する場合に比べ、装置に過大な演算処理を行わせることなく簡単かつ迅速に防災情報を提示することが可能となる。
【0010】
またこの発明は、防災情報を、基図としての地図情報と、複数の災害シミュレーション情報及び過去の複数の災害情報のうちの少なくとも一方とを含む構成とし、これらを個別に記憶しておく。そして、入力された現在の気象条件をもとに、上記記憶された複数の災害シミュレーション情報及び過去の複数の災害情報の中から当該気象条件に近い情報を選択し、この選択された情報と上記記憶された地図情報とを合成することによりハザードマップを作成するようにしたことを特徴とする。
【0011】
このようにすると、基図としての地図情報と、複数の災害シミュレーション情報及び過去の複数の災害情報の少なくとも一方とが個別に記憶されるため、地図情報と、複数の災害シミュレーション情報及び過去の複数の災害情報の少なくとも一方とのすべての組み合わせについてハザードマップをそれぞれ作成して記憶する場合に比べ、記憶媒体の記憶容量を大幅に削減することができる。
一般に、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末はパーソナル・コンピュータ等に比べメモリ容量が少ない。このため、上記したように記憶容量を削減できることは、防災情報提示装置として携帯端末を使用する場合に特に有効である。
【0012】
さらにこの発明は、災害シミュレーション情報を記憶する場合に、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータを記憶する。そして、入力された現在の気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータを選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータを地図情報に重ねて表示することによりハザードマップを作成することを特徴とする。
【0013】
また同様に、過去の複数の災害情報を記憶する場合には、過去の複数の災害発生結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータを記憶する。そして、入力された現在の気象条件に近い災害発生結果に対応するシンボルデータを選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータを地図情報に重ねて表示することによりハザードマップを作成することを特徴とする。
以上のように構成すると、危険地域や安全地域、避難場所の位置がシンボルデータにより表現されるので、ハザードマップを見る機会の少ない一般住民等にとって見やすいハザードマップを提示することが可能となる。
【0014】
さらにこの発明は、災害シミュレーション情報を記憶する場合に、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶する。そして、入力された現在の気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータの時系列変化を選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータの時系列変化を地図情報に重ねて表示することにより動的ハザードマップを作成することを特徴とする。
【0015】
また同様に、過去の複数の災害情報を記憶する場合には、過去の複数の災害発生結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶する。そして、入力された現在の気象条件に近い災害発生結果に対応するシンボルデータの時系列変化を選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータの時系列変化を地図情報に重ねて表示することにより動的ハザードマップを作成することを特徴とする。
【0016】
以上のように構成すると、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータがハザードマップ上で時系列的に変化する。このため、利用者はハザードマップ上において、危険地域や安全地域、避難場所の位置をシンボルデータにより比較的簡単に認識できることはもとより、危険地域や安全地域、避難場所の位置の時系列変化についても認識することが可能となる。
【0017】
次に、この発明に係わる防災情報提供システムは、防災情報配信装置に、想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報と、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報とのうちの少なくとも一方を、防災情報に含めて記憶しておく。そして、現実の気象条件を取得し、この取得した気象条件をもとに上記記憶された複数の防災情報の中から当該気象条件に近い防災情報を選択して、この選択された防災情報を通信ネットワークを介して携帯端末に送信する。一方携帯端末では、上記防災情報配信装置から送信された防災情報を受信して記憶媒体に記憶し、この記憶された防災情報を携帯端末の利用者に提示するようにしたものである。
【0018】
したがってこのシステムによれば、例えば災害発生時又は災害の発生が予想される状況下で、防災情報配信装置から携帯端末に対し現在の気象条件に近い防災情報が選択されて配信され、利用者に提示される。このため、従来のように一つの条件の下に作成されたハザードマップを紙により配布する場合に比べ、現在の気象状況に即した防災情報を住民等に提示することが可能となり、この結果住民等はより的確な対策を講じることが可能となる。
【0019】
また防災情報配信装置は、防災情報を配信する際に、予め記憶しておいた複数の防災情報の中から現在の気象条件に近い防災情報を選択するだけでよい。このため、現在の気象条件が取得されるごとに防災情報を作成する場合に比べ、過大な演算処理を必要とすることなく簡単かつ迅速に防災情報を配信することが可能となる。
【0020】
またこの発明に係わるシステムは、防災情報を送信する際に、送信対象の防災情報の情報サイズが携帯端末の記憶媒体が有する記憶可能又は実行可能な容量の範囲内であるか否かを判定する。そして、防災情報の情報サイズが記憶媒体の記憶可能又は実行可能な容量の範囲を超えている場合に、上記防災情報に対しその情報サイズを縮小する処理を施すことを特徴とする。
一般に、携帯電話機やPDA等の携帯端末はパーソナル・コンピュータ等に比べメモリ容量が少ない。このため、上記したように防災情報をその情報サイズを縮小したのち配信することにより、メモリ容量の少ない携帯端末においても防災情報を受信し記憶することが可能となる。
【0021】
さらにこの発明に係わるシステムは、携帯端末の記憶媒体に基図としての地図情報を予め記憶しておく。そして、災害発生時又は災害の発生が予想される状況下において、防災情報配信装置から携帯端末へ現在の気象条件に対応する災害シミュレーション情報又は過去の災害情報の少なくとも一方を選択して配信する。携帯端末では、上記配信された災害シミュレーション情報及び過去の災害情報の少なくとも一方と上記予め記憶されている基図情報とを合成してハザードマップを作成し、このハザードマップを利用者に提示することを特徴とする。
【0022】
このようにすると、災害発生時又は災害の発生が予想される状況下では、防災情報配信装置から携帯端末へ地図情報を伝送する必要がなく、災害シミュレーション情報及び過去の災害情報の少なくとも一方を伝送すればよい。このため、災害発生時又は災害の発生が予想される状況下における防災情報配信装置及び携帯端末の処理負荷を軽減することができる。しかも、防災情報の伝送情報量が削減されることにより通信ネットワーク上のトラフィックの増加を抑えることが可能となる。この結果、通信トラフィックの増加が発生しやすい災害時においても、防災情報を迅速かつ円滑に配信することができる。
【0023】
さらにこの発明に係わるシステムは、平常状態において防災情報配信装置から携帯端末へ通信ネットワークを介して基図としての地図情報を送信し、携帯端末において上記防災情報配信装置から送信された地図情報を受信して格納することも特徴とする。
このように構成すると、携帯端末ではメモリカード等の外部記憶媒体から地図情報を読み込む処理を不要にすることができ、これにより地図情報を簡単かつ迅速に携帯端末に記憶させることができる。また、地図情報の更新も簡単に行える利点がある。
【0024】
さらにこの発明に係わるシステムは、防災情報配信装置において、災害シミュレーション情報を記憶する場合に、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータを記憶する。そして、取得された気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータを選択的に読み出して、通信ネットワークを介して携帯端末へ送信する。これに対し携帯端末では、防災情報配信装置から送信されたシンボルデータを受信して第2の記憶媒体に格納する。そして、第2の記憶媒体に記憶されたシンボルデータを、上記第1の記憶媒体に記憶された地図情報に重ねて表示することにより、ハザードマップを作成することを特徴とする。
【0025】
また同様に、防災情報配信装置において、過去の複数の災害情報を記憶する場合に、複数の災害発生結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータを記憶する。そして、取得された気象条件に近い過去の災害発生結果に対応するシンボルデータを選択的に読み出して、通信ネットワークを介して携帯端末へ送信する。これに対し携帯端末では、防災情報配信装置から送信されたシンボルデータを受信して第2の記憶媒体に格納する。そして、第2の記憶媒体に記憶されたシンボルデータを、上記第1の記憶媒体に記憶された地図情報に重ねて表示することにより、ハザードマップを作成することを特徴とする。
以上のように構成すると、危険地域や安全地域、避難場所の位置がシンボルデータにより表現されるので、ハザードマップを見る機会の少ない一般住民等にとって見やすいハザードマップを提示することが可能となる。
【0026】
さらにこの発明に係わるシステムは、防災情報配信装置において、災害シミュレーション情報を記憶する場合に、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶する。そして、取得された気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータの時系列変化を選択的に読み出して、通信ネットワークを介して携帯端末へ送信する。これに対し携帯端末では、防災情報配信装置から送信されたシンボルデータを受信して第2の記憶媒体に格納する。そして、第2の記憶媒体に記憶されたシンボルデータを、上記第1の記憶媒体に記憶された地図情報に重ねて表示することにより、動的ハザードマップを作成することを特徴とする。
【0027】
また同様に、防災情報配信装置において、過去の複数の災害情報を記憶する場合に、複数の災害発生結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶する。そして、取得された気象条件に近い過去の災害発生結果に対応するシンボルデータの時系列変化を選択的に読み出して、通信ネットワークを介して携帯端末へ送信する。これに対し携帯端末では、防災情報配信装置から送信されたシンボルデータの時系列変化を受信して第2の記憶媒体に格納する。そして、第2の記憶媒体に記憶されたシンボルデータの時系列変化を、上記第1の記憶媒体に記憶された地図情報に重ねて表示することにより、動的ハザードマップを作成することを特徴とする。
【0028】
以上のように構成すると、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータがハザードマップ上で時系列的に変化する。このため、利用者はハザードマップ上において、危険地域や安全地域、避難場所の位置をシンボルデータにより比較的簡単に認識できることはもとより、危険地域や安全地域、避難場所の位置の時系列変化についても認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
要するに本発明では、想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報と、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報とのうちの少なくとも一方を、防災情報に含めて記憶媒体に予め記憶しておく。そして、現実の気象条件を取得し、この取得された気象条件をもとに上記記憶された複数の防災情報の中から当該気象条件に近い防災情報を選択し、この選択された防災情報を利用者に提示するようにしている。
【0030】
したがって本発明によれば、災害発生時又は災害の発生が予想される状況下において、過大な演算処理を必要とすることなく簡単かつ迅速に現状に即した防災情報を利用者に提供できるようにした防災情報提示装置及び防災情報提供システムとその配信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、防災情報提示装置として携帯電話機等の携帯端末を使用し、この携帯端末に、想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報を防災情報として予め記憶しておく。そして、携帯端末ユーザが現実の気象条件を入力した場合に、上記記憶された複数の防災情報の中から上記入力された気象条件に最も近い防災情報を選択し、この選択された防災情報を表示器に表示するようにしたものである。
【0032】
図1は、この発明に係わる防災情報提示装置の第1の実施形態である携帯端末の機能構成を示すブロック図である。同図において、図示しない基地局から送信された無線信号は、アンテナ11で受信されたのち無線部12によりダウンコンバート及び復調処理されて受信ベースバンド信号に変換され、信号処理部13に入力される。信号処理部13では、上記受信ベースバンド信号の復号処理が行われ、これにより再生された音声信号がスピーカから出力される。また、上記復号処理により再生されたデータが電子メールやダウンロードデータであれば、これらの受信データは制御部10の制御の下で記憶部17に格納される。記憶部17に格納された電子メール等の受信データは、制御部10の制御の下で読み出されて表示部19に表示される。
【0033】
一方、マイクロホン15に入力された音声信号は、信号処理部13において符号化処理されたのち無線部12に入力される。無線部12では、上記入力された符号化データをもとに無線信号の変調処理及びアップコンバート等が行われ、これにより生成された無線信号がアンテナ11から基地局に向け送信される。また、入力部18の操作により作成された電子メール等の送信データは、制御部10から信号処理部13へ出力される。そして、信号処理部13で符号化され、さらに無線部12において無線信号に変換されたのちアンテナ11から送信される。
【0034】
ところで、制御部10は例えばマイクロコンピュータを備えたもので、この発明に係わる新たな制御機能として、防災情報処理機能10a及び表示制御機能10bを備えている。なお、これらの機能はいずれもマイクロコンピュータにプログラムを実行させることにより実現される。また、記憶部17はEEPROMやハードディスク等の不揮発性メモリを記憶媒体として備えたもので、この記憶部17には防災情報記憶領域17aが設けてある。
【0035】
防災情報処理機能10aは、外部記憶媒体としてのメモリカードMCに格納された防災情報をメモリインタフェース(メモリI/F)16を介して読み込み、この読み込んだ防災情報を記憶部17の防災情報記憶領域17aに記憶させる機能を有する。上記防災情報は、メモリカードMCに格納された状態で必要時に制御部10が選択的に読み込むようにしてもよく、また図示しない防災情報配信サーバから通信ネットワークを介してダウンロードして記憶部17の防災情報記憶領域17a又はメモリカードMCに記憶するようにしてもよい。また、防災情報を読み込む際には、防災情報の情報サイズを記憶部17のメモリサイズと比較し、メモリサイズより防災情報の情報サイズの方が大きい場合には、防災情報の情報サイズを縮小する処理を行う。
【0036】
防災情報は、例えば図4に示すように、基図としての地図データと、複数の災害シミュレーション情報(図ではN個)と、付加情報(図示せず)とから構成され、これらの災害シミュレーション情報及び付加情報は地図データとは別々に記憶される。付加情報は、例えば地域ごとの緊急時の情報伝達方法や緊急連絡先一覧からなり、文字やイラスト、アイコン等により表される。
【0037】
各災害シミュレーション情報は、想定される複数の気象条件のもとでそれぞれ災害シミュレーションを行い、その災害シミュレーション結果をもとに危険箇所/地帯及び安全箇所/地帯の位置を特定したもので、これらの危険箇所/地帯及び安全箇所/地帯の位置は例えば図4に示すように「×」、「黒丸」、「黒三角」等のシンボル表示パターンにより表される。なお、災害シミュレーション情報には他に、避難場所の位置や、危険箇所/地帯ごとの洪水氾濫水の到達所要時間等を含めるようにしてもよい。上記危険箇所/地帯の位置情報、安全箇所/地帯の位置情報及び避難所の位置情報はそれぞれ、シンボルデータとして管理される。
【0038】
各シンボルデータは、例えば図5に示すように、位置情報を表す座標又は緯度経度に加え、属性、詳細説明、災害シミュレーション番号及び時間を含んでいる。このうち属性は、例えば図5に示すように「安全箇所」、「安全地帯」、「危険箇所」及び「危険地帯」のようにシンボルの種別を表す。詳細説明は、例えば図5に示すように「高台」、「土砂崩れ」、「浸水」及び「地区名」のようにシンボルが意味する詳細な情報を示す。災害シミュレーション番号は、上記シンボルがどの災害シミュレーション結果に対応するものであるかを管理するために使用される。時間は、シンボルデータの有効期間を管理するもので、この時間に応じてシンボルデータの有効期限を設定することが可能となる。
【0039】
なお、災害シミュレーション結果に依存しないシンボルデータ、例えば「自宅」、「一時避難場所」、「収容避難場所」及び「家族避難場所」についても同様に記憶されるが、これらのシンボルデータについては災害シミュレーション番号「0」により管理される。
【0040】
防災情報処理機能10aはさらに、気象条件の入力受付機能と、災害シミュレーション情報選択機能と、ハザードマップ作成機能とを備えている。気象条件の入力受付機能は、気象条件の入力メニューごとに複数の選択項目を表示部19に表示させる。そして、この状態で利用者が入力部18において上記選択項目を選択操作した場合に、この選択された項目を入力データとして受け付ける。災害シミュレーション情報選択機能は、記憶部17に記憶された複数の災害シミュレーション情報の中から、上記選択入力された気象条件に最も近い災害シミュレーション情報を選択する。ハザードマップ作成機能は、上記選択された災害シミュレーション情報と基図としての地図データとを合成してハザードマップを作成する。
【0041】
表示制御機能10bは、上記防災情報処理機能10aにより作成されたハザードマップを表示部19に表示する。その際、複数種のシンボルが混在表示されたハザードマップをそのまま表示部19に表示すると、ハザードマップが煩雑で見難くなる。そこで、表示対象シンボルの種類を利用者が選択指定し、この選択指定操作に応じて指定されたシンボルのみが表示されるようにハザードマップを再編集して表示する機能も備える。なお、表示部19の表示画面サイズと表示対象のハザードマップの表示サイズとを比較し、表示部19の表示画面サイズよりハザードマップの表示サイズの方が大きい場合には、ハザードマップのサイズを縮小するようにしてもよい。
【0042】
次に、以上のように構成された携帯端末における防災情報提示動作を説明する。図2はその制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
携帯端末の防災情報表示機能を動作させるには、防災情報処理機能10a及び表示制御機能10bを実現するためのアプリケーション・プログラムをインストールした上で、防災情報を記憶部17に記憶させる必要がある。これは、例えば防災情報の配信サービス機関から防災情報が格納されたメモリカードMCを取得し、このメモリカードMCをメモリI/F16に装着して防災情報を読み込むことによりなされる。防災情報は、例えば図4及び図5に示すように構成される。なお、防災情報を読み込む際には、防災情報の情報サイズを記憶部17のメモリサイズと比較し、メモリサイズより防災情報のサイズの方が大きい場合には、防災情報の情報サイズを縮小する処理を行う。
【0043】
さて、この状態で気象状況が災害の発生が心配される状況になり、防災情報が必要になったとする。この場合利用者は携帯端末において現在の気象条件を入力する。この気象条件の入力受付処理は以下のように行われる。
すなわち、気象条件の入力モードが指定されると制御部10はステップ2aからステップ2bに移行し、ここで気象条件の入力メニューの一つを選択してその複数の選択項目を表示部19に表示させる。例えば、図6(a)に示すように入力メニューとして先ず「降雨の継続状態」を選択し、その選択項目を表示させる。そして、この表示された選択項目の一つを利用者が入力部18において選択指定すると、制御部10はステップ2cにより上記指定された項目の入力を受け付ける。
【0044】
続いて、利用者がステップ2aにおいて入力メニューの次候補を選択すると、制御部10はステップ2bにより例えば図6(b)に示すように「山○河川の警戒(又は決壊)箇所」の選択項目を表示させる。そして、この状態で選択項目の一つを利用者が選択指定すると、ステップ2cにおいてこの指定された項目の入力を受け付ける。以後同様に、気象条件の入力メニューを順次表示させ、利用者が項目の一つを選択指定するごとにこの指定された項目の入力を受け付ける。
【0045】
そうして気象条件の入力受付が終了すると、次に制御部10はステップ2dからステップ2eに移行してハザードマップの作成処理を実行する。図3はその処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、先ずステップ3aにより、上記入力された気象条件の選択指定項目に最も近い災害シミュレーション情報を記憶部17から選択的に読み出す。次にステップ3bにより、上記選択された災害シミュレーション情報に対応するシンボルデータを読み出し、さらにステップ3cにより基図データを読み出す。そして、ステップ3dにおいて、上記読み出された基図データとシンボルデータとを合成する。かくして、基図上にシンボルが重ねて表示されたハザードマップが作成される。図4中の最下行の欄はこのハザードマップの一例を示すものである。
【0046】
上記ハザードマップの作成が終了すると制御部10は、続いてステップ2fに移行し、上記作成されたハザードマップを表示部19に表示させる。なお、このとき表示部19の表示画面サイズより表示対象のハザードマップの表示サイズの方が大きければ、表示対象のハザードマップのサイズを縮小するようにしてもよい。
【0047】
また、このとき利用者が表示対象シンボルの種類を入力部18により選択指定すると、制御部10はこの選択指定されたシンボルのみが表示されるようにハザードマップを再編集し、この編集し直されたハザードマップを表示部19に表示させる。図4中の第1行目乃至第3行目の欄は、再編集されたハザードマップの一例を示すものである。このようにハザードマップに表示するシンボルの種類を利用者が任意に選択できるようにすると、ハザードマップの視認性を高めることができる。この効果は、一般に表示部19の画面サイズが小さい携帯端末にあってはきわめて有効である。
【0048】
以上述べたように第1の実施形態では、携帯端末において、想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成された複数の防災情報を予め記憶部17に記憶しておく。そして、携帯端末の利用者が現在の気象条件を入力した場合に、上記記憶された複数の防災情報の中から上記入力された気象条件に最も近い防災情報を選択し、この選択された防災情報を表示部19に表示するようにしている。
【0049】
したがって、例えば災害発生時又は災害の発生が予想される状況において、常に現在の気象条件に最も近い防災情報が選択されて表示されることになる。このため、従来のように一つの条件の下に作成されたハザードマップを紙により配布する場合に比べ、現在の気象状況に即した防災情報を住民等に提示することが可能となり、この結果住民等はより的確な対策を講じることが可能となる。
【0050】
また、予め記憶しておいた複数の防災情報の中から現在の気象条件に最も近い防災情報が選択されて表示される。したがって、現在の気象条件を入力した時点で災害シミュレーション処理を行って防災情報を作成する場合に比べ、装置に過大な演算処理を行わせることなく簡単かつ迅速に防災情報を提示することが可能となる。
【0051】
さらに、基図データと複数の災害シミュレーション情報とが別々に記憶され、ハザードマップを表示する際に上記基図データと複数の災害シミュレーション情報とが選択的に合成されてハザードマップが作成される。このため、地図情報と複数の災害シミュレーション情報とのすべての組み合わせについてハザードマップをそれぞれ作成して記憶する場合に比べ、記憶部17の記憶容量を大幅に削減することができる。
【0052】
さらに、災害シミュレーション情報として危険地帯や安全地帯、避難場所等の項目ごとにシンボルデータを作成し、これを基図データに重畳してハザードマップとして表示するようにしている。このため、表示画面サイズが小さい携帯端末の表示部19においても、ハザードマップを明確に表示することができる。しかも、基図データに重畳すべきシンボル種別を利用者が選択指定できるようにしたので、煩雑にせずにさらに見やすいハザードマップを表示することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、利用者の携帯端末から通信ネットワークを介してアクセス可能な防災情報配信装置を設け、この防災情報配信装置に、想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成された複数の防災情報を記憶しておく。そして、気象・河川情報管理装置を介して観測データ提供システムGSから現在の気象条件を取得し、この取得した気象条件をもとに上記記憶された複数の防災情報の中から当該気象条件に近い防災情報を選択して、この選択された防災情報を通信ネットワークを介して携帯端末に配信し表示させるようにしたものである。
【0054】
図7は、この発明の第2の実施形態に係わる防災情報提供システムの概略構成図である。このシステムは、システムのホストとして機能する防災情報配信装置SVと、気象観測データを収集する気象・河川情報管理装置HSを設け、上記防災情報配信装置SVに対しクライアント端末としての複数の携帯端末MS1〜MSnを通信ネットワークNWを介して接続可能にしたものである。
【0055】
通信ネットワークNWは、インターネットに代表されるIP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするためのアクセス網とから構成される。アクセス網としては、セルラ移動通信網、PHS(Personal Handyphone System)、無線LAN(Local Area Network)等が用いられる。
【0056】
気象・河川情報管理装置HSは、例えば気象庁や国土交通省、自治体等の公的機関、或いは民間機関が運用管理する観測データ提供システムGSから気象・河川に関する観測データを収集するもので、以下のように構成される。図9はその構成を示す機能ブロック図である。
すなわち、気象・河川情報管理装置HSは、CPU31にバス32を介してプログラムメモリ33、気象・河川情報データベース34及び通信インタフェース(通信I/F)35を接続したものとなっている。
【0057】
通信I/F35は、CPU31の制御の下、通信ネットワークNWを介して観測データ提供システムGSとの間で通信を行い、これにより気象・河川に関する観測データを受信する。この受信された観測データは気象・河川情報データベース34に蓄積される。なお、観測データ提供システムGSとの間は、専用線等の独立した回線を介してデータ伝送を行うようにしてもよい。
【0058】
プログラムメモリ33には観測データ収集プログラム33aが格納されている。観測データ収集プログラム33aは、リアルタイム、定期的又は必要時に観測データ提供システムGSに対しアクセスして最新の気象・河川に関する観測データを収集し、この収集した観測データを気象・河川情報データベース34に格納する。また、防災情報配信装置SVから観測データの送信要求が送られた場合に、気象・河川情報データベース34から該当する観測データを読み出して防災情報配信装置SVへ送信する。
【0059】
防災情報配信装置SVは、例えばWebサーバにより構成されるもので、次のような機能を備えている。図8はその構成を示すブロック図である。
すなわち、防災情報配信装置SVはCPU21を備える。このCPU21には、バス22を介してプログラムメモリ23及びデータメモリ24が接続され、さらに通信インタフェース(通信I/F)25が接続されている。
【0060】
通信I/F25は、CPU21の制御の下で、気象・河川情報管理装置HS及びクライアント端末としての携帯端末MS1〜MSnとの間で通信ネットワークNWにより規定される通信プロトコルに従って通信を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。なお、気象・河川情報管理装置HSとの間は、バス22,32同士を接続するか或いはLAN(Local Area Network)を介して接続するようにしてもよい。
【0061】
データメモリ24は、例えばハードディスクやフラッシュメモリ、RAM等を記憶媒体として使用したもので、認証用データベース24aと、配信用データベース24bと、防災詳細情報データベース24cと、過去の災害情報データベース24dとを備えている。
【0062】
認証用データベース24aには、利用者の認証処理に必要な認証管理データが格納される。認証管理データは、利用者識別情報(利用者ID)及びパスワードと、当該利用者の携帯端末への過去のダウンロード履歴からなる。配信用データベース24bには、携帯端末MS1〜MSnがこのシステムの防災情報配信サービスを利用するために必要なアプリケーション・プログラムが格納されている。
【0063】
防災詳細情報データベース24cには、防災詳細情報が蓄積される。防災詳細情報は、前記第1の実施形態で述べた防災情報と同様、基図としての地図データと、複数の災害シミュレーション情報と、付加情報(図示せず)とから構成され、これらの災害シミュレーション情報及び付加情報は地図データとは別々に記憶される。付加情報は、例えば地域ごとの緊急時の情報伝達方法や緊急連絡先一覧からなり、文字やイラスト、アイコン等により表される。
【0064】
各災害シミュレーション情報は、前記気象・河川情報管理装置HSにより収集された観測データのうち、任意の時点で収集された観測データをもとに災害シミュレーションを行い、その災害シミュレーション結果をもとに危険箇所/地帯及び安全箇所/地帯の位置を特定したもので、これらの危険箇所/地帯及び安全箇所/地帯の位置は例えば図4に示すように「×」、「黒丸」、「黒三角」等のシンボル表示パターンにより表される。また、災害シミュレーション情報には、他に避難場所の位置や、危険箇所/地帯ごとの洪水氾濫水の到達所要時間等を含めるようにしてもよい。
【0065】
上記危険箇所/地帯の位置情報、安全箇所/地帯の位置情報及び避難所の位置情報はそれぞれシンボルデータとして管理される。各シンボルデータは、図5に示したように、位置を表す座標又は緯度経度に加え、属性、詳細説明及び災害シミュレーション番号を含んでいる。
【0066】
過去の災害情報データベース24dには、過去に実際に発生した災害に関する情報が蓄積される。この情報には、危険箇所/地帯や浸水実績のある地域の位置、地滑りや崖崩れ、土石流が実際に発生した箇所の位置とその発生時刻等が含まれる。この災害情報は新たな災害が発生するごとに手直しされる。
【0067】
プログラムメモリ23はハードディスク等の不揮発性メモリを記憶媒体として使用したもので、この発明を実施するために必要なプログラムとして、認証管理プログラム23aと、配信制御プログラム23bと、防災詳細情報選択プログラム23cと、気象・河川データ処理プログラム23dが格納されている。
【0068】
配信制御プログラム23bは、利用者の携帯端末MS1〜MSnに対しアプリケーション・プログラムや防災詳細情報を配信する処理を実行する。この処理は、初期配信モードと更新配信モードとに分けられる。初期配信モードでは、携帯端末MS1〜MSnから防災情報配信サービスの利用登録を要求された場合に、当該サービスの利用に必要なアプリケーション・プログラムと、上記防災詳細情報データベース24cに記憶された防災詳細情報が配信される。このとき配信される防災詳細情報には、基図データ、シンボルデータ及び付加情報が含まれる。更新配信モードでは、災害発生時又は災害の発生が予想される状況下において、利用登録済みの携帯端末MS1〜MSnに対し更新用の防災詳細情報が配信される。ただし、このとき配信される防災詳細情報には、更新用のシンボルデータと付加情報のみが含まれる。
【0069】
また配信制御プログラム23bは、上記防災詳細情報を配信する際に、配信対象の防災詳細情報の情報サイズを、配信先の携帯端末MS1〜MSnが記憶可能又は実行可能なサイズであるか否かを判定する。そして、配信対象の防災詳細情報の情報サイズが、配信先の携帯端末MS1〜MSnで記憶可能又は実行可能なサイズを超えている場合には、配信対象の防災詳細情報の情報サイズを縮小する機能も備える。
【0070】
認証管理プログラム23aは、上記配信制御プログラム23bによる配信処理過程において、認証用データベース24aに記憶された認証管理データをもとに携帯端末MS1〜MSnとの間で利用者の認証を行う。
防災詳細情報選択プログラム23cは、上記配信制御プログラム23bによる配信処理過程において、後述する気象・河川データ処理プログラム23dにより取得された現在の観測データをもとに、防災詳細情報データベース24cから現在の気象条件に最も近い災害シミュレーション情報を更新用の防災詳細情報として選択する。また、それと共に上記現在の観測データをもとに、過去の災害情報データベース24dから現在の気象条件に最も近い過去の災害情報を更新用の防災詳細情報として選択する。
【0071】
気象・河川データ処理プログラム23dは、気象・河川情報管理装置HSに対し定期的又は必要時に観測データの送信要求を送り、気象・河川情報管理装置HSから観測データを取得する。また、この取得された観測データをもとに、過去の災害情報データベース24dに記憶されている過去の災害情報、つまり危険箇所/地帯等のデータを当時の気象・河川の状況を軸に整理し直す。
【0072】
次に、携帯端末MS1〜MSnは次のように構成される。図10はその機能構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
すなわち制御部100は、この発明を実施するための新たな制御機能として、防災情報処理機能100aと、表示制御機能100bと、プログラム・情報受信制御機能100cとを備えている。これらの制御機能はいずれも、アプリケーション・プログラムをマイクロコンピュータに実行させることにより実現される。
【0073】
プログラム・情報受信制御機能100cは例えばブラウザにより構成され、利用者の操作に応じて防災情報配信装置SVとの間で通信を行うことにより、防災情報配信装置SVが提供する防災情報配信サービスを利用するために必要なアプリケーション・プログラム及び防災詳細情報を受信し、記憶部17に記憶する。
【0074】
防災情報処理機能100aは、入力部18において利用者がハザードマップの表示要求を入力した場合に、記憶部17から基図データと更新されたシンボルデータとを読み出し、これらを合成してハザードマップを作成する。
【0075】
表示制御機能100bは、上記防災情報処理機能100aにより作成されたハザードマップを表示部19に表示する。その際、複数種のシンボルが混在表示されたハザードマップをそのまま表示部19に表示すると、ハザードマップが煩雑で見難くなる。そこで、表示対象シンボルの種類を利用者が選択指定し、この選択指定操作に応じて指定されたシンボルのみが表示されるようにハザードマップを再編集して表示する機能も備える。なお、表示部19の表示画面サイズと表示対象のハザードマップの表示サイズとを比較し、表示部19の表示画面サイズよりハザードマップの表示サイズの方が大きい場合には、ハザードマップのサイズを縮小するようにしてもよい。
【0076】
次に、以上のように構成された防災情報提供システムの動作を説明する。図11及び図12はその制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
防災情報配信装置SVは、平常時において定期的に気象・河川データ管理装置HSに対し観測データの送信要求を送り、これにより観測データを取得する。そして、この取得された観測データをもとに災害シミュレーションを行い、その災害シミュレーション結果に基づいて危険箇所/地帯及び安全箇所/地帯の位置を特定し、これらの特定項目ごとにシンボルデータを作成して防災詳細情報データベース24cに記憶する。以後同様に、異なる観測データが取得されるごとに上記災害シミュレーションを行い、その結果をもとに特定項目のシンボルデータを作成して防災詳細情報データベース24cに記憶する。かくして、防災詳細情報データベース24cには、複数の異なる気象・河川の状況についてそれぞれ作成された災害シミュレーション情報が蓄積される。
【0077】
(1)防災情報配信サービスの利用登録時の動作
利用登録動作は、携帯端末MS1〜MSn側からの要求がきっかけとなって開始されてもよく、また防災情報配信装置SV側からの通知がきっかけとなって開始されてもよい。例えば、いま携帯端末MS1が利用登録を要求するものとする。この場合携帯端末MS1は、図11に示すようにステップ11bにより通信ネットワークNWを介して防災情報配信装置SVに対しアクセスする。この場合、携帯端末MS1は防災情報配信装置SVのURL(Uniform Resource locator)を事前に取得しており、このURLに対しアクセスする。
【0078】
一方、防災情報配信装置SVから利用登録を働きかける場合には、図11に示すようにステップ11aにて防災情報配信装置SVが「利用サービス開始のお知らせ」を電子メール等により携帯端末MS1に送信する。これに対し携帯端末MS1において利用者が利用登録要求操作を行うと、携帯端末MS1はステップ11cにより、上記「利用サービス開始のお知らせ」により通知されたURLに対しアクセスする。
かくして、防災情報配信装置SVと携帯端末SVとの間には通信リンクが確立され、以後両者間で通信が可能となる(ステップ11d)。
【0079】
通信リンクが確立されると防災情報配信装置SVは、ステップ11eにて携帯端末MS1に対し認証確認を要求する。この要求に対し、携帯端末MS1の利用者が認証番号としての利用者IDとパスワードを入力すると、この入力された利用者IDとパスワードがステップ11fにより防災情報配信装置SVへ送信される。防災情報配信装置SVは、携帯端末MS1から利用者IDとパスワードが送られると、この利用者ID及びパスワードを、認証用データベース24aに記憶されている利用者ID及びパスワードとステップ11gで照合する。この照合の結果、利用者の正当性が確認できなければ、そのまま通信リンクを開放する。
【0080】
これに対し利用者の正当性が確認されると、防災情報配信装置SVはステップ11hに移行し、ここで携帯端末MS1におけるダウンロード状況を判定する。この判定は、認証用データベース24aに記憶されている携帯端末MS1に対する過去のダウンロード履歴と、携帯端末MS1に記憶されているプログラム管理データとをもとに行われる。
【0081】
この判定の結果、携帯端末MS1にアプリケーション・プログラム及び防災詳細情報がまだダウンロードされていなければ、ステップ11iからステップ11jに移行し、ここで送信用データを作成するか又は配信用データベース24bから送信用データを読み出す。送信用データは、防災情報配信サービスを利用するために必要なアプリケーション・プログラムと、防災詳細情報データベース24cに記憶された防災詳細情報とから構成される。送信対象のアプリケーション・プログラムは、防災情報処理プログラム100aと表示制御プログラム100bである。なお、プログラム・情報受信制御機能100cは携帯端末MS1にブラウザとして既にインストールされているので、ここでダウンロードする必要はない。防災詳細情報には、基図データと、シンボルデータと、付加情報が含められる。付加情報は、地図データ以外の解説や案内情報からなる。
【0082】
なお、携帯端末MS1に上記アプリケーション・プログラム及び防災詳細情報が既にダウンロードされている場合には、後述する防災詳細情報の更新動作が実行される。ただし、携帯端末MS1からダウンロードの要求が送られた場合には、上記ステップ11jにおいて送信用データが作成される。
【0083】
上記送信用データの作成が終了すると防災情報配信装置SVは、続いてステップ11kにより、送信用データの情報サイズを配信先の携帯端末MS1で記憶可能又は実行可能なサイズであるか否かを判定する。そして、配信対象の送信用データの情報サイズが、配信先の携帯端末MS1で記憶可能又は実行可能なサイズを超えている場合には、配信対象の送信用データの情報サイズを携帯端末MS1で記憶可能又は実行可能なサイズ以下となるように縮小する。そして、この情報サイズが縮小された送信用データをステップ11mにより携帯端末MS1へ送信する。なお、上記縮小処理を行っても、配信対象の送信用データの情報サイズが携帯端末MS1で記憶可能又は実行可能なサイズ以下にならない場合には、送信用データのダウンロードを行わずに、その旨のメッセージを携帯端末MS1に送信する。
【0084】
携帯端末MS1は、防災情報配信装置SVからデータがダウンロードされると、このデータをステップ11nで受信した後、ステップ11oにより記憶部17に記憶する。このとき、アプリケーション・プログラムは記憶部17内のプログラムメモリ(図示せず)に格納されたのち、実行可能な状態にセットアップされる。一方、防災詳細情報として送られた基図データ、シンボルデータ及び付加情報は、それぞれ独立したままの状態で記憶部17内の防災詳細情報記憶領域17bに記憶される。
【0085】
そうして上記データのダウンロード受信動作を終了すると、携帯端末MS1は最後にステップ11pによりデータ受信完了通知を送信元の防災情報配信装置SVへ返送する。防災情報配信装置SVは、送信用データのダウンロード後にステップ11qにより携帯端末MS1からデータ受信完了通知を受信すると、ステップ11rに移行して認証用データベース24aにダウンロード履歴を記憶する。そして、最後にステップ11sにおいて携帯端末MS1との間の通信リンクを開放する。
【0086】
以上のようにサービスの利用登録動作では、防災詳細情報ばかりでなく、防災情報処理プログラム100a及び表示制御プログラム100bと云ったアプリケーション・プログラムもダウンロードされ、さらに防災詳細情報として基図データ、シンボルデータ及び付加データがダウンロードされる。
【0087】
(2)防災詳細情報の更新動作
防災詳細情報の更新動作は、防災情報配信装置SV側からの通知がきっかけとなって開始される。例えば、台風等の到来に伴い、携帯端末MS1の利用者が存在する地域が警戒を要する状態になったことが観測データにより確認されると、防災情報配信装置SVは図12に示すように先ずステップ12aにおいて「緊急のお知らせ等の通知」を電子メールにより携帯端末MS1に送信する。
【0088】
これに対し携帯端末MS1において、利用者が防災詳細情報の取得要求操作を行うと、携帯端末MS1はステップ12bにより、上記「緊急のお知らせ等の通知」により通知されたURLに対しアクセスする。かくして、防災情報配信装置SVと携帯端末SVとの間には通信リンクが確立され、以後両者間で通信が可能となる(ステップ12c)。
【0089】
通信リンクが確立されると防災情報配信装置SVは、ステップ12dにて携帯端末MS1に対し認証確認を要求する。この要求に対し、携帯端末MS1の利用者が認証番号としての利用者IDとパスワードを入力すると、この入力された利用者IDとパスワードがステップ12eにより防災情報配信装置SVへ送信される。防災情報配信装置SVは、携帯端末MS1から利用者IDとパスワードが送られると、この利用者ID及びパスワードを、認証用データベース24aに記憶されている利用者ID及びパスワードとステップ12fで照合する。この照合の結果、利用者の正当性が確認できなければ、そのまま通信リンクを開放する。
【0090】
これに対し利用者の正当性が確認されると、防災情報配信装置SVはステップ12gに移行し、ここで携帯端末MS1におけるダウンロード状況を判定する。この判定は、認証用データベース24aに記憶されている携帯端末MS1に対する過去のダウンロード履歴と、携帯端末MS1に記憶されているプログラム管理データとをもとに行われる。
【0091】
この判定の結果、携帯端末MS1に、サービスを利用するために必要なアプリケーション・プログラムと防災詳細情報が既にダウンロードされているか、または携帯端末MS1から特定のデータのダウンロード要求が送られた場合には、ステップ12hからステップ12iに移行し、ここで更新用の送信データを作成する。
【0092】
例えば、現時点で気象・河川データ管理装置HSから取得した観測データをもとに、現在の気象・河川の状況に最も近い災害シミュレーション情報を防災詳細情報データベース24cから選択し、この選択された災害シミュレーション情報を表すシンボルデータを上記更新用の送信データに含める。またそれと共に、上記現在の気象・河川の状況に最も近い過去の災害情報を過去の災害情報データベース24dから選択し、この選択された過去の災害情報を表すシンボルデータを上記更新用の送信データに含める。さらに、基図データを除き、解説や案内情報を含む付加情報として上記更新用の送信データに含める。
【0093】
ただし、基本的には、緊急事態を通知する電子メールに記載されるURLは防災詳細情報のデータ更新用のURLとし、このURLに対しアクセスされた場合には携帯端末MS1のダウンロード状況の判定を省略して、更新用の送信データをダウンロードする。
なお、携帯端末MS1に、アプリケーション・プログラムと、基図データを含む防災詳細情報がまだダウンロードされていない場合には、前記利用登録時の動作において述べたように、アプリケーション・プログラムと基図データを含む防災詳細情報をダウンロードするための準備が行われる。
【0094】
上記更新用の送信データの作成が終了すると防災情報配信装置SVは、続いてステップ12jにより、上記更新用の送信データの情報サイズを配信先の携帯端末MS1で記憶可能又は実行可能なサイズであるか否かを判定する。そして、配信対象の送信データの情報サイズが、配信先の携帯端末MS1で記憶可能又は実行可能なサイズを超えている場合には、配信対象の送信データの情報サイズを携帯端末MS1で記憶可能又は実行可能なサイズ以下となるように縮小する。そして、この情報サイズが縮小された更新用の送信データをステップ12kにより携帯端末MS1へ送信する。
【0095】
携帯端末MS1は、防災情報配信装置SVから更新用データがダウンロードされると、このデータをステップ12mで受信した後、この受信された更新用データをもとに記憶部17に記憶されている防災詳細情報をステップ12nにより更新する。そして上記更新用データの受信動作を終了すると、携帯端末MS1は最後にステップ12oによりデータ受信完了通知を送信元の防災情報配信装置SVへ返送する。防災情報配信装置SVは、送信用データのダウンロード後にステップ12pにより携帯端末MS1からデータ受信完了通知を受信すると、ステップ12qに移行して認証用データベース24aにダウンロード履歴を記憶する。そして、最後にステップ12rにおいて携帯端末MS1との間の通信リンクを開放する。
【0096】
以上のように防災詳細情報の更新動作では、アプリケーション・プログラム及び基図データはダウンロードされず、更新対象のシンボルデータと付加情報のみがダウンロードされる。すなわち、必要最小限の更新用データのみがダウンロードされる。したがって、緊急事態においても、通信ネットワークNWにおいて輻輳等の悪影響を極力起こさせることなく、防災詳細情報を円滑に配信することが可能となる。
【0097】
上記更新用データを受信したのち、利用者が携帯端末MS1においてハザードマップの表示要求を入力すると、携帯端末MS1は防災詳細情報記憶領域17bから基図データと上記受信された更新用シンボルデータを読み出し、これらを合成することによりハザードマップを作成する。図4中の最下行の欄にこのハザードマップの一例を示す。なお、利用者が表示対象シンボルの種類を入力部18により選択指定することで、この選択指定されたシンボルのみが表示されるようにハザードマップを再編集し、この編集し直されたハザードマップを表示部19に表示することも可能である。
【0098】
以上述べたように第2の実施形態では、防災情報配信装置SVにおいて、気象・河川データ管理装置HSから取得した複数の観測データをもとにそれぞれシミュレーションして作成した複数の災害シミュレーション情報を基図データとは別に記憶しておく。そして、災害発生時又は災害の発生が予想される場合に、現在の観測データをもとに現在の気象・河川の状況に最も近い災害シミュレーション情報を上記記憶された複数の災害シミュレーション情報から選択し、この災害シミュレーション情報を携帯端末MS1に配信するようにしている。
【0099】
したがって前記第1の実施形態と同様に、災害発生時又は災害の発生が予想される状況において、常に現在の気象条件に最も近い防災詳細情報が選択されて携帯端末に配信されることになるため、従来のように一つの条件の下に作成されたハザードマップを紙により配布する場合に比べ、現在の気象状況に即した防災詳細情報を住民等に提示することが可能となり、この結果住民等はより的確な対策を講じることが可能となる。
【0100】
また、予め記憶しておいた複数の災害シミュレーション情報の中から現在の気象条件に最も近い災害シミュレーション情報が選択されて配信されるので、現在の観測データを取得した時点で災害シミュレーション処理を行って防災詳細情報を作成する場合に比べ、装置に過大な演算処理を行わせることなく簡単かつ迅速に防災詳細情報を配信することが可能となる。
【0101】
また第2の実施形態では、防災情報配信装置SVから携帯端末MS1〜MSnに防災詳細情報を配信する際に、先ず利用登録時において、サービスを利用するために必要なアプリケーション・プログラムと、基図データ、災害シミュレーション情報を表すシンボルデータ及び付加データからなる防災詳細情報を配信する。そして、災害発生時又は災害の発生が予想される状況下において、最新の観測データをもとに選択された更新用のシンボルデータと付加データのみを配信するようにしている。したがって、災害発生時等のように通信トラフィックの増大が心配される状況下においても、通信ネットワークNWにおいて輻輳等の悪影響を極力起こさせることなく、防災詳細情報を短時間に円滑に配信することが可能となる。
【0102】
さらに、防災情報配信装置SVにおいては、基図データと複数の災害シミュレーション情報とが別々に記憶されている。このため、地図情報と複数の災害シミュレーション情報とのすべての組み合わせについてハザードマップをそれぞれ作成して記憶する場合に比べ、防災詳細情報データベース24cの記憶容量を大幅に削減することができる。
【0103】
さらに、防災詳細情報を配信する際に、現在の気象・河川の状況に最も近い災害シミュレーション情報に加え、現在の気象・河川の状況に最も近い過去の災害情報を過去の災害情報データベース24dから読み出し、この過去の災害情報を上記防災詳細情報に含めて送信するようにしている。このようにすると、携帯端末MS1〜MSnにおいて利用者は、災害シミュレーション情報に加え、過去の災害情報も参考にして、さらに適切な対策を立てることが可能となる。
【0104】
さらに、防災情報配信装置SVから携帯端末MS1〜MSnに防災詳細情報を配信する際に、配信対象の防災詳細情報の情報サイズを、配信先の携帯端末MS1〜MSnが記憶可能又は実行可能なサイズであるか否かを判定する。そして、配信対象の防災詳細情報の情報サイズが、配信先の携帯端末MS1〜MSnで記憶可能又は実行可能なサイズを超えている場合には、配信対象の防災詳細情報の情報サイズを縮小するようにしている。このため、メモリ容量の少ない携帯端末に対しても、防災詳細情報を配信し記憶させることが可能となり、また伝送データ量を減らして通信トラフィック及び通信コストを削減することができる。
【0105】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態は、防災情報提示装置として使用される携帯端末において、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報を防災情報として予め記憶しておく。そして、携帯端末ユーザが現実の気象条件を入力した場合に、上記記憶された複数の防災情報の中から上記入力された気象条件に最も近い防災情報を選択し、この選択された防災情報を表示器に表示するようにしたものである。
【0106】
なお、この第3の実施形態において、防災情報提示装置として使用される携帯端末の基本構成は前記第1の実施形態で説明した構成(図1)と同一なので、この第3の実施形態においても図1を用いて説明を行う。
記憶部17に設けられた防災情報記憶領域17aには防災情報が記憶される。防災情報の記憶処理は、制御部10の防災情報処理機能10aによって行われる。すなわち、防災情報処理機能10aは、図示しない防災情報配信サーバに対しアクセスし、当該サーバから防災情報を通信ネットワークを介してダウンロードして、記憶部17の防災情報記憶領域17aに格納する。
【0107】
また、防災情報がメモリカードMCに格納されている場合には、防災情報処理機能10aは当該メモリカードMCに記憶された防災情報をメモリインタフェース(メモリI/F)16を介して読み込み、この読み込んだ防災情報を記憶部17の防災情報記憶領域17aに格納する。なお、防災情報はメモリカードMCに格納された状態で、必要時に防災情報処理機能10aが選択的に読み込むようにしてもよい。また、防災情報処理機能10aは、防災情報を読み込む際に防災情報の情報サイズを記憶部17のメモリサイズと比較し、メモリサイズより防災情報の情報サイズの方が大きい場合には、防災情報の情報サイズを縮小する処理を行う。
【0108】
ところで上記防災情報は、基図としての地図データ(基図データ)と、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害被災情報(以後災害履歴情報と称する)と、付加情報とから構成される。このうち災害履歴情報及び付加情報は、地図データとは別々に記憶部17の防災情報記憶領域17aに記憶される。付加情報は、例えば地域ごとの緊急時の情報伝達方法や緊急連絡先一覧からなり、文字やイラスト、アイコン等により表される。
【0109】
災害履歴情報は、過去の一定期間に発生した災害により被災した状況から危険箇所/地帯及び安全箇所/地帯の位置を特定したものである。なお、災害履歴情報には、他に避難場所の位置や、危険箇所/地帯ごとの洪水氾濫水の到達所要時間等を含めることが可能である。
【0110】
上記危険箇所/地帯の位置情報、安全箇所/地帯の位置情報及び避難所の位置情報はそれぞれ、シンボルデータとして管理される。各シンボルデータは、例えば図13に示すように過去の災害番号Snに対応付けて、シンボル番号と、属性と、詳細説明と、相対時間と、位置情報とを記憶したものである。
【0111】
このうち属性は、例えば図13に示すように「安全箇所」、「安全地帯」、「危険箇所」及び「危険地帯」のようにシンボルの種別を表す。シンボルの表示パターンとしては、例えば図4に示したように「×」、「黒丸」、「黒三角」等が用いられる。詳細説明は、例えば図13に示すように「高台」、「土砂崩れ」、「浸水」及び「道路名」のようにシンボルが意味する詳細な情報を表す。位置情報は災害発生場所の位置又はエリアを示すもので、位置は1つの座標値(x,y)により、またエリアはその範囲を指定するために複数の座標値(x,y),(x,y)…(x,y)によりそれぞれ表される。なお、位置情報は座標値以外に緯度経度を用いて表してもよい。
【0112】
相対時間は、シンボルデータの有効期間を管理するもので、この時間によりシンボルデータの有効期限を設定することが可能となる。第3の実施形態では、各シンボルデータの時間変化を想定していないので、相対時間を一定値「c」としている。
なお、災害発生結果に依存しないシンボルデータ、例えば「自宅」、「一時避難場所」、「収容避難所」及び「家族避難場所」に対応するシンボルデータは、利用者(ユーザ)ごとに付されたユーザ番号に対応付けて管理される。図14はその一例を示すものである。すなわち、災害発生結果に依存しないシンボルデータは、ユーザ番号U1に対応付けて、シンボル番号と、属性と、詳細説明と、相対時間と、位置情報とを記憶したものからなる。ただし、ユーザに依存しない情報、特に地域に関連付けられている避難場所については、地域ごとに番号を付して別途管理することが可能である。
【0113】
防災情報処理機能10aはさらに、気象条件の入力受付機能と、災害履歴情報選択機能と、ハザードマップ作成機能とを備えている。気象条件の入力受付機能は、気象条件の入力メニューごとに複数の選択項目を表示部19に表示させる。そして、この状態で利用者が入力部18において上記選択項目を選択操作した場合に、この選択された項目を入力データとして受け付ける。災害履歴情報選択機能は、記憶部17に記憶された複数の災害履歴情報の中から、上記選択入力された気象条件に最も近い災害離履歴情報を選択する。ハザードマップ作成機能は、上記選択された災害履歴情報を表すシンボルデータと、基図としての地図データとを合成してハザードマップを作成する。
【0114】
表示制御機能10bは、上記防災情報処理機能10aにより作成されたハザードマップを表示部19に表示する。その際、複数種のシンボルが混在表示されたハザードマップをそのまま表示部19に表示すると、ハザードマップが煩雑で見難くなる。そこで、表示対象シンボルの種類を利用者が選択指定し、この選択指定操作に応じて指定されたシンボルのみが表示されるようにハザードマップを再編集して表示する機能も備える。なお、表示部19の表示画面サイズと表示対象のハザードマップの表示サイズとを比較し、表示部19の表示画面サイズよりハザードマップの表示サイズの方が大きい場合には、ハザードマップのサイズを縮小するようにしてもよい。
【0115】
このような構成であるから、ユーザによる気象条件の入力が終了すると、制御部10は次のようにハザードマップの作成処理を実行する。
すなわち、先ず上記入力された気象条件の選択指定項目に最も近い災害履歴情報を記憶部17から選択的に読み出す。次に、上記選択された災害履歴情報に対応するシンボルデータを読み出し、さらに基図データを読み出す。そして、上記読み出されたシンボルデータの内容に応じて、シンボル表示パターンを基図データと合成する。かくして、基図上に危険箇所や避難場所等の位置を表すシンボルが重ねて表示されたハザードマップが作成される。
【0116】
上記ハザードマップの作成が終了すると制御部10は、上記作成されたハザードマップを表示部19に表示させる。なお、このとき表示部19の表示画面サイズより表示対象のハザードマップの表示サイズの方が大きければ、表示対象のハザードマップのサイズを縮小するようにしてもよい。
【0117】
また、このとき利用者が表示対象シンボルの種類を入力部18により選択指定すると、制御部10はこの選択指定されたシンボルのみが表示されるようにハザードマップを再編集し、この編集し直されたハザードマップを表示部19に表示させる。このようにハザードマップに表示するシンボルの種類を利用者が任意に選択できるようにすると、ハザードマップの視認性を高めることができる。この効果は、一般に表示部19の画面サイズが小さい携帯端末にあってはきわめて有効である。
【0118】
以上述べたように第3の実施形態では、携帯端末において、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報を防災情報として予め記憶しておく。そして、携帯端末ユーザが現実の気象条件を入力した場合に、上記記憶された複数の防災情報の中から上記入力された気象条件に最も近い防災情報を選択し、この選択された防災情報を表示器19に表示するようにしている。
【0119】
したがって、この実施形態においても前記第1の実施形態と同様に、例えば災害発生時又は災害の発生が予想される状況において、常に現在の気象条件に最も近い防災情報が選択されて表示されることになる。このため、従来のように一つの条件の下に作成されたハザードマップを紙により配布する場合に比べ、現在の気象状況に即した防災情報を住民等に提示することが可能となり、この結果住民等はより的確な対策を講じることが可能となる。
【0120】
また、予め記憶しておいた複数の防災情報の中から現在の気象条件に最も近い防災情報が選択されて表示される。このため、現在の気象条件を入力した時点で災害シミュレーション処理を行って防災情報を作成する場合に比べ、装置に過大な演算処理を行わせることなく簡単かつ迅速に防災情報を提示することが可能となる。
【0121】
さらに、基図データと複数の災害履歴情報とが別々に記憶され、ハザードマップを表示する際に上記基図データと複数の災害履歴情報とが選択的に合成されてハザードマップが作成される。このため、地図情報と複数の災害履歴情報とのすべての組み合わせについてハザードマップをそれぞれ作成して記憶する場合に比べ、記憶部17の記憶容量を大幅に削減することができる。
【0122】
さらに、災害履歴情報として危険地帯や安全地帯、避難場所等の項目ごとにシンボルデータを作成し、このシンボルデータの内容に応じてシンボル表示パターンを基図データに重畳し、これをハザードマップとして表示器19に表示するようにしている。このため、表示画面サイズが小さい携帯端末の表示部19においても、ハザードマップを明確に表示することができる。しかも、基図データに重畳すべきシンボル種別を利用者が選択指定できるようにしたので、煩雑にせずにさらに見やすいハザードマップを表示することができる。
【0123】
(第4の実施形態)
この発明の第4の実施形態は、防災情報提示装置として使用される携帯端末において、想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報を記憶する際に、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して危険地域、安全地域及び避難場所を表すシンボルデータの時系列変化を記憶する。そして、入力された現在の気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータをその時系列変化に応じて順に読み出し、この読み出されたシンボルデータの内容に従いシンボル表示パターン等を基図データに重ねることにより動的ハザードマップを作成して表示するようにしたものである。
【0124】
なお、この第4の実施形態において、防災情報提示装置として使用される携帯端末の基本構成は、前記第1の実施形態で説明した構成(図1)と同一なので、この第4の実施形態においても図1を用いて説明を行う。
この第4の実施形態においても、防災情報は記憶部17に設けられた防災情報記憶領域17aに記憶される。防災情報は、基図としての地図データ(基図データ)と、複数の災害シミュレーション情報と、付加情報とから構成される。このうち災害シミュレーション情報及び付加情報は、基図データとは別々に記憶部17の防災情報記憶領域17aに記憶される。付加情報は、例えば地域ごとの緊急時の情報伝達方法や緊急連絡先一覧からなり、文字やイラスト、アイコン等により表される。
【0125】
各災害シミュレーション情報は、想定される複数の気象条件のもとでそれぞれ災害シミュレーションを行い、その災害シミュレーション結果をもとに危険箇所/地帯及び安全箇所/地帯の位置の時系列変化を特定したものである。なお、災害シミュレーション情報には他に、避難場所の位置や、危険箇所/地帯ごとの洪水氾濫水の到達所要時間等を含めるようにしてもよい。
【0126】
ところで、上記危険箇所/地帯の位置情報、安全箇所/地帯の位置情報及び避難所の位置情報はそれぞれ、シンボルデータとして管理される。各シンボルデータは、例えば図15に示すように災害シミュレーション番号Smに対応付けて、シンボル番号と、属性と、詳細説明と、相対時間と、位置情報とを記憶したものである。
【0127】
属性は、例えば図15に示すように「安全箇所」、「安全地帯」、「危険箇所」及び「危険地帯」等であり、これらは種類の異なるユニークなシンボルで表わされる。例えば、危険箇所及び安全箇所の位置は、「黒丸」や「黒四角」等のシンボル表示パターンにより表される。また、安全地帯や危険地帯等のエリアの位置は、黒又は白のランダムな形状パターンにより表される。詳細説明は、例えば図15に示すように「高台」、「土砂崩れ」及び「浸水」のようにシンボルが意味する詳細な情報を表す。位置情報は、災害の発生が予測される場所の位置又はエリアを示すもので、位置は1つの座標値(x,y)により、またエリアはその範囲を指定するために複数の座標値(x,y),(x,y)…(x,y)によりそれぞれ表される。なお、位置情報は座標値以外に緯度経度を用いて表してもよい。
【0128】
相対時間は、危険箇所/地帯の位置や安全箇所/地帯の位置が時間推移により変化する場合に、そのシンボル及びランダム形状の相対的な表示タイミングを規定する。例えば、図15に示すようにシンボル番号“6”が与えられた安全地帯の位置が時間推移により変化する場合には、この位置の時間変化に対し一定の時間間隔で時刻t0,t1,t2,…,tmが与えられる。なお、相対時間は上記のように一定間隔に設定する以外に、位置が予め設定した値以上変化するごとにそのときの時刻を設定してもよい。
【0129】
なお、災害発生結果に依存しないシンボルデータ、例えば「自宅」、「一時避難場所」、「収容避難所」及び「家族避難場所」を表すシンボルデータは、この第4の実施形態においても図14に例示したように利用者(ユーザ)ごとに付されたユーザ番号に対応付けて管理される。
【0130】
防災情報処理機能10aはさらに、気象条件の入力受付機能と、災害シミュレーション情報選択機能と、ハザードマップ作成機能とを備えている。気象条件の入力受付機能は、気象条件の入力メニューごとに複数の選択項目を表示部19に表示させる。そして、この状態で利用者が入力部18において上記選択項目を選択操作した場合に、この選択された項目を入力データとして受け付ける。
【0131】
災害シミュレーション情報選択機能は、記憶部17に記憶された複数の災害シミュレーション情報の中から、上記選択入力された気象条件に最も近い災害シミュレーション情報を選択する。このとき、災害シミュレーション情報が、時間変化する複数のシンボルデータを有している場合には、これら複数のシンボルデータをすべて読み出す。ハザードマップ作成機能は、上記選択された災害シミュレーション情報のシンボルデータをその相対時間に基づいて地図データと合成し、これにより動的ハザードマップを作成する。
【0132】
表示制御機能10bは、上記防災情報処理機能10aにより作成された動的ハザードマップを表示部19に表示する。その際、複数種のシンボルが混在表示されたハザードマップをそのまま表示部19に表示すると、ハザードマップが煩雑で見難くなる。そこで、表示対象シンボルの種類を利用者が選択指定し、この選択指定操作に応じて指定されたシンボルのみが表示されるようにハザードマップを再編集して表示する機能も備える。なお、表示部19の表示画面サイズと表示対象のハザードマップの表示サイズとを比較し、表示部19の表示画面サイズよりハザードマップの表示サイズの方が大きい場合には、ハザードマップのサイズを縮小するようにしてもよい。
【0133】
このような構成であるから、ユーザによる気象条件の入力が終了すると、制御部10は次のようにハザードマップの作成処理を実行する。
すなわち、先ず上記入力された気象条件の選択指定項目に最も近い災害シミュレーション情報を記憶部17から選択的に読み出す。次に、上記選択された災害シミュレーション情報に対応するシンボルデータを記憶部17から読み出し、さらに基図データを読み出す。そして、上記読み出されたシンボルデータの内容に従い、シンボル表示パターン又はランダム形状パターンを基図データと合成する。また、このとき上記災害シミュレーション情報に時間変化がある場合には、この時間変化を表す複数のシンボルデータをそれぞれ基図データと合成する。かくして、時間変化に対応するハザードマップが作成される。そして制御部10は、上記作成されたハザードマップをそれぞれその相対時間により指定されたタイミングで順次表示部19に表示させる。
【0134】
例えば、図16に示すように3種類の災害シミュレーション結果S0,S1,S2のそれぞれについて、安全箇所/地帯、危険箇所/地帯及び避難所を表すシンボルデータが記憶部17に記憶されていたとする。この状態である気象条件が入力されたとすると、この入力された条件に最も近い条件でシミュレーションされた結果が選択される。例えば、災害シミュレーション結果S0が選択されたとする。このとき、災害シミュレーション結果S0に属する安全箇所/地帯、危険箇所/地帯及び避難所を表すシンボルデータは、別々に記憶部17に記憶されている。このため、ハザードマップを作成し表示するためには、上記記憶部17からシンボルデータを選択的に読み出して地図データと合成する。その処理手順を以下に示す。
【0135】
すなわち、選択された災害シミュレーション結果S0に属する安全箇所/地帯、危険箇所/地帯及び避難所を表すシンボルデータのうち、相対時間t0に対応するものS0a(t0),S0b(t0),S0c(t0)が記憶部17から選択的に読み出され、この読み出された各シンボルデータS0a(t0),S0b(t0),S0c(t0)が基図データPに重畳合成される。この合成処理により作成された災害シミュレーション結果S0に対応する、時間t0のときのハザードマップQ0(t0)が表示部19に表示される。
【0136】
次に、上記選択された災害シミュレーション結果S0に属する安全箇所/地帯、危険箇所/地帯及び避難所を表すシンボルデータのうち、相対時間t1に対応するもの(図16においてS0a(t0),S0b(t0),S0c(t0)の右隣に位置する各シンボルデータ)が記憶部17から選択的に読み出され、この読み出された各シンボルデータが基図データPに重畳され合成される。この合成処理により作成された災害シミュレーション結果S0に対応する、時間t1のときのハザードマップQ0(t1)が表示部19に表示される。以後同様に、災害シミュレーション結果S0の相対時間t2,t3,…におけるハザードマップが順次作成されて表示部19に表示される。
【0137】
また、別の気象条件が入力され、その条件に最も近い条件でシミュレーションされた結果がS1だとすると、この災害シミュレーション結果S1が選択される。この場合も、選択された災害シミュレーション結果S1に属する安全箇所/地帯、危険箇所/地帯及び避難所を表すシンボルデータのうち、相対時間t0に対応するもの(図16においてS0a(t0),S0b(t0),S0c(t0)の上隣に位置する各シンボルデータ)が記憶部17から選択的に読み出される。そして、この読み出された各シンボルデータが基図データPに重畳合成され、この合成により作成されたマップデータが災害シミュレーション結果S1に対応する、相対時間t0におけるハザードマップとしてQ1(t0)として表示部19に表示される。以後同様に、災害シミュレーション結果S1の相対時間t1,t2,t3,…におけるハザードマップが順次作成されて表示部19に表示される。災害シミュレーション結果S2に対応するハザードマップについても同様である。
【0138】
したがって、例えば洪水ハザードマップについては、入力されたある気象条件下における河川の浸水範囲及び安全地帯が相対時間t0,t1,t2,t3,…に応じて変化する様子がアニメーションのように表示される。なお、図16において、災害シミュレーション結果S0,S1,S2についてはそれぞれ気象条件のみが異なる災害シミュレーション結果としたが、災害の種類の違いを反映したものとしてもよい。この場合には、災害シミュレーション結果を選択するときの入力項目として、気象条件と共に災害種別を入力することにより実現できる。
【0139】
なお、表示部19の表示画面サイズより表示対象のハザードマップの表示サイズの方が大きければ、表示対象のハザードマップのサイズを縮小するようにしてもよい。また、ユーザが表示対象シンボルの種類を入力部18により選択指定すると、制御部10はこの選択指定されたシンボルのみが表示されるようにハザードマップを再編集し、この編集し直されたハザードマップを表示部19に表示させる。このようにハザードマップに表示するシンボルの種類を利用者が任意に選択できるようにすると、ハザードマップの視認性を高めることができる。この効果は、一般に表示部19の画面サイズが小さい携帯端末にあってはきわめて有効である。さらに、災害シミュレーシヨンの予測日時やシンボルデータ群の作成日時を管理し、これをもとにそのデータの有効期限の設定や、携帯端末における情報更新を行うことも可能である。
【0140】
以上述べたように第4の実施形態では、携帯端末において、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して危険地域、安全地域及び避難場所の位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶する。そして、入力された現在の気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータの時系列変化を選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータの時系列変化を地図情報に重ねて表示することにより動的ハザードマップを作成して表示器19に表示するようにしている。
【0141】
したがって、危険箇所や避難場所の位置を表すシンボルパターン及び危険地帯や安全地帯のエリアを表すランダム形状パターンがハザードマップ上で時間推移に従い変化する。このため、携帯端末ユーザはハザードマップ上において、危険地域や安全地域のエリア及び避難場所等の位置を形状パターン及びシンボルデータにより比較的簡単に認識できることはもとより、危険地帯や安全地帯、避難場所の位置の時間推移による変化についても明確に認識することが可能となる。したがって、ユーザはより有益な災害情報を取得することができ、これにより避難の要否や避難ルートの選定等に役立てることができる。
【0142】
(その他の実施形態)
前記第1の実施形態では、現在の気象条件を利用者自ら選択入力するようにした。しかしそれに限らず、例えば気象情報の配信サイトにアクセスし、このサイトから現在の気象条件を取得するようにしてもよい。また、その際携帯端末の現在位置を基地局又はGPS(Global Positioning System)受信機により取得してサイトに送信すれば、携帯端末の現在位置におけるピンポイントの気象条件を取得することが可能となる。
【0143】
前記第2の実施形態では、利用登録時に、地図データと、災害シミュレーション結果のデータであるシンボルデータと、付加データを防災詳細情報に含めてダウンロードして携帯端末に記憶させ、災害発生時等に更新用のシンボルデータをダウンロードして、上記記憶されたシンボルデータを更新するようにした。しかしそれに限らず、サービスの利用登録時に地図データのみをダウンロードして携帯端末MS1〜MSnに記憶させ、災害発生時等にシンボルデータ及び付加データをダウンロードするようにしてもよい。
【0144】
さらに、前記第2の実施形態では更新用のシンボルデータそれ自体を配信するようにした。しかし、シンボルデータの識別情報(例えばシンボル番号)を配信し、携帯端末MS1〜MSnにおいて上記受信されたシンボル番号に対応するシンボルデータを選択的に読み出し、このシンボルデータと基図データとをもとにハザードマップを作成するようにしてもよい。このようにすると、配信データの伝送量をさらに少なくすることができる。
【0145】
さらに、前記第2の実施形態では、防災詳細情報として、現在の気象・河川の状況に最も近い災害シミュレーション情報と、現在の気象・河川の状況に最も近い過去の災害情報を含めて送信するようにした。しかし、必ずしも災害シミュレーション情報と過去の災害情報の両方を送信する必要はなく、いずれか一方を送信するようにしてもよい。
【0146】
例えば、災害シミュレーション情報と過去の災害情報のうち、現在の気象・河川の状況に近い方を選択して送信するようにしてもよく、また現在の気象・河川の状況に一定範囲内で類似する災害シミュレーション情報が見つからない場合に、過去の災害情報の中から現在の気象・河川の状況に最も近い災害情報を選択して送信するようにしてもよい。さらに、選択された災害シミュレーション情報を選択された過去の災害情報をもとに補正し、この補正された災害シミュレーション情報を送信するようにしてもよい。また、利用者の属性情報に基づいて、例えば利用者が防災リーダ等の専門家の場合には災害シミュレーション情報と過去の災害情報の両方を送信し、これに対し一般利用者の場合には災害シミュレーション情報のみを送信するようにしてもよい。
【0147】
さらに、ハザードマップを作成する際に、地図上に自己の携帯端末の位置を表示し、さらにこの自端末の位置から安全箇所/地帯或いは避難場所までの避難ルートを表示するようにしてもよい。自端末の位置は、先に述べたように基地局又はGPS(Global Positioning System)受信機により取得することができる。
【0148】
また、前記第2の実施形態では、地図データを防災情報配信装置SVから携帯端末にダウンロードして記憶させるようにした。しかし、地図データをメモリカード等の外部記憶媒体に記憶しておき、この外部記憶媒体から携帯端末に読み込んで記憶部に記憶するようにしたり、或いは外部記憶媒体に記憶させたまま必要時に読み込むようにしてもよい。さらにアプリケーション・プログラムについても、外部記憶媒体に記憶しておいて、この外部記憶媒体から携帯端末に読み込んで記憶部に記憶するようにしてもよい。
【0149】
前記第1の実施形態では、防災情報提示装置として携帯端末を用いた場合を例にとって説明したが、据え置き型のパーソナル・コンピュータやテレビジョン受像機を適用することも可能である。また、防災情報の提示手段としては、表示部19にハザードマップを表示するもの以外に印刷するようにしてもよく、さらには目の不自由な利用者向けに危険箇所/地域及び安全箇所/地域の位置等を音声合成機能を使用して合成音声により提示するようにしてもよい。
【0150】
また、第2の実施形態では、災害シミュレーション情報を用いてハザードマップを作成する場合を例にとって説明した。しかしそれに限らず、第3の実施形態で述べたように、災害シミュレーション情報に代えて、過去に発生した災害の状況を表す災害履歴情報を用いてハザードマップを作成するようにしてもよい。これは、第3の実施形態で述べた災害履歴情報を表すシンボルデータの構成を使用することにより実施可能である。
【0151】
さらに、第1乃至第4の実施形態では、災害シミュレーション情報又は災害履歴情報のいずれか一方を用いてハザードマップを作成する場合を例にとって説明した。しかしそれに限らず、災害シミュレーション情報及び災害履歴情報の両方を予め記憶しておき、これらの情報の中から適当な情報を選択してハザードマップを作成するか、又は災害シミュレーション情報及び災害履歴情報の両方を選択してハザードマップを作成するようにしてもよい。
【0152】
さらに、前記第4の実施形態では、複数の災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータの時系列変化を表す情報を携帯端末内の記憶部17に記憶しておき、携帯端末が当該シンボルデータの時系列変化を表す情報を用いて動的ハザードマップを作成するようにした。しかしそれに限らず、複数の災害シミュレーション結果の各々に対応するシンボルデータの時系列変化を表す情報を第2の実施形態に述べた防災情報配信装置SVに記憶しておく。そして、防災情報配信装置SVがシンボルデータの時系列変化を表す情報を携帯端末MS1〜MSnに配信し、携帯端末MS1〜MSnで動的ハザードマップを作成するようにしてもよい。これは、防災情報配信装置SVに、図15に示したシンボルデータの時系列変化を表す情報を記憶しておくことにより実現可能である。
【0153】
またその際、災害シミュレーション情報の代わりに、第3の実施形態で述べた過去に発生した災害の状況を表す災害履歴情報の時系列変化を表す情報を防災情報配信装置SVに記憶しておき、この災害履歴情報の時系列変化を表す情報を防災情報配信装置SVから携帯端末MS1〜MSnに配信して、携帯端末MS1〜MSnで動的ハザードマップを作成するようにしてもよい。
【0154】
またシンボルデータは、シンボルの種類や形状、サイズを異ならせるだけでなく、色や模様を異ならせることにより相互に識別可能としてもよい。さらには、ハザードマップとして表示された時にシンボルが光学的に点灯又は点滅するように構成してもよい。
その他、防災情報提示装置の種類やその構成、防災情報配信装置の構成と配信制御手順及び制御内容、防災情報及び防災詳細情報の構成などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0155】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わる携帯端末の機能構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した携帯端末によるハザードマップ作成表示制御の手順と内容を示すフローチャート。
【図3】図2に示したハザードマップ作成表示制御中のハザードマップ作成処理の内容を示すフローチャート。
【図4】記憶された防災情報の構成と、この防災情報をもとに作成されたハザードマップの一例を示す図。
【図5】ハザードマップを作成する際に使用するシンボルデータの構成を示す図。
【図6】実際の災害状況を入力する際に使用する選択画面の一例を示す図。
【図7】この発明の第2の実施形態に係わる防災情報配信システムの概略構成図。
【図8】図7に示したシステムで使用される防災情報配信装置の機能構成を示すブロック図。
【図9】図7に示したシステムで使用される気象・河川データ管理装置の機能構成を示すブロック図。
【図10】図7に示したシステムで使用される携帯端末の機能構成を示すブロック図。
【図11】図7に示したシステムの防災情報配信装置及び携帯端末における防災情報の事前配信制御手順とその制御内容を示すフローチャート。
【図12】図7に示したシステムの防災情報配信装置及び携帯端末における防災情報の更新制御手順とその制御内容を示すフローチャート。
【図13】この発明の第3の実施形態に係わる携帯端末に記憶されるシンボルデータの構成を示す図。
【図14】この発明の第3の実施形態に係わる携帯端末に記憶されるユーザの属性データの構成を示す図。
【図15】この発明の第4の実施形態に係わる携帯端末に記憶されるシンボルデータの構成を示す図。
【図16】この発明の第4の実施形態に係わる携帯端末で使用される防災情報の構成とこの防災情報をもとに作成されたハザードマップの一例を示す図。
【符号の説明】
【0157】
10,100…制御部、10a,100a…防災情報処理機能、10b,100b…表示制御機能、100c…プログラム・情報受信制御機能、11…携帯端末のアンテナ、12…携帯端末の無線部、13…携帯端末の信号処理部、14…スピーカ、15…マイクロホン、16…メモリインタフェース、17…記憶部、17a…防災情報、17b…防災詳細情報、18…入力部、19…表示部、MC…メモリカード、SV…防災情報配信装置、HS…気象・河川情報管理装置、GS…観測データ提供システム、MS1〜MSn…携帯端末、NW…通信ネットワーク、21…防災情報配信装置のCPU、22…防災情報配信装置のバス、23…防災情報配信装置のプログラムメモリ、23a…認証管理プログラム、23b…配信制御プログラム、23c…防災詳細情報選択プログラム、23d…気象・河川データ処理プログラム、24…防災情報配信装置のデータメモリ、24a…認証用データベース、24b…配信用データベース、24c…防災詳細情報データベース、24d…過去の災害情報データベース、25…防災情報配信装置の通信インタフェース、31…気象・河川データ管理装置のCPU、32…気象・河川データ管理装置のバス、33…気象・河川データ管理装置のプログラムメモリ、33a…観測データ収集プログラム、34…気象・河川情報データベース、35…気象・河川データ管理装置の通信インタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報と、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報とのうちの少なくとも一方を、防災情報に含めて記憶する手段と、
現実の気象条件の入力を受け付ける手段と、
前記受け付けた気象条件をもとに、前記記憶された複数の防災情報の中から当該気象条件に近い防災情報を選択する手段と、
前記選択された防災情報を利用者に提示する手段と
を具備することを特徴とする防災情報提示装置。
【請求項2】
前記防災情報を記憶する手段は、基図としての地図情報と、前記複数の災害シミュレーション情報及び過去の複数の災害情報のうちの少なくとも一方とを個別に記憶し、
前記防災情報を選択する手段は、
前記受け付けた気象条件をもとに、前記記憶された複数の災害シミュレーション情報及び過去の複数の災害情報の中から当該気象条件に近い情報を選択する手段と、
前記選択された情報と前記記憶された地図情報とを合成することによりハザードマップを作成する手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の防災情報提示装置。
【請求項3】
前記防災情報を記憶する手段は、災害シミュレーション情報として、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータを記憶し、
前記防災情報を選択する手段は、前記気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータを選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータを前記記憶された地図情報に重ねて表示することによりハザードマップを作成することを特徴とする請求項2記載の防災情報提示装置。
【請求項4】
前記防災情報を記憶する手段は、災害シミュレーション情報として、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶し、
前記防災情報を選択する手段は、前記気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータの時系列変化を選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータの時系列変化を前記記憶された地図情報に重ねて表示することにより動的ハザードマップを作成することを特徴とする請求項2記載の防災情報提示装置。
【請求項5】
前記防災情報を記憶する手段は、過去の複数の災害情報として、過去の複数の災害発生結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータを記憶し、
前記防災情報を選択する手段は、前記気象条件に近い過去の災害発生結果に対応するシンボルデータを選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータを前記記憶された地図情報に重ねて表示することによりハザードマップを作成することを特徴とする請求項2記載の防災情報提示装置。
【請求項6】
前記防災情報を記憶する手段は、過去の複数の災害情報として、過去の複数の災害発生結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶し、
前記防災情報を選択する手段は、前記気象条件に近い過去の災害結果に対応するシンボルデータの時系列変化を選択的に読み出し、この読み出されたシンボルデータの時系列変化を前記記憶された地図情報に重ねて表示することにより動的ハザードマップを作成することを特徴とする請求項2記載の防災情報提示装置。
【請求項7】
防災情報配信装置と、この防災情報配信装置に対し通信ネットワークを介して接続可能な携帯端末とを具備する防災情報提供システムであって、
前記防災情報配信装置は、
想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報と、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報とのうちの少なくとも一方を、防災情報に含めて記憶する手段と、
現実の気象条件を取得する手段と、
前記取得した気象条件をもとに、前記記憶された複数の防災情報の中から当該気象条件に近い防災情報を選択する手段と、
前記選択された防災情報を、前記通信ネットワークを介して前記携帯端末に送信する送信手段と
を備え、
前記携帯端末は、
前記防災情報配信装置から送信された防災情報を受信して記憶媒体に記憶する手段と、
前記記憶媒体に記憶された防災情報を前記携帯端末の利用者に提示する手段と
を備えることを特徴とする防災情報提供システム。
【請求項8】
前記送信手段は、
前記選択された防災情報の情報サイズが、前記携帯端末の記憶媒体が有する記憶可能又は実行可能な容量の範囲内であるか否かを判定する手段と、
前記選択された防災情報の情報サイズが、前記記憶媒体が有する記憶可能又は実行可能な容量の範囲を超えていると判定された場合に、前記選択された防災情報に対しその情報サイズを縮小する処理を施す手段と、
前記情報サイズが縮小された防災情報を、前記通信ネットワークを介して前記携帯端末に送信する手段と
を備えることを特徴とする請求項7記載の防災情報提供システム。
【請求項9】
防災情報配信装置と、この防災情報配信装置に対し通信ネットワークを介して接続可能な携帯端末とを具備する防災情報提供システムであって、
前記防災情報配信装置は、
想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報と、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報とのうちの少なくとも一方を記憶する記憶手段と、
現実の気象条件を取得する手段と、
前記取得された気象条件をもとに、前記記憶された複数の災害シミュレーション情報及び過去の複数の災害情報の中から、当該気象条件に近い災害シミュレーション情報及び過去の災害情報のうちの少なくとも一方を選択する選択手段と、
前記選択された災害シミュレーション情報及び過去の災害情報のうちの少なくとも一方を、前記通信ネットワークを介して前記携帯端末に送信する送信手段と
を備え、
前記携帯端末は、
基図としての地図情報を記憶した第1の記憶媒体と、
前記防災情報配信装置から送信された災害シミュレーション情報及び過去の災害情報の少なくとも一方を受信して第2の記憶媒体に格納する格納手段と、
前記第1の記憶媒体に記憶された地図情報と、前記第2の記憶媒体に記憶された情報とを合成してハザードマップを作成する手段と、
前記作成されたハザードマップを前記携帯端末の利用者に提示する手段と
を備えることを特徴とする防災情報提供システム。
【請求項10】
前記防災情報配信装置は、
前記選択された災害シミュレーション情報及び過去の災害情報の少なくとも一方の送信に先立ち、前記基図としての地図情報を携帯端末へ送信する手段を、さらに備え、
前記携帯端末は、
前記防災情報配信装置から送信された地図情報を受信して前記第1の記憶媒体に格納する手段を、さらに備えることを特徴とする請求項9記載の防災情報提供システム。
【請求項11】
前記記憶手段は、災害シミュレーション情報を記憶する場合に、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータを記憶し、
前記選択手段は、前記取得された気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータを選択的に読み出し、
前記送信手段は、前記読み出されたシンボルデータを通信ネットワークを介して前記携帯端末へ送信し、
前記格納手段は、前記防災情報配信装置から送信されたシンボルデータを受信して第2の記憶媒体に格納し、
前記ハザードマップを作成する手段は、前記第2の記憶媒体に記憶されたシンボルデータを、前記第1の記憶媒体に記憶された地図情報に重ねて表示することにより、ハザードマップを作成することを特徴とする請求項9記載の防災情報提供システム。
【請求項12】
前記記憶手段は、災害シミュレーション情報を記憶する場合に、複数の災害シミュレーション結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶し、
前記選択手段は、前記取得された気象条件に近い災害シミュレーション結果に対応するシンボルデータの時系列変化を表す情報を選択的に読み出し、
前記送信手段は、前記読み出されたシンボルデータの時系列変化を表す情報を通信ネットワークを介して前記携帯端末へ送信し、
前記格納手段は、前記防災情報配信装置から送信されたシンボルデータの時系列変化を表す情報を受信して第2の記憶媒体に格納し、
前記ハザードマップを作成する手段は、前記第2の記憶媒体に記憶されたシンボルデータの時系列変化を、前記第1の記憶媒体に記憶された地図情報に重ねて表示することにより、動的ハザードマップを作成することを特徴とする請求項9記載の防災情報提供システム。
【請求項13】
前記記憶手段は、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報を記憶する場合に、過去の複数の災害発生結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータを記憶し、
前記選択手段は、前記取得された気象条件に近い過去の複数の災害発生結果に対応するシンボルデータを選択的に読み出し、
前記送信手段は、前記読み出されたシンボルデータを通信ネットワークを介して前記携帯端末へ送信し、
前記格納手段は、前記防災情報配信装置から送信されたシンボルデータを受信して第2の記憶媒体に格納し、
前記ハザードマップを作成する手段は、前記第2の記憶媒体に記憶されたシンボルデータを、前記第1の記憶媒体に記憶された地図情報に重ねて表示することにより、ハザードマップを作成することを特徴とする請求項9記載の防災情報提供システム。
【請求項14】
前記記憶手段は、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報を記憶する場合に、過去の複数の災害発生結果のそれぞれに対応して、危険地域、安全地域及び避難場所の少なくとも一つの位置を表すシンボルデータの時系列変化を記憶し、
前記選択手段は、前記取得された気象条件に近い災害発生結果に対応するシンボルデータの時系列変化を表す情報を選択的に読み出し、
前記送信手段は、前記読み出されたシンボルデータの時系列変化を表す情報を通信ネットワークを介して前記携帯端末へ送信し、
前記格納手段は、前記防災情報配信装置から送信されたシンボルデータの時系列変化を表す情報を受信して第2の記憶媒体に格納し、
前記ハザードマップを作成する手段は、前記第2の記憶媒体に記憶されたシンボルデータの時系列変化を、前記第1の記憶媒体に記憶された地図情報に重ねて表示することにより、動的ハザードマップを作成することを特徴とする請求項9記載の防災情報提供システム。
【請求項15】
想定される複数の気象条件の下でそれぞれシミュレーションすることにより作成される複数の災害シミュレーション情報と、過去に発生した災害の状況を表す複数の災害情報とのうちの少なくとも一方を、防災情報に含めて記憶する手段と、
現実の気象条件を取得する手段と、
前記取得した気象条件をもとに、前記記憶された複数の防災情報の中から当該気象条件に近い防災情報を選択する手段と、
前記選択された防災情報を、利用者に提示するべく当該利用者が所持する携帯端末に向けて通信ネットワークへ送信する送信手段と
を具備することを特徴とする防災情報配信装置。
【請求項16】
前記送信手段は、
前記選択された防災情報の情報サイズが、前記携帯端末が有する記憶媒体の記憶可能又は実行可能な容量の範囲内であるか否かを判定する手段と、
前記選択された防災情報の情報サイズが、前記記憶媒体が有する記憶可能又は実行可能な容量の範囲を超えていると判定された場合に、前記選択された防災情報に対しその情報サイズを縮小する処理を施す手段と、
前記情報サイズが縮小された防災情報を、前記通信ネットワークを介して前記携帯端末に送信する手段と
を備えることを特徴とする請求項15記載の防災情報配信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2007−87377(P2007−87377A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226858(P2006−226858)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】