説明

防食剤、VOC適合上塗り剤、金属加工品の塗付方法、金属加工品、コーティング剤の製造方法、及び防食剤を塗付する塗付システム

本発明は、亜鉛末と、無機結合剤およびVOC非含有またはVOC適合溶媒を含有する第2成分とを有する防食剤に関する。金属加工品を、信頼性をもって、エネルギーを節約して、一定の品質で被膜することができるように、結合剤は、二酸化ケイ素とアルカリケイ酸塩を、少なくとも4:1のモル比で有する。本発明は、また、防食剤の固体成分と液体成分との混合および計量装置にも関する。この装置は、本防食剤の各成分の量を測定する手段と、溶液タンクと、混合装置とを有する。加工品に防食剤を塗付する塗付システムは、溶液タンクと、搬送手段と、溶液タンクに連結されている少なくとも1つの減圧器と、溶液タンクに連結されている少なくとも1つの噴射装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンベース結合剤を有する防食剤と、この防食剤を製造し塗付する方法と、この防食剤を製造し塗付する装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛末とシリコン結合剤とをベースとする防食剤は、すでに長い間知られている。これらは、ペンキ塗料の形態の、いわゆる亜鉛末ペンキとして、またはいわゆるプライマーとしての最初の単純な防食として、ストリップ金属や金属シートなどの金属素材または半製品上に塗付される。
【0003】
亜鉛は、この両方の形態において陰極性腐食防止手段として用いられている。しかし、亜鉛末ペンキの製造、保管および処理は、容易ではない。亜鉛は、特に水のあるところでは、沈殿しやすく、極めて迅速に硬化する。これは、ユーザが特に評価している単成分製品の場合、特に欠点となる。したがって、単成分製品は、亜鉛末ペンキの保管性を確保するために、通常有機溶媒を含有している(DE2515305、CH503093)。プライマーの場合は、保存性が悪いという問題は、亜鉛の割合を実質的に減らして、そしてこれゆえに腐食防止効果を実質的に低下させることによってしばしば回避されていることもある(US6,468,336)。
【0004】
亜鉛末ペンキベースのペンキ塗料は、層厚を厚くして塗付される。この層厚は、一方ではペンキの組成から出され、他方、この層厚は腐食防止の防止機構の本質的なファクターとなる。亜鉛末ペンキでは、長期間に渡っての亀裂の形成の危険性が完全には除外されないので、厚い層厚を設けることにより、亀裂形成の結果生じる問題に対抗しようとしている。亜鉛末ペンキは、通常戸外の構造物(手すり、足場、橋、階段および船など)に塗付されるので、層厚に対する要件は、重要ではない。この方策の典型的な例として、US4,162,169には、例えば、亜鉛末ペンキの製造に適した結合剤が記載されている。不浸透性の上塗りに被膜される亜鉛末ペンキの使用が記載されている。
【0005】
US4,162,169で提案された結合剤は、シランを含有し、これは硬化時にメタノールを放出する。それゆえに、戸外での応用、または少なくとも機械や製造プラントから離れた位置での応用には適している。産業用プラントでの応用では、人間に対する健康被害や、場合によってはメタノールによる爆発の危険性を考慮せねばならない。
【0006】
また、二成分製品も存在する。これらは塗付の直前に現場で混合される。二成分製品は、多量の亜鉛末ペンキを使用する産業的使用者には特に適している。しかし、一時に亜鉛末ペンキを少量しか調製できず、これをすぐに処理せねばならない。これゆえに、亜鉛末ペンキは、特に、亜鉛末ペンキの連続的な処理が前提条件を満たす応用、特に産業応用にのみ適切であった。
【0007】
この方策は、US5,888,280により採用され、この中では、亜鉛末と、IA族の金属ケイ酸塩と、炭酸塩含有内部硬化剤とを水溶液中に有する二成分配合が提案されている。このコーティング剤は、プライマーとして使用可能であるのみならず、亜鉛粒子の割合を高くし、水の割合を低くすれば、完全な防食剤としても適していると考えられる。COを放出することにより、内部硬化剤は、コーティング剤のpH値を下げ、したがって硬化を加速させると想定される。
【0008】
さらに、特に、導電性材料、とりわけリン化鉄または酸化鉄化合物を、亜鉛末ペンキと組み合わせて使用を示唆することにより、とりわけ亜鉛末ペンキの腐食防止効果を改善する試みもなされている。この開発の典型的な例は、US6,468,336に示されている。
【特許文献1】ドイツ特許25 15 305号公報
【特許文献2】スイス特許503 093号公報
【特許文献3】米国特許6,468,336号公報
【特許文献4】米国特許4,162,169号公報
【特許文献5】米国特許5,888,280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、金属加工品を、均一の品質で、連続的に、安全にかつエネルギーを節約して被膜することができる防食剤を提供することである。ここで、本発明は、亜鉛末ペンキの処理の間に、特に、有機成分(VOC:揮発性有機物成分)の放出を可能な限り少なく、またはこれを放出しない結合剤を使用することを目的とする。本発明が同様に言及するVOC非含有およびVOC適合コーティング剤の前提条件は、2001年8月21日付け、BIMSCHV第31版(連邦環境汚染防止規則−「大気汚染、騒音、振動およびこれに類似の要因による環境に対する悪影響を防止のためのドイツ法」)(BGBI(連邦法官報)、I.2001年8月24日、No.44、第2180頁)に定義されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載の防食剤と、請求項19に記載の加工品を塗付する方法と、請求項26に記載の防食剤を備えた加工品と、請求項30に記載の防食剤を製造する方法と、請求項38に記載の防食剤を製造する装置と、請求項46に記載の塗付システムとにより達成される。
【0011】
本発明によれば、防食剤は2つの成分を有する。第1成分は、本質的に亜鉛末からなり、必要であれば、沈殿防止剤を有する。全配合に対する相対的な第1成分の重量割合は、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%で、最大97重量%である。亜鉛末の割合を高くすることにより、亜鉛末被膜に関するこの種の腐食防止効果を、従来知られていない程度にまで高める。
【0012】
亜鉛末粒子の平均粒子径は10μm以下、好ましくは8μm以下である。このサイズであれば、粒子の粒径と比表面積との間の割合は、この粒子を用いて作られるドライフィルムの厚さに最適である。
【0013】
必要な場合、この亜鉛末に、不都合な亜鉛末の圧縮を防ぐ薬剤、いわゆる沈殿防止剤を加える。例えば、酸化亜鉛またはアモルファスSiOが、特に適している。第1成分中のこの沈殿防止剤の割合は、亜鉛末の量に対して相対的に、15重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下でありうる。酸化亜鉛は噴射作用の改善に役立つので、酸化亜鉛を使用すると、本防食剤の噴射において驚くほど有用であることがわかった。酸化亜鉛を用いると、噴射装置のノズルの詰まりがより少なくなる傾向がある。酸化亜鉛の割合に関しては、亜鉛末が、生産条件により1重量%〜3重量%の酸化亜鉛を有すると考えられる。
【0014】
第2成分は、無機シリコンベース結合剤と、VOC非含有またはVOC適合溶媒と、必要な場合、腐食防止を改善するのに役立つ粒子とからなる。とりわけ、二酸化ケイ素を加えたアルカリ金属ケイ酸塩が適しているとわかった。二酸化ケイ素の割合がアルカリ酸化物の割合よりも大きい(ここでは、アルカリケイ酸塩は、アルカリ酸化物をベースに計算する)結合剤が好ましい。SiO対アルカリ酸化物の割合は、少なくとも4:1であり、好ましくは少なくとも5:1であり、特に好ましくは6:1である。
【0015】
様々な応用目的または処理条件に合わせるために、アルカリ金属ケイ酸塩の混合物、例えば例として、ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムとの、またはケイ酸リチウムとの混合物を用いることもできる。
【0016】
特殊な応用の要件によっては、結合剤に補助結合剤を加えることもできる。補助結合剤は、好ましくはポリマーの補助結合剤であり、例えば、メチルシリコーン樹脂または非鹸化アクリル酸塩である。これらの結合剤は、例えば、結合剤の硬度または弾性を調節するのに役立つ。
【0017】
第2成分中の結合剤の割合は、少なくとも3重量%〜最大40重量%、好ましくは10重量%〜20重量%である。
【0018】
VOC非含有またはVOC適合溶媒として、水、高沸点の溶媒、またはこれらの混合物が用いられうる。VOC適合溶媒とは、とりわけ、その沸点が十分高く(250℃より高い)、処理中に有機物質が放出されない溶媒である。作業上の安全性を考えると、溶媒として水を使用するのが好ましい。水によっても、本防食剤がVOCを含まないことが保証される。
【0019】
周知である通常の顔料を防食剤用に用いることができる。しかし、実際の応用では、しばしば、被膜された加工品の金属外観が、均一で、かつ高品質に見えることが望まれる。しばしば金属粒子が、防食剤に加えられるのはこのためである。不動態化アルミニウム粒子は、表面の視覚的外観のためのみに用いられるが、特にこの目的に適している。アルミニウムは様々な形態で用いられる。必要な場合、固体として第2成分に加えられる不動態化アルミニウム片の使用が、好ましい。各防食剤の要件に応じて、防食効果を高めるための粒子も、第3成分として貯蔵することができ、この第3成分は、第1成分および第2成分と共に防食剤の製造中に組み合わされ、例えばアルミニウム粒子は、水溶性のペーストとなる。
【0020】
本防食剤の第2成分に対して、顔料が、第2成分全体の量に対して相対的に、少なくとも5重量%加えられる。好ましくは少なくとも10重量%以下〜15重量%以下、特に好ましくは20%以下の顔料が加えられている。
【0021】
本防食剤を処理条件に合わせるため、あるいは所定の使用上の特性を確保するために、さらなる添加剤が、本防食剤の第1成分または第2成分に加えられうる。ここでは、とりわけ、粘着防止作用を調節するための薬剤、または、潤滑剤のことを指す。これらは、第2成分に添加されるのが好ましいが、第1成分に含有されてもよい。
【0022】
乳剤または分散液の形態の固体蝋または液体蝋を、本発明のコーティング剤に添加剤として加え、例えば、被膜の粘着防止作用を調節することもできる。通常の周知の蝋を用いることができる。例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンベースの蝋などを用いることができるが、もちろん、カルナウバワックスのような天然蝋、または上述の物質の混合物も用いることができる。潤滑や粘着防止特性に影響を与えるその他の物質、例えば、黒鉛、二硫化モリブデンまたは窒化ホウ素も、添加剤として用いることができる。潤滑剤または粘着防止剤の通常の使用量は、本防食剤の全配合に対して相対的に、20重量%以下、好ましくは5重量%以下、有用には3重量%以下である。
【0023】
本発明によれば、結合剤に加えて、本コーティング剤は、表面下の湿潤、脱泡、流動作用、脱気または顔料湿潤に影響を与える添加剤、および、軟化用薬剤または触媒をも含有することができる。これらの添加剤は、各々、本コーティング剤の全製剤に対して相対的に、0.01〜8重量%の割合で添加される。
【0024】
本発明の範囲内で、水分散性または混合可能な腐食防止剤、好ましくは窒素含有化合物、とりわけ4級アンモニウム塩を、第2成分に加えると、よい効果を得ることができる。本コーティング剤のさらなる好ましい添加剤は、ホウ素化合物であり、とりわけホウ素酸または酸化ホウ素基の化合物であるが、モリブデン化合物またはリン含有化合物でもある。これらの腐食防止剤は、全製剤に対して0.01重量%〜30重量%の量加えられる。下限閾値は、所望効果の達成に応じて予設定され、一方上限閾値はコストを考慮して決められる。
【0025】
本発明の防食剤のpH値は、pH6〜pH12、好ましくはpH8〜pH12である。本防食剤のアルカリ性適応のみでも、加工品のベースコートの保護効果に寄与するが、これは、水の存在により形成されるアルカリ性の環境が腐食に対抗するからである。特に有用な点として、pH値10〜12の防食剤は、成分1中に含まれる亜鉛をほとんど不動態化しない点を記載しておかねばならない(B.Roathali,G.Cox and W. Littreal,“Metalls & Alloys”, 3.73,1963参照)。これにより、陰極性の有効な亜鉛粒子が最大限コーティング中に含まれる。
【0026】
本発明の防食剤は、周知の亜鉛末ペンキとは異なり、極めて有効でかつ耐久性のあるさび防止効果がある。10μmのドライコート厚の被膜で、DIN 50 0 21による塩水噴霧試験で、確実に、少なくとも200時間の耐用期間を得、乾燥層の被膜厚さを倍にすることにより、耐用期間は、少なくとも500時間に達した。したがって、達成可能な腐食防止効果は、従来得られている全ての値を大幅に越えている。本発明の防食剤の応用範囲が、単なるペンキ塗料としての使用をはるかに超えているのは、この理由による。本防食剤は、被膜されるべき金属面に、様々な塗付方法を用いて塗付される。非常に薄い層厚の場合でさえも、高い有効性が得られるため、本防食剤は非常に経済的で、コスト効率がよい。
【0027】
特に好ましい実施形態では、本発明の防食剤は、別の層と共に、とりわけ色塗と共に被膜されるのに適している。このような色塗は、本発明の防食剤に接着し、その特性が妨げられることなく、いわゆる上塗りとなるが、この上塗りは、例えば、本防食剤の第2成分中に含まれているのと同じ結合剤からなる。この場合も、結合剤には、補助結合剤、好ましくはポリマー補助結合剤、とりわけメチルシリコーン樹脂または非鹸化アクリル酸塩が補充され得る。
【0028】
さらなる好適な実施形態では、この上塗りは、色顔料、例えば、アルミニウム顔料、カーボンブラックまたは鉄顔料を有している。この上塗りはVOC適合であり、すなわち、処理中または上塗りの硬化時に放出される有機物質の含有量が、所定の限定的な量である。しかし、上塗りもVOCを含まないのが好ましい。
【0029】
感度の高い材料を被膜できるようにするために、防食剤、および必要な場合、上塗りも、120℃以下、好ましくは80℃以下、特に好ましくは40℃以下の温度で乾燥または硬化可能なように調節されているのが好ましい。
【0030】
本発明の別の課題は、金属加工品に防食被膜を塗付する方法を提供することである。この方法は、本発明の独立した別の発明的観点であると考えられる。
【0031】
本発明による金属加工品の塗付方法では、金属加工品の表面を必要に応じてクリーニングし、続いて、(好ましくは)VOC非含有プライマーまたはVOC適合プライマーで被膜し、このプライマーを乾燥させた後、請求項1〜10の少なくともいずれか1項に記載の防食剤を用いてこの加工品を被膜し、最後に本防食剤を乾燥させる。
【0032】
大概の場合、水ガラス溶液または補助結合剤を有するプライマーを塗付することにより、本防食剤に関連して上述したように、加工品への本防食剤への接着を改善し、したがって、加工品の腐食防止効果が長期間に渡って確保される。
【0033】
加工品のクリーニングが通常必要であるのは、それ以前の工程で残っている物により、防食被膜の接着が妨げられるからである。基本的には、いずれの表面クリーニングでも、本発明の被膜用の基面を作るのには適している。しかしながら、穏やかなクリーニング方法、例えば感度の高い材料の準備のために必要となるクリーニング方法でさえも、本防食剤での上述の被膜用に適切な基面を提供するのには適しているという点は重要である。とりわけ、特殊スチールなどの温度感受性材料および/または酸感受性材料は、ブラシ、超音波、アルカリ浴および/または溶媒浴または蒸気クリーニング、またはこれらのクリーニング工程を連続して行うことにより、またはこれらを組み合わせることによりクリーニングされ、それにより被膜に適した表面が作られる。
【0034】
上述のようなクリーニングを施した加工品の表面に、プライマーは、少なくとも部分的に塗付される。多くのプライマーが適しているが、例えば、本防食剤または本上塗りの結合剤と共に用いられる補助結合剤が適している。好ましくは、プライマーはVOC非含有溶液であり、例えば4%の水ガラス溶液であり、必要な場合、処理上問題とならない添加剤を包含している。最も基本的な場合、プライマーは、これ以外の添加剤を含まない形で塗付されうるが、通常は、さらなる添加剤、例えば湿潤剤および腐食防止剤があれば、これに添加される。好ましくは、湿潤剤および/または防食剤は、5重量%まで、有用には0.05重量%まで用いられる。その後、この被膜を乾燥させる。乾燥は、空気乾燥、好ましくは室温から100℃までの温度で行われるので、とりわけ単純でコスト効率がよい。乾燥したプライマーの層厚は、100nm〜3μmである。
【0035】
本発明によれば、上述の防食剤の層が、乾燥したプライマー上に、少なくとも部分的に塗付される。本防食剤は、いずれの所望の塗付方法を用いてでも塗付されるが、とりわけ、噴射、圧延、注ぎ込み、はけ塗り、搾り出し、ローラ塗付、浸漬遠心分離または浸漬引きで塗付される。この本防食剤の塗付は、腐食防止効果を長期間にわたって最適に確保するために、合目的にはプライマー乾燥直後、遅くとも4時間以内に行われる。本防食剤は、短時間後に、室温で手で触れることができる程度に乾燥し、約30〜120秒後には、加工品の表面上で不粘着になる。結合剤と層厚とに応じて、かつ亜鉛末の割合によっては、実際の硬化時間は24〜72時間の間であり、極端な場合には、14日までかかることもありうる。
【0036】
プライマーおよび本防食剤を乾燥させるのに必要な温度は、120℃を上回らず、好ましくは80℃以下、特に好ましくは40℃以下の温度であり、有用であるのは室温を上回らない温度である。乾燥または硬化は、プライマーと本防食剤との両方により行われる。好ましくは、乾燥は、例えば、いわゆる側圧縮機(ラテラルコンプレッサ)により生成される、非常に高速の空気により行われる。この方法で乾燥させることにより、エネルギー消費をほとんど必要とせず、必要とされる器具サイズも比較的小さくてすむ。
【0037】
上述の方法により被膜された加工品は、過酷な環境条件にさらされた場合でも、腐食防止効果が長く継続する。上述したプライマーと防食剤とによる被膜は、例えばブレーキディスクの被膜(この場合、塩水噴射試験で、500時間以上耐久せねばならない)では、極めて適切である。ブレーキディスクが周知の防食剤で従来通りに被膜された場合では、300℃を上回る温度で加熱され、長時間にわたって硬化されねばならない。これにより、ブレーキディスクは、しばしば変形し、製品として容認されない。周知の被膜は、したがって、相対的に不良品数を多数生んでしまう。例えば温度感受性のある金属製であり、あるいは温度感受性キャストで作られる部品もある。これらの材料の特性は、180℃を上回って加熱されると、実質的にその特性が変化してしまう。従来の被膜方法が、被膜の硬化に160℃、しばしば200℃を上回る温度が必要である多くの防食剤に不適である理由は、この点である。本発明の防食剤は、広範囲に渡る陰極性の腐食防止の可能性を本質的に改善している。
【0038】
本発明の加工品では、硬化後の本防食剤のドライコーティングの厚さは、1〜100μm、好ましくは15〜60μm、特に好ましくは20〜40μmが目指されている。
【0039】
場合に応じて、2成分または3成分を有する防食剤は、とりわけ単純な方法で使用のために調製可能である。亜鉛末が結合剤に混合される点は、標準的技術水準より周知である。このコーティング剤はすぐに処理されねばならない。処理時間(ポットライフ)が極端に短いために、周知の製品は常に一括して処理されねばならない。
【0040】
産業上の処理においては、この種の防食剤の調製は不適切である。しかしながら、連続的な需要により適している本発明による防食剤の供給法は、従来存在しなかった。ユーザが防食剤をほぼ連続的に製造することが、連続的な需要に最適であるということが、試験結果より判明した。
【0041】
上述の課題に基づき、固体成分と液体成分とを用いてコーティング剤を製造するために、以下に説明する方法を、本発明の解決方法の枠内で、独立した観点として提供する。
【0042】
このために、まず、本防食剤の液体成分の一部分を、本コーティング剤を調製するための調製容器に入れる。冒頭に述べたとおり、本コーティング剤の液体成分は、例えば、結合剤とさらなる添加剤、例えば、接着促進剤、湿潤剤、増粘剤、脱泡剤、脱気剤、顔料湿潤剤、腐食防止剤、また、軟化用薬剤または触媒をも有するコーティング剤の液体成分である。適切な溶媒または水をも加えることができる。
【0043】
次に、固体成分を加え、固体成分と液体成分とを均一に混合するために、均一化を行う。
【0044】
本発明の文脈では、「固体成分」とは、とりわけ例えば、金属粒子/金属片、乾燥顔料および充填剤などの微粒子材料を指す。本発明の文脈では、ペースト状の成分、すなわち流動性が非常に限定されている成分も、固体成分として解釈する。
【0045】
コーティング剤調製液を均一化した後に、液体成分の残りの部分を加え、個々の成分の粘度に応じて、必要な場合、調製液と混合する。
【0046】
特に好適な実施形態によれば、固体成分と液体成分との測定および混合は、自動制御される。この制御は、有用な実施形態によれば、温度、圧力、混合時間および混合の強度などの最適な処理パラメータが保持されるようにも制御する。
【0047】
この方法は、本発明の防食剤のような固体成分が高い割合で含有されるコーティング剤の製造には、とりわけ有用である。この方法により、例えば産業製造プロセス内で、本発明の防食剤の供給をほぼ連続的に行うことができる。この方法の独特で好適には自動化された形態のゆえに、防食剤の調製は一括して行いつつ、防食剤の供給は、連続的な産業上のプロセスの中で行い、例えば、生産ラインの皮膜プラント内で行うことができる。VOCを含有しない、あるいは場合に応じてVOC適合成分のみに頼っている場合でも、例外的に高い固体成分の割合を有する特に独特な調整液を、経済的に製造することができる。
【0048】
この方法で最初に容器内に入れられる液体成分の分量は、基本的には、固体成分に対する液体成分の割合に基づき、そしてとりわけ液体成分の粘度に基づいて、決められる。この分量は、均一化段階の間に、中間粘度から高粘度までの均一的なペーストが得られるように選択されるべきで、これにより、個々の成分の粘度を互いに近づけることにより、よく混合がなされる。並外れて亜鉛末の分量割合が高く(例えば、90重量%を上回る割合)VOC適合溶媒を有する本発明の防食剤製造には、この分量は、液体成分の全量の約3分の1であることが好ましい。これで、亜鉛粒子の凝集が分離され、かつすばらしい均一性が得られる。
【0049】
とりわけ、液体成分の条件によっては、好ましくは固体成分を加える間、および/または、均一化段階の間に、調製液が定期的に混合される。この際、基本的には全ての適切な装置および方法を用いることができ、例えば、渦巻く気体、または、連続的もしくは定期的循環揚水によって、調製液を混合することができる。調製液が、定期的にまたは連続的に攪拌されることが特に好ましい。ここで、調製容器のサイズに応じて、通常の攪拌装置、例えば、磁力式攪拌機、溶解機ディスクまたはUltraturraxを用いてもよい。コーティング剤中で、固体成分の沈殿を避けるために、さらに、液体成分の残りの量を加える間、および、それに続く待機期間または攪拌期間中も、調製液を定期的に混合することが好ましい。
【0050】
調製液を攪拌する間、攪拌機と攪拌速度との選択により、混合処理の品質は決まる。したがって、原則的に、攪拌速度は、周速度に基づき、均一化されるべき材料に応じて選択されるべきである。本出願人の行った実験結果によれば、例えば、コーティング剤を製造するために、溶解機ディスクを使用する際、100〜1500rpm、好ましくは1000rpmの速度が特に有用であることが確かめられた。速度調節可能であれば、特に好ましい。これにより、個々の方法工程に対して、異なる速度を設定可能となる。
【0051】
好ましくは、コーティング剤調製液の温度を、この方法中、4℃〜40℃に保つ。このために、調製容器を適切に、例えば通常の加熱装置および冷却装置を用いて構成する。加熱媒体または冷却媒体が流れる二重壁調製容器は、特に適している。各結合剤系によっては、混合および計量時に、容器に対して所定の過圧をし、または不完全真空にすることが適切でありうる。真空にすることにより、とりわけ、例えば、コーティング剤を脱泡し、それ故に、よく均一化することができる。好適な不完全真空は、大気圧を下回る約2分の1バールである。
【0052】
本発明のさらなる実施形態によれば、液体成分の残りの部分を加える工程と共にまたはこの工程後に、さらに固体成分および/または液体成分を加え、とりわけ固体添加剤および/または液体添加剤を加えることが好ましい。例えば、特に固体またはペースト状の金属粒子および/または金属片(アルミニウム片など)である顔料、また、防食剤の組成に関連して述べたような潤滑剤、湿潤剤、増粘剤または接着促進剤も加えることができる。各添加剤によっては、添加剤を加えている間および/またはその後も、コーティング剤調製液を好ましくは混合または攪拌し続けるべきである。コーティング剤を完成した後も、好ましくは500rpmの範囲の速度で攪拌する。
【0053】
VOC適合防食剤の配合が特殊であるため、およびこのための製造方法が特殊であるために、本発明の方策では、防食剤の固体成分および液体成分を混合および計量する装置を、本発明の防食剤を製造するための独立した観点として提供する。この装置は、本防食剤の各成分量を測定する手段と、調製容器と、混合装置と、必要な場合、この方法を制御する手段とを備えている。このような装置の使用により、本発明の防食剤を製造するための上述の方法を、容易に実行することができる。
【0054】
本防食剤の各成分量を測定するために、基本的には、通常の装置は全て、例えば、秤量機、ポンプまたは流量計が適している。例えば、亜鉛末のような固体成分は、防食剤調製液を秤量することにより計量して、加えることができる。この際、例えば、調製容器を秤量装置上に載せ、その結果、調製容器の重量を測定することができる。各量を加える前に、調製容器の重量を測定し、成分を加えている間に、各測定値との差を測定することができる。液体成分を加えるためには、クロックポンプまたは流量計/センサーを用いて、量を測るのも有用でありうる。液体成分用に秤量機を用いることも可能である。本発明の防食剤の配合を順守するためには、測定の不信頼度は、2%を上回ってはならず、好ましくは1%を上回ってはならない。測定用の各装置の選択は、測定されるべき基板の各条件による。
【0055】
防食剤の混合装置は、さらに、防食剤調製液を受容する調製容器と、混合装置とを有する。この調製容器は、可能な場合、容易に交換可能であるべきで、これにより、産業分野の生産プロセスにおいて、ほぼ連続的に稼動使用することができる。本防食剤を製造した直後に、塗付または被膜システム中で、その調製容器を用いることができるので有用である。
【0056】
本発明のさらなる実施形態によれば、調製容器は、圧力容器である。塗布装置によっては、または防食剤内に揮発性成分を用いる場合には、圧力容器が有用である。好ましくは、この装置には、調製容器の容器温度を一定に保つ手段が設けられている。この手段により、発熱反応溶媒または結合剤システムを有する場合でも、要求される温度範囲を保つことができる。このために、調製容器は、二重壁構成を有することができ、冷却液または水が、2つの容器壁間にできた空洞を流れることができる。通常の加熱ユニットまたは冷却ユニットの使用により、調製液の粘度調整を行うことができる。
【0057】
混合装置は、これにより、本防食剤調製液が調製容器中で、定期的に好ましくは連続的に混合されるように構成されるべきである。適切な混合装置は、例えば、調製容器に配された気体ノズルが、適切な気体圧を付加することにより、本防食剤調製液が渦を巻くように構成されうる。調製溶液から本防食剤調製液を除去し、これをポンプにより閉回路で調製容器に再び加える(循環揚水)も考えられる。
【0058】
混合装置は、攪拌機であることが好ましい。対応する攪拌装置は、通常、例えば溶解機ディスクや螺旋攪拌機などの攪拌機を有し、これは、適切な駆動部により可動である。この駆動部は、例えば電気モータでありうる。特に、攪拌機の面とこれに対して垂直の面との両方で混合が行われるように、攪拌機を構成するのが好ましい。このような攪拌ツールにより、特に、固体成分の濃度を高い防食剤の混合プロセスにおいて、よい混合結果を得ることができる。さらに、攪拌機は、好ましくは、各調製容器の形に合わせられるべきである。
【0059】
本防食剤調製液の混合をさらに改善するために、調製容器は、さらに好ましくは、内部にシケインなどの通常の旋回手段を有する。
【0060】
本発明のさらなる実施形態によれば、各貯蔵容器から調製容器へと、固体成分または液体成分を搬送するための搬送手段が設けられている。とりわけ産業上の製造ラインでは、本コーティング剤調製液の成分を、少なくとも部分的に自動的に混合および計量するのが有用である。さらに、配合における各成分の誤差が、通常比較的小さいために、これにより、計量誤差が回避可能となる。搬送手段により、本コーティング剤の全成分を、調製容器中に搬送することが一般に好ましい。計量を改善するために、好ましくは搬送手段の搬送力を調節可能にすべきである。
【0061】
各搬送手段は、搬送される成分に応じて構成される。液体成分の場合には、管状またはホース状管を備えたポンプが通常有用である。本コーティング剤の乾燥およびペースト状の成分には、ウォームコンベヤーを用いるのが好ましい。特に、超微細亜鉛末などの金属粒子を用いる場合、計量はしばしば非常に困難で、粒子の重量が軽いため、および、噴霧状になる傾向が非常に高いために、健康に有害な物質が大量に放散される。これゆえに、ウォームコンベヤーが特に有用である。さらに、固体粒子の成分とりわけ亜鉛末などの金属粒子を、管から調製容器に供給される加圧空気により加えることも考えられる。とりわけ、ペースト状の成分の場合、搬送手段は、搾り出し装置とすることができ、これが適している。
【0062】
混合および計量装置は、好ましくは計量を制御するための制御手段を有する。このような制御手段により、安全かつ精確な計量を容易に行うことができる。もちろん、制御手段が、これ以外の処理パラメータを監視し、かつ調節することも可能である。計量制御に加えて、例えば、粘度を適切に測定することにより、混合パラメータを、監視および調節することも可能である。本防食剤の沈殿作用に応じてポットライフを自動的に監視し、かくして、これを塗付または被膜プラントの処理制御に組み込むように、制御手段を構成することも可能である。充填レベルを監視する手段を設け、塗付または被膜プラント内で、この充填レベルが特定の閾値を下回った場合、混合および計量装置中で、防食剤調製液の混合が新たに自動的に開始するようにすることも考えられる。制御手段は、プロセス技術分野市場で入手可能なものであり、例えばSPS制御またはマイクロプロセッサ制御が、特に適している。
【0063】
上述のように、VOC適合防食剤の沈殿作用のゆえに、かつ乾燥期間が短いという特性のために、本発明の防食剤の塗付は、困難である。これゆえに、管および装置は容易に詰まる。本発明のVOC適合防食剤の処理におけるこの特殊な問題がゆえに、加工品上に防食剤を塗布するための塗布システムを、本発明によるアプローチの範囲内で、防食剤を提供するための独立した観点として提供する。したがってこの塗布システムは、調製容器と、搬送手段と、調製容器に連結されている少なくとも1つの減圧調節器と、調製容器に連結されている噴射装置とを有する。
【0064】
このようなシステムにより、本発明の防食剤を有用に加工品上に塗布することができる。各防食剤組成のポットライフ内で一括処理が可能になるように調製容器を構成すべきである。したがって、調製容器のサイズは、各塗布プラントの要件に応じて選択されるべきである。
【0065】
混合および計量装置内と、塗布システム内とで同じ調製容器を使用することも考えられる。調製容器は、本防食剤を除去するのに適した出入り口を有さねばならない。このために、塗布システムは、例えば、適切な搬送手段を有するが、これは、例えば、適切な供給ポンプなどの全ての通常の搬送手段である。このような搬送手段は、調製容器と減圧器/噴射装置との間にある通常の管に、適切な作動圧力下で防食剤が供給可能であるように構成されるべきである。作動圧力は、基本的に、関連する管の長さに応じて選択されるべきである。通常の被膜プラントでは、1〜2バールの作動圧力が適切であるとわかった。とりわけ、本防食剤の固体が沈殿しないように、または管の詰まりを回避するために、あまり小さい作動圧力を選択すべきではない。加工品上に本防食剤を塗布するのに特に好適な方法は、HVLP方式である。通常は0.3〜0.4バールの噴射圧力を正確に設定する必要があるのはこのためである。関連する噴射圧力を調節するために、減圧調節器が設けられている。減圧調節器により、各搬送手段により生じる作動圧力を安全に調節すべきである。この減圧調節器は、調製容器とこれに連結された噴射装置との間に入れられることが好ましい。1つの塗布システム中に複数の噴射ガンが用いられる場合には、各噴射装置用に1つの減圧調節器を設けるべきで、これにより、各噴射ガンにおける噴射圧力を最適に調節することができる。この際、減圧調節器と噴射ガンとの間の管の長さは、可能な限り短くすべきである。このような減圧調節器は、流体技術分野市場で入手可能である。減圧調節器と噴射装置とは、操作中に詰まることがないように構成されるべきである。
【0066】
このために、減圧調節器は、非接触型の構成をしている。すなわち、減圧調節器は、作動中に用いられる防食剤と直接接触しない。このような減圧調節器の構成は、有用である。なぜならば、とりわけ、通常の膜式減圧調節器では、固体成分と液体成分とを有する本発明のコーティング剤を用いると、固体成分の一部が、減圧調節器内に貯まり、減圧調節器を不時に詰まらせてしまう傾向があるからである。これゆえに、とりわけ調製容器は、ホース管により少なくとも部分的に噴射ガンに連結され、減圧調節器は、このホース管の断面が少なくとも部分的に可変であるように構成されていることが、好ましい。このような構成により、単純に圧力調節することが可能である。減圧調節器は、例えば、空気圧シリンダーによりホース管を圧搾することができる。したがって、ホース管は減圧調節器の形態にしたがって構成され、とりわけ弾性を有するべきである。ホースの内径は、好ましくは2mm〜10mmである。
【0067】
とりわけ好ましくは、操作中に発生する噴霧器空気流が、噴射装置の外側で本防食剤を噴霧状にするように、噴射装置が構成されている。このようにして、防食剤は、噴霧器空気流と、噴射装置の外側でのみ接触するので有用である。噴射装置は、このために、とりわけノズルの開口のサイズが調節可能であるように構成されている。本出願人の試験によると、ノズルのサイズは、0.5mm〜1.2mmが有用であり、とりわけ、星形状のノズル(“Stern−S”)を用いると特に有用である。これ以外のいずれの適切なノズルも、無論使用可能である。
【0068】
噴霧器空気流以外に、噴射装置の外側に成型空気流も設け、本防食剤を噴霧状にするために、および、噴射ジェットを形成するために必要な残りの空気の量を形成する。
【0069】
このような噴射装置の構成は、本発明の防食剤を用いる場合には、とりわけ有用であるが、これは本発明の防食剤が空気と接触すると迅速に硬化するからゆえである。噴霧状にするのに必要な空気の量は、噴射装置の実質的に外側で加えられ、その結果、噴射装置の詰まりが回避されうるので有用である。
【0070】
好適な実施形態によれば、調製容器は、塗布システム中で用いられる際にも、混合装置を有する。本防食剤の組成に応じて、調製溶液中の本防食剤調製液を定期的にまたは連続的に混合することが有用でありうる。これにより、とりわけ本発明のVOC適合防食剤のような、固体成分の割合が高い防食剤組成物を早すぎる段階で沈殿することを防ぐことができるので有用である。このために用いられる相応の混合装置は、混合および計量装置に関連して、すでに述べたので、その箇所を参照されたい。
【0071】
とりわけ好ましいのは、塗布システム中で用いられる調製容器が、圧力容器であり、これが、連続的に本防食剤を攪拌するための装置を有することである。調製容器を圧力容器として構成することにより、加圧空気供給などの適切な搬送装置により容器全体に作動圧力をかけることが可能である。加圧空気を搬送手段として用いると、調製容器は、これに応じた加圧空気の供給を受ける。本防食剤の混合および計量中などに、調製容器内部に容易にアクセスできるように、調製容器には、取り外し可能な蓋が設けられているべきである。本防食剤を連続的に攪拌するための装置は、例えば、本防食剤を混合するための螺旋攪拌機を有することができる。駆動は、例えば、電気モータにより行われるが、これは、調製容器の外側に配されることが好ましい。しかし、この場合、調製容器の気密性は、対応するシールにより確保されねばならない。
【0072】
さらなる実施形態では、加圧手段は、調製容器と噴射装置との間にポンプを有する。とりわけ二重膜ポンプが好ましい。圧力調整のために、ポンプと噴射装置との間に、減圧調節器が配されるべきである。再循環管が、ポンプと減圧調整器との間に配され、調製容器に対する再循環管を形成する。塗布システムをこのように配すれば、調製容器を圧力容器として構成する必要はない。調製容器と減圧調節器との間のポンプは、該当する管中に必要な作動圧力を生む。減圧調節器と噴射装置との近くに配されることが好ましい再循環管は、管を、減圧調節器と、ポンプすなわち調製容器とを再び連結する。これにより、少なくとも防食剤の少なくとも一部が循環し、これが調製容器内で本防食剤を連続的に混合するのに役立つ(循環揚水)。好ましくは、下レベル法を用い、この際、再循環する防食剤が、調製容器内に存在する防食剤のレベルより下で再循環するように、再循環管は調製容器に連結される。
【0073】
上述のように、産業分野での生産においては、防食を塗布する塗布システムが、混合および計量装置を有することがとりわけ有用である。混合および計量装置と、塗布システムとを組み合わせることにより、各調製容器を交換することにより、一括処理が可能である。この場合、生産ラインの各塗布システムに、混合および計量装置を設けることが不要であり、むしろ経済的な観点から、複数の塗布システムに混合および計量装置を1つ設けることが適切となりうる。2つの装置を組み合わせることにより、防食剤の各調製用に1つの調製容器のみを用いることが可能となるので有用である。本防食剤は、調製容器中の混合および計量装置中で直接製造されることができ、続けて、防食剤を加工品上に塗布するための塗布システム内で、用いられる。
【0074】
この場合、塗布システムと、混合および計量装置とが、互いに空間的に接近した位置にあるか、ある程度距離をあけた位置、例えば異なるプラント施設にあるか否かは重要ではない。しかしながら、塗布システムと、混合および計量装置とを、共通のプロセス制御により制御及び調節することは可能である。例えば、調製容器内の充填レベルを測定する装置は、塗布システム内に配されることができ、充填レベルが、所定の閾値以下になると、防食剤の新たな調製を、混合および計量装置内の別の調製容器内で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下に、本発明を例となる実施形態を参照してさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0076】
防食剤の実施例1
まず、選択した例示的な実施形態として、防食剤製造に関して詳細に説明する。平均粒子径が8μmの亜鉛末55gと、同じ平均粒子径の酸化亜鉛10gとを混合し、乾燥した霜のない粉末の形態を有する成分Iとして分別保存する。成分IIは、ケイ酸カリウムと二酸化ケイ素(SiO)との結合剤を25g有し、ここで、SiO対カリウム酸化物のモル比は、5:1である。さらに、増粘剤0.05g、および、各1gのさらなる添加剤、ここではKelzan ST(登録商標)、Tego Wet 500(登録商標)などの湿潤剤、および安定剤としてテトラエチル・アンモニウム・ヒドロキサイド(TEAH)の20%水溶液を加える。第2成分に対して、脱イオン水を7g加える。第2成分の各含有成分は、攪拌機により15分間混合される。成分IIのpH値は、11を上回る。成分IIはVOCを含有しない。この成分は、通常の密閉容器に保存される。
【実施例2】
【0077】
防食剤の実施例2
防食剤の別の実施形態は、以下の含有成分を有する。成分I:亜鉛末60gは、生産条件に応じて3g以下の酸化亜鉛を含む。成分II:実施例Iの結合剤20g、Kelzan ST(登録商標)などの増粘剤0.05g、各1gのTego Wet 500(登録商標)などの湿潤剤、安定剤としてテトラエチル・アンモニウム・ヒドロキサイド(TEAH)の20%水溶液、60%の水溶性のアルミニウムペーストを10g、8gの脱イオン水。実施例IIによる防食剤は、まずアルミニウムペーストを少なくとも30分攪拌することにより製造される。この後、成分IIの含有成分を、攪拌機を用いて混合する。成分IIのpH値は、pH11を上回る。成分IIはVOCを含有しない。この成分は、通常の密閉容器に保存される。
【0078】
実施形態
加工品
スチール製のブレーキディスクを、実施例IIによる防食剤で被膜する。このブレーキディスクは、予め埃や油脂をクリーニングしておく。水ガラスを4%含んだVOC非含有溶液を、ブレーキディスク上に噴射する。プライマーで被膜されたブレーキディスクは、送風機を通過させる。これは、プライマー被膜(層厚1μm)を室温で乾燥させるために行われる。プライマー層の上に、実施例IIによる防食剤を、厚さ50μmの層として噴射する。この被膜は室温で行われる。続いて、被膜されたブレーキディスクは、連続乾燥炉を通過し、この中で側圧縮機(lateral compressor)により、高速空気流が生成され、これにより、ブレーキディスク上の防食剤が、短時間で乾燥、および硬化する。高温での乾燥は不要である。
【0079】
塩水噴霧試験では、上記のように被膜したブレーキディスクについて、500時間以上の耐用期間を測定した。加熱による歪曲なしに、ブレーキディスクを被膜することができた。不動態化アルミニウム粒子を防食剤中に加えることにより、ブレーキディスクは、すばらしい均一の色となった。
【0080】
図1は、防食剤の固体成分と液体成分との混合および計量装置の第1実施形態を示す図である。この装置は、成分を混合するための攪拌機を備えた調製容器1を有する。この攪拌機は、溶解機ディスク2を有し、軸および電気モータ3を有するシステムにより駆動される。電気モータ3は、調製容器1の外側、調製容器1の上、または、容器蓋(不図示)の上に取り付けられている。調製容器1はスチール製で、側方シケイン4を有する。これはとりわけ溶解機ディスク2の面に垂直の方向で、混合結果を改善するためのものである。あるいは、溶解機ディスク2の代わりに、溶解機吸盤を用いることも考えられる。
【0081】
混合および計量装置は、さらに、低粘度から中間粘度までの、液体からペースト状の成分を貯蔵する貯蔵部5aを1つまたは複数有する。例えば、溶媒(この場合は水)および結合剤が、このような貯蔵部に貯蔵される。調製容器2へ入れるこれらの成分の量の計量はポンプ6により行われる。このポンプは、市場で入手可能であるインペラーポンプでもよい。用いられる成分に応じて、二重膜ポンプも利用可能である。ペースト状の成分の量をポンプ6で計量せねばならない場合には、各成分の材料特性に合わせねばならない。例えば亜鉛末などの防食剤の固体成分を計量するために、混合および計量装置は、少なくとも1つの貯蔵部5bを有し、固体成分の量の測定は、ウォームコンベヤー8により行われる。
【0082】
計量制御用には、ポンプ6とウォームコンベヤー8とに接続されたマイクロプロセッサユニット10が設けられている。さらに、調製容器1は、連続的に、精密重量測定機11により秤量される。この精密重量測定機11の測定データを、マイクロプロセッサユニット10中で評価することにより、ポンプ6とウォームコンベヤー8とは、防食剤の配合に基づいてクロック制御され、防食剤の成分の対応する割合を、調整液中で正確に計量する。計量の制御以外に、マイクロプロセッサユニット10は、電気モータ3を制御することも考えられ、これにより、様々な攪拌速度や静止時間が考えられる。マイクロプロセッサユニット10とこれらの装置との接続は、通常の制御線を用いて行われる。
【0083】
防食剤を混合する際、溶解機ディスク2は、1000rpmの速度で連続的に回転させられる。その後、500rpmの速度が設定される。
【0084】
本防食剤の組成によっては、調製容器1の粘度調整をすることが必要でありうる。これゆえに、図2に示す混合および計量装置の第2実施形態では、二重膜調製容器1を有する。2つの容器壁の間の隙間21は、冷却剤で充填されている。調製容器1は、これゆえに、供給導管22と戻し導管23とに連結された(不図示の)加熱/冷却ユニットにより粘度調整されうる。加熱/冷却ユニットも、監視および制御のために、マイクロプロセッサユニット10に連結されるべきである。
【0085】
図1の例とは異なり、図2では、さらに第3形態の貯蔵部5cも示す。この貯蔵部は、とりわけ本防食剤のペースト状の成分に適している。ペースト状の成分の計量は、電気モータ9bにより駆動される搾り出し装置9aにより行われる。計量を制御するために、この電気モータ9bは、マイクロプロセッサユニット10に接続されている。
【0086】
しかし、図1および図2に示したこれらの実施形態は、例示的な意味合いしかもたない。例えば、図2に示した搾り出し装置9aを図1での実施形態で、ペースト状のアルミニウムを計量するために追加的に使用しても全く問題ない。複数の固体成分を有する防食剤のために、複数の貯蔵部5bを対応するウォームコンベヤーと共に使用することも可能である。原則として、対応する貯蔵部と計量手段とが、本防食剤の組成に合うように選択されるべきである。
【0087】
図3に、防食剤を加工品に塗付する塗付システムの第1実施形態を示す。この塗付システムは、上述の調製容器1を有する。この調製容器1は、まず、上述の装置中で混合および計量の目的で用いられる。本防食剤の調製が終了すると、この同じ調製容器1を、塗付システム内で用いる。同じ調製容器1を使用することにより、産業製造プロセス中で、ほぼ連続的に稼動することができるのでとりわけ有用である。2つのプラント間での調製容器1の交換は、手動で行うこともできるが、自動的に行うこともできる。
【0088】
防食剤調製液がいずれの沈殿傾向をも示さないようにするために、調製液は、例えば螺旋攪拌機42などの適切な攪拌装置により連続的に混合される。蓋33をすることにより、調製容器を密圧するように閉じる。電気モータ3と溶解機ディスク2との間の軸の通過に関しても、同様に密圧するように構成されている。調製容器1に加圧空気を当てるための圧力ポート32が設けられている。圧力ポート32に加圧空気を当てることにより、本防食剤は、コンベヤー導管31を通って、調製容器1から搾り出される。コンベヤー導管31は、調製容器1と噴射ガン34とを連結している。不図示ではあるが、この調製容器1と噴射ガン34との間に、適切なフィルターを配してもよい。噴射圧力を調節するために、調製容器1と噴射ガン34との間に、減圧調節器35が配されている。
【0089】
減圧調節器は、圧力測定装置37に接続されている制御ユニット36により制御されている。制御ユニット36は、各噴射圧力を調整し、圧力測定装置37に基づいて、減圧調節器35により噴射ガン34での圧力を調節する。
【0090】
減圧調節器35は、圧力ピストン38を有している。この圧力ピストン38は、その位置に応じてホース導管39の断面を変えるために、その縦方向で移動可能である。このために、減圧調節器35は、(不図示の)適切なサーボモータを有する。ホース導管39の内径は、4mmである。
【0091】
図4に、塗付システムの第2実施形態を示す。図4で示す塗布システムと図3で示す塗布システムとの差は、調製容器1から搬送導管31を通って防食剤を搬送するために、ポンプ40が用いられている点である。ポンプ40は二重膜ポンプとして構成され、吸い上げた防食剤を、適切な導管を通って噴射ガン34へと搬送する。この種の方法で防食剤を搬送するので、調製容器1と蓋33とを、耐圧的に構成する必要がない。噴射ガン34が動作していない場合にもポンプ40を連続的に動かすために、戻し導管41が設けられ、これを通って余剰の防食剤が、調製容器1に戻される。気泡ができないように、戻し導管41は、調製容器1中、現在の防食剤のレベルより下のレベルに、この余剰の防食剤を戻す(下レベル方法)。これにより、調製容器1内で本防食剤が渦を巻くことができ、防食剤の特性によっては、攪拌装置を省くこともできる。このような塗付システムの実施形態を図5に示す。
【0092】
図5に示す塗付装置の第3実施形態も、搬送導管31に連結されたポンプ40と、調製容器1に余剰防食剤を戻すための戻し導管41とを有する。図示したように、この塗付システムには、2つの噴射ガン34が、設けられている。減圧調節器35と、制御ユニット36と、圧力測定装置37とを有するシステムが、各噴射ガン34にあり、各噴射ガン34における噴射圧力を調節している。しかし、図示したようにさらなる噴射ガン34を配することも容易に可能である。ポンプ40は、十分な圧力を供給できるように、これに応じて選択されねばならない。複数の噴射ガン34を用いることは、加工品を様々な方向から被膜し、確実に均一の被膜を作ることができるので、とりわけ産業上の生産ラインにおいては有用である。複数の噴射ガン34が用いられる場合で、図3に示した塗布システムの構成、すなわち、本防食剤が加圧空気により調製容器1から供給されるという構成を用いることも無論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】防食剤の固体成分と液体成分との混合および計量装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】混合および計量装置の第2実施形態を示す図である。
【図3】防食剤を加工品に塗付する塗付システムの第1実施形態を示す図である。
【図4】塗付システムの第2実施形態を示す図である。
【図5】塗付システムの第3実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛末を含有する第1成分と、無機結合剤および、VOC非含有またはVOC適合溶媒を有する第2成分とを有する防食剤において、
前記結合剤は、二酸化ケイ素とアルカリケイ酸塩を有し、二酸化ケイ素とアルカリ酸化物との割合が少なくとも4:1のモル比で存在する、
ことを特徴とする防食剤。
【請求項2】
全配合中、前記第1成分の割合が、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項3】
平均粒子径が10μm以下、好ましくは8μm以下の亜鉛末が用いられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項4】
前記第1成分は、前記第1成分の全量に対して、15重量%以下の、好ましくは10重量%以下の、特に好ましくは5重量%以下の沈殿防止剤を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項5】
酸化亜鉛またはアモルファス二酸化ケイ素が、沈殿防止剤として、前記第1成分に加えられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項6】
前記第2成分は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムおよび/またはケイ酸リチウムを含有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項7】
二酸化ケイ素とアルカリケイ酸塩とのモル比は、二酸化ケイ素対アルカリ酸化物の割合として計算すると、少なくとも5:1、好ましくは6:1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項8】
前記液体成分は、補助結合剤、特にポリマーの補助結合剤を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項9】
メチルシリコーン樹脂または非鹸化アクリル酸塩が、補助結合剤として加えられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項10】
配合全体における前記結合剤の割合は、3重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜20重量%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項11】
特に、水および/またはVOC適合溶媒が、溶媒として用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項12】
顔料が、前記第2成分に対して、固体材料またはペーストとして、とりわけ金属粒子として加えられ、第2成分全量に対して、20重量%以下、好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、有用には5%以下加えられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項13】
アルミニウム粒子、とりわけアルミニウム片が、前記第2成分に顔料として加えられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項14】
前記顔料は、前記防食剤の第3成分として、好ましくはペースト状で用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項15】
添加剤、特に潤滑剤または粘着防止剤が、前記第1成分および/または前記第2成分に加えられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項16】
前記防食剤のpH値は、pH6〜pH12、好ましくはpH8〜pH12である、
ことを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項17】
特に請求項1〜12のいずれか1項に記載の防食剤の上に塗布するためのVOC適合上塗り剤であって、二酸化ケイ素とアルカリケイ酸塩とを含有するシリコンベースの結合剤を有し、前記二酸化ケイ素と前記アルカリケイ酸塩とのモル比は、二酸化ケイ素対アルカリ酸化物の割合として計算すると、少なくとも4:1であり、かつ必要に応じて、補助結合剤、とりわけ非鹸化アクリル酸塩またはメチルシリコーン樹脂を有し、かつ、必要に応じて顔料を有する、VOC適合上塗り剤。
【請求項18】
アルミニウム粒子、カーボンブラックおよび/または酸化鉄が顔料として用いられている、
ことを特徴とする請求項17に記載の上塗り剤。
【請求項19】
金属加工品の表面を必要に応じてクリーニングし、VOC非含有プライマーで被膜し、前記プライマーを乾燥させた後、請求項1〜15の少なくともいずれか1項に記載の防食剤で被膜し、最後に前記防食剤を乾燥させる、
ことを特徴とする金属加工品の塗付方法。
【請求項20】
上塗り剤、とりわけVOC適合上塗り剤を、前記防食剤の上に塗布する、
ことを特徴とする請求項19に記載の金属加工品の塗付方法。
【請求項21】
前記プライマー、前記防食剤および前記上塗り剤は、もしあれば、空気乾燥により乾燥させる、
ことを特徴とする請求項19に記載の金属加工品の塗付方法。
【請求項22】
前記防食剤および前記上塗り剤は、もしあれば、120℃以下、好ましくは80℃以下、特に好ましくは40℃以下の温度で乾燥させる、
ことを特徴とする請求項19または20に記載の金属加工品の塗付方法。
【請求項23】
被膜されるべき前記金属加工品は、ブラシ、超音波、アルカリ浴および/または溶媒浴または蒸気クリーニング、またはこれらのクリーニング工程の組み合わせによりクリーニングされる、
ことを特徴とする請求項19に記載の金属加工品の塗付方法。
【請求項24】
前記金属加工品を被膜するプライマーは、水ガラス溶液として、または、前記防食剤の補助結合剤として、場合によって、湿潤剤および/または腐食防止剤を含んで、塗付される、
ことを特徴とする請求項19に記載の金属加工品の塗付方法。
【請求項25】
前記プライマーは、100nm〜3μmの層厚で塗付される、
ことを特徴とする請求項19に記載の金属加工品の塗付方法。
【請求項26】
請求項1〜15の少なくともいずれか1項に記載の防食剤により、表面が少なくとも部分的に被膜されている、金属加工品。
【請求項27】
前記防食剤が、1〜100μm、好ましくは10〜60μm、好ましくは20〜40μmの層厚で塗付されている、
ことを特徴とする請求項26に記載の金属加工品。
【請求項28】
表面近くにプライマーである第1層と、その上に塗付された防食剤である第2層とを有する被膜を有する、
ことを特徴とする請求項26に記載の金属加工品。
【請求項29】
温度感受性金属、特に温度感受性スチールからなる、
ことを特徴とする請求項26〜28のいずれか1項に記載の金属加工品。
【請求項30】
少なくとも1つの固体成分と少なくとも1つの液体成分とを有するコーティング剤の製造方法であって、
−前記少なくとも1つの液体成分の一部分を、調製容器に入れる工程と、
−前記少なくとも1つの固体成分を加える工程と、
−均一化を行う工程と、
−これに続いて、前記少なくとも1つの液体成分の残りの部分を加える工程と
を有する、コーティング剤の製造方法。
【請求項31】
前記固体成分と前記液体成分との測定および/または混合は自動制御される、
ことを特徴とする請求項30に記載のコーティング剤の製造方法。
【請求項32】
前記一部分は、前記液体成分の全体量の約3分の1である、
ことを特徴とする請求項30〜31のいずれか1項に記載のコーティング剤の製造方法。
【請求項33】
前記個体成分を加える工程の間、および/または、前記均一化を行う工程の間に、調製液を定期的に混合し、好ましくは攪拌する、
ことを特徴とする請求項30〜32の少なくともいずれか1項に記載のコーティング剤の製造方法。
【請求項34】
攪拌速度を、100〜1500rpmに設定する、
ことを特徴とする請求項30〜33の少なくともいずれか1項に記載のコーティング剤の製造方法。
【請求項35】
前記調製液の温度を、4℃〜40℃に保つ、
ことを特徴とする請求項30〜34の少なくともいずれか1項に記載のコーティング剤の製造方法。
【請求項36】
前記容器を、過圧し、または不完全真空にする、
ことを特徴とする請求項30〜35の少なくともいずれか1項に記載のコーティング剤の製造方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの液体成分の残りの部分を加える工程と共にまたはこの後に、さらに固体成分および/または液体成分を加える、
ことを特徴とする請求項30〜36の少なくともいずれか1項に記載のコーティング剤の製造方法。
【請求項38】
防食剤の固体成分と液体成分との混合および計量するための装置であって、
−前記防食剤の各成分の量を測定する手段と、
−調製容器と、
−混合装置と
を有する装置。
【請求項39】
前記混合する装置は、攪拌機である、
ことを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記調製容器は、圧力容器である、
ことを特徴とする請求項38または39に記載の混合装置。
【請求項41】
前記容器の温度を一定に保つ手段が設けられている、
ことを特徴とする請求項38〜40の少なくともいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
少なくとも1つの貯蔵容器から前記調製容器へと、固体成分または液体成分を搬送するための搬送手段が設けられている、
ことを特徴とする請求項38〜41の少なくとものいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
前記搬送手段は、ウォームコンベヤーである、
ことを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記搬送手段は、搾り出し装置である、
ことを特徴とする請求項42または43に記載の装置。
【請求項45】
計量を制御するために、制御手段が設けられている、
ことを特徴とする請求項38〜44の少なくともいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
−調製容器と、
−搬送手段と、
−前記調製容器に連結されている少なくとも1つの減圧調節器と、
−前記調製容器に連結されている少なくとも1つの噴射装置と、
を有する、加工品に防食剤を塗付する塗付システム。
【請求項47】
前記減圧調節器は、非接触型である、
ことを特徴とする請求項46に記載の防食剤を塗付する塗付システム。
【請求項48】
前記調製容器は、ホース管により少なくとも部分的に前記噴射装置に連結され、前記減圧調節器は、前記ホース管の断面が少なくとも部分的に可変であるように構成されている、
ことを特徴とする請求項46または47に記載の防食剤を塗付する塗付システム。
【請求項49】
前記噴射装置は、操作中に発生する噴射空気流が、前記噴射装置の外側で前記防食剤を噴霧状にするように構成されている、
ことを特徴とする請求項46〜48の少なくともいずれか1項に記載の防食剤を塗付する塗付システム。
【請求項50】
前記調製容器は、混合装置を有する、
ことを特徴とする請求項46〜49の少なくともいずれか1項に記載の防食剤を塗付する塗付システム。
【請求項51】
前記調製容器は、圧力容器であり、連続的に前記防食剤を攪拌するための装置を有する、
ことを特徴とする請求項46〜50の少なくともいずれか1項に記載の防食剤を塗付する塗付システム。
【請求項52】
前記加圧手段は、前記調製容器と前記噴射装置との間にポンプ、とりわけ二重膜ポンプを有し、
前記ポンプと前記噴射装置との間に、再循環管が配されている、
ことを特徴とする請求項46〜51の少なくとものいずれか1項に記載の防食剤を塗付する塗付システム。
【請求項53】
請求項38〜45に記載の混合および計量するための装置を有する、
ことを特徴とする請求項46〜52の少なくとものいずれか1項に記載の防食剤を塗付する塗付システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−523913(P2009−523913A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550676(P2008−550676)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000333
【国際公開番号】WO2007/082711
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(501241173)エーヴァルト デルケン アーゲー (7)
【Fターム(参考)】